説明

アクティブマトリクス型有機EL表示装置及びアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法

【課題】高精細化が可能であり、階調再現性に優れ、輝度ムラを抑制できる表示品位の優れたアクティブマトリクス型有機EL表示装置及びアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】アクティブマトリクス型有機EL表示装置は、複数の映像信号線VLと、複数の画素とを備えている。各画素は、高電位電源配線に接続された陽極を含んだ有機ELダイオードOLEDと、低電位電源配線に接続されたドレイン電極を含んだPチャネル型の駆動トランジスタDRTと、駆動トランジスタのソース電極及びゲート電極に接続された容量部Csと、初期化電圧Viniを出力させるかどうか切換える初期化トランジスタTCTと、映像信号線VLを介して供給される映像信号電圧Vsigを出力させるかどうか切換える書込みトランジスタSSTとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アクティブマトリクス型有機EL表示装置及びアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄型、軽量、低消費電力の特徴を活かして、液晶表示装置に代表される平面表示装置の需要が急速に伸びている。中でも、オン画素とオフ画素とを電気的に分離し、かつオン画素への映像信号を保持する機能を有する画素スイッチを各画素に設けたアクティブマトリクス型表示装置は、隣接画素間でのクロストークのない良好な表示品位が得られることから、携帯情報機器を始め、種々のディスプレイに利用されるようになってきた。
【0003】
このような平面型のアクティブマトリクス型表示装置として、自己発光素子を用いた有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置が注目され、盛んに研究開発が行われている。有機EL表示装置は、薄型軽量化の妨げとなるバックライトを必要とせず、高速な応答性から動画再生に適し、さらに低温で輝度低下しないために寒冷地でも使用できるという特徴を備えている。
【0004】
有機EL表示装置は、各画素に表示素子としての有機EL素子と、表示素子へ駆動電流を供給する画素回路とを含み、表示素子の発光輝度を制御することにより表示動作を行なう。このような有機EL表示装置として、電圧信号により画素回路への画像情報を供給する方式が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】米国特許第6229506号明細書
【特許文献2】特開2005−31630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のアクティブマトリクス型有機EL表示装置では、2つの容量比のばらつきにより、局所的な表示ムラが発生する問題がある。また、トランジスタ等、各画素の素子数が多いため、高精細化を図ることが困難な問題もある。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、高精細化が可能であり、階調再現性に優れ、輝度ムラを抑制できる表示品位の優れたアクティブマトリクス型有機EL表示装置及びアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係るアクティブマトリクス型有機EL表示装置は、
複数の映像信号線と、
前記各映像信号線に接続された複数の画素と、を備え、
前記各画素は、
高電位電源配線に接続された陽極、前記陽極に対向配置された陰極並びに前記陽極及び陰極間に挟持された有機物層を含んだ有機ELダイオードと、
前記有機ELダイオードの陰極に接続されたソース電極、低電位電源配線に接続されたドレイン電極及びゲート電極を含んだPチャネル型の駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタのソース電極に接続された第1電極及び前記駆動トランジスタのゲート電極に接続された第2電極を含んだ容量部と、
前記駆動トランジスタのソース電極に接続されたドレイン電極、第1走査信号線に接続されたゲート電極及び初期化電圧が供給されるソース電極を含み、前記初期化電圧を出力させるかどうか切換え、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を初期化させるかどうか切換える初期化トランジスタと、
前記駆動トランジスタのゲート電極に接続されたドレイン電極、前記映像信号線に接続されたソース電極及び第2走査信号線に接続されたゲート電極を含み、前記映像信号線を介して供給される映像信号電圧を出力させるかどうか切換える書込みトランジスタと、を有している。
【0007】
また、本発明の他の態様に係るアクティブマトリクス型有機EL表示装置は、
複数の映像信号線と、
前記各映像信号線に接続された複数の画素と、を備え、
前記各画素は、
高電位電源配線に接続された陽極、前記陽極に対向配置された陰極並びに前記陽極及び陰極間に挟持された有機物層を含んだ有機ELダイオードと、
前記有機ELダイオードの陰極に接続されたソース電極、低電位電源配線に接続されたドレイン電極及びゲート電極を含んだPチャネル型の駆動トランジスタと、
第1電極及び前記駆動トランジスタのゲート電極に接続された第2電極を含んだ容量部と、
前記容量部の第1電極に接続されたソース電極、第1走査信号線に接続されたゲート電極及び前記駆動トランジスタのソース電極に接続されたドレイン電極を含み、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を初期化させるかどうか切換える初期化トランジスタと、
前記高電位電源配線に接続されたソース電極、前記第1走査信号線に接続されたゲート電極及び前記駆動トランジスタのゲート電極に接続されたドレイン電極を含み、前記駆動トランジスタのゲート電極の電位を前記高電位電源配線の電位に設定させるかどうか切換えるリセットトランジスタと、
前記容量部の第1電極に接続されたドレイン電極、前記映像信号線に接続されたソース電極及び第2走査信号線に接続されたゲート電極を含み、前記映像信号線を介して供給される映像信号電圧を出力させるかどうか切換える書込みトランジスタと、を有している。
【0008】
また、本発明の他の態様に係るアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法は、
複数の映像信号線と、前記各映像信号線に接続された複数の画素と、を備え、前記各画素は、高電位電源配線に接続された陽極、前記陽極に対向配置された陰極並びに前記陽極及び陰極間に挟持された有機物層を含んだ有機ELダイオードと、前記有機ELダイオードの陰極に接続されたソース電極、低電位電源配線に接続されたドレイン電極及びゲート電極を含んだPチャネル型の駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタのソース電極に接続された第1電極及び前記駆動トランジスタのゲート電極に接続された第2電極を含んだ容量部と、前記駆動トランジスタのソース電極に接続されたドレイン電極、第1走査信号線に接続されたゲート電極及び初期化電圧が供給されるソース電極を含み、前記初期化電圧を出力させるかどうか切換え、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を初期化させるかどうか切換える初期化トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲート電極に接続されたドレイン電極、前記映像信号線に接続されたソース電極及び第2走査信号線に接続されたゲート電極を含み、前記映像信号線を介して供給される映像信号電圧を出力させるかどうか切換える書込みトランジスタと、を有しているアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法において、
リセット期間に、前記初期化トランジスタを導通状態にさせ、前記初期化電圧Viniを前記初期化トランジスタを介して前記駆動トランジスタのソース電極に印加し前記駆動トランジスタのソース電極の電位を初期化電位Viniに設定し、かつ、前記駆動トランジスタのゲート電極にリセット電圧Vrstを印加し前記駆動トランジスタのゲート電極の電位をリセット電位Vrstに設定し、
前記リセット期間に続くキャンセル期間に、前記駆動トランジスタのゲート電極に前記リセット電圧の印加を維持させ、前記初期化トランジスタを非導通状態に切換え、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を、前記リセット電位と前記駆動トランジスタの閾値電圧Vthとの差Vrst−Vthに設定し、
前記キャンセル期間に続く書込み期間に、前記書込みトランジスタを導通状態にさせ、前記有機ELダイオードに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigを前記書込みトランジスタを介して前記駆動トランジスタのゲート電極に印加し、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を、前記映像信号電圧の印加によって生じた前記駆動トランジスタのソース電極の電位の変動(−ΔV)を加えたVrst−Vth−ΔVに設定し、
前記書込み期間に続く発光期間に、前記書込みトランジスタを非導通状態に切換え、前記駆動トランジスタの利得係数をβとすると、前記駆動トランジスタの出力電流Iel=1/2×β×(Vsig−Vrst+ΔV)を前記有機ELダイオードに与え、発光させる。
【0009】
また、本発明の他の態様に係るアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法は、
複数の映像信号線と、前記各映像信号線に接続された複数の画素と、を備え、前記各画素は、高電位電源配線に接続された陽極、前記陽極に対向配置された陰極並びに前記陽極及び陰極間に挟持された有機物層を含んだ有機ELダイオードと、前記有機ELダイオードの陰極に接続されたソース電極、低電位電源配線に接続されたドレイン電極及びゲート電極を含んだPチャネル型の駆動トランジスタと、第1電極及び前記駆動トランジスタのゲート電極に接続された第2電極を含んだ容量部と、前記容量部の第1電極に接続されたソース電極、第1走査信号線に接続されたゲート電極及び前記駆動トランジスタのソース電極に接続されたドレイン電極を含み、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を初期化させるかどうか切換える初期化トランジスタと、前記高電位電源配線に接続されたソース電極、前記第1走査信号線に接続されたゲート電極及び前記駆動トランジスタのゲート電極に接続されたドレイン電極を含み、前記駆動トランジスタのゲート電極の電位を前記高電位電源配線の電位に設定させるかどうか切換えるリセットトランジスタと、前記容量部の第1電極に接続されたドレイン電極、前記映像信号線に接続されたソース電極及び第2走査信号線に接続されたゲート電極を含み、前記映像信号線を介して供給される映像信号電圧を出力させるかどうか切換える書込みトランジスタと、を有しているアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法において、
リセット期間に、前記リセットトランジスタを導通状態にさせ、前記リセットトランジスタを介して前記駆動トランジスタのゲート電極の電位を前記高電位電源配線と同じ電圧電位PVDDに設定し、かつ、前記駆動トランジスタのソース電極にリセット電圧Vrstを印加し前記駆動トランジスタのソース電極の電位をリセット電位Vrstに設定し、
前記リセット期間に続くキャンセル期間に、前記初期化トランジスタを導通状態にさせ、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を、前記電圧電位と前記駆動トランジスタの閾値電圧Vthとの差PVDD−Vthに設定し、
前記キャンセル期間に続く書込み期間に、前記リセットトランジスタ及び初期化トランジスタを非導通状態に切換え、前記書込みトランジスタを導通状態にさせ、前記有機ELダイオードに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigを前記書込みトランジスタを介して前記容量部に印加し前記容量部に記憶させ、前記駆動トランジスタのゲート電極の電位をVsig+Vthに設定し、
前記書込み期間に続く発光期間に、前記書込みトランジスタを非導通状態に切換え、前記駆動トランジスタの利得係数をβとすると、前記駆動トランジスタの出力電流Iel=1/2×β×(Vsig−PVDD)を前記有機ELダイオードに与え、発光させる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、高精細化が可能であり、階調再現性に優れ、輝度ムラを抑制できる表示品位の優れたアクティブマトリクス型有機EL表示装置及びアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながらこの発明の第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス型有機EL表示装置及びアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法について詳細に説明する。
【0012】
図1は、第1の実施の形態に係る表示装置を概略的に示す平面図である。図2は、図1の表示装置に採用可能な構造の一例を概略的に示す部分断面図である。図3は、図1の表示装置が含む画素の等価回路図である。なお、図2では、表示装置を、その表示面,すなわち前面又は光出射面,が下方を向き、背面が上方を向くように描いている。
【0013】
この表示装置は、アクティブマトリクス型駆動方式を採用した下面発光型の有機EL表示装置である。この有機EL表示装置は、図1に示すように、表示パネルDPと、映像信号線ドライバXDRと、走査信号線ドライバYDR1、YDR2と、映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDR1、YDR2を介して表示パネルDPを制御するコントローラ12とを含んでいる。コントローラ12、映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDR1、YDR2は駆動部10を形成している。この実施の形態において、表示パネルDPは有機ELパネルである。
【0014】
表示パネルDPは、図1及び図2に示すように、例えば、ガラス基板などの絶縁性の基板SUBを含んでいる。表示パネルDPは、基板SUB上にマトリクス状に配列され表示領域R1を構成したm×n個の画素PXを備えている。
【0015】
基板SUB上には、図2に示すように、アンダーコート層UCが形成されている。アンダーコート層UCは、例えば、基板SUB上にSiN層とSiO層とをこの順に積層してなる。
【0016】
アンダーコート層UC上では、チャネル層SCが配列している。各チャネル層SCは、例えば、p型領域とn型領域とを含んだポリシリコン層である。アンダーコート層UC上では、図示しない下部電極がさらに配列している。これら下部電極は、例えば、n型ポリシリコン層である。
【0017】
チャネル層SC及び下部電極は、ゲート絶縁膜GIで被覆されている。ゲート絶縁膜GIは、例えばTEOS(tetraethyl orthosilicate)などを用いて形成することができる。
【0018】
ゲート絶縁膜GI上には、それぞれ独立してm本ずつ設けられた走査信号線Sa(1〜m)、走査信号線Sb(1〜m)が形成されている。走査信号線Sa、Sbは、図1に示すように、各々が後述する画素PXの行方向(X方向)に延びており、画素PXの列方向(Y方向)に配列している。走査信号線Sa、Sbは、例えばMoWなどからなる。
【0019】
ゲート絶縁膜GI上では、図示しない上部電極がさらに配列している。これら上部電極は、例えばMoWなどからなる。上部電極は、走査信号線Sa、Sbと同一の工程で形成することができる。
【0020】
走査信号線Sa、Sbのそれぞれはチャネル層SCと交差しており、これら交差部は薄膜トランジスタを構成している。また、上部電極はチャネル層SCと交差しており、これら交差部も薄膜トランジスタを構成している。
【0021】
具体的には、走査信号線Saとチャネル層SCとの交差部が形成している薄膜トランジスタは、初期化トランジスタTCTである。走査信号線Sbとチャネル層SCとの交差部が形成している薄膜トランジスタは、書込みトランジスタSSTである。上部電極とチャネル層SCとの交差部が形成している薄膜トランジスタは、駆動トランジスタDRTである。
【0022】
なお、この例では、駆動トランジスタDRT、初期化トランジスタTCT及び書込みトランジスタSSTは、トップゲート型のPチャネル型の薄膜トランジスタである。また、図2において参照符号Gで示す部分は、駆動トランジスタDRTのゲート電極である。
【0023】
上部電極は、下部電極と向き合っている。上部電極と、下部電極と、これらの間に介在しているゲート絶縁膜GIとは、図1及び図3に示す容量部Csを構成している。ここでは、容量部Csはキャパシタである。
【0024】
ゲート絶縁膜GI、走査信号線Sa、Sb及び上部電極は、図2に示す層間絶縁膜IIで被覆されている。層間絶縁膜IIは、例えばプラズマCVD法などにより成膜されたSiOなどからなる。
【0025】
層間絶縁膜II上には、独立してn本設けられた映像信号線VL(1〜n)が形成されている。映像信号線VLは、図1に示すように、各々がY方向に延びており、X方向に配列している。映像信号線VLは、書込みトランジスタSSTのソース電極に接続されている。
【0026】
層間絶縁膜II上には、図2に示すソース電極SE及びドレイン電極DEがさらに形成されている。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、層間絶縁膜II及びゲート絶縁膜GIに設けられたコンタクトホールを介してチャネル層SCのソース領域及びドレイン領域にそれぞれ接続されている。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、画素PXが含む素子間の接続に利用されている。
【0027】
駆動トランジスタDRTのドレイン電極DEは、図示しない低電位電源配線に電気的に接続されている。低電位電源配線は定電位である基準電圧電位PVSSに設定されている。
【0028】
映像信号線VLとソース電極SEとドレイン電極DEとは、例えば、Mo/Al/Moの三層構造を有している。これらは、同一工程で形成可能である。映像信号線VLとソース電極SEとドレイン電極DEとは、図2に示すパッシベーション膜PSで被覆されている。パッシベーション膜PSは、例えばSiNなどからなる。
【0029】
パッシベーション膜PS上では、画素電極PEが配列している。各画素電極PEは、パッシベーション膜PSに設けたコンタクトホールを介して、図2の駆動トランジスタDRTのソース電極SEに接続されている。
【0030】
画素電極PEは、この例では光透過性の前面電極である。また、画素電極PEは、この例では陰極である。画素電極PEの材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明な導電材料を使用することができる。
【0031】
パッシベーション膜PS上には、さらに、隔壁絶縁層PIが形成されている。隔壁絶縁層PIには、画素電極PEに対応した位置に貫通孔が設けられているか、或いは、画素電極PEが形成する列又は行に対応した位置にスリットが設けられている。ここでは、一例として、隔壁絶縁層PIは、画素電極PEに対応した位置に貫通孔を有している。隔壁絶縁層PIは、例えば、有機絶縁層である。隔壁絶縁層PIは、例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて形成されている。
【0032】
画素電極PE上には、活性層として、発光層を含んだ有機物層ORGが形成されている。発光層は、例えば、発光色が赤色、緑色、又は青色のルミネセンス性有機化合物を含んだ薄膜である。この有機物層ORGは、発光層に加え、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などもさらに含むことができる。
【0033】
隔壁絶縁層PI及び有機物層ORGは、対向電極CEで被覆されている。この例では、対向電極CEは、画素PX間で互いに接続された電極,すなわち共通電極,である。また、この例では、対向電極CEは、陽極であり且つ光反射性の背面電極である。
【0034】
対向電極CEは、例えば、パッシベーション膜PSと隔壁絶縁層PIとに設けられたコンタクトホールを介して、図示しない高電位電源配線に電気的に接続されている。高電位電源配線は定電位である電圧電位PVDDに設定されている。各々の有機ELダイオードOLEDは、画素電極PEと、対向電極CEと、両電極間に挟持された有機物層ORGとを含んでいる。
【0035】
各画素PXは、有機ELダイオードOLEDと、駆動トランジスタDRTと、容量部Csと、初期化トランジスタTCTと、書込みトランジスタSSTとを含んでいる。上記の通り、この例では、駆動トランジスタDRT、初期化トランジスタTCT及び書込みトランジスタSSTは、Pチャネル型の薄膜トランジスタである。
【0036】
有機ELダイオードOLEDと駆動トランジスタDRTとは、図示しない高電位電源配線と低電位電源配線との間で、この順に直列に接続されている。高電位電源配線には電源電圧PVDDが印加され、低電位電源配線には電源電圧PVSSが印加されている。電源電圧PVDD及び電源電圧PVSSは、それぞれ定電圧である。
【0037】
高電位電源配線の電位及び低電位電源配線の電位を比べた場合、高電位電源配線の電位は相対的にハイレベルであり、低電位電源配線の電位は相対的にローレベルである。このため、高電位電源配線の節点ND1は高電位電源端子であり、低電位電源配線の節点ND2は低電位電源端子である。この実施の形態において、高電位電源配線は、+5Vの電位に設定され、低電位電源配線は、−5Vの電位に設定されている。
【0038】
具体的には、有機ELダイオードOLEDの対向電極CEは節点ND1に接続されている。有機ELダイオードOLEDの画素電極PEは駆動トランジスタDRTのソース電極SEに接続されている。駆動トランジスタDRTのドレイン電極DEは節点ND2に接続されている。
【0039】
容量部Csは、駆動トランジスタDRTのゲート電極G及びソース電極SE間に接続されている。容量部Csは、駆動トランジスタDRTのソース電極SEに接続された第1電極としての下部電極及び駆動トランジスタDRTのゲート電極Gに接続された第2電極としての上部電極を含んでいる。容量部Csは、駆動トランジスタDRTのゲート電極G及びソース電極SE間の電位差を保持するものである。そして、容量部Csは、後述する映像信号電圧Vsigにより決定される駆動トランジスタDRTのゲート電極G制御電位を保持するものである。
【0040】
初期化トランジスタTCTは、駆動トランジスタDRTのソース電極SEに接続されたドレイン電極、走査信号線Saに接続されたゲート電極及び初期化電圧Viniが供給されるソース電極を含んでいる。初期化トランジスタTCTは、走査信号線Saから供給される制御信号TGに応答してオン(導通状態)、オフ(非導通状態)される。初期化トランジスタTCTは、初期化電圧Viniを出力させるかどうか切換え、駆動トランジスタDRTのソース電極SEの電位を初期化させるかどうか切換えるものである。また、初期化トランジスタTCTは、容量部Csからの電流リークを規制するものである。
【0041】
書込みトランジスタSSTは、駆動トランジスタDRTのゲート電極Gに接続されたドレイン電極、映像信号線VLに接続されたソース電極及び走査信号線Sbに接続されたゲート電極を含んでいる。書込みトランジスタSSTは、走査信号線Sbから供給される制御信号SGに応答してオン、オフされる。書込みトランジスタSSTは、映像信号線VLを介して供給される映像信号電圧Vsigを出力させるかどうか切換えるものである。
【0042】
この実施の形態において、有機EL表示装置は複数の切換え部SWを備えている。切換え部SWは、表示領域R1の外側で映像信号線VLに接続されている。切換え部SWは、それぞれ映像信号線に接続された切換えスイッチSW1及び切換えスイッチSW2を有している。切換えスイッチSW1は、映像信号電圧Vsigを対応する映像信号線VLに与えるかどうか切換えるものである。切換えスイッチSW2は、リセット電圧Vrstを対応する映像信号線VLに与えるかどうか切換えるものである。切換え部SWは、駆動部10の制御により、映像信号線VLに映像信号電圧Vsig又はリセット電圧Vrstを与えるかどうか切換えるものである。
【0043】
映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDR1、YDR2は、この例では、基板SUB上にCOG(chip on glass)実装している。映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDR1、YDR2は、COG実装する代わりに、TCP(tape carrier package)実装してもよい。
【0044】
一方、図1に示すコントローラ12は表示パネルDPの外部に配置されたプリント回路基板上に形成され、映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDR1、YDR2を制御する。コントローラ12は外部から供給されるデジタル映像信号および同期信号を受け取り、垂直走査タイミングを制御する垂直走査制御信号、及び水平走査タイミングを制御する水平走査制御信号を同期信号に基づいて発生する。
【0045】
そして、コントローラ12は、これら垂直走査制御信号および水平走査制御信号をそれぞれ映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDR1、YDR2に供給すると共に、水平及び垂直走査タイミングに同期してデジタル映像信号を映像信号線ドライバXDRに供給する。
【0046】
映像信号線ドライバXDRは水平走査制御信号の制御により各水平走査期間において順次得られる映像信号をアナログ形式に変換して映像信号電圧Vsigとし、各切換えスイッチSW1を介して複数の映像信号線VLに並列的に供給する。また、映像信号線ドライバXDRは、リセット電圧Vrstを各切換えスイッチSW2を介して複数の映像信号線VLに供給しても良い。
【0047】
走査信号線ドライバYDR1に走査信号線Sbが接続され、走査信号線ドライバYDR2に走査信号線Saが接続されている。走査信号線ドライバYDR1、YDR2は、シフトレジスタ、出力バッファ等を含み、外部から供給される水平走査スタートパルスを順次次段に転送し、図示しない出力バッファを介して各行の画素PXに2種類の制御信号、すなわち、制御信号SG、TGを供給する。
【0048】
なお、走査信号線ドライバYDR1、YDR2は、切換えスイッチSW1、SW2のオン/オフを切換えるように形成されていても良い。例えば、切換えスイッチSW1、SW2がトランジスタで形成されている場合、走査信号線ドライバYDR1、YDR2は、切換えスイッチSW1、SW2のオン/オフを切換えるように制御信号を出力すれば良い。
【0049】
走査信号線ドライバYDR1、YDR2は、例えば、スタート信号(STV1、STV2)とクロック(CKV1、CKV2)とから各水平走査期間に対応した1水平走査期間の幅(Tw−Starta)のパルスを生成し、そのパルスを制御信号SG、TGとして出力する。
【0050】
次に、有機ELダイオードOLEDに発光(画像を表示)させる場合の画素PXの動作について説明する。
【0051】
(実施例1)
まず、この実施の形態の実施例1の有機EL表示装置の駆動方法について説明する。
【0052】
上記のように構成された有機EL表示装置において、画素PXの動作は、リセット動作、OC(オフセットキャンセル)動作としてのキャンセル動作、書込み動作及び表示動作としての発光(保持)動作に分けられる。これら一連の動作は、例えば、1垂直走査期間に行われる。
ここで、図4は、第1の実施の形態の実施例1における、書込みトランジスタSST、初期化トランジスタTCT、切換えスイッチSW1及び切換えスイッチSW2のオン、オフタイミングを示す模式図である。
【0053】
まず、リセット動作について説明する。
リセット動作は、リセット期間行われる。
図5には、リセット期間における画素PXを示している。
【0054】
図1、図3、図4及び図5に示すように、リセット動作では、走査信号線ドライバYDR2から、初期化トランジスタTCTをオン状態とするレベル(オン電位)、ここでは、ローレベルの制御信号TGが出力され、走査信号線ドライバYDR1から、書込みトランジスタSSTをオン状態とするオン電位の制御信号SGが出力される。また、切換えスイッチSW1がオフ、切換えスイッチSW2がオンに設定される。
【0055】
このため、初期化トランジスタTCT及び書込みトランジスタSSTがオンに設定される。これにより、初期化電圧Viniを初期化トランジスタTCTを介して駆動トランジスタDRTのソース電極に印加し、駆動トランジスタDRTのソース電極の電位を初期化電位Viniに設定させるとともに、切換えスイッチSW2、映像信号線VL及び書込みトランジスタSSTを介して駆動トランジスタDRTのゲート電極にリセット電圧Vrstを印加し、駆動トランジスタDRTのゲート電極の電位をリセット電位Vrstに設定させる。すると、前フレームの情報がリセット(初期化)される。
この実施の形態において、初期化電圧Viniは、電源電圧PVDD(高電位電源配線の電位)より高いものである。
【0056】
次に、キャンセル動作について説明する。
キャンセル動作は、リセット期間に続くキャンセル期間に行われる。
図6には、キャンセル期間における画素PXを示している。
【0057】
図1、図3、図4及び図6に示すように、キャンセル動作では、走査信号線ドライバYDR1から、書込みトランジスタSSTにオン電位の制御信号SGの出力が維持され、走査信号線ドライバYDR2から、初期化トランジスタTCTをオフ状態とするレベル(オフ電位)、ここでは、ハイレベルの制御信号TGが出力される。また、切換えスイッチSW1がオフ、切換えスイッチSW2がオンに維持される。
【0058】
このため、初期化トランジスタTCTがオフに切換えられる。駆動トランジスタDRTのゲート電極の電位はリセット電位Vrstに固定されている。駆動トランジスタDRTのソース電極の電位は、リセット期間に書き込まれた初期化電位Viniを初期値として低電位側にシフトしていき、キャンセル期間終了後には、リセット電位Vrstと駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthとの差Vrst−Vthとなる(Pチャネル型の駆動トランジスタDRTの場合)。
【0059】
次に、書込み動作について説明する。
書込み動作は、キャンセル期間に続く書込み期間に行われる。
図7には、書込み期間における画素PXを示している。
【0060】
図1、図3、図4及び図7に示すように、書込み動作では、走査信号線ドライバYDR2から、初期化トランジスタTCTにオフ電位の制御信号TGの出力が維持され、走査信号線ドライバYDR1から、書込みトランジスタSSTにオン電位の制御信号SGの出力が維持される。また、切換えスイッチSW1がオン、切換えスイッチSW2がオフに切換えられる。
【0061】
これにより、有機ELダイオードOLEDに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigが、切換えスイッチSW1、映像信号線VL及び書込みトランジスタSSTを介して駆動トランジスタDRTのゲート電極に印加される。そして、駆動トランジスタDRTのソース電極の電位は、映像信号電圧Vsigの印加によって生じた駆動トランジスタDRTのソース電極の電位の変動(−ΔV)を加えたVrst−Vth−ΔVに設定される。なお、ΔV電位の絶対値は、駆動トランジスタDRTのチャネル層SCの移動度が高いほど大きくなる。
【0062】
次に、発光動作について説明する。
発光動作は、書込み期間に続く表示期間としての発光(保持)期間に行われる。
図8には、発光期間における画素PXを示している。
【0063】
図1、図3、図4及び図8に示すように、発光動作では、走査信号線ドライバYDR2から、初期化トランジスタTCTにオフ電位の制御信号TGの出力が維持され、走査信号線ドライバYDR1から、書込みトランジスタSSTにオフ電位の制御信号SGが出力される。
【0064】
このため、書込みトランジスタSSTがオフに切換えられる。これにより、駆動トランジスタDRTのゲート電極−ソース電極間の電圧Vgsは、Vsig−Vrst+Vth+ΔVとなる。そして、駆動トランジスタDRTの飽和領域の出力電流Ielを有機ELダイオードOLEDに与え、発光させる。
【0065】
ここで、駆動トランジスタDRTの利得係数をβとすると、出力電流Ielは次の式で表される。
【0066】
Iel=1/2×β×(Vsig−Vrst+ΔV)
なお、βは次の式で定義される。
【0067】
β=μ×Co×W/L
なお、Wは駆動トランジスタDRTのゲート幅、Lはゲート長、μはキャリア移動度、Coは単位面積当たりのゲート静電容量である。
【0068】
(実施例2)
次に、この実施の形態の実施例2の有機EL表示装置の駆動方法について説明する。
【0069】
上記のように構成された有機EL表示装置において、画素PXの動作は、リセット動作、キャンセル動作、書込み動作及び発光(保持)動作に分けられる。これら一連の動作は、例えば、1垂直走査期間に行われる。特に、実施例2において、書込み動作は、映像信号線書込み動作と、映像信号線書込み動作に続く画素書込み動作とを含むものであり、映像信号線書込み動作及び画素書込み動作について詳細に説明する。
【0070】
ここで、図9は、第1の実施の形態の実施例2における、書込みトランジスタSST、初期化トランジスタTCT、切換えスイッチSW1及び切換えスイッチSW2のオン、オフタイミングを示す模式図である。
【0071】
まず、リセット動作について説明する。
リセット動作は、リセット期間行われる。
図10には、リセット期間における画素PXを示している。
【0072】
図1、図3、図9及び図10に示すように、まず、リセット動作では、初期化トランジスタTCT及び書込みトランジスタSSTがオンに設定され、切換えスイッチSW1がオフ、切換えスイッチSW2がオンに設定される。
【0073】
これにより、駆動トランジスタDRTのソース電極の電位を初期化電位Viniに設定させるとともに、駆動トランジスタDRTのゲート電極の電位をリセット電位Vrstに設定させる。すると、前フレームの情報がリセット(初期化)される。
【0074】
次に、キャンセル動作について説明する。
キャンセル動作は、リセット期間に続くキャンセル期間に行われる。
図11には、キャンセル期間における画素PXを示している。
【0075】
図1、図3、図9及び図11に示すように、キャンセル動作では、初期化トランジスタTCTがオフに切換えられる。このため、駆動トランジスタDRTのソース電極の電位は、キャンセル期間終了後には、Vrst−Vthとなる。
【0076】
次に、映像信号線書込み動作について説明する。
映像信号線書込み動作は、キャンセル期間に続く映像信号線書込み期間に行われる。
図12には、映像信号線書込み期間における画素PXを示している。
【0077】
図1、図3、図9及び図12に示すように、映像信号線書込み動作では、走査信号線ドライバYDR2から、初期化トランジスタTCTにオフ電位の制御信号TGの出力が維持され、走査信号線ドライバYDR1から、書込みトランジスタSSTにオフ電位の制御信号SGが出力される。また、切換えスイッチSW1がオン、切換えスイッチSW2がオフに切換えられる。
【0078】
これにより、有機ELダイオードOLEDに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigが、切換えスイッチSW1を介して映像信号線VLに印加され、書き込まれる(記憶される)。例えば、映像信号電圧Vsigは、映像信号線VLと、映像信号線VLに隣合って並行して延びた配線とに生じる浮遊容量(寄生容量)を使って保持することができる。
【0079】
ここでは、上述した低電位電源配線が映像信号線VLに隣合って並行して延びている。なお、映像信号線VLに隣合って並行して延びた配線は、低電位電源配線等の定電位配線が好ましいが、これに限らず、書込み期間に定電位となる配線であれば良い。また、浮遊容量を使わずに映像信号電圧Vsigを保持しても良く、例えば、映像信号線VLにキャパシタ等の容量部を接続することで映像信号電圧Vsigを保持しても良い。その他、映像信号線VL自体が持つ容量を使って映像信号電圧Vsigを保持しても良い。
【0080】
次に、画素書込み動作について説明する。
画素書込み動作は、映像信号線書込み期間に続く画素書込み期間に行われる。画素書込み期間は、映像信号線書込み期間に比べて短い期間である。
図13には、画素書込み期間における画素PXを示している。
【0081】
図1、図3、図9及び図13に示すように、画素書込み動作では、走査信号線ドライバYDR2から、初期化トランジスタTCTにオフ電位の制御信号TGの出力が維持され、走査信号線ドライバYDR1から、書込みトランジスタSSTにオン電位の制御信号SGが出力される。また、切換えスイッチSW1がオフに切換えられる。
【0082】
これにより、映像信号線VLに書き込まれた映像信号電圧Vsigを、書込みトランジスタSSTを介して駆動トランジスタDRTのゲート電極に印加することができる。そして、駆動トランジスタDRTのソース電極の電位は、映像信号電圧Vsigの印加によって生じた駆動トランジスタDRTのソース電極の電位の変動(−ΔV)を加えたVrst−Vth−ΔVに設定される。
【0083】
上記のように、映像信号線書込み動作と、画素書込み動作とを独立して行うことで、映像信号線書込み期間に、駆動トランジスタDRTのソース電極−ドレイン電極間に流れる電流を削減することができる。このため、高電流の設定を容易にすることができる駆動方法となる。
【0084】
次に、発光動作について説明する。
発光動作は、画素書込み期間に続く表示期間としての発光(保持)期間に行われる。
図14には、発光期間における画素PXを示している。
【0085】
図1、図3、図9及び図14に示すように、発光動作では、書込みトランジスタSSTがオフに切換えられる。これにより、駆動トランジスタDRTのVgsは、Vsig−Vrst+Vth+ΔVとなる。そして、駆動トランジスタDRTの飽和領域の出力電流Ielを有機ELダイオードOLEDに与え、発光させる。
【0086】
上述したように、出力電流Ielは次の式で表される。
【0087】
Iel=1/2×β×(Vsig−Vrst+ΔV)
上記のように構成された有機EL表示装置および有機EL表示装置の駆動方法によれば、画素PXは、有機ELダイオードOLEDと、駆動トランジスタDRTと、容量部Csと、初期化トランジスタTCTと、書込みトランジスタSSTとを含んでいる。高電位電源配線側に有機ELダイオードOLEDが配置され、低電位電源配線側に駆動トランジスタDRTが配置されている。
【0088】
これにより、出力電流Ielは、閾値電圧Vthに依存しない値となるため、閾値電圧Vthによるばらつきの影響を排除することができる。また、上記のように、ΔVの値は、移動度が高いほど大きくなるものである。移動度が高いほど電流が流れにくくなり、移動度が低いほど電流が流れやすくなるため、移動度の影響も補償することができる。さらに、出力電流Ielは、有機ELダイオードOLEDの電圧Velに依存しない値となるため、有機ELダイオードOLEDの特性の影響を排除することができる。
言い換えると、有機ELダイオードOLEDに、画像の階調に応じているとともに移動度の影響を補償した駆動電流Ielを与えることができる。
【0089】
また、映像信号線書込み動作と、画素書込み動作とを独立して行うことで、画素書込み期間に比べて期間の短い映像信号線書込み期間に、映像信号電圧Vsigを、駆動トランジスタDRTのゲート電極に書き込むことができる。これにより、映像信号線書込み期間に、駆動トランジスタDRTのソース電極−ドレイン電極間に流れる電流を削減することができる。このため、高電流の設定を容易にすることができる駆動方法を得ることができる。
さらに、画素PXを構成する素子の数が少ないため、高精細化を図ることも可能である。
【0090】
上記したことから、高精細化が可能であり、階調再現性に優れ、輝度ムラを抑制できる表示品位の優れたアクティブマトリクス型有機EL表示装置及びアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法を得ることができる。これにより、表示不良、スジムラ及びざらつき感の問題を解消することができる。
【0091】
次に、この発明の第2の実施の形態に係るアクティブマトリクス型有機EL表示装置及びアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法について詳細に説明する。なお、この実施の形態において、アクティブマトリクス型有機EL表示装置の構成が上述した実施の形態と同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0092】
図1、図2及び図15に示すように、有機EL表示装置は、有機ELパネルである表示パネルDPと、駆動部10とを含んでいる。上部電極と、下部電極と、これらの間に介在しているゲート絶縁膜GIとは、図1及び図15に示す容量部Cs及び他の容量部Cxを構成している。ここでは、容量部Cs、Cxはキャパシタである。
【0093】
各画素PXは、有機ELダイオードOLEDと、駆動トランジスタDRTと、容量部Csと、初期化トランジスタTCTと、書込みトランジスタSSTと、容量部Cxとを含んでいる。この例では、駆動トランジスタDRT、初期化トランジスタTCT及び書込みトランジスタSSTは、Pチャネル型の薄膜トランジスタである。
【0094】
有機ELダイオードOLEDと駆動トランジスタDRTとは、図示しない高電位電源配線と低電位電源配線との間で、この順に直列に接続されている。この実施の形態において、高電位電源配線は、+5Vの電位に設定され、低電位電源配線は、−5Vの電位に設定されている。
【0095】
容量部Cxは、駆動トランジスタDRTのソース電極SE及び走査信号線Sa間に接続されている。容量部Csは、駆動トランジスタDRTのソース電極SEに接続された第1電極としての下部電極及び走査信号線Saに接続された第2電極としての上部電極を含んでいる。後述するが、容量部Cxは、キャンセル動作開始時の駆動トランジスタDRTを高電位側にシフトさせることで、キャンセル動作を開始させるものである。
なお、容量部Cxの下部電極及び容量部Csの下部電極は、一体に形成されていても良い。
【0096】
初期化トランジスタTCTは、駆動トランジスタDRTのソース電極SEに接続されたドレイン電極、走査信号線Saに接続されたゲート電極及び上記高電位電源配線に接続されたソース電極を含んでいる。初期化トランジスタTCTは、走査信号線Saから供給される制御信号TGに応答してオン、オフされる。初期化トランジスタTCTは、初期化電圧としての電源電圧PVDDを出力させるかどうか切換え、駆動トランジスタDRTのソース電極SEの電位を初期化させるかどうか切換えるものである。また、初期化トランジスタTCTは、容量部Csからの電流リークを規制するものである。
【0097】
次に、有機ELダイオードOLEDに発光(画像を表示)させる場合の画素PXの動作について説明する。すなわち、第2の実施の形態の有機EL表示装置の駆動方法について説明する。
【0098】
上記のように構成された有機EL表示装置において、画素PXの動作は、リセット動作、OC(オフセットキャンセル)動作としてのキャンセル動作、書込み動作及び表示動作としての発光(保持)動作に分けられる。これら一連の動作は、例えば、1垂直走査期間に行われる。
【0099】
ここで、図16は、第2の実施の形態における、書込みトランジスタSST、初期化トランジスタTCT、切換えスイッチSW1及び切換えスイッチSW2のオン、オフタイミングを示す模式図である。
【0100】
まず、リセット動作について説明する。
リセット動作は、リセット期間行われる。
図17には、リセット期間における画素PXを示している。
【0101】
図1、図15、図16及び図17に示すように、リセット動作では、走査信号線ドライバYDR2から、初期化トランジスタTCTをオン状態とするレベル(オン電位)、ここでは、ローレベルの制御信号TGが出力され、走査信号線ドライバYDR1から、書込みトランジスタSSTをオン状態とするオン電位の制御信号SGが出力される。また、切換えスイッチSW1がオフ、切換えスイッチSW2がオンに設定される。
【0102】
このため、初期化トランジスタTCT及び書込みトランジスタSSTがオンに設定される。これにより、電源電圧PVDDを初期化トランジスタTCTを介して駆動トランジスタDRTのソース電極に印加し、駆動トランジスタDRTのソース電極の電位を初期化電位として高電位電源配線と同じ電圧電位PVDDに設定させるとともに、切換えスイッチSW2、映像信号線VL及び書込みトランジスタSSTを介して駆動トランジスタDRTのゲート電極にリセット電圧Vrstを印加し、駆動トランジスタDRTのゲート電極の電位をリセット電位Vrstに設定させる。すると、前フレームの情報がリセット(初期化)される。
【0103】
次に、キャンセル動作について説明する。
キャンセル動作は、リセット期間に続くキャンセル期間に行われる。
図18には、キャンセル期間における画素PXを示している。
【0104】
図1、図15、図16及び図18に示すように、キャンセル動作では、走査信号線ドライバYDR1から、書込みトランジスタSSTにオン電位の制御信号SGの出力が維持され、走査信号線ドライバYDR2から、初期化トランジスタTCTをオフ状態とするレベル(オフ電位)、ここでは、ハイレベルの制御信号TGが出力される。また、切換えスイッチSW1がオフ、切換えスイッチSW2がオンに維持される。
【0105】
このため、初期化トランジスタTCTがオフに切換えられる。駆動トランジスタDRTのゲート電極の電位はリセット電位Vrstに固定されている。駆動トランジスタDRTのソース電極の電位は、PVDD+Cx/(Cs+Cx)×(VGH−VGL)を初期値として低電位側にシフトしていき、キャンセル期間終了後には、リセット電位Vrstと駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthとの差Vrst−Vthとなる(Pチャネル型の駆動トランジスタDRTの場合)。ここで、VGHは、ハイレベルの制御信号TGの電圧の値であり、VGLはローレベルの制御信号TGの電圧の値である。
【0106】
次に、書込み動作について説明する。
書込み動作は、キャンセル期間に続く書込み期間に行われる。
図19には、書込み期間における画素PXを示している。
【0107】
図1、図15、図16及び図19に示すように、書込み動作では、走査信号線ドライバYDR2から、初期化トランジスタTCTにオフ電位の制御信号TGの出力が維持され、走査信号線ドライバYDR1から、書込みトランジスタSSTにオン電位の制御信号SGの出力が維持される。また、切換えスイッチSW1がオン、切換えスイッチSW2がオフに切換えられる。
【0108】
これにより、有機ELダイオードOLEDに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigが、切換えスイッチSW1、映像信号線VL及び書込みトランジスタSSTを介して駆動トランジスタDRTのゲート電極に印加される。そして、駆動トランジスタDRTのソース電極の電位は、映像信号電圧Vsigの印加によって生じた駆動トランジスタDRTのソース電極の電位の変動(−ΔV)を加えたVrst−Vth−ΔVに設定される。なお、ΔV電位の絶対値は、駆動トランジスタDRTのチャネル層SCの移動度が高いほど大きくなる。
【0109】
次に、発光動作について説明する。
発光動作は、書込み期間に続く表示期間としての発光(保持)期間に行われる。
図20には、発光期間における画素PXを示している。
【0110】
図1、図15、図16及び図20に示すように、発光動作では、走査信号線ドライバYDR2から、初期化トランジスタTCTにオフ電位の制御信号TGの出力が維持され、走査信号線ドライバYDR1から、書込みトランジスタSSTにオフ電位の制御信号SGが出力される。
【0111】
このため、書込みトランジスタSSTがオフに切換えられる。これにより、駆動トランジスタDRTのVgsは、Vsig−Vrst+Vth+ΔVとなる。そして、駆動トランジスタDRTの飽和領域の出力電流Ielを有機ELダイオードOLEDに与え、発光させる。
【0112】
ここで、駆動トランジスタDRTの利得係数をβとすると、出力電流Ielは次の式で表される。
【0113】
Iel=1/2×β×(Vsig−Vrst+ΔV)
上記のように構成された有機EL表示装置および有機EL表示装置の駆動方法によれば、画素PXは、有機ELダイオードOLEDと、駆動トランジスタDRTと、容量部Csと、初期化トランジスタTCTと、書込みトランジスタSSTと、他の容量部Cxとを含んでいる。高電位電源配線側に有機ELダイオードOLEDが配置され、低電位電源配線側に駆動トランジスタDRTが配置されている。
【0114】
これにより、出力電流Ielは、閾値電圧Vthに依存しない値となるため、閾値電圧Vthによるばらつきの影響を排除することができる。また、上記のように、ΔVの値は、移動度が高いほど大きくなるものである。移動度が高いほど電流が流れにくくなり、移動度が低いほど電流が流れやすくなるため、移動度の影響も補償することができる。さらに、出力電流Ielは、有機ELダイオードOLEDの電圧Velに依存しない値となるため、有機ELダイオードOLEDの特性の影響を排除することができる。
言い換えると、有機ELダイオードOLEDに、画像の階調に応じているとともに移動度の影響を補償した駆動電流Ielを与えることができる。
【0115】
また、容量部Cxと、容量部Csとの容量比により、駆動トランジスタDRTのゲート電極の電位を変えることができるため、映像信号電圧Vsigの値を調整することなく、有機ELダイオードOLEDに、一層画像の階調に応じた駆動電流Ielを与えることができる。
【0116】
また、第1の実施の形態において説明したように、書込み動作は、映像信号線書込み動作と、映像信号線書込み動作に続く画素書込み動作とを含んでいても良い。映像信号線書込み動作と、画素書込み動作とを独立して行うことで、画素書込み期間に比べて期間の短い映像信号線書込み期間に、映像信号電圧Vsigを、駆動トランジスタDRTのゲート電極に書き込むことができる。これにより、映像信号線書込み期間に、駆動トランジスタDRTのソース電極−ドレイン電極間に流れる電流を削減することができる。このため、高電流の設定を容易にすることができる駆動方法を得ることができる。
さらに、画素PXを構成する素子の数が少ないため、高精細化を図ることも可能である。
【0117】
上記したことから、高精細化が可能であり、階調再現性に優れ、輝度ムラを抑制できる表示品位の優れたアクティブマトリクス型有機EL表示装置及びアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法を得ることができる。これにより、表示不良、スジムラ及びざらつき感の問題を解消することができる。
【0118】
次に、この発明の第3の実施の形態に係るアクティブマトリクス型有機EL表示装置及びアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法について詳細に説明する。なお、この実施の形態において、アクティブマトリクス型有機EL表示装置の構成が上述した第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0119】
図1、図2及び図21に示すように、有機EL表示装置は、有機ELパネルである表示パネルDPと、駆動部10とを含んでいる。
【0120】
具体的には、走査信号線Saとチャネル層SCとの交差部が形成している薄膜トランジスタの一方は初期化トランジスタTCTであり、他方はリセットトランジスタISTである。なお、走査信号線Sbとチャネル層SCとの交差部が形成している薄膜トランジスタは、書込みトランジスタSSTであり、上部電極とチャネル層SCとの交差部が形成している薄膜トランジスタは、駆動トランジスタDRTである。
【0121】
なお、この例では、駆動トランジスタDRT、初期化トランジスタTCT、リセットトランジスタIST及び書込みトランジスタSSTは、トップゲート型のPチャネル型の薄膜トランジスタである。
【0122】
各画素PXは、有機ELダイオードOLEDと、駆動トランジスタDRTと、容量部Csと、初期化トランジスタTCTと、リセットトランジスタISTと、書込みトランジスタSSTとを含んでいる。
【0123】
有機ELダイオードOLEDと駆動トランジスタDRTとは、図示しない高電位電源配線と低電位電源配線との間で、この順に直列に接続されている。高電位電源配線には電源電圧PVDDが印加され、低電位電源配線には電源電圧PVSSが印加されている。この実施の形態において、高電位電源配線は、+5Vの電位に設定され、低電位電源配線は、−5Vの電位に設定されている。
【0124】
容量部Csは、駆動トランジスタDRTのゲート電極Gに接続されている。より詳しくは、容量部Csは、第1電極としての下部電極及び駆動トランジスタDRTのゲート電極Gに接続された第2電極としての上部電極を含んでいる。容量部Csは、駆動トランジスタDRTのゲート電極Gの電位を保持するものである。そして、容量部Csは、後述する映像信号電圧Vsigにより決定される駆動トランジスタDRTのゲート電極G制御電位を保持するものである。
【0125】
初期化トランジスタTCTは、容量部Csの下部電極に接続されたソース電極、走査信号線Saに接続されたゲート電極及び駆動トランジスタDRTのソース電極SEに接続されたドレイン電極を含んでいる。初期化トランジスタTCTは、走査信号線Saから供給される制御信号TGに応答してオン(導通状態)、オフ(非導通状態)される。初期化トランジスタTCTは、駆動トランジスタDRTのソース電極SEの電位を初期化させるかどうか切換えるものである。また、初期化トランジスタTCTは、容量部Csからの電流リークを規制するものである。
【0126】
リセットトランジスタISTは、高電位電源配線に接続されたソース電極、走査信号線Saに接続されたゲート電極及び駆動トランジスタDRTのゲート電極Gに接続されたドレイン電極を含んでいる。リセットトランジスタISTは、走査信号線Saから供給される制御信号TGに応答してオン、オフされる。リセットトランジスタISTは、駆動トランジスタDRTのゲート電極Gの電位を高電位電源配線と同じ電圧電位PVDDに設定させるかどうか切換えるものである。
【0127】
書込みトランジスタSSTは、容量部Csの下部電極に接続されたドレイン電極、映像信号線VLに接続されたソース電極及び走査信号線Sbに接続されたゲート電極を含んでいる。書込みトランジスタSSTは、走査信号線Sbから供給される制御信号SGに応答してオン、オフされる。書込みトランジスタSSTは、映像信号線VLを介して供給される映像信号電圧Vsigを出力させるかどうか切換えるものである。
【0128】
次に、有機ELダイオードOLEDに発光(画像を表示)させる場合の画素PXの動作について説明する。すなわち、第3の実施の形態の有機EL表示装置の駆動方法について説明する。
【0129】
上記のように構成された有機EL表示装置において、画素PXの動作は、リセット動作、OC(オフセットキャンセル)動作としてのキャンセル動作、書込み動作及び表示動作としての発光(保持)動作に分けられる。これら一連の動作は、例えば、1垂直走査期間に行われる。
ここで、図22は、第3の実施の形態における、書込みトランジスタSST、初期化トランジスタTCT、リセットトランジスタIST、切換えスイッチSW1及び切換えスイッチSW2のオン、オフタイミングを示す模式図である。
【0130】
まず、リセット動作について説明する。
リセット動作は、リセット期間行われる。
図23には、リセット期間における画素PXを示している。
【0131】
図1、図21、図22及び図23に示すように、リセット動作では、走査信号線ドライバYDR2から、初期化トランジスタTCT及びリセットトランジスタISTをオン状態とするレベル(オン電位)、ここでは、ローレベルの制御信号TGが出力され、走査信号線ドライバYDR1から、書込みトランジスタSSTをオン状態とするオン電位の制御信号SGが出力される。また、切換えスイッチSW1がオフ、切換えスイッチSW2がオンに設定される。
【0132】
このため、初期化トランジスタTCT及び書込みトランジスタSSTがオンに設定される。これにより、リセットトランジスタISTを介して駆動トランジスタDRTのゲート電極の電位を高電位電源配線と同じ電圧電位PVDDに設定させるとともに、切換えスイッチSW2、映像信号線VL、書込みトランジスタSST及び初期化トランジスタTCTを介して駆動トランジスタDRTのソース電極にリセット電圧Vrstを印加し、駆動トランジスタDRTのソース電極の電位をリセット電位Vrstに設定させる。すると、前フレームの情報がリセット(初期化)される。
【0133】
次に、キャンセル動作について説明する。
キャンセル動作は、リセット期間に続くキャンセル期間に行われる。
図24には、キャンセル期間における画素PXを示している。
【0134】
図1、図21、図22及び図24に示すように、キャンセル動作では、走査信号線ドライバYDR2から、初期化トランジスタTCT及びリセットトランジスタISTにオン電位の制御信号TGの出力が維持され、走査信号線ドライバYDR1から、書込みトランジスタSSTをオフ状態とするレベル(オフ電位)、ここでは、ハイレベルの制御信号SGが出力される。
【0135】
このため、書込みトランジスタSSTがオフに切換えられる。駆動トランジスタDRTのゲート電極の電位は電圧電位PVDDに固定されている。駆動トランジスタDRTのソース電極の電位は、リセット期間に書き込まれたリセット電位Vrstを初期値として低電位側にシフトしていき、キャンセル期間終了後には、電圧電位PVDDと駆動トランジスタDRTの閾値電圧Vthとの差PVDD−Vthとなる(Pチャネル型の駆動トランジスタDRTの場合)。
【0136】
次に、書込み動作について説明する。
書込み動作は、キャンセル期間に続く書込み期間に行われる。
図25には、書込み期間における画素PXを示している。
【0137】
図1、図21、図22及び図25に示すように、書込み動作では、走査信号線ドライバYDR2から、初期化トランジスタTCT及びリセットトランジスタISTにオフ電位の制御信号TGが出力され、走査信号線ドライバYDR1から、書込みトランジスタSSTにオン電位の制御信号SGが出力される。また、切換えスイッチSW1がオン、切換えスイッチSW2がオフに切換えられる。
【0138】
このため、初期化トランジスタTCT及びリセットトランジスタISTがオフに、書込みトランジスタSSTがオンに切換えられるこれにより、有機ELダイオードOLEDに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigが、切換えスイッチSW1、映像信号線VL及び書込みトランジスタSSTを介して容量部Csに印加され容量部Csに記憶される。そして、駆動トランジスタDRTのゲート電極の電位は、Vsig+Vthに設定される。
【0139】
次に、発光動作について説明する。
発光動作は、書込み期間に続く表示期間としての発光(保持)期間に行われる。
図26には、発光期間における画素PXを示している。
【0140】
図1、図21、図22及び図26に示すように、発光動作では、走査信号線ドライバYDR2から、初期化トランジスタTCT及びリセットトランジスタISTにオフ電位の制御信号TGの出力が維持され、走査信号線ドライバYDR1から、書込みトランジスタSSTにオフ電位の制御信号SGが出力される。
【0141】
このため、書込みトランジスタSSTがオフに切換えられる。これにより、駆動トランジスタDRTのVgsは、Vsig+Vth−PVDDとなる。そして、駆動トランジスタDRTの飽和領域の出力電流Ielを有機ELダイオードOLEDに与え、発光させる。
【0142】
ここで、駆動トランジスタDRTの利得係数をβとすると、出力電流Ielは次の式で表される。
【0143】
Iel=1/2×β×(Vsig−PVDD)
なお、βは次の式で定義される。
【0144】
β=μ×Co×W/L
なお、Wは駆動トランジスタDRTのゲート幅、Lはゲート長、μはキャリア移動度、Coは単位面積当たりのゲート静電容量である。
【0145】
上記のように構成された有機EL表示装置および有機EL表示装置の駆動方法によれば、画素PXは、有機ELダイオードOLEDと、駆動トランジスタDRTと、容量部Csと、初期化トランジスタTCTと、リセットトランジスタISTと、書込みトランジスタSSTとを含んでいる。高電位電源配線側に有機ELダイオードOLEDが配置され、低電位電源配線側に駆動トランジスタDRTが配置されている。
【0146】
これにより、出力電流Ielは、閾値電圧Vthに依存しない値となるため、閾値電圧Vthによるばらつきの影響を排除することができる。また、出力電流Ielは、有機ELダイオードOLEDの電圧Velに依存しない値となるため、有機ELダイオードOLEDの特性の影響を排除することができる。
言い換えると、有機ELダイオードOLEDに、画像の階調に応じているとともに移動度の影響を補償した駆動電流Ielを与えることができる。
【0147】
また、第1の実施の形態において説明したように、書込み動作は、映像信号線書込み動作と、映像信号線書込み動作に続く画素書込み動作とを含んでいても良い。映像信号線書込み動作と、画素書込み動作とを独立して行うことで、画素書込み期間に比べて期間の短い映像信号線書込み期間に、映像信号電圧Vsigを、画素PXに書き込むことができる。これにより、映像信号線書込み期間に、駆動トランジスタDRTのソース電極−ドレイン電極間に流れる電流を削減することができる。このため、高電流の設定を容易にすることができる駆動方法を得ることができる。
さらに、画素PXを構成する素子の数が少ないため、高精細化を図ることも可能である。
【0148】
上記したことから、高精細化が可能であり、階調再現性に優れ、輝度ムラを抑制できる表示品位の優れたアクティブマトリクス型有機EL表示装置及びアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法を得ることができる。これにより、表示不良、スジムラ及びざらつき感の問題を解消することができる。
【0149】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0150】
例えば、リセット電圧Vrstは映像信号線VLとは別の配線を介して画素PXに供給されても良い。この場合、映像信号線VLには、切換え部SWの替わりに例えばマルチプレクサ回路が接続されていれば良い。1/3マルチプレクサ回路の場合、1/3マルチプレクサ回路に、それぞれ3本の映像信号線VLが接続され、3本の映像信号線VLの何れかに映像信号電圧Vsigを選択的に与えるように構成されていれば良い。
初期化トランジスタTCT、書込みトランジスタSST及びリセットトランジスタISTは、Nチャネル型及びPチャネル型の何れかのトランジスタで形成されていれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の第1、第2及び第3の実施の形態に係る有機EL表示装置を概略的に示す平面図。
【図2】上記有機EL表示装置の一部を示す拡大断面図であり、特に駆動トランジスタ及び有機ELダイオードを示す断面図。
【図3】上記第1の実施の形態に係る有機EL表示装置における画素の等価回路を示す図。
【図4】上記第1の実施の形態の実施例1に係る有機EL表示装置の駆動方法における、書込みトランジスタ、初期化トランジスタ及び2つの切換えスイッチのオン、オフタイミングを表で示した図。
【図5】上記実施例1に係る有機EL表示装置のリセット動作における画素の等価回路を示す図。
【図6】上記実施例1に係る有機EL表示装置のキャンセル動作における画素の等価回路を示す図。
【図7】上記実施例1に係る有機EL表示装置の書込み動作における画素の等価回路を示す図。
【図8】上記実施例1に係る有機EL表示装置の発光動作における画素の等価回路を示す図。
【図9】上記第1の実施の形態の実施例2に係る有機EL表示装置の駆動方法における、書込みトランジスタ、初期化トランジスタ及び2つの切換えスイッチのオン、オフタイミングを表で示した図。
【図10】上記実施例2に係る有機EL表示装置のリセット動作における画素の等価回路を示す図。
【図11】上記実施例2に係る有機EL表示装置のキャンセル動作における画素の等価回路を示す図。
【図12】上記実施例2に係る有機EL表示装置の映像信号線書込み動作における画素の等価回路を示す図。
【図13】上記実施例2に係る有機EL表示装置の画素書込み動作における画素の等価回路を示す図。
【図14】上記実施例2に係る有機EL表示装置の発光動作における画素の等価回路を示す図。
【図15】上記第2の実施の形態に係る有機EL表示装置における画素の等価回路を示す図。
【図16】上記第2の実施の形態に係る有機EL表示装置の駆動方法における、書込みトランジスタ、初期化トランジスタ及び2つの切換えスイッチのオン、オフタイミングを表で示した図。
【図17】上記第2の実施の形態に係る有機EL表示装置のリセット動作における画素の等価回路を示す図。
【図18】上記第2の実施の形態に係る有機EL表示装置のキャンセル動作における画素の等価回路を示す図。
【図19】上記第2の実施の形態に係る有機EL表示装置の書込み動作における画素の等価回路を示す図。
【図20】上記第2の実施の形態に係る有機EL表示装置の発光動作における画素の等価回路を示す図。
【図21】上記第3の実施の形態に係る有機EL表示装置における画素の等価回路を示す図。
【図22】上記第3の実施の形態に係る有機EL表示装置の駆動方法における、書込みトランジスタ、初期化トランジスタ、リセットトランジスタ及び2つの切換えスイッチのオン、オフタイミングを表で示した図。
【図23】上記第3の実施の形態に係る有機EL表示装置のリセット動作における画素の等価回路を示す図。
【図24】上記第3の実施の形態に係る有機EL表示装置のキャンセル動作における画素の等価回路を示す図。
【図25】上記第3の実施の形態に係る有機EL表示装置の書込み動作における画素の等価回路を示す図。
【図26】上記第3の実施の形態に係る有機EL表示装置の発光動作における画素の等価回路を示す図。
【符号の説明】
【0152】
DP…表示パネル、SUB…基板、R1…表示領域、PX…画素、TCT…初期化トランジスタ、SST…書込みトランジスタ、IST…リセットトランジスタ、Cs,Cx…容量部、DRT…駆動トランジスタ、G…ゲート電極、SE…ソース電極、DE…ドレイン電極、OLED…有機ELダイオード、PE…画素電極、ORG…有機物層、CE…対向電極、VL…映像信号線、Sa,Sb…走査信号線、10…駆動部、YDR1,YDR2…走査信号線ドライバ、XDR…映像信号線ドライバ、12…コントローラ、SW…切換え部、SW1,SW2…切換えスイッチ、TG,SG…制御信号、Vsig…映像信号電圧、Vini…初期化電圧(電位)、Vrst…リセット電圧(電位)、Vth…閾値電圧、PVSS…基準電圧電位、PVDD…電圧電位、Iel…出力電流、−ΔV…電位変動、β…利得係数。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の映像信号線と、
前記各映像信号線に接続された複数の画素と、を備え、
前記各画素は、
高電位電源配線に接続された陽極、前記陽極に対向配置された陰極並びに前記陽極及び陰極間に挟持された有機物層を含んだ有機ELダイオードと、
前記有機ELダイオードの陰極に接続されたソース電極、低電位電源配線に接続されたドレイン電極及びゲート電極を含んだPチャネル型の駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタのソース電極に接続された第1電極及び前記駆動トランジスタのゲート電極に接続された第2電極を含んだ容量部と、
前記駆動トランジスタのソース電極に接続されたドレイン電極、第1走査信号線に接続されたゲート電極及び初期化電圧が供給されるソース電極を含み、前記初期化電圧を出力させるかどうか切換え、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を初期化させるかどうか切換える初期化トランジスタと、
前記駆動トランジスタのゲート電極に接続されたドレイン電極、前記映像信号線に接続されたソース電極及び第2走査信号線に接続されたゲート電極を含み、前記映像信号線を介して供給される映像信号電圧を出力させるかどうか切換える書込みトランジスタと、を有しているアクティブマトリクス型有機EL表示装置。
【請求項2】
前記各画素は、
前記駆動トランジスタのソース電極に接続された第1電極及び前記第1走査信号線に接続された第2電極を含んだ他の容量部をさらに有し、
前記初期化トランジスタのソース電極は、前記高電位電源配線に接続されている請求項1に記載のアクティブマトリクス型有機EL表示装置。
【請求項3】
複数の映像信号線と、
前記各映像信号線に接続された複数の画素と、を備え、
前記各画素は、
高電位電源配線に接続された陽極、前記陽極に対向配置された陰極並びに前記陽極及び陰極間に挟持された有機物層を含んだ有機ELダイオードと、
前記有機ELダイオードの陰極に接続されたソース電極、低電位電源配線に接続されたドレイン電極及びゲート電極を含んだPチャネル型の駆動トランジスタと、
第1電極及び前記駆動トランジスタのゲート電極に接続された第2電極を含んだ容量部と、
前記容量部の第1電極に接続されたソース電極、第1走査信号線に接続されたゲート電極及び前記駆動トランジスタのソース電極に接続されたドレイン電極を含み、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を初期化させるかどうか切換える初期化トランジスタと、
前記高電位電源配線に接続されたソース電極、前記第1走査信号線に接続されたゲート電極及び前記駆動トランジスタのゲート電極に接続されたドレイン電極を含み、前記駆動トランジスタのゲート電極の電位を前記高電位電源配線の電位に設定させるかどうか切換えるリセットトランジスタと、
前記容量部の第1電極に接続されたドレイン電極、前記映像信号線に接続されたソース電極及び第2走査信号線に接続されたゲート電極を含み、前記映像信号線を介して供給される映像信号電圧を出力させるかどうか切換える書込みトランジスタと、を有しているアクティブマトリクス型有機EL表示装置。
【請求項4】
前記複数の画素及び複数の映像信号線に接続された駆動部をさらに備え、
前記駆動部は、
リセット期間に、前記初期化トランジスタを導通状態にさせ、前記初期化電圧Viniを前記初期化トランジスタを介して前記駆動トランジスタのソース電極に印加し前記駆動トランジスタのソース電極の電位を初期化電位Viniに設定し、かつ、前記駆動トランジスタのゲート電極にリセット電圧Vrstを印加し前記駆動トランジスタのゲート電極の電位をリセット電位Vrstに設定し、
前記リセット期間に続くキャンセル期間に、前記駆動トランジスタのゲート電極に前記リセット電圧の印加を維持させ、前記初期化トランジスタを非導通状態に切換え、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を、前記リセット電位と前記駆動トランジスタの閾値電圧Vthとの差Vrst−Vthに設定し、
前記キャンセル期間に続く書込み期間に、前記書込みトランジスタを導通状態にさせ、前記有機ELダイオードに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigを前記書込みトランジスタを介して前記駆動トランジスタのゲート電極に印加し、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を、前記映像信号電圧の印加によって生じた前記駆動トランジスタのソース電極の電位の変動(−ΔV)を加えたVrst−Vth−ΔVに設定し、
前記書込み期間に続く発光期間に、前記書込みトランジスタを非導通状態に切換え、前記駆動トランジスタの利得係数をβとすると、前記駆動トランジスタの出力電流Iel=1/2×β×(Vsig−Vrst+ΔV)を前記有機ELダイオードに与え、発光させる請求項1に記載のアクティブマトリクス型有機EL表示装置。
【請求項5】
前記複数の画素及び複数の映像信号線に接続された駆動部をさらに備え、
前記駆動部は、
リセット期間に、前記初期化トランジスタを導通状態にさせ、前記初期化トランジスタを介して前記駆動トランジスタのソース電極の電位を前記高電位電源配線と同じ電圧電位PVDDに設定し、かつ、前記駆動トランジスタのゲート電極にリセット電圧Vrstを印加し前記駆動トランジスタのゲート電極の電位をリセット電位Vrstに設定し、
前記リセット期間に続くキャンセル期間に、前記駆動トランジスタのゲート電極に前記リセット電圧の印加を維持させ、前記初期化トランジスタを非導通状態に切換え、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を、前記リセット電位と前記駆動トランジスタの閾値電圧Vthとの差Vrst−Vthに設定し、
前記キャンセル期間に続く書込み期間に、前記書込みトランジスタを導通状態にさせ、前記有機ELダイオードに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigを前記書込みトランジスタを介して前記駆動トランジスタのゲート電極に印加し、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を、前記映像信号電圧の印加によって生じた前記駆動トランジスタのソース電極の電位の変動(−ΔV)を加えたVrst−Vth−ΔVに設定し、
前記書込み期間に続く発光期間に、前記書込みトランジスタを非導通状態に切換え、前記駆動トランジスタの利得係数をβとすると、前記駆動トランジスタの出力電流Iel=1/2×β×(Vsig−Vrst+ΔV)を前記有機ELダイオードに与え、発光させる請求項2に記載のアクティブマトリクス型有機EL表示装置。
【請求項6】
前記複数の画素及び複数の映像信号線に接続された駆動部をさらに備え、
前記駆動部は、
リセット期間に、前記リセットトランジスタを導通状態にさせ、前記リセットトランジスタを介して前記駆動トランジスタのゲート電極の電位を前記高電位電源配線と同じ電圧電位PVDDに設定し、かつ、前記駆動トランジスタのソース電極にリセット電圧Vrstを印加し前記駆動トランジスタのソース電極の電位をリセット電位Vrstに設定し、
前記リセット期間に続くキャンセル期間に、前記初期化トランジスタを導通状態にさせ、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を、前記電圧電位と前記駆動トランジスタの閾値電圧Vthとの差PVDD−Vthに設定し、
前記キャンセル期間に続く書込み期間に、前記リセットトランジスタ及び初期化トランジスタを非導通状態に切換え、前記書込みトランジスタを導通状態にさせ、前記有機ELダイオードに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigを前記書込みトランジスタを介して前記容量部に印加し前記容量部に記憶させ、前記駆動トランジスタのゲート電極の電位をVsig+Vthに設定し、
前記書込み期間に続く発光期間に、前記書込みトランジスタを非導通状態に切換え、前記駆動トランジスタの利得係数をβとすると、前記駆動トランジスタの出力電流Iel=1/2×β×(Vsig−PVDD)を前記有機ELダイオードに与え、発光させる請求項3に記載のアクティブマトリクス型有機EL表示装置。
【請求項7】
前記書込み期間は、映像信号線書込み期間と、前記映像信号線書込み期間に続く画素書込み期間と、を含み、
前記駆動部は、
前記映像信号線書込み期間に、前記書込みトランジスタを非導通状態にさせ、前記有機ELダイオードに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigを前記映像信号線に印加し前記映像信号線に記憶させ、
前記画素書込み期間に、前記映像信号線への前記映像信号電圧の印加を止め、前記書込みトランジスタを導通状態に切換え、前記映像信号線に記憶された前記映像信号電圧を前記書込みトランジスタを介して前記駆動トランジスタのゲート電極に印加し、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を、前記映像信号電圧の印加によって生じた前記駆動トランジスタのソース電極の電位の変動(−ΔV)を加えたVrst−Vth−ΔVに設定する請求項4又は5に記載のアクティブマトリクス型有機EL表示装置。
【請求項8】
前記書込み期間は、映像信号線書込み期間と、前記映像信号線書込み期間に続く画素書込み期間と、を含み、
前記駆動部は、
前記映像信号線書込み期間に、前記書込みトランジスタを非導通状態にさせ、前記有機ELダイオードに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigを前記映像信号線に印加し前記映像信号線に記憶させ、
前記画素書込み期間に、前記リセットトランジスタ及び初期化トランジスタを非導通状態に切換え、前記書込みトランジスタを導通状態に切換え、前記映像信号線に記憶された前記映像信号電圧を前記書込みトランジスタを介して前記容量部に印加し前記容量部に記憶させ、前記駆動トランジスタのゲート電極の電位をVsig+Vthに設定する請求項6に記載のアクティブマトリクス型有機EL表示装置。
【請求項9】
前記画素書込み期間は、前記映像信号線書込み期間に比べて短い請求項7又は8に記載のアクティブマトリクス型有機EL表示装置。
【請求項10】
前記複数の映像信号線に接続され、それぞれ対応する映像信号線に前記映像信号電圧Vsig又はリセット電圧Vrstを与えるかどうか切換える複数の切換え部をさらに備え、
前記駆動部は、
前記画素に前記リセット電圧Vrstを印加する際、前記書込みトランジスタを導通状態にさせ、前記切換え部により与えられる前記リセット電圧を、前記映像信号線及び書込みトランジスタを介して印加させる請求項4乃至6の何れか1項に記載のアクティブマトリクス型有機EL表示装置。
【請求項11】
前記初期化トランジスタ及び書込みトランジスタは、Nチャネル型及びPチャネル型の何れかのトランジスタで形成されている請求項1又は2に記載のアクティブマトリクス型有機EL表示装置。
【請求項12】
前記初期化トランジスタ、書込みトランジスタ及びリセットトランジスタは、Nチャネル型及びPチャネル型の何れかのトランジスタで形成されている請求項3に記載のアクティブマトリクス型有機EL表示装置。
【請求項13】
前記初期化電圧は、前記高電位電源配線の電位より高い請求項1に記載のアクティブマトリクス型有機EL表示装置。
【請求項14】
複数の映像信号線と、前記各映像信号線に接続された複数の画素と、を備え、前記各画素は、高電位電源配線に接続された陽極、前記陽極に対向配置された陰極並びに前記陽極及び陰極間に挟持された有機物層を含んだ有機ELダイオードと、前記有機ELダイオードの陰極に接続されたソース電極、低電位電源配線に接続されたドレイン電極及びゲート電極を含んだPチャネル型の駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタのソース電極に接続された第1電極及び前記駆動トランジスタのゲート電極に接続された第2電極を含んだ容量部と、前記駆動トランジスタのソース電極に接続されたドレイン電極、第1走査信号線に接続されたゲート電極及び初期化電圧が供給されるソース電極を含み、前記初期化電圧を出力させるかどうか切換え、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を初期化させるかどうか切換える初期化トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲート電極に接続されたドレイン電極、前記映像信号線に接続されたソース電極及び第2走査信号線に接続されたゲート電極を含み、前記映像信号線を介して供給される映像信号電圧を出力させるかどうか切換える書込みトランジスタと、を有しているアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法において、
リセット期間に、前記初期化トランジスタを導通状態にさせ、前記初期化電圧Viniを前記初期化トランジスタを介して前記駆動トランジスタのソース電極に印加し前記駆動トランジスタのソース電極の電位を初期化電位Viniに設定し、かつ、前記駆動トランジスタのゲート電極にリセット電圧Vrstを印加し前記駆動トランジスタのゲート電極の電位をリセット電位Vrstに設定し、
前記リセット期間に続くキャンセル期間に、前記駆動トランジスタのゲート電極に前記リセット電圧の印加を維持させ、前記初期化トランジスタを非導通状態に切換え、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を、前記リセット電位と前記駆動トランジスタの閾値電圧Vthとの差Vrst−Vthに設定し、
前記キャンセル期間に続く書込み期間に、前記書込みトランジスタを導通状態にさせ、前記有機ELダイオードに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigを前記書込みトランジスタを介して前記駆動トランジスタのゲート電極に印加し、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を、前記映像信号電圧の印加によって生じた前記駆動トランジスタのソース電極の電位の変動(−ΔV)を加えたVrst−Vth−ΔVに設定し、
前記書込み期間に続く発光期間に、前記書込みトランジスタを非導通状態に切換え、前記駆動トランジスタの利得係数をβとすると、前記駆動トランジスタの出力電流Iel=1/2×β×(Vsig−Vrst+ΔV)を前記有機ELダイオードに与え、発光させるアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項15】
前記各画素は、前記駆動トランジスタのソース電極に接続された第1電極及び前記第1走査信号線に接続された第2電極を含んだ他の容量部をさらに有し、前記初期化トランジスタのソース電極は、前記高電位電源配線に接続されているアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法において、
前記リセット期間に、前記初期化トランジスタを導通状態にさせ、前記初期化トランジスタを介して前記駆動トランジスタのソース電極の電位を、前記初期化電位として前記高電位電源配線と同じ電圧電位PVDDに設定し、かつ、前記駆動トランジスタのゲート電極にリセット電圧Vrstを印加し前記駆動トランジスタのゲート電極の電位をリセット電位Vrstに設定する請求項14に記載のアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項16】
複数の映像信号線と、前記各映像信号線に接続された複数の画素と、を備え、前記各画素は、高電位電源配線に接続された陽極、前記陽極に対向配置された陰極並びに前記陽極及び陰極間に挟持された有機物層を含んだ有機ELダイオードと、前記有機ELダイオードの陰極に接続されたソース電極、低電位電源配線に接続されたドレイン電極及びゲート電極を含んだPチャネル型の駆動トランジスタと、第1電極及び前記駆動トランジスタのゲート電極に接続された第2電極を含んだ容量部と、前記容量部の第1電極に接続されたソース電極、第1走査信号線に接続されたゲート電極及び前記駆動トランジスタのソース電極に接続されたドレイン電極を含み、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を初期化させるかどうか切換える初期化トランジスタと、前記高電位電源配線に接続されたソース電極、前記第1走査信号線に接続されたゲート電極及び前記駆動トランジスタのゲート電極に接続されたドレイン電極を含み、前記駆動トランジスタのゲート電極の電位を前記高電位電源配線の電位に設定させるかどうか切換えるリセットトランジスタと、前記容量部の第1電極に接続されたドレイン電極、前記映像信号線に接続されたソース電極及び第2走査信号線に接続されたゲート電極を含み、前記映像信号線を介して供給される映像信号電圧を出力させるかどうか切換える書込みトランジスタと、を有しているアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法において、
リセット期間に、前記リセットトランジスタを導通状態にさせ、前記リセットトランジスタを介して前記駆動トランジスタのゲート電極の電位を前記高電位電源配線と同じ電圧電位PVDDに設定し、かつ、前記駆動トランジスタのソース電極にリセット電圧Vrstを印加し前記駆動トランジスタのソース電極の電位をリセット電位Vrstに設定し、
前記リセット期間に続くキャンセル期間に、前記初期化トランジスタを導通状態にさせ、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を、前記電圧電位と前記駆動トランジスタの閾値電圧Vthとの差PVDD−Vthに設定し、
前記キャンセル期間に続く書込み期間に、前記リセットトランジスタ及び初期化トランジスタを非導通状態に切換え、前記書込みトランジスタを導通状態にさせ、前記有機ELダイオードに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigを前記書込みトランジスタを介して前記容量部に印加し前記容量部に記憶させ、前記駆動トランジスタのゲート電極の電位をVsig+Vthに設定し、
前記書込み期間に続く発光期間に、前記書込みトランジスタを非導通状態に切換え、前記駆動トランジスタの利得係数をβとすると、前記駆動トランジスタの出力電流Iel=1/2×β×(Vsig−PVDD)を前記有機ELダイオードに与え、発光させるアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項17】
前記書込み期間は、映像信号線書込み期間と、前記映像信号線書込み期間に続く画素書込み期間と、を含み、
前記映像信号線書込み期間に、前記書込みトランジスタを非導通状態にさせ、前記有機ELダイオードに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigを前記映像信号線に印加し前記映像信号線に記憶させ、
前記画素書込み期間に、前記映像信号線への前記映像信号電圧の印加を止め、前記書込みトランジスタを導通状態に切換え、前記映像信号線に記憶された前記映像信号電圧を前記書込みトランジスタを介して前記駆動トランジスタのゲート電極に印加し、前記駆動トランジスタのソース電極の電位を、前記映像信号電圧の印加によって生じた前記駆動トランジスタのソース電極の電位の変動(−ΔV)を加えたVrst−Vth−ΔVに設定する請求項14又は15に記載のアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項18】
前記書込み期間は、映像信号線書込み期間と、前記映像信号線書込み期間に続く画素書込み期間と、を含み、
前記映像信号線書込み期間に、前記書込みトランジスタを非導通状態にさせ、前記有機ELダイオードに発光させる光の階調に対応させた映像信号電圧Vsigを前記映像信号線に印加し前記映像信号線に記憶させ、
前記画素書込み期間に、前記リセットトランジスタ及び初期化トランジスタを非導通状態に切換え、前記書込みトランジスタを導通状態に切換え、前記映像信号線に記憶された前記映像信号電圧を前記書込みトランジスタを介して前記容量部に印加し前記容量部に記憶させ、前記駆動トランジスタのゲート電極の電位をVsig+Vthに設定する請求項16に記載のアクティブマトリクス型有機EL表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−91682(P2010−91682A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259912(P2008−259912)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】