説明

アフィニティヒドロゲルとその標識非依存性検出方法

【課題】標識非依存性検出(LID:label independent detection)のためのバイオセンサ及びその使用方法の提供。
【解決手段】ポリマ修飾された表面を有する基板を含むバイオセンサ製品。前記ポリマは化学式(I)


を有する、バイオセンサ製品又は細胞培養製品、その製造との分析方法。

【発明の詳細な説明】
【先に出願されたヨーロッパ出願の利益の請求】
【0001】
本願は、2010年2月25日に出願されたヨーロッパ特許出願番号第EP103051868号に関して米国特許法第119号に基づく優先権の利益を請求する、
【背景技術】
【0002】
本開示は、標識非依存性検出(LID:label independent detection)のためのバイオセンサに関し、特に、Epic(登録商標)バイオセンサ等の高効率バイオセンサの表面化学物質並びにその準備及び使用方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、標識非依存性検出(LID)を行うための表面処理されたバイオセンサ製品及びこれらを準備し且つ使用する方法を提供する。バイオセンサは、共鳴グレーティング等の検出アプリケーションにおいて、結合効率等の特性が高い。本開示は、バイオエンティティ(例えば、受容体タンパク質等の細胞ターゲット)を固定し且つ分析物を検出することに優れた感度を与えることができるセンサを提供するシステム及び方法に関する。本開示のLIDバイオセンサは、生体分子認識事象の検出に対して高い感度を与え得る表面を有する。本開示のバイオセンサ表面は、既知のバイオセンサ表面と比べて、高いリガンド結合性を示し、より小なる量のタンパク質を用い、且つ、より大なる感度を提供し得る。本開示のバイオセンサ表面は、細胞の培養にも適している。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1A】図1Aは、開示された表面修飾を準備する方法の概略を示している。
【図1B】図1Bは、開示された表面修飾を準備する別の方法の概略を示している。
【図2】図2は、異なるCML溶液濃度及び異なるpH値において準備されたPAA−NTA修飾表面上のEpic(登録商標)バイオセンサを用いて測定されたhisタグ付けCAIIの固定化の結果を示している。
【図3】図3は、異なるAA/DMA比率を有するPAA−NTA修飾表面上のEpic(登録商標)バイオセンサを用いて測定されたhisタグ付けCAIIの固定化の結果を示している。
【図4】図4は、異なるAA/DMA比率を有するPAA−NTA修飾表面上のEpic(登録商標)バイオセンサを用いて測定された固定されたhisタグ付きCAII修飾表面に結合するフロセミドを示している。
【図5】図5は、PAA/DMAマトリックスにおけるAAの量とフロセミド結合のレベルとの間の相関を示している。
【図6】図6は、ニッケル処理がある場合又はない場合のPAA−NTA表面におけるhisタグ付けCAIIの固定化と、Epic(登録商標)バイオセンサを用いて測定されたPAA−NTAの表面における天然のCAIIの固定化と、を示している。
【図7】図7は、アフィニティ/共有結合性後処理がある場合又はない場合におけるPAA−NTA表面におけるhisタグ付けCAIIの固定化を示している。
【図8】図8は、アフィニティ/共有結合性後処理がある場合又はない場合においてなされた固定化後におけるPAA−NTAから浸出するhisタグ付けCAIIを示している。
【図9】図9は、PAA−NTA表面上の及び比較のためアミン結合したd−EMA表面上のEpic(登録商標)バイオセンサを用いて測定された低pIのhisタグ付きたんぱく質(GLK及びSET9)の固定化を示している。
【発明の詳細な説明】
【0005】
本発明の様々な実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。様々な実施形態に対する言及は、本発明の範囲を制限するものではなく、本発明は、添付した請求の範囲によってのみ限定される。さらに、本明細書に述べられたいかなる実施例も、限定することを目的とはしていないし、特許請求の範囲に記載された発明の多くの可能的な実施形態の内のいくつかについて説明しているにすぎない。
【定義】
【0006】
「分析(assay)」、「分析する(assaying)」等の用語は、例えば、外因性刺激を用いた刺激に対する細胞の光学的応答又はバイオインピーダンス応答の存在の有無、量、程度、動特性、及びタイプを決定する分析を意味する。外因性刺激とは、例えば、リガンド候補化合物、ウイルス粒子、病原体、表面若しくは培養条件、又は、同様のエンティティである。かかる用語は、刺激に対する非生物応答若しくは非細胞応答又は刺激に対する反応をも含み得る。
【0007】
「付着する(attach)」、「付着(attachment)」、「固着する(adhere)」、「固着される(adhered)」、「固定される(immobilized)」等の用語は、一般に、物理吸着又は化学結合等の処理若しくはそれらの組み合わせ等によって、例えば、本開示の表面修飾物質、相溶剤、細胞、リガンド候補化合物、及び同様のエンティティを表面に固定し若しくは固着することを意味する。特に、「細胞の付着(cell attachment)」、「細胞の固着(cell adhesion)」等の用語は、細胞固定用材料等のエンティティを培養するか又は細胞固定用材料等のエンティティと相互作用せしめることによって、表面との細胞の相互作用若しくは表面への結合を意味する。
【0008】
「固着性細胞」とは、基板の外部表面に関連付けられ、基板の外部表面上に固定され、又は特定の接触を維持する原核生物の細胞又は真核性細胞等の細胞、細胞株又は細胞システムを意味する。培養後のかかるタイプの細胞は、洗浄媒質交換処理、すなわち、多くの細胞ベースの分析に必須である処理に対して抵抗力を有し、耐性を有し得る。「弱固着性細胞」とは、細胞の培養中に基板の表面と弱く相互作用し、基板の表面と弱く関連し、基板の表面と弱く接触する原核生物の細胞又は真核性細胞等の細胞、細胞株又は細胞システムを意味する。しかしながら、これらのタイプの細胞、例えば、人間の胎児性腎臓(HEK:human embryonic kidney)細胞は、洗浄若しくは媒質の交換等の物理的に攪拌する手法により、基板の表面から容易に解離する傾向がある。「懸濁細胞」とは、望ましくは、媒質で培養される細胞又は細胞株を意味し、その細胞は、培養中に、基板の表面に付着若しくは固着しない。「細胞の培養」又は「細胞培養」とは、原核生物細胞若しくは真核性細胞が一定条件下で培養される処理を意味する。「細胞の培養」とは、多細胞の真正核細胞から得られた細胞の培養、特に動物細胞から得られた細胞の培養をも意味し、複合生体組織及び臓器の培養を含む。
【0009】
「細胞」等の用語は、半透明の膜によって外部的に結合された通常小なる微小質量の原形質を意味し、1つ以上の細胞核と他の多種の細胞小器官を任意で含み、生命の基本的な機能を単独で実行し又は生命の基本的な機能を実行する他の同等の集団と相互作用することができ、独立的に機能することができる生物の最小構造ユニットを形成することができ、合成細胞構造体、細胞モデルシステム、人工の細胞システムを含む。
【0010】
「細胞システム」等の用語は、互いに相互作用する1より大のタイプの細胞(又は単一タイプの細胞の異なる形態)の集合を意味し、生物学的病態生理学的機能又は生理的病態生理学的機能を発揮する。かかる細胞システムは、例えば、器官、生体組織、幹細胞、分化された肝細胞等のシステムを含む。
【0011】
「刺激」、「治療候補化合物」、「治療候補物質」、「予防的候補物質」、「予防的物質」、「リガンド候補物質」、「リガンド」等の用語は、バイオセンサ若しくは病原体に付着された細胞と相互作用する潜在能力にとって重要である自然に生ずる分子若しくは材料又は合成的な分子若しくは材料を意味する。治療候補物質又は予防候補物質は、例えば、化合物、生物学的分子、ペプチド、タンパク質、生物試料、例えば、約1000ダルトン未満の分子量を有する薬物候補の小分子、薬物候補の生物学的分子、薬物候補小分子‐生物の結合体等の物質、若しくは、実在の分子、又はそれらの組み合わせであり、タンパク質、DNA、RNA、イオン、脂質、又は、生細胞の同様の構造若しくは要素等の少なくとも1つの細胞性ターゲット又は病原体ターゲットと特に結合し又は相互作用し得る。
【0012】
「バイオセンサ」等の用語は、生物学的要素を物理化学的検出構成要素に結合せしめ得る分析物を検出するデバイスを意味する。バイオセンサは、通常3つの部分から構成される。3つの部分とは、(細胞性ターゲット、生体組織、微生物、病原体、生細胞、又はこれらの組合せ等の)生物学的構成部又は要素と、(例えば、光学的、圧電的、熱測定、若しくは磁気的な物理化学的手法で動作する)検出要素と、双方の構成部に関連付けられたトランスデューサとである。実施形態において、光学的バイオセンサは、生体細胞、病原体、若しくはそれらの組合せにおける分子認識事象又は分子刺激事象を定量化可能な信号に変換する光学変換装置を含み得る。
【0013】
「含む(Include)」、「含む(includes)」等の用語は、含んでいる(including)ことを意味するがこれに限定されない。すなわち、包括的であって、排他的でない。
【0014】
本開示の実施形態を説明するのに使用されている例えば成分の構成要素、濃度、堆積、処理温度、処理時間、収量、流速、圧力等の値の量、及びその範囲を修飾する「約」という用語は、例えば、化合物、構成、濃度、使用製剤に対して使用された通常の計測と取扱を介して、これら手法における不注意な誤動作を介して、方法を実行するのに使用される製造方法、ソース、又は出発物質若しくは成分の純度における差を介して、及び、及び同様の事項を介して生じうる数量における変分を意味する。また、「約(about)」という用語は、特定の初期濃度若しくは混合度を有する成分又は処方の経時変化に起因して異なる量、及び、特定の初期濃度若しくは混合度を有する成分又は処方の混合処理又は処理工程に起因して異なる量を包含する。本願に添付された特許請求の範囲においては、「約」という修飾語のあるなしにかかわらず、これら量の均等物を含むことが意図されている。
【0015】
「任意の」、「任意に」等の用語は、次に説明された事象又は状況が、生じ得るし又は生じ得ないことを意味し、説明が事象又は状況が生じる例及び事象又は状況が生じない例を含むことを意味する。例えば、「任意の要素」という語句は、要素が存在し又は存在し得ないこと、及び、開示が要素を含む実施形態及び要素を除く実施形態の双方を含むことを意味する。
【0016】
実施形態において「〜本質的に成る(Consisting essentially of)」とは、例えば、表面組成と、表面成分、化学式、又はバイオセンサの表面上の成分を製造し又は使用する方法と、本開示の物品、デバイス、若しくは装置と、を意味し、特許請求の範囲に記載された構成要素又はステップと、他の構成要素又はステップとを含み得る。その他の構成要素又はステップは、例えば、特定の反応物質、特定の添加物または成分、特定の物質、特定の細胞若しくは細胞株、特定の表面修飾剤または条件、特定のリガンド候補等の構造、材料、又は、選択された処理変動等の構成物、物品、若しくは装置の基本的且つ新規な特性と、本開示の製造方法及び使用方法とに物質的に影響を与えない。本開示の構成要素若しくはステップの基本特性に有形的に影響し又は本開示に不要な特性を与え得る事項は、例えば、エバネセント波の侵入深さ等の事項の理由により表面層としてのキレートポリマの過度に膜厚が大きな層、例えば約1000nmより大なる層を含む。
【0017】
特に指定しない限り、本明細書で使用された不定冠詞“a”“an”、又は対応する定冠詞“the”は、少なくとも1つ、又は1つ以上を意味する。
【0018】
当業者にはよく知られている簡略名が用いられ得る。例えば、時間又は(複数の)時間に対して「h」若しくは「hr」、(複数の)グラムに対して「g」若しくは「gm」、ミリリットルに対して「mL」、室温に対して「rt」若しくは「RT」、ナノメータに対して「nm」等の簡略語が用いられ得る。
【0019】
「重量パーセント」、「wt%」、「重量百分率」等の用語は、例えば、要素に関して、別に明確に述べられない限り、要素が含まれる組成の全重量に対する要素の重量の割合を意味し、パーセンテージとして表現される。
【0020】
要素、成分、添加剤、細胞のタイプ、抗体、Hisタグ付きエンティティ等、及びそれらの範囲に対して開示された特定の値又は好ましい値は、例示する目的のためにあるに過ぎず、それらは他の画定された値又は画定された範囲内の他の値を除外しない。本開示の構成、装置、及び方法は、いかなる値を有するこれらを含み、或いは、本明細書に記載された値、特定の値、より特定の値、及び好ましい値のいかなる組合せも有するこれらを含む。
【0021】
生体分子を、例えば、デキストラン等の多糖類又はポリアクリル酸等の合成ポリマから形成されているLIDバイオセンサに固定することができる先に説明したポリマーゲルは、例えば、J.A.Bosleyらによる「Materials and methods for microchemical testing」という発明の名称の(BIAcoreに譲渡された)米国特許第5436161号、及び、(Unileverに譲渡された)EP特許番号EP0226470号(「’470特許」)を参照されたい。
【0022】
多数のタイプのポリマーゲルのうち頻繁に使用されるのは、カルボキシメチルデキストランに基づくものであり、例えば、「S. Lofas, et al., “A Novel Hydrogel Matrix on Gold Surfaces in Surface Plasmon Resonance Sensors for Fast and Efficient Covalent Immobilization of Ligands,” J. Chem.Soc., Chem.Commun., 1990, 21, 1526-1528」という文献及び上述した米国特許第5436161号に記載されている。このカルボキシメチルデキストランベースのゲルは、その分子量に起因して、キャプチャ容量を限定している(BIAcoreから入手可能なCM5センサーチップに対してMw500000g/mol)。キャプチャ容量によれば、極めて高いタンパク質のキャプチャ容量を得るための最終的なゲルの高さ又は膜厚は、不適切である。
【0023】
関連する手法がPCT公報第WO2007/049269号(出願人Bio−Rad)に記載された。この公報において、結合層は、リガンド分子の結合の際及び分析分子との相互作用の際において高性能を示すカルボン酸基と置換された多糖類を含むことが言及されている。多糖類は、アラニンスペーサとの反応によって修飾される。この公報によれば、周知のカルボキシメチル化された多糖類のカルボン酸基の活性化と比較して、スペーサ修飾により、スペーサのカルボン酸基のより効率的な活性化が可能となることが言及されている。また、この公報によれば、ポリ(アクリル酸)又はポリ(メタクリル酸)等の合成ポリマは、はるかに効率的な活性及びその後の固定化を呈することが言及されている。しかしながら、リガンド分子は、恐らくこれらポリマの「生物学的適合性」がより低いことに起因して、低活性を呈する(13頁、5−9行を参照されたい)。
【0024】
NTA単分子層の低固定化容量に関する問題は、NTA修飾デキストランヒドロゲルによって被覆されたSPRチップを提案したGershonによって研究されている(P.D. Gershon, et al., “Stable Chelating Linkage for Reversible Immobilization of Oligohistidine Tagged Proteins in the Biacore Surface Plasmon Resonance Detector,” Journal of Immunological Methods, 1995, Vol. 183, pgs.65-76)。この化学物質はNTA−チップという商号でBIAcoreから現在市販されている。デキストランマトリツクスは、3Dヒドロゲル(通常、100nmの厚さ)を提供し、その3Dヒドロゲルは、NTA単分子層(SAM)に基づく表面化学物質を用いて観測されたタンパク質よりもはるかに多いタンパク質をキャプチャすることを可能にする。このNTAセンサーチップは特に巨大分子の相互作用研究に有益であるものの、固定されたタンパク質の量が限定されていること及び高タンパク質の解離に起因して、小分子相互作用に対して不適切である。
【0025】
タンパク質の浸出の欠点を克服するために、別の戦略は、良好なタンパク質安定性を確保し且つタンパク質の解離を防止するためにアフィニティキャプチャと共有結合性を組み合わせる方法を説明している(Inagawaらによる「Immobilization Method」という発明の名称のWO2004/046724及び米国特許公開番号第US2006/0014232号、「F.S. Willard, et al., “Covalent Immobilization of Histidine-Tagged Proteins for Surface Plasmon Resonance,” Anal.Biochem., 2006, Vol. 353, pgs.147-149」という文献を参照されたい)。しかしながら、この方法は重要な欠点を有する。すなわち、共有結合性及びアフィニティキャプチャが同時に実現されるので、タンパク質の付着は、表面の反応性基と特異性の全くないタンパク質からの反応性基との間の反応によって、非制御にて実行される。これは、特に不適切である。なぜならば、アフィニティ(親和性)によるタンパク質のキャプチャを選択する主要な理由が、タンパク質が、良好に画定された位置を有するタグだけによってセンサの表面に付着され、非特定の化学反応によっては付着されないということであるからである。別の方策が、NTAチップを用いることによって適用された。NTAチップにおけるタンパク質の固定化後において、EDC/NHS処理が、固定された生体分子に実行されて、基板と生体分子の間の共有結合が形成される(「M.A. Wear, et al., “A Surface Plasmon Resonance-Based Assay for Small Molecule Inhibitors of Human Cyclophilin A,” Anal.Biochem., 2005, Vol. 345, pgs.214-226」という文献を参照されたい)。残念ながら、生体分子の基板からの解離が全く観測されなかったとしても、EDC/NHS処理の後に、タンパク質の浸出は活性化ステップ中において重要であるように思われる。周知の方法の化学物質の本来的に乏しい固定化容量と結びついて、表面からのタンパク質の浸出又は損失は、さらに、基板に固定されたタンパク質の量の低減に寄与する。最終的に、キャプチャされた生体分子の低容量性は、この化学物質が小分子認識事象に適切であることを妨げる主要な欠点であるようである。
【0026】
LID技術は、受容体等の固定されたターゲットに対するリガンドの吸着によって誘起される屈折率の局所的変化に基づいている。
【0027】
バイオセンサ上のターゲットの固定化が低い事及びバイオセンサ上の特定のリガンド結合活性が低い事に関する問題は、選択的に、化学的に、そして生物学的に機能化された本開示の表面によって克服され得る。本開示の表面は、バイオセンサ上の高い生化学的ターゲットの固定化度及び表面結合した生化学的ターゲットとの高い固有リガンド結合活性度を有する。
【0028】
本開示のバイオセンサ製品の表面特性は、得られる信号を増強せしめる。これは、固定されたターゲット又は固定された受容体の密度、すなわち、バイオセンサに固定され且つターゲットリガンドに対してキャプチャ容量を増大せしめる受容体の数を増大させることによって、及び、固定された受容体の増大された活性度及び有用性を与えることによって、行われる。
【0029】
実施形態において、本開示の表面化学物質は、別のタイプのLIDセンサ又は表面プラズモン共鳴(SPR)のタイプのセンサである二面偏波式干渉技術(DPI:Dual Polarized Intereferometry)に対する適応性を有し得る。
【0030】
実施形態において、本開示は、例えば、基板又はセンサの表面に、タンパク質等の生体分子を効率的に固定する方法に関する。本開示は、標識非依存性検出(LID)のバイオセンサの分野において特に有益である。本開示は、LIDバイオセンサの表面化学物質並びにその準備及び使用の方法に特に関連する。
【0031】
LIDを用いた生体分子認識事象の分析において、少なくとも1つの生体分子は、導波表面及び第2の分子パートナー又は補体の出来る限り近くの基板に固定されなければならない。基板は、固定された分子を認識し又は固定された生体分子によって認識されて、固定された生体分子と反応し又は結合する。結合は、局所的な質量の増大に起因して屈折率を局所的に変化させ、波長のシフト又はSPR信号として検出される。
【0032】
固定された受容体に対するリガンドの吸着によって誘起された屈折率のかかる局所的変化に基づくLID技術に対して、適切な表面化学物質が、固定された受容体の数を増やすことによって信号を増強し、より多くの量のリガンドをキャプチャする。その上、表面化学物質は、センサ表面上に強固に付着された受容体を維持しなければならない。実際に、受容体の脱離は、波長のシフト又はSPR信号に対して容認できないほど大きな変化を引き起こし、これにより、新規な薬物エンティティ等の小分子の結合事象が完全に隠され得る。かかる受容体の脱離を防止するために、センサに対する受容体の共有結合性付着が通常使用される。しかし、いくつかの場合において、共有結合性の固定化は、ランダムな配向性や構造の変形等に起因して、タンパク質の活性化の部分的又は全面的損失を引き起こし得る。
【0033】
高結合性応答を達成するために、高レベルの固定された生体分子を有することが望ましく、結合事象にとって有益な固定された生体分子を有することは、同等に望ましい。これは、通常、結合応答を低減してしまう例えば立体的な障害効果を防止するために、生体分子が、本来の又は活性な構造になければならないし、センサ表面上で良好に配向されなければならないことを意味している。
【0034】
かかる生体分子の有用性及び良好な配向性を得るために、アフィニティキャプチャを介した固定化は、共有結合付着よりも一般的に好ましい。かかるアフィニティキャプチャ方法は、例えば、表面に先に付着されたストレプトアビジン又はアビジンによってキャプチャされたビオチニル化された分子、又は、表面に先に固定された金属イオンによってキャプチャされたヒスチジンタグ付けをされた分子に基づいている。これら方法の双方は、固定化ステップの生体分子にタグを付加する必要があるものの、固定された生体分子の優れた有用性及び良好な配向性を提供し得る。しかしながら、固定されたヒスチジンタグ付き(Hisタグ)分子に対して、脱離が通常観測され、脱離により小分子の結合が隠され得る。
【0035】
2つの手法の固有の欠点を克服するために、本発明は、高密度及び高安定度におけるアフィニティキャプチャによって、そして、化学的な処理によって受容体を基板に共有結合せしめることによってバイオエンティティ等の物質(例えば、受容体、タンパク質)を固定することができるバイオセンサ表面を提供する順次的方法を提供する。
【0036】
実施形態において、本開示は、基板表面にポリマを有する基板を含むバイオセンサ製品を提供する。前記ポリマは、[化1]に示される化学式Iのポリマを含む。
【0037】
【化1】

【0038】
化学式Iのポリマは、金属‐イオンキレート基(x)、イオン化基(y)、及び、表面実在基(z)のうちの少なくとも1つを有する。ここで、Rは、水素、又は、1から6までの炭素原子を有する置換若しくは未置換の直鎖若しくは分枝の一価のヒドロカルビル残基である。R’は、1から18までの炭素原子を有する置換若しくは未置換の直鎖若しくは分枝の2価のヒドロカルビル残基であり、これは、不飽和モノマ、例えば、アクリル酸、アクリルアミド、又はそれらの結合の共重合化から生ずる。R’’は、1から20までの炭素原子を有する置換若しくは未置換の直鎖若しくは分枝の2価のヒドロカルビル残基である。Sは、基板に対して関連し又は付着する少なくとも1つのポイントを含む。Wは、例えば、二配座基、三配座基、四配座基等の基、又は、それらの組合せ等の少なくとも1つの金属イオンキレート剤残基を含む。Xは、−NH−、−NR−、又はOであり、x基:(y+z)基のモル比は、約2:8から約8:2までである。
【0039】
実施形態において、Sは、例えば、ポリマに共有結合し得る基板表面基又は修飾表面基の一部で有り得るし、又は、例えば、基板の表面に結合し又は基板の表面に関連付けるポリマの官能基であり得る。Sは、例えば、金属酸化物、合成金属酸化物、ポリマ、合成物、若しくはそれらの組合せ、表面修飾された基板、又は、それらの組合せ、例えば、Nb2O5、SiO2、Nb2O5/SiO2、環状オレフィンコポリマ、及び、同様の基板に対する付着ポイントのうちの少なくとも1つで有り得る。Sは、例えば、アミノシロキサンによって処理されたガラス又はプラスチック基板であり得る。さらに又はあるいは、Sは、例えば、既知のシランGAPS、APS、MOPS,及び同様の修飾物、又は、それらの組合せを有する表面被覆修飾基板であり得る。
【0040】
実施形態において、Wは、例えば、少なくとも1つの金属イオンキレート基であり得るし、少なくとも1つのタグを有する生体分子に対する初期の結合部位であり得る。すなわち、Wは、例えば、金属‐イオンが存在しない金属‐イオンキレート基等の少なくとも1つの2配座基、3配座基、又は4配座基であり得るし、例えば、キレート化金属イオンが存在する際に少なくとも1つのタグを有する生体分子に対する活性な結合部位であり得る。Wキレート基は、例えば、イミノジアセチック酸(IDA:iminodiacetic acid)、ニトリロトリ酢酸(NTA:nitrilotriacetic acid)、トリアザシクロノナン(TACN:triazacyclononane)、アミノエチルエタノールアミン、トリエチレンテトラミン、2ヒドロキシプロパン‐1,2,3‐トリカルボン酸(クエン酸)、並びに、2配座、3配座、及び複数配座キレート置換基、それらの誘導体、又は、それらの組合せのうちの少なくとも1つのであり得る。金属‐キレート基は、モノ‐NTA、ビス‐NTA若しくはトリス‐NTA、テトラキス‐NTA、ポリ‐NTA等の基、又はそれらの組合せであり得る。イオン化基は、例えば、カルボン酸基等の基又はそれらの組合せであり得る。
【0041】
実施形態において、Xは、例えば、−NH−(アミド酸)、−O−(カルボン酸、カルボキシエステル、ヘミエステル)等の基、又はそれらの組合せであり得る。実施形態において、特に有益なXは、−NH−である。
【0042】
実施形態において、モル比x:(y+z)は例えば、約2:8から約8:2であり得るし、約2:1から約1:2まであり得るし、そして、約1から約1までであり得る。なお、これら比は、全ての中間値及び範囲を含む。望ましくは、モル比x:(y+z)は、本明細書に開示された例示的なPAA:NTA物質に見出されたように、例えば、約1:1であり得る。
【0043】
実施形態において、製品は、Wと結合された少なくとも1つの金属イオンを有するポリマを更に含み得る。少なくとも1つの金属イオンは、例えば、Ni、Cu、Zn、Co、Fe又はそれらの組み合わせから選択された少なくとも一つの金属イオンを含む。製品は、錯化された金属−イオンと関連付けられたHisタグ付きエンティティを有するポリマをさらに含み得る。錯化された金属−イオンは、天然の又は合成のオリゴヌクレオチド、天然の又は合成の核酸(例えば、DNA又はリボ核酸)、天然のペプチド、1つ以上の修飾され又はブロックされたアミノ酸を任意に含む天然の又は合成のペプチド、抗体、ハプテン、生物学的リガンド、タンパク質膜、脂質膜、タンパク質、約500ダルトン未満の分子量を有する小分子、細胞若しくはそれらの組合せ、又は、それの置換体のうち少なくとも1つを含む。製品は、関連のHisタグ付きエンティティと結合されたリガンドを有するポリマをさらに含み得る。受容体は、例えば、刺激物質、治療候補物質、予防的候補物質、予防的物質、化合物、生物学的分子、ペプチド、タンパク質、生物試料、約500ダルトン未満の分子量を有する小分子、生物学的薬物分子候補、薬物候補小分子‐生物の結合体、病原体、細胞、又はそれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含み得る。
実施形態において、化学式(I)のポリマは、R,R’、S、W、及びXを組み入れる特定の構造を有し得る。例えば、Rは、水素であり、又は、1から4までの炭素原子を有する置換若しくは未置換のアルキルである。R’は、1から10までの炭素原子を有する2価のヒドロカルビル残基である。R’’は、2から6までの炭素原子を有する置換若しくは未置換の2価のヒドロカルビル残基である。Sは、不飽和のシラン若しくはメルカプトシラン基板である。Wは、例えば、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、トリアザシクロノナン、アミノエチルエタノールアミン、トリエチレンテトラミン、2ヒドロキシプロパン‐1,2,3‐トリカルボン酸、及び同様のそれらの置換基若しくは誘導体若しくは塩類、又はそれらの組合せのうちの少なくとも1つであり得る。Xは、−NH−であり、モル比x:(y+z)は、約2:1から約1:2までである。
【0044】
実施形態において、製品は、例えば、約1:1のモル比x:(y+z)を有する化学式(I)のポリマを含み得る。基板表面のポリマは、例えば、約20nmから約1000nmの膜厚を有する連続した層若しくはフィルム又は不連続な層若しくはフィルムであり得る。
【0045】
実施形態において、本開示は、化学式(I)のポリマを有し且つ図1に示すようなバイオセンサ製品を製造する方法を提供する。方法は、パスAを含む。パスAは、[化2]に示された化学式(II)の関連づけられたポリマ又は付着されたポリマを
有する基板表面と、活性化剤とを接触させて、活性置換基を用いて修飾されたカルボキシ基を有する活性化ポリマ(図示せず)を形成するステップと、当該得られた活性化ポリマをキレート基フォーマに接触させて、[化4]に示された化学式(IV)
の特定のポリマ等の化学式(I)のポリマを形成するステップを含む。
【0046】
【化2】

【0047】
【化4】

【0048】
x’及びy’は、活性化剤とキレート基形成体とを接触させた後に残存した残留イオン化基を表している。
【0049】
化学式(IV)の特定のポリマは、[化5]に示された化学式(V)の表面結合され又

表面に関連付けられたポリマである。
【0050】
【化5】

【0051】
実施形態において、パスAにおいて、活性化剤は、例えば、1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩)(EDC:1-ethyl-3-(3-dimethyl aminopropyl carbodiimide hydrochloride))、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC:dicyclohexyl carbodiimide)、N、N’カルボニルジイミダゾール(CDI:carbonyl diimidazole)、1‐シクロヘキシル‐3‐(2‐モルホリノエチル)カルボジイミド(CMC:1-cyclohexyl-3-(2-morpholinoethyl)carbodiimide)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC:diisopropylcarbodiimide)、ウッドワード試薬K、及び同様の活性化剤、又は、それらの組合せから選択され得る。好ましい活性化剤は、好ましくは200/50mMから20/5mMまでの濃度におけるEDC/NHS及びEDC/スルホNHSである。NHSは、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS:N-hydroxysuccinimide)であり、スルホNHSは、N−ヒドロキシスルホスクシンイミドである。
【0052】
付着されたポリマの化学式(II)は、金属‐イオンキレート剤残基を有する第1のアクリルアミドモノマ及び第2のアクリルアミドモノマの混合物から構成され得る。関連付けられ又は付着された化学式(II)のポリマは、基板を例えば[化3]に示された化学式(III)の前もって形成されたポリマに接触させることによって得られ得る。
【0053】
【化3】

【0054】
そのポリマは、アクリル酸モノマ(x’)及びアクリルアミドモノマー(y’)の混合物等のモノマにより構成されている。
【0055】
実施形態において、本開示は、化学式(I)のポリマを有するバイオセンサ製品を製造する代替的なin−situ方法を提供する。方法は、パスBを含む。パスBは、少なくとも1つの金属‐イオンキレート剤残基を有する少なくとも1つのアクリルアミドモノマと不飽和有機シラン修飾表面との混合物を重合化して、図2に示すように、付着され又は関連付けられた化学式(I)のポリマを形成するステップを含む。パスBにおいて、重合化は、例えば、活性放射線、加熱、フリーラジカル開始剤、又はそれらの組み合わせにより達成され得る。
【0056】
パスA及びパスBの準備処理工程から得られた、関連付けられ又は付着されたポリマの化学式の顕著な差異は、パスBにおいて、添付した[化6]に示された化学式(
VI)のポリマにおいて示されているように、表面のポリマに、残留イオン化カルボン酸基(x’)が通常ほとんど存在しないか又は全く存在しない点である。
【0057】
【化6】

【0058】
この構造上の差異は、特異的固定ターゲットに対する特に有益であり若しくは有効なポリマの組成及び特性を設計又は選択するのに用いられ得る。
【0059】
実施形態において、パスBにおいて、少なくとも1つのアクリルアミドモノマは、例えば、金属‐イオンキレート剤残基を有する第1のアクリルアミドモノマ及び第2のアクリルアミドモノマを含む。第1のアクリルアミドモノマは、例えば、アクリルアミド、又は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、3−アクリルアミノ−1−プロパノール、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド等のアルキル置換アクリルアミド、例えば、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)]アクリルアミド、N−アクリルアミドーエトキシエタノール、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のジアルキルアクリルアミド、又は、それらの組合せであり得る。金属‐イオンキレート剤残基を有する第2のアクリルアミドモノマは、例えば、ニトリロトリアセテート(NTA)置換アクリルアミド、NTA置換(メタ)アクリルアミド及び同様のキレート含有アクリルアミド等のキレート置換アクリルアミド、キレート置換アルキルアクリルアミド、又はそれらの組合せであり得る。
【0060】
パスBにおいて、金属‐イオンキレート剤残基は、例えば、イミノジアセチック酸(IDA:iminodiacetic acid)、ニトリロトリ酢酸(NTA:nitrilotriacetic acid)、ニトリロトリアセテート、トリアザシクロノナン、アミノエチルエタノールアミン、トリエチレンテトラミン、2ヒドロキシプロパン‐1,2,3‐トリカルボン酸、及び置換基又はそれらの誘導体、又は、それらの組合せであり得る。有機シラン修飾表面は、例えば、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MOPS:methacryloxypropyltrimethoxysilane)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、トリメトキシ(7−オクテンー1−イル)シラン、オクテニルトリクロロシラン、3‐(トリクロロシリル)プロピルメタクリレート、アリルトリクロロシラン、トリクロロビニルシラン、3‐(ジエトキシメチルシリル)プロピルメタクリレート、3‐(トリメトキシシリル)プロピルアクリラート、ジエトキシ(メチル)ビニルシラン、ジメトキシ(メチル)ビニルシラン、エテニルエトキシジフェニルシラン、及び同様の不飽和有機シランアクリラート、又は、アクリルアミド、例えば、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランチオール置換されたアルコキシルシラン、又は、これらのあらゆる組み合わせであり得る。
【0061】
実施形態において、パスA又はパスBの一方において、処理は、化学式(I)のポリマをHisタグ付きエンティティに接触して、Hisタグ付きエンティティによって修飾されたポリマ基板又はバイオセンサを形成するステップを含み得る。得られたHisタグ付きエンティティによって修飾されたポリマ基板は、例えば、Hisタグ付きエンティティによって修飾された基板を共有結合性結合剤に接触させることによって、さらに修飾され得る。これは、例えば、被覆された基板に対するエンティティを保護するためである。そして、当該修飾されたポリマ基板は、例えば、エタノールアミン等の物質である遮断物質を用いて任意に処理することによって、さらに修飾され得る。これは、残留し又は残存する活性化エステルを遮断するためである。方法は、結合剤処理されたHisタグ付きエンティティによって修飾された基板をリガンドに接触させて、少なくとも1つの結合リガンドを有するHisタグ付きエンティティ修飾バイオセンサを含む基板を形成するステップを、さらに含み得る。
【0062】
パスA又はパスBにおいて、第1のアクリルモノマは、例えば、ポリマ内に、約20モル%〜約80モル%で存在し得る。金属‐イオンキレート残基を有する第2のアクリルモノマは、コポリマにおけるモノマの総モル%若しくはwt%に基づいて、約80モル%若しくはwt%から約20モル%若しくはwt%において、例えば化学式(I)のポリマにおいて存在し得る。
【0063】
実施形態において、パスBにおいて、第1のアクリルアミドモノマは、ポリマ内において約20モル%〜約80モル%で存在し得る。金属‐イオンキレート残基を有する第2のアクリルアミドモノマは、コポリマにおけるモノマの総モル%に基づいて約80モル%から約20モル%で存在し得る。
【0064】
実施形態において、第1のアクリルアミドモノマは、コポリマにおけるモノマの総モル%に基づいて約25モル%から約75モル%まで、約30モル%〜約70モル%まで、及び、約35モル%〜約65モル%までにおけるポリマにおいて例えば存在し得る。これらの値は、中間値と範囲を含む。金属‐イオンキレート残基を有する第2のアクリルアミドモノマは、コポリマにおけるモノマの総モル%に基づいて約75モル%〜約25モル%まで、約70モル%〜約25モル%まで、約65モル%〜約30モル%まで、約55モル%〜約30モル%まで、及び、約50モル%〜約35モル%までにおいて存在し得る。これらの値は、中間値と範囲を含む。第1のアクリルアミドの40モル%〜60モル%及び第2のアクリルアミドの60モル%〜40モル%が、1つの好適実施例である。
【0065】
実施形態において、本開示は、リガンドの分析を実行する方法を提供する。方法は、リガンドと前述のHisタグ付きエンティティによって修飾された基板とを接触させるステップを含み、リガンドがHisタグ付きエンティティに結合する場合、バイオセンサのリガンド誘起の応答を検出する。実施形態において、本開示は、例えば、バイオセンサ又は細胞培養において用いられ得る開示された準備方法による製品を提供する。
【0066】
実施形態において、本開示は、例えば、基板表面に対する直接的な重合化を実行することによって達成され、「in−situ」重合化としても知られている。この手法は、生物分析アプリケーションのためのポリマヒドロゲルの準備に用いられた。「in situ」ポリマヒドロゲルを達成する1つの方策は、表面から形成されたポリマブラシに基づいている(「グラフティング‐フローム」という方策)。当該方策において、ポリマ性の鎖が、表面の単一の位置又はいくつかの位置に付着される。例えば、ポリ(アクリル酸)(PAA)ポリマは、金若しくはシリカ表面において制御されたラジカル重合又は原子移動ラジカル重合(ATRP)を使用して、準備された。DI水中で膨張した後にこのポリマヒドロゲル層の典型的な膜厚は、例えば、100nmであった。そして、ポリマは、EDC/NHSを用いた活性化により、ニトリロトリアセテート(NTA)を用いて修飾された(例えば、「Jain, P, et al., “High capacity purification of his-tagged proteins by affinity membranes containing functionalized polymer brushes”, Biomacromolecules, 2007, 8, 3102-3107」という文献及び「Yu T, et al., “Functional hydrogel surfaces:binding kinesin based molecular motor proteins to selected patterned sites,” Advanced functional materials, 2005, 15, 1303-1309」という文献を参照されたい。)ポリ(HEMA)ヒドロゲルを修飾するためにニトリロ酢酸を使用する類似の手法が記載されている(「Dai J, et al., “High capacity binding of proteins by poly(acrylic acid) brushes and their derivatives”, Langmuir, 2006, 22, 4274-4281」という文献を参照)。
【0067】
自己組織化単分子膜(SAM:self−assembled monolayer)と比べて、これらPAAポリマヒドロゲルは固定化容量の改善を示すものの、それらは、スクリーニングアプリケーション、特に小分子認識に対しては目的とされていなかった。これらの手法は、NTAアフィニティ化学のタンパク質の浸出という欠点に対して明確な解法を提供しなかった。その上、準備処理は、基板に固定された特定の重合開始剤に依存することによって及び錯体重合技術(すなわち、ATRP又はRAFTのような制御されたラジカル重合)によって、複雑化される。
【0068】
この制限を克服するために、「in−situ」重合以外の代替手段は、溶液中のモノマと先に基板に付着された二重結合反応基との間の直接反応に基づいていた。この方法は、反応性ポリマの接合のための浸漬被覆と比較して、例えば、ポリマ化に要する時間の低減、用いられる試薬が少ないという利点、及び、スケールアップがより容易であることという利点を与える。例えば、HEMA及びNTAメタクリルモノマのポリマ化は、有望な固定化容量を有するNTAポリマヒドロゲルを生成するためにUV活性を用いて、簡単且つ高速に(例えば、数秒の全反応時間)実行された(参照:「Cullen SP, et al., “Polymeric brushes as functional templates for immobilizing ribonuclease A:study of binding kinetics and activity”, Langmuir, 2008, 24, 913-920」という文献を参照されたい)。その文献の著者は、用いられ得るバイオセンサ及びバイオチップアプリケーションについて言及したものの、これらアプリケーションの現実のインプリメンテーションに関して詳細を全く明らかにしなかった。当該参照文献において、タンパク質の浸出に関する言及はされていなかった。
【0069】
実施形態において、本開示は、急速であり、準備が容易であり、試薬の消費が少ない等の改善された処理によって準備されたポリマヒドロゲルに基づいたアフィニティ表面を提供する。当該アフィニティ表面は、無標識検出方法に適合性がある非常に高い固定化容量表面を与える。表面は、錯体化されたNTA−Ni−ヒスチジンに対して優れた安定性を提供し、共有結合性付着反応は、あらゆるタンパク質の解離を防止する。
【0070】
実施形態において、本開示は、金属/キレート表面を有する無標識検出センサを準備する処理を提供する。
【0071】
実施形態において、金属/キレート表面は、共重合可能なタイレイヤが存在する場合にin−situにて金属キレート基を有する(メタ)アクリルゲルを形成するステップを含む処理によって準備され得る。そして、実施形態において、本開示は、得られた金属/キレート表面上に生体分子を固定するステップを含む分析方法を提供する。固定するステップは、表面を生体分子に接触させて、その後、表面に固定された生体分子を処理して、固定された生体分子とセンサ表面との間において少なくとも1つの付加的共有結合性相互作用を提供するステップを含む。
【0072】
実施形態において、本開示は、共重合可能タイレイヤを用いて金属キレート基を有する(メタ)アクリルゲルのin−situ形成を含む金属‐イオンキレート表面化学物質を有する無標識検出センサを提供することによって上述したニーズに対処する。また、本開示は、固定された生体分子とバイオセンサ表面との間の共有結合性相互作用を可能にする処理に基づいて、生体分子の固定化の後に第2のステップにおいて実行される分析方法を提供する。
【0073】
有益なタイレイヤは、(メタ)アクリルモノマと重合若しくは反応し得る例えばアルコキシシラン、クロロシラン、又はそれらの組み合わせであり得る。かかるシランは、例えば、ビニル基、(メタ)アクリル酸エステル基、(メタ)アクリルアミド基等の基を有するものを含む。特に有益なシランは、例えば、methacyloyloxypropyl、トリメトキシシランであり得る。
【0074】
実施形態において、in−situにて重合されるべき化合物は、例えば、(メタ)アクリル酸及びアクリルアミド等のモノマ(図1)、又はNTA修飾(メタ)アクリルアミドモノマ及びアクリルアミド(図1B)等のモノマ混合化合物を含み得る。
【0075】
in−situにて重合されるべきモノマ混合物が、(メタ)アクリル酸及びアクリルアミド誘導体を含むとき、選択されたキレートリガンド基は、例えば、トリアザ‐シクロノナン等の大環状リガンド、又は、イミノジアセチック若しくはニトリロ三酢酸等の非環状キレートリガンド基であり得る。特に有益なキレートリガンド基は、ニトリロ三酢酸基である。これは、例えば、有用性、準備の容易性、高い金属イオン結合定数等の事項の理由による。金属/キレート基は、例えば、モノ‐NTA、ビス‐NTA、トリス‐NTA、テトラキス‐NTA、又は、ポリ‐NTAであり得る。NTA/in−situ形成された修飾(メタ)アクリルゲルは、コポリマゲルのカルボン基と、少なくとも1つのNTA基及び少なくとも1つのチオール基、ヒドロキシル基、又は活性されたカルボン基と反応することができるアミノ基を有する1つの反応物質との間の反応によって得られ得る。これにより、それぞれチオエステル基、エステル基、イミド基又はアミド基の形成が生ずる。少なくとも1つのNTA基を有する反応物質は、例えば、Hochuliによって開示された化合物から選択され得る(「Hochuliらによる「メタルキレート樹脂」という発明の名称の米国特許第4,887,830号、「Neue Metallchelatharze」という発明の名称のヨーロッパ特許第EP0253303B1号、及び「J. Chromatogr., 1987, Vol. 411, pgs.177-184」という文献を参照されたい)。そして、より好ましい化合物は、N、Nビス−(カルボキシメチル)−L−リジン、又はN、Nビス−(カルボキシメチル)ーL−リジンジナトリウム塩モノハイドレイト等の塩類である。
【0076】
本開示において、キレート基をポリママトリックスに移植するために用いられるpHが固定化を目的する表面の得られる容量に対してかなり影響を及ぼし得ることに注意すべきである。例えば、約7〜10の高pH値により、タンパク質の固定化が高められる。高タンパク質固定化のための特定の高pHは、例えば、pH=9.2である。センサ表面におけるNTA/コポリマゲルの膜厚は、例えば、約5nmから約200nmであり得る。
【0077】
in−situにて重合させられるべきモノマ混合物が、NTA修飾(メタ)アクリルアミド及びアクリルアミド又は同様のモノマ誘導体を含むとき、ポリママトリックスのカルボン基とCML化合物との間の結合ステップは不要であるので、同様のNTAベースのポリマヒドロゲルが、単一のステップにて得られ得る。
【0078】
驚くべきことに、NTA基を有してin−situにて形成された(メタ)アクリルゲルに基づくかかる化学物質は、固定された生体分子とin−situにて生成された(メタ)アクリルゲルとの間において共有結合が形成されるそれに続いて第2ステップに続いて、標識非依存性検出(LID)を使用してこの表面化学物質を低分子量薬物スクリーニングに大きく適合せしめる非常に高いタンパク質固定化容量を与え且つタンパク質の解離又はタンパク質の浸出がないので、前述の問題を克服する。
【0079】
これらモノマ(ジメチルアクリルアミド及びアクリル酸)の比が高タンパク質固定化活性を達成するために重要であり得ることに注意すべきである。実際、ポリママトリックスにおけるアクリル酸モノマの比率は、再現可能であり、Epic(登録商標)センサの方法に適応可能であり、既知のEpic(登録商標)応答性と相関がある。したがって、表面に接触しているとき、タンパク質の生物活性を維持し、多くのタンパク質キャプチャを実現するために、最善のポリママトリックスを選択することが重要である。生物活性を高く維持することによって、多くのリガンドが固定されたタンパク質と相互作用し、その結果、分析感度を高めることができる。
【0080】
実施形態において、本開示は、NTAベースのポリマヒドロゲルを有するセンサを準備する方法を提供する。
【0081】
実施形態において、
本開示は、高タンパク質固定化容量を有し且つ高リガンド結合応答を与え得るセンサを準備する方法を提供する。高タンパク質固定化容量及び高リガンド結合応答とは、既知のタンパク質固定化容量及びリガンド結合応答を有する既知のセンサに匹敵するか又は既知のセンサよりも大であるこという。開示されたセンサは、Epic(登録商標)において、例えば、4000ピコメートル(pm)の固定化応答性及び20pmの結合応答性を提供し得る。1pmの応答は、吸着分子の約5pg/mm2(5pg/mm2/pm)に対応する。したがって、4000pm固定化応答は、20ナノグラム/mm2の固定されたタンパク質に等しい。そして、20pmの結合応答性は、100pg/mm2の固定されたタンパク質に等しい。
【0082】
実施形態において、開示された表面は、例えば、タンパク質を修飾表面に固定する共有結合ステップを含むことによって、先行技術の表面化学物質を用いて観測されてきたタンパク質の解離又はタンパク質表面の浸出に関する問題を克服し得る。
【0083】
実施形態において、開示された表面化学物質は、マイクロ流体の態様であるかどうかに関係なく、SPR、共鳴グレーティング、Epic(登録商標)センサプレート、二重偏光干渉法等に基づいて、
ほとんど全ての無標識検出プラットフォームを実装するのに簡単であり、ほとんど全ての無標識検出プラットフォームに適合性がある。
【0084】
実施形態において、開示された表面は、約1カ月などから約12カ月以上等、卓越した有効期間を有し得る。実施形態において、本開示は、広いpH範囲において、特にタンパク質のpIより大なるpHにおいて、タンパク質の固定化を可能にする表面及び方法を提供する。
【0085】
実施形態において、開示された準備処理は、例えば、従来の浸積被膜処理と比較して、約10重量パーセント〜約98重量パーセントの溶媒の低減等、センサの製造の際に消費される溶媒をかなり低減する。
【0086】
実施形態において、本開示された処理は、通常のポリマ合成及びディップコーティング処理よりも約5%〜約85%だけ速い。
【0087】
実施形態において、開示された準備処理は、特定の生体分析における特に有益なポリママトリックスを特定するために、例えば、混合物におけるモノマの相対重量比を変更することによって、容易に調整され得る。
【0088】
商業的見地から、本開示のPAA−NTAアフィニティ表面は、PAA/DMAポリママトリックスがアミンカップリング(PAA/DMA)によるタンパク質のキャプチャのためのプラットフォーム又は(PAA−NTAを取得するための化学修飾後の)アフィニティ相互作用によるhisタグ付き標識タンパク質のプラットフォームであり得ることに重きを置いている。
【0089】
実施形態において、本開示は、例えば、非常に高い固定化容量を有するアフィニティベースの表面化学物質を提供する。当該アフィニティベースの表面化学物質は、高安定性NTAニッケルヒスチジン錯体を与える無標識検出方法に適合性があり、リガンド検出の前に、ポスト固定化共有結合性付着反応を使用して実質的にすべてのタンパク質の解離を防止する。
【0090】
バイオセンサ製品を製造する1つの例示的準備手法は、アミノプロピルモノシラン(APS:aminopropyl silane)を用いた処理によって得られ得るような例えばタイレイヤ若しくは転化被膜を有するインサート又はガラススライド等の適切な基板を被覆するステップを含む。次に、タイレイヤ処理された基板は、例えば、DMSO:IPA=50/50=v:vにおいて1mg/mLの濃度にて約10分以上にて、PPA−DMAm(50:50)溶液等のポリマの溶液又は分散溶液において浸漬被覆され得る。そして、洗浄され且つ乾燥されたポリマコートされた基板はEDC/sNHS等の物質、そして、CML若しくは同様の修飾化合物を用いて、薄めずに又はホウ酸塩緩衝液等の適切な溶液において、約30分間処理される。金属イオンは、例えば、40mMのNiSO4溶液等の適切な金属塩溶液の添加により及び約30分間の攪拌により、ポリマと錯体化され得る。
【0091】
実施形態において、ポリマは、例えば、アクリル酸(AA:acrylic acid)及びカルボキシ基の一部を有するアクリルアミド(MAm:acrylamide)コポリマの前もって形成された誘導化製品であり得る。カルボキシ基は、スペーサ(R’’)、金属‐イオンキレート剤(W)等の少なくとも1つの二配座基、及び、任意で金属イオン(Mn+)と誘導体化されている。実施形態において、ポリマは、例えば、スペーサ及び金属キレート剤(例えば、NTAとしても知られているカルボキシメチルリジンすなわちCML)を有するコポリマ修飾表面と化合物とを接触せしめ、そして、付着されたスペーサと二配座金属イオンキレート剤を有するコポリマ修飾基板と金属イオン溶液とを接触せしめて、少なくともいくつかのキレート化金属イオンを有するコポリマ修飾基板表面を形成することによっても準備され得る。
【0092】
理論によって制限されないものの、化学式(I)のコポリマを用いて修飾された表面は、単一の又はほんのわずかな付着ポイントによって湖の底に付着された海草と同類の拡張された構造を提供するために、バッファ媒体等の所定溶液において可逆的に緩和し又は広がり得る。拡張構造は、より多くの数のポイントを与え得る。当該ポイントにおいて、金属イオンが複合化しして、
タグ付けされた生体分子等のエンティティが固定化のために複合化し得る。
【0093】
実施形態において、本開示は、上記の金属イオン錯体化ポリマを有する基板とHisタグ付きエンティティターゲットを接触させて、Hisタグ付きエンティティを固定するステップを含む開示されたバイオセンサ製品を使用する方法を提供する。当該Hisタグ付きエンティティターゲットは、少なくとも1つのHisタグ又はラベル、例えば、Hisタグ付きカルボニックアンヒドラーゼを有する小分子、Ab、タンパク質、細胞等のエンティティ等である。当該方法は、固定されたHisタグ付きエンティティを有する基板と共有結合性結合剤又は安定剤とを接触させて、安定化されたHisタグ付きエンティティを有する基板を形成するステップを含む。
【0094】
共有結合性結合剤又は安定剤は、例えば、NHS/EDC等の試薬又は処理剤であり得る。安定剤に接触することから生じる安定化された中間生成物は、分離される必要はない。必要であれば、安定化された中間生成物は、共有結合性リガンドのキャプチャ及びセンシングに直接使用され得る。使用方法は、をさらに含み得る。安定化されたHisタグ付きエンティティを有する基板をリガンドに接触させ、結合されたリガンドを有するHisタグ付きエンティティを有する基板を形成するステップをさらに含み得る。当該結合されたリガンドとは、すなわち、Hisタグ付きエンティティ又はHisタグ付き共役形成体(例えば、小分子、Ab、タンパク質等のリガンド)である。
【0095】
実施形態において、基板をHisタグ付きエンティティに接触させるステップは、すなわち、固定化ステップは、例えば、約3〜約9のpHで達成され得る。基板をHisタグ付きエンティティに接触させるステップは、例えば、Hisタグ付きエンティティのpI上のpHにおいて達成され得る。実施形態において、Hisタグ付きエンティティの固定化は、例えば、約1500pmより大であり得る。固定されたHisタグ付きエンティティの損失は、例えば、約10ピコメートル(pm)より大なるバイオセンサ結合応答を有するバイオセンサを提供するとともに固定化特性及び安定性特性を増大せしめた最初に固定されたHisタグ付きエンティティの総量の約0.1wt%未満であり得る。バイオセンサは、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサ、導波共鳴グレーティングバイオセンサ、インピーダンスバイオセンサ、質量分析バイオセンサ等のデバイス、又は、それらの組合せのうち少なくとも1つを含み得る。
【0096】
グレーティング共鳴センサ又はSPR‐センサ等のLIDバイオセンサが使用されるとき、エバネセントフィールド波は、マイクロメートルの厚さのゲルを不適切なものとする表面から最初の約100ナノメートルから約200ナノメートルのみを検出し得る。したがって、センサの表面から約200nm離れたゲル内に捕らわれている生体分子は、事実上、エバネセントフィールド波では読取れないし、約200nmを超えて生ずるいかなる生体分子認識事象は検出されない。この状況は、容認できないほど高い生体分子の消費をもたらしてしまい、貴重なタンパク質を伴うものなどの高スループットシステム(HTS:high throughput system)アプリケーションのその利用をさらに制限してしまう。
【0097】
実施形態において、本開示は、合成ポリマに基づいて、LIDセンサ表面に容易に吸着され、非常に高い固定化容量を有し、固定された生体分子の良好な有用性及び活性を提供し、且つ、無標識検出方法に適合性がある表面科学を提供する。製造方法は実装することが簡単であり、製品のスケールアップに適合性がある。例えば、長時間の重合化時間又は長時間の洗浄時間を必要としない。
【0098】
説明した準備方法を使用することによって、非常に再現性のある層が、Epic(登録商標)システム(コーニング社)等の市販のLIDシステムに完全に適合する基板表面において得られる。
【0099】
基板表面におけるポリマ層は、実施例において実証されるように、生体分子のキャプチャを増強せしめる。基板表面のナノ粒子層は、例えば、SEM又はAFM手法用いて測定すると、例えば、約10nmから約100nmであり得る。
【0100】
タンパク質の非常に高い固定化レベルが達成され且つタンパク質の高活性化が確立され得るので、本開示の被膜されたセンサ製品は、タンパク質と例えば小分子等の非常に低い分子量の分子との間において生ずる結合事象を検出することには特に適切であり得る。
【0101】
実施形態において、本開示のセンサは、与えられた高結合性応答に起因して、ドラッグ又は他の小分子の高スループットスクリーニング(HTS)に適応性がある。約500ダルトン未満の分子量を有するフラグメント等の非常に低い分子量の化合物さえも、高結合性応答に起因して、センサを用いて選別され得る。
【0102】
実施形態において、本開示は、低タンパク質濃度を使用する無標識検出のセンサを準備することを可能とし、分析あたりのコストは、他のLID手法と比べて実質的に削減され得る。
【0103】
実施形態において、本開示は、多くのタイプの細胞の付着、成長、及び分析に適切である表面を提供する。当該多くのタイプの細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO:Chinese hamster ovary)細胞及び人間の上皮癌のA431セル等の付着性が強い細胞、RMS13細胞等の中間吸着細胞、及びヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞又は一次細胞等の弱固着性細胞を含む。
【0104】
本開示は、細胞培養及びその後の細胞分析に相性がよく且つ敏感に反応するバイオセンサの表面を修飾する方法を提供する。本開示の方法は、共鳴導波グレーティングバイオセンサにおいて用いられるような酸化金属薄膜表面、又は、表面プラズモン共鳴(SPR)において用いられるようなパターン化されていない金の表面、又は、電気的バイオインピーダンスベースのバイオセンサにおいて用いられるようなパターン化された金の表面に適切である。
【0105】
本開示は、本明細書に定義された細胞培養製品、本明細書に定義された細胞培養製品を準備する方法、及び本明細書に定義されたリガンドの分析を実行する方法を適切に含み、から成り、又は、本質的にから成り得る。実施形態において、本開示は、基板と、少なくとも基板に付着された任意のタイレイヤと、任意のタイレイヤ、基板又は双方に付着された開示のポリマの生体適合性層と、を含む細胞培養製品を提供する。
【0106】
図面を参照すると、図1Aは、以下の1.)及び2.)のステップを実行することによってPAA/DMAマトリックスを取得するために開示表面の修飾に関する概略を示している。1.)例えば、アクリル酸(AA:acrylic acid)とジメチルアミンアクリルアミド(DMAm:dimethylamine acrylamide)とが1:1の相対モル比(又は50:50のモルパーセント)を有するPAA/DMAm共重合体によって修飾された基板上のEDC/sNHSの活性化、及び、2.)表面結合された(PMA−NTA)ポリマを形成するためのニトリロ3酢酸錯体形成基を付加するカルボキシメチルリジン(CML:carboxymethyl lysine)の付加
その後に、第3のステップは、ニッケル塩を有するPMA−NTAポリマの処理を伴って、実行されて(図示せず)、例えば、ポリマ修飾表面を用いたNi2+イオン錯体を生じせしめる。
【図面】
【0107】
図1Bは、開示のPMA−NTAポリマ修飾表面を単一のステップにおいて取得するための別のルートを示している。当該ルートにおいて、NTA‐ジ(メタ)アクリルアミドモノマ及びジメチルアクリルアミド(DMA)モノマの混合物が、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MOPS:methacryloxypropyltrimethoxysilane)等の反応性表面に結合したアクリラートと、例えば、3.)紫外線等のエージェントと共重合化される。
【0108】
図2は、hisタグ付けCAIIの固定化を示すグラフである。当該hisタグ付けCAIIの固定化は、pH=7.4のhepes+塩類(50マイクログラム/mL)にて、PAA/DMA50/50マトリックスにおいて異なるpH値を有するCML溶液を使用して準備されたPAA−NTAポリマ修飾表面(50/50又は75/25)(wt/wt)(開始モノマとしてのAA/DMA)上において行われた。固定化はCML溶液のpHによって影響される。すなわち、(7<pH<9.5の範囲における)pHが高ければ高いほど、観測された固定化レベルがより高くなる。
【0109】
図3は、hisタグ付けCAIIの固定化を示すグラフである。当該hisタグ付けCAIIの固定化は、異なるPAA−NTA化学のpH=7.4のhepes+塩類(50マイクログラム/mL)において、(Epic(登録商標)装置において測定された)異なるPAA/DMAマトリックスに基づいて、行われた。このグラフは、PAA−NTA表面の高い固定化容量を示している。この図で与えられた%はwt%によるものである。
【0110】
図4は、(Epic(登録商標)装置において測定された)固定されたhisタグ付きCAII上のフロセミドリガンドに対する結合応答性を示すグラフである。グラフは、結合の応答に及ぼすポリマ組成におけるモノマの割合に関する重要な影響を例証している。AA:DMAの比におけるAAの成分が増大するにつれ又は1:1(若しくは50/50)から減少するにつれて、リガンド結合は低減する。
【0111】
図5は、PAA/DMAマトリックスにおけるAAモノマの量と結合のレベルとの間の相関を示すグラフ図である(固定されたhisタグ付きCAII上のフロセミド)。
【0112】
図6は、実施例1からの開示のアフィニティ表面のCAIIの固定化レベル又はhisタグ付きCAIIの固定化レベル及びニッケル処理がない場合の開示表面におけるhisタグ付けCAIIの固定化レベルを図示するグラフである。このグラフは、非特定の相互作用が存在しないことを例証している。
【0113】
図7は、アフィニティ/共有結合性後処理がある場合又はない場合のPAA−NTAにおけるhisタグ付けCAIIの固定化レベルを示すグラフである。グラフは、固定化レベルにおけるアフィニティ/共有結合性アプローチに起因して、固定化レベルのわずかな改善を示している。
【0114】
図8は、アフィニティ/共有結合性後処理がある場合又はない場合の準備されたPAA−NTAの表面から浸出するタンパク質を示すグラフである。このグラフは、タンパク質の浸出がこの処理を用いて観測されない場合の固定されたタンパク質に及ぼすアフィニティ/共有結合性の方法の影響を例証している。正反対に、共有結合がタンパク質と表面との間において形成されない場合、小分子認識事象を観測するストッパである重要なタンパク質の浸出が達成される。
【0115】
図9は、(40/60及び30/70のAA/DMA比に基づいた)PAA−NTA化学物質における及びアミン結合化学性d−EMAにおける低plタンパク質(hisタグ付きGLK及びhisタグ付きSET9pI=4.8,)に対する固定化レベルを示すグラフである。このグラフは、アミン結合化学と比較して、本開示のPAA−NTAアフィニティ化学物質の利点を例証している。
【実施例】
【0116】
以下の実施例は、上述した開示を使用する手法をより完全に説明し、かつ、本開示の種々の態様を実施するよう意図された最良の態様を説明することに用いる。これら実施例は、本開示の範囲をなんら限定するものではなく、むしろ例示の目的で与えられているものと理解すべきである。動作する実施例は、本開示のLIDセンサをどのように準備し及び使用するかについて説明しており、比較実施例と対比されている。
【実施例1】
【0117】
「PAA−NTA」修飾表面を有するLIDセンサの準備
3.5−4のpHを与える酢酸を含む(Sigma-Aldrichから入手した)2wt%のメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MOPS:methacryloxypropyltrimethoxysilane)水溶液が、クリアになるまで(例えば、約15分室温にて)準備され且つ攪拌された。(付加的洗浄ステップなして受信されるものとして用いられて)(コーニング社から入手した)露出したEpic(登録商標)インサートが、MOPS溶液に2時間接触され、次に、乾燥されたアルゴンフローに接触されて、50℃にて1時間乾燥された。これは、インサート表面を用いてシランの凝縮を確実にするためである。そして、MOPSによって処理されたインサートは、室温まで冷却されて、DI水で洗浄され、次に、IPAで洗浄され、最終的に、アルゴンフロー下で乾燥された。
【0118】
MOPSによって処理されたインサートは、アクリル酸/ジメチルアクリルアミド(50/50)とIrgacure184との水性のモノマ混合体が、以下の通りに接触された。(Cibaから入手した)20mgのIrgacure184が、フラスコ内で重み付けられ、7mLのDI水が添加された。そして、1.5gのアクリル酸(AA)及び1.5gのジメチルアクリルアミド(DMA)が添加された。フラスコは隔壁で密閉され、溶液が、バブリングアルゴンを用いて15分間脱ガスされた。次に、500マイクロリットルの脱ガスされたモノマ混合物が、一定の調剤率にて液体被膜装置等を用いて堆積され、カバープレートにより任意に覆われた。当該堆積は、基板の表面において均一な被覆を得るためである。当該堆積は、自動ピペッターを用いて、所定の386ウェルの位置において、一定量のモノマ混合物の投与する方法及び同様の堆積方法により、シラン処理されたインサート表面に、垂らすことによって行われた。in−situ重合化は、フュージョンランプを用いたUV光源により実行された(バルブH、80%の出力、最小ベルト速度において5回)。そして、カバープレートは除去され、付着ゲル層は、超音波浴槽においてDI水で徹底的に洗浄されて、過剰な物質又は無結合な物質が除去された。表面は穏やかなアルゴンフロー下で最終的に乾燥された。ポリマ化及び洗浄の後に、Epic(登録商標)インサートが、感圧接着剤(PSA:pressure sensitive adhesive)粘着テープを用いて、コーニング社の穴あきウェルプレートを用いて組み立てられた。この段階において、このプレートは「PAA/DMAm50/50」と称した。
【0119】
表面上のポリママトリックス内に含まれるカルボン酸基は、水に溶解された50mMのスルホ−NHS及び200mMのEDCの混合物を用いた処理によって活性化された。そして、活性化されたコポリマは、ホウ酸緩衝液(pH=9.2)において0.2Mで溶解されたカルボキシメチルリジン(CML)と反応された。Epic(登録商標)装置を使用して測定された次のhisタグ付けCAII固定化に与えるCML溶液のpHの影響が図2に示されている。残りの活性化されたエステルは、ホウ酸緩衝液(pH=9.2)を用いて遮断された。最終的に、硫酸ニッケルが、40mMにて水に添加された。この段階において、上述のPAA−NTAアフィニティ表面コーティング修飾を有するマイクロプレートは、hisタグ付きタンパク質をキャプチャする準備ができた。
【実施例2】
【0120】
PAA−NTAアフィニティ表面修飾を有するEpic(登録商標)バイオセンサを用いたhisタグ付きCAII/フロセミド分析
hisタグ付きCAII固定化は、50マイクロg/mLのタンパク質にて、実施例1のLIDセンサ上においてpH=7.4のhepes+150mMのNaCl緩衝液中で、実行された。固定化を完了せしめるために、プレートは一晩4℃にて培養された。第2ステップにおいて、洗浄後に、EDC/NHS処理(200mM/50mM)が、固定されたタンパク質を有する表面に対して実行された。そして、エタノールアミンが、残存する活性化エステルを遮断するのに用いられた。この実験は、異なるPAA−NTA化学物質を有する数個の検出表面を用いて、同一条件にて実行された。AA:DMAモノマ比は、例えば、約75:25〜約30:70(wt/wt)、相対モル比(mol/mol%)又はmolパーセント(mol%)まで変更され得る。これら組成の異なるPAA/DMAmマトリックスは、実施例1に係るPAA−NTAアフィニティ表面にさらに修飾された。
【0121】
室温にて平衡後、PAA−NTA親和性表面プレートが(自動化されたワークステーションを使用して)PBSにより洗浄され、0.1%のDMSOを含む15マイクロリットルのPBSが各ウェルに添加された。そして、フロセミドが添加されて、10マイクロMの最終濃度に達した。固定化レベル及び結合の応答の双方が、Epic(登録商標)装置を使用して記録された。固定化レベル及び結合応答性が図3及び4にそれぞれ示されている。さらに、結合応答性に与えるアフィニティ表面に含まれるAAの量の影響が、図5に与えられている。
【実施例3】
【0122】
ニッケル処理がある場合又はない場合のPAA−NTAアフィニティ表面修飾を有するEpic(登録商標)バイオセンサを用いたHisタグ付きCAII固定化レベル分析
同一の実施例1の化学的処理が、PAA−NTA表面修飾によって被覆された384ウェルのマイクロプレートを準備するのに用いられた。ニッケル溶液は、マイクロプレートの3分の1だけに添加された。そして、Hisタグ付き炭酸アンヒドラーゼ(Hisタグ付きCAII)が、ニッケル錯体形成がある場合又はない場合において、50マイクロg/mLにて、PAA−NTA表面上においてhepes+150mMのNaCl緩衝液内で一晩、固定された。平行実験において、天然のCAIIが、PAA−NTA上において50マイクログラム/mLのhepes+塩類において、固定された。Hisタグ付きCAII露出マイクロプレートをPBSを用いて洗浄し、それに続いてDI水洗浄を熱心に行った後に、共有結合後処理は、EDC/NHS処理(200mM/50mM)を用いて、30分間、水中にて実行され、それに続いて、エタノールアミン阻止ステップ(ホウ酸塩緩衝液にて0.2M)が実行された。図6に示されているように、PAA−NTA(600)上の8His−CAII、PAA−NTA(610)上のCAIIネイティブ、及びNiイオンが存在しないPAA−NTA上の8His−CAII(620)に対する固定化レベルが、Epic(登録商標)装置を使用して、測定された。8His−CAII Iは、8ヒスチジン基(ヘキサヒスチジン6His−CAIIの代わりにオクタキサヒスチジン)を有するテールによりタグ付けされたカルボニックアンヒドラーゼである。多くの数のヒスチジン残基は、錯体の安定性を改善する。
【実施例4】
【0123】
共有結合性後処理がある場合又はない場合のPAA−NTA表面におけるHisタグ付けCAIIの固定化レベル
実施例1の処理手順は、PAA−NTA表面修飾を有する384ウェルのマイクロプレートを準備するために繰り返された。Hisタグカルボニックアンヒドラーゼが、PAA−NTA修飾マイクロプレートを用いて、約16時間、hepes+150mmのNaCl緩衝液中で、50マイクログラム/mLにて、固定された。PBSにより洗浄してDI水で洗浄した後に、EDC/NHS処理(200mM/50mM)は、30分間、水中にて実行され、それに続いて、(アフィニティ/共有結合性相互作用に対応する)マイクロプレートの半分の領域のみにおけるエタノールアミン阻止ステップ(ホウ酸塩緩衝液にて0.2M)が実行された。マイクロプレートの一方の半分はソーキングバッファ(PBS+DMSO)に載置された。そして、固定化レベルは、図7に示されているように、Epic(登録商標)装置を使用して、測定された。そして、固定されたタンパク質を高品質なソーフィングバッファの添加剤及び混合体に接触させた後に、タンパク質の浸出は、図8に示されているように、Epic(登録商標)装置で測定された。
【実施例5】
【0124】
[PAA−NTAアフィニティ表面における低pI固定化に関するEpic(登録商標)分析]
実施例1の処理手順は、(40/60及び30/70のAA/DMA比を有するPAA/DMAマトリックスに基づいて)PAA−NTA被膜表面を有する384ウェルのマイクロプレートを準備するために繰り返された。SET9(ヒストンH3メチルトランスフェラーゼ)及びGLKタンパク質(グルコキナーゼ)(双方のタンパク質に対してpI=4.8)等の低pIのhisタグ付きタンパク質は、約16時間、hepes+塩類緩衝液中で、50マイクログラム/mLにて、固定された。第2ステップにおいて、PBSにより洗浄してDI水で徹底的に洗浄した後に、EDC/NHS処理(200mM/50mM)は、30分間、水中にて実行され、それに続いて、エタノールアミン阻止ステップが実行された。固定化レベルは、図9に示されているように、Epic(登録商標)装置を使用して、測定された。比較として、また、同一の低pIタンパク質も、アミン結合されたd−EMA上の50マイクログラム/mlにて酢酸緩衝液(pH=5.5)において固定された。あらかじめ遮断されたアミンのようなポリ(エチレンalt無水マレイン酸)(d−EMA)等のポリマエンティティ等の比較的結合力のあるポリマは、2006年6月7日に出願された共有であり且つ譲渡された米国特許出願第11/448,486号、「SUPPORTS FOR ASSAYING ANALYTES AND METHODS OF MAKING AND USING THEREOF」という発明の名称の米国特許公報第2007−0154348号に開示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマを有する基板を含むバイオセンサ製品であって、
前記ポリマは前記基板の表面に関連付けられており、前記ポリマは、[化1]に示され
た化学式(I)のポリマを含み、
【化1】

前記化学式(I)は、金属‐イオンキレート基(X)、イオン化基(y)、及び表面実在基(z)のうちの少なくとも1つを有し、
Rは、存在しないか、水素、1から6までの炭素原子を有する置換若しくは未置換の直鎖若しくは分枝の一価のヒドロカルビル残基であり、
R’は、1から18までの炭素原子を有する不飽和のモノマの共重合から生じる置換若しくは未置換の直鎖若しくは分枝の2価のヒドロカルビル残基であり、
R’’は、1から20までの炭素原子を有する置換若しくは未置換の直鎖若しくは分枝の2価のヒドロカルビル残基であり、
Sは、基板に対する付着に関する少なくとも1つのポイントを含み、
Wは、少なくとも1つの金属イオンキレート剤残基を含み、
Xは、−NH−、−NR−、又はOであり、
x基:(y+z)基のモル比は、約2:8から約8:2までである、ことを特徴とするバイオセンサ製品。
【請求項2】
Wと錯体化された少なくとも1つの金属−イオンを有する前記ポリマをさらに含み、
前記少なくとも1つの金属−イオンは、Ni、Cu、Zn、Co、Fe又はこれらの組み合わせから選択された少なくとも一つの金属イオンを含むことを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項3】
Wと錯体化された前記少なくとも1つの金属イオンに関連付けられたHisタグ付きエンティティをさらに含む請求項2に記載の製品。
【請求項4】
前記基板表面のポリマは、約20nmから約1000nmの膜厚を有する連続層又は半連続層を含むことを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項5】
請求項1に記載のバイオセンサ製品を製造する方法であって、前記方法は、パスA又はパスBを含み、
前記パスAは、
第1のアクリルアミドモノマと第2のアクリルアミドモノマとの混合物から構成され且つ付着されたポリマを有する基板表面と活性化剤とを接触して活性化ポリマを形成するステップと、
当該形成された活性化ポリマをキレート基フォーマに接触させて、化学式(I)のポリマを形成するステップと、を含み、
前記パスBは、
少なくとも1つの金属‐イオンキレート剤残基を有する少なくとも1つのアクリルアミドモノマと、不飽和有機シラン修飾表面とを重合化して、化学式(I)のポリマを形成するステップを含むことを特徴とする方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−177171(P2011−177171A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−37231(P2011−37231)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】