ねじ抜き金型の回転中子制御装置
【課題】ねじ部を有する成形品を射出成形する金型の回転中子を駆動するサーボモータを、サイクル時間を短縮するように制御可能な回転中子制御装置を提供することである。
【解決手段】成形品の抜き出しを行い、中子原位置までの移動距離(回転中子の復帰開始位置から逆回転で中子原位置へ復帰する際の回転数Dmと回転中子の復帰開始位置から順回転で中子原位置へ復帰する際の回転数Dp)を求め、DpがDmより大きいか否か判断し、DpがDmより大きい場合(つまりYesの場合)、中子原位置まで回転中子を逆回転し、処理を終了し、DpがDmより大きくない場合(つまりNoの場合)中子原位置まで回転中子を順回転し、処理を終了する(SA01〜SA05)。
【解決手段】成形品の抜き出しを行い、中子原位置までの移動距離(回転中子の復帰開始位置から逆回転で中子原位置へ復帰する際の回転数Dmと回転中子の復帰開始位置から順回転で中子原位置へ復帰する際の回転数Dp)を求め、DpがDmより大きいか否か判断し、DpがDmより大きい場合(つまりYesの場合)、中子原位置まで回転中子を逆回転し、処理を終了し、DpがDmより大きくない場合(つまりNoの場合)中子原位置まで回転中子を順回転し、処理を終了する(SA01〜SA05)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に用いられるねじ抜き金型の回転中子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金型内に射出成形されたねじ状の成形品を、中子を回転させて金型から抜き出す構造を持つねじ抜き金型において、中子の回転動力には油圧駆動やエア駆動を用いる方法があるが、サーボモータを用いる方法も考案されている(特許文献1参照)。サーボモータ式の回転中子は、他の駆動方式に比べクリーンであり医療品の成形など清潔な環境での成形に適している。
また、サーボモータ式の回転中子は、位置制御性にも優れるため、螺旋型駆動用モータを正回転(または逆回転)させて螺旋型をスタート角度に復帰させる事ができる(特許文献2参照)。螺旋型をスタート角度に復帰させる事で、ねじの切り出し位置が毎回揃った付加価値の高い高品質な成形品を製造できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−47914号公報
【特許文献2】特開平6−198692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術の欄で説明した従来技術では、回転方向によっては原位置まで中子を戻す際にサイクル時間が延びるという問題があった。原位置とはねじ抜きを開始した時の中子の回転角度(以下、ねじ抜き開始位置という)と同じ位相の回転角度(同位相位置)のことである。
図2は回転中子の回転方向によるサイクル時間の相違を説明する図である。射出成形作業を行う場合、金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出するときには、回転中子の位置は中子原位置100に位置決めされている。その後、キャビティ内の成形品を冷却し、金型の型開きが行われ、ねじ抜き200で示される方向に回転中子をねじ抜き工程の完了位置120まで回転させることにより、可動側金型内の成形品が可動側金型から分離される。(通常のねじ抜き工程では回転中子を1回転以上回すが、1回転未満の場合もあり得る。)次回の成形動作を行う場合、金型のキャビティ内の回転中子の位置を中子原位置100に戻す必要がある。中子原位置100に回転中子の位置を戻すには、符号202で示される逆回転方向と符号204で示される順回転方向の回転がある。符号202で示される逆回転で中子原位置100に戻るとサイクル時間が延びる問題がある。符号204で示される順回転で中子原位置100に戻る方が、符号202で示される逆回転方向よりサイクル時間を短縮できる。
【0005】
一方、回転中子の回転機構に歯車を採用している場合には、回転中子を逆回転させるとバックラッシが発生する場合がある。図3は回転中子の回転方向によるバックラッシの増減を説明する図である。バックラッシを避けるには、回転方向は、ねじ抜き206で示されるねじ抜き時の回転方向と中子原位置100へ復帰する時とで同一方向(順回転)であることが望ましい。しかしながら、ねじ抜き工程の完了位置140によっては、中子原位置100まで逆回転したほうが順回転よりも短時間で原位置に戻ることができる場合もある。符号208は、中子原位置100に逆回転して戻る方向の回転を示している。符号208で示される逆回転方向の回転ではサイクル時間は短縮されるがバックラッシが増加する問題がある。これに対し、符号210は、回転中子が中子原位置100に順回転して戻る方向の回転を示している。符号210の順回転方向の回転で回転中子が中子原位置100に戻ると、バックラッシを軽減できるが、サイクル時間が延びる問題がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、ねじ部を有する成形品を射出成形する金型の回転中子を駆動するサーボモータを、サイクル時間を短縮するように制御可能な回転中子制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明は、ねじ部を有する成形品を成形するねじ抜き金型の回転中子を駆動するサーボモータを制御する回転中子制御装置において、前記サーボモータを駆動し、ねじ部を有する成形品を前記回転中子を回転させながら取り出すねじ抜き工程を行った後に、ねじ抜き工程開始時の中子位置と同位相位置である中子原位置に前記回転中子を復帰させるため、復帰開始位置から該回転中子を順回転させた場合の移動距離と、該復帰開始位置から該中子原位置まで逆回転させた場合の移動距離とを比較する比較部と、前記比較部による比較の結果移動距離が短いほうの回転方向を選択して前記サーボモータを回転させて前記回転中子を前記中子原位置まで回転させる原位置復帰部と、を備えたことを特徴とするねじ抜き金型の回転中子制御装置である。
請求項2に係る発明は、前記回転中子のバックラッシ量を前記復帰開始位置から前記中子原位置まで逆回転させた場合の回転数に加算して移動距離を求めることを特徴とする請求項1に記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置である。
請求項3に係る発明は、ねじ部を有する成形品を成形するねじ抜き金型の回転中子を駆動するサーボモータを制御する回転中子制御装置において、前記サーボモータを駆動し、ねじ部を有する成形品を前記回転中子を回転させながら取り出すねじ抜き工程を行った後に、ねじ抜き工程開始時の中子位置と同位相位置である中子原位置に前記回転中子を復帰させるため、復帰開始位置から該中子原位置まで該回転中子を順回転させた場合の所要時間を算出する順回転時間算出部と、前記復帰開始位置から前記中子原位置まで前記回転中子を逆回転させた場合の所要時間を算出する逆回転時間算出部と、前記順回転させた場合の所要時間と前記逆回転させた場合の所要時間を比較する比較部と、前記比較部による比較の結果所要時間が小さいほうの回転方向を選択して前記サーボモータを回転させて前記回転中子を前記中子原位置まで回転させる原位置復帰部と、を備えたことを特徴とするねじ抜き金型の回転中子制御装置である。
請求項4に係る発明は、前記回転中子のバックラッシ量を前記復帰開始位置から前記中子原位置まで逆回転させた場合の回転数に加算して逆回転時間を求めることを特徴とする請求項3に記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置である。
請求項5に係る発明は、前記原位置復帰部は、ねじ抜きの際の回転とは反対の回転方向が選択されたとき、前記中子原位置を越えて選択された回転方向に前記サーボモータを回転させた後、回転中子の中子原位置まで前記選択された回転方向とは反対の回転方向に回転させることを特徴とする請求項1または3の何れか一つに記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置である。
請求項6に係る発明は、前記回転中子制御装置は、射出成形機内部にある制御装置であることを特徴とする請求項1から5の何れか一つに記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置である。
請求項7に係る発明は、前記回転中子制御装置は、射出成形機の外部に設けた制御装置であることを特徴とする請求項1から5の何れか一つに記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、サーボモータ式のねじ抜き金型の回転中子制御装置において、サイクル時間を短縮することができる。
本発明により、予めバックラッシ量が分かっている場合に、サイクル時間を短縮できる効果に加えて、バックラッシを低減できるねじ抜き金型の回転中子制御装置を提供できる。あるいは、予めバックラッシ量が分かっていない場合でも、サイクル時間を短縮できる効果に加えて、バックラッシを低減できるねじ抜き金型の回転中子制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態を説明する概略ブロック図である。
【図2】回転中子の回転方向によるサイクル時間の相違を説明する図である。
【図3】回転中子の回転方向によるバックラッシの増減を説明する図である。
【図4】回転中子の中子原位置までの回転数を説明する図である。
【図5】中子原位置までの移動距離に基づいて回転方向を決める本発明の実施形態における処理のフローチャートを説明する図である。
【図6】中子原位置までの所要時間に基づいて回転方向を決める本発明の実施形態における処理のフローチャートを説明する図である。
【図7】図6に示すフローチャートにおいて中子原位置を越えて回転中子を逆回転させ、さらに中子原位置まで回転中子を順回転するステップを含む処理のフローチャートを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
まず、公知の射出成形機の概略構成を説明する。なお、符号が付与されていない射出成形機の構成は図示されていない。射出成形機は、機台上に型締部および射出部を備えている。射出部は樹脂材料(ペレット)を加熱溶融し、当該溶融樹脂を金型のキャビティ内に射出するものである。射出シリンダの先端にはノズルが取り付けられ、射出シリンダ内には、スクリュが挿通されている。射出シリンダの上部には樹脂材料を射出シリンダ内に供給するためのホッパが取り付けられている。
【0011】
型締部は主に金型の開閉を行うものである。型締部は、固定側金型を取り付ける固定プラテン、可動側金型を固定側金型に対向するように取り付ける可動プラテン、該可動プラテンを射出部方向に前後進させる金型開閉用サーボモータ、該金型開閉用サーボモータの回転位置を検出する位置検出器、リアプラテン、トグルリンク、ボールネジ、クロスヘッドを備えている。金型開閉用サーボモータの回転駆動はベルトなどによって構成された伝達機構を介してボールネジに伝達される。型締部はその他に、リアプラテンと固定プラテンとを連結し、可動プラテンをガイドして固定プラテンに対して前後進させる複数本のタイバーを備えている。トグルリンクは、金型開閉用サーボモータによって回転駆動されるボールネジに取り付けられたクロスヘッドを固定プラテン方向に進退させることによって、可動プラテンを固定プラテン方向に前後進させる。型締部は、金型開閉用サーボモータの駆動によって可動プラテンが固定プラテン方向に前進し型閉じが行われ、可動側金型と固定側金型が接触した後も更に可動プラテンを固定プラテン方向に前進させて所定の型締め力を発生させる。そして、可動プラテンをリアプラテン方向へ後退させることによって型開きが行われる。
【0012】
当該射出成形機は少なくとも射出、計量、型締、型開の各動作が数値制御装置によって統一的に制御される構造を有する。図1は本発明の実施形態を説明する概略ブロック図である。前記固定プラテンに固定側金型50が取り付けられ、前記可動プラテンに可動側金型52が取り付けられる。本発明の実施形態では、固定側金型50,可動側金型52からなる金型は、ねじ抜き成形によって内面にねじを備えたキャップ形の製品を成形するために用いられる。可動側金型52には貫通孔66が設けられている。
【0013】
貫通孔66にはシャフト56が挿通され、シャフト56の一端に固定側金型50と可動側金型52とで形成されるキャビティ内に配置される回転中子54が取り付けられ、他端に歯車等からなる伝動機構58が取り付けられている。サーボモータ60は伝動機構58を介してシャフト56を回転軸として回転中子54を回転させる。サーボモータ60はサーボアンプ12に接続されており、サーボCPU13からの指令に基づきサーボアンプ12を介して駆動される。サーボモータ60はその回転位置を検出する位置検出器62を内蔵しており、位置検出器62で検出されたサーボモータ60の回転位置を表す位置フィードバック信号はサーボCPU13に送られる。
【0014】
前記射出成形機を制御する数値制御装置10は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNCCPU20、プログラマブルマシンコントローラ用のマイクロプロセッサであるPMCCPU17、及びサーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU13を有し、バス16を介して、相互の入出力を選択するようにすることにより各マイクロプロセッサ間で情報伝達が行えるように構成されている。
【0015】
サーボCPU13には、位置ループ、速度ループ、電流ループの処理を行うサーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM14およびデータの一時記憶に用いられるRAM15が接続されている。サーボCPU13には、サーボCPU13からの指令に基づいて駆動制御される、中子回転用サーボモータ60が接続され、サーボモータに取り付けられた位置検出器62からの出力信号がサーボCPU13にフィードバックされるように接続されている。サーボモータ60の回転位置は、サーボモータ60に内蔵された位置検出器62からの位置のフィードバック信号に基づいてサーボCPU13により算出され、RAM15に設けられる現在位置レジスタに更新記憶される。
【0016】
PMCCPU17には射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶したROM18および演算データの一時記憶等に用いられるRAM19が接続され、CNCCPU20には、射出成形機を全体的に制御する自動運転プログラムなどの各種プログラムを記憶したROM21および演算データの一時記憶に用いられるRAM22が接続されている。なお、本発明の実施形態において回転中子54の回転を制御するプログラムはROM21に格納され、CNCCPU20により該プログラムが実行されることによりサーボCPU13はCNCCPU20から指令を受けて、回転中子54の回転制御がなされる。
【0017】
回転中子動作条件保存用SRAM23は電源バックアップされた不揮発性メモリであって、回転中子動作条件や、射出成形作業に関する成形条件と各種設定値、パラメータ、マクロ変数等を記憶する成形データ保存用のメモリである。表示装置/MDIユニット(手動データ入力装置)25は、液晶表示装置(LCD)などの表示装置と各種データを入力するための手動データ入力装置を備えている。
【0018】
表示装置/MDIユニット25の表示装置は画面表示回路24によって表示制御される。表示装置/MDIユニット25は図示しないインタフェースを介してバス16に接続され、機能メニューの選択および各種データの入力操作が行える。また、数値データ入力用のテンキーおよび各種のファンクションキー、タッチパネル等が設けられている。
【0019】
次に、図4を用いて回転中子の中子原位置までの回転数を説明する。ここでは、図1の概略ブロック図と対応させながら説明する。図4(a)は回転中子54の回転軸方向から見た図であり、図4(b)は回転中子54の回転数と時間の関係を表す図である。
図4(a)に示されるように、Dpは回転中子54の復帰開始位置から順回転で中子原位置100へ復帰する際の回転数、Dmは回転中子54の復帰開始位置から逆回転で中子原位置100へ復帰する際の回転数を表す。回転中子54の中子原位置100までの回転数は、回転中子54の中子原位置100までの移動距離に対応する。また、復帰開始位置は、回転中子54がねじ抜き工程の完了位置が対応する。なお、回転中子54の中子原位置100、ねじ抜き工程の完了位置160の位置データは、サーボモータ60に内蔵された位置検出器62からの位置フィードバック信号をもとにサーボCPU13により算出され、RAM15に格納されている。
【0020】
図4(b)に示されるように、回転中子54の中子原位置100は、ねじ抜き開始位置と同位相の位置となる。図4(b)では、ねじ抜き開始位置の中子原位置とねじ抜き開始位置から回転中子が1回転した位置とねじ抜き開始位置から回転中子が2回転した位置は同位相の位置となりどれも中子原位置100である。回転中子54が次の射出工程までに中子原位置100に戻れば、ねじの切り出し位置が毎回揃った成形品を製造できる。図4(b)に示されるように、ねじ抜き工程の完了位置160からねじ抜き開始位置から回転中子が1回転した位置の中子原位置に戻る移動距離(移動時間)と、ねじ抜き工程の完了位置160から、ねじ抜き開始位置から2回転した位置に戻る移動距離(移動時間)とを比較する。
【0021】
成形終了後に可動プラテンを後退させて金型(固定側金型50,可動側金型52)を開き、回転中子制御装置によって制御されるサーボモータ60によって回転中子54を順回転させて成形品64を抜き出す際、以下の動作順序で回転中子54を回転させる。
最初に、回転中子54を中子原位置100からあらかじめ設定された回転数(移動距離に対応)だけ順回転させることにより、成形品64を金型(可動側金型52)から抜き出す。
次の回の射出成形を実行できるように、中子原位置100へ回転中子54を復帰させるため、復帰開始位置(図4ではねじ抜き工程の完了位置160)から回転中子54を順回転させた場合の回転数と逆回転した場合の回転数とをそれぞれについて求め、回転数が小さいほうの回転方向を選択して中子原位置100まで回転する。これは図5のフロ−チャートに対応する。
【0022】
或いは、中子原位置100へ回転中子54を復帰させるための回転中子54の速度が回転方向によって異なる場合には、あらかじめ設定された中子原位置100までの回転速度から中子原位置100まで順回転した場合と逆回転した場合のそれぞれについて所要時間(Tp,Tm)を求める。これは図6のフローチャートに対応する。なお、前記復帰開始位置は通常、ねじ抜き工程の完了位置160を意味する。
【0023】
Tp=Dp/Vp (式1)
Tp: 回転中子の復帰開始位置から順回転で中子原位置へ復帰する際の所要時間
Dp: 回転中子の復帰開始位置から順回転で中子原位置へ復帰する際の回転数
Vp: 回転中子の復帰開始位置から順回転で中子原位置へ復帰する際の回転速度
【0024】
Tm=Dm/Vm (式2)
Tm: 回転中子の復帰開始位置から逆回転で中子原位置へ復帰する際の所要時間
Dm: 回転中子の復帰開始位置から逆回転で中子原位置へ復帰する際の回転数
Vm: 回転中子の復帰開始位置から逆回転で中子原位置へ復帰する際の回転速度
【0025】
そして、(式1)を用いて算出したTpと(式2)を用いて算出したTmの内、小さいほうの回転方向を選択して中子原位置100まで回転する。ここで、加減速を加味して所要時間(TpまたはTm)を求めても良い。これにより中子原位置100までの所要時間が短くなる回転方向を自動的に選択し、サイクル時間を短縮することができる。
【0026】
ところで、サーボモータ60と回転中子54との間に歯車による伝動機構58が設けられている場合には、回転中子54の復帰開始位置から逆回転すると伝動機構58の歯車のバックラッシが発生し、サーボモータ60が原位置に戻っていても回転中子54の回転位置は中子原位置100からずれている可能性がある。このような状態で射出成形を行うと、ねじの切り出し位置の精度が悪くなり成形品64の品質低下に繋がる恐れがある。
【0027】
そこで、予めバックラッシ量(δ)が分かっている場合には、バックラッシ量を回転中子54の復帰開始位置から中子原位置100までの逆回転数に加算すれば良い(Dm=Dm+δ)。バックラッシ量(δ)が分からない場合には、回転中子54の復帰開始位置から中子原位置100まで逆回転する時に、回転中子54を中子原位置100を越えて逆方向に微小距離(ΔD)だけ回転し、逆回転終了後に微小距離(ΔD)だけ中子原位置100まで順回転するようにする。ΔDは、主に金型50,52の構造に依存した、少なくともバックラッシ以上の大きさの設定値である(δ≦ΔD)。
この場合の所要時間Tmは前記(式2)ではなく次の(式3)で求まる。(式3)のDm、Vm、Vpは、(式1)と(式2)の記号と同じである。
【0028】
Tm=(Dm+ΔD)/Vm+ΔD/Vp (式3)
【0029】
そして、(式1)を用いて算出したTpと(式3)を用いて算出したTmの内、小さいほうの回転方向を選択して中子原位置100まで回転する。これによりバックラッシが無い状態で回転中子54を中子原位置100に停止させることができる。これらの逆回転および順回転の動作はあらかじめDm+ΔDだけ回転する動作とΔD回転する動作を個別に行うようにしても良いし、ΔD=0かつ位置ループゲインを低くしてDmのみを動作させるようにしても良い。位置ループゲインを低くすることにより、回転中子54は逆回転時に回転によるイナーシャでDmを通過しその後Dmに向かって順回転して停止するので、逆回転と順回転を個別に動作させた場合と同様にバックラッシを無くすことができる。
【0030】
回転中子54を中子原位置100からあらかじめ設定された回転数だけ順回転させる他に、回転中子54を中子原位置100からあらかじめ設定された時間だけ順回転させてもよい。なお、伝動機構58の減速比の関係で、中子原位置100は必ずしもサーボモータ60の原点とは一致しない。
【0031】
回転中子54の回転を制御する回転中子制御装置は、射出成形機を制御する数値制御装置10でもよいし、数値制御装置10に依らないシーケンサ等外部の回転中子制御装置であってもよい。なお、射出成形機の外部の回転中子制御装置を用いる場合には、前記回転中子制御装置は数値制御装置10から、中子駆動のための許可信号を受け取り、回転中子54の駆動制御を行う。また、前記回転中子制御装置は数値制御装置10に対して中子駆動の完了信号を送り、数値制御装置10は前記完了信号を受け取ると、射出成形の動作を開始する。
【0032】
また、本発明の実施形態におけるサーボモータ60には、図1を用いて説明したようにエンコーダ付きのサーボモータを用いてもよく、あるいは、エンコーダがサーボモータ60ではなく金型(可動側金型52)に取り付けられ、伝動機構58の歯車の回転を検出するようにしてもよい。
【0033】
図5は中子原位置までの距離に基づいて回転方向を決める本発明の実施形態における処理のフローチャートを説明する図である。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSA01]成形品の抜き出しを行う。より具体的に説明すると、回転中子54を中子原位置100からあらかじめ設定された回転数だけ順回転させることにより、成形品64を金型(可動側金型52)から抜き出す。
●[ステップSA02]中子原位置までの移動距離(DmとDp)を求める。Dmは回転中子の復帰開始位置から逆回転で中子原位置へ復帰する際の回転数、Dpは回転中子の復帰開始位置から順回転で中子原位置へ復帰する際の回転数である。なお、回転数は移動距離に対応する。
●[ステップSA03]DpがDmより大きいか否か判断し、DpがDmより大きい場合(つまりYesの場合)ステップSA04へ移行し、DpがDmより大きくない場合(つまりNoの場合)ステップSA05へ移行する。
●[ステップSA04]中子原位置まで回転中子を逆回転し、処理を終了する。なお、より具体的には移動距離Dmだけ逆回転し、処理を終了する。
●[ステップSA05]中子原位置まで回転中子を順回転し、処理を終了する。なお、より具体的には移動距離Dpだけ順回転し、処理を終了する。
【0034】
図6は中子原位置までの所要時間に基づいて回転方向を決める本発明の実施形態における処理のフローチャートを説明する図である。以下、ステップに従って説明する。
●[ステップSB01]成形品の抜き出しを行う。より具体的に説明すると、回転中子54を中子原位置100からあらかじめ設定された回転数だけ順回転させることにより、成形品64を金型(可動側金型52)から抜き出す。
●[ステップSB02]中子原位置までの所要時間(TmとTp)を求める。Tmは回転中子の復帰開始位置から逆回転で中子原位置へ復帰する際の所要時間、Tpは回転中子の復帰開始位置から順回転で中子原位置へ復帰する際の所要時間である。より詳しく説明すると、Tpは(式1)を用いて計算しTmは(式2)を用いて計算する。
●[ステップSB03]TpがTmより大きいか否か判断し、TpがTmより大きい場合(つまりYesの場合)ステップSB04へ移行し、TpがTmより大きくない場合(つまりNoの場合)ステップSB05へ移行する。
●[ステップSB04]中子原位置まで回転中子を逆回転し、処理を終了する。なお、より具体的には、移動距離がDmの逆回転を行う。
●[ステップSB05]中子原位置まで回転中子を順回転し、処理を終了する。なお、より具体的には、移動距離がDpの順回転を行い、処理を終了する。
【0035】
図7は図6に示すフローチャートにおいて中子原位置を越えて回転中子をねじ抜きと逆の方向に回転させ、さらに原位置まで回転中子をねじ抜き方向に回転するステップを含む処理のフローチャートを説明する図である。
●[ステップSC01]成形品の抜き出しを行う。より具体的に説明すると、回転中子54を中子原位置100からあらかじめ設定された回転数だけねじ抜き方向に回転させることにより、成形品64を金型(可動側金型52)から抜き出す。
●[ステップSC02]中子原位置までの所要時間(TmとTp)を求める。Tmは回転中子の復帰開始位置からねじ抜きと逆の方向に回転して中子原位置へ復帰する際の所要時間、Tpは回転中子の復帰開始位置からねじ抜き方向に回転して中子原位置へ復帰する際の所要時間である。Tpは(式1)を用いて計算しTmは(式3)を用いて計算する。
●[ステップSC03]TpがTmより大きいか否か判断し、TpがTmより大きい場合(つまりYesの場合)ステップSC04へ移行し、TpがTmより大きくない場合(つまりNoの場合)ステップSC06へ移行する。
●[ステップSC04]中子原位置を越えて回転中子をねじ抜きとは逆方向に回転する。なお、より具体的には、移動距離がDm+ΔDだけねじ抜きとは逆の回転を行う。
●[ステップSC05]中子原位置まで回転中子をねじ抜き方向に回転し、処理を終了する。なお、より具体的には、移動距離がΔDだけねじ抜き方向の回転を行う。
●[ステップSC06]中子原位置まで回転中子をねじ抜き方向に回転し、処理を終了する。なお、より具体的には、移動距離がDpだけねじ抜き方向の回転を行い、処理を終了する。
以上の説明は、ねじ抜きの際の回転方向を順方向として説明したが、ねじ抜き方向を逆方向と定義しても良い。
【符号の説明】
【0036】
10 数値制御装置
12 サーボアンプ
13 サーボCPU
14 ROM
15 RAM
16 バス
17 PMCCPU
18 ROM
19 RAM
20 CNCCPU
21 ROM
22 RAM
23 回転中子動作条件保存用SRAM
24 画面表示回路
25 表示装置/MDIユニット
50 固定側金型
52 可動側金型
54 回転中子
56 シャフト
58 伝動機構
60 サーボモータ
62 位置検出器
64 成形品
66 貫通孔
68 射出時の樹脂の流入方向
100 中子原位置
120,140,160 ねじ抜き工程の完了位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に用いられるねじ抜き金型の回転中子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金型内に射出成形されたねじ状の成形品を、中子を回転させて金型から抜き出す構造を持つねじ抜き金型において、中子の回転動力には油圧駆動やエア駆動を用いる方法があるが、サーボモータを用いる方法も考案されている(特許文献1参照)。サーボモータ式の回転中子は、他の駆動方式に比べクリーンであり医療品の成形など清潔な環境での成形に適している。
また、サーボモータ式の回転中子は、位置制御性にも優れるため、螺旋型駆動用モータを正回転(または逆回転)させて螺旋型をスタート角度に復帰させる事ができる(特許文献2参照)。螺旋型をスタート角度に復帰させる事で、ねじの切り出し位置が毎回揃った付加価値の高い高品質な成形品を製造できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−47914号公報
【特許文献2】特開平6−198692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術の欄で説明した従来技術では、回転方向によっては原位置まで中子を戻す際にサイクル時間が延びるという問題があった。原位置とはねじ抜きを開始した時の中子の回転角度(以下、ねじ抜き開始位置という)と同じ位相の回転角度(同位相位置)のことである。
図2は回転中子の回転方向によるサイクル時間の相違を説明する図である。射出成形作業を行う場合、金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出するときには、回転中子の位置は中子原位置100に位置決めされている。その後、キャビティ内の成形品を冷却し、金型の型開きが行われ、ねじ抜き200で示される方向に回転中子をねじ抜き工程の完了位置120まで回転させることにより、可動側金型内の成形品が可動側金型から分離される。(通常のねじ抜き工程では回転中子を1回転以上回すが、1回転未満の場合もあり得る。)次回の成形動作を行う場合、金型のキャビティ内の回転中子の位置を中子原位置100に戻す必要がある。中子原位置100に回転中子の位置を戻すには、符号202で示される逆回転方向と符号204で示される順回転方向の回転がある。符号202で示される逆回転で中子原位置100に戻るとサイクル時間が延びる問題がある。符号204で示される順回転で中子原位置100に戻る方が、符号202で示される逆回転方向よりサイクル時間を短縮できる。
【0005】
一方、回転中子の回転機構に歯車を採用している場合には、回転中子を逆回転させるとバックラッシが発生する場合がある。図3は回転中子の回転方向によるバックラッシの増減を説明する図である。バックラッシを避けるには、回転方向は、ねじ抜き206で示されるねじ抜き時の回転方向と中子原位置100へ復帰する時とで同一方向(順回転)であることが望ましい。しかしながら、ねじ抜き工程の完了位置140によっては、中子原位置100まで逆回転したほうが順回転よりも短時間で原位置に戻ることができる場合もある。符号208は、中子原位置100に逆回転して戻る方向の回転を示している。符号208で示される逆回転方向の回転ではサイクル時間は短縮されるがバックラッシが増加する問題がある。これに対し、符号210は、回転中子が中子原位置100に順回転して戻る方向の回転を示している。符号210の順回転方向の回転で回転中子が中子原位置100に戻ると、バックラッシを軽減できるが、サイクル時間が延びる問題がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、ねじ部を有する成形品を射出成形する金型の回転中子を駆動するサーボモータを、サイクル時間を短縮するように制御可能な回転中子制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明は、ねじ部を有する成形品を成形するねじ抜き金型の回転中子を駆動するサーボモータを制御する回転中子制御装置において、前記サーボモータを駆動し、ねじ部を有する成形品を前記回転中子を回転させながら取り出すねじ抜き工程を行った後に、ねじ抜き工程開始時の中子位置と同位相位置である中子原位置に前記回転中子を復帰させるため、復帰開始位置から該回転中子を順回転させた場合の移動距離と、該復帰開始位置から該中子原位置まで逆回転させた場合の移動距離とを比較する比較部と、前記比較部による比較の結果移動距離が短いほうの回転方向を選択して前記サーボモータを回転させて前記回転中子を前記中子原位置まで回転させる原位置復帰部と、を備えたことを特徴とするねじ抜き金型の回転中子制御装置である。
請求項2に係る発明は、前記回転中子のバックラッシ量を前記復帰開始位置から前記中子原位置まで逆回転させた場合の回転数に加算して移動距離を求めることを特徴とする請求項1に記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置である。
請求項3に係る発明は、ねじ部を有する成形品を成形するねじ抜き金型の回転中子を駆動するサーボモータを制御する回転中子制御装置において、前記サーボモータを駆動し、ねじ部を有する成形品を前記回転中子を回転させながら取り出すねじ抜き工程を行った後に、ねじ抜き工程開始時の中子位置と同位相位置である中子原位置に前記回転中子を復帰させるため、復帰開始位置から該中子原位置まで該回転中子を順回転させた場合の所要時間を算出する順回転時間算出部と、前記復帰開始位置から前記中子原位置まで前記回転中子を逆回転させた場合の所要時間を算出する逆回転時間算出部と、前記順回転させた場合の所要時間と前記逆回転させた場合の所要時間を比較する比較部と、前記比較部による比較の結果所要時間が小さいほうの回転方向を選択して前記サーボモータを回転させて前記回転中子を前記中子原位置まで回転させる原位置復帰部と、を備えたことを特徴とするねじ抜き金型の回転中子制御装置である。
請求項4に係る発明は、前記回転中子のバックラッシ量を前記復帰開始位置から前記中子原位置まで逆回転させた場合の回転数に加算して逆回転時間を求めることを特徴とする請求項3に記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置である。
請求項5に係る発明は、前記原位置復帰部は、ねじ抜きの際の回転とは反対の回転方向が選択されたとき、前記中子原位置を越えて選択された回転方向に前記サーボモータを回転させた後、回転中子の中子原位置まで前記選択された回転方向とは反対の回転方向に回転させることを特徴とする請求項1または3の何れか一つに記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置である。
請求項6に係る発明は、前記回転中子制御装置は、射出成形機内部にある制御装置であることを特徴とする請求項1から5の何れか一つに記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置である。
請求項7に係る発明は、前記回転中子制御装置は、射出成形機の外部に設けた制御装置であることを特徴とする請求項1から5の何れか一つに記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、サーボモータ式のねじ抜き金型の回転中子制御装置において、サイクル時間を短縮することができる。
本発明により、予めバックラッシ量が分かっている場合に、サイクル時間を短縮できる効果に加えて、バックラッシを低減できるねじ抜き金型の回転中子制御装置を提供できる。あるいは、予めバックラッシ量が分かっていない場合でも、サイクル時間を短縮できる効果に加えて、バックラッシを低減できるねじ抜き金型の回転中子制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態を説明する概略ブロック図である。
【図2】回転中子の回転方向によるサイクル時間の相違を説明する図である。
【図3】回転中子の回転方向によるバックラッシの増減を説明する図である。
【図4】回転中子の中子原位置までの回転数を説明する図である。
【図5】中子原位置までの移動距離に基づいて回転方向を決める本発明の実施形態における処理のフローチャートを説明する図である。
【図6】中子原位置までの所要時間に基づいて回転方向を決める本発明の実施形態における処理のフローチャートを説明する図である。
【図7】図6に示すフローチャートにおいて中子原位置を越えて回転中子を逆回転させ、さらに中子原位置まで回転中子を順回転するステップを含む処理のフローチャートを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
まず、公知の射出成形機の概略構成を説明する。なお、符号が付与されていない射出成形機の構成は図示されていない。射出成形機は、機台上に型締部および射出部を備えている。射出部は樹脂材料(ペレット)を加熱溶融し、当該溶融樹脂を金型のキャビティ内に射出するものである。射出シリンダの先端にはノズルが取り付けられ、射出シリンダ内には、スクリュが挿通されている。射出シリンダの上部には樹脂材料を射出シリンダ内に供給するためのホッパが取り付けられている。
【0011】
型締部は主に金型の開閉を行うものである。型締部は、固定側金型を取り付ける固定プラテン、可動側金型を固定側金型に対向するように取り付ける可動プラテン、該可動プラテンを射出部方向に前後進させる金型開閉用サーボモータ、該金型開閉用サーボモータの回転位置を検出する位置検出器、リアプラテン、トグルリンク、ボールネジ、クロスヘッドを備えている。金型開閉用サーボモータの回転駆動はベルトなどによって構成された伝達機構を介してボールネジに伝達される。型締部はその他に、リアプラテンと固定プラテンとを連結し、可動プラテンをガイドして固定プラテンに対して前後進させる複数本のタイバーを備えている。トグルリンクは、金型開閉用サーボモータによって回転駆動されるボールネジに取り付けられたクロスヘッドを固定プラテン方向に進退させることによって、可動プラテンを固定プラテン方向に前後進させる。型締部は、金型開閉用サーボモータの駆動によって可動プラテンが固定プラテン方向に前進し型閉じが行われ、可動側金型と固定側金型が接触した後も更に可動プラテンを固定プラテン方向に前進させて所定の型締め力を発生させる。そして、可動プラテンをリアプラテン方向へ後退させることによって型開きが行われる。
【0012】
当該射出成形機は少なくとも射出、計量、型締、型開の各動作が数値制御装置によって統一的に制御される構造を有する。図1は本発明の実施形態を説明する概略ブロック図である。前記固定プラテンに固定側金型50が取り付けられ、前記可動プラテンに可動側金型52が取り付けられる。本発明の実施形態では、固定側金型50,可動側金型52からなる金型は、ねじ抜き成形によって内面にねじを備えたキャップ形の製品を成形するために用いられる。可動側金型52には貫通孔66が設けられている。
【0013】
貫通孔66にはシャフト56が挿通され、シャフト56の一端に固定側金型50と可動側金型52とで形成されるキャビティ内に配置される回転中子54が取り付けられ、他端に歯車等からなる伝動機構58が取り付けられている。サーボモータ60は伝動機構58を介してシャフト56を回転軸として回転中子54を回転させる。サーボモータ60はサーボアンプ12に接続されており、サーボCPU13からの指令に基づきサーボアンプ12を介して駆動される。サーボモータ60はその回転位置を検出する位置検出器62を内蔵しており、位置検出器62で検出されたサーボモータ60の回転位置を表す位置フィードバック信号はサーボCPU13に送られる。
【0014】
前記射出成形機を制御する数値制御装置10は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNCCPU20、プログラマブルマシンコントローラ用のマイクロプロセッサであるPMCCPU17、及びサーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU13を有し、バス16を介して、相互の入出力を選択するようにすることにより各マイクロプロセッサ間で情報伝達が行えるように構成されている。
【0015】
サーボCPU13には、位置ループ、速度ループ、電流ループの処理を行うサーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM14およびデータの一時記憶に用いられるRAM15が接続されている。サーボCPU13には、サーボCPU13からの指令に基づいて駆動制御される、中子回転用サーボモータ60が接続され、サーボモータに取り付けられた位置検出器62からの出力信号がサーボCPU13にフィードバックされるように接続されている。サーボモータ60の回転位置は、サーボモータ60に内蔵された位置検出器62からの位置のフィードバック信号に基づいてサーボCPU13により算出され、RAM15に設けられる現在位置レジスタに更新記憶される。
【0016】
PMCCPU17には射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶したROM18および演算データの一時記憶等に用いられるRAM19が接続され、CNCCPU20には、射出成形機を全体的に制御する自動運転プログラムなどの各種プログラムを記憶したROM21および演算データの一時記憶に用いられるRAM22が接続されている。なお、本発明の実施形態において回転中子54の回転を制御するプログラムはROM21に格納され、CNCCPU20により該プログラムが実行されることによりサーボCPU13はCNCCPU20から指令を受けて、回転中子54の回転制御がなされる。
【0017】
回転中子動作条件保存用SRAM23は電源バックアップされた不揮発性メモリであって、回転中子動作条件や、射出成形作業に関する成形条件と各種設定値、パラメータ、マクロ変数等を記憶する成形データ保存用のメモリである。表示装置/MDIユニット(手動データ入力装置)25は、液晶表示装置(LCD)などの表示装置と各種データを入力するための手動データ入力装置を備えている。
【0018】
表示装置/MDIユニット25の表示装置は画面表示回路24によって表示制御される。表示装置/MDIユニット25は図示しないインタフェースを介してバス16に接続され、機能メニューの選択および各種データの入力操作が行える。また、数値データ入力用のテンキーおよび各種のファンクションキー、タッチパネル等が設けられている。
【0019】
次に、図4を用いて回転中子の中子原位置までの回転数を説明する。ここでは、図1の概略ブロック図と対応させながら説明する。図4(a)は回転中子54の回転軸方向から見た図であり、図4(b)は回転中子54の回転数と時間の関係を表す図である。
図4(a)に示されるように、Dpは回転中子54の復帰開始位置から順回転で中子原位置100へ復帰する際の回転数、Dmは回転中子54の復帰開始位置から逆回転で中子原位置100へ復帰する際の回転数を表す。回転中子54の中子原位置100までの回転数は、回転中子54の中子原位置100までの移動距離に対応する。また、復帰開始位置は、回転中子54がねじ抜き工程の完了位置が対応する。なお、回転中子54の中子原位置100、ねじ抜き工程の完了位置160の位置データは、サーボモータ60に内蔵された位置検出器62からの位置フィードバック信号をもとにサーボCPU13により算出され、RAM15に格納されている。
【0020】
図4(b)に示されるように、回転中子54の中子原位置100は、ねじ抜き開始位置と同位相の位置となる。図4(b)では、ねじ抜き開始位置の中子原位置とねじ抜き開始位置から回転中子が1回転した位置とねじ抜き開始位置から回転中子が2回転した位置は同位相の位置となりどれも中子原位置100である。回転中子54が次の射出工程までに中子原位置100に戻れば、ねじの切り出し位置が毎回揃った成形品を製造できる。図4(b)に示されるように、ねじ抜き工程の完了位置160からねじ抜き開始位置から回転中子が1回転した位置の中子原位置に戻る移動距離(移動時間)と、ねじ抜き工程の完了位置160から、ねじ抜き開始位置から2回転した位置に戻る移動距離(移動時間)とを比較する。
【0021】
成形終了後に可動プラテンを後退させて金型(固定側金型50,可動側金型52)を開き、回転中子制御装置によって制御されるサーボモータ60によって回転中子54を順回転させて成形品64を抜き出す際、以下の動作順序で回転中子54を回転させる。
最初に、回転中子54を中子原位置100からあらかじめ設定された回転数(移動距離に対応)だけ順回転させることにより、成形品64を金型(可動側金型52)から抜き出す。
次の回の射出成形を実行できるように、中子原位置100へ回転中子54を復帰させるため、復帰開始位置(図4ではねじ抜き工程の完了位置160)から回転中子54を順回転させた場合の回転数と逆回転した場合の回転数とをそれぞれについて求め、回転数が小さいほうの回転方向を選択して中子原位置100まで回転する。これは図5のフロ−チャートに対応する。
【0022】
或いは、中子原位置100へ回転中子54を復帰させるための回転中子54の速度が回転方向によって異なる場合には、あらかじめ設定された中子原位置100までの回転速度から中子原位置100まで順回転した場合と逆回転した場合のそれぞれについて所要時間(Tp,Tm)を求める。これは図6のフローチャートに対応する。なお、前記復帰開始位置は通常、ねじ抜き工程の完了位置160を意味する。
【0023】
Tp=Dp/Vp (式1)
Tp: 回転中子の復帰開始位置から順回転で中子原位置へ復帰する際の所要時間
Dp: 回転中子の復帰開始位置から順回転で中子原位置へ復帰する際の回転数
Vp: 回転中子の復帰開始位置から順回転で中子原位置へ復帰する際の回転速度
【0024】
Tm=Dm/Vm (式2)
Tm: 回転中子の復帰開始位置から逆回転で中子原位置へ復帰する際の所要時間
Dm: 回転中子の復帰開始位置から逆回転で中子原位置へ復帰する際の回転数
Vm: 回転中子の復帰開始位置から逆回転で中子原位置へ復帰する際の回転速度
【0025】
そして、(式1)を用いて算出したTpと(式2)を用いて算出したTmの内、小さいほうの回転方向を選択して中子原位置100まで回転する。ここで、加減速を加味して所要時間(TpまたはTm)を求めても良い。これにより中子原位置100までの所要時間が短くなる回転方向を自動的に選択し、サイクル時間を短縮することができる。
【0026】
ところで、サーボモータ60と回転中子54との間に歯車による伝動機構58が設けられている場合には、回転中子54の復帰開始位置から逆回転すると伝動機構58の歯車のバックラッシが発生し、サーボモータ60が原位置に戻っていても回転中子54の回転位置は中子原位置100からずれている可能性がある。このような状態で射出成形を行うと、ねじの切り出し位置の精度が悪くなり成形品64の品質低下に繋がる恐れがある。
【0027】
そこで、予めバックラッシ量(δ)が分かっている場合には、バックラッシ量を回転中子54の復帰開始位置から中子原位置100までの逆回転数に加算すれば良い(Dm=Dm+δ)。バックラッシ量(δ)が分からない場合には、回転中子54の復帰開始位置から中子原位置100まで逆回転する時に、回転中子54を中子原位置100を越えて逆方向に微小距離(ΔD)だけ回転し、逆回転終了後に微小距離(ΔD)だけ中子原位置100まで順回転するようにする。ΔDは、主に金型50,52の構造に依存した、少なくともバックラッシ以上の大きさの設定値である(δ≦ΔD)。
この場合の所要時間Tmは前記(式2)ではなく次の(式3)で求まる。(式3)のDm、Vm、Vpは、(式1)と(式2)の記号と同じである。
【0028】
Tm=(Dm+ΔD)/Vm+ΔD/Vp (式3)
【0029】
そして、(式1)を用いて算出したTpと(式3)を用いて算出したTmの内、小さいほうの回転方向を選択して中子原位置100まで回転する。これによりバックラッシが無い状態で回転中子54を中子原位置100に停止させることができる。これらの逆回転および順回転の動作はあらかじめDm+ΔDだけ回転する動作とΔD回転する動作を個別に行うようにしても良いし、ΔD=0かつ位置ループゲインを低くしてDmのみを動作させるようにしても良い。位置ループゲインを低くすることにより、回転中子54は逆回転時に回転によるイナーシャでDmを通過しその後Dmに向かって順回転して停止するので、逆回転と順回転を個別に動作させた場合と同様にバックラッシを無くすことができる。
【0030】
回転中子54を中子原位置100からあらかじめ設定された回転数だけ順回転させる他に、回転中子54を中子原位置100からあらかじめ設定された時間だけ順回転させてもよい。なお、伝動機構58の減速比の関係で、中子原位置100は必ずしもサーボモータ60の原点とは一致しない。
【0031】
回転中子54の回転を制御する回転中子制御装置は、射出成形機を制御する数値制御装置10でもよいし、数値制御装置10に依らないシーケンサ等外部の回転中子制御装置であってもよい。なお、射出成形機の外部の回転中子制御装置を用いる場合には、前記回転中子制御装置は数値制御装置10から、中子駆動のための許可信号を受け取り、回転中子54の駆動制御を行う。また、前記回転中子制御装置は数値制御装置10に対して中子駆動の完了信号を送り、数値制御装置10は前記完了信号を受け取ると、射出成形の動作を開始する。
【0032】
また、本発明の実施形態におけるサーボモータ60には、図1を用いて説明したようにエンコーダ付きのサーボモータを用いてもよく、あるいは、エンコーダがサーボモータ60ではなく金型(可動側金型52)に取り付けられ、伝動機構58の歯車の回転を検出するようにしてもよい。
【0033】
図5は中子原位置までの距離に基づいて回転方向を決める本発明の実施形態における処理のフローチャートを説明する図である。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSA01]成形品の抜き出しを行う。より具体的に説明すると、回転中子54を中子原位置100からあらかじめ設定された回転数だけ順回転させることにより、成形品64を金型(可動側金型52)から抜き出す。
●[ステップSA02]中子原位置までの移動距離(DmとDp)を求める。Dmは回転中子の復帰開始位置から逆回転で中子原位置へ復帰する際の回転数、Dpは回転中子の復帰開始位置から順回転で中子原位置へ復帰する際の回転数である。なお、回転数は移動距離に対応する。
●[ステップSA03]DpがDmより大きいか否か判断し、DpがDmより大きい場合(つまりYesの場合)ステップSA04へ移行し、DpがDmより大きくない場合(つまりNoの場合)ステップSA05へ移行する。
●[ステップSA04]中子原位置まで回転中子を逆回転し、処理を終了する。なお、より具体的には移動距離Dmだけ逆回転し、処理を終了する。
●[ステップSA05]中子原位置まで回転中子を順回転し、処理を終了する。なお、より具体的には移動距離Dpだけ順回転し、処理を終了する。
【0034】
図6は中子原位置までの所要時間に基づいて回転方向を決める本発明の実施形態における処理のフローチャートを説明する図である。以下、ステップに従って説明する。
●[ステップSB01]成形品の抜き出しを行う。より具体的に説明すると、回転中子54を中子原位置100からあらかじめ設定された回転数だけ順回転させることにより、成形品64を金型(可動側金型52)から抜き出す。
●[ステップSB02]中子原位置までの所要時間(TmとTp)を求める。Tmは回転中子の復帰開始位置から逆回転で中子原位置へ復帰する際の所要時間、Tpは回転中子の復帰開始位置から順回転で中子原位置へ復帰する際の所要時間である。より詳しく説明すると、Tpは(式1)を用いて計算しTmは(式2)を用いて計算する。
●[ステップSB03]TpがTmより大きいか否か判断し、TpがTmより大きい場合(つまりYesの場合)ステップSB04へ移行し、TpがTmより大きくない場合(つまりNoの場合)ステップSB05へ移行する。
●[ステップSB04]中子原位置まで回転中子を逆回転し、処理を終了する。なお、より具体的には、移動距離がDmの逆回転を行う。
●[ステップSB05]中子原位置まで回転中子を順回転し、処理を終了する。なお、より具体的には、移動距離がDpの順回転を行い、処理を終了する。
【0035】
図7は図6に示すフローチャートにおいて中子原位置を越えて回転中子をねじ抜きと逆の方向に回転させ、さらに原位置まで回転中子をねじ抜き方向に回転するステップを含む処理のフローチャートを説明する図である。
●[ステップSC01]成形品の抜き出しを行う。より具体的に説明すると、回転中子54を中子原位置100からあらかじめ設定された回転数だけねじ抜き方向に回転させることにより、成形品64を金型(可動側金型52)から抜き出す。
●[ステップSC02]中子原位置までの所要時間(TmとTp)を求める。Tmは回転中子の復帰開始位置からねじ抜きと逆の方向に回転して中子原位置へ復帰する際の所要時間、Tpは回転中子の復帰開始位置からねじ抜き方向に回転して中子原位置へ復帰する際の所要時間である。Tpは(式1)を用いて計算しTmは(式3)を用いて計算する。
●[ステップSC03]TpがTmより大きいか否か判断し、TpがTmより大きい場合(つまりYesの場合)ステップSC04へ移行し、TpがTmより大きくない場合(つまりNoの場合)ステップSC06へ移行する。
●[ステップSC04]中子原位置を越えて回転中子をねじ抜きとは逆方向に回転する。なお、より具体的には、移動距離がDm+ΔDだけねじ抜きとは逆の回転を行う。
●[ステップSC05]中子原位置まで回転中子をねじ抜き方向に回転し、処理を終了する。なお、より具体的には、移動距離がΔDだけねじ抜き方向の回転を行う。
●[ステップSC06]中子原位置まで回転中子をねじ抜き方向に回転し、処理を終了する。なお、より具体的には、移動距離がDpだけねじ抜き方向の回転を行い、処理を終了する。
以上の説明は、ねじ抜きの際の回転方向を順方向として説明したが、ねじ抜き方向を逆方向と定義しても良い。
【符号の説明】
【0036】
10 数値制御装置
12 サーボアンプ
13 サーボCPU
14 ROM
15 RAM
16 バス
17 PMCCPU
18 ROM
19 RAM
20 CNCCPU
21 ROM
22 RAM
23 回転中子動作条件保存用SRAM
24 画面表示回路
25 表示装置/MDIユニット
50 固定側金型
52 可動側金型
54 回転中子
56 シャフト
58 伝動機構
60 サーボモータ
62 位置検出器
64 成形品
66 貫通孔
68 射出時の樹脂の流入方向
100 中子原位置
120,140,160 ねじ抜き工程の完了位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ部を有する成形品を成形するねじ抜き金型の回転中子を駆動するサーボモータを制御する回転中子制御装置において、
前記サーボモータを駆動し、ねじ部を有する成形品を前記回転中子を回転させながら取り出すねじ抜き工程を行った後に、
ねじ抜き工程開始時の中子位置と同位相位置である中子原位置に前記回転中子を復帰させるため、復帰開始位置から該回転中子を順回転させた場合の移動距離と、該復帰開始位置から該中子原位置まで逆回転させた場合の移動距離とを比較する比較部と、
前記比較部による比較の結果移動距離が短いほうの回転方向を選択して前記サーボモータを回転させて前記回転中子を前記中子原位置まで回転させる原位置復帰部と、
を備えたことを特徴とするねじ抜き金型の回転中子制御装置。
【請求項2】
前記回転中子のバックラッシ量を前記復帰開始位置から前記中子原位置まで逆回転させた場合の回転数に加算して移動距離を求めることを特徴とする請求項1に記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置。
【請求項3】
ねじ部を有する成形品を成形するねじ抜き金型の回転中子を駆動するサーボモータを制御する回転中子制御装置において、
前記サーボモータを駆動し、ねじ部を有する成形品を前記回転中子を回転させながら取り出すねじ抜き工程を行った後に、
ねじ抜き工程開始時の中子位置と同位相位置である中子原位置に前記回転中子を復帰させるため、復帰開始位置から該中子原位置まで該回転中子を順回転させた場合の所要時間を算出する順回転時間算出部と、
前記復帰開始位置から前記中子原位置まで前記回転中子を逆回転させた場合の所要時間を算出する逆回転時間算出部と、
前記順回転させた場合の所要時間と前記逆回転させた場合の所要時間を比較する比較部と、
前記比較部による比較の結果所要時間が小さいほうの回転方向を選択して前記サーボモータを回転させて前記回転中子を前記中子原位置まで回転させる原位置復帰部と、
を備えたことを特徴とするねじ抜き金型の回転中子制御装置。
【請求項4】
前記回転中子のバックラッシ量を前記復帰開始位置から前記中子原位置まで逆回転させた場合の回転数に加算して逆回転時間を求めることを特徴とする請求項3に記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置。
【請求項5】
前記原位置復帰部は、ねじ抜きの際の回転とは反対の回転方向が選択されたとき、前記中子原位置を越えて選択された回転方向に前記サーボモータを回転させた後、回転中子の中子原位置まで前記選択された回転方向とは反対の回転方向に回転させることを特徴とする請求項1または3の何れか一つに記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置。
【請求項6】
前記回転中子制御装置は、射出成形機内部にある制御装置であることを特徴とする請求項1から5の何れか一つに記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置。
【請求項7】
前記回転中子制御装置は、射出成形機の外部に設けた制御装置であることを特徴とする請求項1から5の何れか一つに記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置。
【請求項1】
ねじ部を有する成形品を成形するねじ抜き金型の回転中子を駆動するサーボモータを制御する回転中子制御装置において、
前記サーボモータを駆動し、ねじ部を有する成形品を前記回転中子を回転させながら取り出すねじ抜き工程を行った後に、
ねじ抜き工程開始時の中子位置と同位相位置である中子原位置に前記回転中子を復帰させるため、復帰開始位置から該回転中子を順回転させた場合の移動距離と、該復帰開始位置から該中子原位置まで逆回転させた場合の移動距離とを比較する比較部と、
前記比較部による比較の結果移動距離が短いほうの回転方向を選択して前記サーボモータを回転させて前記回転中子を前記中子原位置まで回転させる原位置復帰部と、
を備えたことを特徴とするねじ抜き金型の回転中子制御装置。
【請求項2】
前記回転中子のバックラッシ量を前記復帰開始位置から前記中子原位置まで逆回転させた場合の回転数に加算して移動距離を求めることを特徴とする請求項1に記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置。
【請求項3】
ねじ部を有する成形品を成形するねじ抜き金型の回転中子を駆動するサーボモータを制御する回転中子制御装置において、
前記サーボモータを駆動し、ねじ部を有する成形品を前記回転中子を回転させながら取り出すねじ抜き工程を行った後に、
ねじ抜き工程開始時の中子位置と同位相位置である中子原位置に前記回転中子を復帰させるため、復帰開始位置から該中子原位置まで該回転中子を順回転させた場合の所要時間を算出する順回転時間算出部と、
前記復帰開始位置から前記中子原位置まで前記回転中子を逆回転させた場合の所要時間を算出する逆回転時間算出部と、
前記順回転させた場合の所要時間と前記逆回転させた場合の所要時間を比較する比較部と、
前記比較部による比較の結果所要時間が小さいほうの回転方向を選択して前記サーボモータを回転させて前記回転中子を前記中子原位置まで回転させる原位置復帰部と、
を備えたことを特徴とするねじ抜き金型の回転中子制御装置。
【請求項4】
前記回転中子のバックラッシ量を前記復帰開始位置から前記中子原位置まで逆回転させた場合の回転数に加算して逆回転時間を求めることを特徴とする請求項3に記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置。
【請求項5】
前記原位置復帰部は、ねじ抜きの際の回転とは反対の回転方向が選択されたとき、前記中子原位置を越えて選択された回転方向に前記サーボモータを回転させた後、回転中子の中子原位置まで前記選択された回転方向とは反対の回転方向に回転させることを特徴とする請求項1または3の何れか一つに記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置。
【請求項6】
前記回転中子制御装置は、射出成形機内部にある制御装置であることを特徴とする請求項1から5の何れか一つに記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置。
【請求項7】
前記回転中子制御装置は、射出成形機の外部に設けた制御装置であることを特徴とする請求項1から5の何れか一つに記載のねじ抜き金型の回転中子制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2013−82083(P2013−82083A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221906(P2011−221906)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【特許番号】特許第5161358号(P5161358)
【特許公報発行日】平成25年3月13日(2013.3.13)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【特許番号】特許第5161358号(P5161358)
【特許公報発行日】平成25年3月13日(2013.3.13)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】
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