説明

p38MAPキナーゼ阻害剤

【化1】


式(I)の化合物、またはその全部の互変異性体を包含するその製薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物、それを含んでなる組成物、処置のため、とりわけ喘息およびCOPDの処置のための前記化合物および組成物の使用、ならびに前記化合物の製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ酵素、とりわけそのαおよびγキナーゼサブタイプの阻害剤である化合物(本明細書でp38 MAPキナーゼ阻害剤と称される)、ならびに治療、とりわけ肺の炎症性疾患を包含する炎症性疾患の処置におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
それぞれ組織特異的発現パターンを表す4種のp38 MAPKアイソフォーム(それぞれα、β、γおよびδ)が同定されている。p38 MAPKαおよびβアイソフォームは身体全体で遍在性に発現され、そして多くの異なる細胞型で見出される。p38 MAPKαおよびβアイソフォームはある種の既知の小分子p38 MAPK阻害剤により阻害される。古い世代の化合物は、これらのアイソフォームの遍在性の発現パターンおよび該化合物のオフターゲット効果により高度に毒性であった。より最近の阻害剤は、p38 MAPKαおよびβアイソフォームに高度に選択的でありかつより広範な安全の限界を有するように改良されている。
【0003】
p38 MAPKγおよびδアイソフォームについてより少なく既知である。これらのアイソフォームは(p38αおよびp38βアイソフォームと異なり)特定の組織/細胞で発現される。p38 MAPKδアイソフォームは、膵、精巣、肺、小腸および腎でより多く発現される。それはまたマクロファージ中でも豊富であり(非特許文献1)、かつ、好中球、CD4+ T細胞および内皮細胞で検出可能である(非特許文献2、非特許文献3)。p38 MAPKγの発現についてはほとんど知られていないが、しかしそれは脳、骨格筋および心、ならびにリンパ球およびマクロファージ中でより多く発現されている(非特許文献2)。
【0004】
p38 MAPKγおよびδの選択的小分子阻害剤は現在利用可能でないが、しかし1種の既存の阻害剤がパンアイソフォーム(pan−isoform)阻害作用を有する。BIRB 796は全部のアイソフォームを阻害するが、しかし、p38αおよびp38βを阻害するものより高濃度でp38γおよびp38δを阻害する(非特許文献4)。BIRB 796はまた、上流のキナーゼMKK6若しくはMKK4によるp38 MAPK若しくはJNKのリン酸化も減少した。該著者らは、MAPKへの阻害剤の結合により引き起こされるコンホメ−ション変化が、そのリン酸化部位および上流の活性化因子のドッキング部位の双方の構造に影響を及ぼし、従ってp38 MAPK若しくはJNKのリン酸化を減少させうるという可能性を論じた。
【0005】
p38 MAPキナーゼは、ヒト疾患における慢性の持続性炎症、例えば重症の喘息およびCOPDの開始および維持に関与するシグナル伝達経路の多くで中枢的な役割を演じていると考えられている。現在、p38 MAPキナーゼが様々な炎症前サイトカインにより活性化されること、ならびに、その活性化がさらなる炎症前サイトカインの生成および放出をもたらすことを示す豊富な文献が存在する。事実、いくつかの臨床研究からのデータは、p38 MAPキナーゼ阻害剤で処置中の患者における疾患活動性の有益な変化を示している。例えば、非特許文献1は、ヒトマクロファージからのサイトカイン放出に対するp38 MAPキナーゼ阻害剤の阻害効果を記述している。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置におけるp38 MAPキナーゼの阻害剤の使用が提案されている。p38 MAPKα/βを標的とする小分子阻害剤は、一般にコルチコステロイド非感受性であるCOPDを伴う患者から得た細胞および組織(非特許文献1)、ならびにin vivo動物モデル(非特許文献5;非特許文献6)における炎症の多様なパラメータの低下
において有効であることが判明している。Irusenらもまた、核中のグルココルチコイド受容体(GR)の結合親和性の低下を介するコルチコステロイド非感受性に対するp38 MAPKα/βの関与の可能性を示唆している(非特許文献7)。AMG548、BIRB 796、VX702、SCIO469およびSCIO323を包含する様々なp38 MAPキナーゼ阻害剤での臨床経験が、非特許文献8に記述されている。
【0006】
COPDは、根底にある炎症が、吸入コルチコステロイドの抗炎症効果に対し実質的に抵抗性であることが報告されている状態である。結果、COPDの効果的な一処置戦略は、固有の抗炎症効果を有しかつCOPD患者からの肺組織の吸入コルチコステロイドに対する感受性を増大させることが可能であるの双方の介入を開発することであろう。Mercadoらの最近の刊行物(非特許文献9)は、p38γを発現停止させることがコルチコステロイドに対する感受性を回復させる可能性を有することを示している。
【0007】
しかしながら、ヒトの慢性炎症性疾患の処置におけるp38 MAPキナーゼ阻害剤の潜在的利用性の定義および利用を妨害する主な障害物は、患者で観察される毒性であった。これは、進行された該化合物の多くの臨床開発からの撤退をもたらすのに十分に重篤であった。
【0008】
今日までに開発された化合物は典型的に経口投与を意図している。この戦略は、適切な薬物動態プロファイルによりそれらの作用持続時間を達成する化合物を最適化することを必要とする。これは、臨床上の利益を提供するために投与の後および間に確立かつ維持される十分な薬物濃度が存在することを確実にする。このアプローチの必然的な結果は、全部の身体組織、とりわけ肝および消化管が、処置されている疾患によりそれらが悪影響を及ぼされていようといなかろうと、該薬物の治療的有効濃度に曝露されることがありそうであることである。
【0009】
代替の一戦略は、炎症を起こした器官に該薬物を直接投与する処置アプローチ(局所療法)を設計することである。このアプローチは全部の慢性炎症性疾患を処置するのに適しているわけではない一方、それは肺疾患(喘息、COPD)、皮膚疾患(アトピー性皮膚炎および乾癬)、鼻疾患(アレルギー性鼻炎)ならびに胃腸疾患(潰瘍性大腸炎)で広範囲に利用されている。
【0010】
局所療法において、有効性は、(i)該薬物が長期の作用持続期間を有しかつ適切な器官に保持されて全身毒性の危険性を最小限にすることを確実にすること、若しくは(ii)有効成分の所望の効果を持続するために利用可能である該薬物の「貯蔵所」を生成する製剤を製造することのいずれかにより達成し得る。アプローチ(i)は抗コリン作用薬チオトロピウム(Spiriva)により例示される。これは、COPDの処置として肺に局所投与され、かつ、その標的受容体に対する例外的高親和性を有して非常に遅いオフ速度(off rate)および必然的な長期の作用持続期間をもたらす。
【0011】
改良された治療可能性を有する、とりわけより有効である、より長期間作用する、かつ/若しくはより少なく毒性であるp38 MAPキナーゼ阻害剤である新たな化合物を同定かつ開発する必要性が存続する。本発明の一目的は、ある種のサブタイプ特異性を伴いp38 MAPキナーゼを阻害する化合物を提供することであり、それは良好な抗炎症の可能性を示す。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Smith,S.J.(2006)Br.J.Pharmacol.149:393−404
【非特許文献2】www.genecard.org
【非特許文献3】Karin,K.(1999)J.Immunol.
【非特許文献4】Kuma,Y.(2005)J.Biol.Chem.280:19472−19479
【非特許文献5】Underwood,D.C.ら(2000)279:895−902
【非特許文献6】Nath,P.ら(2006)Eur.J.Pharmacol.544:160−167
【非特許文献7】Irusen,E.ら(2002)J.Allergy Clin.Immunol.、109:649−657
【非特許文献8】Leeら(2005)Current Med.Chem.12,:2979−2994
【非特許文献9】Mercadoら、2007;American Thoracic Society Abstract A56
【発明の概要】
【0013】
発明の要約
本発明により、式(I)の化合物
【0014】
【化1】

【0015】
またはその全部の互変異性体を包含するその製薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な記述
式(I)の塩の例は、HClおよびHBr塩のような強無機酸の酸付加塩、ならびにメタンスルホン酸塩のような強有機酸の付加塩を包含する。
【0017】
本明細書の開示は式(I)の化合物の溶媒和物にもまた及ぶ。溶媒和物の例は水和物を包含する。
【0018】
本開示は、式中で明記される原子が天然に存在する若しくは天然に存在しない同位体である式(I)の化合物にもまた及ぶ。一態様において、該同位体は安定同位体である。従って、本開示の化合物は、例えば重水素含有化合物などを包含する。
【0019】
式(I)の化合物の製造方法は、式(II)の化合物:
【0020】
【化2】

【0021】
の式(III)の化合物:
【0022】
【化3】

【0023】
ここでLGは脱離基(例えばクロロ)を表す、
との反応を含んでなる。
【0024】
該反応は、適しては塩基(例えばジイソプロピルエチルアミン)の存在下で実施する。該反応は、適しては非プロトン性溶媒若しくは溶媒混合物、例えばDCMおよびDMF中で実施する。
【0025】
式(II)の化合物は、式(IV)の化合物:
【0026】
【化4】

【0027】
の式(V)の化合物:
【0028】
【化5】

【0029】
および式(VI)の化合物:
【0030】
【化6】

【0031】
ここで、LGおよびLGはそれぞれ独立に脱離基を表す(例えばLGおよびLG双方がイミダゾリルを表す)
との反応により製造しうる。
【0032】
該反応は、適しては非プロトン性溶媒(例えばジクロロメタン)中で実施する。
【0033】
式(V)の化合物は、式(VII)の化合物:
【0034】
【化7】

【0035】
の還元により、例えば炭素上に支持される白金のような触媒の存在下の水素化により製造しうる。
【0036】
該反応は、適しては極性のプロトン性溶媒(例えばメタノールおよび酢酸、1:1)中で実施する。
【0037】
式(VII)の化合物は、トリフェニルホスフィンおよびアゾジカルボン酸ジイソプロピルの存在下のようなミツノブ条件下での式(VIII)の化合物:
【0038】
【化8】

【0039】
の式(IX)の化合物:
【0040】
【化9】

【0041】
との反応により製造しうる。
【0042】
該反応は、適しては極性の非プロトン性溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中で実施する。
【0043】
あるいは、式(I)の化合物は、式(X)の化合物:
【0044】
【化10】

【0045】
の、上で定義された式(IV)の化合物
および式(XI)の化合物:
【0046】
【化11】

【0047】
ここで、LGおよびLGはそれぞれ独立に脱離基を表す(例えば、LGおよびLG双方がイミダゾリルを表す)
との反応により製造しうる。
【0048】
該反応は適しては極性の非プロトン性溶媒中で実施する。
【0049】
式(X)の化合物は、式(XII)の化合物:
【0050】
【化12】

【0051】
の還元により、例えば炭素上に支持される白金のような触媒の存在下での水素化により製造しうる。
【0052】
式(XII)の化合物は、式(XIII)の化合物:
【0053】
【化13】

【0054】
ここでLGは脱離基(例えばクロロ)を表す、
および上で定義された式(VII)の化合物
の反応により製造しうる。
【0055】
該反応は、適しては塩基(例えばジイソプロピルエチルアミン)の存在下で実施する。該反応は、適しては極性溶媒、例えばDCMおよびDMFの混合物中で実施する。
【0056】
式(III)、(IV)、(VI)、(VIII)、(IX)、(XI)および(XIII)の化合物は商業的に入手可能であるか若しくは既知であり、そして慣習的方法によ
り製造しうる。例えば、Regan,J.ら;J.Med.Chem.、2003、46、4676−4686、第WO00/043384号明細書、第WO2007/087448号明細書、および第WO2007/089512号明細書を参照されたい。
【0057】
所望の若しくは必要な場合は、中間体化合物を慣習的保護基の使用により保護しうる。保護基およびそれらの除去手段は、Theodora W.GreeneとPeter G.M.Wutsによる“Protective Groups in Organic
Synthesis”、John Wiley & Sons Incにより刊行;第4版、2006、ISBN−10:0471697540に記述されている。
【0058】
新規中間体は本発明の一局面として特許請求される。
【0059】
さらに、本発明は、場合によっては1種若しくはそれ以上の製薬学的に許容できる希釈剤若しくは担体とともに式(I)の化合物を含んでなる製薬学的組成物を提供する。
【0060】
希釈剤および担体は非経口、経口、局所、粘膜および直腸投与に適するものを包含しうる。
【0061】
上で挙げられたとおり、こうした組成物は、例えば、とりわけ液体溶液若しくは懸濁液の形態で非経口、皮下、筋肉内、静脈内、動脈内若しくは動脈周囲投与のため;とりわけ錠剤若しくはカプセル剤の形態で経口投与のため;とりわけ散剤、点鼻薬若しくはエアゾル剤の形態で局所例えば肺若しくは鼻内投与、および経皮投与のため;例えば頬側、舌下若しくは膣粘膜への粘膜投与のため、ならびに例えば坐剤の形態で直腸投与のために製造しうる。
【0062】
該組成物は単位剤形で便宜的に投与することができ、また、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、Mack Publishing Company、ペンシルバニア州イーストン(1985)に記述されるところの製薬学的技術分野で公知の方法のいずれによっても製造しうる。非経口投与のための製剤は、滅菌水若しくは生理的食塩水、プロピレングリコールのようなアルキレングリコール、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、植物起源の油、水素化ナフタレン(hydrogenated naphthalene)などを賦形剤として含有しうる。鼻投与のための製剤は固体であることができ、そして賦形剤、例えば乳糖若しくはデキストランを含有しうるか、または点鼻薬若しくは定量スプレー剤の形態での使用のために水性若しくは油性溶液であってもよい。頬側投与のためには、典型的な賦形剤は、糖、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、アルファ化デンプンなどを包含する。
【0063】
経口で投与可能な組成物は1種若しくはそれ以上の生理学的に適合性の担体および/若しくは賦形剤を含むことができ、そして固体若しくは液体の形態であってよい。錠剤およびカプセル剤は、結合剤、例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント若しくはポリビニルピロリドン;乳糖、ショ糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール若しくはグリシンのような増量剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール若しくはシリカのような滑沢剤;およびラウリル硫酸ナトリウムのような界面活性剤とともに製造しうる。液体組成物は、懸濁化剤、例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース、糖シロップ、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース若しくは可食脂肪;レシチン若しくはアラビアゴムのような乳化剤;アーモンド油、ココナッツ油のような植物油、タラ肝油若しくはラッカセイ油;ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)のような保存剤のような慣習的な添加物を含有しうる。液体組成物は、単位剤形を提供するために例えばゼ
ラチン中に被包化しうる。
【0064】
固体の経口剤形は、錠剤、2片硬殻カプセル剤および軟質弾性ゼラチン(SEG)カプセル剤を包含する。
【0065】
乾燥殻製剤は、典型的に、約40%ないし60%濃度のゼラチン、約20%ないし30%濃度の可塑剤(グリセリン、ソルビトール若しくはプロピレングリコールのような)、および約30%ないし40%濃度の水から構成される。保存剤、色素、乳白剤および着香料のような他の材料もまた存在しうる。液体充填物質は、ベヒクル、または鉱物油、植物油、トリグリセリド、グリコール、多価アルコールおよび界面活性剤のようなベヒクルの組合せ中に溶解、可溶化または(ミツロウ、硬化ヒマシ油若しくはポリエチレングリコール4000のような懸濁化剤で)分散された固体の薬物あるいは液体の薬物を含んでなる。
【0066】
適しては、式(I)の化合物は肺に局所投与される。これゆえに、われわれは、本発明により、場合によっては1種若しくはそれ以上の局所で許容できる希釈剤若しくは担体とともに式(I)の化合物を含んでなる製薬学的組成物を提供する。肺への局所投与はエアゾル製剤の使用により達成しうる。エアゾル製剤は、典型的には、クロロフルオロカーボン(CFC)若しくはハイドロフルオロカーボン(HFC)のような適するエアゾル噴射剤中に懸濁若しくは溶解された有効成分を含んでなる。適するCFC噴射剤は、トリクロロモノフルオロメタン(噴射剤11)、ジクロロテトラフルオロメタン(噴射剤114)およびジクロロジフルオロメタン(噴射剤12)を包含する。適するHFC噴射剤はテトラフルオロエタン(HFC−134a)およびヘプタフルオロプロパン(HFC−227)を包含する。噴射剤は、典型的には総吸入組成物の40%ないし99.5%、例えば40%ないし90重量%を含んでなる。該製剤は、補助溶媒(例えばエタノール)および界面活性剤(例えばレシチン、ソルビタントリオレエートなど)を包含する賦形剤を含みうる。エアゾル製剤はキャニスター中に包装され、そして適する一用量が(例えばBespak、Valois若しくは3Mにより供給されるところの)計量バルブによって送達される。
【0067】
肺への局所投与は、水性溶液若しくは懸濁液のような加圧されない製剤の使用によってもまた達成しうる。これはネブライザーによって投与しうる。肺への局所投与は乾燥粉末製剤の使用によってもまた達成しうる。乾燥粉末製剤は、典型的には1〜10ミクロンの質量平均径(MMAD)をもつ微粉形態の式(I)の化合物を含有することができる。該製剤は、典型的には、通常大きな粒子径例えば100μm若しくはそれ以上の質量平均径(MMAD)の乳糖のような局所で許容できる希釈剤を含有することができる。例の乾燥粉末送達装置は、SPINHALER、DISKHALER、TURBOHALER、DISKUSおよびCLICKHALERを包含する。
【0068】
式(I)の化合物は治療活性を有することを意図している。さらなる一局面において、本発明は医薬品としての使用のための式(I)の化合物を提供する。
【0069】
式(I)の化合物は、COPD(慢性気管支炎および肺気腫を包含する)、喘息、小児喘息、嚢胞性線維症、サルコイドーシス、特発性肺線維症、アレルギー性鼻炎、鼻炎、副鼻腔炎、とりわけ喘息、慢性気管支炎およびCOPDを包含する呼吸器障害の処置で有用であることが期待される。
【0070】
式(I)の化合物は、アレルギー性結膜炎、結膜炎、アレルギー性皮膚炎、接触皮膚炎、乾癬、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ若しくは変形性関節症に二次的な炎症を起こした関節を包含する局所(topical)若しくは局所(local)治療により処置されう
るある種の状態の処置で有用であることもまた期待される。
【0071】
式(I)の化合物は、関節リウマチ、膵炎、悪液質を包含するある種の他の状態の処置、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌および悪性黒色腫を包含する腫瘍の増殖および転位の阻害で有用であることもまた期待される。
【0072】
従って、さらなる一局面において、本発明は、例えばそれの必要な患者に治療的有効量の式(I)の化合物を投与することによる、上で挙げられた状態の処置での使用のための式(I)の化合物を提供する。
【0073】
さらなる一局面において、本発明は、上で挙げられた状態の処置のための医薬品の製造のための式(I)の化合物の使用を提供する。
【0074】
さらなる一局面において、本発明は、有効量の式(I)の化合物若しくはその製薬学的組成物を被験体に投与することを含んでなる、上で挙げられた状態の処置方法を提供する。
【0075】
本開示は、前記状態の1種若しくはそれ以上の処置における製薬学的組成物/製剤の使用にもまた及ぶ。
【0076】
「処置」という用語は予防的ならびに治療的処置を包含することを意図している。
【0077】
式(I)の化合物は、1種若しくはそれ以上の他の有効成分、例えば上で挙げられた状態を処置するのに適する有効成分とともに投与してもまたよい。例えば、呼吸器障害の処置のための可能な組合せは、ステロイド(例えばブデソニド、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、フルチカゾンプロピオン酸エステル、モメタゾンフランカルボン酸エステル、フルチカゾンフランカルボン酸エステル)、βアゴニスト(例えばテルブタリン、サルブタモール、サルメテロール、ホルモテロール)、および/若しくはキサンチン(例えばテオフィリン)との組合せを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】LPS誘発性好中球蓄積試験における式(I)の化合物のBALF中の好中球数に対する前投与時間を示す。
【図2】LPS誘発性好中球蓄積試験における式(I)の化合物の好中球の阻害%に対する前投与時間を示す。
【図3】たばこ煙に曝露したマウスのBAL中の活性化マクロファージ数に対する式(I)の化合物の投与の効果を示す。
【図4】たばこ煙に曝露したマウスのBAL中の好中球数に対する式(I)の化合物の投与の効果を示す。
【図5】卵アルブミンを投与した、卵アルブミン感作したパラインフルエンザを接種したモルモットの肺機能に対する式(I)の化合物の効果を示す。
【0079】
実施例
【実施例1】
【0080】
N−[4−({4−[3−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾル−5−イル)ウレイド]ナフタレン−1−イルオキシ}メチル)ピリジン−2−イル]−2−メトキシアセトアミド(1)
2−アミノ−4−[(4−ニトロナフタレン−1−イルオキシ)メチル]ピリジン(3)
【0081】
【化14】

【0082】
−15℃のTHF(50mL)中の4−ニトロナフトール(5.17g、27.3mmol)、トリフェニルホスフィン(10.75g、41.0mmol)および2−アミノピリジン−4−メタノール(2)(5.09g、41.0mmol)の溶液に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)(8.07mL、41.0mmol)を一滴ずつ添加した。該混合物をRTで一夜攪拌し、そして揮発性物質をその後真空中で除去した。粗生成物をEtOAc(150mL)から摩砕し、濾過分離しかつEtOAc(100mL)で洗浄した。MeOH(100mL)からの第2の摩砕が2−アミノ−4−[(4−ニトロナフタレン−1−イルオキシ)メチル]ピリジン(3)(4.54g、56%)を黄色固形物:m/z 296(M+H)(ES)として生じた。
【0083】
2−アミノ−4−[(4−アミノナフタレン−1−イルオキシ)メチル]ピリジン(4)
【0084】
【化15】

【0085】
メタノール(200mL)および氷酢酸(200mL)中の2−アミノ−4−[(4−ニトロナフタレン−1−イルオキシ)メチル]ピリジン(3)(4.50g、15.24mmol)の溶液にThalesの「H−cube」フローリアクター(2mL/分、40℃、55mm 10%Pt/C Cat−Cart(R)、全H)を通過させ、そして揮発性物質をその後真空中で除去した。粗生成物を、MeOH中1%アンモニア溶液で溶出するSCX捕捉および遊離にかけ、そして溶媒を真空中で除去して2−アミノ−4−[(4−アミノナフタレン−1−イルオキシ)メチル]ピリジン(4)(3.82g、94%)を藤色固形物:m/z 266(M+H)(ES)として生じた。
【0086】
1−{4−[(2−アミノピリジン−4−イル)メトキシ]ナフタレン−1−イル}−3−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾル−5−イル)尿素(5)
【0087】
【化16】

【0088】
DCM(15mL)中の1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)(4.18g、25.80mmol)の溶液に、DCM(15mL)中の3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾル−5−アミン(6)(5.91g、25.80mmol)の溶液を窒素下に一滴ずつ40分にわたり添加した。生じる溶液をRTで1時間攪拌し、そしてその後、2−アミノ−4−[(4−アミノナフタレン−1−イルオキシ)メチル]ピリジン(4)(3.80g、12.89mmol)の溶液に窒素下に一滴ずつ添加した。該混合物を一夜攪拌し、そして揮発性物質をその後真空中で除去した。粗物質を、DCM中0ないし6%MeOHで溶出するフラッシュクロマトグラフィー(Biotage 120g)により精製して、1−{4−[(2−アミノピリジン−4−イル)メトキシ]ナフタレン−1−イル}−3−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾル−5−イル)尿素(5)(4.27g、63%):m/z 521(M+H)(ES)を生じた。
【0089】
N−[4−({4−[3−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾル−5−イル)ウレイド]ナフタレン−1−イルオキシ}メチル)ピリジン−2−イル]−2−メトキシアセトアミド(1)
【0090】
【化17】

【0091】
DCMおよびDMFの混合物(10:1、11mL)中の1−{4−[(2−アミノピリジン−4−イル)メトキシ]ナフタレン−1−イル}−3−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾル−5−イル)尿素(5)(526mg、0.96mmol)およびDIPEA(184μL、1.06mmol)の攪拌溶液に、塩化メトキシアセチル(92μL、1.01mmol)を添加した。RTで1時間後に、DIPEA(184μL、1.06mmol)および塩化メトキシアセチル(92μL、1.01mmol)のさらなるアリコートを連続して添加し、そして攪拌を1時間継続した。MeOH中
1%アンモニア溶液(40mL)を添加しかつ該混合物を15分間攪拌し、そしてその後真空中で濃縮した。粗生成物を、DCM中0ないし6%MeOHで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage 40g)により精製して、N−[4−({4−[3−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾル−5−イル)ウレイド]ナフタレン−1−イルオキシ}メチル)ピリジン−2−イル]−2−メトキシアセトアミド(1)(286mg、49%):m/z 593(M+H)(ES)を提供した。H NMR(400MHz、DMSO−d)δ:1.27(9H、s)、2.39(3H、s)、3.32(3H、s)、4.08(2H、s)、5.39(2H、s)、6.36(1H、s)、7.03(1H、d)、7.28(1H、dd)、7.36(2H、m)、7.44(2H、m)、7.56−7.64(3H、m)、7.93(1H、m)、8.30−8.35(3H、m)、8.58(1H、s)、8.79(1H、s)および10.02(1H、s)。
【0092】
生物学的試験
in vitro試験
【0093】
【表1】

【0094】
これらのアッセイの記述は後に続くとおりである。
【0095】
酵素阻害アッセイ
化合物の酵素阻害活性を、ドナーおよびアクセプター双方のフルオロフォア(Z−LYTE、Invitrogen)で標識した合成ペプチドを使用する蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)により測定した。簡潔には、組換えリン酸化p38 MAPKγ(MAPK12:Millipore)をHEPES緩衝液で希釈し、所望の最終濃度の化合物と混合し、そして室温で2時間インキュベートした。FRETペプチド(2μM)およびATP(100μM)を次に酵素/化合物の混合物に添加しかつ1時間インキュベートした。発色試薬(プロテアーゼ)は蛍光マイクロプレートリーダーでの検出前に1時間添加した。部位特異的プロテアーゼはリン酸化されていないペプチドのみを切断しかつFRETシグナルを除外する。各反応のリン酸化レベルを、フルオレセイン発光(アクセプター)に対するクマリン発光(ドナー)の比を使用して計算し、高い比は高リン酸化および低い比は低リン酸化レベルを示す。各反応の阻害パーセントを阻害されない対照に関して計算し、そして50%阻害濃度(IC50値)をその後濃度反応曲線から計算した。
【0096】
p38 MAPKα(MAPK14:Invitrogen)について、酵素活性を下流の分子MAPKAP−K2の活性化/リン酸化を測定することにより間接的に評価した
。p38 MAPKαタンパク質をその不活性標的MAPKAP−K2(Invitrogen)および化合物と室温で2時間混合した。MAPKAP−K2のリン酸化標的であるFRETペプチド(2μM)およびATP(10μM)をその後該酵素/化合物の混合物に添加しかつ1時間インキュベートした。発色試薬をその後添加し、そして、蛍光による検出がアッセイプロトコルを終了する前1時間、該混合物をインキュベートした。
【0097】
LPS誘発性TNFα放出:効力
ヒト単球細胞株U937細胞を、ホルボールミリステートアセテート(PMA;100ng/ml)との48ないし72時間のインキュベーションによりマクロファージ型細胞に分化させた。適切な場合は、細胞を最終濃度の化合物と2時間プレインキュベートした。細胞をその後0.1μg/mlのLPS(大腸菌(E.Coli):O111:B4、Sigmaから)で4時間刺激し、そしてサンドイッチELISA(Duo−set、R&D systems)によるTNFα濃度の測定のため上清を収集した。ヒト単球細胞株THP−1もまたこのアッセイに使用した。THP−1細胞を1μg/mlのLPS(大腸菌(E.Coli):O111:B4、Sigmaから)で4時間刺激し、そしてTNFα濃度の測定のため上清を収集した。TNFα産生の阻害パーセントを、ベヒクル対照との比較により試験化合物の各濃度で計算し、そして、生じる濃度反応曲線から50%阻害濃度値(IC50)を決定した。
【0098】
MTTアッセイ
分化U937細胞を化合物とともに5%FCS中4時間若しくは10% FCS 24時間および72時間プレインキュベートした。上清を200μlの新たな培地で置換し、そして10μlのMTTストック溶液(5mg/ml)を各ウェルに添加した。1時間のインキュベーション後に培地を除去し、200μlのDMSOを各ウェルに添加し、そしてプレートを550nmで吸光度を読み取る前1時間軽く振とうした。
【0099】
細胞生存率の低下パーセントを、ベヒクル(0.5%DMSO)処理に関して各ウェルについて計算した。結果、ベヒクルに関する薬物処理についての細胞生存率の明らかな増加を、負のパーセントとして表にする。
【0100】
in vivo試験
マウスにおけるLPS誘発性好中球増加
非絶食マウスに、LPS処置の開始に関して示された時点(「前投与」)にベヒクル若しくは試験物質いずれかを気管内経路により投与した。T=0で、マウスを曝露チャンバーに入れかつLPSに曝露した。LPS投与8時間後に動物を麻酔下にし、気管にカニューレ処置し、そして気管カテーテルを介して肺中に1mlのPBSを注入することおよび取り除くことによりBALFを抽出した。BALFサンプル中の総白血球数および白血球百分率をNeubaur血球計算器を使用して測定した。BALFサンプルのサイトスピンスメアを室温で200rpmで5分間の遠心分離により調製し、そしてDiffQuik染色系(Dade Behring)を使用して染色した。油浸顕微鏡検査を使用して細胞を計数した。
【0101】
結果を図1および2に示す。好中球数のデータはBALF1mLあたりの細胞の総数および百分率数(ベヒクルに関する試験物質)の平均±S.E.M.(n=8)として報告する。
【0102】
たばこ煙モデル
A/Jマウス(雄性、5週齢)を、小動物向けのたばこ煙吸入実験装置(SIS−CS型;柴田科学株式会社、東京)を使用して、11日間1日あたり30分間たばこ煙(4%たばこ煙、圧縮空気で希釈)に曝露した。試験物質を、最後のたばこ煙曝露後3日間1日
2回、鼻内に(50%DMSO/PBS中溶液35μl)かつ治療的に与えた。最終投与12時間後に動物を麻酔し、気管にカニューレ処置しかつ気管支肺胞洗浄液(BALF)を収集した。肺胞マクロファージおよび好中球の数を、抗マウスMOMA2抗体(マクロファージ)若しくは抗マウス7/4抗体(好中球)を使用するFACS分析(EPICS(R)ALTRA II、Beckman Coulter,Inc.、米国カリフォルニア州フラートン)により測定した。
【0103】
結果を、活性化肺胞マクロファージについて図3に、および好中球について図4に示す。細胞数のデータは平均±SEMとして示す。この試験に使用したたばこ煙モデルはコルチコステロイド不応性の系として報告されており(Medicherla S.ら、(2008);J.Pharmacol.Exp.Ther.324(3):921−9)、そして、フルチカゾンプロピオン酸エステルが、LPS誘発性好中球蓄積の80%超の阻害を生じた同じ用量である50μg/ml(35μl、1日2回、鼻内)で気道への好中球若しくはマクロファージいずれの蓄積も阻害しなかったことが確認された。
【0104】
図3で、
###空気曝露とたばこ煙曝露の間の有意差。
***たばこ煙(CS)対照に対しP<0.001(ANNOVA、Dunnettの多重比較)、n=6〜11
【0105】
図4で、
###空気曝露とたばこ煙曝露の間の有意差。
たばこ煙(CS)対照に対し*P<0.05若しくは***P<0.001(ANNOVA、Dunnettの多重比較)、n=6〜11
【0106】
卵アルブミン投与/パラインフルエンザ感染モデル
(ステロイド抵抗性のin vivoモデル)
雄性Dunkin−Hartleyモルモット(300〜350g、n=6/群)を、第2および6日に1ml生理的食塩水中100μgの卵アルブミン(OVA)+100mgのAl(OH)で感作した(i.p.)。パラインフルエンザウイルス(PIV−3;10感染単位)若しくはウイルスを含まない培地を第11および12日に鼻に注入した。動物を1日あたり1.5mgの用量の噴霧フルチカゾンプロピオン酸エステルで処置した。初期の試験は、この用量のフルチカゾンプロピオン酸エステルがPIV3培地で処置した感作動物での卵アルブミン媒介性肺機能変化を阻害したことを確立した。第10〜15日からの実施例1(1日あたり4.5mg)若しくはベヒクル(DMSO:エタノール:生理的食塩水、30:30:40%)。全動物に第15日に噴霧OVA(10μg/ml)を1時間投与し、そして比気道コンダクタンス(sGaw)の反復測定を、全身プレチスモグラフィーを用いて24時間にわたり行った。OVA投与後のsGawの測定をベースラインからの変化%としてプロットする。図5を参照されたい。
【0107】
図5 データは6回の観察の平均として示す;(●)PIV3+ベヒクル処置;(■)PIV3+フルチカゾンプロピオン酸エステル処置;(▲)PIV3+実施例1処置
【0108】
要約
in vitroの生物学的試験は、式(I)の化合物が、抗炎症活性のin vitroモデル(分化U937細胞およびTHP−1細胞からのLPS誘発性TNFα放出)で良好な有効性をもつp38 MAPキナーゼサブタイプαおよびγの強力な阻害剤であることを示す。MTT結果から、該化合物は使用される濃度で明白な細胞毒性を表さないと結論づけうる。
【0109】
in vivoの生物学的試験は、式(I)の化合物が、前投与が12時間若しくはそれ以上であっても有意の阻害により示されるところの長い効果持続時間を伴い、動物モデルでLPS誘発性好中球蓄積の阻害において有効であることを示す。さらに、式(I)の化合物はステロイド抵抗性の炎症の2種のin vivoモデルで有効であることが示された。
【0110】
本明細および後に続く請求の範囲を通じて、文脈が別の方法で必要としない限り、「含んでなる(comprise)」という語、ならびに「含んでなる(comprises)」および「含んでなること(comprising)」のような変形は、述べられた整数値、段階、整数値の群若しくは段階の群の包含を意味しているが、しかしいかなる他の整数値、段階、整数値の群若しくは段階の群の除外も意味していないことが理解されるであろう。
【0111】
本明細書で言及される全部の特許および特許出願はそっくりそのまま引用することにより組み込まれる。
【0112】
本記述および請求の範囲がその一部を形成する本出願は、いかなるその後の出願に関しても優先権の基礎として使用しうる。こうしたその後の出願の請求の範囲は、本明細書に記述されるいずれの特徴若しくは特徴の組合せにも向けられうる。それらは、製品、組成物、方法若しくは使用の請求項の形態をとることができ、そして例としてかつ制限を伴わずに、請求の範囲を包含しうる。
【0113】
略語
Ac アシル
ATP アデノシン−5’−三リン酸
BALF 気管支肺胞洗浄液
BSA ウシ血清アルブミン
CatCart(R) 触媒カートリッジ(商品名)
CDI カルボニルジイミダゾール
DCM ジクロロメタン
DIAD アゾジカルボン酸ジイソプロピル
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
COPD 慢性閉塞性肺疾患
DIAD アゾジカルボン酸ジイソプロピル
DIBAL−H 水素化ジイソブチルアルミニウム
DIPEA N−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン
Et エチル
FCS ウシ胎児血清
h 時間(1若しくは複数)
HRP ワサビペルオキシダーゼ
JNK c−Jun N末端キナーゼ
MAPK マイトジェンタンパク質活性化タンパク質キナーゼ
Me メチル
PBS リン酸緩衝生理的食塩水
PPh トリフェニルホスフィン
RT 室温
SCX 固体支持陽イオン交換
SDS ドデシル硫酸ナトリウム
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TNFα 腫瘍壊死因子α
TMB 3.3’,5.5’−テトラメチルベンジジン
MTT 臭化3−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イル)−2,5
−ジフェニルテトラゾリウム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

またはその全部の互変異性体を包含するその製薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物。
【請求項2】
1種若しくはそれ以上の製薬学的に許容できる希釈剤若しくは担体とともに請求項1に記載の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項3】
医薬品としての使用のための請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
COPD(慢性気管支炎および肺気腫を包含する)、喘息、小児喘息、嚢胞性線維症、サルコイドーシス、特発性肺線維症、アレルギー性鼻炎、鼻炎、副鼻腔炎、
アレルギー性結膜炎、結膜炎、アレルギー性皮膚炎、接触皮膚炎、乾癬、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ若しくは変形性関節症に二次的な炎症を起こした関節、
関節リウマチ、膵炎、悪液質、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌および悪性黒色腫を包含する腫瘍の増殖および転移の阻害
から選択される状態の処置若しくは予防でとしての使用のための請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
COPD(慢性気管支炎および肺気腫を包含する)、喘息、小児喘息、嚢胞性線維症、サルコイドーシス、特発性肺線維症、アレルギー性鼻炎、鼻炎、副鼻腔炎、
アレルギー性結膜炎、結膜炎、アレルギー性皮膚炎、接触皮膚炎、乾癬、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ若しくは変形性関節症に二次的な炎症を起こした関節、
関節リウマチ、膵炎、悪液質、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌および悪性黒色腫を包含する腫瘍の増殖および転移の阻害
から選択される状態の処置若しくは予防のための医薬品の製造のための請求項1に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項6】
例えばそれの必要な患者に治療的有効量を投与することにより、有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物
若しくは請求項2に記載の製薬学的組成物を被験体に投与することを含んでなる、
COPD(慢性気管支炎および肺気腫を包含する)、喘息、小児喘息、嚢胞性線維症、サルコイドーシス、特発性肺線維症、アレルギー性鼻炎、鼻炎、副鼻腔炎、
アレルギー性結膜炎、結膜炎、アレルギー性皮膚炎、接触皮膚炎、乾癬、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ若しくは変形性関節症に二次的な炎症を起こした関節、
関節リウマチ、膵炎、悪液質、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌および悪性黒色腫を包含する腫瘍の増殖および転移の阻害
から選択される状態の処置方法。
【請求項7】
式(II)の化合物:
【化2】

の、式(III)の化合物:
【化3】

ここでLGは脱離基を表す、
との反応を含んでなる、式(I)の化合物、またはその全部の互変異性体を包含するその製薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物の製造方法。
【請求項8】
式(X)の化合物:
【化4】

の、式(IV)の化合物:
【化5】

および式(XI)の化合物:
【化6】

ここでLGおよびLGはそれぞれ独立に脱離基を表す、
との反応を含んでなる、式(I)の化合物、またはその全部の互変異性体を包含するその製薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物の製造方法。
【請求項9】
式(X)の化合物:
【化7】

またはその保護された誘導体若しくはその塩。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−504590(P2012−504590A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529636(P2011−529636)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051303
【国際公開番号】WO2010/038085
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(511079148)レスピバート・リミテツド (10)
【Fターム(参考)】