説明

アクリル系ポリマーを含有するリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物

デュアルダマシンプロセスに使用され、平坦化性、充填性に優れたギャップフィル材を形成する為のリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物を提供する。 具体的には、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する半導体基板にフォトレジストを被覆し、リソグラフィープロセスを利用して半導体基板上に画像を転写する方法による半導体装置の製造において使用されるポリマー、架橋剤及び溶剤を含有することを特徴とするギャップフィル材形成組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、新規なリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物を関するものであり、さらに詳しくは、ホールやトレンチなどの凹凸のある半導体基板の平坦化性に優れ、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上であるようなホールの充填性に優れ、フォトレジストとのインターミキシングを起こさず、フォトレジストに比較して大きなドライエッチング速度を有するリソグラフィー用ギャップフィル材に関するものである。特に近年、半導体装置の配線パターンの微細化に伴い問題となってきている配線遅延を小さくするために用いられる配線材料である銅(Cu)を導入するためのダマシンプロセスにおいて使用されるギャップフィル材形成組成物に関するものである。
【背景技術】
従来から半導体デバイスの製造において、フォトレジストを用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。前記微細加工はシリコンウエハーの上にフォトレジストの薄膜を形成し、その上に半導体デバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜としてシリコンウエハーをエッチング処理することにより、基板表面に、前記パターンに対応する微細凹凸を形成する加工法である。ところが、近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線もKrFエキシマレーザー(248nm)からArFエキシマレーザー(193nm)へと短波長化される傾向にある。これに伴い活性光線の基板からの乱反射や定在波の影響が大きな問題となってきた。そこで、この問題を解決すべく、フォトレジストと基板の間に反射防止膜(Bottom Anti−Reflective Coating、BARC)を設ける方法が広く検討されている。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、α−シリコン等の無機反射防止膜と、吸光性物質と高分子化合物等からなる有機反射防止膜が知られている。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とするのに対し、後者は特別の設備を必要としない点で有利とされ数多くの検討が行われている。例えば、架橋反応基であるヒドロキシル基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜や、架橋反応基であるヒドロキシル基と吸光基を同一分子内に有するノボラック樹脂型反射防止膜等が挙げられる(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
有機反射防止膜材料に望まれる特性としては、光や放射線に対して大きな吸光度を有すること、フォトレジストとのインターミキシングが起こらないこと(フォトレジスト溶剤に不溶であること)、塗布時または加熱乾燥時に反射防止膜材料から上塗りフォトレジスト中への低分子拡散物がないこと、フォトレジストに比べて大きなドライエッチング速度を有すること等がある(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照。)。
ところで、近年、半導体装置のパターンルールの微細化に従い明らかになってきた配線遅延の問題を解決するために、配線材料として銅を使用する検討が行われており、そして、それと共に半導体基板への配線形成方法としてデュアルダマシンプロセスの検討が行われている(例えば、特許文献3参照。)。そして、デュアルダマシンプロセスでは、ビアホールが形成され、大きなアスペクト比を有する基板に対して反射防止膜が形成されることになる。そのため、このプロセスに使用される反射防止膜に対しては、上述の特性に加え、ホール周辺部での基板の被覆性を制御できることや、ビアホールを隙間なく充填することができる埋め込み特性、基板表面に平坦な膜が形成されるようになる平坦化特性などが要求されている。
しかし、有機系反射防止膜用材料を大きなアスペクト比を有する基板に適用することは難しく、近年、埋め込み特性や平坦化特性に重点をおいた材料、ギャップフィル材料が開発されるようになってきた(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7参照。)。
そして、光や放射線に対して大きな吸光度を有する無機や有機系反射防止膜と、平坦化を目的とするリソグラフィー用ギャップフィル材の2層を使用するプロセスが検討されるようになってきている。そのプロセスでは、大きなアスペクト比を有する基板にギャップフィル材が適用され、ホールを充填し、基板表面が平坦化される。そして、そのギャップフィル材の上層に有機反射防止膜又はフォトレジストが形成されることとなる。
ここで述べられるリソグラフィー用ギャップフィル材は、Gap−Filling材であり、即ち充填材或いは平坦化材である。このプロセスの利点は、ギャップフィル材により基板の凹凸を平坦化するため、その上層に形成されるフォトレジストの膜厚を均一化することができ、その結果としてリソグラフィー工程において高い解像度をもたらすことである。
また、ギャップフィル材は、反射防止膜に含まれている吸光性を有する化合物を含まないため高いドライエッチング速度を有する。そのためエッチング工程においてフォトレジストとの間で大きなエッチング選択比を示し、フォトレジストのエッチングによる膜厚の減少を抑えることができ、また、エッチング工程での下地基板に与える影響を抑えることができる。
リソグラフィー用ギャップフィル材に要求されている特性としては、フォトレジスト溶剤に不溶であること(フォトレジスト層とのインターミキシングが起こらないこと)、塗布時または加熱乾燥時にギャップフィル材から上層のフォトレジスト又は反射防止膜に低分子量物質の拡散がないこと、フォトレジストに比べて大きなドライエッチング速度を有すること、及び大きなアスペクト比(凹凸)を有する基板の表面を平坦化できることである。そして、これらの要求のすべてを満たすリソグラフィー用ギャップフィル材が望まれている。
特許文献1:米国特許第5919599号明細書
特許文献2:米国特許第5693691号明細書
特許文献3:米国特許第6057239号明細書
特許文献4:特開2000−294504号公報
特許文献5:国際公開第02/05035号パンフレット
特許文献6:特開2002−190519号公報
特許文献7:特開2002−47430号公報
非特許文献1:トム・リンチ(Tom Lynch)他3名、「プロパティアンドパーフォーマンスオブニアーUVリフレクティビティコントロールレーヤー(Properties and Performance of Near UV Reflectivity Control Layers)」、(米国)、インアドバンスインレジストテクノロジーアンドプロセシングXI(in Advances in Resist Technology and Processing XI)、オムカラム・ナラマス(Omkaram Nalamasu)編、プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE)、1994年、第2195巻(Vol.2195)、p.225−229
非特許文献2:ジー・テイラー(G.Taylor)他13名、「メタクリレートレジストアンドアンチリフレクティブコーティングフォー193nmリソグラフィー(Methacrylate Resist and Antireflective Coatings for 193nm Lithography)」、(米国)、インマイクロリソグラフィー1999:アドバンスインレジストテクノロジーアンドプロセシングXVI(in Microlithography 1999:Advances in Resist Technology and Processing XVI)、ウイル・コンレイ(Will Conley)編、プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE)、1999年、第3678巻(Vol.3678)、p.174−185
非特許文献3:ジム・ディー・メーダー(Jim D.Meador)他6名、「リセントプログレスイン193nmアンチリフレクティブコーティングス(Recent Progress in 193nm Antireflective Coatings)」、(米国)、インマイクロリソグラフィー1999:アドバンスインレジストテクノロジーアンドプロセシングXVI(in Microlithography 1999:Advances in Resist Technology and Processing XVI)、ウイル・コンレイ(Will Conley)編、プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE)、1999年、第3678巻(Vol.3678)、p.800−809
こうした現状に鑑み本発明者は鋭意研究を重ねた結果、低分子量成分の含有量の少ないアクリル系ポリマー又はメタクリル系ポリマーを構成成分とする組成物がギャップフィル材形成のための材料として適していることを見つけ、本発明を完成したものである。
本発明は、デュアルダマシンプロセスにおいて使用されるような、大きなアスペクト比のホールを有する半導体基板にフォトレジストを被覆し、リソグラフィープロセスを利用して半導体基板上に画像を転写する方法による半導体装置の製造において使用されるギャップフィル材形成組成物に関するものである。
本発明の目的は、そのような半導体装置製造のリソグラフィープロセスに用いることのできるギャップフィル材形成組成物を提供することである。そして、フォトレジスト層とのインターミキシングが起こらず、フォトレジストに比較して大きなドライエッチング速度を有し、塗布時または加熱乾燥時に上層フォトレジスト又は反射防止膜への低分子量物質の拡散を起こさず、アスペクト比(凹凸)の大きい基板に対しする高い平坦化性を達成でき、そして、ホールに対する優れた充填性を有する、ギャップフィル材を提供すること、及びそのようなギャップフィル材を形成するためのギャップフィル材形成組成物を提供することである。そして、ギャップフィル材形成組成物を用いたリソグラフィー用ギャップフィル材の形成方法、及びフォトレジストパターンの形成方法を提供することにある。
【発明の開示】
本発明は、第1観点として、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する半導体基板にフォトレジストを被覆し、リソグラフィープロセスを利用して半導体基板上に画像を転写する方法による半導体装置の製造において使用され、下記の式(1)

(式中Rは水素原子、メチル基、塩素原子又は臭素原子を表し、Rは水素原子又はヒドロキシル基を表し、pは1、2、3又は4の数を表し、qは0、1、2又は3の数を表す。)で表される単位構造のみから成り、分子量3000以下の成分の割合が20%以下であるポリマー、架橋剤及び溶剤を含有することを特徴とするギャップフィル材形成組成物、
第2観点として、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する半導体基板にフォトレジストを被覆し、リソグラフィープロセスを利用して半導体基板上に画像を転写する方法による半導体装置の製造において使用され、式(1)で表される単位構造と下記の式(2)

(式中Rは前記と同義であり、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、ベンジル基、少なくとも一つのフッ素原子、塩素原子又は臭素原子で置換されている炭素原子数1〜6のアルキル基、又は少なくとも一つの炭素原子数1〜6のアルコキシ基で置換されている炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)で表される単位構造のみから成り、分子量3000以下の成分の割合が20%以下であり、ポリマーにおける式(1)で表される単位構造の比率が0.10〜0.95であるポリマー、架橋剤及び溶剤を含有することを特徴とするギャップフィル材形成組成物(但し、式(1)で表される単位構造のモル比率と式(2)で表される単位構造のモル比率の合計を1とする。)、
第3観点として、前記ポリマーの重量平均分子量が5000〜20000である第1観点又は第2観点に記載のギャップフィル材形成組成物、
第4観点として、前記溶剤の沸点が145℃〜220℃である第1観点又は第2観点に記載のギャップフィル材形成組成物、
第5観点として、前記溶剤が、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びシクロヘキサノンからなる群から選ばれる少なくとも一種の溶剤である第1観点又は第2観点に記載のギャップフィル材形成組成物、
第6観点として、前記架橋剤が少なくとも2個の架橋形成置換基をもつ架橋剤である第1観点又は第2観点に記載のギャップフィル材形成組成物、
第7観点として、酸又は酸発生剤を更に含む第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載のギャップフィル材形成組成物、
第8観点として、第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載のギャップフィル材形成組成物を、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する半導体基板上に塗布し、焼成することによる半導体装置製造のリソグラフィープロセスにおいて使用されるギャップフィル材の形成方法、
第9観点として、第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載のギャップフィル材形成組成物を、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する半導体基板上に塗布し、焼成してギャップフィル材を形成する工程、そのギャップフィル材上にフォトレジスト層を形成する工程、ギャップフィル材とフォトレジスト層で被覆された半導体基板を露光する工程、露光後にフォトレジスト層を現像する工程、を含む半導体装置の製造に用いられるフォトレジストパターンの形成方法、
第10観点として前記半導体基板上にギャップフィル材を形成する工程の前又は後に、反射防止膜を形成する工程を更に含む、第9観点に記載のフォトレジストパターンの形成方法、である。
【図面の簡単な説明】
図1はホールを有する基板にギャップフィル材を形成した状態の断面図であり、図中の符号aはホール中心でのギャップフィル材の凹み深さであり、bは基板におけるホールの深さであり、cはギャップフィル材であり、dは基板である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明は、ポリマー、架橋剤及び溶剤から成り、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する半導体基板にフォトレジストを被覆し、リソグラフィープロセスを利用して半導体基板上に画像を転写する方法による半導体装置の製造において使用されるギャップフィル材形成組成物に関するものである。また、該ギャップフィル材形成組成物を用いたリソグラフィー用ギャップフィル材の形成方法、及びフォトレジストパターンの形成方法に関するものである。
本発明のギャップフィル材形成組成物は、基本的にポリマー、架橋剤及び溶剤からなるものであり、任意成分として酸、酸発生剤、界面活性剤等を含有するものである。本発明のギャップフィル材形成組成物に占める固形分の割合としては、例えば0.1〜50質量%であり、また、例えば0.5〜30質量%である。ここで固形分とはポリマー、架橋剤、任意成分などを含むものであり、ギャップフィル材形成組成物の全成分から溶剤成分を除いたもののことである。
本発明のギャップフィル材形成組成物の固形分において、ポリマーと架橋剤は必須の成分であり、そして、その配合割合としては、固形分中、ポリマーとしては50〜99質量%であり、又は、60〜95質量%である。架橋剤としては1〜50質量%、又は、5〜40質量%である。
本発明のギャップフィル材形成組成物に使用されるポリマーの分子量は、重量平均分子量として、例えば5000〜50000であり、又は5000〜20000であり、又、例えば9000〜15000であり、又は9000〜12000である。
本発明のギャップフィル材形成組成物よりギャップフィル材の層を形成するために焼成が行われる。この際、組成物中に低分子量の成分が多く含まれていると、それら低分子量成分の昇華等のために装置を汚染するという問題がある。そのため、本発明のギャップフィル材形成組成物のポリマーに含まれている低分子量の成分は少ないことが好ましく、本発明のギャップフィル材形成組成物に使用されるポリマーとしては分子量3000以下の成分の割合が20%以下であるポリマー、又は10%以下であるポリマーを使用することが好ましい。
また、ポリマーの重量平均分子量が大きい場合には、ギャップフィル材形成組成物のホール内部への充填性に劣るということや基板の平坦化性を十分に得ることができないということがある。
本発明のギャップフィル材形成組成物においては、式(1)で表される単位構造のみからなるポリマーが使用される。式(1)において、Rは水素原子、メチル基、塩素原子又は臭素原子を表し、Rは水素原子又はヒドロキシル基を表し、pは1、2、3又は4の数を表し、qは0、1、2又は3の数を表す。
そのようなポリマーは、式(3)で表される付加重合性不飽和結合を有するモノマーの重合によって製造することができる。

ポリマーは、有機溶剤に式(3)のモノマー(濃度10〜60%)、及び必要に応じて添加される連鎖移動剤(モノマーの質量に対して1〜10%)を溶解した後、重合開始剤を加えて重合反応を行い、その後、重合停止剤を添加することにより製造することができる。重合開始剤の添加量としてはモノマーの質量に対して1〜10%であり、重合停止剤の添加量としては0.01〜0.2%である。
反応に使用される有機溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、乳酸エチル、及びジメチルホルムアミド等が、連鎖移動剤としてはドデカンチオール、ドデシルチオール等が、重合開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が、そして、重合停止剤としては4−メトキシフェノール等が挙げられる。反応温度としては60〜90℃、反応時間としては6〜24時間から適宜選択される。
式(3)で表されるモノマーの具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。
本発明のギャップフィル材形成組成物のポリマーとしては、一種類の式(3)のモノマーから製造されたポリマーを使用することができ、また、二種以上の式(3)のモノマーから製造されたポリマーを使用することもできる。そのようなポリマーの具体例としては、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレート、ポリ(2−ヒドロキシエチル)メタクリレート、ポリ(2−ヒドロキシプロピル)アクリレート、ポリ(2−ヒドロキシプロピル)メタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシプロピルアクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートと2−ヒドロキシプロピルアクリレートの共重合ポリマー等が挙げられる。
本発明のギャップフィル材形成組成物においては、また、式(1)で表される単位構造と式(2)で表される単位構造のみからなるポリマーが使用される。式(2)において、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、ベンジル基、少なくとも一つのフッ素原子、塩素原子又は臭素原子で置換されている炭素原子数1〜6のアルキル基、又は少なくとも一つの炭素原子数1〜6のアルコキシ基で置換されている炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
そして、このような式(1)、式(2)で表される単位構造からなるポリマーにおいて、式(1)の単位構造の比率(単位構造のモル比率)としては0.10以上であり、例えば0.10〜0.95であり、また、例えば0.20〜0.90であり、0.30〜0.80であり、また、例えば0.40〜0.70である。式(1)のヒドロキシル基は架橋形成置換基であるため、架橋剤と架橋反応を起こすことができる。ポリマーが架橋剤と架橋反応ができることが好ましく、そのため式(1)の単位構造が、ポリマー中に少なくとも0.10の比率で含まれていることが好ましい。但し、式(1)で表される単位構造のモル比率と式(2)で表される単位構造のモル比率の合計を1とする。
このようなポリマーは、式(3)及び式(4)で表される付加重合性不飽和結合を有するモノマーの重合によって製造することができる。

ポリマーは、有機溶剤に式(3)と式(4)のモノマー(濃度10〜60%)、及び必要に応じて添加される連鎖移動剤(モノマーの質量に対して1〜10%)を溶解した後、重合開始剤を加えて重合反応を行い、その後、重合停止剤を添加することにより製造することができる。重合開始剤の添加量としてはモノマーの質量に対して1〜10%であり、重合停止剤の添加量としては0.01〜0.2%である。
反応に使用される有機溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、乳酸エチル、及びジメチルホルムアミド等が、連鎖移動剤としてはドデカンチオール、ドデシルチオール等が、重合開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が、そして、重合停止剤としては4−メトキシフェノール等が挙げられる。反応温度としては60〜90℃、反応時間としては6〜24時間から適宜選択される。
式(4)においてRは炭素原子数1〜8のアルキル基、ベンジル基、少なくとも一つのフッ素原子、塩素原子又は臭素原子で置換されている炭素原子数1〜6のアルキル基、又は少なくとも一つの炭素原子数1〜6のアルコキシ基で置換されている炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。Rの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルヘキシル基のような直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基のような分枝アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような脂環式アルキル基、トリクロロエチル基、トリフルオロエチル基のようなハロゲン原子で置換されたアルキル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基のようなアルコキシアルキル基、及びベンジル基を挙げることができる。
式(4)で表されるモノマーの具体例としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ノルマルペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ノルマルオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−フルオロエチルメタクリレート、2−ブロモエチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,2−トリブロモエチルアクリレート、2,2,2−トリブロモエチルメタクリレート、2,2,2−トリクロロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ノルマルブトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート等が挙げられる。
本発明のギャップフィル材形成組成物のポリマーとしては、一種類の式(3)のモノマーと一種類の式(4)のモノマーから製造されたポリマーを使用することができ、また、二種以上の式(3)のモノマー及び二種以上の式(4)のモノマーの組合せより製造されたポリマーを使用することもできる。そのようなポリマーの具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートとメチルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートとエチルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートとイソプロピルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートとノルマルブチルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとエチルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとノルマルプロピルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとイソブチルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートとメチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートとエチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートとイソプロピルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートとイソブチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとエチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとノルマルプロピルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとノルマルブチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシプロピルアクリレートとメチルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシプロピルアクリレートとエチルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシプロピルアクリレートとノルマルプロピルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシプロピルアクリレートとノルマルブチルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシブチルアクリレートとメチルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシブチルアクリレートとエチルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシブチルアクリレートとノルマルプロピルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシブチルアクリレートとノルマルブチルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシプロピルアクリレートと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートと2,2,2−トリクロロエチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートと2−フルオロエチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートと2−クロロエチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートと2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートと2,2,2−トリブロモエチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートと2−エトキシエチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートとベンジルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシプロピルアクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルアクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートとエチルメタクリレートと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートと2−エトキシエチルメタクリレートとノルマルヘキシルメタクリレートの共重合ポリマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートとエチルメタクリレートと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートの共重合ポリマー、等が挙げられる。
本発明のギャップフィル材形成組成物には架橋剤が含まれる。そのため、ギャップフィル材形成組成物が基板上に塗布された後のギャップフィル材を形成するための焼成時に架橋反応が起こる。そして、この架橋反応のために、形成されたギャップフィル材は強固になり、フォトレジスト又は反射防止膜形成組成物に一般的に使用されている有機溶剤、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ピルビン酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等に対する溶解性が低いものとなる。そのため、本発明のギャップフィル材形成組成物より形成されるギャップフィル材は、その上層に塗布、形成されるフォトレジスト又は反射防止膜とインターミキシングを起こさないものとなる。
そのような架橋剤としては、特に制限はないが、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤が好ましく用いられる。例えば、メチロール基、メトキシメチル基といった架橋形成置換基を有するメラミン系化合物や置換尿素系化合物が挙げられる。具体的には、メトキシメチル化グリコールウリル、またはメトキシメチル化メラミンなどの化合物であり、例えば、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラブトキシメチルグリコールウリル、またはヘキサメトキシメチルメラミンである。また、テトラメトキシメチル尿素、テトラブトキシメチル尿素などの化合物も挙げられる。これら架橋剤は自己縮合による架橋反応を起こすこともあるが、ポリマーに含まれる架橋形成置換基、前記式(1)中のヒドロキシル基と架橋反応を起こすこともできる。
本発明のギャップフィル材形成組成物には前記架橋反応を促進するための触媒として、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、などの酸化合物、又は、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシラート、2−ニトロベンジルトシラート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ベンゾイントシレート、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート等の酸発生剤を添加する事が出来る。これら酸、酸発生剤化合物の添加量は、ポリマーの種類、架橋剤の種類やその添加量等により変動するが、全固形分中で5質量%以下であり、例えば0.01〜5質量%であり、また、例えば0.04〜5質量%である。
さらに、本発明のリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物には、上記以外に必要に応じてレオロジー調整剤、接着補助剤、界面活性剤などを添加することができる。
レオロジー調整剤は、主にギャップフィル材形成組成物の流動性を向上させ、特に焼成工程において、ホール内部へのギャップフィル材形成組成物の充填性を高める目的で添加される。具体例としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、及びノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤は、ギャップフィル材形成組成物中、通常30質量%未満の割合で添加される。
接着補助剤は、主に基板あるいは反射防止膜又はフォトレジストとギャップフィル材形成組成物より形成されたギャップフィル材の密着性を向上させ、特に現像において剥離しないようにする目的で添加される。具体例としては、例えば、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環式化合物、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア等の尿素化合物、及びチオ尿素化合物を挙げることができる。これらの接着補助剤は、ギャップフィル材形成組成物中、通常10質量%未満、好ましくは5質量%未満の割合で添加される。
本発明のギャップフィル材形成組成物には、ピンホールやストレーション等の発生を抑え、表面むらに対する塗布性を向上させるために、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロツクコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、商品名エフトップEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、商品名メガファックF171、F173、R−08、R−30(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、商品名アサヒガードAG710,サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等を上げることができる。これらの界面活性剤の添加量は、本発明のギャップフィル材形成組成物中、通常0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下である。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上の組合せで添加することもできる。
本発明のギャップフィル材形成組成物において前記ポリマー、架橋剤等の固形分を溶解させるために種々の溶剤を使用することができる。そのような溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、等を用いることができる。これらの溶剤は単独で、または2種以上の組合せで使用される。さらに、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を混合して使用することができる。
これら溶剤の中でも前記ポリマーのガラス転移温度より高い沸点を有する溶剤を使用することが好ましい。特にポリマーのガラス転移温度より10℃以上高い沸点を有する溶剤であることが好ましい。また、基板に本発明のギャップフィル材形成組成物を塗布、焼成を行う上で、焼成温度を考えてこれら溶剤の沸点は145〜220℃の範囲にあることが好ましい。このような、比較的高い沸点の溶剤を使用することにより、焼成時におけるギャップフィル材形成組成物の流動性を、一定時間、保つことができ、そのため、ホール内部への充填性や平坦化性を向上させることができる。
前記溶剤の中でプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、乳酸ブチル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好ましく、中でも乳酸ブチル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル又はこれらの混合物が好ましい。
本発明のギャップフィル材形成組成物は、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する基板を用いた半導体装置製造プロセス、特にデュアルダマシンプロセスのリソグラフィープロセスにおいて使用されるものである。
デュアルダマシンプロセスは、基板上で配線溝(トレンチ)と接続ホール(ビアホール)を同一箇所に有し、それらに配線材料として、銅を埋め込み利用するものである。デュアルダマシンプロセスに使用される基板は、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上、通常は1〜20の範囲のホールを有する。そのため、そのようなアスペクト比を有するホールに対しては、従来の反射防止膜材料等の下地材料でホール細部まで充填することが困難であり、その結果、ホール内部にボイド(隙間)を生じるという問題があった。また、従来の下地材料では、下地材料がスピナーによってホールを有する基板上に塗布され、その後焼成された場合、ホール上部において、下地材料の凹みが発生する為、すなわち平坦化が十分でないため、その上にフォトレジストを塗布しても、フォトレジスト下面からの凹凸に起因する乱反射によって良好なパターンが得られないものであった。
それに対し、本発明のギャップフィル材形成組成物を用いることにより、形成されるギャップフィル材の高い充填性と平坦化を達成できるものである。
以下、本発明のギャップフィル材形成組成物の使用について説明する。
高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、ITO基板等)の上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明のギャップフィル材形成組成物が塗布され、その後、焼成することによりギャップフィル材層が形成される(図1)。焼成する条件としては、焼成温度60℃〜250℃、焼成時間0.3〜60分間の中から適宜、選択される。これにより、ホール内部にボイド(隙間)の発生がなく、高い平坦化率のギャップフィル材の層が形成される(図1)。図1において、aはホール上部でのギャップフィル材の凹みの深さ(μm)、bはホールの深さ(μm)を表しており、そして、平坦化率は、平坦化率(%)=1−(a/b)×100で表される。
次いで、ギャップフィル材の上に、フォトレジストが、直接又は反射防止膜の形成後、形成され、その後、露光、現像、ドライエッチングによる基板加工が行なわれる。
本発明のギャップフィル材形成組成物より形成されるギャップフィル材は、半導体装置製造のプロセスにおいては、フォトレジストの露光、現像、基板の加工などの後、最終的には、完全に除去されるものであり、その除去は、通常、ドライエッチングによって行なわれる。ドライエッチングによる除去は、一般的には、その除去される層に含まれる芳香環構造の割合が大きくなるほどその除去速度が小さくなることが知られている。そのため、本発明のギャップフィル材においては、そのドライエッチングによる除去の速度を大きくしたい場合には、使用されるギャップフィル材形成組成物に含まれる芳香環構造の量を少なくすれば良く、特に、そのポリマー成分に含まれる芳香環構造の量を少なくすればよい。よって、ドライエッチングによる除去速度の大きなギャップフィル材が要求される場合には、その構造内に芳香環構造を有さないポリマーが好ましく用いられる。
本発明におけるギャップフィル材の上層に塗布、形成されるフォトレジストとしてはネガ型、ポジ型いずれも使用でき、ノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とアルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジストなどがあり、例えば、シプレー社製商品名APEX−E、住友化学工業(株)製商品名PAR710、信越化学工業(株)製商品名SEPR430等が挙げられる。そして、フォトレジストを形成後、所定のマスクを通して露光し、現像、リンス、乾燥することによりフォトレジストパターンを得ることができる。必要に応じて露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)を行うこともできる。
本発明のリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物を使用して形成したギャップフィル材を有するポジ型フォトレジストの現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。さらに、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、アニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四級アンモニウム塩、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンである。
本発明におけるギャップフィル材層の上層には、また、フォトレジストの塗布、形成前に反射防止膜層が塗布、形成されることがある。そこで使用される反射防止膜組成物としては特に制限はなく、これまでリソグラフィープロセスにおいて慣用されているものの中から任意に選択して使用することができ、また、慣用されている方法、例えば、スピナー、コーターによる塗布及び焼成によって反射防止膜の形成を行なうことができる。反射防止膜組成物としては、例えば、吸光性化合物、ポリマー及び溶剤を主成分とするもの、化学結合により連結した吸光性基を有するポリマー、架橋剤及び溶剤を主成分とするもの、吸光性化合物、架橋剤及び溶剤を主成分とするもの、吸光性を有する高分子架橋剤及び溶剤を主成分とするもの、等が挙げられる。これらの反射防止膜組成物はまた、必要に応じて、酸成分、酸発生剤成分、レオロジー調整剤等を含むことができる。吸光性化合物としては、反射防止膜の上に設けられるフォトレジスト中の感光成分の感光特性波長領域における光に対して高い吸収能を有するものであれば用いることができ、例えば、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アゾ化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、アントラキノン化合物、トリアジン化合物等が挙げられる。ポリマーとしては、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、フェノールノボラック、ポリアセタール、アクリルポリマー等を挙げることができる。化学結合により連結した吸光性基を有するポリマーとしては、アントラセン環、ナフタレン環、ベンゼン環、キノリン環、キノキサリン環、チアゾール環といった吸光性芳香環構造を有するポリマーを挙げることができる。
本発明のギャップフィル材形成組成物を適用する基板としては、主に、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する半導体装置製造に慣用されている基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、ITO基板等)である。しかし、1より小さいアスペクト比のホールを有する基板や、段差を有する基板に対しても、その表面を平坦化する為に使用することができる。また、段差などを有さない基板に対しても使用することもできる。なお、これらの基板は、その表面の層にCVD法などで形成された無機系の反射防止膜を有するものであってもよく、その上に本発明のギャップフィル材形成組成物を使用することもできる。
本発明のギャップフィル材形成組成物より形成されるギャップフィル材は、また、リソグラフィープロセスにおいて使用される光の波長によっては、その光に対する吸収を有することがあり、そのような場合には、基板からの反射光を防止する効果を有する層として機能することができる。さらに、本発明のギャップフィル材は、基板とフォトレジストとの相互作用の防止するための層、フォトレジストに用いられる材料又はフォトレジストへの露光時に生成する物質の基板への悪作用を防ぐ機能とを有する層、加熱焼成時に基板から生成する物質の上層フォトレジストへの拡散、悪作用を防ぐ機能を有する層、として使用することも可能である。
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
合成例1
乳酸エチル120gに、2−ヒドロキシエチルアクリレート30gを溶解させ、反応液中に窒素を30分流した後、70℃に昇温した。反応溶液を70℃に保ちながらアゾビスイソブチロニトリル0.3gを添加し、窒素雰囲気下、70℃で24時間撹拌することにより、ポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレートの溶液を得た。
得られたポリマーについて、東ソー(株)製GPC(RI8020,SD8022,CO8020,AS8020,DP8020)装置を使用してGPC分析を行なった。分析は、得られたポリマー0.05質量%のDMF溶液10μlを上記装置に、流量0.6ml/minで30分流した後、RIで検出させる試料の溶出時間を測定することにより行なった。また、ガードカラムとして、Shodex Asahipak GF1G7Bを使用し、カラムとしてはShodex Asahipak GF710HQ、GF510HQ及びGF310HQを用い、カラム温度を40℃に設定した。
その結果、得られたポリマーの重量平均分子量は9800(標準ポリスチレン換算)であり、ポリマー中における分子量3000以下ポリマーの割合はGPC曲線の面積比より8%であった。
合成例2
乳酸エチル111.6gに、2−ヒドロキシエチルアクリレート15gと、エチルアクリレート12.9gを溶解させ、反応液中に窒素を30分流した後、70℃に昇温した。反応溶液を70℃に保ちながらアゾビスイソブチロニトリル0.3gを添加し、窒素雰囲気下、70℃で24時間撹拌することにより、2−ヒドロキシエチルアクリレートとエチルアクリレートの共重合ポリマーの溶液を得た。
上記と同様にGPC分析を行ったところ、得られたポリマーの重量平均分子量は11000(標準ポリスチレン換算)であり、ポリマー中における分子量3000以下ポリマーの割合はGPC曲線の面積比より9%であった。
合成例3
プロピレングリコールメチルエーテル80.0gに、2−ヒドロキシプロピルアクリレート15gと、ベンジルアクリレート5.0gを溶解させ、反応液中に窒素を30分流した後、70℃に昇温した。反応溶液を70℃に保ちながらアゾビスイソブチロニトリル0.4gを添加し、窒素雰囲気下、70℃で24時間撹拌することにより、2−ヒドロキシプロピルアクリレートとベンジルアクリレートの共重合ポリマーの溶液を得た。
上記と同様にGPC分析を行ったところ、得られたポリマーの重量平均分子量は15000(標準ポリスチレン換算)であり、ポリマー中における分子量3000以下ポリマーの割合はGPC曲線の面積比より8%であった。
【実施例1】
合成例1で得たポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレートを含む溶液20gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.92g、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸0.0046g、プロピレングリコールモノメチルエーテル9.50g、及び乳酸エチル6.18gを加え、13.5%溶液とした後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、リソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物の溶液を調製した。
【実施例2】
合成例1で得たポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレートを含む溶液20gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.92g、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸0.0046g、プロピレングリコールモノブチルエーテル11.2g、及び乳酸エチル0.800gを加え、15.0%溶液とした後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、リソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物の溶液を調製した。
【実施例3】
合成例2で得た2−ヒドロキシエチルアクリレートとエチルアクリレートの共重合ポリマーを含む溶液20gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.92g、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸0.0046g、プロピレングリコールモノメチルエーテル9.50g、及び乳酸エチル6.18gを加え、13.5%溶液とした後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、リソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物の溶液を調製した。
【実施例4】
合成例3で得た2−ヒドロキシプロピルアクリレートとベンジルアクリレートの共重合ポリマーを含む溶液20gに、ヘキサメトキシメチルメラミン0.92g、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸0.009g、プロピレングリコールモノメチルエーテル10.66g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート11.43gを加え、11.5%溶液とした後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、リソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物の溶液を調製した。
【実施例5】
合成例3で得た2−ヒドロキシプロピルアクリレートとベンジルアクリレートの共重合ポリマーを含む溶液20gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.92g、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸0.007g、プロピレングリコールモノメチルエーテル10.66g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート11.43gを加え、11.5%溶液とした後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、リソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物の溶液を調製した。
比較例1
市販のポリエチレングリコール(純正化学(株)、商品名ポリエチレングリコール2000)4gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.92g、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸0.0046g、プロピレングリコールモノメチルエーテル11.0g、及び乳酸エチル25.6gを加え13.5%溶液とした後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、リソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物の溶液を調製した。
フォトレジスト溶剤への溶出試験
実施例1、2、及び比較例1で得たギャップフィル材形成組成物の溶液をスピナーにより、シリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間焼成し、リソグラフィー用ギャップフィル材(膜厚0.22μm)を形成した。このギャップフィル材をフォトレジストに使用する溶剤、例えば乳酸エチル、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルに浸漬し、その溶剤に不溶であることを確認した。
フォトレジストとのインターミキシングの試験
実施例1〜5、及び比較例1で得たギャップフィル材形成組成物の溶液をスピナーにより、シリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間焼成し、リソグラフィー用ギャップフィル材を形成し、その膜厚(膜厚0.22μm)を測定した。このギャップフィル材の上層に、市販のフォトレジスト溶液(シプレー社、商品名APEX−E等)をスピナーにより塗布した。ホットプレート上で90℃1分間加熱し、フォトレジストを露光後、露光後加熱を90℃で1.5分間行った。フォトレジストを現像させた後、リソグラフィー用ギャップフィル材の膜厚を測定し、実施例1〜5、及び比較例1で得たリソグラフィー用ギャップフィル材とフォトレジストとのインターミキシングが起こらないことを確認した。
平坦化率、充填性の試験
実施例1〜5、及び比較例1で得たギャップフィル材形成組成物の溶液をスピナーにより、ホール(直径0.18μm、深さ1.0μm)を有するSiOウエハー基板上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間焼成し、リソグラフィー用ギャップフィル材を形成した。膜厚は、ホールパターンが近傍に無いオープンエリアで0.50μmであった。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、実施例1〜5、及び比較例1で得たリソグラフィー用ギャップフィル材形成組成物を塗布したホールを有するSiOウエハー基板の断面形状を観察することにより、リソグラフィー用ギャップフィル材の平坦化率を評価した。結果を表1に示す。平坦化率は、下式に従い求めた。基板上のホールを、完全に平坦化できたときの平坦化率は100%である。
平坦化率=〔1−(ホール中心部でのリソグラフィー用ギャップフィル材の凹み深さa)/(ホールの深さb)〕×100
また、ホール内部にボイド(隙間)の発生は観察されず、ホール内部がギャップフィル材で充填されていることが観察された。
使用した基板は図1に示すようなホールのIso(粗)とDense(密)パターンを有するSiOウエハー基板である。Isoパターンは、ホール中心から隣のホール中心までの間隔が、当該ホールの直径の5倍であるパターンである。また、Dense(パターンは、ホール中心から隣のホール中心までの間隔が、当該ホールの直径の1倍であるパターンである。ホールの深さは1.0μmであり、ホールの直径は0.18μmである。

実施例1〜5のリソグラフィー用ギャップフィル材におけるIso(粗)とDense(密)パターン上の膜厚差(Bias)は、比較例1に比較して小さい。実施例1〜5は、特に膜厚一定が困難である微細Denseホールパターン上での流動性に優れる。
これは、ホール基板上の単位面積当たりのホール数(ホール密度)が、Iso部に比べ大きいDense部においても、それら多数のホールへギャップフィル材形成組成物の溶液がスムーズに流れ込み、一定の膜厚が得られるためであり、その結果、Iso部とDense部の膜厚差が小さく、かつ平坦化率が大きくなったものと考えられる。
また、さらに、実施例1〜5のリソグラフィー用ギャップフィル材は、Iso部とDense部に関わらず、平坦化率できるのに対し、比較例1は、Denseパターンでの平坦化性に劣る。
本発明は、基板の高い平坦化性とホール内部の高い充填性を達成することを目的としたリソグラフィー用ギャップフィル材を形成するための組成物である。また、得られたリソグラフィー用ギャップフィル材は、基板の平坦化とホール内部の高い充填性だけでなく、高いエッチング速度を有する。
本発明により、ホールを有する基板の凹凸を埋めて平坦化することができるため、その上に塗布、形成されるフォトレジスト等の膜厚の均一性を上げることができる。そのため、ホールを有する基板を用いたプロセスにおいても、良好なフォトレジストのパターン形状を形成することができる。
また、本発明により、フォトレジストと比較して大きなドライエッチング速度を有し、更にフォトレジストとのインターミキシングが起こらず、加熱乾燥時にフォトレジスト中への拡散物がない、優れたリソグラフィー用ギャップフィル材を得ることができ、かつ優れたレジストパターン形成方法を提供できる。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する半導体基板にフォトレジストを被覆し、リソグラフィープロセスを利用して半導体基板上に画像を転写する方法による半導体装置の製造において使用され、下記の式(1)

(式中Rは水素原子、メチル基、塩素原子又は臭素原子を表し、Rは水素原子又はヒドロキシル基を表し、pは1、2、3又は4の数を表し、qは0、1、2又は3の数を表す。)で表される単位構造のみから成り、分子量3000以下の成分の割合が20%以下であるポリマー、架橋剤及び溶剤を含有することを特徴とするギャップフィル材形成組成物。
【請求項2】
高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する半導体基板にフォトレジストを被覆し、リソグラフィープロセスを利用して半導体基板上に画像を転写する方法による半導体装置の製造において使用され、式(1)で表される単位構造と下記の式(2)

(式中Rは前記と同義であり、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、ベンジル基、少なくとも一つのフッ素原子、塩素原子又は臭素原子で置換されている炭素原子数1〜6のアルキル基、又は少なくとも一つの炭素原子数1〜6のアルコキシ基で置換されている炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)で表される単位構造のみから成り、分子量3000以下の成分の割合が20%以下であり、ポリマーにおける式(1)で表される単位構造の比率が0.10〜0.95であるポリマー、架橋剤及び溶剤を含有することを特徴とするギャップフィル材形成組成物(但し、式(1)で表される単位構造のモル比率と式(2)で表される単位構造のモル比率の合計を1とする。)。
【請求項3】
前記ポリマーの重量平均分子量が5000〜20000である請求項1又は請求項2に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項4】
前記溶剤の沸点が145℃〜220℃である請求項1又は請求項2に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項5】
前記溶剤が、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びシクロヘキサノンからなる群から選ばれる少なくとも一種の溶剤である請求項1又は請求項2に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項6】
前記架橋剤が少なくとも2個の架橋形成置換基をもつ架橋剤である請求項1又は請求項2に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項7】
酸又は酸発生剤を更に含む請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のギャップフィル材形成組成物。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のギャップフィル材形成組成物を、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する半導体基板上に塗布し、焼成することによる半導体装置製造のリソグラフィープロセスにおいて使用されるギャップフィル材の形成方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のギャップフィル材形成組成物を、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する半導体基板上に塗布し、焼成してギャップフィル材を形成する工程、そのギャップフィル材上にフォトレジスト層を形成する工程、ギャップフィル材とフォトレジスト層で被覆された半導体基板を露光する工程、露光後にフォトレジスト層を現像する工程、を含む半導体装置の製造に用いられるフォトレジストパターンの形成方法。
【請求項10】
前記半導体基板上にギャップフィル材を形成する工程の前又は後に、反射防止膜を形成する工程を更に含む、請求項9に記載のフォトレジストパターンの形成方法。

【国際公開番号】WO2004/074938
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502787(P2005−502787)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001981
【国際出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】