説明

アクチュエータ

【課題】 アクチュエータを小型化する。
【解決手段】 柱状の磁石22を挟んで同一軸線上に、磁石のN極側に磁性体からなる第1ピース18が、磁石のS極側に第2ピース20が配置されている。第1ピース18及び第2ピース20の外側には、磁石22の軸方向へ突設されたホルダー16が設けられている。磁石22、第1ピース18及び第2ピース20のそれぞれの外面は、これらの外面と所定の隙間を開けて、非磁性体の材料で筒状に形成されたコイルボビン12で覆われている。このコイルボビン12の外面上の、第1ピース18の外面及び第2ピース20の外面と対向する位置には、コイル24が設けられている。また、コイルボビン12の内面は、ホルダー16に設けられ、軸方向に可撓性を有するダンパー14で保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁力を利用したアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への配慮から、ファクシミリやプリンタ等の画像形成装置では、使用される画像形成用のトナーの供給ができない、という理由のみで新しいトナー容器に安易に交換することは許されず、トナー容器に収納されたトナーを使い切る工夫が求められている。
この問題を解消するために、トナー容器の近傍に衝撃付与手段を備え、必要に応じて固まったトナーに衝撃を与える方法が提案されている(特許文献1)。
【0003】
この衝撃付与手段として、電気信号に忠実な機械振動が得られる電磁力を利用したアクチュエータが考えられる。
しかし、狭い空間に配置して必要とする強さの機械振動を与えるには、小型化を図り、かつ所定量の電磁力を確保する必要がある。小型化のため磁石を小さくすれば、どうしても得られる電磁力は低下する。このため、構造上の制約からアクチュエータの小型化には限界があった。
【特許文献1】特開2004−333705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実に鑑み、アクチュエータの小型化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明に係るアクチュエータは、柱状の磁石と、前記磁石のN極側に配置され、磁性体からなる第1ピースと、前記磁石のS極側に配置され、磁性体からなる第2ピースと、前記第1ピース及び第2ピースから、それぞれ前記磁石の軸方向へ突設されたホルダーと、前記第1ピース及び第2ピースの外面と所定の隙間を開けて該外面を覆う筒状のコイルボビンと、前記コイルボビンの外面上で、前記第1ピース及び第2ピースの外面と対向する位置にそれぞれ設けられたコイルと、前記ホルダーに設けられ、前記磁石の軸方向に可撓性を有し、前記第1ピース及び第2ピースの外面と前記コイルボビンの内面を所定の隙間に保持するダンパーと、を有することを特徴としている。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、柱状の磁石を挟んで同一軸線上に、磁石のN極側に磁性体からなる第1ピースが配置され、磁石のS極側に磁性体からなる第2ピースが配置されている。
このため、磁石周囲の磁力線は、磁石の外面を跨いで、N極となる第1ピースの外面からS極となる第2ピースの外面の間を結ぶ形で形成される。
また、第1ピース及び第2ピースの外側には、それぞれ磁石の軸方向へ突設されたホルダーが設けられている。
【0007】
また、磁石、第1ピース及び第2ピースのそれぞれの外面は、これらの外面と所定の隙間を開けて、非磁性体の材料で筒状に形成されたコイルボビンで覆われている。
このコイルボビンの外面上の、第1ピースの外面及び第2ピースの外面と対向する位置には、コイルが設けられている。
また、コイルボビンの内面は、ホルダーに設けられ、軸方向に可撓性を有するダンパーで保持されている。
【0008】
この結果、コイルに電流を流せば、電流の方向によって決定される向きの電磁力がコイルボビンに作用する。コイルボビンを支持するダンパーは、軸方向に可撓性を有するため、作用する電磁力に応じて、コイルボビンは軸方向に移動する。
【0009】
なお、コイルボビンには、第1ピース及び第2ピースのそれぞれの外面と対応する2ヶ所にコイルが巻かれており、電磁力は2ヶ所で発生する。このため、1ヶ所のみにコイルが巻かれているものに比べ、より大きな電磁力を発生させることができる。
また、ダンパーは、ホルダーを介して磁石に保持されている。このため、ダンパーを取り付けるフレームが不要となり、部品点数が削減され、小型化を図ることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアクチュエータにおいて、前記ダンパーは、前記第1ピース及び第2ピースの外側にそれぞれ配置され、すべての前記ダンパーが、前記コイルボビンの内面に配置されていることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ダンパーは、第1ピース及び第2ピースの外側にそれぞれ配置され、すべてのダンパーがコイルボビンの筒状の内面に配置されている。
この結果、磁気回路をコイルボビンの筒状の内部で完結できる。
【0012】
請求項3に記載の発明に係るアクチュエータは、前記コイルボビンの外面を覆い、前記第1ピース及び第2ピースと対向する位置にヨークを配置したことを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載のコイルボビンの外面に、ヨークが配置されている。
この結果、N極となる第1ピースからS極となる第2ピースへ向かう磁力線は、損失の少ないヨーク内部を流れる。このため、空気中を流れる場合に較べ磁力線の減衰が押さえられ、磁束密度が上がる。
【0013】
請求項4に記載の発明に係るアクチュエータは、柱状の磁石と、前記磁石のN極側に配置され磁性体からなる第1ピースと、前記磁石のS極側に配置され磁性体からなる第2ピースと、前記第1ピース及び第2ピースからそれぞれ前記磁石の軸方向へ突設されたホルダーと、を有する磁石ピース結合部と、前記磁石ピース結合部を、それぞれの磁石の軸線を一致させて複数個配置した磁石ピース結合ユニットと、前記磁石ピース結合ユニットを覆い、それぞれの前記第1ピース及び第2ピースの外面と所定の隙間を開けて配置された筒状の長尺コイルボビンと、前記長尺コイルボビンの外面上で、それぞれの前記第1ピース及び第2ピースと対向する位置にそれぞれ設けられたコイルと、前記ホルダーの先端部に設けられ、前記磁石の軸方向に可撓性を有し、前記第1ピース及び第2ピースの外面と前記コイルボビンの内面を所定の隙間に保持するダンパーと、を有することを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、磁石、第1ピース、第2ピース及びホルダーで磁石ピース結合部を形成している。また、それぞれの磁石ピース結合部を磁石の軸線上に配置して、複数の磁石ピース結合部の集合を1つの磁石ピース結合ユニットとしている。
【0015】
更に、それぞれの磁石ピース結合部における第1ピース及び第2ピースの外面と所定の隙間を開けて、これらを覆う長尺コイルボビンが設けられている。
この長尺コイルボビンの外面には、それぞれの第1ピース及び第2ピースに対応する位置に、それぞれコイルが設けられている。
この結果、それぞれの磁石ピース結合部に生じる電磁力が、1つの長尺コイルボビンに加算して加えられ、長尺コイルボビンに大きな電磁力を与えることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明に係るアクチュエータは、前記長尺コイルボビンの外面を覆い、それぞれの前記磁石ピース結合部の前記第1ピース及び第2ピースと対向する位置に、それぞれヨークを配置したことを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、長尺コイルボビンの内部には、請求項3に記載した複数の磁石ピース結合部が配置されており、長尺コイルボビンの外面には、それぞれの磁石ピース結合部に対向する位置に、それぞれヨークが配置されている。
この結果、N極となる第1ピースからS極となる第2ピースへ向かう磁力線は、損失の少ないヨーク内部を流れる。このため、空気中を流れることによる磁力線の減衰が押さえられ、磁束密度が上がる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のアクチュエータにおいて、前記磁石ピース結合部同士が隣接する位置における前記ダンパー及び前記ホルダーは、非磁性体材料で柱状に形成されたスペーサであり、前記スペーサは、前記第1ピースと前記第2ピースとの間に配置されることを特徴としている。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、磁石ピース結合部同士が隣接する位置におけるダンパー及びホルダーは、非磁性体材料で柱状に形成されたスペーサとされている。
このスペーサは、磁石ピース結合部同士が隣接する位置における隣り合う第1ピースと第2ピースとの間に配置されている。
【0020】
このため、部品点数が削減される。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のアクチュエータにおいて、前記スペーサは磁石で柱状に形成された磁石スペーサであり、前記磁石スペーサのN極側の側面は前記第1ピースの側面に当接され、前記磁石スペーサのS極側の側面は前記第2ピースの側面に当接されたことを特徴としている。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、スペーサは磁石で柱状に形成された磁石スペーサとされている。また、磁石スペーサのN極側の側面は第1ピースの側面に当接され、磁石スペーサのS極側の側面は第2ピースの側面に当接されている。
このため、第1ピースから第2ピースへ向かう磁束密度が上がる。
【発明の効果】
【0022】
本願発明は、上記構成としてあるのでアクチュエータの小型化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、第1の実施の形態に係るアクチュエータ10は、円筒状のコイルボビン12を備えている。
コイルボビン12は非磁性体材料からなり、円筒内部には磁石22が配置されている。
磁石22は永久磁石で円柱状に形成され、コイルボビン12の軸線と同一軸線上に配置されている。磁石22のN極側には第1ピース18が、磁石22のS極側には、第2ピース20が、それぞれ磁石22の軸線と同一軸線上に配置されている。
【0024】
第1ピース18は、磁性体材料で円柱状に形成され、磁石22と同径若しくは磁石22より大径とされている。
第2ピース20は、磁性体材料で円柱状に形成され、第1ピース18と同一寸法、同一形状とされている。
第1ピース18及び第2ピース20両側面には、円柱状に形成され、円柱の片方の端部には、フランジ部16Fが形成されたホルダー16が設けられている。
【0025】
ホルダー16は、フランジ部16Fが第1ピース18及び第2ピース20の両側面にそれぞれ当接される向きで、磁石22の軸線と同一軸線上に配置されている。
また、フランジ部16F、磁石22、第1ピース18及び第2ピース20には、それぞれボルト25用を挿入するための貫通孔が、磁石22の軸線と平行に設けられている。
【0026】
フランジ部16F、磁石22、第1ピース18及び第2ピース20は、ボルト25で、それぞれの貫通孔を利用して一体化されている。
ホルダー16のフランジ部16Fが設けられていない側の端部には、それぞれダンパー14が設けられている。
【0027】
ダンパー14は、金属板で円盤状に形成され、周方向に沿って同心円上に複数のスリット11が形成されている。これにより、軸方向に可撓性を有している。
また、ダンパー14は、磁石22の軸線と同一軸線上に配置され、ダンパー14の中心部はネジ28でホルダー16の先端部と接合され、外周部はコイルボビン12の円筒内面と接合されている。このとき、すべてのダンパー14はコイルボビン12の円筒内面に配置されている。
【0028】
コイルボビン12の内面と、第1ピース18及び第2ピース20の外面とは隙間Sを開けて対向しており、隙間Sはダンパー14で一定に維持されている。
コイルボビン12の外周面の、第1ピース18及び第2ピース20の外面と対向する位置には、それぞれコイル24が巻かれている。それぞれのコイル24は、コイルボビン12の外周面に沿って巻きつけられており、図示しない電源回路から電流を流す構成とされている。
【0029】
なお、ダンパー14は、金属板に限定されることはなく、コイルボビン12の内面と、第1ピース18及び第2ピース20の外面との隙間Sを一定に維持し、かつ、コイルボビン12を軸方向に平行に移動可能に支持できる材料(例えばゴム、樹脂)であればよい。
【0030】
次に、アクチュエータ10の作用について説明する。
図2に示すように、磁石22のN極側に配置された第1ピース18の外周面から、磁石22のS極側に配置された第2ピース20の外周面に向けて、大気中に磁力線Kが形成されている。
【0031】
第1ピース18及び第2ピース20の外周面から隙間Sだけ離れた位置には、コイルボビン12と、コイルボビン12の外周面に巻かれたコイル24が配置されている。
このコイル24が配置されている位置には、磁力線Kが集中している。
【0032】
この状態で、コイル24に電流を流せば、コイル24には電磁力Fが発生する。コイル24に発生した電磁力Fは、コイルボビン12を磁石22の軸線に平行な方向に動かすよう作用する。コイルボビン12はダンパー14で、軸方向に移動可能に支持されている。このため、コイルボビン12は軸方向に移動できる。
この電磁力Fは、コイル24を流れる電流の方向によりコイルボビン12に作用する向きが異なる。このため、電流の方向を制御することにより、軸方向の任意の向きにコイルボビン12を移動させることができる。
【0033】
図3に示すように、コイルボビン12の第1ピース18側の端部には、対象物に接して作用を及ぼすリング30が接合されている。このため、コイルボビン12を、軸方向に移動させることにより、同時に、同じ量だけリング30も軸方向に移動する。
【0034】
また、第2ピース20側のホルダー16の端部には、支持部材32の一端が取り付けられており、支持部材32の他端は固定板34に取り付けられている。このため、コイルボビン12を、軸方向に移動させる時の反力を固定板34で受けることができる。即ち、磁石22、第1ピース18及び第2ピース20が固定板34で支持され、コイルボビン12と共に移動するリング30で対象物に作用を及ぼすことができる。
【0035】
このように、アクチュエータ10は、ダンパー14をコイルボビン12の円筒内部のホルダー16に取り付ける構造上であるため、ダンパー14を取り付けるフレームが不要となり、アクチュエータ10の小型化が実現できる。即ち、外径の最大寸法はコイル24の外形寸法となる。
また、近年の永久磁石における着磁技術の向上から、必要な磁力を確保するための磁石の寸法は小さくなっている。この面からもアクチュエータ10の小型化が可能となる。
【0036】
更に、アクチュエータ10の小型化が実現できれば、材料費もその分削減でき、アクチュエータ10の低価格化につながる。
次に、アクチュエータ10の応用例について、図4−1、図4−2、図4−3を用いて説明する。
【0037】
先ず、トナーケース40を直接振動させる第1実施例について説明する。
図4−1に示すように、トナー42はトナーケース40に充填されている。
トナーケース40は、ファクシミリやプリンタ等の画像形成装置に設けられたトナー収納部46は、に配置されている。このトナーケース40をトナー収納部46に配置した状態で、トナー42は、トナー排出口56から排出ホッパー52を介して、画像形成装置(図示せず)に供給される。
【0038】
トナー収納部46はバネ48で、トナー取付台44に振動可能に支持されている。トナー収納部46とトナー取付台44は隙間(側面はS3、底面はS4)を設けて配置されている。
底面の隙間部S4には、アクチュエータ10が配置されている。アクチュエータ10の固定板34は、トナー取付台44に固定され、リング30はトナー収納部46の底面に開けた開口孔を介して、トナーケース40の底面に直接当接している。
【0039】
この状態で、アクチュエータ10のリング30を振動させると、トナーケース40の底面に振動が加えられ、トナーケース40の中のトナー42が振動する。トナー42に適宜振動を与えることで、トナー42の粒子同士が集合し、固まるのを防ぐことができる。
この結果、トナー42は、トナー排出口56から排出ホッパー52を介して安定して供給される。また、バネ48により、リング30の振動がトナー取付台44に伝わるのを防ぐことができる。
【0040】
次に、トナーケース40の内部にアクチュエータ10を配置し、トナー42を直接振動させる第2の実施例について説明する。
【0041】
図4−2に示すように、トナーケース40の側面の一部にアクチュエータ10の取付部58が形成されている。
取付部58には、リング30に固定した円盤31を挿入するための挿入部59が開口され、円盤31を挿入した状態で挿入部59を塞ぐゴム製の蓋部57が設けられている。また、固定板34を取り付けるための取付部55がトナーケース40の側面に設けてある。尚、アクチュエータ10の外周は、トナー42の進入を防ぐための保護ケース51で覆われている。
【0042】
このため、円盤31を挿入孔59からトナーケース40の内部に挿入した状態で、円盤31を取付部55に取り付けて固定し、アクチュエータ10を取り付けた状態で挿入孔59を蓋部57で密閉できる。
【0043】
この状態でトナー42をトナーケース40に充填する。必要に応じてアクチュエータ10に通電し、円盤31を振動させることで、トナー42に直接振動を与えることができる。この結果、トナーケース40の中のトナー42が固まるのを防ぐことができ、トナー42は、トナー排出口56から、排出ホッパー52を介して安定して供給される。
【0044】
次に、トナー42が通過するダクト41の内部にアクチュエータ10を配置する第3の実施例について説明する。
図4−3に示すように、トナー42が通過途中で堆積する可能性のあるダクト41の曲がり部に、アクチュエータ10の取付部45が形成されている。
取付部45は、円盤31を挿入するための挿入部44が開口され、円盤31を挿入した状態で挿入部44を塞ぐゴム製の蓋部43が設けられている。また、固定板34を取り付けるための取付部47がダクト41に設けてある。尚、アクチュエータ10の外周はトナー42の進入を防ぐ保護ケース51で覆われている。
このため、円盤31をダクト41の挿入部44に挿入し、固定板34をダクト41の取付部47に取り付け、円盤31を挿入した状態で挿入部44を蓋部43で塞ぐことができる。
【0045】
このダクト41の内部に円盤31を挿入した状態でトナー42を通過させ、必要に応じて円盤31を振動させることで、ダクト41の内部に堆積したトナー42を直接振動させることができる。この結果、トナー42がダクト41の内部で固まり、堆積するのを防止することができる。
【0046】
(第2の実施の形態)
図5に示すように、第2の実施の形態に係るアクチュエータ60は、コイルボビン12の外周にヨーク61が配置されている。
【0047】
ヨーク61は、磁性体材料で中空円柱状に形成され、磁石22と軸線を一致させてコイルボビン12の外周に配置されている。
ヨーク61の中空部の内周面には、コ字状断面を形成する凹部が設けられ、凹部の両側にできる第1凸部62は第1ピース18の外周面と、第2凸部63は第2ピース20の外周面と、それぞれ所定の隙間S2を開けて対向している。
【0048】
ヨーク61の両側面には、中空円柱状に形成され、磁石22と軸線を一致させてコイルボビン12の外周に配置されたネジ座65が設けられている。
ネジ座65はフランジ部65Fを有している。フランジ部65Fにはネジ66用の貫通孔が設けられている。また、ヨーク61にもネジ66用の貫通孔が設けられており、ネジ座65は、ネジ66を用いてヨーク61の両側に取り付けられている。
【0049】
ネジ座65の円柱部には、ネジ溝が設けられており、このネジ溝に取り付けた調整ネジ64でフランジ部16Fの側面を押し、ヨーク61の位置を一定に調整している。即ち、隙間S2に維持している。このとき、コイルボビン12の一部には、調整ネジ64を通すための切り欠き部が設けられている。
【0050】
隙間S2には、コイルボビン12と、コイルボビン12の外周に巻かれたコイル24が配置されている。
上述のヨーク61以外は、既に説明した第1の実施の形態と同一であり、同一部分の説明は省略する。
この結果、第1ピース18の外周面から第2ピース20の外周面に向かう磁力線Kは、磁性体材料で構成され、損失の少ないヨーク61を通ることとなる。このため、空気中を通る場合に比べ、コイル24を横切る磁束密度が上がる。即ち、同じ電流をコイル24に流しても、コイル24が磁力線Kの中で受ける電磁力は大きくなる。このため、コイルボビン12及ぼす電磁力を増すことができる。
【0051】
従って、第1の実施の形態で説明したように、コイルボビン12に作用板30を接合し、ホルダー16に固定板34を接合することで、より強い電磁力を有するアクチュエータとして利用することができる。
アクチュエータとしての具体的な応用例は、既述した第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
【0052】
(第3の実施の形態)
図6に示すように、第3の実施の形態に係るアクチュエータ70は、長尺コイルボビン72を備えている。
長尺コイルボビン72は非磁性体材料で円筒状に形成され、円筒内部には第1の実施の形態で説明した、磁石22、第1ピース18、第2ピース20及びホルダー16からなる第1磁石ピース結合部74、第1磁石ピース結合部74と同一構成の第2磁石ピース結合部75、同じく、第1磁石ピース結合部74と同一構成の第3磁石ピース結合部76が配置されている。
【0053】
これら、第1磁石ピース結合部74、第2磁石ピース結合部75及び第3磁石ピース結合部76は、それぞれの磁石22の軸線を一致させて、一列に配置され、磁石ピース結合ユニット77を構成している。
なお、第1磁石ピース結合部74と第2磁石ピース結合部75は、隣接するフランジ部16同士の間に連接部材78を配置し、この連接部材78で所定の距離を維持した状態で接合されている。
【0054】
同様に、第2磁石ピース結合部75と第3磁石ピース結合部76は、隣接するフランジ部16同士の間に連接部材78を配置し、この連接部材78で所定の距離を維持した状態で接合されている。
また、磁石ピース結合ユニット77は、それぞれのホルダー16に接合したダンパー14で、長尺コイルボビン72の内部を支持している。
【0055】
また、磁石ピース結合ユニット77の、それぞれの第1ピース18の外周面及び第2ピース20の外周面と、長尺コイルボビン72の内面とは、隙間Sを開けて対向している。
また、長尺コイルボビン72の外周面には、磁石ピース結合ユニット77のそれぞれの第1ピース18の外周面及び第2ピース20の外周面と対応する位置に、それぞれコイル24が巻かれている。
【0056】
この結果、それぞれのコイル24に電流を流すことにより、コイル24にそれぞれ同時に発生する電磁力Fは、1つの長尺コイルボビン72に同時に、かつ同一方向に作用させることができる。このため、第1の実施の形態で説明した、コイルボビン12に1つの磁石ピース結合部74が作用した場合に比べ、より大きな電磁力を得ることができる。
【0057】
同じように、長尺コイルボビン72の片方の端部にリング30を接合し、リング30を接合した方向とは反対側のホルダー16に固定板34を固定すれば、より強い電磁力Fが得られるアクチュエータ70を提供することがでる。
アクチュエータとしての具体的な応用例は、第1の実施の形態で説明したものと同じであり、説明は省略する。
【0058】
なお、以上の説明は、磁石ピース結合部を3つ、軸線を一致させて並べた場合について説明したが、3つに限定されることはなく、要求する電磁力に応じて、任意の個数とすることができる。
また、磁石ピース結合部は、すべてダンパー14とホルダー16を備えた状態で並べた場合について説明したが、図7に示すように、磁石ピース結合部74、磁石ピース結合部75及び磁石ピース結合部76が隣り合う位置では、非磁性体材料で円板状に形成されたスペーサ90を、ダンパー14とホルダー16の代りに配置することができる。
【0059】
このことにより、ダンパー14とホルダー16の点数が削減される。
また、このスペーサ90を磁石で形成し、磁石スペーサとし、磁石スペーサを、ダンパー14とホルダー16の代りに配置することができる。
このとき、磁石スペーサは、N極側の側面を第1ピース18(N極側)の側面に当接させ、S極側の側面を第2ピース20(N極側)の側面に当接させる。
このことにより、第1ピース18から第2ピース20へ向かう磁束密度が上がる。
(第4の実施の形態)
【0060】
図8に示すように、第4の実施の形態に係るアクチュエータ80は、長尺コイルボビン72を有している。長尺コイルボビン72は、第3の実施の形態で説明したものと同一であり、説明は省略する。
【0061】
長尺コイルボビン72の円筒内部には、磁石22、第1ピース18、第2ピース20及びホルダー16からなる第1磁石ピース結合部74、第1磁石ピース結合部74と同一構成の第2磁石ピース結合部75、同じく第1磁石ピース結合部74と同一構成の第3磁石ピース結合部76が配置されている。
【0062】
更に、これら3つの磁石ピース結合部を連結して、1つの磁石ピース結合ユニット77を構成している。
この構成は、第3の実施の形態と同一である。第3の実施の形態で既に説明した部分についての説明は、省略する。
長尺コイルボビン72の外周には、第1ヨーク84、第2ヨーク85及び第3ヨーク86が、磁石22と同一軸線上に配置されている。
【0063】
第1ヨーク84、第2ヨーク85及び第3ヨーク86の構成は第2の実施の形態で説明したヨーク61と同一であり、説明は省略する。
【0064】
また、第1ヨーク84、第2ヨーク85及び第3ヨーク86の内周面は、それぞれ第1磁石ピース結合部74、第2磁石ピース結合部75、第3磁石ピース結合部76のそれぞれの、第1ピース18の外周面及び第2ピース20の外周面と、所定の隙間S2を開けて対向している。
【0065】
隙間S2には、長尺コイルボビン72と、長尺コイルボビン72に巻かれたコイル24が配置されている。
【0066】
この結果、1つの長尺コイルボビン72に対し、磁石ピース結合ユニットで、それぞれ同一方向の電磁力を及ぼすこととなり、長尺コイルボビン72に大きな電磁力を加えることができる。
更に、第1磁石ピース結合部74、第2磁石ピース結合部75及び第3磁石ピース結合部76のそれぞれに第1ヨーク84、第2ヨーク85及び第3ヨーク86をそれぞれ配置してあり、それぞれのコイルを横切る磁束密度を上げることができる。この結果、長尺コイルボビン72に、より大きな電磁力を加えることができる。
【0067】
従って、長尺コイルボビン72の片側にリング30を接合し、リング30を接合した側とは反対側のホルダー16に固定板34を固定すれば、より強い電磁力を持つアクチュエータ86を提供することができる。
【0068】
なお、アクチュエータとしての具体的な応用例は、第1の実施の形態で説明したのと同じであり、説明は省略する。
以上の説明は、磁石ピース結合部及びヨークをそれぞれ3つずつ並べた場合について説明したが、3つに限定されることはなく、要求する電磁力に応じて、任意の個数を並べることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るアクチュエータの基本構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るアクチュエータの磁束の流れを示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るアクチュエータの基本構成を示す断面図である。
【図4−1】本発明の第1の実施の形態に係るアクチュエータの第1の応用例を示す図である。
【図4−2】本発明の第1の実施の形態に係るアクチュエータの第2の応用例を示す図である。
【図4−3】本発明の第1の実施の形態に係るアクチュエータの第3の応用例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る、ヨークを配置したアクチュエータの基本構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るアクチュエータの基本構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るアクチュエータの他の応用例を示す断面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る、ヨークを配置したアクチュエータの基本構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0070】
10 アクチュエータ
12 コイルボビン
14 ダンパー
16 ホルダー
18 第1ピース
20 第2ピース
22 磁石
24 コイル
30 リング
34 固定板
61 ヨーク
72 長尺コイルボビン
74 第1磁石ピース結合部
75 第2磁石ピース結合部
76 第3磁石ピース結合部
77 磁石ピース結合ユニット
90 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の磁石と、
前記磁石のN極側に配置され、磁性体からなる第1ピースと、
前記磁石のS極側に配置され、磁性体からなる第2ピースと、
前記第1ピース及び第2ピースから、それぞれ前記磁石の軸方向へ突設されたホルダーと、
前記第1ピース及び第2ピースの外面と所定の隙間を開けて該外面を覆う筒状のコイルボビンと、
前記コイルボビンの外面上で、前記第1ピース及び第2ピースの外面と対向する位置にそれぞれ設けられたコイルと、
前記ホルダーに設けられ、前記磁石の軸方向に可撓性を有し、前記第1ピース及び第2ピースの外面と前記コイルボビンの内面を所定の隙間に保持するダンパーと、
を有することを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記ダンパーは、前記第1ピース及び第2ピースの外側にそれぞれ配置され、
すべての前記ダンパーが、前記コイルボビンの内面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記コイルボビンの外面を覆い、前記第1ピース及び第2ピースと対向する位置にヨークを配置したことを特徴とする請求項1、又は2のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
柱状の磁石と、前記磁石のN極側に配置され磁性体からなる第1ピースと、前記磁石のS極側に配置され磁性体からなる第2ピースと、前記第1ピース及び第2ピースからそれぞれ前記磁石の軸方向へ突設されたホルダーと、を有する磁石ピース結合部と、
前記磁石ピース結合部を、それぞれの前記磁石の軸線を一致させて複数個配置した磁石ピース結合ユニットと、
前記磁石ピース結合ユニットを覆い、それぞれの前記第1ピース及び第2ピースの外面と所定の隙間を開けて配置された筒状の長尺コイルボビンと、
前記長尺コイルボビンの外面上で、それぞれの前記第1ピース及び第2ピースの外面と対向する位置にそれぞれ設けられたコイルと、
それぞれの前記ホルダーに設けられ、前記磁石の軸方向に可撓性を有し、前記第1ピース及び第2ピースの外面と前記長尺コイルボビンの内面を所定の隙間に保持するダンパーと、
を有することを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
前記長尺コイルボビンの外面を覆い、それぞれの前記磁石ピース結合部の前記第1ピース及び第2ピースと対向する位置に、それぞれヨークを配置したことを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記磁石ピース結合部同士が隣接する位置における前記ダンパー及び前記ホルダーは、非磁性体材料で柱状に形成されたスペーサであり、
前記スペーサは、前記第1ピースと前記第2ピースとの間に配置されることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記スペーサは磁石で柱状に形成された磁石スペーサであり、
前記磁石スペーサのN極側の側面は前記第1ピースの側面に当接され、
前記磁石スペーサのS極側の側面は前記第2ピースの側面に当接されたことを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−301660(P2008−301660A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147390(P2007−147390)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(599081255)株式会社エフ・ピー・エス (13)
【Fターム(参考)】