説明

アイオノマーを使用するポリマー触媒非活性化及び酸中和

重合反応器から排出されるオレフィンポリマー流中の活性触媒化学種を非活性化し、触媒剤残留物を中和するためのプロセスであって、少なくとも100g/molの分子量を有するアイオノマーを含む組成物を、前記触媒化学種を非活性化し、触媒残渣を中和するために少なくとも十分な量で、前記オレフィンポリマー流に添加すること、及びその後、得られたポリマー生成物を回収することを含むプロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規触媒失活剤及び/又は中和剤を使用してオレフィンポリマーを作製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンポリマー、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンは、多くの場合、遷移金属重合触媒を使用することによって製造され、そのためにポリマー中に少量の触媒残渣が残る。その後、典型的には、そうした残渣は、連続重合を防止しするために非活性化され、それらの非活性化生成物は、塩酸又は他の副生成物の存在に起因する着色体形成又は腐食を減少させるために中和される。通常、これは、脱揮前、溶融状態にある間に、又は重合反応器から排出されるポリマー含有生成物流中にある間に、前記ポリマーと1種又はそれ以上の添加剤を混合することによって遂行される。
【0003】
アルコール、フェノール、ジオール、ポリオール、多糖類、エーテル、エポキシド、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、二酸及び多酸、それらの無水物、エステル又は塩、ポリアルキレングリコール、及びアミン;脂肪酸塩;アルコール;ポリアルキレングリコール;ポリビニルアルコール;脂肪族アルコール;ならびにポリ(オキシアルキレン)化合物の塩を含む中和剤と場合によっては併用で、多種多様な非活性化剤、一般に、水及び水放出性化合物を含むヒドロキシル基含有化合物が、先行技術において利用又は開示されている。前述のものを開示している参考文献としては、EP−67,645、EP−71,252、GB−2,132,214、EP−A−140131、WO92/14766及びWO03/55920が挙げられる。
【0004】
典型的に、酸中和剤及び同様の化合物は、まず、触媒「失活」剤、例えば、水又はアルコールを利用し、次に、その反応混合物中の酸性化学種を掃除するために中和剤を添合する、2段階プロセスで添加される。短期間であっても強酸残留物の発生、及び掃去剤との反応によるその後の除去が、反応器の回収部内で高温でポリマーが触媒の酸残留物に暴露されるため、さらにその後、そうした酸性化学種を有効に抽出又は中和できないため、問題があることが証明されている。これにより、少量の酸、特にHClに起因して、その混合物中の揮発成分が富化してくる場合があり、及び再循環流に混ざってきて、再循環装置の腐食につながる場合がある。加えて、典型的な酸中和剤が、長期間にわたって分解又は酸化を受けやすいことは証明されている。加えて、ある種の化合物は、後続の溶融成形プロセス中にポリマーから分離し、ポリマー表面に移動する傾向があり、そこで、それらは、そのポリマー物品の所望の表面特性又は審美性を妨げるか、所望のポリマーブレンド又は組成物の添加剤又は他の成分と反応する。また、既知の酸掃去剤は比較的効率が悪いため、ポリマー中の触媒残渣レベル及び再循環流中の酸性化学種レベルを適切に低下させるには、過剰量が必要とされている。従って、ポリマー添加剤、特に、酸中和用添加剤のさらなる改善が望まれる。特に、低減された量の添加剤で等価の又は改善された性能を達成すること、及び場合によっては、さらなる中和を必要とする酸性副生成物の生成を伴わずに触媒非活性化を達成するために単一成分の使用が望まれる。
【0005】
米国特許第5,840,422号には、フルオロポリマーとポリエチレンのブレンドにおける酸掃去剤としてのアイオノマーの使用が開示されている。ポリマー組成物中の酸性化学種を掃去ためのアイオノマーの使用を開示している他の参考文献としては、米国特許第5,707,569及び米国特許第5,445,893号が挙げられる。脱揮前のプロセス流へのアイオノマーの添加、又は複合触媒失活−酸中和剤としてのアイオノマーの使用は、開示されていない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、重合反応器から排出されるオレフィンポリマー流中の活性触媒化学種を非活性化し、触媒残渣を中和するためのプロセスであって、少なくとも100g/molの分子量を有するアイオノマーを含む組成物を、少なくとも前記触媒化学種を非活性化し、触媒残渣を中和するために十分な量で、前記オレフィンポリマー流に添加すること、及びその後、得られたポリマー生成物を回収することを含むプロセスを提供する。
【0007】
もう1つの実施形態において、本発明は、重合反応器から排出されるオレフィンポリマー流中の活性触媒化学種を非活性化し、付随して触媒残渣を中和するためのプロセスであって、水又はヒドロキシル基含有有機化合物触媒失活剤と少なくとも100g/molの分子量を有するアイオノマーとを前記オレフィンポリマー流に添加すること、及びその後、得られたポリマー生成物を回収することを含むプロセスを提供する。
【0008】
さらなる実施形態において、本発明は、重合反応器から排出されるオレフィンポリマー流中の活性触媒化学種を非活性化し、付随して触媒残渣を中和するためのプロセスであって、少なくとも100g/molの分子量を有するアイオノマーから本質的に成る触媒失活及び酸中和組成物を前記オレフィンポリマー流に添加すること、及びその後、得られたポリマー生成物を回収することを含むプロセスを提供する。
【0009】
場合によっては従来の触媒失活剤と併用で、触媒非活性化剤及び/又は酸掃去剤として本アイオノマーを、特にポリマー脱揮前に、使用することにより、従来の酸中和組成物と比較して低減された量で用いながら、完全な触媒非活性化及び場合によっては、その生成物流と循環流の両方における酸性副生成物、特に、塩化物含有副生成物、例えば、塩酸の同時低減を、達成することができる。さらに、得られるポリマー組成物は、オレフィンポリマーとアイオノマーがより高い相溶性を有していることにより、後続の加工工程における添加剤の移動の発生が減少し、その後のポリマー組成物中の加工助剤又は他の添加剤への干渉が低減することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】中和剤添加前に触媒非活性化剤の添加を行う、本発明の重合プロセスの模式図である。
【図2】触媒非活性化剤添加と中和剤添加を同時に行う、本発明の重合プロセスの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
米国特許実務のために、本明細書において参照するいずれの特許、特許出願又は公報の内容も、特に、合成技術、原料、及び当分野における一般的知識の開示に関して、それら全体が本明細書に参照として組み込まれている(又はその対応US版が、そのように参照として組み込まれている)。相反する言明がない、文脈からの暗示がない、又は当分野において慣例的でない限り、すべての部及び百分率は、重量に基づく。
【0012】
本明細書において現れる場合、用語「含む」及びその派生語は、任意の追加の成分、工程又は手順の存在を、それらが本明細書において開示されていようと、いなかろうと、除外しないものと解釈する。一切の疑いを避けるために、用語「含む」を用いて、本明細書で特許請求の範囲に記載されているすべての組成物は、相反する明言がない限り、任意の追加の添加剤、アジュバント又は化合物を含む場合がある。対照的に、用語「から本質的に成る」は、本明細書において現れる場合、あらゆるそれに続く列挙の範囲からあらゆる他の成分、工程又は手順を除外する、すなわち、実施可能であるために必須でないものを除外する。用いられている場合、用語「から成る」は、具体的に明記又は列挙されていない一切の成分、工程又は手順を除外する。用語「又は」は、別段の記載がない限り、列挙されている要素を個々に及び任意の組み合わせで指す。
【0013】
本発明は、好ましくは、オレフィンポリマーを製造するためのプロセスを提供し、このプロセスは、重合ゾーンにおいて遷移金属化合物を含む触媒の存在下でオレフィンモノマーを重合して、オレフィンポリマーを形成する工程、及びその重合ゾーンからの終点又は下流で、前記で開示されているようなアイオノマーを含む組成物を添加する工程を含む。
【0014】
本明細書で使用するオレフィンポリマーとしては、1種又はそれ以上のオレフィンの付加重合によって形成された任意のポリマー、特に、1種又はそれ以上のC210α−オレフィンのホモポリマー及び共重合体が挙げられる。例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン又は4−メチル−1−ペンテンのホモポリマー;エチレンと1種又はそれ以上のC310α−オレフィン又はスチレンの共重合体;2種又はそれ以上のC310α−オレフィンの共重合体;エチレンと、1種又はそれ以上のC310α−オレフィンと、場合によってはスチレン又はC420ジオレフィンとの共重合体;及び1種又はそれ以上のC310α−オレフィンと、スチレン、C420ジオレフィン、又はスチレンとC420α−オレフィンの混合物との共重合体が挙げられる。適する共重合体としては、それぞれのポリマー鎖中に多数のモノマー残存物を含有するブロック又はランダムコポリマー;別途作製されたポリマーから吊り下がった1種又はそれ以上のモノマーのポリマーセグメントを含有するグラフトコポリマー;及び個々のポリマー成分の混合物を含有するコポリマーブレンド、例えば、比較的結晶質のポリマー成分のマトリックスと比較的ゴム状のポリマーのドメインとを含むブレンド、又は2種又はそれ以上のオレフィンポリマーの均質ブレンドが挙げられる。
【0015】
本明細書での使用に好ましいオレフィンポリマーは、アイソタクチックポリプロピレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及び高密度ポリエチレン(HDPE)である。非常に好ましいオレフィンポリマーは、遷移金属触媒を使用して、エチレンと、1つ又はそれ以上のC310α−オレフィン、特に、1−ブテン、1−ヘキセン又は1−オクテンとの共重合により製造されたLLDPE樹脂である。好ましくは、前記ポリマーは、0.85から0.98g/cc、さらに好ましくは0.87から0.95g/ccの密度、及び60,000から200,000の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0016】
非常に好ましいオレフィンポリマーは、1種又はそれ以上の遷移金属誘導体を含む触媒及び助触媒又は活性化剤を使用して作製される。適する遷移金属は、元素周期表の3から10族からの金属である。適する化合物の例としては、ハロゲン化チタン、ハロゲン化バナジウム、オキシハロゲン化バナジウムなど、又は酸化物、例えば、三酸化クロム、三酸化モリブデンなどが挙げられる。混合オキシハロゲン化物、ヒドロカルビルオキシド、混合ハロゲン化物及びヒドロカルビルオキシドも有利に使用される。助触媒又は活性化剤として、有機アルミニウム化合物、例えば、トリアルキルアルミニウム、塩化ジアルキルアルミニウム、混合有機アルミニウム−マグネシウム錯体又はポリマーもしくはオリゴマーアルミニウムオキシアルコキシド、例えばメチルアルモキサンを利用することができる。
【0017】
適する触媒としては、チーグラー・ナッタ触媒とフィリップス型触媒の両方、ならびに少なくとも1つの非局在化π電子含有配位子又は電子供与体配位子を有する遷移金属を含有する錯体が挙げられる。適する化合物としては、メタロセン、ハーフメタロセン、幾何拘束型触媒、シングルサイト触媒、及びポストメタロセン又はドナー錯体が挙げられ、それらの合成及び使用は、当業者には周知である。
【0018】
好ましくは、本発明において用いられるオレフィンポリマーは、ハロゲン、元素周期表の3から6族の遷移金属、ならびに場合によってはマグネシウム及び/又はアルコキシドと、有機アルミニウム助触媒、特に、チーグラー・ナッタ又はフィリップス型触媒とを含む、触媒組成物を使用して作製される。
【0019】
本発明のプロセスは、幾つかの異なる重合技術のいずれかに関連して行うことができる。適する技術としては、塊状重合、懸濁重合、スラリー重合、気相重合、溶液重合、及び高圧重合が挙げられる。こうした技術の代表は、例えば、非活性炭化水素溶剤の存在下、結果として生ずるポリマーの軟化点より上、好ましくは融点より上、典型的には80から300℃、好ましくは100から300℃、最も好ましくは130から275℃の平均重合温度で、1種又はそれ以上のオレフィンを重合する、溶液重合方法である。この重合圧は、典型的に、1から10MPaである。遷移金属触媒を使用する高温、高圧重合方法の実例となるのは、10から300MPaの重合圧下、130から300℃の重合温度で遷移金属重合触媒を供給することにより、エチレン又はエチレンと1種又はそれ以上のα−オレフィンの混合物を重合する方法である。溶液又はスラリー重合技術において使用される非活性炭化水素希釈剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ドデカン、及びこれらの混合物が挙げられる。オレフィンポリマーの分子量の制御には、典型的に、水素又は他の連鎖移動剤及び重合温度を使用する。
【0020】
本発明のプロセスでは、多数の重合工程を連続又は平行重合ゾーンにおいて、それぞれ同じ又は異なるタイプの触媒を使用して行うことができる。本触媒失活及び/又は中和組成物は、それらの重合工程の一部又はすべてにおいて使用することができるが、望ましくは、ポリマーは、最終重合ゾーンから排出されるまで回収せず、最終重合ゾーンから排出されたら、合流ポリマー生成物流を回収する。米国特許第5,869,575号には、直列又は並列で接続された別個の反応器において少なくとも1種の均一重合触媒及び少なくとも1種の不均一重合触媒が使用される、制御された組成及び分子量分布のポリマー組成物を作製するための重合プロセスが記載されている。
【0021】
好ましいプロセスによると、均一触媒組成物を収容している少なくとも1つの反応器において、溶液重合条件下、溶液プロセスで、エチレン及び場合によっては別のオレフィンを重合し、逐次的に、このポリマー溶液を、溶液重合条件下、不均一チーグラー触媒とエチレンと場合によっては別のアルファ−オレフィンとを収容している少なくとも1つの他の反応器に送って、追加のポリマーを形成し、そのポリマー溶液から溶剤を除去し、ポリマー組成物を回収する。使用される均一触媒は、望ましくは、上述したようなメタロセン又はポストメタロセン化合物である。
【0022】
本発明によると、触媒非活性化及び中和組成物は、重合ゾーンの終点又は重合ゾーンから下流で添加する。重合完了後に重合反応器又はゾーンから出てくる反応混合物は、オレフィンポリマー、未変化のモノマー、重合触媒(そのうちの一部は、まだ活性である場合がある)、及び場合によっては非活性炭化水素希釈剤又は溶剤(そうした希釈剤又は溶剤を使用するとき)を含有する。ポリマーが形成された後、遷移金属触媒又はその分解生成物を非活性にするために、脱揮装置又は他の回収装置に入る前の、適切な触媒分解及び酸性化学種の中和をもたらすために十分な時点で、その反応混合物と本組成物を混合する。減圧弁(もしあれば、重合ゾーンと重合仕上げ工程、例えばポリマー分離装置、との間に位置する)によって典型的には形成される、重合ゾーンの出口より前、出口、又は出口より後のいずれであってもよい位置で、混合を行うことができる。混合方法については、ポリマープロセス流と添加剤組成物流を、それら2つの流れを1つの流れに併せることによって、簡単に混合することができる。あるいは、触媒成分又はその分解生成物を本組成物と迅速に接触させることができるのであれば、任意の他の方法が利用可能であり得る。強制混合手段、例えば、1つ又はそれ以上のスタティックミキサー又はインラインミキサーを利用すると有利であることが判明した。添加剤組成物は、好ましくは、ポリマー及び任意の溶剤又は希釈剤を分離工程に付して未反応モノマー又は溶剤を除去する前に添加する。典型的に、そうした除去は、前記モノマー及び希釈剤を急速に蒸発させるために、高温もしくは減圧、又は両方で行う。そうした分離工程の1つ又は2つ又はそれ以上が連続して存在してもよい。本プロセスにおいて、ポリマー及びアイオノマーは、溶融ポリマー流の中に残存するが、未反応モノマー、希釈剤及び他のガスは、そこから除去される。所望される場合には、連続プロセスで、未反応モノマー、任意の希釈剤及び他のガスを分離することができ、場合によっては精製することができ、及び再びそのプロセスに再循環させることができる。
【0023】
ポリマー生成物中の中和された酸生成物の保有を最大する(その結果として、酸性化学種への再循環装置の暴露をできる限り完全に減少させる)及びポリマー生成物の特性の改変を回避するために、前記アイオノマーは、少なくとも100g/mol、さらに好ましくは少なくとも500g/mol及び最も好ましくは少なくとも5,000g/molの数平均分子量を有さなければならない。
【0024】
アイオノマーは、エチレン性不飽和酸もしくは酸無水物の(共)重合又は後述の酸基の他の組込み手段によって作製されたポリマー中のカルボン酸基、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基又はリン酸基の中和によって作製される公知のポリマーである。好ましいアイオノマーは、アクリル酸、メタクリル酸又は無水マレイン酸の部分又は完全中和ホモポリマー、ならびに前述のモノマーと、エチレン、プロピレン、エチレンとプロピレンの混合物、エチレンと1つ又はそれ以上の高級α−オレフィンの混合物、又はエチレンと1つ又はそれ以上の高級α−オレフィンと共役もしくは非共役ジエンの混合物とのコポリマー又はグラフトコポリマーが挙げられる。望ましくは、中和は、塩基性アンモニウム又は金属化合物、特に、水酸化アンモニウム、金属水酸化物、とりわけ、元素周期表の1、2、12及び13族から選択される金属の水酸化物を使用して行われる。適するアンモニウム塩は、それぞれのアンモニウムカチオン中に0から3個のC140ヒドロカルビル基を有するものである。
【0025】
ナトリウム又はカリウムに基づくアルカリ金属アイオノマー、特に、エチレン/アクリル酸又はエチレン/メタクリル酸の水酸化ナトリウム又はカリウム中和コポリマーは、本発明に関して特に有用である。高い中和度は、触媒中和剤としても、酸掃去剤としても作用するアイオノマーの有効性を増す点で有利である。望ましくは、前記アイオノマー樹脂中の酸基の10から100、より望ましくは15から100パーセントが中和されている。最も好ましいアイオノマーは、100から500,000、さらに好ましくは500から100,000、最も好ましくは5,000から50,000の数平均分子量、及び0.1から20モルパーセント、好ましくは0.5から15モルパーセントの酸基モノマー含有率を有するものである。本明細書で使用するためのアイオノマー樹脂の適する例は、商品名Surlyn(商標)が利用でき、これは、E.I.du Pont de Nemours and Companyから入手できる。アイオノマーは、カルボン酸含有ポリマーの酸基、例えば、商標Primacor(商標)のエチレン/アクリル酸コポリマー樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)の完全又は部分中和によって製造することもできる。
【0026】
追加の適するアイオノマーとしては、塩基性化合物の組み合わせ、特に、2つ又はそれ以上の金属水酸化物で、カルボン酸含有ポリマーの酸基を中和することによって作製されたハイブリッド樹脂が挙げられる。例えば、10パーセント中和されているナトリウムアイオノマーを、非ナトリウム塩基、例えば水酸化カリウムとさらに反応させて、さらにもしくは完全な中和を達成することができ、又は20パーセント中和されている亜鉛アイオノマーを水酸化ナトリウムと、例えば反応性押出しにより、さらに反応させて、酸官能基の更なる又は完全な中和を達成することができる。
【0027】
本発明の1つの実施形態において、アイオノマーは、水性反応媒質中の酸含有ポリマーの完全又は部分中和により水性分散液の形態で作製される。例えば、エチレンとアクリル酸又はメタクリル酸とのコポリマーは、前記樹脂を塩基、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化アンモニウムと95から110℃の温度で接触させることにより、25から35パーセントの固体含有率を有する水性分散液として容易に作製される。好ましい樹脂は、約17重量パーセントより大きいアクリル酸含有率及び約300g/10分より大きいメルトインデックスを有する、エチレンとアクリル酸とのコポリマーである。この手法で、その分散液に添加されるオレフィンポリマーの特性に有害であり得る界面活性剤、補助溶剤、塩又は保護コロイドの使用を伴わずに、比較的高い固体含有率で低粘度の分散液を作製することができる。この手法での水性アイオノマー分散液の作製に関する追加の詳細は、The Dow Chemical Companyから入手できる出版物「Preparation of Aqueous Dispersions of PRIMACORTM Copolymers」に開示されている。
【0028】
望ましくは、ニートの、又は溶液中の、又は水性分散液としてのアイオノマーを、オレフィンポリマー重量に基づき、少なくとも0.01重量パーセント、好ましくは少なくとも0.02重量パーセント、最も好ましくは少なくとも0.05重量パーセント、及びオレフィンポリマーの重量に基づき多くとも10重量パーセント、好ましくは多くとも5重量パーセント、最も好ましくは多くとも1.0重量パーセントの量で添加する。適する水性分散液又は溶液は、0.1から60重量パーセントのアイオノマーを含む。
【0029】
前記アイオノマーを前記ポリマーに組み込む方法は、実施成功にとって重要でない。1つの実施形態において、前記アイオノマーは、重合ゾーンの終点又は重合ゾーンから下流で、且つ、脱揮装置に入る前に添加される。重合完了後に重合反応器又はゾーンから出てくる反応混合物は、一般に、オレフィンポリマー、未変化のモノマー、重合触媒(このすべて又は一部は、まだ活性である場合がある)、ならびに場合によっては非活性炭化水素希釈剤及び/又は他の成分を含む。本発明の1つの実施形態において、従来の触媒停止剤、例えば、水、アルコール、CO2及びCOは、生成物流には実質的に含有されておらず、その量は、従来の実施において利用されるものより少なくとも低減された量である。
【0030】
前記アイオノマー及び前記ポリマー流は、脱揮前に、1つ又はそれ以上の静的混合要素を通過することにより、又は所望される場合は機械攪拌機の使用により、入念に混合することができる。本発明の好ましい実施形態に従ってアイオノマーを使用することにより、中和生成物は、ポリマーの回収に利用される一般的な温度、典型的には120から250℃、でオレフィンポリマーに容易に添合されるような粘度及び揮発性を有する。加えて、非常の望ましいアイオノマーは、水又は水性媒体に容易に分散又は溶解されるものである。前記アイオノマーの水性分散液又は溶液を使用することにより、その水性成分が触媒失活剤として作用し、同時に、前記アイオノマーが任意の酸性副生成物を中和する。
【0031】
好ましくは、未反応モノマー又は溶剤を除去するためにポリマー及び任意の希釈剤を分離工程に付す前に、前記アイオノマーをそれらの粉砕粒子のスラリーの形態で、適する溶剤もしくは希釈剤中の溶液もしくは分散液として、又は溶融ポリマーとしてニートでポリマー流に添加する。典型的に、そうした除去は、前記モノマー及び希釈剤を急速に蒸発させるために、温度を上昇させながら、もしくは圧力を低下させながら、又は両方で行う。所望される場合には、1つ又は2つ又はそれ以上のそのような分離工程が連続して存在してもよい。溶液重合プロセスにおいて、又は高温高圧重合プロセスにおいて、ポリマー、触媒残渣及びアイオノマーは、溶融ポリマー流の中に残存するが、未反応モノマー、希釈剤及び他の揮発成分は、そこから除去される。
【0032】
もう1つの実施形態では、前記アイオノマーを、水性分散液又は混合物の形態で導入し、少なくとも一部は、その分散液に含有される水との反応によって触媒非活性化を遂行し、同時に、そのアイオノマーとの反応による非活性化の結果として生じた酸副生成物を付随的に中和する。この実施形態において、水性分散液中のアイオノマーの濃度を調整して、過剰量のアイオノマーを使用せずに的確な触媒非活性化ならびに酸副生成物の掃去をもたらすことができる。この目的を達成する上で、アイオノマーの濃度は、水溶液又は水性分散液を作るための溶解限度を超える場合があり、及びその代わりとして、アイオノマーが主成分である混合物が利用される場合がある。好ましい水性分散液は、30から60パーセント、さらに好ましくは35から50パーセントのアイオノマーを含有するものである。アイオノマーの水性分散液を作るために適する技術は、当業者に公知であり、例えば、米国特許公開第5,206,279号、同第5,387,635号、又は同第2005/0100754号に開示されている。
【0033】
本発明のプロセスは、添付の図面を参照することによってさらに例証することができる。図1には、付随するモノマー供給1、溶剤供給2、触媒供給3及び助触媒供給4を有する反応器ユニット10を含む重合プロセスが模式的に示されている。多数の反応器が反応器ユニットを具備する場合があることは理解される。ポリマー含有反応混合物は、反応器ユニットを出て、供給11からの触媒非活性化剤と合流し、その後、1つ又はそれ以上のスタティックミキサーを好ましくは具備するミキサーユニット20に入る。そのミキサーユニットを出た後、供給21からの中和剤がその反応混合物と合流し、結果として生じた混合物が脱揮装置、30、に供給される。その反応混合物の揮発成分は、1つ又はそれ以上の段を具備する場合がある揮発装置によって分離され、回収され、導管31によって反応器ユニット10に運ばれる。非活性化され、中和された触媒残渣を含有する、回収されたポリマー生成物は、吐出し、33、で除去される。アイオノマーが、非活性化剤としても、中和剤としても働く場合、他の添加剤、例えば1種又はそれ以上の酸化防止剤及び/又は中和剤を、代わりに供給21から充填してもよい。
【0034】
図2には、付随するモノマー供給1、溶剤供給2、触媒供給3及び助触媒供給4を有する反応器ユニット10を含む類似の重合プロセスが示されている。ポリマー含有反応混合物は、反応器ユニットを出て、供給11からの触媒非活性化剤と供給14からの中和剤の混合の結果として生じる合流13と合流し、その後、ミキサーユニット20に入る。そのミキサーユニットを出た後、得られた混合物が脱揮装置ユニット、30、に供給される。その反応混合物中の揮発成分は、脱揮装置ユニットによって分離され、回収され、導管31によって反応器ユニット10に運ばれる。非活性化され、中和された触媒残渣を含有する、回収されたポリマー生成物は、吐出し、33で除去される。アイオノマーが、非活性化剤としても、中和剤としても作用する場合、他の添加剤、例えば1種又はそれ以上の酸化防止剤及び/又は中和剤を、代わりに供給14から充填してもよい。
【0035】
得られたオレフィンポリマーは、従来の添加剤、例えば、安定剤、UV吸収剤、静電防止剤、粘着防止剤、潤滑剤、顔料、無機又は有機フィラー、難燃性化合物、防滴剤、又は追加のポリマー(例えば、界面剤、例えばポリ(オキシアルキレン)ポリマーと場合によっては併用で、ゴムもしくはフッ素化ポリマー、特にフルオロエラストマー)と配合することができる。通常、そうした追加の添加剤は、望ましくは1種又はそれ以上の後続の配合プロセスにおいて添加されるが、本発明の範囲から逸脱することなく、本触媒非活性化及び酸中和剤と同時に1種又はそれ以上のそうした添加剤の添加を用いることができる。
【0036】
本発明に従って得られるポリマーは、優れた光学特性及び高い延伸比を必要とする用途、例えば、紡糸用途、射出成形、ブロー成形、回転成形、及びインフレートフィルム又はキャストフィルム用途をはじめとする多くのタイプの用途に適する。
【0037】
以下に挙げる特定の実施形態は、添付の特許請求の範囲の実施可能性として提供する。
1.重合反応器から排出されるオレフィンポリマー流中の活性触媒化学種を非活性化し、触媒残渣を中和するためのプロセスであって、少なくとも100g/molの分子量を有するアイオノマーを含む組成物を、少なくとも前記触媒化学種を非活性化し、触媒残渣を中和するために十分な量で、前記オレフィンポリマー流に添加すること、及びその後、得られたポリマー生成物を回収することを含むプロセス。
2.重合反応器から排出されるオレフィンポリマー流中の活性触媒化学種を非活性化し、付随して触媒残渣を中和するためのプロセスであって、水又はヒドロキシル基含有有機化合物触媒失活剤と少なくとも100g/molの分子量を有するアイオノマーとを前記オレフィンポリマー流に添加すること、及びその後、得られたポリマー生成物を回収することを含むプロセス。
3.重合反応器から排出されるオレフィンポリマー流中の活性触媒化学種を非活性化し、付随して触媒残渣を中和するためのプロセスであって、少なくとも100g/molの分子量を有するアイオノマーから本質的に成る触媒失活及び酸中和組成物を前記オレフィンポリマー流に添加すること、及びその後、得られたポリマー生成物を回収することを含むプロセス。
4.前記アイオノマーが、前記オレフィンポリマー流に、該ポリマー流の脱揮前に添加され、及び前記ポリマー生成物が、該ポリマー流の脱揮によって回収される、実施形態1から3のいずれか1つに記載のプロセス。
5.前記オレフィンポリマーが、遷移金属含有触媒組成物の使用により作製された、エチレンもしくはプロピレンのホモポリマー又はエチレンと1種又はそれ以上のC310α−オレフィンのコポリマーである、実施形態1から4のいずれか1つに記載のプロセス。
6.前記触媒組成物が、ハロゲン、元素周期表の3から6族の遷移金属、ならびに場合によってはマグネシウム及び/又はアルコキシド;ならびに有機アルミニウム助触媒を含む、実施形態1から5のいずれか1つに記載のプロセス。
7.前記アイオノマーが、エチレンとアクリル酸又はメタクリル酸とのコポリマーであって、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムによる部分又は完全中和コポリマーであり、前記コポリマーが、500g/molから5,000g/molの数平均分子量を有する、実施形態1から6のいずれか1つに記載のプロセス。
8.オレフィンポリマー重量に基づき0.01から10パーセントのアイオノマーが使用される、実施形態1から7のいずれか1つに記載のプロセス。
9.前記オレフィンポリマーが、遷移金属含有触媒組成物の使用により作製された、エチレンもしくはプロピレンのホモポリマー又はエチレンと1種又はそれ以上のC310α−オレフィンのコポリマーである、実施形態1から8のいずれか1つに記載のプロセス。
10.実施形態1から9のいずれか1つに記載のプロセスによって得られるポリマー生成物。
【0038】
以下の実施例によって、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。相反する明言がない、又は当分野において慣例的でない限り、すべての部及びパーセントは、重量に基づく。
【実施例】
【0039】
(実施例1及び比較例A)
アイオノマーの相対平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定する。中和レベルは、水酸化ナトリウムでの滴定によって決定する。メルトインデックス値は、ASTM−D−1238 Procedure A、Condition Eに従って、190℃/2.16kgで決定する。
【0040】
エチレン/1−オクテンポリマーは、それぞれが直列で運転される5リットルの容量の2つの連続攪拌式タンク反応器(CSTR)において調製される。これらの反応器は、断熱状態で反応器容量を保持するために外板を装備している。第一反応器への供給物は、20パーセントのエチレンを含有するC810n−アルカンの混合物を含み、これを30kg/時の速度で充填する。溶剤/エチレン供給物の温度は、15℃であり、その圧力を3.5MPaで維持する。1−オクテンは、別の流れとして第一反応器に添加する。追加の別の流れ、新たな溶剤により、同じn−アルカン混合物中のMgCl2担持TiCl4の懸濁液を含むチーグラー・ナッタプロ触媒を、約0.01g Ti/時の速度で第一反応器に注入する。前記プロ触媒は、本質的には米国特許第4,547,475号の手順に従って調製し、及びMg/Cl/Al/Tiをモル比13/35/4/1で含有する。このプロ触媒と一緒に、トリエチルアルミニウム助触媒を、1モルのTiにつき3.5モルのAlの量で供給する。エチレン/オクテン混合物の後続の重合中に、エチレンの約80パーセントが転化され、反応器温度は、180℃に上昇する。溶解したポリマーを含む反応混合物が第二反応器に入り、そこで約10パーセントの追加のエチレンが転化され、3.5MPaの圧力で反応温度を200℃に上昇させる。1時間当たり約5.2kgのポリマーが形成され、このポリマーは、3.0のメルトインデックス及び0.914g/cm3の密度を有し、約12パーセントの重合した1−オクテンを含有する。
【0041】
ポリマー、モノマー、溶剤及び助触媒を含有する生成物流が第二反応器を離れた後、20.5重量パーセントのアクリル酸単位を含有する水酸化ナトリウム中和エチレン/アクリル酸コポリマー(The Dow Chemical Companyから入手できるPOD(商標)5101)の40パーセント水性分散液の、そのポリマー負荷量に基づき、0.1重量パーセントを注入し、その後、その混合物をインラインスタティックミキサーに通す。その後、ヒンダードフェノール酸化防止剤(Ciba Geigy Corporationから入手できる、Irganox(商標)1010及びIrganox(商標)1076)及び安定剤(同じくCiba Geigy Corporationから入手できる、Irgafos(商標)168)を、エチレン/1−オクテンコポリマー重量に基づき、それぞれ、200ppm、250ppm及び1000ppmのレベルで添加する。
【0042】
その生成物流を3.5MPaで250℃に加熱し、二段脱揮プロセスで脱揮する。第一工程は、1.5MPa及び200℃で動作し、その後、そのポリマー流を250℃に再加熱し、フラッシュ容器に送り、そこで残存溶剤を真空下で除去する。その後、得られた溶融ポリマー流を溶融成形ダイ及び切断機に通し、水浴で冷却して、エチレン/1−オクテンコポリマーに基づき0.2パーセントの残留溶剤含有率及び400ppmのアイオノマー含有率を有する固体ペレットを得る。約25kgのポリマーを製造した後、重合を中止する。定常状態運転条件に達したら、脱揮装置から排出される未反応エチレンベント中のHCl含有率を決定する。
【0043】
中和剤及び触媒失活剤として水和ステアリン酸カルシウムを使用することにより調製する比較樹脂は、上記の混合アルカン溶剤中の2から3パーセントの水を含有する水和ステアリン酸カルシウムの9重量パーセント懸濁液(エチレン/1−オクテンコポリマー重量に基づき、1250ppm ステアリン酸カルシウム)を使用して、実質的に同じ手法で調製する。
【0044】
こうして製造したポリマー生成物を、押出し中のダイの上の気相でのHCl測定に付す。押出し実験は、19mmのスクリュー径及び40Dのバレル長を有する実験室規模のAPV Backer MP19TC共回転二軸スクリュー押出機を用いて行う。ゾーン1から7における温度分布は、10℃刻みで170℃から230℃であり、そのダイ温度は、240℃であり、溶融温度は、248℃と251℃の間である。その押出機を300rpm、57パーセントと74パーセントの間のトルク、及び2.9kg/時と3.1kg/時の間の押出量で運転する。サンプル容量の1リットル当たり1から10ppmの感度範囲を有するDrager管を使用してサンプルを回収する。押出し中に採取するサンプルは、ダイ開口部の0.7cm上に位置するそのDrager管の入口を用いて、520mL/分の流量で20分にわたって回収する。10ppmの値まで又は5分の最大サンプル時間に達するまで、520mL/分の流量でDrager管を使用することにより、エチレンベントガスの測定値も決定する。記録した値を1リットルのサンプルガスに対して正規化する。結果を表1に記載する。
【表1】

【0045】
上の結果は、アイオノマーが、より低い重量負荷量(400ppm アイオノマー対1200ppm ステアリン酸カルシウム)で用いられたときでさえ、より大きな触媒中和度及び酸掃去度を達成することを示している。加工中にポリマーから放出される揮発性酸性残渣が少ないばかりでなく、未反応エチレンベント流において測定されるHClレベルも有意に低く、その結果、再循環装置の腐食の減少につながる。アイオノマー触媒中和剤を使用すると、揮発した中和剤の蓄積のために再循環ライン又は他の後反応装置の汚れも観察されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合反応器から排出されるオレフィンポリマー流中の活性触媒化学種を非活性化し、触媒剤残留物を中和するためのプロセスであって、少なくとも100g/molの分子量を有するアイオノマーを含む組成物を、少なくとも前記触媒化学種を非活性化し、触媒残渣を中和するために十分な量で、前記オレフィンポリマー流に添加すること、及びその後、得られたポリマー生成物を回収することを含むプロセス。
【請求項2】
重合反応器から排出されるオレフィンポリマー流中の活性触媒化学種を非活性化し、付随して触媒残渣を中和するためのプロセスであって、水又はヒドロキシル基含有有機化合物触媒失活剤と少なくとも100g/molの分子量を有するアイオノマーとを前記オレフィンポリマー流に添加すること、及びその後、得られたポリマー生成物を回収することを含むプロセス。
【請求項3】
重合反応器から排出されるオレフィンポリマー流中の活性触媒化学種を非活性化し、付随して触媒残渣を中和するためのプロセスであって、少なくとも100g/molの分子量を有するアイオノマーから本質的に成る触媒失活及び酸中和組成物を前記オレフィンポリマー流に添加すること、及びその後、得られたポリマー生成物を回収することを含むプロセス。
【請求項4】
前記アイオノマーが、前記オレフィンポリマー流に、前記ポリマー流の脱揮前に添加され、及び前記ポリマー生成物が、前記ポリマー流の脱揮によって回収される、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記オレフィンポリマーが、遷移金属含有触媒組成物の使用により作製された、エチレンもしくはプロピレンのホモポリマー又はエチレンと1種又はそれ以上のC310α−オレフィンのコポリマーである、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記触媒組成物が、ハロゲン、元素周期表の3から6族の遷移金属、ならびに場合によってはマグネシウム及び/又はアルコキシド;ならびに有機アルミニウム助触媒を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記アイオノマーが、エチレンとアクリル酸又はメタクリル酸との水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム部分又は完全中和コポリマーであり、前記コポリマーが、500g/molから5,000g/molの数平均分子量を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
オレフィンポリマー重量に基づき0.01から10パーセントのアイオノマーが用いられる、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記オレフィンポリマーが、遷移金属含有触媒組成物の使用により作製された、エチレンもしくはプロピレンのホモポリマー又はエチレンと1種又はそれ以上のC310α−オレフィンのコポリマーである、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記触媒組成物が、ハロゲン、元素周期表の3から6族の遷移金属、ならびに場合によってはマグネシウム及び/又はアルコキシド;ならびに有機アルミニウム助触媒を含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記アイオノマーが、エチレンとアクリル酸又はメタクリル酸との水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム部分又は完全中和コポリマーであり、前記コポリマーが、500g/molから5,000g/molの数平均分子量を有する、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
オレフィンポリマー重量に基づき0.01から10パーセントのアイオノマーが用いられる、請求項7に記載のプロセス。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のプロセスによって得られるポリマー生成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−541530(P2009−541530A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516516(P2009−516516)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/013840
【国際公開番号】WO2007/149275
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】