説明

「高剛性複合材料管およびその製造方法」

本発明の目的は、第1材料の第1内管(10)の製作、複合材料で製作される等間隔で割り付けられた該第1管上への複数スぺーサーの配置(12)、これらスぺーサーの廻りの第2材料の少なくとも1本の第2管(14)の製作の段階が含まれ、第1および第2管の少なくともどちらかが繊維状コイルにより製作されることを特徴とする高剛性の管の加工方法である。本発明にはこうして得られる管もまた含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に印刷分野のフェルトロールのローラー支持材製造用に得られる複合材料管のような少なくとも一部が繊維状コイルの高剛性複合材料管の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維仕上げ加工といった新聞および/または包装の商業印刷の紙および/またはプラスチックの加工産業により、生産性の向上、すなわちマシンサイズおよびこれらの作業速度の増大が必要とされる。
【0003】
このようなマシンには、加工素材のリールの駆動あるいは誘導のためだけでなく、前記素材を塗装して、水分を搾り出して、押し伸ばしあるいは印刷してこの加工に関与するために利用される鉄枠本体およびローラーが主に含まれる。
【0004】
これらのローラーはスチールあるいはアルミニウムで製作されるが、これらの材料については加工品質が維持された生産の向上に必要な質量/慣性/剛性は限界に達している。
【発明の開示】
【0005】
炭素繊維に頼ると、これらの速度およびロール紙幅の制約に一部対応可能となる。
【0006】
例えば、フレクソ印刷では、速度は150〜250メートル/分を越えると同時に、ロール紙幅は900〜1200ミリを越える。
【0007】
新聞印刷用輪転機に関しては、これらが幅6頁分すなわち幅2000ミリにわたるとともに速度15メートル/秒で作動する。
【0008】
これに対して、炭素繊維ベースのローラー加工では、層全体について多くの段階が必要とされる繊維状コイルによる前記方法が専ら利用される。費用が上がると同時に製作納期の元となる単位あたりの通常の製作手間はローラーマシンのユーザーのニーズと両立しない。
【0009】
本発明により特定の実施形態の説明に関して取り上がられる例は、中でも特に、紙加工産業に、さらに特に、包装印刷に応用可能な複合材料のローラーの製作であるが、この一例により限定的なものとして見なされる得るものではない。
【0010】
このようなローラーは印刷フェルトロールを受入れるために用意される。この分野では、凸版支持材の変形により受入れがたい欠陥が早期に招かれると同時に、なかでも、極めて高速のマシン作業速度により重大な素材の損失が急激に引き起こされる。
【0011】
印刷の分野特にフレクソ印刷では、1枚あるいは複数の凸版を支持する色毎に1本のローラーが用意される。これらの活版によりインクが支持紙、厚紙、あるいはポリマーフィルム上に接触して置かれてインクローラーと接触する極めて精密な品質のインクが受入られる。
【0012】
凸版は一般的に複合材料で等しく製作可能なフェルトロール上に付け加えられる。
【0013】
筆触とも言われるこの接触は、従って、極めて精確であると同時に、凸版およびフェルトロールに関係する多くのパラメーターに依存する。この筆触は接触線のすべての点で絶対的に一様でなくてはならなく、これにより不測の場合の変形が微小な許容誤差未満に維持されるよう強制される。
【0014】
フェルトロールはマシンの一部をなすと同時に駆動手段に任せられるローラー支持材上に取付けられる。このローラーは一般的に中空であるとともに、変形特に負荷時の変形ならびにフェルトロールに完全に振り向けられかつ印刷品質に有害である遊星運動が制限されなくてはならないのでスチールで製作される。
【0015】
これらの欠点はこれらローラーの高回転速度により増幅される。同様にして、印刷の場合には、増大したロール紙幅によりたわみの増大も生ずる。
【0016】
さらに、これらスチール製のローラーにより重量が増すと同時にこれらの設置用の昇降手段も一般的に必要となる。
【0017】
ロール紙幅が狭い場合には、変形は接触圧効果のもとで生じるローラーの不均質な摩耗により主として引き起こされる。
【0018】
これらの問題の前にして、本発明は一部がコイルにより製作されて先行技術の不都合が緩和される高剛性の複合材料管の加工方法を提案するものである。
【0019】
本方法により得られる管のその他の利点は取り上げられる実施形態の中で明らかになろう。
【0020】
このため、本発明による高剛性管の加工方法は以下の段階が含まれることを特徴としている。すなわち、第1材料の第1内管の製作、該管上への等間隔で割り付けられる複合材料で製作されるスぺーサーの配置、ならびに第1および第2管の間にこれらのスぺーサーが維持されるように第1管に割り付けられるスぺーサー上に配置される第2材料の少なくとも第2管の製作である。
【0021】
ある改良例によると、特にスぺーサーが埋め込まれると同時にすき間が埋められるために2管の間に樹脂あるいは樹脂の混合物が導入される。
【0022】
これ以降に指摘される成果が得られるには、スぺーサーは押し出し引き抜きにより得られる極高弾性係数の炭素繊維をベースとした複合材料で製作される。
【0023】
好ましくは、スぺーサーは押出し引き抜きにより行われる極高弾性係数の炭素繊維から製作される平板断面から得られる。
【0024】
スぺーサーは第1管の外径および第2管の内径に応じて合わされる形状で製作されることも可能である。
【0025】
得られる複合管もまた本発明の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
次に本発明による方法が以下に示される概略図に関して詳細に説明される。すなわち、
【0027】
【図1A】
【図1B】本発明による管の第1実施形態透視図ならびに断面図の2図
【図2】適合されたスぺーサーを伴う第2実施形態の図
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1に関して、本発明による方法の実施結果が示された。
【0029】
この方法は高剛性の支持心板を伴う複合管の製作からなる。
【0030】
本方法は第1材料の第1内管10の製作、等間隔で割付けられる1方向すなわちこの第1管長手軸に従う複合材料で製作されるスぺーサー12の配置、第2材料の少なくとも第2管14のスぺーサー廻りの配置からなる。この第2材料は勿論、繊維状コイルにより製作される少なくともこれら2管の1つである第1管と同一であり得る。
【0031】
さらに、特に、スぺーサーは押出し引き抜きによる炭素繊維から製作される。
【0032】
第1実施形態によると、第1および第2の2管は同じく炭素繊維をベースにした同一材料で製作される。
【0033】
これらの管の少なくとも片方は繊維状コイルにより製作され、もう一方は実質的に業界で入手可能な押出し引き抜きあるいは全く別の手段により製作される。
【0034】
第1実施形態ではスぺーサーは炭素繊維をベースとした複合材料の平板断面から切り取られ、これらのスぺーサーの厚みと幅はコイルにより製作される同軸の2管の間の自由空間に合わされる。
【0035】
組立は2本の第1および第2の管(10,14)間にこれらスぺーサー12を挿入して得られる。
【0036】
第1管がコイルにより製作される場合には、スぺーサーは該第1管上に割り付けられると同時に、すべての適合手段、特に第1コイルの残留樹脂によりこれに接合される。少なくとも最初の同軸連続が得られるよう、その後、予め作られる第2管がスぺーサー上にはめ込まれる。
【0037】
第1管が予め作られる場合には、スぺーサーがこの第1管上に割り付けられた後、第2管はスぺーサーの固定と第2管の構成が同時に確保される繊維状コイルにより製作される。
【0038】
第3の解決策は繊維状コイルにより第1管と第2管の2本の管が製作されることからなる。この場合には、コイルにより第1管が製作され、スぺーサーが配置されると同時にスぺーサー上に第2管が製作される。
【0039】
これらのスぺーサーの配置は、管の加工の確保形態がどうであれ対称である必要があるが、求められる剛性に応じて変化させることが可能である。
【0040】
このように、スぺーサーは自由空間一杯まであるいは一定割付に従い自由空間が残されたまま配置され得る。
【0041】
従って、剛性は調節されると同時に用途に応じて補強が可能である。
【0042】
管中間の空間のスぺーサーの固定が可となるよう本方法にはこれら2管の間に必要に応じた樹脂注入あるいは樹脂混合の段階が用意され、該樹脂により2管の完全な回転連結も等しく確保されつつスぺーサーが埋め込まれると同時にすき間が埋められる。
【0043】
ここでポリマーの問題であるので樹脂という用語が利用されるが、最終的な働きである糊と言われることも当然あり得る。用語、樹脂は必ずしも限定的なものとして見なされる必要はない。
【0044】
こうして得られる管は特に均質である。この第1実施形態では、管重量が最小化されるだけでなく、得られる特性値は驚くべきものであるとともに極めて魅力的な値に達する。
【0045】
本発明で説明されるスぺーサーは商品名Carbolam THM 400のもとで市販されているいわゆる極高弾性係数の炭素繊維から押出し引き抜きにより製作される。
【0046】
この繊維により、本発明による構成に伴う例外的な特性が達成可能になる。
【0047】
このように、本発明による方法により全てが炭素で得られる管は、350GPaに達する1.7倍の弾性係数Eの割りには同一のスチール管より5倍も軽い重量である。
【0048】
図2の場合には、実施形態はスぺーサー12-1が型取られて押出し引き抜きされることからなる。この型は管10-1および14-1間に設けられる管中間の空間に合うように内径および外径に応じて最適化されなくてはならない。
【0049】
2管の製作は本発明の方法に合わされ、すなわち、2管の少なくともどちらかは繊維状コイルにより製作される。
【0050】
この場合には素材の充填が最適化されるとともに樹脂量はその最小値まで減らされる。スぺーサーと管外皮との間の接触面がさらに増加するので、第1実施形態例の場合よりも尚一層容易に樹脂の存在が無くされてしまうことが当然可能である。さらに、第2管のコイル巻時には、樹脂がスぺーサー間の管中間空間に軽く流れ込み得る。
【0051】
すべてが炭素の管の場合には、外面は、遊星運動が減少する直径の獲得のため高精度でかつ同一許容値内の矯正が可能となる表面樹脂の塗布が可能であることが注目される。
【0052】
本発明による方法の利点は少なくとも1本の内管および押出し引き抜き炭素で製作される管中間の空間内のスぺーサーにより支持材の製作が可能である点である。
【0053】
外管の材料に関しては、ユーザーにより、完成製品の特性が著しく損なわれることなくその性質が選択され得る。実際、1本だけの内管がコイルで製作される場合には、外管は第1管上に配置されるスぺーサー上にはめ込まれる予め作られた金属であって良い。
【0054】
本発明の方法により製作される管が他と競合可能であるもう1つの問題は不均一摩耗による変形である。メートル程度の狭い紙幅の場合には、管の母線に作用する大きな応力はその不均一摩耗に向けられる。
【0055】
スぺーサーにより管の断面の剛性の獲得並びに円形断面の保持が可能となる。
【0056】
たとえたわみがそれほど重要でないパラメーターであっても、多かれ少なかれ密な溝切りが形成されるスぺーサーと一体の構成により、応力下のこれらの変形が補償される得ることになる。
【0057】
このように、用途に応じて、スぺーサーの数と配置、よりコストが安く満足すべき結果となるような形態の調整が可能である。
【0058】
本発明による管は回転機械類の場合に発生するノイズ振動の問題が解決されることにも寄与する。指摘されたように、到達線形回転速度は1,500メーター/分まで行くことが可能であり、これにより、高速回転と同時に必然的に振動にも至る。
【0059】
例えば、印刷の場合には、振動により品質が大きく害されるだけでなく製品が廃棄に至らしめられる欠陥が引き起こされる。
【0060】
ところが、少なくとも1本の内管と外管を支持する複数のスぺーサーを伴う構造は材質の変化によるしかない伝播破壊に向けられ、これにより、一枚岩の材料によりこの変化が起こるので一様な周波数の伝達は少なくとも回避される。
【0061】
本発明は2本の管および管中間空間に配置されるスぺーサーが含まれる構成で説明されたが、コイルあるいは予め製作された管とスぺーサーの導入による製作によって製作される管中間の新しい空間内に配置されるスぺーサーの新しい遊びを伴うもう1本別の内管が設置されることも可能である。
【0062】
この構成により振動に強力に対抗するための利点が示される。
【0063】
さらに多くの管が利用されるさらに複雑な別の構成が考え得るけれども、本発明の構成により研究された工業化の枠から外れないよう例外的な場合のために留保されなくてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1材料製の第1内管(10)の製作、一定間隔で割り付けられる該第1管上の炭素繊維ベースの複合材料で製作されるスぺーサー(12)の配置、ならびに該スぺーサー廻りに配置される第2材料製の少なくとも第2管(14)の製作の段階が含まれ、該第1あるいは第2管のうちの少なくとも1つが繊維状コイルにより製作されることを特徴とする高剛性管の製造方法
【請求項2】
スぺーサーの埋込み、すき間の充填、および2本の管の回転連結確保用の2本の管(10,14)間の樹脂あるいは混合樹脂の導入を特徴とする請求項1による高剛性管の製造方法
【請求項3】
管のうちの少なくとも1本およびそのスぺーサーに関しても、押出し引き抜きにより得られる極高弾性係数炭素繊維複合材料が利用されることを特徴とする請求項1あるいは請求項2による高剛性管の製造方法
【請求項4】
スぺーサーが押出し引き抜きにより製作されると同時に切断される極高弾性係数の炭素繊維から製作される平板断面から得られることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項による高剛性管の製造方法
【請求項5】
スぺーサーが扇形状歯輪に形取られて製作されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項による高剛性管の製造方法

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−506894(P2008−506894A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514060(P2007−514060)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050412
【国際公開番号】WO2005/124212
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(505193014)
【Fターム(参考)】