説明

rhoキナーゼ媒介性疾患および状態を治療するための(インダゾール−5−イル)−ピラジンおよび(1,3−ジヒドロインドール−2−オン)−ピラジン

本発明では、(インダゾール−5−イル)−ピラジンおよび(1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン)−ピラジンを使用して、眼圧の制御および緑内障の治療を含む、rhoキナーゼ媒介性疾患またはrhoキナーゼ媒介性状態を治療する方法が開示される。本明細書では、緑内障などの眼疾患の治療に有用であり、さらには眼圧の制御に有用な、有効量の(インダゾール−5−イル)−ピラジンおよび(1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン)−ピラジンを含む眼科用医薬組成物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、米国特許法§119の下、2005年12月22日に出願された米国仮特許出願第60/753,136号(この全体の内容が、参考として本明細書に援用される)への優先権を主張する。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、(インダゾール−5−イル)−ピラジンおよび(1,3−ジヒドロインドール−2−オン)−ピラジン、ならびにrhoキナーゼ媒介性疾患および状態を治療するためのかかる化合物の使用を対象とする。本発明は特に、正常または高眼圧を降下および/または制御し、緑内障を治療するためのかかる化合物の使用を対象とする。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
緑内障と呼ばれる病状は、視神経への不可逆的障害による視覚機能の恒久的喪失を特徴とする。緑内障のいくつかの形態的または機能的に明確なタイプは、一般に高いIOPを特徴としており、これは原因として疾患の病理的過程が関係しているとされる。高眼圧症とは、眼圧が上昇するものの、視覚機能の明確な喪失が生じない状態であり、かかる患者は、緑内障に関連する視覚喪失を最終的に発症する危険性が高いとされている。緑内障分野の喪失がある患者には、眼圧が比較的低い患者がいる。これらの正常眼圧または低眼圧緑内障の患者はまた、IOPを降下し制御する薬剤の利益を得ることができる。緑内障または高眼圧症が早期に検出され、高眼圧を効果的に降下する医薬品で早急に治療される場合、一般に、視覚機能の喪失またはその進行性低下を改善することができる。
【0004】
眼圧降下に効果的であることが証明されている薬物療法には、房水生成量を低減する薬剤および房水流出量を増大する薬剤の両方が含まれる。このような療法は、一般に局所(目への直接適用)または経口の2つの可能な経路のいずれかによって施行される。しかし、医薬での眼圧降下法は、様々な望ましくない副作用を示している。例えば、ピロカルピンなどの縮瞳薬は、霧視、頭痛、および他の視覚的副作用を生じる恐れがある。炭酸脱水酵素阻害剤の全身投与も、悪心、消化不良、倦怠感、および代謝性アシドーシスを生じることがある。いくつかのプロスタグランジンは、充血、目のかゆみを生じ、睫毛および眼窩周囲組織の色を濃くする。さらに、いくつかのβ遮断薬は、肺組織内のβ2受容体へのそれらの作用に起因する重篤な肺の副作用への関連が次第に高まっている。交感神経様作用薬は、頻脈、不整脈、および高血圧を生じる。このような副作用によって、患者のコンプライアンスが低下し、または療法が終了することになり、その結果正常な視覚が低下し続ける。さらに、いくつかの既存の緑内障療法で治療する際、どうしても十分に応答しない個体が存在する。したがって、IOPを制御する他の治療剤が必要となる。
【0005】
低分子量rhoGTPasesは、細胞接着、細胞運動、細胞移動、および細胞収縮を含む多くの細胞機能に関与している。このクラスのタンパク質に関連する細胞機能の主なエフェクターの1つが、rho関連コイルドコイル形成タンパク質キナーゼ(rhoキナーゼ)であり、これは平滑筋収縮の力および速度の制御、腫瘍細胞転移、および神経突起伸長阻害に重要な役割を担っていると思われる。Rhoキナーゼは、セリン/トレオニンタンパク質キナーゼであり、ROCK1(ROKβ)およびROCK2(ROKα)の2つのアイソフォームとして存在する[N.Wettschureck、S.Offersmanns、Journal of Molecular Medicine 80:629〜638頁、2002年;M.Uehataら、Nature 389:990〜994頁、1997年;T.Ishizakiら、Molecular Pharmacology 57:976〜983頁、2000年、C.Logeら、Journal of Enzyme Inhibition and Medicinal Chemistry 17:381〜390頁、2002年]。
【0006】
rhoキナーゼのいくつかの阻害剤が、正常IOPおよび高IOPを効果的に降下し制御することが判明した[M.Honjoら、Investigative Ophthalmology and Visual Science 42:137〜144頁、2001年;M.Honjoら、Archives of Ophthalmology 119:1171〜1178頁、2001年;P.V.Raoら、Investigative Ophthalmology and Visual Science 42:10291690頁、2001年;M.Wald、Current Eye Research 22:47〜474頁、2001年;B.Tianら、Archives of Ophthalmology 122:1171〜1177頁、2004年]。H−7およびY−27632などのRhoキナーゼ阻害剤は、毛様体筋収縮および骨梁細胞収縮を阻害し、このクラスの化合物の眼圧降下作用に関連し得る作用を阻害する[H.Thiemeら、Investigative Ophthalmology and Visual Science 41:4240〜4246頁、2001年;C.Fukiageら、Biochemical and Biophysical Research Communications 288:296〜300頁、2001年]。
【0007】
rhoキナーゼ阻害剤として作用する化合物は周知であり、多様な実用性が示されてきた。rhoキナーゼ活性を有するピリジン、インダゾール、およびイソキノリン化合物は、Takamiらによって、Biorganic and Medicinal Chemistry 12:2115〜2137頁、2004年に記載されている。米国特許第6,218,410号および第6,451,825号には、高血圧、網膜症、脳血管収縮、喘息、炎症、狭心症、末梢循環障害、早産、骨粗鬆症、癌、炎症、免疫疾患、自己免疫疾患等の治療のためのrhoキナーゼ阻害剤の使用が開示されている。米国特許第6,794,398号には、肝疾患の予防または治療のための、rhoキナーゼ活性を有する化合物の使用が記載されている。米国特許第6,720,341号には、腎臓病の治療のための、rhoキナーゼ活性を有する化合物の使用が記載されている。WO99/23113には、神経突起伸長阻害を遮断するためのrhoキナーゼ阻害剤の使用が記載されている。WO03/062227には、rhoキナーゼ阻害剤としての2,4−ジアミノピリミジン誘導体が記載されている。WO03/059913には、rhoキナーゼ阻害剤としての二環式4−アミノピリミジン類似体が記載されている。WO02/100833には、rhoキナーゼ阻害剤としての複素環化合物が記載されている。WO01/68607には、rhoキナーゼ阻害剤としてのアミド誘導体が記載されている。WO04/024717には、rhoキナーゼ阻害剤としてのアミノイソキノリン誘導体が記載されている。WO04/009555には、緑内障、気管支喘息、および慢性閉塞性肺疾患の治療に有用なrhoキナーゼ阻害剤としての5置換イソキノリン誘導体が記載されている。EP1034793には、緑内障の治療のためのrhoキナーゼ阻害剤の使用が記載されている。
【0008】
米国特許第6,503,924号、第6,649,625号、および第6,673,812号には、緑内障の治療のための、rhoキナーゼ阻害剤であるアミド誘導体の使用が開示されている。米国特許第5,798,380号および第6,110,912号には、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤を使用して緑内障を治療する方法が開示されている。米国特許第6,586,425号には、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤を使用して緑内障を治療する方法が記載されている。米国特許出願公開第2002/0045585号には、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤を使用して緑内障を治療する方法が記載されている。
【0009】
以下の参照文献には、rhoキナーゼ阻害剤としてのイソキノリンスルホンアミド類似体の活性が開示されている。非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4。緑内障の治療のためのいくつかのイソキノリンスルホニル化合物の使用は、特許文献1および特許文献2に開示されている。また、特許文献3には、AKT−1キナーゼモジュレータとしてのアミノ置換単環の使用が記載されている。
【0010】
いくつかの公開資料には、ピラジンの合成が記載されている。特許文献4には、ナトリウムチャンネル遮断薬として使用するためのビアリール置換6員複素環の調製が記載されている。特許文献5には、タンパク質キナーゼの活性部位と結合することができる、ピラジンを含む化合物のライブラリーの調製が記載されている。ピラジンの合成方法に言及する他の刊行物には、非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9が含まれる。
【特許文献1】米国特許第6,271,224号明細書
【特許文献2】米国特許第6,403,590号明細書
【特許文献3】国際公開第04/000318号パンフレット
【特許文献4】国際公開第04/084824号パンフレット
【特許文献5】国際公開第04/085409号パンフレット
【非特許文献1】Y.Sasaki、Cellular Biology Molecular Letters(2001年)6:506頁
【非特許文献2】S.Satohら、Life Sciences(2001年)69:1441〜1453頁
【非特許文献3】Y.Sasaki、Pharmacology and Therapeutics(2002年)93:225〜232頁
【非特許文献4】C.Logeら、Journal of Enzyme Inhibition and Medicinal Chemistry 18:127〜138頁
【非特許文献5】Satoら、Journal of Chemical Research(1997年)7:250〜1頁
【非特許文献6】Satoら、Synthesis(1994年)9:931〜4頁
【非特許文献7】Sato、Journal of the Chemical Society(1994年)7:885〜8頁
【非特許文献8】Sato、Journal of Organic Chemistry(1978年)43(2):341〜3頁
【非特許文献9】Adachi,Jら、Journal of Organic Chemistry(1972年)37(2):221〜5頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(要旨)
本発明は、(インダゾール−5−イル)−ピラジンおよび(1,3−ジヒドロインドール−2−オン)−ピラジン、ならびに本明細書に記載の誘導体、ならびにrhoキナーゼ媒介性疾患および状態を治療するためのそれらの使用を対象とする。
【0012】
以下に記載の式(I)の対象化合物は、ヒトを含む温血動物の正常眼圧緑内障、高眼圧症、および緑内障に関連するIOPを降下および/または制御するために使用できる。いくつかの実施形態では、該化合物は、正常眼圧緑内障または高眼圧症の治療に使用される場合、目への局所送達に適した医薬として許容可能な組成物に配合することができる。
【0013】
本発明の別の実施形態は、緑内障の治療および眼圧の制御に有用な、有効量の式(I)の化合物を含む眼科用医薬組成物を企図する。
【0014】
本発明の別の実施形態は、有効量の式(I)の化合物を含む緑内障の治療および眼圧の制御に有用な治療有効量の眼科用医薬組成物を、ヒトまたは他の哺乳動物に投与することを含む眼圧の制御方法を含む。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態は、1種または複数種の治療有効量の式(I)の化合物を、ヒトまたは他の哺乳動物に投与することを含む、rhoキナーゼ媒介性疾患またはrhoキナーゼ媒介性状態の治療方法を含む。
【0016】
本明細書で使用される、「rhoキナーゼ媒介性疾患」または「rhoキナーゼ媒介性状態」という用語は、rhoキナーゼが役割を担うことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。かかる状態には、それに限定されるものではないが、高血圧、緑内障、網膜症、脳血管収縮、高眼圧症、正常眼圧緑内障、慢性閉塞性肺疾患、喘息、炎症、狭心症、末梢循環障害、早産、骨粗鬆症、癌、炎症、免疫疾患、自己免疫疾患が含まれる。
【0017】
先の簡単な概説には、本発明のいくつかの実施形態の特徴および技術的利点が広く記載されている。さらなる特徴および技術的利点を、以下の本発明の詳細な説明に記載する。本発明に特徴的と思われる新規な特徴は、本発明の詳細な説明から、任意の添付の実施例に関連して考慮される際によりよく理解されよう。しかし本明細書で提供する実施例は、本発明を例示するための一助とし、本発明の理解を深める助けとするものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
一実施形態では、本発明は式(I)の化合物を提供する。
【0019】
【化9】

式中、Yは、
【0020】
【化10】

であり、
R1、R9は、独立に、H、アルキル、アミノ、アルケニル、アリールであり、
R2、R3、R4、R6、R7は、独立に、H、アルキル、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシであり、
R5、R8は、独立に、H、アルキル、アミンで置換されたアルキル、ヒドロキシルで置換されたアルキル、(C=O)R1、(C=O)OR1、(C=O)NR1、アリールであり、
R1およびR2は、5〜7員環を形成してもよく、
R5およびR6は、5〜7員環を形成してもよく、
R5およびR8は、5〜7員環を形成してもよい。
【0021】
式(I)の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含み得ることが認識されている。本発明は、式(I)のすべてのエナンチオマー、ジアステレオマー、およびそれらの混合物を企図する。
【0022】
さらに、本発明のいくつかの実施形態は、式(I)の化合物の医薬として許容可能な塩を含む。医薬として許容可能な塩は、それに限定されるものではないが、アレルギー反応または毒性などの過度の望ましくない作用なしに疾患を治療するのに適した式(I)の化合物の可溶形態または分散形態を含む。代表的な医薬として許容可能な塩は、それに限定されるものではないが、酢酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、またはリン酸塩などの酸付加塩、およびリチウム、ナトリウム、カリウム、またはアルミニウムなどの塩基付加塩が含まれる。
【0023】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、合計5〜14個の環員を有する、単環、二環、または三環系を指し、該系の少なくとも1個は芳香族であり、該系の各環は、3〜7個の環員を含む。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と同義に使用できる。
【0024】
本明細書で使用される「複素環」、「ヘテロシクリル」、または「複素環の」という用語は、1つまたは複数の環員がヘテロ原子である3〜14個の環員を有する、非芳香族の単環、二環、または三環式環系を意味し、該系の各環は、3〜7個の環員を含む。
【0025】
「ヘテロアリール」という用語は、系の少なくとも1つの環が芳香族であり、系の少なくとも1つの環が1つまたは複数のヘテロ原子を含み、系の各環が3〜7個の環員を含む、3〜14個の環員を有する単環、二環、または三環式環系を指す。
【0026】
上記の定義では、置換基の炭素原子の合計数は、Ci〜jの接頭辞によって示され、数iおよびjは炭素原子の数を定義しており、この定義には、直鎖、分岐鎖、および環式アルキルまたは(環式アルキル)アルキル基が含まれる。
【0027】
置換基は、示された構造単位に組み込まれる場合、単独または多数で存在できることを認識することが重要である。例えば、置換基としてのハロゲン、すなわちフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素は、それが結合する単位が、同じでも異なっていてもよい1つまたは複数のハロゲン原子で置換され得ることを示すことになろう。
【0028】
以下の化合物が特に好ましい。(S)−N1−[6−(3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−ピラジン−2−イル]−3−フェニル−プロパン−1,2−ジアミン;N1−[6−(3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−ピラジン−2−イル]−3−フェニル−プロパン−1,2−ジアミン;(S)−N1−[6−(3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−ピラジン−2−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロパン−1,2−ジアミン;N1−[6−(3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−ピラジン−2−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロパン−1,2−ジアミン;(S)−N1−[6−(3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−ピラジン−2−イル]−3−(4−ブロモフェニル)−プロパン−1,2−ジアミン;N1−[6−(3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−ピラジン−2−イル]−3−(4−ブロモ−フェニル)−プロパン−1,2−ジアミン;(S)−N1−[6−(3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−ピラジン−2−イル]−3−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−プロパン−1,2−ジアミン;N1−[6−(3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−ピラジン−2−イル]−3−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−プロパン−1,2−ジアミン;(S)−N1−[6−(1H−インダゾール−5−イル)−ピラジン−2−イル]−3−フェニル−プロパン−1,2−ジアミン;N1−[6−(1H−インダゾール−5−イル)−ピラジン−2−イル]−3−フェニル−プロパン−1,2−ジアミン;5−[6−((S)−2−アミノ−3−フェニル−プロピルアミノ)−ピラジン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;5−[6−(2−アミノ−3−フェニル−プロピルアミノ)−ピラジン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;5−[6−((S)−2−アミノ−3−フェニル−プロピルアミノ)−ピラジン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;5−[6−(2−アミノ−3−フェニル−プロピルアミノ)−ピラジン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;5−[6−((S)−2−アミノ−4−メチル−ペンチルアミノ)−ピラジン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;5−[6−(2−アミノ−4−メチルペンチルアミノ)−ピラジン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;5−[6−((S)−2−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−プロピルアミノ)−ピラジン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;5−[6−(2−アミノ−3−(4−ブロモ−フェニル)−プロピルアミノ)−ピラジン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;5−−[6−((S)−2−アミノ−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルアミノ)−ピラジン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;5−[6−(2−アミノ−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルアミノ)−ピラジン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;5−[6−((S)−2−アミノ−3−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルアミノ)−ピラジン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;5−[6−(2−アミノ−3−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルアミノ)−ピラジン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;5−[5−アミノ−6−((S)−2−アミノ−3−フェニル−プロピルアミノ)−ピラジン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;および5−[5−アミノ−6−(2−アミノ−3−フェニル−プロピルアミノ)−ピラジン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン。
【0029】
合成例
式(I)の化合物は、いくつかの合成の手順を使用することによって調製できる。例えば、6−(1H−インダゾール−5−イル)ピラジン−2−イルアミンは、以下のスキーム1に概説のように、適切に保護された5−ブロモ−3−メチル−インダゾールおよび6−クロロピラジン−2−イルアミンから調製できる。本明細書で使用される「Pg」は、示された化学反応中に特定の原子が修飾されないことを確実にするための適切な保護基を指す。
【0030】
【化11】

他の式(I)の化合物は、スキーム2に示すように、当技術分野で周知のスティルカップリングを介して、同じ出発材料から調製できる。
【0031】
【化12】

式(I)のいくつかの化合物は、出発材料9(下記)および4(上記)から調製できる。以下のスキーム3に示すように、中間体11を介して化合物12を調製するための鈴木カップリングまたはスティルカップリングの使用は、当技術分野で周知である。
【0032】
【化13】

上記スキーム1〜3に記載の手順、以下の実施例1、および周知の手順を使用して、当業者は、本明細書に開示の化合物を調製することができる。
【0033】
送達の態様
式(I)の化合物は、様々なタイプの送達用の眼科用配合物に組み込むことができる。式(I)の化合物は、当業者に周知の技術を使用して、目に直接送達するか(例えば、局所用点眼薬または軟膏;盲嚢内に埋め込まれるか、または強膜に隣接してもしくは目の内部に埋め込まれる医薬品送達用スポンジなどの徐放装置;眼周囲、結膜、テノン嚢下、前房内、硝子体内、または管内注入)、または全身送達することができる(例えば、経口、静脈内、皮下、または筋肉内注入、非経口、経皮、または経鼻送達)。さらに、本発明の薬剤が眼内挿入物または眼内レンズ装置に配合され得ることが企図される。
【0034】
式(I)の化合物は、目への送達のために、好ましくはpH約4〜8の局所用眼科用配合物に組み込まれる。該化合物は、眼科的に許容可能な保存剤、界面活性剤、増粘剤、浸透促進剤、緩衝剤、塩化ナトリウム、および水性滅菌眼科用懸濁剤または溶剤を形成するための水と混合することができる。眼科用溶剤配合物は、化合物を生理的に許容可能な等張水性緩衝液に溶解することによって調製できる。さらに眼科用溶剤は、化合物の溶解を助けるための眼科的に許容可能な界面活性剤を含み得る。さらに眼科用溶剤は、結膜嚢での配合物の保持性を改善するために、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の、粘度を増大するための薬剤を含有することができる。それに限定されるものではないが、ジェランガムおよびキサンタンガムを含むゲル剤を使用することもできる。滅菌眼科用軟膏配合物を調製するために、有効成分を、鉱油、水添ラノリン、または白色ワセリンなどの適切なビヒクル中で保存剤と混合する。滅菌眼科用ゲル配合物は、類似の眼科用調製物のための公表済みの配合に従って、例えばカルボポール974等と組み合わせることによって調製した親水性基材に化合物を懸濁することによって調製でき、保存剤および等張化剤を組み込むことができる。
【0035】
好ましい実施形態の化合物は、緑内障患者において、高IOPレベルを経験している患者および/または正常IOPレベルを維持している患者のIOPを降下するために十分な量で組成物に含まれる。かかる量は、本明細書では「IOPを制御するために有効な量」またはさらに簡潔に「有効量」と呼ばれる。該化合物は、通常0.01〜5重量/体積パーセント(「w/v%」)の量で、ただし好ましくは0.25〜2w/v%の量でこれらの配合物に含まれよう。したがって局所適用のためには、医師の裁量により、これらの配合物1〜2滴が1日当たり1〜4回、目の表面に送達されよう。
【0036】
式(I)の化合物は、それに限定されるものではないが、β遮断薬、プロスタグランジンアナログ、炭酸脱水酵素阻害剤、αアゴニスト、縮瞳薬、および神経保護薬などの、他の緑内障治療剤と組み合わせて使用することもできる。
【0037】
生物活性の決定
式(I)のいくつかの化合物のrhoキナーゼの阻害能は、in vitroアッセイを用いて評価される。ヒト組換えRhoキナーゼ(ROKα/ROCK−II、(aa11−552)、ヒト活性(human active)、カタログ番号14−451、Upstate Biotechnology Co.、レイクプラシド、ニューヨーク州)、MgCl/ATPカクテル、および酵素基質(Upstate)を使用する。
【0038】
蛍光偏光アッセイを、Biomek2000 Robotic Workstation(Beckman Instruments、パロアルト、カリフォルニア州)を使用して、96ウェルプレート形式で実施する。以下のように、IMAP ROCK IIキット(Molecular Devices、サニーベール、カリフォルニア州)を使用してこのアッセイを実施する。使用する基質およびATP濃縮物は、それぞれ200nMおよび10μMとし、酵素濃度は、1ウェル当たり3.96×10−3単位とする。基質、酵素、およびATP希釈物を、供給元により提供された反応緩衝剤と共に生成した。試験化合物を、10:10のDMSO−エタノール(vol/vol)に希釈する。実際のアッセイでは、様々な成分を、黒色の透明底の96ウェルプレート(Costar、コーニング、ニューヨーク州)に、1ウェル当たり最終体積20μlで添加する。酵素反応(23℃で60分)後、1ウェル当たり賦活化溶液(供給元から提供されたIMAPキット)60μlを、各ウェルに添加し、23℃の暗室でさらに30分間インキュベートする。次いで、反応混合物の蛍光偏光を、Analyst(商標)HT装置(Molecular Devices、サニーベール、カリフォルニア州)で測定する。
【0039】
次いで、得られたデータを、IDBS(エメリービル、カリフォルニア州)から購入した非線形反復sigmoidalfitコンピュータプログラムを使用し、既に記載されているように分析して(Sharifら、J.Pharmacol.Exp.Ther.286:1094〜1102頁、1998年;Sharifら、J.Pharmacol.Expt.Ther.293:321〜328頁、2000年;Sharifら、J.Ocular Pharmacol.Ther.18:141〜162頁、2002年a;Sharifら、J.Pharmac.Pharmacol.54:539〜547頁、2002年b)、試験化合物について阻害定数を得る。
【0040】
上記プロトコルを使用して以下の式(I)の化合物を分析して、それらのIC50定数を決定した。
【0041】
【化14】

表1は、上記化合物の分析結果を提供しており、これは、これらの化合物には生物活性があり、rhoキナーゼ活性を阻害することを示している。
【0042】
【化15】

【実施例】
【0043】
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を例示するために提供されるが、特許請求の範囲のいかなる限定も意味すると解釈されるべきではない。
【0044】
(実施例1)
(S)−N−[6−(3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−ピラジン−2−イル]−3−フェニル−プロパン−1,2−ジアミンジヒドロクロライドの調製
調製1:5−ブロモ−3−メチル−1H−インダゾールの調製
工程A:1−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−エタノン
窒素ガス下、0℃で攪拌した5−ブロモ−2フルオロ−ベンズアルデヒド(5.00g、24.6mmol)の無水エーテル(100mL)中溶液に、注射器を介してMeMgBr(エーテル中3M溶液、10mL、30mmol)を3分かけて添加した。混合物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液(100mL)に注ぎ、有機層を分離し、水相を酢酸エチル(100mL)で抽出した。混合有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して粘性の油を得た。油をアセトン(100mL)と混合し、ジョーンズ試薬(1.1M、40mL、1.79mmol)で処理した。混合物を終夜攪拌し、アセトンを蒸発させ、残渣を酢酸エチルで抽出した(60mL×2)。抽出物を水(50mL)に次いで重炭酸ナトリウム(50mL)の飽和水溶液で洗浄した。蒸発させてケトンを油(4.63g、87%)として得、それをさらなる精製なしに次の反応で使用した。
【0045】
工程B:5−ブロモ−3−メチル−1H−インダゾール
工程Aからのケトン(0.64g、2.95mmol)のエチレングリコール(5mL)中混合物を封止バイアルに入れ、終夜165℃で加熱した(約15時間)。混合物を水(50mL)と混合し、酢酸エチルで抽出した(50mL×2)。混合抽出物を乾燥し、濾過し、蒸発させて油を得た。油をクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル3:1)によって精製して、標題化合物(0.25g、43%)を黄色の固体として得た。LC/MS(+APCI)211、213m/z。
【0046】
調製2:((S)−2−アミノ−1−ベンジル−1−ベンジル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
工程A:((S)−2−アジド−1−ベンジル−1−ベンジル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
窒素下、0℃で攪拌した(S)−1−ベンジル−2−ヒドロキシ−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(5.00g、19.9mmol)、トリエチルアミン(6.03g、59.7mmol)の無水THF中溶液に、メタンスルホン酸無水物(4.50g、25.9mmol)を添加した。20分後に氷浴を除去し、約10分間反応を進行させた。揮発物を蒸発させ、残渣に、アジ化ナトリウム(6.47g、99.5mmol)および無水DMSO(50mL)を添加した。混合物を終夜50℃に加熱し、冷却し、水(100mL)と混合し、酢酸エチルで抽出した(100mL×2)。抽出物を蒸発させることによって残渣を得、それをクロマトグラフィーで精製して(シリカゲル、0%〜25%酢酸エチル/ヘキサン)、標題化合物(3.56g、65%)を得た。それはLC/MS(+APCI)m/z177(M+H−BOC)によれば純粋であった。
【0047】
工程B:((S)−2−アミノ−1−ベンジル−1−ベンジル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
工程Aからのアジド(3.56g、12.9mmol)のメタノール(100mL)中混合物を、Pd/C(10%、0.27g)に添加し、脱ガスし、水素ガス下に置き、終夜攪拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮して、油(3.17g、98%)を得た。LCMS(+APCI)m/z251(M+H)。
【0048】
調製実施例
工程A:1−ベンジルオキシメチル−5−ブロモ−3−メチル−インダゾール(4)
窒素下、0℃で攪拌した5−ブロモ−3−メチル−インダゾール(調製1から、1.00g、4.33mmol)の無水DMF(30mL)中溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%、0.21g、5.19mmol)を添加した。30分後、ベンジルクロロメチルエーテル(60%、1.47g、5.63mmol)を、注射器を介して約1分添加した。1時間攪拌を続けた。混合物を氷水(100mL)に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合抽出物を乾燥し、濾過し、濃縮して油を得、それをシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製して(ヘキサン/酢酸エチル10:1)、標題化合物(0.72g、50%)を得た。それはNMRによれば純粋であった。
【0049】
工程B:1−ベンジルオキシメチル−3−メチル−5−インダゾールボロン酸(5)
窒素下、−78℃で攪拌した工程Aからの化合物(0.72g、2.18mmol)の無水トルエン/THF(5mL/3mL)中溶液に、ホウ酸トリイソプロピル(0.53g、2.83mmol)に次いでブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、1.22mL、3.05mmol)を、約10分かけてゆっくり添加した。10分後、ドライアイス浴を除去し、20分間攪拌を続けた。混合物を−78℃に冷却し、ホウ酸トリイソプロピル(0.32g、1.71mmol)およびブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、0.85mL、2.14mmol)を添加した。ドライアイス浴を除去し、混合物を周囲温度に温め、さらに20分間攪拌した後、重炭酸ナトリウムの飽和溶液(30mL)でクエンチした。混合物を酢酸エチルで抽出した(50mL×2)。抽出物を乾燥し、濃縮して固体を得た。固体を酢酸エチル/ヘキサン(1:1)で粉砕し、乾燥して標題化合物(0.47g、81%)を得た。
【0050】
工程C:[(S)−1−ベンジル−2−(6−クロロ−ピラジン−2−イルアミノ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
調製物2(3.18g、12.7mmol)からの2,6−ジクロロピラジン(3.00g、20.1mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.80g、14.0mmol)の無水THF(50mL)中溶液を、2時間加熱還流した。ジイソプロピルエチルアミン(1.11g、8.6mmol)を添加し、さらに3時間、還流を続けた。揮発物を蒸発させ、残渣を酢酸エチルで抽出した(60mL×2)。酢酸エチル/ヘキサンの20%〜80%勾配で溶出したシリカでのクロマトログラフィーによって、標題化合物(1.38g、30%)を得た。LCMS(+APCI)m/z251(M+H)。
【0051】
工程D:{1−ベンジル−2−[6−(1−ベンジルオキシメチル−3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−ピラジン−2−イルアミノ]−エチル}カルバミン酸tert−ブチルエステル
工程Cからの化合物(0.42g、1.17mmol)、工程Bからのボロン酸5(0.47g、0.58mmol)、および炭酸カリウム(0.16g、1.17mmol)のDMF/水(5mL/2mL)中混合物を脱ガスし、窒素下に置き、PdCl2(dppf)(29mg、0.035mmol)に添加した。混合物を、窒素下75℃で11時間加熱し、次いで冷却し、酢酸エチルで抽出した(50mL×2)。酢酸エチル/ヘキサンの20%〜70%勾配で溶出したシリカでのクロマトグラフィーによって、標題化合物(0.54g、81%)を得た。LCMS(+APCI)m/z579(M+H)。
【0052】
工程E:(S)−N1−[6−(3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−ピラジン−2−イル]−3−フェニル−プロパン−1,2−ジアミンジヒドロクロライド
工程Dからの化合物(0.53g、0.92mmol)をエチルアルコール(8mL)および2NのHCl(8mL)と混合し、90℃で2時間、50℃で終夜加熱した。混合物を乾燥するまで蒸発させ、0.1%のTFAを用いてアセトニトリル/水10%〜60%勾配で溶出した逆相HPLCによって精製した。所望の画分を乾燥するまで蒸発させ、2NのHCl/エタノールで処理して、HCl塩を得た。その塩を78℃の高真空で終夜乾燥して、標題化合物(0.18g、45%)を得た。LCMS(+APCI)359(M+H)。
【0053】
【化16】

【0054】
【化17】

本発明およびその実施形態を詳細に記載してきた。しかし本発明の範囲は、本明細書に記載の任意のプロセス、製造、物質の組成、化合物、手段、方法、および/または工程の特定の実施形態に限定されるものではない。本発明の精神および/または本質的特徴から逸脱することなく、開示の材料に対して様々な改変、代替、および変形を行うことができる。したがって当業者は、本発明のかかる関連実施形態に従って、本明細書に記載の実施形態と実質的に同じ機能を果たし、または実質的に同じ結果を実現する今後の改変、代替、および/または変形を利用できることを本開示から容易に理解されよう。したがって添付の特許請求の範囲は、それらの範囲内に、本明細書に開示のプロセス、製造、物質の組成、化合物、手段、方法、および/または工程への改変、代替、および変形を包含するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の式(I)
【化1】

の化合物、またはその医薬として許容可能な塩、および医薬として許容可能なそのためのビヒクルを含む、緑内障の治療および眼圧の制御に有用な眼科用医薬組成物であって、
式中、Yは、
【化2】

であり、
R1、R9は、独立に、H、アルキル、アミノ、アルケニル、アルコキシ、アリールであり、
R2、R3、R4、R6、R7は、独立に、H、アルキル、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシであり、
R5、R8は、独立に、H、アルキル、アミンで置換されたアルキル、ヒドロキシルで置換されたアルキル、(C=O)R1、(C=O)OR1、(C=O)NR1、アリールであり、
R2およびR8は、5〜7員環を形成してもよく、
R5およびR6は、5〜7員環を形成してもよく、
R5およびR8は、5〜7員環を形成してもよい、
組成物。
【請求項2】
眼科的に許容可能な保存剤、界面活性剤、増粘剤、浸透促進剤、ゲル化剤、疎水性基剤、ビヒクル、緩衝剤、塩化ナトリウム、および水からなる群から選択される化合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(I)の化合物に加えて緑内障治療剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記緑内障治療剤が、β遮断薬、プロスタグランジンアナログ、炭酸脱水酵素阻害剤、αアゴニスト、縮瞳薬、神経保護薬、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
約0.01重量/体積パーセント〜約5重量/体積パーセントの前記化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
約0.25重量/体積パーセント〜約2重量/体積パーセントの前記化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
眼圧を制御する方法であって、該方法は、緑内障の治療および眼圧の制御に有用な治療有効量の眼科用医薬組成物を、ヒトまたは他の哺乳動物の罹患した眼に適用する工程を含み、該眼科用医薬組成物は、有効量の式(I)
【化3】

の化合物、またはその医薬として許容可能な塩、および医薬として許容可能なそのためのビヒクルを含み、
式中、Yは、
【化4】

であり、
R1、R9は、独立に、H、アルキル、アミノ、アルケニル、アルコキシ、アリールであり、
R2、R3、R4、R6、R7は、独立に、H、アルキル、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシであり、
R5、R8は、独立に、H、アルキル、アミンで置換されたアルキル、ヒドロキシルで置換されたアルキル、(C=O)R1、(C=O)OR1、(C=O)NR1、アリールであり、
R2およびR8は、5〜7員環を形成してもよく、
R5およびR6は、5〜7員環を形成してもよく、
R5およびR8は、5〜7員環を形成してもよい、
方法。
【請求項8】
前記適用する工程が、式(I)の化合物を約0.01重量/体積パーセント〜約5重量/体積パーセント含む組成物を、1日1〜4回、1〜2滴適用することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、式(I)の化合物に加えて緑内障治療剤をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記緑内障治療剤が、β遮断薬、プロスタグランジンアナログ、炭酸脱水酵素阻害剤、αアゴニスト、縮瞳薬、神経保護薬、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
rhoキナーゼ媒介性疾患またはrhoキナーゼ媒介性状態を治療する方法であって、該方法は、治療有効量の式(I)
【化5】

の化合物、またはその医薬として許容可能な塩、および医薬として許容可能なそのためのビヒクルを、ヒトまたは他の哺乳動物に投与する工程を含み、
式中、Yは、
【化6】

であり、
R1、R9は、独立に、H、アルキル、アミノ、アルケニル、アルコキシ、アリールであり、
R2、R3、R4、R6、R7は、独立に、H、アルキル、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシであり、
R5、R8は、独立に、H、アルキル、アミンで置換されたアルキル、ヒドロキシルで置換されたアルキル、(C=O)R1、(C=O)OR1、(C=O)NR1、アリールであり、
R2およびR8は、5〜7員環を形成してもよく、
R5およびR6は、5〜7員環を形成してもよく、
R5およびR8は、5〜7員環を形成してもよい、
方法。
【請求項12】
前記投与する工程が、式(I)の化合物を約0.01重量/体積パーセント〜約5重量/体積パーセント含む組成物を、1日1〜4回、1〜2滴適用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、式(I)の化合物に加えて緑内障治療剤をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記緑内障治療剤が、β遮断薬、プロスタグランジンアナログ、炭酸脱水酵素阻害剤、αアゴニスト、縮瞳薬、神経保護薬、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
式(I)
【化7】

によって表される化合物またはその医薬として許容可能な塩であって、
式中、Yは、
【化8】

であり、
R1、R9は、独立に、H、アルキル、アミノ、アルケニル、アルコキシ、アリールであり、
R2、R3、R4、R6、R7は、独立に、H、アルキル、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシであり、
R5、R8は、独立に、H、アルキル、アミンで置換されたアルキル、ヒドロキシルで置換されたアルキル、(C=O)R1、(C=O)OR1、(C=O)NR1、アリールであり、
R2およびR8は、5〜7員環を形成してもよく、
R5およびR6は、5〜7員環を形成してもよく、
R5およびR8は、5〜7員環を形成してもよい、
化合物またはその医薬として許容可能な塩。

【公表番号】特表2009−521494(P2009−521494A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547727(P2008−547727)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/062307
【国際公開番号】WO2007/076360
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(508185074)アルコン リサーチ, リミテッド (160)
【Fターム(参考)】