説明

アミロイド症およびそれに関連した疾患を改善するための作用物質としてのRAGEアンタゴニスト

既存の的アミロイド症を改善する能力を有するRAGEアンタゴニスト化合物が開示される。本明細書中に記載されたRAGEアンタゴニスト化合物による治療は、アルツハイマー病の後期における被験体に対して、プラークサイズを低減し、且つ認知を改良するのに用いられ得る。さらに本明細書中に記載されたRAGEアンタゴニストは、プラーク形成の開始を低減し、それによりアルツハイマー病およびアミロイド沈着のその他の疾患に伴う認知の損失およびその他の症状を予防するのに用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、米国特許仮出願第60/471,969号(2003年5月20日提出)に対する優先権を主張する。米国特許仮出願第60/471,969号の開示内容は、参照により本明細書中で援用される。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、アミロイドプラークを低減し、アミロイド症に関連した症候を改善する治療薬に関する。特に本発明は、アルツハイマー病のようなβ−アミロイド症の症候の改善のための糖化最終産物の受容体(RAGE)に対するアンタゴニストの使用を包含する。
【背景技術】
【0003】
[発明の背景]
アミロイド−β(Aβ)ペプチドを含有する老人斑は、アルツハイマー病(AD)の神経病理学的特質の1つである。AβおよびAβ含有老人斑とADとの関係の理解に際しては、かなりの尽力が費やされてきた。この研究の多くが、Aβならびにその沈着に影響を及ぼす因子の生合成に集中している(Selkoe, Nature 399: A23-31 (1999))。Aβペプチドは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の内部タンパク質分解により生成する40または42アミノ酸の主に2つのペプチドである(Checler, Neurochem., 65: 1431-1444 (1995); Wang, et al., J. Biol. Chem., 271: 31894-31902 (1996))。Aβ含有老人斑のほかに、種々のニューロン細胞骨格変性がAD神経病理学の顕著な特徴である。これらは、ホスホ−タウ(phosphor-tau)含有神経原繊維変化、異栄養性神経突起(自由配置および神経突起老人斑中に存在するものの両方)およびシナプス損失(Selkoe, Neuron, 6:
487-498 (1991); Galasko et al., Arch. Neurol., 51: 888-895 (1994))の存在を包含する。これらの異常特徴がニューロン損失の結果であるか、原因であるかは、依然として議論の余地がある。精確なメカニズムとは関係なく、ADの発症に伴って起こるニューロンおよびシナプス損失は認知減退を引き起こす(Selkoe, Ann. Rev. Neurosci., 17: 489-517 (1994))。
【0004】
早発性常染色体優性ADは、いくつかの遺伝子:APP、プレセニリン1(PS1)またはプレセニリン2(PS2)のうちの1つにおける突然変異に直接連結される(St. George-Hyslop, P.H., The Molecular Genetics of Alzheimer's Disease, New York: Raven Press (1993); Sherrington et al., Nature, 375: 754-760 (1995); Levy-Lahad et al., Science, 269: 973-977 (1995); Rogaev et al., Nature, 376: 775-778 (1995))。さらに、いくつかの危険因子遺伝子、最も顕著にはAPOE4対立遺伝子は、後発性ADに関する危険性を回避し(Wisniewski et al., Neurosci. Lett., 135: 235-238 (1992);
Strittmatter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 1977-1981 (1993))、そしていくつかのその他の遺伝子における突然変異または多型性は類似のAD表現型をもたらし得る、ということが明らかである。
【0005】
AβがADを引き起こすか否かに関しては、多少の議論が存在する。依然として、アミロイド沈着がADにおいて重要な役割を演じる、といういくつかの指標が存在する。第一に、APP遺伝子における突然変異は、家族性ADに冒された家族内で分離すると思われる(Cahrtier-Harline et al., Nature, 353: 844-846 (1991); Kennedy et al., Brain,
116: 309-324 (1993))。さらにまた、アミロイド沈着は、神経原繊維変化の発症に一時的に先行する(Pappolla et al., Mol. Chem. Neuropathol., 28: 21-34, (1996))。最
後に、Aβはニューロンに対して有毒であることが示されている(Yankner et al., Science, 250: 279-282 (1990); Behl et al., Cell, 77: 817-827 (1992); Behl et al., Brain Res., 645: 253-264 (1994);およびZhang et al., Comp. Biochem. Biophys., 106: 165-170 (1994))。
【0006】
いくつかのグループは、アミロイドプラークが生成するのを防止するための、あるいはアミロイドプラーク形成の結果としての細胞経路の病原性活性化を低減するためのアプローチを記載している。例えば米国特許第6,221,667号および第6,472,145号は、APP異化とその後のアミロイド沈着を調節するための移動性イオノフォアの使用を記載する。米国特許第5,840,294号は、アミロイド沈着を抑制するためのスルホネートおよびスルフェートの使用を記載する。米国特許第5,817,626号はAβペプチド凝集を抑制するためのビオチニル化Aβペプチドの使用を記載し、そして米国特許第6,441,049号は、Aβとニコチン性アセチルコリン受容体との相互作用を抑制する化合物の使用を記載する。さらにまた、米国特許第6,323,218号は、ラジカル酸素種のAβ媒介性産生を抑制する薬理学的作用物質の同定を記載する。米国特許第6,274,615号は、アミロイド症関連障害に関連した原繊維の生成またはアミロイド沈着物を抑制するかまたは改善するためのメラトニンの使用を記載する。
【0007】
依然として今までのところ、Aβプラーク形成に関連した症候、例えば認知損失を予防しまたは改善するに際して臨床的に有効である治療はない。ADに関する遺伝子検査は予後目的のために用いられ得るが、それは疾患に対する治癒を提供しない。さらにADの発症は常に明瞭であるというわけではない。プラーク沈着および関連認知損失が起きたということを個体が実感し得ない場合、時間延長があり得る。したがってアミロイドプラーク形成の程度を低減するための、そしてADおよびアミロイド症のその他の疾患に罹患している患者においてすでに形成されたプラークを低減するための方法および組成物に対する必要性が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[発明の概要]
本発明は、アミロイド症およびそれに関連した状態および疾患を改善する方法および組成物を包含する。したがって本発明の実施形態は、アルツハイマー病のようなアミロイド症の症候の予防および/または改善のための糖化最終産物の受容体(RAGE)に対するアンタゴニストの使用を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例えば一実施形態では、本発明は、薬学的に許容可能な担体中の薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを含み、それを必要とする個体における既存のアミロイド症を改善するための組成物であって、薬理学的有効量のアンタゴニストが個体中の既存のアミロイドプラークを低減するのに十分なRAGEアンタゴニストを含む組成物を包含する。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、薬学的に許容可能な担体中に薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを含む個体におけるアミロイド症の発症および/または進行を抑制するための組成物であって、薬理学的有効量のアンタゴニストが個体における−アミロイドプラーク形成を低減するのに十分なRAGEアンタゴニストを含む組成物を包含する。
【0011】
本発明は、アミロイド症を低減するかまたはアミロイド症の発症を予防するための方法も記載する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする個体における既存のアミロイド症を改善するための方法であって、薬学的に許容可能な担体中の薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを投与することを包含する方法であり、薬理学的有効量のRAGE
アンタゴニストが個体中の既存のアミロイドプラークを低減するのに十分なRAGEアンタゴニストを含む方法を包含する。
【0012】
さらに別の実施形態では、本発明は、薬学的に許容可能な担体中の薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを個体に投与することを包含する個体におけるアミロイド症の発症および/または進行の抑制方法であって、薬理学的有効量のアンタゴニストが個体における−アミロイドプラーク形成を低減するのに十分なRAGEアンタゴニストを含む方法を包含する。
【0013】
したがって本発明の目的は、アルツハイマー病のようなアミロイド症に関連した症候の予防および改善のための方法および組成物を提供することである。本明細書中に後述される本発明の付加的特徴がもちろん存在する。本発明は、以下の説明および数値で記述されるような特定の詳細にその適用を限定されない、と理解されるべきである。本発明は、他の実施形態を有し得るし、そして種々の方法で実施されており、あるいは実行され得る。
【0014】
[発明の詳細な説明]
本発明は、アミロイドプラーク沈着を改善するための、そしてアミロイド症に関連した症候を改善するための方法および組成物を包含する。さらにまた本発明は、アミロイドプラーク沈着および過剰アミロイドプラーク形成に関連した症候を抑制するための方法および組成物を包含する。例えば本発明の方法および組成物は、アミロイドβ(Aβ)プラーク形成を抑制し、既存のAβプラークのサイズを低減し、且つアルツハイマー病に関連した症候を改善する。
【0015】
一実施形態において、本発明は、薬学的に許容可能な担体中に薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを含み、それを必要とする個体における既存のアミロイド症を改善するための組成物であって、薬理学的有効量のアンタゴニストが個体中の既存のアミロイドプラークを低減するのに十分なRAGEアンタゴニストを含む組成物を包含する。一実施形態では、薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストはアミロイド症に関連した症候を改善する。
【0016】
一実施形態では、個体は異常アミロイド蓄積の疾患に罹患している。例えばアミロイドプラークは、アミロイド−β(Aβ)プラークを含み得る。一実施形態では、プラーク低減は、少なくとも一部は、個体の脳において起こる。例えばアミロイド症は、アルツハイマー病(AD)を引き起こし得る。したがって一実施形態では、アミロイド症に関連した症候の改善は認知改善に関連する。
【0017】
代替的にはおよび/または付加的には、アミロイド症は全身性アミロイド沈着と関連し得る。したがって一実施形態では、アミロイド症はアミロイド軽鎖アミロイド症(ALアミロイド症)またはアミロイド関連アミロイド症(AAアミロイド症)を含む。
【0018】
したがって本発明は、アミロイド症に罹患している個体における既存のアミロイドプラークを低減するためのRAGE受容体のアンタゴニストの使用を包含し得る。一実施形態では、アンタゴニストは高特異性でRAGEと結合する。アミロイド症を改善し、そして既存のプラークのサイズを低減するために用いられるRAGEアンタゴニストは、種々の化学構造物を含む。一実施形態では、RAGEアンタゴニストは1,000Da未満の分子量を有する有機化合物を含む。例えばRAGEアンタゴニストは、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物、例えば本明細書中に記載される実施例A、実施例B、実施例Cまたは実施例Dを含み得る。
【0019】
あるいはRAGEアンタゴニストは、ポリペプチドまたはペプチド模倣物を含み得る。
ある種のRAGE断片は、AGEおよびその他のRAGEリガンドと競合することにより、受容体の生物学的機能を拮抗するよう作用する、ということが見い出されている。したがって一実施形態では、プラーク形成を改善するためのRAGEアンタゴニストは、天然の糖化最終産物の可溶性受容体(sRAGE)またはその断片を含む(Neeper et al., 1992)。別の実施形態では、プラーク形成を改善するためのRAGEアンタゴニストは、RAGE(Neeper et al., 1992)の120アミノ酸Vドメインまたはその断片を含む。一実施形態では、sRAGEまたはその断片は、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン断片に連結され得る。本明細書中で用いる場合、sRAGEまたはVドメインの「断片」とは、少なくとも5アミノ酸長、好ましくは15アミノ酸長より長いが、全長ポリペプチド未満である。したがってRAGEアンタゴニストは、sRAGE、RAGEのVドメイン、sRAGEまたはVドメインの断片、あるいは保存的置換を含むその機能的等価物を含み得るが、この場合、保存的置換は、ペプチドの生物学的活性を変えないアミノ酸置換である。別の実施形態では、RAGEアンタゴニストは抗RAGE抗体またはその断片を含む。
【0020】
本発明は、被検体に必要とされるように個別化されるRAGEアンタゴニストの投薬量の使用を意図する。したがって一実施形態では、RAGEアンタゴニストの薬理学的有効量は、0.01〜500mg/kg/日の範囲の用量を含む。別の実施形態では、薬理学的有効量は、0.1〜200mg/kg/日の範囲のRAGEアンタゴニストの用量を含む。代替的実施形態では、薬理学的有効量は、1〜100mg/kg/日、または約5〜約20mg/kg/日の範囲の用量を含み得る。
【0021】
本発明のプラーク改善組成物および化合物を投与するためには、種々の方法が利用可能である。一実施形態では、RAGEアンタゴニストを含む組成物が局所的に投与される。一実施形態では、RAGEアンタゴニストを含む組成物が腹腔内経路により投与される。別の実施形態では、RAGEアンタゴニストは静脈内に投与される。あるいはRAGEアンタゴニストは、経口的に投与される。その他の実施形態では、RAGEアンタゴニストは、皮下に、または経皮経路により投与される。
【0022】
本発明の化合物により治療される疾患は、多面的治療に良好に応答し得る。したがって一実施形態では、既存のアミロイドプラークを低減するための組成物は、第二の治療薬を含む。第二の治療薬は、Aβアミロイド症を治療するのに有効な化合物を含み得る。例えば第二の治療薬は、コリンエステラーゼ阻害薬、抗精神病薬、抗うつ薬または鎮痙薬を含み得る。
【0023】
代替的にはおよび/または付加的には、第二の治療薬は、アミロイド軽鎖(AL)アミロイド症を治療するのに有効な化合物を含み得る。例示的実施形態では、第二の治療薬は、アルキル化剤、抗生物質、代謝拮抗薬、植物アルカロイド、ホルモンまたは生物学的応答調節剤、例えばインターフェロンまたはインターロイキンを含み得る。
【0024】
第二の治療薬は、アミロイド関連(AA)アミロイド症を治療するのに有効な化合物も含み得る。したがって第二の治療薬は、鎮痛薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)または生物学的応答調節剤も含み得る。
【0025】
別の実施形態では、本発明は、薬学的に許容可能な担体中に薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを含む個体におけるアミロイド症の発症および/または進行を抑制するための組成物であって、薬理学的有効量のアンタゴニストが個体におけるアミロイドプラーク形成を低減するのに十分なRAGEアンタゴニストを含む組成物を包含する。一実施形態では、薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストは、アミロイド症に関連した症候を抑制する。
【0026】
個体は、異常アミロイド蓄積の疾患に罹患しているかまたはそれを発症する危険があり得る。例えば一実施形態では、アミロイドプラークはアミロイドβ(Aβ)プラークを含み得る。一実施形態では、プラーク形成の抑制は、少なくとも一部は、個体の脳において起こり得る。例えば一実施形態では、アミロイド症はアルツハイマー病(AD)を引き起こし、且つアミロイド症に関連した症候の抑制は認知改善に関連する。
【0027】
代替的にはおよび/または付加的には、アミロイド症は全身性アミロイド沈着に関連し得る。したがって一実施形態では、アミロイド症はアミロイド軽鎖アミロイド症(ALアミロイド症)またはアミロイド関連アミロイド症(AAアミロイド症)を含む。
【0028】
したがって本発明は、アミロイドプラーク形成の開始および/または進行を抑制するための作用物質としてのRAGE受容体のアンタゴニストを提供する。RAGEアンタゴニストは、低分子量(例えば<1,000の分子量)有機化合物を含み得る。例えば一実施形態では、RAGEアンタゴニストは、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物、例えば本明細書中に記載される実施例A、実施例B、実施例Cまたは実施例Dを含み得る。あるいはRAGEアンタゴニストは、ペプチド模倣物を含み得る。
【0029】
アミロイドプラーク形成を抑制するために用いられるRAGEアンタゴニストの投薬量は、被検体に必要とされるように個別化され得る。したがって一実施形態では、薬理学的有効量は、0.01〜500mg/kg/日の範囲のRAGEアンタゴニストの用量を含む。代替的一実施形態では、薬理学的有効量は、0.1〜200mg/kg/日、または1〜100mg/kg/日、または約5〜約20mg/kg/日の範囲のRAGEアンタゴニストの用量を含み得る。
【0030】
プラーク形成の抑制のための本発明のRAGEアンタゴニストを投与するために、種々の方法が利用可能である。一実施形態では、薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストは、局所経路により投与される。その他の実施形態では、薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストは、腹腔内経路により、または静脈内に投与される。あるいはRAGEアンタゴニストは、経口的に投与される。その他の実施形態では、RAGEアンタゴニストは、皮下に、または経皮経路により投与される。
【0031】
本発明の化合物により治療される疾患は、多面的治療に良好に応答し得る。したがって一実施形態では、アミロイドプラーク形成の抑制のための組成物は、第二の治療薬を含み得る。
【0032】
一実施形態では、第二の治療薬は、Aβアミロイド症を治療するのに有効な化合物を含み得る。したがって第二の治療薬は、コリンエステラーゼ阻害薬、抗精神病薬、抗うつ薬または鎮痙薬を含み得る。
【0033】
代替的にはおよび/または付加的には、第二の治療薬は、アミロイド軽鎖(AL)アミロイド症を治療するのに有効な化合物を含み得る。したがってこの実施形態では、第二の治療薬は、アルキル化剤、抗生物質、代謝拮抗薬、植物アルカロイド、ホルモンまたは生物学的応答調節剤、例えばインターフェロンまたはインターロイキンを含み得る。
【0034】
さらに別の実施形態では、第二の治療薬は、アミロイド関連(AA)アミロイド症を治療するのに有効な化合物を含み得る。例えば第二の治療薬は、鎮痛薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)または生物学的応答調節剤を含み得る。
【0035】
本発明は、個体におけるアミロイド症に関連した症候を予防するかまたは改善するための方法も包含し得る。したがって別の実施形態では、本発明は、個体に対して薬学的に許容可能な担体中の薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを投与することを包含するそれを必要とする個体におけるアミロイド症を改善するための方法であって、薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストが個体における既存のアミロイドプラークを低減する方法を包含する。一実施形態では、薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストは、アミロイド症に関連した症候を改善する。
【0036】
個体は、異常アミロイド蓄積の疾患に罹患し得る。一実施形態では、アミロイドプラークはアミロイドβ(Aβ)プラークを含み得る。一実施形態では、プラーク低減は、少なくとも一部は、個体の脳において起こり得る。例えば一実施形態では、アミロイド症はアルツハイマー病(AD)を引き起こし、そしてアミロイド症に関連した症候の改善は認知改善に関連する。
【0037】
代替的にはおよび/または付加的には、アミロイド症は全身性アミロイド沈着に関連し得る。したがって一実施形態では、アミロイド症はアミロイド軽鎖アミロイド症(ALアミロイド症)またはアミロイド関連アミロイド症(AAアミロイド症)を含む。
【0038】
アミロイド症を改善するために用いられるRAGEアンタゴニストは、種々の化学構造物を含み得る。一実施形態では、RAGEアンタゴニストは、小(即ち<1,000の分子量の)有機化合物を含む。例えば一実施形態では、RAGEアンタゴニストは、式(I)、(II)、(III)または(IV)、例えば本明細書中に記載される実施例A、実施例B、実施例Cまたは実施例Dの化合物を含み得る。
【0039】
あるいはRAGEアンタゴニストは、ポリペプチドまたはペプチド模倣物を含み得る。さらに別の実施形態では、アミロイド症を改善するためのRAGEアンタゴニストは、sRAGE、RAGEのVドメイン、sRAGEまたはVドメインの断片、あるいは保存的置換を含むそれらの機能的等価物を含む。一実施形態では、sRAGEまたはその断片は、免疫グロブリン断片に連結される。別の実施形態では、RAGEアンタゴニストは抗RAGE抗体またはその断片を含む。
【0040】
一実施形態では、RAGEアンタゴニストの用量は、被検体に必要とされるように個別化される。したがって一実施形態では、薬理学的有効量は、0.01〜500mg/kg/日の範囲のRAGEアンタゴニストの用量を含む。他の実施形態では、薬理学的有効量は、0.1〜200mg/kg/日、または1〜100mg/kg/日、または約5〜約20mg/kg/日の範囲のRAGEアンタゴニストの用量を含み得る。
【0041】
本発明のプラークを改善する組成物および化合物を投与するためには、種々の方法が利用可能である。一実施形態では、薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを含む組成物は局所的に投与される。一実施形態では、薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを含む組成物が腹腔内経路によりまたは静脈内に投与される。あるいはRAGEアンタゴニストは、経口的に投与される。その他の実施形態では、RAGEアンタゴニストは、皮下に、または経皮経路により投与される。
【0042】
本発明の方法により治療される疾患は、多面的治療に良好に応答し得る。したがって既存のアミロイドプラークを低減するための本発明の組成物は、第二の治療薬を含み得る。
【0043】
一実施形態では、第二の治療薬は、Aβアミロイド症を治療するのに有効な化合物を含む。したがって第二の治療薬は、コリンエステラーゼ阻害薬、抗精神病薬、抗うつ薬または鎮痙薬を含み得る。
【0044】
代替的にはおよび/または付加的には、第二の治療薬は、アミロイド軽鎖(AL)アミロイド症を治療するのに有効な化合物を含み得る。したがって第二の治療薬は、アルキル化剤、抗生物質、代謝拮抗薬、植物アルカロイド、ホルモンまたは生物学的応答調節剤、例えばインターフェロンまたはインターロイキンを含み得る。
【0045】
別の実施形態では、第二の治療薬は、アミロイド関連(AA)アミロイド症を治療するのに有効な化合物を含み得る。したがって第二の治療薬は、鎮痛薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)または生物学的応答調節剤を含み得る。
【0046】
別の実施形態では、本発明は、個体に対して薬学的に許容可能な担体中の薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを投与することを包含する個体におけるアミロイド症の発症および/または進行を抑制するための方法であって、薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストが個体におけるアミロイドプラーク形成を低減するのに十分なRAGEアンタゴニストを含む方法を包含する。一実施形態では、薬理学的有効量のアンタゴニストは、アミロイド症に関連した症候を抑制する。
【0047】
本発明の方法により治療される個体は、異常アミロイド蓄積の疾患に罹患しているかまたはそれを発症する危険があり得る。一実施形態では、アミロイドプラークはアミロイドβ(Aβ)プラークを含む。一実施形態では、プラーク低減は、少なくとも一部は、個体の脳において起こり得る。例えば一実施形態では、アミロイド症はアルツハイマー病(AD)を引き起こし、且つアミロイド症に関連した症候の抑制は認知改善に関連する。
【0048】
代替的にはおよび/または付加的には、アミロイド症は全身性アミロイド沈着に関連し得る。したがって一実施形態では、アミロイド症はアミロイド軽鎖アミロイド症(ALアミロイド症)またはアミロイド関連アミロイド症(AAアミロイド症)を含む。
【0049】
プラーク形成を抑制するために用いられるRAGEアンタゴニストは、種々の化学構造物を含み得る。一実施形態では、プラーク形成を抑制するためのRAGEアンタゴニストは、小(即ち<1,000の分子量)有機化合物を含む。例えば一実施形態では、RAGEアンタゴニストは、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物、例えば本明細書中に記載される実施例A、実施例B、実施例Cまたは実施例Dを含む。あるいはRAGEアンタゴニストは、ポリペプチドまたはペプチド模倣物を含み得る。
【0050】
プラーク形成を抑制するために用いられるRAGEアンタゴニストの投薬量は、被検体に必要とされるように個別化され得る。したがってRAGEアンタゴニストの薬理学的有効量は、0.01〜500mg/kg/日の範囲のRAGEアンタゴニストの用量を含み得る。他の実施形態では、薬理学的有効量は、0.1〜200mg/kg/日、または1〜100mg/kg/日、または約5〜約20mg/kg/日の範囲のRAGEアンタゴニストの用量を含む。
【0051】
アミロイド症およびプラーク形成の抑制のための組成物および化合物を投与するために、種々の方法が利用可能である。一実施形態では、薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを含む組成物は、局所的に投与される。別の実施形態では、RAGEアンタゴニストは、静脈内にまたは腹腔内経路により投与される。あるいはRAGEアンタゴニストは、経口的に投与される。その他の実施形態では、RAGEアンタゴニストは、皮下に、または経皮経路により投与される。
【0052】
本発明の方法により治療される疾患は、多面的治療に良好に応答し得る。したがってプ
ラーク形成およびアミロイド症の抑制のための本発明の組成物は、第二の治療薬を含み得る。
【0053】
一実施形態では、第二の治療薬は、Aβアミロイド症を治療するのに有効な化合物を含み得る。例えば第二の治療薬は、コリンエステラーゼ阻害薬、抗精神病薬、抗うつ薬または鎮痙薬を含み得る。
【0054】
代替的にはおよび/または付加的には、第二の治療薬は、アミロイド軽鎖(AL)アミロイド症を治療するのに有効な化合物を含む。この実施形態では、第二の治療薬は、アルキル化剤、抗生物質、代謝拮抗薬、植物アルカロイド、ホルモンまたは生物学的応答調節剤、例えばインターフェロンまたはインターロイキンを含み得る。
【0055】
別の実施形態では、第二の治療薬は、アミロイド関連(AA)アミロイド症を治療するのに有効な化合物を含み得る。したがって第二の治療薬は、鎮痛薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)または生物学的応答調節剤を含み得る。
【0056】
上記のように、本発明の実施形態は、Aβプラークの形成を抑制するための、そして既存のAβプラークのサイズを低減するための小有機RAGEアンタゴニストの使用を包含する。小有機RAGEアンタゴニストは、1,000ダルトン(Da)未満の分子量を有する有機化合物を包含し得る。小有機化合物としては、RAGEアンタゴニスト、例えば米国特許出願第09/799,317号(2001年3月5日提出)(米国特許出願公開第2002/0006957);米国特許出願第10/091,609号(2002年3月5日提出)(米国特許出願公開第2003/0032663);米国特許出願第10/091,759号(2002年3月5日提出)(米国特許出願公開第2002/0193432);ならびに米国特許出願第10/382,203号(2003年3月5日提出)(米国特許出願公開第2004/0082542)に記載されているものが挙げられ得る(これらの各々の記載内容は、参照により本明細書中で援用される)。
【0057】
例えば本明細書中に記載される小分子RAGEアンタゴニスト、実施例A、実施例B、実施例Cおよび実施例Dは、アミロイドプラーク形成を抑制し、既存のプラークのサイズを低減し、且つ後期アミロイド沈着に伴って観察される行動作用を低減する。本明細書中に記載される化合物実施例A、実施例B、実施例Cおよび実施例Dは、既知のリガンドとRAGEとの結合を防止することが示されている。したがってリガンドS−100bとRAGEとの特異的結合を測定する検定では、実施例Aは約1μMのIC50で結合を抑制し、且つ実施例B、実施例Cおよび実施例Dは1μM未満のIC50でリガンドとRAGEとの結合を抑制する。IC50は、当該生物学的作用に関して検出される総抑制の50%、例えばRAGEと結合する既知のリガンドの50%抑制を提供する作用物質の濃度である。
【0058】
したがって、一実施形態において、本発明は、アミロイドプラーク形成を抑制するおよび/または既存のプラークのサイズを低減するために、式(I)
【0059】
【化1】

【0060】
ここで、式(I)の化合物において、R1は、−水素、−アリール、−ヘテロアリール、−シクロアルキル、−ヘテロシクリル、−アルキル、−アルケニル、−アルキニル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、−アルキレン−ヘテロシクリル、−アルキレン−シクロアルキル、−縮合シクロアルキルアリール、−縮合シクロアルキルヘテロアリール、−縮合ヘテロシクリルアリール、−縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、−アルキレン−縮合シクロアルキルアリール、−アルキレン−縮合シクロアルキルヘテロアリール、−アルキレン−縮合ヘテロシクリルアリール、−アルキレン−縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、またはG1−G2−G3−R5を含み、
ここで、G1 およびG3は、独立してアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、(アリール)アルキレン、(ヘテロアリール)アルキレン、(アリール)アルケニレン、(ヘテロアリール)アルケニレン、または直接結合を含み;
2は、−O−、−S−、−S(O)−、−N(R6)−、−S(O)2−、−C(O)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)N(R6)−、−N(R6)C(O)−、−S(O2)N(R6)−、N(R6)S(O2)−、−O−アルキレン−C(O)−、−(O)C−アルキレン−O−、−O−アルキレン−、−アルキレン−O−、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、縮合シクロアルキルアリーレン、縮合シクロアルキルヘテロアリーレン、縮合ヘテロシクリルアリーレン、縮合ヘテロシクリルヘテロアリーレン、または直接結合を含み、ここでR6は、水素、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール、アルコキシ、またはアルキレン−O−アリールを含み、および
5は、水素、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、−アルキレン−ヘテロシクリル、−アルキレン−シクロアルキル、縮合シクロアルキルアリール、縮合シクロアルキルヘテロアリール、縮合ヘテロシクリルアリール、縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、−アルキレン−縮合シクロアルキルアリール、−アルキレン−縮合シクロアルキルヘテロアリール、−アルキレン−縮合ヘテロシクリルアリール、またはアルキレン−縮合ヘテロシクリルヘテロアリールから成る;
1は、O、S、またはN(R2)−を含み;
ここで、R2は、
a)−H、
b)−アリール、
c)−ヘテロアリール、
d)−シクロアルキル、
e)−ヘテロシクリル、
f)−アルキル、
g)−アルケニル、
h)−アルキニル、
i)−アルキレン−アリール、
j)−アルキレン−ヘテロアリール、
k)−アルキレン−ヘテロシクリル、
l)−アルキレン−シクロアルキル、
m)−縮合シクロアルキルアリール、
n)−縮合シクロアルキルヘテロアリール、
o)−縮合ヘテロシクリルアリール、
p)−縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、
q)−アルキレン−縮合シクロアルキルアリール、
r)−アルキレン−縮合シクロアルキルヘテロアリール、
s)−アルキレン−縮合ヘテロシクリルアリール、
t)−アルキレン−縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、または
u)次の式の基
を含む。
【0061】
【化2】

【0062】
ここで、A3は、アリールまたはヘテロアリール基を含み;
1およびL2 は、独立して、アルキレンまたはアルケニレンを含み;そして
3は、直接結合、アルキレン、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSO2NH−、
【0063】
【化3】

【0064】
を含み;
ここで、R30、R31、およびR32は、独立して水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルキレン−アリール、またはアルキレン−ヘテロアリールから成る;
3およびR4は、独立して、
a)−水素、
b)−ハロゲン、
c)−ヒドロキシル、
d)−シアノ、
e)−カルバモイル、
f)−カルボキシル、
g)−アリール、
h)−ヘテロアリール、
i)−シクロアルキル、
j)−ヘテロシクリル、
k)−アルキル、
l)−アルケニル、
m)−アルキニル、
n)−アルキレン−アリール、
o)−アルキレン−ヘテロアリール、
p)−アルキレン−ヘテロシクリル、
q)−アルキレン−シクロアルキル、
r)−縮合シクロアルキルアリール、
s)−縮合シクロアルキルヘテロアリール、
t)−縮合ヘテロシクリルアリール、
u)−縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、
v)−アルキレン−縮合シクロアルキルアリール、
w)−アルキレン−縮合シクロアルキルヘテロアリール、
x)−アルキレン−縮合ヘテロシクリルアリール、
y)−アルキレン−縮合ヘテロシクリルヘテロアリール;
z)−C(O)−O−アルキル;
aa)−C(O)−O−アルキレン−アリール;
bb)−C(O)−NH−アルキル;
cc)−C(O)−NH−アルキレン−アリール;
dd)−SO2−アルキル;
ee)−SO2−アルキレン−アリール;
ff)−SO2−アリール;
gg)−SO2−NH−アルキル;
hh)−SO2−NH−アルキレン−アリール;
ii)−C(O)−アルキル;
jj)−C(O)−アルキレン−アリール;
kk)−G4−G5−G6−R7
ll)−Y1−アルキル;
mm)−Y1−アリール;
nn)−Y1−ヘテロアリール;
oo)−Y1−アルキレン−アリール;
pp)−Y1−アルキレン−ヘテロアリール;
qq)−Y1−アルキレン−NR910;または
rr)−Y1−アルキレン−W1−R11
を含む。
ここで、G4およびG6は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、(アリール)アルキレン、(ヘテロアリール)アルキレン、(アリール)アルケニレン、(ヘテロアリール)アルケニレン、または直接結合を含み;
5は、−O−、−S−、−N(R8)−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)N(R8)−、N(R8)C(O)−、−S(O2)N(R8)−、N(R8)S(O2)−、−O−アルキレン−C(O)、−(O)C−アルキレン−O−、−O−アルキレン−、−アルキレン−O−、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、縮合シクロアルキルアリーレン、縮合シクロアルキルヘテロアリーレン、縮合ヘテロシクリルアリーレン、縮合ヘテロシクリルヘテロアリーレン、または直接結合
を含み、ここでR8は、−水素、−アリール、−アルキル、−アルキレン−アリール、またはアルキレン−O−アリールを含み;
7は、水素、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、−アルキレン−ヘテロシクリル、−アルキレン−シクロアルキル、縮合シクロアルキルアリール、縮合シクロアルキルヘテロアリール、縮合ヘテロシクリルアリール、縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、アルキレン−縮合シクロアルキルアリール、−アルキレン−縮合シクロアルキルヘテロアリール、−アルキレン−縮合ヘテロシクリルアリール、またはアルキレン−縮合ヘテロシクリルヘテロアリールを含み;
1およびW1は、独立して、−CH2−、−O−、−N(H)、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【0065】
【化4】

【0066】
を含み;
ここでR12およびR13は、独立して、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール、アルコキシ、またはアルキレン−O−アリールを含み;そして
9、R10、およびR11は、独立して、アリール、ヘテロアリール、アルキル、−アルキレン−ヘテロアリール、またはアルキレン−アリールを含み、またR9およびR10はひとまとめにして、R9およびR10が連結している窒素原子に結合した式−(CH2)o−X1−(CH2)p−を有する環を形成することができ;
ここで、oおよびpは、独立して1、2、3、または4であり;そして
X1は、直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSO2NH−、
【0067】
【化5】

【0068】
を含み;
ここで、R14およびR15は、独立して水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、−アルキレン−アリール、またはアルキレン−ヘテロアリールから成る;
ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、およびR15におけるアリール基および/またはアルキル基(複数可)は、任意に置換基で1〜4回任意に置換され、上記置換基(複数可)または置換という用語は、
a)−H、
b)−ハロゲン、
c)−ヒドロキシル、
d)−シアノ、
e)−カルバモイル、
f)−カルボキシル、
g)−Y2−アルキル;
h)−Y2−アリール;
i)−Y2−ヘテロアリール;
j)−Y2− アルキレン−ヘテロアリールアリール;
k)−Y2−アルキレン−アリール;
l)−Y2−アルキレン−W2−R18
m)−Y3−Y4−NR2324
n)−Y3−Y4−NH−C(=NR25)NR2324
o)Y3−Y4−C(=NR25)NR2324、または
p)−Y3−Y4−Y5−A2
からなる基を指し、
ここで、Y2およびW2は、独立して、−CH2−、−O−、−N(H)、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−S(O)2−、−O−CO−、
【0069】
【化6】

【0070】
を含み;
ここで、R19およびR20は、独立して、水素、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール、アルコキシ、またはアルキレン−O−アリールを含み;そして
18は、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、およびアルキレン−O−アリールを含み;
3 およびY5 は、独立して、直接結合、−CH2−、−O−、−N(H)、−S−、SO2−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【0071】
【化7】

【0072】
を含み;
ここで、R27およびR26は、独立して、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール
、アルコキシ、またはアルキル−O−アリールを含み;
4は、
a)−アルキレン;
b)−アルケニレン;
c)−アルキニレン;
d)−アリーレン;
e)−ヘテロアリーレン;
f)−シクロアルキレン;
g)−ヘテロシクリレン;
h)−アルキレン−アリーレン;
i)−アルキレン−ヘテロアリーレン;
j)−アルキレン−シクロアルキレン;
k)−アルキレン−ヘテロシクリレン;
l)−アリーレン−アルキレン;
m)−ヘテロアリーレン−アルキレン;
n)−シクロアルキレン−アルキレン;
o)−ヘテロシクリレン−アルキレン;
p)−O−;
q)−S−;
r)−S(O2)−;または
s)−S(O)−;
ここで、このアルキレン基は、任意に1個以上のO、S、S(O)、またはSO2原子を含み得る;
2は、
a)少なくとも1個の塩基性窒素原子を有するヘテロシクリル、縮合アリールヘテロシクリル、または縮合ヘテロアリールヘテロシクリル
b)−イミダゾリル、または
c)−ピリジル;
を含み、そして
23、R24、およびR25は、独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、−アルキレン−ヘテロアリール、アルキル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−O−アリール、またはアルキレン−O−ヘテロアリールを含み、またR23およびR24は、ひとまとめにして、R23およびR24が連結している窒素原子に結合した式 −(CH2s−X3−(CH2t−を有する環を形成することができ;
ここで、sおよびtは、独立して1、2、3、または4であり;
3は、直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSO2NH−、
【0073】
【化8】

【0074】
を含み;
ここで、R28およびR29は、独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、−アルキレン−アリール、またはアルキレン−ヘテロアリールから成る;
ここで、
1、R2、R3およびR4の基のうち少なくとも1個は、式−Y3−Y4−NR2324、−Y3−Y4−NH−C(=NR25)NR2324、−Y3−Y4−C(=NR25)NR2324、またはY3−Y4−Y5−A2のうち少なくとも1個の基と置換されるが、ただし、アリールまたはヘテロアリールを含み得るのはR23、R24、およびR25のうち1つのみである;
あるいは、R2は、次の式の基である。
【0075】
【化9】

【0076】
[ここで、R3とR4、R3とR2、またはR1とR2 のうちどれか1つはひとまとめにして、それが結合している原子と共に、アリール、ヘテロアリール、縮合アリールシクロアルキル、縮合アリールヘテロシクリル、縮合ヘテロアリールシクロアルキル、または縮合ヘテロアリールヘテロシクリル環系を構成することができ;
ここで、上記の環系またはR1、R2、R3、もしくはR4は、以下の式の少なくとも1個の基で置換される。
a)−Y5−Y6−NR3334
b)−Y5−Y6−NH−C(=NR35)NR3334
c)−Y5−Y6−C(=NR35)NR3334;または
d)−Y5−Y6−Y7−A4
ここで、Y5およびY7は、独立して直接結合、−CH2−、−O−、−N(H)、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【0077】
【化10】

【0078】
を含み;
ここで、R36およびR37は、独立して、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール、アルコキシ、またはアルキル−O−アリールを含み;
6は、
a)アルキレン;
b)アルケニレン;
c)アルキニレン;
d)アリーレン;
e)ヘテロアリーレン;
f)シクロアルキレン;
g)ヘテロシクリレン;
h)アルキレン−アリーレン;
i)アルキレン−ヘテロアリーレン;
j)アルキレン−シクロアルキレン;
k)アルキレン−ヘテロシクリレン;
l)アリーレン−アルキレン;
m)ヘテロアリーレン−アルキレン;
n)シクロアルキレン−アルキレン;
o)ヘテロシクリレン−アルキレン;
p)−O−;
q)−S−;
r)−S(O2)−;または
s)−S(O)−;
を含む。
ここで、このアルキレン基は、任意に1個以上のO、S、S(O)、またはSO2原子を含み得る;
4は、
a) 少なくとも1個の塩基性窒素原子を有するヘテロシクリル、縮合アリールヘテロシクリル、または縮合ヘテロアリールヘテロシクリル、
b) −イミダゾリル、または
c) −ピリジル、
を含む。そして
33、R34およびR35は、独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、−アルキレン−アリール、またはアルキレン−O−アリールから成るが、ただし、R33、R34 およびR35のうち2つがアリールおよび/またはヘテロアリールとなることはなく、またR33およびR34はひとまとめにして、R33 およびR34が連結されている窒素原子に結合した式−(CH2)u−X4−(CH2)v−を有する環を形成することができ;
ここで、uおよびvは、独立して1、2、3、または4であり;
4は、直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSO2NH−、
【0079】
【化11】

【0080】
を含み;
ここで、R36およびR37は、独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、−アルキレン−アリール、またはアルキレン−ヘテロアリールを含み;そして
ここで、上記の環系は、
a)−H;
b)−ハロゲン;
c)−ヒドロキシル;
d)−シアノ;
e)−カルバモイル;
f)−カルボキシル;
g)−Y8−アルキル;
h)−Y8−アリール;
i)−Y8−ヘテロアリール;
j)−Y8−アルキレン−アリール;
k)−Y8−アルキレン−ヘテロアリール;
l)−Y8−アルキレン−NR3839;または
m)−Y8−アルキレン−W3−R40
から成る置換基で任意に置換され、
ここで、Y8およびW3は、独立してCH2−、−O−、−N(H)、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【0081】
【化12】

【0082】
を含み;
ここで、R41およびR42は、独立して、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール、アルコキシ、またはアルキル−O−アリールを含み;そして
38、R39、およびR40は、独立して、水素、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、およびアルキレン−O−アリールを含み、また、R38およびR39はひとまとめにして、R38およびR39に連結された窒素原子に結合した式−(CH2)w−X7−(CH2)x−を有する環を形成することができ;
ここで、wおよびxは、独立して1、2、3、または4であり;
X7は、直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSO2NH−、
【0083】
【化13】

【0084】
を含み;
ここで、R43およびR44は、独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、−アルキレン−アリール、またはアルキレン−ヘテロアリールから成る]
アゾール化合物あるいは、その薬学的に許容可能な塩を提供する。式Iの化合物は、本明細書中に記載される場合、実施例A、実施例B、実施例Cおよび実施例Dを含む。
【0085】
別の実施形態において、小分子RAGEアンタゴニストが式II:
【0086】
【化14】

【0087】
式中、式(II)の化合物において、
mは、0〜3の整数であり、
nは、0〜3の整数であり、
1は、アリールを含み、
2は、
a)式−N(R910)NHC(O)R9またはNHC(O)OR9の一群、
b)式−OR9の一群、
c)式−SR9、−SOR9、−SO29、−SO2NHR9またはSO2N(R910)を含み、
ここで、R9およびR10は、独立して、
1)−H、
2)−アリール、
3)
a)−C1-6アルキル、
b)−C1-6アルキルアリール、
c)
【0088】
【化15】

【0089】
d)−アリール
e)−C1-6アルキル、または
f)−C1-6アルキルアリール
を含む一群
を含む)
3およびR4は独立して、
a)H、
b)−アリール、
c)−C1-6アルキル、
d)−C1-6アルキルアリール、または
e)−C1-6アルコキシアリール
を含み、
5、R6、R7およびR8は独立して、
a)H、
b)−C1-6アルキル、
c)−アリール、
d)−C1-6アルキルアリール、
e)−C(O)−O−C1-6アルキル、
f)−C(O)−O−C1-6アルキルアリール、
g)−C(O)−NH−C1-6アルキル、
h)−C(O)−NH−C1-6アルキルアリール、
i)−SO2−C1-6アルキル、
j)−SO2−C1-6アルキルアリール、
k)−SO2−アリール、
l)−SO2−NH−C1-6アルキル、
m)−SO2−NH−C1-6アルキルアリール、
n)−C(O)−C1-6アルキル、
o)−C(O)−C1-6アルキルアリール、
p)−Y−C1-6アルキル、
q)−Y−アリール、
r)−Y−C1-6アルキルアリール、
s)−Y−C1-6アルキレン−NR1314、または、
t)−Y−C1-6アルキレン−W−R15
ここで、YおよびWは独立して、−CH2−、−O−、−N(H)−、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【0090】
【化16】

【0091】
を含み、R16およびR17は独立して、アリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルアリール、C1〜C6アルコキシまたはC1〜C6アルコキシアリールを含み、R15は独立してアリール、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルキルアリールを含む)、または
u)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシルを含み、
11、R12、R13およびR14は独立して、水素、アリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルアリール、C1〜C6アルコキシまたはC1〜C6アルコキシアリールを含み、
ここで、R13およびR14は、一緒になって、R13およびR14に連結された窒素原子に
結合した式−(CH2o−X−(CH2p−を有する環を形成し得、および/またはR11およびR12は独立して、一緒になって、R11およびR12に連結された原子に結合した式−(CH2o−X−(CH2p−を有する環を形成し得、この場合、oおよびpは独立して1、2、3または4であり、Xは直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、NHSO2NH−、
【0092】
【化17】

【0093】
を含み、
ここで、R1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19におけるアリールおよび/またはアルキル基(複数可)は置換基で1〜4回任意に置換され、上記置換基(複数可)または置換という用語は、
a)−H、
b)−Z−C1-6アルキル、
−Z−アリール、
−Z−C1-6アルキルアリール、
−Z−C1-6アルキル−NR2021
−Z−C1-6アルキル−W−R22
(ここで、ZおよびWは独立して、−CH2−、−O−、−N(H)−、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【0094】
【化18】

【0095】
を含み、ここでR20およびR21は独立して、水素、アリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルアリール、C1〜C6アルコキシまたはC1〜C6アルコキシアリールを含み、
22、R23およびR24は独立してアリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルアリール、C1〜C6アルコキシまたはC1〜C6アルコキシアリールを含む)、あるいは
c)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル
から成る基を指し、
20およびR21は、一緒になって、R20およびR21に連結された窒素原子に結合した式−(CH2q−X−(CH2r−を有する環を形成し得、この場合、qおよびrは独立して1、2、3または4であり、Xは直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−S(
2)−、−C(O)−、−CON(H)−、NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、NHSO2NH−、
【0096】
【化19】

【0097】
を含み、
25、R26およびR27は独立して水素、アリール、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルキルアリールを含む)
のベンズイミダゾール化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む。
【0098】
さらに別の実施形態において、小分子RAGEアンタゴニストが式(III):
【0099】
【化20】

【0100】
式中、式(III)の化合物において、
1は、C1〜C6アルキレンまたは(CH2k(ここで、kは0〜3である)を含み、
2は、a)水素、
b)−C1〜C6アルキル、
c)−アリール、
d)−C1〜C6アルキルアリール、
e)
【0101】
【化21】

【0102】
式中、R5およびR6は独立して、
i)−H、
ii)−C1-6アルキル、
iii)−アリール、
iv)−C1-6アルキルアリール、
v)−C(O)−O−C1-6アルキル、
vi)−C(O)−O−C1-6アルキルアリール、
vii)−C(O)−O−C1-6アルキルシクロアルキルアリール、
viii)−C(O)−NH−C1-6アルキル、
ix)−C(O)−NH−C1-6アルキルアリール、
x)−SO2−C1-6アルキル、
xi)−SO2−C1-6アルキルアリール、
xii)−SO2−アリール、
xiii)−SO2−NH−C1-6アルキル、
xiv)−SO2−NH−C1-6アルキルアリール、
xv)
【0103】
【化22】

【0104】
xvi)−C(O)−C1-6アルキル、または
xvii)−C(O)−C1-6アルキルアリール
を含み、
f)
【0105】
【化23】

【0106】
の式の一群を含み、
式中、R9、R10およびR11は、水素を含み得るし、あるいは
9、R10およびR11は独立して、
i)−C1-6アルキル、
ii)−アリール、
iii)−C1-6アルキルアリール、
iv)−C(O)−O−C1-6アルキル、
v)−C(O)−O−C1-6アルキルアリール、
vi)−C(O)−NH−C1-6アルキル、
vii)−C(O)−NH−C1-6アルキルアリール、
viii)−SO2−C1-6アルキル、
ix)−SO2−C1-6アルキルアリール、
x)−SO2−アリール、
xi)−SO2−NH−C1-6アルキル、
xii)−SO2−NH−C1-6アルキルアリール、
xiii)−C(O)−C1-6アルキル、または
xiv)−C(O)−C1-6アルキルアリール
を含み、あるいはR10およびR11は一緒になって、R10およびR11に連結された原子を含有する縮合シクロアルキル、縮合へテロシクリルまたは縮合アリール環を構成し得るを含み、
1は、
a)水素、
b)−C1-6アルキル、
c)−アリール、または
d)−C1-6アルキルアリール
を含み、
2は、
a)−C1-6アルキル、
b)−アリール、
c)−C1-6アルキルアリール、または
d)
【0107】
【化24】

【0108】
式中、mおよびnは独立して1、2、3または4から選択され、Xは直接結合、CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、NHSO2NH−、
【0109】
【化25】

【0110】
を含み、−Q1−は、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレンまたはC2-6アルキニレンを含む
の式の一群を含み、
3は、
a)水素、
b)−C1-6アルキル、
c)−C1-6アルキルアリール、または
d)−C1-6アルコキシアリール
を含み、
4は、
a)−C1-6アルキルアリール
b)−C1-6アルコキシアリール、または
c)−アリール
を含み、
7、R8、R12およびR13は独立して、水素、−C1-6アルキル、−C1-6アルキルアリールまたはアリールを含み、
ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9、R10、R11およびR12およびR13におけるアリールおよび/またはアルキル基(複数可)は置換基で1〜4回任意に置換され、上記置換基(複数可)または置換という用語は、
a)−H、
b)−Y−C1-6アルキル、
−Y−アリール、
−Y−C1-6アルキルアリール、
−Y−C1-6アルキル−NR1415
−Y−C1-6アルキル−W−R16
(ここで、YおよびWは独立して、−CH2−、−O−、−N(H)−、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【0111】
【化26】

【0112】
を含み、R16、R17およびR18は、水素、アリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルアリール、C1〜C6アルコキシまたはC1〜C6アルコキシアリールを含み、あるいは
c)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル
から成る基を指し、
14およびR15は独立して、水素、アリール、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルキルアリールを含み、そして
14およびR15は、一緒になって、R14およびR15に連結された窒素原子に結合した式−(CH2o−Z−(CH2p−を有する環を形成し得、および/またはR7およびR8は独立して、一緒になって、R7およびR8に連結された原子に結合した式−(CH2o−Z−(CH2p−を有する環を形成し得るが、この場合、oおよびpは独立して1、2、3または4であり、Zは直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、NHSO2NH−、
【0113】
【化27】

【0114】
を含み、
19およびR20は独立して、水素、アリール、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルキルアリールを含む)
のカルボキサミド化合物を含む。
【0115】
本発明はまた、アルツハイマー病を改善することが可能な小分子RAGEアンタゴニストが式(IV):
【0116】
【化28】

【0117】
式中、式(IV)の化合物において、
1およびR2は独立して、
a)−H、
b)−C1-6アルキル、
c)−アリール、
d)−C1-6アルキルアリール、
e)−C(O)−O−C1-6アルキル、
f)−C(O)−O−C1-6アルキルアリール、
g)−C(O)−NH−C1-6アルキル、
h)−C(O)−NH−C1-6アルキルアリール、
i)−SO2−C1-6アルキル、
j)−SO2−C1-6アルキルアリール、
k)−SO2−アリール、
l)−SO2−NH−C1-6アルキル、
m)−SO2−NH−C1-6アルキルアリール、
n)
【0118】
【化29】

【0119】
o)−C(O)−C1-6アルキル、および
p)−C(O)−C1-6アルキルアリール
から選択され、
3は、
a)−C1-6アルキル、
b)−アリール、および
c)−C1-6アルキルアリール
から選択され、
4は、
a)−C1-6アルキルアリール、
b)−C1-6アルコキシアリール、および
c)−アリール
から選択され、
5およびR6は独立して、水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルアリールおよびアリールから成る群から選択され、
この場合、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R18、R19およびR20におけるアリールおよび/またはアルキル基(複数可)は置換基で1〜4回任意に置換され、上記置換基(複数可)または置換という用語は、
a)−H、
b)−Y−C1-6アルキル、
−Y−アリール、
−Y−C1-6アルキルアリール、
−Y−C1-6アルキル−NR78、および
−Y−C1-6アルキル−W−R20
ここで、YおよびWは独立して、−CH2−、−O−、−N(H)−、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【0120】
【化30】

【0121】
から成る群から選択され、ならびに
c)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル
から成る群から選択される基を指し、
18およびR19は独立してアリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルアリール、C1〜C6アルコキシおよびC1〜C6アルコキシアリールから成る群から選択され、
20は、アリール、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルキルアリールから成る群から選択され、
7、R8、R9およびR10は独立して、水素、アリール、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルキルアリールから成る群から選択され、
ここで、R7およびR8は、一緒になって、R7およびR8に連結された窒素原子に結合した式−(CH2m−X−(CH2n−を有する環を形成し得、および/またはR5およびR6は独立して、一緒になって、R5およびR6に連結された窒素原子に結合した式−(CH2m−X−(CH2n−を有する環を形成し得るが、この場合、mおよびnは独立して1、2、3または4であり、Xは、−CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、NHSO2NH−、
【0122】
【化31】

【0123】
から成る群から選択される
の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む。
【0124】
式(I)、(II)、(III)および(IV)の化合物において、表示された種々の官能基は、ハイフンを有する官能基で結合点を有する、と理解されるべきである。言い換えれば、−C1-6アルキルアリールの場合は、結合点はアルキル基であり;一例はベンジルである、と理解されるべきである。−C(O)−NH−C1-6アルキルアリールの場合には、結合点はカルボニル炭素である。
【0125】
上記の式(I)、(II)、(III)および(IV)により表される化合物の個々のエナンチオマー、ならびにその任意の全部または一部ラセミ混合物も、本発明の範囲内に含まれる。本発明は、上記の式により表される化合物の個々のエナンチオマー、ならびに1つまたは複数の立体中心が逆にされるそのジアステレオマーとの混合物も網羅する。
【0126】
(定義)
本明細書中で用いる場合、「RAGE」は、Neeper et al., J. Biol. Chem., 267: 15998-15004 (1992)に示されたようなRAGEの完全アミノ酸配列を有するペプチド、または保存的アミノ酸置換または欠失を有するポリペプチドを包含し、この場合、保存的アミノ酸置換または欠失はペプチドの構造または機能に有意に作用しない変化である。さらにまた本明細書中で用いる場合、RAGEの「断片」は、少なくとも5アミノ酸長、好ましくは15アミノ酸長より長いが、Neeper et al., (1992)に示された全長未満である。
【0127】
本明細書中で定義する場合、リガンドとRAGEとの結合を防止するかまたは拮抗する化合物はRAGEアンタゴニストである。上記のように、本発明のRAGEアンタゴニストは、小分子RAGEアンタゴニスト、例えば式(I)、(II)、(III)および(IV)の化合物、ならびにポリペプチド、例えばsRAGEおよびRAGE V−ドメインあるいはそれらの断片を含み得る。ペプチドは、in vivoでのそれらの安定性を増大するよう修飾され得る。例えば一実施形態では、ペプチドは保存的置換を含み、この場合、保存的アミノ酸置換はペプチドの構造または機能に有意に作用しない置換である。さらにまたポリペプチドは、天然には見いだされない鏡像異性を有する、即ちL−アミノ酸の代わりにD−アミノ酸を有する非天然ポリペプチドであり得る。
【0128】
本明細書中で用いる場合、ペプチド模倣化合物は、適切な模倣物で置換された単結合、ペプチド主鎖またはアミノ酸構成成分を有する。適切なアミノ酸模倣物であり得る非天然アミノ酸の例としては、(β−アラニン、L−α−アミノ酪酸、L−γ−アミノ酪酸、L−α−アミノイソ酪酸、L−ε−アミノカプロン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、N−ε−Boc−N−α−CBZ−L−リシン、L−ノルロイシン、L−ノルバリン、Boc−p−ニトロ−L−フェニルアラニン、Boc−ヒドロキシプロリン等が挙げられる(WO 01/12598)。
【0129】
別の実施形態では、RAGEアンタゴニストは、RAGEに対する抗体である。一実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、ヒト、ヒト化、霊長類化またはキメラ抗体であり得る。さらに別の実施形態では、RAGEアンタゴニストは、抗体の断片である。例えばRAGEアンタゴニストは、抗RAGE抗体のFab断片を含み得る。好ましくはFab断片は、F(ab‘)Z断片である。一実施形態では、上記の化合物は、抗RAGE抗体の可変ドメインを含む。一実施形態では、抗体はIgG抗体である。
【0130】
式(I)、(II)、(III)および(IV)の小分子RAGEアンタゴニストを説明するために用いられる化学用語を以下に記載する。
【0131】
本明細書中で使用するとき、「低級」という用語は1〜6個の炭素を有する基を意味する。
【0132】
本明細書中で使用するとき、「アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素を意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、アミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、シリルオキシ(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、シリル(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換(multiple degrees)が許容される。こうした「アルキル」基には、1個以上のO、S、S(O)、またはS(O)2原子を含み得る。本明細書中で使用するとき、「アルキル」の例としては、メチル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソブチル、およびイソプロピル、およびこれに類似するものがあるが、これらに限定されない。
【0133】
本明細書中で使用するとき、「アルキレン」という用語は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の2価炭化水素ラジカルを意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、アミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、シリルオキシ(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、シリル(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換が許容される。こうした「アルキレン」基には、1個以上のO、S、S(O)、またはS(O)2原子を含み得る。本明細書中で使用するとき、「アルキレン」の例には、メチレン、エチレン、およびこれに類似するものがあるが、これらに限定されない。
【0134】
本明細書中で使用するとき、「アルキルイン(alkyline)」という用語は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の三価炭化水素ラジカルを意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、アミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、シリルオキシ(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、シリル(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換が許容される。本明細書中で使用するとき、「アルキルイン」の例には、メチン、1,1,2−エチルイン(ethyline)、およびこれに類似するものが
あるが、これらに限定されない。
【0135】
本明細書中で使用するとき、「アルケニル」という用語は、2〜10個の炭素および少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する炭化水素ラジカルを意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、アミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、シリルオキシ(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、シリル(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換が許容される。こうした「アルケニル」基には、1個以上のO、S、S(O)、またはS(O)2原子を含み得る。
【0136】
本明細書中で使用するとき、「アルケニレン」という用語は、2〜10個の炭素原子および1個以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖の2価炭化水素ラジカルを意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、アミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、シリルオキシ(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、シリル(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換が許容される。こうした「アルケニレン」基には、1個以上のO、S、S(O)、またはS(O)2原子を含み得る。本明細書中で使用するとき、「アルケニレン」の例としては、エテン−1,2−ジイル、プロペン−1,3−ジイル、メチレン−1,1−ジイル、およびこれに類似するものがあるが、これらに限定されない。
【0137】
本明細書中で使用するとき、「アルキニル」という用語は、2〜10個の炭素および少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する炭化水素ラジカルを意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、アミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、シリルオキシ(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、シリル(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換が許容される。こうした「アルキニル」基には、1個以上のO、S、S(O)、またはS(O)2原子を含み得る。
【0138】
本明細書中で使用するとき、「アルキニレン」という用語は、2〜10個の炭素原子および1個以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分岐鎖の2価炭化水素ラジカルを意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、アミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、シリルオキシ(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、シリル(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換が許容される。こうした「アルキニレン」基には、1個以上のO、S、S(O)、またはS(O)2原子を含み得る。本明細書中で使用するとき、「アルキニレン」の例としては、エチン−1,2−ジイル、プロピン−1,3−ジイル、およびこれに類似するものがあるが、これらに限定されない。
【0139】
本明細書中で使用するとき、「シクロアルキル」とは、3〜12個の炭素原子を有し、任意に不飽和度が1以上の脂環式炭化水素基を有していることを意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、アミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換度が許容される。「シクロアルキル」の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチル、およびこれに類似するものがある。
【0140】
本明細書中で使用するとき、「シクロアルキレン」という用語は、3〜12個の炭素原子を有し、任意に不飽和度が1以上の非芳香族脂環式二価炭化水素ラジカルを意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、アミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換度が許容される。本明細書中で使用するとき、「シクロアルキレン」の例としては、シクロプロピル−1,1−ジイル、シクロプロピル−1,2−ジイル、シクロブチル−1,2−ジイル、シクロペンチル−1,3−ジイル、シクロヘキシル−1,4−ジイル、シクロヘプチル−1,4−ジイル、またはシクロオクチル−1,5−ジイル、およびこれに類似するものがあるが、これらに限定されない。
【0141】
本明細書中で使用するとき、「複素環式」または「ヘテロシクリル」という用語は、任意に不飽和度が1以上で、S、SO、SO2、O、またはNから選択される1個以上のヘテロ原子置換を有する3〜12の部分から成る複素環を意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、アミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換度が許容される。こうした環は、1個以上の別の「複素環式」環(複数可)またはシクロアルキル環(複数可)と任意に縮合できる。「複素環式」の例としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、ピペラジン、およびこれに類似するものがあるが、これらに限定されない。
【0142】
本明細書中で使用するとき、「少なくとも1個の塩基性窒素原子を有するヘテロシクリル」という用語は、上記に定義した「複素環式」「ヘテロシクリル」基を意味し、
ここで、上記ヘテロシクリル基には、水素、アルキル基、アルキレン基、またはアルキルイン(alkylyne)基が隣接(flank)する少なくとも1個の窒素原子があり、ここで、上記アルキル基および/またはアルキレン基は、オキソでは置換されない。「少なくとも1個の塩基性窒素原子を有するヘテロシクリル」の例としては、ピペラジン−2−イル、ピロリジン−2−イル、アゼピン−4−イル、
【0143】
【化32】

【0144】
およびこれに類似するものがあるが、これらに限定されない。
【0145】
本明細書中で使用するとき、「ヘテロシクリレン(heterocyclylene)」という用語は、任意に不飽和度が1以上で、S、SO、SO2、O、またはNから選択される1個以上のヘテロ原子置換を有する3〜12の部分から成る複素環ジラジカルを意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、アミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換度が許容される。こうした環は、1個以上のベンゼン環または1個以上の別の「複素環式」環やシクロアルキル環と任意に縮合できる。「ヘテロシクリレン」の例としては、テトラヒドロフラン−2,5−ジイル、モルホリン−2,3−ジイル、ピラン−2,4−ジイル、1,4−ジオキサン−2,3−ジイル、1,3−ジオキサン−2,4−ジイル、ピペリジン−2,4−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、ピロリジン−1,3−ジイル、モルホリン−2,4−ジイル、ピペラジン−1,4−ジイル、およびこれに類似するものがあるが、これらに限定されない。
【0146】
本明細書中で使用するとき、「アリール」という用語は、ベンゼン環、または1個以上の任意に置換されたベンゼン環と縮合した任意に置換されたベンゼン環系を意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ(アシルで任意に置換可)、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、テトラゾリル、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、アミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、アシル、アロイル、ヘテロアロイル、アシルオキシ、アロイルオキシ、ヘテロアロイルオキシ、アルコキシカルボニル、シリルオキシ(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、シリル(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換が許容される。アリールの例としては、フェニル、2−ナフチル、1−ナフチル、1−アントラセニル、およびこれに類似するものがあるが、これらに限定されない。
【0147】
本明細書中で使用するとき、「アリーレン」という用語は、ベンゼン環ジラジカルまたは1個以上の任意に置換されたベンゼン環と縮合したベンゼン環系ジラジカルを意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、テトラゾリル、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、ア
ミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、アシル、アロイル、ヘテロアロイル、アシルオキシ、アロイルオキシ、ヘテロアロイルオキシ、アルコキシカルボニル、シリルオキシ(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、シリル(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換度が許容される。「アリーレン」の例としては、ベンゼン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、およびこれに類似するものがあるが、これらに限定されない。
【0148】
本明細書中で使用するとき、「ヘテロアリール」という用語は、5〜7の部分から成る芳香環、または1個以上の窒素、酸素、または硫黄ヘテロ原子を有する多環式複素環式芳香族環(ここで、N−酸化物、一酸化硫黄、二酸化硫黄が、許容できる複素環式芳香族の置換である。)を意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、テトラゾリル、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、アミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、アシル、アロイル、ヘテロアロイル、アシルオキシ、アロイルオキシ、ヘテロアロイルオキシ、アルコキシカルボニル、シリルオキシ(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、シリル(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換度が許容される。多環式芳香族環系については、1個以上の環には、1個以上のヘテロ原子を含み得る。本明細書中で使用するとき、「ヘテロアリール」の例としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、およびインダゾール、およびこれに類似するものがある。
【0149】
本明細書中で使用するとき、「ヘテロアリーレン」という用語は、5〜7員(member)から成る芳香環ジラジカル、または1個以上の窒素、酸素、または硫黄ヘテロ原子を有する多環式複素環式芳香族環ジラジカル(ここで、N−酸化物、一酸化硫黄、二酸化硫黄が、許容できる複素環式芳香族の置換である。)を意味し、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、低級アルキルスルフェニル、低級アルキルスルホニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ(アルキルで任意に置換可)、カルボキシ、テトラゾリル、カルバモイル(アルキルで任意に置換可)、アミノスルホニル(アルキルで任意に置換可)、アシル、アロイル、ヘテロアロイル、アシルオキシ、アロイルオキシ、ヘテロアロイルオキシ、アルコキシカルボニル、シリルオキシ(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、シリル(アルコキシ、アルキル、またはアリールで任意に置換可)、ニトロ、シアノ、ハロゲン、または低級ペルフルオロアルキルから成る群より選択される置換基で任意に置換され、複数置換度が許容される。多環式芳香族環系ジラジカルについては、1個以上の環には、1個以上のヘテロ原子を含み得る。本明細書中で使用するとき、「ヘテロアリーレン」の例としては、フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,4−ジイル、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル、1,3−チアゾール−2,4−ジイル、1,3−チアゾール−2,5−ジイル、ピリジン−2,4−ジイル、ピリジン−2,3−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,4−ジイル、キノリン−2,3−ジイル、およびこれに類似するものがある。
【0150】
本明細書中で使用するとき、「縮合シクロアルキルアリール」という用語は、アリール基に縮合した1個以上のシクロアルキル基を意味し、アリール基およびシクロアルキル基は2個の原子を共有し、ここでアリール基が置換の結合点である。本明細書中で使用する
とき、「縮合シクロアルキルアリール」の例としては、5−インダニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル、
【0151】
【化33】

【0152】
およびこれに類似するものがある。
【0153】
本明細書中で使用するとき、「縮合シクロアルキルアリーレン」という用語は、縮合シクロアルキルアリールを意味し、ここでアリール基は二価である。例としては、
【0154】
【化34】

【0155】
およびこれに類似するものがある。
【0156】
本明細書中で使用するとき、「縮合アリールシクロアルキル」という用語は、シクロアルキル基に縮合した1個以上のアリール基を意味し、シクロアルキル基およびアリール基は2個の原子を共有し、ここでシクロアルキル基が置換の結合点である。本明細書中で使用するとき、「縮合アリールシクロアルキル」の例としては、1−インダニル、2−インダニル、9−フルオレニル、1−(1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)、
【0157】
【化35】

【0158】
およびこれに類似するものがある。
【0159】
本明細書中で使用するとき、「縮合アリールシクロアルキレン」という用語は、縮合アリールシクロアルキルを意味し、ここでシクロアルキル基は二価である。例としては、9,1−フルオレニレン、
【0160】
【化36】

【0161】
およびこれに類似するものがある。
【0162】
本明細書中で使用するとき、「縮合ヘテロシクリルアリール」という用語は、アリール基に縮合した1個以上のヘテロシクリル基を意味し、アリール基およびヘテロシクリル基は2個の原子を共有し、ここでアリール基が置換の結合点である。本明細書中で使用するとき「縮合ヘテロシクリルアリール」の例としては、3,4−メチレンジオキシ−1−フェニル、
【0163】
【化37】

【0164】
およびこれに類似するものがある。
【0165】
本明細書中で使用するとき、「縮合ヘテロシクリルアリーレン」という用語は、縮合ヘテロシクリルアリールを意味し、ここで、アリール基は二価である。例としては、
【0166】
【化38】

【0167】
およびこれに類似するものがある。
【0168】
本明細書中で使用するとき、「縮合アリールヘテロシクリル」という用語は、ヘテロシクリル基に縮合した1個以上のアリール基を意味し、ヘテロシクリル基およびアリール基は2個の原子を共有し、ここでヘテロシクリル基が置換の結合点である。本明細書中で使用するとき、「縮合アリールヘテロシクリル」の例としては、2−(1,3−ベンゾジオキソリル)、
【0169】
【化39】

【0170】
およびこれに類似するものがある。
【0171】
本明細書中で使用するとき、「少なくとも1個の塩基性窒素原子を有する縮合アリールヘテロシクリル」という用語は、上記に定義した「縮合アリールヘテロシクリル」基を意味し、ここで、前記ヘテロシクリル基には、水素、アルキル基、アルキレン基、またはアルキルイン基が隣接する少なくとも1個の窒素原子があり、ここで前記アルキル基および/またはアルキレン基は、オキソでは置換されない。「少なくとも1個の塩基性窒素原子を有する縮合アリールヘテロシクリル」の例としては、
【0172】
【化40】

【0173】
およびこれに類似するものがあるが、これらに限定されない。
【0174】
本明細書中で使用するとき、「縮合アリールヘテロシクリレン」という用語は、縮合ア
リールヘテロシクリルを意味し、ここでヘテロシクリル基は二価である。例としては、
【0175】
【化41】

【0176】
およびこれに類似するものがある。
【0177】
本明細書中で使用するとき、「縮合シクロアルキルヘテロアリール」という用語は、ヘテロアリール基に縮合した1個以上のシクロアルキル基を意味し、ヘテロアリール基およびシクロアルキル基は2個の原子を共有し、また、ここで、ヘテロアリール基が置換の結合点である。本明細書中で使用するとき、「縮合シクロアルキルヘテロアリール」の例としては、5−アザ−6−インダニル、
【0178】
【化42】

【0179】
およびこれに類似するものがある。
【0180】
本明細書中で使用するとき、「縮合シクロアルキルヘテロアリーレン」という用語は、縮合シクロアルキルヘテロアリールを意味し、ここでヘテロアリール基は二価である。例としては、
【0181】
【化43】

【0182】
およびこれに類似するものがある。
【0183】
本明細書中で使用するとき、「縮合ヘテロアリールシクロアルキル」という用語は、シクロアルキル基に縮合した1個以上のヘテロアリール基を意味し、シクロアルキル基およ
びヘテロアリール基は2個の原子を共有し、また、ここで、シクロアルキル基が置換の結合点である。本明細書中で使用するとき、「縮合ヘテロアリールシクロアルキル」の例としては、5−アザ−1−インダニル、
【0184】
【化44】

【0185】
およびこれに類似するものがある。
【0186】
本明細書中で使用するとき、「縮合ヘテロアリールシクロアルキレン」という用語は、縮合ヘテロアリールシクロアルキルを意味し、ここで、シクロアルキル基は二価である。例としては、
【0187】
【化45】

【0188】
およびこれに類似するものがある。
【0189】
本明細書中で使用するとき、「縮合ヘテロシクリルヘテロアリール」という用語は、ヘテロアリール基に縮合した1個以上のヘテロシクリル基を意味し、ヘテロアリール基およびヘテロシクリル基は2個の原子を共有し、また、ここで、ヘテロアリール基が置換の結合点である。本明細書中で使用するとき、「縮合ヘテロシクリルヘテロアリール」の例としては、1,2,3,4−テトラヒドロ−ベータ−カルボリン−8−イル、
【0190】
【化46】

【0191】
およびこれに類似するものがある。
【0192】
本明細書中で使用するとき、「縮合ヘテロシクリルヘテロアリーレン」という用語は、
縮合ヘテロシクリルヘテロアリールを意味し、ここで、ヘテロアリール基は二価である。例としては、
【0193】
【化47】

【0194】
およびこれに類似するものがある。
【0195】
本明細書中で使用するとき、「縮合ヘテロアリールヘテロシクリル」という用語は、ヘテロシクリル基に縮合した1個以上のヘテロアリール基を意味し、ヘテロシクリル基およびヘテロアリール基は2個の原子を共有し、また、ここで、ヘテロシクリル基が置換の結合点である。本明細書中で使用するとき、「縮合ヘテロアリールヘテロシクリル」の例としては、−5−アザ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−2−イル、
【0196】
【化48】

【0197】
およびこれに類似するものがある。
【0198】
本明細書中で使用するとき、「少なくとも1個の塩基性窒素原子を有する縮合ヘテロアリールヘテロシクリル」という用語は、上記に定義した「縮合ヘテロアリールヘテロシクリル」を意味し、ここで、前記ヘテロシクリル基には、水素、アルキル基、アルキレン基、またはアルキルイン基が隣接する少なくとも1個の窒素原子があり、ここで、前記アルキル基および/またはアルキレン基は、オキソによっては置換されない。「少なくとも1個の塩基性窒素原子を有する縮合ヘテロアリールヘテロシクリル」の例としては、
【0199】
【化49】

【0200】
およびこれに類似するものがあるが、これらに限定されない。
【0201】
本明細書中で使用するとき、「縮合ヘテロアリールヘテロシクリレン」という用語は、縮合ヘテロアリールヘテロシクリルを意味し、ここで、ヘテロシクリル基は二価である。例としては、
【0202】
【化50】

【0203】
およびこれに類似するものがある。
【0204】
本明細書中で使用するとき、「酸アイソスター(acid isostere)」という用語は、生理学的pHでイオン化し、正味の負電荷を帯びている置換基を意味する。こうした「酸アイソスター」の例としては、イソオキサゾール−3−オール−5−イル、1H−テトラゾール−5−イル、または2H−テトラゾール−5−イルなどをはじめとするヘテロアリール基があるが、これらに限定されない。こうした酸アイソスターには、イミダゾリジン−2,4−ジオン−5−イル、イミダゾリジン−2,4−ジオン−1−イル、1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン−5−イル、または5−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン−2−イルなどをはじめとするヘテロシクリル基があるが、これらに限定されない。
【0205】
本明細書中で使用するとき、「直接結合」という用語は、構造上の可変部について言うとき、「直接結合」をする可変部に隣接(先行および後続)する置換基が直接的な結合をすることを意味する。連続的に2個以上の可変部が、それぞれ「直接結合」として指定されるとき、そうした2個以上の連続的に指定された「直接結合」に隣接する置換基は、直接的に結合する。
【0206】
本明細書中で使用するとき、「アルコキシ」という用語は、RaO−基を意味し、ここでRaはアルキルである。
【0207】
本明細書中で使用するとき、「アルケニルオキシ」という用語は、RaO−基を意味し、ここでRaはアルケニルである。
【0208】
本明細書中で使用するとき、「アルキニルオキシ」という用語は、RaO−基を意味し、ここでRaはアルキニルである。
【0209】
本明細書中で使用するとき、「アルキルスルファニル」という用語は、RaS−基を意味し、ここでRaはアルキルである。
【0210】
本明細書中で使用するとき、「アルケニルスルファニル」という用語は、RaS−基を意味し、ここでRaはアルケニルである。
【0211】
本明細書中で使用するとき、「アルキニルスルファニル」という用語は、RaS−基を意味し、ここでRaはアルキニルである。
【0212】
本明細書中で使用するとき、「アルキルスルフェニル」という用語は、RaS(O)−基を意味し、ここでRaはアルキルである。
【0213】
本明細書中で使用するとき、「アルケニルスルフェニル」という用語は、RaS(O)−基を意味し、ここでRaはアルケニルである。
【0214】
本明細書中で使用するとき、「アルキニルスルフェニル」という用語は、RaS(O)−基を意味し、ここでRaはアルキニルである。
【0215】
本明細書中で使用するとき、「アルキルスルホニル」という用語は、RaSO2−基を意味し、ここでRaはアルキルである。
【0216】
本明細書中で使用するとき、「アルケニルスルホニル」という用語は、RaSO2−基を意味し、ここでRaはアルケニルである。
【0217】
本明細書中で使用するとき、「アルキニルスルホニル」という用語は、RaSO2−基を意味し、ここでRaはアルキニルである。
【0218】
本明細書中で使用するとき、「アシル」という用語は、RaC(O)−基を意味し、ここでRaはアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはヘテロシクリルである。
【0219】
本明細書中で使用するとき、「アロイル」という用語は、RaC(O)−基を意味し、ここでRaはアリールである。
【0220】
本明細書中で使用するとき、「ヘテロアロイル」という用語は、RaC(O)−基を意味し、ここでRaはヘテロアリールである。
【0221】
本明細書中で使用するとき、「アルコキシカルボニル」という用語は、RaOC(O)−基を意味し、ここでRaはアルキルである。
【0222】
本明細書中で使用するとき、「アシルオキシ」という用語は、RaC(O)O−基を意味し、ここでRaはアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはヘテロシクリルである。
【0223】
本明細書中で使用するとき、「アルコキシカルボニル」という用語は、RaOC(O)−基を意味し、ここでRaはアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはヘテロシクリルである。
【0224】
本明細書中で使用するとき、「アリールオキシカルボニル」という用語は、RaOC(O)−基を意味し、ここでRaはアリールまたはヘテロアリールである。
【0225】
本明細書中で使用するとき、「アロイルオキシ」という用語は、RaC(O)O−基を意味し、ここでRaはアリールである。
【0226】
本明細書中で使用するとき、「ヘテロアロイルオキシ」という用語は、RaC(O)O−基を意味し、ここでRaはヘテロアリールである。
【0227】
本明細書中で使用するとき、「任意に」という用語は、その後に説明される事象が発生
する場合としない場合があること意味し、発生した事象としなかった事象のどちらをも含む。
【0228】
本明細書中で使用するとき、「置換」という用語は、名称を挙げた置換基(単数または複数)による置換を意味し、別途明記のない限り複数置換が許容される。
【0229】
本明細書中で使用するとき、「含む」または「含んでいる」という用語は、上記に定義したアルキル、アルケニル、アルキニルまたはシクロアルキル置換基に沿った任意の位置で、1個以上の任意のO、S、SO、SO2、N、またはN−アルキル、例えば、−CH2−O−CH2−、−CH2−SO2−CH2−、−CH2−NH−CH3などとインライン(in-line)置換することを意味することがある。
【0230】
「アルキル」や「アリール」という用語、またはそれらの接頭接尾語として付けられたもののいずれかが置換基の名称にある場合(例えば、アリールアルコキシアリールオキシなど)には、常に、「アルキル」および「アリール」について上記に定めた制限事項を含めるものとして解釈される。アルキル置換基またはシクロアルキル置換基は、不飽和度が1以上のものと機能的に同等であると認識される。指定された数の炭素原子(例えば、C1-10など)はそれぞれ別個に、アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、または環状アルキル部分にある炭素原子の数を、あるいは「アルキル」という用語がその接頭接尾語として現れる規模の大きい置換基のアルキル部分を意味する。
【0231】
本明細書中で使用するとき、「オキソ」という用語は、置換基=Oを意味する。
【0232】
本明細書中で使用するとき、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素を含む。
【0233】
本明細書中で使用するとき、「メルカプト」という用語は、置換基−SHを意味する。
【0234】
本明細書中で使用するとき、「カルボキシ」という用語は、置換基−COOHを意味する。
【0235】
本明細書中で使用するとき、「シアノ」という用語は、置換基−CNを意味する。
【0236】
本明細書中で使用するとき、「アミノスルホニル」という用語は、置換基−SO2NH2を意味する。
【0237】
本明細書中で使用するとき、「カルバモイル」という用語は、置換基−C(O)NH2を意味する。
【0238】
本明細書中で使用するとき、「スルファニル」という用語は、置換基−S−を意味する。
【0239】
本明細書中で使用するとき、「スルフェニル」という用語は、置換基−S(O)−を意味する。
【0240】
本明細書中で使用するとき、「スルホニル」という用語は、置換基−S(O)2−を意味する。
【0241】
本明細書中で使用するとき、「溶媒和化合物」という用語は、溶質(本発明では、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物)および溶媒により形成される可変
の化学量論的組成の複合物である。発明の目的のためのこうした溶媒は、溶質の生物活性には干渉してはならない。溶媒の例としては、水、エタノール、酢酸がある。
【0242】
本明細書中で使用するとき、「生物加水分解性エステル」という用語は、薬物成分(本発明では、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物)のエステルを意味するが、a) 親物質の生物活性には干渉しないが、作用の持続、作用の開始、およびこれに類似する性質など、その物質に対してin vivoで有利な性質を与えるか、またはb) 生物学的に不活性であるが、被検体によって、in vivoで、生物学的に活性のある成分に容易に変換されるか、のいずれかに該当する。例えば、生物加水分解性エステルは、経口的に腸で吸収され、血漿内で式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物に変換されるという利点がある。これに該当する数多くの例がこの技術分野で知られており、その例としては、低級アルキルエステル(例えば、C1−C4など)、低級アシルオキシアルキルエステル、低級アルコキシアシルオキシアルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル、およびコリンエステルなどが含まれる。
【0243】
本明細書中で使用するとき、「生物加水分解性アミド」という用語は、薬物成分(本発明では、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物)のアミドであるが、a) 親物質の生物活性には干渉しないが、作用の持続、作用の開始、およびこれに類似する性質など、その物質に対してin vivoで有利な性質を与えるか、またはb) 生物学的に不活性であるが、被検体によって、in vivoで、生物学的に活性のある成分に容易に変換されるか、のいずれかに該当する。例えば、生物加水分解性アミドは、経口的に腸で吸収され、血漿内で式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物に変換されるという利点がある。これに該当する数多くの例がこの技術分野で知られており、その例としては、低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド、およびアルキルアミノアルキルカルボニルアミドなどが含まれる。
【0244】
本明細書中で使用するとき、「プロドラッグ」という用語には、生物加水分解性アミドおよび生物加水分解性エステルが含まれ、また、a) そうしたプロドラッグにおける生物加水分解性の機能性が式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物に含まれるような化合物(例えば、カルボキシル基およびアミンにより形成されるラクタム)や、b) 所定の官能基において生物学的に酸化または還元して、式(I)、(II)、(III)または(IV)の薬物成分を生成し得る化合物も含まれる。これらの官能基の例としては、1,4−ジヒドロピリジン、N−アルキルカルボニル−1,4−ジヒドロピリジン、1,4−シクロヘキサジエン、tert−ブチル、およびこれに類似するものがあるが、これらに限定されない。
【0245】
「薬理学的に有効な量」という用語は、研究者や臨床医が求めている組織、動物またはヒトの生物学的または医学的反応を誘発する薬物や薬剤の量を意味する。この量は、治療的に有効な量でありうる。「治療的に有効な量」という用語は、求められている動物またはヒトの治療の反応を誘発する薬物や薬剤の量を意味する。
【0246】
本明細書中で使用するとき、「治療」または「治療する」という用語は、患者が患っている所定の疾患に対するあらゆる種類の治療を意味し、これには、その疾患に起因するすべての症状のうち一つあるいはほとんどの軽減、特定の疾患の完全な治癒あるいは疾患の発症予防までが含まれる。
【0247】
RAGEアンタゴニストおよびアミロイド症
本発明は、既存のアミロイド症およびその症候を改善するための糖化最終産物の受容体(RAGE)に対するアンタゴニストの使用を包含する。さらに本発明は、アミロイドプ
ラーク形成の開始を抑制するための、そしてその症候を予防するための小分子RAGEアンタゴニストの使用を包含する。
【0248】
糖化最終産物の受容体(RAGE)は、細胞表面分子の免疫グロブリン超科の一成員である。RAGEは、糖化最終産物(AGE)の受容体である。AGEは、非酵素的糖化およびタンパク質上のアミノ基の酸化によりアマドリ付加物を生成し、これが付加的転位、脱水および他のタンパク質との架橋を施されて、AGEを生成することにより得られる。
【0249】
RAGEの細胞外(N−末端)領域には、1つのV(可変)タイプ領域に続き2つのCタイプ(定常)領域といった3タイプの免疫グロブリン領域がある(Neeper他J. Biol. Chem., 267: 14998-15004 (1992))。細胞外の領域の次に単一の膜貫通型スパニング領域および高い帯電状態にある短い細胞質テールが続く。細胞外の領域であるN−末端は、RAGEのタンパク質分解により単離でき、VおよびC領域から成る水溶性RAGE(sRAGE)が生成される。
【0250】
RAGEは、ほとんどの組織で発現し、また特に、胚形成時に皮質性ニューロンで見られる(Hori et al., J. Biol. Chem., 270: 25752-761 (1995))。高いレベルのRAGEが、老化した組織でも見られ(Schleicher et al., J. Clin. Invest. 99 (3): 457-468 (1997))、また糖尿病性の網膜、血管構造および腎臓でも見られる(Schmidt et al., Nature Med., 1: 1002-1004 (1995))。異なった組織や器官でのRAGEの活性化により、多くの病態生理学的結果がもたらされる。RAGEは、急性および慢性の炎症(Hofmann et al.,
Cell, 97: 889-901 (1999))、血管浸透性の増大といった糖尿病性後期合併症の進行(Wautier et al., J. Clin. Invest., 97: 238-243 (1995))、腎障害(Teillet et al., J. Am. Soc. Nephrol., 11: 1488-1497 (2000))、アテローム性動脈硬化症(Vlassara et al., The Finnish Medical Society DUODECIM, Ann. Med., 28: 419-426 (1996))、および網膜症(Hammes et al., Diabetologia, 42: 603-607 (1999))などの多様な健康状態に関係してきた。また、RAGEは、アルツハイマー病(Yan et al., Nature, 382: 685-691 (1996))、勃起障害、および腫瘍の浸潤および転移(Taguchi et al., Nature, 405: 354-357 (2000))にも関係してきた。
【0251】
糖化最終産物(AGE)に加えて、他の化合物がRAGEに結合して、RAGEを調節できる。それゆえ、RAGEは、培養した胚性ニューロンにおける神経突起の増殖を介するポリペプチドの一つ、アンフォテリンと相互作用をする(Hori et al., J. Biol. Chem., 270: 25752-761 (1995))。また、RAGEは、実質的にカルグラニュリンと類似したタンパク質の一つ、EN−RAGEと相互に作用することがこれまでに示されている(Hofmann et al., Cell, 97: 889-901 (1999))。また、RAGEは、β−アミロイドと相互に作用することがこれまでに示されている(Yan et al., Nature, 389: 589-595 (1997); Yan et al., Nature, 382: 685-691 (1996); Yan et al., Proc. Natl.Acad. Sci., 94: 5296-5301 (1997))。
【0252】
アミロイド症は、アミロイドタンパク質の細胞外組織沈着物により特性化される疾患過程の異なった一群である。アミロイドは、ヨウ素とのデンプン様染色反応、コンゴ・レッドへの曝露時の特徴的染色的および光学的特性、示差的タンパク質原繊維構造ならびに細胞外分布により区別される。
【0253】
アミロイド沈着は原発性疾患であり得るし、あるいは別の病理学的状態に派生し得る。原発性アミロイド症は、中胚葉性組織、例えば末梢神経、皮膚、舌、関節および肝臓に影響を及ぼす傾向がある。二次アミロイド症は主に、実質性器官、例えば脾臓、肝臓、腎臓および副腎に影響を及ぼす。多数の疾患が異常α−アミロイドタンパク質に関連する。例えばAL(アミロイド軽鎖)アミロイド症は免疫グロブリン軽鎖の欠損を含み、そして原
発性アミロイド症、ならびに多発性骨髄腫に関連したアミロイド症で発生する。それに対して、AA(アミロイド関連)アミロイド症は、血清前駆体SAAから作られた非免疫グロブリンタンパク質を有する。この形態のアミロイド症は、主として長期にわたる炎症性疾患の合併症として起こる。
【0254】
その他の疾患は、付加的アミロイドタンパク質、例えばアルツハイマー病(AD)において一役を担うと思われるアミロイド−β(Aβ)により引き起こされる。Aβは、βAPPのタンパク質分解的処理により得られる39〜43残基ポリペプチドである。Aβは、単量体および二量体から複合凝集物およびコンゴ染料親和性原繊維までの範囲の広範な高分子アセンブリーを形成する(Pike et al., Neurosci. 13: 1676-1687 (1993); Haass
et al., Cell,75: 1039-1042 (1993))。
【0255】
RAGEに対する天然リガンドであるAGEは、Aβとの明らかな構造類似性を有さない。しかしながらRAGEとAGEまたはAβとの結合は、特異的分子相互作用に起因すると思われる。RAGEは、主としてVドメイン中の決定基を介して糖化最終産物(AGE)およびAβを結合し、サイトゾルタンパク質の会合(engagement)後のシグナル伝達メカニズムの引き金となる。AGEはRAGEと結合するが、RAGEと同様に誘導されたタンパク質、例えば酸化リポタンパク質、あるいはホルミル化またはマレイル化アルブミンの結合は認められない(Yan et al., J. Biol. Chem., 269: 9889-9897 (1994))。同様に、Aβ(1−40/42)はRAGEと結合するが、スクランブルAβ(1−40)および多数の無関連ペプチド、例えばランダムまたはβシート構造の同様の含量を有するものは、RAGEと結合しない。
【0256】
RAGEは、原繊維性血清アミロイドA(SAA)タンパク質、アミリン、プリオンペプチドおよびトランスチレチンとの相互作用により、アミロイド原性タンパク質/ペプチドまたは原繊維に対する標的としても役立ち得る(Yan et al., Nat. Med., 6: 643-651 (2000); Sousa et al., Lab. Invest., 80: 1101-1110 (2000); WO 01/12598)。RAGEは、サブユニットの組成(アミロイドβペプチド、Aβ、アミリン、血清アミロイドA、プリオン由来ペプチド)とは関係なく、βシート原繊維性物質と結合すると思われる(Yan, S.-D他 Nature, 382: 685-691 (1996); Yan, S-D他Nat. Med., 6: 643-651 (2000))。したがってRAGEは原繊維アセンブリーのための中心として役立ち、原繊維とRAGEとの結合はMAPキナーゼ経路のRAGE媒介性活性化に寄与する。例えば特異的抗体によるRAGEの遮断、または可溶性形態のRAGE(sRAGE)の使用は、原繊維と受容体との相互作用を抑制し、そして血漿および脾臓中のαアミロイド(SAA)の沈着として測定した場合、全身性アミロイド症を弱める(WO 01/12598)。さらにその他の研究は、in vivoで脳内皮でRAGEに結合するAβは、中枢神経系への循環Aβの運搬を増大するということを、そしてこの運搬がsRAGEおよび抗RAGE IgGを用いて抑制され得るということ(US2002/0116725)を、ならびにRAGEと結合するAβがRAGE媒介性細胞活性化の活性化を引き起こし得る(WO 97/26913)ということを示す。したがってsRAGEおよび抗RAGE抗体は、AβとRAGEとの結合を、ならびにRAGE誘導性細胞ストレスのいくつかの態様を抑制し得る(WO 97/26913)。
【0257】
さらにまたアミロイドの沈着は、RAGEの発現増大を生じ得る。例えばアルツハイマー病(AD)患者の脳においては、RAGE発現がニューロンおよび神経膠で増大する(Yan, S.-D., et al., Nature, 382: 685-691 (1996))。しかしながらRAGEとのAβ相互作用の結果は、ニューロンと小神経膠細胞とでは全く異なると思われる。小神経膠細胞は、運動性増大およびサイトカインの発現により反映されるように、Aβ−RAGE相互作用の結果として活性化されるようになるが、一方、早期RAGE媒介性ニューロン活性化は、後に細胞傷害性に取って代られる。
【0258】
RAGEアンタゴニストはプラーク容積を低減する
Aβペプチドおよび/またはアミロイド含有原繊維とRAGEとの相互作用は細胞レベルでのその後の分子事象の引き金となり得る、ということを複数の研究が示唆しているが、一旦プラークが形成された後に高分子レベルでプラーク形成を低減するRAGEアンタゴニストの能力を調べた研究はない。RAGEアンタゴニストは、アミロイドプラーク形成を抑制するための、そして既存のアミロイドプラークのサイズを低減するための治療薬としてin vivoで用いられ得る、と本発明は認識する。一実施形態では、プラークサイズの改善は、アルツハイマー病に伴う認知損失の改善に関連する。
【0259】
例えば図1に示したように、RAGEアンタゴニスト実施例Aおよび実施例Bの腹腔内注射または経口投与は、確立された後期アルツハイマー病(AD)のAPPトランスジェニックマウスモデルにおけるプラーク形成を低減する。APPトランスジェニックマウスモデルでは、ADは約6ヶ月までに発症し始める。12月齢APPトランスジェニックマウスへの3ヶ月間(即ち15月齢まで)の、10mg/kg/日の用量での実施例Aの、または5mg/kg/日の用量での実施例Bの腹腔内(i.p.)注射は、生理食塩水を注射された年齢適合ADマウスと比較して、プラーク形成を低減する(図1、パネルAおよびパネルBは、15ヶ月(15m)対照を実施例A(i.p.)および実施例B(i.p.)と比較する)。さらにまた、12月齢で開始し、15月齢まで継続された実施例A(20mg/kg/日)の経口(p.o.)投与は、15月齢対照と比較して、プラーク形成を有意に低減する(図1)。
【0260】
一実施形態では、処置群(図1A)に関して、または個々の被検体(図1B)に関して測定した場合の脳中のAβプラークレベルは、有意に低減される。したがって一実施形態では、10mg/kg/日(i.p.)の用量での、または20mg/kg/日(p.o.)の用量でのRAGEアンタゴニスト実施例Aによる処置は、それぞれ63%および47%のプラーク容積の低減を生じる。さらにまた5mg/kg/日(i.p.)の用量でのRAGEアンタゴニスト実施例Bによる処置は、42%のプラーク容積の低減を生じる。
【0261】
一実施形態では、RAGEアンタゴニストは、Aβ沈着の進行を停止し得るだけでなく、その過程を改善し得る。したがって実施例A(10mg/kg/日 i.p.)で処置されたマウスに関するプラーク容積は、実際に開始(12m)プラーク容積より小さい(図1)。
【0262】
さらにまた、一実施形態では、RAGEアンタゴニストはADの早期におけるAβプラークの形成を防止する。したがって一実施形態では、5mg/kg/日のRAGEアンタゴニスト実施例B、実施例Cおよび実施例Dの注射によるADの早期の6月齢APPトランスジェニックマウスの90日間(9月齢まで)の処置は、脳におけるAβアミロイドの有意の低減を生じる(図2)。低減は、処置群(図2A)全体で、ならびに個々の被検体(図2B)に関して見い出すされる。
【0263】
RAGEアンタゴニストは認知機能を改善する
一実施形態では、RAGEアンタゴニストはアミロイド沈着に伴って観察される行動作用も低減し、改善する。例えば確立されたまたは後期ADを有する12月齢APPトランスジェニックマウスのRAGEアンタゴニスト実施例Aおよび実施例Bによる3ヶ月間(15月齢まで)の治療は、ビヒクル対照と比較して、認知損失を低減する。
【0264】
したがって図3に示したように、10mg/kg/日(i.p.)または20mg/kg/日(p.o.)の用量での実施例Aによる、あるいは5mg/kg/日(i.p.)
の用量での実施例Bによる処置は、ビヒクルのみで処置したマウス(15m)と比較して、モリスの水迷路中の隠れ安全プラットホームをマウスが見つけ出すのに要する時間として測定した場合、認知を改善する(図3)。一実施形態では、RAGEアンタゴニスト実施例Aは、15月齢ビヒクル動物と比較して待ち時間の低減を示すだけでなく、12月齢対照動物と比較しても低減を示すが、このことは、この治療プロトコルがマウスにおけるアルツハイマー病の進行を防止するだけでなく、疾患を実際に改善することを示す(図3)。
【0265】
さらにまた一実施形態では、RAGEアンタゴニストは、ADの早期における被検体の認知損失を低減する。したがって一実施形態では、5mg/kg/日のRAGEアンタゴニスト実施例B、実施例Cおよび実施例Dの注射によるADの早期の6月齢APPトランスジェニックマウスの3ヶ月間(9月齢まで)の処置は、ビヒクル処置対照と比較して、学習に関する待ち時間(水迷路中の隠れ安全プラットホームをマウスが見つけ出すのに要する時間として測定)の低減を生じる。低減は、処置群(図4A)および個々の被検体(図4B)に関して見い出すされる。
【0266】
治療薬
本発明はさらに、本発明のRAGE調節化合物を含む薬学的組成物を提供する。一実施形態では、RAGEアンタゴニストの投与は、アンタゴニストが血液脳関門を透過し得るので、種々の経路を用い得る。したがって本発明のRAGEアンタゴニストの投与は、腹腔内注射を用い得る。あるいはRAGEアンタゴニストは、経口的にまたはエーロゾルとして投与され得る。別の実施形態では、化合物の投与は、静脈内である。別の実施形態では、RAGEアンタゴニストは皮下注射されるか、または皮膚を通して吸着される。例えば一実施形態では、投与方法は経皮パッチによる。また投与は、徐放性カプセルを用い得る。別の実施形態では、化合物の投与は動脈内である。別の実施形態では、化合物の投与は舌下である。さらに別の実施形態では、薬剤の投与は、座薬などにより、経直腸的である。
【0267】
「薬学的組成物」という用語は、慣用的非毒性担体、希釈剤、アジュバント、ビヒクル等を含有する単位投薬量処方物中で、例えば経口的に、非経口的に、局所的に、吸入噴霧により、または直腸的に、哺乳類宿主に投与され得る組成物を意味するのに本明細書中で用いられる。「非経口的」という用語は、本明細書中で用いる場合、皮下注射、静脈内、筋肉内、槽内注射、または注入技法によることを包含する。
【0268】
本発明の化合物を含有する薬学的組成物は、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性若しくは油性懸濁液、分散性粉末若しくは顆粒、乳濁液、硬質若しくは軟質カプセルまたはシロップ若しくはエリキシル剤として、経口使用に適した形態であり得る。経口使用を意図された組成物は、任意の既知の方法によって調製され、このような組成物は、薬学的に洗練された且つ口に合う製剤を提供するために甘味剤、風味剤、着色剤および防腐剤から成る群から選択される1つまたは複数の作用物質を含有し得る。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容可能な賦形剤と混合して活性成分を含有し得る。これらの賦形剤は、例えば:不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒および崩壊剤、例えばコーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム;および滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。錠剤は被覆されないか、またはそれらは、消化管内での崩壊および吸収を遅延して、それにより長期間に亘る持続作用を提供するために、既知の技法により被覆され得る。例えば時間遅延物質、例えばモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルが用いられ得る。錠剤は、米国特許第4,356,108号、同第4,166,452号および同第4,265,874号に記載された技法によっても被覆され得、制御放出のための浸透性治療錠剤
を生成し得る。
【0269】
経口使用のための処方物は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合される硬質ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水または油性媒質、例えば落花生油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合される軟質ゼラチンカプセルとしても提示され得る。
【0270】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された活性化合物を含有し得る。このような賦形剤は、沈殿防止剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムである。分散剤または湿潤剤は、天然ホスファチド、例えばレシチンまたはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合産物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、若しくはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物、例えばヘプタデカエチル−エネオキシセタノール、若しくはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール由来の部分エステルとの縮合産物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、若しくはエチレンオキシドと脂肪酸および無水ヘキシトール由来部分エステルとの縮合産物、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンであり得る。水性懸濁液は、1つまたは複数の着色剤、1つまたは複数の風味剤および1つまたは複数の甘味剤、例えばスクロースまたはサッカリンも含有し得る。
【0271】
油性懸濁液は、植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油中に、または鉱油、例えば液体パラフィン中に活性成分を懸濁することにより処方され得る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、硬質パラフィンまたはセチルアルコールを含有し得る。例えば上記の甘味剤、および風味剤は、口に合う経口製剤を提供するために付加され得る。これらの組成物は、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸の付加により保存され得る。
【0272】
水の付加により水性懸濁液の調製に適した分散性粉末および顆粒は、分散または湿潤剤、沈殿防止剤および1つまたは複数の防腐剤と混合された活性化合物を提供する。適切な分散または湿潤剤および沈殿防止剤は、上記のものにより例示される。付加的賦形剤、例えば甘味剤、風味剤および着色剤も存在し得る。
【0273】
本発明の薬学的組成物は、水中油型乳濁液の形態でもあり得る。油性相は、植物油、例えばオリーブ油若しくは落花生油、または鉱油、例えば液体パラフィン、またはそれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えばアカシアゴムまたはトラガカントゴム、天然ホスファチド、例えばダイズまたはレシチン、ならびに脂肪酸および無水ヘキシトール由来のエステルまたは部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、ならびに上記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合産物、例えばポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタンであり得る。乳濁液は、甘味剤および風味剤も含有し得る。
【0274】
シロップおよびエリキシル剤は、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースを用いて処方され得る。このような処方物は、粘滑剤、防腐剤ならびに風味および着色剤も含有し得る。薬学的組成物は、滅菌注射用水性または油性懸濁液の形態であり得る。この懸濁液は、上記の適切な分散または湿潤剤および沈殿防止剤を用いて、既知の方法に従って処方され得る。滅菌注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液でもあり得る。用いられ得る許容可能なビヒクルおよび溶媒としては、水、リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液が挙げられる。さらに滅菌不揮発性油は、溶媒または懸濁媒質として便利に用いられる。この目的のために、任意の口当たりのよい不揮発性油は、合成モノまたはジグリセリドを用いて、用いられ得る。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸は、注射用剤の調製に用途を見い出す。
【0275】
組成物は、本発明の化合物の直腸投与のための座薬の形態でもあり得る。常温では固体であるが、直腸温度では液体であり、したがって直腸中で融解して、薬剤を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬剤とを混合することにより、これらの組成物は調製され得る。このような物質としては、例えばココアバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0276】
局所使用のために、本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液等が意図される。この適用目的のため、局所外用薬としては、マウスウォッシュおよびうがい液が挙げられる。本発明の化合物は、リポソーム送達系、例えば小型単層小胞、大型単層小胞および多層小胞の形態でも投与され得る。リポソームは、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンから形成され得る。
【0277】
塩基性または酸性基が構造中に存在する本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩も、本発明の範囲内に含まれる。「薬学的に許容可能な塩」という用語は、遊離塩基を適切な有機または無機酸と反応させることにより、または酸を適切な有機または無機塩基と反応させることにより、一般的に調製される本発明の化合物の非毒性塩を指す。代表的塩としては、以下の塩が挙げられる:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、硫酸水素塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシラート、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシラート、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプタート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニラート、ヘキシルレゾルシナート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物、イセチオネート、乳酸塩、ラクトビオネート、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、マレイン酸一カリウム、ムケート(Mucate)、ナプシラート、硝酸塩、N−メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム、サリチル酸塩、ナトリウム、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド、トリメチルアンモニウムおよび吉草酸塩。酸性置換基、例えば−COOHが存在する場合、剤形として用いるためにアンモニウム、モルホリニウム、ナトリウム、カリウム、バリウムおよびカルシウム塩等が形成され得る。塩基性基、例えばアミノ、または塩基性ヘテロアリールラジカル、例えばピリジルが存在する場合、酸性塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、ピルビン酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩およびピクリン酸塩等が生成される。
【0278】
薬学的に許容可能でないその他の塩は、本発明の化合物の調製に有用であり得、これらは本発明のさらなる態様を構成する。
【0279】
本発明のプロドラッグも本発明により提供される。さらに、本発明の化合物のいくつかは、水または一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成し得る。このような溶媒和物も、本発明の範囲内に包含される。したがってさらなる実施形態では、本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ、および1つまたは複数の薬学的に許容可能な担体、賦形剤若しくは希釈剤を含む薬学的組成物が提供される。
【0280】
本発明の化合物は、アルツハイマー病およびアミロイド症により引き起こされるその他の疾患(disorder)、例えばALアミロイドまたはAAアミロイドプラークの過剰沈着により特徴付けられる疾患の治療において有益である、単一内因性リガンドとの結合により
、RAGEのモジュレーターとして作用し得る。
【0281】
さらに本発明の化合物は、他のものに比べて2つまたはそれ以上の内因性リガンドとのRAGE相互作用のモジュレーターとして作用し得る。このような化合物は、RAGEにより媒介される関連または非関連病態、例えばアルツハイマー病およびその他のRAGE媒介性疾患の治療に有益である。
【0282】
さらに本発明の化合物は、そのリガンドの各々および全て結合するRAGEのモジュレーターとして作用し得る。一実施形態では、本発明の化合物は、RAGEの下流作用、例えばサイトカインIL−1およびTNF−αによるNF−κB調節遺伝子の活性化を防止する。したがってRAGEとの多数の生理学的リガンドの結合は多数の病理生理学的結果を防止し、且つアルツハイマー病およびその他のRAGE媒介性疾患をもたらすAGE−RAGE相互作用の処置または治療に有用である。
【0283】
本発明の方法および組成物の実施形態に関して、有効量を構成するものに影響を及ぼす因子は、治療されている被験体または個体のサイズおよび重量、治療薬の生分解性、治療薬の活性ならびにその生物学的利用能に応じるであろう。本明細書中で用いる場合、治療される「被験体」または「個体」としては、1つまたは複数の上記の疾患または疾患状態に罹患しているかまたはこのような危険にさらされている哺乳類被験体、好ましくはヒトが挙げられる。したがって本発明の治療方法の情況では、この方法は、予防的方法で、またはこのような疾患(単数または複数)または疾患状態(単数または複数)の診断の開始前に、哺乳類被験体を治療することも包含する。
【0284】
本発明のさらなる態様では、本発明のRAGEモジュレーターは、アジュバント療法、または他の既知の治療薬との組合せ治療的処置において利用される。
【0285】
以下は、本発明のRAGEモジュレーターとの組合せに利用され得るアジュバントおよび付加的治療薬の非網羅的一覧である。
ALアミロイド症に用いる抗癌薬の薬理学的分類
1.アルキル化剤:シクロホスファミド、ニトロソ尿素、カルボプラチン、シスプラチン、プロカルバジン
2.抗生物質:ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン
3.代謝拮抗薬:メトトレキセート、シタラビン、フルオロウラシル
4.植物アルカロイド:ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、パクリタキセル5.ホルモン:タモキシフェン、酢酸オクトレオチド、フィナステリド、フルタミド
6.生物学的反応修飾物質:インターフェロン、インターロイキン
AAアミロイド症に用いる慢性間接リウマチ(炎症)に対する治療の薬理学的分類
1.鎮痛薬:アスピリン
2.NSAID(非ステロイド系抗炎症薬):イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク
3.DMARD(疾患修飾性抗リウマチ薬):メトトレキセート、金製剤、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン
4.生物学的反応修飾物質、DMARD:エタネルセプト、インフリキシマブ、糖質コルチコイド
アルツハイマー病およびAβアミロイド症のその他の疾患に対する治療の薬理学的分類
1.コリンエステラーゼ阻害薬:タクリン、ドネペジル
2.抗精神病薬:ハロペリドール、チオリダジン
3.抗うつ薬:デシプラミン、フルオキセチン、トラゾドン、パロキセチン
4.鎮痙薬:カルバマゼピン、バルプロ酸
【0286】
したがってさらなる好ましい実施形態では、本発明は、アミロイド症の疾患を治療する方法および組成物であって、それを必要とする被験体に、治療的有効量のRAGEアンタゴニストの化合物を、アルキル化剤、代謝拮抗薬、植物アルカロイド、抗生物質、ホルモン、生物学的反応修飾物質、鎮痛薬、NSAID、DMARD、糖質コルチコイド、スルホニル尿素、ビグアニド、インスリン、コリンエステラーゼ阻害薬、抗精神病薬、抗うつ薬および鎮痙薬を含む治療薬と組合せて投与することを包含する方法および組成物を提供する。
【0287】
一実施形態では、RAGEアンタゴニストを含む組成物は、約0.01〜500mg/kg/日の範囲のアンタゴニストの用量レベルで投与され、代替的投薬量は、0.01〜200mg/kg/日、または0.1〜100mg/kg/日、または5〜20mg/kg/日の範囲である。1回投薬量を生成するために担体物質と組合せられ得る活性成分の量は、治療される宿主および特定の投与方式に応じるであろう。例えばヒトへの経口投与を意図された処方物は、1mg〜2gのRAGEアンタゴニスト、例えば実施例A、実施例B、実施例Cまたは実施例Dのように、総組成物の約5%から95%まで変わり得る適切且つ便利な量の担体物質とともに含有し得る。単位剤形は、一般に約5mg〜約500mgの活性成分を含有する。投薬量は、治療されている被験体の特定の臨床状態に基づいて個別化され得る。したがって、任意の特定の被験体に対して特異的な投薬レベルは、種々の因子、例えば用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、全身健康状態、性別、食餌、投与時間、投与経路、排泄率、薬剤組合せおよび治療を受けている特定の疾患の重症度に応じると理解されるであろう。
【実施例】
【0288】
実施例1:小分子RAGEアンタゴニスト
実施例2〜6に用いられる式(I)のRAGEアンタゴニストを以下に示す。
【0289】
【表1】

【0290】
実施例2:方法および材料
A.試験計画
これらの実験のために、マウスAβペプチドアミロイド症のアミロイド前駆体タンパク質(APP)トランスジェニックモデルを用いた。これらの動物は、約6月齢でアミロイドプラークを発症し始める。腹腔内注射(i.p.)により、または経口的(p.o.;経口)に、90日間毎日、ビヒクルまたは試験化合物をAPPトランスジェニックマウスに投与した。早期ADの試験では、治療は、動物が6月齢(25g)(まさに生成し始めたプラークを有する)になったときに開始し、動物が9月齢になるまで継続した。確立されたADの試験では、治療は12月齢(35g)で開始し、動物が15月齢になるまで継続した。実験終了時に、動物を屠殺し、脳中のAβプラーク量(即ちプラーク容積)に関して検査した。
【0291】
B.in vivo方法
実験前および実験中、適齢の雌雄のAPPトランスジェニックマウス(Molecular Therapeutics, Inc.)に餌および水を自由に摂取させた。動物に、ビヒクル(生理食塩水)または試験化合物実施例A(i.p.またはp.o.)または実施例B(i.p.)を、5〜20mg/kg/日の範囲の用量で投与した。あるいは試験化合物実施例B、実施例Cおよび実施例Dを、5mg/kg/日で、腹腔内注射により投与した。試験化合物を生理食塩水中に再懸濁して、動物の体重に基づいて5〜20mg/kgを送達した。
【0292】
C.マウスAPPトランスジェニックマウス
血小板由来成長因子B(PDGF−B)鎖遺伝子プロモーターの制御下でのマウス卵中へのヒトAPP遺伝子のマイクロインジェクションにより、本実験に用いるAPPマウスを生成した(Games他、Nature, 373: 523-527 (1995))。この構築物から生成されるマウスは、6月齢で開始するアミロイド沈着物を発症する。これらの実験では、動物を6または12ヶ月間年を取らせて、次に選定した実験プロトコル下に90日間保持して、アミロイド定量のために屠殺した。
【0293】
D.アミロイド負荷測定
組織学的検査のために、ペントバルビタールナトリウム(50mg/kg)の腹腔内注射により動物を麻酔した。氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(4℃)(10mMのNaPO4、pH7.2、100mMのNaCl)を、その後4%パラホルムアルデヒドを用いて、経心臓的に動物に還流した。脳を取り出して、4%パラホルムアルデヒド中に一晩入れた。脳を処理し、パラフィン中に包埋した。脳全体の10枚の連続30μm厚切片を得た。組織切片を脱パラフィン処理し、トリス緩衝生理食塩水(TBS)、pH7.4(10mMのトリス、pH7.5;100mMのNaCl)中で洗浄し、適切な血清(マウス)中でブロックした。切片を4℃で一晩ブロックし、次にAβペプチド(Signet)と結合する4G8マウスモノクローナル一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした。切片をTBS中で洗浄し、二次抗体を付加して、室温で1時間インキュベートした。洗浄後、切片をベクターABCエリートキットで指示されたようにインキュベートし、ジアミノ安息香酸(DAB)で染色した。反応を水中で停止させて、キシレンで処理し、カバーガラスを付けた。クイックキャプチャー・フレームグラバーカードを装備したパワーマッキントッシュコンピューター、オリンパス顕微鏡上に取り付けた日立CCDカメラ、カメラスタンドおよびNIH画像分析ソフトウエア(v.1.55)から成るコンピューター支援画像分析システムを用いて、各切片のアミロイド領域を測定した。画像を捕獲し、アミロイドの全体領域を10枚の切片全体で測定した。処置状態を伏せられた単一オペレーターが、全測定を実施した。切片のアミロイド容積を合計し(切片に対するアミロイド%として測定)、切片の総数で割って、脳中のアミロイド容積(%)を算定した。
【0294】
E.行動分析
認知機能の測定として、水迷路試験を用いた。1.2メートル開放野外水迷路で、マウスを訓練した。プールに20cmの深さに水を入れて、25℃に保持した。逃避用プラットホーム(直径10cm)を水面下1cmに配置した。トライアル中は、プラットホームはプールから除去した。
【0295】
指示訓練期間の間は、プラットホームに10cm×1cmの黒く塗った棒で印を付けた。あらゆる迷路外指示物を隠すために、白色カーテンで取り囲んだプールで、指示試験を実行した。全動物が3連続日間の非空間的予備訓練(NSP)を受けた。訓練および学習試験中、カーテンを余分な迷路指示のために取り外した(これは、水泳障害を有する動物の同定を可能にした)。
【0296】
最初に、マウスを隠しプラットホーム上に20秒間載せた(トライアル1)。トライアル2および3に関しては、動物を指示プラットホームまたは隠しプラットホーム(トライアル4)から10cmの距離で水中に放して、プラットホームの方に泳がせた。トライアル2日目に、隠しプラットホームをプールの中央または各四半部の中央の間に無作為に動かした。無作為に壁に面して動物をプールに放して、プラットホームに到達するのに90秒間与えた。3日目に、動物に、隠しプラットホーム有りが2回と指示プラットホーム有りが1回の、計3回のトライアルを与えた。
【0297】
NSPの2日後に、動物を行動試験に付した。これらの試験に関しては、プラットホームをプールの四半部の一区画の中央に配置し、動物を壁に面して無作為に放した。60秒間、動物にプラットホームを見つけさせるかまたは泳がせた。
【0298】
F.統計学的分析
結果を平均±標準偏差(SD)として表す。t検定を用いて、有意性を分析した。
【0299】
G.試験からの動物の排除
動物は、いくつかの判定基準に基づいて、試験から排除されるべきである。
1.試験完了前(任意の時点)に死亡した動物
2.化合物の投与後に重症合併症を発症した動物
【0300】
H.処置群
全群を実験化合物に付すか、または対照にした。確立されたADの試験に関しては、各々12月齢の合計38匹の動物を、ビヒクルまたは試験化合物の投与に付した(1表)。さらに、第5群の動物を、零時点として12月齢で査定したが、これが、これらのマウスがアミロイドプラークの有意の発症を示し始める時点であるためであった。これらの動物は、出発点対照を提供した。
【0301】
1表:3ヶ月間処置した12月齢AD動物のAPPマウスモデル
【表2】

【0302】
早期ADの試験に関しては、8匹のマウス(各々6月齢)をビヒクルで処置し、32匹のマウス(各々6月齢)(8匹/処置群)には、5mg/kg/日の実施例B、実施例Cまたは実施例Dを毎日注射した(i.p.、3ヶ月間)。
【0303】
実施例3:確立されたADを有するマウスにおけるAβアミロイド症に及ぼすRAGEアンタゴニストの作用
アミロイド負荷/マウスを、APPトランスジェニックマウスから決定した。ビヒクルまたはRAGEアンタゴニスト実施例A若しくは実施例Bを投与したAβアミロイドを有
するマウスからのデータを調べた。
【0304】
このマウスモデルでは、ADは約6〜12月齢までに発症し始める。確立されたADを有する12月齢APPトランスジェニックマウスへの、3ヶ月間(即ち15月齢まで)の、10mg/kg/日の用量の実施例A、5mg/kg/日の用量の実施例Bの腹腔内(i.p.)注射は、生理食塩水を注射した齢が同じ(age-matched)ADマウスと比較して、プラーク形成を低減した(2表)。図1は、生理食塩水を注射した齢が同じADマウス(15m対照)と比較した場合の、実施例Aまたは実施例Bを注射したADマウスに関するプラークの低減を示す(図1:15月齢(m)対照と実施例A(i.p.)および実施例B(i.p.)を比較する)。また、12月齢で開始して、15月齢までの3ヶ月間継続した実施例A(20mg/kg/日)の経口(p.o.)投与は、15月齢対照と比較して、プラーク形成を有意に低減した。
【0305】
したがって、ビヒクル注射群と比較して、RAGEアンタゴニストで処置した全群において、脳アミロイド負荷は有意に低減された。群(図1A)に関して、または個々の動物(図1B)に関して測定した場合の脳中のAβペプチドレベルは、有意に低減されるということが判明した。したがって10mg/kg/日の用量(i.p.)または20mg/kg/日の用量(p.o.)の実施例Aにより処置したマウスは、それぞれ63%および47%のプラーク容積の低減を示した。また5mg/kg/日(i.p.)の用量の実施例Bで処置したマウスは、42%のプラーク容積の低減を示した(2表)。
【0306】
実施例A(i.p.)は、他の処置と比較した場合、アミロイド負荷の低減においてより大きな変化を示した。興味深いことに、実施例A(i.p.)は、12月齢時点と比較して、アミロイド負荷の容易に評価可能な改善も実証したが、これは、この処置が実際に既存の的プラークの容積を低減するということを示す。したがって実施例A(i.p.)により治療されるマウスに関するプラーク容積は、疾患の12月齢時点の動物として測定される出発プラーク容積より実際には低かった(図1)。試験中の死亡は認められなかった。
【0307】
2表:RAGEアンタゴニストによる治療時の脳中のアミロイドの低減%
【0308】
【表3】

【0309】
実施例4:早期ADマウスにおけるAβアミロイド症に及ぼすRAGEアンタゴニストの作用
これらの実験では、早期ADを有する9月齢APPトランスジェニックマウスに関して、アミロイド負荷/マウスを決定した。この実験では、生理食塩水ビヒクルまたは生理食塩水中の5mg/kg/日のRAGEアンタゴニスト化合物(実施例B、実施例Cまたは実施例D)を3ヶ月間(6ヶ月齢に開始)、APPトランスジェニックマウスに注射した(i.p.)。
【0310】
ビヒクル注射群と比較して、脳中のアミロイド負荷は、処置群のすべてにおいて、種々の程度に、有意に低減された(図2および3表)。この試験中に死亡は認められなかった。
【0311】
3表:脳中のアミロイドの低減%(5mg/kg/日でのi.p.注射)
【0312】
【表4】

【0313】
実施例5:確立されたADを有するマウスにおける行動測定に及ぼす化合物の投与の作用
実施例Aおよび実施例Bによる処置の行動作用を、15月齢APPトランスジェニックマウス(12月齢の零時点で確立されたADを有するマウス)で決定した。治療プロトコル(上記のような生理食塩水、実施例Aまたは実施例Bによる3ヶ月間の12月齢AAPトランスジェニックマウスの注射を包含する)の終了時に、マウスをモリス水迷路タスク(Morris他、Nature, 297: 681-683 (1982))に付し、隠しプラットホームをマウスが見つけ出す待ち時間を決定した。4表に示したように、RAGEアンタゴニスト化合物実施例Aおよび実施例B(i.p.またはp.o.)による処置は、15月齢ビヒクル対照と比較した場合、プラットホームをマウスが見つけ出す待ち時間を低減した。
【0314】
したがって、12月齢で開始し15月齢までの10mg/kg/日の用量の実施例Aまたは5mg/kg/日の用量の実施例Bの腹腔内(i.p.)注射は、確立されたADを有するマウスにおける認知を改善した(図3:15月齢(15m)対照と実施例A(i.p.)および実施例B(i.p.)を比較する)。また、12月齢で開始して15月齢までの実施例A(20mg/kg/日)の経口(p.o.)投与は、15月齢対照と比較して、プラットホームをマウスが見つけ出す待ち時間を有意に低減した(図3)。
【0315】
したがって、10mg/kg/日の用量(i.p.)または20mg/kg/日の用量(p.o.)の実施例Aにより処置したマウスは、それぞれ24%および11%の学習に関する待ち時間の低減を示した(4表)。また5mg/kg/日(i.p.)の用量の実施例Bで処置したマウスは、8%の学習に関する待ち時間の低減を示した(4表)。これらの変化は、統計学的に有意であることが判明した(ビヒクル対照と比較した場合、全ての試験項目群に関してp<0.0001)。
【0316】
またRAGEアンタゴニスト実施例Aは、10mg/kg/日の用量(i.p.)で投与された場合、15月齢対照と比較して待ち時間低減を示すだけでなく、12月齢対照動物と比較した場合も待ち時間低減を示した(図3)。したがって実施例Aは、出発時点(12月齢)でのレベルより良好なレベルに認知機能を改善したが、このことは、確立されたADを有するマウスにおいて、RAGEアンタゴニスト実施例Aがアミロイド沈着を低
減するだけでなく、アミロイド沈着に伴う認知損失を少なくとも部分的に改善したことを示す。
【0317】
全体的に結果は、RAGEアンタゴニストがアミロイド形成の過程を遅らせ、且つアミロイド沈着および関連する行動欠損の過程を改善し得るということを示唆する。
【0318】
4表:化合物で処置したAPPトランスジェニックマウスにおける行動待ち時間
【0319】
【表5】

【0320】
実施例6:早期ADマウスにおける行動測定値に及ぼす化合物の投与の作用
RAGEアンタゴニスト実施例B、実施例Cおよび実施例Dによる処置の行動作用を、早期ADを有する9月齢APPトランスジェニックマウスを用いて決定した。治療プロトコル(生理食塩水ビヒクルまたは生理食塩水中の5mg/kg/日のRAGEアンタゴニスト実施例B、実施例Cおよび実施例Dによる3ヶ月間の、6月齢AAPトランスジェニックマウスの注射を包含する)の終了時に、マウスをモリス水迷路タスク(Morris他、Nature, 297: 681-683 (1982))に付し、隠しプラットホームをマウスが見つけ出す待ち時間を決定した。5表に示したように、RAGEアンタゴニスト実施例B、実施例Cおよび実施例Dによる処置は、ビヒクル対照と比較した場合、プラットホームをマウスが見つけ出す待ち時間を低減した。これは、RAGEアンタゴニストがアミロイド形成に対して防御するだけでなく、アミロイド沈着に伴う認知損失からも動物を防御するということを示す。
【0321】
5表:化合物で処置したAPPトランスジェニックマウスにおける行動待ち時間
【0322】
【表6】

【0323】
したがってこの試験は、小有機分子RAGEアンタゴニストを、ADの早期のマウス(6月齢APPトランスジェニックマウス)、またはADの後期のマウス(12月齢APPトランスジェニックマウス)に投与した場合、アミロイド症ならびにアミロイドプラーク
形成に伴う行動欠損を低減することができるだけでなく、改善することさえできるということを示す。これらのデータは、RAGEアンタゴニストがアミロイド疾患の治療のための実行可能な候補であるということを示す。
【0324】
ある種の好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明し、例証してきたが、本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、種々の変更、修正および置換がその中でなされ得る、と当業者は理解するであろう。例えば本明細書中に記述されたような好ましい投薬量以外の有効投薬量は、アミロイド症の状態および疾患に関して治療されている哺乳類の反応性の変異の結果として適用可能である。同様に、観察された特定の薬理学的反応は、選択される特定の活性化合物、または薬学的担体が存在するか否か、ならびに用いられる処方物の種類および投与方式に応じてまたはそれらによって変わり得るし、結果におけるこのような予期される変異または差異は、本発明の目的および実施によって意図される。
【図面の簡単な説明】
【0325】
【図1A】本発明の一実施形態による後期アルツハイマー病(AD)のAPPマウスモデルにおけるアミロイドβ(Aβ)沈着に及ぼすRAGEアンタゴニスト化合物実施例Aおよび実施例Bの作用を例示する。図1Aは各実験群に関する結果を示す。生理食塩水ビヒクルまたは生理食塩水中のRAGEアンタゴニストの投与は、12月齢(12m)に開始し、15月齢(15m)まで継続した。指示通りに5mg/kg/日〜20mg/kg/日の範囲の用量で、腹腔内注射(i.p.)により、または経口的(p.o.)に、RAGEアンタゴニスト化合物を投与した。動物を15ヶ月目(90日目)に屠殺し、免疫組織化学により処理して、アミロイド量を決定した。15m対照は100μlの生理食塩水/マウス/日を注射したマウスに対応し、12m対照は零時点として用いた12月齢AAPマウスに対応する。ビヒクル対照と比較した場合、全群に関してp<0.001。
【図1B】本発明の一実施形態による後期アルツハイマー病(AD)のAPPマウスモデルにおけるアミロイドβ(Aβ)沈着に及ぼすRAGEアンタゴニスト化合物実施例Aおよび実施例Bの作用を例示する。図1Bは個々の動物の各々に関する結果を示す。生理食塩水ビヒクルまたは生理食塩水中のRAGEアンタゴニストの投与は、12月齢(12m)に開始し、15月齢(15m)まで継続した。指示通りに5mg/kg/日〜20mg/kg/日の範囲の用量で、腹腔内注射(i.p.)により、または経口的(p.o.)に、RAGEアンタゴニスト化合物を投与した。動物を15ヶ月目(90日目)に屠殺し、免疫組織化学により処理して、アミロイド量を決定した。15m対照は100μlの生理食塩水/マウス/日を注射したマウスに対応し、12m対照は零時点として用いた12月齢AAPマウスに対応する。ビヒクル対照と比較した場合、全群に関してp<0.001。
【図2A】本発明の一実施形態による初期アルツハイマー病(AD)のAPPマウスモデルにおけるAβ沈着に及ぼすRAGEアンタゴニスト化合物実施例B、実施例Cおよび実施例Dの作用を例示する。図2Aは各実験群に関する結果を示す。ビヒクル(生理食塩水)またはRAGEアンタゴニスト化合物を、指示化合物の5mg/kg/日の腹腔内(i.p.)注射により投与し、6月齢に開始して、9月齢(15m)まで90日間継続した。動物を90日目に屠殺し、処理して、アミロイド量を決定した。ビヒクル対照と比較した場合、全化合物群に関してp<0.001。
【図2B】本発明の一実施形態による初期アルツハイマー病(AD)のAPPマウスモデルにおけるAβ沈着に及ぼすRAGEアンタゴニスト化合物実施例B、実施例Cおよび実施例Dの作用を例示する。図2Bは個々の動物の各々に関する結果を示す。ビヒクル(生理食塩水)またはRAGEアンタゴニスト化合物を、指示化合物の5mg/kg/日の腹腔内(i.p.)注射により投与し、6月齢に開始して、9月齢(15m)まで90日間継続した。動物を90日目に屠殺し、処理して、アミロイド量を決定した。ビヒクル対照と比較した場合、全化合物群に関してp<0.001。
【図3】本発明の一実施形態によって、モリスの水迷路中の隠しプラットホームを見つけ出す待ち時間として測定される、確立された後期ADを有するマウスにおける認知に及ぼすRAGEアンタゴニスト化合物実施例Aおよび実施例Bの作用を例示する。用いたマウスは、図1に示したアミロイド負荷の決定に用いたものと同じマウスであり、認知機能を測定後、屠殺した。ビヒクル対照と比較した場合、全化合物群に関してp<0.001。
【図4A】本発明の一実施形態によって、モリスの水迷路中の隠しプラットホームを見つけ出す待ち時間として測定される、初期ADマウスにおける認知に及ぼすRAGEアンタゴニスト化合物実施例B、実施例Cおよび実施例Dの作用を例示する。図4Aは各実験群に関する結果を示す。用いたマウスは、図2に示したアミロイド負荷の決定に用いたものと同じマウスであり、認知機能を測定後、屠殺した。ビヒクル対照と比較した場合、化合物群に関してp<0.001。
【図4B】本発明の一実施形態によって、モリスの水迷路中の隠しプラットホームを見つけ出す待ち時間として測定される、初期ADマウスにおける認知に及ぼすRAGEアンタゴニスト化合物実施例B、実施例Cおよび実施例Dの作用を例示する。図4Bは個々の動物の各々に関する結果を示す。用いたマウスは、図2に示したアミロイド負荷の決定に用いたものと同じマウスであり、認知機能を測定後、屠殺した。ビヒクル対照と比較した場合、化合物群に関してp<0.001。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に許容可能な担体中に薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを含み、それを必要とする個体における既存のアミロイド症を改善するための組成物であって、薬理学的有効量のアンタゴニストが、該個体中の既存のアミロイドプラークを低減するのに十分なRAGEアンタゴニストを含む組成物。
【請求項2】
薬理学的有効量の前記RAGEアンタゴニストが、アミロイド症に関連した症候を改善する請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記個体が異常アミロイド蓄積の疾患に罹患している請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記RAGEアンタゴニストにより低減される前記アミロイドプラークがアミロイド−β(Aβ)プラークを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記プラーク低減が、少なくとも一部は、前記個体の脳において起こる請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記アミロイド症がアルツハイマー病(AD)を引き起こし、そしてアミロイド症に関連した症候の前記改善が認知改善に関連する請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記アミロイド症が全身性アミロイド沈着と関連する請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記アミロイド症がアミロイド軽鎖アミロイド症(ALアミロイド症)またはアミロイド関連アミロイド症(AAアミロイド症)を含む、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記RAGEアンタゴニストが1,000Da未満の分子量を有する有機化合物を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記RAGEアンタゴニストが式(I):
【化1】

の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩を含む請求項9記載の組成物。
(式中、
1は、−水素、−アリール、−ヘテロアリール、−シクロアルキル、−ヘテロシクリル、−アルキル、−アルケニル、−アルキニル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、−アルキレン−ヘテロシクリル、−アルキレン−シクロアルキル、−縮合シクロアルキルアリール、−縮合シクロアルキルヘテロアリール、−縮合ヘテロシクリルアリール、−縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、−アルキレン−縮合シクロアルキルアリール、−アルキレン−縮合シクロアルキルヘテロアリール、−アルキレン−縮合ヘテロシクリルアリール、−アルキレン−縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、またはG1−G2−G3−R5を含み、
(ここで、G1およびG3は独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シク
ロアルキレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、(アリール)アルキレン、(ヘテロアリール)アルキレン、(アリール)アルケニレン、(ヘテロアリール)アルケニレン、または直接結合を含み、
2は、−O−、−S−、−S(O)−、−N(R6)−、−S(O)2−、−C(O)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)N(R6)−、−N(R6)C(O)−、−S(O2)N(R6)−、N(R6)S(O2)−、−O−アルキレン−C(O)−、−(O)C−アルキレン−O−、−O−アルキレン−、−アルキレン−O−、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、縮合シクロアルキルアリーレン、縮合シクロアルキルヘテロアリーレン、縮合ヘテロシクリルアリーレン、縮合ヘテロシクリルヘテロアリーレン、または直接結合からなり、ここでR6は、水素、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール、アルコキシ、またはアルキレン−O−アリールを含み、
5は、水素、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、−アルキレン−ヘテロシクリル、−アルキレン−シクロアルキル、縮合シクロアルキルアリール、縮合シクロアルキルヘテロアリール、縮合ヘテロシクリルアリール、縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、−アルキレン−縮合シクロアルキルアリール、−アルキレン−縮合シクロアルキルヘテロアリール、−アルキレン−縮合ヘテロシクリルアリール、またはアルキレン−縮合ヘテロシクリルヘテロアリールを含み)、
1は、O、S、またはN(R2)−を含み、
ここで、R2は、以下のものを含み:
a)−H、
b)−アリール、
c)−ヘテロアリール、
d)−シクロアルキル、
e)ヘテロシクリル、
f)−アルキル、
g)−アルケニル、
h)−アルキニル、
i)−アルキレン−アリール、
j)−アルキレン−ヘテロアリール、
k)−アルキレン−ヘテロシクリル、
l)−アルキレン−シクロアルキル、
m)−縮合シクロアルキルアリール、
n)−縮合シクロアルキルヘテロアリール、
o)−縮合ヘテロシクリルアリール、
p)−縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、
q)−アルキレン−縮合シクロアルキルアリール、
r)−アルキレン−縮合シクロアルキルヘテロアリール、
s)−アルキレン−縮合ヘテロシクリルアリール、
t)−アルキレン−縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、または
u)次の式の基:
【化2】

を含み、
(ここで、A3は、アリールまたはヘテロアリール基を含み、
1およびL2は独立して、アルキレンまたはアルケニレンを含み、および
3は、直接結合、アルキレン、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSO2NH−、
【化3】

を含み、R30、R31、およびR32は独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルキレン−アリール、またはアルキレン−ヘテロアリールを含む)、
3およびR4は独立して、
a)−水素、
b)−ハロゲン、
c)−ヒドロキシル、
d)−シアノ、
e)−カルバモイル、
f)−カルボキシル、
g)−アリール、
h)−ヘテロアリール、
i)−シクロアルキル、
j)−ヘテロシクリル、
k)−アルキル、
l)−アルケニル、
m)−アルキニル、
n)−アルキレン−アリール、
o)−アルキレン−ヘテロアリール、
p)−アルキレン−ヘテロシクリル、
q)−アルキレン−シクロアルキル、
r)−縮合シクロアルキルアリール、
s)−縮合シクロアルキルヘテロアリール、
t)−縮合ヘテロシクリルアリール、
u)−縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、
v)−アルキレン−縮合シクロアルキルアリール、
w)−アルキレン−縮合シクロアルキルヘテロアリール、
x)−アルキレン−縮合ヘテロシクリルアリール、
y)−アルキレン−縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、
z)−C(O)−O−アルキル、
aa)−C(O)−O−アルキレン−アリール、
bb)−C(O)−NH−アルキル、
cc)−C(O)−NH−アルキレン−アリール、
dd)−SO2−アルキル、
ee)−SO2−アルキレン−アリール、
ff)−SO2−アリール、
gg)−SO2−NH−アルキル、
hh)−SO2−NH−アルキレン−アリール、
ii)−C(O)−アルキル、
jj)−C(O)−アルキレン−アリール、
kk)−G4−G5−G6−R7
ll)−Y1−アルキル、
mm)−Y1−アリール、
nn)−Y1−ヘテロアリール、
oo)−Y1−アルキレン−アリール、
pp)−Y1−アルキレン−ヘテロアリール、
qq)−Y1−アルキレン−NR910、または
rr)−Y1−アルキレン−W1−R11
を含み、
ここで、
4およびG6は独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、(アリール)アルキレン、(ヘテロアリール)アルキレン、(アリール)アルケニレン、(ヘテロアリール)アルケニレン、または直接結合を含み、
5は、−O−、−S−、−N(R8)−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)N(R8)−、N(R8)C(O)−、−S(O2)N(R8)−、N(R8)S(O2)−、−O−アルキレン−C(O)、−(O)C−アルキレン−O−、−O−アルキレン−、−アルキレン−O−、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、縮合シクロアルキルアリーレン、縮合シクロアルキルヘテロアリーレン、縮合ヘテロシクリルアリーレン、縮合ヘテロシクリルヘテロアリーレン、または直接結合を含み、ここでR8は、−水素、−アリール、−アルキル、−アルキレン−アリール、またはアルキレン−O−アリールを含み、
7は、水素、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、−アルキレン−ヘテロシクリル、−アルキレン−シクロアルキル、縮合シクロアルキルアリール、縮合シクロアルキルヘテロアリール、縮合ヘテロシクリルアリール、縮合ヘテロシクリルヘテロアリール、アルキレン−縮合シクロアルキルアリール、−アルキレン−縮合シクロアルキルヘテロアリール、−アルキレン−縮合ヘテロシクリルアリール、またはアルキレン−縮合ヘテロシクリルヘテロアリールを含み、
1およびW1は独立して、−CH2−、−O−、−N(H)、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【化4】

を含み、R12およびR13は独立して、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール、アルコキシ、またはアルキレン−O−アリールを含み、そして
9、R10、およびR11は独立して、アリール、ヘテロアリール、アルキル、−アルキレン−ヘテロアリール、またはアルキレン−アリールを含み、また、R9およびR10は、一緒になって、R9およびR10が連結している窒素原子に結合した式−(CH2)o−X1
−(CH2)p−を有する環を形成することができ、
(ここで、oおよびpは独立して、1、2、3、または4であり、そして
1は、直接結合、CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSO2NH−、
【化5】

を含み、R14およびR15は独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、−アルキレン−アリール、またはアルキレン−ヘテロアリールを含む)、
ここで、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、およびR15におけるアリールおよび/またはアルキル基は、任意に、置換基により1〜4回置換され得るが、ここで、前記の置換基または置換という用語は、
a)−H、
b)−ハロゲン、
c)−ヒドロキシル、
d)−シアノ、
e)−カルバモイル、
f)−カルボキシル、
g)−Y2−アルキル、
h)−Y2−アリール、
i)−Y2−ヘテロアリール、
j)−Y2−アルキレン−ヘテロアリールアリール、
k)−Y2−アルキレン−アリール、
l)−Y2−アルキレン−W2−R18
q)−Y3−Y4−NR2324
r)−Y3−Y4−NH−C(=NR25)NR2324
s)−Y3−Y4−C(=NR25)NR2324、または
t)−Y3−Y4−Y5−A2
から成る基を指し、ここで、Y2およびW2は独立して、−CH2−、−O−、−N(H)、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−S(O)2−、−O−CO−、
【化6】

を含み、
19およびR20は独立して、水素、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール、ア
ルコキシ、またはアルキレン−O−アリールを含み、および
18は、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、およびアルキレン−O−アリールを含み、
3およびY5は独立して、直接結合、−CH2−、−O−、−N(H)、−S−、SO2−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【化7】

を含み、R27およびR26は独立して、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール、アルコキシ、またはアルキル−O−アリールを含み、
4は、
a)−アルキレン、
b)−アルケニレン、
c)−アルキニレン、
d)−アリーレン、
e)−ヘテロアリーレン、
f)−シクロアルキレン、
g)−ヘテロシクリレン、
h)−アルキレン−アリーレン、
i)−アルキレン−ヘテロアリーレン、
j)−アルキレン−シクロアルキレン、
k)−アルキレン−ヘテロシクリレン、
l)−アリーレン−アルキレン、
m)−ヘテロアリーレン−アルキレン、
n)−シクロアルキレン−アルキレン、
o)−ヘテロシクリレン−アルキレン、
p)−O−、
q)−S−、
r)−S(O2)−、または
s)−S(O)−、
を含み、
(ここで、前記のアルキレン基は、任意に、1個以上のO、S、S(O)、またはSO2原子を含み得る)、
2は、
a)少なくとも1個の塩基性窒素原子を含有する、ヘテロシクリル、縮合アリールヘテロシクリル、または縮合ヘテロアリールヘテロシクリル、
b)−イミダゾリル、または
c)−ピリジル、
を含み、そして
23、R24、およびR25は独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、−アルキレン−ヘテロアリール、アルキル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−O−アリール、またはアルキレン−O−ヘテロアリールを含み、また、R23およびR24は、一緒になって、R23およびR24が連結している窒素原子に結合した式−(CH2s−X3−(CH2t−を有する環を形成することができ、
(ここで、sおよびtは独立して、1、2、3、または4であり、
3は、直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSO2NH−、
【化8】

を含み、R28およびR29は独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、−アルキレン−アリール、またはアルキレン−ヘテロアリールを含む)、
ここで、以下の、
1、R2、R3およびR4の基のうち少なくとも1つは、式−Y3−Y4NR2324、−Y3−Y4−NH−C(=NR25)NR2324、−Y3−Y4−C(=NR25)NR2324、またはY3−Y4−Y5−A2のうち少なくとも1個の基で置換されるが、ただし、R23、R24、およびR25のうち1つのみが、アリールまたはヘテロアリールからなり得る、
または、
2は、
【化9】

の式の基である、
の、いずれかがいえる。
そして、ここで、
3とR4、R3とR2、またはR1とR2のうち1つは、それが結合している原子と一緒になって、アリール、ヘテロアリール、縮合アリールシクロアルキル、縮合アリールヘテロシクリル、縮合ヘテロアリールシクロアルキル、または縮合ヘテロアリールヘテロシクリル環系を構成し得る。
[ここで、
前記の環系またはR1、R2、R3、もしくはR4は、
a)−Y5−Y6−NR3334
b)−Y5−Y6−NH−C(=NR35)NR3334
c)−Y5−Y6−C(=NR35)NR3334、または
d)−Y5−Y6−Y7−A4
の式の少なくとも1つの基で置換され、
ここで、Y5およびY7は独立して、直接結合、−CH2−、−O−、−N(H)、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【化10】

を含み、R36およびR37は独立して、アリール、アルキル、アルキレン−アリール、アルコキシ、またはアルキル−O−アリールを含み、
6は、
a)アルキレン、
b)アルケニレン、
c)アルキニレン、
d)アリーレン、
e)ヘテロアリーレン、
f)シクロアルキレン、
g)ヘテロシクリレン、
h)アルキレン−アリーレン、
i)アルキレン−ヘテロアリーレン、
j)アルキレン−シクロアルキレン、
k)アルキレン−ヘテロシクリレン、
l)アリーレン−アルキレン、
m)ヘテロアリーレン−アルキレン、
n)シクロアルキレン−アルキレン、
o)ヘテロシクリレン−アルキレン、
p)−O−、
q)−S−、
r)−S(O2)−、または
s)−S(O)−、
を含み、
(ここで、前記のアルキレン基は、任意に、1個以上のO、S、S(O)、またはSO2原子を含み得る)、
4は、
a)少なくとも1個の塩基性窒素原子を含有する、ヘテロシクリル、縮合アリールヘテロシクリル、または縮合ヘテロアリールヘテロシクリル、
b)−イミダゾリル、または
c)−ピリジル、
を含み、そして
33、R34およびR35は独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、−アルキレン−アリール、またはアルキレン−O−アリールを含むが、ただし、R33、R34およびR35のうち2つがアリールおよび/またはヘテロアリールとなることはなく、また、R33およびR34は、一緒になって、R33 およびR34が連結されている窒素原子に結合した式−(CH2u−X4−(CH2v−を有する環を形成し得、
(ここで、uおよびvは独立して、1、2、3、または4であり、
4は、直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSO2NH−、
【化11】

を含み、R36およびR37は独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、−アルキレン−アリール、またはアルキレン−ヘテロアリールを含む)、そして
ここで、前記の環系は、
a)−H、
b)−ハロゲン、
c)−ヒドロキシル、
d)−シアノ、
e)−カルバモイル、
f)−カルボキシル、
g)−Y8−アルキル、
h)−Y8−アリール、
i)−Y8−ヘテロアリール、
j)−Y8−アルキレン−アリール、
k)−Y8−アルキレン−ヘテロアリール、
l)−Y8−アルキレン−NR3839、または
m)−Y8−アルキレン−W3−R40
から成る置換基で任意に置換され、
ここで、Y8およびW3は独立して、−CH2−、−O−、−N(H)、−S−、SO2−、CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【化12】

を含み、R41およびR42は独立して、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール、アルコキシ、またはアルキル−O−アリールを含み、そして
38、R39、およびR40は独立して、水素、アリール、アルキル、−アルキレン−アリール、−アルキレン−ヘテロアリール、およびアルキエン−O−アリールを含み、また、R38およびR39は、一緒になって、R38およびR39に連結された窒素原子に結合した式−(CH2w−X7−(CH2x−を有する環を形成し得る。
(ここで、wおよびxは独立して、1、2、3、または4であり、
7は、直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSO2NH−、
【化13】

を含み、R43およびR44は独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、−アルキレン−アリール、またはアルキレン−ヘテロアリールを含む)]
【請求項11】
前記RAGEアンタゴニストが
【化14】

を含む請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記RAGEアンタゴニストが
【化15】

を含む請求項10記載の組成物。
【請求項13】
前記RAGEアンタゴニストが
【化16】

を含む請求項10記載の組成物。
【請求項14】
前記RAGEアンタゴニストが
【化17】

を含む請求項10記載の組成物。
【請求項15】
前記RAGEアンタゴニストが式(II):
【化18】

の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む請求項9記載の組成物。
(式中、
mは、0〜3の整数であり、
nは、0〜3の整数であり、
1は、アリールを含み、
2は、
a)式−N(R910)、−NHC(O)R9またはNHC(O)OR9の一群、
b)式−OR9の一群、
c)式−SR9、−SOR9、−SO29、−SO2NHR9またはSO2N(R910
を含み、
(ここで、R9およびR10は、独立して、以下の:
1)−H、
2)−アリール、
3)以下の:
a)−C1-6アルキル、
b)−C1-6アルキルアリール、
c)
【化19】

d)−アリール
e)−C1-6アルキル、または
f)−C1-6アルキルアリール
からなる基
を含む)
3およびR4は独立して、
a)H、
b)−アリール、
c)C1-6アルキル、
d)−C1-6アルキルアリール、または
e)−C1-6アルコキシアリール
を含み、
5、R6、R7およびR8は独立して、
a)H、
b)−C1-6アルキル、
c)−アリール、
d)−C1-6アルキルアリール、
e)−C(O)−O−C1-6アルキル、
f)−C(O)−O−C1-6アルキルアリール、
g)−C(O)−NH−C1-6アルキル、
h)−C(O)−NH−C1-6アルキルアリール、
i)−SO2−C1-6アルキル、
j)−SO2−C1-6アルキルアリール、
k)−SO2−アリール、
l)−SO2−NH−C1-6アルキル、
m)−SO2−NH−C1-6アルキルアリール、
n)−C(O)−C1-6アルキル、
o)−C(O)−C1-6アルキルアリール、
p)−Y−C1-6アルキル、
q)−Y−アリール、
r)−Y−C1-6アルキルアリール、
s)−Y−C1-6アルキレン−NR1314、または、
t)−Y−C1-6アルキレン−W−R15
(ここで、YおよびWは独立して、−CH2−、−O−、−N(H)−、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【化20】

を含み、R16およびR17は独立して、アリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルアリール、C1〜C6アルコキシまたはC1〜C6アルコキシアリールを含み、
15は独立してアリール、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルキルアリールを含む)、または
u)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル
を含み、
11、R12、R13およびR14は独立して、水素、アリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルアリール、C1〜C6アルコキシまたはC1〜C6アルコキシアリールを含み、
13およびR14は、一緒になって、R13およびR14が連結している窒素原子に結合した式−(CH2o−X−(CH2p−を有する環を形成し得、および/またはR11およびR12は独立して、一緒になって、R11およびR12が結合される原子に結合された式−(CH2o−X−(CH2p−を有する環を形成し得、この場合、oおよびpは独立して1、2、3または4であり、Xは直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、NHSO2NH−、
【化21】

を含み、
ここで、R1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19におけるアリールおよび/またはアルキル基(単数または複数)は置換基で1〜4回任意に置換され、前記置換基(単数または複数)または置換されるという用語は、
a)−H、
b)−Z−C1-6アルキル、
−Z−アリール、
−Z−C1-6アルキルアリール、
−Z−C1-6アルキル−NR2021
−Z−C1-6アルキル−W−R22
(ここで、ZおよびWは独立して、−CH2−、−O−、−N(H)−、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【化22】

を含み、R20およびR21は独立して、水素、アリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルアリール、C1〜C6アルコキシまたはC1〜C6アルコキシアリールを含み、
22、R23およびR24は独立してアリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルアリール、C1〜C6アルコキシまたはC1〜C6アルコキシアリールを含む)、あるいは
c)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル
から成る基を指し、
20およびR21は、一緒になって、R20およびR21が連結している窒素原子に結合した式−(CH2q−X−(CH2r−を有する環を形成し得、この場合、qおよびrは独立して1、2、3または4であり、Xは直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、NHSO2NH−、
【化23】

を含み、
25、R26およびR27は独立してアリール、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルキルアリールを含む)
【請求項16】
前記RAGEアンタゴニストが式(III):
【化24】

の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む請求項9記載の組成物。
(式中、
1は、C1〜C6アルキレンまたは(CH2k(ここで、kは0〜3である)を含み、
2は、a)水素、
b)−C1-6C1−6アルキル、
c)−アリール、
d)−C1-6アルキルアリール、
e)
【化25】

(式中、R5およびR6は独立して、以下の:
i)−H、
ii)−C1-6アルキル、
iii)−アリール、
iv)−C1-6アルキルアリール、
v)−C(O)−O−C1-6アルキル、
vi)−C(O)−O−C1-6アルキルアリール、
vii)−C(O)−O−C1-6アルキルシクロアルキルアリール、
viii)−C(O)−NH−C1-6アルキル、
ix)−C(O)−NH−C1-6アルキルアリール、
x)−SO2−C1-6アルキル、
xi)−SO2−C1-6アルキルアリール、
xii)−SO2−アリール、
xiii)−SO2−NH−C1-6アルキル、
xiv)−SO2−NH−C1-6アルキルアリール、
xv)
【化26】

xvi)−C(O)−C1-6アルキル、または
xvii)−C(O)−C1-6アルキルアリール
を含む)
f)
【化27】

の式の一群
(式中、R9、R10およびR11は、水素を含み得るし、あるいは
9、R10およびR11は独立して、
i)−C1-6アルキル、
ii)−アリール、
iii)−C1-6アルキルアリール、
iv)−C(O)−O−C1-6アルキル、
v)−C(O)−O−C1-6アルキルアリール、
vi)−C(O)−NH−C1-6アルキル、
vii)−C(O)−NH−C1-6アルキルアリール、
viii)−SO2−C1-6アルキル、
ix)−SO2−C1-6アルキルアリール、
x)−SO2−アリール、
xi)−SO2−NH−C1-6アルキル、
xii)−SO2−NH−C1-6アルキルアリール、
xiii)−C(O)−C1-6アルキル、または
xiv)−C(O)−C1-6アルキルアリール
を含み、あるいはR10およびR11は一緒になって、R10およびR11が結合した原子を含有する縮合シクロアルキル、縮合へテロシクリルまたは縮合アリール環を構成し得る)
を含み、
1は、
a)水素、
b)−C1-6アルキル、
c)−アリール、または
d)−C1-6アルキルアリール
を含み、
2は、
a)−C1-6アルキル、
b)−アリール、
c)−C1-6アルキルアリール、または
d)
【化28】

の式の一群、
(式中、mおよびnは独立して1、2、3または4から選択され、Xは直接結合、CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、NHSO2NH−、
【化29】

を含み、−Q1−は、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレンまたはC2-6アルキニレンを含む)
を含み、
3は、
a)水素、
b)−C1-6アルキル、
c)−C1-6アルキルアリール、または
d)−C1-6アルコキシアリール
を含み、
4は、
a)−C1-6アルキルアリール
b)−C1-6アルコキシアリール、または
c)−アリール
を含み、
7、R8、R12およびR13は独立して、水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルアリールまたはアリールを含み、
ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9、R10、R11およびR12およびR13におけるアリールおよび/またはアルキル基(単数または複数)は置換基で1〜4回任意に置換され、前記置換基(単数または複数)または置換されるという用語は、以下の:
a)−H、
b)−Y−C1-6アルキル、
−Y−アリール、
−Y−C1-6アルキルアリール、
−Y−C1-6アルキル−NR1415
−Y−C1-6アルキル−W−R16
(ここで、YおよびWは独立して、−CH2−、−O−、−N(H)−、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【化30】

を含み、R16、R17およびR18は、水素、アリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルアリール、C1〜C6アルコキシまたはC1〜C6アルコキシアリールを含む)、あるいは
c)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル
から成る基を指し、
14およびR15は独立して、水素、アリール、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルキルアリールを含み、そして
14およびR15は、一緒になって、R14およびR15が連結している窒素原子に結合した式−(CH2o−Z−(CH2p−を有する環を形成し得、および/またはR7およびR8は独立して、一緒になって、R7およびR8が連結している原子に結合された式−(CH2o−Z−(CH2p−を有する環を形成し得るが、この場合、oおよびpは独立して1、2、3または4であり、Zは直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、NHSO2NH−、
【化31】

を含み、
19およびR20は独立して、水素、アリール、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルキルアリールを含む)
【請求項17】
前記RAGEアンタゴニストが式(IV):
【化32】

の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む請求項9記載の組成物。
(式中、
1およびR2は独立して、
a)−H、
b)−C1-6アルキル、
c)−アリール、
d)−C1-6アルキルアリール、
e)−C(O)−O−C1-6アルキル、
f)−C(O)−O−C1-6アルキルアリール、
g)−C(O)−NH−C1-6アルキル、
h)−C(O)−NH−C1-6アルキルアリール、
i)−SO2−C1-6アルキル、
j)−SO2−C1-6アルキルアリール、
k)−SO2−アリール、
l)−SO2−NH−C1-6アルキル、
m)−SO2−NH−C1-6アルキルアリール、
n)
【化33】

o)−C(O)−C1-6アルキル、および
p)−C(O)−C1-6アルキルアリール
から選択され、
3は、
a)−C1-6アルキル、
b)−アリール、および
c)−C1-6アルキルアリール
から選択され、
4は、
a)−C1-6アルキルアリール、
b)−C1-6アルコキシアリール、および
c)−アリール
から選択され、
5およびR6は独立して、水素、−C1-6アルキル、−C1-6アルキルアリールおよびアリールから成る群から選択され、そしてこの場合、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R18、R19およびR20におけるアリールおよび/またはアルキル基(単数または複数)は置換基で1〜4回任意に置換され、前記置換基(単数または複数)または置換されるという用語は、
a)−H、
b)−Y−C1-6アルキル、
−Y−アリール、
−Y−C1-6アルキルアリール、
−Y−C1-6アルキル−NR78、および
−Y−C1-6アルキル−W−R20
(ここで、YおよびWは独立して、−CH2−、−O−、−N(H)−、−S−、SO2−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−NHSO2NH−、−O−CO−、
【化34】

から選択される)、ならびに
c)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル
から成る群から選択される基を指し、
ここで、R18およびR19は独立してアリール、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルアリール、C1〜C6アルコキシおよびC1〜C6アルコキシアリールから成る群から選択され、
20は、アリール、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルキルアリールから成る群から選択され、
7、R8、R9およびR10は独立して、水素、アリール、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルキルアリールから成る群から選択され、
7およびR8は、一緒になって、R7およびR8が結合される窒素原子に結合された式−(CH2m−X−(CH2n−を有する環を形成し得、および/またはR5およびR6は独立して、一緒になって、R5およびR6が結合される窒素原子に結合された式−(CH2m−X−(CH2n−を有する環を形成し得るが、この場合、mおよびnは独立して1、2、3または4であり、Xは直接結合、−CH2−、−O−、−S−、−S(O2)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO2−、−SO2N(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、NHSO2NH−、
【化35】

から成る群から選択される)
【請求項18】
前記RAGEアンタゴニストが、ポリペプチドまたはペプチド模倣物を含む請求項1記載の組成物。
【請求項19】
前記ポリペプチドまたはペプチド模倣物が、sRAGEまたはその断片を含む請求項18記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリペプチドまたはペプチド模倣物が、sRAGEのV−ドメインを含む請求項18記載の組成物。
【請求項21】
前記ポリペプチドまたはペプチド模倣物が、抗RAGE抗体またはその断片を含む請求項18記載の組成物。
【請求項22】
前記sRAGEまたはその断片が、免疫グロブリンの断片に連結される請求項19記載の組成物。
【請求項23】
前記RAGEアンタゴニストが、0.01〜500mg/kg/日の範囲の用量で投与される請求項1記載の組成物。
【請求項24】
前記RAGEアンタゴニストが、0.1〜200mg/kg/日の範囲の用量で投与される請求項1記載の組成物。
【請求項25】
前記RAGEアンタゴニストが、1〜100mg/kg/日の範囲の用量で投与される請求項1記載の組成物。
【請求項26】
前記RAGEアンタゴニストが、約5〜約20mg/kg/日の範囲の用量で投与される請求項1記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、局所経路による投与に適している請求項1記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物が、静脈内経路による投与に適している請求項1記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物が、経口投与による投与に適している請求項1記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物が、経皮投与による投与に適している請求項1記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物が、皮下投与による投与に適している請求項1記載の組成物。
【請求項32】
第二の治療薬をさらに含む請求項1記載の組成物。
【請求項33】
前記第二の治療薬がAβアミロイド症を治療するのに有効な化合物を含む請求項32記載の組成物。
【請求項34】
前記第二の治療薬がコリンエステラーゼ阻害薬、抗精神病薬、抗うつ薬または鎮痙薬を含む請求項33記載の組成物。
【請求項35】
前記第二の治療薬がアミロイド軽鎖(AL)アミロイド症を治療するのに有効な化合物を含む請求項32記載の組成物。
【請求項36】
前記第二の治療薬がアルキル化剤、抗生物質、代謝拮抗薬、植物アルカロイド、ホルモンまたは生物学的応答調節剤、例えばインターフェロンまたはインターロイキンを含む請求項35記載の組成物。
【請求項37】
前記第二の治療薬がアミロイド関連(AA)アミロイド症を治療するのに有効な化合物を含む請求項32記載の組成物。
【請求項38】
前記第二の治療薬が鎮痛薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)または生物学的応答調節剤を含む請求項37記載の組成物。
【請求項39】
薬学的に許容可能な担体中に薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを含む個体におけるアミロイド症の発症および/または進行を抑制するための組成物であって、薬理学的有効量のアンタゴニストが個体におけるアミロイドプラーク形成を低減するのに十分なRAGEアンタゴニストを含む組成物。
【請求項40】
前記RAGEアンタゴニストがアミロイド症に関連した症候を抑制する請求項39記載の組成物。
【請求項41】
それを必要とする個体におけるアミロイド症の改善方法であって、薬学的に許容可能な担体中の薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを該個体に投与することを包含する方法であり、薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストが該個体における既存のアミロイドプラークを低減する方法。
【請求項42】
個体におけるアミロイド症の発症および/または進行の抑制方法であって、薬学的に許容可能な担体中の薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストを該個体に投与することを包含する方法であり、薬理学的有効量のRAGEアンタゴニストが該個体におけるアミロイドプラーク形成を低減するのに十分なRAGEアンタゴニストを含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2007−503469(P2007−503469A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533311(P2006−533311)
【出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/016104
【国際公開番号】WO2005/000295
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マッキントッシュ
【出願人】(502031821)トランス テック ファーマ,インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】TRANSTECH PHARMA,INC.
【住所又は居所原語表記】4170 Mendenhall Oaks Parkway,Suite 110 High Point,NC 27265 U.S.A.
【Fターム(参考)】