説明

アクセス制御を伴うデータの送信を行うためのサーバ装置、プログラム、および方法

【課題】インターネット上のCGMサイトにおいて、特定の人に秘密にされていた情報を、時の経過や状況の変化に応じてその特定の人により利用可能とする手段を提供する。
【解決手段】CGMサイトを提供するサーバ装置11には、各サイトのコンテンツデータに対応付けて、そのサイトの閲覧およびそのサイトへの書込を許可するユーザを示すスコープを変更するトリガとなる条件を示すスコープ変更条件と、変更後のスコープを示す変更後スコープが設定されている。サーバ装置11は、スコープ変更条件が満たされると、現在のスコープを変更後スコープに変更するとともに、変更により新たにスコープに加えられたユーザに対し、サイトへのアクセスを招待する電子メールをサプライズメッセージとして送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介してデータを送信する技術に関し、より詳しくはネットワークを介したデータへのアクセス制御に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及に伴い、ブログ、SNS(Social Networking Service)、BBS(電子掲示板、Bulletin Board System)、口コミサイト等のCGM(Consumer Generated Media)サイトが広く人々に利用されている。CGMサイトは、非商業目的の一般ユーザが発信する情報を、インターネットを介して多数の一般ユーザに対し閲覧可能とするサイトである。
【0003】
例えば一般にブログとは、ブログの管理者の個人的な体験や日記、特定のトピックに関する感想等を時系列的に記録したものを、インターネットを介して任意の一般ユーザに対し閲覧可能としたサイトのことをいう。ブログの中には、ブログの管理者から発信された情報に対する閲覧ユーザからのコメントの書き込みを受け付けるものもある。
【0004】
また、例えば一般的にSNSとは、例えば趣味や居住地域、出身校、共通の友人、といった何らかのつながりをもった一般ユーザが会員として登録を受け、登録を受けた一般ユーザ間で各種の情報を交換することを可能としたサイトのことをいう。
【0005】
ブログとSNSとを融合したような日記サイトと呼ばれるCGMサイトも登場している。日記サイトにおいては、書き込みを行う本人のみ、もしくはその本人が許可した特定の人々のみがその本人の日記を閲覧可能である。つまり、日記サイトにおいては、サイト管理者がブログと同様に日々書き込む情報へのアクセスが、SNSと同様に特定の会員にのみ制限可能である。
【0006】
日記サイトの一例を示した非特許文献として、非特許文献1がある。非特許文献1には、「はてなダイアリーでは、自分の日記をプライベート(非公開)モードに変更し、公開したい特定の相手にだけ読ませるといったことが可能です。ご家族やご親戚、会社の同僚などのプライベートな情報を知っている相手に対して、自分のプライベートな日記を閲覧してもらいたいときなどにお使いください。」という記載がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】株式会社はてな、“はてなダイアリーヘルプ「日記をプライベートにする」”、[online]、[平成21年9月21日検索]、インターネット〈 URL:http://hatenadiary.g.hatena.ne.jp/keyword/%E6%97%A5%E8%A8%98%E3%82%92%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
CGMサイトに蓄積される情報は、そのCGMサイトにおいて情報を発信した一般ユーザの日常的な些細な思いや考えを示す情報であり、映画やドラマ、小説等と比較してノンフィクションな情報である。従って、CGMサイトに蓄積される情報は、その情報を書き留めた一般ユーザの心の記録であるとともに、その時代や社会環境を色濃く反映した世相の表現でもあり、CGMサイトを単に閲覧していた一般ユーザにとっても貴重な思い出となり得る情報である。
【0009】
そのような情報には、書き留めた人の心の中にのみしまっておきたいものや、特定の人以外には知られたくないものがある。上述した非特許文献1に開示されているプライベート設定を行ったブログの仕組みを用いれば、ブログサイトをサイト管理者本人のみが閲覧可能にしたり、特定の家族や知人のみに公開したりできる。
【0010】
上記のように、サイト管理者が全ての人もしくは特定の人以外に対し秘密にしたいと思う情報の中には、時間の経過や状況の変化によって、サイト管理者がむしろ秘密にしていた特定の人に閲覧してもらいたいと思う情報に変化するものがある。
【0011】
例えば、体育系の部活動の顧問兼監督の先生が、日々撮影した部員の写真を自分だけが閲覧および書込可能なプライベートな日記サイトにコメントとともにアップロードしているとする。そして、その先生は、部員を鬼監督として厳しく指導する傍ら、その日記サイトには個々の部員に対する内なる思いを書き込んでいるとする。
【0012】
鬼監督の内なる思いは、部員が現役で活躍している間はそれらの部員に知られてはならない。しかし、部員が卒業等により現役を引退した場合には、それらの部員に知られても問題はなく、むしろ鬼監督がどのような思いで部員を指導していたのかが部員に伝われば、現役時代に生じたかもしれない先生と部員との間の誤解が解消したり、現役時代に築かれた師弟の信頼関係がさらに強まったりするかも知れない。さらには、部員が将来、何らかの形で人々を指導していく際に、その日記サイトの情報が参考となるかも知れない。
【0013】
従って、鬼監督の日記サイトは、部員が現役である間はそれらの部員の閲覧を禁止し、部員が現役を引退した後はそれらの部員の閲覧を許可できることが望ましい。しかしながら、従来技術による場合、それらの閲覧の禁止や許可をサイト管理者が手動で個別に行う必要があり、面倒が伴う。特に、長期間の経過の後に閲覧を禁止していた人々に対する閲覧の許可を与える場合には、サイト管理者がその作業を忘れてしまう、多忙な中でいつの間にかその作業を行うチャンスを逃してしまう、といった可能性があり、望ましくない。
【0014】
本発明は、上述した事情に鑑み、インターネット上のCGMサイトにおいて、特定の人に秘密にされていた情報を、時の経過や状況の変化に応じてその特定の人により利用可能とする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を実現するために、本発明は、
1以上のデータの集まりであるデータ群を記憶する記憶手段と、
任意のユーザの装置から、前記データ群に対するデータの追加を要求する書込要求データを受信し、任意のユーザの装置から前記データ群に含まれるデータの送信を要求する閲覧要求データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された閲覧要求データの送信元の装置のユーザが、前記データ群に含まれるデータの送信先として許可する装置のユーザの範囲である閲覧スコープに含まれる場合に限り、前記受信手段により受信された閲覧要求データに応じてデータを当該閲覧要求データの送信元の装置に送信する送信手段と、
所定の条件が満たされた場合に、前記閲覧スコープを変更するスコープ変更手段と
を備え、
前記記憶手段は、前記受信手段により受信された書込要求データの送信元の装置のユーザが、前記データ群に含まれるデータの追加元として許可する装置のユーザの範囲である書込スコープに含まれる場合に限り、前記受信手段により受信された書込要求データに応じてデータを前記データ群に追加して記憶し、
前記記憶手段は、前記スコープ変更手段により変更される前の前記閲覧スコープに含まれず前記スコープ変更手段により変更された後の前記閲覧スコープに含まれるユーザの連絡先を示す連絡先データを記憶し、
前記スコープ変更手段による前記閲覧スコープの変更に伴い変更される前の前記閲覧スコープに含まれなかったユーザが変更された後の前記閲覧スコープに含まれるようになった場合に、当該含まれるようになったユーザの前記連絡先データにより示される連絡先に対し通知を行う通知手段を備える
サーバ装置を提供する(第1の実施態様)。
【0016】
上述した第1の実施態様において、
前記スコープ変更手段は、前記所定の条件が満たされた場合に、前記書込スコープを変更する
構成が採用されてもよい(第2の実施態様)。
【0017】
また、上述した第1または第2の実施態様において、
前記記憶手段は、登録を受けたユーザである登録ユーザの各々に関し当該登録ユーザの本人認証を行うためのデータである認証データを記憶し、
前記通知手段は、登録ユーザでないユーザの前記連絡先データにより示される連絡先に対し、ユーザの登録を促すメッセージを伴う前記通知を行い、
前記受信手段は、任意のユーザの装置から当該ユーザの登録を要求するユーザ登録要求データを受信し、
前記記憶手段は、前記受信手段により受信されたユーザ登録要求データに応じて当該ユーザ登録要求データの送信元の装置のユーザの認証データを記憶し、
前記受信手段は、任意のユーザの装置から当該ユーザの認証データを受信し、
前記受信手段により受信された認証データと前記記憶手段に記憶されている認証データとに基づき前記受信手段により受信された認証データの送信元の装置のユーザの本人認証を行う本人認証手段を備える
構成が採用されてもよい(第3の実施態様)。
【0018】
また、上述した第1乃至第3のいずれかの実施態様において、
所定の基準時刻からの経過時間を計測もしくは現在時刻を計測する計時手段を備え、
前記所定の条件は、所定の基準時刻から所定の時間が経過したこと、もしくは現在時刻が所定の時刻に達したことにより満たされる条件である
構成が採用されてもよい(第4の実施態様)。
【0019】
また、上述した第1乃至第3のいずれかの実施態様において、
前記記憶手段は、1以上のユーザの各々に関し当該ユーザの属性を示すユーザ属性データを記憶し、
前記所定の条件は、前記ユーザ属性データにより示されるユーザの属性の変化に伴い満たされる条件である
構成が採用されてもよい(第5の実施態様)。
【0020】
さらに、本発明は、
任意の装置との間でデータの送受信を行う機能を備えたコンピュータに、
1以上のデータの集まりであるデータ群を記憶する処理と、
前記データ群に対するデータの追加を要求する書込要求データを受信する処理と、
前記受信した書込要求データの送信元の装置のユーザが、前記データ群に含まれるデータの追加元として許可する装置のユーザの範囲である書込スコープに含まれる場合に限り、前記受信した書込要求データに応じてデータを前記データ群に追加して記憶する処理と、
前記データ群に含まれるデータの送信を要求する閲覧要求データを受信する処理と、
前記受信した閲覧要求データの送信元の装置のユーザが、前記データ群に含まれるデータの送信先として許可する装置のユーザの範囲である閲覧スコープに含まれる場合に限り、前記受信した閲覧要求データに応じてデータを当該閲覧要求データの送信元の装置に送信する処理と、
前記閲覧スコープに含まれるユーザの連絡先を示す連絡先データを記憶する処理と、
所定の条件が満たされた場合、前記閲覧スコープを変更する処理と、
前記閲覧スコープの変更に伴い変更される前の前記閲覧スコープに含まれなかったユーザが変更された後の前記閲覧スコープに含まれるようになった場合に、当該含まれるようになったユーザの前記連絡先データにより示される連絡先に対し通知を行う処理と
を実行させるプログラムを提供する(第6の実施態様)。
【0021】
また、本発明は、
1以上のデータの集まりであるデータ群を記憶しているサーバ装置が、前記データ群に対するデータの追加を要求する書込要求データを受信する書込要求データ受信ステップと、
前記サーバ装置が、前記書込要求データ受信ステップにおいて受信した書込要求データの送信元の装置のユーザが前記データ群に含まれるデータの追加元として許可する装置のユーザの範囲である書込スコープに含まれる場合に限り、前記受信した書込要求データに応じてデータを前記データ群に追加して記憶するデータ追加記憶ステップと、
前記サーバ装置が、前記データ群に含まれるデータの送信を要求する閲覧要求データを受信する閲覧要求データ受信ステップと、
前記サーバ装置が、前記閲覧要求データ受信ステップにおいて受信した閲覧要求データの送信元の装置のユーザが前記データ群に含まれるデータの送信先として許可する装置のユーザの範囲である閲覧スコープに含まれる場合に限り、前記受信した閲覧要求データに応じてデータを当該閲覧要求データの送信元の装置に送信する送信ステップと、
前記サーバ装置が、前記閲覧スコープに含まれるユーザの連絡先を示す連絡先データを記憶する連絡先データ記憶ステップと、
前記サーバ装置が、所定の条件が満たされた場合に、前記閲覧スコープを変更するスコープ変更ステップと、
前記サーバ装置が、前記スコープ変更ステップにおける閲覧スコープの変更に伴い変更される前の前記閲覧スコープに含まれなかったユーザが変更された後の前記閲覧スコープに含まれるようになった場合に、当該含まれるようになったユーザの前記連絡先データにより示される連絡先に対し通知を行う通知ステップと
を備える方法を提供する(第7の実施態様)。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の実施態様にかかるサーバ装置、第6の実施態様にかかるプログラム、もしくは第7の実施態様にかかる方法によれば、ネットワークを介してCGMサイトを閲覧可能なユーザの範囲が所定の条件が満たされたことをトリガとして変更され、その変更に伴い新たに閲覧が許可されることとなったユーザに対し通知が行われる。そして、通知を受け取ったユーザは、CGMサイトに蓄積されたデータをサプライズメッセージとして閲覧することが可能となる。
【0023】
本発明の第2の実施態様にかかるサーバ装置によれば、例えば新たに閲覧が許可されることとなったユーザに対し書込も許可される。その結果、CGMサイトに蓄積されたデータをサプライズメッセージとして閲覧したユーザは、そのCGMサイトに、例えば各々のメッセージの書き込み者に対する応答メッセージを書き込むことが可能となる。
【0024】
本発明の第3の実施態様にかかるサーバ装置によれば、登録の行われたユーザの本人認証が行われ、CGMサイトの閲覧や書込を行うためには、ユーザは本人認証を受けるための登録を行うことが要求される。そして、新たに閲覧が許可されることとなったユーザには、ユーザの登録を促す通知が送信される。この通知は、受け取ったユーザにとって、サプライズを伴う会員制CGMサイトへの招待状の役割を果たす。
【0025】
本発明の第4の実施態様にかかるサーバ装置によれば、所定の時間の経過もしくは所定の時刻に達したことを契機として、CGMサイトの閲覧を許可されるユーザの範囲が変更される。従って、例えば現役の生徒には閲覧が許可されていなかった先生により管理されるCGMサイトのコンテンツを、卒業式の後に、先生から生徒達にサプライズメッセージとして送る、といったことが可能となる。
【0026】
本発明の第5の実施態様にかかるサーバ装置によれば、あるユーザの属性の変化を契機として、CGMサイトの閲覧を許可されるユーザの範囲が変更される。従って、例えば両親が娘の成長日記を綴ったプライベートなCGMサイトのコンテンツを、娘の属性が「子どもの有無:無」から「子どもの有無:有」へと変化した際に、サプライズメッセージとして送る、といったことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかるシステムの全体構成を示した図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかるサーバ装置の機能構成を示した図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態にかかるユーザ属性DBの構成を示した図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態にかかるスコープ決定データ群の構成を示した図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態にかかるスコープ決定データ群の構成を示した図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態にかかるスコープ決定データ群の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[1.実施形態]
以下、本発明の具体例である実施形態を、図面を用いて説明する。
【0029】
[1.1.構成]
図1は、本発明の実施形態にかかるシステム1の全体構成を示した図である。システム1は、ブログ、SNS、BBS、静止画・動画共有サイト、口コミサイト等の各種のCGMサイトを提供するシステムである。
【0030】
システム1は、サイトのコンテンツを記憶し、システム1の利用者が使用する端末装置からの閲覧要求に応じてコンテンツを端末装置に送信したり、書込要求に応じてコンテンツにデータを追加したりするサーバ装置11と、システム1の利用者が使用する端末装置12を備えている。端末装置12はシステム1の利用者の数だけあり、その数は様々に変化する。
【0031】
端末装置12の各々は、ネットワーク21を介してサーバ装置11との間でデータ通信を行うことができる。ネットワーク21はインターネットとその他のネットワーク、例えばLAN(Local Area Network)や移動通信網等が互いに接続されたネットワークの集合体である。
【0032】
端末装置12は、ブラウザ機能およびメーラ機能を備えた一般的なパーソナルコンピュータ、携帯電話等であり、その構成の説明は省略する。
【0033】
サーバ装置11は、例えばネットワーク21を介して端末装置12との間でデータ通信を行う機能を備えたパーソナルコンピュータに、本発明にかかるアプリケーションプログラムに従った処理を実行させることにより実現される。ただし、それに代えて、サーバ装置11が、例えば以下に説明する各構成部の処理を行うハードウェアの集まりにより、いわゆる専用機として実現されてもよい。
【0034】
図2は、サーバ装置11の機能構成を示した図である。サーバ装置11はその機能構成部として、各種データを記憶する記憶部111と、あるサイトのコンテンツの閲覧もしくはそのコンテンツへの書込(以下、これらを総称して「コンテンツへのアクセス」という)を許可するユーザの範囲であるスコープを変更するスコープ変更部112と、スコープ変更部112からの要求に応じて現在時刻を示す現在時刻データを出力する計時部113と、ネットワーク21を介して他の装置から送信されてくるデータを受信する受信部114と、他の装置にネットワーク21を介してデータを送信する送信部115と、スコープが変更されたことを通知する電子メールをネットワーク21に送出する通知部116と、を備えている。
【0035】
さらに、サーバ装置11は、コンテンツへのアクセスを要求してくる装置のユーザの本人認証を行う本人認証部117と、スコープに基づき本人認証部117により本人認証を受け識別されたユーザによるコンテンツへのアクセスを制御するアクセス制御部118と、を備えている。
【0036】
スコープ変更部112は記憶部111に記憶されているスコープ決定データ群(後述)に含まれる条件データにより示される条件が満たされるか否かを判定する判定部1121を有している。スコープ変更部112は、判定部1121の判定結果に従い、条件が満たされた場合はスコープ決定データ群に含まれるスコープデータにより示される変更後スコープに現在のスコープを変更する。
【0037】
計時部113は、例えばネットワーク21を介して図示せぬ時計サーバ装置から現在時刻を示す現在時刻データを定期的に取得するとともに、基準時刻からの経過時間を常時計測している。そして、計時部113はスコープ変更部112からの要求を受けると、時計サーバ装置から取得した現在時刻データが示す時刻に現在時刻データの取得時刻からの経過時間を加算することで現在時刻を算出し、算出した現在時刻を示す現在時刻データをスコープ変更部112に引き渡す。なお、上述した計時部113の構成および動作は例示であって、現在時刻データの生成が他のいかなる構成や方法により行われてもよい。
【0038】
本人認証部117は、端末装置12のユーザにより入力され当該端末装置12から送信されたユーザIDおよびパスワードが受信部114により受信された場合、そのユーザIDおよびパスワードの組み合わせを含むレコードを記憶部111に記憶されているユーザ属性DB(Database)(後述)から検索し、その検索に成功した場合、当該端末装置12のユーザがユーザIDにより識別されるユーザ本人であると認証する。
【0039】
アクセス制御部118は、受信部114により端末装置12からコンテンツの閲覧を要求する閲覧要求データが受信された場合、本人認証部117による認証において識別された当該端末装置12のユーザが現在のスコープのうち閲覧に関するスコープである閲覧スコープに入っているか否かを判定する。そして、アクセス制御部118は、要求元の端末装置12のユーザが閲覧スコープに入っていると判定した場合は、送信部115に対し要求されたコンテンツデータの端末装置12に対する送信を指示する一方、閲覧スコープに入っていないと判定した場合は、送信部115に対し要求されたコンテンツデータの送信を指示せず、例えばアクセスできない旨の通知の端末装置12に対する送信を指示する。
【0040】
同様に、アクセス制御部118は、受信部114により端末装置12からコンテンツへの書込を要求する書込要求データが受信された場合、本人認証部117による認証において識別された当該端末装置12のユーザが現在のスコープのうち書込に関するスコープである書込スコープに入っているか否かを判定する。そして、アクセス制御部118は、要求元の端末装置12のユーザが書込スコープに入っていると判定した場合は、記憶部111に対し要求されたコンテンツデータへの追加データの書込を指示する一方、書込スコープに入っていないと判定した場合は、記憶部111に対する追加データの書込を指示せず、送信部115に対し、例えばアクセスできない旨の通知の端末装置12に対する送信を指示する。
【0041】
記憶部111には、システム1の利用者として登録されている登録ユーザの各々に関しユーザの属性を示すユーザ属性データを格納したユーザ属性DBが記憶されている。また、記憶部111には、システム1において提供される複数のサイトの各々に関し、そのサイトのコンテンツを示すコンテンツデータと、そのサイトのスコープを決定するためのデータであるスコープ決定データ群とが互いに対応付けられて記憶されている。
【0042】
図3は、ユーザ属性DBの構成を示した図である。ユーザ属性DBは、登録ユーザに各々対応する複数のレコードの集まりであり、各レコードはユーザの本人認証を行うためのユーザ認証データと、ユーザの各種属性を示すユーザ属性データにより構成されている。
【0043】
ユーザ認証データは、ユーザID(Identifier)とパスワードにより構成され、ユーザIDはユーザのメールアドレスである。なお、ユーザIDがメールアドレスを兼ねる代わりに、メールアドレスとは異なるユーザIDが用いられ、メールアドレスがそのユーザIDに対応付けてユーザ属性DBに記憶される構成が採用されてもよい。
【0044】
ユーザ属性データは、サブフィールドとして、例えば「性別」、「生年月日」、「婚姻」、「子どもの有無」・・・といった各種属性を示すデータを格納するフィールドを含んでいる。ユーザIDおよびパスワードにより本人認証された端末装置12のユーザは、自分の属性を示すユーザ属性データを変更することができる。例えば、子どものいなかったユーザに子どもができた場合、そのユーザは自分のユーザ属性データの「子どもの有無」を「無」から「有」に変更することができる。その変更の方法は、通常のサイトにおけるユーザ情報の変更の方法と同様であるため、その説明を省略する。
【0045】
記憶部111に記憶される各サイトに対応するコンテンツデータは、サイトの種別に応じて異なるが、いずれも従来のものと同様であるためその説明を省略する。
【0046】
図4は、各サイトに対応付けて、すなわち各コンテンツデータに対応付けて、記憶部111に記憶されているスコープ決定データ群の構成を示した図である。なお、図4に示されるデータは、一高と呼ばれるある高等学校のバスケ部の顧問兼監督の先生が、生徒である部員のうち今年度で卒業する3年生の部員(29期生の部員)の活動を記録した写真(静止画)およびビデオ(動画)をコメントとともに保存するための静止画・動画共有サイトに関するデータである。
【0047】
スコープ決定データ群には、以下のデータが含まれている。
サイトID:サイトの識別子。
サイト説明:サイトの内容説明。サイトのタイトルを示す。
管理者ID:サイトの管理者のユーザID。
コンテンツ種別:サイトに含まれるコンテンツが「静止画・動画共有」、「ブログ」、「SNS」、「BBS」、「口コミサイト」等のいずれであるかを示す。
サイトURL:サイトにアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)を示す。
現在のスコープ:現在有効なスコープを示すスコープデータ。「オリジナルスコープ」、「休眠中」、「変更後スコープ」のいずれか。なお、「休眠中」はいずれのユーザのアクセスも許可しない特殊なスコープを意味する。
【0048】
オリジナルスコープ:サイトの生成時におけるスコープを示すスコープデータ。
スコープ変更条件:現在のスコープが「オリジナルスコープ」もしくは「休眠中」である場合において、スコープを変更後スコープに変更するトリガとなる条件を示す条件データ。
変更後スコープ:スコープ変更条件が満たされた後に採用されるスコープを示すスコープデータ。
通知メッセージ:スコープの変更に伴い新たに閲覧スコープに含まれるようになったユーザのメールアドレス宛に送られる通知に含まれるべきメッセージを示す。
【0049】
オリジナルスコープおよび変更後スコープの各々を示すスコープデータには、閲覧スコープを示す閲覧を許可するユーザのユーザID群と、書込スコープを示す書込を許可するユーザのユーザID群とが含まれる。それらのユーザIDには、登録ユーザのユーザID、すなわちユーザ属性DBに登録されているユーザのメールアドレスと、非登録ユーザのユーザID、すなわちユーザ属性DBに登録されていないユーザのメールアドレスとが含まれ得る。
【0050】
登録ユーザのユーザIDと非登録ユーザのユーザIDとを区別するため、登録ユーザのユーザIDにはその末尾に(s)が付されている。この(s)は、オリジナルスコープおよび変更後スコープに変更が加えられた場合や、ユーザ属性DB(図3参照)に新たにユーザが登録された場合に、サーバ装置11がユーザ属性DBに登録されているメールアドレスと、オリジナルスコープもしくは変更後スコープに含まれているメールアドレスとを比較することにより、自動的に付加する。
【0051】
[1.2.動作]
続いて、システム1の動作を説明する。ただし、システム1の動作は、従来のCGMサイトの提供システムと比較し、サイトの管理者が手動により行う指示や、予めスコープ決定データ群において設定されている条件が満たされたことをトリガとして、スコープが変更される点に特徴がある。従って、以下にその点を中心に説明を行い、従来のシステムと共通する動作についてはその説明を省略する。
【0052】
[1.2.1.第1ケース]
第1のケースとして、図4に示したスコープ決定データ群が対応付けられた静止画・動画共有サイト、すなわち「一高バスケ部(29期生)の活動記録」に関し、どのようにスコープが変更されてゆくかにつき説明する。まず、図4に示されるように、現在のスコープはオリジナルスコープであるものとする。オリジナルスコープの閲覧スコープおよび書込スコープには、各々、このサイトのサイト管理者である先生のメールアドレスのみが含まれている。従って、このサイトは現在、サイト管理者のみにアクセスが許可された完全なプライベートサイトとなっている。これは、このサイトにおいて記録の対象となっている一高バスケ部の29期生が現在、まだ現役の部員として活躍しているためである。
【0053】
このサイトのスコープ決定データ群のスコープ変更条件には、「2010年3月20日になった時」が設定されている。このデータは、現在時刻が2010年3月20日0時00分になったら、現在のスコープを変更後スコープに変更することを指示するものである。2010年3月20日は、一高の卒業式の日の翌日であり、その日がスコープ変更の日となるように、予めサイト管理者がこのスコープ変更条件を設定している。
【0054】
このサイトのスコープ決定データ群の変更後スコープには、閲覧スコープとして、サイト管理者のメールアドレスと、一高29期生のバスケ部員全員のメールアドレスが登録されている。なお、部員のある者は登録ユーザであり、ある者は非登録ユーザである。サイト管理者は、部員の各々からメールアドレスを教えてもらい、それらを予め閲覧スコープに登録している。なお、各々のメールアドレスが登録ユーザのものであるか非登録ユーザのものであるかをサイト管理者がチェックする必要はない。既に述べたように、それらを区別する(s)はサーバ装置11により自動的に付加される。
【0055】
また、このサイトのスコープ決定データ群の変更後スコープには、書込スコープとして、いずれのユーザにも許可しないことを意味する「nobody」が登録されている。
【0056】
サイト管理者は、上記のようなスコープ決定データ群をサイト生成時、もしくはサイト生成後あまり時間を置かずに設定し、その後は日々、写真やビデオとそれらに対するコメントとを示すデータをサーバ装置11にアップロードすることで、サイトのコンテンツを増やしていく。
【0057】
その後、3年生が部活動から引退し、大学受験や就職活動に専念するようになると、サイト管理者がこのサイトを更新することはほとんどなくなり、そのうち、このサイトはサイト管理者の意識から薄れていく。
【0058】
そして、3年生が卒業を迎えた翌日になると、サーバ装置11のスコープ変更部112が有する判定部1121によりスコープ決定データ群のスコープ変更条件が満たされたと判定される。その判定の結果に従い、スコープ変更部112はスコープ決定データ群の「現在のスコープ」欄のデータを「変更後スコープ」に変更する。
【0059】
スコープ変更部112による現在のスコープの変更に伴い、通知部116は変更前の閲覧スコープに含まれておらず変更後の閲覧スコープに含まれているメールアドレスを抽出する。この場合、変更後の閲覧スコープに含まれているメールアドレスのうちサイト管理者のメールアドレスを除く全てのメールアドレス、すなわち一高29期生のバスケ部員全員のメールアドレスが抽出される。
【0060】
通知部116は、上記のように抽出したメールアドレスのうち末尾に(s)の付加されたもの、すなわち登録ユーザのメールアドレスに宛てて、スコープ決定データ群に通知メッセージとして登録されているデータに従い、「鬼監督 山田太郎先生から一高29期生の元バスケ部員に素敵(?)なプレゼントがあるぞ! プレゼントが欲しい奴は http://ichiko_basketballclub_29kisei.sakigakecgm.com/ に今すぐアクセスしろ!」というメッセージを含む電子メールを生成する。
【0061】
また、通知部116は、上記のように抽出したメールアドレスのうち末尾に(s)の付加されていないもの、すなわち非登録ユーザのメールアドレスに宛てて、上述のメッセージに加え、例えば「このメッセージで招待されているサイトへアクセスするためにはユーザ登録が必要です。ユーザ登録のために、今すぐhttp://userregistration.sakigakecgm.com/ にアクセスして下さい。」といったメッセージを含む電子メールを生成する。
【0062】
通知部116は、上記のように生成した電子メールを送信部115に引き渡し、ネットワーク21に送出する。
【0063】
一高29期生の元バスケ部員の各々は、卒業式の翌日に電子メールにてバスケ部顧問の先生からのメッセージを受け取ると、既に登録ユーザであればサーバ装置11へのログイン作業を通常どおり行った後、電子メールにて通知された
http://ichiko_basketballclub_29kisei.sakigakecgm.com/ にアクセスすることができる。
【0064】
また、まだ登録ユーザでない場合、元バスケ部員は電子メールにて通知された http://userregistration.sakigakecgm.com/ にアクセスしユーザ登録を終えた後、
http://ichiko_basketballclub_29kisei.sakigakecgm.com/ にアクセスすることができる。
【0065】
ユーザ登録の手続きの方法は、既存のいずれの方法が採用されてもよい。例えば、登録を受けるユーザのユーザ属性データとともに、登録を受けるユーザが自分で決めたパスワードを含むユーザ登録要求データが端末装置12からサーバ装置11に送信され、サーバ装置11において、ユーザ登録要求データに含まれるパスワードが、ユーザ属性データとともにユーザ属性DBに登録される方法が採用されてもよい。また、端末装置12からサーバ装置11に対しユーザ属性データを含むユーザ登録要求データが送信され、サーバ装置11において、ユーザ登録要求データに応じてパスワードが生成され、生成されたパスワードがユーザ登録要求データとともにユーザ属性DBに登録されるとともに、生成されたパスワードがサーバ装置11から端末装置12に通知される方法が採用されてもよい。
【0066】
上記の結果、元バスケ部員は、顧問の先生が部活動において日々、自分達に抱いていた思いを知ることができる。このように、顧問の先生が日々、蓄積した記録は、1日、2日程度で記憶に頼って書き上げられるメッセージと比較し、部員達にとって、よりリアリティのある先生からのメッセージとなる。
【0067】
上記のように、システム1によれば、サイト管理者は、将来誰かに伝えたいと思うメッセージを日々の生活の中で徐々に蓄積していくことができる。また、伝えたいと思うタイミングを予めスコープ変更条件として設定しておくことにより、そのタイミングの到来を忘れたり、そのタイミングにおいて多忙であったり、という理由でメッセージを伝えるタイミングを逃す、という危険を回避することができる。その結果、サイト管理者となるユーザは、従来はなかなか伝えることが難しかった日々の些細な、しかしながらリアリティに満ちた思いを、自分の希望する人に伝えることができるようになる。
【0068】
[1.2.2.第2ケース]
第2のケースとして、両親が娘の成長日記を公開し、子育てに関する情報を交換することを目的として設けられたブログサイトのスコープが、システム1において変更される様子を説明する。
【0069】
図5は、このサイトのスコープ決定データ群を示した図である。このサイトの現在のスコープは、「休眠中」となっている。これは、娘が大きくなるに従い、サイト管理者の両親がこのサイトを更新する頻度が低くなったため、娘が中学生になったのを機に休眠させることにし、そのための設定をサーバ装置11に対し行ったためである。そのため、サイト管理者の両親を含め、誰もこのサイトのコンテンツを閲覧したり、このサイトへ新たな書込を行ったりすることができず、一般のユーザにとってはこのサイトは閉鎖されたサイトとして認識されている。
【0070】
このサイトは、かつて娘がまだ幼く休眠化される前には、オリジナルスコープに従い任意のユーザ(非登録ユーザを含む)の閲覧と、任意のユーザの書込(ただし、サイト管理者による検閲あり)が許可されていた。そして、サイト管理者である両親が日々書き込んだブログのコンテンツと、そのコンテンツに対し様々な読者から書き込まれたコメントが蓄積されている。
【0071】
このサイトのスコープ決定データ群には、スコープ変更条件として「ユーザID:chihiro_k@mail.co.jp(s)の属性:子どもの有無が無から有に変更された時、または、2030年4月1日になった時」が設定されており、変更後スコープの閲覧スコープには娘のメールアドレスであるchihiro_k@mail.co.jp(s)が登録されている。
【0072】
スコープ変更部112が有する判定部1121は、ユーザ属性DBの内容に変更が行われると、各サイトのスコープ決定データ群に含まれるスコープ変更条件が、変更後のユーザ属性DBの内容に照らし、新たに満たされることになったか否かを判定する。また、判定部1121は、所定の時間間隔、例えば1時間毎に計時部113から現在時刻データを受け取り、各サイトのスコープ決定データ群に含まれるスコープ変更条件が、受け取った現在時刻データにより示される現在時刻に照らし、新たに満たされることになったか否かを判定する。
【0073】
従って、このサイトの場合、将来、この娘が子どもをもうけ、サーバ装置11に登録されている自分のユーザ属性データのうち「子どもの有無」を「無」から「有」に変更するか、そのようなユーザ属性データの変更が行われないまま2030年4月1日になった時、判定部1121によりスコープ変更条件が満たされることになった、と判定される。その判定の結果に従い、スコープ変更部112は現在のスコープを「休眠中」から「変更後スコープ」に変更する。
【0074】
スコープ変更部112による現在のスコープの変更に伴い、通知部116は変更前の閲覧スコープに含まれておらず変更後の閲覧スコープに含まれているメールアドレスとして娘のメールアドレスを抽出し、そのメールアドレスに宛てて、通知メッセージとしてスコープ決定データ群に設定されているメッセージを含む電子メールを生成し、生成した電子メールを送信部115に引き渡し、ネットワーク21に送出する。
【0075】
娘は、まだこのサイトが開いていた頃にこのサイトに立ち寄ったことがあるかも知れないし、ないかも知れない。また、このサイトの存在を知っていたかも知れないし、全く知らなかったかも知れない。いずれにしても、サーバ装置11から送られてくる電子メールは、娘にとっては両親からのサプライズメッセージとなる。
【0076】
そして、このサイトにアクセスした娘は、両親が昔、どのような気持ちで自分を育てたか、また子育て中に生じたいろいろな問題や困難にどのように対応したか、そしてそれを目にした一般のブログ読者がどのように思ったか、といった情報に触れることができる。それは、両親やそれを見守る人々のリアリティに満ちた思いを示す情報であるとともに、娘が自分の子どもを育てていく上での貴重な指針となり得る情報である。
【0077】
[1.2.3.第3ケース]
第3のケースとして、結婚を予定している男女(以下、結婚の前後を通じて、この男女の各々を便宜的に「新郎」「新婦」と呼ぶ)に対し、その新郎・新婦の知人・友人が祝福のメッセージを送ることを目的として設けられたSNSサイトのスコープが、システム1において変更される様子を説明する。
【0078】
図6は、このサイトのスコープ決定データ群を示した図である。このサイトの現在のスコープはオリジナルスコープで、オリジナルスコープには、新郎・新婦の知人・友人のメールアドレスが閲覧スコープおよび書込スコープの両方に登録されている。この閲覧スコープ、書込スコープには、既に登録されている登録ユーザの紹介により、新たな登録ユーザの追加が可能となっている。これは、多くのSNSサイトで採用されている紹介制と同様である。従って、サイト管理者は、サイトの立ち上げ時に新郎・新婦の知人・友人の数人を登録するだけでよい。
【0079】
このサイトにおいて、新郎・新婦の知人・友人は、例えば新郎や新婦の昔の思い出を語り合ったり、先に結婚をした者は自分の体験からアドバイスを送ったり、自由に書込を行うことができる。ただし、祝福の目的から外れるメッセージは、サイト管理者の判断により公開されず削除される。
【0080】
このサイトのスコープ決定データ群には、スコープ変更条件として「2009年10月3日になった時」が設定されている。これは、結婚式の1週間後である。サイト管理者は、結婚式やその披露宴、二次会等に出席した人がその感想を書き込んだり、結婚式等に出席できなかった人が駆け込みでメッセージを書き込んだりできるように、結婚式のすぐ後ではなく、1週間後にこのサイトに蓄積されたメッセージを新郎・新婦に送ることにしている。
【0081】
従って、結婚式が開かれ、その後、1週間が経過した時点で、このサイトの現在のスコープが「オリジナルスコープ」から「変更後スコープ」に変更される。変更後スコープには、閲覧スコープとして知人・友人のメールアドレスと新郎・新婦のメールアドレスが登録され、書込スコープとして新郎・新婦のメールアドレスのみが登録されている。従って、結婚式の後、1週間が経過した後は、知人・友人の新たなメッセージの書き込みは締め切られる。
【0082】
第1のケースおよび第2のケースと同様に、スコープの変更に伴い、新郎・新婦のメールアドレスには、通知メッセージとして設定されているメッセージを含む電子メールが送信される。新郎と新婦はその電子メールのメッセージに従いサイトを訪れ、自分の知人・友人が書き込んだメッセージを読むことになる。そして、メッセージに対する応答メッセージをそのサイトにおいて書き込むこともできる。
【0083】
[2.変形例]
上述した実施形態は本発明を説明するための一例であって、本発明の技術的思想の範囲内において、様々な変形が可能である。
【0084】
例えば、上述した実施形態において、ユーザ属性DBが更新された場合、スコープ変更部112は全てのサイトに関するスコープ決定データ群を順次読み出し、それらに含まれるスコープ変更条件のうちユーザ属性DBの更新に伴い新たに満たされることとなった条件を検索するものとしたが、そのような構成はサイト数が増えると効率的ではない。
【0085】
従って、例えばスコープ決定データ群にスコープ変更条件が追加された際、追加されたスコープ変更条件に関係するユーザ属性DBのレコードにそのスコープ決定データ群のサイトIDを登録しておき、ユーザ属性DBに更新がなされた場合、更新されたレコードに登録されているサイトIDのスコープ決定データ群のみをチェックする構成とすれば、サイト数が増えてもスコープ変更の処理が効率的に行われ、望ましい。
【0086】
また、上述した実施形態において、スコープ変更条件および変更後スコープは各々1つとしたが、複数のスコープ変更条件と、それらの各々に応じた変更後スコープを設定可能としてもよい。そのような構成を採用すると、さらに柔軟なスコープの変更が可能となる。
【0087】
また、上述した実施形態において、スコープの変更に伴う通知の手段は電子メールによるものとしたが、それに限られない。例えば、それらのユーザの携帯電話の電話番号を登録しておき、自動音声によりそれらの電話番号に対し音声メッセージを発信することにより通知を行う構成が採用されてもよい。
【0088】
また、上述した実施形態において、休眠中のサイトのコンテンツデータの扱いについて特に述べなかったが、休眠化されたサイトとコンテンツデータが自動的に圧縮され、休眠状態が解かれるとコンテンツデータが自動的に解凍される構成が採用されてもよい。また、休眠化されたサイトのコンテンツデータが端末装置12からのアクセスが許可されない記憶部111とは異なる他の記憶装置に自動的に移動され、休眠状態が解かれると自動的にその記憶装置から記憶部111へコンテンツデータが再移動される構成が採用されてもよい。いずれの場合も、サーバ装置11の記憶部111の記憶容量を有効に活用することが可能となる。
【0089】
また、上述した実施形態において、スコープに含まれるユーザはユーザ単位で指定されるものとしたが、例えば複数のユーザをグループ化したユーザグループ単位での指定や、それらの混合による指定を可能としてもよい。さらに、例えば、他のサイトのスコープを参照することを可能としてもよい。
【0090】
例えば、ある学年を指導した教師達が情報交換を行うために利用したSNSサイトがあったとする。また、その学年の生徒達が情報交換を行うためのSNSサイトがあって、そのSNSサイトは生徒達の卒業後も同窓会サイトとして継続利用されるものとする。そして、教師達が自分たちのSNSサイトのコンテンツを成人した生徒達にサプライズメッセージとして送りたいと思ったとする。
【0091】
そのような場合、教師達のSNSサイトのサイト管理者は、変更後スコープの閲覧スコープとして、個々の生徒のメールアドレスを登録する代わりに、生徒達のSNSサイトの閲覧スコープを参照するように設定できれば便利である。そうすれば、成人の日になると、同窓会サイトに登録されている生徒達に電子メールが届き、それらの生徒達が既に過去ログとなり休眠していた教師達のSNSサイトのコンテンツを閲覧できるようになる。
【0092】
また、上述した実施形態において、ユーザ認証データとしてユーザIDとパスワードの組み合わせが用いられるものとしたが、それは一例であって、他のユーザ認証データが採用されてもよい。例えば、指紋認証等の生体認証を行うための生体の特徴を示す特徴データがユーザ認証データとして採用されてもよい。その場合、サーバ装置11は、端末装置12から送信されてくる特徴データとユーザ属性DBに登録されている特徴データとを照合することにより本人認証を行うことになる。また、信頼できる第三者機関により発行された公開鍵がユーザ認証データとして採用されてもよい。その場合、サーバ装置11は、端末装置12から送信されてくる暗号化されたデータ(秘密鍵により暗号化)をユーザ属性DBに登録されている公開鍵で復号化することにより本人認証を行うことになる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、ネットワークを介した情報の公開や交換の手段を提供する全ての事業者およびその事業者のサービスを利用し他の事業を行う全ての者にとって利用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1…システム、11…サーバ装置、12…端末装置、21…ネットワーク、111…記憶部、112…スコープ変更部、113…計時部、114…受信部、115…送信部、116…通知部、117…本人認証部、118…アクセス制御部、1121…判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のデータの集まりであるデータ群を記憶する記憶手段と、
任意のユーザの装置から、前記データ群に対するデータの追加を要求する書込要求データを受信し、任意のユーザの装置から前記データ群に含まれるデータの送信を要求する閲覧要求データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された閲覧要求データの送信元の装置のユーザが、前記データ群に含まれるデータの送信先として許可する装置のユーザの範囲である閲覧スコープに含まれる場合に限り、前記受信手段により受信された閲覧要求データに応じてデータを当該閲覧要求データの送信元の装置に送信する送信手段と、
所定の条件が満たされた場合に、前記閲覧スコープを変更するスコープ変更手段と
を備え、
前記記憶手段は、前記受信手段により受信された書込要求データの送信元の装置のユーザが、前記データ群に含まれるデータの追加元として許可する装置のユーザの範囲である書込スコープに含まれる場合に限り、前記受信手段により受信された書込要求データに応じてデータを前記データ群に追加して記憶し、
前記記憶手段は、前記スコープ変更手段により変更される前の前記閲覧スコープに含まれず前記スコープ変更手段により変更された後の前記閲覧スコープに含まれるユーザの連絡先を示す連絡先データを記憶し、
前記スコープ変更手段による前記閲覧スコープの変更に伴い変更される前の前記閲覧スコープに含まれなかったユーザが変更された後の前記閲覧スコープに含まれるようになった場合に、当該含まれるようになったユーザの前記連絡先データにより示される連絡先に対し通知を行う通知手段を備える
サーバ装置。
【請求項2】
前記スコープ変更手段は、前記所定の条件が満たされた場合に、前記書込スコープを変更する
請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、登録を受けたユーザである登録ユーザの各々に関し当該登録ユーザの本人認証を行うためのデータである認証データを記憶し、
前記通知手段は、登録ユーザでないユーザの前記連絡先データにより示される連絡先に対し、ユーザの登録を促すメッセージを伴う前記通知を行い、
前記受信手段は、任意のユーザの装置から当該ユーザの登録を要求するユーザ登録要求データを受信し、
前記記憶手段は、前記受信手段により受信されたユーザ登録要求データに応じて当該ユーザ登録要求データの送信元の装置のユーザの認証データを記憶し、
前記受信手段は、任意のユーザの装置から当該ユーザの認証データを受信し、
前記受信手段により受信された認証データと前記記憶手段に記憶されている認証データとに基づき前記受信手段により受信された認証データの送信元の装置のユーザの本人認証を行う本人認証手段を備える
請求項1または2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
所定の基準時刻からの経過時間を計測もしくは現在時刻を計測する計時手段を備え、
前記所定の条件は、所定の基準時刻から所定の時間が経過したこと、もしくは現在時刻が所定の時刻に達したことにより満たされる条件である
請求項1乃至3のいずれかに記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、1以上のユーザの各々に関し当該ユーザの属性を示すユーザ属性データを記憶し、
前記所定の条件は、前記ユーザ属性データにより示されるユーザの属性の変化に伴い満たされる条件である
請求項1乃至3のいずれかに記載のサーバ装置。
【請求項6】
任意の装置との間でデータの送受信を行う機能を備えたコンピュータに、
1以上のデータの集まりであるデータ群を記憶する処理と、
前記データ群に対するデータの追加を要求する書込要求データを受信する処理と、
前記受信した書込要求データの送信元の装置のユーザが、前記データ群に含まれるデータの追加元として許可する装置のユーザの範囲である書込スコープに含まれる場合に限り、前記受信した書込要求データに応じてデータを前記データ群に追加して記憶する処理と、
前記データ群に含まれるデータの送信を要求する閲覧要求データを受信する処理と、
前記受信した閲覧要求データの送信元の装置のユーザが、前記データ群に含まれるデータの送信先として許可する装置のユーザの範囲である閲覧スコープに含まれる場合に限り、前記受信した閲覧要求データに応じてデータを当該閲覧要求データの送信元の装置に送信する処理と、
前記閲覧スコープに含まれるユーザの連絡先を示す連絡先データを記憶する処理と、
所定の条件が満たされた場合、前記閲覧スコープを変更する処理と、
前記閲覧スコープの変更に伴い変更される前の前記閲覧スコープに含まれなかったユーザが変更された後の前記閲覧スコープに含まれるようになった場合に、当該含まれるようになったユーザの前記連絡先データにより示される連絡先に対し通知を行う処理と
を実行させるプログラム。
【請求項7】
1以上のデータの集まりであるデータ群を記憶しているサーバ装置が、前記データ群に対するデータの追加を要求する書込要求データを受信する書込要求データ受信ステップと、
前記サーバ装置が、前記書込要求データ受信ステップにおいて受信した書込要求データの送信元の装置のユーザが前記データ群に含まれるデータの追加元として許可する装置のユーザの範囲である書込スコープに含まれる場合に限り、前記受信した書込要求データに応じてデータを前記データ群に追加して記憶するデータ追加記憶ステップと、
前記サーバ装置が、前記データ群に含まれるデータの送信を要求する閲覧要求データを受信する閲覧要求データ受信ステップと、
前記サーバ装置が、前記閲覧要求データ受信ステップにおいて受信した閲覧要求データの送信元の装置のユーザが前記データ群に含まれるデータの送信先として許可する装置のユーザの範囲である閲覧スコープに含まれる場合に限り、前記受信した閲覧要求データに応じてデータを当該閲覧要求データの送信元の装置に送信する送信ステップと、
前記サーバ装置が、前記閲覧スコープに含まれるユーザの連絡先を示す連絡先データを記憶する連絡先データ記憶ステップと、
前記サーバ装置が、所定の条件が満たされた場合に、前記閲覧スコープを変更するスコープ変更ステップと、
前記サーバ装置が、前記スコープ変更ステップにおける閲覧スコープの変更に伴い変更される前の前記閲覧スコープに含まれなかったユーザが変更された後の前記閲覧スコープに含まれるようになった場合に、当該含まれるようになったユーザの前記連絡先データにより示される連絡先に対し通知を行う通知ステップと
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−70305(P2011−70305A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219354(P2009−219354)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(509258072)有限会社バイナリーラブ (2)
【Fターム(参考)】