説明

ねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物及びねじ付き缶

【課題】冷却時及び常温時に加え、ホット販売時であっても、キャップの開栓トルクを適宜な値に保ち、開栓性の低下を防止しつつ、従来の製造設備で製造可能であり、塗装作業性の低下を招来しないねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物およびこのねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物が塗装されたねじ付き缶を提供する。
【解決手段】口金部が設けられたねじ付き缶の胴部及び口金部の外面に塗布されるねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物であって、塗装膜形成成分として少なくともアミノ樹脂を含有するとともに、アミノ樹脂と反応する官能基を有するシリコーン化合物を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ付き缶用上塗り外面塗料、詳しくは塗装膜に加工性、光沢、硬度、耐水性、耐傷つき性、滑り性が要求されるねじ付き缶用上塗り外面塗料に関し、より詳しくは、良好な開栓性を要求されるねじ付き缶に好適な、ねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、飲料用の缶として広く使用されているねじ付き缶は、アルミニウムやアルミニウム合金製の金属板に対して絞り加工(Drawing)と、次いで行われるしごき加工(Ironing)と、ネックイン加工とを施すことによって、上部に口金部を設けて製造される。さらに、この口金部には、成形ローラなどを用いたネジ成形加工を施すことによって、外側にキャップに設けられる雌ネジ部に螺合する雄ネジ部と、キャップの内面に配設されたライナーと当接するカール部とが設けられる。これによって、飲料が充填された後に、ねじ付き缶の口金部にキャップを螺着して閉栓される。なお、ねじ付き缶を開栓させる際には、ねじ付き缶からキャップを離間させる方向に回転させる。
【0003】
このようなねじ付き缶には、金属板の加工前あるいは加工後に、各種の塗装処理が施される。これは、ねじ付き缶の缶基体の表面に、サイズコート層が塗装され、十分に焼付け乾燥された後に(この工程は省略される場合がある)、さらに文字や絵柄などのインク層がインキを用いて印刷され、さらにその上に、オーバーバーニッシュ膜が塗装される。ここで、このサイズコート膜及びオーバーバーニッシュ膜を塗装する塗装処理は、ねじ付き缶全体、すなわちねじ付き缶の口金部にも塗装されている。したがって、キャップを口金部に螺着した際に、口金部の外面に形成された塗装膜とキャップの内面に形成された他の塗装膜とが接触していることになる。
【0004】
このようにねじ付き缶の口金部が塗装されると、キャップを用いてねじ付き缶を閉開栓する際に、キャップが滑らかに回転することとなる。また、塗装膜によってねじ付き缶の口金部を含むねじ付き缶の外表面を傷付きにくいものとなり、飲料商品としても安全性が高められると共に、商品価値が維持されたものとなる。
【0005】
従来、ねじ付き缶には物性及び加工性等の性能を満足するために硬化塗膜のガラス転移点が20〜40℃となる塗料を用いてオーバーバーニッシュ膜が形成されていた。このようなねじ付き缶を使用すると飲料充填後の温水シャワーまたは加圧蒸気による殺菌工程でオーバーバーニッシュ膜のガラス転移点以上に加熱されるため塗膜が軟化し、キャップの内面に塗装された他の塗膜との間にブロッキングが生じることがある。これにより、室温または5℃程度に冷却された状態でもキャップが滑らかに回転しにくくなり、キャップを開栓するために必要な開栓トルクが大きくなることで開栓性が低下するという問題がある。また、60℃程度に加温するホット販売では開栓時おいてもオーバーバーニッシュ膜が軟化しており必要な開栓トルクがさらに大きくなり、問題が顕著に現れる。ここで、オーバーバーニッシュ膜の厚さを薄くすることで開栓トルクの増大を抑制することが考えられるが、塗膜の膜厚を薄くし過ぎるとねじ付き缶が傷付きやすくなり、オーバーバーニッシュ膜を形成する本来の意義が失われてしまう虞がある。
【0006】
また、本出願人は、上述の問題を解決するため、先に特許文献1に記載のねじ付き缶を提案している。この特許文献1によれば、口金部の塗装膜は、エポキシ樹脂を主体として構成されており、オーバーバーニッシュ膜のガラス転移点を60℃よりも高く維持することによって、オーバーバーニッシュ膜の軟化、及び軟化に起因するキャップの内面に形成された塗膜との間でのブロッキングを生じないことから、キャップの開栓トルクを適宜な値に保って開栓性の低下を防止することができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のねじ付き缶にあっては、オーバーバーニッシュ膜のガラス転移点と口金部形成のために良好な加工性を両立するために、重量平均分子量が数万程度の変性エポキシ樹脂を主体とする塗料を使用しなければならない。このような塗料は、溶剤型塗料形態において、従来から使用されている塗料と比較して固形分が低くなり、ミスティングの発生等による塗装作業性の低下を招来してしまう。また、水性型塗料形態においても、従来の塗装法であるロールコーターでの塗装が困難であり、スプレー塗装への変更が必要となり、製造コスト上昇及び生産性低下を招来してしまう。
【特許文献1】特開2006−89066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、冷却時及び常温時に加え、ホット販売時であっても、キャップの開栓トルクを適宜な値に保ち、開栓性の低下を防止しつつ、従来の製造設備で製造可能であり、塗装作業性の低下を招来しないねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物およびこのねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物が塗装されたねじ付き缶を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明にかかるねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物は、口金部が設けられたねじ付き缶の胴部及び口金部の外面に塗布されるねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物であって、塗装膜形成成分として少なくともアミノ樹脂を含有するとともに、アミノ樹脂と反応する官能基を有するシリコーン化合物を含有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかるねじ付き缶は、雄ネジ部が設けられた口金部を有するねじ付缶であって、胴部及び口金部の外面に請求項1から4のいずれか一項に記載のねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物から形成されるオーバーバーニッシュ膜が設けられていることを特徴とする。
【0011】
このねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物およびねじ付き缶によれば、オーバーバーニッシュ膜(ねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物)に含有されるシリコーン化合物は接着性が低く、飲料充填後の温水シャワー及び加圧蒸気による殺菌工程及び60℃程度まで加熱するホット販売時のようなオーバーバーニッシュ膜のガラス転移点以上に加熱される状態であっても、キャップ内面塗装膜とのブロッキングを抑制することにより開栓トルクを低減できると考えられる。
シリコーン化合物は表面張力が低く、塗膜形成時に塗膜表面に配向する性質を有している。アミノ樹脂と反応する官能基を有するシリコーン化合物を用いると、塗膜形成成分と反応した状態で塗膜表面に存在するため、ねじ付き缶製造時の洗浄工程や飲料充填時の殺菌工程等でも容易に脱離せず、良好な開栓性を維持することができる。しかし、アミノ樹脂と反応する官能基を有しないシリコーン化合物を用いるとねじ付き缶製造時の洗浄工程や飲料充填時の殺菌工程等により容易に脱離してしまい開栓時まで良好な開栓性を維持することができない。
また、オーバーバーニッシュ膜は、従来から使用されている塗料にアミノ樹脂と反応する官能基を有するシリコーン化合物を含有するものから形成されているので、塗装工程での作業性低下の低下を招くことはなく、また、既存の製造設備を使用することができる。
【0012】
ここで、アミノ樹脂を含有する塗料の具体例としては、ポリエステル−アミノ樹脂系の有機系塗料、アクリル−アミノ樹脂系、エポキシ−アミノ樹脂系の水性塗料等が挙げられる。また、これら例示した以外の塗料であってもアミノ樹脂を含有していればよい。これらの塗料は、表1に示すようにそれぞれ異なる特性を有していることから、使用目的に応じて適宜選択することが好ましい。
【0013】
【表1】

【0014】
また、本発明にかかるねじ付き缶上塗り外面塗料組成物にあっては、アミノ樹脂と反応する官能基を有する前記シリコーン化合物の含有量を、前記塗装膜形成成分100重量%に対して0.05〜1.5重量%とすることが好ましい。
前記シリコーン化合物の含有量が0.05重量%未満の場合、このねじ付き缶上塗り外面塗料組成物によって形成したオーバーバーニッシュ膜表面に存在するシリコーン化合物の量が不足し、キャップ内面塗料との接着を抑制することができず、開栓トルク値が上昇してしまう。また、前記シリコーン化合物の含有量が1.5重量%を超えると、オーバーバーニッシュ膜の上にインクジェットにて日付等を印刷した場合に、インクのハジキが発生し、外観上の見映えを損なうことになる。
【0015】
また、本発明にかかるねじ付き缶上塗り外面塗料組成物にあっては、アミノ樹脂として、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン−ベンゾグアナミン共縮合樹脂、またはこれらの混合物とすることが好ましい。
さらに、本発明にかかるねじ付き缶にあっては、前記オーバーバーニッシュ膜と前記缶基体の外表面との間に、下塗り層と印刷層、または印刷層を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のねじ付き缶上塗り外面塗料組成物及びねじ付き缶によれば、アミノ樹脂と反応する官能基を有するシリコーン化合物を用いることにより、シリコーン化合物をねじ付き缶の洗浄工程及び飲料充填時の殺菌工程等で脱離することなく安定的にオーバーバーニッシュ膜表面に存在させることができ、オーバーバーニッシュ膜とキャップ内面との接着が抑制されるので、キャップの開栓トルクを適切な値に保ち、開栓性を低下させることがない。
また、オーバーバーニッシュ膜は、従来から使用されている塗料にアミノ樹脂と反応する官能基を有するシリコーン化合物を含有するものから形成されるので、塗装工程での作業性低下を招くことなく、既存の製造設備を使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明によるねじ付き缶上塗り外面塗料組成物及びねじ付き缶の一実施形態について説明する。
まず、本実施形態であるねじ付き缶上塗り外面塗料組成物について説明する。
【0018】
本実施形態であるねじ付き缶上塗り外面塗料組成物は、塗装膜形成成分として少なくともアミノ樹脂を含有するとともに、このアミノ樹脂と反応する官能基を有するシリコーン化合物を含有する。さらに、塗装膜形成成分として、前記アミノ樹脂の他に、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂のうちの少なくとも1種以上を含有している。
【0019】
本発明に用いられるアミノ樹脂としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコールを1種以上用いて、部分的にあるいは完全にアルキルエーテル化された、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂及びメラミン−ベンゾグアナミン共縮合樹脂である。具体的には、メチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化メラミン樹脂、メトキシ−ブトキシ混合エーテル化メラミン樹脂、メチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、ブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、メトキシ−ブトキシ混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂、メチルエーテル化メラミン−ベンゾグアナミン共縮合樹脂、ブチルエーテル化メラミン−ベンゾグアナミン共縮合樹脂等が挙げられる。加工性の面から、アルキルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂またはアルキルエーテル化メラミン−ベンゾグアナミン共縮合樹脂の使用が望まれる。アミノ樹脂は2種以上を混合して使用することができる。
【0020】
本発明に用いられるアミノ樹脂と反応する官能基を有するシリコーン化合物は、ポリジメチルシロキサンの片末端、両末端、あるいは側鎖を有機化合物で変性した有機変性シリコーン化合物であり、有機の末端にアミノ樹脂と反応する官能基を有する。アミノ樹脂と反応する官能基としては、水酸基、カルボキシル基があげられる。具体的には信越化学工業株式会社(登録商標)の型番X−22−24039、X22−4015、X22−160AS、KF−6001、KF−6002、KF−6003、X22−170BXまたはX22−170DX、東レ・ダウコーニング株式会社(登録商標)の型番BY16−201、SF8427、FZ−2162、またはSH3773M、ビックケミージャパン株式会社(登録商標)の型番BYK−370、BYB−375、BYK−377等が挙げられる。
【0021】
本発明に用いられるアミノ樹脂と反応する官能基を有するシリコーン化合物の添加量は、ねじ付き缶上塗り外面塗料組成分に含まれる塗装膜形成成分100重量%に対して0.05〜1.5重量%である。0.05重量%未満の場合、オーバーバーニッシュ膜表面に存在するシリコーン化合物の量が不足し、キャップ内面塗料との接着を抑制することができず、開栓トルク値が上昇してしまう。また、前記シリコーン化合物の含有量が1.5重量%を超えるとオーバーバーニッシュ膜にハジキが発生し、外観上の見映えを損なうことになる。
【0022】
本発明に用いられるポリエステル樹脂は広く知られている多塩基酸と多価アルコールの重縮合反応により合成することができる。この反応は常圧下、減圧下のいずれでも行うことができる。
【0023】
本発明におけるポリエステル樹脂の合成に使用できる多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族二塩基酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族二塩基酸、(無水)コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族二塩基酸、無水トリメリット酸等の三塩基酸が挙げられ、塗装膜の性能を勘案して適宜使用することができる。
【0024】
また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ジエチル1,3−ポロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等の二価アルコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコール、ペンタエリスリトール等の四価のアルコールを挙げられ、ポリエステル樹脂の分子量及び塗装膜の性能を勘案して適宜使用することができる。
【0025】
本発明におけるポリエステル樹脂は、数平均分子量が2500〜12000であることが好ましい。数平均分子量が2500未満の場合は、充分な塗膜性能(加工性、耐水性)を与えることができず、12000を超える場合には、得られる塗料の粘度が上昇し、塗装作業性の低下を招く。また、水酸基価は5〜40であることが好ましい。水酸基価が5未満の場合硬化剤であるアミノ樹脂との硬化反応が不十分となり、充分な塗膜性能(耐溶剤性、塗膜硬度等)与えることができず、水酸基価が40を超える場合には、得られる塗膜の架橋密度が高くなるため加工性が低下してしまう。
【0026】
ポリエステル樹脂は有機溶剤に溶解した樹脂溶液として塗料調整に供せられる。この有機溶剤はポリエステル樹脂を希釈可能なものであれば制限なく使用することができる。たとえばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150、ソルベッソ#200等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、蟻酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール系溶剤が挙げられる。
【0027】
次に本発明に用いるアクリル樹脂は有機溶剤中でα、β−エチレン性単量体をラジカル重合することにより得ることができる。
【0028】
本発明におけるアクリル樹脂に使用できるα、β−エチレン性単量体は、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18のアクリル酸アルキルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン等のビニル単量体、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ε-カプロラクトン変性ヒドロキシエチルタクリレート等の水酸基含有のα、β−エチレン性単量体、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル含有のα、β−エチレン性単量体、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド系単量体が挙げられる。
【0029】
本発明において上記α、β−エチレン性単量体を使用してアクリル樹脂を得るために使用されるラジカル重合開始剤として過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の過酸化物、2,2―アゾビスイソビチロニトリル、2,2―アゾビス2−メチルブチロニトリル、2,2―アゾビス2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系化合物が挙げられる。さらに、重合時に使用する有機溶剤としてトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150、ソルベッソ#200等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、蟻酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソビチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール系溶剤が挙げられる。
【0030】
本発明におけるアクリル樹脂は、数平均分子量が4000〜15000であることが好ましい。数平均分子量が4000未満の場合、充分な塗膜性能(加工性、耐水性)を与えることができず、15000を超える場合には、得られる塗料の粘度が上昇し、塗装作業性の低下を招く。また、水酸基価は5〜60であることが好ましい。水酸基価が5未満の場合硬化剤であるアミノ樹脂との硬化反応が不十分となり、充分な塗膜性能(耐溶剤性、塗膜硬度等)与えることができず、水酸基価が60を超える場合には、得られる塗膜の架橋密度が高くなるため加工性が低下してしまう。さらに、ガラス転移点は5〜40℃とすることが好ましい。ガラス転移点が5℃未満の場合、塗膜の硬度は不足し耐擦り傷清性が劣り、40℃を超える場合、得られる塗膜が脆くなるため、加工性が低下し、得られる塗料の粘度も上昇することから塗装作業性も低下する傾向にある。
【0031】
本発明に用いられるエポキシ樹脂はビスフェノール型エポキシ樹脂及び脂肪酸変性ビスフェノール型エポキシ樹脂の存在下、α、β−エチレン性単量体をラジカル重合すること等により得ることができる。
【0032】
本発明におけるエポキシ樹脂に使用できるビスフェノール型エポキシ樹脂として、エピコート828、エピコート1001、エピコート1002、エピコート1002、エピコート1004、エキコート1007及びエピコート1009(ジャパンエポキレジン、登録商標)等が挙げられる。
【0033】
また、脂肪酸変性ビスフェノール型エポキシ樹脂を得るために使用できる脂肪酸として、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、キリ油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸等が挙げられる。
【0034】
さらに、エポキシ樹脂はビスフェノール型エポキシ樹脂及び脂肪酸変性ビスフェノール型エポキシ樹脂の存在下、ラジカル重合するα、β−エチレン性単量体は本発明におけるアクリル樹脂に使用できるα、β−エチレン性単量体は、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18のアクリル酸アルキルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン等のビニル単量体、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ε-カプロラクトン変性ヒドロキシエチルタクリレート等の水酸基含有のα、β−エチレン性単量体、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル含有のα、β−エチレン性単量体が挙げられる。
【0035】
本発明において、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂及び脂肪酸変性ビスフェノール型エポキシ樹脂の存在下、上記α、β−エチレン性単量体を使用して得るために使用されるラジカル重合開始剤として過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の過酸化物が挙げられる。さらに、重合時に使用する有機溶剤としてトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150、ソルベッソ#200等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、蟻酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソビチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール系溶剤が挙げられる。
【0036】
本発明におけるエポキシ樹脂は、数平均分子量が5000〜15000であることが好ましい。数平均分子量が5000未満の場合、充分な塗膜性能(加工性、耐水性)を与えることができず、15000を超える場合には、得られる塗料の粘度が上昇し、塗装作業性の低下を招く。
【0037】
本発明に用いられるアミノ樹脂の含有量は塗膜形成成分100重量%のうち、25〜50重量%であることが好ましい。アミノ樹脂の含有量が25重量%未満の場合、塗膜の耐水性、硬度、硬化性が低下し、アミノ樹脂の含有量が50重量%を超える場合、塗膜の加工性が低下する傾向にある。
【0038】
本発明の塗料組成物には、必要に応じてp−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、リン酸等の酸性硬化触媒、または前記酸性硬化触媒をアミンブロックしたものを使用することができる。
【0039】
本発明の塗料組成物には、さらに潤滑性付与物質を含有することができる。潤滑性付与物質としては種々のワックスが用いられる。ワックスは、天然ワックスは動物系、植物系の何れでもよい。また、合成ワックスとしては、ポリオレフィン系、シリコーン系ワックス、フッ素系ワックス等を用いることができる。また、潤滑性付与物質は2種以上を併用することができる。潤滑性付与物質は塗膜形成成分100重量%に対して0.5〜3.5重量%含有することが好ましい。
【0040】
次に、本実施形態であるねじ付き缶について図面に基づいて説明する。
本実施形態におけるねじ付き缶1は、図1に示すように、キャップ2が螺着されることで、キャップ付きねじ付き缶3として用いられるものであって、アルミニウムあるいはアルミニウム合金などからなる缶基体11の外面に塗装膜13を形成したものである。
【0041】
缶基体11は、大径の胴部14と、この胴部14の上端から上方に向かうにしたがって漸次縮径して形成されたテーパ部15と、このテーパ部15の上端から上方に延在して形成された小径の口金部16とを備えている。
口金部16は、その下端部に径方向に膨出して形成されたかぶら部17と、このかぶら部17の上方かつ口金部16の軸方向ほぼ中央部に形成された雄ネジ部18と、口金部16の上端縁を径方向外方へ折り曲げて形成されたカール部19とを備えている。なお、このカール部19は、スロット加工されることで潰され、これにより若干のアールを有する突出部が形成される。
【0042】
塗装膜13は、缶基体11の上面に形成されたサイズコート膜(図示略)と、サイズコート膜の上面に形成された印刷膜(図示略)と、印刷膜の上面に形成されたオーバーバーニッシュ膜(図示略)とによって構成されている。この塗装膜13の平均膜厚は、2μm以上10μm以下となるように形成されている。
【0043】
サイズコート膜は、缶基体11と印刷膜との密着性を向上させるために形成された塗装膜である。そして、サイズコート膜の原料は、高分子ポリエステル−アミノ樹脂系塗料によって構成される。なお、サイズコート膜の原料には、適宜の顔料が添加されてもよい。
【0044】
インク膜は、缶基体11の外表面を装飾するために形成された塗装膜である。そして、インク膜の原料は、色彩を有するインキによって構成される。
【0045】
オーバーバーニッシュ膜は、インク膜の保護や、表面のすべりを良好にして加工性を向上させるために形成された塗装膜である。そして、オーバーバーニッシュ膜は、前述のねじ付き缶上塗り外面塗料組成物によって構成される。
【0046】
キャップ2は、ねじ付き缶1と同様にアルミニウムあるいはアルミニウム合金などからなり、天面部21とこの天面部21の周縁からほぼ垂下した側面部22とによって構成されている。そして、天面部21の内面には、ライナー23が配設されている。このライナー23は、ほぼ円板形状を有しており、ポリプロピレンによって構成されている。
また、このキャップ2は、ねじ付き缶2に備えられるブリッジ支持具(図示略)に、ブリッジ(図示略)を介して一時的に固着される。そして、消費者は、キャップ2を回転させてそのブリッジを切断し、ねじ付き缶2を開栓する。
【0047】
次に、以上のように構成されたねじ付き缶1の製造方法について、図2を用いて説明する。
まず、アルミニウム板材を所定の大きさの円形状板に打ち抜いて形成されたアルミニウム円板31に、まずDI加工工程を施すことによってDI缶(有底筒状体)32を形成する。
このDI加工工程は、アルミニウム円板31からカップ33を形成する絞り工程と、カップ33を所定高さの筒状缶体34に形成する再絞り加工及びしごき加工と、筒状缶体34の上端34aを切りそろえてDI缶32とするトリミング加工とを備えている。アルミニウム円板31の板厚とほぼ同じ厚みにカップ33は、再絞り加工及びしごき加工によって所定厚み及び高さの筒状缶体34に加工されるが、その際に、筒状缶体34の上端34aの高さが一様に変形されずに、山谷状に変形される。この山谷状の部分は、通常「耳」と呼ばれ、トリミング加工によって切断される。これにより、DI缶32の上端32aは、一様の高さに形成される。このDI加工工程の後、ウォッシャで洗浄され、耐腐食性向上のためにクロムやジルコニウムなどで化成処理が行われる。
【0048】
次に、DI加工工程によって形成されたDI缶32に、内面及び外面に塗装処理を施すことでDI缶32の内面及び外面塗膜を有する原型缶基体35を形成する。
外面塗装処理は、サイズコーティングと称される下塗り塗料を塗装及び加熱乾燥し、サイズコート塗膜を形成し、その後油性インキ等で図柄及び文字を印刷し、未乾燥の状態でオーバーバーニッシュ塗料を塗装し、インキ及びオーバーバーニッシュを同時に加熱乾燥して塗層膜13を形成する。内面塗料はスプレー塗装により内面塗料を塗装及び加熱乾燥して内面塗膜を形成する。
以上のようにして、DI缶32に内面及び外面塗膜を有する原型缶基体35が形成される。
【0049】
次に、塗装処理によって塗装膜13が形成された原型缶基体35に、ネックイン加工を施すことによって、テーパ部15及び口金部16が形成された原型ねじ付き缶36を形成する。そして、この原型ねじ付き缶36に、成形ローラなどを用いたネジ成形加工を施すことによって口金部16に雄ネジ部18を形成すると共に、開口端を径方向外方へ向けて折り返してカール部19を形成することで、ねじ付き缶1となる。この後、ねじ付き缶1に飲料が充填された後は、図示しないキャッププリフォームを口金部16に被せ、成形ローラなどによって雄ネジ部18に合わせた雌ネジ部24が形成され、キャップ2となる。このとき、カール部19とライナー23とが接触し、キャップ付ねじ付き缶3の密封性が保たれている。
【0050】
このように構成されたねじ付き缶1によれば、反応性シリコーン化合物を用いることにより塗装膜13のオーバーバーニッシュ膜の表面にシリコーン化合物が安定的に存在するため、ホット販売時の60℃付近で軟化するポリエステル−アミノ樹脂系塗料で形成されたオーバーバーバーニッシュを用いても、シリコーン化合物の低い接着性により開栓トルクの上昇を抑え良好な開栓性を維持することができる。
【実施例1】
【0051】
以下、実施例により本発明を説明する。
【0052】
<合成例1>ポリエステル樹脂の合成
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計、パーシャルコンデンサーを備えた反応容器に無水フタル酸360重量部、ヘキサヒドロ無水フタル酸:246重量部、イソフタル酸:200重量部、ネオペンチルグリコール340:重量部、エチレングリコール:80重量部、トリメチロールプロパン:80重量部を仕込み、攪拌しながら160℃まで昇温し、内容物を均一に溶解させた。縮合水を系外に溜去しながら4時間かけて240℃まで昇温し、240℃で2時間反応させた。その後、リフラックスコンデンサーに変更し反応系にキシレンを加え、キシレン還流下でさらに反応を進めた。
【0053】
反応物の酸価が5(KOHmg/g)に達した時点で冷却し、冷却後エチレングリコールモノブチルエーテル:373重量部、ソルベッソ#150:376重量部を加え、ポリエステル樹脂溶液をえた。このポリエステル樹脂の固形分は60.1%、酸価は4.5(KOHmg/g)、水酸基価は18(KOHmg/g)、25℃におけるガードナー気泡粘度:W〜X、数平均分子量5200であった。
【0054】
<合成例2>アクリル樹脂の合成
攪拌装置、還流冷却管、温度計、滴下槽、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、エチレングリコールモノブチルエーテル:380重量部、ソルベッソ#150:80重量部を仕込み、105℃まで昇温した。液温を105℃に維持しつつ、滴下槽からメチルメタクリレート:480重量部、ブチルアクリレート:320重量部、スチレン:200重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート:80重量部、メタクリル酸:12重量部、N−メトキシメチルアクリルアミド:100重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート:36重量部の混合物を3時間に亘って、均一滴下した。滴下終了1時間後にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート:4重量部を添加し、さらに2時間反応し70℃まで冷却した。冷却後、ソルベッソ#150:300重量部加え混合し、固形分60.0%、酸価は6.4(KOHmg/g)、水酸基価は36(KOHmg/g)、25℃におけるガードナー気泡粘度:X〜Y、数平均分子量6400のアクリル樹脂を得た。
【0055】
<合成例3>変性エポキシ樹脂の合成
攪拌装置、還流冷却管、温度計、滴下槽、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、エチレングリコールモノブチルエーテル:360重量部、ソルベッソ#150:80重量部、エピコート#1004(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂):780重量部を仕込み、100℃まで昇温し、均一に溶解した。液温を100℃に維持しつつ、滴下槽から2−エチルヘキシルアクリレート:180重量部、エチルアクリレート:100重量部、スチレン:160重量部、2−ヒドロキシエチアクリレート:50重量部、メタクリル酸:30重量部、過酸化ベンゾイル:12重量部の混合物を3時間に亘って、均一滴下した。滴下終了1時間後に過酸化ベンゾイル8:重量部を添加し、さらに3時間反応し80℃まで冷却した。冷却後、エチレングリコールモノブチルエーテル:100重量部、ソルベッソ#150:140重量部を加え混合し、固形分65.0%、酸価14.3、25℃におけるガードナー気泡粘度:Y〜Z、数平均分子量5200の変性エポキシ樹脂を得た。
【0056】
<実施例1〜12及び比較例1〜15>
合成例1で得られたポリエステル樹脂、合成例2で得られたアクリル樹脂、合成例3で得られた変性エポキシ樹脂、メラン359S(日立化成工業株式会社製、ブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、固形分65%)、エピコート1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、ハイディスパーBC−10PC(株式会社岐阜セラック製造所製、動植物系ワックス溶剤分散体)、ハイフラットBC−10P−2(株式会社岐阜セラック製造所製、合成ワックス溶剤分散体)、Fluoroslip 231(SHAMROCK社製、合成ワックス及びフッ素系ワックス混合物)、BY16−201(東レ・ダウコーニング株式会社製、末端水酸基ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)、FZ−2118(東レ・ダウコーニング株式会社製、末端メトキシ基ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)を表2及び表3で示す割合で配合及び分散し、ねじ付き缶上塗り外面塗料を得た。
【0057】
上記で得たねじ付き缶上塗り外面塗料をサイズコート(ポリエステル系サイズコート、乾燥膜重量20mg/dm2となるように塗装)を施したアルミニウム缶基体に、乾燥膜重量50mg/dm2となるように塗装し内面塗料を塗装後、ネジ部の成形加工を行い、ねじ付き缶を得た。
【0058】
<開栓トルク値の測定>
ねじ付き缶に飲料充填後、殺菌処理(80℃温水シャワーを20分間)を行い、室温で1週間放置したあと、試験温度(20及び60℃)に24時間静置後開栓トルク値の測定を行った。
ファーストトルク:キャップが回転を始めるのに必要なトルク値
セカンドトルク:キャップが回転を始めたところから、キャップのブリッチが完全に切れるまでにかかるトルクの最大値
【0059】
<塗膜平滑性の評価>
内面塗料塗装後のアルミ缶基体を目視で観察し、外観に異常がないものを○、異常が観察されたものを×とした。
【0060】
これらの評価結果を表2、表3に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
表2、表3より、オーバーバーニッシュ膜が反応性シリコーン化合物を含有していることにより、従来、ホット販売における開栓性に劣るとされていたポリエステル−アミノ樹脂系のオーバーバーニッシュ膜であっても、60℃における開栓トルクが比較例に対して低い値に維持されていることがわかった。
また、特に、反応性シリコーン化合物のオーバーバーニッシュ膜における含有量を0.05〜1.5重量%とした場合、塗膜平滑性を満足しつつ開栓トルク値を一層低減できることが確認された。
【実施例2】
【0064】
次に、上述のアクリル−アミノ樹脂系塗料において、アミノ樹脂と反応するシリコーン化合物の添加量を変化させ、キャップの開栓トルク、インクジェット印刷適正について評価した。なお、ねじ付き缶においては、一般に、口金部の基端部外周に賞味期限等のデータをインクジェット印刷機によって印字している。インクジェット印刷適正は、インクジェット印刷機によって印字可能であるか否かを目視で判断した。結果を表4に示す。
【0065】
【表4】

【0066】
表4より、アクリル−アミノ樹脂系塗料においては、塗膜形成成分を100重量%として、シリコーン化合物の含有量が0.05重量%以上になると、開栓トルク値が145以下となり、開栓性が向上することが確認される。一方、シリコーン化合物の含有量が0.15重量%では、若干インクジェット印刷適正が劣化し、0.25重量%以上となるとインクジェット印刷機による印刷が困難になることが確認された。この確認実験から、アクリル−アミノ樹脂系塗料の場合、シリコーン化合物の含有量は、塗膜形成成分を100重量%として、0.05重量%から0.15重量%の範囲に、より好ましくは、0.05重量%から0.09重量%の範囲とすることが好ましい。
【0067】
なお、発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
また、上記実施形態では、缶基体としてアルミニウムまたはアルミニウム合金を用いたが、これらに限らず、スチールなど他の金属を用いてもよい。また、アルミニウム板材から一体的に成形されているが、缶底が別部材によって形成されたツーピース缶であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態におけるキャップ付ねじ付き缶を示す部分断面図である。
【図2】図1のねじ付き缶の製造工程を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
1 ねじ付き缶
2 キャップ
11 缶基体
13 塗装膜
16 口金部
18 雄ネジ部
24 雌ネジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口金部が設けられたねじ付き缶の胴部及び口金部の外面に塗布されるねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物であって、
塗装膜形成成分として少なくともアミノ樹脂を含有するとともに、アミノ樹脂と反応する官能基を有するシリコーン化合物を含有することを特徴とするねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物。
【請求項2】
アミノ樹脂と反応する官能基を有する前記シリコーン化合物が前記塗膜形成成分100重量%に対して0.05〜1.5重量%含有することを特徴とする請求項1に記載のねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物。
【請求項3】
前記塗装膜形成成分として、前記アミノ樹脂の他に、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂のうちの少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物。
【請求項4】
前記アミノ樹脂が、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン−ベンゾグアナミン共縮合樹脂、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物。
【請求項5】
雄ネジ部が設けられた口金部を有するねじ付缶であって、
胴部及び口金部の外面に請求項1から4のいずれか一項に記載のねじ付き缶用上塗り外面塗料組成物から形成されるオーバーバーニッシュ膜が設けられていることを特徴とするねじ付き缶。
【請求項6】
前記オーバーバーニッシュ膜の下に、下塗り層と印刷層、または印刷層が設けられたことを特徴とする請求項5に記載のねじ付き缶。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−274233(P2008−274233A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73673(P2008−73673)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(305060154)ユニバーサル製缶株式会社 (219)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【Fターム(参考)】