説明

はんだ付け装置

【課題】はんだの品質特性である濡れ性を良好な状態としながら、はんだ付け作業の生産性向上を図る。
【解決手段】糸はんだ送給部の二列の送給ローラによりプリント基板のランド113の両側にそれぞれ糸はんだ12を送給し、このランド113に光ビーム104を照射するようにしたため、はんだ付け作業の生産性向上を実現することができ、また、はんだ付け装置全体をコンパクトにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板のランドと電子部品のリード端子を糸はんだと光ビームを用いてはんだ付けするはんだ付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の用途のはんだ付け装置としては例えば特許文献1に記載されているようなものがあった。
【0003】
図12はこの特許文献1に記載された従来のはんだ付け装置を示す概略構成図である。そして図12に示すように従来のはんだ付け装置は、光ビーム発生装置101から発生した光を光ファイバ102とレンズ103を通じて光ビーム104とし、被照射物105上の被加熱物106と糸はんだ107に照射して非接触ではんだ付けを行っていた。この糸はんだ107は駆動制御装置108により、送給部109と光ビーム発生装置101を必要量だけ動作させ、適量の糸はんだを送給していた。
【0004】
近年の電子部品搭載の回路形成基板は、大半の電子部品が自動実装設備でプリント基板上に実装され、品質、生産性を確保している。しかし、製品構成上どうしても自動実装設備に搭載できない電子部品は、人手によるはんだ付けや、上述した光ビームはんだ付けにより図13、図14に示すようなはんだ付けを行っていた。図13は光ビームによるはんだ付けを示す正面図、図14は、はんだ付けの際の加熱温度プロファイルを示す特性曲線図である。図13に示すように、プリント基板110に手挿入された電子部品111のリード端子112とプリント基板110のランド113に予め予熱として光ビーム104を照射し、予熱完了後に糸はんだ107をリード端子112とランド113に送給し、本加熱状態に入る。その後、糸はんだ107の送給を止め、光ビーム104で後熱状態に入り、所定のはんだ付けプロファイルに準じたはんだ付けを完了させていた。
【特許文献1】特開2001−232460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の手挿入の電子部品のはんだ付けは、人手やロボットを使用したはんだコテ方式では接触式のため、コテ先へのはんだ付着、コテ先の摩耗等によりはんだ付け量が安定しない問題があり、さらに鉛フリーはんだ採用でより一層この現象が顕著になり、特に品質要求の厳しい自動車業界では、このような接触式ではなく、光ビームはんだ付けのような非接触はんだ付けが推奨されてきた。
【0006】
しかしながら、光ビームはんだ付けにしても、従来の構成では図14に示すように本加熱や、ランド113への糸はんだ107の送給に時間がかかり、生産性に課題を有していた。はんだ送給速度を上げ過ぎるとはんだが濡れなく、また、濡れ性を重視すると、図14に示すように、はんだが回り込むまで時間がかかるという相反する難しい課題を抱えていた。
【0007】
また、光ビーム104をオン・オフさせず、生産性向上のため、連続的に線引き照射すると、図13に示すプリント基板110のレジスト114が焼損するという品質課題を生じるものとなっていた。
【0008】
さらに、糸はんだ送給ユニットを増設したり、リングはんだの採用も可能であるが、装置のコストアップや、高密度実装上のデッドスペースが増加する等の課題があり、有効な解決策には至っていなかった。
【0009】
本発明は上記課題を解決し、はんだの品質特性である濡れ性を良好な状態としながら、はんだ付け時間の短縮を図り、はんだ付け作業の生産性向上を図るはんだ付け装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、本発明のはんだ付け装置は、以下の構成を有するものである。
【0011】
本発明の請求項1に記載の発明は、糸はんだ送給部の二列の送給ローラにより二列の糸はんだを送給し、プリント基板のランドの両側に糸はんだを送給することにより、結果として糸はんだの送給時間を短縮して、はんだ付け作業の生産性の向上を図るとともに、ランドの両側からはんだが広がることで、結果として、ランド全体にはんだが広がる時間を短縮でき、さらにはんだ付け作業が効率的に行われるものである。
【0012】
本発明の請求項2に記載の発明は、糸はんだ送給部の二列の送給ローラを一つの回転駆動部で回転駆動するものであり、糸はんだ送給部およびはんだ付け装置全体をコンパクトにすることができるものである。
【0013】
本発明の請求項3に記載の発明は、認識カメラ部で二列の糸はんだの先端長さを確認し、この先端長さの差異が許容値以上の場合に、この二列の糸はんだの先端を糸はんだ先端整列用カット部で切断して先端長さを同一にすることで、ランドの両側に送給する糸はんだの量を均等にして、はんだ付け品質を安定させるものであり、さらに、二列の送給ローラによる糸はんだの所定送給長さが異なる場合に、一方または両方の送給ローラの糸はんだ挟持力を調整して、この二列の送給ローラによる糸はんだの所定送給長さを同一のものとして、ランドの両側に送給する糸はんだの量をより精密に均等とし、はんだ付け品質をより安定したものとするものである。
【0014】
本発明の請求項4に記載の発明は、プリント基板の二つの隣接するランドにそれぞれ糸はんだを送給する糸はんだ送給部を有し、この二列の糸はんだの送給間隔を前記二つのランドの対向部間隔と同一とし、さらに光ビームの中心軸上で光ビーム照射部とランドの間に光ビーム遮断ブロックを配置することで、二つのランドでのはんだ付け作業を同時に行って生産性を向上するものであり、さらに光ビーム遮断ブロックによって、二つのランド間のレジスト焼損を防止するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のはんだ付け装置によれば、はんだの品質特性である濡れ性を良好な状態としながら、はんだ付け時間の短縮を図り、はんだ付け作業の生産性向上を実現することができ、また、はんだ付け装置全体をコンパクトにすることができるものである。さらに、はんだ付け品質を安定したものとすることができ、また、プリント基板のレジスト焼損を防止できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1〜2に記載の発明について説明する。なお、背景の技術において説明したものと同様のものについては、同符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0018】
図1(a)は本発明の実施の形態1の糸はんだ送給部を示す正面図、図1(b)は同側面図である。図2は同実施の形態の駆動部を示す斜視図、図3は同実施の形態のヘッド部を示す正面図である。図4は同実施の形態の光ビームによるはんだ付けを示す正面図であり、図5は同実施の形態のはんだ付けの際の加熱温度プロファイルを示す特性曲線図である。
【0019】
図2に示すように、本実施形態のはんだ付け装置はヘッド部1をブラケット2を介してθ回転駆動部3に取付けた構造をしており、このθ回転駆動部3はZ軸駆動部4によりZ方向に移動するものとなっている。
【0020】
このZ軸駆動部4は、X軸駆動部5によってX方向に移動し、さらにこのX軸駆動部5はY軸駆動部6によってY方向に移動するものとなっている。これらのθ回転駆動部3、Z軸駆動部4、X軸駆動部5、Y軸駆動部6により、ヘッド部1を移動または回動させる駆動部が構成されている。
【0021】
ヘッド部1は、図3に示すように、糸はんだ送給部7、光ビーム照射部8、認識カメラ部9をブラケット2に取付けて一体とした構造をしており、図2に示したθ回転駆動部3により一体的に回動するとともに、X軸駆動部5、Y軸駆動部6、Z軸駆動部4によりX、Y、Z方向に一体的に移動する。これらの駆動部によるヘッド部1の移動と回動は、図2に示す制御部10により制御されている。なお、図3に示す認識カメラ部9は同図に示す認識カメラ部コントローラ11によって制御されている。そして、この認識カメラ部9は、はんだ付け状態や糸はんだ12(後述)の送給状態を確認できるものである。
【0022】
糸はんだ送給部7は、図1(b)に示すように、上部のボビンホルダ14にそれぞれ糸はんだ12を巻回した二つの糸はんだボビン13を取付け、この二つの糸はんだボビン13から糸はんだ12を下方に巻出すものとしている。糸はんだ12は図1(a)に示すように、糸はんだボビン13から巻出され、二列入口ノズル15を通り、その後、二列出口ノズル16を通り、さらに二列フレキシブルガイド17を通り、さらに二列先端ノズル18を経て下方に送給される。この糸はんだ12の送給動作は、図1(a)に示すように、二列入口ノズル15と二列出口ノズル16の間に配置された二つの送給ローラ、すなわち固定された第一の送給ローラ19と、この第一の送給ローラ19に対向配置された第二の送給ローラ20によって行われる。
【0023】
この第二の送給ローラ20は、第一の送給ローラ19側に付勢されており、この第一の送給ローラ19と第二の送給ローラ20によって糸はんだ12が挟持されるようになっている。また、第一の送給ローラ19と第二の送給ローラ20は、図1(b)に示すように左右に二対設けられ、二つの第一の送給ローラ19は連結材21で連結されて同期回転するようになっている。そして、この連結材21は、図1(b)に示す減速ギア22を介してモータで構成した回転駆動部23に連結されている。そして回転駆動制御部24の指令により回転駆動部23が回転し、その回転が減速ギア22、連結材21を介して二つの第一の送給ローラ19に伝達される。すなわち、回転駆動部23により、二つの第一の送給ローラ19が回転駆動されるのである。このように二つの第一の送給ローラ19が回転すると、この二列の第一の送給ローラ19とこれに対向配置された二列の第二の送給ローラ20にそれぞれ挟持された二列の糸はんだ12が下方に送給される。
【0024】
このようにして図1(a)に示すように、二列先端ノズル18の先端に送給された糸はんだ12は、図4に示すプリント基板110の所定のランド113へ同時に二列で送給されることになる。これは図2に示す駆動部を制御部10により制御して、糸はんだ送給部7をヘッド部1ごと移動または回動させることにより、図1(a)に示す二列先端ノズル18の先端の糸はんだ12を上述の所定のランド113の位置に位置決めすることによってなされる。このとき、二列の糸はんだ12の先端は図4、図5に示すように、ランド113の両側から送給されるように、糸はんだ送給部7の移動または回動がなされる。そして、図4、図5に示すようにランド113に光ビーム104が照射され、ランド113と電子部品111のリード端子112がはんだ付けされる。
【0025】
このはんだ付けの作業手順をより詳細に説明する。まず、図5の左側の状態のように糸はんだ12をランド113の近傍にこのランド113の両側から二列で送給する。そして、光ビーム104をランド113に照射して、ランド113の予熱を行う。次に、図5の中央の状態のように、糸はんだ12を所定量送給するとともに光ビーム104による本加熱を行う。その後、図5の右側の状態のように、光ビーム104の照射によりランド113の後熱を行う。このようにして、はんだ付け作業が行われるのであるが、図5の中央の状態で示すように、はんだがランド113の両側から濡れ広がるため、ランド113周囲の到達距離が短く、すばやくはんだ付けが完了できる。このはんだ付け状態は、図3に示す認識カメラ部9でモニタリングできるようになっている。
【0026】
以上のように説明した本実施の形態のはんだ付け装置によれば、糸はんだ送給部の二列の送給ローラにより二列の糸はんだを送給し、プリント基板のランドの両側から糸はんだを送給することにより、結果として糸はんだの送給時間を短縮して、はんだ付け作業の生産性の向上を図るとともに、ランドの両側からはんだが広がることで、結果として、ランド全体にはんだが広がる時間を短縮でき、さらにはんだ付け作業が効率的に行われることとなる。
【0027】
また、糸はんだ送給部の二列の送給ローラを一つの回転駆動部で回転駆動するので、糸はんだ送給部およびはんだ付け装置全体をコンパクトにすることができる。
【0028】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項3に記載の発明について説明する。なお、実施の形態1および背景の技術において説明したものと同様のものについては、同符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0029】
図6(a)は本発明の実施の形態2の糸はんだ送給部を示す正面図、図6(b)は同側面図である。図7は同実施の形態の糸はんだ挟持力調整機構を示す概略構成図、図8は同実施の形態の糸はんだ先端整列用カット部を示す正面図である。図9(a)、図9(b)はそれぞれ図8のA矢視図である。
【0030】
図6(b)に示すように、糸はんだ送給部7は左側の第二の送給ローラ20aと右側の第二の送給ローラ20bを備えている。図6(a)に示すように、左側の第二の送給ローラ20aは左側レバー25aを介して左側シリンダ26aに連結されている。そして、この左側シリンダ26aは左側空圧バルブ27aに接続され、この左側空圧バルブ27aは左側電空レギュレータ28aに接続され、さらに、この左側電空レギュレータ28aは挟持力制御部29に接続されている。同様に図6(b)に示すように右側の第二の送給ローラ20bは右側レバー25b(図示せず)を介して右側シリンダ26bに連結されている。そしてこの右側シリンダ26bは右側空圧バルブ27bに接続され、この右側空圧バルブ27bは右側電空レギュレータ28bに接続され、さらに、この右側電空レギュレータ28bは挟持力制御部29に接続されている。
【0031】
これらは、図7に示すように糸はんだ挟持力調整機構を構成している。すなわち、挟持力制御部29の指令により、右側電空レギュレータ28bが右側空圧バルブ27bを介して右側シリンダ26bに供給するエアー圧力を調整し、これにより右側レバー25bが回動して、第一の送給ローラ19に対する右側の第二の送給ローラ20bの付勢力を変化させ、結果として、第一の送給ローラ19と右側の第二の送給ローラ20bによる糸はんだ12の挟持力を調整するのである。つまり、右側電空レギュレータ28b、右側空圧バルブ27b、右側シリンダ26b、右側レバー25bで糸はんだ挟持力調整機構を構成しているのである。なお、この図7においては右側の糸はんだ挟持力調整機構について説明したが、左側の糸はんだ挟持力調整機構も同様の構成をしているものである。
【0032】
次に動作について説明する。
【0033】
はんだ付け作業の前に、図8に示すように、糸はんだ送給部7の二列先端ノズル18から送給された糸はんだ12の左右の先端長さが揃っているかどうか、同図に示す認識カメラ部9で確認する。このとき、図9(a)に示すように、その長さの差Δが所定の許容値以上であった場合には、図8、図6(a)に示す糸はんだ先端整列用カット部30へ糸はんだ12の先端を移動し、二列の糸はんだ12の先端が揃うように糸はんだ12を切断する。そして、図6(b)に示す回転駆動部23の回転駆動により、図6(a)に示す第一の送給ローラ19を所定量回転させて糸はんだ12を送給する。そして再び図8に示す認識カメラ部9で糸はんだ12の左右の先端長さを確認する。このとき、もし右側の糸はんだ12が短い場合、この糸はんだ12の送給時のすべり分を補正するため、図7に示す挟持力制御部29で、この量を自動数値化し、そのデータを右側電空レギュレータ28bに送信し、右側シリンダ26bに供給するエア圧力を必要なだけ増圧させる。このようにして右側の第二の送給ローラ20bの第一の送給ローラ19に対する付勢力を増加させることにより糸はんだ12の挟持力を増加させ、右側の糸はんだ12の送給の際のすべりを軽減する。
【0034】
そして、再び、図8、図6(a)に示す糸はんだ先端整列用カット部30で糸はんだ12の先端を切断し、さらに、図6(a)に示す第一の送給ローラ19を所定量回転させて、二列の糸はんだ12を所定量送給する。その後、図8に示す認識カメラ部9で、二列の糸はんだ12の先端の長さを確認する。このとき、図9(b)に示すように、二列の糸はんだ12の左右の先端長さの差が所定の許容値内であれば、はんだ付け作業に移行する。逆に、このとき、図9(a)に示すように、糸はんだ12の左右の先端長さの差が所定の許容値以上のままであった場合には、上述のように、糸はんだ先端整列用カット部30で二列の糸はんだ12の先端を切断し、右側の糸はんだ挟持力調整機構で、第一の送給ローラ19と右側の第二の送給ローラ20bによる糸はんだ挟持力を増加させ、右側の糸はんだ12の送給の際のすべりをさらに軽減した上で、二列の糸はんだ12を所定量送給し、その後、認識カメラ部9で二列の糸はんだ12の先端の長さを確認する作業を繰り返す。この繰返し動作回数は、任意に設定でき、設定回数以上になれば、設備を止め、はんだカス詰り等のメンテナンスをする作業に繋げていく。
【0035】
以上の説明では、右側の糸はんだ挟持力調整機構の動作について説明したが、左側の糸はんだ挟持力調整機構も同様に動作するものとなっている。そして、右側の第一の送給ローラ19と右側の第二の送給ローラ20bによる糸はんだ12の所定送給長さと、左側の第一の送給ローラ19と左側の第二の送給ローラ20aによる糸はんだ12の所定送給長さが異なる場合には、右側または左側の糸はんだ挟持力調整機構により、右側の第一の送給ローラ19と右側の第二の送給ローラ20bによる右側の糸はんだ12の挟持力、または左側の第一の送給ローラ19と左側の第二の送給ローラ20aによる左側の糸はんだ12の挟持力を調整することができるようになっている。
【0036】
以上のように説明した本実施の形態のはんだ付け装置によれば、認識カメラ部で二列の糸はんだの先端長さを確認し、この先端長さの差異が許容値以上の場合に、この二列の糸はんだの先端を糸はんだ先端整列用カット部で切断して先端長さを同一にすることで、ランドの両側に送給する糸はんだの量を均等にして、はんだ付け品質を安定させることができ、さらに、二列の送給ローラによる糸はんだの所定送給長さが異なる場合に、一方または両方の送給ローラの糸はんだ挟持力を調整して、この二列の送給ローラによる糸はんだの所定送給長さを同一のものとして、ランドの両側に送給する糸はんだの量をより精密に均等とし、はんだ付け品質をより安定したものとすることができる。
【0037】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項4に記載の発明について説明する。なお、実施の形態1および背景の技術において説明したものと同様のものについては、同符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
図10は本発明の実施の形態3における光ビームによるはんだ付けを示す正面図、図11は同実施の形態のはんだ付けの際の加熱温度プロファイルを示す特性曲線図である。
【0039】
図10、図11に示すように、糸はんだ12はプリント基板110のランド113に送給されるが、この際、二列の糸はんだ12はそれぞれ隣接する二つのランド113に送給されるようになっている。すなわち、この二列の糸はんだ12の送給間隔を上記の隣接する二つのランド113の対向部の間隔と同一としているのである。これは図1(b)に示す二列先端ノズル18を、上記の二つのランド113の対向部間隔に合うものを選定することによりなされる。そして、図10、図11に示すように、光ビーム104を上記の二つのランド113間に照射するようになっている。このようにすることで、一回の光ビーム104の照射で二ヶ所のはんだ付けを行うことができる。
【0040】
そして図10に示すように、光ビーム104の中心軸上で光ビーム照射部8(図示せず)と二つのランド113の間に適当な形状の光ビーム遮断ブロック31を配置している。この光ビーム遮断ブロック31によって、図10、図11に示すように、光ビーム104は二つに分岐されて、上記の隣接する二つのランド113の対向部にそれぞれ照射されることになって上記のはんだ付けが行われる。そして、同時に、図10に示すように、上記二つのランド113の間のレジスト114へは光ビーム104の照射は光ビーム遮断ブロック31によって遮断され、レジスト114が焼損しないようにしている。
【0041】
以上のように説明した本実施の形態のはんだ付け装置によれば、プリント基板の二つの隣接するランドにそれぞれ糸はんだを送給する際に、この二列の糸はんだの送給間隔を前記二つのランドの対向部間隔と同一とし、さらに光ビームの中心軸上で光ビーム照射部とランドの間に光ビーム遮断ブロックを配置することで、二つのランドでのはんだ付け作業を同時に行って生産性を向上することができ、さらに光ビーム遮断ブロックによって、二つのランド間のレジスト焼損を防止することができる。特に、これは電子部品のリード端子のピッチがより細かく、かつリード端子の数が多い場合に有効であって、従来の方法であればトータルはんだ付けに時間がかかり、コストが高くなっていたものを、効率的にはんだ付けを行え、生産性を向上させることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明にかかるはんだ付け装置は、はんだの品質特性である濡れ性を良好な状態としながら、はんだ付け時間の短縮が図れ、生産性向上を実現し、さらにはんだ付け装置全体をコンパクトにすることができ、糸はんだと光ビームを用いてのはんだ付けに有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(a)本発明の実施の形態1の糸はんだ送給部を示す正面図、(b)同側面図
【図2】同実施の形態の駆動部を示す斜視図
【図3】同実施の形態のヘッド部を示す正面図
【図4】同実施の形態の光ビームによるはんだ付けを示す正面図
【図5】同実施の形態のはんだ付けの際の加熱温度プロファイルを示す特性曲線図
【図6】(a)本発明の実施の形態2の糸はんだ送給部を示す正面図、(b)同側面図
【図7】同実施の形態の糸はんだ挟持力調整機構を示す概略構成図
【図8】同実施の形態の糸はんだ先端整列用カット部を示す正面図
【図9】(a)図8のA矢視図、(b)同A矢視図
【図10】本発明の実施の形態3における光ビームによるはんだ付けを示す正面図
【図11】同実施の形態のはんだ付けの際の加熱温度プロファイルを示す特性曲線図
【図12】従来のはんだ付け装置を示す概略構成図
【図13】従来の光ビームによるはんだ付けを示す正面図
【図14】同はんだ付けの際の加熱温度プロファイルを示す特性曲線図
【符号の説明】
【0044】
1 ヘッド部
2 ブラケット
3 θ回転駆動部
4 Z軸駆動部
5 X軸駆動部
6 Y軸駆動部
7 糸はんだ送給部
8 光ビーム照射部
9 認識カメラ部
10 制御部
11 認識カメラ部コントローラ
12 糸はんだ
13 糸はんだボビン
14 ボビンホルダ
15 二列入口ノズル
16 二列出口ノズル
17 二列フレキシブルガイド
18 二列先端ノズル
19 第一の送給ローラ
20 第二の送給ローラ
20a 左側の第二の送給ローラ
20b 右側の第二の送給ローラ
21 連結材
22 減速ギア
23 回転駆動部
24 回転駆動制御部
25a 左側レバー
25b 右側レバー
26a 左側シリンダ
26b 右側シリンダ
27a 左側空圧バルブ
27b 右側空圧バルブ
28a 左側電空レギュレータ
28b 右側電空レギュレータ
29 挟持力制御部
30 糸はんだ先端整列用カット部
31 光ビーム遮断ブロック
101 光ビーム発生装置
102 光ファイバ
103 レンズ
104 光ビーム
105 被照射物
106 被加熱物
107 糸はんだ
108 駆動制御装置
109 送給部
110 プリント基板
111 電子部品
112 リード端子
113 ランド
114 レジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板のランドに糸はんだを送給する糸はんだ送給部と、前記ランドに光ビームを照射する光ビーム照射部と、前記各部を一体的に移動または回動させる駆動部と、制御部とを有し、前記糸はんだ送給部は各々の糸はんだを挟持して送給する二列の送給ローラと、この二列の送給ローラを回転駆動する回転駆動部と、回転駆動制御部とで構成するものとし、前記二列の送給ローラの回転により各々挟持した糸はんだを二列で前記ランドに送給するものとしたはんだ付け装置。
【請求項2】
二列の送給ローラを一つの回転駆動部で回転駆動するものとした請求項1に記載のはんだ付け装置。
【請求項3】
糸はんだ送給部先端の二列の糸はんだの長さを確認する認識カメラ部と、糸はんだ先端整列用カット部とを有し、前記二列の糸はんだの長さの差異が所定の許容値以上になった場合に、この二列の糸はんだの先端を前記糸はんだ先端整列用カット部で切断して、前記二列の糸はんだの先端長さを同一にするものとし、さらに糸はんだを挟持する二列の送給ローラに各々糸はんだ挟持力調整機構を設けると共に、この糸はんだ挟持力を制御する挟持力制御部を有し、前記二列の送給ローラによる糸はんだの所定送給長さが異なる場合に、一方または両方の送給ローラの糸はんだ挟持力を調整して、この二列の送給ローラによる糸はんだの所定送給長さを同一のものとする請求項1または2に記載のはんだ付け装置。
【請求項4】
プリント基板の隣接するランドにそれぞれ糸はんだを送給する糸はんだ送給部と、前記二つのランド間に光ビームを照射する光ビーム照射部と、前記各部を一体的に移動または回動させる駆動部と、制御部とを有し、前記糸はんだ送給部はそれぞれの糸はんだを挟持して送給する二列の送給ローラと、この二列の送給ローラを回転駆動する回転駆動部と、回転駆動制御部とで構成するものとし、前記二列の送給ローラの回転により挟持した二列の糸はんだを前記ランドに送給する際に、この二列の糸はんだの送給間隔を前記隣接する二つのランドの対向部間隔と同一とし、さらに前記光ビームの中心軸上で前記光ビーム照射部と前記ランドの間に光ビーム遮断ブロックを配置したはんだ付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−115813(P2007−115813A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304173(P2005−304173)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】