説明

アセンブリ、潤滑液濾過アセンブリ、サイクロン分離器、および流体内の微粒子を監視する方法

【課題】流体に含まれる微粒子の監視と濾過とを組み合わせたシステムを提供する。
【解決手段】サイクロン60が、フィルタ64の中空コア120内に配置されている。サイクロン60が、遠心力を使って、流体を、微粒子高含有流と微粒子低含有流とに分離する。エジェクタ116を通して流れる微粒子低含有流が、作動流体として働き、エジェクタ116の位置に、低圧区域をつくり出す。この低圧区域は、サイフォンパイプ90D内に、吸引力を発生させ、この吸引力によって、捕集器キャビティ97内の微粒子高含有流が、サイフォンパイプ90A〜90Dの各々を通るように、吸い上げられる。この微粒子高含有流は、パティキュレートモニタ62によって監視された後、濾過される前に、サイクロン60へ戻され、このサイクロン60において、スタンドパイプ88内で、微粒子低含有流と混合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体システムに関し、詳しくは、流体の監視システムと濾過システムとを組み合わせたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのガスタービンエンジンが、低圧圧縮機に接続されてこれを駆動する低圧タービンを含む低圧スプールと、高圧圧縮機に接続されてこれを駆動する高圧タービンを含む高圧スプールと、を備える。いくつかのガスタービンエンジンにおいては、エンジンの前方のファンが、ファン駆動ギアシステムを介して、低圧スプールに接続されている。ファン駆動ギアシステムなどの、潤滑が必要なエンジン部品へ潤滑液を圧送するために、潤滑システムが使用される。これらのエンジン部品は、一般に、可動部分を有し、これらの可動部分は、小さな破片粒子つまり微粒子を落として潤滑液中に混入させてしまうことがある。落ちた粒子を監視するために、パティキュレートモニタが用いられることが多い。微粒子を監視することによって、保守作業員は、エンジン内の部品がどの程度磨耗しているかについて有益な情報を得ることができ、この情報を利用して、メンテナンスを行うかを決めることができる。エンジン部品を潤滑するために潤滑液を戻す前に、この潤滑液から微粒子を除去するために、フィルタが使用されることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
パティキュレートモニタおよびフィルタは、嵩高になりやすく、ガスタービンエンジンの貴重な空間を奪ってしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によると、アセンブリが、サイクロン分離器(cyclone separatoer)およびフィルタエレメントを含む。サイクロン分離器は、サイクロンキャビティを取り囲む環状のサイクロン本体を有する。フィルタエレメントは、フィルタ内面とフィルタ外面との間に位置するフィルタ材料を含み、このフィルタ材料には、フィルタ内面とフィルタ外面とを流体的に連通させるフィルタ通路が形成されている。フィルタ内面は、中空コアを画定し、フィルタ外面は、フィルタ内面から外周側へ離間した位置にある。サイクロン本体がフィルタ内面から離間するように、サイクロン分離器は、中空コア内に配置される。
【0005】
他の実施例においては、潤滑液濾過アセンブリが、インサイド−アウト型液体フィルタエレメントおよびサイクロン分離器を含む。このサイクロン分離器は、インサイド−アウト型液体フィルタエレメントの中空コア内に配置されている。このサイクロン分離器とインサイド−アウト型液体フィルタエレメントとは、環状流路によって離間している。
【0006】
さらに他の実施例においては、サイクロン分離器は、サイクロン本体、第1のパイプおよび第2のパイプを含む。サイクロン本体は、サイクロンキャビティを画定する環状壁と、捕集器キャビティを画定する捕集器壁と、を有する。第1のパイプは、環状壁の内側にこれとほぼ同心軸となるように配置され、第2のパイプは、第1のパイプの内側に配置されている。第1のパイプは、サイクロンキャビティ内に位置する第1のパイプ入口と、サイクロン本体の外部へ延びる第1のパイプ出口と、を有する。第2のパイプは、捕集器キャビティ内に位置する第2のパイプ入口と、サイクロン本体の外部へ延びる第2のパイプ出口と、を有する。
【0007】
さらに他の実施例においては、サイクロン分離器は、環状壁、捕集器壁、第1の通路、第2の通路およびエジェクタを含む。環状壁は、サイクロンキャビティを画定し、捕集器壁は、サイクロンキャビティと流体的に連通するように接続した捕集器キャビティを画定する。第1の通路によって、サイクロンキャビティが、サイクロン分離器の外部と流体的に連通している。第2の通路によって、捕集器キャビティが、第1の通路と流体的に連通している。エジェクタは、第1の通路内に配置され、第2の通路から第1の通路内まで流体をサイフォンで吸い上げる。
【0008】
さらに他の実施例においては、サイクロン分離器は、壁、第1の通路、第2の通路、およびオイル内破片モニタを含む。上記の壁は、サイクロンキャビティを画定する。第1の通路は、サイクロンキャビティ内に位置する第1の通路入口と、サイクロン分離器の外部に位置する第1の通路出口と、を有する。第2の通路は、サイクロンキャビティ内に位置する第2の通路入口と、第1の通路に接続する第2の通路出口と、を有する。オイル内破片モニタは、第2の通路を通流する破片を検出する。
【0009】
さらに他の実施例においては、流体中の微粒子を監視する方法を含む。この方法は、サイクロン分離器に流体を流入させるステップと、微粒子低含有流と微粒子高含有流とを生成するように流体を分離するステップと、微粒子高含有流に含まれる微粒子を監視するステップと、微粒子低含有流と微粒子高含有流とを再混合するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ガスタービンエンジンの概略的な断面図。
【図2】図1のガスタービンエンジンに使用される本発明の潤滑システムの概略図。
【図3】図2の潤滑システムに使用される組み合わされたパティキュレートモニタとフィルタアセンブリの断面図。
【図4A】図3のフィルタアセンブリにおいて、流体の第1の流れ方を示す図。
【図4B】図3のフィルタアセンブリにおいて、流体の第2の流れ方を示す図。
【図4C】図3のフィルタアセンブリにおいて、流体の第3の流れ方を示す図。
【図4D】図3のフィルタアセンブリにおいて、流体の第4の流れ方を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、ガスタービンエンジン10を概略的に示す断面図である。ガスタービンエンジンは10は、低圧スプール12(低圧シャフト18を介して接続された低圧圧縮機14および低圧タービン16を含む)、高圧スプール20(高圧シャフト26を介して接続された高圧圧縮機22および高圧タービン24を含む)、燃焼器28、ナセル30、ファン32、ファンシャフト34、およびファン駆動ギアシステム36(星形歯車38、リング歯車40および太陽歯車42を含む)を含む。低圧スプール12は、ファン駆動ギアシステム36を介してファンシャフト34に接続されている。ガスタービンエンジン10内のファン駆動ギアシステム36などのさまざまな部品は、潤滑されることが有利である。
【0012】
図2は、ガスタービンエンジン10に使用される潤滑システム50の概略図である。潤滑システム50は、ギアシステムを介して接続された高圧スプール20によって駆動される供給ポンプ52およびスカベンジポンプ54を含む。供給ポンプ52は、潤滑油などの流体を、油溜め56から、一体型のパティキュレートモニタ・フィルタ・アセンブリ(以下、「フィルタアセンブリ」と記す)58へ圧送する。フィルタアセンブリ58は、サイクロン分離器(以下「サイクロン」と記す)60、パティキュレートモニタ62およびフィルタ64を含む。サイクロン60は、流体を、微粒子高含有流と微粒子低含有流とに分離する。微粒子高含有流は、パティキュレートモニタ62へ導かれて、この流体中の微粒子が測定される。その後、微粒子高含有流と微粒子低含有流とは、再混合され、フィルタ64を通過するように流されて、微粒子が除去される。フィルタアセンブリ58の構造については、図3を参照して、以下にさらに説明する。フィルタアセンブリ58の作動については、図4A〜4Dを参照して、以下にさらに説明する。フィルタアセンブリ58が流体を監視および濾過した後、この流体は、ファン駆動ギアシステム36および他のさまざまなエンジン部品66A,66Bへ供給され、使用される。スカベンジポンプ54は、使用済みの流体を油溜め56に戻して、このプロセスが繰り返し行われるようにする。
【0013】
図3は、ボルト76で互いに接続された上部体72と底部キャップ74を含むハウジング70を備えるフィルタアセンブリ58の断面図である。フィルタアセンブリ58は、アセンブリ底部80の上方にアセンブリ頂部78が位置するように、垂直方向に配向されている。パティキュレートモニタ62は、アセンブリ頂部78の位置で上部体72に取り付けられている。フィルタ64とサイクロン60は、ハウジング70内に配置されている。流体は、導入パイプ82を通ってフィルタアセンブリ58に流入し、排出パイプ84を通ってフィルタアセンブリ58から流出する。
【0014】
導入パイプ82は、サイクロン60と流体的に連通している。サイクロン60は、サイクロン本体86、スタンドパイプ88およびサイフォンパイプ90Aを含み、これらはすべて、ほぼ環状の構造とし、中心軸CLについてほぼ同軸状かつ対称的に配置することができる。サイフォンパイプ90Aは、スタンドパイプ88の内側に配置され、このスタンドパイプ88は、サイクロン本体86の内側に配置される。サイクロン本体86は、切頭円錐形の壁94と、これに隣接する円筒形の壁92と、を含み、これらの壁が一緒にサイクロンキャビティ95を画定している。サイクロン本体86は、さらに、捕集器キャビティ97を画定する捕集器壁96を含む。捕集器壁96は、分断リップ98において切頭円錐形の壁94に接続しており、サイクロン60の底部の先端100において、互いに収束している。スタンドパイプ88は、サイクロンキャビティ95内に位置するスタンドパイプ入口102と、サイクロン本体86の外部へ延びているスタンドパイプ出口104と、を有する。サイフォンパイプ90Aは、捕集器キャビティ97内において先端100付近に位置するサイフォンパイプ入口106と、サイクロン本体86の外部へ延びているサイフォンパイプ出口108と、を有する。
【0015】
サイフォンパイプ90Aのサイフォンパイプ出口108と、パティキュレートモニタ62内のサイフォンパイプ90Bの入口端部とは、流体的に連通している。図示した実施例においては、パティキュレートモニタ62は、オイル内破片モニタである。微粒子検出コイル110の3つのループが、サイフォンパイプ90Bの外径の周囲に巻かれている。この微粒子検出コイル110は、パティキュレートモニタ回路(図示せず)に電気的に接続することができ、このパティキュレートモニタ回路は、電気コネクタ112を介して航空機コクピットコントロールパネル(図示せず)に電気的に接続することができる。サイフォンパイプ90Bの出口端部が、上部体72内で、サイフォンパイプ90Cの入口端部と流体的に連通している。流体の漏れを抑えるために、パティキュレートモニタ62と上部体72との間に、O−リング114が配置されている。サイフォンパイプ90Cは、上部体72に穴あけ加工された通路である。サイフォンパイプ90Dを介して、サイフォンパイプ90Cの出口端部と、スタンドパイプ88と、が流体的に連通している。スタンドパイプ88は、スタンドパイプ出口104付近に配置されたエジェクタ116(エダクタとも呼ばれる)を含む。サイフォンパイプ90Dは、エジェクタ116の流入部118において、スタンドパイプ88に接続している。サイフォンパイプ90A〜90Dは、全体として、サイクロン60の捕集器キャビティ97からパティキュレートモニタ62を通ってサイクロン60内のスタンドパイプ88へ戻るように延びている。
【0016】
サイクロン60は、フィルタ64の中空コア120内に配置されている。フィルタ64は、主フィルタエレメント122、バイパスフィルタエレメント124およびバイパス通路126を含む。主フィルタエレメント122は、多孔性フィルタ内面130と多孔性フィルタ外面132との間に多孔通路を有するフィルタ材料128からなる。主フィルタエレメント122は、実質的に円筒形の形状であり、フィルタ内面130がフィルタ入口側となり、かつフィルタ外面132がフィルタ内面130から外周側へ離間して位置するフィルタ出口側となる、インサイド−アウト型オイルフィルタである。フィルタ内面130は、中空コア120を画定する。中空コア120が内側環状流路134を形成するように、フィルタ内面130がサイクロン本体86の外面から離間して配置されるとともに、外側環状流路136を形成するように、フィルタ外面132が上部体72の内面から離間して配置される。他の実施例においては、主フィルタエレメント122を、比較的微細な孔を有するプリーツフィルタとすることもできる。
【0017】
バイパス通路126を介して、内側環状流路134と外側環状流路136が流体的に連通する。バイパス通路126は、上部体72の一部として形成された第1の部分138と、フィルタ64の一部として形成された第2の部分140と、を含む。流体の漏れを抑えるために、第1の部分138と第2の部分140との間に、複数のO−リング142が配置される。バイパス弁144は、バイパス通路126を選択的に開通させるための圧力弁である。図示した例においては、バイパス弁144は、スプリングワッシャ式逃し弁である。代替的な実施例においては、バイパス弁144は、ポペット逆止弁型の逃し弁とすることができる。バイパス通路126を第1の部分138と第2の部分140とに分割することによって、バイパス弁144は、フィルタ64にではなく、ハウジング70に取り付けることができる。従って、バイパス弁144は、フィルタ64を交換する毎に、交換あるいは再点検される必要がない。
【0018】
フィルタアセンブリ58は、差圧センサ146を含み得る。この差圧センサ146は、パティキュレートモニタ62から、それぞれ、内側環状流路134へ延びるセンサ通路148と、外側環状流路136へ延びるセンサ通路150と、を有する。この差圧センサ146は、パティキュレートモニタ62内に配置された圧力検出回路(図示せず)を有し得る。また、主圧力センサ(図示せず)が、パティキュレートモニタ62内の主圧力回路から外側環状流路136へ延びる流路(図示せず)を有し得る。従って、パティキュレートモニタ62は、3種類のセンサについての回路を含み得る。パティキュレートモニタ62は、ボルトオン型のライン交換ユニット(LRU)とすることができる。
【0019】
図4Aは、フィルタアセンブリ58における流体の第1の流れ方を示す図である。流体は、導入パイプ82を通ってサイクロン60内へ流入する。円筒形の壁92の内面の接線方向に、流体をサイクロン60内へ供給するように、導入パイプ82は、中心軸CLから傾いて円筒形の壁92に接続されている。流体は、円筒形の壁92と、スタンドパイプ88と、の間で、サイクロンのように、渦巻き状に流れる。微粒子特にガスタービンエンジン内の潤滑オイル内で一般に見つかる金属微粒子は、潤滑オイルと比較して、一般に、大きな比重を有する。流体が回転するときに、流体中の微粒子は、高い加速力のもとで、円筒形の壁92へ向かって、遠心力で振るい落とされる。そして、微粒子は、サイクロンキャビティ95から流出して、分断リップ98を越え、下方の捕集器キャビティ97内へ導かれる。微粒子は、分断リップ98を超えると減速し、捕集器壁96へ向かって遠心力で振り落とされる。フィルタアセンブリ58は、図示したように垂直方向に配向されており、重力が寄与して、捕集器キャビティ97内に微粒子が集められる。従って、捕集器キャビティ97は、比較的高濃度の微粒子を有する微粒子高含有流(または微粒子高含有オイルと呼ばれる)を含む一方で、サイクロンキャビティ95は、比較的低濃度の微粒子を有する微粒子低含有流を含む。重量の大きな微粒子は、円筒形の壁92および切頭円錐形の壁94へと加速されるので、サイクロンキャビティ95は、その中心部において、微粒子の濃度が特に低く、実質的に微粒子を含まないものとなっている。スタンドパイプ88が長いことによって、微粒子低含有流がスタンドパイプ入口102に流入する前に、サイクロンキャビティ95の中心部から微粒子を除去するための時間が確保される。
【0020】
図4Bは、フィルタアセンブリ58における流体の第2の流れ方を示す図である。サイクロンキャビティ95の中心部における微粒子低含有流が、スタンドパイプ88内を上昇し、エジェクタ116を通り、サイクロン60から流出して、内側環状流路134および中空コア120へ流入するように、圧送される。この流体は、さらに、中空コア120から、主フィルタエレメント122を通って、外側環状流路136へ流れ、排出パイプ84から流出する。主フィルタエレメント122は、多孔質フィルタ材料128内に微粒子を捕捉し、流体を浄化する。主フィルタエレメント122を通流した後、流体は、ファン駆動ギアシステム36や他の部品66A,66B(図2を参照)の潤滑に使用される状態になっている。
【0021】
図4Cは、フィルタアセンブリ58における流体の第3の流れ方を示す図である。エジェクタ116を通して流れる微粒子低含有流が、作動流体として働き、エジェクタ116の位置に、低圧区域をつくり出す。サイフォンパイプ90Dが、エジェクタ116に流体的に連通するように接続しているので、低圧区域は、このサイフォンパイプ90D内に、吸引力を発生させる。この吸引力によって、捕集器キャビティ97内の微粒子高含有流が、サイフォンパイプ90A〜90Dの各々を通るように、吸い上げられる。この微粒子高含有流は、パティキュレートモニタ62によって監視された後、サイクロン60へ戻され、このサイクロン60のスタンドパイプ88内で、微粒子低含有流と混合され、その後、濾過される。
【0022】
サイクロン60は、比較的効率よく、流体に含まれる微粒子を分離することができる。市販されている一般のサイクロン分離器についての試験結果では、比重が約1.7で、直径が約74ミクロンの低密度の微粒子でさえ、約90%の効率で回収することを示した。アルミニウム(比重2.7)や鉛(比重11.3)などの高密度微粒子についての効率は、さらに高くなり得る。ガスタービンエンジン10(図1に示す)では、約200ミクロン以上の大きさの微粒子を分離および検出できれば有益である。サイクロン60は、このような微粒子の大部分を効果的に分離することができる。
【0023】
サイクロン60は、効率がとても良いので、サイフォンパイプ90A〜90Dは、比較的小さい直径でありながら、十分な量の微粒子高含有の流体を運ぶことができる。パティキュレートモニタ62は、サイフォンパイプ90Bが比較的小さい直径であることが有利である。狭いパイプの周囲に検出コイル110を巻くことによって、検出コイル110は、より小さな微粒子を正確に検出することができる。このように、サイクロン60の効率が高いことよって、パティキュレートモニタ62もまた、効率が高くなり得る。図示した実施例においては、サイフォンパイプ90Bは、約0.15インチ(約0.381cm)の直径を有する。パティキュレートモニタは、微粒子が鉄を含むものであるか否かを判定するとともに、その微粒子の大きさを測定することができる。特定の用途に用いる適切なパティキュレートモニタ62は、フロリダ州ペンサコーラ所在のGasTOPS Inc.社によって製造された、MetalSCAN製品ラインから入手可能である。
【0024】
図4Dは、フィルタアセンブリ58における流体の第4の流れ方を示す図である。主フィルタエレメント122が、フィルタ材料128は、経時的に比較的大きな量の微粒子が集まったときに、目詰まりすることがある。このような場合、主フィルタエレメント122を通る流体の流れが減少し、中空コア120内の圧力が増大する。中空コア120内の圧力が閾値を超えた場合、バイパス弁144が強制的に開かれ、流体がバイパス通路126を通流できるようになる。この流れは、主フィルタエレメント122をバイパスし、代わりにバイパスフィルタエレメント124を通るように流れる。バイパスフィルタエレメント124は、目の粗いフィルタとされ得るので、大きな粒子の濾過には適するが、主フィルタエレメント122の微細な孔で濾過できるのと同程度の小さな微粒子には適さない。
【0025】
差圧センサ146は、フィルタ64の両側間の圧力降下を測定する。測定した圧力降下の大きさが第1の値を超えた場合、差圧センサ146は、主フィルタ122が目詰まりしたことを示す信号を、航空機コックピットコントロールパネル(図示せず)に送ることができる。測定した圧力降下の大きさが第2の値を超えた場合、差圧センサ146は、バイパス弁144が開くほど主フィルタエレメント122が目詰まりしたことを示す第2の信号を送ることができる。そして、保守作業員は、適切に、次の機会にフィルタ64を交換するか、あるいは他の保守の処置を施すことができる。
【0026】
本発明は、多くの利点をもたらすことが理解されよう。例えば、フィルタアセンブリ58は、比較的コンパクトなハウジング内で、流体を監視しかつ濾過することができる。一実施例においては、フィルタアセンブリ58は、直径を約5インチ(約12.7cm)、高さを約10インチ(約25.4cm)とすることができる。この小さな要求スペースは、ガスタービンエンジン10のような、空間が貴重である用途において、利点となる。外部の配管、支持ブラケット、および必要とされる電気的な接続の数を減らすことによって、空間がさらに節約される。例えば、パティキュレートモニタ62、差圧センサ146、および主圧力センサ(図示せず)を1つの装置に統合することによって、単一の電気コネクタおよび単一のハーネス配線のみを使って実行することができる。この部品数の減少によって、空間を節約するとともに、重量を減らす。さらには、サイクロン60は、優れた分離効率を有することができ、パティキュレートモニタ62は、他のパティキュレートモニタよりも優れた検出効率を有することができる。これによって、保守作業員がエンジンの状態をさらに詳しく診断することができ、特に、ファン駆動ギアシステム36などのオイルに敏感な装置に関して有用となり得る。
【0027】
いくつかの実施例を参照して本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、いくつかの変更がなされ、発明の要素が他の相等物と置き換えられ得ることを理解されるであろう。さらに、本発明の本質的な範囲を逸脱することなく、特定の状況および材料を、本発明の教示に適用するように、多くの修正がなされ得る。従って、本発明は、開示した特定の実施例に限定されることを意図するものではなく、本発明は、添付の請求項の範囲内にあるすべての実施例を含む。例えば、フィルタアセンブリ58は、ガスタービンエンジンの潤滑オイルに関する使用のみに限定されない。代わりに、フィルタアセンブリ58は、サイクロン60を適切に作動させるのに十分な圧力下において、他の流体に関して使用することができる。
【符号の説明】
【0028】
58…フィルタアセンブリ
60…サイクロン
62…パティキュレートモニタ
88…スタンドパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイクロンキャビティを取り囲む環状のサイクロン本体を有するサイクロン分離器と、フィルタエレメントと、を備えるアセンブリであって、
上記フィルタエレメントは、
中空コアを画定するフィルタ内面と、
上記フィルタ内面から外周側へ離間して位置するフィルタ外面と、
上記フィルタ内面と上記フィルタ外面との間に位置し、上記フィルタ内面と上記フィルタ外面とを流体的に連通させるフィルタ通路を有するフィルタ材料と、
を備え、
上記サイクロン本体が上記フィルタ内面から離間した状態で上記サイクロン分離器が上記中空コア内に配置されているアセンブリ。
【請求項2】
上記フィルタ内面およびフィルタ外面は、多孔性であることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
上記サイクロン分離器と流体的に連通する入口通路と、上記フィルタエレメントと流体的に連通する出口通路と、を有するパティキュレートモニタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
上記サイクロン分離器と上記フィルタエレメントを収容し、かつ上記パティキュレートモニタが固定されたハウジングをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
流体ポンプを有するガスタービンエンジンに適用され、流体的に上記流体ポンプと上記フィルタエレメントとの間に上記パティキュレートモニタが位置するように上記流体ポンプが上記パティキュレートモニタに接続されていることを特徴とする請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項6】
上記サイクロン本体と上記フィルタ内面との間の空間によって画定され、上記サイクロン分離器の出口と、上記フィルタエレメントのフィルタ通路と、を流体的に連通させる環状流路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
上記環状流路からバイパスフィルタへ延びるバイパス通路と、
上記環状流路内の圧力が閾値を超えたときに、上記環状流路と上記バイパスフィルタとを流体的に連通させるバイパス弁と、
をさらに備える請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
上記フィルタエレメントの両側間の差圧を検出する圧力センサをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
上記フィルタエレメントは、潤滑オイルに含まれるガスタービンエンジン破片を濾過するオイルフィルタであることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
中空コアを有するインサイド−アウト型液体フィルタエレメントと、
上記中空コア内に配置され、環状流路によって上記インサイド−アウト型液体フィルタエレメントから離間して配置されたサイクロン分離器と、
を備える潤滑液濾過アセンブリ。
【請求項11】
上記環状流路を介して、上記サイクロン分離器の出口と上記インサイド−アウト型液体フィルタエレメントの入口面とが、流体的に連通することを特徴とする請求項10に記載の潤滑液濾過アセンブリ。
【請求項12】
上記サイクロン分離器と、上記インサイド−アウト型液体フィルタエレメントの入口面と、の間に、流体的に介在するパティキュレートモニタをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の潤滑液濾過アセンブリ。
【請求項13】
サイクロンキャビティを画定する環状壁と、捕集器キャビティを画定する捕集器壁と、を有するサイクロン本体と、
上記環状壁の内側にこれとほぼ同軸となるように配置され、上記サイクロンキャビティ内に位置する第1のパイプ入口と、上記サイクロン本体の外部へ延びている第1のパイプ出口と、を有する第1のパイプと、
上記第1のパイプの内側に配置され、上記捕集器キャビティ内に位置する第2のパイプ入口と、上記サイクロン本体の外部へ延びている第2のパイプ出口と、を有する第2のパイプと、
を備えるサイクロン分離器。
【請求項14】
上記第2のパイプ出口に配置されたオイル内破片モニタをさらに備える請求項13に記載のサイクロン分離器。
【請求項15】
上記第2のパイプは、上記第1のパイプおよび上記環状壁とほぼ同軸となるように配置されることを特徴とする請求項13に記載のサイクロン分離器。
【請求項16】
上記サイクロン本体にサイクロン入口の位置で接続され、上記環状壁と上記第1のパイプとの間で流体が旋回するように、上記環状壁の接線方向に、流体を上記サイクロンキャビティ内へ供給する導入パイプをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載のサイクロン分離器。
【請求項17】
上記サイクロン分離器は、潤滑液からガスタービンエンジン破片を遠心分離する液体分離器であることを特徴とする請求項13に記載のサイクロン分離器。
【請求項18】
サイクロンキャビティを画定する環状壁と、
上記サイクロンキャビティと流体的に連通する捕集器キャビティを画定する捕集器壁と、
上記サイクロンキャビティと上記サイクロン分離器の外部とを流体的に連通させる第1の通路と、
上記捕集器キャビティと上記第1の通路とを流体的に連通させる第2の通路と、
上記第1の通路内に配置され、流体を上記第2の通路から上記第1の通路内へ吸い上げるエジェクタと、
を備えるサイクロン分離器。
【請求項19】
上記エジェクタは、上記サイクロンキャビティ内の第1の通路の一部に配置されることを特徴とする請求項18に記載のサイクロン分離器。
【請求項20】
上記第2の通路に沿って配置され、上記第2の通路を通流する微粒子を監視するパティキュレートモニタをさらに備えることを特徴とする請求項18に記載のサイクロン分離器。
【請求項21】
上記サイクロン分離器は、潤滑液からガスタービンエンジン破片を遠心分離する液体分離器であることを特徴とする請求項18に記載のサイクロン分離器。
【請求項22】
サイクロンキャビティを画定する壁と、
上記サイクロンキャビティ内に位置するs第1の通路入口と、上記サイクロン分離器の外部に位置する第1の通路出口と、を有する第1の通路と、
上記サイクロンキャビティ内に位置する第2の通路入口と、上記第1の通路に接続する第2の通路出口と、を有する第2の通路と、
上記第2の通路内を流れている破片を検出するオイル内破片モニタと、
を備えるサイクロン分離器。
【請求項23】
上記サイクロン分離器は、サイクロン上部およびサイクロン底部を有し、上記第2の通路入口は、上記サイクロン底部と上記第1の通路入口との間に位置することを特徴とする請求項22に記載のサイクロン分離器。
【請求項24】
上記サイクロンキャビティから、上記第2の通路を通るように、微粒子高含有オイルを引き出すエジェクタをさらに備える請求項22に記載のサイクロン分離器。
【請求項25】
上記流体内破片モニタは、上記第2の通路の外径の周囲に巻かれた電気コイルを含むことを特徴とする請求項22に記載のサイクロン分離器。
【請求項26】
上記サイクロン分離器は、潤滑液からガスタービンエンジン破片を遠心分離する液体分離器であることを特徴とする請求項22に記載のサイクロン分離器。
【請求項27】
流体内の微粒子を監視する方法であって、
サイクロン分離器に流体を流入させ、
上記サイクロン分離器を使って、微粒子低含有流と微粒子高含有流とを生成するように流体を分離し、
上記微粒子高含有流に含まれる微粒子を監視し、
上記微粒子低含有流と微粒子高含有流とを再混合すること、
を含む方法。
【請求項28】
上記微粒子高含有流は、上記微粒子低含有流と比較して、約200ミクロン以上の直径を有する微粒子を実質的に多く含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
流体中の微粒子を監視した後、この流体を、主フィルタに通流させることを含む請求項27の方法。
【請求項30】
上記主フィルタが中空コアを有し、流体が、該中空コアから上記主フィルタを通流して上記主フィルタの外部へ流れることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
上記主フィルタの上流における流体圧力が閾値を超えた場合、流体を、フィルタバイパス弁を介してバイパスフィルタへ流すことをさらに含む請求項29に記載の方法。
【請求項32】
上記微粒子低含有流と微粒子高含有流とを再混合した後、この流体を濾過することをさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項33】
流体を濾過した後、この流体をガスタービンエンジン内の部品へ流すことをさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項34】
微粒子を監視することが、約200ミクロンより小さい微粒子を検出することを含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項35】
上記フィルタの上流における流体と上記フィルタの下流における流体との差圧を検出することをさらに含む請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【公開番号】特開2010−253474(P2010−253474A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101777(P2010−101777)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.
【Fターム(参考)】