説明

まつ毛または眉毛メイクアップ組成物

【課題】本発明は、まつ毛もしくは眉毛上で良好な持続性を保持し、またはさらにこの持続性を改善する一方、さらに良好なメイクアップ除去能力を有するメイクアップ組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、連続水相中に、
-前記組成物の総重量に対して5重量%以上の固形分の量で存在する、特定のポリウレタンの水性分散液と、
-2重量%未満のトリエタノールアミンを含む乳化系を含む前記組成物と
を含む、改善されたメイクアップ除去特性を有する、まつ毛または眉毛などのケラチン繊維をメイクアップするための組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まつ毛または眉毛などのケラチン繊維上にメイクアップ皮膜を形成するのに適し、容易に除去できる、ケラチン材料をメイクアップするための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ皮膜は、マスカラの形態の組成物、または眉毛のための製品から形成されることがある。さらに好ましくは、本発明は、マスカラの除去および/またはクレンジングに関する。「マスカラ」という用語は、まつ毛に塗布することを意図する組成物を意味すると理解される。それは、まつ毛メイクアップ組成物、まつ毛メイクアップベース(ベースコートとしても知られている)、マスカラに塗布する組成物(トップコートとしても知られている)、またはその他にまつ毛の化粧処置のための組成物でよい。マスカラは、より特定するとヒトのまつ毛を意図するが、また偽のまつ毛を意図する。
【0003】
まつ毛メイクアップ組成物またはマスカラは、水相または有機溶媒液相に分散している少なくとも1種のワックスまたはワックスの混合物で構成されることがある。一般に、それらは、ペースト状のテクスチャを有し、容器中にパッケージされている。この容器は、ワイパーを備えたレザバーを画定し、アプリケーターによって密封されている。このアプリケーターは特に、レザバー中に含有される製品を引き出すために設定されたブラシまたはくしの形態でよい。次いで、過剰な製品をそれがワイパーを通過するときに、このようなアプリケーターから取り除くことができ、次いで、このようなアプリケーターを、まつ毛または眉毛などのメイクアップするケラチン繊維と接触させることができる。
【0004】
しかし、これらの組成物の塗布の後に得られるメイクアップ皮膜は、一般に十分に水(例えば、入浴もしくはシャワーを浴びるとき)、涙、または汗、またはその他に皮脂に対して耐性ではない。マスカラはひいては流れ落ち、目の下に環ができ、または時間の経過により分解する傾向があり、細粒が付着し、魅力的ではない跡が目の周りに現れる。
【0005】
上記の問題を解決するために、最近、ポリウレタン分散液が化粧品に組み込まれており、従来の技術(アクリル樹脂およびアクリルアミドコポリマー、ポリビニルピロリドンおよびPVP/VAコポリマーなど)と比較していくつかの利点を提供する。これらの利点には、水との適合性、耐水性および皮膜を形成する優れた能力が含まれる。しかし、このような分散液は、コーティングされた表面への粘着性を欠くこととなり、組成物の分解をもたらすことがある。これによって、消費者にとってかなりの美的問題が生じる。ポリウレタン分散液のこのような例は、特に、特許出願EP1970391およびEP2105126に提供されている。
【0006】
特許US6106813はまた、化粧品用途に適したポリエステルポリウレタンを開示する。それは、良好な皮膜形成特性のみを有するのではなく、優れた硬質性、ならびに水および洗剤による除去への優れた耐性をまた実現するポリエステルポリウレタンの新規なファミリーを開示する。
【0007】
したがって、組成物のこのタイプは一般に、良好な転移しない特性、経時的に特に水および摩擦に対して耐性があるという良好な特性を有し、かつ皮膚、唇、まつ毛または爪上に快適な付着が形成される皮膜を得ることを可能とする。したがって、この新規な配合経路は、ケラチン材料をメイクアップ、手入れまたは処理するための製品の性能の改善を可能とする。
【0008】
他方、このような分散液によって形成される皮膜は、従来の製品よりも除去することがより困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP1970391
【特許文献2】EP2105126
【特許文献3】US6106813
【特許文献4】US3412054
【特許文献5】US5188899
【特許文献6】EP-0216479
【特許文献7】US-3915921
【特許文献8】US-4509949
【特許文献9】WO06/013413
【特許文献10】WO2007/068371
【特許文献11】WO2008/155059
【特許文献12】EP-A-847752
【特許文献13】FR-A-2792190
【特許文献14】FR-A-2232303
【特許文献15】US5162410
【特許文献16】WO2004/073626
【特許文献17】WO2006/058793
【特許文献18】EP1862162
【特許文献19】特開平9-171154
【特許文献20】US-A-5874069
【特許文献21】US-A-5919441
【特許文献22】US-A-6051216
【特許文献23】US-A-5981680
【特許文献24】WO04/055081
【特許文献25】EP1411069
【特許文献26】WO04/028488
【特許文献27】WO2007/071706
【特許文献28】US2007/142575
【特許文献29】US2007/142599
【特許文献30】US-A-5156911
【特許文献31】特開昭61-194009
【特許文献32】EP-A-242219
【特許文献33】EP-A-285886
【特許文献34】EP-A-765656
【特許文献35】US5538793
【特許文献36】FR-A-2892303
【特許文献37】FR-A-2900819
【特許文献38】FR-A-2894476
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J. Soc. Cosm. Chem.、1954 (第5巻)、249〜256頁
【非特許文献2】「Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer」、第22巻、333〜432頁、第3版、1979、Wiley
【非特許文献3】「Microemulsions Theory and Practice」、L.M. Prince編、Academic Press (1977)、21〜32頁
【非特許文献4】小冊子「Intelimer(登録商標)ポリマー」、Landec IP22
【非特許文献5】CTFA(第6版、1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の一目的は、まつ毛もしくは眉毛上で良好な持続性を保持し、またはさらにこの持続性を改善する一方、さらに良好なメイクアップ除去能力を有するメイクアップ組成物の開発にある。
【0012】
結果的に、容易に除去可能である一方、良好な持続性を有するメイクアップ皮膜を形成する組成物を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これを行うために、本発明の一目的は、改善されたメイクアップ除去特性を有するまつ毛または眉毛などのケラチン繊維をメイクアップするための組成物であり、連続水相中に、
-ポリウレタンの水性分散液を含み、分散したポリウレタンは、
A)次式によるプレポリマー
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、
R1は、ポリエステルポリオール、特にポリエステルジオール由来の炭化水素をベースとする基を表し、
R2は、脂肪族または脂環式ポリイソシアネート由来の炭化水素をベースとする基を表し、
R3は、任意選択で低分子量の、任意選択でイオン基で置換されている、ジオール由来の炭化水素をベースとする基を表し、
nは、0〜5と等しく、
mは、>1である)と、
B)式
H2N-R4-NH2
による少なくとも1種の鎖延長剤
(式中、
R4は、イオン基または潜在的イオン基で置換されていないアルキレンまたはアルキレンオキシド基を表す)と、
C)式
H2N-R5-NH2
による少なくとも1種の鎖延長剤
(式中、
R5は、イオン基または潜在的イオン基で置換されているアルキレン基を表す)と
の反応生成物を含み、
-前記ポリウレタンは、前記組成物の総重量に対して5重量%以上の固形分の量で存在し、
-前記組成物は、1重量%未満のトリエタノールアミンを含む乳化系を含み、かつ粉末状材料から選択される少なくとも1種の染料を含む。
【0016】
本発明はまた、まつ毛に塗布する上記で定義したようなメイクアップ組成物の、まつ毛もしくは眉毛などのケラチン繊維からの除去、および/またはまつ毛もしくは眉毛などのケラチン繊維のクレンジングのための方法に関し、前記方法は、メイクアップ除去および/またはクレンジング組成物を、メイクアップ皮膜に塗布することにあるステップを含む。
【0017】
前記方法は、前記皮膜を少なくとも部分的に除去することを意図してケラチン繊維の基部から前記繊維の自由端までメイクアップ皮膜上に圧力をかけることにあるステップを任意選択で含むことができる。このステップは、手作業で、特に、任意選択でラミネートした織ったまたは織っていない支持体(demakeup(登録商標)ディスクなど)を使用して行い得る。この支持体は、無水でよい。変形形態として、この支持体を、メイクアップ除去および/またはクレンジング組成物で事前に染み込ませてもよい。このメイクアップ除去および/またはクレンジング組成物は、水または水溶性溶媒でよい。
【0018】
メイクアップ除去および/またはクレンジング組成物は、例えば、組成物の総重量に対して50〜100重量%の範囲の量で存在する水および/または1種もしくは複数の水溶性溶媒を本質的に含み得る。これらの組成物はまた、油性相を含み得る。
【0019】
このような組成物は、ローション、任意選択で二相ローション、ミルク、クリームまたはその他にゲルの形態でよい。
【0020】
これらの特定のメイクアップ皮膜が、従来の引っ張る動作によって容易に除去され、メイクアップ皮膜の実質的な分解なしにさやの形態でのメイクアップ除去を可能にし得ることを本発明者らは発見した。したがって、このようなメイクアップ除去は、メイクアップ組成物がその除去の間にケラチン繊維から分散されることを防止することを可能にする。
【0021】
「さや」と言う用語は、1mm以上、より良好には少なくとも2mmの長さを有するスリーブの形成を意味すると理解される。
【0022】
本出願による組成物のメイクアップ除去および/またはクレンジングの結果を評価するために、下記のプロトコルによってインビトロ試験を行う。
-組成物は、2分の間隔で3×10回はらうことによって、30ノットのストレートな白人の毛髪の3種の試料(1cmの長さを有する60本のまつ毛)に塗布し(2cmの毛房長さ)、10回はらう各シリーズの間に製品を取り込ませる。
-次いで、各試料を、室温で1時間の乾燥時間の間乾燥させる。
-3種のメイクアップ試料を、所与の時間(1時間、24時間または1週間)20℃で水を含有するうつわに浸す。次いで、3種の試料を、Kimberly ClarkからのWypall L40タイプの四角い布上で前後に5回ぬぐう。
-次いで、3種の試料をdemakeup(登録商標)ディスクタイプの各々のコットン支持体上に付着させ、次いで、各コットンパッドを、それらの各々の試料の周りで2つに折る。
-僅かな圧力を各コットンパッドにかけ、前記コットンパッドを試料に対して引っ張る。
-次いで、各コットンパッド上の付着を、視覚的に観察する。
【0023】
本発明はまた、
-上記の少なくとも1種のメイクアップ組成物と、
-このメイクアップ組成物の除去および/またはクレンジングのための少なくとも1種の組成物と
を含む、まつ毛または眉毛などのケラチン繊維からメイクアップを除去するためのアセンブリまたはキットに関する。
【0024】
本発明のポリウレタン分散液は、ケラチン材料、特に、ケラチン繊維、特にまつ毛または眉毛をメイクアップするための製品中に使用するのに特に適している。
【0025】
本発明の目的は、使用する乳化系と任意選択で独立している第2の目的によると、まつ毛または眉毛などのケラチン繊維をメイクアップおよび/または手入れするための組成物であり、連続水相中に、
A)次式によるプレポリマー
【0026】
【化2】

【0027】
(式中、
R1は、二価の炭化水素をベースとする基またはジヒドロキシル官能基化合物、有利にはポリエステルポリオール、特にポリエステルジオール由来の基を表し、
R2は、脂肪族または脂環式ポリイソシアネート由来の炭化水素をベースとする基を表し、
R3は、任意選択で低分子量の、任意選択でイオン基で置換されている、ジオール由来の炭化水素をベースとする基を表し、
nは、0〜5と等しく、
mは、>1である)と、
B)式
H2N-R4-NH2
による少なくとも1種の鎖延長剤
(式中、
R4は、イオン基または潜在的イオン基で置換されていないアルキレンまたはアルキレンオキシド基を表す)と、
C)式
H2N-R5-NH2
による少なくとも1種の鎖延長剤
(式中、
R5は、イオン基または潜在的イオン基で置換されているアルキレン基を表す)と、
-(i)下記の式(1)の少なくとも1種のモノマー
【0028】
【化3】

【0029】
(式中、R1は、HまたはCH3またはC2H5を表し、すなわち、アクリル酸、メタクリル酸またはエタクリル酸モノマーである)と、
(ii)下記の式(2)のモノマーに相当する不飽和カルボン酸タイプの(C10〜C30)アルキルエステルの少なくとも1種のモノマー
【0030】
【化4】

【0031】
(式中、R2は、HまたはCH3またはC2H5、好ましくはHまたはCH3を表し、R3は、C10〜C30、好ましくはC12〜C22アルキル基を表す)と
の重合に由来するコポリマーから選択される少なくとも1種の親水性濃厚剤と
を含む。
【0032】
上記定義のような親水性濃厚剤の存在下にて連続水相中で配合した特定のポリウレタンの使用によって、水および/または皮脂に対して優れた耐性を有し、適切な場合には摩擦に対して非常に良好な耐性を有する組成物を得ることが可能であることを本発明者らは予想外に発見した。
【発明を実施するための形態】
【0033】
有利なことには、不飽和カルボン酸(C10〜C30)のアルキルエステルは、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ドデシル、ならびに相当するメタクリル酸エステル(メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシルおよびメタクリル酸ドデシルなど)、ならびにこれらの混合物から好ましくは選択される。
【0034】
好ましい一実施形態によれば、これらの濃厚化ポリマーは架橋している。
【0035】
特定の一実施形態によれば、前記親水性濃厚剤は、
(i)本質的にアクリル酸と、
(ii)上記の式(2)のエステル(式中、R2は、HまたはCH3を表し、R3は、12〜22個の炭素原子を有するアルキル基を表す)と、
(iii)架橋剤(共重合性ポリエチレン不飽和モノマー、例えば、フタル酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、およびメチレンビスアクリルアミドなど)と
を含むモノマーの混合物の重合から得られるポリマーから選択される。
【0036】
前記組成物は、
(i)95〜60重量%のアクリル酸と、
(ii)4〜40重量%のC10〜C30アルキルアクリレートと、
(iii)0〜6重量%の架橋重合性モノマーと
を有利に含む。
【0037】
前記組成物は、
(i)98〜96重量%のアクリル酸と、
(ii)1〜4重量%のC10〜C30アルキルアクリレートと、
(iii)0.1〜0.6重量%の架橋重合性モノマー
とを有利に含む。
【0038】
従来技術に関してこの耐性を評価するための様々な試験が、提案された技術的解決法によって実現される有利な効果を示すために行われた。本発明のこの目的に関して行われた試験の結果は、この記載において後で提示する。
【0039】
本発明の別の目的は、使用される乳化系と任意選択で独立しており、親水性濃厚剤の存在または存在しないことと任意選択で独立している第3の目的によると、ケラチン繊維をメイクアップおよび/または手入れするための組成物であり、
-水性ポリウレタン分散液[分散したポリウレタンは、
A)次式によるプレポリマー
【0040】
【化5】

【0041】
(式中、
R1は、二価の炭化水素をベースとする基またはジヒドロキシル官能基化合物、有利にはポリエステルジオール由来の基を表し、
R2は、脂肪族または脂環式ポリイソシアネート由来の炭化水素をベースとする基を表し、
R3は、任意選択で低分子量の、任意選択でイオン基で置換されている、ジオール由来の炭化水素をベースとする基を表し、
nは、0〜5と等しく、
mは、>1である)と、
B)式
H2N-R4-NH2
による少なくとも1種の鎖延長剤
(式中、
R4は、イオン基または潜在的イオン基で置換されていないアルキレンまたはアルキレンオキシド基を表す)と、
C)式
H2N-R5-NH2
による少なくとも1種の鎖延長剤
(式中、
R5は、イオン基または潜在的イオン基で置換されているアルキレン基を表す)と
の反応生成物を含む]と、
-組成物の総重量に対して2重量%以上の量で存在する少なくとも1種の親油性可塑剤と
を含む。
【0042】
予想外に、本発明者らは、組成物の総重量に対して厳密に2重量%超の量で存在する可塑剤の存在下にて連続水相中で配合された特定のポリウレタンの使用は、水および/または皮脂に対する非常に良好な耐性、ならびに適切な場合には摩擦に対する非常に良好な耐性を有する組成物を得ることを可能にすることを発見した。
【0043】
有利なことには、この可塑剤は、
-少なくとも1種のカルボン酸と少なくとも1種の(ポリ)オールとの反応に由来する(ポリ)エステル、
-グリコールエーテル、
-N-エチル-o,p-トルエンスルホンアミド、
-カーボネート、
-ケトン、
およびこれらの混合物から選択される。
【0044】
好ましい一実施形態によれば、前記可塑剤は、クエン酸エステル(クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチルアセチル、クエン酸トリブチルアセチル、2-トリエチルヘキシルアセチルシトレートなど)、およびこれらの混合物から選択される。
【0045】
ここでまた、この記載において下記で公開する提案する技術的解決法によって実現される有利な効果を示すために、従来技術に関してこの耐性を評価するための様々な試験を行った。
【0046】
他に断りのない限り、下記の記載は、上記で示した3つの個々の対象に適応させる。
【0047】
ポリウレタン
ポリウレタンは、組成物の総重量に対して5重量%以上、より良好には6.5重量%、またはそれどころか8重量%以上の固形分の量で存在し得る。ポリウレタンは、例えば、前記組成物の総重量に対して5重量%〜30重量%の範囲、より良好には6重量%〜25重量%の範囲、より良好には7重量%〜15重量%の範囲の固形分の量で存在し得る。
【0048】
本発明による組成物は、特定のポリウレタンの粒子の水性分散液を含む。このような組成物は、まつ毛もしくは眉毛のための化粧品、メイクアップまたは手入れ用途において使用し得る。
【0049】
ポリウレタンは、
A)次式によるプレポリマー
【0050】
【化6】

【0051】
(式中、
R1は、ポリエステルポリオール、特にポリエステルジオール由来の炭化水素をベースとする基を表し、
R2は、脂肪族または脂環式ポリイソシアネート由来の炭化水素をベースとする基を表し、
R3は、任意選択で低分子量の、任意選択でイオン基で置換されている、ジオール由来の炭化水素をベースとする基を表し、
nは、0〜5と等しく、
mは、>1である)と、
B)式
H2N-R4-NH2
による少なくとも1種の鎖延長剤
(式中、
R4は、イオン基または潜在的イオン基で置換されていないアルキレンまたはアルキレンオキシド基を表す)と、
C)式
H2N-R5-NH2
による少なくとも1種の鎖延長剤
(式中、
R5は、イオン基または潜在的イオン基で置換されているアルキレン基を表す)と
の反応生成物である。
【0052】
プレポリマーA)
本発明による組成物は、特定のポリウレタンの水性分散液を含む。このような組成物は、まつ毛もしくは眉毛のための化粧品、メイクアップまたは手入れ用途において使用し得る。
【0053】
基R1
ポリヒドロキシル基、好ましくはジヒドロキシル基R1を提供するための適切な化合物は、ポリエステルポリオール、好ましくはポリエステルジオール、およびこれらの混合物である。したがって、これらの化合物は、好ましくは2個のヒドロキシル基を有し、有利には二価である。
【0054】
このような化合物は、約700〜約16000、好ましくは約750〜約5000の数平均分子量を有し得る。
【0055】
ポリエステルジオールは一般に、
-脂肪族、脂環式もしくは芳香族ジカルボン酸またはポリカルボン酸、あるいはその無水物と、
-二価アルコール(脂肪族、脂環式もしくは芳香族ジオールから選択されるジオールなど)とから調製し得る。
【0056】
脂肪族ジカルボン酸またはポリカルボン酸は、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、イタコン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、マロン酸、2,2-ジメチルマロン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ドデカン二酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサン-ジカルボン酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オキサミン酸、o-フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはトリメリット酸から選択し得る。
【0057】
酸無水物は特に、o-フタル酸、トリメリット酸もしくはフタル酸無水物、またはこれらの混合物から選択し得る。
【0058】
好ましくは、ジカルボン酸は、アジピン酸である。
【0059】
二価アルコールは、エタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ネオペンチルグリコールまたはその混合物から選択し得る。脂環式および/または芳香族ジヒドロキシル化合物はまた当然ながら、ポリエステルポリオールの調製のための二価アルコールとして適切である。
【0060】
ポリエステルジオールはまた、ラクトンまたはラクトン混合物(ブチロラクトン、ε-カプロラクトンおよび/またはメチル-ε-カプロラクトンなど)と、適切な多官能性、好ましくは二官能性のスターター分子(例えば、上記の二価アルコールなど)との付加反応によって好ましくは得られる、ラクトンのホモポリマーまたはコポリマーから選択し得る。ε-カプロラクトンの相当するポリマーが好ましい。
【0061】
ポリエステルポリオール、好ましくはポリエステルジオールである基R1は有利には、ジカルボン酸(アジピン酸など)と、ポリオール、特にジオール(ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、およびこれらの混合物など)との重縮合によって得てもよい。
【0062】
基R2
炭化水素をベースとする基R2を提供するための適切なポリイソシアネートには、約112〜1000、好ましくは約140〜400の分子量を有する有機ジイソシアネートが含まれる。
【0063】
好ましいジイソシアネートは、上記で示した一般式R2(NCO)2(式中、R2は、4〜18個の炭素原子を含む二価の脂肪族炭化水素基、5〜15個の炭素原子を含む二価の脂環式炭化水素基、7〜15個の炭素原子を含む二価の芳香脂肪族炭化水素基、または6〜15個の炭素原子を含む二価の芳香族炭化水素基を表す)によって表されるものである。適切である有機ジイソシアネートの例には、テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネートおよびシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)-メタン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよびビス(4-イソシアナト-3-メチルシクロヘキシル)メタンが含まれる。ジイソシアネートの混合物を、当然ながら使用することができる。好ましいジイソシアネートは、脂肪族および脂環式ジイソシアネートである。特に好ましいものは、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、およびこれらの混合物である。
【0064】
基R3
ジオール、特に低分子量ジオールR3の使用は、ポリマー鎖の硬化を可能にすることがあり、任意選択である。「低分子量ジオール」という表現は、約62〜700、好ましくは62〜200の分子量を有するジオールを意味する。それらは、脂肪族基、脂環式基または芳香族基を含有し得る。好ましい化合物は、脂肪族基のみを含有する。使用されるジオールは好ましくは、20個までの炭素原子を有し、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、1,3-ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ヘキサン-1,6-ジオール、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン)、およびこれらの混合物から選択し得る。好ましくは、R3は、ネオペンチルグリコール由来である。
【0065】
任意選択で、低分子量ジオールは、イオン基または潜在的イオン基を含有し得る。イオン基または潜在的イオン基を含有する適切な低分子量ジオールは、特許US3412054に開示されているものである。好ましい化合物には、ジメチロールブタン酸(DMBA)、ジメチロールプロピオン酸(DMBA)およびカルボキシル含有カプロラクトンポリエステルジオールが含まれる。イオン基または潜在的イオン基を含有する低分子量ジオールが使用される場合、それらは好ましくは、<0.30ミリ当量のCOOHがポリウレタン分散液中のポリウレタンの1グラム毎に存在するような量で使用する。好ましくは、イオン基または潜在的イオン基を含有する低分子量ジオールを使用しない。
【0066】
プレポリマーの鎖は、2つのクラスの鎖延長剤B)およびC)を使用して伸長する。
【0067】
B)鎖延長剤
式を有する鎖延長剤の第1のクラスの化合物B)
H2N-R4-NH2
式中、R4は、イオン基または潜在的イオン基で置換されていないアルキレンまたはアルキレンオキシド基を表す。
【0068】
したがって、鎖延長剤は、
-アルキレンジアミン(ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミンおよびピペラジンなど)、
-アルキレンオキシドジアミン(ジプロピルアミンジエチレングリコール(DPA-DEG、Tomah Products、Milton、WIから入手可能)、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン(DuPontからのDytec A)、ヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、および4,4-メチレンジ(シクロヘキシルアミン)、ならびにTomah Products、Milton、WIから入手可能なエーテルアミンのDPA-シリーズ(ジプロピルアミンプロピレングリコール、ジプロピルアミンジプロピレングリコール、ジプロピルアミントリプロピレングリコール、ジプロピルアミンポリ(プロピレングリコール)、ジプロピルアミンエチレングリコール、ジプロピルアミンポリ(エチレングリコール)、ジプロピルアミン1,3-プロパンジオール、ジプロピルアミン2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジプロピルアミン1,4-ブタンジオール、ジプロピルアミン1,3-ブタンジオール、ジプロピルアミン1,6-ヘキサンジオールおよびジプロピルアミンシクロヘキサン-1,4-ジメタノールを含めた)、ならびにこれらの混合物など)
から選択し得る。
【0069】
好ましくは、鎖延長剤B)は、エチレンジアミン、ジエタノールアミン、およびこれらの混合物から選択される。
【0070】
C)鎖延長剤
鎖延長剤の第2のクラスは、式を有する化合物C)であり、
H2N-R5-NH2
式中、R5は、イオン基または潜在的イオン基で置換されているアルキレン基を表す。これらの化合物は、イオン基または潜在的イオン基および2種のイソシアネート反応性基を有する。イオン基または潜在的イオン基は、第三級または第四級アンモニウム基によって構成される基、このような基に変換可能な基、カルボキシル基、カルボン酸基、スルホン酸基およびスルホネート基から選択し得る。言及したタイプの塩基へ変換可能な基の前記少なくとも部分的な変換は、水との混合の前または間に行うことがある。特定の化合物には、ジアミノスルホネート(例えば、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエタンスルホン酸のナトリウム塩(AAS)またはN-(2-アミノエチル)-2-アミノプロピオン酸のナトリウム塩など)が含まれる。
【0071】
好ましくは、R5は、スルホン酸またはスルホネート基で置換されているアルキレン基を表す。
【0072】
好ましくは、この化合物は、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエタンスルホン酸のナトリウム塩(AAS)である。
【0073】
連鎖停止剤
本発明によるポリウレタンはまた、いずれの場合にも鎖の端部に位置し、前記鎖を終端させる化合物を含み得る。
【0074】
これらの連鎖停止剤は、式
【0075】
【化7】

【0076】
を有する化合物に由来することがあり、
式中、R6は、水素原子またはヒドロキシル末端を任意選択で有するアルキレン基を表し、R7は、ヒドロキシル末端を任意選択で有するアルキレン基を表す。適切な化合物には、モノアミン、特に第二級モノアミン、またはモノアルコールなどの化合物が含まれる。例には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N-メチルアミノプロピルアミン、ジエチル-(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジン、ジエタノールアミンおよび適切な置換されたその誘導体、第一級ジアミンおよびモノカルボン酸のアミドアミン、第一級ジアミンのモノケチム、第一級/第三級アミン(N,N-ジメチルアミノプロピルアミンなど)などが含まれる。連鎖停止アルコールは、メタノール、ブタノール、ヘキサノール、2-エチルヘキシルアルコール、イソデシルアルコール、およびこれらの混合物などのC1〜C10アルコールから選択し得る。アミノメチルプロパノール(AMP)などのアミノアルコールもまた適切である。
【0077】
本発明の一実施形態において、ジプロピルアミンジエチレングリコールを使用することによって、低分子量ジオールとして、または非イオン性鎖延長剤の一部として、ジエチレングリコールを使用してポリウレタンを得る。ジエチレングリコールを低分子量ジオールとして使用する場合、好ましくはDPADEGを非イオン性鎖延長剤として使用しない。同様に、DPA-DEGを非イオン性鎖延長剤として使用する場合、ジエチレングリコールを好ましくは低分子量ジオールとして使用しない。
【0078】
調製方法
本発明による組成物は、まつ毛もしくは眉毛などのケラチン繊維のためのメイクアップまたは手入れ製品において使用するのに適している水性ポリウレタン分散液を含み、下記のステップを含む調製方法によって得ることができる。
A)下記による水性ポリウレタン分散液の調製
1)
1a)ポリエステルポリオール、特にポリエステルジオールと、
1b)脂肪族または脂環式ポリイソシアネートと、
1c)イオン基で任意選択で置換されている低分子量ジオールと
を反応させることによるイソシアネート官能基プレポリマーの形成、
2)有機溶媒の存在下で、ポリウレタンを形成するために、下記によるプレポリマーの鎖伸長
2a)式
H2N-R4-NH2
による少なくとも1種の鎖延長剤
(式中、R4は、イオン基または潜在的イオン基で置換されていないアルキレンまたはアルキレンオキシド基を表す)、および
2b)式
H2N-R5-NH2
による少なくとも1種の鎖延長剤
(式中、R5は、イオン基または潜在的イオン基で置換されているアルキレン基を表す)
3)ポリウレタンの水分散液
4)有機溶媒の除去(これによって水性ポリウレタン分散液を得ることが可能となる)
ポリウレタン分散液を水またはエタノールと混合する。
【0079】
より特定すると、メイクアップ化粧料において使用するのに適したポリウレタン分散液を生成するための方法は、下記のステップを含み得る。a)第1のステップにおいて、イオン基(ジヒドロキシル化合物)で任意選択で置換されている少なくとも1種のポリエステルポリオール化合物および低分子量ジオールと、ジイソシアネートを反応させ、プレポリマーA)を形成し、次いで、b)第2のステップにおいて、プレポリマーを有機溶媒に溶解し、c)第3のステップにおいて、イソシアネート含有プレポリマー溶液を、2つのクラスの鎖延長剤および任意選択で連鎖停止剤と反応させ、d)第4のステップにおいて、水を加えることによって分散液を形成し、e)第5のステップにおいて、有機溶媒を除去する。
【0080】
組み込まれている遊離スルホン酸基は、第3および第4のステップの間に中性化される。含まれる適切な中和剤は、第一級、第二級または第三級アミンである。これらの中で、トリアルキル置換第三級アミンが好ましい。これらのアミンの例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルステアリルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチル-モルホリン、N-エチルモルホリン、N-メチルピペラジン、N-メチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N,N-ジメチル-エタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノプロパノール、2-メトキシエチルジメチルアミン、N-ヒドロキシエチルピペラジン、2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノールおよび5-ジエチルアミノ-2-ペンタノンである。好ましい第三級アミンは、水素がプレポリマーのイソシアネート基と反応することがあり、これがゲル化、不溶性粒子の形成または連鎖停止をもたらすことがあることを考えれば、ツェレビチノフ試験によって決定して活性水素を含有しないものである。
【0081】
ポリウレタン分散液は、アセトン法として公知であるものによって生成することができる。アセトン法において、ポリウレタンの水性調製品(本発明による分散液はそれをベースとしている)の合成は、多段階方法で行われる。
【0082】
第1の段階において、イソシアネート基を含有するプレポリマーを、ポリエステルポリオール化合物、ジイソシアネートおよび低分子量ジオールから合成する。プレポリマーのイソシアネート含量が1.4から5.0重量%の間、好ましくは2.0から4.5重量%の間、特に好ましくは2.6から4.0重量%の間となるように、個々の成分の量を計算する。低分子量ジオールは、NCO当量の量に基づいて、0〜80当量%、好ましくは0〜10当量%の量で存在する。
【0083】
得られたプレポリマーは、構造
【0084】
【化8】

【0085】
を有し、
式中、
R1は、ポリエステルポリオール、特にポリエステルジオールを表し、
R2は、炭化水素基または脂肪族もしくは脂環式ポリイソシアネートを表し、
R3は、イオン基で任意選択で置換されている低分子量ジオールの基を表し、
nは、<5であり、
mは、>1である。
【0086】
好ましくは、nは、1〜3であり、mは、1〜5である。
【0087】
第2の段階において、段階1において生成されたプレポリマーを、イソシアネート反応性基を含有しない少なくとも部分的に水混和性の有機溶媒に溶解する。好ましい溶媒は、アセトンである。しかし、例えば、2-ブタノン、テトラヒドロフランもしくはジオキサン、またはこれらの溶媒の混合物などの他の溶媒も使用することができる。使用される溶媒の量は、25〜60重量%、好ましくは30〜50重量%、特に好ましくは35〜45重量%の固形分含量が得られるように、計算しなくてはならない。
【0088】
第3の段階において、イソシアネート含有プレポリマー溶液を、アミノ官能基鎖延長剤、および任意選択で連鎖停止剤の混合物と反応させ、高分子量ポリウレタンを形成する。得られたポリウレタンの計算した数平均分子量(Mn)が10000から100000ダルトンの間、好ましくは10000から50000ダルトンの間となるように、十分な量の鎖延長剤および連鎖停止剤を使用する。非イオン性鎖延長剤は、プレポリマー中に存在するNCO当量の残存量に基づいて、15〜90当量%、好ましくは35.0〜55当量%の量で存在する。イオン性鎖延長剤は、プレポリマー中に存在するNCO当量の残存量に基づいて、10〜50当量%、好ましくは25〜35当量%の量で存在する。連鎖停止剤は、プレポリマー中に存在するNCO当量の残存量に基づいて、0〜35当量%、好ましくは20〜30当量%の量で存在する。
【0089】
第4の段階において、高分子量ポリウレタンは、水を溶液に、または溶液を水に加えることによって、微粒子分散液の形態で分散させる。
【0090】
第5の段階において、有機溶媒を、任意選択で減圧下にて蒸留によって部分的または全体的に除去する。段階4における水の量は、本発明による水性ポリウレタン分散液が20〜60重量%、好ましくは28〜42重量%の固形分含量を示すように計算する。
【0091】
水相
本発明による組成物は、水および/または少なくとも1種の水溶性溶媒を含む水相を含み得る。この水相は、連続相である。
【0092】
「連続水相組成物」という表現は、25℃で測定して、組成物が、23μS/cm以上の(マイクロジーメンス/cm)の伝導率を有することを意味すると理解され、伝導率は、例えば、Mettler ToledoからのMPC227伝導率メーターおよびInlab730伝導率測定セルを使用して測定される。セルの2電極の間に形成されやすい気泡を除去するために、測定セルを組成物に浸す。伝導率メーターの値が安定化したらすぐに伝導率を読み取る。平均は、少なくとも3回の連続的な測定に亘って得る。
【0093】
「水溶性溶媒」という表現は、本発明において、周囲温度で液体であり、水混和性である化合物を表す(水中で25℃および大気圧にて50重量%超の混合性)。
【0094】
本発明による組成物において使用することができる水溶性溶媒はまた、揮発性でよい。
【0095】
本発明による組成物において使用し得る水溶性溶媒の中で、1〜5個の炭素原子を有する低級モノアルコール(エタノールおよびイソプロパノールなど)、2〜8個の炭素原子を有するグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールおよびジプロピレングリコールなど)、C3およびC4ケトンおよびC2〜C4アルデヒドについて特に言及することができる。
【0096】
水相(水、および任意選択で水混和性溶媒)は、組成物の総重量に対して1重量%〜95重量%の範囲、好ましくは5重量%〜80重量%の範囲、優先的に10重量%〜60重量%の範囲の含量で組成物中に存在し得る。
【0097】
本発明による水相はまた、上記で一覧表示したものなどの、少なくとも1種の親水性皮膜形成ポリマー、および/または少なくとも1種の親水性濃厚剤、および/または少なくとも1種の界面活性剤を含み得る。しかし、上記で示した水相含量には、上記の化合物の各々の含量が含まれない。
【0098】
可塑剤
本発明による組成物は、皮膜形成ポリマー、特に本発明において使用されるポリウレタンによる、皮膜の形成を促進する可塑剤を含み得る。可塑剤は特に、そのガラス転移温度(Tg)を低下させることによって、前記ポリウレタンをより可撓性にすることを目的としている。
【0099】
特に、可塑剤は有利には、親油性可塑剤から選択し得る。
【0100】
「親油性可塑剤」という表現は、本発明において、100cPs未満、好ましくは50cPs未満の粘度を好ましくは有し、25℃にて水中で10%未満、好ましくは5%未満の溶解度を有する、周囲温度(25℃)で液体である化合物を表す。
【0101】
可塑剤は特に、少なくとも1種のカルボン酸と、少なくとも1種の(ポリ)オール、グリコールエーテル、N-エチル-o,p-トルエンスルホンアミド、カーボネート、ケトン、およびこれらの混合物との反応に由来する(ポリ)エステルから選択される。
【0102】
「(ポリ)オール」と言う用語は、ポリオールまたはモノアルコール化合物を意味すると理解される。
【0103】
「ポリオール」と言う用語は、少なくとも2個のヒドロキシル基、特に2から6個の間のヒドロキシル基を含む有機化合物を意味すると理解され、前記ヒドロキシル基は、i)N、S、Oから選択される1〜6個のヘテロ原子で任意選択で中断されているC1〜C6アルキル基、ii)C5〜C20アリール基、iii)N、S、Oから選択される1〜3個のヘテロ原子を伴う5から20個の間の鎖メンバーを含むヘテロアリール基、iv)ヘテロシクロアルキル基、およびv)シクロアルキル基によって担持されている。特に、ポリ(オール)として、エチレングリコールまたはグリセロールについて例えば言及することができる。
【0104】
「モノアルコール」と言う用語は、単一のヒドロキシル基を含む有機化合物を意味すると理解され、前記ヒドロキシル基は、i)N、S、Oから選択される1〜6個のヘテロ原子で任意選択で中断されているC1〜C6アルキル基、ii)C5〜C20アリール基、iii)N、S、Oから選択される1〜3個のヘテロ原子を伴う5から20個の間の鎖メンバーを含むヘテロアリール基、iv)ヘテロシクロアルキル基、およびv)シクロアルキル基によって担持されている。
【0105】
したがって、可塑剤は、より特定すると、下記から選択し得る。
a)1種もしくは複数のカルボン酸またはオルトリン酸と、1個もしくは複数の(ポリ)オール(ジオールなど)との反応、特に単縮合または重縮合に由来するエステル。このようなエステルは、(モノ/ポリ)エステル、好ましくはジエステルなどのポリエステルでよい。
【0106】
このようなエステルは一般に、式R11(COOH)nの1種または複数の(モノ/ポリ)カルボン酸と、式R12(OH)mの1種または複数の(ポリ)オールとの反応に由来することがあり、式中、
-同一または異なるR11およびR12は、3〜15個の炭素原子を好ましくは含み、N、O、Sなどの1個または複数のヘテロ原子(0〜6個のヘテロ原子など)を任意選択で含む、飽和または不飽和の、任意選択で非芳香族、直鎖状、分岐状または環状のC3〜C15シクロアルキル炭化水素をベースとする鎖を表し、
-nは、1〜6の範囲であり、
-mは、1〜6の範囲である。
【0107】
好ましくは、R11は、エチル、プロピル、ブチル、イソブチルなどのC2〜C5アルキル基であり、R12は、5〜10個の炭素原子を含む分岐または飽和直鎖状炭化水素をベースとする鎖である。
【0108】
エステルの例として、下記について特に言及することができる。
-R(COOH)(式中、Rは、分岐C3〜C10アルキル鎖を表す)(イソブチルまたはtert-ブチルなど)と、HOC(R)(R')-C(OH)-CH(R'')-R'''(式中、Rは、水素原子またはメチルなどの直鎖状もしくは分岐状アルキル鎖を表し、およびR'、R''およびR'''は、メチルなどの直鎖状もしくは分岐状アルキル鎖を表す)との反応に由来するエステル。tert-ブチル酸および2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールの単縮合、または二縮合に由来するエステルについて特に言及することができる。特に、イソブチル酸とオクタンジオール(2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールなど)との反応から得られるモノエステル(Eastman Chemicalによって販売されているTEXANOLエステルアルコールなど)について言及することができる、
-1種または複数の(ポリ)オールと、1種または複数の式(R-Z)n-P=O(O-R')mのオルトリン酸(R、R'は、直鎖状または分岐状のC1〜C20アルキル基を表し、nは、1、2または3と等しく、mは、0、1または2と等しく、m+nは、3と等しく、Zは、酸素などのヘテロ原子またはシグマ結合である)との間の縮合に由来するリン酸エステル。このようなエステルの例示として、リン酸トリクレシル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニルおよびリン酸トリブトキシエチルについてとりわけ言及することができる、
-1種または複数の(ポリ)オールと、1種または複数の式R(COOH)nの脂肪酸(Rは、C3〜C22飽和直鎖状アルキル鎖であり、nは、1または2と等しい)との間の(モノ/ポリ)縮合に由来する脂肪酸エステル。このようなエステルの例示として、アジピン酸エステル(アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルなど)、またはステアリン酸エステル(ステアリン酸エチルなど)、またはその他にパルミチン酸エステル(パルミチン酸2-エチルヘキシルなど)、
-クエン酸エステルまたはシトレート(クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチルアセチル、クエン酸トリブチルアセチル、2-トリエチルヘキシルアセチルシトレートなど)についてとりわけ言及することができる、
-フタル酸エステルまたはフタレート(フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジメトキシエチル、フタル酸ブチルおよび2-エチルヘキシルフタレートなど)、
-酒石酸エステルまたはタルトレート、特に、酒石酸ジブチル、
-セバシン酸エステルまたはセバケート(セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジブチルなど)、
-プロピレングリコールジアセテートおよびグリセロールトリアセテート、
-安息香酸ベンジル、
-リシノール酸ブチルアセチル、リシノール酸グリセリルアセチル、ならびに
-ブチルグリコレート。
b)グリコールエーテル
グリコールエーテルの例として、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールヘキシルエーテル、またはその他に、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテルおよびプロピレングリコールブチルエーテルについて言及することができる、
c)可塑剤として、N-エチル-o,p-トルエンスルホンアミド、特にエチルトシルアミド(参照名RESIMPOL8でPan-Americanaによって販売されている)をまた使用することができる。
d)カーボネート、
e)ケトン、特に、カンファー、
ならびにこれらの混合物。
【0109】
可塑剤は、組成物の総重量に対して1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%、より良好には3〜8重量%の範囲の量で存在し得る。一般に、この可塑剤は、組成物の総重量に対して2重量%以上、より良好には厳密に2重量%超で存在し得る。
【0110】
界面活性剤
本発明による組成物は、特に組成物の総重量に対して0.1重量%〜20重量%、またはそれどころか0.5重量%〜15重量%の範囲の、好ましくは1重量%〜10重量%の範囲の含量で存在する、1種または複数の界面活性剤を含む乳化系を含有し得る。
【0111】
水中油型エマルジョンを得るために適切に選択された乳化界面活性剤が一般に使用される。特に、Griffinの意味において25℃で8以上のHLBバランス(親水性-親油性バランス)を有する乳化界面活性剤を使用し得る。
【0112】
GriffinによるHLB値は、J. Soc. Cosm. Chem.、1954 (第5巻)、249〜256頁に記載されている。これらの界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性界面活性剤、およびこれらの混合物から選択することができる。界面活性剤の特性および乳化機能の定義については、文献「Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer」、第22巻、333〜432頁、第3版、1979、Wileyを、アニオン性、両性および非イオン性界面活性剤については、特にこの参考文献の347〜377頁を参照されたい。
【0113】
本発明による組成物において好ましくは使用される界面活性剤は、下記から選択される。
a)単独でまたは混合物として使用される25℃で8以上のHLBを有する非イオン性界面活性剤。下記について特に言及することができる。
-1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン単位を含み得るオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化グリセロールエーテル、
-オキシアルキレン化、特にオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化アルコール。1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン単位、好ましくは20〜100個のオキシエチレン単位、特に脂肪アルコール、特にエトキシ化C8〜C24、好ましくはC12〜C16脂肪アルコールを含むことがある。20個のオキシエチレン単位を含むエトキシ化ステアリルアルコール(CTFA名「ステアレス-20」)、(Uniqemaによって販売されているBRIJ78など)、30個のオキシエチレン単位を含むエトキシ化セテアリルアルコール(CTFA名「セテアレス-30」)、および7個のオキシエチレン単位を含むC12〜C15脂肪アルコールの混合物(CTFA名「C1215パレス-7」)(名称NEODOL25-7(登録商標)でShell Chemicalsによって販売されているものなど)など、
-脂肪酸、特にC8〜C24、好ましくはC16〜C22脂肪酸と、ポリエチレングリコール(またはPEG)(これは1〜150個のオキシエチレン単位を含み得る)とのエステル(ステアリン酸PEG-50およびモノステアリン酸PEG-40(名称MYRJ52P(登録商標)でUniqemaによって販売されている)など)、
-脂肪酸、特にC8〜C24、好ましくはC16〜C22脂肪酸と、オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化グリセロールエーテル(これは1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン単位を含み得る)とのエステル、200個のオキシエチレン単位を含むポリオキシエチレン化モノステアリン酸グリセリル(名称Simulsol220TM(登録商標)でSEPPICによって販売されている)、30個のオキシエチレン単位を含むポリオキシエチレン化ステアリン酸グリセリル(Goldschmidtによって販売されている製品TAGAT S(登録商標)など)、30個のオキシエチレン単位を含むポリオキシエチレン化オレイン酸グリセリル(Goldschmidtによって販売されている製品TAGAT O(登録商標)など)、30個のオキシエチレン単位を含むポリオキシエチレン化ヤシ油脂肪酸グリセリル(Sherexによって販売されている製品VARIONIC LI13(登録商標)など)、30個のオキシエチレン単位を含むポリオキシエチレン化イソステアリン酸グリセリル(Goldschmidtによって販売されている製品TAGAT L(登録商標)など)、ならびに30個のオキシエチレン単位を含むポリオキシエチレン化ラウリン酸グリセリル(Goldschmidtからの製品TAGAT I(登録商標)など)など、
-脂肪酸、特にC8〜C24、好ましくはC16〜C22脂肪酸と、オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化ソルビトールエーテル(これは1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン単位を含み得る)とのエステル(名称TWEEN60(登録商標)でUniqemaによって販売されているポリソルベート60など)、
-ジメチコンコポリオール(名称Q2-5220(登録商標)でDow Corningによって販売されているものなど)、
-ジメチコンコポリオールベンゾエート(名称FINSOLV SLB101(登録商標)および201(登録商標)でFintexによって販売されているものなど)、
-酸化プロピレンとエチレンオキシドとのコポリマー、EO/PO重縮合物としても知られている、
-ならびにこれらの混合物。
【0114】
EO/PO重縮合物は、より特定すると、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールブロック、例えば、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合物からなるコポリマーである。これらのトリブロック重縮合物は、例えば、下記の化学構造を有し、
H-(O-CH2-CH2)a-(O-CH(CH3)-CH2)b-(O-CH2-CH2)a-OH
式中、aは、2〜120の範囲であり、bは、1〜100の範囲である。
【0115】
EO/PO重縮合物は好ましくは、1000〜15000の範囲、より良好には2000〜13000の範囲の重量平均分子量を有する。有利なことには、前記EO/PO重縮合物は、蒸留水中10g/lで、20℃以上、好ましくは60℃以上の曇点を有する。曇点は、ISO1065標準によって測定する。本発明によって使用することができるEO/PO重縮合物として、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合物(SYNPERONIC PE/L44(登録商標)およびSYNPERONIC PE/F127(登録商標)など、SYNPERONIC(登録商標)名でICIによって販売されている)について言及することができる。
【0116】
b)上記のような25℃で8超のHLBを有する1種または複数の非イオン性界面活性剤と任意選択で組み合わせた、25℃で8未満のHLBを有する非イオン性界面活性剤
-糖類のエステルおよびエーテル(ステアリン酸スクロース、ヤシ脂肪酸スクロース、ステアリン酸ソルビタン、およびこれらの混合物など)(例えば、ICIによって販売されているARLATONE2121(登録商標)、またはUniqemaからのSPAN65V)、
-脂肪酸、特にC8〜C24、好ましくはC16〜C22脂肪酸と、ポリオール、特にグリセロールまたはソルビトールとのエステル(ステアリン酸グリセリル(例えば、名称TEGIN M(登録商標)でGoldschmidtによって販売されている)、ラウリン酸グリセリル(名称IMWITOR312(登録商標)でHulsによって販売されている製品など)、ステアリン酸ポリグリセリル-2、トリステアリン酸ソルビタンおよびリシノール酸グリセリルなど)、
-1〜15個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン単位、特にエトキシ化C8〜C24、好ましくはC12〜C18脂肪アルコールを含み得るオキシアルキレン化、特にオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化アルコール(Uniqemaによって販売されているBRIJ72などの、2個のオキシエチレン単位を含むエトキシ化ステアリルアルコール(CTFA名「ステアレス-2」)など)、
-シクロメチコン/ジメチコンコポリオール混合物(名称Q2-3225C(登録商標)でDow Corningによって販売されている)
など。
【0117】
c)アニオン性界面活性剤
-C16〜C30脂肪酸の塩、特にアミノ塩(トリエタノールアミンステアホスフェートまたは2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールステアホスフェートなど)、
-ポリオキシエチレン化脂肪酸の塩、特にアミノ塩またはアルカリ金属塩、およびこれらの混合物。
-リン酸エステルおよびその塩(「オレス-10リン酸DEA」(CrodaからのCRODAFOS N 10N)またはモノカリウムモノセチルホスフェート(GivaudanからのAMPHISOL KまたはUniqemaからのARLATONE MAP160K)など)、
-スルホスクシネート(「二ナトリウムPEG-5シトレートラウリルスルホスクシネート」および「二ナトリウムリシノレアミドMEAスルホスクシネート」など、
-アルキルエーテルスルフェート(ナトリウムラウリルエーテルスルフェートなど、
-イセチオネート、
-アシルグルタメート(「二ナトリウム水素化獣脂グルタメート」(味の素によって販売されているAMISOFT HS-21R(登録商標))など)、
ならびにこれらの混合物
など。
【0118】
カチオン性界面活性剤の例示として、下記について特に言及することができる。
-アルキルイミダゾリジニウム(イソステアリルエチルイミドニウムエトスルフェートなど)、
-アンモニウム塩((C12〜30アルキル)トリ(C1〜4アルキル)ハロゲン化アンモニウム、例えば、N,N,N-トリメチル-1-ドコサンアミニウムクロリド(またはベヘントリモニウムクロリド)など)。
【0119】
本発明による組成物はまた、1種または複数の両性界面活性剤、例えば、N-アシルアミノ酸(N-アルキルアミノアセテートなど)、およびココアンホ二酢酸二ナトリウム、およびアミンオキシド(ステアラミンオキシドなど)、またはその他にシリコーン界面活性剤、例えば、ジメチコンコポリオールホスフェート(名称PECOSIL PS1000でPhoenix Chemicalによって販売されているものなど)を含有し得る。
【0120】
本発明の特定の一実施形態によれば、乳化系は、
i)式(R-O)n-P=O(O-M)mのアルカリ金属アルキルホスフェートまたはホスフィンオキシド(Rは、セチルなどの直鎖状または分岐状のC8〜C22アルキル基を表し、nは、1、2または3と等しく、mは、0、1または2と等しく、m+nは、3と等しく、Mは、水素原子またはアルカリもしくはアルカリ土類金属を表し、好ましくはn=1およびm=2であり、Mは、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属である)、
ii)ステアレス-20、ステアレス-2などの、式R'-(OCH2CH2)p-OHのポリエトキシ化アルコール(R'は、直鎖状または分岐状のC1〜C30、好ましくはC8〜C24、またはより良好にはC12〜C18アルキルを表し、特にCH3-(CH2)17-を表し、pは、2から30の間、好ましくは2から20の間の整数を表す)、
iii)式R-CONH-C(COO-M)-C2H4-COO-M'のグルタミン酸塩(Rは、ステアリルなどの直鎖状または分岐状のC8〜C22アルキル基を表し、M'は、アルカリまたはアルカリ土類金属を表す)、ならびに
iv)グルコースと、直鎖状または分岐状のC8〜C22脂肪アルコール(セチルステアリルとして知られているセチルおよびステアリルの混合物など)との縮合によって得られるアルキルグルコシド
から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含み得る。
【0121】
特に、乳化系は、セチルリン酸カリウム、ステアレス-2、ステアレス-20、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含み得る。変形形態としてまたはさらに、この乳化系は、ステアロイルグルタミン酸ナトリウムおよびセチルステアリルグルコシド、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含み得る。
【0122】
本発明によれば、または有利な一実施形態によれば、問題になっている本発明の目的によると、メイクアップ組成物は、組成物の総重量に対して1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満またはそれどころか0.1重量%未満のトリエタノールアミンを含み、あるいはトリエタノールアミンを含まない。
【0123】
親水性皮膜形成ポリマー
メイクアップ組成物は、本発明の特定のポリウレタンに加えて、少なくとも1種のさらなる皮膜形成ポリマーを含み得る。このさらなる皮膜形成ポリマーは、親油性または親水性でよい。
【0124】
「皮膜形成ポリマー」という表現は、それ自体で、または皮膜を形成することができる助剤の存在下で、肉眼的に連続しているまつ毛に接着する皮膜を形成することができるポリマーを意味すると理解され、好ましくは粘着性皮膜であり、より良好には、その粘着性および機械的性質が、例えば前記皮膜を、非粘着表面、例えば、Teflonコーティングまたはシリコーンコーティングされた表面上にキャスティングによって作ったときに、前記皮膜を、別々に単離および操作することができるような皮膜である。
【0125】
一般に、組成物中のさらなる皮膜形成ポリマーの固形分含量は、組成物の総重量に対して、0.1重量%〜40重量%、好ましくは0.5重量%〜30重量%、より良好には1重量%〜10重量%の範囲でよい。
【0126】
本発明の組成物において使用し得る皮膜形成ポリマーの中で、遊離基タイプもしくは重縮合物タイプの合成ポリマー、および天然由来のポリマー、およびこれらの混合物について言及することができる。
【0127】
親水性皮膜形成ポリマーは、水溶性ポリマーでよく、または水性媒体中の分散液でよい。
【0128】
水溶性皮膜形成ポリマーの例として、
-タンパク質(コムギまたは大豆タンパク質などの植物由来のタンパク質、ケラチン、例えば、ケラチン水解物およびスルホンケラチンなどの動物由来のタンパク質)、
-セルロースポリマー(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびまた四級化セルロース誘導体など)、
-アクリルポリマーまたはコポリマー(ポリアクリレートまたはポリメタクリレートなど)、
-ビニルポリマー(ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテルとリンゴ酸無水物とのコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー、ビニルピロリドンとカプロラクタムとのコポリマー、またはポリビニルアルコールなど)、
-アニオン性、カチオン性、両性もしくは非イオン性のキチンまたはキトサンポリマー、
-アラビアゴム、グアーガム、キサンタン誘導体またはカラヤガム、
-アルギネートおよびカラギーナン、
-グリコアミノグリカン、ヒアルロン酸およびその誘導体、
-セラック樹脂、サンダラックガム、ダンマル樹脂、エレミガムおよびコーパル樹脂、
-デオキシリボ核酸、
-ムコ多糖(コンドロイチンスルフェートなど)、
-ならびにこれらの混合物
について言及することができる。
【0129】
皮膜形成ポリマーはまた、水相中に分散している粒子の形態で組成物中に存在することがあり、一般にラテックスまたは疑似ラテックスの名称で公知である。これらの分散液を調製するための技術は、当業者には周知である。
【0130】
皮膜形成ポリマーの水性分散液として、アクリル分散液(名称NEOCRYL XK-90(登録商標)、NEOCRYL A-10700、NEOCRYL A-1090(登録商標)、NEOCRYL BT-62(登録商標)、NEOCRYL A-1079(登録商標)およびNEOCRYL A-523(登録商標)でAvecia-Neoresinsによって、DOW LATEX432(登録商標)でDow Chemicalによって、DAITOSOL5000AD(登録商標)またはDAITOSOL5000SJ(登録商標)でDaito Kasey Kogyoによって、SYNTRAN5760(登録商標)でInterpolymerによって、Allianz Opt(登録商標)でRohm and Haasによって販売されている)、またはその他にポリウレタンの水性分散液(名称NEOREZ R-981(登録商標)およびNEOREZ R-974(登録商標)でAvecia-Neoresinsによって、AVALURE UR-405(登録商標)、AVALURE UR-410(登録商標)、Avalure UR-425(登録商標)、AVALURE UR-450(登録商標)、SANCURE875(登録商標)、AVALURE UR-445(登録商標)およびSANCURE2060(登録商標)でNoveonによって、IMPRANIL85(登録商標)でBayerによって、またはAQUAMERE H-1511(登録商標)でHydromerによって販売されている)、スルホポリエステル(商品名EASTMAN AQ(登録商標)でEastman Chemical Productsによって販売されている)、ビニル分散液(MEXOMER PAM(登録商標)など)、ポリ酢酸ビニルの水性分散液(日進化学からの「VINYBRAN(登録商標)」またはUnion Carbideによって販売されているものなど)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルプロピルメタクリルアミドアンモニウムクロリドターポリマーの水性分散液(ISPからのStyleze Wなど)、ポリウレタン/ポリアクリルハイブリッドポリマーの水性分散液(参照名「HYBRIDUR(登録商標)でAir Productsによって、または「DUROMER(登録商標)」でNational Starchによって販売されているものなど」、コア/シェルタイプの分散液(例えば、AtofinaによってKYNAR参照名で販売されているもの(コア:フッ素化-シェル:アクリル)またはその他に文献US5188899に記載されているもの(コア:シリカ-シェル:シリコーン))、ならびにこれらの混合物を使用することができる。
【0131】
特定の一実施形態によれば、本発明の組成物は、親水性皮膜形成ポリマーとして、少なくともカチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーの組合せを含み得る。
【0132】
カチオン性ポリマーは、第四級セルロースエーテル誘導体、水溶性第四級アンモニウムモノマーを有するセルロースのコポリマー、環状ポリマー、カチオン性多糖類、カチオン性シリコーンポリマー、ビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレートまたはメタクリレートの四級化または非四級化コポリマー、ビニルピロリドンおよびビニルイミダゾールの第四級ポリマー、ポリアミノアミン、ならびにこれらの混合物から選択し得る。
【0133】
好ましくは、カチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム基を含むヒドロキシ(C1〜C4)アルキルセルロースである。
【0134】
アニオン性ポリマーは、有利には
A)アクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーあるいはその塩、アクリル酸およびアクリルアミドのコポリマーあるいはその塩、およびポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩(名称RETEN(登録商標)でHerculesによってそれらのナトリウム塩の形態で販売されているアクリル酸およびアクリルアミドのコポリマー、名称DARVAN No.7(登録商標)でVanderbiltによって販売されているナトリウムポリメタクリレート、および名称HYDAGEN F(登録商標)でHenkelによって販売されているポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩など)、
B)モノエチレン性モノマー(エチレン、スチレン、ビニルエステル、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルなど)を有するアクリル酸またはメタクリル酸のコポリマー。ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール上に任意選択でグラフト化されている。このタイプのコポリマーは、それらの鎖中に、任意選択でN-アルキル化および/またはヒドロキシアルキル化されたアクリルアミド単位を含む。アクリル酸およびC1〜C4アルキルメタクリレートのコポリマー、およびビニルピロリドン、アクリル酸およびC1〜C20アルキルメタクリレートのターポリマー、
C)クロトン酸由来のコポリマー。それらの鎖中に酢酸ビニルまたはプロピオン酸ビニル単位および任意選択で他のモノマーを含むものなど。炭化水素をベースとする長鎖(少なくとも5個の炭素原子を含むものなど)を有する直鎖状または分岐状の飽和カルボン酸のアリルエステルまたはメタリルエステル、ビニルエーテルまたはビニルエステルなど。これらのポリマーはグラフト化されている可能性がある、
D)ビニルエステル、ビニルエーテル、ハロゲン化ビニル、フェニルビニル誘導体またはアクリル酸およびそのエステルを有するマレイン酸、フマル酸またはイタコン酸または無水物由来のポリマー。アクリルアミドまたはメタクリルアミド基、α-オレフィン、アクリル酸またはメタクリル酸エステル、アクリル酸またはメタクリル酸またはビニルピロリドンをそれらの鎖中に任意選択で含む、マレイン酸、シトラコン酸またはイタコン酸無水物およびアリルエステルまたはメタリルエステルのコポリマー。無水物官能基は、モノエステル化またはモノアミド化されている、
E)カルボン酸基を含むポリアクリルアミド、
F)デオキシリボ核酸、
G)少なくとも1種のジカルボン酸、少なくとも1種のジオール、および-SO3M基(Mは、水素原子、アンモニウムイオンNH4+または金属イオンを表す)を担持する少なくとも1種の二官能性芳香族モノマーのコポリマー、
-ならびにこれらの混合物
から選択される。
【0135】
最も特に好ましいアニオン性ポリマーは、非架橋のアニオン性ポリマー、例えばモノエステル化メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー(名称GANTREZ ES425でISPによって販売されている)、アクリル酸/アクリル酸エチル/N-tertブチルアクリルアミドターポリマー(名称ULTRAHOLD STRONGでBASFによって販売されている)、メタクリル酸とメタクリル酸メチルとのコポリマー(名称EUDRAGIT LでRohm Pharmaによって販売されている)、酢酸ビニル/ビニルtert-ブチルベンゾエート/クロトン酸ターポリマーおよびクロトン酸/酢酸ビニル/ネオドデカン酸ビニルターポリマー(名称RESIN28-29-30でNational Starchによって販売されている)、メタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマー(名称LUVIMER MAEXまたはMAEでBASFによって販売されている)、ビニルピロリドン/アクリル酸/メタクリル酸ラウリルターポリマー(名称ACRYLIDONE LMでISPによって販売されている)、ならびにアクリル酸またはメタクリル酸ホモポリマー(例えば、名称VERSICOL E5で販売されている)、またはナトリウムポリメタクリレート(名称DARVAN7でVanderbiltによって販売されている)、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0136】
アニオン性ポリマーは好ましくは、ナトリウムポリメタクリレートである。
【0137】
親水性濃厚剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の親水性濃厚剤を含み得る。
【0138】
これらの濃厚剤は、単独でまたは組み合わせて使用し得る。これらの濃厚剤は特に、セルロースポリマーおよびガムから選択し得る。
【0139】
「親水性濃厚剤」という表現は、水中で可溶性または分散性である濃厚剤を意味すると理解される。
【0140】
特に言及することができる親水性濃厚剤には、水溶性または水分散性濃厚化ポリマーが含まれる。これらは、
-修飾または非修飾カルボキシビニルポリマー(名称CARBOPOL(CTFA名:カルボマー)でGoodrichによって販売されている製品など)、
-アクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、あるいはその塩およびそのエステル(特に、名称VERSICOL F(登録商標)またはVERSICOL K(登録商標)でAllied Colloidによって、ULTRAHOLD8(登録商標)でチバガイギーによって販売されている製品)、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート(名称LUBRAJELおよびNORGELでGuardianによって、または名称HISPAJELでHispano Chimicaによって販売されている製品など)、およびSYNTHALEN Kタイプのポリアクリル酸、
-ポリアクリルアミド、
-アクリル酸とアクリルアミドとのコポリマー(名称RETEN(登録商標)でHerculesによってそのナトリウム塩の形態で販売されている)、ナトリウムポリメタクリレート(名称DARVAN7(登録商標)でVanderbiltによって販売されている)、およびポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩(名称HYDAGEN F(登録商標)でHenkelによって販売されている)、
-任意選択で架橋および/または中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマーおよびコポリマー、例えば、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)(Clariantによって名称HOSTACERIN AMPSで販売されている)(CTFA名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウルアミド)、
-W/Oエマルジョンの形態である、アクリルアミドとAMPSとの架橋アニオン性コポリマー(名称SEPIGEL305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13〜14イソパラフィン/ラウレス-7)および名称SIMULGEL600(CTFA名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)でSEPPICによって販売されているものなど)、
-PEMULENタイプのポリアクリル酸/アルキルアクリレートコポリマー、
-会合性ポリマー、例えば、PEG-150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマー(名称ACULYN46でRohm & Haasによって販売されている)、またはステアレス-100/PEG-136/HDIコポリマー(名称RHEOLATE FX1100でElementisによって販売されている)、
-ならびにこれらの混合物から特に選択し得る。
【0141】
親水性濃厚剤は、会合性ポリマーから選択し得る。本発明の目的のために、「会合性ポリマー」という表現は、その構造中に少なくとも1個の脂肪鎖および少なくとも1種の親水性部分を含む任意の両親媒性ポリマーを意味すると理解される。本発明による会合性ポリマーは、アニオン性、カチオン性、非イオン性または両性でよい。
【0142】
言及することができる会合性アニオン性ポリマーの中で、少なくとも1個の親水性単位および少なくとも1個の脂肪鎖アリルエーテル単位を含むもの、より特定すると、親水性単位がエチレン不飽和アニオン性モノマー、より特定すると、ビニルカルボン酸、最も特にアクリル酸、メタクリル酸またはその混合物で構成されているものがあり、この中で脂肪鎖アリルエーテル単位は、下記の式(I)のモノマーに相当し、
CH2=C(R')CH2OBnR(I)
式中、R'は、HまたはCH3を意味し、Bは、エチレンオキシ基を意味し、nは0であり、または1〜100の範囲の整数を表し、Rは、8〜30個の炭素原子、好ましくは10〜24個、よりまた特定すると12〜18個の炭素原子を含有するアルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリールおよびシクロアルキル基から選択される炭化水素をベースとする基を意味する。
【0143】
このタイプのアニオン性両親媒性ポリマーは、特許EP-0216479において記述され、乳化重合方法によって調製される。
【0144】
また言及することができる会合性アニオン性ポリマーには、オレフィン不飽和カルボン酸タイプの少なくとも1個の親水性単位、および不飽和カルボン酸タイプの(C10〜C30)アルキルエステルのみの少なくとも1種の疎水性単位を含むアニオン性ポリマーが含まれる。言及することができる例には、特許US-3915921およびUS-4509949によって記載および調製されるアニオン性ポリマーが含まれる。
【0145】
言及することができるカチオン性会合性ポリマーには、アミン側基を含有する四級化セルロース誘導体およびポリアクリレートが含まれる。
【0146】
非イオン性会合性ポリマーは、
-少なくとも1個の脂肪鎖を含む基で修飾されたセルロース、例えば、少なくとも1個の脂肪鎖(アルキル基、特に、C8〜C22アルキル基、アリールアルキルおよびアルキルアリール基など)を含む基で修飾されたヒドロキシエチルセルロース(Aqualonによって販売されているNATROSOL PLUS GRADE330CS(C16アルキル)など)、
-ポリアルキレングリコールアルキルフェニルエーテル基で修飾されたセルロース、
-グアー(アルキル鎖などの少なくとも1個の脂肪鎖を含む基で修飾されたヒドロキシプロピルグアーなど)、
-ビニルピロリドンおよび脂肪鎖疎水性モノマーのコポリマー、
-C1〜C6アルキルメタクリレートまたはアクリレートと、少なくとも1個の脂肪鎖を含む両親媒性モノマーとのコポリマー、
-親水性メタクリレートまたはアクリレートと、少なくとも1個の脂肪鎖を含む疎水性モノマーとのコポリマー、例えば、ポリエチレングリコールメタクリレート/メタクリル酸ラウリルコポリマー、ならびに
-会合性ポリウレタン
から選択し得る。
【0147】
会合性ポリウレタンは、通常ポリオキシエチレン性の親水性ブロック、ならびに脂肪族配列単独および/または脂環式配列および/または芳香族配列のことがある疎水性ブロックの両方を鎖中に含む非イオン性ブロックコポリマーである。
【0148】
特に、これらのポリマーは、少なくとも2個の、親水性ブロックによって分離しているC6〜C30個の炭素原子を含有する炭化水素をベースとする親油性鎖を含み、炭化水素をベースとする鎖は、場合によりペンダント鎖または親水性ブロックの末端の鎖である。特に、1個または複数のペンダント鎖を提供することが可能である。さらに、ポリマーは、親水性ブロックの一端または両端に炭化水素をベースとする鎖を含み得る。会合性ポリウレタンは、トリブロックまたはマルチブロック形態で配置し得る。したがって、疎水性ブロックは、鎖の各端部にあるか(例えば、親水性中央ブロックを有するトリブロックコポリマー)、または鎖の端部および鎖中の両方に分布している(例えば、マルチブロックコポリマー)ことがある。これらのポリマーはまた、グラフトポリマーまたは星形ポリマーでもよい。好ましくは、会合性ポリウレタンは、親水性ブロックが50〜1000個のオキシエチレン基を含有するポリオキシエチレン鎖であるトリブロックコポリマーである。一般に、会合性ポリウレタンは、親水性ブロックの間にウレタン結合を含む(そのためにこの名前である)。
【0149】
例示として、本発明において使用し得る会合性ポリマーの中で、Servo DeldenからのポリマーC16-OE120-C16(名称SER AD FX1100、ウレタン官能基を含有し、および1300の重量平均分子量を有する分子)(OEはオキシエチレン単位である)について言及することができる。また使用し得る会合性ポリマーは、Rheoxによって販売されている尿素官能基を含有するRHEOLATE205、またはRHEOLATE208または204、あるいは代わりにElementisからのRHEOLATE FX1100である。これらの会合性ポリウレタンは、純粋な形態で販売されている。水中の20%固形分含量で販売されている、ウレタン結合と共にC20アルキル鎖を含有するRohm & Haasからの製品DW1206Bもまた使用し得る。
【0150】
特に水または水性-アルコール性媒体中のこれらのポリマーの溶液または分散液を使用することもまた可能である。言及することができるこのようなポリマーの例には、Servo DeldenからのSER AD FX1010、SER AD FX1035およびSER AD1070、ならびにRheoxによって販売されているRHEOLATE255、RHEOLATE278およびRHEOLATE244が含まれる。Rohm & Haasからの製品ACULYN46、DW1206FおよびDW1206J、ならびにまたACRYSOL RM184またはACRYSOL44、あるいは代わりにBorchersからのBORCHIGEL LW44、ならびにこれらの混合物を使用することもまた可能である。
【0151】
有利な一実施形態によれば、本発明の組成物において使用する親水性濃厚化ポリマーは、α,β-エチレン性不飽和基を有するカルボン酸またはそれらのエステルから選択される少なくとも1種のモノマー(a)と、エチレン性不飽和基を有し、かつ疎水基を含む少なくとも1種のモノマー(b)との重合から得られるコポリマーから選択される。
【0152】
このポリマーはまた、乳化特性を示し得る。
【0153】
濃厚化ポリマーは好ましくは、アニオン性である。
【0154】
「コポリマー」と言う用語は、2つのタイプのモノマーから得たコポリマー、および2つを超えるタイプのモノマーから得たもの(3つのタイプのモノマーから得たターポリマーなど)の両方を意味すると理解される。
【0155】
それらの化学構造はより特定すると、少なくとも1個の親水性単位および少なくとも1種の疎水性単位を含む。「疎水基」または「疎水性単位」という表現は、少なくとも8個の炭素原子、好ましくは10〜30個の炭素原子、特に12〜30個の炭素原子、さらに好ましくは18〜30個の炭素原子を含む、飽和または不飽和の直鎖状または分岐状の炭化水素をベースとする鎖を有する基を意味すると理解される。
【0156】
好ましくは、濃厚化コポリマーは、
-下記の式(1)の少なくとも1種のモノマー
【0157】
【化9】

【0158】
(式中、R1は、HまたはCH3またはC2H5を表し、すなわち、アクリル酸、メタクリル酸またはエタクリル酸モノマーである)と、
-下記の式(2)のモノマーに相当する不飽和カルボン酸タイプの(C10〜C30)アルキルエステルの少なくとも1種のモノマー
【0159】
【化10】

【0160】
(式中、R2は、HまたはCH3またはC2H5(すなわち、アクリレート、メタクリレートまたはエタクリレート単位)、好ましくはH(アクリレート単位)またはCH3(メタクリレート単位)を表し、R3は、C10〜C30、好ましくはC12〜C22アルキル基を表す)と
の重合から得られるコポリマーから選択される。
【0161】
不飽和カルボン酸の(C10〜C30)アルキルエステルは好ましくは、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ドデシル、ならびに相当するメタクリレート(メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシルおよびメタクリル酸ドデシルなど)、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0162】
好ましい一実施形態によれば、これらの濃厚化ポリマーは架橋している。
【0163】
より特定すると、
(i)本質的にアクリル酸と、
(ii)上記の式(2)のエステル(式中、R2は、HまたはCH3を表し、R3は、12〜22個の炭素原子を有するアルキル基を表す)と、
(iii)周知の共重合性ポリエチレン不飽和モノマーである架橋剤(フタル酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレートおよびメチレンビスアクリルアミドなど)と
を含む、このタイプの濃厚化コポリマーの中で、モノマーの混合物の重合から得られるポリマーを使用することができる。
【0164】
より特定すると、このタイプのコポリマーの中で、上述したものなどの、95〜60重量%のアクリル酸(親水性単位)、4〜40重量%のC10〜C30アルキルアクリレート(疎水性単位)および0〜6重量%の架橋重合性モノマーで構成されるもの、またはその他に、98〜96重量%のアクリル酸(親水性単位)、1〜4重量%のC10〜C30アルキルアクリレート(疎水性単位)および0.1〜0.6重量%の架橋重合性モノマーで構成されるものを使用することができる。
【0165】
本発明によれば、上記の前記ポリマーの中で、アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートコポリマー(INCI名:アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー)(Lubrizolによって商品名PEMULEN TR1、PEMULEN TR2、CARBOPOL1382およびCARBOPOL EDT2020で販売されている製品など)、さらにより好ましくはPEMULEN TR-2が非常に特に好ましい。
【0166】
親水性濃厚化ポリマーは、活性材料として、組成物の総重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、より良好には0.05〜3重量%、さらにより良好には0.05〜1重量%を表し得る。
【0167】
脂肪相
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の油および/または少なくとも1種のワックス、および/または少なくとも1種の親油性皮膜形成ポリマーおよび/または脂肪相レオロジー制御剤を含む脂肪相を含み得る。
【0168】

「油」と言う用語は、周囲温度および大気圧で液体である脂肪物質を意味することを意図する。
【0169】
揮発性油
本発明による組成物は、少なくとも1種の揮発性油を含み得る。
【0170】
「揮発性油」と言う用語は、周囲温度および大気圧で皮膚に接触することによって1時間未満で蒸発することができる油(または非水性媒体)を意味することが理解される。揮発性油は、特に、周囲温度および大気圧で非ゼロ蒸気圧を有し、特に0.13Pa〜40000Pa(10-3〜300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲、優先的に1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する、周囲温度で液体である揮発性化粧品油である。
【0171】
この揮発性油は、炭化水素をベースとする揮発性油でよい。
【0172】
炭化水素をベースとする揮発性油は、7〜16個の炭素原子を有する炭化水素をベースとする油から選択し得る。炭化水素をベースとする揮発性油は、本発明による組成物中に、組成物の総重量に対して0.1重量%〜90重量%の範囲、好ましくは1重量%〜70重量%の範囲、優先的に5重量%〜70重量%の範囲、またはそれどころか5重量%〜50重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0173】
本発明による組成物は、1個または複数の揮発性分岐状アルカンを含有し得る。「1個または複数の揮発性分岐状アルカン」という表現は、「1種または複数の揮発性分岐状アルカン油」を等しく意味すると理解される。
【0174】
7〜16個の炭素原子を有する炭化水素をベースとする揮発性油として、分岐状C8〜C16アルカン(C8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、イソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカンなど)、ならびに例えば、商品名ISOPARSまたはPERMETYLSで販売されている油、分岐状C8〜C16エステル(イソヘキシルネオペンタノエートなど)、ならびにこれらの混合物について特に言及することができる。好ましくは、8〜16個の炭素原子を有する炭化水素をベースとする揮発性油は、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、およびこれらの混合物から選択され、特にイソドデカンである。
【0175】
本発明による組成物は、1種または複数の揮発性直鎖状アルカンを含有し得る。「1種または複数の揮発性直鎖状アルカン」という表現は、「1種または複数の揮発性直鎖状アルカン油」を同等に意味すると理解される。
【0176】
本発明に適した揮発性直鎖状アルカンは、周囲温度(約25℃)および大気圧(760mmHg)で液体である。
【0177】
本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」という表現は、周囲温度(25℃)および大気圧(760mmHg、すなわち、101325Pa)で皮膚に接触することによって1時間未満で蒸発することができ、周囲温度で液体であり、周囲温度(25℃)および大気圧(760mmHg)で、特に0.01〜15mg/cm2/分の範囲の蒸発速度を有する化粧品の直鎖状アルカンを意味すると理解される。
【0178】
好ましくは、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、周囲温度(25℃)および大気圧(760mmHg)で、0.01〜3.5mg/cm2/分の範囲の蒸発速度を有する。
【0179】
好ましくは、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、周囲温度(25℃)および大気圧(760mmHg)で、0.01〜1.5mg/cm2/分の範囲の蒸発速度を有する。
【0180】
さらに好ましくは、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、周囲温度(25℃)および大気圧(760mmHg)で、0.01〜0.8mg/cm2/分の範囲の蒸発速度を有する。
【0181】
さらに好ましくは、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、周囲温度(25℃)および大気圧(760mmHg)で、0.01〜0.3mg/cm2/分の範囲の蒸発速度を有する。
【0182】
さらに好ましくは、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、周囲温度(25℃)および大気圧(760mmHg)で、0.01〜0.12mg/cm2/分の範囲の蒸発速度を有する。
【0183】
本発明による揮発性アルカン(およびより一般に、揮発性溶媒)の蒸発速度は、WO06/013413に記載されているブロトコルによって、より特定すると、下記のプロトコルによって特に評価し得る。
【0184】
15gの揮発性炭化水素をベースとする溶媒を結晶皿(直径:7cm)に入れ、約0.3m3のチャンバー中にある天秤上に乗せる(温度(25℃)、湿度測定(50%相対湿度)で制御する)。
【0185】
撹拌せずに、液体を自由に蒸発させ、ファンによって換気する(PAPST-MOTOREN、参照名8550N、2700rpmで回転)。ファンは、揮発性炭化水素をベースとする溶媒を含有する結晶皿の上に垂直位に配置し、結晶皿の底から20cmの距離でブレードを結晶皿に向き合わせる。
【0186】
結晶皿中に残った揮発性炭化水素をベースとする溶媒の質量を、定期的な時間間隔で測定する。
【0187】
次いで、時間(分)の関数として、蒸発した生成物の量(mg/cm2)の曲線をプロットすることによって、溶媒の蒸発プロファイルを得る。
【0188】
次いで、得られた曲線の起点における正接に相当する蒸発速度を計算する。蒸発速度は、単位面積(cm2)および単位時間(分)毎に蒸発した揮発性溶媒のmgとして表す。
【0189】
好ましい一実施形態によれば、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、周囲温度で非ゼロ蒸気圧であり(飽和蒸気圧としても知られている)、特に0.3Pa〜6000Paの範囲の蒸気圧を有する。
【0190】
好ましくは、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、周囲温度(25℃)で、0.3〜2000Paの範囲の蒸気圧を有する。
【0191】
好ましくは、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、周囲温度(25℃)で、0.3〜1000Paの範囲の蒸気圧を有する。
【0192】
さらに好ましくは、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、周囲温度(25℃)で、0.4〜600Paの範囲の蒸気圧を有する。
【0193】
好ましくは、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、周囲温度(25℃)で、1〜200Paの範囲の蒸気圧を有する。
【0194】
さらに好ましくは、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、周囲温度(25℃)で、3〜60Paの範囲の蒸気圧を有する。
【0195】
一実施形態によれば、本発明に適した直鎖状揮発性アルカンは、30〜120℃、より特定すると、40〜100℃で変動する範囲の引火点を有し得る。引火点は、特にISO3679標準によって測定する。
【0196】
一実施形態によれば、本発明に適したアルカンは、7〜14個の炭素原子を含む揮発性直鎖状アルカンでよい。
【0197】
好ましくは、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、8〜14個の炭素原子を含む。
【0198】
好ましくは、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、9〜14個の炭素原子を含む。
【0199】
好ましくは、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、10〜14個の炭素原子を含む。
【0200】
好ましくは、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、11〜14個の炭素原子を含む。
【0201】
有利な一実施形態によれば、本発明に適した「揮発性直鎖状アルカン」は、周囲温度(25℃)および大気圧(760mmHg)で、0.01〜3.5mg/cm2/分の範囲の上記定義のような蒸発速度を有し、8〜14個の炭素原子を含む。
【0202】
本発明に適した揮発性直鎖状アルカンは、有利には植物由来でよい。
【0203】
好ましくは、本発明による組成物中に存在する揮発性直鎖状アルカンまたは揮発性直鎖状アルカンの混合物は、少なくとも1個の炭素の14C同位体(炭素-14)を含み、特に14C同位体は、1×10-16以上、好ましくは1×10-15以上、さらに好ましくは7.5×10-14以上、より良好には1.5×10-13以上の14C/12C比で存在し得る。好ましくは、14C/12C比は、6×10-13〜1.2×10-12の範囲である。
【0204】
揮発性直鎖状アルカンまたは揮発性直鎖状アルカンの混合物中の14C同位体の量は、Libby計数方法、液体シンチレーションスペクトロメトリまたはその他に加速器質量分析などの、当業者に公知の方法によって決定し得る。
【0205】
このようなアルカンは、油、バター、ワックスなどの植物原料から、直接またはいくつかのステップで得てもよい。
【0206】
本発明に適したアルカンの例として、Cognisによって特許出願WO2007/068371またはWO2008/155059に記載されているアルカン(少なくとも1個の炭素だけ異なる、異なるアルカンの混合物)について言及することができる。これらのアルカンは、脂肪アルコール(それ自体はヤシ油またはパーム油から得られる)から得られる。
【0207】
本発明に適した直鎖状アルカンの例示として、n-ヘプタン(C7)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、n-テトラデカン(C14)、およびこれらの混合物について言及することができる。特定の一実施形態によれば、揮発性直鎖状アルカンは、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、およびこれらの混合物から選択される。
【0208】
好ましい一様式によれば、Cognisによる特許出願WO2008/155059の実施例1および2において得られるn-ウンデカン(C11)およびn-トリデカン(C13)の混合物について言及することができる。
【0209】
参照名PARAFOL12-97およびPARAFOL14-97で各々Sasolによって販売されているn-ドデカン(C12)およびn-テトラデカン(C14)、ならびにまたその混合物についてもまた言及することができる。
【0210】
揮発性直鎖状アルカンは、単独で使用することができる。
【0211】
代わりにまたは好ましくは、少なくとも1個の炭素数nだけ互いに異なる、特に1個または2個の炭素数だけ互いに異なる、少なくとも2種の異なる揮発性直鎖状アルカンの混合物を使用することができる。
【0212】
第1の実施形態によれば、少なくとも1個の炭素数だけ互いに異なる、少なくとも2種の異なる、10〜14個の炭素原子を含む揮発性直鎖状アルカンの混合物を使用する。例示として、揮発性直鎖状アルカンのC10/C11、C11/C12またはC12/C13混合物について特に言及することができる。
【0213】
別の実施形態によれば、少なくとも2個の炭素数だけ互いに異なる、少なくとも2種の異なる、10〜14個の炭素原子を含む揮発性直鎖状アルカンの混合物を使用する。例示として、揮発性直鎖状アルカンの、偶数の炭素数nについてはC10/C12またはC12/C14混合物、および奇数の炭素数nについてはC11/C13混合物について特に言及することができる。
【0214】
好ましい一様式によれば、少なくとも2個の炭素数だけ互いに異なる、少なくとも2種の異なる、10〜14個の炭素原子を含む揮発性直鎖状アルカンの混合物、特に、揮発性直鎖状アルカンのC11/C13混合物または揮発性直鎖状アルカンのC12/C14混合物を使用する。
【0215】
本発明による2種を超える揮発性直鎖状アルカンを合わせた他の混合物(例えば、少なくとも1個の炭素数だけ互いに異なる、少なくとも3種の異なる、7〜14個の炭素原子を含む揮発性直鎖状アルカンの混合物など)はまた、本発明の一部であるが、本発明による2種の揮発性直鎖状アルカンを有する混合物(2成分混合物)が好ましく、前記2種の揮発性直鎖状アルカンは、混合物中の揮発性直鎖状アルカンの総含量の95重量%超、より良好には99重量%超を好ましくは表す。本発明の特定の一様式によれば、揮発性直鎖状アルカンの混合物中で、最も少ない炭素数を有する揮発性直鎖状アルカンが、混合物中で最も多数を占める。
【0216】
本発明の別の様式によれば、最も多い炭素数を有する揮発性直鎖状アルカンが、混合物中で最も多数を占める揮発性直鎖状アルカンの混合物を使用する。
【0217】
本発明に適した混合物の例示として、下記の混合物について特に言及することができる。
前記混合物中のアルカンの総重量に対して、
-50〜90重量%、好ましくは55〜80重量%、さらに好ましくは60〜75重量%のCn揮発性直鎖状アルカン(nは7〜14の範囲である)、
-10〜50重量%、好ましくは20〜45重量%、好ましくは24〜40重量%のCn+x揮発性直鎖状アルカン(xは1以上、好ましくはx=1またはx=2であり、n+xは8から14の間である)。
【0218】
特に、本発明によるアルカンの前記混合物は、混合物中に、
-2重量%未満、好ましくは1重量%未満の分岐状炭化水素、
-および/または2重量%未満、好ましくは1重量%未満の芳香族炭化水素、
-および/または2重量%未満、好ましくは1重量%未満、優先的に0.1重量%未満の不飽和炭化水素
を含有する。
【0219】
より特定すると、本発明に適した揮発性直鎖状アルカンは、n-ウンデカン/n-トリデカン混合物の形態で使用し得る。
【0220】
特に、前記混合物中のアルカンの総重量に対して、
-55〜80重量%、好ましくは60〜75重量%のC11(n-ウンデカン)揮発性直鎖状アルカンと、
-20〜45重量%、好ましくは24〜40重量%のC13(n-トリデカン)揮発性直鎖状アルカンと、
を含む、揮発性直鎖状アルカンの混合物を使用する。
【0221】
特定の一実施形態によれば、アルカンの混合物は、n-ウンデカン/n-トリデカン混合物である。特に、このような混合物は、WO2008/155059の実施例1または実施例2によって得ることができる。
【0222】
別の特定の実施形態によれば、参照名PARAFOL12-97でSasolによって販売されているn-ドデカンを使用する。
【0223】
別の特定の実施形態によれば、参照名PARAFOL14-97でSasolによって販売されているn-テトラデカンを使用する。
【0224】
また別の実施形態によれば、n-ドデカンおよびn-テトラデカンの混合物を使用する。
【0225】
変形形態としてまたはさらに、生成される組成物は、化粧品としての使用と適合性である少なくとも1種の揮発性シリコーン溶媒または油を含み得る。
【0226】
「シリコーン油」と言う用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含有し、特にSi-O基を含有する油を意味すると理解される。一実施形態によれば、前記組成物は、組成物の総重量に対して10重量%未満の不揮発性シリコーン油、より良好には5重量%未満を含み、またはさらにシリコーン油を含まない。
【0227】
シリコーン揮発性油として、環状ポリシロキサン、直鎖状ポリシロキサン、およびこれらの混合物について言及することができる。直鎖状揮発性ポリシロキサンとして、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサンおよびヘキサデカメチルヘプタシロキサンについて言及することができる。環状揮発性ポリシロキサンとして、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンおよびドデカメチルシクロヘキサシロキサンについて言及することができる。
【0228】
変形形態としてまたはさらに、生成された組成物は、少なくとも1種の揮発性フルオロ油を含み得る。
【0229】
「フルオロ油」と言う用語は、少なくとも1個のフッ素原子を含有する油を意味すると理解される。
【0230】
揮発性フルオロ油として、ノナフルオロメトキシブタンまたはペルフルオロメチルシクロペンタン、およびこれらの混合物について言及することができる。
【0231】
揮発性油は、組成物の総重量に対して0.1重量%〜90重量%の範囲、好ましくは1重量%〜70重量%の範囲、優先的に5重量%〜50重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0232】
非揮発性油
本発明による組成物は、少なくとも1種の非揮発性油を含み得る。
【0233】
油は、炭化水素をベースとする、フルオロおよび/またはシリコーン油から選択し得る。
【0234】
使用してもよい不揮発性炭化水素をベースとする油には、流動パラフィン(または石油ゼリー)、スクアラン、水素化ポリイソブチレン(Parleam油)、ペルヒドロスクアレン、ミンク油、タートル油、ダイズ油、甘扁桃油、ビューティーリーフ油、パーム油、グレープシード油、ゴマ油、トウモロコシ油、アララ油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実油、アンズ油、ヒマシ油、アボガド油、ホホバ油、オリーブ油または穀物胚芽油、ラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸またはステアリン酸のエステル、特にC12〜C36の脂肪エステル、(ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシルまたは乳酸2-オクチルドデシル、ビス(2-エチルヘキシル)スクシネート、リンゴ酸ジイソステアリル、およびトリイソステアリン酸グリセリルまたはトリイソステアリン酸ジグリセリルなど)、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはイソステアリン酸、特にC16〜C22の高級脂肪アルコール(セタノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコールまたはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコールまたはオクチルドデカノールなど)、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0235】
本発明において使用することができるフルオロ油は、特に、文献EP-A-847752に記載されているものなどの、フルオロシリコーン油、フッ素化ポリエーテルまたはフッ素化シリコーンである。
【0236】
非揮発性油は、組成物の総重量に対して0.1重量%〜70重量%の範囲、好ましくは0.5重量%〜60重量%の範囲、優先的に1重量%〜50重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0237】
ワックス
組成物は、少なくとも1種のワックスを含み得る。
【0238】
本発明の目的のために、「ワックス」という用語は、室温(25℃)で固体であり、可逆性の固体/液体状態変化を伴い、30℃以上、120℃までの範囲のことがある融点を有する親油性化合物を意味することが理解される。
【0239】
ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、名称DSC30でMettlerによって販売されている熱量計を使用して測定し得る。
【0240】
ワックスは、炭化水素をベースとするワックス、フルオロワックスおよび/またはシリコーンワックスでよく、植物、鉱物、動物および/または合成由来でよい。特に、ワックスは、25℃超、より良好には45℃超の融点を有する。
【0241】
ワックスは、少なくとも15重量%と等しい含量で存在する。好ましくは、それは、組成物の総重量に対して15重量%〜40重量%、より良好には16重量%〜35重量%、さらにより良好には16重量%〜30重量%の範囲の含量で存在し得る。ワックスは、組成物中に組成物の総重量に対して、0.1重量%〜50重量%の範囲、好ましくは1重量%〜40重量%の範囲、優先的に5重量%〜30重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0242】
炭化水素をベースとするワックス、例えば、蜜蝋、ラノリンワックスまたはシナ昆虫ロウ、コメワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、オーリクリーワックス、アフリカハネガヤワックス、コルクファイバーワックス、サトウキビワックス、和蝋およびウルシワックス、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンおよびオゾケライト、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュ合成によって得られるワックス、およびワックス様コポリマー、およびまたそのエステルを特に使用し得る。
【0243】
直鎖状または分岐状のC8〜C32脂肪鎖を含有する動物または植物油の接触水素化によって得られるワックスについてもまた言及することができる。
【0244】
これらのワックスの中で、水素化ホホバ油、異性化ホホバ油(Desert Whaleによって商業参照名ISO-JOJOBA-50(登録商標)で製造または販売されているtrans-異性化した部分的に水素添加したホホバ油など)、水素化ヒマワリ油、水素化ヒマシ油、水素化ヤシ油、水素化ラノリン油、ビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレート(名称HEST2T-4SでHeterene社によって販売されている)、ビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラベヘネート(名称HEST2T-4BでHetereneによって販売されている)について特に言及することができる。
【0245】
シリコーンワックス、例えば、16〜45個の炭素原子を含有するアルキルまたはアルコキシジメチコン、およびフルオロワックスについてもまた言及することができる。
【0246】
ステアリルアルコールでエステル化したオリーブ油の水素添加によって得られるワックス(名称PHYTOWAX OLIVE18L57で販売されている)、またはその他にセチルアルコールでエステル化したヒマシ油の水素添加によって得られるワックス(名称PHYTOWAX RICIN16L64および22L73でSophimによって販売されている)もまた使用し得る。このようなワックスは、特許出願FR-A-2792190に記載されている。
【0247】
組成物は、少なくとも1種の極性ワックスを含み得る。「極性ワックス」という表現は、それらの化学構造中に、炭素および水素原子に加えて、O、NまたはPなどの少なくとも1個の高度に電気陰性なヘテロ原子を含むワックスを意味すると理解される。
【0248】
好ましくは、ワックスは、カルナウバワックス、カンデリラワックス、天然(または漂白)蜜蝋、および合成蜜蝋から選択される。合成蜜蝋として、名称CYCLOCHEM326AでEvonik Goldschmidtによって販売されているワックス(INCI名:合成蜜蝋)について言及することができる。
【0249】
組成物は、0.05MPa〜15MPaの範囲、好ましくは6MPa〜15MPaの範囲の硬度を有する少なくとも1種のワックスを含み得る。直径2mmのステンレス鋼の円柱(0.1mm/sの測定速度で移動し、0.3mmの侵入深さまでワックスに侵入する)を備えた、名称TA-TX2iでRheoによって販売されているテクスチュロメーターを使用して20℃で測定した圧縮力を測定することによって、硬度を決定する。
【0250】
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、粘着性ワックス(すなわち、0.7N.s以上の接着度および3.5MPa以下の硬度を有するワックス)と称される少なくとも1種のワックスを含み得る。
【0251】
粘着性ワックスの使用は、特に、まつ毛に塗布することが容易で、まつ毛によく接着し、なめらかで均質で濃く見せるメイクアップの形成をもたらす化粧品組成物を得ることを可能にし得る。
【0252】
使用する粘着性ワックスは、特に、0.7N.s〜30N.sの範囲、特に1N.s以上、特に1N.s〜20N.sの範囲、特に2N.s以上、特に2N.s〜10N.sの範囲、特に2N.s〜5N.sの範囲の接着度を有し得る。
【0253】
ワックスの接着度は、45°の角度を形成する円錐形のアクリルポリマースピンドルを備えた、Rheoによって名称TA-TX2i(登録商標)で販売されているテクスチュロメーターを使用して、20℃にて時間の関数として力の変化(圧縮力または伸縮力)を測定することによって決定する。
【0254】
測定のプロトコルは、以下の通りである。
【0255】
ワックスの融点+10℃と等しい温度でワックスを融解する。融解したワックスを、直径25mmおよび深さ20mmの容器に注ぐ。ワックスの表面が平らでなめらかとなるように、ワックスを室温(25℃)で24時間再結晶させ、次いで、接着度を測定する前にワックスを20℃で少なくとも1時間保管する。
【0256】
テクスチュロメーターのスピンドルを0.5mm/sの速さで移動し、次いで2mm侵入深さまでワックスに侵入させる。スピンドルがワックスに2mmの深さまで侵入したとき、スピンドルを1秒間(緩和時間に相当する)そのまま保持し、次いで0.5mm/sの速さで引き抜く。
【0257】
緩和時間の間、力(圧縮力)は、ゼロになるまで著しく減少し、次いで、スピンドルの引き抜きの間、力(伸縮力)は負となり、次いで0値へと再び上昇する。接着度は、力(伸縮力)の負の値に相当する曲線の部分について、時間の関数としての力の曲線の積分に相当する。接着値は、N.sで表す。
【0258】
使用し得る粘着性ワックスは、一般に3.5MPa以下、特に、0.01Mpa〜3.5MPaの範囲の、特に0.05MPa〜3MPaの範囲の、またはそれどころか0.1MPa〜2.5MPaの範囲の硬度を有する。
【0259】
硬度は、上記で説明したプロトコルによって測定する。
【0260】
使用し得る粘着性ワックスは、単独でまたは混合物として、C20〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(20〜40個の炭素原子を含むアルキル基)、特に、式(II)のC20〜C40アルキル12-(12'-ヒドロキシステアリルオキシ)-ステアレート
【0261】
【化11】

【0262】
(式中、mは、18〜38の範囲の整数、または式(II)の化合物の混合物である)を含む。
【0263】
このようなワックスは特に、名称KESTER WAX K82P(登録商標)およびKESTER WAX K80P(登録商標)でKoster Keunenによって販売されている。
【0264】
上記のワックスは一般に、45℃未満の出発融点を有する。
【0265】
約0.46MPaの硬度および約1N.sの接着値を有する、参照名SP18でStrahlおよびPitschによって販売されているマイクロクリスタリンワックスをまた使用し得る。
【0266】
ワックスは、ワックスの水性マイクロ分散液の形態で存在し得る。「ワックスの水性マイクロ分散液」という表現は、前記ワックス粒子のサイズが約1μm以下であるワックス粒子の水性分散液を意味すると理解される。
【0267】
ワックスマイクロ分散液は、コロイド状ワックス粒子の安定的な分散液であり、「Microemulsions Theory and Practice」、L.M. Prince編、Academic Press (1977)、21〜32頁に特に記載されている。
【0268】
特に、これらのワックスマイクロ分散液は、界面活性剤および任意選択で一部の水の存在下でワックスを溶解し、次いで撹拌しながら熱水を徐々に加えることによって得ることができる。油中水型のエマルジョンの中間体形成、次いで位相反転が観察され、水中油型のマイクロエマルジョンが最終的に生成される。冷却すると、固形コロイド状ワックス粒子の安定的なマイクロ分散液が得られる。
【0269】
ワックスマイクロ分散液はまた、超音波、高圧ホモジナイザーまたはターボミキサーなどの撹拌手段を使用して、ワックス、界面活性剤および水の混合物を撹拌することによって得ることができる。
【0270】
ワックスマイクロ分散液の粒子は、好ましくは1μm未満(特に、0.02μm〜0.99μmの範囲)、好ましくは0.5μm未満(特に、0.06μm〜0.5μmの範囲)の平均サイズを有する。
【0271】
これらの粒子は、本質的にワックスまたはワックスの混合物からなる。しかし、それらは、少ない割合の油性および/またはペースト状の脂肪性添加剤、界面活性剤、ならびに/あるいは一般の脂溶性添加物/活性剤を含み得る。
【0272】
親油性皮膜形成ポリマー
本発明による組成物は、脂溶性(すなわち、上記のものなどの、油または有機溶媒を含む液体脂肪相中で可溶性)でよい少なくとも1種の親油性皮膜形成ポリマーを含むことがあり、あるいはそれが適合性である非水性溶媒相中(本発明による組成物の油性相の場合がある)に分散している粒子の形態の組成物中に存在することがある。
【0273】
脂溶性ポリマーの例として、ビニルエステル(ビニル基はエステル基の酸素原子に直接結合しており、ビニルエステルは、エステル基のカルボニルに結合している1〜19個の炭素原子の飽和、直鎖状または分岐状の炭化水素をベースとする基を含有する)と、少なくとも1種の他のモノマー((既に存在するビニルエステル以外の)ビニルエステル、(8〜28個の炭素原子を含有する)α-オレフィン、アルキルビニルエーテル(アルキル基が2〜18個の炭素原子を含んでいる)、またはアリルもしくはメタリルエステル(エステル基のカルボニルに結合している、1〜19個の炭素原子の飽和、直鎖状または分岐状の炭化水素をベースとする基を含有する)の場合がある)とのコポリマーについて言及することができる。
【0274】
これらのコポリマーは、ビニルタイプ、またはアリルもしくはメタリルタイプ(テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、オクタン二酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニルおよびオクタデカン二酸ジビニルなど)のことがある架橋剤の補助により架橋していることがある。
【0275】
これらのコポリマーの例として、下記のコポリマーについて言及することができる。酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル、酢酸ビニル/ステアリン酸ビニル、酢酸ビニル/オクタデセン、酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸アリル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル/1-オクタデセン、酢酸ビニル/1-ドデセン、ステアリン酸ビニル/エチルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/セチルビニルエーテル、ステアリン酸ビニル/酢酸アリル、ビニル2,2-ジメチルオクタノエート/ラウリン酸ビニル、アリル2,2-ジメチルペンタノエート/ラウリン酸ビニル、ジメチルプロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル、ジメチルプロピオン酸アリル/ステアリン酸ビニル、0.2%ジビニルベンゼンで架橋したプロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル、0.2%ジビニルベンゼンで架橋したジメチルプロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、0.2%テトラアリルオキシエタンで架橋した酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、0.2%ジビニルベンゼンで架橋した酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、0.2%ジビニルベンゼンで架橋した酢酸ビニル/1-オクタデセン、および0.2%ジビニルベンゼンで架橋したプロピオン酸アリル/ステアリン酸アリル。
【0276】
脂溶性皮膜形成ポリマーの例として、脂溶性コポリマー、特に、9〜22個の炭素原子を含有するビニルエステル、またはアルキルアクリレートもしくはメタクリレートと、10〜20個の炭素原子を含有するアルキル基との共重合によってもたらされるものについてもまた言及することができる。
【0277】
このような脂溶性コポリマーは、ステアリン酸ポリビニルコポリマー、およびジビニルベンゼン、ジアリルエーテルまたはフタル酸ジアリルを使用して架橋したステアリン酸ポリビニルコポリマー、ポリステアリル(メタ)アクリレートのコポリマー、ラウリン酸ポリビニルのコポリマー、およびポリラウリル(メタ)アクリレートのコポリマーから選択してもよく、これらのポリ(メタ)アクリレートを、エチレングリコールジメタクリレートまたはテトラエチレングリコールジメタクリレートを使用して架橋させることが可能である。
【0278】
上記で定義した脂溶性のコポリマーは公知であり、特に、特許出願FR-A-2232303において記載されている。それらは、2000〜500000、好ましくは4000〜200000の範囲の重量平均分子量を有することがある。
【0279】
本発明において使用し得る脂溶性皮膜形成ポリマーとして、ポリアルキレン、特に、C2〜C20アルケン(ポリブテンなど)のコポリマー、直鎖状または分岐状の飽和または不飽和のC1〜C8アルキル基を有するアルキルセルロース、例えば、エチルセルロースおよびプロピルセルロース、ビニルピロリドン(VP)のコポリマー、特に、ビニルピロリドンおよびC2〜C40、より良好にはC3〜C20アルケンのコポリマーについてもまた言及することができる。本発明において使用し得るVPコポリマーの例として、VP/酢酸ビニル、VP/メタクリル酸エチル、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、VP/メタクリル酸エチル/メタクリル酸、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン、VP/スチレン、またはVP/アクリル酸/メタクリル酸ラウリルのコポリマーについて言及することができる。
【0280】
親油性皮膜形成ポリマーは、酢酸ビニル/ステアリン酸アリルコポリマー(特に、名称MEXOMERE PQでChimexによって販売されている)、ラウリン酸ポリビニル(特に、名称MEXOMERE PPでChimexによって販売されている)、ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー(特に、名称ANTARON V220でISPによって販売されている)、およびこれらの混合物から選択し得る。
【0281】
シリコーン油中で一般に可溶性または膨潤可能である、架橋ポリオルガノシロキサンポリマーであるシリコーン樹脂についてもまた言及することができる。シリコーン樹脂の名称は、名称MDTQで公知であり、樹脂はそれが含む様々なシロキサンモノマー単位に応じて記載され、文字「MDTQ」の各々は、単位のタイプを特徴付けている。
【0282】
市販のポリメチルシルセスキオキサン樹脂の例として、Wackerによって参照名RESIN MKで販売されているもの(BELSIL PMS MKなど)、または信越化学工業によって参照名KR-220Lで販売されているものについて言及することができる。
【0283】
市販のポリプロピルシルセスキオキサン樹脂の例として、参照名DC670でDow Corningによって販売されているものについて言及することができる。
【0284】
シロキシシリケート樹脂として、参照名SR1000でGeneral Electricによって、または参照名TMS803でWackerによって販売されているものなどのトリメチルシロキシシリケート(TMS)樹脂について言及することができる。名称KF-7312Jで信越化学工業によって、およびDC749およびDC593でDow Corningによって販売されているシクロメチコンなどの、溶媒中で販売されているトリメチルシロキシシリケート樹脂についてもまた言及することができる。
【0285】
上述したものなどのシリコーン樹脂とポリジメチルシロキサンとのコポリマー、例えば、Dow Corningによって参照名BIO-PSAで販売されており、文献US5162410に記載されている感圧性の接着性コポリマー、またはその他に文献WO2004/073626に記載されているような、上述したものなどのシリコーン樹脂とジオルガノシロキサンとの反応に由来するシリコーンコポリマーについてもまた言及することができる。
【0286】
親油性皮膜形成ポリマーはまた、少なくとも1個のカルボシロキサンデンドリマーをベースとする単位を含むビニルポリマーのことがある。
【0287】
本発明に特に適しているのは、例えば、文献WO2006/058793およびEP1862162に記載されているものなどの、カルボシロキサンデンドリマーをベースとする単位を含むビニルポリマーである。
【0288】
ビニルポリマーは特に、骨格、およびカルボシロキサンデンドリマー構造を含む少なくとも1個の側鎖を有し得る。「カルボシロキサンデンドリマー構造」という表現は、本発明の状況において、高分子量の分岐状基を有する分子構造を表し、前記構造は、骨格結合を発端とする半径方向の高い規則性を有する。このようなカルボシロキサンデンドリマー構造は、高度に分岐状のシロキサン-シリルアルキレンコポリマーの形態で特開平9-171154に記載されている。
【0289】
本発明に非常に特に適していることがある、少なくとも1個のカルボシロキサンデンドリマーをベースとする単位でグラフト化されたビニルポリマーは、名称TIB4-100、TIB4-101、TIB4-120、TIB4-130、TIB4-200、FA4002ID(TIB4-202)、TIB4-220およびFA4001CM(TIB4-230)でDow Corningによって販売されているポリマーである。
【0290】
文献US-A-5874069、US-A-5919441、US-A-6051216およびUS-A-5981680に記載されているものなど、ポリオルガノシロキサンタイプのシリコーンをベースとするポリアミドをまた使用し得る。
【0291】
これらのシリコーンポリマーは、下記の2つのファミリーに属し得る。
-水素相互作用を確立することができる少なくとも2個の基を含むポリオルガノシロキサン(これらの2個の基は、ポリマー鎖中に位置する)、および/または
-水素相互作用を確立することができる少なくとも2個の基を含むポリオルガノシロキサン(これらの2個の基は、グラフトまたは分岐上に位置する)。
【0292】
親油性または脂溶性皮膜形成ポリマーはまた、組成物の油性相のことがある非水性溶媒相中で、分散して粒子の形態で組成物中に存在し得る。これらの分散液を調製するための技術は、当業者には周知である。例えば、NAD(非水性分散液)タイプのポリマーもしくはミクロゲル(例えば、KSG)、またスチレンをベースとするコポリマー(Kraton、Regalite)を使用し得る。
【0293】
脂肪分散性非水性皮膜形成ポリマー分散液(1種または複数のシリコーンおよび/または炭化水素をベースとする油中のポリマー粒子の非水性分散液の形態であり、少なくとも1種の安定剤によってそれらの表面で安定化し得る、特にブロック、グラフトまたはランダムポリマー)の例として、イソドデカン中のアクリル分散液、例えば、ChimexからのMEXOMER PAP(登録商標)、液体脂肪相中のグラフト化エチレンポリマー、好ましくはアクリルポリマー粒子の分散液(特に文献WO04/055081に記載されているように、エチレンポリマーは有利には、さらなる安定剤の非存在下で粒子の表面で分散している)について言及することができる。
【0294】
本発明の一実施形態の例によれば、皮膜形成ポリマーは、皮膜形成直鎖状ブロックエチレンポリマーであり、異なるガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも1個の第1のブロックおよび少なくとも1個の第2のブロックを好ましくは含み、前記第1および第2のブロックは、第1のブロック構成成分である少なくとも1種のモノマー、および第2のブロックの構成成分である少なくとも1種のモノマーを含む中間体ブロックによって互いに結合している。
【0295】
有利なことには、ブロックポリマーの第1および第2のブロックは、互いに不適合性である。
【0296】
このようなポリマーは、例えば、文献EP1411069またはWO04/028488に記載されている
【0297】
本発明による組成物において使用することができる皮膜形成系の他の例として、互いに接触したときに反応する2種のシリコーン化合物を含有する組成物または組成物の混合物を塗布するときに、皮膜がインサイチュで形成される系について言及することができる。このような系は、特に、特許出願WO2007/071706に記載されている。このタイプの系はまた、特許出願US2007/142575またはUS2007/142599に記載されている。
【0298】
親油性皮膜形成ポリマーは、組成物の総重量に対して0.1重量%〜15重量%、好ましくは0.5重量%〜10重量%を表し得る。
【0299】
脂肪相レオロジー制御剤
本発明による組成物は、ペースト状化合物、半結晶性ポリマー、親油性ゲル化剤、およびこれらの混合物から選択される液体脂肪相レオロジー制御剤を含み得る。
【0300】
「脂肪相レオロジー制御剤」という表現は、それが有用である前記脂肪相中で構造化剤が架橋していないとき、必要に応じ架橋剤と接触して、物理的相互作用を確立することができる作用剤を意味すると理解される。それは、構造化特性、例えば、ゲル化特性を発達させる能力を有し、したがって半固体の外観を有するテクスチャをもたらす。
【0301】
脂肪相レオロジー制御剤は、組成物の総重量に対して、0.1重量%〜60重量%、好ましくは0.5重量%〜50重量%、またさらに好ましくは1〜40重量%を表し得る。
【0302】
ペースト状化合物
「ペースト状化合物」または「ペースト状脂肪物質」という表現は、23℃の温度で、液体画分および固体画分を含む親油性脂肪族化合物を意味すると理解される。
【0303】
前記ペースト状化合物は、20℃で0.001〜0.5MPa、好ましくは0.002〜0.4Mpaの範囲の硬度を好ましくは有する。
【0304】
硬度は、特に直径2mmステンレス鋼円柱を備えたテクスチャアナライザー(例えば、RheoからのTA-XT2i)を使用して、化合物の試料へプローブを侵入させる方法によって測定する。硬度測定は、20℃で5種の試料の中央で行う。円柱を1mm/sの事前速度およびひいては0.1mm/sの測定速度にて侵入深さ0.3mmで各試料に侵入させる。硬度について記録した値は、最大ピークの値である。
【0305】
ペースト状化合物の液体画分は、23℃で測定して、好ましくは化合物の9〜97重量%を表す。この液体画分は、23℃で好ましくは15から85重量%の間、さらに好ましくは40から85重量%の間を表す。23℃でのペースト状化合物の液体画分(重量による)は、23℃で消費される融解エンタルピーとペースト状化合物の融解エンタルピーの比と等しい。
【0306】
ペースト状化合物の融解エンタルピーは、固体状態から液体状態へ変化するために化合物によって消費されるエンタルピーである。ペースト状化合物は、その塊の全体が結晶性固体形態であるとき、固体状態であると考えられる。ペースト状化合物は、その塊の全体が液体形態であるとき、液体状態であると考えられる。
【0307】
ペースト状化合物の融解エンタルピーは、ISO標準11357-3:1999によって毎分5℃または10℃温度を上昇させて、名称MDSC2920でTA Instrumentによって販売されている熱量計などの示差走査熱量計(DSC)を使用して得た温度記録の曲線下面積と等しい。ペースト状化合物の融解エンタルピーは、化合物を固体状態から液体状態に変化させるのに必要なエネルギーの量である。それはJ/gで表される。
【0308】
23℃で消費される融解エンタルピーは、固体状態から、液体画分および固体画分で構成される23℃で示される状態に変化するために、試料によって吸収されるエネルギーの量である。
【0309】
ペースト状化合物の液体画分は32℃で測定して好ましくは、化合物の30〜100重量%、好ましくは80〜100重量%、さらに好ましくは化合物の90〜100重量%を表す。ペースト状化合物の液体画分が、32℃で測定して100%と等しいとき、ペースト状化合物の融解範囲の終わりの温度は、32℃以下である。
【0310】
ペースト状化合物の液体画分は、32℃で測定して、32℃で消費される融解エンタルピーとペースト状化合物の融解エンタルピーの比と等しい。32℃で消費される融解エンタルピーは、23℃で消費される融解エンタルピーと同様に計算する。
【0311】
ペースト状化合物は一般に、ラノリンおよびそれらの誘導体またはその他にPDMS化合物などの炭化水素をベースとする化合物である。
【0312】
特に、ペースト状化合物は好ましくは、合成化合物および植物由来の化合物から選択される。ペースト状化合物は、植物由来の出発生成物から合成によって得てもよい。
【0313】
ペースト状化合物が存在することによって、本発明の組成物をケラチン繊維上に付着させている間に、改善された快適性を有利に実現することが可能になることがある。
【0314】
このような化合物は有利には、
-ラノリンおよびその誘導体、
-ポリマーまたは非ポリマーシリコーン化合物、
-ポリマーまたは非ポリマーフッ素化化合物、
-ビニルポリマー、特に、
・オレフィンホモポリマー、
・オレフィンコポリマー、
・水素化ジエンホモポリマーおよびコポリマー、
・好ましくはC8〜C30アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーまたはコポリマーである直鎖状または分岐状のオリゴマー、
・C8〜C30アルキル基を有するビニルエステルのホモポリマーおよびコポリマーであるオリゴマー、
・C8〜C30アルキル基を有するビニルエーテルのホモポリマーおよびコポリマーであるオリゴマー
-1種または複数のC2〜C100、好ましくはC2〜C50ジオールの間のポリエーテル化から得られる脂溶性ポリエーテル、
-脂肪酸またはアルコールエステル、
-ならびにこれらの混合物
から選択し得る。
【0315】
エステルの中で、
-グリセロールオリゴマーのエステル、特にジグリセロールエステル、特にアジピン酸およびグリセロールの縮合物、これについては、グリセロールのヒドロキシル基のいくらかは、脂肪酸の混合物(ステアリン酸、カプリン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸、および12-ヒドロキシステアリン酸など)と反応している。特にブランド名SOFTISAN649でSasolによって販売されているもの、またはビス-ジグリセリルポリアシルアジペート-2など、
-商品名WAXENOL801でAlzoによって販売されているプロピオン酸アラキジル、
-フィトステロールエステル、
-脂肪酸トリグリセリドおよびその誘導体(水素化ココ-グリセリドなど)、
-直鎖状または分岐状のC4〜C50ジカルボン酸またはポリカルボン酸と、C2〜C50ジオールまたはポリオールとの間のポリ縮合から得られる非架橋のポリエステル、
-脂肪族カルボン酸による脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルのエステル化から得られるエステルの脂肪族エステル(Nishing Oilによって販売されているSALACOS HCIS(V)-L)、
-ポリカルボン酸による脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルのエステル化から得られるポリエステル。前記エステルは、少なくとも2個のヒドロキシル基を含む。製品RISOCAST DA-H(登録商標)およびRISOCAST DA-L(登録商標)など、
-ならびにこれらの混合物
について特に言及することができる。
【0316】
ペースト状化合物はまた、植物由来の化合物から選択し得る。植物由来のこれらの化合物の中で、オレンジワックス(例えば、参照名ORANGE PEEL WAXでKoster Keunenによって販売されている製品など)、シアバター、部分的に水素化されたオリーブ油(例えば、参照名BEURROLIVEでSolianceによって販売されている化合物など)、またはその他にカカオバターについて特に言及することができる。
【0317】
ペースト状化合物は、組成物の総重量に対して1〜50重量%、特に3〜45重量%、より特定すると5〜40重量%の範囲の量で使用し得る。
【0318】
半結晶性ポリマー
「半結晶性ポリマー」という表現は、本発明の目的のために、骨格中にペンダント鎖またはブロックである結晶化可能部分と、骨格中にアモルファス部分とを含み、かつ特に融解(固体-液体転移)の一次可逆的相変化温度を有するポリマーを意味すると理解される。結晶化可能部分がポリマー骨格のブロックであるとき、この結晶化可能ブロックは、アモルファスブロックの化学的性質とは異なる性質のものである。この場合は、半結晶性ポリマーは、例えば、ジブロック、トリブロックまたはマルチブロックタイプのブロックポリマーである。
【0319】
有利なことには、本発明の組成物の半結晶性ポリマーは、2000以上、例えば、2000〜800000、好ましくは3000〜500000、例えば、4000〜150000、より良好には4000〜99000の範囲の数平均分子量Mnを有する。
【0320】
本発明による組成物において、半結晶性ポリマーは有利には、それらの融解温度を超える温度で、油性相中で少なくとも1重量%まで可溶性である。結晶化可能鎖またはブロックは別として、ポリマーのブロックはアモルファスである。「結晶化可能鎖またはブロック」という表現は、本発明の目的のために、単独である場合、それが融解温度を超えるか下回るかによって、アモルファス状態から結晶状態に可逆的に変化する鎖またはブロックを意味すると理解される。本発明の目的のために、「鎖」は、ポリマー骨格に対してペンダントまたは水平方向である原子の群である。「ブロック」は、骨格に属する原子の群であり、この群は、ポリマーの繰り返し単位の1つを構成する。
【0321】
好ましくは、半結晶性ポリマーのポリマー骨格は、油性相において可溶性である。
【0322】
好ましくは、本発明の組成物において使用する半結晶性ポリマーは、70℃未満(25℃≦pF<70℃)の融解温度(または融点)pFを有し、この温度は、本発明による組成物を受け入れなければならないケラチン材料、特に皮膚の温度と少なくとも等しい。融解温度は、特に示差走査熱量計(DSC)を使用して、任意の公知の方法によって測定し得る。
【0323】
好ましくは、半結晶性ポリマーの結晶化可能ブロックまたは鎖は、各ポリマーの総重量に対して少なくとも30%、より良好には少なくとも40%を表す。本発明によって使用される結晶化可能ブロックを含有する半結晶性ポリマーは、ブロックまたはマルチブロックポリマーである。それらは、反応性(または、エチレン)二重結合を含有するモノマーを重合することによって、または重縮合によって得ることができる。本発明のポリマーが結晶化可能側鎖を含有するポリマーであるとき、これらの側鎖は、有利にはランダムまたは統計的形態である。
【0324】
本発明の半結晶性ポリマーは、合成由来である。さらに、それらは、多糖類骨格を含まない。
【0325】
本発明において使用することができる半結晶性ポリマーは好ましくは、少なくとも1個の結晶化可能側鎖を担持するポリマー(ホモポリマーおよびコポリマー)、ならびに骨格中に少なくとも1個の結晶化可能ブロックを担持するポリマー(ホモポリマーおよびコポリマー)、例えば、文献US-A-5156911に記載されているものから選択される。結晶化可能側鎖またはブロックは、疎水性である。
【0326】
本発明の好ましい一実施形態によれば、半結晶性ポリマーは特に、結晶化可能鎖を含有する少なくとも1種のモノマーの重合から得られるホモポリマーおよびコポリマーから選択され、後者は、少なくとも11個の炭素原子、最大でも40個の炭素原子、より良好には最大でも24個の炭素原子を含むアルキル鎖から選択される。これらは、少なくとも12個の炭素原子を含むアルキル鎖であり、これらは好ましくは、14〜24個の炭素原子(C14〜C24)を含むアルキル鎖である。それらは、炭化水素をベースとするアルキル鎖(炭素および水素原子)またはフッ素化またはペルフルオロ化アルキル鎖(炭素原子、フッ素原子かつ場合により水素原子)でよい。それらがフッ素化またはペルフルオロ化アルキル鎖であるとき、それらは少なくとも11個の炭素原子を含み、それらのうち少なくとも6個の炭素原子はフッ素化されている。
【0327】
「アルキル」と言う用語は、飽和基(不飽和を含まない)を意味すると理解される。
【0328】
本発明の特定の一実施形態によれば、半結晶性ポリマーは、C14〜C24アルキル(メタ)アクリレート、ペルフルオロ(C11〜C15)アルキル(メタ)アクリレート、N-(C14〜C24)アルキル(メタ)アクリルアミド(フッ素原子を含むまたは含まない)、C14〜C24アルキルまたはペルフルオロ(C14〜C24)アルキル鎖を含有するビニルエステル、C14〜C24アルキルまたはペルフルオロ(C14〜C24)アルキル鎖を含有するビニレンエーテル、C14〜C24α-オレフィン、C14〜C24アルキル基を有するパラ-アルキルスチレンから選択される、結晶化可能鎖を含有する少なくとも1種のモノマーの重合から得られるホモポリマーから、ならびにこれらのモノマーと、好ましくはメタクリル酸以外の、例えば、N-ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、アクリル酸などの親水性モノマーとの共重合によって得られるこれらのモノマーのコポリマーから選択される。このようなコポリマーは、例えば、C14〜C24アルキルアクリレート、C14〜C24アルキルメタクリレート、C14〜C24アルキルアクリルアミド、C14〜C24アルキルメタクリルアミドと、N-ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、またはその混合物とのコポリマーでよい。
【0329】
好ましくは、半結晶性ポリマーは、C14〜C24アルキルアクリレートおよびC14〜C24アルキルメタクリレートから選択されるモノマーの重合から得られるホモポリマー、ならびにC14〜C24アルキルアクリレートおよびC14〜C24アルキルメタクリレートから選択されるモノマーと、アクリル酸などの親水性モノマーとの共重合によって得られるコポリマーから選択される。
【0330】
本発明の組成物の半結晶性ポリマーは、架橋度が、それらの融解温度を超える加熱によって油性相におけるそれらの溶解または分散を妨げない限り、非架橋または部分的に架橋していてもよい。これは、ひいては重合の間の多官能性モノマーの反応による化学的架橋のことがある。これはまた、ポリマーによって担持されている基の間の水素結合または双極性型結合(例えば、カルボキシレートアイオノマーの間の双極性相互作用など、これらの相互作用は少量であり、ポリマーの骨格に担持されている)の確立、またはポリマーに担持されている結晶化可能ブロックおよびアモルファスブロックの間の相分離にひいては起因することがある、物理的架橋のことがある。
【0331】
好ましくは、本発明による組成物の半結晶性ポリマーは、架橋していない。
【0332】
本発明の特定の一実施形態によれば、半結晶性ポリマーは、C14〜C24アルキルアクリレートおよびC14〜C24アルキルメタクリレートから選択される結晶化可能鎖を含有するモノマーの重合によって得られるホモポリマーである。小冊子「Intelimer(登録商標)ポリマー」、Landec IP22に記載されている名称INTELIMER(登録商標)でLandecによって販売されているものについて特に言及することができる。これらのポリマーは、室温で固形である。それらは結晶化可能側鎖を担持し、飽和C14〜C24アルキルアクリレートまたはメタクリレートのホモポリマーに相当する。ステアリルアクリレートホモポリマー(INTELIMER IPA-13.1)(INCI名:ポリC10〜30アルキルアクリレート)、ベヘニルアクリレートホモポリマー(INTELIMER IPA-13.6)(INCI名:ポリC10〜30アルキルアクリレート)について、より特定すると記載することができる。
【0333】
本発明の別の特定の実施形態によれば、半結晶性ポリマーは、C14〜C24アルキルアクリレートまたはC14〜C24アルキルメタクリレートと、アクリル酸とのコポリマーである。このタイプのコポリマーとして、ベヘニルアクリレートとアクリル酸との共重合によって得られるコポリマー、およびステアリルアクリレートとアクリル酸との共重合によって得られるコポリマーについて言及することができる。
【0334】
本発明の好ましい一実施形態によれば、半結晶性ポリマーはホモポリマーであり、それは、ステアリルアクリレートホモポリマー(INTELIMER IPA-13.1)(INCI名:ポリC10〜30アルキルアクリレート)、ベヘニルアクリレートホモポリマー(INTELIMER IPA-13.6)(INCI名:ポリC10〜30アルキルアクリレート)、およびこれらの混合物から選択される。
【0335】
半結晶性ポリマーは、組成物の総重量に対して1〜50重量%、特に3〜45重量%、より特定すると、5〜40重量%の範囲の量で使用し得る。
【0336】
親油性ゲル化剤
本発明による組成物において使用することができるゲル化剤は、有機または鉱物、ポリマーまたは分子親油性ゲル化剤でよい。
【0337】
言及することができる鉱物親油性ゲル化剤には、任意選択で改質された粘土、例えば、C10〜C22脂肪酸塩化アンモニウムで改質されたヘクトライト、例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムで改質されたヘクトライト(例えば、名称BENTONE38V(登録商標)でElementisによって販売されている製品など)が含まれる。
【0338】
任意選択で疎水性表面処理をし、その粒径が1μ未満であるヒュームドシリカについてもまた言及することができる。具体的には、シリカの表面に存在するシラノール基の数を減らす化学反応によって、シリカの表面を化学的に修飾することが可能である。特に、シラノール基を疎水基で置換することが可能であり、疎水性シリカがしたがって得られる。疎水基は、下記でよい。
-ヘキサメチルジシラザンの存在下でヒュームドシリカを処理することによって特に得られるトリメチルシロキシル基。このように処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995)によると「シリル化シリカ」として公知である。それらは、例えば、参照名AEROSIL R812(登録商標)でDegussaによって、およびCAB-O-SIL TS-530(登録商標)でCabotによって販売されている、
-ポリジメチルシロキサンまたはジメチルジクロロシランの存在下でヒュームドシリカを処理することによって特に得られる、ジメチルシリルオキシルまたはポリジメチルシロキサン基。このように処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995)によると「ジメチルシリル化シリカ」として知られている。それらは例えば、参照名AEROSIL R972(登録商標)およびAEROSIL R974(登録商標)でDegussaによって、ならびにCAB-O-SIL TS-610(登録商標)およびCAB-O-SIL TS-720(登録商標)でCabotによって販売されている。
【0339】
疎水性ヒュームドシリカは特に、ナノメートルからマイクロメートルのことがある粒径、例えば約5〜200nmの範囲の粒径を有する。
【0340】
ポリマー有機親油性ゲル化剤は、例えば、三次元構造の部分的または完全に架橋したエラストマー有機ポリシロキサンである。例えば、名称KSG6(登録商標)、KSG16(登録商標)およびKSG18(登録商標)で信越化学工業によって、TREFIL E-505C(登録商標)およびTREFIL E-506C(登録商標)でDow Corningによって、GRANSIL SR-CYC(登録商標)、SR DMF10(登録商標)、SR-DC556(登録商標)、SR5CYC GEL(登録商標)、SR DMF10GEL(登録商標)およびSR DC556GEL(登録商標)でGrant Industriesによって、ならびにSF1204(登録商標)およびJK113(登録商標)でGeneral Electricによって販売されているもの、エチルセルロース、例えば、名称ETHOCEL(登録商標)でDow Chemicalによって販売されている製品、(α)少なくとも32個の炭素原子を含有するジカルボン酸から選択される少なくとも1種の酸(脂肪酸ダイマーなど)と、(β)アルキレンジアミン、特に、エチレンジアミンとの間の縮合によって得られるポリアミドタイプの重縮合物(ポリアミドポリマーは、12〜30個の炭素原子を含有する、少なくとも1個の飽和および直鎖状モノアルコールまたは1個の飽和および直鎖状モノアミンでエステル化またはアミド化されている少なくとも1種のカルボン酸末端基を含む)、特に、エチレンジアミン/ステアリルジリノレエートコポリマー(名称UNICLEAR100VG(登録商標)でArizona Chemicalによって販売されている製品など)、ポリオルガノシロキサンタイプのシリコーンポリアミド、例えば、文献US-A-5874069、US-A-5919441、US-A-6051216およびUS-A-5981680に記載されているもの、例えば、参照名DOW CORNING2-8179GELLANTおよびDOW CORNING2-8178GELLANTでDow Corningによって販売されているものなど、飽和または不飽和のアルキル鎖で置換されている、糖類毎に1〜6個、特に2〜4個のヒドロキシル基を含むガラクトマンナン(例えば、C1〜C6、特に、C1〜C3アルキル鎖でアルキル化されたグアーガム)、ならびにこれらの混合物。「ジブロック」、「トリブロック」または「ラジアル」タイプのブロックコポリマー、ポリスチレン/ポリイソプレンまたはポリスチレン/ポリブタジエンタイプのブロックコポリマー(名称LUVITOL HSB(登録商標)でBASFによって販売されている製品など)、ポリスチレン/コポリ(エチレンプロピレン)タイプのブロックコポリマー(名称KRATON(登録商標)でShell Chemical Co.によって販売されている製品など)、またはポリスチレン/コポリ(エチレン-ブチレン)タイプのブロックコポリマー、ならびにイソドデカン中のトリブロックおよびラジアル(星形)コポリマーの混合物(Penrecoによって名称VERSAGEL(登録商標)で販売されているものなど)、例えば、イソドデカン中のブチレン/エチレン/スチレントリブロックコポリマーおよびエチレン/プロピレン/スチレン星形コポリマーの混合物(VERSAGEL M5960)。
【0341】
本発明による組成物はまた、親油性ゲル化剤として、非乳化シリコーンエラストマーを含み得る。非乳化エラストマーは、特に特許出願特開昭61-194009、EP-A-242219、EP-A-285886およびEP-A-765656に記載されている。球状非乳化エラストマーとして、名称DC9040、DC9041、DC9509、DC9505およびDC9506でDow Corningによって販売されているものを使用することができる。球状非乳化シリコーンエラストマーはまた、例えば、特許US5538793に記載されているように、シリコーン樹脂、特にシルセスキオキサン樹脂でコーティングされているエラストマーの架橋オルガノポリシロキサン粉末の形態のことがある。このようなエラストマーは、名称KSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-103、KSP-104、KSP-105で信越化学工業によって販売されている。
【0342】
球形粉末の形状の他のエラストマーの架橋有機ポリシロキサンは、フルオロアルキル基で官能化されたハイブリッドシリコーン粉体でよい(特に名称KSP-200で信越化学工業によって販売されている、フェニル基で官能化されたハイブリッドシリコーン粉体、特に名称KSP-300で信越化学工業によって販売されている)。
【0343】
本発明による組成物において、Wackerによって名称BELSIL RG100、BELSIL RPG33、優先的にRG80で販売されているものなどの、MQ基を有するシリコーンエラストマーをまた使用してもよい。これらの特定のエラストマーは、本発明による樹脂と組み合わされるとき、それらを含む組成物の転移しない特性を改善することを可能にし得る。
【0344】
親油性ゲル化剤の中で、オルガノゲル化剤、特に、下記についてもまた言及することができる。
-一般式(I)のビス尿素誘導体、
【0345】
【化12】

【0346】
[式中、
-Aは、式の基であり、
【0347】
【化13】

【0348】
(式中、R'は、直鎖状または分岐状のC1〜C4アルキル基であり、*は、一般式(I)の化合物の他の部分の2個の窒素原子の各々への基Aの結合点を表す)、
-Rは、飽和または不飽和の非環状、モノ分岐状C6〜C15アルキル基であり、その炭化水素をベースとする鎖は、O、SおよびNから選択される1〜3個のヘテロ原子によって任意選択で中断されている]、または
特に、特許出願FR-A-2892303に記載されているその塩もしくは異性体、
-一般式(I)のシリコーンビス尿素誘導体、またはその塩および/もしくは異性体
【0349】
【化14】

【0350】
[式中、
-Aは、式(II)の基であり、
【0351】
【化15】

【0352】
(式中、R1は、直鎖状または分岐状のC1〜C4アルキル基であり、*は、一般式(I)の化合物の他の部分の2個の窒素原子の各々への基Aの結合点を表す)、
-同一または異なってもよいRおよびR'は、
-i)式(III)の基
【0353】
【化16】

【0354】
(式中、
-Lは、単結合または二価の炭素をベースとする基、特に、1〜18個の炭素原子を含み、かつ場合によりN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、直鎖状、分岐状および/または環状の飽和または不飽和の炭化水素をベースとする基(アルキレン)であり、
-Raは、
a)炭素をベースとする基、特に、1〜18個の炭素原子を含み、かつ場合によりN、O、SiおよびSから選択される1〜8個のヘテロ原子を含む、直鎖状、分岐状および/または環状の飽和または不飽和の炭化水素をベースとする基(アルキル)、あるいは
b)式のシリコーン基
【0355】
【化17】

【0356】
(式中、nは、0から100の間、特に1から80の間、またはそれどころか2〜20であり、
R2〜R6は、互いに独立に、炭素をベースとする基、特に、1〜12個、特に1〜6個の炭素原子を含み、かつ場合により1〜4個のヘテロ原子、特にOを含む、直鎖状または分岐状の炭化水素をベースとする基(アルキル)である)であり、
-RbおよびRcは、互いに独立に、
a)炭素をベースとする基、特に、1〜18個の炭素原子を含み、かつ場合によりN、O、SiおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、直鎖状、分岐状および/または環状の飽和または不飽和の炭化水素をベースとする基(アルキル)、
b)式の基
【0357】
【化18】

【0358】
(式中、nは、0から100の間、特に1から80の間、またはそれどころか2〜20であり、
R'2〜R'6は、互いに独立に、炭素をベースとする基、特に、1〜12個、特に1〜6個の炭素原子を含み、かつ場合により1〜4個のヘテロ原子、特にOを含む、直鎖状または分岐状の炭化水素をベースとする基(アルキル)である)から選択される)、
ならびに
-ii)O、S、FおよびNから選択される1〜3個のヘテロ原子を任意選択で含む、直鎖状、分岐状および/または環状の飽和または不飽和のC1〜C30アルキル基
から選択される]、
基Rおよび/またはR'の少なくとも1個は、特許出願FR-A-2900819に記載されているものなどの式(III)のものであることが理解される。
-特許出願FR-A-2894476に記載されているビス尿素誘導体。
【0359】
本発明による組成物において使用し得る他の親油性ゲル化剤の中で、10〜30個の炭素原子を含む脂肪アルコールについてもまた言及することができる。「10〜30個の炭素原子を含む脂肪アルコール」という表現は、10〜30個の炭素原子を含む、任意の分岐状または枝分かれしていない飽和または不飽和の純粋な脂肪アルコールを意味すると理解される。
【0360】
10〜26個の炭素原子、より良好には10〜24個の炭素原子、さらにより良好には14〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールが好ましくは使用される。
【0361】
使用することができる脂肪アルコールとして、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、オレイル、セテアリル(セチルアルコールおよびステアリルアルコールの混合物)、ベヘニルおよびエルシルアルコール、ならびにこれらの混合物について特に言及することができる。好ましくは、セチルアルコールまたはベヘニルアルコールを使用する。
【0362】
このような脂肪アルコールは特に、名称NAFOLでSasolによって販売されている。
【0363】
本発明による組成物において使用し得る親油性ゲル化剤の中で、デキストリンの脂肪酸エステル(パルミチン酸デキストリンなど)、特に、名称RHEOPEARL TL(登録商標)またはRHEOPEARL KL(登録商標)で千葉製粉によって販売されている製品についてもまた言及することができる。
【0364】
親油性ゲル化剤は、組成物の総重量に対して1〜60重量%、特に2〜50重量%、より特定すると、5〜40重量%の範囲の量で使用し得る。
【0365】
添加物
染料
本発明によれば、または本発明の有利な一実施形態によれば、問題となっている本発明の目的によれば、メイクアップ組成物は、粉末状染料から選択される少なくとも1種の染料を含む。
【0366】
粉末状染料は、顔料および真珠光沢剤から選択し得る。
【0367】
顔料は、白色または有色、鉱物および/または有機、およびコーティングまたは未コーティングであり得る。言及することができる鉱物顔料の中で、任意選択で表面処理した二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛または酸化セリウム、およびまた酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、クロム水和物およびフェリックブルーがある。言及することができる有機顔料の中で、カーボンブラック、D & Cタイプの顔料、およびコチニールカルミンまたはバリウムをベースとするレーキ、ストロンチウム、カルシウムまたはアルミニウムがある。
【0368】
真珠光沢剤には、任意の形状の虹色または非虹色有色粒子が含まれ、特に特定の軟体動物によってそれらのシェル中に生成され、または他に合成され、光学干渉による色彩効果を示す。真珠光沢剤の例として、酸化鉄でコーティングされたチタン雲母、オキシ塩化ビスマスでコーティングされた雲母、酸化クロムでコーティングされたチタン雲母、およびオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢顔料などの真珠光沢顔料について言及することができる。これはまた雲母粒子が関与することがあり、その表面で金属酸化物および/または有機染料の少なくとも2つの連続層が重なっている。真珠光沢剤はより特定すると、黄色、ピンク色、赤色、青銅色、オレンジ色、茶色、金色および/またはブロンズ色あるいは色合いを有し得る。
【0369】
本発明による組成物はまた、さらに、脂溶性染料および水溶性染料から選択される少なくとも1種の染料を含み得る。
【0370】
脂溶性染料は、例えば、スダンレッド、D&Cレッド17、D&Cグリーン6、β-カロテン、ダイズ油、スーダンブラウン、D&Cイエロー11、D&Cバイオレット2、D&Cオレンジ5、キノリンイエローおよびアンナットである。
【0371】
粉末状材料は、組成物の総重量に対して1〜15重量%、好ましくは5〜10重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0372】
一般に、これらの染料は、組成物の総重量に対して0.01重量%〜30重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0373】
特定の一実施形態によれば、酸化鉄は、組成物の総重量に対して0.01重量%〜15重量%、好ましくは0.01重量%〜10重量%の範囲の含量で存在する。
【0374】
繊維
本発明による組成物はまた、長くする作用を改善することができる繊維を含むことがある。
【0375】
「繊維」と言う用語は、LはDより非常に長く、Dは繊維の断面が内接する円の直径であるような、長さLおよび直径Dの物体を意味すると理解すべきである。特に、L/D比(または形状係数)は、3.5〜2500、特に5〜500、より特定すると、5〜150の範囲から選択される。
【0376】
本発明の組成物中において使用し得る繊維は、合成もしくは天然由来の鉱物または有機繊維でよい。それらは、短いまたは長い、個々または組織化されたもの、例えば、編んだもの、および中空または中実でよい。それらは、任意の形状を有してもよく、特に意図する特定の用途によって円形または多角形(四角、六角形もしくは八角形)断面を有してもよい。特に、それらの端部は、傷害を防止するためにとがっておらず、および/または研磨されている。
【0377】
特に、繊維は、1μm〜10mm、特に0.1mm〜5mm、より特定すると0.3mm〜3.5mmの範囲の長さを有する。それらの断面図は、2nm〜500μmの範囲、特に100nm〜100μmの範囲、より特定すると1μm〜50μmの範囲の直径の範囲内であることがある。繊維の重量または番手は、デニールまたはデシテックスで表される場合が多く、9kmの糸当たりのグラム重量を表す。特に、本発明による繊維は、0.15〜30デニール、特に0.18〜18デニールの範囲で選択される番手を有し得る。
【0378】
本発明の組成物中において使用し得る繊維は、硬質または非硬質繊維から選択することができ、合成または天然由来の鉱物または有機であることがある。
【0379】
さらに、繊維は、表面処理されていることもありそうでないこともあり、コーティングまたは未コーティングのこともあり、着色または未着色のこともある。
【0380】
本発明による組成物において使用し得る繊維として、ポリアミド(Nylon(登録商標))繊維などの非硬質繊維、またはポリイミドアミド繊維などの硬質繊維、例えば、名称KERMEL(登録商標)およびKERMEL TECH(登録商標)でRhodiaによって販売されているもの、または特に名称KEVLAR(登録商標)でDuPont de Nemoursによって販売されているポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)(または、アラミド)繊維について言及することができる。
【0381】
繊維は、組成物の総重量に対して0.01重量%〜10重量%、特に0.1重量%〜5重量%、より詳細には0.3重量%〜3重量%の範囲の含量で本発明による組成物中に存在し得る。
【0382】
化粧品活性剤
本発明による組成物において使用することができる化粧品活性剤として、抗酸化剤、保存剤、香料、中和剤、皮膚軟化剤、モイスチャーライザー、ビタミンおよびスクリーン剤、特に、日焼け止め剤について特に言及することができる。
【0383】
当然ながら、当業者であれば、本発明による組成物の有利な特性が、意図した添加によって悪影響を受けないように、または実質的に悪影響を受けないように、任意選択のさらなる添加物および/またはその量を必ず選択するであろう。
【0384】
メイクアップ除去および/またはクレンジング組成物
メイクアップ除去および/またはクレンジング組成物は、例えば、前記組成物の総重量に対して50重量%以上の、より良好には80重量%以上の含量の、主に水および/または水溶性溶媒を含み得る。
【0385】
このメイクアップ除去を行うため、少なくとも1本の指をこの組成物に染み込ませてもよい。変形形態として、支持体を染み込ませることを意図してもよく、したがって乾燥しまたは無水である。変形形態として、この支持体は、組成物を事前に染み込ませてもよい。
【0386】
この支持体は、demakeup(登録商標)ディスクなどの、任意選択で積層状である織布または不織布でよい。
【0387】
メイクアップおよびメイクアップ除去および/またはクレンジングキット
このキットは、メイクアップ除去および/またはクレンジング組成物と組み合わせた、本発明によるメイクアップ組成物を含み得る。
【0388】
このメイクアップ除去および/またはクレンジング組成物は、前記メイクアップ組成物と共に、別々に、1つの同じパッケージング物品中でパッケージし得る。
【0389】
メイクアップ組成物は、唇のためのメイクアップ化粧料(リップスティック、リップクリーム、リップグロスもしくはリップペンシルなど)、肌色のための製品、(ファウンデーション、ルースもしくは固形パウダー、フェースパウダーもしくはアイシャドウなど)、しわ防止製品、ほお紅、マスカラ、アイライナー、またはその他に体をメイクアップし、皮膚を着色するための製品でよい。
【0390】
メイクアップ除去および/またはクレンジング組成物は、上記で記載された通りでよい。
【0391】
特定の乳化系の使用に関する実施例
マスカラ配合物は、下記のように脱イオン水を使用して調製する。
【0392】
(実施例1)
本発明の外である組成物
【0393】
【表1】

【0394】
蜜蝋を、95℃で保存剤およびステアリン酸と共に融解する。次に、黒色酸化鉄を、Moritz装置を使用して分散させる。次に、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、次いでトリエタノールアミンおよびステアリン酸グリセリルを、Rayneri装置を使用して、95℃にした水に分散させる。Moritz撹拌機を使用して、エマルジョンが形成されるまで、水相を脂肪相に加える。このエマルジョンを冷却し、その間穏やかに撹拌する。約30℃で、ポリウレタンをゆっくり加える。
【0395】
この実施例において使用する製品
-名称TEGIN M PELLETSでEvonic Goldschmidt GmbH、Essenによって販売されているステアリン酸グリセリル、
-名称MIRASIL SMでRhodia Silicones S.A.S.、Lyonによって販売されているシメチコン、
-水に分散しているポリウレタンは、名称BAYCUSAN C1000でBayer MaterialScience LLC、Pittsburgh、PAによって販売されている、
他の成分を、当業者は容易に利用可能である。
【0396】
メイクアップ除去試験の結果は、さやが発生しないことである。
【0397】
(実施例2)
本発明による組成物1
【0398】
【表2】

【0399】
この組成物を上記と同様に調製する。乳化系のみを変更し、界面活性剤系を、セチルアルコール、20EOステアリルアルコール、2EOステアリルアルコールおよびセチルリン酸カリウムを含む乳化系に替える。
【0400】
この実施例において使用する製品
-名称PHYTOWAXリシン16L64および22L73でSOPHIMによって販売されているセチルアルコール、
-名称BRIJ78でUNIQEMAによって販売されているステアリルアルコール20(EO)、
-名称BRIJ72でUNIQEMAによって販売されているステアリルアルコール2(EO)、
-名称AMPHISOL KでGivaudanによって販売されているセチルリン酸カリウム、
-名称MIRASIL SMでRhodia Silicones S.A.S.、Lyonによって販売されているシメチコン、
-水に分散しているポリウレタンは、名称BAYCUSAN C1001でBayer MaterialScience LLC、Pittsburgh、PAによって販売されている、
他の成分を、当業者は容易に利用可能である。
【0401】
上記のプロトコルによるこのような組成物のメイクアップ除去試験の結果は、さやを伴うメイクアップ除去である。
【0402】
(実施例3)
本発明による組成物2
【0403】
【表3】

【0404】
この配合物は、下記のように調製する。
-水を95℃に熱し、Rayneri装置を使用して、保存剤、界面活性剤、ブチレングリコール、次いで顔料を分散させる。アクリルアミドコポリマーを加える。
-脂肪相を95℃で融解する。Rayneri撹拌機を使用して水相に加え、10分間撹拌し、次いで冷却させ、その間に穏やかに撹拌する。約30℃でポリウレタン、次いでエタノールをゆっくりと加える。
【0405】
この実施例において使用する製品
-名称SIMULSOL220でSEPIC S.A.、Parisによって販売されているステアリン酸PEG-200グリセリル、
-例えば、Celanese Chemical、Dallasによって販売されている1,3-ブチレングリコール、
-名称SIMULGEL600でSEPPIC S.A.、Parisによって販売されているアクリルアミドコポリマー、
-名称MIRASIL SMでRhodia Siliconesによって販売されているシメチコン、
-水に分散しているポリウレタンは、名称BAYCUSAN C1001でBayer MaterialScience LLC、Pittsburgh、PAによって販売されている、
他の成分を、当業者は容易に利用可能である。
【0406】
このような組成物によるメイクアップ除去試験の結果は、さやを伴うメイクアップ除去である。
【0407】
特定の親水性濃厚剤の使用に関する実施例
プロトコル
インビトロで組成物の「耐水性」を評価するために、下記のプロトコルによって後者を評価する。
-組成物は、2分の間隔で3×10回はらうことによって、30ノットのストレートな白人の毛髪の3種の試料(1cmの長さを有する60本のまつ毛)に塗布し(2cmの毛房長さ)、10回はらう各シリーズの間に製品を取り込ませる。次いで、各試料を、1時間の乾燥時間の間室温で乾燥させる。
【0408】
3種のメイクアップ試料を、20℃で所与の時間(1時間、24時間または1週間)水を含有するうつわ中に浸す。次いで、3種の試料を、Kimberly-ClarkからのWypall L40タイプの四角い布上で前後に5回ぬぐう。
-次いで、試料によって付着された痕跡の存在を評価する。
-0から9の間のスコアをこのように得られた痕跡に対してつける。試料によって付着された痕跡がないとき得られるスコアは0であり、非常に大きな痕跡が付着されたときに得られるスコアは9である。
【0409】
「耐皮脂性」という表現は、本出願によれば、水の代わりにスクアレンを含有するうつわに3種のメイクアップ試料を浸す(スクアレンは、皮脂の組成物中で18%の濃度で存在する)こと以外は、上記の耐水性についてと同じ測定プロトコルによって評価するインビトロの耐皮脂性を意味すると理解される。
【0410】
「摩擦に対する耐性」という表現は、本出願によれば、下記のプロトコルによって評価した摩擦に対するインビトロの耐性を意味すると理解される。
-組成物は、2分の間隔で3×10回はらうことによって、30ノットのストレートな白人の毛髪の3種の試料(1cmの長さを有する60本のまつ毛)に塗布し(2cmの毛房長さ)、10回はらう各シリーズの間に製品を取り込ませる。次いで、各試料を、1時間の乾燥時間の間室温で乾燥させる。
-次いで、メイクアップ試料を紙のシートの上に垂直に配置し、Keracils(登録商標)タイプの硬いブラシを使用して擦る(30回はらう)。紙のシート上に回収されたこのようにして形成される細粒の量を評価する。
-0から6の間のスコアを細粒のこの量に対してつける。紙のシート上に回収された細粒がない場合のスコアは0であり、非常に多くの量の細粒が回収された場合スコアは6である。
【0411】
マスカラ配合物は、下記のように脱イオン水を使用して調製する。
【0412】
(実施例1)
比較組成物
【0413】
【表4】

【0414】
この配合物は、下記のように調製する。
-水を95℃に熱し、Rayneri装置を使用して、保存剤、界面活性剤およびHEC、ブチレングリコール、次いで顔料を分散させる。アクリルアミドコポリマーを加える。
-脂肪相を95℃で融解する。Rayneri撹拌機を使用して水相に加え、10分間撹拌し、次いで冷却させ、その間に穏やかに撹拌する。約30℃でポリウレタン、次いでエタノールをゆっくりと加える。
【0415】
この実施例において使用する製品
-名称SIMULSOL220でSEPPIC S.A.、Parisによって販売されているステアリン酸PEG-200グリセリル、
-例えば、Celanese Chemical、Dallasによって販売されている1,3-ブチレングリコール、
-名称MIRASIL SMでRhodia Siliconesによって販売されているシメチコン、
-水に分散しているポリウレタンは、名称BAYCUSAN C1001でBayer MaterialScience LLC、Pittsburgh、PAによって販売されている、
他の成分を、当業者は容易に利用可能である。
【0416】
上記の耐性を評価するためのプロトコルによって、この組成物について下記の結果を得た。
【0417】
【表5】

【0418】
(実施例2)
親水性濃厚剤を有する組成物
【0419】
【表6】

【0420】
-水を95℃に熱し、Rayneri装置を使用して、保存剤、界面活性剤、ブチレングリコール、次いで顔料を分散させる。アクリルアミドコポリマーを加える。
-脂肪相を95℃で融解する。Rayneri撹拌機を使用して水相に加え、10分間撹拌し、次いで冷却させ、その間に穏やかに撹拌する。約30℃でポリウレタン、次いでエタノールをゆっくりと加える。
【0421】
この実施例において使用する製品
-名称SIMULSOL220でSEPPIC S.A.、Parisによって販売されているステアリン酸PEG-200グリセリル、
-例えば、Celanese Chemical、Dallasによって販売されている1,3-ブチレングリコール、
-名称PEMULEN TR2でLubrizolによって販売されている親水性濃厚剤、
-名称MIRASIL SMでRhodia Siliconesによって販売されているシメチコン、
-水に分散しているポリウレタンは、名称BAYCUSAN C1001でBayer MaterialScience LLC、Pittsburgh、PAによって販売されている、
他の成分を、当業者は容易に利用可能である。
【0422】
結果
上記の耐性を評価するためのプロトコルによって、この組成物について下記の結果を得た。
【0423】
【表7】

【0424】
このようにして、2種の組成物を比較することによって、PEMULENタイプの親水性濃厚剤を含有する本発明による組成物は、耐水性を相当に改善することが観察され、これは優れており持続性である。
【0425】
本発明による組成物はまた、優れた耐皮脂性を保持する。
【0426】
この組成物はさらに、摩擦に対する良好な耐性を有し、これは改善されている。
【0427】
親油性可塑剤の使用に関する実施例
プロトコル
上記の同じプロトコルを、試験する組成物の耐水性、耐皮脂性および摩擦に対する耐性を評価することを目的とする下記の実施例に適用する。
【0428】
マスカラ配合物は、下記のように脱イオン水を使用して調製する。
【0429】
(実施例1)
比較組成物
【0430】
【表8】

【0431】
この配合物は、下記のように調製する。
-水を95℃に熱し、Rayneri装置を使用して、保存剤、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、界面活性剤、ブチレングリコール、次いで顔料を分散させる。アクリルアミドコポリマーを加える。
-脂肪相を95℃で融解する。Rayneri撹拌機を使用して水相に加え、10分間撹拌し、次いで冷却させ、その間に穏やかに撹拌する。約30℃でポリウレタン、次いでエタノールをゆっくりと加える。
【0432】
この実施例において使用する製品
-名称SIMULSOL220でSEPPIC S.A.、Parisによって販売されているステアリン酸PEG-200グリセリル、
-例えば、Celanese Chemical、Dallasによって販売されている1,3-ブチレングリコール、
-名称TWEEN80でUniquemaによって販売されているポリソルベート80、
-名称MIRASIL SMでRhodia Siliconesによって販売されているシメチコン、
-水に分散しているポリウレタンは、名称BAYCUSAN C1001でBayer MaterialScience LLC、Pittsburgh、PAによって販売されている、
他の成分を、当業者は容易に利用可能である。
【0433】
上記の耐性を評価するためのプロトコルによって、この組成物について下記の結果を得た。
【0434】
【表9】

【0435】
このようにして、2種の組成物を比較することによって、PEMULENタイプの親油性可塑剤を含有する本発明による組成物は、耐水性を相当に改善することが観察され、これは優れている。
【0436】
本発明による組成物はまた、優れた耐皮脂性を保持し、摩擦への良好な耐性を有する。
【0437】
(実施例2)
親油性可塑剤を有する組成物
【0438】
【表10】

【0439】
この配合物は、下記のように調製する。
-水を95℃に熱し、Rayneri装置を使用して、保存剤、界面活性剤、ブチレングリコール、次いで顔料を分散させる。アクリルアミドコポリマーを加える。
-脂肪相を95℃で融解する。Rayneri撹拌機を使用して水相に加え、10分間撹拌し、次いで冷却させ、その間に穏やかに撹拌する。約30℃でポリウレタン、次いでエタノールをゆっくりと加える。
【0440】
この実施例において使用する製品
-名称SIMULSOL220でSEPPIC S.A.、Parisによって販売されているステアリン酸PEG-200グリセリル、
-例えば、Celanese Chemical、Dallasによって販売されている1,3-ブチレングリコール、
-名称SIMULGEL600でSEPPIC S.A.、Parisによって販売されているアクリルアミドコポリマー、
-名称MIRASIL SMでRhodia Siliconesによって販売されているシメチコン、
-水に分散しているポリウレタンは、名称BAYCUSAN C1001でBayer MaterialScience LLC、Pittsburgh、PAによって販売されている、
-名称CITROFLEX(登録商標)2でMorflexによって販売されているクエン酸トリエチル、
他の成分を、当業者は容易に利用可能である。
【0441】
結果
上記の耐性を評価するためのプロトコルによって、この組成物について下記の結果を得た。
【0442】
【表11】

【0443】
このように、2種の組成物を比較することによって、クエン酸トリエチルタイプの親油性可塑剤を含有する本発明による組成物は、耐水性が相当に改善されることが観察され、これは優れている。
【0444】
本発明による組成物はまた、優れた耐皮脂性を保持する。
【0445】
この組成物はさらに、摩擦に対する非常に良好な耐性を有し、これは有意に改善されている。
【0446】
本出願に亘り、「1つを含む」または「1つを有する」という表現は、別に特定されない限り、「少なくとも1つを含む」または「少なくとも1つを有する」を意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改善されたメイクアップ除去特性を有する、まつ毛または眉毛などのケラチン繊維をメイクアップするための組成物であって、連続水相中に、
-ポリウレタンの水性分散液を含み、前記分散したポリウレタンは、
A)次式によるプレポリマー
【化1】

(式中、
R1は、ポリエステルポリオール、特にポリエステルジオール由来の炭化水素をベースとする基を表し、
R2は、脂肪族または脂環式ポリイソシアネート由来の炭化水素をベースとする基を表し、
R3は、任意選択で低分子量の、任意選択でイオン基で置換されている、ジオール由来の炭化水素をベースとする基を表し、
nは、0〜5と等しく、
mは、>1である)と、
B)式
H2N-R4-NH2
による少なくとも1種の鎖延長剤
(式中、
R4は、イオン基または潜在的イオン基で置換されていないアルキレンまたはアルキレンオキシド基を表す)と、
C)式
H2N-R5-NH2
による少なくとも1種の鎖延長剤
(式中、
R5は、イオン基または潜在的イオン基で置換されているアルキレン基を表す)と
の反応生成物を含み、
-前記ポリウレタンは、前記組成物の総重量に対して5重量%以上の固形分の量で存在し、
-前記組成物は、1重量%未満のトリエタノールアミンを含む乳化系を含み、かつ粉末状材料から選択される染料を含む、組成物。
【請求項2】
前記ポリウレタンが、前記組成物の総重量に対して5重量%から15重量%の間の固形分の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリウレタンが、式
【化2】

(式中、R6は、ヒドロキシル末端を任意選択で有する水素原子またはアルキレン基を表し、R7は、ヒドロキシル末端を任意選択で有するアルキレン基を表す)を有する化合物由来であり、鎖の端部に位置し、かつ前記鎖を終端させる化合物を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
基R1が、少なくとも1種のジカルボン酸と少なくとも1種のジオールとの(重)縮合によって得られ、前記ジカルボン酸が、好ましくはアジピン酸から選択され、前記ジオールが、好ましくはヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、およびこれらの混合物から選択される、請求項1、2または3に記載の組成物。
【請求項5】
基R2が、脂環式ポリイソシアネート、特に、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、およびこれらの混合物から選択されるジイソシアネート由来である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
基R3が、ネオペンチルグリコール由来である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
基R4が、エチレンジアミン、ジエタノールアミン、およびこれらの混合物から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
基R5が、ジアミノスルホネートから選択され、好ましくはN-(2-アミノエチル)-2-アミノエタンスルホン酸のナトリウム塩である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記メイクアップ組成物が、
i)式(R-O)n-P=O(O-M)mのアルカリ金属アルキルホスフェートまたはホスフィンオキシド (Rは、セチルなどの直鎖状または分岐状のC8〜C22アルキル基を表し、nは、1、2または3と等しく、mは、0、1または2と等しく、m+nは、3と等しく、Mは、水素原子またはアルカリもしくはアルカリ土類金属を表し、好ましくはn=1およびm=2であり、Mは、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属である)、
ii)ステアレス-20、ステアレス-2などの、式R'-(OCH2CH2)p-OHのポリエトキシ化アルコール(R'は、直鎖状または分岐状のC1〜C30、好ましくはC8〜C24、またはより良好にはC12〜C18アルキルを表し、特にCH3-(CH2)17-を表し、pは、2から30の間、好ましくは2から20の間の整数を表す)、
iii)式R-CONH-C(COO-M)-C2H4-COO-M'のグルタミン酸塩(Rは、ステアリルなどの直鎖状または分岐状のC8〜C22アルキル基を表し、M'は、アルカリまたはアルカリ土類金属を表す)、ならびに
iv)グルコースと、直鎖状または分岐状のC8〜C22脂肪アルコール(セチルステアリルとして知られているセチルおよびステアリルの混合物など)との縮合によって得られるアルキルグルコシド
から選択される乳化系を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記乳化系が、セチルリン酸カリウム、ステアレス-2、ステアレス-20、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記乳化系が、ステアロイルグルタミン酸ナトリウムおよびセチルステアリルグルコシド、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(i)下記の式(1)の少なくとも1種のモノマー
【化3】

(式中、R1は、HまたはCH3またはC2H5を表し、すなわち、アクリル酸、メタクリル酸またはエタクリル酸モノマーである)と、
(ii)下記の式(2)のモノマーに相当する不飽和カルボン酸タイプの(C10〜C30)アルキルエステルの少なくとも1種のモノマー
【化4】

(式中、R2は、HまたはCH3またはC2H5、好ましくはHまたはCH3を表し、R3は、C10〜C30、好ましくはC12〜C22アルキル基を表す)と
の重合由来であるコポリマーから選択される少なくとも1種の親水性濃厚剤をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記親水性濃厚剤が、
(i)本質的にアクリル酸と、
(ii)上記の式(2)のエステル(式中、R2は、HまたはCH3を表し、R3は、12〜22個の炭素原子を有するアルキル基を表す)と、
(iii)架橋剤(共重合性ポリエチレン不飽和モノマー、例えば、フタル酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、およびメチレンビスアクリルアミドなど)と
を含むモノマーの混合物の重合から得られるポリマーから選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
組成物の総重量に対して2重量%以上の量で存在する少なくとも1種の親油性可塑剤をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記可塑剤が、
-少なくとも1種のカルボン酸と、少なくとも1種の(ポリ)オールとの反応に由来する(ポリ)エステル、例えば、クエン酸エステル(クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチルアセチル、クエン酸トリブチルアセチル、2-トリエチルヘキシルアセチルシトレート、およびこれらの混合物など、
-グリコールエーテル、
-N-エチル-o,p-トルエンスルホンアミド、
-カーボネート、
-ケトン、
およびこれらの混合物から選択される、請求項14に記載の組成物。

【公開番号】特開2011−140489(P2011−140489A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−281919(P2010−281919)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】