説明

α,α−ジ置換環状含窒素化合物の製造方法

【課題】α位が置換されている環状含窒素化合物の置換基が導入されている側のα位にさらに置換基を導入すること。
【解決手段】窒素がシアノ基で保護されたα−置換環状含窒素化合物を、有機溶媒中で電極酸化して、窒素がシアノ基で保護されたα,α−ジ置換環状含窒素化合物を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状含窒素化合物に対し位置特異的に置換基を導入する方法に関する。詳細には、α位に置換基が導入された環状含窒素化合物に対し、置換基が導入されたα位特異的にさらに置換基を導入して、α,α−ジ置換環状含窒素化合物を合成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記式のように、従来よく用いられるアミノ保護基(例えば、メトキシカルボニル基、Cbz基、Boc基、ベンゾイル基、トシル基等)でアミノ基が保護されたα−置換環状含窒素化合物を、メタノール中で電極酸化すると、置換されていない側のα位にメトキシ基が導入されることは良く知られている(非特許文献1〜6参照)。
【0003】
【化1】

【0004】
【化2】

【0005】
【化3】

【0006】
【化4】

【0007】
【化5】

【0008】
【化6】

【0009】
一方、下記式に示す双環性アミンを除いて、置換された側のα位にメトキシ基が導入された例は知られていない(非特許文献7〜8参照)。
【0010】
【化7】

【0011】
【化8】

【0012】
【非特許文献1】T.Shono,Y.Matsumura,K.Tsubata,J.Am.Chem.Soc.,103,1172−1176(1981).
【非特許文献2】T.Shono,Y.Matsumura,K.Tsubata,Y.Sugihara,S.Yamane,T.Kanazawa,T.Aoki,J.Am.Chem.Soc.,104,6697−6703(1982).
【非特許文献3】T.Shono,Y.Matsumura,K.Tsubata,K.Uchida,T.Kanazawa,K.Tsuda,J.Org.Chem.,49,3711−3716(1984).
【非特許文献4】Y.Matsumura,K.Ogura,Y.Kouchi,F.Iwasaki,O.Onomura,Org.Lett.,8,3789−3792(2006).
【非特許文献5】G.Sunikumar,D.Nagamani,N.P.Argade,K.N.Ganesh,Synthesis,2304−2306(2003).
【非特許文献6】T.Shono,Y.Matsumura,T.Kanazawa,M.Habuka,K.Uchida,K.Toyoda,J.Chem.Res.M,2876−2889(1984).
【非特許文献7】H.Dhimane,C.Vanucci,T.Maki,G.Lhommet,Tetrahedron Lett.,38,1415−1418(1997).
【非特許文献8】O.Onomura,Y.Ishida,T.Maki,D.Minato,Y.Demizu,Y.Matsumura,Electrochemistry,74,645−648(2006).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、環状含窒素化合物に対してα位特異的に置換基を導入する方法を提供することである。詳細には、α位に置換基を有する環状含窒素化合物に対し、置換基を有する側のα位特異的にさらに置換基を導入して、α,α−ジ置換環状含窒素化合物を合成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、α−置換環状含窒素化合物の環構成原子である窒素をシアノ基で保護した化合物を、有機溶媒中で電極酸化すると、既に置換基を有するα位側にさらに置換基を導入できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]窒素がシアノ基で保護されたα−置換環状含窒素化合物を、有機溶媒中で電極酸化して、窒素がシアノ基で保護されたα,α−ジ置換環状含窒素化合物を製造する方法。
[2]有機溶媒が、式:ROH(式中、Rは、置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアシル基を示す)で表される化合物を含んでなる有機溶媒である、[1]記載の方法。
[3]窒素がシアノ基で保護されたα−置換環状含窒素化合物が、式(I)
【0016】
【化9】

【0017】
(式中、
nは、0〜4の整数を示し、
は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアシル基または置換されていてもよいアリール基を示す)
で表される化合物(以下、化合物(I)と記載する場合がある)であり、
有機溶媒が、式:ROH(式中、Rは、[2]と同義を示す)で表される化合物を含んでなる有機溶媒であり、
窒素がシアノ基で保護されたα,α−ジ置換環状含窒素化合物が、式(II)
【0018】
【化10】

【0019】
(式中、n、RおよびRは、前記と同義を示す)
で表される化合物(以下、化合物(II)と記載する場合がある)である、[1]記載の方法。
[4]化合物(I)を、式:ROH(式中、Rは、[2]と同義を示す)で表される化合物を含んでなる有機溶媒中で電極酸化して、化合物(II)を製造し、次いでこの化合物を、酸の存在下、求核剤で処理して、式(III)
【0020】
【化11】

【0021】
(式中、nおよびRは、前記と同義を示し、Nuは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、シアノ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいカルバモイル基、アジド基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいヘテロアリール基または置換されていてもよいリン酸エステル基を示す)
で表される化合物(以下、化合物(III)と記載する場合がある)を製造する方法。
[5]化合物(I)を、式:ROH(式中、Rは、[2]と同義を示す)で表される化合物を含んでなる有機溶媒中で電極酸化して、化合物(II)を製造し、次いでこの化合物を、酸の存在下、求核剤で処理して、化合物(III)を製造し、次いでこの化合物のシアノ基を脱保護して、式(IV)
【0022】
【化12】

【0023】
(式中、n、RおよびNuは、前記と同義を示す)
で表される化合物(以下、化合物(IV)と記載する場合がある)を製造する方法。
[6]求核剤が、アリルトリメチルシラン、トリメチルシリルニトリル、酢酸イソプロペニル、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル類、シリルエノールエーテル類、マロン酸ジエステル類、アセト酢酸エステル類、フラン類、ベンゾフラン類、チオフェノール類、アルキルメルカプタン類、アルキルイソニトリル類、アリールイソニトリル類、メシチレン、トリエチルベンゼン、アニソール、ケテン、ジケテン、トリアルキル亜リン酸類またはフェノール類である、[4]または[5]に記載の方法。
[7]Rが、C1−6アルキル基である、[3]〜[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8]Rが、メチル基である、[2]〜[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9]化合物(II)を製造するための、化合物(I)の使用。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、従来合成が困難であった、α,α−ジ置換環状含窒素化合物を容易に製造することができる。
【0025】
本発明により製造が容易となる、α,α−ジ置換環状含窒素化合物は、医薬化合物の合成のための中間体化合物として有用である。従って、本発明により、α,α−ジ置換環状含窒素化合物を介して合成される医薬化合物を合成することが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本明細書中において使用する各置換基および各記号の定義は次の通りである。
【0027】
「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0028】
「アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖又は分枝鎖のC1−6アルキル基が挙げられる。
【0029】
「アルケニル基」としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基等の直鎖又は分枝鎖のC2−6アルケニル基が挙げられる。
【0030】
「アルキニル基」としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、1−ヘキシニル基等の直鎖または分枝鎖のC2−6アルキニル基が挙げられる。
【0031】
「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基(すなわち、C3−6シクロアルキル基)、シクロへプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基等のC3−8シクロアルキル基が挙げられる。
【0032】
「アリール基」としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アンスリル基等のC6−14アリール基が挙げられる。
【0033】
「アラルキル基」としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、ナフチルメチル基等のC7−14アラルキル基が挙げられる。
【0034】
「アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の直鎖または分枝鎖のC1−6アルコキシ基が挙げられる。
【0035】
「アルキルチオ基」としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基等の直鎖または分岐鎖のC1−6アルキルチオ基が挙げられる。
【0036】
「アシル基」としては、例えば、ホルミル基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C3−8シクロアルキル−カルボニル基、C6−14アリール−カルボニル基、カルバモイル基、C1−6アルキルスルホニル基などが挙げられる。ここで、「C1−6アルキル−カルボニル基」における「C1−6アルキル」、C1−6アルコキシ−カルボニル基における「C1−6アルコキシ」、C3−8シクロアルキル−カルボニル基における「C3−8シクロアルキル」、C6−14アリール−カルボニル基における「C6−14アリール」、C1−6アルキルスルホニル基における「C1−6アルキル」としては、それぞれ、上記「アルキル基」における「直鎖または分枝鎖のC1−6アルキル基」、「アルコキシ基」における「直鎖または分枝鎖のC1−6アルコキシ基」、「シクロアルキル基」における「C3−8シクロアルキル基」、「アリール基」における「C6−14アリール基」が例示される。
【0037】
「複素環基」としては、炭素原子以外に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含有する3〜12員の単環または2環の複素環基が挙げられ、芳香族基であっても非芳香族基であってもよい。例えば、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジニル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピリジル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、キヌクリジニル基、フラニル基等が挙げられる。
【0038】
「ヘテロアリール基」としては、「複素環基」のなかでも、炭素原子以外に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含有する、単環または2環の芳香族基が挙げられ、例えば、チエニル基、ピリジル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基等が挙げられる。
【0039】
「リン酸エステル基」としては、−PO(OR)OHまたは−PO(ORで表される基が挙げられ、Rとしては、上記「アルキル基」が挙げられる。
【0040】
は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアシル基または置換されていてもよいアリール基を示す。
で示される「置換されていてもよいアルキル基」の「アルキル基」および「置換されていてもよいアルケニル基」の「アルケニル基」が有していてもよい置換基としては、例えば、
(1)ハロゲン原子、
(2)ヒドロキシル基、
(3)複素環基、
(4)アルコキシカルボニル基、
(5)アリール基、
(6)アシル基
などが挙げられる。置換基の数は、例えば、1〜5、好ましくは1〜3であり、置換基の数が2以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0041】
で示される「置換されていてもよいアシル基」の「アシル基」が有していてもよい置換基としては、
(1)ハロゲン原子、
(2)アルコキシ基、
(3)芳香族基、
(4)置換されていても良いアミノ基、
(5)エーテル基
などが挙げられる。置換基の数は、例えば、1〜5、好ましくは1〜3であり、置換基の数が2以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0042】
で示される「置換されていてもよいアリール基」の「アリール基」が有していてもよい置換基としては、
(1)ハロゲン原子、
(2)アルコキシ基、
(3)アルキル基、
(4)アルケニル基、
(5)複素環基
などが挙げられる。置換基の数は、例えば、1〜5、好ましくは1〜3であり、置換基の数が2以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0043】
としては、C1−6アルキル基、C1−6アルケニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基またはハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基で置換されたC6−14アリール基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、メトキシカルボニル基、2−ブロモ−3−メトキシフェニル基が特に好ましい。
【0044】
は、置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアシル基を示す。
で示される「置換されていてもよいアルキル基」の「アルキル基」が有していてもよい置換基としては、Rで示される「置換されていてもよいアルキル基」の「アルキル基」が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
で示される「置換されていてもよいアシル基」の「アシル基」が有していてもよい置換基としては、Rで示される「置換されていてもよいアシル基」の「アシル基」が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
【0045】
としては、置換されていてもよいアルキル基が好ましく、C1−6アルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0046】
Nuは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、シアノ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいカルバモイル基、アジド基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいリン酸エステル基を示す。
【0047】
Nuで示される「置換されていてもよいアルキル基」の「アルキル基」、「置換されていてもよいアルケニル基」の「アルケニル基」、「置換されていてもよいアルキルチオ基」、の「アルキルチオ基」、「置換されていてもよいアリールチオ基」の「アリールチオ基」、「置換されていてもよいカルバモイル基」の「カルバモイル基」、「置換されていてもよいヘテロアリール基」、の「ヘテロアリール基」、「置換されていてもよいリン酸エステル基」の「リン酸エステル基」が有していてもよい置換基としては、Rで示される「置換されていてもよいアルキル基」の「アルキル基」が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
【0048】
Nuで示される「置換されていてもよいアシル基」の「アシル基」が有していてもよい置換基としては、Rで示される「置換されていてもよいアシル基」の「アシル基」が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
【0049】
本発明は、窒素がシアノ基で保護されたα−置換環状含窒素化合物を、有機溶媒中で電極酸化して、窒素がシアノ基で保護されたα,α−ジ置換環状含窒素化合物を製造する方法を提供する。
【0050】
本明細書中、「窒素がシアノ基で保護されたα−置換環状含窒素化合物」における「環状含窒素化合物」とは、環構成原子として炭素原子以外に1個以上の窒素原子を含有する(さらに酸素原子および硫黄原子から選択される1個以上のヘテロ原子を含有していてもよい)環状の化合物、すなわち含窒素複素環式化合物を示す。
【0051】
該化合物は単環であっても縮合環であってもよく、スピロ環であってもよい。また該化合物は飽和であっても不飽和であってもよい。このような環状含窒素化合物としては、窒素をシアノ基で保護することができ、かつ同じ側のα位(本明細書中、α位とは、シアノ基で保護された窒素原子に隣接する原子のことをいい、特にシアノ基に保護された窒素原子に隣接する炭素原子のことをいう)に置換基を2つ導入することが可能な限り特に限定されないが、例えば、環構成原子として炭素原子以外に1個以上の窒素原子を含有する3〜14員(単環、2環または3環式)の含窒素非芳香族複素環があげられる。
【0052】
このような「含窒素非芳香族複素環」としては、例えば、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、インドリン、イソインドリン、ピロリン、3−ヘキサヒドロシクロペンタ〔〕ピロリン、ホモピペリジン、ホモピペラジン、1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン等の3ないし8員の飽和あるいは不飽和の非芳香族複素環基等、あるいはジヒドロピリジン、ジヒドロピリミジン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン、1,2,3,4−テトラヒドロフタラジン、1,2,3,4−テトラヒドロプテリジンなどのような、含窒素芳香族単環式複素環又は含窒素芳香族縮合複素環の一部または全部の二重結合が飽和した含窒素非芳香族複素環等があげられる。
【0053】
このような環状含窒素化合物の環構成原子である窒素原子の少なくとも1個は、シアノ基で保護されている。該窒素原子をシアノ基で保護する方法としては、特に限定されず、自体公知の方法、例えば、Wiley−Interscience社1999年刊「Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.」(Theodora W.Greene,Peter G.M.Wuts著)に記載の方法などが用いられる。
【0054】
さらに、上記環状含窒素化合物のα位はモノ置換されており、そのような置換基としては、後述の反応が進行する限り特に限定されない。
また当該「置換基」は、単独の置換基のみならず、環状含窒素化合物が2環または3環のような場合、α位の原子を構成原子として形成される環(またはその一部)をも含むものである。
当該置換基として好ましくは、例えば置換されていてもよい炭化水素基が挙げられる。
【0055】
上記「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基等が挙げられる。
【0056】
「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」が有していてもよい置換基としては、例えば、
(1)ハロゲン原子、
(2)ヒドロキシ基
(3)アルキル基、
(4)アルケニル基、
(5)アルキニル基、
(6)シクロアルキル基、
(7)アリール基、
(8)アラルキル基、
(9)アシル基、
(10)複素環基、
等が挙げられる。置換基の数は、例えば、1〜5、好ましくは1〜3であり、置換基の数が2以上の場合、各置換基は同一又は異なっていてもよい。
【0057】
このような「窒素がシアノ基で保護されたα−置換環状含窒素化合物」としては、好ましくは化合物(I)が挙げられる。
【0058】
化合物(I)は、種々の塩を形成することができる。本発明の化合物(I)の「誘導体」は、かかる化合物をも包含する。
化合物(I)の塩としては、例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩等があげられる。
【0059】
金属塩の好適な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩等があげられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、トロメタミン〔すなわち、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン〕、tert−ブチルアミン等との塩があげられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩があげられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等との塩があげられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチン等との塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸等との塩があげられる。
【0060】
化合物(I)は水和物および非水和物のいずれであってもよい。化合物(I)の水和物としては、例えば、0.5水和物、1水和物、1.5水和物および2水和物等があげられる。また、自体公知の溶媒との溶媒和物であってもよい。
【0061】
化合物(I)に光学異性体が存在し得る場合、これら個々の光学異性体およびそれらの混合物のいずれもが本発明の範囲に包含され、所望によりこれらの異性体をそれ自体公知の手段に従って光学分割することができる。また、これらの異性体を個別に製造することもできる。
化合物(I)が、コンフィギュレーショナルアイソマー(立体配置異性体)、ジアステレオマー、コンフォーマー等として存在する場合には、所望により、公知の分離、精製手段によりそれぞれを単離することができる。
化合物(I)に立体異性体が存在する場合には、この異性体が単独の場合およびそれらの混合物の場合も本発明に含まれる。
また、化合物(I)が光学活性体の混合物(例えば、ラセミ体)として得られる場合には、自体公知の光学分割手段により目的とする(R)体、(S)体に分離することができる。
化合物(I)は同位元素(例、H、14C、35S)などで標識されていてもよい。
本発明の化合物(I)の「誘導体」は、上記の水和物、溶媒和物、立体異性体、光学異性体等の種々の化合物をも包含する。
【0062】
本発明の化合物(I)としては、
nが、0〜3の整数を示し、
が、C1−6アルキル基、C1−6アルケニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基またはハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基で置換されたC6−14アリール基を示す
化合物(I)が好ましい。
【0063】
また、nが、0〜3の整数を示し、
が、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、メトキシカルボニル基または2−ブロモ−3−メトキシフェニル基を示す
化合物(I)がより好ましい。
【0064】
本発明は、窒素がシアノ基で保護されたα−置換環状含窒素化合物(好ましくは、化合物(I))を、有機溶媒中で電極酸化することを特徴とする。
【0065】
有機溶媒としては、電極酸化反応が進行する限り特に限定されず、自体公知の有機溶媒が用いられるが、このような溶媒としては、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、エステル類、エーテル類、脂肪族ハロゲン炭化水素類、アルコール類、アミド類、有機酸類、水などが挙げられる。これらは単独の溶媒であってもよいし、2種以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
【0066】
なかでも、本発明の有機溶媒としては、式:ROH(式中、Rは、置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアシル基を示す)で表される化合物を含んでなる有機溶媒が好ましく用いられる。また、Rが、C1−6アルキル基である化合物(すなわち、C1−6アルコール)を含んでなる有機溶媒がより好ましく、Rがメチル基である化合物(すなわち、メタノール)を含んでなる有機溶媒が特に好ましい。有機溶媒の使用量は、化合物(I)1gに対して3mL〜100mL、好ましくは5mL〜30mLである。
【0067】
本明細書中、電極酸化とは、基質の電子を陽極へ移動させることで化合物を酸化する方法のことをいう。
【0068】
当該電極酸化に適用される材料や反応条件は、「窒素がシアノ基で保護されたα−置換環状含窒素化合物」の種類、量、有機溶媒の種類などによって変化するが、当業者であれば適宜決定することが可能である。
例えば、電極酸化に適用される電極の電極材質としては、反応が進行する限り特に限定されず、自体公知の電極材質が用いられるが、白金板、金板、カーボンファイバー、グラファイト、グラッシーカーボン、カーボンフェルトが好ましく、白金板、カーボンファイバー、グラファイト、グラッシーカーボンが特に好ましい。また、有機溶媒に添加される電解質としては、反応が進行する限り特に限定されず、自体公知の電解質が用いられるが、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロアンチモン、テトラ−n−ブチルアンモニウムヘキサフルオロアンチモン、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラ−n−ブチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、テトラエチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、テトラエチルアンモニウムパークロレートが好ましく、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、テトラ−n−ブチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、テトラエチルアンモニウムパークロレートが特に好ましい。
【0069】
さらに、電極酸化における電圧や電流は、それらを過度に大きな値に設定するとその値に応じて発生するジュール熱が大きくなる。電極酸化生成物は熱的に比較的不安定であるため、電解液の温度が除熱により充分−80℃〜30℃に保たれるように電圧や電流の値を設定する。反応の進行は、電流値、反応のスケールと基質の酸化しやすさに応じて変化するので、理論的な2電子酸化に必要な2F/モルに相当するクーロン量の電気を通電した後は、通常の反応モニター法によって原料の消失と目的酸化物の生成を確認しながら、反応時間を設定する。その結果、反応時間は通常15分〜72時間、好ましくは15分〜24時間である。
【0070】
上記反応を経て、「窒素がシアノ基で保護されたα,α−ジ置換環状含窒素化合物」を製造することができる。
【0071】
本明細書中、「窒素がシアノ基で保護されたα,α−ジ置換環状含窒素化合物」における「α,α−ジ置換環状含窒素化合物」とは、同じα位に置換基を有するα,α−ジ置換環状含窒素化合物を意味する。また、「α,α−ジ置換環状含窒素化合物」における「環状含窒素化合物」としては、上記「窒素がシアノ基で保護されたα−置換環状含窒素化合物」における「環状含窒素化合物」と同様のものが例示される。
なお上記反応においては、α,α−ジ置換環状含窒素化合物と同時に、異なるα位に置換基を有するα,α−ジ置換環状含窒素化合物も合成され得るが、本明細書中、この異なるα位に置換基を有するα,α−ジ置換環状含窒素化合物のことを「α,α’−ジ置換環状含窒素化合物」と称する。本発明において、α,α−ジ置換環状含窒素化合物とα,α’−ジ置換環状含窒素化合物とのモル比は、50:50〜100:0であり、好ましくは70:30〜100:0であり、さらに好ましくは85:15〜100:0である。
【0072】
すなわち上記反応は、α位に置換基を有する「α−置換環状含窒素化合物」に対し、置換基を有する側のα位特異的にさらに置換基を導入して、同じα位に置換基を有するα,α−ジ置換環状含窒素化合物を効率的に合成する反応である。
【0073】
上記反応で得られる、窒素がシアノ基で保護されたα,α−ジ置換環状含窒素化合物は、反応混合物から自体公知の手段、例えば抽出、濃縮、中和、濾過、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、分取用高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、中圧分取液体クロマトグラフィー(中圧分取LC)等の手段を用いることによって単離・精製することができる。
【0074】
上記反応により、目的物が遊離の状態で得られる場合には、常法に従って塩に変換してもよく、また塩として得られる場合には、常法に従って遊離体または他の塩に変換することもできる。
【0075】
このような「窒素がシアノ基で保護されたα,α−ジ置換環状含窒素化合物」としては、好ましくは化合物(II)が挙げられる。
【0076】
本発明の化合物(II)の「誘導体」は、化合物(I)で説明したものと同様に、化合物(II)の塩、水和物、溶媒和物、立体異性体、光学異性体等の種々の化合物をも包含する。
【0077】
本発明の化合物(II)としては、
nが、0〜3の整数を示し、
が、C1−6アルキル基、C1−6アルケニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基またはハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基で置換されたC6−14アリール基を示し、
が、C1−6アルキル基を示す
化合物(II)が好ましい。
【0078】
また、nが、0〜3の整数を示し、
が、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、メトキシカルボニル基または2−ブロモ−3−メトキシフェニル基を示し、
が、メチル基を示す
化合物(II)がより好ましい。
【0079】
すなわち一の態様において、本発明は、化合物(I)を、式:ROH(式中、Rは、前記と同義を示す)で表される化合物を含んでなる有機溶媒中で電極酸化して、化合物(II)を製造する方法を提供するものである。
【0080】
別の態様において、本発明は、化合物(I)から得た化合物(II)を求核置換反応に付して、化合物(III)を製造する方法を提供する。
具体的には、化合物(III)を製造する方法は、
工程(a):化合物(I)を、式:ROH(式中、Rは、前記と同義を示す)で表される化合物を含んでなる有機溶媒中で電極酸化して、化合物(II)を製造する工程、及び
工程(b):化合物(II)を、酸の存在下、求核剤で処理して、化合物(III)を製造する工程
を含む。
【0081】
工程(a)については、前記したとおりである。
【0082】
工程(b)は、得られた化合物(II)を、酸の存在下、求核剤で処理して、化合物(III)を製造する工程である。
具体的には、化合物(II)のα位に導入した式:−ORで表される基を、酸存在下における求核置換反応に付して、化合物(III)を製造する工程である。
【0083】
本工程で使用可能な酸としては、当該反応が進行する限り特に限定されないが、ギ酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などのブレンステッド酸、またはBF・EtO、TiCl、AlCl、SnCl、Ti(Oi−Pr)、InCl、Dy(OTf)、Yb(OTf)、Sc(OTf)、La(OTf)、Eu(OTf)、Cu(OTf)、Zn(OTf)などが挙げられ、これらは求核剤の種類、量などによって当業者が適宜決定することが可能である。
【0084】
前記の酸存在下において、化合物(II)を求核剤で処理する。本発明における「求核剤」としては、そのものが求核剤として機能するものに加え、酸存在下で求核剤としての機能を有する化学種も含まれる。
求核剤としては、例えばアリルトリメチルシラン、トリメチルシリルニトリル、酢酸イソプロペニル、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル類、シリルエノールエーテル類、マロン酸ジエステル類、アセト酢酸エステル類、フラン類、ベンゾフラン類、チオフェノール類、アルキルメルカプタン類、アルキルイソニトリル類、アリールイソニトリル類、メシチレン、トリエチルベンゼン、アニソール類、ケテン、ジケテン、トリアルキル亜リン酸類、フェノール類が挙げられる。
【0085】
上記アルキルビニルエーテル類としては、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
上記シリルエノールエーテル類としては、トリメチルシリルビニルエーテル、α―トリメチルシリルオキシスチレンなどが挙げられる。
上記マロン酸ジエステル類としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニルなどが挙げられる。
上記アセト酢酸エステル類としては、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチルなどがが挙げられる。
上記フラン類としては、フラン、2−メチルフラン、フルフリルアルコール、フルフリルアセテートなどが挙げられる。
上記ベンゾフラン類としては、ベンゾフラン、2−メチルベンゾフラン、3−メチルベンゾフラン、4−メチルベンゾフランが挙げられる。
上記アルキルメルカプタン類としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタンなどが挙げられる。
上記アルキルイソニトリル類としては、メチルイソニトリル、エチルイソニトリル、ブチルイソニトリルなどが挙げられる。
上記アリールイソニトリル類としては、フェニルイソニトリル、p−トリルイソニトリルなどが挙げられる。
上記トリアルキル亜リン酸類としては、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイトなどが挙げられる。
上記アニソール類としては、o−ブロモアニソール、o−クロロアニソール、p−ブロモアニソール、p−クロロアニソールなどが挙げられる。
上記フェノール類としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、などが挙げられる。
【0086】
式(III)におけるNuとしては、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC2−6アルケニル基、置換されていてもよいC6−14アリール基、シアノ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいカルバモイル基、アジド基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいリン酸エステル基が好ましく、メチル基、エチル基、アリル基、フェニル基、シアノ基、メシチレニル基、フェニルチオ基、フラニル基、置換されたフラニル基がより好ましい。
【0087】
本工程で好ましく用いられる酸と求核剤との組み合わせとしては、例えば、
(1)TiClとアリルトリメチルシラン
(2)TiClとトリメチルシリルニトリル
(3)AlClとベンゼン
(4)AlClとo−ブロモアニソール
などが挙げられる。
【0088】
本工程による反応は、溶媒中で行っても無溶媒で行ってもよいが、通常、溶媒中で行われる。使用可能な溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、アニソール、トルエン、メシチレン、キシレン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。求核剤の使用量は、化合物(II)1モルに対して1モル〜100モル、好ましくは1モル〜5モルである。反応温度は、通常−80℃〜80℃、好ましくは−80℃〜40℃である。反応時間は、使用する試薬や溶媒の量、反応温度によっても異なるが、通常、0.5時間〜72時間、好ましくは、1時間〜24時間である。
【0089】
上記反応で得られる化合物(III)は、反応混合物から自体公知の手段、例えば抽出、濃縮、中和、濾過、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、分取用高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、中圧分取液体クロマトグラフィー(中圧分取LC)等の手段を用いることによって単離・精製することができる。
【0090】
上記反応により、目的物が遊離の状態で得られる場合には、常法に従って塩に変換してもよく、また塩として得られる場合には、常法に従って遊離体または他の塩に変換することもできる。
【0091】
本発明の化合物(III)の「誘導体」は、化合物(I)で説明したものと同様に、化合物(III)の塩、水和物、溶媒和物、立体異性体、光学異性体等の種々の化合物をも包含する。
【0092】
本発明の化合物(III)としては、
nが、0〜3の整数を示し、
が、C1−6アルキル基、C1−6アルケニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基またはハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基で置換されたC6−14アリール基を示し、
Nuが、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC2−6アルケニル基、置換されていてもよいC6−14アリール基、シアノ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいカルバモイル基、アジド基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいヘテロアリール基または置換されていてもよいリン酸エステル基を示す、
化合物(III)が好ましい。
【0093】
また、nが、0〜3の整数を示し、
が、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、メトキシカルボニル基または2−ブロモ−3−メトキシフェニル基を示し、
Nuが、メチル基、エチル基、アリル基、フェニル基、シアノ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいカルバモイル基、アジド基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいヘテロアリール基または置換されていてもよいリン酸エステル基を示す、
化合物(III)がより好ましい。
【0094】
さらに別の態様において、本発明は、化合物(I)から化合物(II)を経て得られた化合物(III)を脱シアノ化して、化合物(IV)を製造する方法を提供する。
具体的には、化合物(IV)を製造する方法は、
工程(a)、
工程(b)、及び
工程(c):化合物(III)のシアノ基を脱保護して、化合物(IV)を製造する工程
を含む。
【0095】
工程(a)および(b)については、前記したとおりである。
【0096】
工程(c)は、化合物(III)を脱シアノ化反応に付すことによって化合物(IV)を合成する工程である。
【0097】
化合物(III)の脱シアノ化反応としては、自体公知の脱シアノ化反応であって、化合物(IV)が得られるのであれば特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などによるアルカリ加水分解;塩酸水溶液、硫酸水溶液、臭化水素酸水溶液、臭化水素酸酢酸溶液などによる酸加水分解;ラネーニッケル触媒、パラジウム炭素触媒などを用いる水素化分解;酢酸水溶液中の亜鉛による還元;水素化リチウムアルミニウム、L−Selectrideなどのヒドリド還元剤による還元が挙げられる。なかでも、ラネーニッケル触媒、パラジウム炭素触媒などを用いる水素化分解が好ましい。
【0098】
上記脱シアノ化反応においては、当業者は、化合物(III)の種類、量などによって適宜反応条件を決定することが可能である。
【0099】
上記反応で得られる化合物(IV)は、反応混合物から自体公知の手段、例えば抽出、濃縮、中和、濾過、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、分取用高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、中圧分取液体クロマトグラフィー(中圧分取LC)等の手段を用いることによって単離・精製することができる。
【0100】
上記反応により、目的物が遊離の状態で得られる場合には、常法に従って塩に変換してもよく、また塩として得られる場合には、常法に従って遊離体または他の塩に変換することもできる。
【0101】
本発明の化合物(IV)の「誘導体」は、化合物(I)で説明したものと同様に、化合物(IV)の塩、水和物、溶媒和物、立体異性体、光学異性体等の種々の化合物をも包含する。
【0102】
本発明の化合物(IV)としては、
nが、0〜3の整数を示し、
が、C1−6アルキル基、C1−6アルケニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基またはハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基で置換されたC6−14アリール基を示し、
Nuが、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC2−6アルケニル基、置換されていてもよいC6−14アリール基、シアノ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいカルバモイル基、アジド基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいヘテロアリール基または置換されていてもよいリン酸エステル基を示す、
化合物(IV)が好ましい。
【0103】
また、nが、0〜3の整数を示し、
が、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、メトキシカルボニル基または2−ブロモ−3−メトキシフェニル基を示し、
Nuが、メチル基、エチル基、アリル基、フェニル基、シアノ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいカルバモイル基、アジド基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいヘテロアリール基または置換されていてもよいリン酸エステル基を示す、
化合物(IV)がより好ましい。
【0104】
化合物(IV)を中間体として用いることにより、種々の医薬化合物を合成することが可能となる。例えば、Xiao Dong et al., Tetrahedron Asymmetry (2006), 17(18), 2596-2598に挙げられるように、2−ヒドロキシルメチル−2−フェニルピペリジンは、NK1アンタゴニストIを合成するための中間体となりうる。
【実施例】
【0105】
以下、実施例を示してさらに具体的に本発明を説明する。以下は代表的な実施例を示すものでこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
【0106】
参考例1−1:シアノ化による(N−シアノ)α−置換環状含窒素化合物2の製造
α−環状含窒素化合物1(10mmol)と炭酸カリウム(12mmol)のアセトニトリル(30mL)溶液に臭化シアン(10mmol)を室温で滴下した。12時間攪拌後、反応液から不溶物を濾過により除き、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製して、(N−シアノ)α−置換環状含窒素化合物2を得た。
【0107】
参考例1−2:(N−シアノ)α−メトキシ体の置換反応による、(N−シアノ)α−置換環状含窒素化合物2の製造
【0108】
(1)2−フェニルピロリジン−1−カルボニトリル(化合物2c)の製造
【0109】
【化13】

【0110】
後述の方法で得られるα−メトキシ体3a(2mmol)とベンゼン(10mL)溶液に塩化アルミニウム(4mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に水を(10mL)をゆっくりと加え、有機層を分離した。水層からも酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、併せた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製してα−フェニル体2c(収率60%)を得た。
物性データは文献値と一致した。
【0111】
(2)2−アリルピペリジン−1−カルボニトリル(化合物2i)の製造
【0112】
【化14】

【0113】
後述の方法で得られるα−メトキシ体3d(2mmol)とアリルトリメチルシラン(4mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)溶液に四塩化チタン(0.2mmol)を加え、0℃で24時間撹拌した。反応液に水を(10mL)をゆっくりと加え、有機層を分離した。水層からも酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、併せた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製してα−アリル体2i(収率80%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 5.76 (m, 1H), 5.15(t, J=10.2Hz, 2H), 3.45 (d, J=4.2Hz, 1H), 3.06-2.93 (m, 2H), 2.58-2.51 (m, 1H), 2.35-2.29 (m, 1H), 1.85-1.58 (m, 4H), 1.47-1.34 (m, 2H).
13C NMR (100Hz, CDCl3) δ 133.2 (1C), 118.3 (1C), 116.9 (1C), 58.3 (1C), 50.9 (1C), 37.6 (1C), 29.5 (1C), 24.2 (1C), 23.0 (1C).
IR νcm-1 (neat):2942, 2859, 2209, 1644, 1445.
High Resolution Mass Spectrum [EI(+)]: m/z calcd for C9H14N2[M]+ 150.1157, found 150.1127.
【0114】
(3)2−フェニルピペリジン−1−カルボニトリル(化合物2j)の製造
【0115】
【化15】

【0116】
後述の方法で得られるα−メトキシ体3d(2mmol)のベンゼン(10mL)溶液に塩化アルミニウム(4mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に水を(10mL)をゆっくりと加え、有機層を分離した。水層からも酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、併せた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製してα−フェニル体2j(収率50%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ7.36 (s, 5H), 3.97 (d, J=7.8Hz, 1H), 3.56 (d, J=5.9Hz, 1H), 3.21 (t, J=7.8Hz, 1H), 1.94-1.52 (m, 5H), 1.50 (m, 1H).
13C NMR (400Hz, CDCl3) δ23.48 (1C), 24.35 (1C), 32.48 (1C), 51.44 (1C), 63.80 (1C), 117.41 (1C), 127.57 (2C), 128.66 (1C) 128.74 (2C), 138.78 (1C).
IR νcm-1 (neat): 2943, 2858, 2210, 1495, 1454, 1377, 1267.
High Resolution Mass Spectrum [EI(+)]: m/z calcd for C12H14N2[M]+ 186.1157, found 186.1132.
【0117】
(4)2−(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)ピペリジン−1−カルボニトリル(化合物2k)の製造
【0118】
【化16】

【0119】
後述の方法で得られるα−メトキシ体3d(2mmol)と2−ブロモアニソール(6mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)溶液に塩化アルミニウム(4mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に水を(10mL)をゆっくりと加え、有機層を分離した。水層からも酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、併せた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製してα−(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)体2k(収率90%)を得た。
Solid mp=104oC; 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.55 (s, 1H), 7.30 (d, J=6.8Hz, 1H), 6.90 (d, J=8.8Hz, 1H), 3.89 (s, 4H), 3.56 (d, J=8.8Hz, 1H), 3.19 (t, J=8.3Hz, 1H), 1.94-1.84 (m, 2H), 1.79-1.47 (m, 4H).
13C NMR (100Hz, CDCl3) δ156.1 (1C), 132.60 (2C), 132.4 (1C), 127.9 (1C), 117.2 (1C), 112.0 (1C), 62.8 (1C), 56.2 (1C), 51.5 (1C), 32.4 (1C), 24.3 (1C), 23.5 (1C).
IR νcm-1 (neat): 2926, 2855, 2209, 1605, 1501, 1458.
High Resolution Mass Spectrum [EI(+)]: m/z calcd for C13H15BrN2O [M]+ 294.0368, found 294.2431.
【0120】
(5)2−フェニルアザシクロヘプタン−1−カルボニトリル(化合物2m)の製造
【0121】
【化17】

【0122】
後述の方法で得られるα−メトキシ体3l(2mmol)とベンゼン(6mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)溶液に塩化アルミニウム(4mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に水を(10mL)をゆっくりと加え、有機層を分離した。水層からも酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、併せた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過した。濾液を濃縮し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製してα−フェニル体2m(収率56%)を得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ7.40-7.25 (m, 5H),4.42-4.37 (dd, J=5.7 and 6.0Hz, 1H),3.44 (m, 1H),3.30 (m, 1H),2.28-2.23 (m, 1H), 2.01-1.78 (m, 4H), 1.70-1.51 (m, 2H), 1.48-1.38 (m, 1H)
IR νcm-1 (neat): 2934.1, 2856.9, 2210.7, 1713.0, 1601.1, 1495.0, 1452.6
EA calcd for C13H16N2: C=77.96, H=8.05, N=13.99. Found: C=77.90, H=8.45, N=13.65
【0123】
上記参考例1−1および1−2により得られる(N−シアノ)環状含窒素化合物2は、表1−1〜1−2の通りである。
【0124】
【表1−1】

【0125】
【表1−2】

【0126】
上記参考例で得られた化合物2の物性データは、それぞれ以下の通りである。
【0127】
2−メチルピロリジン−1−カルボニトリル(化合物2b)
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ3.66(m, 1H), 3.47-3.40(m, 2H), 2.11-1.81(m, 3H), 1.53(m, 1H), 1.32(d, J=6.3Hz, 3H)
【0128】
2−メチルピペリジン−1−カルボニトリル(化合物2e)
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 3.43 (m, 1H), 3.09-2.98(m, 2H), 1.82-1.61(m, 5H), 1.41(m, 1H), 1.33(d, J=6.3Hz, 3H).
【0129】
2−エチルピペリジン−1−カルボニトリル(化合物2f)
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 3.42 (t, J=4Hz, 1H), 3.01 (t, J=6.3Hz 1H), 2.77 (t, J=6.3Hz, 1H), 1.82-1.56 (m, 5H), 1.38 (m, 1H), 0.99 (t, J=7.2Hz, 3H).
13C NMR (400Hz, CDCl3) δ10.39 (1C), 23.51 (1C), 24.68 (1C), 26.49 (1C), 29.90 (1C), 51.16 (1C), 60.58 (1C), 117.32 (1C).
IR νcm-1 (neat): 2966, 2214, 1446, 1383, 1223.
High Resolution Mass Spectrum [EI(+)]: m/z calcd for C14H18N2O [M]+ 138.1157, found 138.1162.
【0130】
2−プロピルピペリジン−1−カルボニトリル(化合物2g)
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 3.41 (m, 1H), 3.01 (m, 1H), 2.85 (m, 1H), 1.85-1.61 (m, 5H), 1.59-1.28 (m, 5H), 0.95 (t, J=6.9Hz, 3H)
【0131】
2−メトキシカルボニルピペリジン−1−カルボニトリル(化合物2h)
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 4.04 (m, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.47 (m, 1H), 3.29 (m, 1H), 2.10 (m, 1H), 1.92-1.64 (m, 5H)
【0132】
アザシクロヘプタン−1−カルボニトリル(化合物2l)
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 3.48-3.25 (m, 4H), 1.98-1.62 (m, 8H)
【0133】
実施例1:工程(a)
【0134】
実施例1−1
陽陰極ともグラファイト板を備えた筒型容器に(N−シアノ)環状含窒素化合物2(1mmol)とEtNBF(0.5mmol)のメタノール(6mL)溶液を入れ、電解温度を室温として撹拌しながら通電した。NMRまたはTLCで原料の消失を確認した後、メタノールを留去し、残渣を酢酸エチルに溶解して、不溶物を濾過により除いた。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製して、α位がさらに置換された(N−シアノ)α−置換環状含窒素化合物3を得た。位置異性体の存在はNMRで確認し、その比率はGC(Shinwa Chemical Industries, Ltd. HR-1, 0.25 mmφ x 25 m)により決定した。
【0135】
実施例1−2
実施例1−1で陽陰極としてグラファイト以外の電極材質を用いて、同様の反応を行った。(N−シアノ)環状含窒素化合物2として化合物2bを用いた場合の例を、表2−1に示す。
【0136】
【化18】

【0137】
【表2−1】

【0138】
実施例1−3
実施例1−1における電解温度を室温以外の温度に設定して、同様の反応を行った。(N−シアノ)環状含窒素化合物2として化合物2bを用いた場合の例を、表2−2に示す。
【0139】
【化19】

【0140】
【表2−2】

【0141】
実施例1−4
実施例1−1における電解質としてEtNBF以外の電解質を用いて、電解温度−60℃で同様の反応を行った。(N−シアノ)環状含窒素化合物2として化合物2eを用いた場合の例を、表2−3に示す。
【0142】
【化20】

【0143】
【表2−3】

【0144】
また、(N−シアノ)環状含窒素化合物2として化合物2bを用いた場合の例を、表2−4に示す。
【0145】
【化21】

【0146】
【表2−4】

【0147】
実施例1−5
実施例1−1における溶媒としてメタノール以外の溶媒を用いて、電解温度−60℃で同様の反応を行った。(N−シアノ)環状含窒素化合物2として化合物2eを用いた場合の例を、表2−5に示す。
【0148】
【化22】

【0149】
【表2−5】

【0150】
実施例1のそれぞれにおいて得られる(N−シアノ)α−置換環状含窒素化合物3を、代表的な分析結果と共に表3−1〜3−2に示す。
【0151】
【表3−1】

【0152】
【表3−2】

【0153】
上記化合物の物性データは、それぞれ以下の通りである。なお、NMRについては目的化合物の物性データを示し、他は混合物の物性データを示す。
【0154】
2−メチル−2−メトキシピロリジン−1−カルボニトリル(化合物3b)および2−メチル−5−メトキシピロリジン−1−カルボニトリル(化合物3b’)
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 3.50 (m, 2H), 3.29 (s, 3H), 2.27-1.91 (m, 3H), 1.78-1.74 (m, 1H), 1.62 (s, 3H).
13C NMR (100Hz, CDCl3) δ21.4 (1C), 22.8 (1C), 37.6 (1C), 50.1 (1C), 50.5 (1C), 94.7 (1C), 115.1 (1C).
IR νcm-1 (neat): 2986, 2890, 2220, 1713, 1487, 1383.
High Resolution Mass Spectrum [EI(+)]: m/z calcd for C7H12N2O [M]+ 140.0950, found 140.0904.
【0155】
2−フェニル−2−メトキシピロリジン−1−カルボニトリル(化合物3c)および2−フェニル−5−メトキシピロリジン−1−カルボニトリル(化合物3c’)
3c 1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 7.52-7.33 (m, 5H), 3.78 (m, 2H), 3.38 (s, 3H), 2.21-1.90 (m, 4H).
3c’ 1H NMR (300MHz, CDCl3) δ7.45-7.30 (m, 5H), 5.03-4.98 (m, 1H), 4.69-4.61 (m, 1H), 3.55 (s, 3H), 2.30-2.35 (m, 1H), 2.13-1.90 (m, 3H)
Mixture of 3c and 3c’ (ratio 60/40)
13C NMR (100Hz, CDCl3) δ 139.54 (1C), 139.33 (1C), 128.87 (2C), 128.81 (2C), 128.36 (2C), 128.15 (2C) 126.84 (2C), 126.31 (2C), 95.31 (1C), 95.21 (1C), 67.50 (1C), 65.88 (1C), 55.78 (1C), 51.45 (1C), 35.54 (1C), 33.56 (1C), 33.42 (1C), 24.76 (1C)
IR νcm-1 (neat): 2984.2, 2953.4, 2212.6, 1495.0, 1450.6, 1361.9
High Resolution Mass Spectrum [EI(+)]: m/z calcd for C12H14N2O [M]+ 202.1106, found 202.1083.
【0156】
2−メトキシ−2−メチルピペリジン−1−カルボニトリル(化合物3e)および6−メトキシ−2−メチルピペリジン−1−カルボニトリル(化合物3e’)
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 3.28 (s, 3H), 3.25 (t, J=3.6Hz, 2H), 1.90-1.56 (m, 6H), 1.54 (s, 3H). ).
13C NMR (100Hz, CDCl3) δ 118.2 (1C), 86.0 (1C), 50.9 (1C), 46.3 (1C), 36.5 (1C), 24.0 (1C), 22.4 (1C), 18.9 (1C).
IR νcm-1 (neat): 2948, 2215, 1715, 1449, 1385.
High Resolution Mass Spectrum [EI(+)]: m/z calcd for C8H14N2O [M]+ 154.1106 found 154.1085.
【0157】
2−エチル−2−メトキシピペリジン−1−カルボニトリル(化合物3f)および2−エチル−6−メトキシピペリジン−1−カルボニトリル(化合物3f’)
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 3.23 (s, 5H), 2.10 (m, 1H), 1.88-1.62 (m, 6H), 1.42 (m, 1H), 0.95 (t, J=7.8Hz, 3H).
13C NMR (100Hz, CDCl3) δ7.1 (1C), 18.7 (1C), 24.2 (1C), 27.1 (1C), 32.8 (1C), 46.7 (1C), 48.5 (1C), 88.0 (1C), 116.5 (1C).
IR νcm-1 (neat): 2946, 2211, 1676, 1447, 1375.
High Resolution Mass Spectrum [EI(+)]: m/z calcd for C9H16N2O [M]+ 168.1263, found 168.1249
【0158】
2−メトキシ−2−プロピルピペリジン−1−カルボニトリル(化合物3g)および6−メトキシ−2−プロピルピペリジン−1−カルボニトリル(化合物3g’)
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 3.27 (m, 2H), 3.23 (s, 3H), 2.00-1.70 (m, 6H), 1.63-1.30 (m, 4H).
IR νcm-1 (neat): 3254, 2969, 2876, 2222, 1713, 1674.
High Resolution Mass Spectrum [EI(+)]: m/z calcd for C10H18N2O [M]+ 182.1419, found 182.1345
【0159】
2−アリル−2−メトキシピペリジン−1−カルボニトリル(化合物3i)および2−アリル−6−メトキシピペリジン−1−カルボニトリル(化合物3i’)
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 5.77 (m, 2H), 5.18 (m, 4H), 4.59 (s, 1H), 3.44 (s, 3H), 3.30 (s, 3H), 3.26(s, 2H), 3.03 (quart, J=?Hz, 1H), 2.93 (s, 1H), 2.80 (dd, J=7.8 and 6.8Hz, 1H), 2.51 (m, 2H), 2.31 (s, 1H), 1.84-1.63 (m,8H), 1.51-1.37 (m, 4H).
IR νcm-1 (neat): 2946, 2215, 1738, 1644, 1445, 1377.
High Resolution Mass Spectrum [FAB(+)]: m/z calcd for C10H17N2O [M+H]+ 181.1263, found 181.1345
【0160】
2−メトキシ−2−フェニルピペリジン−1−カルボニトリル(化合物3j)および6−メトキシ−2−フェニルピペリジン−1−カルボニトリル(化合物3j’)
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.51 (d, J=3.9Hz, 2H), 7.42 (t, J=1.5Hz, 2H), 7.36 (dd, J=6.8 and 6.4Hz, 1H), 3.48 (m, 2H), 3.39 (s, 3H), 1.90-1.59 (m, 6H).
13C NMR (100Hz, CDCl3) δ 139.0 (1C), 128.8 (2C), 128.7 (1C), 126.5 (2C), 116.9 (1C), 91.3 (1C), 51.1(1C), 47.7 (1C), 40.1 (1C), 24.0 (1C), 19.5 (1C).
High Resolution Mass Spectrum [EI(+)]: m/z calcd for C13H16N2O [M]+ 216.1263, found 216.1237
【0161】
2−(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)−2−メトキシピペリジン−1−カルボニトリル(化合物3k)および2−(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)−6−メトキシピペリジン−1−カルボニトリル(化合物3k’)
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.65 (s, 1H), 7.42 (d, J=6.8Hz, 1H), 6.94 (d, J=8.8Hz, 1H), 3.91 (s, 3H), 3.57-3.49 (m, 2H), 3.37 (s, 3H), 1.90-1.61 (m, 6H).
13C NMR (100Hz, CDCl3) δ 156.1 (1C), 132.6 (1C), 131.5 (2C), 127.1 (1C), 116.7 (1C), 111.9 (1C), 90.5 (1C), 56.3 (1C), 51.1 (1C), 47.8 (1C), 39.8 (1C), 23.9 (1C), 19.5 (1C).
IR νcm-1 (neat): 2944, 2215, 1734, 1601, 1499, 1458.
High Resolution Mass Spectrum [FAB(+)]: m/z calcd for C14H18BrN2O2 [M+H]+ 325.2011, found 325.0521.
The ratio of 3k/3k’ was determined by NMR.
【0162】
2−メトキシ−2−フェニルアザシクロヘプタン−1−カルボニトリル(化合物3m)および7−メトキシ−2−フェニルアザシクロヘプタン−1−カルボニトリル(化合物3m’)
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 7.51-7.26 (m, 5H), 4.55-4.45 (m, 1H),4.26 (m, 1H), 3.57 (m, 1H), 3.36 (s, 3H), 3.35 (s, 3H),3.31-3.21 (m, 1H), 2.41-1.45 (m, 16H)
IR νcm-1 (neat): 2938, 2859, 2214, 1495, 1449, 1402
High Resolution Mass Spectrum [EI(+)]: m/z calcd for C14H18N2O [M]+ 230.1419 found 230.1414.
【0163】
上記の結果により、α位が置換された環状含窒素化合物の環構成原子である窒素の保護基をシアノ基にした化合物を有機溶媒中で電極酸化すると、既に置換基を有するα位特異的にさらに置換基を導入して、(N−シアノ)α,α−ジ置換環状含窒素化合物を容易に製造できることがわかった。
【0164】
参考例2
なお、以下の化合物は実施例1−1の方法に倣い製造した。
2−メトキシピロリジン−1−カルボニトリル(化合物3a)(化合物2aから収率98%で得られた)
【0165】
【化23】

【0166】
1H NMR (300MHz, CDCl3) a 4.90 (d, J=3.9Hz, 1H), 3.60 (t, J=4.2Hz, 1H), 3.44 (s, 3H), 3.35 (d, J=4.2Hz, 1H), 2.03-1.91 (m, 4H).
13C NMR (100Hz, CDCl3) a 116.3 (1C), 94.4 (1C), 55.5 (1C), 50.0 (1C), 32.5 (1C), 22.8 (1C).
IR νcm-1 (neat): 2272, 1773, 1750, 1734.
High Resolution Mass Spectrum [EI(+)]: m/z calcd for C6H10N2O [M]+ 126.0793, found 126.0762.
【0167】
2−メトキシピペリジン−1−カルボニトリル(化合物3d)(化合物2dから収率98%で得られた)
【0168】
【化24】

【0169】
1H NMR (300MHz, CDCl3) a 4.52-4.48 (m, 1H), 3.47 (s, 3H), 3.34 (t, J=6.6Hz, 1H), 3.18 (d, J=6.6Hz, 1H), 1.81-1.64 (m, 6H).
IR νcm-1 (neat): 2218, 1869, 1772, 1558, 669.
High Resolution Mass Spectrum [EI(+)]: m/z calcd for C7H12N2O [M]+ 140.0950, found 140.0983.
【0170】
2−メトキシアザシクロヘプタン−1−カルボニトリル(化合物3l)(化合物2lから収率88%で得られた)
【0171】
【化25】

【0172】
1H NMR (300MHz, CDCl3) a 4.49 (t, J=6.3Hz, 1H), 3.42 (s, 3H), 3.30-3.14 (m, 2H), 2.24 (m, 1H), 1.91-1.39 (m, 7H).
IR νcm-1 (neat): 2944, 2218, 1464, 1406, 1362
EA calcd for C8H14N2O: C=62.31, H=9.15, N=18.17. Found: C=62.21, H=9.20, N=18.31
【0173】
実施例2:工程(b)
【0174】
(1)2−メチルピペリジン−1,2−ジカルボニトリル(化合物4ep)の合成
【0175】
【化26】

【0176】
2−メチル−2−メトキシピペリジン−1−カルボニトリル(メトキシ体;化合物3e)3g(2mmol)とトリメチルシリルニトリル(4mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)溶液に四塩化チタン(2mmol)を加え、0℃で24時間撹拌した。反応液に水を(10mL)をゆっくりと加え、有機層を分離した。水層からも酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、併せた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過した。濾液を濃縮し、濾液を濃縮した。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製してシアノ体4ep(収率65%)を得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 3.47 (m, 1H), 3.38 (t, J=12.3Hz, 1H), 2.08-1.79 (m, 3H), 1.78 (s, 3H), 1.72-1.55 (m, 3H).
13C NMR (100Hz, CDCl3) d 118.09 (1C), 113.93 (1C), 55.18 (1C), 49.43 (1C), 36.55 (1C), 25.86 (1C), 23.71 (1C), 20.91 (1C)
IR νcm-1 (neat): 3655, 2992, 2224, 1738, 1633.
High Resolution Mass Spectrum [EI(+)]: m/z calcd for C8H11N3 [M]+ 149.0953, found 149.0944.
【0177】
(2)2−アリル−2−メチルピペリジン−1−カルボニトリル(化合物4eq)の合成
【0178】
【化27】

【0179】
2−メチル−2−メトキシピペリジン−1−カルボニトリル(メトキシ体;化合物3e)3g(2mmol)とアリルトリメチルシラン(4mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)溶液に四塩化チタン(2mmol)を加え、0℃で24時間撹拌した。反応液に水を(10mL)をゆっくりと加え、有機層を分離した。水層からも酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、併せた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過した。濾液を濃縮し、濾液を濃縮した。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製してアリル体4eq(収率65%)を得た。
1H NMR, (300MHz, CDCl3) δ 5.79 (m, 1H), 5.15 (m, 2H), 3.37 (m, 1H), 3.25 (t, J=5.1Hz, 1H), 2.53 (m, 1H), 2.42 (t, J=6Hz, 1H), 1.78-1.40 (m, 6H), 1.30 (s, 3H).
IR νcm-1 (neat): 3079, 2977, 2215, 1842, 1642, 1456
EA calcd for C10H16N2: C=73.13, H=9.82, N=17.06. Found: C=72.82, H=9.94, N=17.24
【0180】
(3)2−アリル−2−エチルピペリジン−1−カルボニトリル(化合物4fq)の合成
【0181】
【化28】

【0182】
2−エチル−2−メトキシピペリジン−1−カルボニトリル(メトキシ体;化合物3f)3g(2mmol)とアリルトリメチルシラン(4mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)溶液に四塩化チタン(2mmol)を加え、0℃で24時間撹拌した。反応液に水を(10mL)をゆっくりと加え、有機層を分離した。水層からも酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、併せた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過した。濾液を濃縮し、濾液を濃縮した。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製してアリル体4fq(収率68%)を得た。
1H NMR, (300MHz, CDCl3) δ 5.85-5.71(m, 1H), 5.19(m, 2H), 3.24(m, 2H), 2.48(m, 1H), 2.40(m, 1H), 1.82-1.41(m, 8H), 0.95(t, J=6.3Hz, 3H)
【0183】
実施例3:工程(c)
【0184】
2−メチル−2−プロピルピペリジンの合成
【0185】
【化29】

【0186】
2−アリル−2−メチルピペリジン−1−カルボニトリル(アリル体;化合物4fq)(1mmol)のメタノール溶液(1mL)溶液に5%Pd−C(1mg)を加え、1気圧の水素雰囲気下12時間撹拌した。反応液をセライト濾過後、濾液を濃縮して2−メチル−2−プロピルピペリジン(収率99%)を得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 3.31 (m, 1H), 3.21 (m, 1H), 1.81-1.32 (m, 10H), 1.27 (s, 3H), 0.94 (t, J=6.9Hz, 3H)
【産業上の利用可能性】
【0187】
本発明により、従来合成が困難であった、α,α−ジ置換環状含窒素化合物を容易に製造することができる。このα,α−ジ置換環状含窒素化合物は、医薬化合物の合成のための中間体化合物として有用なので、本発明により、α,α−ジ置換環状含窒素化合物を介して合成される医薬化合物を合成することが容易となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素がシアノ基で保護されたα−置換環状含窒素化合物を、有機溶媒中で電極酸化して、窒素がシアノ基で保護されたα,α−ジ置換環状含窒素化合物を製造する方法。
【請求項2】
有機溶媒が、式:ROH(式中、Rは、置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアシル基を示す)で表される化合物を含んでなる有機溶媒である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
窒素がシアノ基で保護されたα−置換環状含窒素化合物が、式(I)
【化1】


(式中、
nは、0〜4の整数を示し、
は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアシル基または置換されていてもよいアリール基を示す)
で表される化合物であり、
有機溶媒が、式:ROH(式中、Rは、請求項2と同義を示す)で表される化合物を含んでなる有機溶媒であり、
窒素がシアノ基で保護されたα,α−ジ置換環状含窒素化合物が、式(II)
【化2】


(式中、n、RおよびRは、前記と同義を示す)
で表される化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
式(I)
【化3】


(式中、nおよびRは、請求項3と同義を示す)
で表される化合物を、式:ROH(式中、Rは、請求項2と同義を示す)で表される化合物を含んでなる有機溶媒中で電極酸化して、式(II)
【化4】


(式中、n、RおよびRは、前記と同義を示す)
で表される化合物を製造し、次いでこの化合物を、酸の存在下、求核剤で処理して、式(III)
【化5】


(式中、nおよびRは、前記と同義を示し、Nuは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、シアノ基、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されていてもよいアリールチオ基、置換されていてもよいカルバモイル基、アジド基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいヘテロアリール基または置換されていてもよいリン酸エステル基を示す)
で表される化合物を製造する方法。
【請求項5】
式(I)
【化6】


(式中、nおよびRは、請求項3と同義を示す)で表されるα−置換環状含窒素アミン化合物を、式:ROH(式中、Rは、請求項2と同義を示す)で表される化合物を含んでなる有機溶媒中で電極酸化して、式(II)
【化7】


(式中、n、RおよびRは、前記と同義を示す)
で表される化合物を製造し、次いでこの化合物を、酸の存在下、求核剤で処理して、式(III)
【化8】


(式中、nおよびRは前記と同義を示し、Nuは、請求項4と同義を示す)
で表される化合物を製造し、次いでこの化合物のシアノ基を脱保護して、式(IV)
【化9】


(式中、n、RおよびNuは、前記と同義を示す)
で表される化合物を製造する方法。
【請求項6】
求核剤が、アリルトリメチルシラン、トリメチルシリルニトリル、酢酸イソプロペニル、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル類、シリルエノールエーテル類、マロン酸ジエステル類、アセト酢酸エステル類、フラン類、ベンゾフラン類、チオフェノール類、アルキルメルカプタン類、アルキルイソニトリル類、アリールイソニトリル類、メシチレン、トリエチルベンゼン、アニソール、ケテン、ジケテン、トリアルキル亜リン酸類またはフェノール類である、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
が、C1−6アルキル基である、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
が、メチル基である、請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(II)
【化10】


(式中、n、RおよびRは、請求項3と同義を示す)
で表される化合物を製造するための、式(I)
【化11】


(式中、nおよびRは、前記と同義を示す)
で表される化合物の使用。


【公開番号】特開2008−240106(P2008−240106A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84895(P2007−84895)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(504205521)国立大学法人 長崎大学 (226)
【Fターム(参考)】