説明

アホエンを調製する方法

本発明はアホエンを調製する方法に関し、本方法によって得ることができる比較的高純度のアホエンに関する。本発明は、アリシンを調製する方法であって、アリシンを凍結濃縮する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アホエンを調製する方法、及び本プロセスによって得られるアホエンを含む組成物に関する。本発明は、アリシンを調製する方法、及びアリシンを凍結濃縮する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ニンニクは、調理用香草及び食料として千年もの間使用されてきた。さらに、ニンニクには多くの医学的特性があり、何千年の間民間薬として使用されている。
【0003】
アホエンはニンニクに由来する天然に存在する化学化合物である。より詳細には、アホエンは、アリシン(ニンニクの香り及び生物学的活性の多くに関与すると考えられる、化学的に不安定な無色から淡黄色の油である)の分解の間に形成される。完全な形のニンニク鱗片はアリシンを含有していないが、むしろその無臭の前駆体アリイン[(+)(S−アリル−L‐システインスルホキシド)]を含有する。アリインは、アリイナーゼと称されるニンニク植物中に存在するC−Sリアーゼによってアリシンに転換される。アリイン及びアリイナーゼはニンニク鱗片の異なるコンパートメント中に見出され、鱗片の切断又は粉砕によって酵素が放出され、アリインと接触してアリインがアリシンに転換されることを可能にする。アリシンは不安定で揮発性であり、天然に分解して、主としてジアリルジスルフィド、ジアリルトリスルフィド、ビニルジチイン、アホエンになる。高収率及び高体積でアリシンを調製する方法はWO−A−2003/004668中に記載され、その内容全体は参照として本明細書に援用される。
【0004】
アホエンは、多数の技術分野、主にヒト及び動物の両方の医薬品を含む薬用領域において現在興味をもたれている。しかしながら、アホエンを産生する既存の方法はアホエンに対して低選択性であるので、研究そしてしたがってかかる目的のためにアホエンはあまり使用されていない。したがって、アホエンの産生は高価であり、その上比較的少ない収率のみである。例えば、US−A−5612077は、食用油を使用して、主としてZ−アホエンを低体積及び低濃度で含有するマセレートを産生する方法を記載する。US−A 5741932は、シクロデキストリンを使用して、複雑な多重工程方法で、この場合もやはり低濃度で低体積を産生する、アホエンの調製方法を記載する。
【0005】
さらに、ニンニク及びその可能性のある使用に関する従来の調査の多くは、活性薬剤(典型的には「ニンニク抽出物」又は「ニンニク油」と称される)について具体的ではなかった。
【0006】
したがって、高収率で高体積で適切な価格でアホエンを得る、改良プロセスの必要性がある。高収率で高体積で適切な価格でアリシン(アホエンにの前駆体)を得る、改良されたプロセスの必要性もある。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、アホエンを調製する方法であって、アリシンの少なくとも一部がアホエンに転換されるように十分な期間でアリシンを含む酸性溶液を加熱する工程を含む方法に関する。
【0008】
第2の態様において、組成物の全体積に基づいて少なくとも約30%w/vの量でアホエンを含む組成物が提供される。組成物は本発明の第1の態様の方法によって得ることができる。
【0009】
第3の態様において、(i)アリイナーゼの天然の植物ソースを機械的に処理し、同時に機械的に処理された産物に遠心力をかけ、それによってアリイナーゼの天然の植物ソースからアリイナーゼを含む溶液の分離することと;(i)アリインの水性溶液とアリイナーゼソースを含む溶液を接触させ、それによってアリインがアリイナーゼを含む溶液中のアリイナーゼによってアリシンに酵素的に転換されることとを含む、アリシンを調製する方法が提供される。
【0010】
第4の態様において、ペルオキソ一硫酸カリウムの存在下において約0℃〜約30℃の温度でジアリルジスルフィドを含む溶液を酸化させ、続いて生じたアリシンを有機溶媒の中に抽出することを含む、アリシンを調製する方法が提供される。
【0011】
本発明の第3及び第4の態様の方法は、本発明の第1の態様においてアホエンに転換されるアリシンを含む溶液の提供に使用することができる。
【0012】
第5の態様によれば、アリシンの水性溶液中のアリシンの濃度を増加させる方法であって、アリシンの水性溶液を凍結し、それによってアリシンの濃度を増加させることを含む方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
アホエンを調製する方法
上記の第1の態様によれば、本発明は、アホエンを調製する方法であって、アリシンの少なくとも一部がアホエンに転換されるように十分な期間でアリシンを含む酸性溶液を加熱する工程を含む方法に関する。
【0014】
アリシンをアホエンに転換する工程は、アリシンの少なくとも一部がアホエンに転換されるように十分な期間でアリシンを含む酸性溶液を穏やかに加熱することを含む。加熱工程の間の温度は、アリシンのアホエンへの転換(それは2分子のアリシンが凝縮して、ビニルジチイン等の他の化合物と共に1分子のアホエンを形成すると考えられるプロセスである)を引き起こすのに十分である。加熱工程は、およそ室温から約80℃の温度で実行することができる。例えば、加熱工程は約30℃〜約80℃、例えば約40℃〜約70℃の温度で実行することができる。加熱工程は約35℃〜約45℃、又は約40℃〜約50℃、又は約45℃〜約55℃、又は約50℃〜約60℃、又は約55℃〜約65℃の温度で実行することができる。複数の実施態様において、加熱工程は約30℃、又は約40℃、又は約50℃、又は約60℃の温度で実行される。一般的には、アリシンを含む溶液は、反応が完了するか又は所望される転換レベルが得られるまで、十分な期間で加熱する間に緩慢に撹拌される。アリシンからアホエンへの転換の程度は、例えば以下で概説される方法を使用するHPLCによって、並びにアリシン及び/又はアホエンのUV吸収スペクトルのモニタリングによってモニターすることができる。一般的には、温度が高いほど、アリシンのアホエンへの転換に必要とされる期間は短い。加熱工程は、約1〜約10時間、例えば約3〜8時間の期間で行うことができる。複数の実施態様において、加熱工程は約4時間、又は約4.5時間、又は約5時間、又は約5.5時間、又は約6時間、又は約6.5時間、又は約7時間行なわれる。
【0015】
1つの実施態様において、アリシンの大部分はアホエンへ転換される。大部分とは、以下で概説されるHPLC方法によって測定されるように、出発溶液中のアリシンの少なくとも50%がアホエンに転換されることを意味する。例えば、出発溶液中のアリシンの少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%が、アホエンに転換されるまで、加熱工程を行うことができる。
【0016】
有利には、実質的に、アリシンはすべてアホエンに転換される。実質的にすべてとは、以下で概説されるHPLC方法を使用してさらなるアホエンが検出されなくなるまで加熱工程が継続されることを意味する。
【0017】
加熱工程の間の溶液は、例えば緩慢な撹拌によって穏やかに撹拌して、成分の混合を引き起こすことができる。撹拌度はエマルジョンの形成を防止するために好ましく制御される。例えば、エマルジョンが形成され始めたならば、エマルジョンが清澄化するまで、撹拌の程度は減少(すなわち低レベルの撹拌に)又は中止することもできる。
【0018】
方法は、例えば真空の下で有機溶媒を除去して、油性画分の全体積に基づいて少なくとも約30%w/vの量でアホエン(すなわち油性画分中の液体の1リットル当たりのアホエンのグラム)を含む油性画分を得ることをさらに含むことができる。
【0019】
アホエンを含有する溶液を溶媒の除去前に濾過して、残留固体材料を除去することができる。例えば、アホエンを含有する溶液は、30cmの113ワットマンの濾紙を介して濾過することができる。
【0020】
1つの実施態様において、アホエンを含有する新たに転換された溶液は、(体積で1:1又は2:1)の範囲の比で、水性アルコール溶液及びペンタン等の非極性アルカン溶媒を使用して分配される。この処理は、ポリスルフィド及びビニルジチイン等の非極性アリシン代謝物質を除去する。
【0021】
1つの実施態様において、溶媒は、約40〜80℃の間、好ましくは約50℃の温度で真空下で減じられる。これは水性溶液及び不溶性シロップを産生する。転換工程で使用される酸は、塩基、例えば水酸化ナトリウム等の強塩基を滴下して添加することによって中和できる。次いで、溶液及びシロップは、体積で約2:1〜約1:1の比でメチル第三ブチルエーテル(TBME)等のエーテルで抽出される。抽出は、完全な抽出を保証するために最大で3回実行することができる。
【0022】
アリシンを含む溶液は、少なくとも約2000ppmのアリシン、例えば少なくとも約5000ppmのアリシン、例えば少なくとも約7000ppmのアリシン、例えば少なくとも約10000ppmのアリシンを含有することができる。有利には、アリシンを含む溶液は少なくとも約15000ppm、例えば少なくとも約17000ppm、又は例えば少なくとも約20000ppmのアリシンを含有することができる。溶液は典型的には約25000ppm未満のアリシン、例えば約22000ppm未満のアリシンを含む。
【0023】
以下で示されるように、アリシンを含む溶液中のアリシンは、ハードネック種のニンニク又はソフトネック種のニンニクに由来してもよい。ハードネック種のニンニクの品種は、ヒメニンニク、ポーセレン、パープルストライプ(時には「パープルストリーク」と称される)、マーブルドパープルストライプ、グレーズドパープルストライプ、ピュアホワイト及びパールホワイトを含む。ソフトネック種のニンニクの品種は、アーティチョーク、アジアティック、ターバン、シルバースキン及びシルバースキンクレオールを含む。有利には、アリシンは、例えばピュアホワイト又はパールホワイト等のハードネック種のニンニク(例えば中国の泰安地域から得られるピュアホワイトニンニク又はパールホワイトニンニク)に由来する。アリシンがハードネック種のニンニクに由来し、酸性溶液中で加熱されてアホエンに転換される場合のアホエンの収率は、非酸性溶液中の転換と比較して、有意に改良される(収率が20〜25%のオーダーで増加する)ことが見出されている。
【0024】
アホエンに転換されるアリシンを含む溶液は酸性溶液である。アリシンを含む溶液のpHは、5以下又は5未満でありえる。有利には、アリシンを含む溶液のpHは、約3〜約5、約3〜5未満、又は約3〜約4である。溶液のpHは約2を超えるものでありえる。複数の実施態様において、アリシンを含む溶液のpHは約3又は約4又は約5である。
【0025】
アリシンを含む溶液は、適切な量の好適な酸の添加で所望されるpHへ酸性化することができる。典型的には溶液中のアリシンはわずかに酸性のpHを有する。したがって、適切な量の酸は、アリシンを含む溶液のpHを所望されるpHへ低下させる量である。
【0026】
酸は任意の好適な有機酸又は無機酸でありえる。1つの実施態様において、酸は、約5未満のpKaを有する強酸である。酸は、酢酸、リン酸、硫酸及び塩酸からなる群から選択される1つ又は複数の酸でありえる。溶液中の酸の量は約0.1〜5%(v/v)でありえる。1つの実施態様において、溶液中の酸の量は約1%(v/v)である。有利には、酸は酢酸、例えば氷酢酸である。この酸は比較的揮発性であり、それゆえ転換工程が完了した後に溶液から容易に除去することができる。
【0027】
特に有利な実施態様において、アリシンの溶液は、100容の溶液に対して1容の氷酢酸の量で酢酸、好ましくは氷酢酸を含み、約4のpHを有する。溶液はアセトン及び水をさらに含む。
【0028】
理論に束縛されるものではないが、酸はプロトン供与体としてアリシンのアホエンへの転換を促進すると考えられている。酸性条件、有利には約3〜約5、又は約3〜5未満のpHで、ジアリルジスルフィド及びより高次のポリスルフィド等の少ない不純物を含む、はるかに純粋なアホエン産物をもたらす。
【0029】
アリシンを含む溶液は、有利にはアホエンを溶媒和するのに好適な溶媒を含む。好適な溶媒は、アルコール、エーテル及びケトンである。好ましいアルコールは、メタノール、エタノール及びプロパノールを含む。1つの実施態様において、溶媒はアセトンである。別の実施態様において、溶媒はブタノールである。別の実施態様において、溶媒はブタノンである。別の実施態様において、有機溶媒は、約100℃未満、例えば約90℃未満、例えば約80℃未満、例えば約70℃未満、例えば約60℃未満の沸点を有する。有機溶媒の量は、水及び酸のバランスで約40〜70%(v/v)でありえる。
【0030】
アホエンは2つの異性体形態(シス(Z)及びトランス(E))で存在し、典型的には両方の異性体の混合物として単離される。しかしながら、溶媒は必要とされるアホエンのZ:E比に依存して選択することができる。アセトンは典型的には約1:3の比でZ異性体及びE異性体を含む産物をもたらすが、溶媒としてブタノールを使用すると約4:1を超えるZ:E比を有する産物を得ることができる。
【0031】
アリシン及び酸を含む溶液は、アリシン、酸、有機溶媒及び水を含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になることができる。
【0032】
1つの実施態様において、本発明の第1の態様の方法の加熱工程は、例えば食用油等の油の非存在下において行われる。
【0033】
本発明の第1の態様の方法は、高収率で、及び既存の産生方法を使用してニンニクのみから産生することができる量の最大約8倍の量で、アホエンの産生及び単離を可能にする。最大の理論収率は2分子のアリシンに対して1分子のアホエンである。本方法によって得られる典型的な収率は、4分子のアリシンごとに約1分子のアホエンである。
【0034】
本方法は、さらに比較的高体積でアホエンの産生及び単離を可能にする。さらに、本方法は、比較的高濃度及び高純度でアホエンの産生及び単離を可能にする。
【0035】
高純度とは、溶媒が除去された後に産生された油性画分が、油性画分中の液体の体積当たりの重量(w/v)で少なくとも約30%の量でアホエンを含むことを意味する。複数の実施態様において、油性画分は35w/v%のアホエン、例えば少なくとも約40w/v%のアホエン、例えば少なくとも約45w/v%のアホエン、例えば少なくとも約50w/v%のアホエンを含む。
【0036】
方法は、例えば硫酸マグネシウムを使用して、アホエンを含む油性画分を乾燥すること及び乾燥した油性残留物を食用油中に懸濁して、オイルマセレートの全体積に基づいた重量/体積で最大約5%のアホエンを含有する食用オイルマセレートを形成することをさらに含むことができる。1つの実施態様において、オイルマセレートは、重量/体積で最大約4%のアホエンを含有する。食用油は、植物油、動物油若しくは動物脂、水素添加植物油若しくは水素添加動物脂、又は合成油若しくは合成脂肪でありえる。液体油、例えばオリーブオイルが好ましくは使用される。1つの実施態様において、食用品はオリーブオイルであり、マセレートは最大約4%のアホエン(w/v)を含有する。
【0037】
食用品オイルマセレートは、最終使用者及び適用に依存して、使用のために好適な油で100ppm〜500ppmの間のアホエンまでさらに希釈することができる。好適にカプセル化され、例えば健康食品サプリメント又は他の適用として使用する場合、この産物は最低2年間安定である。
【0038】
得られたアホエンのさらなる精製は、有機極性溶媒、例えばジエチルエーテル中での油残留物の懸濁、及び典型的にはポリスルフィドの形態で非極性化合物の除去をもたらす水に対する分配のさらなる工程によって達成することができる。
【0039】
残留酸は、例えば水酸化ナトリウム等の好適な量の塩基の添加(例えば、滴下して)によって中和することができる。
【0040】
方法の間の任意の段階で、様々な溶液を濾過及び/又は遠心分離して、もとのアリシン溶液中に含まれる植物残屑等の固体析出物を除去することができる。
【0041】
アリシンを調製する方法
本発明の第1の態様の実施態様において、及び本発明の第3の態様によれば、アリシンを含む溶液は、i)アリイナーゼの天然の植物ソースを機械的に処理し、同時に機械的に処理された産物に遠心力をかけ、それによってアリイナーゼの天然の植物ソースからアリイナーゼを含む溶液を分離することと;ii)アリインの水性溶液とアリイナーゼソースを含む溶液を接触させ、それによってアリインがアリイナーゼを含む溶液中のアリイナーゼによってアリシンに酵素的に転換されることとを含む方法によって提供される。
【0042】
1つの実施態様において、工程(i)は遠心分離式ジューサーにおいて行われ、工程(ii)は工程(i)の少なくとも一部と同時に行なうことができる。遠心分離式ジュース抽出機として公知の遠心分離式ジューサーは、典型的には高速で回転することができるバスケットを含む。バスケットは歯を有し、それによってアリイナーゼの天然の植物ソース(例えば、剥皮又は非剥皮のニンニク鱗片)を柔らかいマッシュ又はパルプへと破砕する。バスケットが高速で回転するので、パルプはバスケットの側面に対して投げつけられる。バスケットの側面は多孔性であり、それゆえ遠心力を使用してパルプ中の液体がパルプから分離される。溶液(アリイナーゼを含む)を採取し、次いで、アリイン溶液と接触させることができる。好適な遠心分離式ジューサーの一例は、JE700 Proline(登録商標)家庭用ジューサーである。ある程度の固体材料が分離の間に孔を介して通過する可能性があることが、当業者によって認識される。固体材料は、濾過及び/又は遠心分離等の任意の好適な方法によってアリイナーゼ溶液から除去することができる。遠心分離式ジューサーの使用には、意外にも既存の方法を上回る長所があることが見出された。第一に、アリイナーゼの天然の植物ソースの液体成分からの固体植物材料の迅速分離により、アリシンへの転換の前に及びその転換の間に、アリイナーゼのよりよい温度制御が可能になり、液体成分中のアリイナーゼを水性アリイン溶液と非常に急速に、典型的には機械的処理の約5〜30秒以内に、例えば約10〜20秒の間で、又は機械的処理の約10秒以内に接触させることができることも意味する。先行技術においてWO−A−2003/004668におけるブレンド方法は、その時間で従来達成可能でないレベルでアリシンを産生することができるが、ブレンドされている原材料(すなわちニンニク)は比較的はるかに長い期間(すなわち分のオーダーで)にわたりブレンドされ、温度の増加をもたらす(典型的にはアリイナーゼ含有溶液の温度を約35℃に上昇させる)。これとは対照的に、遠心分離式ジューサーを使用して原材料をはるかに速やかに処理すると、温度の上昇がほとんど又は全くない。したがって、生じた溶液中のアリイナーゼは分解される傾向はなく、アリイン溶液へのアリイナーゼ溶液の添加も一般的には温度の有意な上昇をもたらさず、同様にそれは形成されたアリシンが分解される傾向がないということを意味する。さらに、アリイナーゼ溶液の産生とアリイン溶液の接触の間の時間の減少は、アリイナーゼが、処理工程の間に天然に産生されたアリインの転換を引き起こす時間が少ないことを意味する。この結果は、WO−A−2003/004668中に記載されている方法と少なくとも同程度及び好ましくはそれを超える体積及び純度でアリシンの産生をもたらし、アリイナーゼの天然の植物ソースからのアリイナーゼ溶液の迅速分離に起因する非常に減少した反応時間という追加の長所を持つ、はるかに効率的な方法である。
【0043】
好ましい実施態様において、アリイナーゼの天然の植物ソースは工程(i)及び(ii)に従って処理され、アリインの水性溶液と同時に接触させられる。したがって、方法は、アリイナーゼを含む溶液がアリインの水性溶液を含有する反応器に供給されるように、ジュースにしたアリイナーゼの新鮮な天然の植物ソースにより継続的に行われる。
【0044】
本発明の方法で使用されるアリイナーゼの天然の植物ソースは、ニンニク属植物、典型的にはその球根の部分から得ることができる。最も好ましくは、容易に入手可能で安価で比較的アリイナーゼを高濃度で有するニンニク、オオニンニク(Allium sativum)である。ニンニクは、ハードネック種又はソフトネック種でありえる。ハードネック種のニンニクの品種は、ヒメニンニク、ポーセレン、パープルストライプ(時には「パープルストリーク」と称される)、マーブルドパープルストライプ、グレーズドパープルストライプ、ピュアホワイト及びパールホワイトを含む。ソフトネック種のニンニクの品種は、アーティチョーク、アジアティック、ターバン、シルバースキン及びシルバースキンクレオールを含む。有利には、アリシンは、例えばピュアホワイト又はパールホワイト等のハードネック種のニンニク(例えば中国の泰安地域から得られたピュアホワイトニンニク又はパールホワイトニンニク)に由来する。アリシンがハードネック種のニンニクに由来し、酸性溶液中で加熱されてアホエンに転換される場合のアホエンの収率は、非酸性溶液中の転換と比較して、有意に改良される(収率が20〜25%のオーダーで増加する)ことが見出されている。
【0045】
当業者によって理解されるように、アリイナーゼに関するニンニクの質は、時季及びニンニクが産生される地域の環境に応じて変動してもよい。それゆえ、当業者は簡単な予備的な検査を行って、ニンニクの任意の与えられたソースの質を確立し、アリシン及びアホエンを産生する本発明に従う加工に対する適合性を決定することができる。未加工のニンニクは、典型的には鱗茎(bulb)及び/又は鱗片(clove)の形態であり、それらは剥皮状態又は非剥皮状態で処理することができる。好ましくは、生のニンニクは遠心分離式ジューサーで機械的に処理される前に剥皮及び洗浄される。
【0046】
接触工程後に、アリイナーゼ及びアリインを含む溶液は、約1〜6時間、例えば約2〜4時間、又はアリイナーゼ及びアリインのアリシンへの所望される転換レベルが達成されるまで撹拌される。撹拌の間の温度は好ましくは約30℃で維持される。アリシンへの転換の程度は、例えば以下で概説される方法を使用するHPLCによって、及びアリシンのUV吸収スペクトルのモニタリングによってモニタリングすることができる。当業者によって認識されるように、アリシンの最終的な濃度は生のニンニクの量及びタイプに依存して変動してもよい。最終的な溶液は、少なくとも約2000ppmのアリシン、例えば少なくとも約5000ppmのアリシン、例えば少なくとも約10000ppmのアリシン、又は少なくとも約12000ppmのアリシン、又は少なくとも約15000ppmのアリシン、又は少なくとも約17000ppm、又は少なくとも約20000ppmのアリシンを含むことができる。
【0047】
生じたアリシンを多く含む水性溶液(典型的には約10000〜22000ppmの間で含む)は、好ましくはアホエンへの転換の前に清澄化される。清澄化方法は、低温での沈殿、遠心分離、濾過、及び/若しくは塩の添加、又はその組み合わせを含むことができ、溶液から任意のタンパク質、繊維及び他の植物残屑を沈殿させて除去する。この清澄化方法は、アリシンをアホエンへ転換する全体的な方法、及び任意の続いて行なわれる精製工程を一般的に改良する。
【0048】
例えば、アリシンを多く含む溶液を、十分な期間(例えば約1〜3日、又は例えば約2日)で低温(例えば5℃未満)で沈殿させることができる。それに続いて、清澄な上清液は例えばデカンテーションによって取り出される。残留液体は遠心分離によって沈殿物から取り出し、次いで上清液と組み合わせることができる。温度は、好ましくは方法の全体にわたって5℃未満で維持される。アリシンを含む清澄化した上清液は濾過することができる。
【0049】
アホエンへの転換の前に、清澄化したアリシン溶液は、好ましくはアセトン等の有機溶媒の中に抽出される。有機溶媒は、好ましくは0℃未満の温度に冷却される。2つの液体は均質化を保証するためにある期間撹拌される。温度は、好ましくは5℃又は5℃未満で常に維持される。次いで、含水アセトン溶液を放置して、5℃以下、例えば0℃以下、又は−5℃以下、又は約−10℃以下の温度でさらなる期間、例えば24時間沈殿させ、沈殿物を除去することができる。次いで溶液は好適な塩(例えば塩化ナトリウム)の添加によって加塩することができ、続いて混合物を撹拌し、その後10℃未満の温度でアリシンを含む有機溶媒層がブライン層から分離するのに十分な時間で溶液を放置する。撹拌度はエマルジョンの形成を防止するために好ましく制御される。例えば、エマルジョンが形成され始めたならば、エマルジョンが清澄化するまで、撹拌の程度は減少(すなわち低レベルの撹拌に)又は中止することもできる。あるいは、エマルジョンを取り出し遠心分離して二相を2つの層へと分離させ、次いでそれをデカントし、もとの溶液に戻すことができる。
【0050】
抽出工程は、2回又は3回反復することができる。溶媒相の中に水相からアリシンを抽出するための、水相対溶媒の比は、約1:1〜約2:1(v/v)が好適である。本発明の第1の態様の方法の加熱工程において使用することができるのは有機層を含むアリシンである。
【0051】
塩は、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム又は硫酸アンモニウム等の無機塩でありえる。1つの実施態様において、塩は塩化ナトリウムである。
【0052】
好ましい実施態様において、塩は塩化ナトリウムであり、有機溶媒はアセトンである。
【0053】
方法の間の任意の段階で、アリシンを多く含む溶媒層は、乾燥、沈殿、濾過及び/又は極低温処理によってさらに精製されて、アリシンをアホエンへ転換する加熱工程の前に残存する植物物質を除去することができる。
【0054】
例えば、アリシンを含む有機溶媒層は、アリシンをアホエンへ転換する加熱の前に、例えば硫酸マグネシウムにより乾燥され、例えばセライトを介して濾過することができる。
【0055】
次いで、アリシン溶媒抽出物の組成物は、アリシンのアホエンへの転換のための状態を最適化するさらなる1つ又は複数の溶媒の添加により修飾することができる。好適な溶媒は上記のものである。次いでアリシン抽出物を上記の手順に従って酸及び任意で水と混合し、次いで加熱してアリシンをアホエンへ転換する。
【0056】
上で示されるように、溶媒は必要とされるアホエンのZ:E比に依存して選択することができる。アセトンはZ異性体及びE異性体を典型的には約1:3の比で含む産物をもたらすが、溶媒としてブタノールを使用すると約4:1を超えるZ:E比を有する産物を得ることができる。
【0057】
したがって、本発明に従って産生されたアホエンの高体積及び高純度は、上記のアリシンの産生の改良された方法に少なくとも部分的に基づいている。
【0058】
あるいは、アリシンは他の目的のために保存することができる。アリシンは約5000ppmを超えた濃度では水中で非常に不安定である。しかしながら、溶液を濾過して不純物を除去するならば、アリシンは−40℃で最大約5000ppmの濃度で安定している。さらに、アリシンの安定性は弱酸性溶液の存在下において増加させることができる。ジエチルエーテル等の溶媒による抽出後に希釈なしでは、アリシン産物の崩壊が直ちに始まるので、アリシンは−70℃以下で維持されなくてはならない。それゆえ、アリシンの最終的な溶液の濃度に依存して、保存のためにアリシン溶液を希釈する工程を行うことができる。それゆえ、アリシンの安定性を可能な限り急速に増加させるためにアリシンを希釈することが好ましい。例えば、溶液は約500ppm未満、例えば150ppm約未満に希釈することができる。希釈する溶液は、クエン酸等の好適なバッファーを使用してpHを合わせることによってさらに安定化することができる。
【0059】
アリシンの安定性は、実質的に全てのタンパク質、ニンニク残屑及び他の固体材料の除去によってさらに増加させることができる。この形態において、アリシンは約0℃以下の低温で長い期間比較的高い濃度レベルで保存することができる。したがって、少なくとも5000ppmの濃度でアリシンを処理し保存する方法であって、少なくとも約5000ppmの濃度を有するアリシンの水性溶液を処理して、実質的に全てのタンパク質、ニンニク残屑及び他の固体材料を除去すること、及び約0℃以下の温度でアリシンの水性溶液を保存することを含む方法が提供される。処理されたアリシンの水性溶液は、アリシンの分解なしに−10℃で最大約2か月の期間保存することができる。アリシンの水性溶液は、上記の本発明の第3の態様に従って調製することができる。
【0060】
第5の態様によれば、アリシンの水性溶液中のアリシンの濃度を増加させる方法であって、アリシンの水性溶液を凍結し、それによってアリシンの濃度を増加させることを含む方法が提供される。アリシンの水性溶液は、上記の本発明の第3の態様に従って調製することができる。アリシンの水性溶液は、好ましくは凍結の前に上記の方法に従って清澄化される。例えば、アリシン多く含む溶液の水性溶液を、十分な期間、例えば約1〜3日、又は例えば約2日で低温、例えば5℃未満で沈殿させることができる。それに続いて、清澄な上清液は例えばデカンテーションによって取り出される。残留液体は遠心分離によって沈殿物から取り出し、次いで上清液と組み合わせることができる。温度は、好ましくは方法の全体にわたって5℃未満で維持される。アリシンを含む清澄化した上清液は濾過することができる。
【0061】
凍結は、約1〜約3日、例えば約2日の期間にわたり−10℃以下の温度へアリシンの水性溶液を緩慢に冷却することによって達成することができる。緩慢な冷却とは、溶液の外側から中心に向けて溶液が次第に凍結されることを意味する。アリシンの溶液の体積で約50%が凍結されるまで、凍結方法は有利には継続される。これは、残存する液状部分中のアリシンの濃度を増加させる効果がある。
【0062】
方法は、凍結した水性アリシンを機械的に処理して液体/スラッシュを産生すること、及び約15℃よりも低い温度で真空下で液体スラッシュを濾過して比較的増加したアリシン濃度を有するアリシンの粘稠溶液(凍結前のアリシンの水性溶液の粘度と比較して)を産生することをさらに含むことができる。液体/スラッシュは濾過方法を支援するために濾過の間に撹拌することができる。粘稠溶液中のアリシンの濃度は、凍結前のアリシンの水性溶液中のアリシンの濃度と比較して、約50%最大増加させることができる。粘稠溶液中のアリシンの濃度は、凍結前のアリシンの水性溶液中のアリシンの濃度と比較して、少なくとも約10%増加させることができる。
【0063】
アリシンの粘稠溶液又は少なくともその一部分は、本発明の第1の態様に従って処理されてアホエンに転換することができる。
【0064】
本発明の第1の態様の代替の実施態様によれば、及び本発明の第4の態様によれば、アリシンを含む溶液は、ペルオキソ一硫酸カリウムの存在下において約0℃〜30℃の温度でジアリルジスルフィドを含む溶液を酸化させ、続いて生じたアリシンを有機溶媒の中に抽出することを含む方法によって提供される。1つの実施態様において、温度は、約10℃以下、例えば約5℃である。
【0065】
ジアリルジスルフィド及びペルオキソ一硫酸カリウムの量は、約2000〜約22000ppmの濃度を有するアリシンの水性溶液を産生するのに十分でありえる。例えば、ジアリルジスルフィド及びペルオキソ一硫酸カリウムの量は、約5000ppm、又は約7000ppm、又は約10000ppm、又は約12000ppm、又は約15000ppm又は約17000ppm、又は約20000ppm〜の濃度を有するアリシンの水性溶液を産生するのに十分でありえる。
【0066】
全量のペルオキソ一硫酸カリウムは、有利にはある期間、例えば撹拌による約2時間にわたってジアリルジスルフィドの溶液へ徐々に加えられる。
【0067】
ジアリルジスルフィドからアリシンを合成的に調製する方法が公知である[例えば、Cavallito. C. J.. Bailey, J. H., J. Am. Chem. Soc. 66, (1944). 1950-1951; Small, L. V. D., Bailey, J. H., Cavallito C. J., J. Am. Chem. Soc. 69, (1947), 1710-1713)]。これらの方法において、過酸化水素が酸化剤である。これらの方法は、エーテル等の揮発性で低沸点の溶媒の使用も必要とし、かかる溶媒の大量の使用には安全性問題があり、本方法はそれを否定するものである。
【0068】
アホエン
本発明は、組成物中の液体の体積当たりの重量で(w/v)少なくとも約30%の量でアホエンを含む組成物に関する。組成物は、本発明の第1の態様による方法によって得ることができる。複数の実施態様において、組成物は35%w/vのアホエン、例えば少なくとも約40%w/vのアホエン、例えば少なくとも約45%w/vのアホエン、例えば少なくとも約50%w/vのアホエンを含む。
【0069】
本発明は、産生されたオイルマセレートの全体積に基づいたw/vで最大約5%のアホエン含有する食用油マセレートに関する。マセレートしたものは、必要とされる濃度を産生するために油中に十分なアホエン濃縮物を懸濁することによって得ることができる。1つの実施態様において、オイルマセレートは、体積/体積で最大約4%のアホエンを含有する。食用油は好適な植物油でありえる。食用油は、植物油、動物油若しくは動物脂、水素添加植物油若しくは水素添加動物脂、又は合成油若しくは合成脂肪でありえる。液体油、例えばオリーブオイルが好ましくは使用される。1つの実施態様において、食用油はオリーブオイルである。
【0070】
その結果として、本発明は商業的に実現可能な方法を介してバルク量でアホエンの産生を可能にする。例えば、方法は、キログラム量でアホエンの産生を可能にする。それゆえ、本発明はキログラムスケールで調製されたアホエンにも関する。
【0071】
本発明による方法は、標準化された量のアホエンを含有している商品を調製可能にする量で薬理学的活性物質アホエンを提供する。
【0072】
本発明に従って調製されたアホエンは、公知の提案された使用のいずれかに好適である。アホエンは安定性があるので、標準化された医薬品、栄養補助食品、動物用飼料添加剤、及び化粧品の適用における調製に使用することが可能になる。特に例えば動脈硬化症、血栓事象、とりわけ高血圧等の心血管障害のための、及び様々な細菌感染、真菌感染のための、並びにいくつかの器質性障害及び代謝障害のための治療法である。予防衛生治療法として、食品添加物分野においても使用することができる。
【0073】
錯誤回避のために記載するならば、本出願は以下の番号付けしたパラグラフにおいて記載される内容に関する。
【0074】
1.(a)アリシンを含む溶液を提供することと;(b)アリシンを含む溶液の塩濃度を増加させ、有機溶媒の中にアリシンを抽出し、それによってアリシンを含む溶媒層及びブライン層を形成することと;(c)任意で溶媒層及びブライン層を分離することと;(d)アリシンをアホエンに転換することとを含むアホエンの調製のための方法。
2.工程d)が、室温と有機溶媒の沸点との間の温度でアリシンを加熱し、アリシンを有機溶媒の中に約1〜約5時間の期間で抽出することを含む、第1項に記載の方法。
3.第1項の工程(c)が加熱工程(d)の前に実行されなければ溶媒層及びブライン層を分離すること、並びに有機溶媒を除去して油性画分の全体積に基づいて少なくとも約30w/v%の量でアホエンを含む油性画分を産生することをさらに含む、第1項又は第2項に記載の方法。
4.油性画分を有機極性溶媒で抽出して残留有機溶媒を除去し、乾燥して残留水を除去する、第3項に記載の方法。
5.食用油中に油性画分を懸濁して、オイルマセレートの全体積に基づいて約4〜5w/v%のアホエンを含有するオイルマセレートを形成することをさらに含む、第3項又は第4項に記載の方法。
6.工程(b)における有機溶媒が、アルコール、エーテル及びケトンから選択される、第1〜5項のいずれか1つに記載の方法。
7.溶媒がアセトン、ブチノール又はブチノンである、第6項に記載の方法。
8.塩が塩化ナトリウムである、第1〜7項のいずれか1つに記載の方法。
9.有機極性溶媒がジエチルエーテルである、第4項に記載の方法。
10.工程(d)の前に、アリシンを含む溶媒層が濾過及び/又は遠心分離される、第1〜9項のいずれか1つに記載の方法。
11.工程b)が最大約2時間の期間にわたる塩の添加、続いて最大約2時間の期間にわたる有機溶媒の添加を含み、溶液の温度が約0℃〜50℃の間で維持される、第1〜10項のいずれか1つに記載の方法。
12.工程b)が最大約2時間の期間にわたる有機溶媒の添加、続いて最大約2時間の期間にわたる塩の添加を含み、溶液の温度が約0℃〜50℃の間で維持される、第1〜10項のいずれか1つに記載の方法。
13.塩及び有機溶媒がアリシンを含む溶液に撹拌により加えられ、塩及び有機溶媒の添加の間のエマルジョンの形成が防止される、第1〜12項のいずれか1つに記載の方法。
14.塩が塩化ナトリウム及び有機溶媒がアセトンであり、工程d)が約3〜5時間、好ましくは約4時間の期間約50〜55℃の温度でアリシンを加熱することを含む、第11〜12項のいずれか1つに記載の方法。
15.工程a)が、
i)アリイナーゼの天然の植物ソースを機械的に処理し、同時に機械的に処理された産物に遠心力をかけ、それによってアリイナーゼの天然の植物ソースからアリイナーゼを含む溶液を分離することと;
ii)アリインの水性溶液とアリイナーゼソースを含む溶液を接触させ、それによってアリインがアリイナーゼを含む溶液中のアリイナーゼによってアリシンに酵素的に転換されることと
を含む、第1〜14項のいずれか1つに記載の方法。
16.工程(i)が遠心分離式ジューサーにおいて行われる、第15項に記載の方法。
17.工程(ii)が工程(i)の少なくとも一部と同時に行われる、第15項又は第16項に記載の方法。
18.接触工程後に、アリイン、アリイナーゼ及びアリシンを含む溶液が約1〜3時間撹拌される、第15〜17項のいずれか1つに記載の方法。
19.(a)アリイナーゼの天然の植物ソースを機械的に処理し、同時に機械的に処理された産物に遠心力をかけ、それによってアリイナーゼの天然の植物ソースからアリイナーゼを含む溶液を分離することと;(b)アリインの水性溶液とアリイナーゼソースを含む溶液を接触させ、それによってアリインがアリイナーゼを含む溶液中のアリイナーゼによってアリシンに酵素的に転換されることとを含む、アリシンを調製する方法。
【0075】
20.工程(i)が遠心分離式ジューサーにおいて行われる、第19項に記載の方法。
21.アリイナーゼの天然の植物ソースが生のニンニクである、第1〜20項のいずれか1つに記載の方法。
22.生のニンニクが好ましくは剥皮及び洗浄された鱗片の鱗茎の形態である、第21項に記載の方法。
23.アリシンを含む溶液が少なくとも約5000ppmのアリシンを含有する、第1〜22項のいずれか1つに記載の方法。
24.アリシンを含む溶液が少なくとも約10000ppmのアリシンを含有する、第1〜23項のいずれか1つに記載の方法。
25.アリシンを含む溶液が少なくとも約12000ppmのアリシンを含有する、第1〜24項のいずれか1つに記載の方法。
26.アリシンを含む溶液が少なくとも約15000ppmのアリシンを含有する、第1〜25項のいずれか1つに記載の方法。
27.工程a)が、ペルオキソ一硫酸カリウムの存在下において約0℃〜約30℃の温度でジアリルジスルフィドを含む溶液を酸化させ、続いて生じたアリシンを有機溶媒の中に抽出することを含む、第1〜14項のいずれか1つに記載の方法。
28.ペルオキソ一硫酸カリウムの存在下において約0℃〜約30℃の温度でジアリルジスルフィドを含む溶液を酸化させ、続いて生じたアリシンを有機溶媒の中に抽出することを含むアリシンを調製する方法。
29.ジアリルジスルフィド及びペルオキソ一硫酸カリウムの量が、約5000ppm〜約20000ppmの濃度を有するアリシンの水性溶液を産生するのに十分である、第27項又は第28項に記載の方法。
30.温度が約10℃以下である、第27〜29項のいずれか1つに記載の方法。
31.全量のペルオキソ一硫酸カリウムが約2時間の期間にわたって硫化ジアリルの溶液に徐々に加えられる、第27〜30項のいずれか1つに記載の方法。
32.第1〜17、20〜26及び28〜30項のいずれか1つに記載の方法で得られる、組成物の全体積に基づいて少なくとも約30%w/vのアホエンを含む組成物。
33.少なくとも約35%w/vのアホエンを含む第31項に記載の組成物。
34.少なくとも約40%w/vのアホエンを含む第32項に記載の組成物。
35.少なくとも約45%w/vのアホエンを含む第33項に記載の組成物。
36.少なくとも約50%w/vのアホエンを含む第34項に記載の組成物。
【0076】
本発明はここで以下の実施例を単なる例として参照して限定されずに記載される。
【実施例】
【0077】
逆相HPLC法
−アリシン濃度の測定(スタンダードのアリシン溶液によるキャリブレーション)
ピーク同定:9.5分でアリシン
カラム:Ace 5 C18;寸法:250×4.6mm
ガードカラム:Ace 5 C18
移動相:50%メタノール−50%水
温度:30℃
検出波長:210nm(UV)
サンプル体積:20μL
サンプル溶媒:水
流速:1.0ml/分
【0078】
−アホエン濃度の測定(スタンダードのアホエン溶液によるキャリブレーション)
ピーク同定:11.1分でアホエン(E/Z両方がともに溶出される)
使用したカラム:ACE 5 C18;寸法:250×4.6mm
ガードカラム:Ace 5 C18
移動相:溶媒A水−溶媒Bメタノール
流速:1.0ml/分
勾配:
分 %溶媒B
0 50
15 100
20 100
20.0 150
25 50
温度:30℃
検出波長:254nm(UV)
サンプル体積:20μL
サンプル溶媒:メタノール
【0079】
−アホエンのE異性体及びZ異性体の測定のための正常相法(スタンダードアホエン溶液によるキャリブレーション)
ピーク同定:14分でZアホエン;17分でEアホエン
使用したカラム:シリカ;寸法:250×4.6mm、NN Scientific社で製造
移動相:92%ヘキサン−8%2−プロパノール
温度:30℃
検出波長:240nm(UV)
サンプル体積:20μL
サンプル溶媒:2−プロパノール
流速:1.0ml/分
【0080】
実施例1
5リットルのアリイナーゼを多く含むニンニクジュース抽出物を遠心分離式ジューサー(JE700 Proline(登録商標)家庭用ジューサー抽出機)を使用して調製し、35リットルの10%アリイン溶液と反応器中でブレンドし、3時間撹拌した。ニンニクは、地方の市場から得た、あらかじめ剥皮したスペインホワイト品種であった。反応温度は水ジャケットにより30℃で維持された。反応完了は上記の方法を使用して、HPLCによって測定した。もたらされた40リットルの溶液は15000ppmのアリシン濃度を有すると測定された。40リットルのアリシン溶液を4℃で48時間沈殿させた。清澄な上清をデカントした。0℃で3000rpmで30分間の遠心分離することによって残存する沈殿物から液体を取り出し、上清と組み合わせた。清澄化した溶液をワットマン113濾紙を介して濾過し、次いで100リットルの反応器中に置いた。40リットルの氷冷アセトンを反応器に加え、2つの液体は全体の均質化を保証するために2時間撹拌した。温度は5℃未満で常に維持した。次いで含水アセトン溶液は−10℃で24時間沈殿させた。沈殿物をデカントした。15kgの塩化ナトリウムを清澄化した溶液に加え、混合物をバッフル付きの反応器中で3時間撹拌した。溶液を12時間放置し、10℃未満に冷却した。これは非混和性アセトン層がブライン層から分離するのに十分な時間であった。上部アセトン層及び下部ブライン層のアリシン濃度は、それぞれ3%(w/v)及び0.1%(w/V)であると測定された。
【0081】
アセトン層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、セライトを介して濾過した。これにより25リットルのアセトンが残った。次いでアセトン層を、100リットルの反応器中で25リットルのアセトン/水/酢酸(65/34/1(v/v))の溶液と混合した。次いで溶液を60度で5時間加熱した。反応は上記のHPLCアホエン法によってモニタリングした。次いで反応混合を30cmの113ワットマンの濾紙を介して濾紙により濾過した。次いで濾過液は溶媒を除去するために50℃で真空下で減じられた。残留物を2000ppmで5分間遠心分離した。沈殿させた液体を分別漏斗中に置き、底の油を除去した。油を80℃で真空下で減じて残留溶媒を除去した。合計275gの油が得られ、アホエン含有量は35%(w/v)であると測定され、E/Z比はHPLC(上記のように)によって3:1であると測定された。
【0082】
実施例2
実施例1中に記載される手順を使用して、30リットルの15000ppmのアリシン溶液を産生した。真空下でセライトを介して液体を濾過し、次いで48時間沈殿させた。次いで清澄化した溶液を、100リットルの反応器中で11kgの塩化ナトリウムと混合した。反応器を−10℃で24時間冷却した。次いで液体を濾紙を介して濾過してタンパク質、繊維及び過剰の塩を除去した。液体を100リットルの反応器に移した。30リットルの氷冷アセトンを反応器に加え、十分な乱流を保証するようにデザインしたインペラーにより液体を緩慢に撹拌して、過剰のエマルジョンを生成せずに水層から有機層へのアリシンの移動を可能にする。溶液を12時間放置し、10℃未満に冷却した。これは非混和性アセトン層がブライン層から分離するのに十分な時間であった。約10リットルのエマルジョンが2層の界面で生成された。このエマルジョンは3000rpm5分間の遠心分離において破壊された。上部アセトン層及び下部ブライン層のアリシン濃度は、それぞれ2%(w/v)及び0.08%(w/v)であると測定された。
【0083】
次いでアセトン層を、100リットルの反応器中で25リットルのアセトン/水/酢酸(65/34/1)の溶液と混合した。次いで溶液を40度で6.5時間加熱した。反応は上記のHPLCアホエン法によってモニタリングした。次いで反応混合は30cmの113ワットマンの濾紙を介して濾紙により濾過した。次いでこの液体を2×10リットルのペンタンに対して分配して、ポリスルフィド及びビニルジチイン等の非極性アリシン代謝物質を除去した。次いで濾過液は溶媒を除去するために50℃で真空下で減じられた。残留物及び油は撹拌しながら均質化した。液体中の残留酢酸は、濃水酸化ナトリウム溶液を滴下して添加することにより中和した。
【0084】
次いで水性液体を2×5リットルのメチル第三ブチルエーテルで抽出した。メチル第三ブチルエーテル抽出物を組み合わせて、次いで硫酸マグネシウムにより乾燥した。次いで乾燥したメチル第三ブチルエーテルを50℃で真空下で減じた。合計210gの油が得られ、アホエン含有量は50%(w/v)であると測定され、E/Z比は3:1であると測定された。
【0085】
実施例3
実施例2中に記載される手順を使用して、30リットルの15000ppmのアリシン溶液を産生した。液体は3000rpmで45分間の遠心分離を介して清澄化した。次いで溶液を13kgの硫酸アンモニウムにより飽和させた。溶液は飽和を確実にするため撹拌し、溶解しない塩を濾過によって除去した。次いで溶液を15リットルの氷冷アセトンで抽出した。アセトン溶液を絶縁容器に移し、反応器の温度をドライアイスの添加により−70℃まで低下させた。次いで冷却溶液を濾紙の上のセライトを介して真空下で濾過した。次いで濾過液を硫酸マグネシウムにより乾燥し、セライトの上で再び濾過した。
【0086】
次いでアセトン層を、100リットルの反応器中で15リットルのアセトン/水/酢酸(65/34/1)の溶液と混合した。次いで溶液を50℃で4時間加熱した。反応はHPLCアホエン法によってモニタリングした。次いで反応混合を30cmの113ワットマンの濾紙を介して濾紙により濾過した。次いで濾過液は溶媒を除去するために60℃で真空下で減じられた。残留物を10リットルの50%メタノール溶液中で溶解した。次いで溶液を2×5リットルのヘキサンに対して洗浄した。次いで水層を2.5リットルのジクロロメタンで抽出した。DCMを硫酸マグネシウムにより乾燥し、次いで減じた。
【0087】
40%w/vのアホエン含有量の258mlの液体が産生された。
【0088】
実施例4
実施例1中に記載される手順を使用して、15リットルの15000ppmのアリシン溶液を産生した。アリシン溶液は4℃で24時間の沈殿によって清澄化した。次いで溶液を−10℃で48時間凍結した。次いで凍結したブロックをハンマーにより粉砕し、次いで家庭用ブレンダーにより微細なスラッシュに粉砕した。スラッシュをコースグレードふるいで濾過して大きな氷粒子を除去した。スラッシュを真空下で3時間濾過した。液体/スラッシュは常に撹拌して濾過を支援した。温度は10℃未満で維持された。6リットルの濾過液が採取され、上記のHPLCアリシン法を使用して30000ppmのアリシン含有量を有すると測定された。濾過液は粘稠な粘着性の溶液であった。残存する固体スラッシュ/氷を12時間室温度で溶かし、5000ppmのアリシン含有量の9リットルの液体が産生される。
【0089】
次いで6リットルのアリシン溶液を、実施例1中で詳述されたものと同じ転換工程及び抽出工程を使用して処理した。合計250gの油が得られ、アホエン含有量は30%であると測定され、E/Z比は上記のHPLC法によって3:1であると測定された。
【0090】
実施例5
実施例1中で記載されるようにアホエンを産生した。産生されたアホエンを硫酸マグネシウム上でさらに乾燥し、オリーブオイル中に懸濁して約4%のアホエンを含有するオイルマセレートを作成した。この濃縮物は最終使用者及び適用に依存して、使用のために100ppm〜500ppmの間で任意の好適な食用油によりさらに希釈することができる。好適にカプセル化された場合この産物は最低2年間安定であり、健康食品サプリメント又は他の公知の適用として使用される。
【0091】
実施例6
10mlのジアリルジスルフィド(DADS)を100mlのエタノール/水(1:1)の中に入れて撹拌した。20グラムのペルオキシ一硫酸カリウム(Oxone(登録商標))を2時間にわたって徐々に加え、さらなる反応が観察されなくなるまで10℃未満で撹拌した。次いで生じた溶液を濾過し、次いでジエチルエーテル(2×50ml)で抽出した。ジエチルエーテル層を組み合わせ、2×50mlの10%ブライン溶液で洗浄した。エーテル層を真空下で減じ、次いで硫酸マグネシウムにより乾燥した。溶媒は除去され、90%を超える純粋なアリシンの黄色油が産生された(純粋な材料の%として表わす)。次いで純粋なアリシンは、アホエンへの転換のために実施例1に従って処理することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アホエンを調製する方法であって、アリシンの少なくとも一部がアホエンに転換されるように十分な期間でアリシンを含む酸性溶液を加熱する工程を含む方法。
【請求項2】
前記溶液が有機溶媒及び水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程における前記有機溶媒がアルコール、エーテル及びケトンから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機溶媒が、アセトン、ブタノール又はブタノンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記酸性溶液が、有機酸又は無機酸を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸が約5未満のpKaを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酸が、酢酸、リン酸、硫酸及び塩酸からなる群から選択される1種以上の酸である、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記溶液中の酸の量が約0.1〜5%(v/v)である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記溶液中の酸の量が約0.1〜約1%(v/v)である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記有機溶媒の量が、水とのバランスで約50〜70%(v/v)である、請求項2〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記酸が酢酸であり、前記有機溶媒がアセトンであり、前記溶液のバランスが水である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱工程が約30℃〜約80℃の温度で行われる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記温度が約40℃又は約50℃又は約60℃である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
アリシンの大部分がアホエンに転換される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
実質的にすべてのアリシンがアホエンに転換される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記アリシンの酸性溶液が、約3〜約5のpH、又は約3〜5未満のpHを有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記有機溶媒を除去して、油性画分の全体積に基づいて少なくとも約30w/v%の量でアホエンを含む油性画分を得ることをさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記油性画分を有機極性溶媒で抽出して残留有機溶媒を除去し、乾燥して残留水を除去する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
食用油中の油性画分を懸濁して、オイルマセレートの全体積に基づいて約4〜5w/v%のアホエンを含有するオイルマセレートを形成することをさらに含み、該食用油が任意でオリーブオイルである、請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記アリシンを含む溶液が、
i)アリイナーゼの天然の植物ソースを機械的に処理し、同時に機械的に処理された産物に遠心力をかけ、それによって、前記アリイナーゼの天然の植物ソースからアリイナーゼを含む溶液を分離すること;及び
ii)アリインの水性溶液とアリイナーゼソースを含む溶液とを接触させ、それによって前記アリインが前記アリイナーゼによってアリシンに酵素的に転換され、それによってアリシンを含む水性溶液を産生すること
を含む方法によって調製される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
工程(i)が遠心分離式ジューサーにおいて行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程(ii)が工程(i)の少なくとも一部と同時に行われる、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記接触工程後に、アリイン、アリイナーゼ及びアリシンを含む前記溶液が約1〜4時間撹拌され、任意に撹拌の間の温度が約30℃で維持される、請求項20〜229のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記アリシンが、転換後に有機溶媒中に抽出される、請求項20〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記有機溶媒がアルコール、エーテル及びケトンから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項26】
前記溶媒がアセトン、ブタノール又はブタノンである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記有機溶媒が、請求項2〜16のいずれか一項に記載の方法において使用されるものと同じ有機溶媒である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
抽出が、塩、例えば塩化ナトリウムの存在下において行われる、請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記塩及び有機溶媒がアリシンを含む溶液に撹拌しながら加えられ、前記塩及び有機溶媒の添加の間のエマルジョンの形成が防止されるか又は少なくとも最小限にされる、請求項24〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
(a)アリイナーゼの天然の植物ソースを機械的に処理し、同時に機械的に処理された産物に遠心力をかけ、それによってアリイナーゼの天然の植物ソースからアリイナーゼを含む溶液を分離すること;及び
(b)アリインの水性溶液とアリイナーゼソースを含む溶液を接触させ、それによって前記アリインが前記アリイナーゼを含む溶液中のアリイナーゼによってアリシンに酵素的に転換されること
を含む、アリシンを調製する方法。
【請求項31】
前記方法が、請求項20〜29のいずれか一項において定義されるような方法である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記アリイナーゼの天然の植物ソースが生のニンニクである、請求項20〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記生のニンニクが、好ましくは剥皮及び洗浄された、鱗片の鱗茎の形態である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記アリシンを含む溶液が少なくとも約5000ppmのアリシンを含有する、請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記アリシンを含む溶液が少なくとも約10000ppmのアリシンを含有するか、又は前記アリシンを含む溶液が少なくとも約15000ppmのアリシンを含有するか、又は前記アリシンを含む溶液が少なくとも約20000ppmのアリシンを含有するか、又は前記アリシンを含む溶液が少なくとも約22000ppmのアリシンを含有する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記アリシンを含む溶液が、ペルオキソ一硫酸カリウムの存在下において、約0℃〜約30℃の温度でジアリルジスルフィドを含む溶液を酸化させ、続いて生じたアリシンを有機溶媒中に抽出することを含む方法によって調製される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
ペルオキソ一硫酸カリウムの存在下において、約0℃〜約30℃の温度でジアリルジスルフィドを含む溶液を酸化させ、続いて生じたアリシンを有機溶媒中に抽出することを含むアリシンを調製する方法。
【請求項38】
ジアリルジスルフィド及びペルオキソ一硫酸カリウムの量が、約5000ppm〜約22000ppmの濃度を有するアリシンの水性溶液を産生するのに十分である、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記温度が約10℃以下である、請求項36〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
組成物の全体積に基づいて少なくとも約30w/v%のアホエンを含む組成物。
【請求項41】
請求項1〜29、34〜36、及び38〜39のいずれか一項に記載の方法によって得られる請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
少なくとも約35w/v%のアホエンを含むか、又は少なくとも約40w/v%のアホエンを含むか、又は少なくとも約45%w/vのアホエンを含むか、又は少なくとも約50%w/vのアホエンを含む、請求項40又は41に記載の組成物。
【請求項43】
キログラムスケールで調製され、請求項1〜29、34〜36、及び38〜39のいずれか一項に記載の方法によって得られるアホエン。
【請求項44】
アリシンの水性溶液中のアリシンの濃度を増加させる方法であって、アリシンの水性溶液を凍結し、それによってアリシンの濃度を増加させることを含む方法。

【公表番号】特表2012−519679(P2012−519679A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552517(P2011−552517)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050367
【国際公開番号】WO2010/100486
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(511216237)ニーム バイオテック リミテッド (1)
【Fターム(参考)】