説明

ばね鋼製再閉パネルを備える高超過圧ベント構造

超過圧状態を解放するベント孔を有する閉じ込められた空間を保護し、装置は、通常は、ベント孔を閉止している圧力逃がし部を有するベントユニットを備え、ベントユニットの圧力逃がし部を開口する場合に、一般的に、ベント孔を閉止する再閉構造を備える。再閉構造は、通常は、ベント孔を塞がず曲げられた状態で保持される弾性力のある可撓性のばね鋼製再閉パネルを含む。再閉可能な機構は、再閉パネルを、通常、開いた位置に保持するために再閉パネルと係合する。作動装置は解放可能な機構に接続され、ベントユニットの逃がし部が開放した後、再閉パネルが固有の弾性力により移動し、ベント孔を実質的に閉止するように、解放可能な機構を動作させ、再閉パネルを解放する。ばね鋼製再閉パネルを有するベント装置は、長方形状でも円形状でも良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超過圧状態を解放するためのベント孔を有する閉じ込められた空間を保護するためのベント装置の改善に関するものである。特に、従来のベント装置は、例えば、バグハウス、バグハウスと連通する配管、処理装置、処理装置に繋がるあるいは処理装置から伸びる配管、建築物、圧力容器、及び高超過圧を引き起こす爆発や制御不能な燃焼事故が起こり得る他の種類の商業的及び工業的設備において、爆発や制御不能な燃焼事故の間に起こりうるような、急な圧力上昇にさらされた閉鎖空間における逃がし開口を覆うのに有用である。
【0002】
上述のような種類のベントは、保護空間において、例えば爆発や制御不能な火災などのような所定の超過圧状態が発生する時、完全に開くベント部を含むベントユニットを有し、それによって、過度の超過圧力を解放し、装置、容器、配管、建築構造物、その他破壊的な超過圧事故を潜在的に受け易い物が厄介な被害を受けるのを防止する。
【0003】
より詳細には、本発明は、保護空間のベント孔を閉じる関係にあり、所定の超過圧状態下でベントユニットの圧力を解放する場合に、少なくとも通常は、ベント孔を閉止するための再閉構造を備える圧力逃がし部を有する高超過圧ベント構造に関するものである。再閉構造は、通常、ベント孔を閉じる関係から離れた位置に保持されるが、ばね鋼製パネル固有の弾性機能として、ベントユニットの圧力逃がし部の開放に続く、ベント孔を閉止する位置に移動し得るばね鋼製ベント孔再閉パネルを有する。
【0004】
第1のベントユニットの開放後の再閉構造によるベント孔の再閉の利点は、以下の通りである。
‐空気、それによって酸素の進入の排除又は、縮小、その結果、もし、ベント開口により保護空間が周辺大気に晒されたままであるのならば、二次爆発の影響を軽減すること、
‐保護設備への永久的な損傷を引き起こす加工材料の燃焼継続の防止、
‐火炎/火災の鎮静の改善、ここでは、生じた燃焼ガスや炎は、ベント孔から逃げることができないという事実のおかげで、不活性ガス、又はウォータミストなどが消火剤として使われること、
‐保護加工区域の汚染の縮小/排除。
【0005】
解放可能な機構は、パネルと係合して設けられ、通常は、ベント孔を閉じる位置から、その曲がった状態にパネルを継持している。作動装置は、超過圧状態からのベントユニットの開放を感知するセンサユニットからの命令によって、パネルの解放を有効にする効果的に解放する解放可能な機構に接続されている。
【背景技術】
【0006】
従来より、破裂ベントは、ベントの逃がし領域にある低強度線を定義する、破断線かあるいは中断スリットを持つ、破裂可能な金属シートを有していた。ベントの逃がし領域を開放するのに必要な超過圧力の大きさは、何よりも、破裂ベントの製造のために選定された金属のタイプ、厚さ、及び、物理的特性、低強度線の形状と性質、ベント全体の領域における低強度線の位置、及び、しばしば、所定の相対的配置における低強度線を覆う一連の間隔を空けたクロスタブの設置によって決定される。
【0007】
このタイプの例示的な破裂ベントは、米国特許第6,070,365号において示され、かつ、説明されており、そこでは、長方形矩形状の圧力逃がしパネルは、圧力逃がし開口を横切るように適合された枠に取り付けられている。単一の解放パネルは、鉄、ステンレス、インコネルあるいは他の類似の金属の一枚のシートから形成されており、複数の中断スリットによって定義される三辺の低強度線を有する。米国特許第6,070,365号に示されるように、低強度線上に位置する一定間隔で配置された一連の破裂タブは、爆発や急速燃焼火災が生じたことに起因する所定の高超過圧の下でパネルの逃がし領域が取り払われる前に、破裂が起きなければならない。
【0008】
米国特許第5,036,632号は、中断スリットによって定義される三辺の低強度線を持つ従来の長方形矩形状金属シート破裂ベントのもう一つの例である。合成樹脂などの層が低強度スリットの線を覆う関係に設けられる。米国特許第5,036,632号において示され、かつ、説明されているタイプのベントにおいても、破裂可能なタブが設けられている。これらは、超過圧を解放するためにスリット線に沿ってパネルの中央部分が破裂する前に壊れなければならない。破裂可能な金属シートの周辺に、1以上のエラストラマシーリングガスケット設けられてもよい。
【0009】
米国特許5,036,632号の詳細な説明で言及されている米国特許4,498,261号は、比較的に低い圧力で開放する長方形状ベントパネルであり、その薄いシート構造は中間耐衝撃ポリスチレン、アルミニウム合金などの柔金属、又は十分にアニールされたステンレス鋼として説明されている。中断Xパターンスリットは、ベントパネルを通して伸張され、Xの頂端において終わる個々の低強度線を規定する。破裂パネルと同じ範囲を覆う薄い密閉膜は、破裂パネルに接着的に結合されており、破裂パネルは、ポリエチレン、ステンレス鋼、あるいは、アルミニウムで形成される場合がある。同様の構造が米国特許4,612,739号にも示されかつ説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許6,070,365号
【特許文献2】米国特許5,036,632号
【特許文献3】米国特許4,498,261号
【特許文献4】米国特許4,612,739号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のタイプの先行技術の圧力逃がしベントは、十分に開口し、保護空間において所定の超過圧状態を解放するが、これらのベントは開口した状態のままであり、それによって、閉じ込められた空間に周辺の空気が出入し続けるのを許している。爆発あるいは火事と高圧の解放の結果、燃焼生成物の奔出が起こり、空気中の酸素が直ちにベント孔を通じて利用可能となり、結果として、第2の爆発、火事の激化、再引火が起こる。
【0012】
超過圧状態の解放のためのベント孔を持つ閉じ込められた空間を保護するための装置に備えることは、従来より行われていた。この種の装置は、閉じる関係にあるベント孔を横切る圧力逃がし部を持つベントユニットを有する。このベントユニットの圧力逃がし部は、保護空間が所定の超過圧力に達した時に開口する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、高超過圧状態を解放する従来のベント装置を、予め選択された超過圧下で、ベントユニットの圧力逃がし部が開口した場合、少なくとも一般的にベント孔を閉止するための再閉構造の設備によって改善するものである。該再閉構造は、その正常な状及び少なくとも実質的にベント孔を閉止する位置における配置をとる弾性力のある可撓性のばね鋼製パネルを有する。該ばね鋼製パネルは、曲げて離され、ベント孔を実質的に閉じる位置から離れて曲げられ、その位置から外れた場所に保持される。解放可能な機構は、該パネルをベント孔に対して閉止した関係から外れた前記位置に保持するため、該パネルと係合する。作動装置は、前記解放可能な機構に接続され、保護領域において前記予め選択された超過圧の結果としてベントユニットの逃がし部が開いた後、該機構を作動させ、該パネルが固有の弾性力の機能として、前記場所から実質的にベント孔を閉止する前記位置までの移動のために、該パネルを解放する。
【0014】
センサは、ベント装置のベントユニットと関連して設置され、ベントユニットは、例えば、爆発や急速燃焼からの燃焼生成物などの厄介な高超過圧状態の結果として、ベントユニットの圧力逃がし部が開口するのを検出するために動作可能であることが好ましい。センサは、効果的な動作がなされるよう、アクチュエータと動作可能な状態で繋がっており、そのセンサは、ベントユニットの圧力逃がし部の開口を検出すると、該パネルがベント孔を閉じる位置に戻るように該パネルを解放する。センサからの信号に応じたアクチュエータの動作は、ばね鋼製パネルが通常どおり、ベント孔から離れた位置に保持され、該パネルが所定の可変遅延時間の後、揺れ無しにベント孔を閉止するよう制御されるのが望ましい。
【0015】
好ましい実施形態においては、ケーブル構造が、可撓性ばね鋼製パネルと接続しており、保護構造のベント孔を閉止しない位置で保持され、命令によってケーブルを解放し、可撓性ばね鋼製パネルが保護領域のベント孔を実質的に閉止する位置まで、より戻すようケーブル構造と協働するよう設置された作動機構を備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、正常時は保護構造のベント孔を閉じる圧力逃がし部を備えるベントユニットを有するベント装置の平面図であり、ここで、この装置は、ベント孔から離れて湾曲し、選択的に解放可能な機構によって、通常の解放位置に保持される可撓性ばね鋼パネルを持ち、解放可能な機構の一部を形成するケーブル裁断ギロチン装置を含むベント孔再閉構造を有する。
【図2】図2は、図1のベント装置の本質的な概略側面図であり、その拘束された湾曲位置における、可撓性ばね鋼製再閉パネルを示す。
【図3】図3は、図1及び2のベント装置の概略的側面図であり、所定の超過圧下でベントユニットを解放した後のベント孔閉止位置におけるばね鋼パネルを示す。
【図4】図4は、選択的に解放可能な機構と接続されたパネル拘束部材の一つの断片的拡大図である。
【図5】図5は、そのパネルが、ベント装置のベントユニットに設置されている様子が例示されている可撓性ばね鋼パネルの一部の断片的拡大図である。
【図6】図6は、可撓性ばね鋼パネルの拘束ケーブルの一部分、及び命令によって、ケーブル及びそれによってパネルを選択的に解放するためのソレノイド装置の拡大された、本質的な概略断面図である。
【図7】図7は、図6に示されるケーブル拘束、及び解放可能な機構の断片的拡大横断面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のベント装置10は、図1、及び2に例示されているように、厄介な超過圧から保護を必要とする領域にある構造のベント孔に対して、通常時は閉止している関係で設置されるよう構成されるものである。
【0018】
長方形状金属枠要素12は、例えば、その構造のベント孔に対して取り囲む関係で、保護領域構造に設置され、かつ固定される。枠要素12は、典型的に、箱形の脚部14を有しており、箱形の脚部14は、その構造のベント孔に対して一致するように取り囲む関係で保護領域構造に固定される。一方、枠要素12のフランジ部分16は、脚部14と一体化されており、保護領域構造から離れた足部14の端から外側に向かって突出する。この点において、枠要素12は典型的な一例であり、異なる数の構成要素がそのための個別のベント孔に位置合わせして保護されるべき構造の上にベント装置10を固定するために設けられていてもよいことが分かる。
【0019】
長方形状ベントユニット押さえ部材18は、枠要素12のフランジ部分16に対して覆いかぶさる関係で備えられていてもよい。フランジ部分16の外側面に固定され、フランジ部分16においてそのための各々の開口を通して伸張する一連の植込ボルト20は、対応する押さえナット22とともに設けられる。
【0020】
従来の複合積層ベントユニット24は、フランジ部分16と押さえ部材18との間に閉じ込められ、おおよそフランジ部分16と押さえ部材18の周縁部の寸法と等しい外形の寸法を持つ。図5に示されるように、ベントユニット24は、例えば、ステンレス鋼、イコンネル、チタン、ニッケル、ハステロイ、あるいは、類似の金属からなる一対のベントパネル26と28とを有していてもよく、それらは、例えば、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、あるいは、パーフルオロアルコキシポリマ(PFA)からなる中間カバーシート30で分離されていてもよい。適当なステンレス鋼のストックは、タイプ301、304、316、316L、及び316LTを含んでいてもよい。ベントパネル26と28は、典型的に、ベントパネル26と28の各々の圧力逃がし部34に存在する実質的にU字型をした低強度線32を定義する間隔を空け、端と端を接した一連のスリットを有する。低強度線32の各々の終端は、その湾曲部分から離れており、圧力逃がし部34の各々のヒンジ区間に存在する。シート30は、ベントパネル26と28とにおいて低強度線32を定義するスリットを覆い、かつ閉じる役割をする。
【0021】
ベント装置10の好適実施形態においては、破裂ベントパネル技術における当業者に良く知られているように、ベントパネル26と28とは、色々な種類、厚さ、及び物理的特性の金属ストックから製造されていてもよく、低強度線32を構成するスリット間の間隔は、保護領域内の圧力の上昇が所定の超過圧力値に達したときに隣接するスリット間の間隔の切断によって、ベントパネル26と28との圧力逃がし部34の開口を確実なものとするよう調節されてもよい。典型的なベントパネル26と28とは、選択された金属で製造されていてもよく、好ましい物質としては、約0.2mm〜約0.6mm、好ましくは約0.4mmの厚さを持つ、1.4301ステンレス鋼であってもよい。シート30は、例えば、約0.250mmの厚さであってもよく、好ましくは約0.0125mmから約0.30mmでもよい。
【0022】
ベント孔再閉構造36は、好ましくは、約0.6mmから約1.2mm、最も好ましくは約0.8mmの厚さを持つ、強圧延型の1.4310ステンレスばね鋼から製造された再閉パネル38を有する。再閉パネルの降伏点と引張強度との差は、約30%以下である。再閉パネルの降伏点及び引張強度は、それぞれ、少なくとも、約1200N/mm及び約1450N/mmであることが好ましい。ベント装置30のベントユニット62の製造に有用な典型的なばね鋼材料は、強圧延ステンレス鋼オーステナイト1.4310C1300であって、1404−1463N/mmの引張強度、431−446HVの硬さ及び11.5−16.5の伸び(A80mm%)を持つEN10088−2と、1440−1460N/mmの引張強度、465−468HVの硬さ及び13−16の伸び(A80mm%)を持つEN10151AMS5519と、(a)引張強度1325N/mm、硬さ403HV及び伸び(A80mm%)A50:9、(b)引張強度1412−1428N/mm、硬さ429−431HV及び伸び(A80mm%)1.2、(c)引張強度1397N/mm、硬さ423HV及び伸び(A80mm%)A50:4、(d)引張強度1410−1414N/mm、強度400−402HV、伸び(A80mm%)1.4、(e)引張強度1380−1382N/mm、強度441HV及び伸び(A80mm%)16−18を持つEN10151タイプを含むプレシジョンメタルズM.V.B−2800メヘレン、BEが利用可能である。
【0023】
再閉パネル38の端縁部分38aは、枠要素12のフランジ部16aと押さえ部材18の脚部分18aとからなる構成要素の間に閉じ込められる。フランジ部16aとその上のナット22とを固定する植込ボルト20は、再閉パネル38の縁部分38aを枠要素12及び押さえ部材18にしっかりと取り付ける働きをする。再閉パネル38の残存部38bは、ベントユニット24から離れる方向に湾曲し、連続して湾曲した形状であることが図2からわかる。再閉パネルの縁部分38aに近接した湾曲部38bの一部38b´は、湾曲部38bの残存部38b″よりずっと湾曲している。
【0024】
解放可能な機構39は、通常、再閉パネル38を図2に見られるようなベント孔を塞いでいない曲がった状態に維持するために、再閉パネル38と係合するように設けられている。機構39は、ベントユニット34に対向して再閉パネル38の部分38bの区間38b″の外側表面に貼り付けられ、好ましくは、再閉パネル38の実質的に全幅まで伸びた長尺の棒40を含む。棒40は、再閉パネル38の部分38bの裏面に溶接された植込ボルト44aと44bの形で、各々の部材を収容する、その両端が隣接する2つの広く開けられた開口部42を備えている。植込ボルト44aと44bの各々は、棒40の外側表面を超えて延存する。ワッシャ46は、棒40に隣接して植込ボルト44a及び44bのそれぞれに備えられている。ナット48は、ワッシャ46に隣接して各植込ボルト44a及び44bに螺合している。保持構造49は、解放可能な機構39の一部を形成する長尺なケーブル50を含む。ケーブル50の一端は、植込ボルト44a上のワッシャ52と54との間に閉じ込められたループ50aを形成するために、それ自身折り返される。外側ナット56は、植込ボルト44a上でワッシャ54と係合し、ケーブル50のループ終端50aに対して、ぴったりとワッシャ52及び54を固定している。同様に、保持構造49のケーブル区間58は、植込ボルト44a上にケーブルループ50aの閉じ込めと同等なやり方で、植込ボルト44b上のナットとワッシャの間で閉じ込められ、それ自身折り返されたループを有する。植込ボルト44bから離れた側のケーブル区間58の終端は、ケーブルクランプ60によって、ケーブル50の中央部分と接続されている。
【0025】
図1から、例えば、棒40と共同で、ケーブルクランプ60によって結合された、ケーブル50のストレッチ50b及びケーブル区間58が、再閉パネル38の最外端に掛かる拘束力が、実質的に等しくされ、再閉パネル38の傾き変位を防止するように、構成要素の概略三角形の関係を形成することを理解することができる。
【0026】
ケーブル50の区間50cの最外自由端は、それ自身再び折り曲げられ、キャプスタン62の周囲に輪を作る。ケーブルクランプ64は、ケーブル区間50cの隣接する部分に固定される。装置66は、命令位置に応じて、ケーブル50の区間50cを切断するために備えられている。装置66は、ケーブル区間50cをクランプ60とクランプ64の間の一点で協働して切断する対向する刃を持つ、ギロチンユニット68を含んでいてもよい。
【0027】
従来装置構成のセンサ70は、枠要素12と関連して設置されるのが好ましい。センサ70は、所定の超過圧下における、ベントパネル26と28の圧力逃がし部34の開放を検出するように動作可能である。センサ70は、光学型、磁気型、あるいはワイヤ切断型であってもよい。ケーブル区間50cを切断するために装置66の動作を制御するベントパネル26と28の圧力逃がし部34の開放に応じて、センサ70によって電気信号が発生される。ケーブル区間50cが切断されるとき、再閉パネル38固有の弾性力により、再閉パネルが図3に示される位置に移動し、その位置では、再閉パネル38の最外先端が、再閉パネル38の中央区分38aと対向して脚部13の内側表面に固定された内向きプレート部材72に係合し、それによって実質的にベント孔を閉塞する。カバー30に沿ったベントパネル26及び28は、保護領域において超過圧状態の解放の間にベントユニット24に加えられた激しい力の結果として、図3に模式的に示されるように、通常は、十分に変形した位置ではあるが、枠要素12内のそれらの位置に戻る。
【0028】
ベント装置10は、装置66がケーブル50を切断するよう動作するのではなく、そのために、所定の超過圧によって圧力逃がし部34の開放の検出に続く、所定の時間間隔で、再閉パネル36によりベント孔を閉止するよう計画されていても良い。例えば、ベント装置10の設置構成において、再閉構造36の開放と、このような保護構造のベント孔に対して閉じる関係への再閉構造36の回動とは、長くても5秒、もしくは、特定の顧客に要望されれば、これより少し長い時間は起こらないであろう。
【0029】
図6及び7に例示された発明の代替可能な実施形態において、電気機械装置166は、装置66の代替装置として用いられている。この例において、ケーブル150のセクション150dの外側部分は、ばねで付勢され、通常は開いているソレノイド176の電機子174の周囲にループを形成となる。電機子174が、センサ70からの電気命令信号を受けたことに応じてばね178の力に対抗して引き付けられるとき、ケーブルセクション150cのループ150dは、電機子174から解放され、それによって、前述の通り、再閉パネル38を閉じさせる。
【0030】
図8に示される発明の代替可能なベント装置110は、ベント装置10と、本発明の他の実施形態のように枠要素112、及びベントユニット124、再閉パネル138が、全て長方形状であるよりはむしろ円形状の形態であることにおいてのみ異なる。ベント装置110の動作は、再閉パネル138に接続されているケーブル区間150が、センサ70のようなセンサからの命令信号に応じてギロチン機構によって切断されるか、あるいは、ソレノイド166に類似のソレノイドによって解放されることにおいて、本質的に、図1〜7の発明と同じである。しかし、装置110の再閉パネル138の幾分狭くなった縁セクション138aから見て、図7に示されるように、通常の拘束位置からの再閉パネル138の解放に応じて、再閉パネル138の全閉止を確実にするには、若干厚いばね鋼材料が必要になるかもしれない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超過圧状態を解放するベント孔を有する閉じ込められた空間を保護し、
ベント孔を横切ってそれに対して閉じる関係であり、保護空間が予め選択された超過圧に曝されると開く圧力逃がし部を持つベントユニットを備える保護装置であって、
前記予め選択された超過圧下においてベントユニットの圧力逃がし部が開いた場合、少なくとも一般的にベント孔を閉止するための再閉構造であって、
前記構造は、その正常な状態及び少なくとも実質的にベント孔を閉止する位置における配置をとる弾性力のある可撓性の再閉パネルを有し、
前記再閉パネルは、曲げて離され、ベント孔を実質的に閉じる位置から離れて曲げられ、その位置から外れた場所に保持される再閉構造と、
通常は、再閉パネルを、ベント孔に対して閉止した関係から外れた前記位置に保持するための、前記再閉パネルと係合する解放可能な機構と、
前記解放可能な機構に接続され、保護領域において前記予め選択された超過圧の結果としてベントユニットの逃がし部が開いた後、該機構を作動させ、前記再閉パネルが固有の弾性力の機能として、前記場所から実質的にベント孔を閉止する前記位置までの移動のために、再閉パネルを解放する作動装置と、を有することを特徴とする保護装置。
【請求項2】
前記再閉パネルが、ばね鋼材料製である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記再閉パネルが、ステンレスばね鋼である請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記再閉パネルの降伏点と引張強度との差が、約30%以下である請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記再閉パネルの降伏点及び引張強度が、それぞれ少なくとも約1200N/mm及び約1450N/mmである請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記閉じ込められた空間が、前記ベント孔を規定する複数の構成要素を有し、前記再閉パネルは、ベント孔に隣接する構成要素に固定するべく構成された縁部を有する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記再閉パネルが、1.4310ステンレスばね鋼である請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記再閉パネルが、約0.8mmの厚さである請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記ベント孔を規定する複数の構成要素を有し、前記再閉パネルは、ベント孔に隣接する構成要素に固定するべく構成された最内部を有する請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記再閉パネルの最内部は、本質的に平らで、前記再閉パネルは、最内部から解放可能な機構まで伸びる連続湾曲部を有する請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記再閉パネルの連続湾曲部は、最内部から離隔した再閉パネルの残りの部分より大きい曲率半径を持つ平らな最内部に隣接する部分を有する請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記解放可能な機構は、再閉パネルにベント孔側とは反対側に固定される少なくとも1個の部材と、該部材に接続され、かつ該部材から離れるように伸張する保持構造と、を有する請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記作動装置は、命令信号を受けると、保持構造を部材から切り離し、ベント孔を実質的に閉止する位置まで戻すために、再閉パネルを解放するように動作可能な装置を有する請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記保持構造は、ケーブルを有し、前記装置は、ケーブルを解放するために前記命令信号に応じて動作可能な電気機械ユニットである請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、前記命令信号に応じてケーブルを切断するよう動作可能なギロチン刃裁断形装置を有する請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記ユニットが、ソレノイドである請求項15に記載の装置。
【請求項17】
予め選択された超過圧下においてベントユニットの圧力逃がし部が開いたことを検出するべく動作可能なセンサが設置され、前記センサは、前記作動装置に接続され、解放可能な機構の動作を検出し、それによって可撓性再閉パネルによる閉止を可能にする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記センサは、予め選択された時間間隔分、作動装置の動作を遅らせるよう動作可能な請求項17に記載の装置。
【請求項19】
センサの遅延間隔は、選択的に可変である請求項18に記載の装置。
【請求項20】
超過圧状態を解放するベント孔を有する閉じ込められた空間を保護する装置であって、
ベント孔を横切ってそれに対して閉じる関係であり、保護空間が所定の超過圧に曝されると開くよう動作可能な圧力逃がし部を持つベントユニットと、
ベントユニットに設置され、前記予め選択されたの高超過圧下において、ベントユニットの圧力逃がし部が開いた場合、少なくとも一般的にベント孔を閉止するための再閉構造であって、
前記構造は、その正常な状態及び少なくとも実質的にベント孔を閉止する位置における配置をとる弾性力のある可撓性の再閉パネルを有し、
前記再閉パネルは、曲げて離され、ベント孔を実質的に閉じる位置から離れて曲げられ、その位置から外れた場所に保持される再閉構造と、
通常は、再閉パネルを、ベント孔に対して閉止した関係から外れた前記位置に保持するための、前記再閉パネルと係合する解放可能な機構と、
前記解放可能な機構に接続され、保護領域において前記予め選択された超過圧の結果としてベントユニットの逃がし部が開いた後、前記場所から実質的にベント孔を閉止する前記位置への前記再閉パネルの移動に併せてベントユニットの圧力逃がし部がベント孔まで戻される時、前記機構を動作させて、その弾性力の機能として前記場所から前記位置への移動のために前記再閉パネルを解放する作動装置と、を有することを特徴とする保護装置。
【請求項21】
前記再閉パネルが、ばね鋼製である請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記再閉パネルが、ステンレスばね鋼である請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記再閉パネルの降伏点と引張強度との差が、約30%以下である請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記再閉パネルの降伏点及び引張強度が、それぞれ少なくとも約1200N/mm及び約1450N/mmである請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記閉じ込められた空間が、前記ベント孔を規定する複数の構成要素を有し、前記再閉パネルは、ベント孔に隣接するベントユニットに固定された縁部を有する請求項20に記載の装置。
【請求項26】
前記再閉パネルが、1.4310ステンレスばね鋼製である請求項21に記載の装置。
【請求項27】
前記再閉パネルが約0.8mmの厚さである請求項21に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−501061(P2010−501061A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524716(P2009−524716)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/068670
【国際公開番号】WO2008/147406
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(593224670)ファイク・コーポレーション (18)
【氏名又は名称原語表記】FIKE CORPORATION
【Fターム(参考)】