説明

アドホックネットワークシステム

【課題】経路情報が膨大になるのを防止可能なアドホックネットワークシステムを得ること。
【解決手段】本発明にかかるアドホックネットワークシステムにおいて、ノード101(101a,101b,・・・)は、データ収集端末102に向けてメッセージを送信または転送する際の次ホップのノード101またはデータ収集端末102の識別情報およびデータ収集端末102までのホップ数を経路情報として保持し、データ収集端末102は、各ノード101が保持している経路情報を取得するとともに、取得した経路情報に基づいて集約経路情報を生成・保持し、上り送信では、各ノード101が、保持している経路情報に従ってメッセージを送信または転送し、下り送信では、データ収集端末102が集約経路情報に基づいて生成したソースルート情報をメッセージに付加して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アドホックネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
既存のネットワークインフラを用いることなく、無線通信機器間で通信を可能にする無線メッシュ(アドホック)ネットワークでは、数々のルーティングプロトコル(アドホックルーティングプロトコル)が提案されている(例えば、非特許文献1および2参照)。
【0003】
アドホックルーティングプロトコルでは、ネットワークを構成する端末の数が多くなると、中継のための経路情報(ルーティングテーブル)が膨大になり、端末のメモリ量が増加する、経路探索のための処理が増加する。このような問題を解決するための技術として、特許文献1に記載の発明が存在する。特許文献1に記載の発明では、アドホックネットワークの端末を、センター端末(親端末)とその他の子端末に分け、子端末がひとつのセンター端末にデータを送信し、その送信に対する応答を受け取るのみで、子端末間のデータ通信や親端末から子端末に返信以外のデータ送信をすることの無いネットワーク通信形態を想定し、子端末は、親端末向けの経路情報のみを保持しておき、この経路情報に従って親端末への送信を行う。親端末から子端末向けの通信については、返信が必要なメッセージにフラグを付与して送信し、メッセージ送信元の子端末から親端末への経路上においてフラグを検出した子端末が返信用の経路を一時的に保持しておくことで実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4407658号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】DSR(Dynamic Source Routing):Draft−ietf−manet−dsr−10.txt
【非特許文献2】AODV(Ad Hoc On Demand Distance Vector Routing):RFC3561
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、親端末から子端末への通信が、子端末からのメッセージに対する応答のみに限定されるという問題があった。そのため、例えば、親装置からのポーリングにより子端末からデータ送信を要求するようなシステムには対応できない。
【0007】
また、非特許文献1および非特許文献2に記載の技術(アドホックルーティングプロトコル)を適用したシステムでは、リンクエラーによるメッセージエラーを検出すると、直ちにリンクエラーを迂回する経路を探索し、メッセージの再送を実施するため、アドホックネットワーク上で、定期的にメッセージを送信するアプリケーションを用いる場合には、新たな経路を探索するための制御メッセージによりアプリケーションメッセージの阻害が発生するという問題があった。例えば、親端末が子端末から定期的に情報を収集するよう動作する場合に、新たな経路を探索するための制御メッセージが子端末からの情報収集動作の障害となるおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、親端末から子端末への通信が限定されることおよび子端末が保持する経路情報が膨大になるのを防止可能なアドホックネットワークシステムを得ることを目的とする。
【0009】
また、リンクエラーによるアプリケーションメッセージへの影響を低く抑えることが可能なアドホックネットワークシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、センサを備えたノード装置および当該ノード装置によるセンシングデータを収集するデータ収集端末からなるアドホックネットワークシステムであって、前記ノード装置は、前記データ収集端末に向けてメッセージを送信または転送する際の次ホップのノード装置またはデータ収集端末の識別情報および前記データ収集端末までのホップ数を経路情報として保持し、前記データ収集端末は、各ノード装置が保持している経路情報を取得するとともに、取得した経路情報に基づいて集約経路情報を生成・保持し、前記データ収集端末が前記ノード装置宛にメッセージを送信する動作を下り送信、前記ノード装置が前記データ収集端末宛にメッセージを送信する動作を上り送信とした場合、上り送信では、各ノード装置が、保持している経路情報に従ってメッセージを送信または転送し、下り送信では、前記データ収集端末が前記集約経路情報に基づいて生成したソースルート情報をメッセージに付加して送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ネットワークを構成するノード装置の数が増大した場合でも各ノード装置で保持する経路情報のサイズを低く抑えることが可能であるとともに、データ収集端末からノード装置への通信がノード装置からのメッセージ受信に対する応答に限定されることのないアドホックネットワークシステムを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明にかかるアドホックネットワークシステムの実施の形態1の構成例を示す図である。
【図2】図2は、データ収集端末が保持する経路情報の一例を示す図である。
【図3】図3は、データ収集端末がノードに対してメッセージを送信する動作の一例を示す図である。
【図4】図4は、データ要求メッセージの構成例を示す図である。
【図5】図5は、各ノードが保持する経路情報の一例を示す図である。
【図6−1】図6−1は、ノードがデータ収集端末に対してメッセージを送信する動作の一例を示す図である。
【図6−2】図6−2は、データメッセージの構成例を示す図である。
【図7−1】図7−1は、アドホックネットワークシステムに新たにノードが参入する動作の一例を示す図である。
【図7−2】図7−2は、アドホックネットワークシステムに新たにノードが参入する動作の一例を示す図である。
【図8】図8は、データ収集端末が保持する経路情報の一例を示す図である。
【図9】図9は、アドホックネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図10】図10は、図9に示したアドホックネットワークシステムのデータ収集端末が保持する経路情報を示す図である。
【図11】図11は、ノードでの経路更新処理を示す図である。
【図12】図12は、ノードでの経路更新処理を示す図である。
【図13】図13は、更新された経路情報を示す図である。
【図14】図14は、経路更新後のアドホックネットワークのトポロジを示す図である。
【図15−1】図15−1は、実施の形態4のアドホックネットワークシステムの動作を説明するための図である。
【図15−2】図15−2は、実施の形態4のアドホックネットワークシステムの動作を説明するための図である。
【図16】図16は、実施の形態5のアドホックネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図17】図17は、データ収集端末が保持するポーリングスケジュールの一例を示す図である。
【図18】図18は、リンクエラー発生中のアドホックネットワークシステムを示す図である。
【図19】図19は、リンクエラー発生中のポーリングスケジュールの一例を示す図である。
【図20−1】図20−1は、リンクエラー発生時の経路修復動作の一例を示す図である。
【図20−2】図20−2は、リンクエラー発生時の経路修復動作の一例を示す図である。
【図21−1】図21−1は、リンクエラー発生時の経路修復動作の一例を示す図である。
【図21−2】図21−2は、リンクエラー発生時の経路修復動作の一例を示す図である。
【図22】図22は、ノードアドホックネットワークシステムから消失した場合の一例を示す図である。
【図23−1】図23−1は、実施の形態6の経路修復動作の一例を示す図である。
【図23−2】図23−2は、経路修復メッセージの一例を示す図である。
【図24−1】図24−1は、経路修復応答メッセージの送信動作の一例を示す図である。
【図24−2】図24−2は、経路修復応答メッセージの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかるアドホックネットワークシステムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかるアドホックネットワークシステムの実施の形態1の構成例を示す図である。同図に示すアドホックネットワークシステムは、当該システムを構成する子端末であるノード101(101a,101b,101c,…)同士と、ノード101と親端末であるデータ収集端末(GW)102とが無線リンク103により接続されている。
【0015】
本実施の形態のアドホックネットワークシステムにおいてはノード101とデータ収集端末102との間でメッセージの送受信を行うこととし、ノード101は自身宛ではないメッセージを受信した場合、他のノード101またはデータ収集端末102へ転送する。すなわち、システム内で取り扱うメッセージは、送信元および送信先のいずれか一方にノード101が設定されかつ他方にデータ収集端末102が設定されているものとする。
【0016】
また、各ノード101は、図示を省略したセンサを備え、データ収集端末102からのデータ送信要求メッセージを受信した場合、もしくはデータ送信端末102へデータを送信するイベントが発生した場合に、センサにより取得したデータ(センシングデータ)を無線リンク103経由でデータ収集端末102へ送信する。
【0017】
図2は、データ収集端末102が保持する経路情報202の一例を示す図である。図示したように、経路情報202は、各ノード101から通知される3つの情報、具体的には、ノードID(node id)と、データ収集端末102を起点とした場合の前ホップノード(すなわちデータ収集端末102へデータ送信する場合の次ホップノード)の情報(prev hop)と、データ収集端末102までのホップ数(HOP)とを含んだ、ノード101ごとのノード情報203(203a,203b,203c,…)により構成されている。例えば、ノード情報203aを構成している情報はノード101aから取得されたものである。なお、図2では、データ収集端末102のノードIDを「GW」、ノード101aのノードIDを「a」、ノード101bのIDを「b」、…としている。
【0018】
図3は、データ収集端末102がノード101に対してメッセージを送信する動作の一例を示す図であり、データ収集端末102が経路情報202を用いて、ノード101gにデータ要求メッセージを送信する場合の動作を示している。図示した動作において、データ収集端末102は、まず、保持している経路情報202(図2参照)を参照することにより、送信先のノード101gまでの送信経路の情報を取得する。具体的には、経路情報202に含まれている送信先ノード101gのノード情報203gを参照し、ノード101gの前ホップノードの情報を取得する(前ホップノードがノード101cであることを把握する)。同様に、ノード101cのノード情報203cを参照してその前ホップノードがノード101aであることを把握する。さらに、ノード101aのノード情報203aを参照してその前ホップノードがデータ収集端末102であることを把握する。この結果、データ収集端末102は、ノード101gまでの送信経路であるソースルートの情報を取得する。そして、このソースルートの情報をメッセージヘッダに付加してノード101aに向けて送信する。
【0019】
図4は、データ収集端末102が送信するデータ要求メッセージの構成例を示す図である。データ要求メッセージには、送信元、送信先、送信先までのホップ数、送信先までのソースルート、メッセージの種別、送信データが含まれている。図4では、ノード101gに向けて送信されるデータ要求メッセージの例を示している。
【0020】
データ収集端末102からノード101gへのメッセージ転送処理について示す。ノード101g宛のデータを受信したノード101aは、宛先がGW(データ収集端末102)以外の場合は、メッセージに含まれているソースルートを参照し、ノード101gへの次ホップノード101cの情報を取得し、このノード101cへメッセージを転送する。
【0021】
ノード101cでも同様の処理を行い、ノード101gの情報を取得してメッセージを転送することにより、データ転送端末102からのメッセージをノード101gまで到達させる。
【0022】
ノード101gはデータ収集端末102からのメッセージ(データ要求メッセージ)を受信すると、自身が保持するデータをデータ収集端末102へ送信する。データ収集端末102への送信は、保持している経路情報に従って行う。
【0023】
図5は、各ノード101が保持する経路情報201の一例を示す図である。図示したように、経路情報201は、データ収集端末102への次ホップノードの情報(next hop)とデータ収集端末までのホップ数(HOP)を含んでいる。
【0024】
なお、データ収集端末102は、各ノード101から経路情報201を収集することにより、図2に示した経路情報202を生成する。すなわち、経路情報201を受信すると、この経路情報と送信元ノードの情報とを対応付けてノード情報203として記憶することにより経路情報202を更新する。経路情報201の次ホップノード情報(next hop)はノード101からデータ収集端末102への方向における次ホップノードを示し、ノード情報203の前ホップノード情報(prev hop)はデータ収集端末102からノード101への方向における前ホップノードを示す。従って、あるノード101が保持している経路情報201の次ホップノード情報が示す装置(ノードまたはデータ収集端末)とこのノード101に対応するノード情報203の前ホップ情報が示す装置は同じものとなる。
【0025】
図6−1は、ノード101がデータ収集端末102に対してメッセージを送信する動作の一例を示す図であり、ノード101gがデータ収集端末102に対してデータを送信する場合の動作を示している。各ノード101は、データ収集端末102への次ホップノードとそのホップ数が記録された経路情報201を保持しているため、データを送信、もしくは転送する際には、経路情報201を参照し、次ホップノードにデータを転送する。なお、図6−2は、データメッセージの構成例を示す図である。
【0026】
図6−1に示した動作において、ノード101gは、保持している経路情報201を参照して次ホップノードがノード101cであることを把握し、ノード101cにデータを送信する。ノード101gからデータを受信したノード101cは、データ収集端末102宛のデータを受信したため、保持している経路情報201を参照して次ホップノードがノード101aであることを把握し、ノード101aにデータを転送する。ノード101cからデータを受信したノード101aも同様に、保持している経路情報201に従ってデータを転送することで、データ収集端末102にデータが到達する。
【0027】
このように、本実施の形態のアドホックネットワークシステムにおいて、各ノード101は、上り方向の経路のみを示した経路情報201を保持し、データ収集端末102へデータ(上りメッセージ)を送信・転送する場合は経路情報201に従って処理を行う。一方、データ収集端末102は、経路情報202として、ノード101ごとのノード情報、具体的には、下り方向における前ホップノードの情報および自端末からのホップ数の情報を保持し、あるノードに下りメッセージを送信する場合、経路情報202に基づいて、送信先ノードまでの経路(ソースルート)を生成し、メッセージに付加して送信し、ノード101は、下りメッセージを受信した場合、付加されているソースルートに従って転送することとした。これにより、各ノード101で保持する経路情報のサイズを削減できる。また、システムに参入しているノードの数に経路情報のサイズが影響されることもない。さらに、上述した特許文献1に記載の発明のように親端末(データ収集端末)から子端末(ノード)への通信が限定されてしまうのを防止できる。すなわち、本実施の形態のアドホックネットワークシステムでは、データ収集端末からノードへの通信が、ノードからのメッセージに対する応答のみに限定されない。データ収集端末は、任意のタイミングでノード宛にメッセージを送信できる。
【0028】
実施の形態2.
実施の形態1では、既に構築されたアドホックネットワークシステムにおけるメッセージ転送について記述したが、本実施の形態では、新規にノード101を追加させる動作について示す。
【0029】
図7−1および7−2は、アドホックネットワークシステムに新たにノードが参入する動作の一例を示す図であり、図1に示したアドホックネットワークシステムに対してノード101jが参入する場合について示している。なお、以降の説明において、新たに参入するノードを新規ノードと称する。
【0030】
アドホックネットワークシステムへ参入する場合、新規ノード101jは、周辺のノード101に対して、経路探索メッセージをブロードキャストする(図7−1)。ここでは、図示したように、新規ノード101jからの経路探索メッセージは、ノード101e、101hおよび101iに到達するものする。
【0031】
新規ノード101jからの経路探索メッセージを受信したノード101e、101hおよび101iは、それぞれ、自身が保持する経路情報201を参照してデータ収集端末102までのホップ数を取得し、経路応答メッセージにて新規ノード101jがデータ収集端末102から何ホップになるかを通知する。
【0032】
新規ノード101jは、周辺のノード101e、101hおよび101iからの経路応答メッセージを受信すると、データ収集端末102からのホップ数が最短になるノード101eを接続先として選択し、自身の経路情報201を作成する。
【0033】
さらに、新規ノード101jは、データ収集端末102に対する参入要求メッセージを接続先に選択したノード101eに向けて送信する。
【0034】
新規ノード101jからの参入要求メッセージを受信したノード101eは、参入要求メッセージに自身のノードIDを付加し、保持している経路情報201に従い、データ収集端末102への次ホップノード101bに対して転送する。
【0035】
同様に、ノード101bでも参入要求メッセージを受信すると、自身のノードIDを付加し、保持している経路情報201に従って転送する。その結果、参入要求メッセージがデータ収集端末102に到達する。
【0036】
なお、図7−2は、新規ノード101jが送信した参入要求メッセージの構成例、および参入要求メッセージを受信した各ノード101が転送したメッセージの構成例を示す図である。図示した「e」,「b」はメッセージを転送したノード101のノードIDである。
【0037】
参入要求メッセージを受信したデータ収集端末102は、同メッセージに付加されたノードIDから、新規ノード101jに対するソースルートを取得し、保持している経路情報202(図2参照)にノード101jのノード情報203jを追加する。また、同メッセージのソースルートから、各ノード101のホップ数、前ホップノードを取得することで、ソースルートに含まれるノードのノード情報203(ノード情報203e,203b)を必要に応じて更新する。なお、「必要に応じて」とは、ソースルートから得られる情報(ホップ数,前ホップノード)とノード情報に登録されている情報が異なる場合に、ノード情報203を更新することを示す。この処理を実施した後の経路情報202は図8に示したものとなる。
【0038】
データ収集端末102は、新規ノード101jから受信した参入要求メッセージに含まれる情報で経路情報202を更新すると、参入が完了したことを通知する参入応答メッセージを送信する。この参入応答メッセージには新規ノード101jに対するソースルートを付加する。参入応答メッセージを受信した各ノード101は、付加されているソースルートを参照し、ノード101jに向けて転送する。参入応答メッセージを新規ノード101jが受信すると、参入動作が終了となる。
【0039】
このように、本実施の形態のアドホックネットワークシステムにおいて、参入済みの各ノード101は自身とデータ収集端末102までのホップ数を保持しており、新たに参入する新規ノードから経路探索要求を受信した場合、データ収集端末102までのホップ数を通知するようにしたので、新規ノードは、周辺ノードに経路探索メッセージを送信するだけで、データ収集端末102への接続ノードが選択可能になる。
【0040】
また、参入要求メッセージの転送の際に、転送したノードのノードIDを追加し、参入要求メッセージを受信したデータ収集端末102は、付加されているノードIDに基づき、保持している経路情報202を更新するので、経路情報202に基づいて作成される各ノードへの経路(下り経路)と、各ノードが送信する経路(上り経路)を同一にすることが可能になり、経路管理が容易になる。
【0041】
なお、本実施の形態では、新規ノードが接続先のノードを選択するメトリックとして、最短ホップ数を使用したが、ホップ数が同一のノードが複数存在する場合は、経路応答メッセージの受信電力(RSSI)が大きいノードを選択すればよい。
【0042】
また、経路応答メッセージの受信電力に対して閾値を設け、それを満たすノードのうち、データ収集端末102までのホップ数が最小となるものを選択する(受信電力が閾値未満のノードは接続先の候補から除外する)ようにしてもよい。
【0043】
また、各ノード101にて、各無線リンク103の受信電力とデータ収集端末102からのホップ数から経路ごとの平均受信電力を次式(1)により算出して新規ノードへ通知し、値が最大となる経路のノードを選択するようにしてもよい。
【0044】
【数1】

【0045】
さらに、新規ノードは、経路探索で応答したノード情報の一部、もしくは全てを参入要求メッセージにて、データ収集端末102に対して送付することで、新規ノードに対する代替経路を通知しても良い。
【0046】
実施の形態3.
実施の形態2では、アドホックネットワークシステムに新規にノードが参入する方法について記述したが、実施の形態3では、データ収集端末主導の経路更新について示す。
【0047】
アドホックネットワークでは、ノードの新規参入や周辺環境の変化により、最適経路が変化することがある。そのため、アドホックネットワークでは、最適経路を保つために、経路更新を実施して各ノード接続先を再選択させる。
【0048】
本実施の形態のアドホックネットワークシステムでは、データ収集端末102が各ノード101に対して、経路更新を指示する事により経路(接続先)を更新させる。データ収集端末102は、例えば、最後に経路を更新させてから所定時間が経過した場合に、経路更新が必要と判断し、後述する経路更新を各ノードに実行させる。または、最後に経路を更新させた後に新たに参入したノードの数が一定数に達した場合に、経路更新が必要と判断し、後述する経路更新を各ノードに実行させる。
【0049】
図9は、アドホックネットワークシステムの構成例を示す図である。図9に示したアドホックネットワークシステムは、図1に示した実施の形態1のアドホックネットワークシステムに対して、ノード101jおよびノード101kがさらに参入した構成となっている。図示したように、ノード101jはノード101eに接続し、ノード101kはデータ収集端末102に接続している。図10は、図9に示したアドホックネットワークシステムのデータ収集端末102が保持する経路情報202を示す図である。
【0050】
図9の構成において、データ収集端末102がノード101に対して経路更新指示を行い、経路を更新させる動作の例を示す。経路更新動作においては、まず、データ収集端末102が、保持している経路情報202を参照し、自身から2ホップ以上離れた各ノード101に対して、ホップ数の少ないノードから順にソースルートを指定した経路更新メッセージを送信する。
【0051】
図9では、ノード101a,101b,101kは、データ収集端末102からの距離が1ホップのノード(1ホップノード)であるため、これらについては経路更新を実施せずに、2ホップノードである、ノード101cから経路更新を実施する。すなわち、データ収集端末102は、距離が2ホップ以上の各ノード101に対して、ノード101c(ホップ数が最小のノード)から順番に、経路更新メッセージを送信して経路更新を実施させる。経路更新メッセージは、あるノード101での経路更新処理が終了後、次に経路変更処理を実施させるノード101へ送信する。
【0052】
図11は、ノード101cでの経路更新処理を示す図である。経路更新メッセージを受信したノード101cは、参入処理と同様に、周辺ノードに対して、経路探索メッセージをブロードキャストする。経路探索メッセージを受信したノード101(図示の例ではノード101a,101d,101gとなる)は、自身が保持するデータ収集端末102までのホップ数を経路応答メッセージにて通知する。ただし、既にノード101cに接続しているノード101gは、更新後の接続先にならないため、経路応答メッセージを返信しない。
【0053】
ノード101cは、経路応答メッセージにより取得した経路情報と、これまで保持していた経路情報201を経路選択のメトリック(例えばデータ収集端末102までのホップ数とする。経路応答メッセージの受信電力などを含めるようにしてもよい)により比較し、最適経路があれば経路情報201を更新する。
【0054】
経路更新を実施したノード101cは、保持している経路情報201の更新如何に係わらず、この経路情報201に従い、データ収集端末102宛の経路登録メッセージを接続先のノード(ここではノード101aとする)に送信する。
【0055】
経路登録メッセージを受信したノード101aは、保持している経路情報201を参照し、次ホップノードに対して同メッセージを転送する。このとき、実施の形態2で説明した参入要求メッセージの転送動作と同様に、自身のノードIDを経路登録メッセージに付加して転送することで、データ収集端末102に対してソースルートを通知する。
【0056】
データ収集端末102は、経路登録メッセージを受信すると、同メッセージに含まれるソースルート(メッセージの送信元ノード101cのノードID、メッセージを転送した各ノード101が付加したノードID)に基づいて、保持している経路情報202を更新する。
【0057】
図12は、ノード101hでの経路更新処理を示す図である。ノード101hは、データ収集端末102からの経路探索メッセージを受信すると、周辺ノードに対して経路探索メッセージをブロードキャストする。経路探索メッセージを受信したノード101(図示の例ではノード101c,101d,101e,101g,101j,101kとなる)は、自身が保持するデータ収集端末102までのホップ数を経路応答メッセージにて通知する。
【0058】
ノード101hのそれまでの接続先はノード101dであったため、それまで保持していた経路情報201が「次ホップ:ノード101d、ホップ数:3」であるのに対し、図示の例では、ノード101kからの経路応答メッセージを受信したため、経路情報201を「次ホップノード:101k、ホップ数:2」に更新する。そして、ノード101hは、経路情報201に従い、データ収集端末102宛の経路登録メッセージを接続先のノード(ノード101k)に送信する。
【0059】
経路登録メッセージを受信したノード101kは、保持している経路情報201を参照し、次ホップノードに対して同メッセージを転送する。このとき参入要求メッセージを転送する場合と同様に、自身のノードIDを経路登録メッセージに付加して転送することで、データ収集端末102に対してソースルートを通知する。
【0060】
データ収集端末102は、経路登録メッセージを受信すると、同メッセージに含まれるソースルートに基づいて、保持している経路情報202を更新する。
【0061】
図13は、ノード101hからの経路登録メッセージにより更新された経路情報202を示す図であり、図14は、経路更新後のアドホックネットワークのトポロジを示す図である。経路更新を実施したことにより、ノード101hの接続先がノード101dからノード101kに変更となっている。
【0062】
なお、ノード101cでの経路更新処理とノード101hでの経路更新処理について示したが、他のノード101d,101e,101f,101g,101i,101jについても同様である。経路更新処理は、データ収集端末102からの距離が短い(ホップ数が少ない)ノード101から順番に実施する。すなわち、ノード101c,101d,101e,101fでの経路更新処理が終了してからノード101g,101h,101i,101jでの経路更新処理を実施する。
【0063】
このように、本実施の形態のアドホックネットワークシステムにおいて、データ収集端末102は、自身からの距離が短いノードから順番に、経路更新を指示して経路を更新させるとともに、経路登録メッセージに付加されている、このメッセージを転送したノードのIDに基づいて、保持している経路情報を更新することとした。これにより、複数のノードが同時に経路更新を行い無線ネットワークに輻輳が発生するのを回避できるとともに、ホップ数の多いノードに対する経路更新時に、実際のホップ数とノードが保持しているホップ数でズレが生じることを防ぐことができる。
【0064】
なお、経路更新を行うノードは、経路探索メッセージに応答したノードのノード情報の一部、もしくは全てを経路登録メッセージにて、データ収集端末102に対して送付することで、当該ノードに対する代替経路を通知しても良い。
【0065】
実施の形態4.
実施の形態3では、データ収集端末102からの指示によりノード101が経路更新を実施し、アドホックネットワークが最適経路を保つ方法について示したが、実施の形態4では、データ収集端末102からのメッセージ受信・転送によりノード101の経路情報201を更新する動作について示す。
【0066】
本発明にかかるアドホックネットワークシステムでは、ネットワークの管理を容易にするために、データ収集端末102から各ノード101への経路(下り経路)と、各ノード101からデータ収集端末102への経路(上り経路)は同一になるよう経路を作成している。しかし、経路更新において、ノード101が送信した経路登録メッセージが正しくデータ収集端末102に到達しない場合には、経路更新を実施したノード101と、更新が完了していないデータ収集端末102でメッセージ送信に利用する経路が異なる場合がある。本実施の形態では、このような場合において、データ収集端末102からのメッセージ受信・転送によりノード101の経路情報201を更新する。
【0067】
図15−1および図15−2は、実施の形態4のアドホックネットワークシステムの動作を説明するための図である。本実施の形態では、図15−1および図15−2に示した場合を想定して説明を行う。図15−1は、データ収集端末102が、保持している経路情報202に従ってノード101h宛のメッセージを送信する場合の送信経路を示す図であり、このときデータ収集端末102が送信するメッセージの構成は図15−2に示したものとなる。一方、ノード101hは接続先としてノード101kを選択している。このように、図示した状態では、データ収集端末102とノード101hの間の下り経路と上り経路が不一致となっている。
【0068】
本実施の形態の各ノード101は、データ収集端末102からのメッセージを転送・受信する際に、メッセージに含まれているソースルートを確認し、自身がデータ収集端末102から何ホップであり、次ホップノード(データ収集端末102宛のメッセージを送信する場合の次ホップノード)がどれであるかを確認する。そして、その情報(自ノードが何ホップ目か,次ホップノードがどれか)に基づいて、保持している経路情報201を更新する。つまり、何ホップ目かを示すホップ数および次ホップノードのノードIDを経路情報201に登録する。
【0069】
このように、本実施の形態において、各ノードは、データ収集端末102から送信された下り方向のメッセージを転送・受信した場合、メッセージに付加されているソースルートと自ノードが保持している経路情報201とを比較することにより下りルートと上りルートの不一致を検出し、不一致を検出した場合には、一致するように経路情報201を修正することとした。これにより、上り経路の各ノード101に対して特別なメッセージを送信することなく、データ収集端末102とノード101の経路が同一になり、アドホックネットワークにおける経路管理の容易化を実現できる。
【0070】
実施の形態5.
本実施の形態では、アドホックネットワークシステムでデータ収集端末102が各ノード101からデータを収集する動作、およびリンクエラー発生時の動作について示す。
【0071】
図16は、実施の形態5のアドホックネットワークシステムの構成例を示す図である。本実施の形態では、この図16に示した構成のアドホックネットワークシステムにおけるデータ収集動作について説明する。
【0072】
アドホックネットワークシステムにおいて、データ収集端末102は、定期的に各ノード101からのデータを収集する。具体的には、データ収集端末102は、データ要求(ポーリング)を各ノード101に対して順番に実施する。このとき、データ収集端末102は、自端末からのホップ数が少ないノード101から順番に、ポーリングを実施する。ノード101は、データ収集端末102からデータ要求を受けた場合、送信すべきデータを保持していれば、データ要求に対する応答として、保持しているデータを送信する。このように、ポーリングを実施することにより、アドホックネットワークシステム内で輻輳無くデータ収集を実施できる。
【0073】
図17は、データ収集端末102が保持するポーリングの順番(スケジュール)の一例を示す図である。データ収集端末102は、ポーリング開始直前の経路情報202を参照し、ホップ数が少ない経路から順にポーリングを行うようスケジュールを作成する。
【0074】
図17の例では、ホップ数が1のノード101aから順番にポーリングを実施する。具体的には、まず、ノード101aのデータを収集する。続いて、ノード101b,101c,101d,…とポーリングを実施して各ノード101からデータを収集する。
【0075】
次に、リンクエラーが発生している状態でのポーリングによるデータ収集動作について説明する。ここでは、一例として、図18に示したような、ノード101bとノード101e間のリンクが切れた状態(リンクエラー状態)での動作を説明する。
【0076】
データ収集端末102はノード101eに対してポーリングを実施する。ノード101bは101eとのリンクエラーによりデータ要求メッセージが到達しないことを下位層の無線リンクから取得すると、その旨をエラー通知としてデータ収集端末102に通知する。エラー通知を受信したデータ収集端末102は、ノード101eおよびノード101eを経由するノード101i,101jに対しては、ポーリングをスキップするようにポーリングスケジュールを更新する(図19参照)。
【0077】
データ収集端末102は、作成したポーリングスケジュールでのポーリングを終了すると、リンクエラーが発生したノードに対して経路修復処理を行う。なお、定期的にポーリングを行うシステムでは、ポーリングスケジュールを更新してから次のポーリング実施タイミングまでの時間が後述する経路修復処理の所要時間よりも十分に大きい場合、経路修復処理をポーリング実施前に行っても構わない。
【0078】
図20−1,図20−2,図21−1,図21−2は、リンクエラー発生時の経路修復動作の一例を示す図である。
【0079】
データ収集端末102は、ポーリング終了後の経路修復処理において、まず、リンクエラーが発生したノード101eをターゲットとした経路修復メッセージをブロードキャストする(図20−1,図20−2)。経路修復メッセージを受信したノード101は、経路修復メッセージが自身をターゲットにしているか否か(経路修復メッセージの「ターゲット」に自身のノードIDが設定されているか否か)を確認し、否であれば自身のノードIDを経路修復メッセージに付加して、ブロードキャストする。また、受信した経路修復メッセージに既に自身のノードIDが付加されていたらメッセージを破棄する。図20−2に示した経路修復メッセージにおいて、「経由ノード」が、経路修復メッセージをブロードキャスト転送するノード101により付加されたノードIDである。図20−2は、ノード101aから受信したメッセージをノード101dがブロードキャストした場合の例を示している。
【0080】
経路修復メッセージを受信したノード101eは、同メッセージが自身をターゲットにしていることを確認すると、同メッセージに付加されているノードID(経由ノード)を取得し、取得したノードIDをソースルート情報として付加した経路修復応答メッセージをデータ収集端末102に対して送信する(図21−1,図21−2)。また、保持している経路情報201の次ホップ,ホップ数を取得したノードIDに従って更新する。なお、経路修復メッセージを異なる経路(ノード)から複数受信する可能性もあるので、最初に受信してから一定時間の間は他の経路からの経路修復メッセージを待ち、一定時間が経過した時点で複数の(複数経路から)経路修復メッセージを受信していた場合には、ソースルートが最短となる経路を選択して経路情報201を更新してもよい。最短となるものが複数存在する場合には、信号受信電力などを考慮し、通信品質が最良となるように経路を選択してもよい。
【0081】
経路修復応答メッセージを受信したノード101は、同メッセージに付加されたソースルート情報を確認し、ソースルート情報に自身のノードIDが含まれている場合は、保持している経路情報201の次ホップ,ホップ数をソースルート情報に従って更新し、ソースルート情報に記載されている次ホップのノード101へ転送する。
【0082】
データ収集端末102は、経路修復応答メッセージを受信すると、受信したメッセージに付加されているソースルート情報に従って経路情報202を更新し、ポーリングをスキップしていたノード101(ノード101e,101i,101j)に対して順次ポーリングを実施する。
【0083】
なお、ノード101eの経路(接続先)を変更させたことによりこのノード101eに接続しているノード101i,101jの経路情報201(ホップ数)とデータ収集端末102が保持している経路情報201のホップ数が不一致となる場合が考えられる。このような場合、データ収集端末102が実施の形態3で説明した経路更新メッセージをノード101i,101jに順番に送信して経路更新処理を実施させればよい。または、実施の形態4で説明したような、データ収集端末102から送信されたメッセージに付加されているソースルート情報に従って各ノード(ノード101i、101j)が経路情報201を更新すればよい。データ収集端末102からのメッセージに付加されたソースルート情報に従って更新を行う場合には、ポーリング時に受信したメッセージに付加されているソースルート情報に従って更新を行えばよい。これにより、経路情報201を更新させるための特別なメッセージの送信が不要となり、更新動作を効率的に実施できる。
【0084】
このように、本実施の形態のアドホックネットワークシステムにおけるデータ収集では、リンクエラーを検出した場合、ノード101はエラー検出をデータ収集端末102へ通知し、この通知を受けたデータ収集端末102は、リンクエラーにより通信不能となったノード101を除外してポーリングを行い、ポーリングが終了すると、通信不能となっているノード101のうち、ホップ数が最小のノード101に経路変更(経路修復)を指示するためのメッセージをブロードキャストして経路を変更させる。そして、経路変更が終了し、通信可能な状態に復帰した後、上記ポーリングで除外した各ノード101に対してポーリングを行うこととした。これにより、リンクエラー発生に伴うポーリングの送信エラーを最小限にし、生存しているノードからのデータ収集の所要時間を短縮化できる。また、リンクエラー状態からの早期復旧を実現し、リンクエラーの影響を受けた各ノードからのデータ収集が可能となる。
【0085】
実施の形態6.
実施の形態5では、ポーリングによるデータ収集動作およびリンクエラーが生じた場合の経路修復動作について示したが、実施の形態6では、ノード101が消失した場合の経路修復動作について示す。
【0086】
図22は、ノード101が装置故障や離脱によりアドホックネットワークシステムから消失した場合の一例を示す図であり、ノード101eが消失した場合を示している。このようなノード101eが消失した場合の動作を以下に示す。
【0087】
データ収集端末102は、実施の形態5と同様の手順により各ノード101に対して順番にポーリングを実施するが、ノード101bからリンクエラーの通知を受けると、実施の形態5で説明したように、ノード101e、およびノード101e経由で通信を行うノード101i,101jのポーリングをスキップする。
【0088】
リンクエラーの影響を受けていない他のノード101に対するポーリングが終了すると、データ収集端末102は、ノード101eに対して経路修復メッセージを送信するが、ノード101eは消失したため、経路修復応答メッセージを受信できない。このような場合、図23−1,図23−2に示した方法で経路修復を行う。なお、図23−1は実施の形態6の経路修復動作の一例を示す図、図23−2は経路修復メッセージの一例を示す図である。
【0089】
データ収集端末102は、例えば、ノード101eに対する経路修復メッセージを複数回送信しても経路修復応答メッセージを得られない場合、ノード101eがアドホックネットワークから消失したと判断し、保持している経路情報202からノード101eのノード情報203eを削除する。さらに、消失したノード101eに接続していたノード101i(またはノード101j)に対して、経路修復メッセージのブロードキャストを実施する(図23−1,図23−2)。
【0090】
経路修復メッセージを受信したノード101i(またはノード101j)は、同メッセージに付加されているノードIDを取得し、取得したノードIDをソースルートとする経路修復応答メッセージをデータ収集端末102に対して送信する(図24−1,図24−2)。また、保持している経路情報201の次ホップ,ホップ数を取得したノードIDに従って更新する。
【0091】
経路修復応答メッセージを受信したノード101は、同メッセージに含まれるソースルートを確認し、ソースルートに自身のノードIDが含まれている場合は、保持している経路情報201をソースルートに記載の次ホップ,ホップ数に更新し、ソースルートに記載の次ホップのノード101へ転送する。
【0092】
データ収集端末102は、経路修復応答メッセージを受信すると、受信したメッセージに付加されているソースルートに従って経路情報202を更新する。具体的には、経路修復応答メッセージの送信元のノード101i(またはノード101j)に対応するノード情報203i(またはノード情報203j)を更新する。
【0093】
データ収集端末102は、残りのノード101j(またはノード101i)に対しても同様の処理(経路修復メッセージの送信,経路修復応答メッセージの受信)を行って経路情報202を更新する。ノード101iや101jに接続しているノード101が存在する場合には、さらに、そのノード101に対しても同様の処理を行って経路情報102を更新する。
【0094】
そして、消失したノード101eを経由して接続されていた全てのノード101との間で経路修復が完了すると、ポーリングをスキップしていたノード101(ノード101i,101j)に対して順次ポーリングを実施する。
【0095】
このように、本実施の形態のアドホックネットワークシステムにおいて、データ収集端末102は、ノード101が消失したと判断した場合、消失したノード101を経由で通信していた各ノード101に対して、消失したノード101に直接(1ホップ)接続していたノード101から順番に、経路修復メッセージを送信して経路修復を行うこととした。これにより、ホップ数が多いノードに対する経路修復処理を削減できる。
【0096】
なお、消失したノード101に直接接続していたノード101から順番に経路修復を行うのではなく、逆の順番、すなわち、消失したノード101からのホップ数が最大のノードから順番に、経路修復を行うようにしてもよい。この場合には、経路修復メッセージの伝播過程で、ホップ数が少ないノード101(消失したノード経由で通信していたノード101のうちホップ数が少ないもの)に対する経路も発見できる可能性があり、経路修復メッセージの送信回数が削減できる。
【0097】
また、実施の形態2,3で説明したメッシュネットワークの参入動作,経路更新動作時に、経路応答を返信したノードの情報をデータ収集端末が代替経路として記憶しておき、ノードの消失を検出した場合に、記憶しておいた代替経路を使用するように経路情報を更新し、経路修復を行ってもよい。この場合、経路修復の所要時間および経路修復にかかる処理負荷を大幅に削減できる。
【0098】
各実施の形態では、データ収集端末102がアドホックネットワークシステム内に1台だけ存在する場合について示したが、データ収集端末102が複数台存在する場合にも本発明を適用できる。データ収集端末102が複数台存在する場合、各ノードは、経路情報201(図5)をデータ収集端末102ごとに生成・保持しておけばよい。例えば、経路情報201がデータ収集端末102のIDをさらに含むように構成し、各ノードは、データ収集端末102にメッセージを送信する場合、送信先のデータ収集端末102に応じて経路情報201を使い分ければよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、本発明にかかるアドホックネットワークシステムは、参入しているノードからデータを収集するデータ収集端末を含んだ構成のアドホックネットワークシステムに適している。
【符号の説明】
【0100】
101a,101b,101c,101d,101e,101f,101g,101h,101i,101j,101k ノード
102 データ収集端末
103 無線リンク
201,202 経路情報
203a,203b,203c,203d,203e,203f,203g,203h,203i,203j,203k ノード情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサを備えたノード装置および当該ノード装置によるセンシングデータを収集するデータ収集端末からなるアドホックネットワークシステムであって、
前記ノード装置は、前記データ収集端末に向けてメッセージを送信または転送する際の次ホップのノード装置またはデータ収集端末の識別情報および前記データ収集端末までのホップ数を経路情報として保持し、
前記データ収集端末は、各ノード装置が保持している経路情報を取得するとともに、取得した経路情報に基づいて集約経路情報を生成・保持し、
前記データ収集端末が前記ノード装置宛にメッセージを送信する動作を下り送信、前記ノード装置が前記データ収集端末宛にメッセージを送信する動作を上り送信とした場合、
上り送信では、各ノード装置が、保持している経路情報に従ってメッセージを送信または転送し、
下り送信では、前記データ収集端末が前記集約経路情報に基づいて生成したソースルート情報をメッセージに付加して送信する
ことを特徴とするアドホックネットワークシステム。
【請求項2】
前記ノード装置は、
アドホックネットワークシステムへの参入動作において、参入済みの周囲のノード装置から当該ノード装置が保持している経路情報を取得し、取得した経路情報に含まれるホップ数に基づいて、接続先とするノード装置を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載のアドホックネットワークシステム。
【請求項3】
前記ノード装置は、前記ホップ数および前記周囲のノード装置からの信号受信電力に基づいて、接続先とするノード装置を選択する
ことを特徴とする請求項2に記載のアドホックネットワークシステム。
【請求項4】
前記ノード装置は、前記ホップ数と、前記周囲のノード装置それぞれから前記データ収集端末に至る経路上の各ノード装置における信号受信電力の経路ごとの平均値とに基づいて、接続先とするノード装置を選択する
ことを特徴とする請求項2に記載のアドホックネットワークシステム。
【請求項5】
前記ノード装置は、接続先のノード装置を選択した後、当該ノード装置から取得したホップ数と当該ノード装置の識別情報とを対応付けて前記経路情報として記憶するとともに、当該経路情報に従ってアドホックネットワークシステムへの参入要求メッセージを送信する
ことを特徴とする請求項2、3または4に記載のアドホックネットワークシステム。
【請求項6】
前記ノード装置は、アドホックネットワークシステムへの参入要求メッセージを受信した場合、当該参入要求メッセージに自身の識別情報を付加して転送し、
前記データ収集端末は、前記参入要求メッセージを受信した場合、当該参入要求メッセージに付加されている識別情報に基づいて、前記集約経路情報を更新する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のアドホックネットワークシステム。
【請求項7】
前記データ収集端末は、ネットワーク構成の最適化が必要と判断した場合、自身からのホップ数が2以上かつホップ数が最小のノード装置から順番に、接続先の再選択を実行させて経路情報を更新させるとともに、再選択を行ったノード装置から受信したメッセージに基づいて集約経路情報を更新する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のアドホックネットワークシステム。
【請求項8】
前記ノード装置は、前記再選択を行ったノード装置から受信したメッセージを転送する場合、当該メッセージに自身の識別情報を付加し、
前記データ収集端末は、受信したメッセージに付加されている識別情報に基づいて前記集約経路情報を更新する
ことを特徴とする請求項7に記載のアドホックネットワークシステム。
【請求項9】
前記ノード装置は、ソースルート情報が付加されているメッセージを受信または転送した場合、当該ソースルート情報に基づいて、保持している経路情報の更新の必要性判断と、必要と判断した場合の更新とを行う
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のアドホックネットワークシステム。
【請求項10】
前記データ収集端末は、自身からのホップ数が最小のノード装置から順番に、各ノード装置でのセンシングデータをポーリングにより取得する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載のアドホックネットワークシステム。
【請求項11】
前記データ収集端末は、自身からのホップ数が最大のノード装置から順番に、各ノード装置でのセンシングデータをポーリングにより取得する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載のアドホックネットワークシステム。
【請求項12】
前記データ収集端末は、ポーリング実施中にリンクエラーを検出した場合、当該リンクエラーが発生しているリンクを経由して通信する各ノード装置に対するポーリングをスキップすることを特徴とする請求項10または11に記載のアドホックネットワークシステム。
【請求項13】
前記データ収集端末は、前記リンクエラーが発生しているリンクを経由して通信する各ノード装置を除く全てのノード装置に対してポーリングを実施した後、前記リンクエラーを復旧させる制御を実施し、復旧した場合には、ポーリングを実施しなかった各ノード装置に対してポーリングを行い、センシングデータを取得する
ことを特徴とする請求項12に記載のアドホックネットワークシステム。
【請求項14】
前記データ収集端末は、リンクエラーを検出した場合、当該リンクエラーにより通信不能となったノード装置のうち、自身からのホップ数が最小のノード装置であるリンクエラー発生ノード装置に向けて、接続先の切り替えを指示する経路修復メッセージをブロードキャストし、
前記ノード装置は、他のノード装置に向けた経路修復メッセージを受信した場合、自身の識別情報を付加してブロードキャスト転送し、また、自身に向けた経路修復メッセージを受信した場合には、受信した経路修復メッセージに付加されている識別情報に基づいて、保持している経路情報を更新するとともに前記データ収集端末までのソースルートを特定し、さらに、当該特定したソースルートを示すソースルート情報を付加した経路修復応答メッセージを前記データ収集端末に向けて送信する
ことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載のアドホックネットワークシステム。
【請求項15】
前記データ収集端末は、前記経路修復応答メッセージを受信した場合、当該経路修復応答メッセージに付加されているソースルート情報に基づいて前記集約経路情報を更新する
ことを特徴とする請求項14に記載のアドホックネットワークシステム。
【請求項16】
前記データ収集端末は、前記リンクエラー発生ノード装置から経路修復応答メッセージが返送されてこない場合、当該リンクエラー発生ノード装置に関する情報を前記集約経路情報から削除し、さらに、当該リンクエラー発生ノード装置を接続先としている各ノード装置向けて、順番に、前記経路修復メッセージをブロードキャストする
ことを特徴とする請求項14または15に記載のアドホックネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20−1】
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【図20−2】
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【図21−1】
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【図21−2】
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【図22】
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【図23−1】
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【図23−2】
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【図24−1】
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【図24−2】
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【公開番号】特開2013−5043(P2013−5043A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131442(P2011−131442)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】