説明

アクティブマトリクス型ディスプレイ装置及びこれを有する電子機器

【課題】画素内蔵記憶回路を有しながら低消費電力を実現するアクティブマトリクス型ディスプレイ装置等を提供する。
【解決手段】行及び列のマトリクス状に配置された複数の画素100の夫々は、第1の端子及び第2の端子を有し、第2の端子が一定電位に接続される表示素子Clと、表示素子Clの第1の端子への画像データの供給を制御する制御スイッチQ11と、第1の端子及び第2の端子を有し、第1の端子が表示素子Clの第1の端子へ接続され、表示素子Clへ制御スイッチQ11を介して供給される画像データを保持する保持容量Csと、表示素子Clの第1の端子での電圧状態を記憶する記憶回路200とを有する。ディスプレイ装置は、記憶回路200のリフレッシュ動作に同期して、2以上の多段階に切り替わる電圧を保持容量Csの第2の端子に供給する電圧供給部40を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行及び列のマトリクス状に配置された複数の画素を有するアクティブマトリクス型ディスプレイ装置及びこれを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアクティブマトリクス型ディスプレイ装置では、動画又は静止画のいずれの表示モードでも同じようにドライバによって画素へデータが書き込まれていた。この場合に、静止画が表示されている間は、常に同じデータが画素に書き込まれる。そこで、各画素にメモリを設け、静止画表示時には、メモリに記憶されたデータを画素に書き込むことで、ドライバの駆動を停止し、消費電力を削減することが提案されている。この技術は、一般にMIP(Memory in Pixel)技術として知られている。
【0003】
一般的に、MIP技術では、各画素のメモリに記憶されたデータを保持するために、DRAM(Dynamic Random Access Memory)又はSRAM(Static Random Access Memory)が用いられる。SRAMがトランジスタによる順序回路で構成される一方、DRAMはトランジスタ及びキャパシタ各1つずつで構成されるので、回路面積の縮小化及び画素ピッチの狭小化の点で、DRAMの方が有利である。しかし、DRAMは、キャパシタに蓄えられた微小電荷を保持するためにリフレッシュ動作を要する。DRAMを用いる画素回路の例は、例えば、国際公開第2004/090854(A1)号パンフレット(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/090854(A1)パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のDRAMを用いた画素回路は、DRAMのセルフリフレッシュ動作のためにコモン電極の交番を必要とする。コモン電極は、画素電極、ソースライン及びゲートラインが設けられるTFT側に対向する面に設けられた全面共通の電極であり、「対向電極」とも呼ばれる。このようにコモン電極はディスプレイ装置の全面共通の電極であることから、コモン電極の交番による消費電力が問題となる。
【0006】
本発明は、この問題を鑑み、画素内蔵記憶回路を有しながら低消費電力を実現するアクティブマトリクス型ディスプレイ装置及びこれを有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、行及び列のマトリクス状に配置された複数の画素を有するアクティブマトリクス型ディスプレイ装置であって、前記複数の画素の夫々は、第1の端子及び第2の端子を有し、該第2の端子が一定電位に接続される表示素子と、前記表示素子の第1の端子への画像データの供給を制御する制御スイッチと、第1の端子及び第2の端子を有し、該第1の端子が前記表示素子の第1の端子へ接続され、前記表示素子へ前記制御スイッチを介して供給される前記画像データを保持する保持容量と、前記表示素子の第1の端子での電圧状態を記憶する記憶回路とを有し、当該ディスプレイ装置は、前記記憶回路のリフレッシュ動作に同期して、2以上の多段階に切り替わる電圧を前記保持容量の第2の端子に供給する電圧供給手段を有する、アクティブマトリクス型ディスプレイ装置が提供される。
【0008】
このように表示素子の第2の端子、すなわち、コモン電極は一定電位に保たれるので、画素内蔵記憶回路を有しながら低消費電力を実現することが可能となる。
【0009】
好ましい実施形態で、前記電圧供給手段は、前記リフレッシュ動作の開始時及び終了時に、前記保持容量の第2の端子に供給する前記電圧の値を他の値へ切り替える。具体的に、前記電圧供給手段は、前記保持容量の第2の端子に供給する前記電圧の値を、前記リフレッシュ動作の開始時に第1の電圧値と第2の電圧値との間で切り替え、前記リフレッシュ動作の終了時に前記第2の電圧値と第3の電圧値との間で切り替える。なお、前記第2の電圧値は、前記第1の電圧値より大きく、前記第3の電圧値より小さい。代替の実施形態で、前記電圧供給手段は、前記保持容量の第2の端子に供給する前記電圧が2つの値の間で切り替わる場合に、更に、前記記憶回路が前記表示素子の第1の端子での電圧状態をサンプリングするサンプリング期間の終了時に前記電圧の値を切り替える。
【0010】
好ましい実施形態で、前記電圧供給手段は、前記保持容量の第2の端子に供給する前記電圧を発生する電圧源と、前記電圧の値を2以上の多段階に切り替えるよう前記電圧源を制御する電源制御部とを有する。この実施形態で、前記電圧供給手段は、更に、前記保持容量の第2の端子に供給する前記電圧が2以上の多段階に切り替わる電圧ステップを記憶する電圧ステップ記憶部を有してよく、前記電源制御部は前記電圧ステップに従って前記電圧源を制御する。
【0011】
好ましい実施形態で、前記電圧供給手段は、前記複数の画素へコモン電極ラインにより接続され、該コモン電極を介して前記保持容量の第2の端子に前記電圧を供給する。
【0012】
好ましい実施形態で、前記メモリ回路はDRAMであってよい。
【0013】
好ましい実施形態で、当該アクティブマトリクスディスプレイ装置は、液晶ディスプレイ装置又はOLEDディスプレイ装置であってよい。
【0014】
また、上記目的を達成するために、当該アクティブマトリクス型ディスプレイ装置は、テレビ受像機、デスクトップ型若しくはラップトップ型パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、腕時計、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、デスクトップ型PC、カーナビゲーション装置、ポータブルゲーム機、又はオーロラビジョン等の他の電子機器に適用されてよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施形態によれば、画素内蔵記憶回路を有しながら低消費電力を実現するアクティブマトリクス型ディスプレイ装置及びこれを有する電子機器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例に従うアクティブマトリクス型ディスプレイ装置の構成を表す。
【図2】本発明の一実施例に従う画素回路の構成を表す。
【図3】図2に表される画素回路の動作の第1の例を表すタイミングチャートである。
【図4】図2に表される画素回路の動作の第2の例を表すタイミングチャートである。
【図5】本発明の一実施例に従う電圧供給部の構成を表す。
【図6】本発明の一実施例に従う電子機器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0018】
[ディスプレイ装置の構成]
図1は、本発明の一実施例に従うアクティブマトリクス型ディスプレイ装置の構成を表す。図1のディスプレイ装置1は、表示パネル10と、ソースドライバ20と、ゲートドライバ30と、電圧供給部40と、コントローラ50とを有する。
【0019】
表示パネル10は、行及び列のマトリクス状に配置された複数の画素100を有する。ソースドライバ20は、データライン(一般に、「ソースライン」とも呼ばれる。)Data_1〜Data_mを介して画素100の夫々へ画像データを供給する。ゲートドライバ30は、書込ライン(一般に、「ゲートライン」とも呼ばれる。)Write_1〜Write_nを介して画素100の夫々の駆動を制御する。電圧供給部40は、電圧供給ラインCS_1〜CS_nを介して画素100の夫々へ接続され、画素の駆動状態に従って各画素へ所定の電圧を供給する。コントローラ50は、ソースドライバ20、ゲートドライバ30及び電圧供給部40を同期させるとともに、それらの動作を制御する。
【0020】
画素100は夫々、表示パネル10において、データラインData_i(1≦i≦m)及び書込ラインWrite_j(1≦j≦n)の交差領域に位置し、表示素子(例えば、液晶セル、有機EL、又はOLED等)及び記憶回路を少なくとも各1つずつ有する。静止画像表示モードでは、各画素は、データラインData_iを介して伝送される画像データに代えて、自身の記憶回路に記憶されているデータに基づき動作する。従って、静止画像表示モードでは、ソースドライバ20を停止させることが可能であり、一方、表示パネル10は連続的に静止画を表示することができる。
【0021】
[画素回路の構成]
図2は、本発明の一実施例に従うアクティブマトリクス型ディスプレイ装置の画素回路の構成を表す。図2の画素100は、表示素子Cl及び保持容量Csを有する画素容量Cpixと、駆動制御スイッチQ11と、記憶回路200とを有する。
【0022】
表示素子Clは、その両端に電位差が生じる場合に光を透過し又は発する。図2では、表示素子Clは容量性素子として表されているが、OLEDのようなダイオードであってもよい。表示素子Clの一方の端子はコモン電極COMに接続され、他方の端子は駆動制御スイッチQ11を介してデータラインData_iに接続されている。表示素子ClのデータラインData_iに接続される側の端子は、一般に、「画素電極」と呼ばれる。
【0023】
駆動制御スイッチQ11は、その制御端子を書込ラインWrite_jに接続されており、書込ラインWrite_jの電位に応じてオン又はオフとなる。駆動制御スイッチQ11がオンする場合に、表示素子ClはデータラインData_iにあるデータを書き込まれる。このとき、表示素子Clは、それが液晶セルである場合に、画素電極とコモン電極との間の電位差により液晶分子の配向が変化することで光を透過させることができる。
【0024】
保持容量Csは、画素電極に接続される第1の端子と、電圧供給部40(図1)に接続されている電圧供給ラインCS_jに接続される第2の端子とを有する。本例では、電圧供給ラインとして、従来の画素回路で保持容量Csの第2の端子が接続される保持容量(CS)ラインが用いられる。CSラインは必ずしも行毎に独立している必要はなく、セルフリフレッシュ動作を同時に行う行については共通化できる。当然のことながら、電圧供給ラインは、CSラインとは別個に専用のラインとして設けられてもよい。
【0025】
記憶回路200は、第1、第2及び第3のトランジスタQ12、Q13及びQ14と、サンプリングキャパシタC11とを有する。サンプリングキャパシタC11は、データラインData_iに接続される第1の端子と、第1のトランジスタQ12を介して画素電極へ接続される第2の端子とを有する。第1のトランジスタQ12の制御端子は、サンプリングラインSample_jに接続されている。第2のトランジスタQ13及び第3のトランジスタQ14は直列に接続されて、画素電極とデータラインData_iとの間に配置されている。第2のトランジスタQ13の制御端子は、サンプリングキャパシタC11の第2の端子に接続されている。第3のトランジスタQ14の制御端子は、リフレッシュラインRefresh_jに接続されている。このように、本例では、記憶回路200はDRAMとして構成される。
【0026】
ここで、本実施例に従うディスプレイ装置はノーマリーブラックの液晶ディスプレイであるとする。斯かる装置に関して、以下、白表示時の反転駆動を例として、図2に表される画素回路のセルフリフレッシュ動作を説明する。
【0027】
[セルフリフレッシュ動作の例1]
図3は、図2に表される画素回路のセルフリフレッシュ動作の第1の例を表すタイミングチャートである。コモン電極COMは、CSラインCS_jと分離され、常に一定電圧VCOM(以下、「コモン電圧」と呼ぶ。)にあるとする。初期状態(〜t11)で、電圧供給ラインとしてのCSラインCS_jは電圧供給部40によって第1の所定電圧Vcs1を供給されており、画素電極での電圧(以下、「画素電圧」と呼ぶ。)Vpixはコモン電圧VCOMに対して−VMLの最低電圧をとるとする。また、このとき、駆動制御スイッチQ11並びに第1、第2及び第3のトランジスタQ12、Q13及びQ14はオフしている。
【0028】
最初に、時間t11からt12のサンプリング期間Tsの間、サンプリングラインSample_jは、画素電極での電圧Vpixが記憶回路200によってサンプリングされるようコントローラ50によって高電位状態に駆動される。これにより、第1のトランジスタQ12はオンし、サンプリングキャパシタC11の第2の端子を画素電極に接続する。この期間Tsの間、データラインData_iは低電位状態にあり、サンプリングキャパシタC11は画素電圧Vpixに略等しいサンプリング電圧Vsを保持する。
【0029】
また、この期間Tsに、CSラインCS_jには電圧供給部40によって第2の所定電圧Vcs2(Vcs2>Vcs1)が供給される。これにより、画素電圧Vpixは、表示素子Clと保持容量Csとの間の容量結合によりΔV=(Vcs2−Vcs1)×Cs/(Cs+Cl)だけ高まり、コモン電圧VCOMに対して−V(=−VML+ΔV;|VML|>|V|)となる。サンプリング期間Tsの後、続くプリチャージ期間Tpcの開始時に、電圧供給部40によってCSラインCS_jに供給される電圧は第1の電圧Vcs1に戻される。
【0030】
時間t12からt13のプリチャージ期間Tpcの間、データラインData_iには、ソースドライバ20によって供給されるデータ電圧Vが現れる。書込ラインWrite_jは、表示素子Clにデータが書き込まれるようゲートドライバ30によって高電位状態に駆動される。これにより、駆動制御スイッチQ11はオンし、画素電極はデータラインData_iに接続される。よって、画素電圧Vpixは、データラインData_iにあるデータ電圧Vに等しくなる。その後、プリチャージ期間Tpcの終了時に、データラインData_iは再び低電位状態(=−V)に戻される。
【0031】
続く時間t13からt14のリフレッシュ期間Trの間、リフレッシュラインRefresh_jは、記憶回路200がリフレッシュされるようコントローラ50によって高電位状態に駆動される。これにより、第3のトランジスタQ14はオンし、第2のトランジスタQ13の導電端子はデータラインData_iに接続されて低電位状態となる。一方、第2のトランジスタQ13の制御端子には、サンプリング期間TsでサンプリングキャパシタC11に保持されたサンプリング電圧Vsが現れる。しかし、サンプリング電圧Vsはコモン電圧VCOMに対して−Vであるから、第2のトランジスタQ13の導電端子と制御端子との間には第2のトランジスタQ13がオンするに足る十分な電位差が生じず、第2のトランジスタQ13はオフしたままである。
【0032】
リフレッシュ期間Trの終了後、電圧供給部40によってCSラインCS_jに供給される電圧は再び第2の電圧Vcs2に高められる。これにより、画素電圧Vpixは、表示素子Clと保持容量Csとの間の容量結合によりΔV=(Vcs2−Vcs1)×Cs/(Cs+Cl)だけ高まり、コモン電圧VCOMに対してVMH(=V+ΔV;VMH>V)の最大電圧をとる。
【0033】
このように、一連のセルフリフレッシュ動作が終了した時点で、画素電極での電圧Vpixはコモン電圧VCOMを中間電位として初期状態から反転される。
【0034】
次いで、この状態で次のセルフリフレッシュ動作が開始される場合について記載する。
【0035】
時間t21からt22のサンプリング期間Tsの間、サンプリングラインSample_jは、画素電極での電圧Vpixが記憶回路200によってサンプリングされるようコントローラ50によって高電位状態に駆動される。これにより、第1のトランジスタQ12はオンし、サンプリングキャパシタC11の第2の端子を画素電極に接続する。この期間Tsの間、データラインData_iは低電位状態にあり、サンプリングキャパシタC11は画素電圧Vpixに等しいサンプリング電圧Vsを保持する。
【0036】
また、この期間Tsに、電圧供給部40によってCSラインCS_jに供給される電圧は第1の電圧Vcs1に下げられる。これにより、画素電圧Vpixは、表示素子Clと保持容量Csとの間の容量結合によりΔV=(Vcs2−Vcs1)×Cs/(Cs+Cl)だけ下がり、コモン電圧VCOMに対してVとなる。サンプリング期間Tsの後、続くプリチャージ期間Tpcの開始時に、電圧供給部40によってCSラインCS_jに供給される電圧は第2の電圧Vcs2に戻される。
【0037】
時間t22からt23のプリチャージ期間Tpcの間、データラインData_iには、ソースドライバ20によって供給されるデータ電圧Vが現れる。書込ラインWrite_jは、表示素子Clにデータが書き込まれるようゲートドライバ30によって高電位状態に駆動される。これにより、駆動制御スイッチQ11はオンし、画素電極がデータラインData_iに接続される。よって、画素電圧Vpixは、データラインData_iにあるデータ電圧Vに等しくなる。その後、プリチャージ期間Tpcの終了時に、データラインData_iは再び低電位状態(=−V)に戻される。
【0038】
続く時間t23からt24のリフレッシュ期間Trの間、リフレッシュラインRefresh_jは、記憶回路200がリフレッシュされるようコントローラ50によって高電位状態に駆動される。これにより、第3のトランジスタQ14はオンし、第2のトランジスタQ13の導電端子はデータラインData_iに接続されて低電位状態となる。一方、第2のトランジスタQ13の制御端子には、サンプリング期間TsでサンプリングキャパシタC11に保持されたサンプリング電圧Vsが現れる。サンプリング電圧Vsはコモン電圧VCOMに対してVであるから、第2のトランジスタQ13は導電端子と制御端子との間の電位差によりオンし、画素電極は第2及び第3のトランジスタQ13及びQ14を介してデータラインData_iへ接続される。これにより、画素電圧VpixはデータラインData_iにある電圧−Vと等しくなる。
【0039】
リフレッシュ期間Trの終了後、電圧供給部40によってCSラインCS_jに供給される電圧は再び第1の電圧Vcs1に下げられる。これにより、画素電圧Vpixは、表示素子Clと保持容量Csとの間の容量結合によりΔV=(Vcs2−Vcs1)×Cs/(Cs+Cl)だけ下がり、コモン電圧VCOMに対して−VMLの最低電圧をとる。
【0040】
このように、一連のセルフリフレッシュ動作が終了した時点で、画素電極での電圧Vpixはコモン電極COMに対して再び反転されて初期状態に戻る。
【0041】
[セルフリフレッシュ動作の例2]
図4は、図2に表される画素回路のセルフリフレッシュ動作の第2の例を表すタイミングチャートである。図3を参照して記載された第1の例と同じく、コモン電極COMは、CSラインCS_jと分離され、常に一定のコモン電圧VCOMにあるとする。また、初期状態(〜t11)で、電圧供給ラインとしてのCSラインCS_jは電圧供給部40によって第1の所定電圧Vcs1を供給されており、画素電圧Vpixはコモン電圧VCOMに対して−VMLの最低電圧をとり、駆動制御スイッチQ11並びに第1、第2及び第3のトランジスタQ12、Q13及びQ14はオフしている。
【0042】
最初に、時間t11からt12のサンプリング期間Tsの間、サンプリングラインSample_jは、画素電極での電圧Vpixが記憶回路200によってサンプリングされるようコントローラ50によって高電位状態に駆動される。これにより、第1のトランジスタQ12はオンし、サンプリングキャパシタC11の第2の端子を画素電極に接続する。この期間Tsの間、データラインData_iは低電位状態にあり、サンプリングキャパシタC11は画素電圧Vpixに略等しいサンプリング電圧Vsを保持する。
【0043】
また、この期間Tsに、CSラインCS_jには電圧供給部40によって第2の所定電圧Vcs2(Vcs2>Vcs1)が供給される。これにより、画素電圧Vpixは、表示素子Clと保持容量Csとの間の容量結合によりΔV=(Vcs2−Vcs1)×Cs/(Cs+Cl)だけ高まり、コモン電圧VCOMに対して−V(=−VML+ΔV;|VML|>|V|)となる。ここで、第1の例とは異なり、電圧供給部40によってCSラインCS_jに供給される電圧はサンプリング期間Tsの後に第1の電圧Vcs1に戻されることはなく、CSラインCS_jには引き続き第2の電圧Vcs2が供給される。
【0044】
時間t12からt13のプリチャージ期間Tpcの間、データラインData_iには、ソースドライバ20によって供給されるデータ電圧Vが現れる。書込ラインWrite_jは、表示素子Clにデータが書き込まれるようゲートドライバ30によって高電位状態に駆動される。これにより、駆動制御スイッチQ11はオンし、画素電極はデータラインData_iに接続される。よって、画素電圧Vpixは、データラインData_iにあるデータ電圧Vに等しくなる。その後、プリチャージ期間Tpcの終了時に、データラインData_iは再び低電位状態(=−V)に戻される。
【0045】
続く時間t13からt14のリフレッシュ期間Trの間、リフレッシュラインRefresh_jは、記憶回路200がリフレッシュされるようコントローラ50によって高電位状態に駆動される。これにより、第3のトランジスタQ14はオンし、第2のトランジスタQ13の導電端子はデータラインData_iに接続されて低電位状態となる。一方、第2のトランジスタQ13の制御端子には、サンプリング期間TsでサンプリングキャパシタC11に保持されたサンプリング電圧Vsが現れる。しかし、サンプリング電圧Vsはコモン電圧VCOMに対して−Vであるから、第2のトランジスタQ13の導電端子と制御端子との間には第2のトランジスタQ13がオンするに足る十分な電位差が生じず、第2のトランジスタQ13はオフしたままである。
【0046】
リフレッシュ期間Trの終了後、CSラインCS_jには電圧供給部40によって第3の所定電圧Vcs3(Vcs3>Vcs2)が供給される。これにより、画素電圧Vpixは、表示素子Clと保持容量Csとの間の容量結合によりΔV=(Vcs3−Vcs2)×Cs/(Cs+Cl)だけ高まり、コモン電圧VCOMに対してVMH(=V+ΔV;VMH>V)の最大電圧をとる。
【0047】
このように、第1の例と同じように、一連のセルフリフレッシュ動作が終了した時点で、画素電極での電圧Vpixはコモン電圧VCOMを中間電位として初期状態から反転される。
【0048】
次いで、この状態で次のセルフリフレッシュ動作が開始される場合について記載する。
【0049】
時間t21からt22のサンプリング期間Tsの間、サンプリングラインSample_jは、画素電極での電圧Vpixが記憶回路200によってサンプリングされるようコントローラ50によって高電位状態に駆動される。これにより、第1のトランジスタQ12はオンし、サンプリングキャパシタC11の第2の端子を画素電極に接続する。この期間Tsの間、データラインData_iは低電位状態にあり、サンプリングキャパシタC11は画素電圧Vpixに等しいサンプリング電圧Vsを保持する。
【0050】
また、この期間Tsに、電圧供給部40によってCSラインCS_jに供給される電圧は第2の電圧Vcs2に下げられる。これにより、画素電圧Vpixは、表示素子Clと保持容量Csとの間の容量結合によりΔV=(Vcs3−Vcs2)×Cs/(Cs+Cl)だけ下がり、コモン電圧VCOMに対してVとなる。電圧供給部40によってCSラインCS_jにはサンプリング期間Tsの後も引き続き第2の電圧Vcs2が供給される。
【0051】
時間t22からt23のプリチャージ期間Tpcの間、データラインData_iには、ソースドライバ20によって供給されるデータ電圧Vが現れる。書込ラインWrite_jは、表示素子Clにデータが書き込まれるようゲートドライバ30によって高電位状態に駆動される。これにより、駆動制御スイッチQ11はオンし、画素電極がデータラインData_iに接続される。よって、画素電圧Vpixは、データラインData_iにあるデータ電圧Vに等しくなる。その後、プリチャージ期間Tpcの終了時に、データラインData_iは再び低電位状態(=−V)に戻される。
【0052】
続く時間t23からt24のリフレッシュ期間Trの間、リフレッシュラインRefresh_jは、記憶回路200がリフレッシュされるようコントローラ50によって高電位状態に駆動される。これにより、第3のトランジスタQ14はオンし、第2のトランジスタQ13の導電端子はデータラインData_iに接続されて低電位状態となる。一方、第2のトランジスタQ13の制御端子には、サンプリング期間TsでサンプリングキャパシタC11に保持されたサンプリング電圧Vsが現れる。サンプリング電圧Vsはコモン電圧VCOMに対してVであるから、第2のトランジスタQ13は導電端子と制御端子との間の電位差によりオンし、画素電極は第2及び第3のトランジスタQ13及びQ14を介してデータラインData_iへ接続される。これにより、画素電圧VpixはデータラインData_iにある電圧−Vと等しくなる。
【0053】
リフレッシュ期間Trの終了後、電圧供給部40によってCSラインCS_jに供給される電圧は第1の電圧Vcs1に下げられる。これにより、画素電圧Vpixは、表示素子Clと保持容量Csとの間の容量結合によりΔV=(Vcs2−Vcs1)×Cs/(Cs+Cl)だけ下がり、コモン電圧VCOMに対して−VMLの最低電圧をとる。
【0054】
このように、第1の例と同じように、一連のセルフリフレッシュ動作が終了した時点で、画素電極での電圧Vpixはコモン電極COMに対して再び反転されて初期状態に戻る。
【0055】
本例の動作は、CSラインCS_jの電圧が、第1の例ではVcs1及びVcs2の2つのレベルの間で切り替えられるのに対し、Vcs1、Vcs2及びVcs3の3つのレベルの間で切り替えられる点で、第1の例の動作と相違する。本例の動作は、第1の例の動作と比較して、回路構成が複雑になるが、CSラインCS_jの電位が切り替えられる頻度が少なく、回路全体としてより安定した動作が確保されるという利点を有する。
【0056】
[電圧供給部の構成]
次に、図3及び図4を参照して記載されたような動作を実現するための電圧供給部40の構成について記載する。
【0057】
図5は、本発明の一実施例に従う電圧供給部40の構成を表すブロック図である。図5の電圧供給部40は、電圧供給ラインCS_1〜CS_nの夫々を介して各画素へ供給される所定の電圧を発生させる電源42と、コントローラ50からの制御信号に応じて電源42を制御する電源制御部44と、予めプログラムされた電圧ステップを記憶する電圧ステップ記憶部46とを有する。
【0058】
電源42は、2以上の多段階で供給電圧を切り替えることが可能な可変電圧源である。電源制御部44は、画素内蔵記憶回路200のセルフリフレッシュ動作の間所定の電圧を各画素へ供給するよう指示する制御信号をコントローラ50から受け取り、電圧ステップ記憶部46に記憶されている予めプログラムされた電圧ステップに従って電源42の供給電圧を切り替える。電圧ステップは、ディスプレイ装置10の製造時に、ディスプレイ装置10が用いられる用途や環境、ひいてはディスプレイ装置10に要求される性能等に応じて決定され得る。
【0059】
代替的に、電圧ステップ記憶部46は設けられなくてよい。図3を参照して記載されたように電圧供給ラインCS_jの電位が2つのレベルの間で切り替えられる場合には、電源制御部44は、コントローラ50からの制御信号に応答して、電源42の供給電圧を2つのレベルの間で切り替えればよい。この場合は、電圧ステップ記憶部46は必ずしも用いられなくてもよい。
【0060】
また、代替的に、電圧ステップ記憶部46は、電圧供給部40ではなく、コントローラ50に設けられてよい。この場合に、コントローラ50は、電圧ステップ記憶部46に記憶されている電圧ステップに対応する制御信号を電源制御部44へ供給し、電源供給部44は、この制御信号に応答して電源42の供給電圧を切り替える。
【0061】
以上記載してきたように、本発明の一実施例に従うアクティブマトリクス型ディスプレイ装置は、コモン電極COMをCSラインCS_jと分離し、CSラインCS_jを電力供給ラインとして用いて保持容量に2以上の多段階に切り替わる電圧を供給することで、コモン電極COMの電位を一定に保ちながら画素内蔵記憶回路のリフレッシュ動作を行うことができる。これにより、画素内蔵記憶回路のリフレッシュ動作のためにコモン電極COMの交番を必要とする従来の装置に比べ、消費電力は低減され得る。
【0062】
[ディスプレイ装置の適用例]
図6は、本発明の一実施例に従うアクティブマトリクス型ディスプレイ装置を有する電子機器の例である。図6の電子機器300は、ラップトップ型のパーソナルコンピュータ(PC)として表されているが、例えば、テレビ受像機、携帯電話、腕時計、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、デスクトップ型PC、カーナビゲーション装置、ポータブルゲーム機、又はオーロラビジョン等の他の電子機器であってもよい。
【0063】
電子機器300は、画像等を表示可能な表示パネル10を備えたディスプレイ装置1を有する。ディスプレイ装置1は、図1乃至5を参照して記載されたディスプレイ装置であり、静止画表示時に画素内蔵記憶回路を用いることで電力消費を抑制することが可能であるから、特に、携帯電話、PDA、携帯オーディオプレーヤ及び携帯ゲーム機のような、電力消費が制限されるバッテリー駆動の携帯機器や、ポスターのように広告宣伝を表示するモニター等の電子機器にとって有用である。
【0064】
また、ディスプレイ装置1は、コモン電極COMの電位を一定に保ちながら画素内蔵記憶回路のリフレッシュ動作を行うことが可能であるから、特に、静電容量方式のタッチパネルを有する電子機器に適用される場合に有用である。静電容量方式は、表示パネルの表面全体に静電センサを設け、表示パネル表面に何らかの物体が近づく場合に生ずる放電現象による電荷の変化を検知することで物体の接触位置を特定するものである。この方式は、耐久性及び透過性等に優れているのみならず、マルチタッチが可能となることから、今後ますます需要が見込まれる。しかし、従来、画素内蔵記憶回路を有するディスプレイ装置では、コモン電極COMを設けられている面の直ぐ上にタッチパネルが配置されるために、静電センサがコモン電極COMの交番による影響を受けることによりタッチパネルで誤作動が生じる可能性があった。これに対し、本発明の一実施例に従うディスプレイ装置1が用いられる場合には、コモン電極COMの電位は常に一定であるから、このような問題は起こらない。
【0065】
以上、発明を実施するための最良の形態について説明を行ったが、本発明は、この最良の形態で述べた実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を損なわない範囲で変更することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 アクティブマトリクス型ディスプレイ装置
10 表示パネル
20 ソースドライバ
30 ゲートドライバ
40 電圧供給部
42 電源
44 電源制御部
46 電圧ステップ記憶部
50 コントローラ
100 画素
200 記憶回路
300 電子機器
C11 サンプリングコンデンサ
Cl 表示素子
Cpix 画素容量
Cs 保持容量
CS_j 電力供給ライン(CSライン)
Q11 駆動制御スイッチ
COM コモン電圧
Vpix 画素電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
行及び列のマトリクス状に配置された複数の画素を有するアクティブマトリクス型ディスプレイ装置であって、
前記複数の画素の夫々は、
第1の端子及び第2の端子を有し、該第2の端子が一定電位に接続される表示素子と、
前記表示素子の第1の端子への画像データの供給を制御する制御スイッチと、
第1の端子及び第2の端子を有し、該第1の端子が前記表示素子の第1の端子へ接続され、前記表示素子へ前記制御スイッチを介して供給される前記画像データを保持する保持容量と、
前記表示素子の第1の端子での電圧状態を記憶する記憶回路とを有し、
当該ディスプレイ装置は、
前記記憶回路のリフレッシュ動作に同期して、2以上の多段階に切り替わる電圧を前記保持容量の第2の端子に供給する電圧供給手段を有する、アクティブマトリクス型ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記電圧供給手段は、前記リフレッシュ動作の開始時及び終了時に、前記保持容量の第2の端子に供給する前記電圧の値を他の値へ切り替える、請求項1記載のアクティブマトリクス型ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記電圧供給手段は、前記保持容量の第2の端子に供給する前記電圧の値を、前記リフレッシュ動作の開始時に第1の電圧値と第2の電圧値との間で切り替え、前記リフレッシュ動作の終了時に前記第2の電圧値と第3の電圧値との間で切り替え、
前記第2の電圧値は、前記第1の電圧値より大きく、前記第3の電圧値より小さい、請求項2記載のアクティブマトリクス型ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記電圧供給手段は、前記保持容量の第2の端子に供給する前記電圧が2つの値の間で切り替わる場合に、更に、前記記憶回路が前記表示素子の第1の端子での電圧状態をサンプリングするサンプリング期間の終了時に前記電圧の値を切り替える、請求項2記載のアクティブマトリクス型ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記電圧供給手段は、
前記保持容量の第2の端子に供給する前記電圧を発生する電圧源と、
前記電圧の値を2以上の多段階に切り替えるよう前記電圧源を制御する電源制御部と
を有する、請求項1乃至4のうちいずれか一項記載のアクティブマトリクス型ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記電圧供給手段は、前記保持容量の第2の端子に供給する前記電圧が2以上の多段階に切り替わる電圧ステップを記憶する電圧ステップ記憶部を更に有し、
前記電源制御部は、前記電圧ステップに従って前記電圧源を制御する、請求項5記載のアクティブマトリクス型ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記電圧供給手段は、前記複数の画素へコモン電極ラインにより接続され、該コモン電極を介して前記保持容量の第2の端子に前記電圧を供給する、請求項1乃至6のうちいずれか一項記載のアクティブマトリクス型ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記メモリ回路はDRAMである、請求項1乃7のうちいずれか一項記載のアクティブマトリクス型ディスプレイ装置。
【請求項9】
液晶ディスプレイ装置又はOLEDディスプレイ装置である請求項1乃至8のうちいずれか一項記載のアクティブマトリクス型ディスプレイ装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちいずれか一項記載のアクティブマトリクス型ディスプレイ装置を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−186094(P2011−186094A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49978(P2010−49978)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(510134581)奇美電子股▲ふん▼有限公司 (28)
【氏名又は名称原語表記】Chimei Innolux Corporation
【住所又は居所原語表記】No.160 Kesyue Rd.,Chu−Nan Site,Hsinchu Science Park,Chu−Nan 350,Miao−Li County,Taiwan,
【Fターム(参考)】