説明

アスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法及び調製方法によって調製されたポリマー改質アスファルト、骨材、調製方法によって調製されたポリマー改質アスファルトと骨材とから製造される道路、調製方法によって調製されたポリマー改質アスファルトで封止された屋根、屋根をポリマー改質アスファルトで封止する方法、道路構築方法、アスファルトをリサイクルする方法、そしてアスファルトをリサイクルする方法によって製造されたリサイクルアスファルト

【課題】アスファルトとポリマー組成物の混合の改良方法は既知であり、商業的な成功に必要な要素は、単純処理方法、内容物のコスト低下方法、高価な断片に混合する必要なしに入手可能なアスファルト切部の利用方法が挙げられる。また、アスファルト組成物は、政府の物理的性質や環境問題を満たす必要がある。そこで、本発明の目的は、いかなる要素も犠牲にすることなくアスファルトとポリマーの組成物の特性を改良し、アスファルトに添加されるポリマーおよび架橋剤のコストを維持あるいは減少するところにある。
【解決手段】このため、無機酸の処理を行うとともに硫黄および/またはその他の架橋剤や促進剤で架橋したアスファルトおよびポリマーの混合物により、ポリマー改質アスファルトの高温領域性質を改善する。この酸は、架橋剤の添加前にアスファルトに添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はポリマー改質アスファルトにおける架橋剤とともになす無機酸の使用に係り、特に一非限定的態様において、特に工業用コーティングやアスファルト道路等に有用であって、エラストマーで改質しており加硫段階を含んだ、例えばビチューメン(アスファルト)やタールのような炭化水素を主成分とするバインダに関するものである。
より具体的には、本発明は、別の非限定的な態様においては、産出ポリマー改質アスファルトの性質を改善するよう酸を組み込んだ、ビチューメンおよびスチレン/ブタジエンコポリマーに基づく加硫組成物を得る方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
舗装道路材として有用な骨材の組成物(ビチューメン(アスファルト)や石を含むがこれらに限定されない)がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、舗装道路材として有用な骨材の組成物(ビチューメン(アスファルト)や石を含むがこれらに限定されない)の調製の際にビチューメン組成物を使用することは、それぞれ良好な製品の産出に対して重大な影響を及ぼす3つの要因により困難なものとなる。
第1に、ビチューメン組成物は、有用な舗装道路とされるために所定の性能基準や仕様を満たさなければならない。
例えば、良好な性能を確実なものとするため、州政府や連邦政府は、ビチューメン適用についての仕様書を発行しており、これには舗装道路として使用するための仕様書も含まれる。
現時の連邦道路局(Federal Highway Administration)の仕様書においては、ビチューメン(アスファルト)製品は、例えば粘度、剛性、針入度、強靭性、粘靭性、延性のような性質に関する所定のパラメータを満たすように要求されている。
これらのパラメータのそれぞれはビチューメン組成物の重要な特徴であり、組成物がこれらのパラメータの一つ以上を満たさない場合は、道路舗装材として使用することは許されないことになる。
【0004】
従来のビチューメン組成物は、全ての仕様書の要求を同時に満たさないことが多い。
また、この仕様が満たされない場合、永久歪みや熱誘発によるひび割れや曲げ疲労を含む(必ずしもこれらに限定されない)損傷が道路に生じることがある。
この損傷により、舗装道路の有効寿命が短縮してしまう。
【0005】
この点につき、長年にわたり、従来のビチューメン組成物の性質は、ポリマーのような添加物質で改質できるとされてきた。
ビチューメン組成物の添加物質として、様々なポリマーが使用されてきた。
例えば、スチレンや共役ジエンに由来するコポリマーが有用なものである。
なぜなら、これらのコポリマーは、ビチューメン組成物への可溶性が良好であるとともに、産出される改質ビチューメン組成物の流動性質が良好だからである。
【0006】
また、ポリマー−ビチューメン組成物の安定性は、例えば硫黄元素の形態で存することが多い硫黄のような架橋剤(加硫剤)の添加によって増強できることも知られている。
硫黄は、硫化物および/または多硫化物の結合を通じてポリマーとビチューメンとを結合すると思われる。
たとえビチューメンは自然状態で様々な量の天然硫黄を含有しているとしても、外来の硫黄を添加することは、安定性改善に役立ちうる。
【0007】
そこで、ビチューメンと平均分子量が30,000〜300,000であり、2〜20重量%のブロックコポリマーまたはランダムコポリマーとを約266〜466度F(130〜230℃)で混合することからなる、ビチューメン−ポリマー組成物の調製方法が知られている。
産出される混合物には、少なくとも2時間の攪拌を行い、それからビチューメンに対して0.1〜3重量%の硫黄を添加し、少なくとも20分間の攪拌を行う。
硫黄の添加量は、ビチューメンに対して0.1〜1.5重量%でもありうる。
産出されるビチューメン−ポリマー組成物は、道路被覆物、工業コーティング等の工業用途に使用される。
【0008】
同様に、アスファルトと0.1〜1.5重量%の硫黄元素と1〜7重量%の自然ラバーまたは線状ブタジエン/スチレンコポリマーである合成ラバーとを高温混合することによって得られるアスファルト(ビチューメン)ポリマー組成物が知られている。
これに追加して、ビチューメンに対して10重量%に至るまで、自然ラバーまたは例えばスチレン/ブタジエンラバーのような合成ラバーとビチューメンとを280〜400度F(138〜204℃)で混合することによってラバー改質ビチューメンを調製し、それから温度を257〜320度F(125〜160℃)に調整し、そして硫黄のラバーに対する重量比が0.01〜0.9になるような量の硫黄を十分に混合する方法が知られている。
また、触媒作用的量の加硫促進剤も、加硫効果のため添加される。
硫黄対ラバー比の重要な性質については、例えば硫黄のラバーに対する重量比が0.01未満の場合に改質ビチューメンの品質が劣化すると報告されることがある。
【0009】
ビチューメン組成物の使用が困難となる第2の要素は、保管状態におけるその粘度安定性に関するものである。
この点につき、ビチューメン組成物は、使用されるまで7日以上も保管されることが多く、時には、意図した目的には使用不可能なほどにまでビチューメン組成物の粘度が増大することがある。
他方、保管安定性のあるビチューメン組成物の場合は、粘度増加が最低限となり、よって、貯蔵後にもその意図した目的に依然として使用可能である。
【0010】
アスファルトおよび骨材を通常含むアスファルトのコンクリートや、アスファルトのコンクリート再舗装のためのアスファルト組成物や、類似のアスファルト組成物は、特にアスファルトがアスファルトエマルジョンたる表面被覆(道路舗装)のバインダとして使用される場合や、工業的用途として使用される場合のような、種々の応用分野で使用可能となる具体的な機械的性質を数多く有していなければならない(「アスファルト」という用語は、ここでは、「ビチューメン」と互換可能に用いている。アスファルトのコンクリートは、適切な骨材が添加されたバインダとして使用されるアスファルトであり、典型的には道路に使用される。)。
表面被覆や非常に薄いビチューメン混合物のメンテナンス外装においての、あるいはアスファルトコンクリート中の厚いビチューメン混合物構造層においてのアスファルトやアスファルトエマルジョンのバインダは、もしこれらのバインダが要望レベルの弾性や可塑性等の必要な性質を有する場合、その使用有用性が高まることになる。
【0011】
上記のように、物理的・機械的性能や性質を改善するため種々のポリマーがアスファルトに添加されてきた。
ポリマー改質アスファルト(PMA)は、道路工事や道路維持や屋根ふき産業に使用される。
従来のアスファルトは、使用時に充分な弾性を維持できず、また道路工事のような現代の用途においては使用には塑性範囲が狭すぎる。
道路アスファルト等の性質は、ブチル、ポリブタジエン、ポリイソプレンラバーあるいはポリイソブチレンラバー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリクロロプレン、ポリノルボルネン、エチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)ターポリマー、スチレンおよび共役ジエンのランダムコポリマーあるいはブロックコポリマーのような弾性型ポリマーを組み込むことで非常に改善することができることが知られている。
このようにして得られる改質アスファルトは、一般的に、ビチューメン/ポリマーバインダやアスファルト/ポリマー混合物と呼ばれる。
改質アスファルトおよびアスファルトエマルジョンは、通常、スチレン/ブタジエンを基礎とするポリマーを使用して産出され、非改質のアスファルトおよびアスファルトエマルジョンと比較して、軟化点の上昇、粘弾性の増大、対歪み力の強化、歪み回復の強化、低温歪み特性の改良といった性質を有している。
【0012】
現在は道路へ使用される(ビチューメン/ポリマー型の)ビチューメンバインダは、非常に低いポリマー濃度では、道路構築物や道路工事に必要な構造上の要求や加工性の要求を一貫して満たすような最適な特性を有していないことが多い。
改質アスファルトの性能を一定のレベルにするため、種々のポリマーが所定濃度で添加される。
【0013】
現在の慣例では、要望レベルの単一ポリマーをポリマー分子の架橋を促進する反応物質とともに要望のアスファルト性質が得られるまで添加することがある。
この反応物質は、典型的には反応に適した形態の硫黄である。
【0014】
しかしながら、ポリマーのコストが、生じるアスファルト/ポリマー混合物の全体コストに非常に影響を及ぼす。
したがって、コスト要因は、上記のアスファルト混合の基準を満たす際に考量すべきものとなる。
また、ポリマー濃度レベルが増加すると、アスファルト混合の粘度が非常に大きくなり、アスファルトとポリマーの分離が生じうる。
【0015】
ポリマー改質アスファルトの調製時において、迅速な架橋反応のために活性剤や促進剤を添加することは一般的なことである。
酸化亜鉛(ZnO)は従来の活性剤であり、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)は従来の促進剤である。
またZnOは、ポリマーのゲル化傾向を制御するために時に利用される。
メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩(ZMBT)は、これら従来の添加剤の特徴を組み合わせたものである。
【0016】
上記から分かる通り、アスファルトとポリマー組成物の混合を改良する方法は既知のものである。
商業的な成功に必要な要素としては、できるだけ単純に処理できる方法、内容物のコストを低下する方法、より高価な断片に混合する必要なしに精油所から入手可能なアスファルト切部を利用する方法が挙げられる。
また、産出されるアスファルト組成物は、上記の政府の物理的性質や環境問題を満たさなければならない。
そこで、本発明の目的は、その他のいかなる要素も犠牲にすることなくアスファルトとポリマーの組成物の特性をできる限り改良することで、産業界がアスファルトに添加されるポリマーおよび架橋剤のコストを維持あるいは減少するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、本発明の一非限定的態様において、アスファルトの加熱と、混合物を形成するため順序を問わず弾性ポリマーおよび無機酸のアスファルトへの添加(無機酸の配合は混合物全体に対して約0.05〜2重量%にわたる)とからなるアスファルトとポリマーの組成物を調製する方法が提供される。
この酸の添加後には、架橋剤が混合物に添加される。
架橋剤の添加は、ポリマー添加の前でも後でもよい。
それから混合物は、ポリマー改質アスファルト(PMA)となるよう硬化処理が行われる。
本発明の一非限定的態様において、ポリマー改質アスファルトは、無機酸を有しないポリマー改質アスファルトと比較して、高温領域の性質が改良されている。
この性質は、ODSR(Original Dynamic Shear Rheometer、元来の動的剪断流動試験)および/またはRTFO(Rolling Thin Film Oven、回転式薄膜加熱試験)による劣化温度(fail temperature)である。
本発明の一非限定的態様において、ポリマー改質アスファルトは、屋根や道路等を舗装するに充分な商業的規模の量で生産される。
【0018】
本発明の別の非限定的態様において、アスファルトを加熱し、混合物を形成するため順序を問わず弾性ポリマーおよび無機酸をアスファルトへ添加して調製されたポリマー改質アスファルト(PMA)組成物が提供される。
無機酸の配合は、混合物全体に対して約0.05〜2重量%にわたる。
この酸の添加後には、架橋剤がこの混合物に添加される。
それから混合物は、ポリマー改質アスファルト(PMA)となるよう硬化処理が行われる。
本発明は、このようなポリマー改質アスファルトからなる道路自体や、この道路を構築する方法や、このポリマー改質アスファルトで封止した屋根自体や、このポリマー改質アスファルトで屋根を封止する方法が含まれる。
このポリマー改質アスファルトを組み込んだリサイクルアスファルトを使用することもできるし、このポリマー改質アスファルトで被覆した骨材も意図している。
【発明の効果】
【0019】
以上詳細に説明した如くこの本発明によれば、いかなる要素も犠牲にすることなく、アスファルトとポリマーの組成物の特性をできる限り改良することで、産業界がアスファルトに添加されるポリマーおよび架橋剤のコストを維持あるいは減少することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0021】
架橋剤の添加前にアスファルトに対して酸処理を行うことで、ラバー/アスファルトの相溶性を改良できることが発見された(ポリマーはいつ添加しても良い)。
アスファルトの酸処理自体は知られたものであるが、添加順序によりアスファルト産出物の特性や品質に違いが生じることは知られていない。
架橋剤の添加前あるいは実質的有効量の架橋剤の添加前にアスファルトに酸を添加すると、ポリマー改質アスファルトの高温特性が改善される。
この改善した特性には、ODSR劣化温度およびRTFO劣化温度が含まれる(必ずしもこれに限定されない)。
この「実質的有効量の架橋剤」とは、測定可能な程度に十分な架橋を意味する。
【0022】
ここで使われているように、「ビチューメン」(時に「アスファルト」とも称している)は、自然発生のものや石油精製によって得られたものを含む全てのタイプのビチューメンを指している。
ビチューメンは、産出されるビチューメン組成物の目的用途に応じて選択される。
使用されるビチューメンの初期粘度は、要望のアスファルトのグレードに応じて、140度F(60℃)で600〜3000ポアズ(60〜300Pa−s)である。
基本ビチューメンの初期針入範囲(ASTM D5)は77度F(25℃)で20〜320dmmであり、コポリマー−ビチューメン組成物の使用目的が道路舗装の場合は50〜150dmmとなりうる。コポリマーや硫黄等を含有しないビチューメン組成物は、ここでは時に「基本ビチューメン(基本アスファルト)」と呼ばれる。
【0023】
「弾性ポリマー」は、自然ラバーまたは合成ラバーであり、ブチル、ポリブタジエン、ポリイソプレンラバーあるいはポリイソブチレンラバー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリクロロプレン、ポリノルボルネン、エチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)ターポリマー、ビニル芳香族化合物(例えばスチレン)および共役ジエンのランダムコポリマーあるいはブロックコポリマーを含むが、これに限定されるものではない。
本発明のある非限定的実施例においては、スチレン/共役ジエンブロックコポリマーが用いられれ、これは線状ポリマー、放射状ポリマー、または多重枝分れポリマーである。
平均分子量が30,000〜300,000であるスチレン/ブタジエンコポリマーおよびスチレン/イソプレンコポリマーが、特に有用であると分かっている。
【0024】
「共役ジエン」は、2以上の不飽和領域を有するアルケン化合物を指すものであって、第2不飽和領域は、第1不飽和領域と共役する(すなわち、第2不飽和領域の第1炭素原子が第1不飽和領域の第1炭素原子に対してガンマ(炭素原子3で)である)。
共役ジエンは、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等を含む。
【0025】
「スチレンおよび共役ジエンのブロックコポリマー」は、線状または放射状のスチレンおよび共役ジエンのコポリマーを指し、スチレン−共役ジエン−スチレンブロックユニットからなるトリブロック構造であり、以下の式で表されるコポリマーである。
Sx−Dy−Sz
ここでDは共役ジエン、Sはスチレン、xyzは約30,000〜約300,000のコポリマーの数平均分子量の整数である。
これらのコポリマーは、当業者に良く知られているものであり、これは市販により入手可能であるし、従来技術の方法で調製できる。
このようなトリブロックコポリマーは、スチレンおよび共役ジエンに由来するものであり、この共役ジエンは、ブタジエンまたはイソプレンである。
このようなコポリマーは、スチレン由来の15〜50重量%コポリマー単位を含有しており、あるいはスチレン由来の20〜35重量%、さらにはスチレン由来の28〜31重量%を含有しており、残部は共役ジエンに由来している。
これらのコポリマーの数平均分子量は、約50,000〜200,000の範囲、あるいは約80,000〜180,000の範囲である。
コポリマーは、取り扱いを容易にするため、最小量の炭化水素オイルを使用することもできる。
適切な溶剤としては、例えば不揮発性芳香族オイルの可塑剤溶剤が挙げられる。
しかしながら、炭化水素オイルが(上記のような)揮発性溶剤である場合、最終ビチューメン組成物に含まれる溶剤量が約3.5重量%未満になるよう注意が必要となる。
【0026】
本発明の一非限定的実施例において、弾性ポリマーは、アスファルト/ポリマー混合物の約1〜20重量%である。
別の非限定的実施形態において、このポリマーは、前記混合物の1〜6重量%である。
【0027】
「硫黄」は、あらゆる物理形状にある硫黄元素と定義され、「硫黄含有誘導体」は、硫黄元素でなく、あらゆる硫黄供与化合物(sulfur−donating compound)を含む。
硫黄供与化合物は、当業者に良く知られているものであり、混合状態または調製状態で硫黄を発生する種々の有機組成物あるいは有機化合物を含有する。
一非限定的実施例において、硫黄元素は、硫黄華として知られる粉の形態にある。
その他の硫黄含有誘導体、またはここで使用される種は、メルカプトベンゾチアゾール、チウラム、ジチオカルバメート、硫黄含有オキサゾール、チアゾール誘導体等、およびこれらの組み合わせを含有するが、必ずしもこれに限定されない。
「チアゾール誘導体」は、オキサゾールを含む、
−N=C(R)−S−
のような硫黄供与体として働くする必要な官能基化合物を含有するが、必ずしもこれに限定されない。
別の非限定的実施例においては、アスファルトに対して約0.01〜0.75重量%、あるいは約0.06〜0.3重量%の範囲にわたる量の硫黄および/または架橋剤が提供され、また別の非限定的実施例においては、約0.08〜0.2重量%の範囲にわたる量の硫黄および/または架橋剤が提供される。
上記に記載のように、メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩(ZMBT)は、従来の添加剤の要素を化合している。
その他のMBTの金属塩も有用である。
【0028】
本発明の一非限定的実施例における許容可能な架橋剤は、チウラム多硫化物である。
別の非限定的実施例においては、チウラム多硫化物は以下の式で表される。
【化1】

ここでR1およびR2は、同じか異なる1〜4の炭素原子を有するアルキル置換基であり、Mは、亜鉛、バリウム、または銅から選択される金属であり、nは、0または1である。
別の非限定的実施例においては、式1のチウラム多硫化物の架橋温度範囲は180℃(357度F)を越え、あるいは架橋温度範囲は約130〜205℃(280〜400度F)になりうる。
ここでのチウラム多硫化物は、ジメチルジチオカルバマートのような亜鉛ジアルキルジチオカルバマートを含有するがこれに限定されない。
【0029】
「要求される流動性質」とは、主に、以下に記載する、AASHTOによりMP1と呼ばれるSUPERPAVEアスファルトバインダの仕様を指す。
その他のアスファルト仕様は、エージング前の140度F(60℃)で1600〜4000ポアズ(160〜400Pa−s)の粘度、エージング前で少なくとも110インチ−ポンド(127cmーkg)の靭性、エージング前で少なくとも75インチ−ポンド(86.6cmーkg)の粘靭性、エージング後の39.2度F(4℃)、引張速度5cm/分で少なくとも25cmの延性が挙げられる。
【0030】
粘度は、ASTM試験方法D2171によって測定される。
延性は、ASTM試験方法D113によって測定される。
強靭性および粘靭性は、ベンソン法により測定される(直径1/8インチ(2.22cm)のボールでの引張速度20インチ/分(50.8cm/分))。
【0031】
「保管安定性のある粘度」とは、ビチューメン組成物が、膜発生、沈降、ゲル化、あるいは粒の粗さの証拠を残さないこと、ビチューメン組成物の粘度が325±0.5度F(163±2.8℃)で4日間の保管時に4倍以上増加しないこと意味する。
一非限定態様においては、325度F(163℃)で7日間の保管でも、その粘度は2倍以上は増加しない。
また別の非限定態様においては、325度F(163℃)で7日間の保管時で、その粘度は50%未満だけ増加する。
保管時のビチューメン組成物の粘度が増加することは、組成物取り扱いの問題や販売・使用時の製品仕様要求の充足困難の問題が生じるため、望ましいものではない。
【0032】
「骨材」とは、舗装道路に適する骨材組成物を提供するために、ビチューメン組成物に添加される石や同様の物質を指す。
通常、使用される骨材は、ビチューメン組成物が生産される土地固有の石である。
適切な骨材は、花崗岩、玄武岩、石灰石等である。
【0033】
ここで使用されるように、「アスファルトセメント」とは、加熱したら徐々に液化する室温でほぼ固体または半固体の様々な物質を指す。
その支配的な成分は、自然に存するか精製処理の残留物として得られるビチューメンである。上記のように、アスファルトセメントは、概して、25℃で針入度が400未満(PEN、1/10ミリメータ(dmm)で測定される)であり、典型的な針入度は40〜300の範囲にわたると特徴付けられる(ASTM試験方法D−5)。
アスファルトセメントの粘度は60℃で約65ポアズを越える。
あるいは、アスファルトセメントは、AASHTO(American Association of State Highway Transportation Officials、アメリカ全州道路運輸行政官協会)のAR粘度システム指定の用語によって定義されるものである。
【0034】
ここで使用されるアスファルトの用語は、当業者に良く知られたものである。
この用語を説明する場合、Asphalt Institute(Research Park Drive、P.O.Box 14052、Lexington,KY 40512−4052)が出版した小冊子(SUPERPAVE Series No.1(SP−1)、1997)を参照できるが、これは、以下MP1(パフォーマンスグレードのアスファルトバインダの標準仕様)と称する。
例えば、第2章には、実験装置、用語、目的の説明がある。
RTFO(回転式薄膜加熱試験)やPAV(Pressure Aging Vessel、加圧劣化試験)は、バインダエージング(硬化)特性をシミュレートするのに使用される。
DSR(Dynamic Shear Rheometer、動的剪断レオメータ)は、高温および中間温度でのバインダの性質を測定するのに使用される。
これは、永久歪みや轍掘れおよび疲労亀裂を予測するために使用される。
低温曲げクリープ試験(Bending Beam Rheometer、BBR)は、低温でのバインダの性質を測定するのに使用される。
この値により、熱亀裂や低温亀裂を予測できる。
これらの実験工程は、上記のSUPERPAVE小冊子にも記載されている。
【0035】
アスファルトの等級グレードは、上記Asphalt Institute小冊子に記載の当産業界で一般に許容されている基準に従って評価される。
例えば、この小冊子の62〜65ページにおいては、「Performance Graded Asphalt Binder Specifications」の表題が付された表が記載されている。
アスファルト組成物は、例えばPG64−22のパフォーマンスグレードが与えられる。
前者の64という数字は、平均7日の舗装用最高温度(℃)を表している。
後者の22という数字は、舗装用最低温度(℃)を表している。
その他のグレード評価の要件は表に記載されている。
例えば、PG64−22についてのPAV−DSR試験(℃)の最高値は25℃である。
【0036】
ラバーのアスファルトに対する相溶性の程度の測定を規格化するための当産業で一般的に使用される方法の一つは、相溶性試験(compatibility test)と呼ばれる。
相溶性試験は、アスファルトからなる物質の分離性の程度を測定するものである。
例えばラバーとポリマー改質アスファルトのその他の成分との長期にわたる相溶性は、舗装道路を準備する際の重要な考慮要素である。
もしラバーがポリマー改質アスファルトのその他の成分との混和しない場合、ポリマー改質アスファルトを含む道路材の性能が劣化する。
相溶性は、熱誘導エージング後にアスファルトの軟化点を測定することによって評価される(例えば、Louisiana DOTD、ポリマーのアスファルト分離試験方法TR326)。
この試験は、適用可能な全添加剤(例えば架橋剤)とともにラバーおよびアスファルトからなるポリマー改質アスファルト混合物に対して行われる。
この混合物は、アルミニウムやこれに類似する物質からなる、シガーチューブや歯磨きチューブと呼ばれる試験管に配置される。
これらの試験管は、直径約1インチ(2.54cm)であり、深さ約15cmである。
この混合物は、約162℃(320度F)に加熱したオーブンに配置される。
この温度は、最も一般的に用いられるアスファルト保管温度である。
必要な時間経過後に(最も一般的には24時間)、試験管をオーブンからフリーザーに移動し、凝固のため冷却する。
試験管は、水平位置に保たれる。
冷却後、試験管は三つの等しい断片に切断される。
三つのうちの一番上の断片の環球式軟化点が、底断片の軟化点と比較される。
この試験により、アスファルト中のラバーの分離性または相溶性が示される。
ラバーは、上部に分離する傾向がある。
上断片と底断片との軟化点の差が少なければ少ないほど、ラバーとアスファルトとの相溶性が高まる。
今日の環境においては、アスファルト/ラバーの組成物が混和していると判断するにつき、多くの州が4度F(2℃)未満の差を要求している。
より大きな差を要求する基準はほとんど存しない。
一般的な比較点として使用するために24時間の試験が行われる。
ある非限定的実施例においては、この相溶性試験値は、20℃以下である。
【0037】
本発明の一非限定的実施例によると、アスファルト組成物は、攪拌手段を有する混合タンクにアスファルトすなわちビチューメンを添加することで準備される。
アスファルトが添加され、高温で攪拌される。
攪拌温度は、アスファルトの粘度に左右されるが、500度F(260℃)までわたることがある。
精製作業から産出されるアスファルトは、当業界において良く知られたものである。
例えば、この作業で通常使用されるアスファルトは、要求された粘度の底部生成物を得るための原油の真空蒸留から、あるいは非金属化オイル、樹脂分留、およびアスファルテン分留を産出する溶剤脱瀝処理から得られる。
若干の精製ユニットにおいては、樹脂分留は生じない。
これらの材料や引火点450度F(230℃)の相溶性オイルが混合して、要望の粘度を有するアスファルトが得られる。
【0038】
本願に適するラバー、弾性ポリマー、あるいは熱可塑性エラストマは、上記のように当業界で良く知られたものである。
例えば、Atofina Elastomers Inc.によるFINAPRENE(登録商標)SBSラバー製品は、本願に適したものである。
本発明の技術はこの例に限定するものではなく、あらゆる同様のエラストマ製品、特にスチレンおよびブタジエンから製造されるものを適用できる。
【0039】
無機酸をアスファルトに添加するとその性質を改善することが分かっており、また驚くべきことに、架橋剤の添加前にその酸を添加するとより良好な結果をもたらすことが発見された。
どのようなメカニズムによってこの現象が生じるのか(例えば酸化によるのか架橋によるのか)は分かっていない。
アスファルトは本発明のこの方法によって硬化するようであるものの、本発明は特定のメカニズムや説明に制限されない。
【0040】
本方法において使用される適切な無機酸は、燐酸、ポリ燐酸、硫酸、塩酸、硝酸、およびこれらの混合を含むが、必ずしもこれに限定されない。
ここでは燐酸はポリ燐酸を含む。
一非限定的実施例においては、無機酸の比率は、アスファルト、酸、およびポリマーの全混合に対して0.05〜2重量%の範囲にわたる。
別の非限定的実施例においては、無機酸の比率は、全混合に対して0.05〜1重量%の範囲にわたる。
【0041】
別の非限定的実施例においては、アスファルト/ポリマー混合物中の金属酸化物活性剤も提供される。
上記のように従来の活性剤たる酸化亜鉛が知られており、これは硫化水素の発生を抑圧するために用いられる。
他の有用な金属酸化物は、米国特許出願第2004/0030008A1号に記載のように(この出願は引用をもってここに記載したものとする)CaO、MgO、およびCuOを含むが、必ずしもこれに限定されない。
一非限定的実施例においては、ZnOと等モル量の酸が提供される。
【0042】
ここに記載の目的に適する他の添加剤は、既知のまたは未知の促進剤、活性剤、二価金属酸化物(酸化亜鉛)等を含むが、必ずしもこれに限定されない。
種々の促進剤を使用することができ、ジチオカルバマートおよびベンゾチアゾールが含まれるが、これに限定されない。
数多くの架橋剤やその他の添加剤は、粉形状やフレーク形状で一般的に販売されている。
【0043】
本発明の方法や組成物を特定の実施例に関してより具体的に示すが、これは本発明の方法や組成物を明らかにすることにあり、これらを限定することを意図するものではない。
【0044】
実施例1〜6
【0045】
低濃度の燐酸によって、ポリマー改質アスファルトの高温MP1性質が改善された。
0.1〜0.3重量%濃度の酸により、純(ニート)アスファルトのODSR劣化温度を2〜2.5度、改善した。
0.1〜0.3重量%酸により、純アスファルトのRTFO−DSR劣化温度は、約4度改善した。
0.1〜0.3重量%の燐酸を有するポリマー改質アスファルトのRTFO−DSR劣化温度は、3〜4度上昇した。
低温性質にはあまり影響を与えなかった。
【0046】
実施例1〜6で使用される物質は、基本アスファルト、FINAPRENE 502 SBS ポリマー(FP502)、ZnO、MBT、硫黄、及び燐酸であった。実験結果の調合および初期手順は表1に示されている。
【表1】

【0047】
手順
【0048】
アスファルト試料は、低剪断混合で350度F(177℃)に加熱された。
指定された酸が添加され、試料を継続して10分間攪拌した。
酸の添加後に(あてはまる場合)、ポリマー改質アスファルトを以下の手順により混合した。
【0049】
アスファルト試料は、低剪断混合で350度F(177℃)に加熱された。
混合を高剪断に変更し、ポリマーが添加された。
混ぜ合わせは、高剪断で350度F(177℃)で1時間継続された。
それから混合を低剪断にまで低減させた。
架橋剤が添加され、低剪断で350度F(177℃)で1時間の混合を継続した。
ポリマー改質アスファルト混合物は、オーブンで325度F(163℃)で24時間のエージング処理がなされた。
硬化したアスファルトは、24時間または48時間の相溶性、MP1グレード評価、135℃回転粘度につき実験が行われた。
観察結果を書き留めた(例えば、ゲル化、膜形成、塊、煙等)。
【0050】
燐酸で改質された純アスファルト混合の実験結果は、表2に示される。
【表2】

【0051】
実施例2に示されるように、0.1重量%の燐酸は、ODSR(オリジナルDSRまたはバインダDSR)の劣化温度を1.9℃上昇させたのみであった。
しかし、RTFO−DSR劣化温度は、3.9℃改善された。燐酸濃度を0.3重量%に上昇すると(実施例3)、0.1重量%の燐酸添加の混合物と比較して、高温性質を少し改善した。
燐を酸添加しても、低温性質には変化がなかった。
燐を酸添加すると、PAV−DSR劣化温度は少し上昇した。
PAV−DSR劣化温度が仕様書の最高温度である25℃の近辺であったため、PAV−DSR劣化温度はアスファルトの懸念材料となった。
【0052】
燐酸処理の基本ストックから製造されたポリマー改質アスファルトは、高温性質における改善を示した。
ポリマー改質アスファルト混合物による結果は、表3に示される。
【表3】

【0053】
0.1重量%の燐酸をポリマー改質アスファルトに添加すると、ポリマー改質アスファルトのODSR劣化温度が1.9℃上昇した。
より重要なことは、MP1制限のRTFO−DSR劣化温度が3.4℃上昇しており、高温MP1性質が改善されたことを示している。
ポリマー改質アスファルトのPAV−DSR劣化温度が少し上昇したものの、最終的なPAV−DSR劣化温度は、仕様最大値の28℃よりかなり下方であった。
低温性質は、効果的に変化していない。
0.1重量%燐酸で処理した基本アスファルトから調合したポリマー改質アスファルトは、48時間後で0.7度F(0.39℃)の分離とラバー相溶性があった。
0.3重量%燐酸で処理した基本アスファルトから調合したポリマー改質アスファルトは、48時間後で18.3度F(10.2℃)の分離と相溶性がなかった。
0.3重量%酸処理をしたポリマー改質アスファルトのMP1性質は、0.1重量%処理した基本アスファルトからのポリマー改質アスファルトと比較して、あまり改善しなかった。
【0054】
実施例7〜14
【0055】
実施例1〜6において、酸の添加は、純アスファルトおよびポリマー改質アスファルトの高温性質に対して有利な効果を有することが示された。
ラバーで改質する際に劣悪な高温MP1性質を有する第2アスファルト基本ストックは、燐酸または硫酸で処理され、MP1性質の試験が行われた(実施例7〜14)。
ポリマー改質アスファルトは、酸処理の基本ストックから調合したか、あるいは架橋後に酸処理を行った。
【0056】
実施例7〜14で使用される物質は、第2ベースアスファルトFINAPRENE 502 SBSポリマー(FP502)、ZnO、MBT、硫黄、燐酸および硫酸であった。
実験の調合および初期の手順は表4に示される。
0.2重量%の酸化亜鉛が、MP1グレード評価またはポリマー改質アスファルト調合の前に、基本ストックに添加される。
【表4】

【0057】
手順
【0058】
以下の混合手順は、酸改質によるアスファルトおよびポリマー改質アスファルトの混合に使用される。
【0059】
アスファルトは、低剪断混合で350度F(177℃)に加熱される。
指定の酸を添加して、混合物は10分間攪拌された。
ポリマー改質添加なしの混合の場合、350度F(177℃)で1時間の加熱を行った。
この混合物は、325度F(163度)で24時間のエージングを行った。
【0060】
ポリマー改質アスファルトの混合物の場合、酸が添加された時に注目すべきである。
混合は高剪断に設定され、FP502のポリマーが添加された。
混合は高剪断で350度F(177℃)で1時間継続して行われた。
それから混合を低剪断にまで低減した。
架橋剤が添加され、低剪断で350度F(177℃)で1時間の混合を継続した。
ポリマー改質アスファルト混合物は、オーブンで325度F(163℃)で24時間のエージング処理がなされた。
これにより硬化したアスファルトは、48時間の相溶性につき実験が行われ、このアスファルトはMP1グレードであった。
135℃でブルックフィールド粘度値を測定した観察結果を書き留めた(例えば、ゲル化、膜形成、塊、煙等)。
【0061】
0.1重量%硫酸を有する純アスファルトの処理(比較対照の実施例8)は、控えめなRTFO−DSR劣化温度限定の改善結果となったにすぎず、ODSR劣化温度には何らの改善が見られなかった。
PAV−DSR劣化温度は、仕様書の最高値である25℃を越えて増加した。
低温性質には変化が生じなかった。
硫酸処理の基本アスファルトから製造したポリマー改質アスファルト(本発明の実施例10)は、対照混合物(比較対照の実施例9)と比較して、ODSR劣化温度につき効果的な変化は生じなかったが、RTFO−DSR劣化温度限定につき3℃の改善が見られた。
これらの結果は、架橋後に酸が添加されるポリマー改質アスファルト(比較対照の実施例11)の中間である。
硫酸で処理した混合物の試験結果は、表5に示される。
【表5】

【0062】
硫酸処理のポリマー改質アスファルト混合物は、どれも24時間後に相溶性を有していなかった。
しかし、基準対照の混合物(実施例9、表5)と比較して、実施例10および11において相溶性の改善があった。
にもかかわらず、このアスファルトは48時間後には架橋FP502改質で、相溶性があるということが知られている。
【0063】
純アスファルトを0.1重量%の燐酸で処理すると、RTFO−DSR劣化温度の限定につき最も控えめな改善となり、ODSR劣化温度には何ら改善が見られなかった(実施例12)。
PAV−DSR劣化温度は、仕様最大値の25℃を越えて上昇した。
低温性質には変化が見られなかった。
燐酸処理の基本アスファルトから製造されたポリマー改質アスファルト(実施例13)は、対照混合物と比較して(実施例9、表6)、ODSR劣化温度に効果的な変化が見られなかったが、RTFO−DSR劣化温度につき2.4℃の改善が見られた。
これらの結果は、架橋後に酸が添加されるポリマー改質アスファルト(実施例14)の中間である。
燐酸で処理した混合物の試験結果は、表6に示される。
【表6】

【0064】
硫酸処理アスファルトとのポリマー改質アスファルト混合物は、24時間後においてラバーとの相溶性がある。
高温MP1性質の改善は、架橋添加前に酸が添加されたポリマー改質アスファルト混合物において最も良好となった。
【0065】
このように、約0.1重量%の燐酸または硫酸を添加すると、高温におけるRTFO−DSR劣化温度が約3℃改善されることが示された。低温SHRP性質については、感知できる程度の変化は見られなかった。
架橋前に酸を添加すると、高温性質につき最も良好な改善となる。
中間のMP1性質は、酸の添加により否定的な影響を受ける。
【0066】
上記の明細書において、特定の実施例に関して本発明の方法および組成物が記載され、高温性質が改良されたアスファルトおよびポリマーの組成物を調製するにつき効果的な方法であることが証明された。
しかし、本発明の最も広汎な精神や特許請求の範囲に記載した本発明の範囲から逸脱せずに、この方法に対して種々の応用改変をなしうることは明らかである。
従って、この明細書は、限定的な意味ではなくむしろ例示であると見なされる。
例えば、アスファルト、ポリマー架橋剤、酸、活性剤、促進剤、その他の主張パラメータに該当する要素(特定のポリマー改質アスファルト系で具体的に確認・試験を行っていないもの以外)につき特定の組み合わせや量は、ここに記載した発明の範囲に属すると予想される。
特に、組成物の方法および発見は、ここに例証されているもの以外の酸および架橋剤に作用すると期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルトを加熱する工程と、混合物を形成するため順序を問わず弾性ポリマーおよび無機酸を前記アスファルトへ添加する工程であって、この無機酸の配合は混合物全体に対して約0.05〜2重量%にわたる前記工程と、前記酸の添加後に架橋剤を前記混合物に添加する工程と、ポリマー改質アスファルトを提供するよう前記混合物を硬化する工程とからなる、アスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項2】
前記弾性ポリマーは、ビニル芳香族/共役ジエンのエラストマであることを特徴とする請求項1に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項3】
前記弾性ポリマーは、スチレン−ブタジエンコポリマーであることを特徴とする請求項2に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項4】
前記無機酸は、燐酸、ポリ燐酸、硫酸、塩酸、硝酸、およびこれらの混合からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項5】
前記無機酸の配合は、混合物全体に対して約0.05〜1重量%にわたることを特徴とする請求項1に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項6】
前記架橋剤は、硫黄、メルカプトベンゾチアゾールとその金属塩、チウラム、ジチオカルバマート、硫黄含有オキサゾール、チアゾール誘導体、およびこれらの混合からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項7】
前記ポリマー改質アスファルトは、無機酸を有していないポリマー改質アスファルトと比較して、ODSR劣化温度、RTFO劣化温度、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される高温性質が改良されていることを特徴とする請求項1に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項8】
前記弾性ポリマーは、アスファルト/ポリマー混合物に対して約1〜20重量%であることを特徴とする請求項1に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項9】
前記架橋剤は、アスファルト/ポリマー混合物の重量に対して約0.01〜0.75重量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項10】
さらに金属酸化物の活性剤をアスファルトに添加する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項11】
前記金属酸化物は酸化亜鉛であることを特徴とする請求項10に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項12】
アスファルトを加熱する工程と、混合物を形成するため順序を問わず弾性スチレン−ブタジエンコポリマーおよび無機酸を前記アスファルトへ添加する工程であって、この無機酸の配合は混合物全体に対して約0.05〜1重量%にわたる前記工程と、前記酸の添加後に架橋剤を前記混合物に添加する工程と、ポリマー改質アスファルトを提供するよう前記混合物を硬化する工程とからなる、アスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項13】
前記無機酸は、燐酸、ポリ燐酸、硫酸、塩酸、硝酸、およびこれらの混合からなる群から選択されることを特徴とする請求項12に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項14】
前記架橋剤は、硫黄、メルカプトベンゾチアゾールとその金属塩、チウラム、ジチオカルバマート、硫黄含有オキサゾール、チアゾール誘導体、およびこれらの混合からなる群から選択されることを特徴とする請求項12に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項15】
前記ポリマー改質アスファルトは、無機酸を有していないポリマー改質アスファルトと比較して、ODSR劣化温度、RTFO劣化温度、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される高温性質が改良されていることを特徴とする請求項12に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項16】
前記弾性ポリマーは、アスファルト/ポリマー混合物に対して約1〜20重量%であることを特徴とする請求項12に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項17】
前記架橋剤は、アスファルト/ポリマー混合物の重量に対して約0.01〜0.75重量%の範囲であることを特徴とする請求項12に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項18】
前記ポリマー改質アスファルトは、商業的規模の量で産出されることを特徴とする請求項12に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項19】
金属酸化物の活性剤をアスファルトに添加する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項20】
前記金属酸化物は、酸化亜鉛であることを特徴とする請求項19に記載のアスファルトおよびポリマーの組成物の調製方法。
【請求項21】
アスファルトを加熱する工程と、混合物を形成するため順序を問わず弾性ポリマーおよび無機酸を前記アスファルトへ添加する工程であって、この無機酸の配合は混合物全体に対して約0.05〜2重量%にわたる前記工程と、前記酸の添加後に架橋剤を前記混合物に添加する工程と、ポリマー改質アスファルトを提供するよう前記混合物を硬化する工程とからなる調製方法によって調製されたポリマー改質アスファルト。
【請求項22】
前記弾性ポリマーは、ビニル芳香族/共役ジエンのエラストマであることを特徴とする請求項21に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項23】
前記弾性ポリマーは、スチレン−ブタジエンコポリマーであることを特徴とする請求項22に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項24】
前記無機酸は、燐酸、ポリ燐酸、硫酸、塩酸、硝酸、およびこれらの混合からなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項25】
前記無機酸の配合は、混合物全体に対して約0.05〜1重量%にわたることを特徴とする請求項21に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項26】
前記架橋剤は、硫黄、メルカプトベンゾチアゾールとその金属塩、チウラム、ジチオカルバマート、硫黄含有オキサゾール、チアゾール誘導体、およびこれらの混合からなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項27】
前記ポリマー改質アスファルトは、無機酸を有していないポリマー改質アスファルトと比較して、ODSR劣化温度、RTFO劣化温度、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される高温性質が改良されていることを特徴とする請求項21に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項28】
前記弾性ポリマーは、アスファルト/ポリマー混合物に対して約1〜20重量%であることを特徴とする請求項21に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項29】
前記架橋剤は、アスファルト/ポリマー混合物の重量に対して約0.01〜0.75重量%の範囲であることを特徴とする請求項21に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項30】
前記調製方法は、さらに金属酸化物の活性剤をアスファルトに添加する工程を含むことを特徴とする請求項21に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項31】
前記金属酸化物は酸化亜鉛であることを特徴とする請求項30に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項32】
アスファルトを加熱する工程と、混合物を形成するため順序を問わず弾性ポリマーおよび無機酸を前記アスファルトへ添加する工程であって、この無機酸の配合は混合物全体に対して約0.05〜2重量%にわたる前記工程と、前記酸の添加後に架橋剤を前記混合物に添加する工程と、ポリマー改質アスファルトを提供するよう前記混合物を硬化する工程とからなる調製方法によって調製されたポリマー改質アスファルトと骨材とから製造される道路。
【請求項33】
アスファルトを加熱する工程と、混合物を形成するため順序を問わず弾性ポリマーおよび無機酸を前記アスファルトへ添加する工程であって、この無機酸の配合は混合物全体に対して約0.05〜2重量%にわたる前記工程と、前記酸の添加後に架橋剤を前記混合物に添加する工程と、ポリマー改質アスファルトを提供するよう前記混合物を硬化する工程とからなる調製方法によって調製されたポリマー改質アスファルトで封止された屋根。
【請求項34】
アスファルトを加熱する工程と、混合物を形成するため順序を問わず弾性ポリマーおよび無機酸を前記アスファルトへ添加する工程であって、この無機酸の配合は混合物全体に対して約0.05〜2重量%にわたる前記工程と、前記酸の添加後に架橋剤を前記混合物に添加する工程と、ポリマー改質アスファルトを提供するよう前記混合物を硬化する工程とからなる調製方法によって調製されたポリマー改質アスファルトを加熱する工程と、少なくとも屋根表面の一部にわたって前記ポリマー改質アスファルトを塗布する工程とからなる、屋根をポリマー改質アスファルトで封止する方法。
【請求項35】
舗装道路材を形成するため、アスファルトを加熱する工程と、混合物を形成するため順序を問わず弾性ポリマーおよび無機酸を前記アスファルトへ添加する工程であって、この無機酸の配合は混合物全体に対して約0.05〜2重量%にわたる前記工程と、前記酸の添加後に架橋剤を前記混合物に添加する工程と、ポリマー改質アスファルトを提供するよう前記混合物を硬化する工程とからなる調製方法によって調製されたポリマー改質アスファルトと骨材とを混合させる工程と、舗装道路を構築するためこの舗装道路材を使用する工程とからなる道路構築方法。
【請求項36】
アスファルトを加熱する工程と、混合物を形成するため順序を問わず弾性スチレン−ブタジエンコポリマーおよび無機酸を前記アスファルトへ添加する工程であって、この無機酸の配合は混合物全体に対して約0.05〜1重量%にわたる前記工程と、前記酸の添加後に架橋剤を前記混合物に添加する工程と、ポリマー改質アスファルトを提供するよう前記混合物を硬化する工程とからなる調製方法によって調製されたポリマー改質アスファルト。
【請求項37】
前記無機酸は、燐酸、ポリ燐酸、硫酸、塩酸、硝酸、およびこれらの混合からなる群から選択されることを特徴とする請求項36に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項38】
前記架橋剤は、硫黄、メルカプトベンゾチアゾールとその金属塩、チウラム、ジチオカルバマート、硫黄含有オキサゾール、チアゾール誘導体、およびこれらの混合からなる群から選択されることを特徴とする請求項36に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項39】
前記ポリマー改質アスファルトは、無機酸を有していないポリマー改質アスファルトと比較して、ODSR劣化温度、RTFO劣化温度、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される高温性質が改良されていることを特徴とする請求項36に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項40】
前記弾性ポリマーは、アスファルト/ポリマー混合物に対して約1〜20重量%であることを特徴とする請求項36に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項41】
前記架橋剤は、アスファルト/ポリマー混合物の重量に対して約0.01〜0.75重量%の範囲であることを特徴とする請求項36に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項42】
前記調製方法は、さらに金属酸化物の活性剤をアスファルトに添加する工程を含むことを特徴とする請求項36に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項43】
前記金属酸化物は、酸化亜鉛であることを特徴とする請求項42に記載のポリマー改質アスファルト。
【請求項44】
アスファルトを物理的に除去して、この除去したアスファルトのサイズを縮小する工程と、前記除去したアスファルトを加熱する工程と、混合物を形成するためこのアスファルトに無機酸を添加する工程と、前記酸の添加後に架橋剤を前記混合物に添加する工程とからなることを特徴とするアスファルトをリサイクルする方法。
【請求項45】
弾性ポリマーを前記アスファルトに添加する工程を含むことを特徴とする請求項44に記載のアスファルトをリサイクルする方法。
【請求項46】
アスファルトを物理的に除去して、この除去したアスファルトのサイズを縮小する工程と、前記除去したアスファルトを加熱する工程と、混合物を形成するためこのアスファルトに無機酸を添加する工程と、前記酸の添加後に架橋剤を前記混合物に添加する工程とからなるアスファルトをリサイクルする方法によって製造されたリサイクルアスファルト。
【請求項47】
少なくとも部分的に骨材を被覆するポリマー改質アスファルトを含有する骨材であって、前記ポリマー改質アスファルトは、アスファルト、弾性ポリマー、無機酸、および架橋剤からなり、前記架橋剤は、無機酸の添加後にアスファルトに添加されることを特徴とする骨材。

【公表番号】特表2008−518046(P2008−518046A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537906(P2007−537906)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/035146
【国際公開番号】WO2006/047044
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(308005578)トータル フランス (1)
【Fターム(参考)】