説明

アダプター装置およびその製造方法並びに回路装置の電気的検査装置

【課題】被検査電極の配置パターンに関わらず、被検査電極のピッチが微小で高密度に配置されていても、所要の電気的接続が確実に達成されるアダプター装置およびその製造方法並びに回路装置の電気的検査装置を提供する。
【解決手段】製造方法は、金属箔14上に磁性を示す複数の接点部材13が形成された接点部材複合体13F上に、磁性を示す導電性粒子を含む導電性エラストマー用材料層を形成し、当該材料層上に、磁性を示す複数の金属マスクを接点部材と対向するよう配置し、当該材料層の厚み方向に磁場を作用させ、硬化処理して導電性エラストマー層を形成し、これをレーザー加工して複数の導電路形成部11を形成し、金属マスクを除去した後、接点部材複合体を絶縁部用材料層12Aが形成されたアダプター本体上に重ね合わせ、接続用電極21とこれに対応する導電路形成部とを対接させ、絶縁部用材料層を硬化処理して絶縁部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント回路基板などの回路装置の電気的検査に用いられるアダプター装置およびその製造方法、並びにこのアダプター装置を具えた回路装置の電気的検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に集積回路装置、その他の電子部品などを構成するまたは搭載するための回路基板については、電子部品などを組み立てる以前に或いは電子部品などを搭載する以前に、当該回路基板の配線パターンが所期の性能を有することを確認するためにその電気的特性を検査することが必要である。
従来、回路基板の電気的検査を実行する方法としては、縦横に並ぶ格子点位置に従って複数の検査電極が配置されてなる検査電極装置と、この検査電極装置の検査電極に検査対象である回路基板の被検査電極を電気的に接続するアダプターとを組み合わせて用いる方法などが知られている。この方法において用いられるアダプターは、ピッチ変換ボードと称されるプリント配線板よりなるものである。
このアダプターとしては、一面に検査対象である回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って配置された複数の接続用電極を有し、他面に検査電極装置の検査電極と同一のピッチの格子点位置に配置された複数の端子電極を有するもの、一面に検査対象である回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って配置された、電流供給用接続用電極および電圧測定用接続用電極よりなる複数の接続用電極対を有し、他面に検査電極装置の検査電極と同一のピッチの格子点位置に配置された複数の端子電極を有するものなどが知られており、前者のアダプターは、例えば回路基板における各回路のオープン・ショート試験などに用いられ、後者のアダプターは、回路基板における各回路の電気抵抗測定試験に用いられている。
而して、回路基板の電気的検査においては、一般に、検査対象である回路基板とアダプターとの安定な電気的接続を達成するために、検査対象である回路基板とアダプターとの間に、異方導電性エラストマーシートを介在させることが行われている。
【0003】
この異方導電性エラストマーシートは、厚さ方向にのみ導電性を示すもの、あるいは加圧されたときに厚さ方向にのみ導電性を示す多数の加圧導電性導電部を有するものである。
このような異方導電性エラストマーシートとしては、従来、種々の構造のものが知られており、その代表的な例としては、金属粒子をエラストマー中に均一に分散して得られるもの(例えば特許文献1参照。)、導電性磁性金属粒子をエラストマー中に不均一に分散させることにより、厚み方向に伸びる多数の導電路形成部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とが形成されてなるもの(例えば特許文献2参照。)、導電路形成部の表面と絶縁部との間に段差が形成されたもの(例えば特許文献3参照。)などが挙げられる。
そして、ピッチの小さい被検査電極を有する回路基板に対しては、当該回路基板の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って導電路形成部が形成されてなる異方導電性エラストマーシートが、高い接続信頼性が得られる点で好ましい。
【0004】
然るに、このような異方導電性エラストマーシートは、それ自体が単独の製品として製造され、また単独で取り扱われるものであって、電気的接続作業においてはアダプターおよび回路基板に対して特定の位置関係をもって保持固定することが必要である。
しかしながら、独立した異方導電性エラストマーシートを利用して回路基板の電気的接続を達成する手段においては、検査対象である回路基板における被検査電極のピッチ、すなわち互いに隣接する被検査電極の中心間距離が小さくなるに従って異方導電性エラストマーシートの位置合わせおよび保持固定が困難となる、という問題点がある。
また、一旦は所望の位置合わせおよび保持固定が実現された場合においても、温度変化による熱履歴を受けた場合などには、熱膨張および熱収縮による応力の程度が、検査対象である回路基板を構成する材料と異方導電性エラストマーシートを構成する材料との間で大きく異なるため、電気的接続状態が変化して安定な接続状態が維持されない、という問題点がある。
【0005】
従来、以上のような問題を解決するために、表面に検査対象である回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って配置された接続用電極を有し、裏面に格子点位置に従って配置された端子電極を有するアダプター本体と、このアダプター本体の表面上に一体的に設けられた異方導電性エラストマーシートとよりなるアダプター装置が提案されている(例えば特許文献4および特許文献5参照。)。
【0006】
そして、このようなアダプター装置の製造において、異方導電性エラストマーシートは例えば次のようにして形成される。
先ず、図38に示すように、接続用電極91が形成されたアダプター本体90の表面(図38において上面)に、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質形成材料中に導電性磁性体粒子が分散されてなる異方導電性エラストマー用材料を例えばスクリーン印刷によって塗布することにより、異方導電性エラストマー用材料層95Aを形成する。
【0007】
次いで、図39に示すように、例えば検査対象である回路基板の被検査電極と同一のパターンに従って強磁性体部81が配置されると共に、当該強磁性体部81以外の部分に非磁性体部82が配置されてなる一方の型板(以下、「上型」という。)80と、検査対象である回路基板の被検査電極と対掌のパターンに従って強磁性体部86が配置されると共に、当該強磁性体部86以外の部分に非磁性体部87が配置されてなる他方の型板(以下、「下型」という。)85とを用い、上型80と下型85との間に、異方導電性エラストマー用材料層95Aが形成されたアダプター本体90を、その接続用電極91が当該上型80の強磁性体部81と下型85の強磁性体部86との間に位置するよう配置し、更に、上型80の上面および下型85の下面に一対の電磁石83,88を配置する。
【0008】
そして、電磁石83,88を作動させることにより、上型80の強磁性体部81からこれに対応する下型85の強磁性体部86に向かう方向に平行磁場を作用させる。このとき、上型80の強磁性体部81および下型85の強磁性体部86の各々が磁極として作用するため、上型80の強磁性体部81と下型85の強磁性体部86との間の領域には、それ以外の領域よりも大きい強度の磁場が作用する。その結果、異方導電性エラストマー用材料層95Aにおいては、当該異方導電性エラストマー用材料層95A中に分散されていた導電性磁性体粒子が、上型80の強磁性体部81と下型85の強磁性体部86との間に位置する部分すなわちアダプター本体90の接続用電極91上に位置する部分に向かって移動して当該部分に集合し、更に厚み方向に並ぶよう配向する。
この状態で、異方導電性エラストマー用材料層95Aに対して例えば加熱による硬化処理を行うことにより、図40に示すように、厚み方向に伸びる多数の導電路形成部96とこれらを相互に絶縁する絶縁部97とよりなる異方導電性エラストマーシート95が、当該導電路形成部96が接続用電極91上に配置された状態でアダプター本体90の上面に一体的に形成され、以てアダプター装置が製造される。
【0009】
このようなアダプター装置によれば、回路基板の電気的検査において、異方導電性エラストマーシートの位置合わせ作業が不要であり、また、温度変化による熱履歴などの環境の変化に対しても良好な電気的接続状態が安定に維持され、従って高い接続信頼性が得られる。
【0010】
しかしながら、上記のアダプター装置においては、以下のような問題がある。
電子部品を構成または搭載するための回路基板としては、その電極が例えば矩形の四辺に沿って枠状に配置されてなるものが知られており、このような回路基板の電気的検査を行うためには、図41に示すように、接続用電極91が矩形の四辺に沿って枠状に配置されてなるアダプター本体90を有するアダプター装置を用いることが必要である。このようなアダプター装置においては、図41において一点鎖線で示すように、アダプター本体90の表面における接続用電極91を含む例えば矩形の領域に異方導電性エラストマーシート95が設けられる。
【0011】
然るに、このような異方導電性エラストマーシート95はその中央部分がすべて絶縁部となるため、当該異方導電性エラストマーシート95の形成において、異方導電性エラストマー用材料層95Aの中央部分に存在する導電性粒子についてはその移動距離が極めて長いものとなる結果、当該導電性粒子を導電路形成部となるべき部分に確実に集合させることは困難である。そのため、得られる導電路形成部96には、所要の量の導電性粒子が充填されず、しかも、絶縁部97には、相当な量の導電性粒子が残存するため、所期の異方導電性エラストマー層を確実に形成することができない。
【0012】
また、現在、集積回路装置においては、その高機能化、高容量化に伴って電極数が増加し、電極のピッチすなわち隣接する電極の中心間距離が小さくなって高密度化が一層推進される傾向にある。従って、このような集積回路装置を構成または搭載するための回路基板に対して電気的検査を行う場合には、接続用電極がそのピッチが小さくて高密度に配置されたアダプター装置を用いることが必要である。
而して、このようなアダプター装置の製造において、アダプター本体90の表面に異方導電性エラストマーシート95を形成する場合には、当然のことながら強磁性体部81,86が極めて小さいピッチで配置された上型80および下型85を用いることが必要である。
【0013】
然るに、このような上型80および下型85を用い、上述のようにして異方導電性エラストマーシート95を形成する場合には、図42に示すように、上型80および下型85の各々において、或る強磁性体部81a,86aとこれに隣接する強磁性体部81b,86bとの離間距離が小さく、しかも、アダプター本体90が存在することにより、その厚みによって上型80および下型85の間隔が相当に大きいものとなるため、上型80の強磁性体部81aからこれに対応する下型85の強磁性体部86aに向かう方向(矢印Xで示す)のみならず、例えば上型80の強磁性体部81aからこれに対応する下型85の強磁性体部86aに隣接する強磁性体部86bに向かう方向(矢印Yで示す)にも磁場が作用することとなる。そのため、異方導電性エラストマー用材料層95Aにおいて、導電性磁性体粒子を、上型80の強磁性体部81aとこれに対応する下型85の強磁性体部86aとの間に位置する部分に集合させることが困難となり、上型80の強磁性体部81aと下型85の強磁性体部86bとの間に位置する部分にも導電性磁性体粒子が集合してしまい、また、導電性磁性体粒子を異方導電性エラストマー用材料層95Aの厚み方向に十分に配向させることが困難となり、その結果、所期の導電路形成部および絶縁部を有する異方導電性エラストマーシートが得られない。
【0014】
また、異方導電性エラストマーシートの形成においては、前述したように、上型80および下型85の2つの型板が必要である。これらの型板は、目的とするアダプター装置に応じて個別的に製造されるものであり、また、その製造工程が煩雑なものであるため、アダプター装置の製造コストが極めて高いものとなり、延いては回路装置の検査コストの増大を招く。
【0015】
このような問題を解決するため、導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる導電性エラストマー層をレーザー加工して成形することにより、目的とするパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成し、この導電路形成部が形成された離型性支持板を、絶縁部用材料層が形成されたアダプター本体上に重ね合わせることにより、アダプター本体の接続用電極の各々とこれに対応する導電路形成部とを対接させ、この状態で絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成する方法が提案されている(特許文献6参照。)。
しかしながら、このような方法においては、以下のような問題があることが判明した。 高い導電性を有する異方導電性エラストマーシートを得るためには、導電性粒子が高い割合で含有された導電路形成部を形成することが肝要である。一方、高い凹凸吸収性を有する異方導電性エラストマーシートを得るためには、厚みの大きい導電路形成部を形成することが肝要である。
而して、上記の製造方法において、導電性粒子が高い割合で含有された厚みの大きい導電路形成部を形成するためには、導電性粒子が高い割合で含有された厚みの大きい導電性エラストマー層を形成することが必要となる。
然るに、このような導電性エラストマー層は、レーザー加工によって成形しにくいものであるため、所期の導電路形成部を得ることが困難である。
【0016】
【特許文献1】特開昭51−93393号公報
【特許文献2】特開昭53−147772号公報
【特許文献3】特開昭61−250906号公報
【特許文献4】特開平4−151564号公報
【特許文献5】特開平6−82531号公報
【特許文献6】特開2004−342597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その第1の目的は、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができるアダプター装置およびその製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的検査を確実に実行することができると共に、検査対象である回路装置の被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的検査を確実に実行することができる回路装置の電気的検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のアダプター装置の製造方法は、表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従って複数の接続用電極が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、このアダプター本体の接続用電極領域上に一体的に設けられた、前記接続用電極の各々の表面上に位置された厚み方向に伸びる複数の導電路形成部およびこれらを相互に絶縁する絶縁部よりなる異方導電性シートと、この異方導電性シートの導電路形成部上に一体的に設けられた金属よりなる接点部材とよりなるアダプター装置を製造する方法であって、
金属箔上に、前記接続用電極に係る特定のパターンに従ってそれぞれ磁性を示す金属よりなる複数の接点部材が形成されてなる接点部材複合体を用意し、
この接点部材複合体上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層上に、それぞれ磁性を示す金属よりなる複数の金属マスクの各々を、当該導電性エラストマー用材料層を介して前記接点部材と互いに対向するよう配置し、この状態で、当該導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成し、当該導電性エラストマー層をレーザー加工して前記接点部材と前記金属マスクとの間に位置する部分以外の部分を除去することにより、前記特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成し、
各導電路形成部上に配置された金属マスクを除去し、その後、当該導電路形成部が形成された接点部材複合体を、硬化されて弾性高分子物質となる材料よりなる絶縁部用材料層が接続用電極領域上に形成されたアダプター本体上に重ね合わせることにより、当該アダプター本体の接続用電極領域における接続用電極の各々とこれに対応する導電路形成部とを対接させ、この状態で前記絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成する工程を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明のアダプター装置の製造方法は、表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従ってそれぞれ電流供給用および電圧測定用の2つの接続用電極からなる複数の接続用電極対が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、このアダプター本体の接続用電極領域上に一体的に設けられた、前記接続用電極の各々の表面上に位置された厚み方向に伸びる複数の導電路形成部およびこれらを相互に絶縁する絶縁部よりなる異方導電性シートと、この異方導電性シートの導電路形成部上に一体的に設けられた金属よりなる接点部材とよりなるアダプター装置を製造する方法であって、 金属箔上に、前記接続用電極に係る特定のパターンに従ってそれぞれ磁性を示す金属よりなる複数の接点部材が形成されてなる接点部材複合体を用意し、
この接点部材複合体上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層上に、それぞれ磁性を示す金属よりなる複数の金属マスクの各々を、当該導電性エラストマー用材料層を介して前記接点部材と互いに対向するよう配置し、この状態で、当該導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成し、当該導電性エラストマー層をレーザー加工して前記接点部材と前記金属マスクとの間に位置する部分以外の部分を除去することにより、前記特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成し、
各導電路形成部上に配置された金属マスクを除去し、その後、当該導電路形成部が形成された接点部材複合体を、硬化されて弾性高分子物質となる材料よりなる絶縁部用材料層が接続用電極領域上に形成されたアダプター本体上に重ね合わせることにより、当該アダプター本体の接続用電極領域における接続用電極の各々とこれに対応する導電路形成部とを対接させ、この状態で前記絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成する工程を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明のアダプター装置の製造方法は、表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従って複数の接続用電極が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、このアダプター本体の接続用電極領域上に一体的に設けられた、前記接続用電極の各々の表面上に位置された厚み方向に伸びる複数の導電路形成部およびこれらを相互に絶縁する絶縁部よりなる異方導電性シートとよりなるアダプター装置を製造する方法であって、
離型性支持板上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層上に、それぞれ磁性を示す金属よりなる複数の金属マスクを、前記接続用電極に係る特定のパターンに従って配置し、この状態で、当該導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成し、当該導電性エラストマー層をレーザー加工して前記金属マスクが配置された部分以外の部分を除去することにより、前記特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成し、
各導電路形成部上に配置された金属マスクを除去し、その後、当該導電路形成部が形成された離型性支持板を、硬化されて弾性高分子物質となる材料よりなる絶縁部用材料層が接続用電極領域上に形成されたアダプター本体上に重ね合わせることにより、当該アダプター本体の接続用電極領域における接続用電極の各々とこれに対応する導電路形成部とを対接させ、この状態で前記絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成する工程を有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明のアダプター装置の製造方法は、表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従ってそれぞれ電流供給用および電圧測定用の2つの接続用電極からなる複数の接続用電極対が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、このアダプター本体の接続用電極領域上に一体的に設けられた、前記接続用電極の各々の表面上に位置された厚み方向に伸びる複数の導電路形成部およびこれらを相互に絶縁する絶縁部よりなる異方導電性シートとよりなるアダプター装置を製造する方法であって、 離型性支持板上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層上に、それぞれ磁性を示す金属よりなる複数の金属マスクを、前記接続用電極に係る特定のパターンに従って配置し、この状態で、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成し、当該導電性エラストマー層をレーザー加工して前記金属マスクが配置された部分以外の部分を除去することにより、前記特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成し、
各導電路形成部上に配置された金属マスクを除去し、その後、当該導電路形成部が形成された離型性支持板を、硬化されて弾性高分子物質となる材料よりなる絶縁部用材料層が接続用電極領域上に形成されたアダプター本体上に重ね合わせることにより、当該アダプター本体の接続用電極領域における接続用電極の各々とこれに対応する導電路形成部とを対接させ、この状態で前記絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成する工程を有することを特徴とする。
【0022】
本発明のアダプター装置の製造方法においては、レーザー加工としては、炭酸ガスレーザーまたは紫外線レーザーによるものを好適に用いることができる。
【0023】
本発明のアダプター装置は、上記の製造方法によって得られることを特徴とする。
【0024】
本発明の回路装置の電気的検査装置は、上記のアダプター装置を具えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明のアダプター装置の製造方法によれば、導電性エラストマー用材料層上に、特定のパターンに従って磁性を示す金属マスクを配置した状態で、当該導電性エラスマー用材料層の厚み方向に磁場を作用させると共に当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、得られる導電性エラストマー層は、金属マスクが配置された部分すなわち導電路形成部となる部分における導電性粒子が密となると共に、それ以外の部分における導電性粒子が疎となり、これにより、当該導電性エラストマー層における導電路形成部となる部分以外の部分をレーザー加工によって除去することが極めて容易となる。そのため、導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、所期の形態の導電路形成部を確実に形成することができる。そして、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成したうえで、これらの導電路形成部の間に絶縁部用材料層を形成して硬化処理することにより絶縁部を形成するため、導電性粒子が全く存在しない絶縁部を確実に得ることができる。
従って、このような方法によって得られる本発明のアダプター装置によれば、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができる。
【0026】
本発明の回路装置の電気的検査装置によれば、上記のアダプター装置を具えてなるため、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的検査を確実に実行することができると共に、回路装置の被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〈アダプター装置〉
図1は、本発明に係るアダプター装置の第1の例における構成を示す説明用断面図であり、図2は、図1に示すアダプター装置におけるアダプター本体を示す説明用断面図である。このアダプター装置は、例えばプリント回路基板などの回路装置について、例えばオープン・ショート試験を行うために用いられるものであって、多層配線板よりなるアダプター本体20を有する。
アダプター本体20の表面(図1および図2において上面)には、検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応する特定のパターンに従って複数の接続用電極21が配置された接続用電極領域25が形成されている。
アダプター本体20の裏面には、例えばピッチが0.8mm、0.75mm、1.5mm、1.8mm、2.54mmの格子点位置に従って複数の端子電極22が配置され、端子電極22の各々は、内部配線部23によって接続用電極21に電気的に接続されている。
【0028】
このようなアダプター本体20の表面には、その接続用電極領域25上に異方導電性シート10が一体的に接着乃至密着した状態で形成されている。図示の例では、アダプター本体20の表面全体を覆うよう異方導電性シート10が形成されている。
この異方導電性シート10は、アダプター本体20における接続用電極21に係る特定のパターンと同一のパターンに従って配置された、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部11と、隣接する導電路形成部11の間に当該導電路形成部11の各々に一体的に接着した状態で形成された、これらの導電路形成部11を相互に絶縁する絶縁部12とにより構成されており、当該異方導電性シート10は、導電路形成部11の各々がアダプター本体20の接続用電極21上に位置されるよう配置されている。
図3に拡大して示すように、各導電路形成部11は、絶縁性の弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されて構成されている。これに対し、絶縁部12は、導電性粒子Pを全く含有しない弾性高分子物質により構成されている。導電路形成部11を構成する弾性高分子物質と絶縁部12を構成する弾性高分子物質とは、互いに異なる種類のものであっても同じ種類のものであってもよい。
図示の例において、導電路形成部11は絶縁部12の表面から突出するよう形成されている。このような例によれば、加圧による圧縮の程度が絶縁部12より導電路形成部11において大きいために十分に抵抗値の低い導電路が確実に導電路形成部11に形成され、これにより、加圧力の変化乃至変動に対して抵抗値の変化を小さくすることができ、その結果、異方導電性シート10に作用される加圧力が不均一であっても、各導電路形成部11間における導電性のバラツキの発生を防止することができる。
【0029】
導電路形成部11および絶縁部12を構成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する高分子物質が好ましい。このような弾性高分子物質を得るために用いることのできる硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のものを用いることができ、その具体例としては、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。
以上において、異方導電性シート10に耐候性が要求される場合には、共役ジエン系ゴム以外のものを用いることが好ましく、特に、成形加工性および電気特性の観点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0030】
シリコーンゴムとしては、液状シリコーンゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコーンゴムは、その粘度が歪速度10-1secで105 ポアズ以下のものが好ましく、縮合型のもの、付加型のもの、ビニル基やヒドロキシル基を含有するものなどのいずれであってもよい。具体的には、ジメチルシリコーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。
また、シリコーンゴムは、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分子量をいう。以下同じ。)が10,000〜40,000のものであることが好ましい。また、得られる導電路形成部11に良好な耐熱性が得られることから、分子量分布指数(標準ポリスチレン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同じ。)が2以下のものが好ましい。
【0031】
導電路形成部11に含有される導電性粒子Pとしては、後述する方法により当該粒子を容易に厚み方向に並ぶよう配向させることができることから、磁性を示す導電性粒子が用いられる。このような導電性粒子の具体例としては、鉄、コバルト、ニッケルなどの磁性を有する金属の粒子若しくはこれらの合金の粒子またはこれらの金属を含有する粒子、またはこれらの粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの導電性の良好な金属のメッキを施したもの、あるいは非磁性金属粒子若しくはガラスビーズなどの無機物質粒子またはポリマー粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性金属のメッキを施したものなどが挙げられる。
これらの中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に導電性の良好な金のメッキを施したものを用いることが好ましい。
芯粒子の表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば化学メッキまたは電解メッキ法、スパッタリング法、蒸着法などが用いられている。
【0032】
導電性粒子Pとして、芯粒子の表面に導電性金属が被覆されてなるものを用いる場合には、良好な導電性が得られることから、粒子表面における導電性金属の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%である。
また、導電性金属の被覆量は、芯粒子の0.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜25質量%、特に好ましくは4〜20質量%である。被覆される導電性金属が金である場合には、その被覆量は、芯粒子の0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0033】
また、導電性粒子Pの粒子径は、1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは3〜30μm、特に好ましくは4〜20μmである。 また、導電性粒子Pの粒子径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1.01〜7、さらに好ましくは1.05〜5、特に好ましくは1.1〜4である。
このような条件を満足する導電性粒子を用いることにより、得られる導電路形成部11は、加圧変形が容易なものとなり、また、当該導電路形成部11において導電性粒子間に十分な電気的接触が得られる。
また、導電性粒子Pの形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子であることが好ましい。
また、導電性粒子Pとして、その表面がシランカップリング剤などのカップリング剤や潤滑剤で処理されたものを適宜用いることができる。カップリング剤や潤滑剤で粒子表面を処理することにより、異方導電性シート10の耐久性が向上する。
【0034】
このような導電性粒子Pは、導電路形成部11中に体積分率で15〜45%、好ましくは20〜40%となる割合で含有されていることが好ましい。この割合が過小である場合には、十分に電気抵抗値の小さい導電路形成部11が得られないことがある。一方、この割合が過大である場合には、得られる導電路形成部11は脆弱なものとなりやすく、導電路形成部11として必要な弾性が得られないことがある。
【0035】
異方導電性シート10における導電路形成部11の各々の表面には、金属よりなる平板状の接点部材13が当該導電路形成部11に一体的に設けられている。
接点部材13を構成する金属としては、磁性を示すものが用いられ、その具体例としては、ニッケル、コバルトまたはこれらの合金などが挙げられる。
また、接点部材13の厚みは、1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは5〜40μmである。。
【0036】
本発明において、上記の第1の例のアダプター装置は、以下の(a)〜(d)の工程を経由して得られる。
(a)金属箔上に、アダプター本体20の接続用電極領域25における接続用電極21に係る特定のパターンに従ってそれぞれ磁性を示す金属よりなる複数の接点部材13が形成されてなる接点部材複合体を製造する。
(b)接点部材複合体上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子Pが含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層上に、それぞれ磁性を示す金属よりなる複数の金属マスクの各々を、当該導電性エラストマー用材料層を介して接点部材13と互いに対向するよう配置し、この状態で、導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成する。
(c)導電性エラストマー層をレーザー加工して接点部材13と金属マスクとの間に位置する部分以外の部分を除去することにより、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部11を形成する。
(d)各導電路形成部11上に配置された金属マスクを除去し、その後、導電路形成部11が形成された接点部材複合体を、硬化されて弾性高分子物質となる材料よりなる絶縁部用材料層が接続用電極領域25上に形成されたアダプター本体20上に重ね合わせることにより、アダプター本体20の接続用電極領域25における接続用電極21の各々とこれに対応する導電路形成部11とを対接させ、この状態で絶縁部用材料層を硬化処理することにより、アダプター本体20の接続用電極領域25上に絶縁部12を一体的に形成する。
以下、第1の例のアダプター装置の製造方法を具体的に説明する。
【0037】
《接点部材複合体の製造》
図4に示すように、金属箔14上に、フォトリソグラフィーの手法により、特定のパターンに従って開口15Kが形成されたレジスト層15を形成する。その後、金属箔14におけるレジスト層15の開口15Kを介して露出した部分の表面に、磁性を示す金属によるメッキ処理を施すことにより、図5に示すように、レジスト層15の開口15Kの各々に接点部材13を形成する。これにより、金属箔14上に特定のパターンに従って複数の接点部材13が形成されてなる接点部材複合体13Fが得られる。
以上において、金属箔14としては、銅、ニッケルなどを用いることができる。また、金属箔14は、樹脂フィルム上に積層されたものであってもよい。
金属箔14の厚みは、0.05〜2μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。この厚みが過小である場合には、均一な薄層が形成されず、メッキ電極として不適なものとなることがある。一方、この厚みが過大である場合には、例えばエッチングによって除去することが困難となることがある。
レジスト層15の厚みは、形成すべき接点部材13の厚みに応じて設定される。
【0038】
《金属マスク複合体の製造》
図6に示すように、金属箔16上に、フォトリソグラフィーの手法により、特定のパターンに従って開口17Kが形成されたレジスト層17を形成する。その後、金属箔16におけるレジスト層17の開口17Kを介して露出した部分の表面に、磁性を示す金属によるメッキ処理を施すことにより、図7に示すように、レジスト層17の開口17Kの各々に金属マスク18を形成する。これにより、金属箔16上に特定のパターンに従って複数の金属マスク18が形成されてなる金属マスク複合体18Fが得られる。
以上において、金属箔16としては、銅、ニッケルなどを用いることができる。また、金属箔16は、樹脂フィルム上に積層されたものであってもよい。
金属箔16の厚みは、0.05〜2μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。この厚みが過小である場合には、均一な薄層が形成されず、メッキ電極として不適なものとなることがある。一方、この厚みが過大である場合には、例えばエッチングによって除去することが困難となることがある。
レジスト層17の厚みは、形成すべき金属マスク18の厚みに応じて設定される。
【0039】
《導電性エラストマー層の形成》
硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子が分散されてなる導電性エラストマー用材料を調製し、図8に示すように、接点部材複合体13Fにおける接点部材13が形成された一面上に、導電性エラストマー用材料を塗布することによって導電性エラストマー用材料層11Aを形成する。そして、図9に示すように、この導電性エラストマー用材料層11A上に、金属マスク複合体18Fを、その金属マスク18の各々が当該導電性エラストマー用材料層11Aを介して接点部材13の各々と互いに対向するよう配置する。ここで、導電性エラストマー用材料層11A中においては、磁性を示す導電性粒子Pが分散された状態で含有されている。
次いで、導電性エラストマー用材料層11Aに対し、接点部材13および金属マスク18を介して当該導電性エラストマー用材料層11Aの厚み方向に磁場を作用させる。これにより、接点部材13および金属マスク18の各々が磁性を示す金属により形成されているため、導電性エラストマー用材料層11Aにおける接点部材13と金属マスク18との間に位置する部分には、それ以外の部分より大きい強度の磁場が形成される。その結果、導電性エラストマー用材料層11A中に分散されていた導電性粒子Pは、図10に示すように、接点部材13と金属マスク18との間に位置する部分に集合し、更に当該導電性エラストマー用材料層11Aの厚み方向に並ぶよう配向する。そして、導電性エラストマー用材料層11Aに対する磁場の作用を継続しながら、或いは磁場の作用を停止した後、導電性エラストマー用材料層11Aの硬化処理を行うことにより、図11に示すように、弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる導電性エラストマー層11Bが、接続部材複合体13F上に一体的に形成される。
【0040】
以上において、導電性エラストマー用材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷などの印刷法、ロール塗布法、ブレード塗布法などを利用することができる。
導電性エラストマー用材料層11Aの厚みは、形成すべき導電路形成部の厚みに応じて設定される。
導電性エラストマー用材料層11Aに磁場を作用させる手段としては、電磁石、永久磁石などを用いることができる。
導電性エラストマー用材料層11Aに作用させる磁場の強度は、0.2〜2.5テスラとなる大きさが好ましい。
導電性エラストマー用材料層11Aの硬化処理は、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、導電性エラストマー用材料層11Aを構成する高分子物質形成材料の種類、導電性粒子の移動に要する時間などを考慮して適宜設定される。
【0041】
《導電路形成部の形成》
先ず、導電性エラストマー層11B上に配置された金属マスク複合体18Fにおける金属箔16に対して、エッチング処理を施して除去することにより、図12に示すように、金属マスク18およびレジスト層17を露出させる。そして、導電性エラストマー層11Bおよびレジスト層17に対してレーザー加工を施すことにより、レジスト層17、導電性エラストマー層11Bにおける接点部材13と金属マスク18との間に位置する部分以外の部分およびレジスト層15が除去され、その結果、図13に示すように、接点部材複合体13Fにおける各接点部材13上に、導電路形成部11が形成される。その後、導電路形成部11の表面から金属マスク18を剥離する。
ここで、レーザー加工は、炭酸ガスレーザーまたは紫外線レーザーによるものが好ましく、これにより、目的とする形態の導電路形成部11を確実に形成することができる。
【0042】
《絶縁部の形成》
図14に示すように、アダプター本体20の表面に、硬化されて絶縁性の弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料を塗布することにより、絶縁部用材料層12Aを形成する。次いで、図15に示すように、複数の導電路形成部11が形成された接点部材複合体13Fを、絶縁部用材料層12Aが形成されたアダプター本体20上に重ね合わせることにより、当該アダプター本体20の接続用電極領域25における接続用電極21の各々とこれに対応する導電路形成部11とを対接させる。これにより、隣接する導電路形成部11の間に絶縁部用材料層12Aが形成された状態となる。その後、この状態で、絶縁部用材料層12Aの硬化処理を行うことにより、図16に示すように、隣接する導電路形成部11の間にこれらを相互に絶縁する絶縁部12が、導電路形成部11およびアダプター本体20に一体的に形成される。
そして、接点部材複合体13Fにおける金属箔14を例えばエッチング処理によって除去することにより、アダプター本体20の表面に異方導電性シート10が一体的に形成されてなる、図1に示す構成のアダプター装置が得られる。
【0043】
以上において、高分子物質形成材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷などの印刷法、ロール塗布法、ブレード塗布法などを利用することができる。
絶縁部用材料層12Aの厚みは、形成すべき絶縁部の厚みに応じて設定される。
絶縁部用材料層12Aの硬化処理は、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、絶縁部用材料層12Aを構成する高分子物質形成材料の種類などを考慮して適宜設定される。
【0044】
上記の製造方法によれば、それぞれ磁性を示す金属よりなる複数の接点部材13が接続用電極21に係る特定のパターンに従って形成されてなる接点部材複合体13F上に導電性エラストマー用材料層11Aを形成し、当該導電性エラストマー用材料層11A上に、特定のパターンに従って磁性を示す金属マスク18を配置した状態で、当該導電性エラスマー用材料層11Aの厚み方向に磁場を作用させると共に当該導電性エラストマー用材料層11Aを硬化処理することにより、得られる導電性エラストマー層11Bは、接点部材13と金属マスク18との間に位置する部分すなわち導電路形成部となる部分における導電性粒子Pが密となると共に、それ以外の部分における導電性粒子Pが疎となり、これにより、当該導電性エラストマー層11Bにおける導電路形成部となる部分以外の部分をレーザー加工によって除去することが極めて容易となる。そのため、導電性エラストマー層11Bをレーザー加工することにより、所期の形態の導電路形成部11を確実に形成することができる。そして、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部11を形成したうえで、これらの導電路形成部11の間に絶縁部用材料層12Aを形成して硬化処理することにより絶縁部12を形成するため、導電性粒子Pが全く存在しない絶縁部12を確実に得ることができる。
従って、このような方法によって得られる本発明のアダプター装置によれば、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができる。
【0045】
図17は、本発明に係るアダプター装置の第2の例における構成を示す説明用断面図であり、図18は、図17に示すアダプター装置におけるアダプター本体を示す説明用断面図である。このアダプター装置は、例えばプリント回路基板などの回路装置について、各配線パターンの電気抵抗測定試験を行うために用いられるものであって、多層配線板よりなるアダプター本体20を有する。
アダプター本体20の表面(図17および図18において上面)には、それぞれ同一の被検査電極に電気的に接続される互いに離間して配置された電流供給用の接続用電極(以下、「電流供給用電極」ともいう。)21bおよび電圧測定用の接続用電極(以下、「電圧測定用電極」ともいう。)21cよりなる複数の接続用電極対21aが配置された接続用電極領域25が形成されている。これらの接続用電極対21aは、検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置されている。
アダプター本体20の裏面には、例えばピッチが0.8mm、0.75mm、1.5mm、1.8mm、2.54mmの格子点位置に従って複数の端子電極22が配置されている。
そして、電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの各々は、内部配線部23によって端子電極22に電気的に接続されている。
【0046】
このようなアダプター本体20の表面には、その接続用電極領域25上に異方導電性シート10が一体的に接着乃至密着した状態で形成されている。図示の例では、アダプター本体20の表面全体を覆うよう異方導電性シート10が形成されている。
この異方導電性シート10は、アダプター本体20における接続用電極21b,21cに係る特定のパターンと同一のパターンに従って配置された、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部11と、隣接する導電路形成部11の間に当該導電路形成部11の各々に一体的に接着した状態で形成された、これらの導電路形成部11を相互に絶縁する絶縁部12とにより構成されており、当該異方導電性シート10は、導電路形成部11の各々がアダプター本体20の接続用電極21b,21c上に位置されるよう配置されている。この異方導電性シート10における導電路形成部11および絶縁部12は、第1の例におけるアダプター装置における異方導電性シート10と基本的に同様の構成である。すなわち、図19に示すように、導電路形成部11の各々は、絶縁性の弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されて構成されている。これに対し、絶縁部12は、導電性粒子Pを全く含有しない弾性高分子物質により構成されている。図示の例において、導電路形成部11の各々は、絶縁部12の表面から突出する突出部が形成されている。
異方導電性シート10の弾性高分子物質、導電性粒子およびその他の具体的な構成は、前述の第1の例に係る異方導電性シート10と同様である。
異方導電性シート10における導電路形成部11の各々の表面には、金属よりなる平板状の接点部材13が当該導電路形成部11に一体的に設けられている。接点部材13の材質および寸法は、前述の第1の例に係る異方導電性シート10と同様の構成である。
【0047】
本発明において、第2の例のアダプター装置は、前述の第1の例のアダプター装置と同様にして製造することができる。
すなわち、第2の例のアダプター装置は、以下の(a)〜(d)の工程を経由して得られる。
(a)金属箔上に、アダプター本体20の接続用電極領域25における接続用電極21b,21cに係る特定のパターンに従ってそれぞれ磁性を示す金属よりなる複数の接点部材13が形成されてなる接点部材複合体を製造する。
(b)接点部材複合体上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子Pが含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層上に、それぞれ磁性を示す金属よりなる複数の金属マスクの各々を、当該導電性エラストマー用材料層を介して接点部材13と互いに対向するよう配置し、この状態で、導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成する。
(c)導電性エラストマー層をレーザー加工して接点部材13と金属マスクとの間に位置する部分以外の部分を除去することにより、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部11を形成する。
(d)各導電路形成部11上に配置された金属マスクを除去し、その後、導電路形成部11が形成された接点部材複合体を、硬化されて弾性高分子物質となる材料よりなる絶縁部用材料層が接続用電極領域25上に形成されたアダプター本体20上に重ね合わせることにより、アダプター本体20の接続用電極領域25における接続用電極21b,21cの各々とこれに対応する導電路形成部11とを対接させ、この状態で絶縁部用材料層を硬化処理することにより、アダプター本体20の接続用電極領域25上に絶縁部12を一体的に形成する。
【0048】
そして、このような製造方法によれば、それぞれ磁性を示す金属よりなる複数の接点部材13が接続用電極21b,21cに係る特定のパターンに従って形成されてなる接点部材複合体上に導電性エラストマー用材料層を形成し、当該導電性エラストマー用材料層上に、特定のパターンに従って磁性を示す金属マスクを配置した状態で、当該導電性エラスマー用材料層の厚み方向に磁場を作用させると共に当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、得られる導電性エラストマー層は、接点部材13と金属マスクとの間に位置する部分すなわち導電路形成部となる部分における導電性粒子Pが密となると共に、それ以外の部分における導電性粒子Pが疎となり、これにより、当該導電性エラストマー層における導電路形成部となる部分以外の部分をレーザー加工によって除去することが極めて容易となる。そのため、導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、所期の形態の導電路形成部11を確実に形成することができる。そして、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部11を形成したうえで、これらの導電路形成部11の間に絶縁部用材料層を形成して硬化処理することにより絶縁部を形成するため、導電性粒子Pが全く存在しない絶縁部11を確実に得ることができる。
従って、このような方法によって得られる本発明のアダプター装置によれば、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができる。
【0049】
図20は、本発明に係るアダプター装置の第3の例における構成を示す説明用断面図である。このアダプター装置は、例えばプリント回路基板などの回路装置について、例えばオープン・ショート試験を行うために用いられるものであって、第1の例のアダプター装置と同様の構成のアダプター本体20を有する。
このアダプター本体20の表面には、その接続用電極領域25上に異方導電性シート10が一体的に接着乃至密着した状態で形成されている。図示の例では、アダプター本体20の表面全体を覆うよう異方導電性シート10が形成されている。
この異方導電性シート10は、アダプター本体20における接続用電極21に係る特定のパターンと同一のパターンに従って配置された、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部11と、隣接する導電路形成部11の間に当該導電路形成部11の各々に一体的に接着した状態で形成された、これらの導電路形成部11を相互に絶縁する絶縁部12とにより構成されており、当該異方導電性シート10は、導電路形成部11の各々がアダプター本体20の接続用電極21上に位置されるよう配置されている。この異方導電性シート10における導電路形成部11および絶縁部12は、第1の例におけるアダプター装置における異方導電性シート10と基本的に同様の構成である。すなわち、図21に示すように、導電路形成部11の各々は、絶縁性の弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されて構成されている。これに対し、絶縁部12は、導電性粒子Pを全く含有しない弾性高分子物質により構成されている。図示の例において、導電路形成部11の各々は、絶縁部12の表面から突出する突出部が形成されている。
異方導電性シート10の弾性高分子物質、導電性粒子およびその他の具体的な構成は、前述の第1の例に係る異方導電性シート10と同様である。
【0050】
本発明において、上記の第3の例のアダプター装置は、以下の(a1)〜(c1)の工程を経由して得られる。
(a1)離型性支持板上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子Pが含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層上に、それぞれ磁性を示す金属よりなる複数の金属マスクの各々を、アダプター本体20の接続用電極領域25における接続用電極21に係る特定のパターンに従って配置し、この状態で、導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成する。
(b1)導電性エラストマー層をレーザー加工して金属マスクが配置された部分以外の部分を除去することにより、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部11を形成する。
(c1)各導電路形成部11上に配置された金属マスクを除去し、その後、導電路形成部11が形成された離型性支持板を、硬化されて弾性高分子物質となる材料よりなる絶縁部用材料層が接続用電極領域25上に形成されたアダプター本体20上に重ね合わせることにより、アダプター本体20の接続用電極領域25における接続用電極21の各々とこれに対応する導電路形成部11とを対接させ、この状態で絶縁部用材料層を硬化処理することにより、アダプター本体20の接続用電極領域25上に絶縁部12を一体的に形成する。
以下、第3の例のアダプター装置の製造方法を具体的に説明する。
【0051】
《金属マスク複合体の製造》
前述の第1の例のアダプター装置の製造方法と同様にして、金属箔16上に特定のパターンに従って複数の金属マスク18が形成されてなる金属マスク複合体18Fを製造する(図6および図7参照)。
【0052】
《導電性エラストマー層の形成》
硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子が分散されてなる導電性エラストマー用材料を調製し、図22に示すように、離型性支持板19上に、導電性エラストマー用材料を塗布することによって導電性エラストマー用材料層11Aを形成する。そして、図23に示すように、この導電性エラストマー用材料層11A上に、金属マスク複合体18Fを、その金属マスク18の各々が当該導電性エラストマー用材料層11Aに接するよう配置する。ここで、導電性エラストマー用材料層11A中においては、磁性を示す導電性粒子Pが分散された状態で含有されている。
次いで、導電性エラストマー用材料層11Aに対し、金属マスク18を介して当該導電性エラストマー用材料層11Aの厚み方向に磁場を作用させる。これにより、金属マスク18の各々が磁性を示す金属により形成されているため、導電性エラストマー用材料層11Aにおける金属マスク18が配置された部分には、それ以外の部分より大きい強度の磁場が形成される。その結果、導電性エラストマー用材料層11A中に分散されていた導電性粒子Pは、図24に示すように、金属マスク18が配置された部分に集合し、更に当該導電性エラストマー用材料層11Aの厚み方向に並ぶよう配向する。そして、導電性エラストマー用材料層11Aに対する磁場の作用を継続しながら、或いは磁場の作用を停止した後、導電性エラストマー用材料層11Aの硬化処理を行うことにより、図25に示すように、弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる導電性エラストマー層11Bが、離型性支持板19上に形成される。
【0053】
以上において、離型性支持板19を構成する材料としては、金属、セラミックス、樹脂およびこれらの複合材などを用いることができる。
導電性エラストマー用材料を塗布する方法、導電性エラストマー用材料層11Aの厚みは、導電性エラストマー用材料層11Aに磁場を作用させる手段、導電性エラストマー用材料層11Aに作用させる磁場の強度、および導電性エラストマー用材料層11Aの硬化処理の条件などは,前述の第1の例のアダプター装置の製造方法と同様である。
【0054】
《導電路形成部の形成》
先ず、導電性エラストマー層11B上に配置された金属マスク複合体18Fにおける金属箔16に対して、エッチング処理を施して除去することにより、図26に示すように、金属マスク18およびレジスト層17を露出させる。そして、導電性エラストマー層11Bおよびレジスト層17に対してレーザー加工を施すことにより、レジスト層17、導電性エラストマー層11Bにおける金属マスク18が配置された部分以外の部分およびレジスト層15が除去され、その結果、図27に示すように、離型性支持板19上に、導電路形成部11が形成される。その後、導電路形成部11の表面から金属マスク18を剥離する。
ここで、レーザー加工は、炭酸ガスレーザーによるものが好ましく、これにより、目的とする形態の導電路形成部11を確実に形成することができる。
【0055】
《絶縁部の形成》
図28に示すように、アダプター本体20の表面に、硬化されて絶縁性の弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料を塗布することにより、絶縁部用材料層12Aを形成する。次いで、図29に示すように、複数の導電路形成部11が形成された離型性支持板19を、絶縁部用材料層12Aが形成されたアダプター本体20上に重ね合わせることにより、当該アダプター本体20の接続用電極領域25における接続用電極21の各々とこれに対応する導電路形成部11とを対接させる。これにより、隣接する導電路形成部11の間に絶縁部用材料層12Aが形成された状態となる。その後、この状態で、絶縁部用材料層12Aの硬化処理を行うことにより、図30に示すように、隣接する導電路形成部11の間にこれらを相互に絶縁する絶縁部12が、導電路形成部11およびアダプター本体20に一体的に形成される。
そして、離型性支持板19を剥離させることにより、アダプター本体20の表面に異方導電性シート10が一体的に形成されてなる、図20に示す構成のアダプター装置が得られる。
以上において、高分子物質形成材料を塗布する方法、絶縁部用材料層12Aの厚み、絶縁部用材料層12Aの硬化処理の条件などは、前述の第1の例のアダプター装置の製造方法と同様である。
【0056】
上記の製造方法によれば、導電性エラストマー用材料層11A上に、特定のパターンに従って磁性を示す金属マスク18を配置した状態で、当該導電性エラスマー用材料層11Aの厚み方向に磁場を作用させると共に当該導電性エラストマー用材料層11Aを硬化処理することにより、得られる導電性エラストマー層11Bは、金属マスク18が配置された部分すなわち導電路形成部となる部分における導電性粒子Pが密となると共に、それ以外の部分における導電性粒子Pが疎となり、これにより、当該導電性エラストマー層11Bにおける導電路形成部となる部分以外の部分をレーザー加工によって除去することが極めて容易となる。そのため、導電性エラストマー層11Bをレーザー加工することにより、所期の形態の導電路形成部11を確実に形成することができる。そして、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部11を形成したうえで、これらの導電路形成部11の間に絶縁部用材料層12Aを形成して硬化処理することにより絶縁部12を形成するため、導電性粒子Pが全く存在しない絶縁部12を確実に得ることができる。
従って、このような方法によって得られる本発明のアダプター装置によれば、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができる。
【0057】
図31は、本発明に係るアダプター装置の第4の例における構成を示す説明用断面図でありる。このアダプター装置は、例えばプリント回路基板などの回路装置について、各配線パターンの電気抵抗測定試験を行うために用いられるものであって、前述の第2の例のアダプター装置と同様の構成のアダプター本体20を有する。
このアダプター本体20の表面には、その接続用電極領域25上に異方導電性シート10が一体的に接着乃至密着した状態で形成されている。図示の例では、アダプター本体20の表面全体を覆うよう異方導電性シート10が形成されている。
この異方導電性シート10は、アダプター本体20における接続用電極21b,21cに係る特定のパターンと同一のパターンに従って配置された、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部11と、隣接する導電路形成部11の間に当該導電路形成部11の各々に一体的に接着した状態で形成された、これらの導電路形成部11を相互に絶縁する絶縁部12とにより構成されており、当該異方導電性シート10は、導電路形成部11の各々がアダプター本体20の接続用電極21b,21c上に位置されるよう配置されている。この異方導電性シート10における導電路形成部11および絶縁部12は、第1の例におけるアダプター装置における異方導電性シート10と基本的に同様の構成である。すなわち、図32に示すように、導電路形成部11の各々は、絶縁性の弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されて構成されている。これに対し、絶縁部12は、導電性粒子Pを全く含有しない弾性高分子物質により構成されている。図示の例において、導電路形成部11の各々は、絶縁部12の表面から突出する突出部が形成されている。
異方導電性シート10の弾性高分子物質、導電性粒子およびその他の具体的な構成は、前述の第1の例に係る異方導電性シート10と同様である。
【0058】
本発明において、第4の例のアダプター装置は、前述の第3の例のアダプター装置と同様にして製造することができる。
すなわち、第4の例のアダプター装置は、以下の(a1)〜(c1)の工程を経由して得られる。
(a1)離型性支持板上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子Pが含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層上に、それぞれ磁性を示す金属よりなる複数の金属マスクの各々を、アダプター本体20の接続用電極領域25における接続用電極21b,21cに係る特定のパターンに従って配置し、この状態で、導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成する。
(b1)導電性エラストマー層をレーザー加工して金属マスクが配置された部分以外の部分を除去することにより、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部11を形成する。
(c1)各導電路形成部11上に配置された金属マスクを除去し、その後、導電路形成部11が形成された離型性支持板を、硬化されて弾性高分子物質となる材料よりなる絶縁部用材料層が接続用電極領域25上に形成されたアダプター本体20上に重ね合わせることにより、アダプター本体20の接続用電極領域25における接続用電極21b,21cの各々とこれに対応する導電路形成部11とを対接させ、この状態で絶縁部用材料層を硬化処理することにより、アダプター本体20の接続用電極領域25上に絶縁部12を一体的に形成する。
【0059】
そして、このような製造方法によれば、導電性エラストマー用材料層上に、特定のパターンに従って磁性を示す金属マスクを配置した状態で、当該導電性エラスマー用材料層の厚み方向に磁場を作用させると共に当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、得られる導電性エラストマー層は、金属マスクが配置された部分すなわち導電路形成部となる部分における導電性粒子Pが密となると共に、それ以外の部分における導電性粒子Pが疎となり、これにより、当該導電性エラストマー層における導電路形成部となる部分以外の部分をレーザー加工によって除去することが極めて容易となる。そのため、導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、所期の形態の導電路形成部11を確実に形成することができる。そして、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部11を形成したうえで、これらの導電路形成部11の間に絶縁部用材料層を形成して硬化処理することにより絶縁部を形成するため、導電性粒子Pが全く存在しない絶縁部11を確実に得ることができる。
従って、このような方法によって得られる本発明のアダプター装置によれば、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができる。
【0060】
〈回路装置の電気的検査装置〉
図33は、本発明に係る回路基板の電気的検査装置の第1の例における構成を示す説明図である。この電気的検査装置は、両面に被検査電極6,7が形成されたプリント回路基板などの回路装置5について、例えばオープン・ショート試験を行うものであって、回路装置5を検査実行領域Eに保持するためのホルダー2を有し、このホルダー2には、回路装置5を検査実行領域Eにおける適正な位置に配置するための位置決めピン3が設けられている。検査実行領域Eの上方には、図1に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび上部側検査ヘッド50aが下からこの順で配置され、更に、上部側検査ヘッド50aの上方には、上部側支持板56aが配置されており、上部側検査ヘッド50aは、支柱54aによって支持板56aに固定されている。一方、検査実行領域Eの下方には、図1に示すような構成の下部側アダプター装置1bおよび下部側検査ヘッド50bが上からこの順で配置され、更に、下部側検査ヘッド50bの下方には、下部側支持板56bが配置されており、下部側検査ヘッド50bは、支柱54bによって下部側支持板56bに固定されている。
上部側検査ヘッド50aは、板状の検査電極装置51aと、この検査電極装置51aの下面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55aとにより構成されている。検査電極装置51aは、その下面に上部側アダプター装置1aの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52aを有し、これらの検査電極52aの各々は、電線53aによって、上部側支持板56aに設けられたコネクター57aに電気的に接続され、更に、このコネクター57aを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
下部側検査ヘッド50bは、板状の検査電極装置51bと、この検査電極装置51bの上面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55bとにより構成されている。検査電極装置51bは、その上面に下部側アダプター装置1bの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52bを有し、これらの検査電極52bの各々は、電線53bによって、下部側支持板56bに設けられたコネクター57bに電気的に接続され、更に、このコネクター57bを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
【0061】
上部側検査ヘッド50aおよび下部側検査ヘッド50bにおける異方導電性シート55a,55bは、いずれもその厚み方向にのみ導電路を形成する導電路形成部が形成されてなるものである。このような異方導電性シート55a,55bとしては、各導電路形成部が少なくとも一面において厚み方向に突出するよう形成されているものが、高い電気的な接触安定性を発揮する点で好ましい。
【0062】
このような回路基板の電気的検査装置においては、検査対象である回路装置5がホルダー2によって検査実行領域Eに保持され、この状態で、上部側支持板56aおよび下部側支持板56bの各々が回路装置5に接近する方向に移動することにより、当該回路装置5が上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bによって挟圧される。
この状態においては、回路装置5の上面における被検査電極6は、上部側アダプター装置1aの接続用電極21に、当該異方導電性シート10の導電路形成部11を介して電気的に接続され、この上部側アダプター装置1aの端子電極22は、異方導電性シート55aを介して検査電極装置51aの検査電極52aに電気的に接続されている。一方、回路装置5の下面における被検査電極7は、下部側アダプター装置1bの接続用電極21に、当該異方導電性シート10の導電路形成部11を介して電気的に接続され、この下部側アダプター装置1bの端子電極22は、異方導電性シート55bを介して検査電極装置51bの検査電極50bに電気的に接続されている。
【0063】
このようにして、回路装置5の上面および下面の両方の被検査電極6,7の各々が、上部側検査ヘッド50aにおける検査電極装置51aの検査電極52aおよび下部側検査ヘッド50bにおける検査電極装置51bの検査電極52bの各々に電気的に接続されることにより、テスターの検査回路に電気的に接続された状態が達成され、この状態で所要の電気的検査が行われる。
【0064】
上記の回路基板の電気的検査装置によれば、図1に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bを有するため、回路装置5の被検査電極6,7の配置パターンに関わらず、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができると共に、回路装置5の被検査電極6,7が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【0065】
図34は、本発明に係る回路基板の電気的検査装置の第2の例における構成を示す説明図である。この電気的検査装置は、両面に被検査電極6,7が形成されたプリント回路基板などの回路装置5について、各配線パターンの電気抵抗測定試験を行うためのものであって、回路装置5を検査実行領域Eに保持するためのホルダー2を有し、このホルダー2には、回路装置5を検査実行領域Eにおける適正な位置に配置するための位置決めピン3が設けられている。
検査実行領域Eの上方には、図17に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび上部側検査ヘッド50aが下からこの順で配置され、更に、上部側検査ヘッド50aの上方には、上部側支持板56aが配置されており、上部側検査ヘッド50aは、支柱54aによって支持板56aに固定されている。一方、検査実行領域Eの下方には、図17に示すような構成の下部側アダプター装置1bおよび下部側検査ヘッド50bが上からこの順で配置され、更に、下部側検査ヘッド50bの下方には、下部側支持板56bが配置されており、下部側検査ヘッド50bは、支柱54bによって支持板56bに固定されている。
上部側検査ヘッド50aは、板状の検査電極装置51aと、この検査電極装置51aの下面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55aとにより構成されている。検査電極装置51aは、その下面に上部側アダプター装置1aの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52aを有し、これらの検査電極52aの各々は、電線53aによって、上部側支持板56aに設けられたコネクター57aに電気的に接続され、更に、このコネクター57aを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
下部側検査ヘッド50bは、板状の検査電極装置51bと、この検査電極装置51bの上面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55bとにより構成されている。検査電極装置51bは、その上面に下部側アダプター装置1bの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52bを有し、これらの検査電極52bの各々は、電線53bによって、下部側支持板56bに設けられたコネクター57bに電気的に接続され、更に、このコネクター57bを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
上部側検査ヘッド50aおよび下部側検査ヘッド50bにおける異方導電性シート55a,55bは、第1の例の電気的検査装置と基本的に同様の構成である。
【0066】
このような回路基板の電気的検査装置においては、検査対象である回路装置5がホルダー2によって検査実行領域Eに保持され、この状態で、上部側支持板56aおよび下部側支持板56bの各々が回路装置5に接近する方向に移動することにより、当該回路装置5が上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bによって挟圧される。
この状態においては、回路装置5の上面における被検査電極6は、上部側アダプター装置1aの接続用電極対21aにおける電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの両方に、異方導電性シート10の導電路形成部11を介して電気的に接続され、この上部側アダプター装置1aの端子電極22は、異方導電性シート55aを介して検査電極装置51aの検査電極52aに電気的に接続されている。一方、回路装置5の下面における被検査電極7は、下部側アダプター装置1bの接続用電極対21aにおける電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの両方に、異方導電性シート10の導電路形成部11を介して電気的に接続され、この下部側アダプター装置1bの端子電極22は、異方導電性シート55bを介して検査電極装置51bの検査電極52bに電気的に接続されている。
【0067】
このようにして、回路装置5の上面および下面の両方の被検査電極6,7の各々が、上部側検査ヘッド50aにおける検査電極装置51aの検査電極52aおよび下部側検査ヘッド50bにおける検査電極装置51bの検査電極52bの各々に電気的に接続されることにより、テスターの検査回路に電気的に接続された状態が達成され、この状態で所要の電気的検査が行われる。具体的には、上部側アダプター装置1aにおける電流供給用電極21bと下部側アダプター装置1bにおける電流供給用電極21bとの間に一定の値の電流が供給されると共に、上部側のアダプター装置1aにおける複数の電圧測定用電極21cの中から1つを指定し、当該指定された1つの電圧測定用電極21cと、当該電圧測定用電極21cに電気的に接続された上面側の被検査電極6に対応する下面側の被検査電極7に電気的に接続された、下部側アダプター装置1bにおける電圧測定用電極21cとの間の電圧が測定され、得られた電圧値に基づいて、当該指定された1つの電圧測定用電極21cに電気的に接続された上面側の被検査電極6とこれに対応する下面側の被検査電極7との間に形成された配線パターンの電気抵抗値が取得される。そして、指定する電圧測定用電極21cを順次変更することにより、全ての配線パターンの電気抵抗の測定が行われる。
【0068】
上記の回路基板の電気的検査装置によれば、図17に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bを有するため、回路装置5の被検査電極6,7の配置パターンに関わらず、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができると共に、回路装置5の被検査電極6,7が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【0069】
本発明においては、上記の実施の形態に限定されず、例えば以下のような種々の変更を加えることが可能である。
(1)異方導電性シート10においては、異方導電性シート10における導電路形成部11に突出部が形成されることは必須のことではなく、異方導電性シート10の表面全体が平坦なものであってもよい。
(2)アダプター装置において、異方導電性シート10は、アダプター本体20の接続用電極領域25のみを覆うよう配置されていてもよい。
(3)検査対象である回路装置は、プリント回路基板に限定されず、パッケージIC、MCMなどの半導体集積回路装置、ウエハに形成された回路装置であってもよい。
(4)導電路形成部11の形成においては、レーザー加工によって導電性エラストマー層11Bにおける導電路形成部となる部分以外の部分の全部が除去されることにより、導電路形成部11を形成することもできるが、図35および図36に示すように、導電性エラストマー層11Bにおける導電路形成部となる部分の周辺部分のみが除去されることにより、導電路形成部11を形成することもできる。この場合には、導電性エラストマー層11Bの残部は、接点部材複合体13Fから機械的に剥離することによって除去することができる。
(5)本発明のアダプター装置においては、図37に示すように、アダプター本体20上に一体的に設けられた異方導電性シート10上に、更に、弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向して連鎖を形成した状態でかつ当該導電性粒子Pによる連鎖が面方向に分散した状態で含有されてなる、いわゆる分散型の異方導電性シート30を配置することができる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0071】
〈実施例1〉
(1)アダプター本体の製造:
図2に示す構成に従い、下記の仕様のアダプター本体(20)を製造した。
すなわち、このアダプター本体(20)は、縦横の寸法が160mm×120mmで、基板材質がガラス繊維補強型エポキシ樹脂であり、当該アダプター本体(20)の表面における接続用電極領域には、寸法が120μm×60μmの矩形の接続用電極(21)が、最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)で合計で4800個配置されている。また、アダプター本体(20)の裏面には、直径が400μmの円形の端子電極(22)が、750μmのピッチで合計で4800個配置されている。
【0072】
(2)接点部材複合体の製造:
ポリエチレンテレフタレートよりなる厚みが100μmの樹脂フィルムの一面に、厚みが18μmの銅よりなる金属箔(14)が剥離可能に積層されてなる積層材料を用意し、この積層材料における金属箔(14)の表面に、フォトリソグラフィーの手法により、それぞれ寸法が120μm×60μmの矩形の4800個の開口(15K)が、最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)で形成された、厚みが80μmのレジスト層(15)を形成した(図4参照)。その後、金属箔(14)の表面に電解ニッケルメッキ処理を施すことにより、レジスト層(15)の各開口(15K)内に厚みが約80μmのニッケルよりなる接点部材(13)を形成し、以て、接点部材複合体(13F)を製造した(図5参照)。
ここで、メッキ処理は、メッキ浴の温度が50℃で、電流密度が2.5A/dmで、メッキ処理時間が2時間の条件で行った。
【0073】
(3)金属マスク複合体の作製
ポリエチレンテレフタレートよりなる厚みが100μmの樹脂フィルムの一面に、厚みが18μmの銅よりなる金属箔(16)が剥離可能に積層されてなる積層材料を用意し、この積層材料における金属箔(16)の表面に、フォトリソグラフィーの手法により、それぞれ寸法が120μm×60μmの矩形の4800個の開口(17K)が、最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)で形成された、厚みが80μmのレジスト層(17)を形成した(図6参照)。その後、金属箔(16)の表面に電解ニッケルメッキ処理を施すことにより、レジスト層(17)の各開口(17K)内に厚みが約80μmのニッケルよりなる金属マスク(18)を形成し、以て、金属スマク複合体(18F)を製造した(図7参照)。
ここで、メッキ処理は、メッキ浴の温度が50℃で、電流密度が2.5A/dmで、メッキ処理時間が2時間の条件で行った。
【0074】
(4)導電性エラストマー層の形成:
付加型液状シリコーンゴム100重量部中に、ニッケルよりなる芯粒子に金が被覆されてなる導電性粒子(数平均粒子径が15μm,芯粒子に対する金の割合が4重量%)70重量部を分散させることにより、導電性エラストマー用材料を調製した。この導電性エラストマー用材料を、接点部材複合体(13F)における接点部材(13)が形成された一面上に、スクリーン印刷により塗布することにより、厚みが150μmの導電性エラストマー用材料層(11A)を形成した(図8参照)。
次いで、この導電性エラストマー用材料層(11A)上に、金属マスク複合体(18F)を、その金属マスク(18)の各々が当該導電性エラストマー用材料層(11A)を介して接点部材13の各々と互いに対向するよう配置し、この状態で、導電性導電性エラストマー用材料層(11A)に対して、電磁石によって厚み方向に2テスラの磁場を作用させながら、120℃、1時間の条件で硬化処理を行うことにより、接点部材複合体(13F)上に支持された厚みが150μmの導電性エラストマー層(11B)を形成した(図9乃至図11参照)。
【0075】
(5)導電路形成部の形成:
金属マスク複合体(18F)における金属箔(16)の表面から樹脂フィルムを剥離し、露出した金属箔(16)に対して、塩化第二鉄系エッチング液を用い、50℃、30秒間の条件でエッチング処理によって、当該金属箔(16)を除去することにより、金属マスク(18)およびレジスト層(17)を露出させた(図12参照)。そして、この状態で、導電性エラストマー層(11B)およびレジスト層(27)に対して、金属マスク(18)を介して炭酸ガスレーザー装置によってレーザー加工を施すことにより、それぞれ接点部材複合体(13F)上に支持された4800個の導電路形成部(11)を形成した(図13参照)。その後、導電路形成部(11)の表面から金属マスク(18)を剥離した。
以上において、炭酸ガスレーザー装置によるレーザー加工条件は、以下の通りである。 すなわち、装置として、炭酸ガスレーザー加工機「ML−605GTX」(三菱電機(株)製)を用い、レーザービーム径が直径60μm,レーザー出力が0.8mJの条件で、1つの加工点にレーザービームを10ショット照射することによりレーザー加工を行った。
【0076】
(6)絶縁部の形成:
アダプター本体(20)の表面に、付加型液状シリコーンゴムを塗布することにより、厚みが100μmの絶縁部用材料層(12A)を形成し、この絶縁部用材料層(12A)上に、4800個の導電路形成部(11)が形成された接点部材複合体(13F)上を位置合わせして重ね合わせることにより、当該アダプター本体(20)の接続用電極(22)の各々とこれに対応する導電路形成部(11)とを対接させた(図14および図15参照)。そして、接点部材複合体(13F)に800kgfの圧力を加えることにより、導電路形成部(11)の厚みを150μmから120μmに弾性的に圧縮させ、この状態で、120℃、1時間の条件で、絶縁部用材料層(12A)の硬化処理を行うことにより、隣接する導電路形成部(11)の間に絶縁部(12)を形成した(図16参照)。
その後、接点部材複合体(13F)における金属箔(14)をエッチング処理によって除去することにより、本発明のアダプター装置を製造した(図1乃至図3参照)。このアダプター装置における異方導電性シート(10)は、導電路形成部(11)の厚みが150μm、絶縁部(12)の厚みが100μm、導電路形成部(11)の最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)である。また、導電路形成部(11)は絶縁部(12)の表面から突出しており、導電路形成部(11)の突出高さが50μmであり、導電路形成部(11)における導電性粒子の割合は体積分率で50%であった。
【0077】
〈実施例2〉
導電性エラストマー材料の調製において導電性粒子の使用量を70重量部から79重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明のアダプター装置を製造した。このアダプター装置における異方導電性シート(10)は、導電路形成部(11)の厚みが150mm、絶縁部(12)の厚みが100μm、導電路形成部(11)の最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)である。また、導電路形成部(11)は絶縁部(12)の表面から突出しており、導電路形成部(11)の突出高さが50μmであり、導電路形成部(11)における導電性粒子の割合は体積分率で56%であった。
【0078】
〈比較例1〉
(1)アダプター本体の製造:
図2に示す構成に従い、下記の仕様のアダプター本体を製造した。
すなわち、このアダプター本体は、縦横の寸法が160mm×120mmで、基板材質がガラス繊維補強型エポキシ樹脂であり、当該アダプター本体の表面における接続用電極領域には、寸法が120μm×60μmの矩形の接続用電極が、最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)で合計で4800個配置されている。また、アダプター本体の裏面には、直径が400μmの円形の端子電極が、750μmのピッチで合計で4800個配置されている。
【0079】
(2)異方導電性エラストマー層形成用型の作製:
図39に示す構成に従い、下記の仕様の上型および下型を作製した。
上型における強磁性体部の各々は、縦横の寸法が160mm×120mm、厚みが100μmで、材質がニッケルであり、アダプター本体の接続用電極のパターンと対掌なパターンに従って合計で4800個配置されている。上型における非磁性体部は、厚みが150μmで、材質がドライフィルムレジストの硬化物であり、その表面が強磁性体部から50μm突出した状態に形成されている。
下型における強磁性体部の各々は、縦横の寸法が160mm×120mm、厚みが100μmで、材質がニッケルであり、アダプター本体の接続用電極のパターンと同一のパターンに従って合計で4800個配置されている。下型における非磁性体部は、厚みが100μmで、材質がドライフィルムレジストの硬化物である。
【0080】
(3)異方導電性シートの形成:
付加型液状シリコーンゴム100重量部に、平均粒子径が12μmの導電性粒子63重量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより、異方導電性エラストマー用材料を調製した。以上において、導電性粒子としては、ニッケルよりなる芯粒子に金メッキが施されてなるもの(平均被覆量:芯粒子の重量の2重量%)を用いた。この導電性エラストマー用材料をアダプター本体の表面にスクリーン印刷により塗布することにより、当該アダプター本体上に、厚みが150μmの導電性エラストマー用材料層を形成した。
次いで、下型の表面に、導電性エラストマー用材料層が形成されたアダプター本体を位置合わせして配置し、当該アダプター本体上に形成された導電性エラストマー用材料層の表面に、上型を位置合わせして配置した。その後、上型の上面および下型の下面に一対の電磁石を配置し、当該電磁石を作動させることにより、上型の強磁性体部と下型の強磁性体部との間に2テスラの磁場を作用させながら、120℃、1時間の条件で導電性エラストマー層の硬化処理を行うことにより、アダプター本体の表面に一体的に設けられた、各接続用電極上に配置された4800個の導電路形成部と、これらの導電路形成部の間に介在された絶縁部とよりなる異方導電性シートを形成し、以て、比較用のアダプター装置を製造した。このアダプター装置における異方導電性シートは、導電路形成部の厚みが150mm、絶縁部の厚みが100μm、導電路形成部の最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)である。また、導電路形成部は絶縁部の表面から突出しており、導電路形成部の突出高さが50μmであり、導電路形成部における導電性粒子の割合は体積分率で45%であった。
【0081】
〈比較例2〉
導電性エラストマー材料の調製において導電性粒子の使用量を63重量部から51重量部に変更したこと以外は比較例1と同様にして、比較用のアダプター装置を製造した。このアダプター装置における異方導電性シートは、導電路形成部の厚みが150mm、絶縁部の厚みが100μm、導電路形成部の最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)である。また、導電路形成部は絶縁部の表面から突出しており、導電路形成部の突出高さが50μmであり、導電路形成部における導電性粒子の割合は体積分率で36%であった。
【0082】
〈比較例3〉
導電性エラストマー材料の調製において導電性粒子の使用量を63重量部から84重量部に変更したこと以外は比較例1と同様にして、比較用のアダプター装置を製造した。このアダプター装置における異方導電性シートは、導電路形成部の厚みが150mm、絶縁部の厚みが100μm、導電路形成部の最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)である。また、導電路形成部は絶縁部の表面から突出しており、導電路形成部の突出高さが50μmであり、導電路形成部における導電性粒子の割合は体積分率で60%であった。
【0083】
〈比較例4〉
導電性エラストマー材料の調製において導電性粒子の使用量を63重量部から86重量部に変更したこと以外は比較例1と同様にして、比較用のアダプター装置を製造した。このアダプター装置における異方導電性シートは、導電路形成部の厚みが150mm、絶縁部の厚みが100μm、導電路形成部の最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)である。また、導電路形成部は絶縁部の表面から突出しており、導電路形成部の突出高さが50μmであり、導電路形成部における導電性粒子の割合は体積分率で61%であった。
【0084】
〔アダプター装置の評価〕
実施例1〜2および比較例1〜4で得られたアダプター装置について、電気抵抗測定器を用い、導電路形成部の各々をその厚み方向に5%圧縮した状態で、当該導電路形成部の表面と当該導電路形成部に電気的に接続された端子電極との間の電気抵抗(以下、「導通抵抗」という。)を測定し、この導通抵抗が0.1Ω以下である導電路形成部の割合を求めた。
また、実施例1〜2および比較例1〜4で得られたアダプター装置について、電気抵抗測定器を用い、導電路形成部の各々をその厚み方向に5%圧縮した状態で、互いに隣接する2つの導電路形成部(以下、「導電路形成部対」という。)の間の電気抵抗(以下、「絶縁抵抗」という。)を測定し、この絶縁抵抗が100MΩ以上である導電路形成部対の割合を求めた。
以上、結果を表1に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜2で得られたアダプター装置においては、全ての導電路形成部に高い導電性が得られ、しかも、全ての導電路形成部について、隣接する導電路形成部の間において十分な絶縁状態が達成されていることが確認された。
これに対して、比較例1〜4で得られたアダフター装置においては、高い導電性を有する導電路形成部については、これに隣接する導電路形成部との間の絶縁状態が十分に達成されておらず、一方、隣接する導電路形成部との間の絶縁状態が十分に達成された導電路形成部については、高い導電性が得られず、従って、全ての導電路形成部について、高い導電性を有し、かつ、隣接する導電路形成部との間の絶縁状態が十分に達成されたアダプター装置が得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係るアダプター装置の第1の例における構成を示す説明用断面図である。
【図2】第1の例のアダプター装置におけるアダプター本体の構成を示す説明用断面図である。
【図3】第1の例のアダプター装置における異方導電性シートの要部の構成を拡大して示す説明用断面図である。
【図4】金属箔上に特定のパターンに従って形成された複数の開口を有するレジスト層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図5】レジスト層の各開口内に接点部材が形成されて接点部材複合体が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図6】金属箔上に特定のパターンに従って形成された複数の開口を有するレジスト層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図7】レジスト層の各開口内に接点部材が形成されて金属マスク複合体が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図8】接点部材複合体上に導電性エラストマー用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図9】導電性エラストマー用材料層の表面に金属マスク複合体が配置された状態を示す説明用断面図である。
【図10】導電性エラストマー用材料層にその厚み方向に磁場が作用された状態を示す説明用断面図である。
【図11】接点部材複合体上に導電性エラストマー層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図12】金属マスク複合体の金属箔が除去された状態を示す説明用断面図である。
【図13】接点部材複合体上に特定のパターンに従って複数の導電路形成部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図14】アダプター本体上に絶縁部用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図15】絶縁部用材料層が形成されたアダプター本体上に、導電路形成部が形成された接点部材複合体が重ね合わされた状態を示す説明用断面図である。
【図16】隣接する導電路形成部間に絶縁部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図17】本発明に係るアダプター装置の第2の例における構成を示す説明用断面図である。
【図18】第2の例のアダプター装置におけるアダプター本体の構成を示す説明用断面図である。
【図19】第2の例のアダプター装置における異方導電性シートの要部の構成を拡大して示す説明用断面図である。
【図20】本発明に係るアダプター装置の第3の例における構成を示す説明用断面図である。
【図21】第3の例のアダプター装置における異方導電性シートの要部の構成を拡大して示す説明用断面図である。
【図22】離型性支持板上に導電性エラストマー用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図23】導電性エラストマー用材料層の表面に金属マスク複合体が配置された状態を示す説明用断面図である。
【図24】導電性エラストマー用材料層にその厚み方向に磁場が作用された状態を示す説明用断面図である。
【図25】離型性支持板上に導電性エラストマー層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図26】金属マスク複合体の金属箔が除去された状態を示す説明用断面図である。
【図27】離型性支持板上に特定のパターンに従って複数の導電路形成部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図28】アダプター本体上に絶縁部用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図29】絶縁部用材料層が形成されたアダプター本体上に、導電路形成部が形成された離型性支持板が重ね合わされた状態を示す説明用断面図である。
【図30】隣接する導電路形成部間に絶縁部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図31】本発明に係るアダプター装置の第4の例における構成を示す説明用断面図である。
【図32】第4の例のアダプター装置における異方導電性シートの要部の構成を拡大して示す説明用断面図である。
【図33】本発明に係る回路装置の電気的検査装置の第1の例における構成を示す説明図である。
【図34】本発明に係る回路装置の電気的検査装置の第2の例における構成を示す説明図である。
【図35】導電性エラストマー層における導電路形成部となる部分の周辺部分のみが除去されることにより、導電路形成部が形成された状態を示す説明図である。
【図36】導電性エラストマー層における導電路形成部となる部分の周辺部分のみが除去されることにより、導電路形成部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図37】本発明に係るアダプター装置の他の例における要部の構成を拡大して示す説明用断面図である。
【図38】従来のアダプター装置の製造において、アダプター本体の表面に異方導電性エラストマー用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図39】異方導電性エラストマー用材料層が形成されたアダプター本体が一方の型およひ他方の型の間に配置された状態を示す説明用断面図である。
【図40】アダプター本体の表面上に異方導電性シートが形成されてアダプター装置が製造された状態を示す説明用断面図である。
【図41】アダプター本体の接続用電極の配置状態を示す説明図である。
【図42】従来のアダプター装置の製造において、異方導電性エラストマー用材料層に作用される磁場の方向を示す説明用断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1a 上部側アダプター装置
1b 下部側アダプター装置
2 ホルダー
3 位置決めピン
5 回路装置
6,7 被検査電極
10 異方導電性シート
11 導電路形成部
11A 導電性エラストマー用材料層
11B 導電性エラストマー層
12 絶縁部
12A 絶縁部用材料層
13 接点部材
13F 接点部材複合体
14 金属箔
15 レジスト層
15K 開口
16 金属箔
17 レジスト層
17K 開口
18 金属マスク
18F 金属マスク複合体
19 離型性支持板
20 アダプター本体
21,21b,21c 接続用電極
21a 接続用電極対
22 端子電極
23 内部配線部
25 接続用電極領域
30 異方導電性シート
50a 上部側検査ヘッド
50b 下部側検査ヘッド
51a,51b 検査電極装置
52a,52b 検査電極
53a,53b 電線
54a,54b 支柱
55a,55b 異方導電性シート
56a 上部側支持板
56b 下部側支持板
57a,57b コネクター
80 一方の型板
81,81a,81b 強磁性体部
82 非磁性体部
83 電磁石
85 他方の型板
86,86a,86b 強磁性体部
87 非磁性体部
88 電磁石
90 アダプター本体
91 接続用電極
95 異方導電性エラストマーシート
95A 異方導電性エラストマー用材料層
96 導電路形成部
97 絶縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従って複数の接続用電極が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、このアダプター本体の接続用電極領域上に一体的に設けられた、前記接続用電極の各々の表面上に位置された厚み方向に伸びる複数の導電路形成部およびこれらを相互に絶縁する絶縁部よりなる異方導電性シートと、この異方導電性シートの導電路形成部上に一体的に設けられた金属よりなる接点部材とよりなるアダプター装置を製造する方法であって、
金属板上に、前記接続用電極に係る特定のパターンに従ってそれぞれ磁性を示す金属よりなる複数の接点部材が形成されてなる接点部材複合体を用意し、
この接点部材複合体上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層上に、それぞれ磁性を示す金属よりなる複数の金属マスクの各々を、当該導電性エラストマー用材料層を介して前記接点部材と互いに対向するよう配置し、この状態で、当該導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成し、当該導電性エラストマー層をレーザー加工して前記接点部材と前記金属マスクとの間に位置する部分以外の部分を除去することにより、前記特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成し、
各導電路形成部上に配置された金属マスクを除去し、その後、当該導電路形成部が形成された接点部材複合体を、硬化されて弾性高分子物質となる材料よりなる絶縁部用材料層が接続用電極領域上に形成されたアダプター本体上に重ね合わせることにより、当該アダプター本体の接続用電極領域における接続用電極の各々とこれに対応する導電路形成部とを対接させ、この状態で前記絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成する工程を有することを特徴とするアダプター装置の製造方法。
【請求項2】
表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従ってそれぞれ電流供給用および電圧測定用の2つの接続用電極からなる複数の接続用電極対が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、このアダプター本体の接続用電極領域上に一体的に設けられた、前記接続用電極の各々の表面上に位置された厚み方向に伸びる複数の導電路形成部およびこれらを相互に絶縁する絶縁部よりなる異方導電性シートと、この異方導電性シートの導電路形成部上に一体的に設けられた金属よりなる接点部材とよりなるアダプター装置を製造する方法であって、
金属板上に、前記接続用電極に係る特定のパターンに従ってそれぞれ磁性を示す金属よりなる複数の接点部材が形成されてなる接点部材複合体を用意し、
この接点部材複合体上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層上に、それぞれ磁性を示す金属よりなる複数の金属マスクの各々を、当該導電性エラストマー用材料層を介して前記接点部材と互いに対向するよう配置し、この状態で、当該導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成し、当該導電性エラストマー層をレーザー加工して前記接点部材と前記金属マスクとの間に位置する部分以外の部分を除去することにより、前記特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成し、
各導電路形成部上に配置された金属マスクを除去し、その後、当該導電路形成部が形成された接点部材複合体を、硬化されて弾性高分子物質となる材料よりなる絶縁部用材料層が接続用電極領域上に形成されたアダプター本体上に重ね合わせることにより、当該アダプター本体の接続用電極領域における接続用電極の各々とこれに対応する導電路形成部とを対接させ、この状態で前記絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成する工程を有することを特徴とするアダプター装置の製造方法。
【請求項3】
表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従って複数の接続用電極が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、このアダプター本体の接続用電極領域上に一体的に設けられた、前記接続用電極の各々の表面上に位置された厚み方向に伸びる複数の導電路形成部およびこれらを相互に絶縁する絶縁部よりなる異方導電性シートとよりなるアダプター装置を製造する方法であって、
離型性支持板上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層上に、それぞれ磁性を示す金属よりなる複数の金属マスクを、前記接続用電極に係る特定のパターンに従って配置し、この状態で、当該導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成し、当該導電性エラストマー層をレーザー加工して前記金属マスクが配置された部分以外の部分を除去することにより、前記特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成し、
各導電路形成部上に配置された金属マスクを除去し、その後、当該導電路形成部が形成された離型性支持板を、硬化されて弾性高分子物質となる材料よりなる絶縁部用材料層が接続用電極領域上に形成されたアダプター本体上に重ね合わせることにより、当該アダプター本体の接続用電極領域における接続用電極の各々とこれに対応する導電路形成部とを対接させ、この状態で前記絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成する工程を有することを特徴とするアダプター装置の製造方法。
【請求項4】
表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従ってそれぞれ電流供給用および電圧測定用の2つの接続用電極からなる複数の接続用電極対が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、このアダプター本体の接続用電極領域上に一体的に設けられた、前記接続用電極の各々の表面上に位置された厚み方向に伸びる複数の導電路形成部およびこれらを相互に絶縁する絶縁部よりなる異方導電性シートとよりなるアダプター装置を製造する方法であって、
離型性支持板上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層上に、それぞれ磁性を示す金属よりなる複数の金属マスクを、前記接続用電極に係る特定のパターンに従って配置し、この状態で、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成し、当該導電性エラストマー層をレーザー加工して前記金属マスクが配置された部分以外の部分を除去することにより、前記特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成し、
各導電路形成部上に配置された金属マスクを除去し、その後、当該導電路形成部が形成された離型性支持板を、硬化されて弾性高分子物質となる材料よりなる絶縁部用材料層が接続用電極領域上に形成されたアダプター本体上に重ね合わせることにより、当該アダプター本体の接続用電極領域における接続用電極の各々とこれに対応する導電路形成部とを対接させ、この状態で前記絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成する工程を有することを特徴とするアダプター装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の製造方法によって得られることを特徴とするアダプター装置。
【請求項6】
請求項5に記載のアダプター装置を具えてなることを特徴とする回路装置の電気的検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2007−40952(P2007−40952A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301836(P2005−301836)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】