説明

浴室部材

【課題】親水・親油性の汚れが付き難く、かつ付着した汚れの除去が容易である撥水、撥油、防汚機能を有する浴室部材を提供すること。
【解決手段】浴室部材の表面に、エチレン性不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)、エチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)、エチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する(a)、(b)以外の単量体(c)からなる重合体(A)と、単量体(b)、単量体(c)、エチレン性不飽和二重結合を有する(a)、(b)、および(c)以外の単量体(d)からなる重合体(B)と、重合体(A)及び重合体(B)中の架橋性官能基と反応可能な反応性官能基を有する架橋剤(C)とからなるコーティング剤を用いて防汚層を形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材表面に防汚層を有し、例えば、浴室・シャワールーム等において好適に使用できる防汚浴室部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室・シャワールーム等における浴室部材の汚れを防止するために、部材表面に親水性を付与することが行われている。親水性を付与する方法として、部材表面に界面活性剤を塗布する方法、親水性モノマー・ポリマー等の親水性物質を塗布する方法、部材表面に光触媒を被覆する方法(特許文献1)、部材表面に凹凸構造を有する被膜を形成する方法(特許文献2)などが開示されている。
しかしながら界面活性剤、親水性モノマー・ポリマー等の親水性物質を塗布する方法では界面活性剤・親水性物質は水分によって流れ落ちやすく、特に浴室のように水が頻繁にかかる環境においては、効力の持続性に問題があった。さらに親水性モノマー・ポリマーなどの親水性物質は、吸水すると表面が柔らかくなり傷つきやすくなる。また、いずれも空気中の汚れなどを吸着しやすいという欠点があった。
また光触媒を被覆する方法では、例えば、室内照明に含まれる励起光の照度が低くかつ汚れ負荷の大きな浴室で使用する場合、励起光の照度が低いために光触媒の光励起による親水化に時間がかかり、そのため時間の経過とともに表面の水との接触角が上昇し、水をかけるだけでは汚れが充分に落とせなくなるという問題があった。凹凸構造を有する被膜を形成する方法では、凹凸構造を形成する孔は、くさび状などの様々な複雑で入り組んだ形状をしているために、浴室等の汚染負荷が高い環境で使用した場合には、水洗浄では汚染物質を完全に落すことができずに防汚性も得られなくなる。
【0003】
また浴室は、水道水中の金属イオンに起因する汚れ、石鹸かすや皮脂などの他、洗髪・洗体時に使用する洗浄剤、さらさら感を得るためのカチオン性物質等、親水性・親油性等の様々な汚染物が非常に多い。浴室部材の表面が親水性であれば親水性の汚れを吸着しやすく、浴室部材の表面が親油性であれば親油性の汚れを吸着しやすいために、あらゆる汚れに対し防汚性を確保するには浴室部材の表面を撥水・撥油性にする必要があった。
【特許文献1】WO96/29375号公報
【特許文献2】特開平8−11631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、親水・親油性の汚れが付き難く、かつ付着した汚れの除去が容易である撥水、撥油、防汚機能を有する浴室部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の防汚浴室部材は、表面エネルギーの低いケイ素原子を含む重合体が塗膜表面に局在化することを利用して、架橋性官能基とポリオルガノシロキサン鎖とを有する共重合体および架橋性官能基を有し、ポリオルガノシロキサン鎖を有さない重合体を架橋剤で架橋させることにより、少ないケイ素含有量で浴室部材表面に高い防汚機能を付与し、さらに長期間にわたって防汚機能が保持されるものである。
【0006】
即ち、第1の発明は、浴室部材の表面に、エチレン性不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)0.5〜84.9重量%、エチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)15〜50重量%、エチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する(a)、(b)以外の単量体(c)0.1〜5重量%、およびエチレン性不飽和二重結合を有する(a)、(b)、および(c)以外の単量体(d)0〜84.4重量%からなる重合体(A)と、エチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)15〜50重量%、エチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する(a)、(b)以外の単量体(c)0.1〜5重量%、およびエチレン性不飽和二重結合を有する(a)、(b)、および(c)以外の単量体(d)45〜84.9重量%からなる重合体(B)と、重合体(A)及び重合体(B)中の架橋性官能基と反応可能な反応性官能基を有する架橋剤(C)とからなるコーティング剤から形成される防汚層を有する防汚浴室部材に関する。
【0007】
また、第2の発明は、単量体(b)の架橋性官能基がヒドロキシル基であることを特徴とする第1の発明の防汚浴室部材に関する。
【0008】
さらに、第3の発明は、単量体(c)の酸性官能基がカルボキシル基であることを特徴とする第1または第2の発明の防汚浴室部材に関する。
【0009】
また、第4の発明は、重合体(A)を構成する単量体(a)の量が、重合体(A)および重合体(B)を構成する単量体の合計100重量%中0.05〜10重量%であることを特徴とする第1ないし第3いずれかの発明の防汚浴室部材に関する。
【0010】
また、第5の発明は、エチレン性不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)0.5〜84.9重量%、エチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)15〜50重量%、エチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する(a)、(b)以外の単量体(c)0.1〜5重量%、およびエチレン性不飽和二重結合を有する(a)、(b)、および(c)以外の単量体(d)0〜84.4重量%からなる重合体(A)と、エチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)15〜50重量%、エチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する(a)、(b)以外の単量体(c)0.1〜5重量%、およびエチレン性不飽和二重結合を有する(a)、(b)、および(c)以外の単量体(d)45〜84.9重量%からなる重合体(B)と、重合体(A)及び重合体(B)中の架橋性官能基と反応可能な反応性官能基を有する架橋剤(C)とからなるコーティング剤を浴室部材表面に被覆し、加熱架橋することで防汚層を形成させることを特徴とする防汚浴室部材の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、表面エネルギーの低いケイ素原子を含む重合体が塗膜表面に局在化することを利用して、少ないケイ素含有量で表面に撥水、撥油、防汚機能を有し、親水・親油性の汚れが付き難く、かつ付着した汚れの除去が容易で、さらに水が頻繁にかかる環境においても防汚機能が保持される浴室部材を提供できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の防汚浴室部材は、重合体(A)、重合体(B)および架橋剤(C)を含むコーティング剤を浴室部材表面に塗工し、加熱架橋させることにより製造することができる。
まず、コーティング剤に含まれる重合体(A)および重合体(B)について説明する。
重合体(A)を構成するエチレン性不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)は、防汚層に浴室部材への汚れの付着を防ぐ機能を付与するために不可欠のものであり、下記の式(ア)で表される化合物等を用いることができる。
【0013】
【化1】

【0014】
なお、式(ア)中、
R1:CH2=CHCOO−(CH2m1−、
CH2=C(CH3)COO−(CH2m1−、
CH2=CH−(CH2m1−、
または
CH2=C(CH3)−(CH2m1
(m1は0〜10の整数)
R2: 水素原子、メチル基、またはR1と同じ官能基
R3〜R8:アルキル基、フェニル基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基
n:正の整数、好ましくは10〜300の整数
をそれぞれ表す。
【0015】
単量体(a)として具体的には、東芝シリコーン(株)製のTSL9705などの片末端ビニル基含有ポリオルガノシロキサン化合物、チッソ(株)製のサイラプレーンFM−0711、FM−0721、FM−0725などの片末端(メタ)アクリロキシ基含有ポリオルガノシロキサン化合物等が挙げられ、要求性能に応じてこれらの内から1種類、あるいは2種類以上を混合して使用できる。
単量体(a)は、重合体(A)を構成する単量体の合計100重量%中0.5〜84.9重量%の共重合比率で用いられるが、十分な表面特性を得るためには5重量%以上の共重合比率にすることが望ましく、さらに浴室部材との密着性、強靭性等の塗膜性能、溶剤への溶解性を十分得るためには60重量%以下の共重合比率にすることが望ましい。
【0016】
重合体(A)および重合体(B)を構成するエチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)は、コーティング剤を浴室部材の表面に塗工後に重合体(A)及び重合体(B)を架橋、硬化させ、浴室部材と密着した、高耐候性を有する防汚層を形成するために用いられる。架橋性官能基としては、ヒドロキシル基、イソシアノ基、エポキシ基などが挙げられるが、コーティング剤の硬化性、防汚層の浴室部材への密着性、重合体(A)および重合体(B)の生産のしやすさなどの点から、ヒドロキシル基が最も好適である。
【0017】
ヒドロキシル基を有する単量体(b)の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0018】
また、イソシアノ基を有する単量体(b)の例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートなどの他、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ(メタ)アクリレートを、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイシアネートと反応させて得られるものが挙げられる。
また、エポキシ基を有する単量体(b)の例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルシンナメート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルビニルエーテル、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、1、3−ブタジエンモノエポキサイドなどが挙げられる。
【0019】
単量体(b)は、要求性能に応じてこれらの内から1種、または2種以上を混合して用いることができ、また、重合体(A)中で用いるものと、重合体(B)中で用いるものとは、必ずしも、同一である必要はない。
単量体(b)は、重合体(A)中では重合体(A)を構成する単量体の合計100重量%中15〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の共重合比率で用いられ、重合体(B)中では重合体(B)を構成する単量体の合計100重量%中15〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の共重合比率で用いられる。共重合体(A)あるいは(B)中において、共重合比率が15重量%より小さい場合は、充分な基材との密着性が得られず、また、低温、短時間の硬化で、充分な表面特性を発現させることができない。50重量%より大きい場合は、重合体の安定生産が困難となる場合がある。
【0020】
重合体(A)および重合体(B)を構成するエチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する(a)、(b)以外の単量体(c)は、重合体(A)および重合体(B)中で、重合体(A)および重合体(B)と架橋剤(C)との架橋反応を促進する内部触媒として作用させるために用いられる。これにより、低温、短時間で、架橋密度が高く、強靭で、高耐候性を有する防汚層を形成することが可能となる。また、短時間で表面特性を発現させることができる。
酸性官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられるが、硬化速度と可使時間のバランス、重合体の生産性、溶剤への溶解性、コストの点から、カルボキシル基が最も好適である。
【0021】
カルボキシル基を有する単量体(c)の例としては、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
また、スルホン酸基を有する単量体(c)の例としては、スチレンスルホン酸などが挙げられる。
また、リン酸基を有する単量体(c)の例としては、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどが挙げられる。
【0022】
単量体(c)は、要求性能に応じてこれらの内から1種、または2種以上を混合して用いることができ、また、重合体(A)中で用いるものと、重合体(B)中で用いるものとは、必ずしも、同一である必要はない。
単量体(c)は、重合体(A)中では重合体(A)を構成する単量体の合計100重量%中0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%の共重合比率で用いられ、重合体(B)中では重合体(B)を構成する単量体の合計100重量%中0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%の共重合比率で用いられる。共重合体(A)あるいは(B)中において、共重合比率が0.1重量%より小さい場合は、硬化に時間がかかり、5重量%より大きい場合は、コーティング剤の可使時間が短くなり、工業的に使用することが困難となる場合がある。
【0023】
重合体(A)および重合体(B)を構成するエチレン性不飽和二重結合を有する(a)、(b)、および(c)以外の単量体(d)は、硬度、強靭性、耐擦傷性、柔軟性、光沢向上等の様々な塗膜物性を防汚層に付与するために用いられる。
単量体(d)としては、(i)(メタ)アクリル酸誘導体、(ii)芳香族ビニル単量体、(iii)オレフィン系炭化水素単量体、(iv)ビニルエステル単量体、(v)ビニルハライド単量体、(vi)ビニルエーテル単量体等を用いることができる。
(i)(メタ)アクリル酸誘導体の例としては、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸塩、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
(ii)芳香族ビニル単量体の例としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン等が挙げられる。
(iii)オレフィン系炭化水素単量体の例としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、1、4−ペンタジエン等が挙げられる。
(iv)ビニルエステル単量体の例としては、酢酸ビニル等が挙げられる。
(v)ビニルハライド単量体の例としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、モノフルオロエチレン、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン等が挙げられる。
(vi)ビニルエーテル単量体の例としては、ビニルメチルエーテル等が挙げられる。これらは、2種以上用いても良い。
【0025】
単量体(d)は、要求性能に応じてこれらの内から1種、または2種以上を混合して用いることができ、また、重合体(A)中で用いるものと、重合体(B)中で用いるものとは、必ずしも、同一である必要はない。
単量体(d)は、重合体(A)中では重合体(A)を構成する単量体の合計100重量%中84.4重量%以下、好ましくは74.5重量%以下の共重合比率で用いることができるが、10重量%以上の共重合比率で用いることが好ましい。
また、単量体(d)は、重合体(B)中では重合体(B)を構成する単量体の合計100重量%中45〜84.9重量%、好ましくは57〜79.5重量%の共重合比率で用いられる。
共重合体(A)中での共重合比率が84.4重量%を超えるか、あるいは共重合体(B)での共重合比率が84.9重量%を超えると、充分な表面特性、浴室部材との密着性、硬化性が得られない。
【0026】
重合体(A)および重合体(B)は、公知の方法、例えば、溶液重合で得られる。溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ダイアセトンアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの使用が可能である。溶媒は2種以上の混合物でもよい。合成時の単量体の仕込み濃度は、80重量%以下であることが好ましい。
【0027】
重合開始剤としては、通常の過酸化物またはアゾ化合物、例えば、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオクトエート、クメンヒドロキシペルオキシド、アゾイソブチルバレノニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどが用いられ、重合温度は、50〜140℃、好ましくは70〜140℃である。
重合体(A)の重量平均分子量は、好まくは10,000〜50,000、より好ましくは20,000〜40,000である。重量平均分子量が10,000より小さい場合、塗工性や耐候性が低下することがある。また、50,000より大きい場合、充分な可使時間が得られないことがある。
また、重合体(B)の重量平均分子量は、好まくは20,000〜150,000、より好ましくは30,000〜100,000である。重量平均分子量が20,000より小さい場合、塗工性や耐候性が低下することがある。また、150,000より大きい場合、充分な可使時間が得られないことがある。
【0028】
次に、コーティング剤に含まれる架橋剤(C)について説明する。
架橋剤(C)は、重合体(A)および重合体(B)中の架橋性官能基と反応して、コーティング剤を架橋硬化させ、浴室部材と密着した高耐候性の防汚層を得るために用いられる。
代表的な架橋剤(C)としては、メラミン、ベンゾグアナミン、アミノ樹脂、ヒドラジン系化合物、直鎖状または環状ポリアミン、多価イソシアネート、ジカルボン酸およびその酸無水物、ジアルデヒド、アミノ酸およびそのラクタム、ヒドロキシカルボン酸およびそのラクトン、多価アルコール、多価フェノール、ビスエポキシ化合物、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0029】
アミノ樹脂として具体的には、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、ヒドラジン系化合物として具体的には、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
直鎖状ポリアミンとして具体的には、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ジアミノオクタン、ジアミノデカン、ジアミノドデカン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
【0030】
環状ポリアミンとして具体的には、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、m−キシレンジアミン、ポリシクロヘキシルポリアミン、ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、メチレンビス(フランメタンアミン)等が挙げられる。
【0031】
多価イソシアネートとして具体的には、トルイレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネートなどのジイソシアネート、あるいはこれらとグリコール類またはジアミン類との反応生成物である両末端イソシアネートアダクト体、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等が挙げられる。
【0032】
ジカルボン酸として具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ヘキサン二酸、クエン酸、マレイン酸、メチルナディク酸、ドデセニルコハク酸、セバシン酸、ピロメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸等が挙げられる。
ジアルデヒドとして具体的には、グリオキザル、テレフタルアルデヒド等が挙げられる。アミノ酸として具体的には、グリシン、アラニン等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸として具体的には、クエン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、6−ヒドロキシペンタン酸等が挙げられる。
【0033】
多価アルコールとして具体的には、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、などのジオール、1,1,1−トリメチロールプロパンエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、アラビニトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール、マンニトール等、及びこれらのアルコキシ変性物が挙げられる、
多価フェノールとして具体的には、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、グアヤコール、ヘキシルレゾルシン、ピロガロール、トリヒドロキシベンゼン、フロログルシン、ジメチロールフェノール等、及びこれらのアルコキシ変性物が挙げられる。
【0034】
ビスエポキシ化合物として具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1、6ーヘキサンジオールジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
【0035】
エポキシ樹脂として具体的には、油化シェルエポキシ社製、商品名エピコート801、802,807,815,827,828,834,815X,815XA1、828EL,828XA、1001、1002、1003、1055、1004、1004AF、1007、1009、1010、1003F、1004F,1005F,1100L,834X90,1001B80,1001X70,1001X75,1001T75,5045B80,5046B80,5048B70,5049B70、5050T60、5050、5051、152、154、180S65,180H65,1031S,1032H60、604、157S70等が挙げられる。
【0036】
これらの架橋剤の中で、単量体(b)としてヒドロキシル基を有する単量体を用いた場合は、アミノ樹脂、多価イソシアネート、エポキシ樹脂などの使用が好ましく、特に、硬化速度、硬化温度、浴室部材との密着性などの点で多価イソシアネートが好適である。
また、単量体(b)としてイソシアノ基を有する単量体を用いた場合は、ヒドラジン系化合物、ポリアミン、ジカルボン酸、多価アルコール、多価フェノール、ビスエポキシ化合物、エポキシ樹脂などの使用が好ましい。
【0037】
また、単量体(b)としてエポキシ基を有する単量体を用いた場合は、ジカルボン酸およびその無水物、多価アルコール、多価フェノール、アミノ樹脂、多価イソシアネート、アミノ酸およびそのラクタム、ヒドロキシカルボン酸およびそのラクトン、ポリアミンなどの使用が好ましい。
これらの架橋剤(C)は、要求性能に応じて、重合体(A)および重合体(B)中の架橋性官能基の総数に対して、架橋剤(C)中の反応性官能基の総数が、好ましくは0.5倍〜5.0倍、更に好ましくは1.0倍〜3.0倍となるような比率で、1種、または2種以上を混合して用いることができる。
【0038】
また、本発明においては、共重合体(A)、(B)中の架橋性官能基同士の架橋反応、さらには該架橋性官能基と架橋剤との架橋反応を促進させるために、それぞれの官能基に応じて、種々の架橋触媒を用いることができる。
代表的な架橋触媒としては、酸及びそれらのアンモニウム塩または低級アミン塩、アミン類、有機金属化合物等が挙げられる。ヒドロキシル基またはイソシアノ基を有する単量体(b)を用いた場合は、酸及びそれらのアンモニウム塩または低級アミン塩、アミン類、有機金属化合物などの使用が好ましい。また、エポキシ基を有する単量体(b)を用いた場合は、アミン類、有機金属化合物などの使用が好ましい。
【0039】
酸及びそれらのアンモニウム塩または低級アミン塩として具体的には、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、無水フタル酸、シュウ酸、マレイン酸、安息香酸、イタコン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸、リン酸、モノアルキルリン酸、ジアルキルリン酸、モノアルキル亜リン酸、ジアルキル亜リン酸、およびこれらのアンモニウム塩または低級アミン塩等が挙げられる。
アミン類としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン等が挙げられる。
【0040】
有機金属化合物としては、オクチル酸錫、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレートジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)、ジエチル亜鉛等が挙げられる。
これらの架橋触媒は2種類以上を使用してもよく、その総使用量は、重合体(A)、(B)および架橋剤(C)の合計100重量部に対して0.01〜10重量部、特に0.1〜5重量部の範囲であることが好ましい。
【0041】
コーティング剤には、必要に応じ本発明による効果を妨げない範囲で、シランカップリング剤、充填剤、チクソトロピー付与剤、着色顔料、体質顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
【0042】
コーティング剤は、重合体(A)、重合体(B)、架橋剤(C)、必要に応じて架橋触媒、及び添加剤を溶剤に混合溶解して得られる。
溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ダイアセトンアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの内から樹脂の組成に応じ適当なものを使用する。溶剤は2種以上用いてもよい。
【0043】
混合方法に特に限定はないが、通常は、重合時に使用した重合体溶液をそのまま混合し、攪拌羽根、振とう攪拌機、回転攪拌機などで攪拌すればよい。塗工性などの向上のために、さらに溶媒を追加したり、濃縮してもよい。
また、重合体(A)と重合体(B)の混合比率は、重合体(A)を構成する単量体(a)の量が、重合体(A)と重合体(B)を構成する単量体の合計100重量%中0.05〜10重量%となるようにすることが好ましい。単量体(a)の量が0.05重量%より小さい場合は、充分な防汚性が得られず、10重量%より大きい場合は、充分な塗膜硬度が得られず、また、コストも高くなる。
【0044】
こうして得られたコーティング剤を、浴室部材である壁材、壁目地、床材、床目地、天井、水栓金具、シャワ−ホ−ス、シャワ−ヘッド、シャワ−吐水部、シャワ−フック、浴槽、浴槽ハンドグリップ、浴槽エプロン、浴槽排水栓、窓、窓枠、窓の桟、窓の床板、照明器具、すのこ、グレ−チング、排水目皿、排水ピット、排水籠、排水トラップ、トラップ封水筒、扉、扉枠、扉の桟、マット、石鹸置き、手桶、洗面器、風呂椅子、トランスファ−ボ−ド、収納棚、手すり、風呂蓋、タオル掛け、シャワ−チェア、洗面器置き台、換気扇、手すり、カウンター、洗面ボウル、タッチパネル、シ−ラント等の表面に塗工し、加熱架橋または室温架橋させることにより、本発明の防汚浴室部材を得ることができる。
コーティング剤の塗工方法には、特に限定はなく、ナイフコート、グラビアコート、ディップコート、スプレーコート、リップコート、刷毛塗りなど、各種の方法を用いることができる。
【0045】
塗工されたコーティング剤は、40〜300℃で数秒〜数週間、風乾または加熱し、架橋反応を促進することにより、浴室部材と密着した、強靱で耐候性の高い防汚層を有する防汚浴室部材を得ることができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明する。
【0047】
(合成例A1)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ(株)製「サイラプレーンFM−0721」)45g、4−ヒドロキシブチルアクリレート25g、アクリル酸3g、ノルマルブチルメタクリレート27g、メチルエチルケトン(MEK)200gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを加えて2時間重合を行い重量平均分子量約23,000の重合体(A1)溶液を得た。
【0048】
(合成例A2)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ(株)製「サイラプレーンFM−0721」)85g、4−ヒドロキシブチルアクリレート10g、アクリル酸1g、ノルマルブチルメタクリレート4g、メチルエチルケトン(MEK)200gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを加えて2時間重合を行い重量平均分子量約28,000の重合体(A2)溶液を得た。
【0049】
(合成例A3)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ(株)製「サイラプレーンFM−0721」)0.1g、4−ヒドロキシブチルアクリレート20g 、アクリル酸1g、ノルマルブチルメタクリレート78.9g、メチルエチルケトン(MEK)200gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを加えて2時間重合を行い重量平均分子量約23,000の重合体(A3)溶液を得た。
【0050】
(合成例A4)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ(株)製「サイラプレーンFM−0721」)55g、4−ヒドロキシブチルアクリレート5g、アクリル酸3g、ノルマルブチルメタクリレート37g、メチルエチルケトン(MEK)200gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを加えて2時間重合を行い重量平均分子量約26,000の重合体(A4)溶液を得た。
【0051】
(合成例A5)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ(株)製「サイラプレーンFM−0721」)45g、4−ヒドロキシブチルアクリレート25g、ノルマルブチルメタクリレート30g、メチルエチルケトン(MEK)200gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル2.0gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを加えて2時間重合を行い重量平均分子量約26,000の重合体(A5)溶液を得た。
【0052】
(合成例B1)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート25g、メチルメタクリレート41g、ブチルアクリレート32g、アクリル酸2g、メチルエチルケトン(MEK)100gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル0.2gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.1部を加えて2時間重合を行い重量平均分子量約82,000、ガラス転移温度(Tg)30℃の重合体(B1)溶液を得た。
【0053】
(合成例B2)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート10g、メチルメタクリレート52.6g、ブチルアクリレート35.4g、アクリル酸2g、メチルエチルケトン(MEK)100gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル0.2gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.1部を加えて2時間重合を行い重量平均分子量約85,000、ガラス転移温度(Tg)30℃の重合体(B2)溶液を得た。
【0054】
(合成例B3)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート25g、メチルメタクリレート43g、ブチルアクリレート32g、メチルエチルケトン(MEK)100gを冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル0.2gを加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.1部を加えて2時間重合を行い重量平均分子量約83,000、ガラス転移温度(Tg)30℃の重合体(B3)溶液を得た。
【0055】
(実施例1〜3、比較例1〜5)
得られた重合体(A)溶液及び重合体(B)溶液の固形分換算で表1に示した重量と、所定量の架橋剤(C)を混合し、さらにメチルイソブチルケトン(MIBK)を加えて固形分濃度40重量%のコーティング剤を得た。
上記方法で作製されたコーティング剤をグラビアコーターにてポリエチレンテレフタレート(PET)製浴室壁材に乾燥膜厚20μmとなるように塗工し、100℃5分間熱風乾燥を行い、続いて50℃で7日間熱処理を行って防汚浴室壁材を得た。
【0056】
【表1】

【0057】
得られた防汚浴室壁材について、初期撥水性、1ヶ月浴室内で使用後の防汚性および撥水性を下記の方法で評価した。結果を表2に示す。
[評価方法]
初期撥水性:熱処理して得られた防汚浴室壁材表面の水との接触角を測定し撥水性を評 価した。
(接触角が小さいほど撥水性が良好であることを示す。)
防汚性:浴室壁材としての防汚性を評価するために、得られた防汚浴室壁材を浴室内に設置し、1ヶ月使用後の表面状態を観察し、水垢などの汚れの付着状況と流水での水垢の落ちやすさを5段階で評価した。
5:水垢などの汚れの付着が全くない
4:水垢などの汚れの付着が目視で少量確認できるが、流水で容易に汚れを除去出来る。
3:水垢などの汚れの付着が目視で多量確認できるが、流水で容易に汚れを除去出来る。
2:水垢などの汚れの付着が目視で多量確認できるが、流水中スポンジでこすると汚れ が除去出来る。
1:水垢などの汚れの付着が目視で多量確認でき、流水中スポンジでこすっても汚れが 除去できない。
上記評価基準のうち、3以上が防汚性良好と判定できる。
経時後の撥水性:防汚性と同様に浴室内で1ヶ月使用後の浴室壁材表面の水との接触角 を測定し撥水性を評価した。
【0058】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室部材の表面に、エチレン性不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)0.5〜84.9重量%、エチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)15〜50重量%、エチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する(a)、(b)以外の単量体(c)0.1〜5重量%、およびエチレン性不飽和二重結合を有する(a)、(b)、および(c)以外の単量体(d)0〜84.4重量%からなる重合体(A)と、エチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)15〜50重量%、エチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する(a)、(b)以外の単量体(c)0.1〜5重量%、およびエチレン性不飽和二重結合を有する(a)、(b)、および(c)以外の単量体(d)45〜84.9重量%からなる重合体(B)と、重合体(A)及び重合体(B)中の架橋性官能基と反応可能な反応性官能基を有する架橋剤(C)とからなるコーティング剤から形成される防汚層を有する防汚浴室部材。
【請求項2】
単量体(b)の架橋性官能基がヒドロキシル基であることを特徴とする請求項1記載の防汚浴室部材。
【請求項3】
単量体(c)の酸性官能基がカルボキシル基であることを特徴とする請求項1または2記載の防汚浴室部材。
【請求項4】
重合体(A)を構成する単量体(a)の量が、重合体(A)および重合体(B)を構成する単量体の合計100重量%中0.05〜10重量%であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の防汚浴室部材。
【請求項5】
エチレン性不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)0.5〜84.9重量%、エチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)15〜50重量%、エチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する(a)、(b)以外の単量体(c)0.1〜5重量%、およびエチレン性不飽和二重結合を有する(a)、(b)、および(c)以外の単量体(d)0〜84.4重量%からなる重合体(A)と、エチレン性不飽和二重結合と架橋性官能基を有する(a)以外の単量体(b)15〜50重量%、エチレン性不飽和二重結合と酸性官能基を有する(a)、(b)以外の単量体(c)0.1〜5重量%、およびエチレン性不飽和二重結合を有する(a)、(b)、および(c)以外の単量体(d)45〜84.9重量%からなる重合体(B)と、重合体(A)及び重合体(B)中の架橋性官能基と反応可能な反応性官能基を有する架橋剤(C)とからなるコーティング剤を浴室部材表面に被覆し、加熱架橋することで防汚層を形成させることを特徴とする防汚浴室部材の製造方法。


【公開番号】特開2007−224189(P2007−224189A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48084(P2006−48084)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】