説明

アミン及びアミノ酸のフェニル−N−アシル誘導体、それらの調製法、それらの製薬組成物及び使用

本発明は、シクロオキシゲナーゼ阻害剤としての、鎮痛及び抗炎症性を有して副作用、特に潰瘍誘発及び痙攣促進作用を回避した、ならびに他の鎮痛薬の効果を増強する可能性を有し、その上に、抗低酸素、抗うつ及び抗パーキンソン病作用を有する一般式(I)の新規の生体アミン及びアミノ酸のフェニル-N-アシル誘導体、ならびに新規及び公知の生体アミンのフェニル-N-アシル誘導体の調製方法、製薬組成物及び一般式(I)の化合物を含む作用物質ならびにそれらの使用及び治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物有機化学の分野に関し、新規化合物である生体アミンのフェニル-N-アシル誘導体ならびに新規及び公知の化合物の合成法、潜在鎮痛薬、抗炎症薬、鎮痙薬及び抗低酸素薬としての医薬における使用、ならびに抗うつ剤、抗パーキンソン病効果及び他の鎮痛薬の効果を増強する能力を有する作用物質に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願第WO 97/23202号の印刷物には、とりわけ、3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルフェニルエチルアミン、3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルチラミン及び3-フェニルプロピオニルフェニルエチルアミン(それぞれ本発明の化合物IX、X、XI)を含む、一般式(XV)のアミンのフェニル-N-アシル誘導体が開示されている。
【0003】
【化1】

【0004】
この印刷物には、一般式(XV)の化合物の合成及び慢性疼痛、片頭痛の治療ならびに麻酔薬に有用なNMDA受容体サブタイプの選択的リガンドとしてのその使用が開示されている。しかしながら、示された印刷物は、本発明の化合物X及びXIに対応する明確な構造を開示も特色付けもせず、言明された活性を支持するデータも見当たらず、中間体化合物としての化合物IX及びその合成がその他のアミン誘導体の調製法に開示されているだけである。
本発明の化合物IX、X及びXIはまた、異なる目的に使用されるために、前述の国際特許出願第WO 97/23202号の優先権の日より前に一般的に公開された以前の印刷物に開示されている。
3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルフェニルエチルアミン(IX)は、Jacobson K.A., Kirk K.L. New high-performance liquid chromatographic procedure for the detection and quantification of β-phenylethylamine.// J. Chromatography. 1987. V. 415. P. 124-128に開示されており、3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルチラミン(X)は、R.B. Herbert, A.E.Kattah. The biosynthesis of Sceletium alkaloids in Sceletium subvelutinum L. Bolus. // Tetrahedron. 1990. V.46. No 20. P.7105-7118に開示されており、3-フェニルプロピオニルフェニルエチルアミン(XI)は、Maldonado E., Hernandez E., Ortega A. Amides, coumarine and other constituents from Simsia cronquistii.// Phytochem. 1992. P.1413-1414に開示されている。
【0005】
国際特許出願第WO 97/23202号の印刷物は、一般式(XV)の化合物のNMDA受容体サブタイプの選択的なリガンドとして作用する能力のために、片頭痛、慢性疼痛のようなある種の特定の痛みを防ぐための前記化合物の使用ならびに麻酔薬のためのその使用の可能性を指摘する。しかしながら、第WO 97/23202号は、この化合物群の言明された活性を支持するいずれのデータも欠けているし、特別な生体内動物モデルにおいて指摘された目的のためにそのような化合物を使用する可能性、したがって、見込まれる薬理効果に関する結論は、もっぱら、示された国際特許出願に開示されたすべての化合物がNMDA受容体サブタイプの選択的なリガンドであるという主張に基づく。
国際特許出願第WO 97/23202号の印刷物には、N,N'-ジクロロヘキシルカルボジイミド(DCC)の存在下において1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを用いた3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルフェニルエチルアミン(IX)の合成方法が開示されている。前記化合物の単離及び精製方法は開示されていない。物理的-化学的定数のうち、融点及び1H-NMRスペクトルデータのみが提供されている。
【0006】
Jackson K.A., Kirk K.L. New high-performance liquid chromatographic procedure for the detection and quantification of β-phenylethylamine.// J. Chromatography. 1987. V.415. P.124-128の文献には、3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸の修飾されたN-オキシスクシンイミドエステルを用いた3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルフェニルエチルアミン(IX)の合成が開示されている。反応は、スルホスクシンイミジル-3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート(硫酸化Bolton-Hunte試薬)を用い、混合メタノール−1M Na2HPO4、pH8(1:1)中で実施される。調製された生成物は、融点のみにより特性決定される。この文献によれば、調製された3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルフェニルエチルアミンは、HPLC法を用いた体液内の内在するフェニルエチルアミン量の定量において電気化学的検出器の内部標準として使用される。
Herbert R.B., Kattah A.E. The biosynthesis of Sceletium alkaloids in Sceletium subvlutinum L. Bolus.// Tetrahedron. 1990. V.46. No 20. P.7105-7118の文献には、Sceletium subvlutinum アルカロイドの合成における中間体としての3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルチラミン(X)の使用ならびにDCC法を用いたそれらの合成法が開示されている。この方法の欠点は、比較的低収率で(約48%)標的生成物を精製するカラムクロマトグラフィーを用いることが不可欠であることである。
【0007】
Maldonado E., Hernandez E., Ortega A. Amides, coumarine and other constituents from Simsia cronquistii. // Phytochem. 1992. P.1413-1414の文献には、Simsia cronquistii植物の陸上部分からの3-フェニルプロピオニルフェニルエチルアミン(XI)の単離が開示されており、質量スペクトル、1H-NMRスペクトルデータならびに融点が示されている。生物活性データは示されていない。
縮合剤4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリンクロライド(DMT-MM)を用いた化合物XIの合成が、Kumishima M., Kawachi C., Hioki K. et al. Formation of carboxamides by direct condensation of carboxylic acids and amines in alcohols using a new alcohol- and water-soluble condensing agent: DMT-MM. // Tetrahedron. 2001. V.57. No 8. P.1551-1558に開示されている。この合成法の欠点は、副生成物の形成及び、方法を複雑にして必然的に低収率となる標的生成物の精製に分取薄層クロマトグラフィーを使用する必要性である。このことにもかかわらず、99%を占める生成物(XI)の高収率が示されている。化合物XIは、新規縮合剤DMT-MMの適用性を研究するために合成された。
【0008】
3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルチロシン、フェニルプロピオニルチロシン、フェニルアセチルチロシン、フェニルプロピオニルフェニルアラニン及びフェニルプロピオニルチロシンメチルエステル(それぞれ本発明の化合物XIV、XV、XVI、XVIII及びXXI)のようなチロシン及びフェニルアラニンアミノ酸誘導体の合成及びAchatina fulica farussae巻貝のガングリオンにおいて確認されたTANニューロンに及ぼすそれらの阻害効果の研究は、Takeuchi H., Ariyoshi Y., Effects of N-beta-phenyl propionyl-L-tyrosine and its derivatives on the excitability of an identifiable giant neuron of Achatina fulica ferussac.// Comparative biochemistry and physiology. C: Comparative pharmacology. 1982. V.72. No 2.P. 225-229及びY. Ariyoshi, H. Takeuchi. Structure-activity relationships of N-β-phenylpropionyl-L-tyrosine and its derivatives on the inhibition of an identifiable giant neuron of an African giant snail. // Br. J. Pharmacol. 1982. V.77. P.631-639の文献に開示されている。Y. Ariyoshi, H. Takeuchi. Structure-activity relationships of N-β-phenylpropionyl-L-tyrosine and its derivatives on the inhibition of an identifiable giant neuron of an African giant snail. // Br. J. Pharmacol. 1982. V.77. P.631-639の文献には、アミン誘導体としてチロシンメチルエステルを用い、その後のそれらを鹸化する(化合物XIV、XV、XVI、XVIIIについて)活性化されたN-オキシスクシンイミドエステルの方法による化合物XIV、XV、XVI、XVIII及びXXIの合成の典型的な技術が記載されているが、前記化合物の物理化学的定数及び収率は示されていない。更に、出発物質としてチロシンエチルエステル及びフェニルプロピオン酸を用い、その後エチルエステルを鹸化する、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール及びエチル-3-(3-ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミドを用いる高収率(94%)のフェニルアセチルチロシン(XV)の合成は、Tangpasuthadol V., Pendharkar S.M., Kohn J. Hydrolytic degradation of tyrosine-derived polycarbonates, a class of new biomaterials. Part I: Study of model compounds. // Biomaterials. 2000. V. 21. No 23. P. 2371-2378に開示されている。1H-NMRスペクトル及び融点が示されている。
【0009】
KOHの存在下におけるクロロ酸無水物法によるフェニルプロピオニルフェニルアラニン(XVIII)の合成は、Lustig N., Spiegelstain-Klarfeld H., Scheider E., Lichtenstein N. Phenylacetyl and phenylpropionyl amino acids. Their inhibitory effect on glutamine synthetase and their resistance to acylase. I.// Israel Journal of Chemistry. 1974. V.12. No 3. P.757-763に開示されている。融点及び元素分析が示されている。合成は、化合物XVIIIを用いたグルタミンシンテターゼの阻害度を研究するために実施された。
フェニルプロピオニルチロシンメチルエステル(XXI)は、日本国特許第57193437号明細書(実施例4)において言及され、その合成は、活性化されたN-オキシスクシンイミドエステルの方法により実施されている。
フェニル酢酸のクロロ酸無水物を用いる化合物XVIIIの合成と同様なフェニルアセチルフェニルアラニン(XIX)の合成は、Chen H.M., Hsu M.S., Huang L.J., et al. Effect of N-phenylacetyl L-amino acids on the differentiation of HL-60 cells.// Chinese Pharmaceutical Journal. 2001. V.53. No 3. P.157-167に開示されている。標的化合物の物理化学的特性(融点、1H-NMR-及びIR-スペクトル、質量スペクトル)が示されている。フェニルアセチルフェニルアラニン(XIX)は、細胞分化の誘導原であることが確認されている。
【0010】
3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルチロシンメチルエステル(XX)は、国際特許出願第WO 97/23202号の印刷物に言及されているが、それらの合成及び物理化学的特性は示されていない。化合物(XX)は、組織に匹敵する生分解性ポリマーを調製するモノマーとして用いるために合成される。
共生細菌Xenorhabdus nematophilusから単離された天然化合物であるフェニルアセチルエチルアミン(XXIII)は、クロロ酸無水物法により合成され、国際特許出願第WO 01/49656号の印刷物の1H-NMR-、13C-NMR-及びIR-スペクトル、質量スペクトル、融点の物理化学的データにより特性決定された。化合物XXIIIの生体外抗腫瘍活性が研究された。
国際特許出願第WO 01/49656号の印刷物に開示されている化合物の一般式は、本発明のその他の化合物、すなわちp-ヒドロキシフェニルアセチルチラミン、p-ヒドロキシフェニルアセチルフェニルエチルアミン、及びフェニルアセチルチラミン(それぞれ本発明の化合物VII、VIII及びVI)も含む。しかしながら、前記印刷物は、示された化合物の特定の構造式も、それらの合成も、物理化学的定数も、生物活性データも開示していない。
フェニルプロピオニルチラミン(XII)は、Takeuchi Hiroshi, Tamura Hiroko. The effects of aromatic amino acid derivatives on the excitability of an identifiable giant neuron of an African giant snail (Achatina fulica ferussac). // British Journal of Pharmacology. 1980. V. 69. No 1. P.29-34の文献に言及されているが、それらの合成及びそれらの物理化学的特性及び目的は言及されていない。
【0011】
Garrett C.E., Jiang X., Prasad K, Pepic O. New observations on peptide bond formation using CDMT. // Tetrahedron Letters. 2002. V.43, No 23. p,4161-4165の文献には、フェニルプロピオニルフェニルアラニンメチルエステル(XXIV)及びN-メチルモルホリンの存在下において縮合剤2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(CDMT)を用いるそれらの合成方法が開示されている。しかしながら、前記化合物の物理化学的特性も活性データも示されていない。この方法が以下の利点を有すること、すなわち、一段階合成であり、水で沈殿させることにより生成物が単離できるために、90%の高収率でクロマトグラフィー的に純粋な生成物が得られることのみが示されている。
Peric M., Vercek B., Petric A. ω-Diazoacetophenones as reagents for a mild and selective protection of an amino group. // Acta Chimica Slovenica. 1996. V.43. No 2. P.163-173の文献には、diasoketoneの形成を経たフェニル酢酸とチロシンメチルエステルの縮合によるペプチド合成の中間体であるフェニルアセチルチロシンメチルエステル(XXII)の合成が開示されている。化合物XXIIの精製には、カラムクロマトグラフィーの使用が必須である。融点、1H-NMR-スペクトル及び元素分析データが示されている。
Votano J.R., Altman J., Wilchek M., Potential use of biaromatic L-phenylalanyl derivatives as therapeutic agents in the treatment of sickle cell disease. // Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 1984. V.81. No 10. P.3190-3194によるフェニルアセチルフェニルアラニンメチルエステル(XXV)は、活性化されたN-オキシスクシンイミドエステルの方法により合成され、その後カラムクロマトグラフィーにより精製された。前記化合物の物理化学的定数は示されていない。この文献においては、化合物XXVは、鎌状赤血球病の治療の候補物質として研究されている化合物XIXの合成の中間体である。
【0012】
更に、化合物XXVの酵素的合成法は公知である[Didziapetris R., Drabnig B., Schellenberger V., Jakubke H.D., Svedas V. Penicillin acylase-catalyzed protection and deprotection of amino groups as a promising approach in enzymatic peptide synthesis.// FEBS Letters. 1991. V.287. No 1-2. P.31-33]。
米国特許第2003199566号明細書(Bok S., Lee S., Jeong T., Phenolic acid derivatives and composition for preventing or treating blood lipid level-related diseases comprising the same)には、トリエチルアミンの存在下で1-ヒドロキシベンゾトリアゾール及び1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩化水素塩を用いる3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルフェニルアラニン(XVII)及び3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルフェニルアラニンメチルエステル(XIII)の合成が開示されている。3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルフェニルアラニン(XVII)の調製には、化合物(XIII)の鹸化が更に実施され、標的生成物が78%の高収率で得られた。両方の化合物について、1H-NMR-及び13C-NMR-スペクトルのデータが示されている。化合物XVII及びXIIIは、血中脂質濃度に関連する病気の予防及び治療に使用されることが提案されている。
国際特許出願第WO 9952962号の印刷物には、3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニル-チロシンベンジルエステル(XXXIV)が開示されている。融点、1H-NMR-及び13C-NMR-スペクトルのデータが示されている。
鎮痛効果は種々の機構により、特にアラキドン酸カスケードにおけるシクロオキシゲナーゼ酵素を阻害することにより成就されることが知られている[Mashkovsky PPM Lekarstvennye sredstva (Medicaments).// Moscow. Novaya volna publishers. 2005. P.163-164]。
【0013】
非麻薬性鎮痛薬及び非ステロイド性抗炎症薬が、algogeneの合成を低下させる薬剤の中で最も大きな鎮痛効果を有する。非麻薬性鎮痛薬は、サリチル酸塩(アスピリン)、ピラゾロン誘導体(アミドピリン、analgin)及びp-アミノフェノール(パラセタモール)により代表される。非ステロイド性抗炎症薬には、サリチル酸、酢酸、プロピオン酸及びアントラニル酸の誘導体が属する。非麻薬性鎮痛薬及び非ステロイド性抗炎症薬は、鎮痛効果のほかに抗炎症及び解熱作用を有する[Kukushkin M.L., Khitrov N.K. Obshchaya patologiya boli (General pathology of pain) / Moscow. Meditsina publishers. 2004. 142 pages]。潰瘍誘発が非ステロイド性抗炎症薬の主要な副作用である。痙攣を促進する副作用がしばしば異なる作用機構の鎮痛薬に観察される[Mashkovsky PPM Lekarstvennye sredstva (Medicaments).// Moscow. Novaya volna publishers. 2005. P.154]。
非ステロイド性抗炎症薬であるサリチル酸ナトリウム、インドメタシン及びpyroxycamの抗パーキンソン病性は公知である[M.G. Kadieva, E.T. Oganesyan, S.Kh. Matsueva. Nejrotoxiny I sredstva dlya lecheniya bolezni Parkinsona. III. Sredstva, oposredovanno vlijaushchiye na dofaminergicheskuyu sistemu. (Neurotoxines and agents for treating Parkinson's disease. III. Agents with mediated effect on the dopaminergic system). Khimiko-pharmacevticheskij zhurnal. 2005. T.39. No 11. S.3-11]。そのような活性は、部分的にはドーパミン作動系に影響を及ぼすプロスタグランジンにより媒介されているとされている。
【0014】
セロトニン拮抗薬もまた、ドーパミン拮抗薬に受容体を結合させるのを促進するパーキンソン病におけるドーパミン系にプラスの影響を及ぼすことが知られている[M.G. Kadieva, E.T. Oganesyan, S.Kh. Matsueva. Nejrotoxiny I sredstva dlya lechenija bolezni Parkinsona (Neurotoxines and agents for treating Parkinson's disease) Khimiko-pharmacevticheskij zhurnal. 2005. T.39. No 11. S.3-11]。抗パーキンソン病薬にはその他の作用もある[Mashkovsky PPM Lekarstvennye sredstva (Medicaments).// Moscow. Novaya volna publishers. 2005. P.138]。
作用機構に依存して、抗うつ薬はいくつかの群、特にモノアミンオキシダーゼ阻害剤、三環系抗酸化剤、ヒスタミン遮断薬、セロトニン、コレシストキニンα-アドレナリン受容体に分けられる[Mashkovsky PPM Lekarstvennye sredstva (Medicaments).// Moscow. Novaya volna publishers. 2005. P.109]。
公知の抗うつ薬及び構造的に関連する化合物の使用は多くの深刻な副作用を伴うので、そのような作用を有する新規の安全で有効な薬剤の研究が現実に存在している。うつ病の予防及び治療のための本発明の化合物の使用は知られていない。
低酸素状態は、脳機能の疾患を含む多くの病的な状態に観察される。抗酸化剤は、身体の酸素欠乏耐性を増大させる身体により循環する酸素の利用を改良する。そのような作用を有する薬剤は多くはない[Mashkovsky PPM Lekarstvennye sredstva (Medicaments).// Moscow. Novaya volna publishers. 2005. P.729]。CNSの活性を制御するものを含む多くの薬剤は、それらの作用の有効性を増大させる抗低酸素性もさらに有する。本発明の化合物群に関しては、抗低酸素効果はまだ開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、副作用、特に潰瘍誘発及び痙攣促進作用のない、抗低酸素、抗うつ及び抗パーキンソン病作用ならびに他の鎮痛薬の効果を増強する可能性を有する、非毒性でより有効な鎮痛及び抗炎症薬としての新規及び公知の生体アミン及びアミン酸のフェニル-N-アシル誘導体の合成及び使用である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、シクロオキシゲナーゼ阻害活性、抗炎症性及び鎮痛作用、鎮痙、抗低酸素、抗パーキンソン病及び抗うつ作用ならびに他の鎮痛薬の効果を増強する可能性を有する一般式Iの新規のアミンのフェニル-N-アシル誘導体または薬学的に許容しうるそれらの塩に関する。


【0017】
【化2】

(式中、一般式Iの化合物が、
フェニルアセチルチラミン、
3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニルフェニルエチルアミン、
3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニルチラミン、
3-フェニルプロピオニルフェニルエチルアミン、
3-フェニルプロピオニルチラミン、
3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニルフェニルアラニンメチルエステル、
3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニルチロシン、
3-フェニルプロピオニルチロシン、
フェニルアセチルチロシン、
3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニルフェニルアラニン、
3-フェニルプロピオニルフェニルアラニン、
フェニルアセチルフェニルアラニン、
3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニルチロシンメチルエステル、
3-フェニルプロピオニルチロシンメチルエステル、
フェニルアセチルチロシンメチルエステル、
フェニルアセチルフェニルエチルアミン、
3-フェニルプロピオニルフェニルアラニンメチルエステル、
フェニルアセチルフェニルアラニンメチルエステル、
3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニル-チロシンベンジルエステル、
ではないという条件で、
R1は下式であって、式中のR5は水素またはヒドロキシル基であり、
【0018】
【化3】

【0019】
R2は水素または任意にCH3(CH2)mCO-で置換されたアミノ基であって、式中のmは0乃至4であり、
R3は水素、-COOH、-COOR6であって、式中のR6はC1-C6のアルキルまたは下式であり、
【0020】
【化4】

(式中、R7は水素またはヒドロキシル基である)
R4は、水素またはヒドロキシル基である。)
【0021】
本発明はまた、一般式Iの化合物または薬学的に許容しうるそれらの塩のシクロオキシゲナーゼ阻害剤、鎮痛薬及び抗炎症薬、鎮痙薬、抗低酸素薬、抗パーキンソン病薬及び抗うつ薬ならびに他の鎮痛薬の効果を増強しうる作用物質としての使用に関する。
【0022】
【化5】

(式中、R1は下式であって、式中のR5は水素またはヒドロキシル基であり、
【0023】
【化6】

【0024】
R2は水素または任意にCH3(CH2)mCO-で置換されたアミノ基であって、式中のmは0乃至4であり、
R3は水素、-COOH、-COOR6であって、式中のR6はC1-C6のアルキルまたは下式であり、
【0025】
【化7】

(式中、R7は水素またはヒドロキシル基である)
R4は、水素またはヒドロキシル基である。)
【0026】
更に、本発明は、有効量の式Iの化合物または薬学的に許容しうるそれらの塩及び任意に薬学的に許容しうる担体を含む、シクロオキシゲナーゼ阻害活性、抗炎症性及び鎮痛作用、ならびに抗うつ、鎮痙、抗低酸素、抗パーキンソン病作用を有する製薬組成物または作用物質に関する。
本発明の別の内容は、任意に他の鎮痛薬と組み合わせた有効量の一般式Iの化合物または薬学的に許容しうるそれらの塩の投与を含む、種々の発生源の疼痛症候群ならびに炎症、痙攣、低酸素症、うつ病及びパーキンソン症候群の徴候を伴う病気の治療方法である。
本発明はまた、一般式Iの化合物を調製する新規方法に関する。
式Iの好ましい化合物は、R3が-COOH、-COOCH3の化合物である。
式Iの新規の好ましい化合物を表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
式Iの公知の好ましい化合物を表2に示す。




【0030】
【表3】

【0031】
【表4】

【0032】
【表5】

【0033】
一般式Iの化合物は、好ましくは−25乃至0℃の温度範囲に冷却した有機溶剤、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミド、酢酸エチル中におけるジフェニルホスホリルアジド(DPPA)及びトリエチルアミン(TEA)との反応よるp-ヒドロキシフェニル酢酸またはフェニル酢酸のカルボキシル基の活性化、その後のアミノ誘導体との反応により調製される。好ましくは、カルボキシル基の活性化は、1-1.2当量のDPPA及びTEAを用いて実施される。アミノ誘導体としては、チロシン及びフェニルアラニンエステルが使用されうる。化合物II及びIIIの調製には、出発アミノ誘導体として、それぞれチロシン及びフェニルアラニンベンジルエステルが使用され、その後接触水素化によりベンジル基が除去される。式Iの公知の化合物の初期に使用された合成法とは異なり、ジフェニルホスホリルアジド法の工程数が低下されれば、つまりカルボキシル成分の活性化された誘導体を単離する工程が削除されれば、その使用は標的物質を単離するための抽出により制約され収率が増大する(≧90%)。ジフェニルホスホリラーゼ法による合成の一般スキームをスキーム1に示す。
【0034】
【化8】

【0035】
フェニル基にヒドロキシ置換基を含む化合物を含む新規化合物II、III、IV、V、VII、VIIIはまた、活性化されたN-オキシスクシンイミドエステルの方法を用いても調製しうる。この方法の利点は、試薬の入手しやすさ、遊離したN-ヒドロキシスクシンイミドの水溶性、アシル化剤のN-オキシスクシンイミドエステルの調製反応及びアミド結合形成反応の両方の反応の迅速な進行、及びフェニル基におけるヒドロキシ置換基の存在にもかかわらず高収率の標的生成物(70-80%)が得られる可能性である。提案された方法によれば、アシル化剤のN-オキシスクシンイミドエステルの合成は、N,N'-ジクロロヘキシルカルボイミド法(DCC-法)を用いp-ヒドロキシフェニル酢酸またはフェニル酢酸を活性化されたN-オキシスクシンイミドエステルへ高収率(約90%)で変換し、N-オキシスクシンイミドエステル及びアミノ誘導体間の反応によりアミド結合を短時間(1-2時間)で、これもまた高収率(70-80%)で、標的生成物をクロマトグラフィー精製せずに形成することにより実現する。アミノ誘導体として、チロシン及びフェニルアラニンエステルが使用されうる。同様に、公知の化合物X、XI、XII、XIII、XV、XVII、XIX、XX、XXII、XXIII、XXIVが調製されうるが、活性化されたN-オキシスクシンイミドエステルの方法を用いたそれらの合成は先行技術には開示されていない。
活性化されたN-オキシスクシンイミドエステルの方法を用いた一般式Iの化合物の一般的な合成スキームをスキーム2に示す。
【0036】
【化9】

【0037】
ヒドロキシフェニルプロピオニルチロシン(XIV)の合成もまた、活性化されたN-オキシスクシンイミドエステルの方法を用いて実施されうる。保護されていないC-末端チロシンは、工程数を低下させるために使用可能である。更に、このことは、好ましくないことに標的化合物の視覚純度に反映しうるチロシンメチルエステルの鹸化に必要なアルカリへの長時間の暴露を回避しうる[Schreder E., Lubke K. // Peptidy (Peptides). / Moscow. “Mir” publishers. 1967. 2 volumes; Gross E., Meienhoffer I. // Peptidy. Osnovniye metody obrazovanija peptidnoj svyazi (Peptides. Main formation methods of peptide bond) / Moscow. “Mir” publishers. 1983. p. 422]。有機溶剤及び水の両方における保護されていないチロシンの低溶解性は、2当量の1N NaOH溶液をチロシンのDMF懸濁液に添加することにより得られる溶解性のナトリウム塩にそれらを変換して、アミノ酸の完全に溶解が観察されることにより解決する。このようにして得られたアミノ誘導体の溶液と3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のN-オキシスクシンイミドエステルとの反応は実質的に完全かつ迅速に(2時間)起こる。クロマトグラフィーによる精製を適用することなく抽出により単離した後、標的生成物の収率は約63%であった。
一般式Iの化合物はまた、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸等のような非毒性の酸及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のような塩基との薬学的に許容しうる添加塩の形でも調製しうる。
【0038】
一般式Iの化合物はシクロオキシゲナーゼ阻害活性を有し、種々の発生源の疼痛症候群、結合部及び結合組織ならびに骨格-筋肉系の炎症性及び炎症性変質疾患、炎症、痙攣、低酸素症に伴う種々の病気の治療に、他の鎮痛薬を増強するために、ならびにうつ病及びパーキンソン病により引き起こされる疾患に有用である。
特に、本発明の化合物は、術後疼痛、外傷後疼痛ならびに婦人科、神経、癌、歯に由来する、関節リウマチ、関節症、ベフテレフ(Bekhterev)病、非特異性脊椎関節炎、通風関節炎、骨関節症、関節外リウマチ熱及び静脈血栓症、炎症、痙攣、低酸素症を伴うその他の病気ならびにパーキンソン病、情動性ストレスにより引き起こされる疾患の疼痛症候群の治療に使用しうる。
本発明の化合物は、望ましい治療結果をもたらす有効量が投与される。
式(I)の化合物は、毒性のない薬学的に許容しうる担体を含む単位調剤の形で経口的、局所的、非経口的、吸入及び直腸経由で投与されうる。本明細書において使用されている“非経口投与”は、皮下、静脈内、筋肉内または腹腔内注入または注射を意味する。
本発明の化合物は、毎日体重1kgあたり0.1乃至10mgの投与量で、好ましくは0.5乃至5mgの投与量で患者に投与されうる。
そうではあるが、個々の患者毎の特定投与量は、使用される所与の化合物の活性、患者の年齢、体重、性、一般的な健康状態及び患者の栄養管理及び薬物の投与形態、排出速度、使用される薬物の特定の組み合わせならびに治療される病気の重症度を含む多くの因子に依存するであろう。
【0039】
本発明による製薬組成物は、望ましい結果をもたらすのに有効な量の本発明による化合物を含み、筋肉内、静脈内、経口的、舌下、吸入及び直腸内投与に適する担体または賦形剤とともに混合物中に活性成分として本発明の化合物を含む単位調剤(例えば、固形、半固形または液体の形)として投与されうる。活性成分は、溶液、錠剤、小丸薬、カプセル、糖衣錠、坐薬、乳剤、懸濁液、軟膏、ゲル及びその他のいずれかの調剤を調製するのに適する、通常使用される毒性のない薬学的に許容しうる担体とともに組成物に含まれうる。
賦形剤としては、糖類(例えば、グルコース、ラクトースまたはスクロース)、マンニトールまたはソルビトール、セルロース誘導体及び/またはリン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウムまたは酸性リン酸カルシウム)のような種々の物質が使用されうる。バインダーとしては、でんぷん糊(例えば、トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモでんぷん)、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/またはポリビニルピロリドンのような物質が使用されうる。必要な場合には、前述のでんぷん類及びカルボキシメチルでんぷん、架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸またはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)のような錠剤分解物質が使用されうる。
【0040】
二酸化珪素、タルク、ステアリン酸及びその塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム)及び/またはプロピレングリコールのような、流動度を調整する薬剤及び潤滑剤のような任意の添加剤が使用されうる。
糖衣錠のコアは、通常、胃液の作用に耐性を示す層により塗布される。このためには、任意にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/または二酸化チタン及び適する有機溶剤またはそれらの混合物を含みうる糖類の濃厚溶液が使用されうる。
添加剤として、安定剤、増粘剤、染料及び香料も使用されうる。
軟膏基剤としては、白色及び黄色ワセリン(Vaselinum album、Vaselinum flavum)、ワセリン軟膏(Oleum Vaselini)、白色及び黄色軟膏(Unguentum album、Unguentum flavum) のような炭水化物軟膏基剤が、添加剤としては、固形パラフィン及びワックスのような一層圧縮されたコンシステンシーを付与する添加剤が使用されうる。親水性ワセリン(Vaselinum hydrophylicum)、ラノリン(Lanolinum)、コールドクリーム(Unguentum leniens)のような吸収性のある軟膏基剤を使用してもよい。親水性軟膏(Unguentum hydrophylicum)のような水により洗浄しうる軟膏基剤を使用してもよい。ポリエチレングリコール軟膏(Unguentum Glycolis Polyethyleni)、ベントナイト基剤等のような水溶性軟膏基剤を使用してもよい。
ゲルの基剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、オキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキシド、carbopolが使用されうる。
【0041】
坐薬の基剤としては、カカオバターのような水不溶性の基剤、ゼラチン-グリセロールまたはポリエチレンオキシドのような水溶性または水混和性の基剤、例えば、石鹸質-グリセリン系基剤のような組み合わせ基剤が使用されうる。
単位調剤の製造においては、担体と組み合わせて使用される活性成分の量は、治療される受け手、薬物の特定の投与形態に依存して変化しうる。
したがって、例えば、注射液の形で本発明の化合物を使用する場合には、その中の活性成分の含量は0.01乃至5%である。希釈剤としては、0.9%の塩化ナトリウム溶液、蒸留水、注射用のノボカイン溶液、リンガー溶液、グルコース溶液、溶解のための特定の添加剤が使用されうる。本発明の化合物を錠剤及び坐薬の形で体に投与する場合には、それらの量は単位調剤あたり5.0乃至500mgである。
本発明の調剤は、例えば、混合、造粒、糖衣錠の形成、溶解及び凍結乾燥工程のような標準的な技術により製造される。
本発明の化合物は、比較のために実質的に同様な有効性で使用される公知の薬剤と比較して2〜3オーダー低い用量で生物活性を示し、そのため負の副作用が示されずそれらの使用の禁忌が見出されないことは注目すべきである。その上、1000μg/kgの経口投与における本発明の化合物の毒性の研究においては、実験動物の死は記録されなかった。
本発明の化合物の詳細な記載、それらの調製及びそれらの薬学的活性の試験を、本発明の好ましい態様を説明し、それらの範囲を限定しない以下の実施例において示す。
【0042】
本発明の化合物の合成の実施例
調製された化合物の特性は、以下の溶剤系を用い、“Kiesegel 69 F254”(“Merck”, 独国)プレート上でTLC法を用いて調べた。クロロホルム-メタノール9:1(1)、クロロホルム-メタノール-酢酸エチル6:1:3(2)、クロロホルム-メタノール-アンモニア6:3:0.5(3)。
クロマトグラムは、クロロ-トリジン試薬、ニンヒドリン、ヨウ素を用い、UV光のルミネセンスにより展開させた。
1H-NMRは、“AMX-400 Bruker”(独国)装置で記録された。
IR-フーリエスペクトルは、“Magna 750”(“Nicolet”米国)装置でKBrタブレットを用いてとられた。
融点は、“Boetius”(独国)装置で測定された。
高分解能質量スペクトルは、“REFLEXTM III”(Bruker、独国)装置でマトリクスとして2,5-ジヒドロ安息香酸を用いマトリクスレーザー-脱離イオン化法により走行時間質量分析計で得られた。
分析用逆相HPLCは、以下の装置で実施された。
-クロマトグラフ“Breeze”、検出器“Waters”(米国)、214nmにおける検出、溶離速度1ml/分、条件(1):カラムSymmetry 300 C18、3.9×150mm、5μm、18分間にわたって0乃至60%のアセトニトリル勾配を有するTFAの0.1%水溶液での溶離。
-クロマトグラフ“System Gold”(“Beckman”、米国)、溶離速度0.25ml/分、220nmにおける検出、条件(2):カラム“Phenomenex”(米国) C18、2×250mm、5μm、50分間にわたって0乃至100%のTFAの0.08%の濃度の100%MeCN溶液勾配を有するTFAの0.1%水溶液での溶離。
-クロマトグラフ“Breeze”、検出器“Waters”(米国)、214nmにおける検出、溶離速度1ml/分、条件(3):カラムSymmetry 300 C18、4.6×250mm、20μm、15分間にわたって0乃至100%のTFAの0.09%の濃度の60:40アセトニトリル-水混合物溶液勾配を有するTFAの0.1%水溶液での溶離。
【実施例1】
【0043】
p-ヒドロキシフェニルアセチルチラミン(VII)
技術A
0.40g(2.63ミリモル)のp-ヒドロキシフェニル酢酸を3.5mlのDMFに溶解させた溶液に、0.35g(2.63ミリモル)のチラミンを撹拌しながら添加した。溶液を−10℃に冷却し、0.68ml(3.16ミリモル)のジフェニルホスホリルアジド及び0.44ml(3.16ミリモル)のトリエチルアミンを添加した。溶液を−10℃で2時間撹拌し、20℃に15時間放置した。反応素材に35mlの水を添加し、20mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を10mlのNa2CO3の5%溶液、pH7まで水で、10mlのHClの5%溶液、pH7まで水で洗浄した。酢酸エチル層をNa2SO4上で乾燥させ、Na2SO4を濾過により除去し、酢酸エチルを減圧下で除去した。油状の残留物をエステル-ヘキサン混合物(1:1)で摩砕した。形成された白色沈殿物を濾過し、CaCl2上減圧下で乾燥させた。収量0.68g(95%)。
Rf0.7(1)
Tm=147-149℃
[M]+271.6
1H-NMR,CD3OD,δ,ppm:2.65 (t, J=7 Hz, 2H, α-CH2-TA), 3.29-3.32 (m, 4H, β-CH2-TA, CH2-(OH-PhAc)), 6.63-6.75 (m, 4H, o-CH-arom.), 6.90-7.06 (m, 4H, m-CH-arom.)
IR-フーリエ、cm-1:3276 (val. OH); 3108 (val., =C-H, arom.); 1612 (amide I); 1591 (amide II); 1515 (arom. C-C-); 1226 (val., -C-O, phenolic)
実測値、%:C 70.57; H 6.43; N 5.50 C16H17NO3
計算値、%:C 70.83; H 6.32; N 5.16
条件(1)下のHPLC:個々のピーク、保持時間8.71分
【0044】
技術B
0.70g(4.60ミリモル)のp-ヒドロキシフェニル酢酸を17mlの酢酸エチルに溶解させた溶液に、0.53g(4.60ミリモル)のN-ヒドロキシスクシンイミドを撹拌しながら添加し、溶液を0℃に冷却して0.95g(4.60ミリモル)のN,N'-ジクロロヘキシルカルボイミド法(DCC)を添加した。溶液を0℃で2時間撹拌し、4℃に20時間放置した。N,N'-ジクロロヘキシル尿素(DCU)を濾過により除去した。溶剤を減圧下で除去した。油状の残留物をヘキサンで摩砕した。形成された白色固体沈殿物を濾過し、ヘキサンで洗浄してCaCl2上減圧下で乾燥させた。収量は1.08g(94.6%)であった。Rf0.58(1)。
0.30g(1.2ミリモル)のp-ヒドロキシフェニル酢酸のN-オキシスクシンイミドエステルを8mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた溶液に、0.16g(1.2ミリモル)のチラミンを撹拌しながら添加した。反応混合物を20℃で2時間撹拌し、4℃に20時間放置した。DMFを減圧下で除去した。油状の残留物を水で摩砕した。形成された白色沈殿物を濾過し、水で洗浄した。収量0.26g(80%)。
Rf0.68(1)
Tm=146-148℃
[M+H]+272.3
実測値、%:C 71.05; H 6.10; N 5.25 C16H17NO3
計算値、%:C 70.83; H 6.32; N 5.16
【実施例2】
【0045】
p-ヒドロキシフェニルアセチルフェニルエチルアミン(VIII)
化合物VIIに関して記載した技術Aにしたがって合成を実施した。
収量0.57g(90.5%)
Rf0.82(1)
Tm=69-70℃
[M]+255.5
1H-NMR DMSO-d6,δ,ppm:2.68 (t, J=8Hz, 2H, β-CH2-PEA), 3.22-3.26 (m, α-CH2-PEA), 3.36 (s, 2H, CH2-(OH-PhAc)), 6.66 (d, J=4 Hz, 2H, m-CH-arom. OH-PhAc), 7.00 (d, J=4 Hz, 2H, m-CH-arom. OH-PhAc), 7.14-7.28 (m, 5H, arom. CH-PEA), 8.0 (br. s, 1H, NH-PEA), 9.20 (s, 1H, OH-(OH-PhAc))
IR-フーリエ、cm-1:3332 (val. OH); 3087 (val., =C-H, arom.); 1626 (amide I); 1558 (amide II); 1515 (arom. C-C-); 1249 (val., -C-O, phenolic)
実測値、%:C 75.57; H 6.80; N 5.77 C16H17NO2
計算値、%:C 75.27; H 6.71; N 5.49
条件(1)下のHPLC:個々のピーク、保持時間11.17分
化合物VIIに関して記載した技術Bにしたがって合成を実施した。
収量0.50g(79.4%)
Rf0.85(1)
Tm=68-70℃
[M]+255.7
実測値、%:C 75.17; H 6.87; N 5.75 C16H17NO2
計算値、%:C 75.27; H 6.71; N 5.49
【実施例3】
【0046】
3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルチラミン(X)
化合物VIIに関して記載した技術Aにしたがって合成を実施した。
収量0.41g(95%)
Rf0.38(1)
Tm=174-176℃
1H-NMR DMSO-d6,δ,ppm:2.26 (t, J=8Hz, 2H, α-CH2-(HO-PhPr)), 2.53 (t, J=6 Hz, 2H, β-CH2-Tyra), 2.67 (t, J=8 Hz, 2H, β-CH2-(HO-PhPr)). 3.16 (t, J=6 Hz, 2H, α-CH2-Tyra), 6.62 (d, J=7 Hz, 2H, m-CH-Bzl-Tyra), 6.65 (d, J=7 Hz, m-CH-Bzl-(HO-PhPr)), 6.92-6.96 (m, 4H, o-CH-Bzl-Tyra and o-CH-Bzl-(HO-PhPr)), 7.79 (s, 1H, NH-Tyra), 9.09 (br. s, 2H, OH-Tyra and OH-(HO-PhPr))
IR-フーリエ、cm-1:3249 (val. OH); 1621 (amide I); 1515 (arom.); 1541 (amide II)
実測値、%:C 71.56; H 6.78; N 4.97 C16H17NO2
計算値、%:C 71.56; H 6.71; N 4.91, C17H19NO3
条件(2)下のHPLC:個々のピーク、保持時間25.62分
化合物VIIに関して記載した技術Bにしたがって合成を実施した。
収量0.37g(85%)
Rf0.35(1)
Tm=172-174℃
[M]+285.3
【実施例4】
【0047】
3-フェニルプロピオニルフェニルエチルアミン(XI)
化合物VIIに関して記載した技術Aにしたがって合成を実施した。
収量0.26g(97%)
Rf0.78(1)
Tm=94-96℃
1H-NMR DMSO-d6,δ,ppm:2.34 (t, J=8Hz, 2H, α-CH2-(HO-PhPr)), 2.66 (t, J=6 Hz, 2H, β-CH2-PEA), 2.79 (t, J=8 Hz, 2H, β-CH2-PhPro)), 3.24 (t, J=6 Hz, 2H, α-CH2-PEA), 7.25-7.30 (m, 10H, CH-arom.), 7.89 (br. s, 1H, NH-PEA)
IR-フーリエ、cm-1:1637 (amide I); 1546 (amide II)
実測値、%:C 80.24; H 7.61; N 5.54
計算値、%:C 80.60; H 7.56; N 5.53, C17H19NO3
条件(2)下のHPLC:個々のピーク、保持時間37.86分
化合物VIIに関して記載した技術Bにしたがって合成を実施した。
収量0.20g(77%)
Rf0.80(1)
実測値、%:C 80.39; H 7.53; N 5.30
計算値、%:C 80.60; H 7.56; N 5.53, C17H19NO3
【実施例5】
【0048】
3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルフェニルエチルアミン(IX)
化合物VIIに関して記載した技術Aにしたがって合成を実施した。
収量0.20g(90%)
Rf0.4(2)
Tm=102-104℃、Cast.[84] 102-104℃
[M]+269.6
1H-NMR CDCl3,δ,ppm:2.39 (t, J=7Hz, 2H, α-CH2-(HO-PhPr)), 2.73 (m, 2H, β-CH2-PEA), 2.86 (t, J=7 Hz, 2H, β-CH2-(HO-PhPr)), 3.48 (m, 2H, α-CH2-PEA), 6.75 (m, 2H, m-CH-arom. HO-PhPr), 7.03 (m, 2H o-CH-arom. HO-PhPr), 7.09 (m, 2H, o-CH-arom. PEA), 7.3 (m, 3H, m,p-CH-arom. PEA)
IR-フーリエ、cm-1:3263 (val. OH); 1618 (amide I); 1537 (amide II)
実測値、%:C 75.57; H 6.93; N 5.09. C17H19NO2
計算値、%:C 75.81; H 7.11; N 5.20
条件(3)下のHPLC:個々のピーク、保持時間14.77分
【実施例6】
【0049】
p-ヒドロキシフェニルアセチルチロシンメチルエステル(IV)
化合物VIIに関して記載した技術Aにしたがって合成を実施した。
収量0.17g(39%)
Rf0.56(2)
[M]+329.85
[α]D25+12.22゜ (C 0.36; MeOH)
1H-NMR DMSO-d6,δ,ppm:2.78 (dd, 1H, CH2-Tyr), 2.9 (dd, 1H, CH2-Tyr), 3.25-3.45 (m, 2H, CH2-HOPhAc), 4.3-4.4 (m, 1H, α-CH-Tyr), 3.6 (s, 3H, OCH3 Tyr), 6.55-7.1 (m, 8H, arom. H), 8.25 (d, 1H, NH-Tyr)
IR-フーリエ、δ、cm-1:1649 (amide I); 1515 (amide II); 1263 (amide III)
実測値、%:C 65.75; H 5.75; N 4.23
計算値、%:C 65.64; H 5.81; N 4.25
条件(3)下のHPLC:個々のピーク、保持時間7.25分
【実施例7】
【0050】
p-ヒドロキシフェニルアセチルフェニルアラニンメチルエステル(V)
化合物VIIに関して記載した技術Aにしたがって合成を実施した。
収量0.40g(39%)、油
Rf0.70(2)
[M]+313.83
[α]D20+35.05゜ (C 0.19; 酢酸エチル)
1H-NMR DMSO-d6,δ,ppm:2.9 (dd, 1H, CH2-Phe), 3.05 (dd, 1H, CH2-Phe), 3.25-3.4 (m, 2H, CH2-HOPhAc), 3.6 (s, 3H, OCH3 Phe), 4.4-4.5 (m, 1H, α-CH-Phe), 6.55-6.95 (m, 4H, arom. H HOPhAc), 7.1-7.3 (m, 5H, arom. H Phe), 8.3 (d, 1H, NH-Phe), 9.2 (s, 1H, OH-Ar HOPhAc)
IR-フーリエ、δ、cm-1:1663 (amide I); 1515 (amide II); 1263 (amide III)
実測値、%:C 69.08; H 6.05; N 4.45
計算値、%:C 68.99; H 6.11; N 4.47
条件(3)下のHPLC:個々のピーク、保持時間8.57分
【実施例8】
【0051】
フェニルアセチルチラミン(VI)
化合物VIIに関して記載した技術Aにしたがって合成を実施した。
収量0.35g(37.6%)
Rf0.85(2)
Tm=105-108℃
[M+1]+256.2
1H-NMR DMSO-d6,δ,ppm:2.6 (t, 2H, α-CH2-TA), 3.2 (q, 2H, β-CH2-TA), 3.4 (s, 2H, CH2-PhAc), 6.6-7.0 (m, 4H, arom. H TA), 7.15-7.3 (m, 5H, arom. H PhAc), 8.0 (t, 1H, NH-TA), 9.1 (s, 1H, OH-TA)
IR-フーリエ、δ、cm-1:1646 (amide I); 1516 (amide II); 1264 (amide III)
実測値、%:C 75.37; H 6.69; N 5.45
計算値、%:C 75.27; H 6.71; N 5.49
条件(3)下のHPLC:個々のピーク、保持時間8.06分
【実施例9】
【0052】
3-(p-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルフェニルアラニンメチルエステル(XIII)
化合物VIIに関して記載した技術Aにしたがって合成を実施した。
収量0.37g(38%)、油
Rf0.73(2)
[M]+328.21
[α]D25-6.95゜ (C 0.46; MeOH)
1H-NMR DMSO-d6,δ,ppm:2.3 (t, 2H, 1-CH2 HOPhPr), 2.6 (t, 2H, 2-CH2 HOPhPr), 2.85 (dd, 1H, CH2-Phe), 3.0 (dd, 1H, CH2-Phe), 3.6 (s, 3H, OCH3 Phe), 4.4-4.5 (m, 1H, α-CH-Phe), 6.6-6.95 (m, 4H, arom. H HOPhPr), 7.15-7.3 (m, 5H, arom. H Phe), 8.22 (d, 1H, NH-Phe), 9.1 (s, 1H, OH-Ar HOPhAc)
IR-フーリエ、δ、cm-1:1651 (amide I); 1516 (amide II); 1266 (amide III)
実測値、%:C 69.61; H 6.49; N 4.29
計算値、%:C 69.71; H 6.47; N 4.28
条件(3)下のHPLC:個々のピーク、保持時間8.9分
【実施例10】
【0053】
p-ヒドロキシフェニルアセチルチロシンベンジルエステル(XIII)
化合物VIIに関して記載した技術Aにしたがって合成を実施した。
収量0.59g(55.7%)、油
Rf0.57(2)
[M+1]+406.0
[α]D20-9.18゜ (C 0.20; MeOH)
IR-フーリエ、δ、cm-1:1649 (amide I); 1515 (amide II); 1737 (val C=O ester)
実測値、%:C 71.05; H 5.70; N 3.43
計算値、%:C 71.10; H 5.72; N 3.45
【実施例11】
【0054】
p-ヒドロキシフェニルアセチルチロシン(II)
0.59g(1.47モル)のp-ヒドロキシフェニルアセチルチロシンベンジルエステルを10mlのメタノールに溶解させた溶液に、0.20gの石炭上の10%パラジウムを添加し、激しく撹拌しながら水素流中で1.5時間水和反応を実施した。触媒を濾過により除去した。減圧下で濾液から溶剤を除去した。油状の残留物をエステル-ヘキサン混合物(1:1)で摩砕した。形成された白色沈殿物を濾過し、CaCl2及びP2O5上減圧下で乾燥させた。0.32gが得られた(68%)。
収率37%
Rf0.28(3)
[M+1]+316.7
[α]D25+28.03゜ (C 0.31; MeOH)
1H-NMR DMSO-d6,δ,ppm:2.75 (dd, 1H, CH2-Tyr), 2.9 (dd, 1H, CH2-Tyr), 3.2-3.4 (m, 2H, CH2-HOPhAc), 4.3-4.4 (m, 1H, α-CH-Tyr), 6.55-7.1 (m, 8H, arom.), 8.05 (d, 1H, NH-Tyr)
IR-フーリエ、δ、cm-1:1614 (amide I); 1516 (amide II); 1254 (amide III)
実測値、%:C 64.65; H 5.41; N 4.37. C17H17NO5
計算値、%:C 64.75; H 5.43; N 4.44
条件(1)下のHPLC:個々のピーク、保持時間6.33分
【実施例12】
【0055】
p-ヒドロキシフェニルアセチルフェニルアラニンベンジルエステル(XXVII)
化合物VIIに関して記載した技術Aにしたがって合成を実施した。
収量0.76g(74%)
Rf0.87(2)
[M+1]+390.1
[α]D20-19.47゜ (C 0.19; MeOH)
IR-フーリエ、δ、cm-1:1649 (amide I); 1515 (amide II); 1737 (val C=O ester)
実測値、%:C 74.12; H 5.92; N 3.57
計算値、%:C 74.02; H 5.95; N 3.60
【実施例13】
【0056】
p-ヒドロキシフェニルアセチルフェニルアラニン(III)
0.65g(1.67モル)のp-ヒドロキシフェニルアセチルフェニルアラニンベンジルエステルを10mlのメタノールに溶解させた溶液に、0.30gの石炭上の10%パラジウムを添加し、激しく撹拌しながら水素流中で1.5時間水和反応を実施した。触媒を濾過により除去した。減圧下で濾液から溶剤を除去した。油状の残留物をエステル-ヘキサン混合物(1:1)で摩砕した。形成された白色沈殿物を濾過し、CaCl2及びP2O5上減圧下で乾燥させた。0.27g(53%)が得られた。
収率39.2%
Rf0.42(3)
[M+1]+300.09
[α]D25+18.57゜ (C 0.44; MeOH)
1H-NMR DMSO-d6,δ,ppm:2.85 (dd, 1H, CH2-Phe), 3.1 (dd, 1H, CH2-Phe), 3.2-3.35 (m, 2H, CH2-HOPhAc), 4.4-4.5 (m, 1H, α-CH-Phe), 6.55-6.95 (m, 4H, arom. H HOPhAc), 7.1-7.3 (m, 5H, arom. H Phe), 8.15 (d, 1H, NH-Phe)
IR-フーリエ、δ、cm-1:1611 (amide I); 1512 (amide II)
実測値、%:C 68.30; H 5.68; N 4.65
計算値、%:C 68.21; H 5.72; N 4.68
条件(3)下のHPLC:個々のピーク、保持時間7.59分
【実施例14】
【0057】
p-ヒドロキシプロピオニルチロシンベンジルエステル(XXX)
化合物VIIに関して記載した技術Aにしたがって合成を実施した。
収量0.94g(70%)
Rf0.72(1)
[M]+403.5
[α]D20-11.93゜ (C 0.18; MeOH)
実測値、%:C 74.22; H 6.92; N 3.57
計算値、%:C 74.42; H 6.25; N 3.47
【実施例15】
【0058】
アセチルチロシルフェニルエチルアミン(XXVIII)
化合物VIIに関して記載した技術Aにしたがって合成を実施した。
収量0.36g(50%)
Rf0.57(1)
[M]+326.9
[α]D20-9.06゜ (C 0.30; MeOH)
IR-フーリエ、δ、cm-1:1651 (amide I); 1616 (amide II)
実測値、%:C 69.22; H 6.52; N 8.27. C24H23NO4
計算値、%:C 69.92; H 6.79; N 8.58
【実施例16】
【0059】
アセチルチロシルチラミン(XXIX)
化合物VIIに関して記載した技術Aにしたがって合成を実施した。
収量0.77g(65%)
Rf0.41(1)
[M]+342.7
実測値、%:C 66.25; H 6.32; N 8.25. C24H23NO4
計算値、%:C 66.65; H 6.48; N 8.18
【0060】
生物活性試験
【実施例17】
【0061】
マウスの肺組織の無細胞ホモジェネートにおける [14C]アラキドン酸代謝に及ぼす一般式Iの化合物のインビトロ効果に関する研究
アラキドン酸代謝の研究は、標準的な生態動物園の飼料を食べたメスのCBAマウスについて実施した。動物(マウス)を犠牲にして、肺を摘出し、4℃の“Wheaton”(米国)社製のガラス製ホモジナイザー中、10倍の体積の0.05Mのトリス塩酸緩衝液中で均質化した。上澄みのアリコート(0.5ml)を、37℃において30分間0.5μCiの[1-C14]アラキドン酸([C14]-AA、英国“Amersham”、比活性度50-60μCi/ミリモル)中で培養させた。非代謝[C14]-AA及びそれらの代謝産物を、90%以上の[C14]-PGFを用いて評価された抽出効率で20倍の体積のクロロホルム及びメタノールの混合物(1:1)中に抽出した。[C14]-AA及びそれらの代謝産物を分離し、有機相として溶剤系(酢酸エチル、イソオクタン、酢酸、水−110:50:20:100)を用いたTLC(独国“Merck”社のプレートKieselgel 60)で識別し、標準とした。X線フィルムX-Omat AR(米国“Kodak”)及びHS 11(独国“ORWO”)上に得られるオートラジオクロマトグラムの濃度測定は、デンシスキャンKS 3(オランダ“Kipp and Zonnen”)上で実施した。個々のエイコサノイドの定量分析は、高速液体クロマトグラフィー(仏国“Gilson”社のHPLCシステム、米国“Du Pont”社のカラムZORBAX C8)及びTLC-プレート上のスポットの溶離により得られたフラクションの放射測定を用いて実施した。試験化合物は10-4Mの濃度で投与された。
得られたデータを表3に示す。
【0062】
【表6】

【0063】
得られたエイコサノイドの概略のデータは、一般式Iの化合物がシクロオキシゲナーゼを22÷44%阻害しうることを示し、それらが鎮静薬及び抗炎症薬としての見込みがあることを示唆する。
【実施例18】
【0064】
一般式Iの化合物の鎮痛及び抗炎症活性モデル“酢酸のねじれ”に及ぼす鎮痛活性の研究
試験は、体重22-24gの白色雑種マウスのオスについて実施した。特定の疼痛反応(“ねじれ”)は、0.75%の酢酸溶液のマウスへの腹腔内投与により発現した。以下の徴候が検討された。すなわち、後肢を伸ばして背中が撓むことに伴う腹筋の発病収縮の回数。鎮痛効果は、酢酸の投与後15分間の動物におけるねじれの回数の低下を対照に対する%により評価した。試験の技術は、Koster R., Anderson M., de Beer B. // Fed. Proc. 1959. V.18. P.412に開示されている。試験する化合物は、酸の注射の60分前に10μg/kgの投与量で(プローブを用い)腹腔内投与した。ジクロフェナク(10mg/kg)を参考薬剤として使用した。鎮痛効果は下式にしたがって算出した。
【0065】
【数1】

(式中、Ckは対照群のねじれの回数であり、Coは試験群のねじれの回数である。)
【0066】
得られたデータを表4に示す。
【0067】
【表7】

【0068】
一般式Iに対応する化合物は、“ねじれ”において、参考薬剤であるジクロフェナク及びボルタレンのそれに近い鎮静活性を示し(表4を参照されたい)、多くの化合物の鎮静効果は38乃至68%である。
【実施例19】
【0069】
モデル“酢酸のねじれ”に対するトラマール(Tramal)及びアナルギン(Analgin)の鎮痛作用に及ぼす一般式Iの化合物の効果
研究は、実施例18に提示されている技術にしたがって実施した。
【0070】
【表8】

【0071】
表5のデータによれば、化合物IXとトラマール(Tramal)の組み合わせの鎮痛効果は、化合物IX及びトラマール(Tramal)単独の効果より有意に強力である(それぞれ6.4±2.0対24.0±3.4及び17.5±2.3)。
【0072】
【表9】

【0073】
化合物IXはまたアナルギン(Analgin)の鎮痛作用を強める(表6)。
したがって、投与量10mg/kgで腹腔内投与した化合物IXは、トラマール(Tramal)の鎮痛作用を有意に強め、アナルギン(Analgin)の鎮痛作用を増強する。
【実施例20】
【0074】
モデル“ホットプレート”に及ぼす鎮痛活性の研究
一般式Iに対応する化合物の鎮痛作用は、Woolfe G., McDonald A.D. // The evaluation of the analgetic action of pethidine hydrochloride (Demerol). // Pharmacol. Exp. Ther. 1944. V.80. P. 300-307に示されている技術による“ホットプレート”モデルを用いる研究であった。試験は、体重22-24gの白色雑種マウスのオスについて実施した。動物を個別にホットプレート(“Ugo Basile”社製)上に置き、その温度を一定に保持し、55℃にした。物質の投与前(バックグラウンドパラメータ)及び物質の投与後0.5、1、2、3及び4時間に、後の足をなめること、飛び跳ねることで示される疼痛反応の初めての徴候を記録した。物質は(プローブを用い)腹腔内に投与した。溶液が得られるまで秤量した物質を0.1mlのTween 80中で十分に混合し、0.5mlの体積になるまで生理食塩水を添加した。各群について痛覚閾値(NT)の平均潜時を計算した。得られた結果をバックグラウンド値の%で表した。鎮痛効果(単位%)は下式にしたって計算した。
A−100%=X
式中、Aはバックグラウンドパラメータであり、Xは鎮痛効果(単位%)である。
Aは(投与後0.5乃至4時間後×100%):バックグラウンド時間
参考薬剤として、アナルギン(Analgin)(150mg/kg)、パラセタモール(200mg/kg)、ケトロール(Ketorol)(10mg/kg)を使用した。
得られたデータを表7に示す。
【0075】
【表10】

【0076】
【表11】

【0077】
【表12】

【0078】
【表13】

【0079】
得られたデータは、“ホットプレート”試験における一般式Iの化合物がかなり痛覚閾値を上昇させる有意な活性を実証することを示す。同時に、鎮痛及び解熱作用を有する参考薬剤のパラセタモールの用量より1乃至2オーダー低い0.1乃至10mg/kg、有利なことには1乃至10mg/kgの用量で参考薬剤のそれに匹敵する鎮痛効果が得られる。表7に示されたデータは、一般式Iの化合物の鎮痛効果が、多くの場合4時間より長い時間保持されるような長時間と考えられうる50乃至最大150%までの平均値を示す。
したがって、一般式Iの化合物は、鎮痛効果の程度については公知の非麻薬性鎮痛薬(Analgin、パラセタモール)に匹敵し、鎮痛効果の持続時間については参考薬剤を超え、作用する用量は参考非麻薬性鎮痛薬より1オーダー低いことがわかる。
【実施例21】
【0080】
ラットの足のカラギーナン浮腫に及ぼす一般式Iの化合物の効果に関する研究
試験は、体重250-270gの異系交配白色ラットのオスについて実施した。カラギーナン浮腫のモデルは、Winter et al. In: DeRosa M., Giroud J.P. Willoughby D.A. Studies of the mediators of acute inflammatory response induced in rats in different sites by carrageenan and turpentine.// J. Pharmacol. 1971. V.104.P.15-29に記載されているモデルを使用した。
0.1mlの1%カラギーナン溶液(SERVA)をラットの右足の裏から注射した。動物を個別の室に入れた。1%の軟膏をカラギーナンの投与直後及び1及び2時間後に足に塗布した。カラギーナン投与の4時間後にプレチスモメータ(Ugo Besile)を用いて足の体積を測定した。軟膏の治療効果は、所与の動物の変わっていない左足及びラットの対照(未治療)群の足の反応と比較して炎症反応の阻害度により評価した。%の単位で表された炎症反応の阻害は下式にしたがって計算した。
【0081】
【数2】

【0082】
【数3】

【0083】
得られたデータは表8に示す。
【0084】
【表14】

【0085】
表8に示された結果は、式Iの化合物の、NSAID群の参考薬剤であるインドメタシンの活性に匹敵する顕著な抗炎症活性を示し、化合物の有効用量は参考薬剤より1オーダー低いことを示す。
【実施例22】
【0086】
一般式Iの化合物の潰瘍誘発作用に関する研究
試験は、体重300-320gの異系交配ラットのメスについて実施した。試験化合物は、試験前に24時間食事を奪われているラットに30mg/kgの用量で1回胃の中に投与された。対照群の動物には同一量の蒸留水が投与された。24時間で動物を犠牲にして、胃を摘出した。空っぽの胃に2%のホルマリン溶液を充填し、ホルマリンを満たしたビーカーに入れた。30分後、胃を大きな湾曲に沿って切り開き、スライド上に広げ、固定して蒸留水で洗浄した。拡大鏡MBS-9(8倍の倍率)を用い胃粘膜異常の長さ及び幅を測定し、mm2の単位で面積を計算した(拡大鏡の定規の1区分=0.1mm)。物質の潰瘍誘発作用は、Rukovodstvo po experimental'nomu (doklinicheskomu) izucheniju novykh pharmacologicheskikh veshchestv (the Guide on Experimental (pre-clinical) Study of Novel Pharmacological Substances). / Moscow. “Remedium” publishers. 2000, 398pagesに示されている技術による胃粘膜の潰瘍損傷面積により評価された。
得られたデータは表9に示す。
【0087】
【表15】

【0088】
得られたデータは、投与量30mg/kgの一般式Iの化合物の胃内投与においては胃粘膜の潰瘍損傷がないことを示す。
【実施例23】
【0089】
一般式Iの化合物の鎮痙作用に関する研究
子宮角のセロトニンによる弱い筋拘縮のモデル[Blattner H.G., Dehnert H. et al. Experiments on isolated smooth muscle preparation. Ed. J.M. Barnden and R. Colson, 1980]を、体重300-350gのウィスター系ラットのメスに引き起こした。調製した平滑筋標本(SMP)を、平滑筋標本の自発的収縮性を防ぐために、カルシウム含量を低下させたタイロード溶液を含む温度制御室(+37℃)に入れた。子宮角の収縮は、ポリグラフ(polygraph)KPS-4に連結したmechanotron 6M×2Bを用いて記録した。対象に対する初期の負荷は0.5-0.7gであった。
SMPの拘縮は、0.1mlの10-5Mの濃度のセロトニン(Sigma)の培養培地に導入することにより引き起こした。メディエーターの投与の30-60秒後に、子宮角の収縮幅のピークが記録された。化合物IXは、収縮幅のピークにまたは培養の状態下(同一の濃度範囲内)に15分間室内に導入された。
試験される化合物IXの効果は、収縮の回数及び振幅値の低下により評価された。
結果を表10に示す。
【0090】
【表16】

【0091】
子宮角のSMPのセロトニンによる拘縮のピーク時に化合物IXを添加すると、ラットの子宮角の平滑筋の標本の収縮速度(5分間)が対照の9回から試験の5回に減速した(表10を参照されたい)。
培養前の化合物IXでも、セロトニンによる収縮の減速が観察され(5分間に4回)、その後SMPの拘縮は完全に阻害された(表10)。
したがって、インビトロ条件下の化合物IXは(セロトニンによるSMPの収縮のピーク時に)鎮痙作用を示し、予防的投与においてはSMPの拘縮の発生を阻害する。
【実施例24】
【0092】
一般式Iの化合物の抗低酸素作用に関する研究
急性の酸素不足を模倣するために、密封容器中で高炭酸ガス症を有する低酸素症モデルを使用した[Luk'yanovaL.D., Gatsura V.V., Pastushenkov L.V. Metodicheskiye recomendatsii po experimental'nomu izucheniju preparatov, predlagajemykh dlya klinicheskogo isuchenija v kachestve antihypoxicheskikh sredsyv (Methodological recommendations on experimental study of preparations proposed for clinical examination as anti-hypoxic agents) . Moscow. 1960. P.1-19]。体重が27-29gのオスのラットを個別に260mlの密封されているガラスジャーに入れた。動物が酸素を消費するにしたがって、容器内のその濃度が低下し、その結果動物が死んだ。マウスの寿命を分の単位で記録した。
得られた結果を表11に示す。
【0093】
【表17】

【0094】
投与量50mg/kgの化合物IXは、低酸素性低酸素症の状態のマウスの寿命を有意に27.3%延ばす。
実験結果は化合物IXが抗低酸素作用を示すことを示唆する。
【実施例25】
【0095】
“絶望行動”試験における一般式Iの化合物の抗うつ作用(不動期間に及ぼす効果)に関する研究
Porsortによる“絶望行動”試験[R.D. Porsolt, A. Bertin and M. Jalfre. // in mice: A primary Screening Test for Antidepressants. Arch. Int. Pharmacodyn., 1977, 229, p. 327-336]は、抗うつ作用を有する薬剤のための予言的な試験である。
マウス(体重27-30g)のストレス状態は、強制水泳により引き起こされる。動物を、21-23℃の水で1/3まで充填したシリンダー(高さ25cm、直径10cm)に入れる。動物は自分ではシリンダーから逃げることができない。短時間の活動後、動物は動物のホバリング、すなわち回復しうる不動期間を特徴とするいわゆる“うつ行動”を発現する。実験は2日間実施する。最初の日に、動物を15分間シリンダーに入れる(予備試験)。水から出した後、動物を乾燥させて試験調剤を投与する。24時間後に調剤を再び投与し、1時間後に動物をシリンダーに6分間入れる。最初の2分間には動物は活発に泳ぐ。次の4分間には、4分間で回復する不動(ホバリング)により示されるうつ行動を発現し、秒単位の量で測定した。化合物IX及び参考抗うつ薬フルオキセチン(Fluoxetin)を50mg/kgの投与量で経口的に投与した。
得られたデータを表12に示す。
【0096】
【表18】

【0097】
“絶望行動”試験においては、化合物IXならびに抗うつ薬フルオキセチン(Fluoxetin)はマウスの不動時間を統計的に有意に短縮させた。
したがって、化合物IXの作用スペクトルにおいては、薬理効果は(Porsoltによる“絶望行動”試験において不動時間を短縮すること)抗うつ薬群に属する調剤の特徴を有することが見出された。
単位調剤の実施例
【実施例26】
【0098】
A.錠剤
以下に示す成分を使用して錠剤を製造した。
一般式(I)に対応する化合物 5-100mg
ジャガイモでんぷん 20-50mg
ステアリン酸マグネシウム 3mg
アエロジル(Aerosyl) 1mg
ラクトース 300mgまで
成分を混合して圧縮し、各々300mgの錠剤を形成する。
B.坐薬
坐薬組成物の実施例
一般式(I)に対応する化合物 5-100mg
カカオバター 坐薬を製造するのに必要な量
必要に応じて、それぞれの賦形剤を用いて直腸、膣及び尿道の坐薬を製造しうる。
C.軟膏
軟膏組成物の実施例
一般式(I)に対応する化合物 0.05-0.5g
ペトロラタム 10g
軟膏は一般的に知られている技術にしたがって製造される。
D.ゲル
ゲル組成物の実施例
一般式(I)に対応する化合物 100mg
カルボポール(Carbopol) 200mg
ベンジルアルコール 20mg
エチルアルコール 300mg
水 10gまで
したがって、本発明は、一般式Iの新規化合物、新規及び公知の化合物の単純な調製方法及び、抗炎症作用及び有利な鎮痛作用を有し、潰瘍誘発性の副作用のない非ステロイド性抗炎症薬、シクロオキシゲナーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関する。
薬理学的研究の結果は、特許請求された化合物が以下の異常な因子:情動ストレス、疼痛症候群、低酸素症、炎症、痙攣、ならびにパーキンソン病により引き起こされるcope障害に暴露させて治療効果を発揮する、ならびに他の鎮痛薬を増強する独特な能力を有することを示唆する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの生体アミンのフェニル-N-アシル誘導体または薬学的に許容しうるそれらの塩。
【化1】

(式中、
R1は下式であって、式中のR5は水素またはヒドロキシル基であり、
【化2】

R2は水素または任意にCH3(CH2)mCO-で置換されたアミノ基であって、式中のmは0乃至4であり、
R3は水素、-COOH、-COOR6であって、式中のR6はC1-C6のアルキルまたは下式であり、
【化3】

(式中、R7は水素またはヒドロキシル基である)
R4は、水素、ヒドロキシル基である。)
ただし、一般式Iの化合物は、
フェニルアセチルチラミン、
3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニルフェニルエチルアミン、
3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニルチラミン、
3-フェニルプロピオニルフェニルエチルアミン、
3-フェニルプロピオニルチラミン、
3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニルフェニルアラニンメチルエステル、
3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニルチロシン、
3-フェニルプロピオニルチロシン、
フェニルアセチルチロシン、
3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニルフェニルアラニン、
3-フェニルプロピオニルフェニルアラニン、
フェニルアセチルフェニルアラニン、
3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニルチロシンメチルエステル、
3-フェニルプロピオニルチロシンメチルエステル、
フェニルアセチルチロシンメチルエステル、
フェニルアセチルフェニルエチルアミン、
3-フェニルプロピオニルフェニルアラニンメチルエステル、
フェニルアセチルフェニルアラニンメチルエステル、
3-(p-ヒドロキシフェニル)プロピオニルチロシンベンジルエステル、
ではない。
【請求項2】
R3が-COOH、-COOR3である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
p-ヒドロキシフェニルアセチルチロシン、
p-ヒドロキシフェニルアセチルフェニルアラニン、
p-ヒドロキシフェニルアセチルチロシンメチルエステル、
p-ヒドロキシフェニルアセチルフェニルアラニンメチルエステル、
3-フェニルプロピルチロシンベンジルエステル、
p-ヒドロキシフェニルアセチルチロシンベンジルエステル、
p-ヒドロキシフェニルアセチルフェニルアラニンベンジルエステル、
N-アセチルチロシルフェニルエチルアミン、
N-アセチルチロシルチラミン、
p-ヒドロキシフェニルアセチルチラミン、
p-ヒドロキシフェニルアセチルフェニルエチルアミン、
または薬学的に許容しうるそれらの塩から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項4】
シクロオキシゲナーゼ阻害活性を有する請求項1乃至3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
鎮痛、抗炎症性、鎮痙、抗低酸素、抗うつまたは抗パーキンソン病効果を有する請求項4記載の化合物。
【請求項6】
他の鎮痛薬、特にトラマール(Tramal)及びアナルギン(Analgin)の効果を増強しうる請求項4記載の化合物。
【請求項7】
一般式Iの化合物の調製方法であって、
【化4】

(式中、R1は下式であって、式中のR5は水素またはヒドロキシル基であり、
【化5】

R2は水素または任意にCH3(CH2)mCO-で置換されたアミノ基であって、式中のmは0乃至4であり、
R3は水素、-COOH、-COOR6であって、式中のR6はC1-C6のアルキルまたは下式であり、
【化6】

(式中、R7は水素またはヒドロキシル基である)
R4は、水素、ヒドロキシル基である。)
冷却した有機溶剤中でジフェニルホスホリルアジド及びトリエチルアミンと反応させることにより、一般式

の化合物のカルボキシル基を活性化させたあと、一般式
【化7】

(式中、R1-R4は一般式Iの化合物に関して定義したとおりである)
のアミノ化合物と反応させることを含む方法。
【請求項8】
1-1.2当量のジフェニルホスホリルアジド及びトリエチルアミンが使用される請求項6記載の方法。
【請求項9】
アミノ誘導体としてチロシンまたはフェニルアラニンエステルが使用される請求項6または7記載の方法。
【請求項10】
有機溶剤としてN,N-ジメチルホルムアミドまたは酢酸エチルが使用される請求項6乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
−25乃至0℃の温度で実施される請求項6乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
一般式Iの化合物または薬学的に許容しうるそれらの塩の調製方法であって、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド法を用いて一般式

のp-ヒドロキシフェニル酢酸、フェニル酢酸またはN-置換チロシンを、一般式

の活性化されたN-オキシスクシンイミドエステルに変換したあと、活性化されたN-オキシスクシンイミドエステルを一般式
【化8】

(式中、R1-R4は請求項1において一般式Iの化合物に関して定義したとおりである)
のアミノ誘導体と反応させることを含む方法。
【請求項13】
アミノ誘導体としてチロシンまたはフェニルアラニンエステルが使用される請求項12記載の方法。
【請求項14】
活性成分として有効量の一般式Iの化合物または薬学的に許容するそれらの塩及び薬学的に許容しうる担体を含む製薬組成物。
【化9】

(式中、R1は下式であって、式中のR5は水素またはヒドロキシル基であり、
【化10】

R2は水素または任意にCH3(CH2)mCO-で置換されたアミノ基であって、式中のmは0乃至4であり、
R3は水素、-COOH、-COOR6であって、式中のR6はC1-C6のアルキルまたは下式であり、
【化11】

(式中、R7は水素またはヒドロキシル基である)
R4は、水素、ヒドロキシル基である。)
【請求項15】
シクロオキシゲナーゼ活性を阻害する可能性、鎮痛、抗炎症性、鎮痙、抗低酸素、抗うつ及び抗パーキンソン病特性ならびに他の鎮痛薬の効果を増強する可能性を有する請求項14記載の製薬組成物。
【請求項16】
一般式Iの化合物または薬学的に許容するそれらの塩を含む鎮痛、抗炎症性、鎮痙、抗低酸素、抗うつ及び抗パーキンソン病特性ならびに他の鎮痛薬の効果を増強する可能性を有する作用物質。
【化12】

(式中、R1は下式であって、式中のR5は水素またはヒドロキシル基であり、
【化13】

R2は水素または任意にCH3(CH2)mCO-で置換されたアミノ基であって、式中のmは0乃至4であり、
R3は水素、-COOH、-COOR6であって、式中のR6はC1-C6のアルキルまたは下式であり、
【化14】

(式中、R7は水素またはヒドロキシル基である)
R4は、水素、ヒドロキシル基である。)
【請求項17】
シクロゲナーゼ阻害活性を有する医薬を製造するための一般式Iの化合物または薬学的に許容するそれらの塩の使用。
【化15】

(式中、R1は下式であって、式中のR5は水素またはヒドロキシル基であり、
【化16】

R2は水素または任意にCH3(CH2)mCO-で置換されたアミノ基であって、式中のmは0乃至4であり、
R3は水素、-COOH、-COOR6であって、式中のR6はC1-C6のアルキルまたは下式であり、
【化17】

(式中、R7は水素またはヒドロキシル基である)
R4は、水素、ヒドロキシル基である。)
【請求項18】
鎮痛、抗炎症、鎮痙、抗低酸素、抗うつ及び抗パーキンソン病薬ならびに他の鎮痛薬の効果を増強する可能性を有する作用物質としての請求項16記載の化合物の使用。
【請求項19】
有効量の一般式Iの化合物または薬学的に許容しうるそれらの塩の哺乳動物への投与を含む、種々の発生源の疼痛症候群、結合部及び結合組織ならびに骨格-筋肉系の炎症性及び炎症性変質疾患、炎症、痙攣、うつ病、低酸素症ならびにパーキンソン症候群の徴候を伴うその他の病気を治療する方法。
【化18】

(式中、R1は下式であって、式中のR5は水素またはヒドロキシル基であり、
【化19】

R2は水素または任意にCH3(CH2)mCO-で置換されたアミノ基であって、式中のmは0乃至4であり、
R3は水素、-COOH、-COOR6であって、式中のR6はC1-C6のアルキルまたは下式であり、
【化20】

(式中、R7は水素またはヒドロキシル基である)
R4は、水素、ヒドロキシル基である。)
【請求項20】
術後疼痛、外傷後疼痛ならびに婦人科、神経、癌、歯に由来する、関節リウマチ、関節症、Bekhterev病、非特異性脊椎関節炎、通風関節炎、骨関節症、関節外リウマチ熱及び静脈血栓症、ならびに痙攣、低酸素症及び付随するパーキンソン病により引き起こされる情動ストレス状態及び疾患の疼痛症候群を治療する請求項19記載の方法。
【請求項21】
一般式Iの化合物が他の鎮痛薬と組み合わせて投与される請求項19または20記載の方法。

【公表番号】特表2008−534495(P2008−534495A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502938(P2008−502938)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【国際出願番号】PCT/RU2006/000139
【国際公開番号】WO2006/101422
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(507245010)
【Fターム(参考)】