説明

アクチュエータ及びこれを用いた電動歯ブラシ

【課題】電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現すること。
【解決手段】固定体110は、マグネット170を周回し、マグネット170において極の異なる磁極面170a、170bからそれぞれ所定間隔を空けて対向するように配置されるコイル160と、コイル160の外周部分を覆うアウターヨーク150とを有する。固定体110は、弾性部材130を介して、マグネット170を有する可動体120を可動自在に支持する。交流供給部140が、コイル160に、可動体120の共振周波数に略等しい周波数の交流を供給することによって、可動体120は、回転往復振動を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動歯ブラシ或いは電動音波歯ブラシ等に用いられるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動音波歯ブラシを含む電動歯ブラシでは、往復直線運動により、歯と歯茎の境界部分に斜め(約45度の角度)に当てて左右に振動するバス磨き用の歯ブラシと、軸回りの所定角度範囲で往復(正逆)回転運動して、歯茎から歯に向かって回転させるように動くローリング磨き用の歯ブラシが知られている。
【0003】
これら歯ブラシの駆動には、通常の軸回り回転を行う回転式DCモータの回転を、運動方向変換機構を介して直線往復運動又は往復回転運動する構造が多く用いられている。また、この構造以外にも、リニア駆動アクチュエータにより歯ブラシを往復直線運動する構造又は、アクチュエータの振動によって駆動源とは別体の共振振動機構を共振させて歯ブラシを往復回転運動する構造が知られている。
【0004】
リニア駆動アクチュエータにより歯ブラシを往復直線運動させる構造は、特許文献1に示すように、リニア駆動アクチュエータによって、歯ブラシ部に直結する出力軸の軸方向の往復振動を直接発生させてバス磨きを実現している。この構造では、運動変換機構による動力ロスがなく、また高速な振動を行わせることができるものとなっている。
【0005】
また、アクチュエータと、駆動源とは別体の共振振動機構とを有する構造は、特許文献2に示すように、電磁石及び永久磁石を備える駆動手段によって、レバーアームを備える共振振動機構を励振して、歯ブラシ部に同軸で直結するレバーアームを首振り運動させてローリング磨きを実現している。
【特許文献1】特開2002−078310号公報
【特許文献2】特許第3243529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電動歯ブラシでは、ローリング磨きを実現できるとともに、ローリング磨き用歯ブラシを駆動させる駆動部分が収容される柄の部分を極力細くしたいため、歯ブラシの駆動部分の小型化が望まれている。
【0007】
しかしながら、通常の軸回り回転するモータを用いローリング磨きを実現するためには、モータとは別に当該モータの回転を往復回転運動に変換するための運動方向変換機構が必要となる。また、特許文献1のようリニア駆動アクチュエータを用いローリング磨きを実現するためには、リニア駆動アクチュエータとは別にトルク発生機構(駆動源)が必要となる。
【0008】
また、特許文献2に示す構造では、駆動源とともに、駆動源とは別の共振振動機構が必要となる。
【0009】
したがって、従来の構造では、モータ或いはリニア駆動アクチュエータを電動歯ブラシの駆動源としてみた場合、駆動源に加えて、駆動源とは別の運動方向変換機構又はトルク発生機構又は共振振動機構の配置スペースを確保する必要があるので、歯ブラシの小型化には困難であるという問題がある。
【0010】
さらに、歯ブラシの駆動部分として、モータなどのアクチュエータとは別体の運動方向変換機構といった駆動伝達機構を備える場合、駆動伝達機構では、騒音発生の恐れ及び伝達される動力ロスの発生による効率悪化の恐れがあり、これらの対策も考慮する必要がある。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現できる、小型化のアクチュエータ及び電動歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のアクチュエータは、永久磁石を有する可動体と、前記永久磁石を周回し、前記永久磁石において極の異なる磁極面からそれぞれ所定間隔を空けて対向する内周部を有するコイル及び前記コイルの外周部を覆うアウターヨークを有し、弾性支持部を介して前記可動体を可動自在に支持する固定体と、前記可動体の共振周波数に略等しい周波数の交流を前記コイルに供給する交流供給部とを備える構成を採る。
【0013】
本発明の電動歯ブラシは、上記構成のアクチュエータと、前記アクチュエータの出力軸に、当該出力軸と同一軸心上で連結され、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部とを有する構成を採る。
【発明の効果】
【0014】
電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく達成できるので、小型化のアクチュエータ及び電動歯ブラシを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るアクチュエータ100を示す斜視図であり、図2は、同アクチュエータ100の要部分解斜視図である。
【0016】
図1及び図2に示すアクチュエータ100は、固定体110と、可動体120と、固定体110に可動体120を可動自在に支持する弾性部材(弾性支持部)130と、交流供給部140とを有する。
【0017】
アクチュエータ100では、弾性部材130を介して固定体110に可動自在に支持される可動体120(図2参照)の可動によって、可動体120(図2参照)の出力軸である回転往復伝達シャフト(以下、「シャフト」という)125が、所定の角度範囲内で正逆方向(図1の矢印方向)に回転し、回転往復振動として外部に出力する。
【0018】
図2に示すように、固定体110は、基台(ベースプレート)112と、支持壁部114、116と、アウターヨーク150と、アウターヨーク150に取り付けられるコイル160とを有する。一方、可動体120は、マグネット(永久磁石)170と、弾性部材130を介して支持壁部114、116に支持され、且つ、マグネット170を保持するマグネット保持部124と、シャフト125、126とを有する。
【0019】
固定体110では、アウターヨーク150内において、コイル160の内側のエアギャップ内に、可動体120のマグネット170が配置されている。アクチュエータ100では、コイル160に交流供給部140から交流電源(交流電圧)が入力されることによって可動体120は共振状態で駆動する。
【0020】
具体的に、固定体110では、基台112は、可動体120のシャフト125の延在方向に沿って長い矩形板状をなし、ここでは非磁性体により形成されている。
【0021】
基台112の表面の上方には、可動体120のマグネット170が配置され、このマグネット170を周回して、コイル160が、その外周部で、断面U字状(コ字状も含む)のアウターヨーク150の対向する内壁面に取り付けられた状態で配置されている。
【0022】
また、基台112には、長手方向で離間する端辺部から支持壁部114、116が立設されている。
【0023】
支持壁部114、116は、可動体120のシャフト125、126が挿通する開口部114a、116aを有する。支持壁部114、116は、開口部114a、116aにそれぞれシャフト126、125を回動自在に挿通させた状態で、弾性部材130を介して可動体120を可動自在に支持している。
【0024】
支持壁部114、116は、弾性部材130とともに、通常状態では、可動体120を、略水平方向(基台112と略平行)に保持する。なお、開口部114a、116aには、シャフト125、126は、遊びが有る状態で挿通されてもよい。
【0025】
弾性部材130は、支持壁部114、116の対向領域において、可動体120のマグネット170を、左右前後方向に変位自在に支持する。
【0026】
ここでは、弾性部材130は、支持壁部114、116どうしで対向する面の上端部分において略水平に、対向方向に突出して設けられた板状のジグザグバネからなる。つまり、弾性部材130は、一端部から他端部側に向かって細帯状の金属板が一方の幅方向に延びて他方の幅方向に折り返すことを繰り返してジグザグに形成されており、弾性部材130自体は一端部と他端部とを固定するとねじり方向に伸縮自在となっている。
【0027】
このように構成された弾性部材130では、一端部は支持壁部114、116のインサート成形により取り付けられており、他端部は、マグネット170を保持するマグネット保持部124に取り付けられている。これにより、支持壁部114、116は、弾性部材130を介して、基台112とアウターヨーク150とで囲まれる領域内において、可動体120をシャフト125、126の軸を中心にねじり方向に可動自在に支持する。
【0028】
図3は、アクチュエータ100における要部構成を示す概略断面図である。なお、図3では、アクチュエータ100の磁気回路として、マグネット170による磁束の流れを白抜き矢印で示す。
【0029】
アウターヨーク150は、ここでは、断面略U字状をなし、板状の磁性体を折曲することで形成されている。アウターヨーク150は、矩形板状のヨーク中央部151と、ヨーク中央部151の両側辺部からそれぞれ垂下され、互いに対向する側壁部152、153とを有する。
【0030】
ここでは、アウターヨーク150は、基台112及び支持壁部114、116の上方から被せて、可動体120のマグネット170及びマグネット保持部124を覆う。アウターヨーク150は、基台112によって両側壁部152、153の先端部の開口を閉塞され、基台112及び支持壁部114、116とともに可動体120を収容する箱体を形成している。
【0031】
アウターヨーク150の対向する側壁部152、153の内壁面152a、153aには、エアギャップを介して可動体120のマグネット170の周囲を囲むように巻回されたコイル160が固定されている。
【0032】
コイル160は、ここでは、ボイスコイルであり、外径部分をアウターヨーク150の両側壁部152、153の内壁面152a、153aに固定して、内径より内側には、内周部分からエアギャップを介してマグネット170が位置するように配置されている。すなわち、コイル160の内周部は、マグネット170において極の異なる磁極面を含む外周面から、それぞれ所定間隔を空けて対向している。
【0033】
また、コイル160は、アウターヨーク150の側壁部152、153間内において、アウターヨーク150のヨーク中央部151及び基台112と、シャフト125と略直交する方向に延在する軸を中心にコイル線を巻回して形成された角筒状をなしている。
【0034】
このコイル160は、アウターヨークの側壁部152、153の内壁面において、ヨーク中央部151側に取り付けられ、マグネット170において互いに異なる磁極(磁極面170a、170b)と対向する位置に配置している。
【0035】
コイル160の内側にエアギャップを介して配置されたマグネット(永久磁石)170は、アウターヨーク150の延在方向に沿って長い磁極面170a、170bを有する直方体である。ここでは、マグネット170は、支持壁部114、116により弾性部材130を介して可動自在に支持されたマグネット保持部124によって、コイル160の内径より内側のエアギャップ内で回動自在に保持されている。
【0036】
なお、マグネット保持部124は、図2及び図3に示すように、側面視コ字状に形成され、マグネット170を載置する矩形板状の底板部124aと、底板部124aの長手方向(シャフト125の延在方向)で離間する端部で立設された前壁部124b、後壁部124cとを有する。
【0037】
また、マグネット保持部124は、ここでは非磁性体で構成されており、前壁部124bには、シャフト125が直交して取り付けられ、後壁部124cには、シャフト126がシャフト125と同軸心上に位置するように取り付けられている。つまり、シャフト125は、マグネット170の異なる磁極面170a、170b(図4参照)と略平行に、マグネット170の略中心に沿って配置されている。
【0038】
マグネット保持部124は、マグネット170を、コイル160と、アウターヨーク150のヨーク中央部151の裏面から離間させて、シャフト125、126を軸にねじり方向に回動自在に保持している。なお、可動体120では、マグネット保持部124の前壁部124bとマグネット170との間及び後壁部124cとマグネットとの間に、コイル160がそれぞれに接することなく配置され、コイル160の内側及び外側で可動自在となっている。
【0039】
マグネット保持部124により保持されるマグネット170の磁極面170a、170bは、コイル160を介して、アウターヨークの側壁部152、153における内壁面の全面に渡って向かい合うように配置されている。
【0040】
ここでは、マグネット170のS極側(S磁極面170a)は、アウターヨーク150の側壁部152の内壁面152a側に向かっており、N極(N磁極面170b)側が、アウターヨーク150の側壁部153の内壁面153a側に向かっている。
【0041】
なお、シャフト125は、図1及び図2に示すように、アウターヨーク150の延在方向と同方向で支持壁部116から外方に突出するように設けられている。すなわち、シャフト125は、アクチュエータ100において、マグネット170と側壁部152、153とがコイル160を挟んで向かい合う方向と略直交する方向に突出して設けられている。
【0042】
このようにシャフト125は、マグネット保持部124の前壁部124bに固定されることによって、可動体120の重心を通る軸線上に位置するように、可動体120に取り付けられた状態となっている。これによりシャフト125は、可動体120の本体を構成するマグネット170及びマグネット保持部124とともに回転往復振動し、その振動を外部に伝達することができる。
【0043】
なお、アクチュエータ100が電動歯ブラシに用いられる場合、シャフト125には、シャフト125と同一軸心上で、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部が連結される。これにより歯ブラシ部はシャフト125と同様の運動、ここでは回転往復振動であるローリングを行うこととなる。
【0044】
本実施の形態のアクチュエータ100では、可動体120のイナーシャJ、ねじり方向のバネ定数kspとした場合、可動体120は、固定体110に対して、下記式(1)によって算出される共振周波数で振動する。
【0045】
【数1】

本実施の形態のアクチュエータ100は、交流供給部140によって、コイル160に可動体120の共振周波数fと略等しい周波数の交流を供給する。これにより、可動体120を効率良く駆動させることができる。
【0046】
図3に示すように、固定体110及び可動体120では、アウターヨーク150、マグネット170及びコイル160が、磁気回路を形成する。
【0047】
具体的には、アクチュエータ100は、マグネット170から発生した磁束(白抜き矢印で示す)が、コイル160との間のエアギャップ、アウターヨーク150の側壁部153、ヨーク中央部151、側壁部152、反対側のエアギャップを順に通り、マグネット170の対極へと至る磁気回路を有する。
【0048】
本アクチュエータ100における可動体120は、弾性部材130(図1及び図2参照)を介して固定体110により支持されるバネマス系構造で支持されており、コイル160に可動体120の共振周波数fに等しい周波数の交流が供給されると、可動体120は共振状態で駆動される。このとき発生する回転往復振動が、可動体120のシャフト125に伝達される。
【0049】
アクチュエータ100は、下記式(2)で示す運動方程式及び下記式(3)で示す回路方程式に基づいて駆動する。
【0050】
【数2】

【0051】
【数3】

すなわち、アクチュエータ100における慣性モーメント、回転角度、トルク定数、電流、バネ定数、減衰係数、負荷トルクなどは、式(2)を満たす範囲内で適宜変更でき、電圧、抵抗、インダクタンス、逆起電力乗数は、式(3)を満たす範囲内で適宜変更できる。
【0052】
次に、アクチュエータ100の具体的な動作について説明する。
【0053】
図4は、本実施の形態1に係るアクチュエータ100の動作を説明するための模式図である。なお、図4(a)では白抜き矢印でマグネット170による磁束の流れを示しているが、図4(b)〜図4(d)では同様の流れであるため、図示省略している。また、図4(a)ではコイル160に交流電圧を供給する交流供給部140を図示しているが、図4(b)〜図4(d)では、図4(a)と同様に図示されるため、省略している。
【0054】
コイル160に交流供給部140から交流が供給されると、フレミングの左手の法則に従い、コイル160には、電磁力による図中矢印F1、F2、F3、F4で示す推力が発生する。これにより、基台112及び支持壁部114、116に弾性部材130を介して可動自在に取り付けられた可動体120には、回転重心を軸中心とした回転力が発生する。
【0055】
アクチュエータ100の1周期分の動作について説明する。
【0056】
図4(a)に示す向きでコイル160に電流が流れる(この方向を順方向電流と呼ぶ)と、マグネット170のN極面170bに対向するコイル160の対向部分160bには、下向き(基台112側の方向)に推力F1が発生する。一方、マグネット170のS極面170aに対向するコイル160の部分160aには、上向き(アウターヨーク150のヨーク中央部151側の方向)に推力F2が発生する。
【0057】
これにより、固定体110の基台112から立ち上がる支持壁部114、116(図2及び図3参照)に弾性部材130を介して支持された、マグネット170を有する可動体120に回転する力が発生する。可動体120では、マグネット170に、コイル160の推力F1、F2の反作用の力としての推力R1、R2が働く。これにより可動体120は、図4(b)に示す位置となるように反時計回りに可動する。
【0058】
図4(b)に示す状態のアクチュエータ100では、弾性部材130(図2及び図3参照)の復元力により可動体120を図4(a)の状態に戻す力反力が発生する。図4(b)に示す状態から図4(d)に示す状態までは、コイル160に図4(a)とは逆方向の電流が供給される。これにより、可動体120は、図4(b)の状態から図4(c)の状態までは、弾性部材130の復元力と、矢印F3、F4で示す推力の反作用の力としての推力R3、R4とによって、固定体110に対して時計回りに回転する。また、可動体120は、図4(c)の状態から図4(d)の状態までは、マグネット170に働く矢印F3、F4で示す推力によって、固定体110に対して時計回りに回転する。
【0059】
図4(d)に示す状態のアクチュエータ100では、弾性部材130の復元力により可動体120を図4(a)の状態に戻す力反力が発生する。図4(d)に示す状態から図4(a)に示す状態を経て図4(b)に示す状態までは、コイル160に順方向電流が供給される。これにより、可動体120は、図4(d)の状態から図4(a)の状態までは、弾性部材130の復元力と、矢印F1、F2で示す推力の反作用の力であり、マグネット170に働く推力R1、R2とによって、固定体110に対して反時計回りに回転する。
【0060】
また、可動体120は、図4(a)の状態から図4(b)の状態までは、矢印R1、R2で示す推力によって、固定体110に対して反時計回りに回転する。なお、可動体120は、コイル160の内側で、延在するマグネット170の略中心軸線を中心に往復回転振動を行うが、主に、弾性部材130の反力を用いることなく、推力R1〜R4によって、図4に示す示した動作と同様の動作を行うこともできる。
【0061】
次に、図4に示す各状態で可動体120のコイル160に供給される交流電流について簡単に説明する。
【0062】
図5は、本実施の形態のアクチュエータにおいて交流供給部140から可動体120のコイル160に供給される交流の周期を示す図である。
【0063】
コイルに流れる交流は、図5(a)に示すように周波数fのパルス波でもよいし、図5(b)に示すように周波数fの正弦波でもよい。
【0064】
図4(a)の状態では、図5に示す時点t1の順方向の電流が供給され、図4(b)の状態では図5の時点t2で示すように電流の向きが切り替えられ、図4(c)の状態では、図5に示す時点t3の逆方向の電流が供給される。また、図4(d)の状態では、図5の時点t4で示すように電流の向きが切り替えられて、図4(d)の状態では、図5に示す時点t5順方向の電流が供給される。これが1周期分の動作であり、このような動作が繰り返されることで、可動体120は、図4(a)から図4(d)に示す変位動作を繰り返すことによって、回転往復振動する。
【0065】
アクチュエータ100では、可動体120は、回転往復運動つまり回転往復振動を行い、この回転往復振動はシャフト125を介して外部に出力される。シャフト125に、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部が連結されている場合、歯ブラシ部は回転往復振動してローリング磨きを行うことができる。
【0066】
このようにアクチュエータ100は、式(2)、(3)を満たし、式(1)で示す共振周波数を用いた共振現象により駆動する。よって、アクチュエータ100では、共振駆動による定常状態において、消費される電力は負荷トルクによる損失及び摩擦などによる損失だけとなり、低消費電力で駆動、つまり、可動体120を低消費電力で回転往復振動させることができる。以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ100では、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現して小型化を図ることができ、更に、往復回転運動を低消費電力で実現することができる。
【0067】
また、可動体120は、アウターヨーク150等の大きな構成部材を含まずにマグネット170及びマグネット保持部124により構成している。このため、可動体120の慣性モーメントの大きさは外形に依存せずマグネット170の形状に依存して決定することができる。また、マグネット170は、可動体120において出力軸となるシャフト125の近傍、具体的には、シャフト125の略軸線上に重心が位置するように配置されているため、可動体120のイナーシャを上昇させる要因になりにくい。よって、アクチュエータ100の外形の変更における慣性モーメントの上昇が小さくなるため、設計上の制約がなくなり、アクチュエータ100自体の設計自由度を向上させることができる。
【0068】
なお、アクチュエータ100を有する電動歯ブラシでも上述した同様の効果を得ることができ、電動歯ブラシ自体の小型化も図ることができる。
【0069】
また、実施の形態1に係るアクチュエータ100の構成では、基台112を非磁性体として説明したが、これに限らず、磁性体としてもよい。この構成について図6を用いて説明する。
【0070】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2に係るアクチュエータの要部構成を示す概略断面図である。なお、図6では、アクチュエータ100の磁気回路として、マグネット170による磁束の流れを白抜き矢印で示す。
【0071】
図6に示すアクチュエータ100Aは、アクチュエータ100の構成において非磁性体の基台112を磁性体の基台112Aに代えたものである。よって、アクチュエータ100Aにおいて、その他の構成は、アクチュエータ100と同様の構成であり同符号を付して説明は省略する。
【0072】
アクチュエータ100Aの固定体110Aは、可動体120のマグネット170の周囲を囲むようにエアギャップを介して配置されるコイル160と、コイル160の外周部分を、対向する内壁面152a、153aに固定した磁性体であるアウターヨーク150と、磁性体である基台112Aと有する。
【0073】
すなわち、アクチュエータ100Aでは、可動体120のマグネット170及びマグネット保持部124(図6では底板部124aのみ示す)は、磁性体であるアウターヨーク150及び基台112Aとで囲む構成となっている。なお、アウターヨーク150及び基台112Aの内側に配置され、且つコイル160の内側に配置されたマグネット170は磁極面170a、170bを、アクチュエータ100の構成と同様に、所定間隔を空けて、コイル160の周回方向と交差する方向で、且つ、アウターヨーク150の側壁部152,153に向けて配置されている。
【0074】
この構成によって、アクチュエータ100Aでは、アクチュエータ100と比較して、マグネット170による磁束の経路が、固定体110Aにおいて2つ形成される。
【0075】
すなわち、図6に示すアクチュエータ100Aの磁気回路では、マグネット170から発生した磁束(白抜き矢印で示す)は、磁極面170bから、コイル160が配置されるエアギャップを経て、アウターヨーク150の側壁部153に至る。次いで、側壁部153から、ヨーク中央部151と、ヨーク中央部151とは反対側の基台112Aとのそれぞれを通って、側壁部152に至る。そして、磁束は、側壁部152から反対側のエアギャップを順に通って、マグネット170の対極(磁極面170a)へと繋がる。なお、アクチュエータ100Aにおける可動体120の動作はアクチュエータ100と同様であるため説明は省略する。図6では、順方向電流を流した際のコイル160の推力F1、F2と、これらの反作用の力であるマグネット170の推力R1、R2とが示されている。推力R1、R2が発生すると可動体120は推力R1、R2の方向に可動する。電流の向きが変わると、コイル160には、F1,F2とは逆の推力が働き、これによりマグネット170にR1、R2とは逆向きの推力が働き、可動体120は、R1、R2とは逆向きの推力で示す方向に可動する。これら繰り返すことによって、アクチュエータ100Aは、実施の形態1と同様に、可動体120を往復回転振動させる。
【0076】
このように本実施の形態2のアクチュエータ100Aでは、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現することができる等、アクチュエータ100と同様の作用効果を得ることができる。さらに、アクチュエータ100Aによれば、磁気回路における磁気飽和が緩和されることによって、コイル160に交流供給部140から交流電圧を供給した際に発生する可動体120の推力を上昇させることができる。
【0077】
具体的には、アクチュエータ100Aでは、実施の形態1におけるアクチュエータ100の構成と比較して、コイル160が発生する可動体120を可動させるトルクを、約1.25倍上昇させることができる。
【0078】
また、本実施の形態2では、可動体120を可動自在に収容した固定体110の外周部分、つまり、磁気回路が、磁性体であるアウターヨーク150と磁性体である基台112Aとによってマグネット170を囲む回路として構成される。
【0079】
つまり、アクチュエータ100Aの外表面を磁性体によって形成するため、アクチュエータ100Aにおいて、基台112A、アウターヨーク150、マグネット170及びコイル160を含む磁気回路の漏れ磁束を抑制することができる。
【0080】
(実施の形態3)
本実施の形態3に係るアクチュエータの概要は、アクチュエータ100の構成(図2及び図3参照)において、コイル160をアウターヨーク150から外して、基台112側に非磁性体(スペーサ)を介して固定し、且つ、上下逆にした可動体120を、弾性部材130を介して、固定体110に、ねじり方向に回転往復振動可能に取り付けたものである。
【0081】
図7は、本発明の実施の形態3に係るアクチュエータ100Bを示す外観図であり、図8は、同アクチュエータ100Bの分解斜視図であり、図9は、同アクチュエータ100Bの要部構成を示す概略断面図である。なお、このアクチュエータ100Bは、図1に示す実施の形態1に対応するアクチュエータ100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0082】
アクチュエータ100Bは、図7〜図9に示すようにアウターヨーク150、基台112B、コイル160及び支持壁部114B、116Bを有する固定体110Bと、コイル160の内側(内径部分)にエアギャップを介して配置されるマグネット170を有する可動体120Bと、固定体110Bに可動体120Bを、可動体120Bのシャフト125を中心にねじる方向に往復回転自在に支持する弾性部材130と、交流供給部140(図8及び図9参照)とを有する。
【0083】
固定体110Bでは、基台112Bは、矩形板状の非磁性体により形成された基台本体1121を有する。この基台本体1121の表面には、長手方向で離間する端部に、上方に突出し、支持壁部114B、116Bの下面に形成された凹部に係合する位置決め凸部1122、1123が設けられている。この位置決め凸部1122、1123を介して支持壁部114B、116Bは基台本体1121に位置決めされた位置から立設するように取り付けられている。
【0084】
また、基台本体1121の表面の中央部分には、環状の取り付け溝部1124が形成されている。この取り付け溝部1124は、コイル160の形状に対応して形成されており、コイル160の筒状部分の内径に対応した内径を有し、且つ、コイル160の筒状部分の厚みよりも若干長い幅の溝となっている。コイル160は、取り付け溝部1124内に位置するように取り付けられている。
【0085】
基台112Bには、上方から断面U字状のアウターヨーク150が、側壁部152、153を、基台112B上のコイル160の外周部分に当接させた状態で、基台112Bの表面と支持壁部114B、116Bとを覆うように取り付けられている。
【0086】
基台112Bに設けられたコイル160の内側、つまり内径部分に、マグネット170が、エアギャップを介して配置されている。
【0087】
マグネット170は、支持壁部114B、116Bに弾性部材130を介して、アウターヨーク150及び基台112Bに囲まれた領域内で、コイル160の内側で回動自在に支持されたマグネット保持部124に保持されている。
【0088】
マグネット170は、異なる磁極面170a、170bがエアギャップを介してコイル160と対向し、且つ、基台112B及びヨーク中央部151から離間する位置で、マグネット保持部124Bに保持されている。
【0089】
マグネット保持部124Bは、マグネット170の上面に固定される上面部124dと、上面部124dの長手方向の端部(前後端部)で垂下された前壁部124b、後壁部124cとを有する。マグネット保持部124Bは、前壁部124b及び後壁部124cのそれぞれに直交して設けられ、且つ、マグネット170の重心位置に沿って配置されたシャフト125、126を、固定体110Bの支持壁部114B、116Bの開口部114a、116aに挿通させている。また、マグネット保持部124Bは、支持壁部114B、116Bに弾性部材130を介して可動自在に取り付けられている。これにより、マグネット170及びマグネット保持部124Bは、マグネット170の周囲に位置するコイル160内において、シャフト125、126を中心にねじり方向に往復回転自在に取り付けられている。なお、弾性部材130は、実施の形態1と同様に、支持壁部114B、116Bに取り付けられている。具体的には、弾性部材130は、支持壁部114、116と同様に形成された支持壁部114B、116Bのそれぞれにおける内側の下辺部にインサート成形によって一体的に取り付けられている。
【0090】
なお、コイル160には、実施の形態1のアクチュエータ100及び実施の形態2のアクチュエータ100Aと同様に、交流電圧の供給を行う交流供給部140によって、振周波数に略等しい周波数の交流が入力される。これにより固定体110Bに弾性部材130によって、シャフト125のねじり方向に可動自在に支持された可動体120Bは、固定体110B内においてコイル160の推力によってマグネット170に発生する反作用の力によって回転往復振動を行う。
【0091】
図10は、本発明の実施の形態3に係るアクチュエータ100Bの動作を説明する模式図である。なお、図10(a)では白抜き矢印でマグネット170による磁気回路の磁束の流れを示しているが、図10(b)〜図10(d)では同様の流れであるため、図示省略している。また、図10(a)ではコイル160に交流電圧を供給する交流供給部140を図示しているが、図10(b)〜図10(d)では、図10(a)と同様に磁束の流れは生じているが便宜上省略する。
【0092】
アクチュエータ100Bには、図10(a)に示すように、マグネット170から発生した磁束(白抜き矢印で示す)が、磁極面170bから、エアギャップG、コイル160、アウターヨーク150の側壁部153、ヨーク中央部151、側壁部152、反対側のエアギャップを順に通り、マグネット170の対極(磁極面170a)へと繋がる磁気回路が形成されている。
【0093】
アクチュエータ100Bでは、コイル160に交流供給部140から交流が供給されると、フレミングの左手の法則に従い、コイル160には、図中矢印F1〜F4で示す推力が発生する。これを受けて、マグネット170には、回転重心であるシャフト125を軸中心とした回転力(推力R1〜R4)が発生し、可動体120は、図4で示すアクチュエータ100の可動体120と同様に、図10(a)、図10(b)、図10(c)、図10(d)の動作を繰り返し、回転往復振動する。
【0094】
このようにアクチュエータ100Bは、アクチュエータ100と同様の作用効果を有する。加えて、アクチュエータ100Bでは、組立の際に、コイル160は、基台112Bに取り付けられる。つまり、組立の際に、平板状の基台112Bに、基台112Bの表面に取り付けるため、U字型アウターヨーク150において窪む内側にコイル160を取り付ける場合と比較して取り付け作業を容易に行うことができる。
【0095】
ここでは、コイル160は、基台112Bの表面に形成された取り付け溝部1124内に位置するように取り付けられるため、コイル160を、基台112Bに位置決めした位置で取り付けることができる。
【0096】
コイル160自体は、一般的に、コイルの内径を規定する治具にコイル線を巻回していくことによって製作されるため、できあがるコイル160自体の外径寸法の正確な管理は難しい。よって、コイル160をアウターヨーク150内に取り付ける場合、コイル160の外周部分でアウターヨーク150に取り付ける必要があるため、コイル160製作の際に正確な管理を行う必要があり手間がかかる。
【0097】
これに対し、本実施の形態では、コイル160は、基台112Bにおいて、内径が規定された取り付け溝部1124内に、直接コイル160を配置することで、コイル160の内周部によって取り付け位置を決めることができる。よって、アクチュエータ100Bによれば、組立性の向上や工数の低減を図ることができる。
【0098】
なお、アクチュエータ100Bでは、アクチュエータ100と比較して、主にコイル160の配置構造が異なるが、磁気回路構成は同様であり、実施の形態1のアクチュエータ100と同様の作用効果を得ることができる。特に、アクチュエータ100Bによれば、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現することができる。
【0099】
なお、アクチュエータ100Bにおいて、基台112Bは非磁性体としたが、基台112Bを磁性体としてもよい。この場合、実施の形態2と同様に固定体110Bにおける磁束の経路は、アウターヨーク150の一方の側壁部153からヨーク中央部151及び基台112Bのそれぞれを通って他方の側壁部152に至る経路となり、実施形態2と同様の効果を得ることができる。
【0100】
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4に係るアクチュエータ100Cを示す斜視図であり、図12は、同アクチュエータ100Cの要部分解斜視図である。なお、このアクチュエータ100Cは、図1に示す実施の形態1に対応するアクチュエータ100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0101】
実施の形態4に係るアクチュエータ100Cは、図1に示すアクチュエータ100において、シャフト125、126が、軸受190を介して固定体110の支持壁部114、116に挿通させて回転自在に軸支された構成であり、その他の構成は同様である。
【0102】
すなわち、アクチュエータ100Cは、図11及び図12に示すように、可動体120が備えるシャフト125は、支持壁部116の開口部116aに取り付けられた軸受190に回動自在に挿通されている。このシャフト125は、可動体120の可動運動を伝達して出力するとともに、可動体120を固定体110に軸支させる軸部として機能している。
【0103】
また、可動体120においてシャフト125と同一軸線上に配置され、シャフト125と逆方向に突出するシャフト126は、支持壁部114の開口部114aに取り付けられた軸受190に回動自在に挿通されている。
【0104】
このため、アクチュエータ100Cでは、コイル160に交流供給部140から交流が供給された際に、コイル160を備える可動体120は、固定体110に対してシャフト125の軸心を中心に安定して回転往復振動することとなる。
【0105】
このようにアクチュエータ100Cでは、可動体120は、軸受190に挿通されるシャフト125、126を介して、支持壁部114、116に回転方向及び軸方向に自由度を有する状態で回動自在に軸支されている。また、可動体120は、弾性部材130を介して、軸方向への移動を拘束された状態で支持壁部114、116に支持されている。つまり、可動体120は、支持壁部114、116に、シャフト125、126及び軸受190を用いた支軸構造と、弾性部材130を介して回転方向に自由度を確保した状態で固定体110に支持された構造となっており、耐衝撃性に優れた構造となっている。
【0106】
よって、アクチュエータ100Cでは、アクチュエータ100と同様の作用効果に加えて、シャフト125、126の回転軸心を固定して安定して回転往復運動することができるとともに、アクチュエータ自体の耐衝撃性を向上させることができる。
【0107】
なお、本実施の形態では、アクチュエータ100Cは、実施の形態1に係るアクチュエータ100における支持壁部114、116に軸受190を設けて、可動体120のシャフト125、126を回動自在に支持する構成としたが、これに限らない。例えば、実施の形態2及び実施の形態3のアクチュエータ100A、100Bの支持壁部114、114B、116、116Bに軸受190を設けて、可動体120のシャフト125、126を回動自在に支持する構成としてもよい。
【0108】
(実施の形態5)
図13は、本発明の実施の形態5に係るアクチュエータ100Dの分解斜視図であり、図14は、同アクチュエータ100Dに用いられる粘弾性部材としてのエラストマーを示す図である。なお、図13に示すアクチュエータ100Dは、図1から図4に示す実施の形態1に対応するアクチュエータ100において、弾性部材130の構成を替えた構造であり、その他の構成は同様の構成である。よって、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0109】
アクチュエータ100Dでは、アクチュエータ100の構成において、ジグザグバネである弾性部材130に替えて自身の減衰が大きい粘弾性体、ここではエラストマー197を用いている。
【0110】
エラストマー197は、図14に示すように、シャフト125、126と挿通する挿通口198を備えた中央部197aと、中央部197aからシャフト126及びシャフト125の軸心と直交する方向に突出するアーム部197bとを備える。エラストマー197は粘弾性体であるため、中央部197aとアーム部197bとを互いに弾性変形させて変位させることができる。
【0111】
エラストマー197は、支持壁部116、114とコイル保持部124における前壁部124b及び後壁部124cとの間に配置され、バネとして機能する。エラストマー197は、アーム部197bの延在方向でずれた位置に形成された孔部198a、198bに、支持壁部116、114及び前後壁部124b、124cに形成された突起114c、116c、124f、124gが嵌入される。
【0112】
なお、ここでは、エラストマー197のアーム部197bにおいて、中央部197aに近い位置の孔部198aに前後壁部124b、124cの突起124f、124gが圧入により嵌合される。また、中央部197aよりも遠い位置の孔部198bに支持壁部116、114の突起116c、114cが圧入により嵌合される。
【0113】
アクチュエータ100Dによれば、実施の形態1の特性を有し、アクチュエータ100と同様の作用効果を得ることができる。また、アクチュエータ100Dでは、エラストマー197は、支持壁部116、114とコイル保持部124における前壁部124b及び後壁部124cとの間に配置して、支持壁部116、114と前壁部124b及び後壁部124cの突起114c、116c、124f、124gを孔部198a、198bに圧入するだけで、両部材(支持壁部及び前後壁部)に取り付けられる。これにより、ジグザグバネ、板バネ等の金属バネを用いた場合と異なり、ネジによる締結、接着又はインサート成形などの煩雑な取り付け工程を必要とすることなく、エラストマー197を可動体120と固定体110の間に挟みこむだけで、バネとして機能させることができ、アクチュエータ100D自体の組立性の向上を図ることができる。
【0114】
なお、アクチュエータ100Dにおけるエラストマー197は、アクチュエータ100A、100Bにおける弾性部材130に代えて、可動体120を固定体110に、シャフト125、126の軸を中心としたねじり方向に可動自在に支持する構成としてもよい。
【0115】
なお、上記本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、種々の改変をなすことができ、そして本発明が該改変させたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明に係るアクチュエータは、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく小型化を実現できる効果を有し、電動歯ブラシ等に用いられる往復回転振動させるアクチュエータとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の実施の形態1に係るアクチュエータを示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1に係るアクチュエータの要部分解斜視図
【図3】本発明の実施の形態1に係るアクチュエータにおける要部構成を示す概略断面図
【図4】本発明の実施の形態1に係るアクチュエータの動作を説明するための模式図
【図5】本発明の実施の形態1に係るアクチュエータにおいて交流供給部からコイルに供給される交流の周期を示す図
【図6】本発明の実施の形態2に係るアクチュエータにおける要部構成を示す概略断面図
【図7】本発明の実施の形態3に係るアクチュエータの構成を示す外観図
【図8】本発明の実施の形態3に係るアクチュエータの分解斜視図
【図9】本発明の実施の形態3に係るアクチュエータの要部構成を示す概略断面図
【図10】本発明の実施の形態3に係るアクチュエータの動作を説明する模式図
【図11】本発明の実施の形態4に係るアクチュエータを示す斜視図
【図12】本発明の実施の形態4に係るアクチュエータの要部分解斜視図
【図13】本発明の実施の形態5に係るアクチュエータの分解斜視図
【図14】本発明の実施の形態5に係るアクチュエータに用いられる粘弾性部材であるエラストマーを示す図
【符号の説明】
【0118】
100、100A、100B、100C、100D アクチュエータ
110、110A、110B 固定体
112、112A、112B 基台
114、114B、116、116B 支持壁部
120、120B 可動体
124、124B マグネット保持部
125、126 シャフト
130 弾性部材
140 交流供給部
150 アウターヨーク
151 中央部
152、153 側壁部
152a、153a 内壁面
160 コイル
170 マグネット
170a、170b 磁極面
190 軸受
197 エラストマー
1124 取り付け溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石を有する可動体と、
前記永久磁石を周回し、前記永久磁石において極の異なる磁極面からそれぞれ所定間隔を空けて対向する内周部を有するコイル及び前記コイルの外周部を覆うアウターヨークを有し、弾性支持部を介して前記可動体を可動自在に支持する固定体と、
前記可動体の共振周波数に略等しい周波数の交流を前記コイルに供給する交流供給部と、
を備える、
アクチュエータ。
【請求項2】
前記可動体は、前記永久磁石の異なる磁極面と略平行に、前記永久磁石の略中心に沿って配置される出力軸を備え、前記弾性支持部によって前記出力軸を中心にねじる方向に可動自在に支持されている、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記アウターヨークは、所定間隔を空けて対向する内壁面を有し、
前記コイルは、前記外周部で前記アウターヨークにおいて対向する前記内壁面のそれぞれに取り付けられている、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記固定体は、前記可動体を、前記アウターヨークを含む磁性体によって、可動自在に覆っている、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記アウターヨークは下方に開口する断面U字形状をなし、
前記固定体は、前記可動体の下方に離間して配置される板状の基台を有し、
前記コイルは、前記基台上に取り付けられ、
前記アウターヨークは、前記基台に、前記コイル及びコイル内の前記可動体を覆うように取り付けられている、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記基台は、磁性体からなる、
請求項5記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記基台の表面には、前記コイルが取り付けられる取り付け溝部が形成されている、
請求項5記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記可動体は、前記固定体に、前記出力軸を中心に回転自在に軸支されている、
請求項2記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記弾性支持部は、前記固定体と、前記可動体とに介設され、前記固定体と前記可動体との間で変形自在な粘弾性体である、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項10】
請求項2記載のアクチュエータと、
前記アクチュエータの出力軸に、当該出力軸と同一軸心上で連結され、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部と、
を有する、
電動歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−104718(P2010−104718A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282361(P2008−282361)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】