説明

アミド重合体、光学部品用組成物及び光学部品

【課題】高耐熱性、高透明性及び高屈折率であるアミド重合体およびその光学部品用組成物、該光学部品を提供する。
【解決手段】下記式(A)で表されるアミド重合体。


[式(A)中、Y1及びY2は、それぞれ、特定の基から選ばれるジアミン化合物、ジカルボン酸化合物であり、Y1及びY2は同一でも異なっていてもよい。Zは、3重結合を有する2価の特定の環状構造を有する化合物。mは0又は1以上の整数、nは2以上の整数、かつ、n/(m+n)が0.5以上である。また、式(A)における繰り返し単位の配列は、ブロック的配列、ランダム的配列のいずれであってもよい。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミド重合体、光学部品用組成物及び光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信に代表される光学材料として、その多様な用途に応じて、さまざまな無色透明材料が検討されているが、光通信用デバイスを搭載した情報機器の急速な小型軽量化や表示素子の高精細化に伴い、材料自体に要求される要求も高度なものになってきている。光学材料に一般的に求められる特性としては、高透明性、屈折率が大きい、易加工性、高耐衝撃性、低吸水性、高耐熱性などがあるが、無機材料ではこのような特性を満足することは難しく、特に衝撃強度が低く、成型加工性に劣るといった欠点を有している。一方で、プラスチック材料は、衝撃強度が強く、成形個加工性に富むことといった特徴があり、近年その利用が拡大している。
【0003】
光学材料用プラスチック材料としては、光学特性の優れたポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、機械的強度に優れたポリカーボネート(PC)、耐熱性に優れたポリイミド、ポリアミド、ポリベンゾオキサゾールといった樹脂が知られている。
PMMA、PCは光学材料としての適用のために、工程が複雑化する問題が生じたり、耐熱性の観点から、必ずしも十分であるとは言えず、その適用が制限されている。
また、光学材料として、フッ素化ポリイミド、フッ素化ポリベンゾオキサゾールは、幅広く検討されている(例えば、特許文献1,2参照。)。これらの樹脂は、樹脂構造中に、フッ素を導入しているため、フッ素原子の表面自由エネルギーが大きいことから、材料界面における接着性が十分に確保できないことなどの課題があり、より信頼性の高い材料が望まれている。
【0004】
また、プラスチック材料として、芳香族ポリアミドが挙げられるが、これは耐熱性を満足できるものが多いものの、黄色に着色しているものが多く、透明性の観点から、その適用は困難であった。例えば、耐熱性透明導電フィルムに適用された例が開示されている(例えば、特許文献3参照。)が、波長600nmにおける透過率が71%と低いものとなっている。また、光学用芳香族ポリアミドフィルムとして、開示された例がある(例えば、特許文献4参照。)が、波長400nmにおける透過率は60〜80%、ガラス転移温度が300〜360℃であり、より高い透過率、より高いガラス転移点であることが望ましい。
【0005】
また、デジタルカメラや携帯電話のカメラ用のレンズ、液晶ディスプレイに用いられる光学フィルムなどの光学樹脂には、高屈折率であることも求められている。
例えば、ポリアミド樹脂として、耐熱性を有し、透明性にも優れる樹脂が開示されている(例えば、特許文献5参照。)が、350℃のリフロー耐性があり耐熱性は比較的高いといえるものの十分ではなく、分子内にシロキサン結合を含むため高屈折率であるともいえない。
【特許文献1】特開2000−290374号公報
【特許文献2】国際公開第2003/010223号パンフレット
【特許文献3】特公平7−89452号公報
【特許文献4】特開2004−250569号公報
【特許文献5】特開2006−225523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情のもとで、高耐熱性、高透明性及び高屈折率であるアミド重合体およびその光学部品用組成物を提供し、さらには、光学部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、熱及び/又は活性エネルギー線により化学反応し得る不飽和炭化水素基を有するアミド重合体が、高Tg、高透明性および高屈折率であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記第1項〜第6項により達成される。
【0008】
1. 下記式(A)で表されるアミド重合体。
【0009】
【化1】

【0010】
[式(A)中、Y1及びY2は、それぞれ、下記式(B)
【0011】
【化2】

【0012】
(上記式(B)中のXは、下記式(C)
【0013】
【化3】

【0014】
で表される基の中から選ばれる基を示す。)で表される基の中から選ばれる基を示し、Y1及びY2は同一でも異なっていてもよい。Zは、下記式(D)
【0015】
【化4】

【0016】
、下記式(E)
【0017】
【化5】

【0018】
(式(D)及び式(E)中のRは、水素原子、フェニル基又はアルキル基を示す。また、上記式(D)および式(E)で表される基における環構造上の水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、及びフェニル基の中から選ばれる少なくとも1個の基で置換されていてもよい。)で表される基の中から選ばれる少なくとも1種の基を示す。mは0又は1以上の整数、nは2以上の整数、かつ、n/(m+n)が0.5以上である。また、式(A)における繰り返し単位の配列は、ブロック的配列、ランダム的配列のいずれであってもよい。]
【0019】
2. 前記アミド重合体は、式(A)におけるY1として、式(F)で表される基を有し、Zとして式(G)で表される基を有するものである請求項1記載のアミド重合体。
【0020】
【化6】

【0021】
【化7】

【0022】
(式(G)中のRは式(D)におけるRと同義である。)
【0023】
3. 第1項または第2項に記載のアミド重合体及び溶剤を含む光学部品用組成物。
4. 第3項に記載の光学部品用組成物を用いて得られる光学部品。
5. 前記光学部品は、波長380nmにおける光の消衰係数が、0以上0.01以下である、第4記載の光学部品。
6. 前記光学部品は、波長633nmにおける屈折率が1.65以上である、第4項または第5項記載の光学部品。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、高耐熱性、高透明性及び高屈折率であるアミド重合体が得られる。また、本発明の光学部品用組成物は、該アミド重合体を用いて得られ、前記光学部品用組成物より得られる光学部品は、光学特性、耐熱特性などに優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、式(A)で表されるアミド重合体であり、加熱及び/又は活性エネルギー線照射により化学反応し得る炭素−炭素三重結合を含む基を有し、前記炭素−炭素三重結合が化学反応した後の重合体のガラス転移温度が380℃以上となるものである。これにより、高耐熱性、高透明性及び高屈折率を有するアミド重合体を提供できる。
また、本発明は、該アミド重合体と溶剤を含む光学部品用組成物、及び該組成物を用いて得られる光学部品である。これにより、光学特性及び耐熱特性などに優れる光学部品を提供できる。
【0026】
本発明の式(A)で表されるアミド重合体は、前記式(B)で表される基の中から選ばれる基を有するジアミン化合物の少なくとも1種と、式(B)で表される基の中から選ばれる基を有するジカルボン酸化合物、並びに式(D)及び式(E)で表される基の中から選ばれる基を有するジカルボン酸化合物の1種又は2種以上とを、反応させて得ることができる。
【0027】
なお、前記ジアミン化合物において、前記式(B)で表される基は、アミノ基と結合し得る結合手を二つ有するものである。また、前記ジカルボン酸化合物において、式(B)、式(D)及び式(E)で表される基は、カルボキシル基と結合し得る結合手を二つ有するものである。
【0028】
上記反応方法としては、従来の酸クロリド法、活性化エステル法、ポリリン酸やジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤の存在下での縮合反応等の方法を用いることができる。
【0029】
本発明で用いる、式(B)で表される基を有するジアミン化合物の具体例としては、1,2−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノベンゼン、1,5−ナフタレンジアミン、1,8−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2,3−ナフタレンジアミン、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノビフェニル、2,3−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルファニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルファニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニルスルファニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルファニル)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(4−アミノフェニル)スルファニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−アミノフェニル)スルファニルフェニル)フルオレン、3,3’−ジアミノ−ジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−ジフェニルエーテル3,3’−ジアミノ−ジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノ−ジフェニルチオエーテル、2,2’−ジアミノ−1,1’−ビナフチル、1,3−ジアミノシクロヘキサン、2,4−ジアミノシクロヘキサン及び1,2−ジアミノシクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、9,9−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−アミノフェニル)フルオレン、3,3’−ジアミノ−ジフェニルエーテル及び4,4’−ジアミノ−ジフェニルエーテル等が好ましく、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−アミノフェニル)フルオレンがより好ましい。これらは単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
式(A)で表されるアミド重合体で用いる、式(B)で表される基を有するジカルボン酸化合物の具体例としては、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジメチル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジメチル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−スルホニルビス安息香酸、3,4’−スルホニルビス安息香酸、3,3’−スルホニルビス安息香酸、4,4’−オキシビス安息香酸、3,4’−オキシビス安息香酸、3,3’−オキシビス安息香酸、4,4’−チオビス安息香酸、3,4’−チオビス安息香酸、3,3’−チオビス安息香酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−カルボキシフェニルスルファニル)ベンゼン、1,3−ビス(3−カルボキシフェニルスルファニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−カルボキシフェニルスルファニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−カルボキシフェニルスルファニル)ベンゼン、4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、3,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、3,3’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、3,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、3,3’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、3,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、3,3’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、3,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、3,3’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、9,9−ビス(2−カルボキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−カルボキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス((2−カルボキシ−3−フェニル)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス((4−カルボキシ−3−フェニル)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス((5−カルボキシ−3−フェニル)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス((6−カルボキシ−3−フェニル)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス(4−(2−カルボキシ−フェノキシ)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス(4−(3−カルボキシ−フェノキシ)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス(4−(4−カルボキシ−フェノキシ)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス(4−(3−カルボキシフェニル)スルファニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(4−カルボキシフェニル)スルファニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス((4−(2−カルボキシ−フェノキシ)−3−フェニル)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス((4−(3−カルボキシ−フェノキシ)−3−フェニル)−フェニル)−フルオレン及び9,9−ビス((4−(4−カルボキシ−フェノキシ)−3−フェニル)−フェニル)−フルオレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
本発明で用いる、式(D)及び式(E)で表される基を有するジカルボン酸化合物において、Rとしては、水素原子、フェニル基又はアルキル基であり、前記アルキル基としては、メチル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基及びアダマンチル基などが挙げられる。
【0032】
そのようなジカルボン酸化合物の具体例として、Rが水素原子であるエチニル基を有するジカルボン酸化合物の例としては、3−エチニルフタル酸、4−エチニルフタル酸、2−エチニルイソフタル酸、4−エチニルイソフタル酸、5−エチニルイソフタル酸、2−エチニルテレフタル酸、3−エチニルテレフタル酸、5−エチニルテレフタル酸、2−エチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、3−エチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、4−エチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、1−エチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−エチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、4−エチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−エチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3−エチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、4−エチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、5−エチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、7−エチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、8−エチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3,3’−ジエチニル−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジエチニル−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、5,5’−ジエチニル−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、6,6’−ジエチニル−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジエチニル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジエチニル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、5,5’−ジエチニル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、6,6’−ジエチニル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジエチニル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ジエチニル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2−ビス(2−カルボキシ−3−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−5−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−6−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−2−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−4−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−6−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−3−エチニルフェニル)プロパン、4−エチニル−1,3−ジカルボキシシクロプロパン、5−エチニル−2,2−ジカルボキシシクロプロパン、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェノキシ)−5−エチニル−ベンゼンの構造異性体、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェニル)−5−エチニル−ベンゼンの構造異性体、5−(3−エチニル−フェノキシ)−イソフタル酸、5−(1−エチニル−フェノキシ)−イソフタル酸、5−(2−エチニル−フェノキシ)イソフタル酸、2−(1−エチニル−フェノキシ)テレフタル酸、2−(2−エチニル−フェノキシ)テレフタル酸、2−(3−エチニル−フェノキシ)テレフタル酸、5−(1−エチニル−フェニル)−イソフタル酸、5−(2−エチニル−フェニル)−イソフタル酸、5−(3−エチニル−フェニル)−イソフタル酸、2−(1−エチニル−フェニル)−テレフタル酸、2−(2−エチニル−フェニル)−テレフタル酸及び2−(3−エチニル−フェニル)−テレフタル酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
Rがフェニル基であるフェニルエチニル基を有するジカルボン酸化合物の例としては、3−フェニルエチニルフタル酸、4−フェニルエチニルフタル酸、2−フェニルエチニルイソフタル酸、4−フェニルエチニルイソフタル酸、5−フェニルエチニルイソフタル酸、
2−フェニルエチニルテレフタル酸、3−フェニルエチニルテレフタル酸、2−フェニルエチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、3−フェニルエチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、4−フェニルエチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、1−フェニルエチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−フェニルエチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、4−フェニルエチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−フェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3−フェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、4−フェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、5−フェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、7−フェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、8−フェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3,3’−ジフェニルエチニル−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエチニル−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、5,5’−ジフェニルエチニル−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、6,6’−ジフェニルエチニル−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルエチニル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエチニル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、5,5’−ジフェニルエチニル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、6,6’−ジフェニルエチニル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルエチニル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ジフェニルエチニル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2−ビス(2−カルボキシ−3−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−5−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−6−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−2−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−4−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−6−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−3−フェニルエチニルフェニル)プロパン、4−フェニルエチニル−1,3−ジカルボキシシクロプロパン、5−フェニルエチニル−2,2−ジカルボキシシクロプロパン、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェノキシ)−5−フェニルエチニル−ベンゼンの構造異性体、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェニル)−5−フェニルエチニル−ベンゼンの構造異性体、5−(1−フェニルエチニル−フェノキシ)−イソフタル酸、5−(2−フェニルエチニル−フェノキシ)イソフタル酸、5−(3−フェニルエチニル−フェノキシ)イソフタル酸、2−(1−フェニルエチニル−フェノキシ)テレフタル酸、2−(2−フェニルエチニル−フェノキシ)テレフタル酸、2−(3−フェニルエチニル−フェノキシ)テレフタル酸、5−(1−フェニルエチニル−フェニル)−イソフタル酸、5−(2−フェニルエチニル−フェニル)−イソフタル酸、5−(3−フェニルエチニル−フェニル)−イソフタル酸、2−(1−フェニルエチニル−フェニル)−テレフタル酸、2−(2−フェニルエチニル−フェニル)−テレフタル酸及び2−(3−フェニルエチニル−フェニル)−テレフタル酸等が挙げられる。
【0034】
また、Rがアルキル基であるアルキルエチニル基を有するジカルボン酸化合物の例としては、3−ヘキシニルフタル酸、4−へキシニルフタル酸、2−へキシニルイソフタル酸、4−へキシニルイソフタル酸、5−へキシニルイソフタル酸、2−へキシニルテレフタル酸、3−へキシニルテレフタル酸、2−へキシニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、3−へキシニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、4−へキシニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、1−へキシニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−へキシニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、4−へキシニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−へキシニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3−へキシニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、4−へキシニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、5−へキシニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、7−へキシニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、8−へキシニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3,3’−ジへキシニル−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジへキシニル−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、5,5’−ジヘキシニル−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、6,6’−ジへキシニル−2,2’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジへキシニル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジへキシニル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、5,5’−ジへキシニル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、6,6’−ジへキシニル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジへキシニル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ジへキシニル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2−ビス(2−カルボキシ−3−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−5−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−6−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−2−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−4−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−6−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−3−へキシニルフェニル)プロパン、4−へキシニル−1,3−ジカルボキシシクロプロパン、5−ヘキシニル−2,2−ジカルボキシシクロプロパン、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェノキシ)−5−ヘキシニル−ベンゼンの構造異性体、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェニル)−5−ヘキシニル−ベンゼンの構造異性体、5−(3−ヘキシニル−フェノキシ)−イソフタル酸、5−(1−ヘキシニル−フェノキシ)−イソフタル酸、5−(2−ヘキシニル−フェノキシ)イソフタル酸、2−(1−ヘキシニル−フェノキシ)テレフタル酸、2−(2−ヘキシニル−フェノキシ)テレフタル酸、2−(3−ヘキシニル−フェノキシ)テレフタル酸、5−(1−ヘキシニル−フェニル)−イソフタル酸、5−(2−ヘキシニル−フェニル)−イソフタル酸、5−(3−ヘキシニル−フェニル)−イソフタル酸、2−(1−ヘキシニル−フェニル)−テレフタル酸、2−(2−ヘキシニル−フェニル)−テレフタル酸及び2−(3−ヘキシニル−フェニル)−テレフタル酸等が挙げられる。ジカルボン酸化合物としては、これらの中でも、式(G)で表される基を有するジカルボン酸化合物が好ましい。これらは単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
本発明の式(A)で表されるアミド重合体の合成において、上記ジアミン化合物とジカルボン酸化合物の組合せとしては、特にジアミン化合物として、上記式(F)で表される基を有するジアミン化合物、ジカルボン酸化合物として、熱及び/又は活性エネルギー線により化学反応し得る炭素−炭素三重結合を有する基を有する、上記式(G)で表されるジカルボン酸基を有するジカルボン酸化合物よりなる場合が、耐熱性の観点より特に好ましい。
【0036】
なお、式(B)、式(C)、式(D)、式(E)、式(F)及び式(G)で表される基における環構造上の水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基の中から選ばれる少なくとも1個の基で置換されていてもよい。上記炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。
【0037】
本発明に用いる式(A)で表されるアミド重合体の製造方法としては、例えば、酸クロリド法では、使用する酸クロリドは、まず、N,N’−ジメチルホルムアミド等の触媒存在下で、前記ジカルボン酸化合物と、過剰量の塩化チオニルとを、室温ないし130℃程度の温度で反応させ、過剰の塩化チオニルを加熱及び減圧により留去した後、残査をヘキサン等の溶媒で再結晶することにより得ることができる。このようにして製造したジカルボン酸クロリド化合物を、前記ジアミン化合物と共に、通常、N−メチル−2−ピロリドン及びN,N’−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒に溶解し、ピリジン等の酸受容剤存在下で、室温ないし−30℃程度の温度で反応させることにより、アミド重合体を得ることができる。
【0038】
上記製造方法においては、該ジアミン化合物として、前記式(B)で表される基の中から選ばれる基を有するジアミン化合物の少なくとも1種と、該ジカルボン酸化合物として、式(D)および式(E)で表される基の中から選ばれる基を有するジカルボン酸化合物の少なくとも1種と、任意に式(B)で表される基の中から選ばれる基を有するジカルボン酸化合物と、を用いることにより得られる。このようにして得られたアミド重合体において、共重合体である場合の繰り返し単位である、式(D)及び式(E)で表される基の中から選ばれる基を有するジカルボン酸化合物を用いて得られた炭素−炭素三重結合を含む基を有する繰り返し単位(nの繰り返し単位)と、式(B)で表される基を有するジカルボン酸化合物を用いて得られた炭素−炭素三重結合を含む基を有しない繰り返し単位(mの繰り返し単位)の配列は、ブロック的であってもランダム的であっても良い。
【0039】
例えば、ブロック的な繰り返し単位の製造方法としては、酸クロリド法による場合、式(B)で表される基の中から選ばれる基を有するジアミン化合物と式(B)で表される基の中から選ばれる基を有するジカルボン酸クロリド化合物とを、予め反応させて分子量を上げた後、更に式(B)で表される基の中から選ばれる基を有するジアミン化合物と、式(D)及び式(E)で表される基の中から選ばれる基を有するジカルボン酸クロリド化合物とを反応させることにより得ることができる。
また、逆に、式(B)で表される基の中から選ばれる基を有するジアミン化合物と、式(D)及び式(E)で表される基の中から選ばれる基を有するジカルボン酸クロリド化合物とを、予め反応させて、重合体の分子量を上げた後、更に式(B)で表される基の中から選ばれる基を有するジアミン化合物と式(B)で表される基の中から選ばれる基を有するジカルボン酸クロリド化合物とを反応させてもよい。
【0040】
ランダムな繰り返し単位の場合は、式(B)で表される基の中から選ばれる基を有するジアミン化合物と式(B)で表される基の中から選ばれる基を有するジカルボン酸クロリド化合物と式(D)及び式(E)で表される基の中から選ばれる基を有するジカルボン酸クロリド化合物とを、同時に反応させることにより得ることができる。
【0041】
本発明で用いるアミド重合体中の式(D)及び式(E)で表される基において、加熱及び/又は活性エネルギー線照射により化学反応しうる炭素−炭素三重結合を含む基を有することで、重合体を架橋反応させ、3次元化して、高温域まで不溶不融になり、耐熱性が向上することが可能となる。
【0042】
上記で得られるアミド重合体において、式(A)で表される構造中のmは0又は1以上の整数、nは2以上の整数、かつ、n/(m+n)が0.5以上である。また、重合体の合成に用いたジアミン化合物及びジカルボン酸化合物の組合せにもよるが、m+nは2以上の整数であり、上限値に制限は無いが、一般的には2以上100以下の範囲である。
【0043】
式(A)で表されるアミド重合体の分子量としては、特に規定はされないが、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量として、好ましくは5000以上、40000以下であり、より好ましくは8000以上、20000以下である。前記分子量の範囲外でも用いることができるが、上記下限値より小さいと製膜後のプロセス中に耐熱性がやや劣ることがあり、上記上限値より大きいと、溶剤への溶解性が低下するおそれがあり、また、本発明の光学部品用組成物における粘度が上昇することにより、塗膜形成時に下地基板への濡れ性が低下して、基材面の性質の影響を受け易く、製膜における条件調整範囲が狭くなったり、膜厚均一性の低下が起こる恐れがある。
【0044】
上記重量平均分子量は、高速液体クロマトグラフを用い、標準ポリスチレンで検量線を作成し、ポリスチレン換算で求めたものをいう。例えば、装置として、東ソー株式会社製高速液体クロマトグラフSC−8020システムに、TSKgelGMH−HRH高速SEC用カラム、UV(λ=280nm)検出器を用い、移動相としてLiBr0.5%を添加したN−メチル−2−ピロリドン液を用いて測定し、標準ポリスチレンとして、東ソー製PS−オリゴマーキットにより、リテンションタイムと分子量の検量線を作製し、ヒドロキシアミド重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量を求めることができる。
【0045】
また、式(A)で表されるアミド重合体の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を前記の範囲にするための反応方法としては、例えば、ジカルボン酸化合物とジアミン化合物の反応モル比を調整して分子量を制御する方法、ジカルボン酸クロリド化合物とジアミン化合物に、カルボン酸クロライド化合物又はアミン化合物を用いて、反応を停止させ、任意の分子量に調整する方法等を例示することができる。上記カルボン酸クロライド及びアミン化合物は、重合体の末端として反応を終結させ、それ以上分子量が大きくならないようにするために用いるものであり、例えば、安息香酸クロライド、4−プロピル安息香酸クロライド及び4−イソプロピル安息香酸クロライドなどのカルボン酸クロライド、アニリン、4−イソプロピルアニリン及び4−イソプロペニルアニリンなどのアミン化合物を例示することができる。
【0046】
前記ジカルボン酸化合物とジアミン化合物の反応モル比は、特に規定されないが、反応モル比を調整することにより、上記分子量を制御することが可能である。反応モル比の調整方法としては、例えば、上記の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量とも関係し、上記で用いるジカルボン酸化合物及びジアミン化合物の構造によりモル比が異なるが、どちらか一方の化合物のモル数を過剰に調整される。この場合の反応モル比としては、例えば、ジアミン化合物のモル数を過剰として、0.7以上、0.9以下に調整されることが好ましく、0.75以上、0.90以下がより好ましく、さらに好ましくは、0.8以上、0.90以下とするのが良い。反応モル比は、前記範囲外でも使用できるが、前記下限値より低いと、比較的低分子の成分が多く生じるため、その除去等により、工程が複雑化する恐れがある。また、前記上限値を超える場合、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が目的とする範囲よりも大きくなる恐れがある。
【0047】
本発明の光学部品用組成物は、上記で得られたアミド重合体及び溶剤を混合することにより得ることができる。アミド重合体と溶剤の混合割合としては、その使用目的等により異なるが、一般的には、前記アミド重合体に対する溶剤の重量比で、例えば、3倍以上、50倍以下程度で用いることができる。
【0048】
本発明の光学部品用組成物に用いる溶剤としては、アミド重合体の構造により、それぞれ異なるが、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒及び非プロトン極性溶媒が挙げられる。例えば、ケトン系溶媒として、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4−メチル−シクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、炭酸プロピレン、ジアセトンアルコール及びγ−ブチロラクトンなど;エーテル系溶媒として、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコール1−モノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及び1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテルなど;エステル溶媒系として、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル及びメチル−3−メトキシプロピオネートなど;非プロトン極性溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド及びN,N−ジメチルアセトアミド等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。ヒドロキシアミド重合体の構造により異なるが、これらの中でも、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンと上記シクロペンタノン以外の溶媒との混合物、シクロヘキサノンと上記シクロヘキサノン以外の溶媒との混合物が、好ましい。
【0049】
本発明の光学部品用組成物は、前記アミド重合体及び溶剤を含むものであるが、必要に応じて、各種添加剤として、界面活性剤、シラン系に代表されるカップリング剤、加熱により酸素ラジカルやイオウラジカルを発生するラジカル開始剤等を添加することができる。また、感光剤として、例えばナフトキノンジアジド化合物と一緒に用いることで、感光性樹脂組成物として用いることが可能である。
【0050】
本発明においては、前記光学部品用組成物を用いて光学部品を得ることができる。光学部品がフィルム状である場合の製造例としては、例えば、まず、上記で得た光学部品用組成物を、適当な支持体、例えば、シリコンウエハやセラミック基板等に塗布して、塗膜を形成する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等が挙げられる。
【0051】
次いで、上記で得た塗膜を、例えば、好ましくは窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中で、40℃以上、425℃以下の温度で加熱して溶剤を除去し、引き続き、350℃以上、425℃以下の温度で、加熱及び/又は300℃以上、425℃以下の温度下で活性エネルギー線を照射して、前記光学部品用組成物中のアミド重合体を架橋反応させフィルムを形成し、それを用いて光学部品として使用することができる。
【0052】
このようにして得られる光学部品用フィルムは、これに用いる上記光学部品用組成物を、上記同様に塗布して塗膜を形成し、これを380℃で250秒間加熱して得られたフィルムを用いて測定した際の、380nmの波長における光の消衰係数が、0以上、0.01以下であることが好ましい。また、消衰係数は0に近い方がより好ましく、上記上限値は0.008以下がより好ましく、さらに好ましくは0.005以下とするのが良い。前記消衰係数は、数値が小さいほど、フィルム中での光の吸収が小さいことを意味しており、消衰係数が小さいほど、透明性がよいことから、透明性が良好なものとなる。また、前記消衰係数は前記範囲外でも使用できるが、0.01を越えるとフィルム中で光が吸収されて消衰することを意味し、その使用用途によっては、光学部品としての適応が好ましくなくなる恐れがある。
【0053】
上記消衰係数は、n&k Technology Inc.製n&kアナライザーや市販の分光エリプソメーターにより、測定することができる。前記分光エリプソメーターとしては、例えば、J.A.Woollam Co. Inc.製分光エリプソメーターを用いることができる。消衰係数の測定に関しては、380nmでの波長の値を用いる。測定方法としては、例えば、まず、シリコン基板上に、上記光学部品組成物を用いてスピンコートで作製した塗膜を、窒素ガス雰囲気下で、200℃で90秒間加熱して乾燥し、さらに380℃で250秒間熱処理をし、フィルムを作製する。次いで、該フィルムについて、n&k Technology Inc.社製n&kアナライザー1500を用いて反射率測定を行い、190nm〜1000nmの波長域での反射率をカーブフィッティングして算出することで、380nmの波長での消衰係数を求めることができる。
【0054】
光学部品における屈折率は、消衰係数と場合と同様にして得られた光学部品用フィルムを用いて測定した際の633nmの波長における屈折率が1.65以上であることが望ましい。屈折率が1.65以上の高屈折率である場合、例えば光学部品用組成物をデジタルカメラや携帯電話のカメラ用のレンズとして用いる場合、レンズの小型化、レンズ焦点の短距離化が可能となり、カメラを小型化できる。
上記屈折率は、上記フィルムについて、n&k Technology Inc.製n&kアナライザーや上記市販の分光エリプソメーターを用いて、測定することができる。測定方法としては、例えば、まず、シリコン基板上に、上記高額部品樹脂組成物を用いてスピンコートで作製した塗膜を、窒素ガス雰囲気下で、200℃で90秒間加熱して乾燥し、さらに380℃で250秒間熱処理をし、フィルムを作製する。ついで、該フィルムについて、n&k Technology Inc.社製n&kアナライザー1500を用いて反射率測定を行い、190nm〜1000nmの波長域での反射率をカーブフィッティングして算出することで633nmの波長での屈折率を求めることができる。
【0055】
本発明の光学部品としては、例えば、光学レンズ、光学フィルター、光スイッチ、光導波路、光ファイバー、集光レンズ等が挙げられる。
【0056】
本発明の光学部品の1つである光導波路の構造例として、特に限定はされないが、例えば、特開平08−139300号公報に記載されているものを挙げることができる。
その製造方法としては、例えば、図1に示すように、半導体基板(1)上に、クラッド層としてプラズマCVD法によりSiOx膜に代表される無機膜(2)を形成し、フォトレジスト法により、コア部として凹状に加工する。その後、上記で凹状を形成した無機膜の面に、本発明の光学部品用組成物を用いて、これを塗布して塗膜を形成する。このとき、塗布の方法としては、スピンナーによる回転塗布、スプレーコーターによる噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等が挙げられる。その後、上記で得た塗膜を、所定温度でプリベーク後、加熱及び/又は活性エネルギー線を照射して、光導波路部(3)を形成する。
【0057】
次に、必要によりエッチング等をして、不必要な部分を除去する。この際に、レジスト等を用いてパターニングをしても構わない。その後、上部に、プラズマCVD法によりSiOx膜に代表される無機膜(4)を形成して、光導波路を作製できる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0059】
製造例1
5−フェニルエチニルイソフタル酸ジクロリドの製造
(1)5−ブロモイソフタル酸の合成
温度計、撹拌機及び滴下ロートを備えた4つ口の1Lフラスコに、5−アミノイソフタル酸99.18g(0.55mol)と48重量%臭化水素酸165mL、蒸留水150mLを入れ、撹拌した。フラスコを5℃以下まで冷却し、ここへ、亜硝酸ナトリウム39.4g(0.57mol)を蒸留水525mLに溶解したものを、1時間かけて滴下し、ジアゾニウム塩水溶液を得た。
温度計、ジムロート冷却管、滴下ロート及び撹拌機を備えた4つ口の3Lフラスコに、臭化第一銅94.25g(0.66mol)と48重量%臭化水素酸45mLを入れ、撹拌した。フラスコを0℃以下に冷却し、上記で得たジアゾニウム塩水溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後に室温で30分間撹拌し、続けて30分間還流させた。放冷後、析出物をろ別し、蒸留水2Lで2回洗浄し、得られた白色固体を50℃で2日間減圧乾燥し、粗生成物117gを得た。精製せずに次の反応へ用いた。
【0060】
(2)5−ブロモイソフタル酸ジメチルの合成
撹拌機及びジムロート冷却管を備えた500mLフラスコに、上記(1)で得られた5−ブロモイソフタル酸110g、メタノール500mL及び濃硫酸10gを入れ、6時間還流させた。放冷後、蒸留水1Lに滴下し、これを5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。析出物をろ別し、蒸留水2Lで2回洗浄した後、得られた白色固体を50℃で2日間減圧乾燥し、5−ブロモイソフタル酸ジメチル109g(0.4mol)を得た(収率89%)。
【0061】
(3)1−[3,5−ビス(メトキシカルボニル)フェニル]−2−フェニルエチンの合成
温度計、ジムロート冷却管、窒素導入管及び撹拌機を備えた4つ口の1Lフラスコに、上記(2)で得られた5−ブロモイソフタル酸ジメチル99.7g(0.365mol)、トリフェニルホスフィン1.1g(0.00419mol)、ヨウ化銅0.275g(0.00144mol)、フェニルアセチレン40.9g(0.4mol)を仕込み、フラスコ内に窒素を流した。次いで、脱水トリエチルアミン375mLおよび脱水ピリジン200mLを加え、撹拌して溶解した。1時間窒素を流し続けた後、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.3g(0.000427mol)を素早く添加し、オイルバスで1時間加熱還流した。その後、トリエチルアミンおよびピリジンを減圧留去し、粘稠な褐色溶液を得た。これを、水500mLに注ぎ、析出した固形物をろ取し、さらに、水500mL、5モル/リットル濃度塩酸500mL、水500mLで各2回洗浄した。この固形物を、50℃で減圧乾燥することにより、90.8gの1−[3,5−ビス(メトキシカルボニル)フェニル]−2−フェニルエチンを得た(収率85%)。
【0062】
(4)5−フェニルエチニルイソフタル酸二カリウム塩の合成
温度計、ジムロート冷却管及び撹拌機を備えた5Lの4つ口フラスコに、n−ブタノール3L、水酸化カリウム(85%)182g(2.763mol)を仕込み、加熱還流して溶解した。これに、上記(3)で合成した1−[3,5−ビス(メトキシカルボニル)フェニル]−2−フェニルエチン85g(0.29mol)を加えて、30分間加熱還流した。これを氷浴にて冷却し、析出した結晶をろ取した。この結晶をエタノール1Lで2回洗浄し、60℃で減圧乾燥することによって、94gの5−フェニルエチニルイソフタル酸二カリウム塩を得た(収率95%)。
【0063】
(5)5−フェニルエチニルイソフタル酸ジクロリドの合成
温度計、ジムロート冷却管及び撹拌機を備えた2Lの4つ口フラスコに、上記(4)で得られた5−フェニルエチニルイソフタル酸二カリウム塩85.6g(0.2mol)、クロロホルム1Lを仕込み、0℃に冷却した。これに塩化チオニル391g(4.5mol)を、5℃以下で1時間かけて滴下した。その後、ジメチルホルムアミド4mL、ヒドロキノン4gを加え、80〜130℃で3時間撹拌した。冷却後、ヘキサンを2L加え、生じた沈殿をろ過して集めた後、結晶をクロロホルム150mL、ヘキサン300mlに加熱下で溶解し、熱ろ過後、0℃の冷蔵庫で48時間静置し、結晶を得ることで、42gの5−フェニルエチニルイソフタル酸ジクロリドを得た(収率55%)。
【0064】
製造例2
5−エチニルイソフタル酸ジクロリドの製造
(1)5−トリフルオロメタンスルホニロキシイソフタル酸ジメチルの合成
温度計、ジムロー卜冷却管、塩化カルシウム管、撹拌機を備えた4つ口の5Lフラスコに、5−ヒドロキシイソフタル酸ジメチル190.0g(0.904mol)、脱水トルエン3L、脱水ピリジン214.7g(2.718mol)を仕込み、撹拌しながら−30℃まで冷却した。ここに、無水トリフルオロメタンスルホン酸510.2g(1.808mol)を、温度が−25℃以上に上がらないように注意しながら、ゆっくりと滴下した。この場合、滴下が終了するまでに1時間を要した。滴下終了後、反応温度を0℃に昇湿し1時間、さらに室温に昇温し5時間反応した。得られた反応混合物を4Lの氷水に注ぎ、水層と有機層を分離した。更に水層を500mLのトルエンで2回抽出し、これを先の有機層とあわせた。この有機層を水3Lで2回洗浄し、無水硫酸マグネシウム100gで乾燥、ろ過により無水硫酸マグネシウムを除去し、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去、減圧乾燥することによって、淡黄色固体の5−トリフルオロメタンスルホニロキシイソフタル酸ジメチルを294.0g得た(収率95%)。この粗生成物をヘキサンで、再結晶することによって白色針状晶を得、これを次の反応に用いた。
【0065】
(2)4−[3,5−ビス(メトキシカルボニル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−1−オールの合成
温度計、ジムロート冷却管、窒素導入管、撹拌機を備えた4つ口の1Lフラスコに、上記(1)で得られた5−トリフルオロメタンスルホニロキシイソフタル酸ジメチル125g(0.365mol)、トリフェニルホスフィン1.1g(0.00419mol)、ヨウ化銅0.275g(0.00144mol)、3−メチル−1−ブチン−3−オール33.73g(0.401mol)を仕込み、窒素を流した。脱水トリエチルアミン375mLおよび脱水ピリジン200mLを加え、撹拌溶解した。1時間窒素を流し続けた後、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.3g(0.000427mol)を素早く添加し、オイルバスで1時間加熱還流した。その後、トリエチルアミンおよびピリジンを減圧留去し、粘稠な褐色溶液を得た。これを水500mLに注ぎ析出した固形物をろ取し、さらに水500mL、5モル/リットル濃度塩酸500mL、水500mLで各2回洗浄した。この固形物を、50℃で減圧乾燥することにより、98.8gの4−[3,5−ビス(メトキシカルボニル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−1−オールを得た(収率98%)。
【0066】
(3)5−エチニルイソフタル酸二カリウム塩の合成
温度計、ジムロート冷却管、撹拌機を備えた5Lの4つ口フラスコにn−ブタノール3L、水酸化カリウム(85%)182g(2.763mol)を仕込み、加熱還流して溶解した。これに上記(2)で合成した4−[3,5−ビス(メトキシカルボニル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−1−オール95g(0.344mol)を加えて30分間加熱還流した。これを氷浴にて冷却し、析出した結晶をろ取した。この結晶をエタノール1Lで2回洗浄し、60℃で減圧乾燥することによって、88.87gの5−エチニルイソフタル酸二カリウム塩を得た(収率97%)。
【0067】
(4)5−エチニルイソフタル酸ジクロリドの合成
温度計、ジムロート冷却管、撹拌機を備えた2Lの4つ口フラスコに、上記(3)で得られた5−エチニルイソフタル酸二カリウム塩80g(0.3mol)、クロロホルム400Lを仕込み、0℃に冷却した。これに塩化チオニル391g(4.5mol)を、5℃以下で1時間かけて滴下した。その後、ジメチルホルムアミド4mL、ヒドロキノン4gを加え、45〜50℃で3時間撹拌した。冷却後ろ過して結晶を除き、結晶をクロロホルム150mLで洗浄した。ろ液と洗浄液をあわせて40℃以下で減圧濃縮し、得られた残渣をジエチルエーテル200mLで2回抽出ろ過した。抽出液からジエチルエーテルを減圧留去することで、半固体の粗生成物を得た。これを乾燥したn−へキサンで洗浄し、続いてジエチルエーテルで再結晶することで13gの5−エチニルイソフタル酸ジクロリドを得た(収率19%)。
【0068】
実施例1
[アミド重合体Aの合成]
窒素ガスフロー下で、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.0g(0.1mol)を、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン200gに溶解し、ピリジン17.4g(0.22mol)を添加した後、−15℃に冷却し、製造例1で得た5−フェニルエチニルイソフタル酸ジクロリド19.7g(0.065mol)と4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド8.0g(0.027mol)を、少しずつ添加した。滴下終了後、−15℃で、1時間撹拌後、室温まで戻し、室温で5時間撹拌した。その後、反応液を50%メタノール水溶液4リットルに小さな液滴で滴下し、沈殿物を集め、さらに、50%メタノール水溶液4リットル中で3回繰り返した。その後、沈殿物を乾燥することにより、36gのアミド重合体Aを得た。
【0069】
上記で得たアミド重合体の標準ポリスチレン換算重量平均分子量については、装置として、東ソー株式会社製高速液体クロマトグラフSC−8020システムに、TSKgelGMH−HRH高速SEC用カラム、LiBr0.5%入りN−メチル−2−ピロリドン移動相、UV(λ=280nm)検出器を用いて測定し、標準ポリスチレン(東ソー製PS−オリゴマーキット)を用いて換算して重量平均分子量を求めた。得られたアミド重合体Aの重量平均分子量(Mw)は16000であった。
【0070】
[光学部品用組成物及びフィルムの作製]
上記で得たアミド重合体A0.1gとN−メチル−2−ピロリドン1gをガラス製サンプル瓶中で溶解して混合した後、孔径0.1μmテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、組成物を得た。この組成物を用いて、スピンコートにより、塗膜を形成し、該塗膜を窒素ガス雰囲気下で、200℃/90秒間加熱して乾燥し、さらに380℃/250秒間熱処理をし、フィルムを作製すると共に、評価を行った。
【0071】
アミド重合体のガラス転移温度は、作成したフィルムを削り落とした粉末について、MDSC(温度サイクルモード示差操作熱量計:ティー・エイ・インスツルメント社製2910MDSC)により、N2ガスを30mL/分の流量で流しながら、昇温速度2℃/分、温度振幅±2℃/分の条件で昇温しながら、40℃から420℃までの温度範囲で測定を行い、リバース曲線の変移点から算出を行った。得られたアミド重合体Aのガラス転移温度は400℃以上であった。
【0072】
また光学部品は、図1に示すような、シリコン基板(半導体基板(1))上に凹部を有するSiOx膜(無機膜(2))を形成した基板を用意し、前記凹部に塗布膜を形成して得られるが、このような光学部品としての評価としては、上記で得られた塗布膜を評価することで、簡素化して行った。
【0073】
評価方法としては、光学部品用組成物を用いて、上記シリコン基板上に、凹部を埋設するように、スピンコートにより、塗膜を形成し、該塗膜をN2ガス雰囲気下で、200℃/90秒間加熱して乾燥し、さらに380℃/250秒間熱処理をし、フィルムを作製し、該フィルムについて、n&k Technology Inc.社製n&kアナライザー1500を用いて反射率測定を行い、190nm〜1000nmの波長域での反射率をカーブフィッティングして、算出した633nmの屈折率と380nmの減衰係数を求めることにより、屈折率及び減衰係数の評価を行った。上記フィルムの屈折率は0.006であり、減衰係数は1.69であった。
各特性を第1表に示す。
【0074】
実施例2
[アミド重合体Bの合成]
実施例1のアミド重合体Aの合成において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.0g(0.1mol)の代わりに4,4’−ジアミノジフェニルスルホン21.6g(0.1mol)を、5−フェニルエチニルイソフタル酸ジクロリド8.2g(0.027mol)と4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド19.2g(0.065mol)の代わりに製造例2で得た5−エチニルイソフタル酸ジクロリド10.4g(0.046mol)と4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド13.6g(0.046mol)を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして、35gのアミド重合体Bを得た。得られたアミド重合体Bの重量平均分子量(Mw)は13000であった。
【0075】
[光学部品用組成物及びフィルムの作製]
上記で得たアミド重合体B0.1gとN−メチル−2−ピロリドン1gをガラス製サンプル瓶中で溶解して混合した後、孔径0.1μmテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、組成物を得た。この組成物を用いて、スピンコートにより、塗膜を形成し、該塗膜を窒素ガス雰囲気下で、200℃/90秒間加熱して乾燥し、さらに380℃/250秒間熱処理をし、フィルムを作製すると共に、実施例1と同様にして評価を行った。各特性を第1表に示す。
【0076】
実施例3
[アミド重合体Cの合成]
実施例1のアミド重合体Aの合成において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.0g(0.1mol)の代わりに9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン34.8g(0.1mol)を、5−フェニルエチニルイソフタル酸ジクロリド8.2g(0.027mol)と4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド19.2g(0.065mol)の代わりに5−フェニルエチニルイソフタル酸ジクロリド13.9g(0.046mol)とイソフタル酸ジクロリド9.3g(0.046mol)を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして、47gのアミド重合体Cを得た。得られたアミド重合体Cの重量平均分子量(Mw)は11000であった。
【0077】
[光学部品用組成物及びフィルムの作製]
上記で得たアミド重合体C0.1gとN−メチル−2−ピロリドン1gをガラス製サンプル瓶中で溶解して混合した後、孔径0.1μmテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、組成物を得た。この組成物を用いて、スピンコートにより、塗膜を形成し、該塗膜を窒素ガス雰囲気下で、200℃/90秒間加熱して乾燥し、さらに380℃/250秒間熱処理をし、フィルムを作製すると共に、実施例1と同様にして評価を行った。各特性を第1表に示す。
【0078】
実施例4
[アミド重合体Dの合成]
実施例1のアミド重合体Aの合成において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.0g(0.1mol)の代わりに4,4’−ジアミノジフェニルスルホン21.6g(0.1mol)を、5−フェニルエチニルイソフタル酸ジクロリド8.2g(0.027mol)と4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド19.2g(0.065mol)の代わりに製造例2で得た5−エチニルイソフタル酸ジクロリド20.9g(0.092mol)を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして、32gのアミド重合体Dを得た。得られたアミド重合体Dの重量平均分子量(Mw)は17000であった。
【0079】
[光学部品用組成物及びフィルムの作製]
上記で得たアミド重合体D0.1gとN−メチル−2−ピロリドン1gをガラス製サンプル瓶中で溶解して混合した後、孔径0.1μmテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、組成物を得た。この組成物を用いて、スピンコートにより、塗膜を形成し、該塗膜を窒素ガス雰囲気下で、200℃/90秒間加熱して乾燥し、さらに380℃/250秒間熱処理をし、フィルムを作製すると共に、実施例1と同様にして評価を行った。各特性を第1表に示す。
【0080】
実施例5
[アミド重合体Eの合成]
実施例1のアミド重合体Aの合成において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.0g(0.1mol)の代わりに9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン34.8g(0.1mol)を、5−フェニルエチニルイソフタル酸ジクロリド8.2g(0.027mol)と4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド19.2g(0.065mol)の代わりに製造例1で得た5−フェニルエチニルイソフタル酸ジクロリド27.9g(0.092mol)を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして、52gのアミド重合体Eを得た。得られたアミド重合体Eの重量平均分子量(Mw)は12000であった。
【0081】
[光学部品用組成物及びフィルムの作製]
上記で得たアミド重合体E0.1gとN−メチル−2−ピロリドン1gをガラス製サンプル瓶中で溶解して混合した後、孔径0.1μmテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、組成物を得た。この組成物を用いて、スピンコートにより、塗膜を形成し、該塗膜を窒素ガス雰囲気下で、200℃/90秒間加熱して乾燥し、さらに380℃/250秒間熱処理をし、フィルムを作製すると共に、実施例1と同様にして評価を行った。各特性を第1表に示す。
【0082】
実施例6
[アミド重合体Gの合成]
実施例1のアミド重合体Aの合成において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.0g(0.1mol)の代わりに9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン34.8g(0.1mol)を、5−フェニルエチニルイソフタル酸ジクロリド8.2g(0.027mol)と4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド19.2g(0.065mol)の代わりに4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド27.2g(0.092mol)を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして、51gのアミド重合体Gを得た。得られたアミド重合体Gの重量平均分子量(Mw)は17000であった。
【0083】
[光学部品用組成物及びフィルムの作製]
実施例5で得たアミド重合体E0.05gと上記で得たアミド重合体G0.05gをN−メチル−2−ピロリドン1gをガラス製サンプル瓶中で溶解して混合した後、孔径0.1μmテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、組成物を得た。この組成物を用いて、スピンコートにより、塗膜を形成し、該塗膜を窒素ガス雰囲気下で、200℃/90秒間加熱して乾燥し、さらに380℃/250秒間熱処理をし、フィルムを作製すると共に、実施例1と同様にして評価を行った。各特性を第1表に示す。
【0084】
比較例1
[アミド重合体Fの合成]
実施例1のアミド重合体Aの合成において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.0g(0.1mol)の代わりに4,4’−ジアミノジフェニルスルホン21.6g(0.1mol)を、製造例1で得た5−フェニルエチニルイソフタル酸ジクロリド8.2g(0.027mol)と4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド19.2g(0.065mol)の代わりに4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド27.2g(0.092mol)を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして、38gのアミド重合体Gを得た。得られたアミド重合体Gの重量平均分子量(Mw)は20000であった。
【0085】
[組成物及びフィルムの作製]
上記で得たアミド重合体F0.1gとN−メチル−2−ピロリドン1gをガラス製サンプル瓶中で溶解して混合した後、孔径0.1μmテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、組成物を得た。この組成物を用いて、スピンコートにより、塗膜を形成し、該塗膜を窒素ガス雰囲気下で、200℃/90秒間加熱して乾燥し、さらに380℃/250秒間熱処理をし、フィルムを作製すると共に、実施例1と同様にして評価を行った。各特性を第1表に示す。
アミド重合体Fから得られるフィルムのガラス転移温度は280℃と低く耐熱性に劣るとともに、消衰係数からわかるように透明性が低く、実施例より劣っていた。
【0086】
比較例2
実施例6で得たアミド重合体G0.1gとN−メチル−2−ピロリドン1gをガラス製サンプル瓶中で溶解して混合した後、孔径0.1μmテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、組成物を得た。この組成物を用いて、スピンコートにより、塗膜を形成し、該塗膜を窒素ガス雰囲気下で、200℃/90秒間加熱して乾燥し、さらに380℃/250秒間熱処理をし、フィルムを作製すると共に、評価を行った。各特性を第1表に示す。
アミド重合体Gから得られるフィルムのガラス転移温度は321℃と低く、耐熱性に劣っていた。
【0087】
比較例3
[アミド重合体Hの合成]
実施例1のアミド重合体Aの合成において、5−フェニルエチニルイソフタル酸ジクロリド8.2g(0.027mol)と4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド19.2g(0.065mol)の代わりにイソフタル酸ジクロリド18.7g(0.092mol)を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして、29gのアミド重合体Gを得た。得られたアミド重合体Gの重量平均分子量(Mw)は29000であった。
【0088】
[組成物及びフィルムの作製]
上記で得たアミド重合体H0.1gとN−メチル−2−ピロリドン1gをガラス製サンプル瓶中で溶解して混合した後、孔径0.1μmテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、組成物を得た。この組成物を用いて、スピンコートにより、塗膜を形成し、該塗膜を窒素ガス雰囲気下で、200℃/90秒間加熱して乾燥し、さらに380℃/250秒間熱処理をし、フィルムを作製すると共に、実施例1と同様にして評価を行った。各特性を第1表に示す。
アミド重合体Hから得られるフィルムのガラス転移温度は245℃と極めて低く、耐熱性に劣っていた。
【0089】
比較例4
[アミド重合体Iの合成]
実施例1のアミド重合体Aの合成において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.0g(0.1mol)の代わりに2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン33.4g(0.1mol)を、5−フェニルエチニルイソフタル酸ジクロリド8.2g(0.027mol)と4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド19.2g(0.065mol)の代わりに製造例2で得た5−エチニルイソフタル酸ジクロリド2.3g(0.01mol)と4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド25.1g(0.085mol))を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして、51gのアミド重合体Iを得た。得られたアミド重合体Iの重量平均分子量(Mw)は15000であった。
【0090】
[組成物及びフィルムの作製]
上記で得たアミド重合体I0.1gをN−メチル−2−ピロリドン1gをガラス製サンプル瓶中で溶解して混合した後、孔径0.1μmテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、組成物を得た。この組成物を用いて、スピンコートにより、塗膜を形成し、該塗膜を窒素ガス雰囲気下で、200℃/90秒間加熱して乾燥し、さらに380℃/250秒間熱処理をし、フィルムを作製すると共に、実施例1と同様にして評価を行った。各特性を第1表に示す。
アミド重合体Iから得られるフィルムのガラス転移温度は290℃と低く耐熱性に劣るとともに、屈折率が1.64と低めであり、実施例より劣っていた。
【0091】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の光学部品の1つである光導波路の構造例を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1 半導体基板
2 半導体基板上の無機膜
3 光導波路部
4 上部無機膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(A)で表されるアミド重合体。
【化1】

[式(A)中、Y1及びY2は、それぞれ、下記式(B)
【化2】

(上記式(B)中のXは、下記式(C)
【化3】

で表される基の中から選ばれる基を示す。)で表される基の中から選ばれる基を示し、Y1及びY2は同一でも異なっていてもよい。Zは、下記式(D)
【化4】

、下記式(E)
【化5】

(式(D)及び式(E)中のRは、水素原子、フェニル基又はアルキル基を示す。また、上記式(D)および式(E)で表される基における環構造上の水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、及びフェニル基の中から選ばれる少なくとも1個の基で置換されていてもよい。)で表される基の中から選ばれる少なくとも1種の基を示す。mは0又は1以上の整数、nは2以上の整数、かつ、n/(m+n)が0.5以上である。また、式(A)における繰り返し単位の配列は、ブロック的配列、ランダム的配列のいずれであってもよい。]
【請求項2】
前記アミド重合体は、式(A)におけるY1として、式(F)で表される基を有し、Zとして式(G)で表される基を有するものである請求項1記載のアミド重合体。
【化6】

【化7】

(式(G)中のRは式(D)におけるRと同義である。)
【請求項3】
請求項1または2項に記載のアミド重合体及び溶剤を含む光学部品用組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の光学部品用組成物を用いて得られる光学部品。
【請求項5】
前記光学部品は、波長380nmにおける光の消衰係数が、0以上0.01以下である、請求項4記載の光学部品。
【請求項6】
前記光学部品は、波長633nmにおける屈折率が1.65以上である、請求項4または5記載の光学部品。

【図1】
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【公開番号】特開2010−77354(P2010−77354A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250409(P2008−250409)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】