説明

すぐれた脱気及び積層特性を有する積層安全ガラスのための中間層及びそれを製造するための方法

本発明は、高温においてすぐれた真空脱気を有し、すぐれたタッキングおよびエッジ封止性質を有する積層安全ガラスのための熱可塑性中間層シートまたはフィルムに関する。シート材料は、少なくとも2つの平行でない方向の脱気するための比較的連続した溝を提供する、表面の少なくとも1つの上のエンボス加工表面パターンを有し、溝は約0.1〜約1mm離隔され、約25μm未満の深さおよび約30〜約300μmの幅を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年、12月2日に出願された米国特許出願第11/292,721号(その内容を参照により本願明細書に援用するものとする)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
積層安全ガラスの製造において、2枚のフロートガラスの間に1枚の熱可塑性シート材料を置くことが通例である。また、ブロッキング、すなわち、中間層の1つの層が別の層に粘着することを避けるために熱可塑性中間層の表面を粗くすることができることも一般的である。また、ガラス/中間層/ガラスサンドイッチ(以下、「接合体」)が構成されるように2枚のガラスが整列される間、中間層上の粗さは中間層を移動させることができる。このような接合体を構成するとき、ガラス表面と熱可塑性中間層のバルクとの間の隙間に空気が閉じこめられる。真空脱気によってまたは一対のローラーの間で挟むことによってのいずれかで、閉じこめられた空気を除去することができる。
【0003】
ガラスと中間層との間から空気を除去(低減)しなければならない度合いは、空気が中間層と「溶液」を形成するような、付加的な積層工程、例えば、オートクレーブ処理の間に空気を吸収する中間層の性質(溶解)に依存する。積層体中の気相の存在は、中間層およびガラス境界面の間の気泡またはガスポケットの形をとる。これらは一般に、積層体が透明な物品として機能する、すなわち、光学欠陥を本質的に含まない(例えば比較的低い曇りがこのように、可視度を妨げずに透明な物品を提供する)最終使用の適用のために好ましくない。オートクレーブ処理は、積層体接合体中の一切の残留した空気(気体成分)の溶解を早めるために熱と圧力との組合せを用いて積層ガラスの製造において典型的に利用される工程である。(熱力学的原理によって)積層体上の外部圧力が増加されるとき、それは、気体成分が残るかまたは形成する能力を制限する。積層プロセスの後、本質的に気相を含有しない「固相」中間層を形成するのが非常に望ましい。さらに、積層体は、その商業的役割を果たすために最終使用条件下でかなりの時間(年)にわたり「気泡を含有しない」ままであるのがよい。しばしば天候条件および直射日光暴露のために、特に、自動車、建物等において受ける高温において、時間が経過するにつれて溶解したガスが溶液から出てくる(ガラス/中間層境界面の間に気泡または剥離したエリアを形成する)ことは積層ガラスにおいて珍しい欠陥ではない。
【0004】
真空脱気の場合、接合体が周囲温度である間に空気を除去する。中間層をガラスに付加してエッジを封止することは、接合体全体をそれがまだ真空下にある間に加熱することによって行なわれる。接合体は、加熱工程の後、一般に予備プレスまたは予備積層体と称される。
【0005】
ニッピングの場合、接合体を一般に、50〜100℃の温度に加熱し、次に、1つまたは複数のセットのニップロールを通過させる。エッジ封止は、2枚のガラスに加えられたローラーの力によって行なわれる。ニッピング工程の終わりに、接合体は予備プレスと呼ばれる。フロントガラスの製造において、ニップロールはしばしば、フロントガラスの曲がりに対処するように統合されている。複雑な形状および角度が必要とされるとき、またはフロントガラスのいくつかのモデルが同時に製造されるとき、しばしば、真空脱気方法を用いることがより便利である。
【0006】
しかしながら、ラミネーターは、適した中間層を選択する時に問題に直面することがある。予備プレス処理のために最適な特徴、すなわち、急速な空気除去および適切なエッジ封止を有する中間層を選択することが難しい場合がある。10ポイント粗さ(ISO R468)、Rzによって測定されたときにより粗い表面を有する中間層は、より速い脱気を可能にする。しかしながら、このような中間層は、粗い中間層を圧縮するためにより多いエネルギーが一般に必要とされるときに、エッジ封止を得ることを不便にすることがある。予備プレスのエッジが完全に封止されない場合、予備プレスが高圧下で加熱されるオートクレーブ処理工程において、空気がエッジに浸透することがあり、商業的に容認できない積層体の視覚的な欠陥を生じることがある。高温環境において脱気のために真空を用いるラミネーターは、更なる支障をきたすことがある。さらに、粗くて室温(23℃)において急速な脱気を可能にする中間層はしばしば、周囲温度が30℃よりもはるかに高いとき、同様に脱気しない。
【0007】
他方、比較的平滑な中間層は、十分な空気が除去される前にエッジ封止をもたらすことがあり、予備プレスの内部に空気を閉じ込められたままにしておくことがある。この問題は一般に、早期のエッジ封止と称され、ポリビニルブチラール(PVB)中間層に対して特に一般的でありうる。オートクレーブ処理の間、過剰な空気が高圧下で溶液中に圧入される場合があるが、オートクレーブ処理後に気相に戻る場合がある。積層後に生じる欠陥はしばしば、修正するのにより費用がかかる。
【0008】
安全ガラスは、様々なタイプの中間層材料、例えば、PVB、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレンビニルアセテート(EVA)などのエチレンコポリマー、シリコーンポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびエチレン酸コポリマーおよびそれから誘導されたイオノマーなどを用いて得られる。ポリマー中間層材料は熱可塑性である。熱可塑性中間層を典型的に、積層プロセスの間に加熱して中間層を軟化させ、ガラスまたはプラスチック材料への接着性を促進する。中間層上の表面パターンを提供して高温においても急速な脱気を可能にすることができ、また、十分なエッジ封止を得ることができる。理想的な表面パターンの選択または設計は、積層プロセスパラメーターならびに中間層材料に依存することがある。例えば、可塑化PVBは、しばしば中間層材料として安全ガラスにおいて使用され、粘着性であり、室温においても容易にガラスに付着されうる。可塑化PVBから形成された中間層シート材料の表面上で様々な表面パターンを用いることができるが、典型的に前記パターンは、特定の中間層の物理的特性および/または特定の方法の原因となるように設計される。安全ガラス透明板ガラス用途のために設計された特定のPVB中間層表面パターンについては、例えば、米国特許第4,452,935号明細書、米国特許第5,091,258号明細書、米国特許第5,455,103号明細書、米国特許第5,626,809号明細書、米国特許第6,093,471号明細書、米国特許第6,800,355号明細書、および米国特許第6,863,956号明細書を参照のこと。
【0009】
エチレン酸コポリマーまたはそれから誘導されたイオノマーなどの無可塑(unplasticized)高弾性率ポリマー材料から形成された中間層シート材料について、このようなシート材料の物理的性質は、可塑化PVBなど、他の材料から得られた中間層シート材料の物理的性質と実質的に異なっていてもよい。これらの差異のために、可塑化PVB中間層シート材料のために有用な表面パターンは、無可塑高弾性率ポリマー材料から形成されている中間層シート材料のために理想的でない場合があり、逆もまた同様である。本発明によって、「高弾性率ポリマー材料」は、ASTM D 5026−95aによって測定された時に0.3Hzおよび25℃において50〜1,000MPa(メガパスカル)の貯蔵ヤング率を有するそれらのポリマー材料である。この弾性率の範囲内になるポリマー材料には、ポリビニルブチラール(PVB)の特定の非可塑化または低可塑化グレード、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、メタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレン、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレン酸コポリマーおよびそれから誘導されたイオノマー、ポリマー脂肪酸ポリアミド、ポリエステル樹脂、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、シリコーンエラストマー、エポキシ樹脂、エラストマーおよび結晶性ポリカーボネート等が挙げられるがそれらに限定されない。
【0010】
具体的に、可塑化PVBから形成された中間層シート材料のための表面パターンは、例えば、積層プロセスの間に空気を逃散させることができるように深い傾向がある。可塑化PVBの広い融点または軟化点範囲は、このような深いパターンの使用を可能にする。しかしながら、無可塑高弾性率ポリマーから形成された中間層シート材料上での深いパターンの使用は問題が多いことがある。これは、無可塑高弾性率ポリマーから形成されたシートまたはフィルムはPVBから形成されたシートまたはフィルムよりもはるかに剛性であり、このため、予備プレス処理プロセスの間、深い表面パターンを有するこのようなシートまたはフィルムを圧縮するために、より多い熱および/またはエネルギーが必要とされるからである。さらに、イオノマーなどの無可塑高弾性率ポリマーから形成されたシートまたはフィルムは、特に、夾雑物を引き付ける傾向があり、従って、深いパターンは、より多くの粉塵または夾雑物を中間層シートまたはフィルムの表面上に付着させる傾向があり、同パターンを含む積層体に「パターンの曇り」を生じさせることがある。また、無可塑、非硬化(非架橋)中間層シートまたはフィルムのよりはっきりした融点範囲は、積層体中の閉じこめられた空気につながることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、無可塑高弾性率ポリマー組成物から形成された中間層シートまたはフィルムの表面上に導入されるとき、積層プロセスの間に脱気を有効に促進することができる特定の表面パターンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、無可塑ポリマーと少なくとも1つのエンボス加工表面とを含む熱可塑性中間層シートまたはフィルムに関し、前記エンボス加工表面が、少なくとも2つの平行でない方向の脱気するための比較的連続した溝を提供する表面パターンを含み、前記溝が約0.1〜約1mm離隔され、約2〜約25μmの深さおよび約30〜約300μmの幅を有する。
【0013】
1つの好ましい実施態様において、ここで用いられた無可塑ポリマーは、エチレン酸コポリマーまたはそれから誘導されたイオノマーである。
【0014】
別の好ましい実施態様において、少なくとも1つのエンボス加工表面が、32μm未満の全エリア粗さARt、0.42〜0.62のARp/ARtの比、および約5未満のエリアとがりAKuを有する。
【0015】
さらに別の好ましい実施態様において、熱可塑性中間層シートまたはフィルムの両方の表面が、少なくとも2つの平行でない方向の脱気するための比較的連続した溝を提供するエンボス加工表面パターンを含み、前記溝が約0.1〜1mm離隔され、約25μm未満の深さおよび約30〜300μmの幅を有する。
【0016】
さらに、本発明は、熱可塑性中間層シートまたはフィルムとガラス表面とを含む予備積層体に関する。好ましくは、本発明のガラス積層体は、ガラスの2つの層とその間に積層された、熱可塑性中間層シートまたはフィルムの少なくとも1つの層とを含む。
【0017】
本発明はさらに、予備積層体を提供する工程と、熱可塑性中間層シートをガラス表面に積層する工程とを含む、ガラス積層体を作製するための方法に関する。
【0018】
本発明は例として示され、添付した図面に限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本明細書において言及された全ての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、それらの全体において参照により援用される。特に記載しない限り、本明細書中で用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される同じ意味を有する。矛盾が生じた場合、定義を含めて本明細書が優先される。
【0020】
特に記載した場合を除き、登録商標は、大文字で示される。
【0021】
本明細書に記載された方法および材料と同様なまたは等価の方法および材料を本発明の実施または試験において用いることができるが、適した方法および材料は本明細書に記載される。
【0022】
別記しない限り、全てのパーセンテージ、部、比等は重量による。
【0023】
量、濃度、または他の値またはパラメーターが、ある範囲、好ましい範囲、または好ましい上限値および好ましい下限値の一覧のいずれかとして与えられるとき、これは、範囲が別々に開示されているかどうかに関係なく、任意の範囲上限または好ましい値と任意の範囲下限または好ましい値とのあらゆる組から形成されたすべての範囲を具体的に開示するものとして理解されなければならない。数値の範囲が本明細書に記載される場合、別記しない限り、範囲は、それらの端点、および範囲内のすべての整数および分数を含めるものとする。範囲を規定するときに記載された特定の値に本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0024】
用語「約」は範囲の値または端点を記載するときに用いられるとき、開示は、参照される特定の値または端点を含めることが理解されるべきである。
【0025】
本明細書中で用いられるとき、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含める(includes)」、「含める(including)」、「含有する(containing)」、「によって特徴づけられる(characterized by)」、「有する(has)」、「有する(having)」またはそれらの他の何れかの変型は、非限定的な包含を扱うものとする。例えば、一連の要素を含む方法(process、method)、物品、または装置はそれらの要素だけに必ずしも限定されず、特に記載されていないかまたはかかる方法(process、method)、物品、または装置に固有の他の要素を含めてもよい。さらに、特に相反する記載がない限り、「または(or)」は包括的な「または」を指し、限定的な「または」を指さない。例えば、条件AまたはBは、以下の何れか1つによって満たされる。Aが真であり(または存在する)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在しない)かつBが真である(または存在する)、AおよびBの両方が真である(か、または存在する)。
【0026】
移行句「〜からなる(consists of)」は、クレームにおいて規定されていない一切の要素、工程、または成分を除外し、通常それに関連づけられた不純物を除いて、列挙された材料以外の材料の包含に対してクレームを閉じる。句「〜からなる(consists of)」が、前文の直後ではなくクレームの本文に現れるとき、それは、その本文に示された要素を限定するにすぎない。他の要素は全体としてクレームから除外されない。
【0027】
移行句「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲を特定の材料または工程および特許請求された発明の基本的および新規な特徴に悪影響を与えないそれらに限定する。「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」クレームは、「〜からなる(consisting of)」形式で書かれるクローズドクレームと「含む(comprising)」形式で書かれる完全オープンクレームとの間の中立的立場をとる。
【0028】
出願人が「含む(comprising)」などの広い解釈ができる用語で発明またはその一部を規定した場合、(別記しない限り)用語「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」または「〜からなる(consisting of)」を用いてこのような発明を同様に説明するように説明が解釈されるべきであることは容易に理解されるはずである。
【0029】
単数形(「a」または「an」)の使用は、本発明の要素および成分を記載するために使用される。これは、単に便宜上のために、および本発明の一般的な意味を提供するために使用される。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含めるように読まれるべきであり、また、他の意味であることが明白でない限り、単数は複数を含める。
【0030】
特定のポリマーを説明するとき、出願人は、ポリマーを、それらを製造するために用いられたモノマーまたはそれらを製造するために用いられたモノマーの量によって言及することがあることは理解されるはずである。このような説明は、最終ポリマーを説明するために用いられた特定の専門語を包含しなくてもよく、またはプロダクト−バイ−プロセス(product−by−process)用語法を含まなくてもよいが、モノマーおよび量へのこのような一切の言及は、ポリマーがそれらのモノマーまたはモノマーのその量、および相当するポリマーおよびそれらの組成物から製造されることを意味するように解釈されるべきではない。
【0031】
本明細書の材料、方法、および例は説明のためであるにすぎず、別記された場合を除いて、限定的であることを意図するものではない。
【0032】
中間層シートまたはフィルム
1つの実施態様において、本発明は、少なくとも1層のガラスを含む層状構造物において使用するために適した中間層シートまたはフィルムである。本発明の中間層シートまたはフィルムは、加熱することができ、かつ他の中間層材料、硬質プラスチック材料、および/またはガラスとの接着結合を形成させることができる熱可塑性中間層である。より具体的には、本発明の中間層シートまたはフィルムは、エチレン酸コポリマーまたはそれから誘導されたイオノマーなどの無可塑高弾性率ポリマー材料から形成される少なくとも1つの表面層を含み、しかも少なくとも1つの表面層の外側表面が、特定のパターンでエンボス加工される。
【0033】
ポリマー
本発明の中間層シートまたはフィルムが、無可塑高弾性率ポリマー材料を含む少なくとも1つの表面層を含有することが好ましい。好ましくは、ここで用いられた無可塑高弾性率ポリマー材料は、エチレン酸コポリマー、またはそれから誘導されたイオノマー、またはそれらの組合せである。
【0034】
本発明によって、ここで用いられたエチレン酸コポリマーは、α−オレフィンの重合残留物とα,β−エチレン性不飽和カルボン酸コモノマーの重合残留物とのコポリマーであり、ここで用いられたイオノマーは、金属イオンで部分的または完全に中和される特定のエチレン酸コポリマーから誘導される。エチレン酸コポリマーおよびイオノマーは、各コポリマー全重量を基準にしてα,β−エチレン性不飽和カルボン酸コモノマーの重合残留物約1〜約30重量パーセントを独立に含有する。好ましくは、酸コポリマーおよびイオノマーは、より高い曲げ弾性率および剛性などの強化された接着性および物理的性質のために、各コポリマー全重量を基準にしてα,β−エチレン性不飽和カルボン酸コモノマーの重合残留物約5〜約25重量パーセント、またはより好ましくは、約10〜約22重量パーセントを独立に含有する。ここで用いられたα−オレフィンは、2〜10個の炭素原子を導入してもよい。好ましくは、α−オレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等およびそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、α−オレフィンはエチレンである。好ましくは、ここで用いられたα,β−エチレン性不飽和カルボン酸コモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸コモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0035】
エチレン酸コポリマーおよびイオノマーは場合により他の不飽和コモノマーを独立に含有してもよい。好ましい他の不飽和コモノマーの特定の例には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−メタクリル酸ブチル、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、ウンデシルアクリレート、ウンデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)4−ノニルフェニルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)4−ノニルフェニルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテルメタクリレート、マレイン酸ジメチル、ジエチルマレエート、ジブチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジブチルフマレート、ジメンチル(dimenthyl)フマレート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート等およびそれらの混合物などがあるがそれらに限定されない。好ましくは、他の不飽和コモノマーは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ビニルアセテート、およびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、ここで用いられた酸コポリマーおよびイオノマーは、組成物の全重量を基準にして、他の不飽和コモノマーの重合残留物0〜約50重量パーセント、またはより好ましくは、0〜約30重量パーセント、またはさらにより好ましくは、0〜20重量パーセントを混入する。ここで用いられたエチレン酸コポリマーは、例えば、米国特許第3,404,134号明細書、米国特許第5,028,674号明細書、米国特許第6,500,888号明細書、および米国特許第6,518,365号明細書に開示されているように重合されてもよい。
【0036】
中和
ここで用いられたエチレン酸コポリマーを、全カルボン酸含量を基準にして金属イオンで0〜約100パーセント中和してイオノマーを生じてもよい。金属イオンは一価、二価、三価、多価、およびそれらの混合物であってもよい。好ましい一価金属イオンには、ナトリウム、カリウム、リチウム、銀、水銀、銅等およびそれらの混合物などがあるがそれらに限定されない。好ましい二価金属イオンには、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、カドミウム、水銀、スズ、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛等およびそれらの混合物などがあるがそれらに限定されない。好ましい三価金属イオンには、アルミニウム、スカンジウム、鉄、イットリウム等およびそれらの混合物などがあるがそれらに限定されない。好ましい多価金属イオンには、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、タンタル、タングステン、クロム、セリウム、鉄等およびそれらの混合物などがあるがそれらに限定されない。好ましくは、金属イオンが多価であるとき、米国特許第3,404,134号明細書に開示されているように、ステアレート、オレエート、サリチレート、およびフェノレート基などの錯化剤が含有される。より好ましくは、金属イオンは、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、金属イオンは、ナトリウム、亜鉛、およびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、酸コポリマーは、全カルボン酸含量を基準にして金属イオンで約10〜約90パーセント、またはより好ましくは、約20〜約80パーセント中和される。ここで用いられたエチレン酸コポリマーは、例えば、米国特許第3,404,134号明細書に開示されているように中和されてもよい。
【0037】
添加剤
ここで用いられた無可塑高弾性率ポリマー組成物は、樹脂の溶融流れを有効に低減する添加剤を、熱硬化性フィルムおよびシートを製造する限界までさらに混入してもよい。このような添加剤の使用は、シートまたはフィルムおよびそれから製造された積層体の上方の最終使用温度を強化する。典型的に、最終使用温度は、20℃〜70℃まで上げられる。さらに、このような材料から製造された積層体は、耐火性である。中間層シートまたはフィルムの溶融流れを低減することによって、材料は、積層体から溶融および流れる傾向を低減しており、そして次に、燃焼のための付加的な燃料として役立つ。溶融流れ低下添加剤の特定の例には、有機ペルオキシド、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ベチルペルオキシ)ヘキサン−3、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシド、α,α’−ビス(tert−ブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)吉草酸、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチル−ペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、過酸化ベンゾイル等および混合物またはそれらの組合せなどがある。好ましくは、有機ペルオキシドは約100℃以上の温度において分解してラジカルを発生する。より好ましくは、有機ペルオキシドは、約70℃以上において10時間の半減期をもたらす分解温度を有し、ブレンディング作業のための改良された安定性を提供する。典型的に、有機ペルオキシドは、酸コポリマーまたはイオノマー組成物の全重量を基準にして約0.01〜約10重量パーセントのレベルにおいて添加される。必要に応じて、ジブチル錫ジラウレートなどの開始剤を用いてもよい。典型的に、開始剤は、酸コポリマーまたはイオノマー組成物の全重量を基準にして約0.01〜約0.05重量パーセントのレベルにおいて添加される。必要に応じて、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、およびメチルヒドロキノンなどの抑制剤が、反応および安定性に対する制御を強化する目的のために添加されてもよい。典型的に、抑制剤は、ポリマー組成物の全重量を基準にして約5重量パーセント未満のレベルにおいて添加される。
【0038】
ここで用いられた無可塑高弾性率ポリマー組成物は、当該技術分野の範囲内で公知のいずれかの添加剤、例えば、可塑剤、加工助剤、流れ強化添加剤、潤滑剤、顔料、染料、難燃剤、耐衝撃性改良剤、結晶度を増加させるための核剤、シリカなどの粘着防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カプラー、接着剤、プライマー、ガラス繊維、充填剤等の強化添加剤をさらに含有してもよいことは理解される。
【0039】
ここで用いられた無可塑高弾性率ポリマー組成物は、熱安定剤の有効量を混入することができる。熱安定剤は当該技術分野に公知である。任意の公知の熱安定剤が本発明の範囲内で有用である。熱安定剤の好ましい一般的なクラスには、フェノール酸化防止剤、アルキル化モノフェノール、アルキルチオメチルフェノール、ヒドロキノン、アルキル化ヒドロキノン、トコフェロール、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、O−、N−およびS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化マロネート、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、アミン系(aminic)酸化防止剤、アリールアミン、ジアリールアミン、ポリアリールアミン、アシルアミノフェノール、オキサミド、金属不活性化剤、ホスフィット、ホスホナイト、ベンジルホスホネート、アスコルビン酸(ビタミンC)、ペルオキシドを破壊する化合物、ヒドロキシルアミン、ニトロン、チオ相乗剤、ベンゾフラノン、インドリノン等およびそれらの混合物などがあるがそれらに限定されない。ここで用いられたポリマー組成物は、組成物の全重量を基準にして熱安定剤0〜約10.0重量パーセント、または好ましくは、0〜約5.0重量パーセント、またはより好ましくは、0〜約1.0重量パーセントを混入してもよい。
【0040】
ここで用いられた無可塑高弾性率ポリマー組成物は、紫外線吸収剤の有効量を混入してもよい。紫外線吸収剤は当該技術分野に公知である。任意の公知の紫外線吸収剤が、本発明の範囲内で有用である。紫外線吸収剤の好ましい一般的なクラスには、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルトリアジン、置換および非置換安息香酸のエステル等およびそれらの混合物などがあるがそれらに限定されない。ここで用いられたポリマー組成物は、組成物の全重量を基準にして紫外線吸収剤0〜約10.0、または好ましくは、0〜約5.0重量パーセント、またはより好ましくは、0〜約1.0重量パーセントを混入する。
【0041】
ここで用いられた無可塑ポリマー組成物は、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)の有効量を混入してもよい。ヒンダードアミン光安定剤は一般に当該技術分野に公知である。一般に、ヒンダードアミン光安定剤は、アミン官能基に隣接した炭素原子上の脂肪族置換から一般に誘導された、立体障害をさらに導入する第二、第三、アセチル化、N−ヒドロカルビルオキシ置換、ヒドロキシ置換N−ヒドロカルビルオキシ置換、または他の置換環状アミンであることが開示されている。これは限定的であると考えられるべきでなく、当該技術分野の範囲内で公知の本質的にいかなるヒンダードアミン光安定剤も、本発明の範囲内で有用である場合がある。ここで用いられたポリマー組成物は、組成物の全重量を基準にしてヒンダードアミン光安定剤0〜約10.0重量パーセント、または好ましくは、0〜約5.0重量パーセント、または最も好ましくは、0〜約1.0重量パーセントを混入してもよい。
【0042】
シートまたはフィルム構造物および形成
本発明によって、ここに開示された中間層シートまたはフィルムは、上に記載された無可塑高弾性率ポリマー材料から形成される単一層シートまたはフィルムであってもよく、特定のパターンでエンボス加工された少なくとも1つの表面を有する。もしくは、ここに開示された中間層シートまたはフィルムは、上に記載された無可塑高弾性率ポリマー材料から形成される少なくとも1つの表面層を有する多層シートまたはフィルムであってもよく、特定のパターンでエンボス加工された少なくとも1つの表面層の外側表面を有する。多層シートおよびフィルムの1つの利点は、1つより多いポリマー材料の望ましい性質を構造物中に調製することができ、他方、より高価な成分を内側または外側の層に帰属させることができることであり、そこでそれらは最終使用の要求条件をより効率的に満たすことができる。ここに開示された多層シートまたはフィルムは、多層シートまたはフィルム中の各層の組成、各層の厚さおよび様々な層の配置によって変化させられてもよい。例えば、3層構成において、接着性、光学透明度、粘着防止または物理的性質を強化するために役立つ、上に記載された無可塑ポリマー材料が表面層に含有されてもよく、他方、中間層は光学透明度、構造支持体、衝撃吸収性等を提供することができ、または単によりコスト効率的な構造物を提供する。
【0043】
本発明の多層中間層シートまたはフィルム中の他の層は任意の適したポリマー材料から形成されてもよい。このような適した材料には、酸コポリマー組成物、イオノマー、エチレンビニルアセテート、ポリオレフィン、ポリエチレン、メタロセン触媒ポリオレフィン、メタロセン触媒ポリエチレン、エチレン(メタ)アクリレートコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリ(塩化ビニル)組成物、ポリ(ビニルブチラール)組成物、ポリウレタン、フルオロポリマー、シリコーンポリマーおよびそれらの組合せなどがあるがそれらに限定されない。
【0044】
本発明の中間層シートまたはフィルムは、当該技術分野の範囲内で公知であるかまたはこれから公知となる任意の適した方法によって製造されてもよい。例えば、シートまたはフィルムは、ディップコーティング、溶液キャスチング、圧縮成形、射出成形、溶融押出、メルトブロー、または当業者に公知である任意の他の手順によって形成されてもよい。中間層シートまたはフィルムが多数の層を含むとき、それは、同時押出、ブローンフィルム、ディップコーティング、溶液コーティング、ブレード、パッドル、エアナイフ、印刷、ダールグレン、グラビア、粉末コーティング、噴霧、予備成形されたフィルムおよびシートのプライイング、または当該技術分野に公知の他の方法によって形成されてもよい。好ましくは、多層シートまたはフィルムは、予備成形されたシートまたはフィルムのプライイングによってまたは押出キャスチング方法によって製造される。
【0045】
表面処理
必要に応じて、中間層シートまたはフィルムの一方または両方の表面を処理して他の積層体層に対する接着性を強化してもよい。この処理は、接着剤、シランなどのプライマー、米国特許第2,632,921号明細書、米国特許第2,648,097号明細書、米国特許第2,683,894号明細書および米国特許第2,704,382号明細書に開示されたような火炎処理、米国特許第4,732,814号明細書に開示されたようなプラズマ処理の他、電子ビーム処理、酸化処理、コロナ放電処理、化学処理、クロム酸処理、ホットエアー処理、オゾン処理、紫外線処理、サンドブラスト処理、溶剤処理等およびそれらの組合せなど、当該技術分野の範囲内で公知の任意形をとってもよい。例えば、炭素の薄い層が米国特許第4,865,711号明細書に開示されたような真空スパッタリングによってシートまたはフィルムの一方または両方の表面上に堆積されてもよい。または、米国特許第5,415,942号明細書に開示されているように、ヒドロキシアクリルヒドロゾルプライマーコーティングは、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムのための接着性促進プライマーとして役立つ場合がある。
【0046】
表面パターン
本発明によって、中間層シートまたはフィルムの少なくとも1つのエンボス加工表面は、空気の閉じ込めを防ぐために特定の表面パターンを有するのがよい。通常の表面パターンまたはテキスチャーは、仮想平面の下にあるエリアに流れるために、平らにされた中間層シートの仮想平面の上に隆起している材料の体積の大きなパーセンテージを必要とする。(積層工程が終了した後に中間層とガラスとの境界面である)平面の(主に)上および下にある中間層材料は、熱、印加圧力、および時間の組合せによって流れなければならない。表面の幾何学的形状を画定するために必要な異なったピーク高さ、間隔、体積、およびその他の記述子の各々の特定のパターンは、表面パターンを圧縮する相当する量の仕事またはエネルギーをもたらす。本発明は、特定の表面パターンを提供し、エチレン酸コポリマーまたはそれから誘導されたイオノマーなどの無可塑高弾性率ポリマーから誘導された中間層シート材料の表面に導入されるとき、ロール予備プレス処理または減圧バッグ/リング等の通常の技術によって空気除去が達成される場合に十分な空気除去が行なわれる前に起こる早期の接触または封止を防ぐことができる。特に、ここに開示された表面パターンは、効率的な脱気を可能にするが、圧縮のためにより少ない(または予備プレス/脱気方法のために調整された制御されたかつ所望のレベルの)エネルギーを必要とする。
【0047】
様々な表面トポグラフィーを有するシートの平滑なまたは平らにされた表面を得るために必要とされたエネルギーを測定するために、DuPont Thermomechanical Analyzer(TMA)を使用した。ASTM E2347−05に記載されているように、この計測器は、平らにされた端部を有する小さな丸いプローブの下に配置された試料の厚さの非常に小さな変化を測定することができる。具体的に、TMA計測器は、所定の時間にわたり所定の温度において中間層試料に特定の圧力(力)を適用することができる。圧力が除かれる前と後の中間層の厚さの変化は、中間層の潜在弾性として記録される。TMA試験の使用は、積層ロール−予備プレス方法を模倣し、そこで積層体を所定の温度に加熱し、中間層/ガラスの間の境界面から空気を追い出すために特定の力−時間履歴を試料に適用し、(しばしば同じ工程において)ひとたび適用されると積層体接合体の外周の周りに十分なエッジ封止(タック)を同様に達成する。同じく、直接in−situ測定は容易に得られないので、TMA試験を使用する潜在弾性の測定は、積層プロセス中の表面パターン(粗さ)の圧縮挙動になぞらえることができる。本発明によって、ここで用いられた表面パターンは、無可塑高弾性率中間層シートまたはフィルムに3秒間にわたり約0.031ニュートン/mm2の圧力を印加した後に約5〜約10ミクロンおよび3秒間にわたり約0.407ニュートン/mm2の圧力を印加した後に約5ミクロン未満の潜在弾性を提供するのがよい。
【0048】
1つの特定の実施態様において、本発明の表面パターンは、突起部および窪みが同様なまたは同じ体積であるように、および互いに十分に近接して配置されるように基礎表面から上方への突起部ならびに基礎表面から下方へのボイド、または窪みを含む。好ましくは、中間層表面を加熱および圧縮することによってより高い熱可塑性素材のエリア(すなわち、突起部)からボイドエリア(すなわち、窪み)への熱可塑性材料のより局在化された流れをもたらすように、すなわち、ボイドが図4に示された表面パターンのような、局所突起部からの素材で充填されるように、突起部および窪みが配置される。平らにされた表面を得るための熱可塑性樹脂材料の局在化された流れは、中間層の全表面にわたって熱可塑性材料の素材流れを必要とする、より通常のパターンよりも少ないエネルギー投資を必要とする。したがって、ここに開示された表面パターンは、無可塑高弾性率ポリマーから形成された中間層シート材料の表面に導入されるとき、通常の表面パターンと比べて、比較的容易に平らにされうる。
【0049】
本発明の別の実施態様において、ここに開示された表面パターンは、少なくとも2つの平行でない方向の脱気するための少なくとも2つの連続した溝を含み、そこで溝は、約30〜約300μm、または好ましくは約40〜約250μm、またはより好ましくは、約50〜約200μmの範囲の幅を有し、および約2〜約80μm、または好ましくは、約2〜約25μm、またはより好ましくは、約12〜約25μm、またはさらにより好ましくは、約14〜約20μmの範囲の深さを有する。さらに、表面の溝は、好ましくは約0.1〜約1mm離隔され、またはより好ましくは、約0.1〜約0.9mm離隔され、またはさらにより好ましくは、約0.15〜約0.85mm離隔される。
【0050】
表面パターンは好ましくは、2つ以上の方向の溝を含有することに留意しなければならない。好ましい実施形態は、図6に示されるような、好ましくは(1つの実施態様において)互いに垂直な、2つの方向の溝を含有する。他の実施形態は、図5に示されるような、3つ以上の方向の溝を有することができる。
【0051】
表面粗さRzは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)のISO−R468および米国機械学会(American Society of Mechanical Engineers)のASMEB46.1に従って10ポイント平均粗さによってミクロン単位で表すことができる。本発明の中間層シート材料のために、厚さが約0.76mm以上であるとき、80μmまでの10ポイント平均粗さRzは、空気の閉じ込めを防ぐために十分である。単一トレースプロフィルメーターの測定からの表面粗さRzの測定は、実質的に不規則に分布されている粗さピークおよび谷を有する表面の平均ピーク高さを特性決定するのに十分でありうる。しかしながら、単一トレースプロフィルメーターは、特定の規則性、特に直線を有する表面のテキスチャーを特性決定するのに十分でない場合がある。このような表面を特性決定するとき、スタイラスがグルーブ内またはプラトー上に載らないように注意が払われる場合、このように得られたRzはさらに、表面粗さの有効な表示でありうる。平均間隔(R Sm)などの他の表面パラメーターは、移動させられた実際の経路に依存するので、正確でない場合がある。R Smのようなパラメーターは、移動させられた経路がグルーブに対してなす角度に応じて変化することができる。直線グルーブのような規則性を有する表面は、ASMEB46.1に定義されたようなエリアピーク高さARp、および全エリア粗さARt、およびエリアとがり(AKu)などの三次元またはエリア粗さパラメーターによってより良く特性決定される。ARpは、エリアにわたっての粗さプロフィルの最高ポイントと、粗さを構成する全ての材料が溶融される場合の平面との間の距離である。ARtは、測定されたエリアにわたっての粗さプロフィルの最高ピークと最低谷との間の高さの差である。本発明のさらに別の実施態様において、ここに開示された表面パターンは、32μm未満のARt、0.42〜0.62の比、または好ましくは、0.52〜0.62の範囲のARpのARtに対する比、および約5未満、または好ましくは、約2.5未満のエリアとがりを有する。
【0052】
本発明の中間層シートまたはフィルムは、一方または両方の面上にエンボス加工されてもよい。エンボス加工表面パターンおよび/またはその深さは、中間層シートまたはフィルムの2つの面に対して不斉でありうる。すなわち、エンボス加工表面パターンは、シートまたはフィルムのいずれかの面上のパターンの深さと同様、同一または異なっていてもよい。好ましい実施態様において、本発明の中間層シートまたはフィルムは、各面上にエンボス加工表面パターンを有し、そこで各面上のパターンの深さは、約12〜約25μmの範囲である。特に好ましい実施態様において、シートまたはフィルムのエッジに対して直交している中間層シートまたはフィルムの一方の面上のエンボス加工表面パターンがあり、他方、同一のエンボス加工パターンは、エッジに対して90°より大きいかまたはより小さい特定の角度に傾けられ、エンボス加工パターンの深さは約12〜約25μmの範囲である。このようにしてパターンをずらすことによってシートまたはフィルムにおいての望ましくない光学効果を除くことができる。
【0053】
また、シート材料の取扱のための適切な表面パターンまたはテキスチャーの設計、配置の容易さ、ブロッキング性、クリーニング、脱気の容易さの他、積層体製造のための頑丈なプロセスウインドウを有することにいくつかの追加の基準が考えられてもよい。
【0054】
上に記載されたように表面パターンは、一般的な技術方法によってシートまたはフィルムに適用されてもよい。例えば、中間層シートまたはフィルムが押出によって製造されるとき、溶融ポリマーの1つの面に所望の表面特性を与えるダイの出口に十分に近接して配置されたダイロールの特別に作製された表面の上にそれを通過させてもよい。このように、このようなロールの表面が微細なピークおよび谷を有するとき、その上にキャストされたポリマーから形成されたシートまたはフィルムは、ロールと接触する面上に粗面を有し、粗面は、ロール表面の谷およびピークにそれぞれ、実質的に合致する。このようなダイロールは、例えば、米国特許第4,035,549号明細書に開示されている。公知であるように、この粗面は一時的であるにすぎず、積層の間に脱気を容易にするように特に機能し、その後、それは、オートクレーブ処理および他の積層プロセスに伴う高温および圧力により滑らかに溶融される。
【0055】
ガラス積層体
別の実施態様において、本発明は、上に記載された中間層シートまたはフィルムから得られた少なくとも1つの層を含む積層体である。例えば、本発明の積層体は、当該中間層シートまたはフィルムの少なくとも1つの層にガラス、ポリマーフィルム、ポリマーシート、金属フィルム、金属シート等およびそれらの組合せの1つまたは複数の層を積層することによって形成されてもよい。好ましくは、本発明の積層体は、ガラスの少なくとも1つの層と当該中間層シートまたはフィルムの少なくとも1つの層とを含む。より好ましくは、本発明の積層体は、ガラスの2つの外側層と、当該中間層シートまたはフィルムから形成された1つの内側層とを含む。
【実施例】
【0056】
以下の実施例および比較例は、本発明を説明することを意図し、決して本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0057】
実施例1
表面粗さの特性決定
表面粗さRzは、国際標準化機構のISO−R468に従って10ポイント平均粗さによってミクロン単位で表すことができる。粗さの測定は、26mmのトレース長さを用いてASMEB46.1−1995に記載されたようにスタイラスタイプのプロフィルメーター(日本、東京の東京精密株式会社によって製造されたSurfcom 1500A)を用いて行なわれた。ARpおよびARtおよびエリアとがりは、Mahr GmbH(Gottingen,Germany)によって製造されたPerthometer Conceptシステムを用いて201ステップで5.6mm×5.6mmエリアにわたり粗さをトレースすることによって測定される。
【0058】
室温においての脱気効率
特定のパターンを有する中間層の脱気効率は、接合体中の隙間の絶対圧力を測定することによって定量される。図1A−1Cをここで参照すると、試験される中間層は通常の接合体として接合されるが、ただし、ガラスのトッププレートは、その中心にドリルで開けられた孔(1)を有する。ガラス、中間層、および全ての補助装置は、試験前に1時間22.5±2.5℃に平衡させられる。中間層が2つの明らかに異なったパターンをいずれかの面上に有する場合、評価される表面パターンを有する面は、孔(1)を有するガラス片と接触して配置される。圧力(または真空)カプラー(2)のベースはガラスの孔の周りに固定および封止される(圧力または真空カプラーは、接続された時に筺体と外側との間に空気を移動させることができるデバイスである)。1枚の布(幅約30mm)を、接合体のエッジの周りに巻き付ける。別の真空カプラー(3)のベースを、隅の1つに綿布(50mm×50mm)の2つの層の上に置く。次に、外周ブリーザーとカプラーの2つのベースプレートとを有する接合体を厚さ0.1mmのナイロン袋(4)の内部に置く。袋を封止する。十字のマークを、ベースプレートのすぐ上に袋を通してカットする。真空カプラーをナイロン袋を通して取り付け、漏れがないことを確実にするように注意する。コーナープレートを真空源(公称で84kPa、大気圧未満)に取り付け、他方、センタープレートを真空ゲージまたは較正圧力変換器に取り付ける。ゲージ読み取り値(または変換器出力)は、真空が印加された後に所定の間隔で記録される。記録されたデータは、真空が印加された後に最初の1分間10秒間隔で、その後30秒間15秒間隔で、その後さらに30秒間30秒間隔で、およびその後、真空を印加した後、10分まで1分間隔での絶対間隙圧力を含む。効率的な真空脱気を可能にする表面は、絶対間隙圧力を数分以内に急速に低下させる。排気の90秒後においての間隙圧力は中間層がどれほど脱気するかを示す。排気の90秒後において、絶対間隙圧力が53.3kPaを超える場合、脱気は不十分であり、中間層は真空脱気に適していない。
【0059】
高温の周囲温度においての脱気効率
高い(高温の)周囲温度においての脱気効率の定量は、室温においての脱気効率の定量と同じであるが、ただし、試験される中間層、ガラス、カプラーは全て、試験前に30.5±2.5℃に平衡させられる。排気の90秒後において、絶対間隙圧力が53.5kPaを超える場合、脱気は不十分であり、夏の場合のように周囲温度が高温であるとき、中間層は真空脱気に適していない。
【0060】
予備プレスの曇りの測定
予備プレスは、試験された各中間層から製造される。TAATガラスの向きを使用する。中間層を2枚のガラスの間に置き、過剰な中間層をトリムする。接合体と称されるガラス/中間層/ガラスサンドイッチを、0.1mmの(ナイロン)プラスチック袋内に置く。真空アダプターは、プラスチック袋の内部に、封止された後に真空ホースを接続することを可能にする。内部に接合体を有する袋は、周囲温度(22.5℃±2.5℃)において53.3kPaの真空(48.0kPaの絶対圧力)において90秒間排気される。初期真空の後、ナイロン袋およびその内容物および真空ホースを炉の内部に置き、6分間120〜122℃に維持した。その時間の終わりに、ナイロン袋を炉から取り出し、すぐに真空ホースを外す。この段階のガラス/中間層/ガラス構造物は予備プレスと呼ばれる。出発点の中間層粗さに応じて、予備プレスは曇っているかまたは透明にみえる場合がある。曇りは、予備プレス内の8つの場所でGardner製のHazegardヘイズ測定器を用いて測定される。結果を平均することができる。
【0061】
実施例2
このおよび以下の実施例において、ナトリウムイオンで約37%中和された、メタクリル酸の重合残留物約19重量パーセントを有するイオノマーを用いて、様々な厚さ2.3mmおよび600mm平方の大きいイオノマーシートを形成した。
【0062】
様々な表面パターンでエンボス加工する前に、低い曇りおよび平滑な、本質的に平行な表面を有するイオノマーシートを以下のように得た。最初に、イオノマーシート材料を、耐磨耗性コーテッドポリカーボネート(LexanTMMR3/16インチの厚さ)の2つのシートの間に置いた。次に、このサンドイッチ構造物を、標準技術を用いて真空バッグに入れ、真空を約30トールの絶対圧力において30分間、接合体上に引いた。この脱気工程の後、真空バッグに入れられた接合体を45分間120℃に通常の空気炉内で加熱し、その後、真空下にある間にそれを室温まで冷却した。
【0063】
次に、これらの平滑な表面仕上のイオノマーシートをテキスチャー化ゴムシート、金属メッシュ、または他の材料でエンボス加工して様々な粗面化/テキスチャー化表面を形成した。
【0064】
1つの場合において、エンボス加工表面を有するイオノマーシートを得るために、シートを2つのゴムプレートの間に置いた。イオノマーシートと接触しているゴム表面を、グリッドパターンを形成するリッジでパターンを彫刻した。リッジは幅約12μmおよび高さ45μmであり、1平方mm当たり約9グリッドがあるように離隔された。ゴム/シート/ゴムサンドイッチ接合体を2枚の公称で厚さ3.2mmのアニールされたガラスの間に置いた。5層のサンドイッチを、織ナイロン袋の内部に置き、前記ナイロン袋およびその内容物をゴム減圧バッグの内部に置いた。ゴム減圧バッグに、バッグのエッジを通して封止されると共に真空源への接続を可能にする1つの管材料を取り付けた。減圧バッグの開放端を閉じた。周囲温度(22.5±2.5℃)において真空(少なくとも80kPa、大気圧未満)を5分間、印加した。その直後に、その内容物を有する減圧バッグを40分間120℃の炉内に置いた。その時間の後、減圧バッグを炉から取り出した。真空を外し、減圧バッグおよびその内容物を室温に冷却させた。彫刻されたゴムプレートの1つを静かに除去して、エンボス加工されたばかりのイオノマーシートを露出した。次に、イオノマーシートを第2のエンボス加工ゴムプレートから静かに剥離した。イオノマーシート上のエンボス加工パターンは、幅約12μmおよび深さ41μmのリッジ、および1平方mm当たり約9グリッドを有するグリッドパターンを有した。
【0065】
他の場合、エンボス加工表面を有するイオノマーシート材料は、二軸スクリュー押出機、シートダイ、およびカレンダーロールからなる押出ラインの使用によって製造された。前記プロセスの間、金属表面に彫刻されたエンボス加工表面パターンを有するカレンダーロールは、テキスチャー化ロールの間および周りを通過する時にポリマー溶融体上に表面テキスチャーの反転画像を様々な程度に与える。
【0066】
同様に、約2ミルのくぼみの深さ(Rz61.8μm)を有するエンボス加工ダイヤモンドパターンを有する同じ組成のイオノマーシート材料を作製した。前記ダイヤモンドは、接合体に真空を印加するときかまたは外向きの力を印加して(例えばロール予備プレスニップ)空気の一部を積層体接合体から徐々に追い出す場合に空気を流れさせる比較的連続した溝を残すシート表面上の「隆起した」エリアであった。
【0067】
さらに、ダイヤモンドパターンよりも微細な細部のエンボス加工不規則パターンを有する同じ組成のイオノマーシート材料を作製した。このようなシート材料は、14.9μmの表面粗さRzを有した。
【0068】
実施例3
DuPont Thermomechanical Analyzer(TMA)を使用して、印加された力と時間および温度のパラメーターとの関数として圧縮度の精密な測定を行なった。「バルク」流れ性質のいくつかは表1に示され、TMAプローブの変位量は試験中の中間層シート(PVBまたはイオノマー)の各厚さの20%または60%に調整された。各々の力のレベルにおいて、温度を−20℃から200℃に5℃/分において上昇させ、圧縮指数の各々が得られた時に温度を記録した。表1の結果は、ポリマー「変位量」のクロスオーバーとして中間層タイプ間のレオロジーの差が、印加された力および温度の関数として生じることを示す。
【0069】
表1

【0070】
実施例4
予め平滑にされたイオノマー中間層を様々な表面テキスチャーでエンボス加工するために、テキスチャー化表面を中間層に当てて圧力を加え、少し加熱した(室温から完全な溶融状態(例えば120℃)にまで及ぶ)。様々なエンボス加工表面パターンを有するこのようなイオノマー中間層に、約70℃の温度においてTMA試験を実施し、異なった圧力下でのそれらの潜在弾性値を記録した。同じ条件において、予め平滑にされたイオノマーシートの潜在弾性を差し引く、各エンボス加工イオノマーシートの潜在弾性のプロットを図2に示す。
【0071】
また、エンボス加工表面を有するイオノマー中間層を用いて、上述のロール予備プレス処理によって多数の積層体(300mm平方)を作製し、積層性能および品質を検査した。アニールされたガラス(厚さ3mm)を洗剤(3グラム/リットルのリン酸三ナトリウム)で洗浄し、脱イオン水(de−mineralized water)で十分にすすぎ、空気乾燥させた。予備積層体接合体を作るために、2枚の前記ガラスの間に各中間層を挟み、結合位置においてテープで止め、層同士の相対的な位置を固定した。これらの結果のいくつかを表2に示す。
【0072】
表2

【0073】
図2および表2に示されたデータに基づいて、積層の間に効率的脱気を促進するために、イオノマーシートは、0.031ニュートン/mm2の圧力を3秒印加した後に約5〜約10ミクロンの潜在弾性および0.407ニュートン/mm2の圧力を3秒印加した後に約5ミクロン未満の潜在弾性をもたらすエンボス加工表面パターンを有するのがよいことは明らかである。エンボス加工プロセスの間、アルミニウムスクリーンを比較用試料Bのイオノマーシートの表面に完全にプレスし、アルミニウムスクリーンがシートから分離されているとき、大きな破裂がシート表面上に生じ、最終積層体のエッジブローインを引き起こしたことは言及に価する。
【0074】
予備プレス処理工程および後続のオートクレーブ工程の間に積層体中に閉じ込められた残留空気の量に関して積層体の品質をさらに評価するために、焼成試験を行なった。品質指標としてこの気泡傾向の便利な尺度を焼成試験からの結果に対して相関させることができる。この試験は、積層体を段階的に徐々に加熱することと、気泡がどこにおよびどれだけ(およびサイズ)および何度で現れるかを観察することとからなる。この試験において、積層体構造物を105℃に加熱して2時間保持し、その後、気泡の形成について検査し、次に試料を120℃、135℃および最後に150℃に徐々に加熱し、各加熱および2時間の保持時間の後に検査プロセスを繰り返した。全ての積層体は、異常でなくかつ積層産業において用いられる標準的実施において一般に無視されるエッジ気泡を示した。表3は、中間層材料のタイプおよび表面テキスチャーの範囲について積層プロセス温度範囲の結果を示す。
【0075】
加工温度範囲(プロセス「ウインドウ」)は、プロセスウインドウが35℃まで拡大される(2.0m/分の線速度)試料D、EおよびFと比べて比較用試料CおよびDの両方については非常に狭い(15℃)ことがわかった。これは、加工温度がイオノマーの融点に接近および超えるときの(DSCによって約96℃)イオノマー材料の急速な軟化による。試験された2つの異なったロール予備プレス速度(2および3.5m/分)の間にプロセスウインドウ温度の変化はほとんどないことがわかり、それは製造中により大きな加工速度/処理量をもたらす。
【0076】
表3

【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1A】中間層シートまたはフィルムの脱気効率を試験するために用いられた予備積層体接合体の上面図である。
【図1B】減圧バッグ内に置かれた図1Aからの予備積層体接合体の上面図である。
【図1C】対角線に沿った、図1Bに示された予備積層体構造物の断面図である。
【図2】様々なイオノマーの表面の表面粗さの熱機械分析のグラフ図である。
【図3】ポリマーの「隆起した」体積としての表面突起の図面(縮尺通りではない)である。
【図4】隆起したおよび窪みをつけた、または掘削されたエリアの両方を示す本発明において開示された1つの特定の表面パターンの図面(縮尺通りではない)である。
【図5】本発明によって使用できる別の表面パターンの図面である。隆起したエリアおよび脱気凹みは縮尺通りに示されていない。
【図6】350μmのマウンドの平均幅、136μmの谷の平均幅、および15.0μmの谷の平均深さの突起を有するパターンを有する好ましいエンボス加工表面の顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無可塑高弾性率ポリマーと少なくとも1つのエンボス加工表面とを含む熱可塑性中間層シートまたはフィルムであって、前記エンボス加工表面が、少なくとも2つの平行でない方向の脱気するための比較的連続した溝を提供する表面パターンを含み、前記溝が約0.1〜約1mm離隔され、約2〜約25μmの深さおよび約30〜約300μmの幅を有する、熱可塑性中間層シートまたはフィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の熱可塑性中間層シートまたはフィルムとガラス表面とを含む予備積層体。
【請求項3】
請求項1に記載の予備積層体を提供する工程と、熱可塑性中間層シートをガラス表面に積層する工程とを含む、ガラス積層体を作製するための方法。
【請求項4】
前記無可塑高弾性率ポリマーがエチレン酸コポリマーまたはそれから誘導されたイオノマーである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性中間層シートまたはフィルム、予備積層体または方法。
【請求項5】
前記溝の深さが約14〜約20μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性中間層シートまたはフィルム、予備積層体または方法。
【請求項6】
前記溝の幅が約40〜約250μmである、請求項3に記載の熱可塑性中間層シートまたはフィルム、予備積層体または方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのエンボス加工表面が、32μm未満の全エリア粗さARt、0.42〜0.62のARp/ARtの比、および約5未満のエリアとがりAKuを有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性中間層シートまたはフィルム、予備積層体または方法。
【請求項8】
ARp/ARtの前記比が0.52〜0.62である、請求項5に記載の熱可塑性中間層シートまたはフィルム。
【請求項9】
前記エリアとがりAKuが約2.5未満である、請求項5に記載の熱可塑性中間層シートまたはフィルム。
【請求項10】
前記熱可塑性中間層シートまたはフィルムの両方の表面が、少なくとも2つの平行でない方向の脱気するための比較的連続した溝を提供するエンボス加工表面パターンを含み、前記溝が約0.1〜1mm離隔され、約25μm未満の深さおよび約30〜300μmの幅を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱可塑性中間層シートまたはフィルム、予備積層体または方法。
【請求項11】
前記予備積層体が、前記熱可塑性中間層シートまたはフィルムの対向する面上にガラスの2つの層を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の予備積層体または方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−518467(P2009−518467A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543501(P2008−543501)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/046056
【国際公開番号】WO2007/064922
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】