説明

アクティブマトリクス回路基板及び表示装置

【課題】より広い表示領域を有すると共に、高い表示の自由度を維持しつつ駆動系の設計が複雑化しないアクティブマトリクス駆動の表示装置及びこの構成部品となるアクティブマトリクス回路基板を提供すること。
【解決手段】第1基板上に設けられた複数の画素電極35が、中央領域30A内から周辺領域30Bにはみ出すように配置された周辺画素電極35bを含んでいるので、当該周辺画素電極35bがはみ出して配置される周辺領域30Bにおいても表示が可能となる。このため、表示領域は画素が設けられた中央領域30A内だけでなく、周辺領域30Bにまで広がることになる。この構成によれば、周辺画素電極35bは他の画素電極35aと同様に画素駆動回路から駆動信号が供給されるので、アクティブマトリクス駆動が行われることとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス回路基板及びこのアクティブマトリクス回路基板を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や腕時計などの電子機器の表示部には、静止画や動画を表示する表示装置が搭載されている。このような表示装置のうち、例えば電気泳動表示装置は、対向配置された一対の基板(第1基板及び第2基板)によって電気泳動層が挟持された構成になっている。電気泳動表示装置の表示領域には、複数の画素が平面視でマトリクス状に配列されている。電気泳動表示装置の例えば第1基板には、第2基板との対向面に1画素ごとに画素電極が設けられている。第2基板には、第1基板との対向面のほぼ全面に対向電極が設けられている。画素電極と対向電極との間に所定の電界を印加することによって、両基板に挟持される電気泳動層を駆動するようになっている。
【0003】
第1基板上の画素電極の下層側(第1基板表面側)には、当該画素電極に駆動信号を印加する画素駆動回路が形成されている。通常、画素駆動回路は、画素電極に平面視で重なるように形成される。電気泳動表示装置の表示領域の周りの領域には、この画素駆動回路に所定の電気信号を供給するドライバ回路が形成されている。ドライバ回路が形成される領域は、当該ドライバ回路用の配線などが細密に形成されているため、画素駆動回路を形成することができない。このため、従来、ドライバ形成領域には画素電極を形成せず、電気泳動表示装置の表示領域はドライバ形成領域を除いた領域に限定されていた。表示が行われないドライバ形成領域は遮光部などによって遮光されるため、電気泳動表示装置の周縁部分が暗く見えるようになっていた。
【0004】
デザイン上の観点及びフレキシブル性の観点から、近年では、この暗く見える部分をより狭く表示領域をより広くした電気泳動表示装置が求められている。例えば特許文献1には、ドライバ形成領域上をセグメント駆動することによって表示領域をドライバ形成領域にまで広げる手法が提案されている。
【特許文献1】特開2006−227053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の手法はセグメント駆動であるため、ドライバ形成領域の表示の自由度は、表示領域の表示の自由度に比べて少ない。この構成においてドライバ形成領域の表示の自由度を向上させるためには、接続端子を別途設けるか、セグメント制御用の回路を別途設ける必要があるため、駆動系の設計が極めて複雑になってしまう。
【0006】
上記事情に鑑みて、本発明の目的は、より広い表示領域を有すると共に、高い表示の自由度を維持しつつ駆動系の設計が複雑化しないアクティブマトリクス駆動の表示装置及びこの構成部品となるアクティブマトリクス回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るアクティブマトリクス回路基板は、所定領域に複数の画素が設けられた基板と、前記基板上の前記画素ごとにそれぞれ設けられ、前記所定領域内から前記所定領域の外側の領域にはみ出すように配置された周辺画素電極を含む複数の画素電極と、前記基板の前記所定領域内に前記画素電極ごとに設けられ、前記画素電極に駆動信号を供給する画素駆動回路とを具備することを特徴とする。
本発明によれば、基板上に設けられた複数の画素電極が、所定領域内から所定領域の外側の領域にはみ出すように配置された周辺画素電極を含んでいるので、当該周辺画素電極がはみ出して配置される所定領域の外側の領域においても表示が可能となる。このため、表示領域は画素が設けられた所定領域内だけでなく、所定領域の外側にまで広がることになる。この構成によれば、周辺画素電極は他の画素電極と同様に画素駆動回路から駆動信号が供給されるので、アクティブマトリクス駆動が行われることとなる。これにより、より広い表示領域を有すると共に、高い表示の自由度を維持しつつ駆動系の設計が複雑化しないアクティブマトリクス回路基板を得ることができる。
【0008】
上記のアクティブマトリクス回路基板は、前記基板上の前記所定領域の外側の領域に設けられ、前記画素駆動回路に電気信号を供給するドライバ回路をさらに具備し、前記周辺画素電極の一部分が、前記ドライバ回路に平面視で重なっていることを特徴とする。
本発明によれば、基板上の所定領域の外側の領域に画素駆動回路に電気信号を供給するドライバ回路が設けられており、周辺画素電極の一部分がこのドライバ回路に平面視で重なっているので、表示領域をドライバ回路の設けられる領域にまで広げることができる。
【0009】
上記のアクティブマトリクス回路基板は、前記周辺画素電極の面積が、前記所定領域内に設けられた画素電極の面積よりも大きいことを特徴とする。
本発明によれば、周辺画素電極の面積が、所定領域内に設けられた画素電極の面積よりも大きいので、所定領域の外側の領域における表示を際立たせることができる。
【0010】
上記のアクティブマトリクス回路基板は、前記画素駆動回路が、前記画素電極の面積に応じた強さの駆動信号を供給することを特徴とする。
本発明によれば、画素駆動回路が画素電極の面積に応じた強さの駆動信号を供給するので、画素電極の面積の相違による表示のばらつきを抑え、安定かつ均一な表示が可能となる。
【0011】
上記のアクティブマトリクス回路基板は、前記周辺画素電極には、前記画素駆動回路が複数設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、周辺画素電極には画素駆動回路が複数設けられているので、画素駆動回路が損傷した場合であっても冗長回路として機能させることができるので、確実に表示を行うことができる。
【0012】
上記のアクティブマトリクス回路基板は、前記周辺画素電極が複数設けられており、前記複数の周辺画素電極のうち一部の周辺画素電極が接地用の電極であることを特徴とする。
本発明によれば、周辺画素電極が複数設けられており、当該複数の周辺画素電極のうち一部の周辺画素電極が接地用の電極であるので、周辺画素電極と対向する電極との間に常に一定の電圧が印加されることになる。周辺画素電極が金属からなる場合、電気抵抗値が低くなるため他の配線の補強としても好適となる。周辺画素電極によって補強される分、他の配線を細く形成することができる。
【0013】
上記のアクティブマトリクス回路基板は、前記周辺画素電極が複数設けられており、前記複数の周辺画素電極のうち一部の周辺画素電極がセグメント駆動用の電極であることを特徴とする。
本発明によれば、周辺画素電極が複数設けられており、当該複数の周辺画素電極のうち一部の周辺画素電極がセグメント駆動用の電極であるので、画素駆動回路による駆動とは別に周辺画素電極を駆動させることができる。これにより、表示の自由度を一層高めることができる。
【0014】
上記のアクティブマトリクス回路基板は、前記セグメント駆動用の電極を独立して駆動可能な駆動回路が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、上記のセグメント駆動用の電極を独立して駆動可能な駆動回路が設けられているので、当該駆動回路によって他の画素電極とは異なる駆動系で表示を行うことができる。これにより、表示の自由度をさらに高めることができる。
【0015】
本発明に係る表示装置は、対向配置され、電気光学物質層を挟持する第1基板及び第2基板と、前記第1基板のうち前記第2基板との対向面に設けられた画素電極と、前記第2基板のうち前記第1基板との対向面に設けられた対向電極とを具備する表示装置であって、前記第1基板が、上記のアクティブマトリクス回路基板であることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、より広い表示領域を有すると共に、高い表示の自由度を維持しつつ駆動系の設計が複雑化しないアクティブマトリクス回路基板が搭載されているので、大きな表示面積を確保したアクティブマトリクス駆動の表示装置を得ることができる。
【0017】
上記の表示装置は、前記電気光学物質が、電気泳動粒子と当該電気泳動粒子を分散させる液相分散媒とからなる電気泳動分散液であることを特徴とする。
本発明によれば、表示装置を構成する電気泳動素子が表示の保持性(メモリ性)を有しているので、例えば表示を固定している際には電気泳動粒子に与える電界を無くしても、表示がそれ以前に与えられた電界による状態に保持される。したがって、消費電力の低減化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、図面に基づき、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る表示装置5の断面構成を示す図である。
同図に示すように、表示装置5は、第1基板(アクティブマトリクス回路基板)30と、第2基板31と、電気泳動層32とを主体として構成されている。
【0019】
第1基板30と第2基板31とは、電気泳動層32を挟持するように対向配置されている。第1基板30の内面(第2基板31との対向面)には、画素ごとにITO(Indium Tin Oxide)や金属などの導電材料からなる画素電極35が設けられている。第2基板31の内面(第1基板30との対向面)には、ITO等の透明な導電材料からなる共通電極(対向電極)37が形成されている。第2基板31の外面は、静止画や動画などの画像が表示される表示面となる。
【0020】
表示装置5は、図3に示すように画素部40が平面視でマトリクス状に配列されている。各画素部40は、図4の回路図に示すように、スイッチング素子としてのトランジスタ41と、保持容量42と、上述した電気泳動素子28とを備えている。トランジスタ41と保持容量42とによって上述した画素駆動回路34が構成されている。
【0021】
トランジスタ41は、例えば電界効果型のnチャネルトランジスタであり、そのゲートが走査線(スキャン線)47に接続され、一方のソースドレイン(入力端)がデータ線(信号線)48に接続され、他方のソースドレイン(出力端)が画素電極35及び保持容量42に接続されている。
【0022】
電気泳動層32は、図2(a)及び図2(b)に示すように多数のマイクロカプセル24から構成されたもので、これらマイクロカプセル24には、それぞれ電気泳動分散液25が封入されている。この電気泳動分散液25は、本発明における電気光学物質であって、正に帯電した黒色の電気泳動粒子(以下、黒色粒子と記す)26と、負に帯電した白色の電気泳動粒子(以下、白色粒子と記す)27とを、それぞれ多数個ずつ液相分散媒(図示せず)中に分散させてなるものである。
【0023】
このように画素電極35と共通電極37とこれら電極間に挟持されてなる電気泳動層32(マイクロカプセル24)とからなる電気泳動素子28の動作について説明する。図2(a)に示すように共通電極37の電位が画素電極35の電位より相対的に高い場合には、負に帯電した白色粒子27が共通電極37側に移動(泳動)し、正に帯電した黒色粒子26は画素電極35側に移動(泳動)する。この状態で表示面側となる共通電極37側を見ると、この電気泳動素子28に対応する画素部では白色が認識される。
【0024】
また、図2(b)に示すように画素電極35の電位が共通電極37の電位より相対的に高い場合には、正に帯電した黒色粒子26が共通電極37側に移動(泳動)し、負に帯電した白色粒子27は画素電極35側に移動(泳動)する。この状態で共通電極37側を見ると、この電気泳動素子28に対応する画素部では黒色が認識される。したがって、各画素部毎に白あるいは黒が表示されることにより、これら画素部が基本的にマトリクス状に配置された表示装置5では、白または黒からなるパターン表示が可能になっているのである。
【0025】
なお、電気泳動分散液25としては、前記の2粒子系のものに限定されることなく、1粒子系のものも使用可能であり、その場合に、液相分散媒として着色したものを使用することもできる。また、2粒子系、1粒子系のいずれにおいても、粒子の色については、白と黒以外の種々の色を採用することができる。
【0026】
図5は、表示装置5のうちアクティブマトリクス回路基板としての第1基板30の平面構成を示す図である。
同図に示すように、以下では第1基板30の中央部を中央領域(所定領域)30Aとし、中央領域30Aの外側の領域を周辺領域30Bとして説明する。第1基板30の中央領域30Aには、上記の画素40がマトリクス状に配列されている。第1基板30の周辺領域30Bには、ソース駆動回路11とゲート駆動回路12とが設けられている。ソース駆動回路11及びゲート駆動回路12は、上記の画素駆動回路34に電気信号を供給するドライバ回路である。
【0027】
画素電極35は、中央画素電極35aと、周辺画素電極35bと、角部画素電極35cとを含んでいる。中央画素電極35aは、中央領域30Aの画素40に平面視で重なる位置に設けられており、画素40と同様マトリクス状の配列になっている。中央画素電極35aは平面視矩形になっており、4辺の長さはほぼ等しくなっている。
【0028】
周辺画素電極35bは、このマトリクス状に配列された中央画素電極35aのうち最外周に設けられた画素電極である。周辺画素電極35bは、中央領域30Aの各辺に沿って配列されており、中央領域30Aの内側から中央領域30Aの外側(周辺領域30B側)へはみ出すように延設されている。
【0029】
図6は、第1基板30の一部を拡大して示す図である。図7は、表示装置5のうち図6で示す部分の断面構成を示す図である。これらの図に示すように、周辺画素電極35bは、一部分が中央領域30A内に設けられている。当該中央領域30A内に設けられた一部分には画素駆動回路34が接続されており、当該周辺画素電極35bはアクティブマトリクス駆動が行われるようになっている。周辺画素電極35bのうち周辺領域30Bにはみ出した部分は、当該周辺領域30Bに設けられるソース駆動回路11又はゲート駆動回路12に平面視で重なる位置まで延びている。図8に示すように、周辺画素電極35bの長手方向の寸法t2は、中央画素電極35aの一辺の寸法t1に対して4倍程度になっている。その分周辺画素電極35bの面積は中央画素電極35aの面積よりも大きくなっているため、周辺画素電極35bに接続された画素駆動回路34のトランジスタ41や保持容量42は、周辺画素電極35bに供給する駆動信号を強くするようになっている。
【0030】
角部画素電極35cは、周辺画素電極35bのうち角部に設けられた画素電極である。角部画素電極35cは、中央領域30A内の各角部から当該中央領域30Aの外側へはみ出すように配置されている。これら中央画素電極35a、周辺画素電極35b、角部画素電極35cの配置された領域が表示装置5の表示領域となる。
【0031】
このように、本実施形態によれば、第1基板30上に設けられた複数の画素電極35が、中央領域30A内から周辺領域30Bにはみ出すように配置された周辺画素電極35bを含んでいるので、当該周辺画素電極35bがはみ出して配置される周辺領域30Bにおいても表示が可能となる。このため、表示領域は画素が設けられた中央領域30A内だけでなく、周辺領域30Bにまで広がることになる。この構成によれば、周辺画素電極35bは他の画素電極35aと同様に画素駆動回路34から駆動信号が供給されるので、アクティブマトリクス駆動が行われることとなる。これにより、より広い表示領域を有すると共に、高い表示の自由度を維持しつつ駆動系の設計が複雑化しないアクティブマトリクス回路基板を得ることができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、周辺画素電極35bの面積が、中央領域30A内に設けられた中央画素電極35aの面積よりも大きいので、周辺領域30Bにおける表示を際立たせることができる。加えて、第1基板30の画素駆動回路34が、画素電極35の面積に応じた強さの駆動信号を供給するので、画素電極35の面積の相違による表示のばらつきを抑え、安定かつ均一な表示が可能となる。
【0033】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図9は、本実施形態に係る表示装置105のうち、第1基板(アクティブマトリクス回路基板)130の構成を示すものである。
同図に示すように、表示装置105の第1基板130は平面視で八角形の形状をしている。第1基板130の中央部は、画素がマトリクス状に配列された領域(中央領域130A)になっている。第1基板130の周辺部は、例えばドライバ回路などが形成された領域(周辺領域130B)になっている。
【0034】
第1基板130の表面には画素電極135が設けられている。画素電極135は、中央画素電極135a、周辺画素電極135b及び角部画素電極135cの3種類の電極を含んでいる。
【0035】
中央画素電極135aは、中央領域130Aに平面視でマトリクス状に配列された矩形の画素電極である。中央領域130Aの形状(八角形)に沿って配列されている。マトリクスの行方向及び列方向に対して45°傾いた辺に沿った領域では、各列の中央画素電極135aの個数が当該辺の傾きに合わせて1つずつ増えるように(あるいは減るように)設けられている。
【0036】
周辺画素電極135bは、第1基板130の中央領域130Aから周辺領域130Bにはみ出すように設けられた画素電極である。中央領域130Aの各辺に直交する方向に延設されている。角部画素電極135cは、八角形の各角部に配置され、第1基板130の中央領域130Aから周辺領域130Bにはみ出すように設けられた画素電極である。角部において周辺画素電極135b同士の隙間を埋めるように設けられている。例えばセグメント用の駆動回路を別途設けて角部画素電極135cに接続するようにしても構わない。
【0037】
本実施形態のように、表示装置105(第1基板130)の形状が矩形とは異なる形状(例えば八角形)であっても、表示領域を広げることが可能となる。このため、第1実施形態と同様に、より広い表示領域を有すると共に、高い表示の自由度を維持しつつ駆動系の設計が複雑化しないアクティブマトリクス回路基板を得ることができる。
【0038】
なお、本実施形態の構成は上記構成に限られず、例えば図10に示すように、マトリクスの行方向及び列方向に対して45°傾いた辺において、周辺画素電極135bの配置を例えば図のように中央画素電極135aの位置に沿って設けることにより、角部画素電極135cを設けない構成とすることも可能である。
【0039】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図11は、本実施形態に係る表示装置205のうち、第1基板(アクティブマトリクス回路基板)230の構成を示すものである。
同図に示すように、表示装置205の第1基板230は平面視で十六角形の形状をしている。第1基板230の中央部は、画素がマトリクス状に配列された領域(中央領域230A)になっている。第1基板230の周辺部は、例えばドライバ回路などが形成された領域(周辺領域230B)になっている。
【0040】
第1基板230の中央領域230Aには中央画素電極235aがマトリクス状に配列されており、中央領域230Aから周辺領域230Bにはみ出すように周辺画素電極235bが設けられており、中央領域230Aの角部には周辺画素電極235bの隙間を埋めるように角部画素電極235cが設けられている。周辺画素電極235bは、走査線248を跨ぐように設けられている。第2実施形態と同様に、例えばセグメント用の駆動回路を別途設けて、角部画素電極235cに接続するようにしても構わない。
【0041】
本実施形態のように、表示装置205(第1基板230)の形状が十六角形であっても、表示領域を広げることが可能となる。このため、第1実施形態と同様に、より広い表示領域を有すると共に、高い表示の自由度を維持しつつ駆動系の設計が複雑化しないアクティブマトリクス回路基板を得ることができる。
【0042】
なお、本実施形態の構成は上記構成に限られず、例えば図12に示すように、マトリクスの行方向及び列方向に対して22.5°傾いた辺において、周辺画素電極235bの配置を例えば図のように列方向に沿ってずらすことにより、角部画素電極235cを設けない構成とすることも可能である。例えば、同図に示すように、周辺画素電極235bの配置を列方向(周辺画素電極235bの延在方向)に沿ってずらすとともに、例えば図のように走査線248を段階的に束ねていくように配置する(同図では、上部方向から段階的に6本まで束ねたところまで提示している)。走査線248を段階的に束ねていくことにより、周辺画素電極235bを円形に近づけることができる。
【0043】
また、図13に示すように、中央領域230Aの形状を円形にすることも可能である。中央領域230Aを円形にすることによって、当該中央領域230A内にマトリクス状に配列される中央画素電極235aの位置が整えられることになる。また、円形の中央領域230Aの円周を跨ぐように周辺画素電極235bを設けることによって、角部画素電極235cを設けない構成とすることが可能となる。
【0044】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
図14は、本実施形態に係る表示装置を備えた腕時計301の正面図である。
【0045】
同図に示すように、腕時計301は、時計ケース302と、当該時計ケース302に連結された一対のバンド303とを主体として構成されている。
【0046】
時計ケース302は、ステンレス等の金属又はプラスチック樹脂等の樹脂からなる。時計ケース302の正面には、表示装置305と、秒針321と、分針322と、時針323とが設けられている。時計ケース302の側面には、操作子としての竜頭310と操作ボタン311とが設けられている。竜頭310は、ケース内部に設けられる巻真(図示せず)に連結されており、当該巻真と一体となって多段階(例えば2段階)で押し引き自在、かつ、回転自在に設けられている。
【0047】
図15は、腕時計301の側断面図である。
同図に示すように、時計ケース302の内部には収容部302Aが設けられている。収容部302Aには、ムーブメント304と表示装置305とが収容されている。
【0048】
ムーブメント304は、秒針321、分針322及び時針323からなるアナログ指針が連結された運針機構(図示せず)を有している。この運針機構が前記アナログ指針321〜323を回転駆動することにより、設定された時刻を表示する時刻表示部として機能するようになっている。
【0049】
表示パネル305は、例えばアクティブマトリクス駆動の電気泳動表示パネルによって構成されており、ムーブメント304の時計正面側に配置されている。この表示パネル305は、腕時計301の表示部を構成する。表示パネル305の表示面は、ここでは円形状になっている。表示面の形状については、円形状のほか、例えば正八角形状、十六角形状など、他の形状になっていても構わない。
【0050】
表示パネル305の中央部には、当該表示パネル305の表裏を貫通する貫通孔305Aが形成されている。貫通孔305Aには、前記ムーブメント304の運針機構(図示せず)の秒車324、二番車325及び筒車326の各軸が挿入されている。各軸の先端には、上述した秒針321、分針322及び時針323がそれぞれ取り付けられている。
【0051】
収容部302Aの一端側(時計正面側)には、ガラス製又は樹脂製の透明カバー307が設けられている。この透明カバー307は、樹脂製又は金属製の圧入リング306を介して収容部302Aに圧入固定されている。収容部302Aの他端側(時計裏側)には、パッキン308を介して裏蓋309が螺合されている。裏蓋309及び透明カバー307によって時計ケース302の内部の密封性が確保されている。
【0052】
図16は表示パネル305の構成を概略的に示す断面図である。
同図に示すように、表示パネル305は、第1基板(アクティブマトリクス回路基板)330と、第2基板331と、電気泳動層332とを主体として構成されている。
【0053】
第1基板330と第2基板331とは、電気泳動層332を挟持するように対向配置されている。第1基板330の内面(第2基板331との対向面)には、画素電極335が形成されている。第2基板331の内面(第1基板330との対向面)には、ITO等の透明な導電材料からなる共通電極(対向電極)337が形成されている。第2基板331の外面は、静止画や動画などの画像が表示される表示面になっている。第1基板330及び第2基板331の中央には、上述した貫通孔305Aが形成されている。貫通孔305Aは、第1基板330及び第2基板331のうち平面視で重なる領域を貫くように形成されている。貫通孔305Aの内側面には、シール部351が設けられている。シール部351は、第1基板330と第2基板331との間の領域(電気泳動層332が設けられた領域)を封止するように設けられている。
【0054】
図17は、表示パネル305の第1基板330の構成を示す平面図である。
第1基板330は、例えば十六角形の形状になっている。第1基板330のほぼ中央には、上記のシール部351及び貫通孔305Aの一部が形成されている。
【0055】
貫通孔305Aが設けられた部分を基準として下側半分の領域の中央部分(下側中央領域330A)には、中央画素電極335aがマトリクス状に配列されている。この下側半分の領域のうち周辺領域(下側周辺領域330B)には、ドライバ回路311及び312、セグメント用の電極310が設けられている。
【0056】
下側中央領域330Aから下側周辺領域330Bにはみ出すように周辺画素電極335bが設けられている。周辺画素電極335bのうち下側中央領域330Aの円弧部分に沿って配列されているものについては、当該円弧の径方向に沿って延設されている。周辺画素電極335bのうち下側中央領域330Aの図中上辺に沿って配列されているものについては、ドライバ回路311及び312に一部分が平面視で重なるように配列されている。
【0057】
セグメント用の電極310は、例えば別途設けられたセグメント駆動回路に接続されている。セグメント用の電極310においては、上記の画素電極335とは異なる駆動系で駆動を行うことが可能になっている。なお、上側半分の領域には画素電極335やドライバ回路311及び312などの駆動系は設けられていない。
【0058】
本実施形態のように、表示パネル305の中央に貫通孔305Aが形成されたものであっても、より広い表示領域を有すると共に、高い表示の自由度を維持しつつ駆動系の設計が複雑化しないアクティブマトリクス回路基板を得ることができる。
【0059】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態においては、1つの周辺画素電極には1つの画素駆動回路が接続されるものとして説明及び図示したが、これに限られることは無い。例えば1つの周辺画素電極に複数の画素駆動回路を接続する構成であっても構わない。周辺画素電極に画素駆動回路を複数接続することにより、画素駆動回路が損傷した場合であっても冗長回路として機能させることができるので、確実に表示を行うことができる。
【0060】
また、複数の周辺画素電極のうち一部の周辺画素電極を接地用の電極としても良い。この構成によれば、周辺画素電極と対向する電極との間に常に一定の電圧が印加されることになる。周辺画素電極が金属からなる場合、電気抵抗値が低くなるため他の配線の補強としても好適となる。周辺画素電極によって補強される分、他の配線を細く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図。
【図2】本実施形態に係る表示装置の動作を示す断面図。
【図3】本実施形態に係る表示装置の構成を示す平面図。
【図4】本実施形態に係る表示装置の画素の構成を示す図。
【図5】本実施形態に係る表示装置の構成を示す平面図。
【図6】本実施形態に係る表示装置の一部の構成を示す平面図。
【図7】本実施形態に係る表示装置の一部の構成を示す断面図。
【図8】本実施形態に係る表示装置の一部の構成を示す平面図。
【図9】本発明の第2実施形態に係る表示装置の第1基板の構成を示す平面図。
【図10】本実施形態に係る他の表示装置の構成を示す平面図。
【図11】本発明の第3実施形態に係る表示装置の第1基板の構成を示す平面図。
【図12】本実施形態に係る表示装置の他の構成を示す平面図。
【図13】本実施形態に係る表示装置の他の構成を示す平面図。
【図14】本発明の第4実施形態に係る腕時計の構成を示す平面図。
【図15】本実施形態に係る腕時計の構成を示す断面図。
【図16】本実施形態に係る表示パネルの構成を示す断面図。
【図17】本実施形態に係る表示パネルの第1基板の構成を示す平面図。
【符号の説明】
【0062】
5…表示装置 11…ソース駆動回路 12…ゲート駆動回路 28…電気泳動素子 30…第1基板 30A…中央領域 30B…周辺領域 31…第2基板 32…電気泳動層 34…画素駆動回路 35…画素電極 35a…中央画素電極 35b…周辺画素電極 35c…角部画素電極 37…共通電極 40…画素部 41…トランジスタ 42…保持容量 47…走査線 48…データ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域に複数の画素が設けられた基板と、
前記基板上の前記画素ごとにそれぞれ設けられ、前記所定領域内から前記所定領域の外側の領域にはみ出すように配置された周辺画素電極を含む複数の画素電極と、
前記基板の前記所定領域内に前記画素電極ごとに設けられ、前記画素電極に駆動信号を供給する画素駆動回路と
を具備することを特徴とするアクティブマトリクス回路基板。
【請求項2】
前記基板上の前記所定領域の外側の領域に設けられ、前記画素駆動回路に電気信号を供給するドライバ回路をさらに具備し、
前記周辺画素電極の一部分が、前記ドライバ回路に平面視で重なっている
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス回路基板。
【請求項3】
前記周辺画素電極の面積が、前記所定領域内に設けられた画素電極の面積よりも大きい
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアクティブマトリクス回路基板。
【請求項4】
前記画素駆動回路が、前記画素電極の面積に応じた強さの駆動信号を供給する
ことを特徴とする請求項3に記載のアクティブマトリクス回路基板。
【請求項5】
前記周辺画素電極には、前記画素駆動回路が複数設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のアクティブマトリクス回路基板。
【請求項6】
前記周辺画素電極が複数設けられており、
前記複数の周辺画素電極のうち一部の周辺画素電極が接地用の電極である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載のアクティブマトリクス回路基板。
【請求項7】
前記周辺画素電極が複数設けられており、
前記複数の周辺画素電極のうち一部の周辺画素電極がセグメント駆動用の電極である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載のアクティブマトリクス回路基板。
【請求項8】
前記セグメント駆動用の電極を独立して駆動可能な駆動回路が設けられている
ことを特徴とする請求項7に記載のアクティブマトリクス回路基板。
【請求項9】
対向配置され、電気光学物質層を挟持する第1基板及び第2基板と、
前記第1基板のうち前記第2基板との対向面に設けられた画素電極と、
前記第2基板のうち前記第1基板との対向面に設けられた対向電極と
を具備する表示装置であって、
前記第1基板が、請求項1乃至請求項8のうちいずれか一項に記載のアクティブマトリクス回路基板である
ことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
前記電気光学物質が、電気泳動粒子と当該電気泳動粒子を分散させる液相分散媒とからなる電気泳動分散液であることを特徴とする請求項9に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−224759(P2008−224759A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59018(P2007−59018)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】