ねじプレス成形技術
【課題】筒体または管体に限らず、内部に空洞がない中実の棒体や柱体などにもねじ部をプレス成形可能なねじプレス成形技術を提供する。
【解決手段】角ピン11の幅方向の両端部を周面加工具によりパンチングし、角ピン11の幅方向の両端面を、角ピン11の中心線を中心とした同一の仮想円周面に沿った面に加工する。その後、角ピン11の両端部にねじ成形工具13を押し当て、角ピン11の両端部に雄ねじのねじ山11aの周方向の一部をそれぞれプレス成形する。これにより、筒体または管体に限らず、内部に空洞が存在しない中実の角ピン11などにも、ねじ部11bをプレス成形することができる。
【解決手段】角ピン11の幅方向の両端部を周面加工具によりパンチングし、角ピン11の幅方向の両端面を、角ピン11の中心線を中心とした同一の仮想円周面に沿った面に加工する。その後、角ピン11の両端部にねじ成形工具13を押し当て、角ピン11の両端部に雄ねじのねじ山11aの周方向の一部をそれぞれプレス成形する。これにより、筒体または管体に限らず、内部に空洞が存在しない中実の角ピン11などにも、ねじ部11bをプレス成形することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はねじプレス成形技術、詳しくは筒体または管体に限らず、内部に空洞がない中実の棒体や柱体などにもねじ部をプレス成形可能なねじプレス成形技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の燃料タンクの給油口金具や、照明器具のケースなどに用いられる板金成形部品の円筒部分などにねじ部を設ける方法として、例えば特許文献1のように、ねじ山をプレス成形したものが知られている。
特許文献1のねじプレス成形方法によれば、まず内工具(雄ねじ)を構成する複数の内工具分割部品と、外工具(雌ねじ)を構成する複数の外工具分割部品との間に板金成形部品の円筒部を配置する。その後、各外工具分割部品を縮径状態に移動させ、各内工具分割部品を拡径状態に移動させることで、前記円筒部にねじ部が1工程でプレス成形される。
【特許文献1】特開2004−1039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のねじプレス成形方法にあっては、ねじ部のプレス成形時、板金成形部品のねじ加工部分(円筒部)に対して、内側から内工具を押し当てるとともに、外側から外工具を押し当てていた。そのため、成形の対象となる部材は、内部の空洞に内工具を挿入することが可能な筒体または管体に限られていた。したがって、内部に空洞が存在しない中実体の棒体や柱体などにあっては、ねじ部をプレス成形することができなかった。
【0004】
そこで、この発明は、筒体または管体に限らず、内部に空洞がない中実の棒体や柱体などにもねじ部をプレス成形することができるねじプレス成形技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、板金から得られた断面矩形状の被成形棒材のうち、該矩形状の断面における長さ方向の両端部に周面加工具をパンチングすることで、前記被成形棒材のパンチングされた部分の断面が丸リベットの頭部形状に付形され、かつ前記被成形棒材のパンチング面は被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面となる周面加工を施し、プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記被成形棒材のパンチングされた部分に、前記雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形して得られたプレス成形ねじである。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、被成形棒材の矩形状の断面における長さ方向の両端部を周面加工具によりパンチングし、被成形棒材のパンチングされた部分の断面が丸リベットの頭部形状となるように付形する。このとき、被成形棒材のパンチング面は、被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面に加工される。その後、被成形棒材の各パンチングされた部分にねじ成形工具を押し当て、該両端部に雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形する。これにより、従来法とは異なり、プレス成形時に被成形棒材の内側から内工具を押し当てる必要がない。その結果、内部に空洞が存在しない中実の棒体や柱体などに、ねじ部をプレス成形することができる。
【0007】
板金の素材は限定されない。例えば鉄、鋼(SS;一般構造用圧延鋼、SC;機械構造用炭素鋼、SUS;ステンレス鋼)、アルミニウム、真鍮、銅、青銅などを採用することができる。板金の大きさ、形状は限定されない。
板金から被成形棒材を得る方法は限定されない。例えば、打ち抜き加工、切断加工、溶断加工などを採用することができる。
ここでいう被成形棒材とは、棒形状を有する部材の他、棒より細いピン形状を有する部材、棒より太い柱形状の部材を含むものとする。
被成形棒材の断面形状は矩形状である。その断面における縦横の比率は限定されない。なお、この発明は例えば円形、楕円形、三角形、四角形、五角形以上の多角形の被成形棒材、および、任意の断面形状の被成形棒材にも適用することができる。
周面加工とは、断面円弧形状を有した樋のように湾曲させる加工(樋面加工)をいう。
【0008】
また、周面加工が施されるのは少なくとも被成形棒材の両端部で、他の1つの端部または2つ以上の端部に周面加工を施してもよい。
被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面とは、例えば被成形棒材が角棒で、周面加工される部分が角棒の幅方向の両端部の場合にあっては、被成形棒材の軸線(中心線)を中心とした架空の円周面となる。その際、仮想円周面の直径は被成形棒材の幅より短尺となる。これは、パンチングにより角棒の幅が短くなるためである。
ねじ部は、被成形棒材の全長にわたって設けてもよい。また、その一部だけに設けてもよい。
【0009】
請求項2に記載の発明は、板金から得られた被成形筒材のうち、該被成形筒材の周方向に離間した複数の部分を周面加工具によりパンチングすることで、前記被成形筒材のパンチング面を、該被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とするとともに、該被成形筒材のパンチングされた部分間に、前記パンチング面に比べて被成形筒材の半径方向の外側に配置された周面隆起部を形成させる周面加工を施し、その後、プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記周面隆起部に、前記雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形して得られたプレス成形ねじである。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、被成形筒材の半径方向の両端部を周面加工具によりパンチングし、被成形筒材の半径方向の両端面を、被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面に加工する。これにより、被成形筒材のパンチングされた部分間に、パンチング面に比べて被成形筒材の半径方向の外側に配置された周面隆起部が形成される。
その後、周面隆起部にねじ成形工具を押し当て、周面隆起部に雄ねじのねじ山の周方向の一部をプレス成形する。これにより、従来通り、筒体または管体にねじ部をプレス成形することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、板金から得られた断面矩形状の被成形棒材のうち、該矩形状の断面における長さ方向の両端部を周面加工具によりパンチングして断面が丸リベットの頭部形状に付形する周面加工を施し、該被成形棒材のパンチング面を、該被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とする周面加工工程と、プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記被成形棒材のパンチングされた外周部に、雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形するねじプレス工程とを備えたねじプレス成形方法である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、被成形棒材の両端部を周面加工具によりパンチングし、被成形棒材のパンチングされた部分の断面が丸リベットの頭部形状となるように付形する。このとき、被成形棒材のパンチング面は、仮想円周面に沿った面にそれぞれ加工される。すなわち、被成形棒材の両端部は座窟し、周面加工具のパンチング作用面に沿って圧延され、両端面の面積が拡大される。しかも、被成形棒材が例えば板金の打ち抜き加工物の場合には、打ち抜き時に生じた不要なバリを、ねじ形成部分の一部に利用することができる。これにより、打ち抜き加工後のバリ処理が不要となる。
その後、被成形棒材の両端部にねじ成形工具を押し当て、断面が丸リベットの頭部形状に加工された被成形棒材のパンチングされた部分に雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形する。これにより、従来法とは異なり、プレス成形時に被成形棒材の内側から内工具を押し当てる必要がない。その結果、内部に空洞が存在しない中実の棒体や柱体などに、ねじ部をプレス成形することができる。
【0013】
周面加工具のパンチング作用面は、被成形棒材の中心線を中心とする仮想円周面に沿った湾曲面である。被成形棒材の両端部は、1工程で同時に周面加工してもよいし、2工程で別々に周面加工してもよい。周面加工具の使用数は1つまたは複数である。
雄ねじのねじ山の周方向の一部は、被成形棒材の両端面に1工程で同時にプレス成形してもよいし、2工程で別々にプレス成形してもよい。ねじ成形工具の使用数は1つまたは複数である。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記被成形棒材は6面体の角材である請求項3に記載のねじプレス成形方法である。
6面体としては、例えば直方体、立方体などが挙げられる。
角材である被成形棒材の幅と厚さとの比は限定されない。ただし、素材の材質によるが、SUSの場合には3:1が好ましい。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記被成形棒材は、板金を2つ折り以上に折り重ねて設けた請求項3または請求項4に記載のねじプレス成形方法である。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、薄肉の板金の場合、あらかじめ板金を2つ折り以上に折り重ねて被成形棒材を形成し、その後、被成形棒材に対して周面加工工程とねじ成形工程とを順次施す。これにより、薄い板金からねじを作製することができる。
薄肉の板金は、周面加工を施す前に、その屈曲側とは反対の折り重ねた側の端部に対して、周面加工時の圧力より軽度のパンチングを施した方が好ましい。これは、周面加工時に、被成形棒材が中央部付近から座窟しないようにするためである。
薄肉の板金の厚さは、製造されるプレス成形ねじの直径(太さ)により異なる。
板金の折り重ね数は1回(2つ折り)でもよいし、2回(3つ折り)以上でもよい。
【0017】
請求項6に記載の発明は、板金から得られた被成形筒材のうち、周方向に離間した複数の部分を周面加工具によりパンチングし、前記被成形筒材のパンチング面を、該被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とすることで、該被成形筒材のパンチングされた部分間に、前記パンチング面に比べて被成形筒材の半径方向の外側に配置された周面隆起部を形成させる周面加工工程と、プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記被成形筒材の周面隆起部に、雄ねじのねじ山の周方向の一部をプレス成形するねじプレス工程とを備えたねじプレス成形方法であって、前記周面工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記被成形筒材の一部分をパンチングして周面隆起部を形成する内周面工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内周面工具と協同して、前記被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする外周面工具とを有し、前記ねじ成形工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記周面隆起部にねじ部をプレス成形する内ねじ成形工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内ねじ成形工具と協同して周面隆起部にねじ部をプレス成形する外ねじ成形工具とを有し、前記周面加工工程では、前記被成形筒材の内側の空洞に内周面工具を挿入し、前記外周面工具を被成形材の外方に配置し、前記内周面工具と外周面工具とにより被成形筒材を内外方向からパンチングして周面加工し、前記ねじ成形工程では、前記被成形筒材の内側の空洞に内ねじ成形工具を挿入し、前記被成形筒材の外方に外ねじ成形工具を配置し、前記内ねじ成形工具と外ねじ成形工具とにより被成形筒材を内外方向から押圧し、前記周面隆起部にねじ部をプレス成形するねじプレス成形方法である。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、周面加工工程では、内周面工具と外周面工具とにより、内外方向から被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする。続くねじ成形工程では、内ねじ成形工具と外ねじ成形工具とにより周面隆起部を内外方向から押圧し、雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形する。その結果、従来通り、筒体または管体にねじ部をプレス成形することができる。
【0019】
ここでいう被成形筒材とは、筒形状を有する部材の他、筒より長尺な管形状を含むものである。
板金を筒(パイプ)加工する方法は限定されない。例えば、ベンダ曲げ方法、ロール曲げ方法、ロール成形方法などを採用することができる。
周面隆起部とは、被成形筒材の一部に形成された外方に突出する部分で、被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿う外周面を有している。
被成形筒材における周面隆起部の形成範囲、形成数は限定されない。
【0020】
請求項7に記載の発明は、板金から得られた断面矩形状の被成形棒材のうち、該矩形状の断面における長さ方向の両端部に周面加工具をパンチングすることで、前記被成形棒材のパンチングされた部分を、断面が丸リベットの頭部形状となるように付形するとともに、該被成形棒材のパンチング面を、該被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とする周面加工具と、該周面加工具を、前記被成形棒材の長さ方向の両端部にそれぞれパンチングするパンチング手段と、プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具と、前記被成形棒材のパンチング部分にねじ成形工具を押圧し、前記被成形棒材の両端部に雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形するプレス成形手段とを備えたねじプレス成形装置である。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、被成形棒材の両端部を周面加工具によりパンチングし、被成形棒材のパンチングされた部分の断面が丸リベットの頭部形状となるように付形する。このとき、被成形棒材の両パンチング面は仮想円周面に沿った面となる。すなわち、被成形棒材のパンチングされた各部分は座窟し、周面加工具のパンチング作用面に沿って押し延ばされる。これにより、両パンチング面の面積が拡大される。しかも、例えば被成形棒材が板金の打ち抜き加工物の場合には、打ち抜き時に生じたバリが、この周面加工時にねじ形成部分の一部となる。これにより、打ち抜き加工後のバリ処理が不要となる。
その後、被成形棒材の両パンチングされた部分をねじ成形工具により押圧し、両パンチングされた部分に雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形する。これにより、従来法とは異なり、プレス成形時に被成形棒材の内側から内工具を押し当てる必要がない。その結果、内部に空洞が存在しない中実の棒体や柱体などに、ねじ部をプレス成形することができる。
パンチング手段およびプレス成形手段は限定されない。
【0022】
請求項8に記載の発明は、板金から得られた被成形筒材のうち、該被成形筒材の周方向に離間した複数の部分にパンチングされることで、該被成形筒材のパンチング面を、該被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とするとともに、該被成形筒材のパンチングされた部分間に、該パンチングされた部分に比べて、前記被成形筒材の半径方向の外側に配置された周面隆起部を形成する周面加工具と、該周面加工具を、前記被成形筒材のうち、周方向に離間した複数の部分にそれぞれパンチングするパンチング手段と、プレス作用面に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具と、前記被成形筒材の周面隆起部にねじ成形工具を押圧し、前記周面隆起部に雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形するプレス成形手段とを備え、前記周面工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする内周面工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内周面工具と協同して被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする外周面工具とを有し、前記ねじ成形工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記周面隆起部にねじ部をプレス成形する内ねじ成形工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内ねじ成形工具と協同して周面隆起部にねじ部をプレス成形する外ねじ成形工具とを有したねじプレス成形装置である。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、周面加工工程では、内周面工具と外周面工具とにより、内外方向から被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする。続くねじ成形工程では、内ねじ成形工具と外ねじ成形工具とにより周面隆起部を内外方向から押圧し、雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形する。その結果、従来通り、筒体または管体にねじ部をプレス成形することができる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に記載のプレス成形ねじ、請求項3に記載のねじプレス成形方法および請求項7に記載のねじプレス成形装置によれば、被成形棒材の矩形状の断面における長さ方向の両端部を周面加工具によりパンチングして周面加工し、その後、被成形棒材の両パンチングされた部分にねじ成形工具を押し当て、該両端部に雄ねじのねじ山をプレス成形する。これにより、内部に空洞が存在しない中実の棒体や柱体などに、ねじ部をプレス成形することができる。
【0025】
特に、請求項5に記載のねじプレス成形方法によれば、薄肉の板金の場合、これを2つ折り以上に折り重ねて被成形棒材を設けるので、薄肉の板金からねじが得られる。
【0026】
また、請求項2に記載のプレス成形ねじ、請求項6に記載のねじプレス成形方法および請求項8に記載のねじプレス成形装置によれば、内周面工具と外周面工具とにより、被成形筒材を内外方向から押圧し、被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする。その後、ねじ成形工程では、内ねじ成形工具と外ねじ成形工具とにより周面隆起部に内外方向からねじ部をプレス成形する。その結果、従来通り、筒体、管体にねじ部をプレス成形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。まず、図1〜図7を参照してこの発明の実施例1のねじプレス成形技術を説明する。
【実施例1】
【0028】
図1〜図7において、10はこの発明の実施例1に係るプレス成形ねじで、このプレス成形ねじ10は、板金Sから得られた角ピン(被成形棒材)11の幅方向の両端部を周面加工具12によりパンチングし、角ピン11の幅方向の両端面を、角ピン11の軸線(中心線)を中心とした同一の仮想円周面に沿った面とし、その後、プレス作用面に雄ねじ成形用のねじ山13aの周方向の一部が形成されたねじ成形工具13を使用し、角ピン11のパンチングされた両端部に、雄ねじのねじ山11aの周方向の一部をそれぞれプレス成形して得たねじである。
【0029】
板金SはSS400製で、厚さは2.0〜6.0mm(ここでは、3.0mm)である。角ピン11は断面矩形状を有する6面体で、ピンサイズは長さ60mm、幅9mm、厚さ3mmである。すなわち、角ピン11の厚さと幅との比は1:3である。角ピン11のねじ部11bは、角ピン11の一端から他端側に向かって30mmの範囲である。
【0030】
次に、図3〜図7を参照して、実施例1に係るプレス成形ねじ10の製造方法を説明する。
まず、打ち抜き装置14のダイ15とパンチ16とにより板金Sから角ピン11を打ち抜く(図3)。その後、角ピン11を軸線を中心にして90度回転させる(図4)。
次に、プレス金型(パンチング手段)17に組み込まれた周面加工具12により、角ピン11の長さ方向の一側部において、断面矩形状の角ピン11のうち、この矩形状の断面における長さ方向の両端部をパンチングする。これにより、角ピン11の幅方向の両端面が同一の仮想円周面に沿った面となる(図2)。プレス金型17によれば、油圧シリンダ18、18Aの各ロッド18aの突出によりパンチングされる。周面加工具12は開放型の金型である。
【0031】
以下、周面加工具12を詳細に説明する。周面加工具12は、上側部分周面加工具12Aと下側部分周面加工具12Bと左右の側部分周面加工具12Cとにより構成される。上側部分周面加工具12Aの下側中央部と、下側部分周面加工具12Bの上側中央部とには、断面円弧形状のパンチング作用面12aがそれぞれ存在する。また、両側部分周面加工具12Cの先端部には、角ピン11のパンチング面とは直交する両側面を水平方向(図5中の左右方向)から挟持する板状の挟持突起12cがそれぞれ一体形成されている。両挟持突起12cの厚さ(高さ)t1は、パンチング後の角ピン11において、パンチングにより変形されない中央部分の、予め設定された長さと同じである。
【0032】
パンチング時、まず下側部分周面加工具12Bのパンチング作用面12a上に、角ピン11を載置する。このとき、角ピン11は、その矩形状の断面における長さ方向を垂直方向(図5の上下方向)に向けて載置される。次に、両油圧シリンダ18Aのロッド18aをそれぞれ突出し、角ピン11のパンチング面とは直交する両側面の高さ(図5中の上下方向の長さ)の中間部を、両挟持突起12cにより水平方向から挟持する。これにより、パンチング時の前記角ピン11の中間部の座窟を防止することができる。次に、この挟持状態のまま、油圧シリンダ18のロッド18aを突出し、角ピン11の矩形状の断面における長さ方向の両端部を上側部分周面加工具12Aと下側部分周面加工具12Bによりパンチングする。
これにより、角ピン11のパンチングされた部分は座窟し、周面加工具12のパンチング作用面12aに沿って押し延ばされる。これにより、角ピン11のパンチング面の面積が拡大される。しかも、角ピン11は板金Sの打ち抜き加工物である。その結果、打ち抜き時に生じたバリ11c(図6(a))は、パンチングによりねじ形成部分の一部となる(図6(b))。よって、打ち抜き加工後のバリ処理が不要になる。
【0033】
その後、角ピン11をねじ成形用のプレス金型(ねじ成形手段)19にセットし、角ピン11のパンチングされた幅方向の両端部にねじ成形工具13を押し当て、角ピン11のパンチングされた両端部に、雄ねじのねじ山11aの周方向の一部をプレス成形する(図7)。
ねじ成形加工具13は、上側部分ねじ成形加工具13Aと下側部分ねじ成形加工具13Bと左右の側部分周面加工具13Cとにより構成される。このうち、上側部分ねじ成形加工具13Aの下側中央部と、下側部分ねじ成形加工具13Bの上側中央部とには、断面円弧形状のねじ成形作用面13aがそれぞれ存在する。
また、両側部分周面加工具13Cの先端部には、角ピン11のパンチング面とは直交する両側面を水平方向(図7中の左右方向)から挟持する板状の挟持突起13cがそれぞれ一体形成されている。両挟持突起13cの厚さ(高さ)t2は、プレス成形後の角ピン11において、プレス成形により変形されない中央部分の、予め設定された長さと同じである。
【0034】
プレス成形時、まず下側部分ねじ成形加工具13Bのプレス成形作用面13a上に、角ピン11を載置する。このとき、角ピン11は、その矩形状の断面における長さ方向を垂直方向に向けて載置される。次に、両油圧シリンダ20Aのロッド20aをそれぞれ突出し、角ピン11のパンチング面とは直交する両側面の高さの中間部を、両挟持突起13cにより水平方向から挟持する。これにより、プレス成形時の前記角ピン11の中間部の座窟を防止することができる。次に、この挟持状態のまま、油圧シリンダ20のロッド20aを突出し、角ピン11の両パンチングされた部分を上側部分ねじ成形加工具13Aと下側部分ねじ成形加工具13Bによりプレス成形する。これにより、角ピン11のプレス成形された部分は座窟し、ねじ成形工具13の両ねじ成形作用面13aに沿って押し延ばされ、角ピン11のパンチングされた両端部に、雄ねじのねじ山11aがプレス成形される。
【0035】
このように、角ピン11のうち、矩形状の断面における長さ方向の両端部をパンチングし、その後、両パンチングされた部分に雄ねじのねじ山11aをプレス成形するので、内部に空洞が存在しない中実の棒体に、ねじ部を有したプレス成形ねじ10を作製することができる(図1)。これにより、従来法とは異なり、プレス成形時に被成形材の内側から内工具を押し当てる必要がない。その結果、内部に空洞が存在しない角ピン11に、ねじ部をプレス成形することができる。
【0036】
次に、図8〜図14を参照して、この発明の実施例2に係るねじプレス成形技術を説明する。
図8〜図14において、10Aはこの発明の実施例2に係るプレス成形ねじで、このプレス成形ねじ10Aは、薄肉(厚さ1.5mm)の板金Sを2つ折りにした角ピン(被成形棒材)11Aを素材とする。
【0037】
次に、図10〜図14を参照して、実施例2に係るプレス成形ねじ10Aの製造方法を説明する。
まず、打ち抜き装置14のダイ15Aとパンチ16Aとにより板金Sから角ピン11の素材となる小板21を打ち抜く(図10)。小板21のサイズは、長さ60mm、幅4.5mm、厚さ1.5mmである。
【0038】
その後、小板21には、幅方向の中間から2つ折りする屈曲工程が施される(図11および図12)。
具体的には、まず小板21の両端部を、図示しないプレス成形機によって略直角に下方にプレス成形する(図11)。その後、小板21の幅方向の中間部を上方から、先細り化した板状の押し下げ治具50により押し下げながら、1対の側部挟み込み治具51により両側方から挟み込む。これにより、小板21が幅方向の中間から2つ折りされ、前記角ピン11と略同じ断面矩形状の角ピン11Aとなる(図12)。押し下げ治具50は、折り曲げが進行している適宜時期に、小板21の中から引き抜かれる。角ピン11Aには、前記略直角に屈曲された両端部に対して、軽度にパンチングされた周面加工の前処理が施される(図12)。これにより、周面加工時、角ピン11Aが幅方向の中間部付近から座窟し難くなる。
【0039】
その後、図13に示すプレス金型17に組み込まれた周面加工具12により、角ピン11Aの矩形状の断面における長さ方向の両端部をパンチングする。これにより、角ピン11Aの両パンチング面が同一の仮想円周面に沿った面となる(図9)。
次いで、図14に示すように、ねじ成形用のプレス金型19を用いて、角ピン11Aの両パンチングされた部分に雄ねじのねじ山11aの周方向の一部をそれぞれプレス成形し、プレス成形ねじ10Aを作製する(図8)。これにより、薄肉の板金Sを利用してプレス成形ねじ10Aを作製することができる。
【0040】
次に、図15〜図25を参照して、この発明の実施例3に係るねじプレス成形技術を説明する。
図15〜図25において、10Bはこの発明の実施例3に係るプレス成形ねじで、このプレス成形ねじ10Bでは、角ピン11に代えて、薄肉の板金S製の小板22をパイプ加工して得られた円筒ピン(被成形筒材)11Bを使用している。
円筒ピン11Bの一側部には、円筒ピン11Bの周方向に120°ごと離間した3つの周面隆起部23がそれぞれ形成され、これらの周面隆起部23には雄ねじのねじ山11aの周方向の一部がそれぞれプレス成形されている。
【0041】
次に、図17〜図25を参照して、実施例3に係るプレス成形ねじ10Bの製造方法を説明する。
まず、図示しない剪断装置を使用し、厚さ1.0mmの薄肉の板金Sから、幅50mm、長さ60mmの小板22を剪断する(図17)。
その後、小板22の幅方向の中間部を上方から、先端部の断面が丸リベットの頭部形状となった板状の押し下げ治具52により押し下げながら、1対の側部挟み込み治具53により両側方から挟み込む(図18)。なお、小板22の2つ折りが進行する適宜時期に、押し下げ治具52は小板22の中から引き抜かれる。これにより、小板22は幅方向の中間から2つ折りされ、断面涙滴形状に付形される(図19)。
【0042】
次に、断面涙滴形状を有した小板22を、プレス成形作用面が断面半円形状となった円筒ピン11Bをプレス成形するための円筒ピン成形工具54が組み込まれたプレス金型55にセットし、小板22を円筒ピン11Bにプレス成形する(図19〜図21)。
円筒ピン成形工具54は、上側部分ピン成形加工具54Aと、下側部分ピン成形加工具54Bとにより構成される。このうち、上側部分ピン成形加工具54Aの下側中央部と、下側部分ピン成形加工具54Bの上側中央部とには、断面が半円形状のねじ成形作用面54aがそれぞれ存在する。型嵌合時、ねじ成形作用面54a同士が連続して断面円形状となる。
【0043】
次いで、円筒ピン11Bの一側部に対して、周方向に120°間隔で周面加工具56をパンチングし、間接的に3つの周面隆起部23を形成する(図22および図23)。以下、この工程を詳細に説明する。
周面加工具56は、円筒ピン11Bの一側部(下部)内側の空洞に挿入され、円筒ピン11Bの一側部をパンチングして間接的に3つの周面隆起部23を形成する1つの内周面工具57と、円筒ピン11Bの外方に配置され、内周面工具57と協同して、円筒ピン11Bに各周面隆起部23を間接的にパンチングする3つの外周面工具58とを有している。
内周面工具57は、その外径が略円筒ピン11Bの内径より若干小径で、かつ軸線方向が垂直方向を向いた短尺な円柱形状を有している。内周面工具57の上端面には、内周面工具57を円筒ピン11Bの下部内に挿入し易いように、先細り部57aが一体的に突設されている。また、内周面工具57の外周面には、周方向に向かって120°ごとに、均一な深さと均一な幅とを有した互いに平行な3つの溝部57bが、先細り部57aを除く内周面工具57の全長にわたって形成されている。各溝部57bの奥面は、内周面工具57の軸線を中心とした仮想円周面上にそれぞれ配置されている。
【0044】
各外周面工具58は、内周面工具57の対応する溝部57bとの対向位置に、120°ごと配置されている。各外周面工具58の高さは、各溝部57bの長さと略同じである。また、各外周面工具58の厚さは、各溝部57bの幅と略同じである。各外周面工具58の先端面は、各溝部57bの奥面と略同じ曲率を有している。
【0045】
周面加工工程では、まずピン下側の開口部から円筒ピン11Bの内部の空洞に内周面工具57を挿入する。次に、円筒ピン11Bの外方に配置された3つの外周面工具58を、内周面工具57の軸線方向に移動する。これにより、内周面工具57と外周面工具58とにより、円筒ピン11Bの下側部のうち、その周方向に向かって120°ごとの部分(各溝部57bとの対向部分)が、内外方向からパンチング(周面加工)される。これにより、円筒ピン11Bの下部に、その周方向に向かって3つの溝部57bと、3つの周面隆起部23とが交互に形成される。
【0046】
次に、図24および図25を参照して、パンチング後の各周面隆起部23に、ねじ成形工具59を用いて、雄ねじのねじ山11aの周方向の一部をプレス成形し、これにより円筒ピン11Bの下部にねじ部11bを形成するねじプレス工程を説明する。
ねじ成形工具59は、円筒ピン11Bの下部内の空洞に挿入され、各周面隆起部23にねじ部11bをプレス成形する1つの内ねじ成形工具60と、円筒ピン11Bの外方に配置され、内ねじ成形工具60と協同して各周面隆起部23に雄ねじのねじ山11aをそれぞれプレス成形する3つの外ねじ成形工具61とを有している。
【0047】
内ねじ成形工具60は、内周面工具57と略同じように図示しない先細り部60aと、周方向に120°ごとの3つの溝部60bとを有している。内ねじ成形工具60と内周面工具57との違いは、溝部60bを除く外周部に、雄ねじのねじ山11aを形成させるねじ山60cを有している点である。
各外ねじ成形工具61は、各内ねじ成形工具60と協同して円筒ピン11Bの周面隆起部23に雄ねじのねじ山11aを形成させるねじ山61aが設けられている。各外ねじ成形工具60の先端面の幅(水平方向の長さ)は、各周面隆起部23の幅と略同じである。各外ねじ成形工具61の先端面は、各周面隆起部23の先端面と略同じ曲率を有した湾曲面である。
周面加工工程では、円筒ピン11Bの下部の内側の空洞に内ねじ成形工具60を挿入し、円筒ピン11Bの外方に、対応する溝部60bと対向して3つの外ねじ成形工具61をそれぞれ配置し、内ねじ成形工具60と各外ねじ成形工具61とにより円筒ピン11Bを内外方向から押圧し、各周面隆起部23に雄ねじのねじ山11aを形成させる。これにより、円筒ピン11Bの下部にねじ部11bが形成される。
【0048】
このように、周面加工工程では各周面隆起部23をそれぞれパンチングし、次のねじ成形工程では、雄ねじのねじ山11aの周方向の一部をそれぞれプレス成形する。これにより、従来通りに、円筒ピン11Bに対してねじ部11bをプレス成形することができる。
この発明の板金から得られたプレス成形ねじは、上述した実施例1〜実施例3に記載されたものに限定されない。
例えば、軸線方向に対して直交方向から押し潰した板状ねじ30(図26)を採用することができる。板状ねじ30を取り付け板70に螺着する際には、板状ねじ30のねじ部11bを矩形孔70aに挿入し、矩形孔70aから突出したねじ部11bにナット71を螺合することで、板状ねじ30を取り付け板70に固定する。このとき、板状ねじ30のねじ部11bが断面矩形状で、それに対応する孔も矩形孔70aであるので、板状ねじ30の空回りを防止することができる。また、取り付け方向が予め定められた取り付け板70の場合、その取り付け方向を定め易い。
【0049】
板状ねじ30の他にも、例えば板状フック31の元部にプレス成形されたねじ31A(図27)を採用することができる。
さらに、2枚の連結片32aを有し、2つの部材を突き合わせ状態で連結する連結金具32に設けられたねじ32Aでもよい(図28(a))。連結金具32は、矩形状の小判板を本体とする。小判板の長さ方向の一端の中間から、小判板の他端部の中間まで切り込みが入り、2枚の連結片32aとなる。一方の連結片32aは小判板の表側に90°屈曲され、他方の連結片32aは小判板の裏側に90°屈曲されている。
さらにまた、1枚の連結片33aを有し、図示しない2枚の部材を突き合わせ状態で連結する連結金具33に設けられたねじ33Aを採用でもよい(図28(b))。連結片33aの長さ方向の両端部に、互いに突き合わせ状態で2枚の部材がスポット溶接される。ねじ33Aは、連結片33aの幅方向の一端の中間部において、連結片33aの表面の外方向に向かって突設されている。
【0050】
そして、例えば1枚の矩形板からプレス成形されたT字金具34に設けられた3本のねじ34Aでもよい(図29)。すなわち、1枚の矩形板を略矩形状にプレス加工し、長さ方向の両端の中間部にねじ34Aをそれぞれ一体的にプレス成形する。これにより、矩形板の両側部に同じ大きさの2枚の板片35が形成される。このうち、一方の板片35の中間部に切り込みを入れ、一方の板片35と相似形状(ねじ34A付)を有した小板片35Aを形成する。小板片35Aは、一方の板片34Aを表面の外方向に略90°屈曲させることで、一方の板片34から分離される。こうして、T字金具34が形成される。
【0051】
T字金具34は、コの字形を有した組み立て式のブラケット36の内側に螺合される。ブラケット36は、互いに平行に離間し、かつ各幅方向の長さが、一方の板片35の長さ(高さ)と略同じに形成された1対の矩形状の側板72と、両側板72の上縁部間を溶接しない状態で連結する矩形状の上板73とを有している。また、各側板72および上板73の中央部には、合計3つの矩形孔36aがそれぞれ形成されている。なお、各側板72の矩形孔36aの長さ方向は、それぞれ対応する側板72の長さ方向に向いている。また、上板73に形成された矩形孔36aの長さ方向は、上板73の幅方向に向いている。
【0052】
T字金具34によるブラケット36の連結は、まず両側板72の矩形孔36aに、他方の板片35のねじ34Aと、小板片35Aのねじ34Aとをそれぞれ挿入し、各突出したねじ34Aにナット37をそれぞれ螺合する。次に、一方の側板35のねじ34Aを上板73の矩形孔36aに挿入し、貫通孔36aから突出したねじ34Aにナット37を螺合する。これにより、上板73の両端部が、位置ずれすることなく両側板72の上縁部間に架け渡された状態で堅固に締着される。
【0053】
さらに、他のプレス成形ねじとして、例えばターンバックル38の両端部に形成され、それぞれねじ切り方向が反対となった1対のねじ38A,38Bを採用することができる(図30)。
さらに別のプレス成形ねじとして、例えば板金から得られた細長ブラケット39に設けられたねじ39Aを採用することができる(図31および図32)。細長ブラケット39は、上部に細首部39bが一体形成された正面視して瓶形状の本体部39aを有している。本体部39aは肉厚な金属板製で、細首部39bの元側には段差部39cが形成されている。これにより、本体部39aは、側面視してL字形状に屈曲している。細首部39bの先部の両側部には、ねじ39Aが形成されている。
【0054】
使用時には、まず細長ブラケット39のねじ39A側を上に向け、本体部39aを例えば特定の機器の側板40にスポット溶接する。その後、本体部39aを、例えば横板41の一端部に固着された断面円形の連結筒42に、ねじ部39Aを上端から突出させて挿入する。その後、ねじ部39Aにナット43を螺合することで、連結筒42を介して、横板41が機器の側板40に連結される。
【0055】
その他、この発明の板金から得られたプレス成形ねじは、基板44に固定される矩形ケーシング45に一体成形されたねじ45Aを採用することができる(図33)。ねじ45Aは、矩形ケーシング45の開口側の上縁と下縁との各長さ方向の両端部にそれぞれ1対ずつ一体成形されている。
使用時には、各ねじ45Aを基板44の対応するねじ孔44aにそれぞれ挿入し、基板44の裏側において、各ねじ45Aにナット45Bを螺合する。これにより、矩形ケーシング45Aが基板44に固定される。矩形ケーシング45には、前記板状フック31の場合と同じように、ねじ45Aがプレス成形により突設されている。そのため、ねじ43Aを別体で設ける場合に比べて、矩形ケーシング45の固定部材のコスト低減が図れる。
【0056】
また、この発明のプレス成形ねじは、樋部材46を壁板47に固定するJ字形状の止めねじ48としても採用することができる(図34)。止めねじ48の先部は、全体視してJの字形状に折れ曲がっている。ねじ部11bは止めねじ48の元部にプレス成形されている。ねじ部11bには、ねじ切り方向が反対の2個のナット49が螺合されている。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施例1に係るプレス成形ねじの斜視図である。
【図2】この発明の実施例1に係るねじプレス成形方法における周面加工後の被成形材を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施例1に係るねじプレス成形方法における被成形材の打ち抜き工程を示す縦断面図である。
【図4】この発明の実施例1に係るねじプレス成形方法における被成形材の方向転換の状態を示す正面図である。
【図5】この発明の実施例1に係るねじプレス成形方法における周面加工工程を示す縦断面図である。
【図6】(a)この発明の実施例1に係るねじプレス成形方法における打ち抜き工程後のバリ付き被成形材の拡大断面図である。(b)この発明の実施例1に係るねじプレス成形方法における周面加工工程後のバリ付き被成形材の拡大断面図である。
【図7】この発明の実施例1に係るねじプレス成形方法におけるねじ成形工程を示す縦断面図である。
【図8】この発明の実施例2に係るプレス成形ねじの要部斜視図である。
【図9】この発明の実施例2に係るねじプレス成形方法における周面加工後の被成形材を示す要部斜視図である。
【図10】この発明の実施例2に係るねじプレス成形方法における被成形材の打ち抜き工程を示す縦断面図である。
【図11】この発明の実施例2に係るねじプレス成形方法における被成形材の折り曲げ工程を示す正面図である。
【図12】この発明の実施例2に係るねじプレス成形方法における被成形材の端部たたき工程を示す正面図である。
【図13】この発明の実施例2に係るねじプレス成形方法における被成形材の周面加工工程を示す正面図である。
【図14】この発明の実施例2に係るねじプレス成形方法における被成形材のねじ成形工程を示す正面図である。
【図15】この発明の実施例3に係るプレス成形ねじの斜視図である。
【図16】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法におけるパイプ加工後の被成形材を示す斜視図である。
【図17】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における打ち抜き工程後の被成形材の正面図である。
【図18】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材のロール成形工程を示す正面図である。
【図19】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材のロール成形工程を示す縦断面図である。
【図20】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材のロール成形工程を示す縦断面図である。
【図21】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材のロール成形後の状態を示す縦断面図である。
【図22】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材の周面加工工程を示す斜視図である。
【図23】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材の周面加工工程を示す平面図である。
【図24】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材のねじプレス成形工程を示す斜視図である。
【図25】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材のねじプレス成形工程を示す平面図である。
【図26】この発明の別の実施態様に係るプレス成形ねじの斜視図である。
【図27】この発明のまた別の実施態様に係るプレス成形ねじの斜視図である。
【図28】(a),(b)この発明のさらに別の実施態様に係るプレス成形ねじの斜視図である。
【図29】この発明のさらにまた別の実施態様に係るプレス成形ねじの分解斜視図である。
【図30】この発明の他の実施態様に係るプレス成形ねじの斜視図である。
【図31】この発明のまた他の実施態様に係るプレス成形ねじの使用状態の縦断面図である。
【図32】この発明のまた他の実施態様に係るプレス成形ねじの分解斜視図である。
【図33】この発明のさらに他の実施態様に係るプレス成形ねじの分解斜視図である。
【図34】この発明の次の実施態様に係るプレス成形ねじの使用状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0058】
10,10A,10Bプレス成形ねじ、
11,11A 角ピン(被成形棒材)、
11B 円筒ピン(被成形筒材)、
11a 雄ねじのねじ山、
12 周面加工具、
13 ねじ成形工具、
13a 雄ねじ成形用のねじ山、
17 プレス金型(パンチング手段)、
19 プレス金型(プレス成形手段)、
21 小板、
23 周面隆起部、
24 内周面工具、
25 外周面工具、
60 内ねじ成形工具、
61 外ねじ成形工具、
S 板金。
【技術分野】
【0001】
この発明はねじプレス成形技術、詳しくは筒体または管体に限らず、内部に空洞がない中実の棒体や柱体などにもねじ部をプレス成形可能なねじプレス成形技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の燃料タンクの給油口金具や、照明器具のケースなどに用いられる板金成形部品の円筒部分などにねじ部を設ける方法として、例えば特許文献1のように、ねじ山をプレス成形したものが知られている。
特許文献1のねじプレス成形方法によれば、まず内工具(雄ねじ)を構成する複数の内工具分割部品と、外工具(雌ねじ)を構成する複数の外工具分割部品との間に板金成形部品の円筒部を配置する。その後、各外工具分割部品を縮径状態に移動させ、各内工具分割部品を拡径状態に移動させることで、前記円筒部にねじ部が1工程でプレス成形される。
【特許文献1】特開2004−1039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のねじプレス成形方法にあっては、ねじ部のプレス成形時、板金成形部品のねじ加工部分(円筒部)に対して、内側から内工具を押し当てるとともに、外側から外工具を押し当てていた。そのため、成形の対象となる部材は、内部の空洞に内工具を挿入することが可能な筒体または管体に限られていた。したがって、内部に空洞が存在しない中実体の棒体や柱体などにあっては、ねじ部をプレス成形することができなかった。
【0004】
そこで、この発明は、筒体または管体に限らず、内部に空洞がない中実の棒体や柱体などにもねじ部をプレス成形することができるねじプレス成形技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、板金から得られた断面矩形状の被成形棒材のうち、該矩形状の断面における長さ方向の両端部に周面加工具をパンチングすることで、前記被成形棒材のパンチングされた部分の断面が丸リベットの頭部形状に付形され、かつ前記被成形棒材のパンチング面は被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面となる周面加工を施し、プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記被成形棒材のパンチングされた部分に、前記雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形して得られたプレス成形ねじである。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、被成形棒材の矩形状の断面における長さ方向の両端部を周面加工具によりパンチングし、被成形棒材のパンチングされた部分の断面が丸リベットの頭部形状となるように付形する。このとき、被成形棒材のパンチング面は、被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面に加工される。その後、被成形棒材の各パンチングされた部分にねじ成形工具を押し当て、該両端部に雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形する。これにより、従来法とは異なり、プレス成形時に被成形棒材の内側から内工具を押し当てる必要がない。その結果、内部に空洞が存在しない中実の棒体や柱体などに、ねじ部をプレス成形することができる。
【0007】
板金の素材は限定されない。例えば鉄、鋼(SS;一般構造用圧延鋼、SC;機械構造用炭素鋼、SUS;ステンレス鋼)、アルミニウム、真鍮、銅、青銅などを採用することができる。板金の大きさ、形状は限定されない。
板金から被成形棒材を得る方法は限定されない。例えば、打ち抜き加工、切断加工、溶断加工などを採用することができる。
ここでいう被成形棒材とは、棒形状を有する部材の他、棒より細いピン形状を有する部材、棒より太い柱形状の部材を含むものとする。
被成形棒材の断面形状は矩形状である。その断面における縦横の比率は限定されない。なお、この発明は例えば円形、楕円形、三角形、四角形、五角形以上の多角形の被成形棒材、および、任意の断面形状の被成形棒材にも適用することができる。
周面加工とは、断面円弧形状を有した樋のように湾曲させる加工(樋面加工)をいう。
【0008】
また、周面加工が施されるのは少なくとも被成形棒材の両端部で、他の1つの端部または2つ以上の端部に周面加工を施してもよい。
被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面とは、例えば被成形棒材が角棒で、周面加工される部分が角棒の幅方向の両端部の場合にあっては、被成形棒材の軸線(中心線)を中心とした架空の円周面となる。その際、仮想円周面の直径は被成形棒材の幅より短尺となる。これは、パンチングにより角棒の幅が短くなるためである。
ねじ部は、被成形棒材の全長にわたって設けてもよい。また、その一部だけに設けてもよい。
【0009】
請求項2に記載の発明は、板金から得られた被成形筒材のうち、該被成形筒材の周方向に離間した複数の部分を周面加工具によりパンチングすることで、前記被成形筒材のパンチング面を、該被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とするとともに、該被成形筒材のパンチングされた部分間に、前記パンチング面に比べて被成形筒材の半径方向の外側に配置された周面隆起部を形成させる周面加工を施し、その後、プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記周面隆起部に、前記雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形して得られたプレス成形ねじである。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、被成形筒材の半径方向の両端部を周面加工具によりパンチングし、被成形筒材の半径方向の両端面を、被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面に加工する。これにより、被成形筒材のパンチングされた部分間に、パンチング面に比べて被成形筒材の半径方向の外側に配置された周面隆起部が形成される。
その後、周面隆起部にねじ成形工具を押し当て、周面隆起部に雄ねじのねじ山の周方向の一部をプレス成形する。これにより、従来通り、筒体または管体にねじ部をプレス成形することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、板金から得られた断面矩形状の被成形棒材のうち、該矩形状の断面における長さ方向の両端部を周面加工具によりパンチングして断面が丸リベットの頭部形状に付形する周面加工を施し、該被成形棒材のパンチング面を、該被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とする周面加工工程と、プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記被成形棒材のパンチングされた外周部に、雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形するねじプレス工程とを備えたねじプレス成形方法である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、被成形棒材の両端部を周面加工具によりパンチングし、被成形棒材のパンチングされた部分の断面が丸リベットの頭部形状となるように付形する。このとき、被成形棒材のパンチング面は、仮想円周面に沿った面にそれぞれ加工される。すなわち、被成形棒材の両端部は座窟し、周面加工具のパンチング作用面に沿って圧延され、両端面の面積が拡大される。しかも、被成形棒材が例えば板金の打ち抜き加工物の場合には、打ち抜き時に生じた不要なバリを、ねじ形成部分の一部に利用することができる。これにより、打ち抜き加工後のバリ処理が不要となる。
その後、被成形棒材の両端部にねじ成形工具を押し当て、断面が丸リベットの頭部形状に加工された被成形棒材のパンチングされた部分に雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形する。これにより、従来法とは異なり、プレス成形時に被成形棒材の内側から内工具を押し当てる必要がない。その結果、内部に空洞が存在しない中実の棒体や柱体などに、ねじ部をプレス成形することができる。
【0013】
周面加工具のパンチング作用面は、被成形棒材の中心線を中心とする仮想円周面に沿った湾曲面である。被成形棒材の両端部は、1工程で同時に周面加工してもよいし、2工程で別々に周面加工してもよい。周面加工具の使用数は1つまたは複数である。
雄ねじのねじ山の周方向の一部は、被成形棒材の両端面に1工程で同時にプレス成形してもよいし、2工程で別々にプレス成形してもよい。ねじ成形工具の使用数は1つまたは複数である。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記被成形棒材は6面体の角材である請求項3に記載のねじプレス成形方法である。
6面体としては、例えば直方体、立方体などが挙げられる。
角材である被成形棒材の幅と厚さとの比は限定されない。ただし、素材の材質によるが、SUSの場合には3:1が好ましい。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記被成形棒材は、板金を2つ折り以上に折り重ねて設けた請求項3または請求項4に記載のねじプレス成形方法である。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、薄肉の板金の場合、あらかじめ板金を2つ折り以上に折り重ねて被成形棒材を形成し、その後、被成形棒材に対して周面加工工程とねじ成形工程とを順次施す。これにより、薄い板金からねじを作製することができる。
薄肉の板金は、周面加工を施す前に、その屈曲側とは反対の折り重ねた側の端部に対して、周面加工時の圧力より軽度のパンチングを施した方が好ましい。これは、周面加工時に、被成形棒材が中央部付近から座窟しないようにするためである。
薄肉の板金の厚さは、製造されるプレス成形ねじの直径(太さ)により異なる。
板金の折り重ね数は1回(2つ折り)でもよいし、2回(3つ折り)以上でもよい。
【0017】
請求項6に記載の発明は、板金から得られた被成形筒材のうち、周方向に離間した複数の部分を周面加工具によりパンチングし、前記被成形筒材のパンチング面を、該被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とすることで、該被成形筒材のパンチングされた部分間に、前記パンチング面に比べて被成形筒材の半径方向の外側に配置された周面隆起部を形成させる周面加工工程と、プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記被成形筒材の周面隆起部に、雄ねじのねじ山の周方向の一部をプレス成形するねじプレス工程とを備えたねじプレス成形方法であって、前記周面工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記被成形筒材の一部分をパンチングして周面隆起部を形成する内周面工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内周面工具と協同して、前記被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする外周面工具とを有し、前記ねじ成形工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記周面隆起部にねじ部をプレス成形する内ねじ成形工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内ねじ成形工具と協同して周面隆起部にねじ部をプレス成形する外ねじ成形工具とを有し、前記周面加工工程では、前記被成形筒材の内側の空洞に内周面工具を挿入し、前記外周面工具を被成形材の外方に配置し、前記内周面工具と外周面工具とにより被成形筒材を内外方向からパンチングして周面加工し、前記ねじ成形工程では、前記被成形筒材の内側の空洞に内ねじ成形工具を挿入し、前記被成形筒材の外方に外ねじ成形工具を配置し、前記内ねじ成形工具と外ねじ成形工具とにより被成形筒材を内外方向から押圧し、前記周面隆起部にねじ部をプレス成形するねじプレス成形方法である。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、周面加工工程では、内周面工具と外周面工具とにより、内外方向から被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする。続くねじ成形工程では、内ねじ成形工具と外ねじ成形工具とにより周面隆起部を内外方向から押圧し、雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形する。その結果、従来通り、筒体または管体にねじ部をプレス成形することができる。
【0019】
ここでいう被成形筒材とは、筒形状を有する部材の他、筒より長尺な管形状を含むものである。
板金を筒(パイプ)加工する方法は限定されない。例えば、ベンダ曲げ方法、ロール曲げ方法、ロール成形方法などを採用することができる。
周面隆起部とは、被成形筒材の一部に形成された外方に突出する部分で、被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿う外周面を有している。
被成形筒材における周面隆起部の形成範囲、形成数は限定されない。
【0020】
請求項7に記載の発明は、板金から得られた断面矩形状の被成形棒材のうち、該矩形状の断面における長さ方向の両端部に周面加工具をパンチングすることで、前記被成形棒材のパンチングされた部分を、断面が丸リベットの頭部形状となるように付形するとともに、該被成形棒材のパンチング面を、該被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とする周面加工具と、該周面加工具を、前記被成形棒材の長さ方向の両端部にそれぞれパンチングするパンチング手段と、プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具と、前記被成形棒材のパンチング部分にねじ成形工具を押圧し、前記被成形棒材の両端部に雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形するプレス成形手段とを備えたねじプレス成形装置である。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、被成形棒材の両端部を周面加工具によりパンチングし、被成形棒材のパンチングされた部分の断面が丸リベットの頭部形状となるように付形する。このとき、被成形棒材の両パンチング面は仮想円周面に沿った面となる。すなわち、被成形棒材のパンチングされた各部分は座窟し、周面加工具のパンチング作用面に沿って押し延ばされる。これにより、両パンチング面の面積が拡大される。しかも、例えば被成形棒材が板金の打ち抜き加工物の場合には、打ち抜き時に生じたバリが、この周面加工時にねじ形成部分の一部となる。これにより、打ち抜き加工後のバリ処理が不要となる。
その後、被成形棒材の両パンチングされた部分をねじ成形工具により押圧し、両パンチングされた部分に雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形する。これにより、従来法とは異なり、プレス成形時に被成形棒材の内側から内工具を押し当てる必要がない。その結果、内部に空洞が存在しない中実の棒体や柱体などに、ねじ部をプレス成形することができる。
パンチング手段およびプレス成形手段は限定されない。
【0022】
請求項8に記載の発明は、板金から得られた被成形筒材のうち、該被成形筒材の周方向に離間した複数の部分にパンチングされることで、該被成形筒材のパンチング面を、該被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とするとともに、該被成形筒材のパンチングされた部分間に、該パンチングされた部分に比べて、前記被成形筒材の半径方向の外側に配置された周面隆起部を形成する周面加工具と、該周面加工具を、前記被成形筒材のうち、周方向に離間した複数の部分にそれぞれパンチングするパンチング手段と、プレス作用面に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具と、前記被成形筒材の周面隆起部にねじ成形工具を押圧し、前記周面隆起部に雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形するプレス成形手段とを備え、前記周面工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする内周面工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内周面工具と協同して被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする外周面工具とを有し、前記ねじ成形工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記周面隆起部にねじ部をプレス成形する内ねじ成形工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内ねじ成形工具と協同して周面隆起部にねじ部をプレス成形する外ねじ成形工具とを有したねじプレス成形装置である。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、周面加工工程では、内周面工具と外周面工具とにより、内外方向から被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする。続くねじ成形工程では、内ねじ成形工具と外ねじ成形工具とにより周面隆起部を内外方向から押圧し、雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形する。その結果、従来通り、筒体または管体にねじ部をプレス成形することができる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に記載のプレス成形ねじ、請求項3に記載のねじプレス成形方法および請求項7に記載のねじプレス成形装置によれば、被成形棒材の矩形状の断面における長さ方向の両端部を周面加工具によりパンチングして周面加工し、その後、被成形棒材の両パンチングされた部分にねじ成形工具を押し当て、該両端部に雄ねじのねじ山をプレス成形する。これにより、内部に空洞が存在しない中実の棒体や柱体などに、ねじ部をプレス成形することができる。
【0025】
特に、請求項5に記載のねじプレス成形方法によれば、薄肉の板金の場合、これを2つ折り以上に折り重ねて被成形棒材を設けるので、薄肉の板金からねじが得られる。
【0026】
また、請求項2に記載のプレス成形ねじ、請求項6に記載のねじプレス成形方法および請求項8に記載のねじプレス成形装置によれば、内周面工具と外周面工具とにより、被成形筒材を内外方向から押圧し、被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする。その後、ねじ成形工程では、内ねじ成形工具と外ねじ成形工具とにより周面隆起部に内外方向からねじ部をプレス成形する。その結果、従来通り、筒体、管体にねじ部をプレス成形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。まず、図1〜図7を参照してこの発明の実施例1のねじプレス成形技術を説明する。
【実施例1】
【0028】
図1〜図7において、10はこの発明の実施例1に係るプレス成形ねじで、このプレス成形ねじ10は、板金Sから得られた角ピン(被成形棒材)11の幅方向の両端部を周面加工具12によりパンチングし、角ピン11の幅方向の両端面を、角ピン11の軸線(中心線)を中心とした同一の仮想円周面に沿った面とし、その後、プレス作用面に雄ねじ成形用のねじ山13aの周方向の一部が形成されたねじ成形工具13を使用し、角ピン11のパンチングされた両端部に、雄ねじのねじ山11aの周方向の一部をそれぞれプレス成形して得たねじである。
【0029】
板金SはSS400製で、厚さは2.0〜6.0mm(ここでは、3.0mm)である。角ピン11は断面矩形状を有する6面体で、ピンサイズは長さ60mm、幅9mm、厚さ3mmである。すなわち、角ピン11の厚さと幅との比は1:3である。角ピン11のねじ部11bは、角ピン11の一端から他端側に向かって30mmの範囲である。
【0030】
次に、図3〜図7を参照して、実施例1に係るプレス成形ねじ10の製造方法を説明する。
まず、打ち抜き装置14のダイ15とパンチ16とにより板金Sから角ピン11を打ち抜く(図3)。その後、角ピン11を軸線を中心にして90度回転させる(図4)。
次に、プレス金型(パンチング手段)17に組み込まれた周面加工具12により、角ピン11の長さ方向の一側部において、断面矩形状の角ピン11のうち、この矩形状の断面における長さ方向の両端部をパンチングする。これにより、角ピン11の幅方向の両端面が同一の仮想円周面に沿った面となる(図2)。プレス金型17によれば、油圧シリンダ18、18Aの各ロッド18aの突出によりパンチングされる。周面加工具12は開放型の金型である。
【0031】
以下、周面加工具12を詳細に説明する。周面加工具12は、上側部分周面加工具12Aと下側部分周面加工具12Bと左右の側部分周面加工具12Cとにより構成される。上側部分周面加工具12Aの下側中央部と、下側部分周面加工具12Bの上側中央部とには、断面円弧形状のパンチング作用面12aがそれぞれ存在する。また、両側部分周面加工具12Cの先端部には、角ピン11のパンチング面とは直交する両側面を水平方向(図5中の左右方向)から挟持する板状の挟持突起12cがそれぞれ一体形成されている。両挟持突起12cの厚さ(高さ)t1は、パンチング後の角ピン11において、パンチングにより変形されない中央部分の、予め設定された長さと同じである。
【0032】
パンチング時、まず下側部分周面加工具12Bのパンチング作用面12a上に、角ピン11を載置する。このとき、角ピン11は、その矩形状の断面における長さ方向を垂直方向(図5の上下方向)に向けて載置される。次に、両油圧シリンダ18Aのロッド18aをそれぞれ突出し、角ピン11のパンチング面とは直交する両側面の高さ(図5中の上下方向の長さ)の中間部を、両挟持突起12cにより水平方向から挟持する。これにより、パンチング時の前記角ピン11の中間部の座窟を防止することができる。次に、この挟持状態のまま、油圧シリンダ18のロッド18aを突出し、角ピン11の矩形状の断面における長さ方向の両端部を上側部分周面加工具12Aと下側部分周面加工具12Bによりパンチングする。
これにより、角ピン11のパンチングされた部分は座窟し、周面加工具12のパンチング作用面12aに沿って押し延ばされる。これにより、角ピン11のパンチング面の面積が拡大される。しかも、角ピン11は板金Sの打ち抜き加工物である。その結果、打ち抜き時に生じたバリ11c(図6(a))は、パンチングによりねじ形成部分の一部となる(図6(b))。よって、打ち抜き加工後のバリ処理が不要になる。
【0033】
その後、角ピン11をねじ成形用のプレス金型(ねじ成形手段)19にセットし、角ピン11のパンチングされた幅方向の両端部にねじ成形工具13を押し当て、角ピン11のパンチングされた両端部に、雄ねじのねじ山11aの周方向の一部をプレス成形する(図7)。
ねじ成形加工具13は、上側部分ねじ成形加工具13Aと下側部分ねじ成形加工具13Bと左右の側部分周面加工具13Cとにより構成される。このうち、上側部分ねじ成形加工具13Aの下側中央部と、下側部分ねじ成形加工具13Bの上側中央部とには、断面円弧形状のねじ成形作用面13aがそれぞれ存在する。
また、両側部分周面加工具13Cの先端部には、角ピン11のパンチング面とは直交する両側面を水平方向(図7中の左右方向)から挟持する板状の挟持突起13cがそれぞれ一体形成されている。両挟持突起13cの厚さ(高さ)t2は、プレス成形後の角ピン11において、プレス成形により変形されない中央部分の、予め設定された長さと同じである。
【0034】
プレス成形時、まず下側部分ねじ成形加工具13Bのプレス成形作用面13a上に、角ピン11を載置する。このとき、角ピン11は、その矩形状の断面における長さ方向を垂直方向に向けて載置される。次に、両油圧シリンダ20Aのロッド20aをそれぞれ突出し、角ピン11のパンチング面とは直交する両側面の高さの中間部を、両挟持突起13cにより水平方向から挟持する。これにより、プレス成形時の前記角ピン11の中間部の座窟を防止することができる。次に、この挟持状態のまま、油圧シリンダ20のロッド20aを突出し、角ピン11の両パンチングされた部分を上側部分ねじ成形加工具13Aと下側部分ねじ成形加工具13Bによりプレス成形する。これにより、角ピン11のプレス成形された部分は座窟し、ねじ成形工具13の両ねじ成形作用面13aに沿って押し延ばされ、角ピン11のパンチングされた両端部に、雄ねじのねじ山11aがプレス成形される。
【0035】
このように、角ピン11のうち、矩形状の断面における長さ方向の両端部をパンチングし、その後、両パンチングされた部分に雄ねじのねじ山11aをプレス成形するので、内部に空洞が存在しない中実の棒体に、ねじ部を有したプレス成形ねじ10を作製することができる(図1)。これにより、従来法とは異なり、プレス成形時に被成形材の内側から内工具を押し当てる必要がない。その結果、内部に空洞が存在しない角ピン11に、ねじ部をプレス成形することができる。
【0036】
次に、図8〜図14を参照して、この発明の実施例2に係るねじプレス成形技術を説明する。
図8〜図14において、10Aはこの発明の実施例2に係るプレス成形ねじで、このプレス成形ねじ10Aは、薄肉(厚さ1.5mm)の板金Sを2つ折りにした角ピン(被成形棒材)11Aを素材とする。
【0037】
次に、図10〜図14を参照して、実施例2に係るプレス成形ねじ10Aの製造方法を説明する。
まず、打ち抜き装置14のダイ15Aとパンチ16Aとにより板金Sから角ピン11の素材となる小板21を打ち抜く(図10)。小板21のサイズは、長さ60mm、幅4.5mm、厚さ1.5mmである。
【0038】
その後、小板21には、幅方向の中間から2つ折りする屈曲工程が施される(図11および図12)。
具体的には、まず小板21の両端部を、図示しないプレス成形機によって略直角に下方にプレス成形する(図11)。その後、小板21の幅方向の中間部を上方から、先細り化した板状の押し下げ治具50により押し下げながら、1対の側部挟み込み治具51により両側方から挟み込む。これにより、小板21が幅方向の中間から2つ折りされ、前記角ピン11と略同じ断面矩形状の角ピン11Aとなる(図12)。押し下げ治具50は、折り曲げが進行している適宜時期に、小板21の中から引き抜かれる。角ピン11Aには、前記略直角に屈曲された両端部に対して、軽度にパンチングされた周面加工の前処理が施される(図12)。これにより、周面加工時、角ピン11Aが幅方向の中間部付近から座窟し難くなる。
【0039】
その後、図13に示すプレス金型17に組み込まれた周面加工具12により、角ピン11Aの矩形状の断面における長さ方向の両端部をパンチングする。これにより、角ピン11Aの両パンチング面が同一の仮想円周面に沿った面となる(図9)。
次いで、図14に示すように、ねじ成形用のプレス金型19を用いて、角ピン11Aの両パンチングされた部分に雄ねじのねじ山11aの周方向の一部をそれぞれプレス成形し、プレス成形ねじ10Aを作製する(図8)。これにより、薄肉の板金Sを利用してプレス成形ねじ10Aを作製することができる。
【0040】
次に、図15〜図25を参照して、この発明の実施例3に係るねじプレス成形技術を説明する。
図15〜図25において、10Bはこの発明の実施例3に係るプレス成形ねじで、このプレス成形ねじ10Bでは、角ピン11に代えて、薄肉の板金S製の小板22をパイプ加工して得られた円筒ピン(被成形筒材)11Bを使用している。
円筒ピン11Bの一側部には、円筒ピン11Bの周方向に120°ごと離間した3つの周面隆起部23がそれぞれ形成され、これらの周面隆起部23には雄ねじのねじ山11aの周方向の一部がそれぞれプレス成形されている。
【0041】
次に、図17〜図25を参照して、実施例3に係るプレス成形ねじ10Bの製造方法を説明する。
まず、図示しない剪断装置を使用し、厚さ1.0mmの薄肉の板金Sから、幅50mm、長さ60mmの小板22を剪断する(図17)。
その後、小板22の幅方向の中間部を上方から、先端部の断面が丸リベットの頭部形状となった板状の押し下げ治具52により押し下げながら、1対の側部挟み込み治具53により両側方から挟み込む(図18)。なお、小板22の2つ折りが進行する適宜時期に、押し下げ治具52は小板22の中から引き抜かれる。これにより、小板22は幅方向の中間から2つ折りされ、断面涙滴形状に付形される(図19)。
【0042】
次に、断面涙滴形状を有した小板22を、プレス成形作用面が断面半円形状となった円筒ピン11Bをプレス成形するための円筒ピン成形工具54が組み込まれたプレス金型55にセットし、小板22を円筒ピン11Bにプレス成形する(図19〜図21)。
円筒ピン成形工具54は、上側部分ピン成形加工具54Aと、下側部分ピン成形加工具54Bとにより構成される。このうち、上側部分ピン成形加工具54Aの下側中央部と、下側部分ピン成形加工具54Bの上側中央部とには、断面が半円形状のねじ成形作用面54aがそれぞれ存在する。型嵌合時、ねじ成形作用面54a同士が連続して断面円形状となる。
【0043】
次いで、円筒ピン11Bの一側部に対して、周方向に120°間隔で周面加工具56をパンチングし、間接的に3つの周面隆起部23を形成する(図22および図23)。以下、この工程を詳細に説明する。
周面加工具56は、円筒ピン11Bの一側部(下部)内側の空洞に挿入され、円筒ピン11Bの一側部をパンチングして間接的に3つの周面隆起部23を形成する1つの内周面工具57と、円筒ピン11Bの外方に配置され、内周面工具57と協同して、円筒ピン11Bに各周面隆起部23を間接的にパンチングする3つの外周面工具58とを有している。
内周面工具57は、その外径が略円筒ピン11Bの内径より若干小径で、かつ軸線方向が垂直方向を向いた短尺な円柱形状を有している。内周面工具57の上端面には、内周面工具57を円筒ピン11Bの下部内に挿入し易いように、先細り部57aが一体的に突設されている。また、内周面工具57の外周面には、周方向に向かって120°ごとに、均一な深さと均一な幅とを有した互いに平行な3つの溝部57bが、先細り部57aを除く内周面工具57の全長にわたって形成されている。各溝部57bの奥面は、内周面工具57の軸線を中心とした仮想円周面上にそれぞれ配置されている。
【0044】
各外周面工具58は、内周面工具57の対応する溝部57bとの対向位置に、120°ごと配置されている。各外周面工具58の高さは、各溝部57bの長さと略同じである。また、各外周面工具58の厚さは、各溝部57bの幅と略同じである。各外周面工具58の先端面は、各溝部57bの奥面と略同じ曲率を有している。
【0045】
周面加工工程では、まずピン下側の開口部から円筒ピン11Bの内部の空洞に内周面工具57を挿入する。次に、円筒ピン11Bの外方に配置された3つの外周面工具58を、内周面工具57の軸線方向に移動する。これにより、内周面工具57と外周面工具58とにより、円筒ピン11Bの下側部のうち、その周方向に向かって120°ごとの部分(各溝部57bとの対向部分)が、内外方向からパンチング(周面加工)される。これにより、円筒ピン11Bの下部に、その周方向に向かって3つの溝部57bと、3つの周面隆起部23とが交互に形成される。
【0046】
次に、図24および図25を参照して、パンチング後の各周面隆起部23に、ねじ成形工具59を用いて、雄ねじのねじ山11aの周方向の一部をプレス成形し、これにより円筒ピン11Bの下部にねじ部11bを形成するねじプレス工程を説明する。
ねじ成形工具59は、円筒ピン11Bの下部内の空洞に挿入され、各周面隆起部23にねじ部11bをプレス成形する1つの内ねじ成形工具60と、円筒ピン11Bの外方に配置され、内ねじ成形工具60と協同して各周面隆起部23に雄ねじのねじ山11aをそれぞれプレス成形する3つの外ねじ成形工具61とを有している。
【0047】
内ねじ成形工具60は、内周面工具57と略同じように図示しない先細り部60aと、周方向に120°ごとの3つの溝部60bとを有している。内ねじ成形工具60と内周面工具57との違いは、溝部60bを除く外周部に、雄ねじのねじ山11aを形成させるねじ山60cを有している点である。
各外ねじ成形工具61は、各内ねじ成形工具60と協同して円筒ピン11Bの周面隆起部23に雄ねじのねじ山11aを形成させるねじ山61aが設けられている。各外ねじ成形工具60の先端面の幅(水平方向の長さ)は、各周面隆起部23の幅と略同じである。各外ねじ成形工具61の先端面は、各周面隆起部23の先端面と略同じ曲率を有した湾曲面である。
周面加工工程では、円筒ピン11Bの下部の内側の空洞に内ねじ成形工具60を挿入し、円筒ピン11Bの外方に、対応する溝部60bと対向して3つの外ねじ成形工具61をそれぞれ配置し、内ねじ成形工具60と各外ねじ成形工具61とにより円筒ピン11Bを内外方向から押圧し、各周面隆起部23に雄ねじのねじ山11aを形成させる。これにより、円筒ピン11Bの下部にねじ部11bが形成される。
【0048】
このように、周面加工工程では各周面隆起部23をそれぞれパンチングし、次のねじ成形工程では、雄ねじのねじ山11aの周方向の一部をそれぞれプレス成形する。これにより、従来通りに、円筒ピン11Bに対してねじ部11bをプレス成形することができる。
この発明の板金から得られたプレス成形ねじは、上述した実施例1〜実施例3に記載されたものに限定されない。
例えば、軸線方向に対して直交方向から押し潰した板状ねじ30(図26)を採用することができる。板状ねじ30を取り付け板70に螺着する際には、板状ねじ30のねじ部11bを矩形孔70aに挿入し、矩形孔70aから突出したねじ部11bにナット71を螺合することで、板状ねじ30を取り付け板70に固定する。このとき、板状ねじ30のねじ部11bが断面矩形状で、それに対応する孔も矩形孔70aであるので、板状ねじ30の空回りを防止することができる。また、取り付け方向が予め定められた取り付け板70の場合、その取り付け方向を定め易い。
【0049】
板状ねじ30の他にも、例えば板状フック31の元部にプレス成形されたねじ31A(図27)を採用することができる。
さらに、2枚の連結片32aを有し、2つの部材を突き合わせ状態で連結する連結金具32に設けられたねじ32Aでもよい(図28(a))。連結金具32は、矩形状の小判板を本体とする。小判板の長さ方向の一端の中間から、小判板の他端部の中間まで切り込みが入り、2枚の連結片32aとなる。一方の連結片32aは小判板の表側に90°屈曲され、他方の連結片32aは小判板の裏側に90°屈曲されている。
さらにまた、1枚の連結片33aを有し、図示しない2枚の部材を突き合わせ状態で連結する連結金具33に設けられたねじ33Aを採用でもよい(図28(b))。連結片33aの長さ方向の両端部に、互いに突き合わせ状態で2枚の部材がスポット溶接される。ねじ33Aは、連結片33aの幅方向の一端の中間部において、連結片33aの表面の外方向に向かって突設されている。
【0050】
そして、例えば1枚の矩形板からプレス成形されたT字金具34に設けられた3本のねじ34Aでもよい(図29)。すなわち、1枚の矩形板を略矩形状にプレス加工し、長さ方向の両端の中間部にねじ34Aをそれぞれ一体的にプレス成形する。これにより、矩形板の両側部に同じ大きさの2枚の板片35が形成される。このうち、一方の板片35の中間部に切り込みを入れ、一方の板片35と相似形状(ねじ34A付)を有した小板片35Aを形成する。小板片35Aは、一方の板片34Aを表面の外方向に略90°屈曲させることで、一方の板片34から分離される。こうして、T字金具34が形成される。
【0051】
T字金具34は、コの字形を有した組み立て式のブラケット36の内側に螺合される。ブラケット36は、互いに平行に離間し、かつ各幅方向の長さが、一方の板片35の長さ(高さ)と略同じに形成された1対の矩形状の側板72と、両側板72の上縁部間を溶接しない状態で連結する矩形状の上板73とを有している。また、各側板72および上板73の中央部には、合計3つの矩形孔36aがそれぞれ形成されている。なお、各側板72の矩形孔36aの長さ方向は、それぞれ対応する側板72の長さ方向に向いている。また、上板73に形成された矩形孔36aの長さ方向は、上板73の幅方向に向いている。
【0052】
T字金具34によるブラケット36の連結は、まず両側板72の矩形孔36aに、他方の板片35のねじ34Aと、小板片35Aのねじ34Aとをそれぞれ挿入し、各突出したねじ34Aにナット37をそれぞれ螺合する。次に、一方の側板35のねじ34Aを上板73の矩形孔36aに挿入し、貫通孔36aから突出したねじ34Aにナット37を螺合する。これにより、上板73の両端部が、位置ずれすることなく両側板72の上縁部間に架け渡された状態で堅固に締着される。
【0053】
さらに、他のプレス成形ねじとして、例えばターンバックル38の両端部に形成され、それぞれねじ切り方向が反対となった1対のねじ38A,38Bを採用することができる(図30)。
さらに別のプレス成形ねじとして、例えば板金から得られた細長ブラケット39に設けられたねじ39Aを採用することができる(図31および図32)。細長ブラケット39は、上部に細首部39bが一体形成された正面視して瓶形状の本体部39aを有している。本体部39aは肉厚な金属板製で、細首部39bの元側には段差部39cが形成されている。これにより、本体部39aは、側面視してL字形状に屈曲している。細首部39bの先部の両側部には、ねじ39Aが形成されている。
【0054】
使用時には、まず細長ブラケット39のねじ39A側を上に向け、本体部39aを例えば特定の機器の側板40にスポット溶接する。その後、本体部39aを、例えば横板41の一端部に固着された断面円形の連結筒42に、ねじ部39Aを上端から突出させて挿入する。その後、ねじ部39Aにナット43を螺合することで、連結筒42を介して、横板41が機器の側板40に連結される。
【0055】
その他、この発明の板金から得られたプレス成形ねじは、基板44に固定される矩形ケーシング45に一体成形されたねじ45Aを採用することができる(図33)。ねじ45Aは、矩形ケーシング45の開口側の上縁と下縁との各長さ方向の両端部にそれぞれ1対ずつ一体成形されている。
使用時には、各ねじ45Aを基板44の対応するねじ孔44aにそれぞれ挿入し、基板44の裏側において、各ねじ45Aにナット45Bを螺合する。これにより、矩形ケーシング45Aが基板44に固定される。矩形ケーシング45には、前記板状フック31の場合と同じように、ねじ45Aがプレス成形により突設されている。そのため、ねじ43Aを別体で設ける場合に比べて、矩形ケーシング45の固定部材のコスト低減が図れる。
【0056】
また、この発明のプレス成形ねじは、樋部材46を壁板47に固定するJ字形状の止めねじ48としても採用することができる(図34)。止めねじ48の先部は、全体視してJの字形状に折れ曲がっている。ねじ部11bは止めねじ48の元部にプレス成形されている。ねじ部11bには、ねじ切り方向が反対の2個のナット49が螺合されている。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施例1に係るプレス成形ねじの斜視図である。
【図2】この発明の実施例1に係るねじプレス成形方法における周面加工後の被成形材を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施例1に係るねじプレス成形方法における被成形材の打ち抜き工程を示す縦断面図である。
【図4】この発明の実施例1に係るねじプレス成形方法における被成形材の方向転換の状態を示す正面図である。
【図5】この発明の実施例1に係るねじプレス成形方法における周面加工工程を示す縦断面図である。
【図6】(a)この発明の実施例1に係るねじプレス成形方法における打ち抜き工程後のバリ付き被成形材の拡大断面図である。(b)この発明の実施例1に係るねじプレス成形方法における周面加工工程後のバリ付き被成形材の拡大断面図である。
【図7】この発明の実施例1に係るねじプレス成形方法におけるねじ成形工程を示す縦断面図である。
【図8】この発明の実施例2に係るプレス成形ねじの要部斜視図である。
【図9】この発明の実施例2に係るねじプレス成形方法における周面加工後の被成形材を示す要部斜視図である。
【図10】この発明の実施例2に係るねじプレス成形方法における被成形材の打ち抜き工程を示す縦断面図である。
【図11】この発明の実施例2に係るねじプレス成形方法における被成形材の折り曲げ工程を示す正面図である。
【図12】この発明の実施例2に係るねじプレス成形方法における被成形材の端部たたき工程を示す正面図である。
【図13】この発明の実施例2に係るねじプレス成形方法における被成形材の周面加工工程を示す正面図である。
【図14】この発明の実施例2に係るねじプレス成形方法における被成形材のねじ成形工程を示す正面図である。
【図15】この発明の実施例3に係るプレス成形ねじの斜視図である。
【図16】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法におけるパイプ加工後の被成形材を示す斜視図である。
【図17】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における打ち抜き工程後の被成形材の正面図である。
【図18】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材のロール成形工程を示す正面図である。
【図19】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材のロール成形工程を示す縦断面図である。
【図20】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材のロール成形工程を示す縦断面図である。
【図21】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材のロール成形後の状態を示す縦断面図である。
【図22】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材の周面加工工程を示す斜視図である。
【図23】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材の周面加工工程を示す平面図である。
【図24】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材のねじプレス成形工程を示す斜視図である。
【図25】この発明の実施例3に係るねじプレス成形方法における被成形材のねじプレス成形工程を示す平面図である。
【図26】この発明の別の実施態様に係るプレス成形ねじの斜視図である。
【図27】この発明のまた別の実施態様に係るプレス成形ねじの斜視図である。
【図28】(a),(b)この発明のさらに別の実施態様に係るプレス成形ねじの斜視図である。
【図29】この発明のさらにまた別の実施態様に係るプレス成形ねじの分解斜視図である。
【図30】この発明の他の実施態様に係るプレス成形ねじの斜視図である。
【図31】この発明のまた他の実施態様に係るプレス成形ねじの使用状態の縦断面図である。
【図32】この発明のまた他の実施態様に係るプレス成形ねじの分解斜視図である。
【図33】この発明のさらに他の実施態様に係るプレス成形ねじの分解斜視図である。
【図34】この発明の次の実施態様に係るプレス成形ねじの使用状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0058】
10,10A,10Bプレス成形ねじ、
11,11A 角ピン(被成形棒材)、
11B 円筒ピン(被成形筒材)、
11a 雄ねじのねじ山、
12 周面加工具、
13 ねじ成形工具、
13a 雄ねじ成形用のねじ山、
17 プレス金型(パンチング手段)、
19 プレス金型(プレス成形手段)、
21 小板、
23 周面隆起部、
24 内周面工具、
25 外周面工具、
60 内ねじ成形工具、
61 外ねじ成形工具、
S 板金。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板金から得られた断面矩形状の被成形棒材のうち、該矩形状の断面における長さ方向の両端部に周面加工具をパンチングすることで、前記被成形棒材のパンチングされた部分の断面が丸リベットの頭部形状に付形され、かつ前記被成形棒材のパンチング面は被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面となる周面加工を施し、
プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記被成形棒材のパンチングされた部分に、前記雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形して得られたプレス成形ねじ。
【請求項2】
板金から得られた被成形筒材のうち、該被成形筒材の周方向に離間した複数の部分を周面加工具によりパンチングすることで、前記被成形筒材のパンチング面を、該被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とするとともに、該被成形筒材のパンチングされた部分間に、前記パンチング面に比べて被成形筒材の半径方向の外側に配置された周面隆起部を形成させる周面加工を施し、その後、プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記周面隆起部に、前記雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形して得られたプレス成形ねじ。
【請求項3】
板金から得られた断面矩形状の被成形棒材のうち、該矩形状の断面における長さ方向の両端部を周面加工具によりパンチングして断面が丸リベットの頭部形状に付形する周面加工を施し、該被成形棒材のパンチング面を、該被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とする周面加工工程と、
プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記被成形棒材のパンチングされた外周部に、雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形するねじプレス工程とを備えたねじプレス成形方法。
【請求項4】
前記被成形棒材は6面体の角材である請求項3に記載のねじプレス成形方法。
【請求項5】
前記被成形棒材は、板金を2つ折り以上に折り重ねて設けた請求項3または請求項4に記載のねじプレス成形方法。
【請求項6】
板金から得られた被成形筒材のうち、周方向に離間した複数の部分を周面加工具によりパンチングし、前記被成形筒材のパンチング面を、該被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とすることで、該被成形筒材のパンチングされた部分間に、前記パンチング面に比べて被成形筒材の半径方向の外側に配置された周面隆起部を形成させる周面加工工程と、
プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記被成形筒材の周面隆起部に、雄ねじのねじ山の周方向の一部をプレス成形するねじプレス工程とを備えたねじプレス成形方法であって、
前記周面工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記被成形筒材の一部分をパンチングして周面隆起部を形成する内周面工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内周面工具と協同して、前記被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする外周面工具とを有し、
前記ねじ成形工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記周面隆起部にねじ部をプレス成形する内ねじ成形工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内ねじ成形工具と協同して周面隆起部にねじ部をプレス成形する外ねじ成形工具とを有し、
前記周面加工工程では、前記被成形筒材の内側の空洞に内周面工具を挿入し、前記外周面工具を被成形材の外方に配置し、前記内周面工具と外周面工具とにより被成形筒材を内外方向からパンチングして周面加工し、
前記ねじ成形工程では、前記被成形筒材の内側の空洞に内ねじ成形工具を挿入し、前記被成形筒材の外方に外ねじ成形工具を配置し、前記内ねじ成形工具と外ねじ成形工具とにより被成形筒材を内外方向から押圧し、前記周面隆起部にねじ部をプレス成形するねじプレス成形方法。
【請求項7】
板金から得られた断面矩形状の被成形棒材のうち、該矩形状の断面における長さ方向の両端部に周面加工具をパンチングすることで、前記被成形棒材のパンチングされた部分を、断面が丸リベットの頭部形状となるように付形するとともに、該被成形棒材のパンチング面を、該被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とする周面加工具と、
該周面加工具を、前記被成形棒材の長さ方向の両端部にそれぞれパンチングするパンチング手段と、
プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具と、
前記被成形棒材のパンチング部分にねじ成形工具を押圧し、前記被成形棒材の両端部に雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形するプレス成形手段とを備えたねじプレス成形装置。
【請求項8】
板金から得られた被成形筒材のうち、該被成形筒材の周方向に離間した複数の部分にパンチングされることで、該被成形筒材のパンチング面を、該被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とするとともに、該被成形筒材のパンチングされた部分間に、該パンチングされた部分に比べて、前記被成形筒材の半径方向の外側に配置された周面隆起部を形成する周面加工具と、
該周面加工具を、前記被成形筒材のうち、周方向に離間した複数の部分にそれぞれパンチングするパンチング手段と、
プレス作用面に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具と、
前記被成形筒材の周面隆起部にねじ成形工具を押圧し、前記周面隆起部に雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形するプレス成形手段とを備え、
前記周面工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする内周面工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内周面工具と協同して被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする外周面工具とを有し、
前記ねじ成形工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記周面隆起部にねじ部をプレス成形する内ねじ成形工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内ねじ成形工具と協同して周面隆起部にねじ部をプレス成形する外ねじ成形工具とを有したねじプレス成形装置。
【請求項1】
板金から得られた断面矩形状の被成形棒材のうち、該矩形状の断面における長さ方向の両端部に周面加工具をパンチングすることで、前記被成形棒材のパンチングされた部分の断面が丸リベットの頭部形状に付形され、かつ前記被成形棒材のパンチング面は被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面となる周面加工を施し、
プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記被成形棒材のパンチングされた部分に、前記雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形して得られたプレス成形ねじ。
【請求項2】
板金から得られた被成形筒材のうち、該被成形筒材の周方向に離間した複数の部分を周面加工具によりパンチングすることで、前記被成形筒材のパンチング面を、該被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とするとともに、該被成形筒材のパンチングされた部分間に、前記パンチング面に比べて被成形筒材の半径方向の外側に配置された周面隆起部を形成させる周面加工を施し、その後、プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記周面隆起部に、前記雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形して得られたプレス成形ねじ。
【請求項3】
板金から得られた断面矩形状の被成形棒材のうち、該矩形状の断面における長さ方向の両端部を周面加工具によりパンチングして断面が丸リベットの頭部形状に付形する周面加工を施し、該被成形棒材のパンチング面を、該被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とする周面加工工程と、
プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記被成形棒材のパンチングされた外周部に、雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形するねじプレス工程とを備えたねじプレス成形方法。
【請求項4】
前記被成形棒材は6面体の角材である請求項3に記載のねじプレス成形方法。
【請求項5】
前記被成形棒材は、板金を2つ折り以上に折り重ねて設けた請求項3または請求項4に記載のねじプレス成形方法。
【請求項6】
板金から得られた被成形筒材のうち、周方向に離間した複数の部分を周面加工具によりパンチングし、前記被成形筒材のパンチング面を、該被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とすることで、該被成形筒材のパンチングされた部分間に、前記パンチング面に比べて被成形筒材の半径方向の外側に配置された周面隆起部を形成させる周面加工工程と、
プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具を使用し、前記被成形筒材の周面隆起部に、雄ねじのねじ山の周方向の一部をプレス成形するねじプレス工程とを備えたねじプレス成形方法であって、
前記周面工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記被成形筒材の一部分をパンチングして周面隆起部を形成する内周面工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内周面工具と協同して、前記被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする外周面工具とを有し、
前記ねじ成形工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記周面隆起部にねじ部をプレス成形する内ねじ成形工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内ねじ成形工具と協同して周面隆起部にねじ部をプレス成形する外ねじ成形工具とを有し、
前記周面加工工程では、前記被成形筒材の内側の空洞に内周面工具を挿入し、前記外周面工具を被成形材の外方に配置し、前記内周面工具と外周面工具とにより被成形筒材を内外方向からパンチングして周面加工し、
前記ねじ成形工程では、前記被成形筒材の内側の空洞に内ねじ成形工具を挿入し、前記被成形筒材の外方に外ねじ成形工具を配置し、前記内ねじ成形工具と外ねじ成形工具とにより被成形筒材を内外方向から押圧し、前記周面隆起部にねじ部をプレス成形するねじプレス成形方法。
【請求項7】
板金から得られた断面矩形状の被成形棒材のうち、該矩形状の断面における長さ方向の両端部に周面加工具をパンチングすることで、前記被成形棒材のパンチングされた部分を、断面が丸リベットの頭部形状となるように付形するとともに、該被成形棒材のパンチング面を、該被成形棒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とする周面加工具と、
該周面加工具を、前記被成形棒材の長さ方向の両端部にそれぞれパンチングするパンチング手段と、
プレス作用面側に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具と、
前記被成形棒材のパンチング部分にねじ成形工具を押圧し、前記被成形棒材の両端部に雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形するプレス成形手段とを備えたねじプレス成形装置。
【請求項8】
板金から得られた被成形筒材のうち、該被成形筒材の周方向に離間した複数の部分にパンチングされることで、該被成形筒材のパンチング面を、該被成形筒材の中心線を中心とした仮想円周面に沿った面とするとともに、該被成形筒材のパンチングされた部分間に、該パンチングされた部分に比べて、前記被成形筒材の半径方向の外側に配置された周面隆起部を形成する周面加工具と、
該周面加工具を、前記被成形筒材のうち、周方向に離間した複数の部分にそれぞれパンチングするパンチング手段と、
プレス作用面に雄ねじ成形用のねじ山の周方向の一部が形成されたねじ成形工具と、
前記被成形筒材の周面隆起部にねじ成形工具を押圧し、前記周面隆起部に雄ねじのねじ山の周方向の一部をそれぞれプレス成形するプレス成形手段とを備え、
前記周面工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする内周面工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内周面工具と協同して被成形筒材の一部分に周面隆起部をパンチングする外周面工具とを有し、
前記ねじ成形工具は、前記被成形筒材の内側の空洞に挿入され、前記周面隆起部にねじ部をプレス成形する内ねじ成形工具と、前記被成形筒材の外方に配置され、前記内ねじ成形工具と協同して周面隆起部にねじ部をプレス成形する外ねじ成形工具とを有したねじプレス成形装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2006−7310(P2006−7310A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191813(P2004−191813)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(396008934)松本工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(396008934)松本工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]