説明

アミン回収システム及び二酸化炭素回収システム

【課題】大気へのアミンの飛散を抑制し、かつ処理済みガスに同伴するアミンを効率良く回収・再利用するアミン回収システム及び二酸化炭素回収システムを提供する。
【解決手段】実施形態のアミン回収システムは、二酸化炭素含有ガスと、アミン含有吸収液とを接触させて、二酸化炭素を吸収液に吸収させる二酸化炭素回収部と、二酸化炭素回収部からの排出ガスを洗浄液で洗浄して同伴するアミンを回収する第1洗浄装置と、第1洗浄装置からの排出ガスを洗浄液で洗浄して同伴するアミンを回収する第2洗浄装置と、第2洗浄装置で使用された洗浄液中のアミン濃度を計測する第2計測器と、第2計測器にて規定値を上回るアミン濃度が検知された場合に、第2洗浄装置で使用された洗浄液を第1洗浄装置に送液する送液機構と、吸収液ミストを捕捉する吸収液デミスターと、洗浄液ミストを捕捉する洗浄液デミスターとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アミン回収システム及び二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化石燃料の燃焼生成物である二酸化炭素(CO)の温室効果による地球温暖化の問題が大きくなっている。気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書において、わが国の温室効果ガス排出削減の目標は、対1990年比で6%の削減を2008年〜2012年の間に達成することとなっている。
【0003】
このような背景の中、大量の化石燃料を使用する火力発電所等を対象に、燃焼排ガスとアミン系吸収液を接触させ、燃焼ガス中の二酸化炭素を分離・回収する方法や、回収された二酸化炭素を大気へ放出することなく貯蔵する方法が、精力的に研究されている。
【0004】
具体的には、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、二酸化炭素を吸収した吸収液(リッチ液)が吸収塔から供給され、リッチ液を加熱して、リッチ液から二酸化炭素ガスを放出させると共に、吸収液を再生する再生塔と、を備える二酸化炭素回収システムが知られている。再生塔には、熱源を供給するリボイラーが連結されている。再生塔にて再生された吸収液(リーン液)は、吸収塔に供給され、このシステム内で吸収液が循環するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−323339号公報
【特許文献2】特開2010−172894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アミン系吸収液により二酸化炭素を分離・回収するプロセスでは、二酸化炭素を吸収除去した燃焼排ガス(以下「処理済みガス」と呼ぶ)に同伴して、大気へアミンが飛散するという課題がある。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、大気へのアミンの飛散を抑制することが可能で、かつ処理済みガスに同伴するアミンを効率良く回収・再利用することが可能なアミン回収システム及び二酸化炭素回収システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のアミン回収システムは、二酸化炭素を含有するガスと、アミンを含有する吸収液とを接触させて、前記二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる二酸化炭素回収部と、前記二酸化炭素回収部から排出された前記ガスを洗浄液で洗浄することで、前記ガスに同伴する前記アミンを回収する第1の洗浄装置と、前記第1の洗浄装置から排出された前記ガスを洗浄液で洗浄することで、前記ガスに同伴する前記アミンを回収する第2の洗浄装置と、前記第2の洗浄装置で使用された前記洗浄液中のアミン濃度を計測する第2の計測器と、前記第2の計測器にて規定値を上回るアミン濃度が検知された場合に、前記第2の洗浄装置で使用された前記洗浄液を抜き出し、前記洗浄液を前記第1の洗浄装置に送液する送液機構と、前記二酸化炭素回収部から排出された前記ガスに同伴する吸収液ミストを捕捉する吸収液デミスターと、前記第1の洗浄装置から排出された前記ガスに同伴する洗浄液ミストを捕捉する洗浄液デミスターとを備える。
【0009】
また、別の実施形態の二酸化炭素回収システムは、二酸化炭素を含有するガスと、アミンを含有する吸収液とを接触させて、前記二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収塔と、前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液が前記吸収塔から供給され、前記吸収液から前記二酸化炭素を放出させる再生塔とを備え、前記吸収塔は、前記ガスと前記吸収液とを接触させて、前記二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる二酸化炭素回収部と、前記二酸化炭素回収部から排出された前記ガスを洗浄液で洗浄することで、前記ガスに同伴する前記アミンを回収する第1の洗浄装置と、前記第1の洗浄装置から排出された前記ガスを洗浄液で洗浄することで、前記ガスに同伴する前記アミンを回収する第2の洗浄装置と、前記第2の洗浄装置で使用された前記洗浄液中のアミン濃度を計測する第2の計測器と、前記第2の計測器にて規定値を上回るアミン濃度が検知された場合に、前記第2の洗浄装置で使用された前記洗浄液を抜き出し、前記洗浄液を前記第1の洗浄装置に送液する送液機構と、前記二酸化炭素回収部から排出された前記ガスに同伴する吸収液ミストを捕捉する吸収液デミスターと、前記第1の洗浄装置から排出された前記ガスに同伴する洗浄液ミストを捕捉する洗浄液デミスターとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大気へのアミンの飛散を抑制することが可能になると共に、処理済みガスに同伴するアミンを効率良く回収・再利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態の二酸化炭素回収システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】第1実施形態のアミン回収システムの構成を示すシステム構成図である。
【図3】第2実施形態のアミン回収システムの構成を示すシステム構成図である。
【図4】第3実施形態のアミン回収システムの構成を示すシステム構成図である。
【図5】第4実施形態のアミン回収システムの構成を示すシステム構成図である。
【図6】第6実施形態のアミン回収システムの構成を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の二酸化炭素回収システムの構成を示すシステム構成図である。
【0014】
図1の二酸化炭素回収システムは、吸収塔101と、リッチ液ポンプ102と、再生熱交換器103と、再生塔104と、リボイラー105と、リーン液ポンプ106と、冷却器107と、制御部108とを備えている。
【0015】
吸収塔101内には、二酸化炭素を含有する燃焼排ガス1が供給される。吸収塔101は、燃焼排ガス1と吸収液とを接触させて、燃焼排ガス1中の二酸化炭素を吸収液に吸収させる塔である。本実施形態では、吸収液として、アミンを含有するアミン系吸収液が使用される。
【0016】
吸収塔101は、二酸化炭素が除去された燃焼排ガス(処理済みガス)2を、頂部から排出すると共に、二酸化炭素を吸収した吸収液(リッチ液)を、底部から排出する。図1では、この吸収液が、符号4で示されている。吸収液4は、リッチ液移送ポンプ102により、再生熱交換器103を介して移送され、再生塔104内に供給される。
【0017】
再生塔104は、この吸収液から二酸化炭素を放出させる塔である。再生塔104は、吸収液から放出された二酸化炭素ガス6を、頂部から排出すると共に、二酸化炭素を放出した吸収液(リーン液)を、底部から排出する。図1では、この吸収液が、符号5で示されている。
【0018】
リボイラー105内には、再生塔104から排出された吸収液が供給される。リボイラー105は、吸収液を加熱することで、吸収液から蒸気と二酸化炭素ガスを放出させる。これらの気体は、再び再生塔104内に供給される。そして、これらの気体の熱で吸収液が加熱されることで、上述のように、吸収液から二酸化炭素が放出される。
【0019】
再生塔104から排出された吸収液5は、リーン液移送ポンプ106により、再生熱交換器103と冷却器107を介して移送され、吸収液緩衝タンク15内に貯蔵される。そして、吸収塔101内には、吸収液緩衝タンク15から排出された吸収液(リーン液)が供給される。図1では、この吸収液が、符号3で示されている。
【0020】
図1の二酸化炭素回収システムはさらに、再生塔還流冷却器111と、二酸化炭素分離器112と、還流液ポンプ113と、吸収塔還流冷却器121と、気液分離器122とを備えている。
【0021】
再生塔104から排出される二酸化炭素ガス6には、吸収液から蒸発した蒸気が含まれている。この蒸気は、再生塔還流冷却器111にて冷却されることで、凝縮して水に戻される。そして、二酸化炭素分離器112は、二酸化炭素ガスと凝縮水とを分離し、分離された二酸化炭素ガスを外部に放出する。図1では、この二酸化炭素ガスが、符号7で示されている。一方、凝縮水は、還流液ポンプ113により再生塔104に戻される。
【0022】
同様に、吸収塔101から排出される処理済みガス2にも、吸収液から蒸発した蒸気が含まれている。この蒸気は、吸収塔還流冷却器121にて冷却されることで、凝縮して水に戻される。そして、気液分離器122は、処理済みガスと凝縮水とを分離し、分離された処理済みガスを外部に放出する。図1では、この処理済みガスが、符号8で示されている。一方、凝縮水は、吸収塔101に戻される。
【0023】
図1の二酸化炭素回収システムはさらに、処理済みガスに同伴するアミンを回収するアミン回収システムを含んでいる。以下、図2を参照し、このアミン回収システムについて詳細に説明する。
【0024】
図2は、第1実施形態のアミン回収システムの構成を示すシステム構成図である。
【0025】
本実施形態のアミン回収システムは、吸収塔101と、吸収液緩衝タンク15と、図2に示すその他の構成要素により構成されている。
【0026】
吸収塔101は、図2に示すように、二酸化炭素回収部31と、第1のアミン回収部32及び第1の液溜め部34を有する第1の洗浄装置と、第2のアミン回収部33及び第2の液溜め部35を有する第2の洗浄装置とを備えている。
【0027】
二酸化炭素回収部31は、燃焼排ガス1と吸収液とを接触させて、燃焼排ガス1中の二酸化炭素を吸収液に吸収させるユニットである。具体的には、吸収液分散器16から分散落下する吸収液(リーン液)3が、二酸化炭素回収部31を上昇する燃焼排ガス1と接触することで、二酸化炭素が吸収液3に吸収される。二酸化炭素を吸収した吸収液3は、吸収塔101の底部に溜まり、リッチ液4として排出される。
【0028】
二酸化炭素回収部31にて二酸化炭素を除去された処理済みガスは、吸収液デミスター17を経由して上昇し、その上部に位置する第1の洗浄装置に流入する。図2では、この処理済みガスが、符号10で示されている。
【0029】
第1のアミン回収部32は、処理済みガス10を洗浄液で洗浄することで、処理済みガス10に同伴するアミンを回収するユニットである。具体的には、第1の洗浄液分散器18から分散落下する洗浄液が、第1のアミン回収部32を上昇する処理済みガス10と接触することで、アミンが洗浄液に吸収される。アミンを吸収した洗浄液は、第1の液溜め部34に溜まる。
【0030】
第1のアミン回収部32にてアミンを回収された処理済みガスは、洗浄液デミスター19を経由して上昇し、その上部に位置する第2の洗浄装置に流入する。図2では、この処理済みガスが、符号11で示されている。
【0031】
第2のアミン回収部33は、処理済みガス11を洗浄液で洗浄することで、処理済みガス11に同伴するアミンを回収するユニットである。具体的には、第2の洗浄液分散器20から分散落下する洗浄液が、第2のアミン回収部33を上昇する処理済みガス11と接触することで、アミンが洗浄液に吸収される。アミンを吸収した洗浄液は、第2の液溜め部35に溜まる。
【0032】
第2のアミン回収部32にてアミンを回収された処理済みガスは、吸収塔101内を上昇し、吸収塔101の頂部から排出される。図2では、この処理済みガスが、符号2で示されている。
【0033】
このように、吸収塔101は、2段分の洗浄装置を有している。洗浄装置を2段構成にする利点については、後述する。
【0034】
図2のアミン回収システムはさらに、第1の洗浄液ポンプ12と、第2の洗浄液ポンプ13と、吸収液ポンプ14とを備えている。
【0035】
第1の洗浄液ポンプ12は、第1の液溜め部34に溜まった洗浄液を、第1の洗浄液循環ライン26を介して、再び第1の洗浄液分散器18に送液するポンプである。同様に、第2の洗浄液ポンプ13は、第2の液溜め部35に溜まった洗浄液を、第2の洗浄液循環ライン27を介して、再び第2の洗浄液分散器19に送液するポンプである。
【0036】
このように、これらの洗浄液は、それぞれ第1、第2の洗浄装置内で循環利用される。その際、これらの洗浄液はそれぞれ、第1、第2の洗浄液冷却器22、23にて所定の温度まで冷却される。
【0037】
また、吸収液ポンプ14は、吸収液緩衝タンク15からの吸収液3を、吸収液分散器16に送液するポンプである。その際、吸収液3は、吸収液冷却器21にて所定の温度まで冷却される。
【0038】
図2のアミン回収システムはさらに、第1の計測器41と、第1の演算器42と、第2の計測器43と、第2の演算器44とを備えている。
【0039】
第2の計測器43は、第2の洗浄装置で使用された洗浄液中のアミン濃度を計測する計測器である。具体的には、第2の計測器43は、第2の洗浄液循環ライン27を流れる洗浄液中のアミン濃度を計測する。
【0040】
本システムでは、第2の計測器43にて規定値以上のアミン濃度が検知されると、第2の演算器44による制御の下、第2のバルブ25が開状態となる。第2のバルブ25は、第2の液溜め部35と第1の液溜め部34とを結ぶ洗浄液バイパスライン28上に設置されている。よって、第2のバルブ25が開状態になると、第2の液溜め部35内の洗浄液が抜き出され、第1の液溜め部34へと送液される。第2の演算器44、第2のバルブ25、及び洗浄液バイパスライン28は、本実施形態の送液機構の例である。
【0041】
また、第1の計測器41は、第1の洗浄装置で使用された洗浄液中のアミン濃度を計測する計測器である。具体的には、第1の計測器41は、第1の洗浄液循環ライン26を流れる洗浄液中のアミン濃度を計測する。
【0042】
本システムでは、第1の計測器41にて規定値以上のアミン濃度が検知されると、第1の演算器42による制御の下、第1のバルブ24が開状態となる。第1のバルブ24は、第1の洗浄液循環ライン26と吸収液緩衝タンク15とを結ぶバイパスライン上に設置されている。よって、第1のバルブ24が開状態になると、第1の洗浄装置内を循環する洗浄液が抜き出され、吸収液緩衝タンク15内に貯蔵されている吸収液内に混入される。
【0043】
このように、本システムでは、第1の洗浄装置から抜き出された洗浄液が、吸収液として再利用される。これは、第1の洗浄装置内の洗浄液は、処理済みガスから回収したアミンを高濃度に含むため、吸収液として再利用可能という知見に基づくものである。図2では、第1の洗浄装置から抜き出された洗浄液が、符号9で示されている。第1の演算器42、第1のバルブ24、及び洗浄液9の送液用のバイパスラインは、本実施形態の混入機構の例である。
【0044】
図2のアミン回収システムはさらに、吸収液デミスター17と、洗浄液デミスター19とを備えている。
【0045】
吸収液デミスター17は、二酸化炭素回収部31の出口に設置されている。二酸化炭素回収部31にて二酸化炭素を除去された処理済みガス10は、吸収液デミスター17を経由して上昇する。その際、吸収液デミスター17は、処理済みガス10に同伴する吸収液ミストを捕捉収集する。
【0046】
また、洗浄液デミスター19は、第1の洗浄装置の出口に設置されている。第1の洗浄装置にて二酸化炭素を除去された処理済みガス11は、洗浄液デミスター19を経由して上昇する。その際、洗浄液デミスター19は、処理済みガス11に同伴する洗浄液ミストを捕捉収集する。
【0047】
(1)アミン回収システムの動作の詳細
次に、図2のアミン回収システムの動作の詳細について説明する。具体的には、第1の計測器41、第1の演算器42、第2の計測器43、第2の演算器44等の動作の詳細について説明する。
【0048】
処理済みガスに同伴するアミンには、一般に、揮発性が高く(即ち蒸気圧が高く)、液中から放出されやすい高揮発性アミンと、揮発性が低く(即ち蒸気圧が低く)、液中から放出されにくい低揮発性アミンが存在する。
【0049】
低揮発性アミンは主に、使用開始直後のアミンである。また、高揮発性アミンは主に、使用されて劣化したアミンである。概ね、常温での蒸気圧が100Pa以下のアミンが、低揮発性アミンに相当し、常温での蒸気圧が100Pa以上のアミンが、高揮発性アミンに相当する。
【0050】
アミンを回収する際、アミンが高揮発性になるほど、アミン捕捉力を高めるために、アミン濃度の低い洗浄液を用いる必要がある。一方、吸収液の二酸化炭素回収性能を保持する観点からは、高揮発性アミンよりも低揮発性アミンを、効率良く回収・再利用することが重要となる。このことに着目し、大気へ飛散しやすい高揮発性アミンの大気飛散を抑制すると共に、処理済みガスに同伴する低揮発性アミンを効率良く回収・再利用する手法を考案した。
【0051】
本システムでは、洗浄装置を2段構成とし、各段での洗浄液中のアミン濃度を監視(測定)する。アミン濃度は例えば、洗浄液の密度、pH、導電率、超音波速度、酸化還元電位(ORP)等から測定可能である。
【0052】
まず、第2の洗浄装置の動作について説明する。
【0053】
第2の洗浄装置では、第2の計測器43にて規定値以上のアミン濃度が検知された時点で、第2の液溜め部35内の洗浄液を、第1の液溜め部34へと送液する。そして、アミン濃度の低い新しい洗浄液を、第2の液溜め部35内に補充する。このようにして、第2の洗浄装置で使用される洗浄液中のアミン濃度を低濃度に管理する。これにより、第2の洗浄装置で使用される洗浄液のアミン捕捉力が高まり、吸収塔101から排出される処理済みガス2に同伴したアミンの大気飛散が抑制される。
【0054】
第2の洗浄装置では、洗浄液中に多くの高揮発性アミンが含まれる。理由は、高揮発性アミンは液中から放出されやすいため、二酸化炭素回収部31や第1の洗浄装置にて処理済みガスに同伴しやすいからである。一方、第2の洗浄装置は最終段の洗浄装置であるため、第2の洗浄装置にて高揮発性アミンを回収しないと、高揮発性アミンが大気に飛散してしまう。そこで、本システムでは、上述のように、第2の洗浄装置におけるアミン濃度を低濃度に管理することで、洗浄液のアミン捕捉力を高め、高揮発性アミンの大気飛散を抑制している。
【0055】
また、本システムでは、二酸化炭素回収部31の出口に、吸収液デミスター17を設置すると共に、第1の洗浄装置の出口に、洗浄液デミスター19を設置している。これらのデミスター17、19により、処理済みガスに同伴する吸収液ミストや洗浄液ミストが捕捉収集され、飛沫同伴によるアミンの大気飛散が抑制される。
【0056】
次に、第1の洗浄装置の動作について説明する。
【0057】
第1の洗浄装置では、洗浄液が吸収液として再利用される。洗浄液を吸収液として再利用するためには、吸収液中のアミン濃度を保持する観点から、洗浄液中のアミン濃度を、吸収液中のアミン濃度にできるだけ近付けることが重要となる。
【0058】
そこで、第1の洗浄装置では、第1の計測器41にて規定値以上のアミン濃度が検知された時点で、第1の洗浄液循環ライン26を流れる洗浄液を、吸収液緩衝タンク15へと送液する。これにより、アミン濃度の高い洗浄液を、吸収液として再利用することが可能となる。そして、アミン濃度の低い新しい洗浄液、又は第2の液溜め部35からの洗浄液が、第1の液溜め部34内に補充される。
【0059】
第1の洗浄装置は最下段の洗浄装置であるため、洗浄液中のアミン濃度が、最上段の洗浄装置である第2の洗浄装置に比べて高くなる。また、第1の洗浄装置では、洗浄液中に多くの低揮発性アミンが含まれる。理由は、低揮発性アミンは液中から放出されにくいため、高揮発性アミンに比べ、処理済みガスに同伴して第2の洗浄装置に流出しにくいからである。そのため、第1の洗浄装置内の洗浄液は、アミン濃度が高いうえ、二酸化炭素回収性能の高い低揮発性アミンを多く含んでいる。
【0060】
そこで、本システムでは、第1及び第2の洗浄装置内の洗浄液のうち、第1の洗浄装置内の洗浄液を吸収液として再利用する。これにより、処理済みガスに同伴するアミンを効率良く回収・再利用することが可能となる。低揮発性アミンを多く回収した洗浄液が、吸収液として再利用されるからである。
【0061】
なお、第1の計測器41にて規定値以上のアミン濃度が検知された場合において、第1の洗浄装置内の洗浄液を吸収液緩衝タンク15へと送液するタイミングは、演算器42により決定される。同様に、第2の計測器43にて規定値以上のアミン濃度が検知された場合において、第2の洗浄装置内の洗浄液を第1の洗浄装置へと送液するタイミングは、演算器44により決定される。
【0062】
また、本システムでは、第2の液溜め部35内の洗浄液が、第1の液溜め部34へと送液されるため、第1の洗浄装置には、アミン濃度が高く、アミン捕捉力の低い洗浄液が供給されてしまう。しかしながら、本システムでは、第2の洗浄装置が、高揮発性アミンを効率よく捕捉するよう動作するため、第1の洗浄装置は、高揮発性アミンを効率良く捕捉する必要はなく、アミン濃度が高い洗浄液でも、その機能を発揮することが可能である。むしろ、本システムでは、第1の洗浄装置内の洗浄液を、吸収液として再利用するため、第1の洗浄装置内の洗浄液は、アミン濃度が高いことが望ましい。そのため、本システムでは、第2の洗浄装置で使用された洗浄液を、第1の洗浄装置へと供給している。
【0063】
(2)アミン回収システムの動作条件の詳細
次に、洗浄液中のアミン濃度の規定値や、吸収液や洗浄液の種類等、図2のアミン回収システムの動作条件の詳細について説明する。
【0064】
第1、第2の演算器42、44では、洗浄液中のアミン濃度の測定値を規定値と比較するが、これらの規定値は、吸収液中のアミン濃度や、回収するアミンの種類に応じて、望ましい値に設定するようにして構わない。
【0065】
例えば、第2の演算器44の規定値は、処理済みガス2に含まれるアミンの量を、所定量以下(例えば1ppm以下)にするという方針の下、この方針を実現可能な値に設定される。また、第1の演算器42の規定値は、洗浄液中のアミン濃度を、吸収液中のアミン濃度にできるだけ近付けるべく、吸収液中のアミン濃度のX%(例えば50%)の濃度値に設定される。
【0066】
なお、上記のX%の値が、100%から大きく離れた値である場合、吸収液中のアミン濃度が、洗浄液の混入により低下するという問題が生じる。この問題は、例えば、二酸化炭素分離器112や気液分離器122(図1参照)で生じた凝縮水のうち、吸収塔101や再生塔104に戻す量を制限することで解消可能である。
【0067】
また、吸収液に含まれるアミン(アミン化合物)の例としては、以下のようなものが挙げられる。例えば、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールのような「アルコール性水酸基含有1級アミン類」、ジエタノールアミン、2−メチルアミノエタノールのような「アルコール性水酸基含有2級アミン類」、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンのような「アルコール性水酸基含有3級アミン類」が挙げられる。さらには、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミンのような「ポリエチレンポリアミン類」、ピペラジン類、ピペリジン類、ピロリジン類のような「環状アミン類」、キシリレンジアミンのような「ポリアミン類」、メチルアミノカルボン酸のような「アミノ酸類」が挙げられる。さらには、これらのアミン化合物の混合物が挙げられる。
【0068】
また、吸収液の例としては、これらのアミンを10〜70重量%含有する水溶液が挙げられる。また、吸収液は、二酸化炭素吸収促進剤や、腐食防止剤や、その他の媒体(例えば、メタノール、ポリエチレングリコール、スルフォラン等)を含有していてもよい。
【0069】
また、洗浄液の例としては、水(例えば純水)が挙げられる。水以外の洗浄液の例については、後述する。
【0070】
(3)第1実施形態の効果
最後に、第1実施形態の効果について説明する。
【0071】
以上のように、本実施形態では、洗浄装置を2段構成とし、各段での洗浄液中のアミン濃度を測定する。そして、第2の洗浄装置では、第2の計測器43にて規定値以上のアミン濃度が検知された場合に、第2の液溜め部35内の洗浄液を、第1の液溜め部34へと送液する。また、第1の洗浄装置では、第1の計測器41にて規定値以上のアミン濃度が検知された場合に、第1の洗浄液循環ライン26を流れる洗浄液を、吸収液緩衝タンク15へと送液する。
【0072】
これにより、本実施形態では、第2の洗浄装置により、大気へのアミンの飛散を抑制することが可能になると共に、第1の洗浄装置により、処理済みガスに同伴するアミンを効率良く回収・再利用することが可能となる。具体的には、第2の洗浄装置により、大気へ飛散しやすい高揮発性アミンの大気飛散を抑制することが可能となり、第1の洗浄装置により、二酸化炭素回収能力の高い低揮発性アミンを効率良く回収・再利用することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態では、二酸化炭素回収部31の出口に、吸収液デミスター17を設置すると共に、第1の洗浄装置の出口に、洗浄液デミスター19を設置している。これにより、本実施形態では、処理済みガスに同伴する吸収液ミストや洗浄液ミストについても、飛沫同伴による大気飛散を抑制することが可能となり、アミンの大気飛散の抑制効果をさらに向上させることが可能となる。
【0074】
なお、本実施形態ではさらに、第1の洗浄装置と第2の洗浄装置との間に、1台以上の洗浄装置(以下「中間洗浄装置」と呼ぶ)を設置しても構わない。即ち、洗浄装置をN段構成(Nは3以上の整数)としても構わない。中間洗浄装置は、第1の洗浄装置や第2の洗浄装置と同様の構成を有し、処理済みガスを洗浄液で洗浄することで、処理済みガスに同伴するアミンを回収する。この場合、第1の洗浄装置と中間洗浄装置の間、第2の洗浄装置と中間洗浄装置の間、中間洗浄装置同士の間には、洗浄液デミスターを設置することが望ましい。
【0075】
中間洗浄装置は例えば、第2の洗浄装置から第1の洗浄装置にかけて、洗浄液のアミン濃度を段階的に増加させるために使用される。即ち、中間洗浄装置におけるアミン濃度を第2の洗浄装置におけるアミン濃度よりも高くし、第1の洗浄装置におけるアミン濃度を中間洗浄装置におけるアミン濃度よりも高くするといった具合である。この場合、洗浄液バイパスライン28は、互いに隣接する各々の洗浄装置間(第1の洗浄装置と中間洗浄装置の間、第2の洗浄装置と中間洗浄装置の間、中間洗浄装置同士の間)に設置される。また、この場合には、中間洗浄装置にも、計測器や演算器を設けることが望ましい。
【0076】
以下、第1実施形態の変形例である第2から第6実施形態について説明する。第2から第6実施形態については、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0077】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態のアミン回収システムの構成を示すシステム構成図である。
【0078】
図3のアミン回収システムは、図2に示す構成要素に加え、逆浸透膜モジュール51を備える。
【0079】
本システムでは、第1の洗浄装置から抜き出された洗浄液9を、逆浸透膜51に流入させ、洗浄液9中のアミン濃度を濃縮させる。図3では、逆浸透膜51にて濃縮された洗浄液(濃縮洗浄液)が、符号52で示されている。図3ではさらに、逆浸透膜51を透過してアミンが除去された洗浄液(透過洗浄液)が、符号53で示されている。
【0080】
そして、本システムでは、濃縮洗浄液52を、吸収液緩衝タンク15内に貯蔵されている吸収液内に混入させる。これにより、本実施形態では、第1実施形態に比べアミン濃度の高い洗浄液を、吸収液として再利用することが可能となる。濃縮洗浄液52は、好ましくは、吸収液中のアミン濃度まで逆浸透膜51にて濃縮させる。
【0081】
また、燃焼排ガス1中の水分量が多い場合には、二酸化炭素回収部31内へ持ち込まれる水分量が多くなり、吸収液中のアミン濃度が、規定量よりも希薄化していくことが想定される。この場合には、濃縮洗浄液52中のアミン濃度を、吸収液中のアミン濃度よりも高くすることが望ましい。これにより、吸収液中のアミン濃度を、規定値に戻すことが可能となる。
【0082】
なお、アミンが除去された透過洗浄液53は、例えば、第1、第2の洗浄装置用の洗浄液として再利用することが可能である。
【0083】
以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態に比べアミン濃度の高い洗浄液を、吸収液として再利用することが可能となる。
【0084】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態のアミン回収システムの構成を示すシステム構成図である。
【0085】
図4のアミン回収システムは、図2に示す構成要素に加え、陽イオン交換樹脂61と、第1の切り替えバルブ62と、第2の切り替えバルブ63とを備える。
【0086】
本システムでは、第1のバルブ24を開いて第1の洗浄装置から洗浄液9を抜き出す場合、第1の切り替えバルブ62を「X1」の位置に設定すると共に、第2の切り替えバルブ63を「Y1」の位置に設定する。これにより、本システムでは、洗浄液9を陽イオン交換樹脂61に流入させ、洗浄液9中のアミンを陽イオン交換樹脂61に吸着させる。陽イオン交換樹脂61を通過してアミンが除去された洗浄液(通過洗浄液)66は、図4に示すように、第1の洗浄液循環ライン26に戻されて再利用される。
【0087】
次に、本システムでは、陽イオン交換樹脂61に十分量のアミンが吸着された後、第1のバルブ24を閉じて、第1の切り替えバルブ62を「X2」の位置に設定すると共に、第2の切り替えバルブ63を「Y2」の位置に設定する。これにより、本システムでは、脱離液64を陽イオン交換樹脂61に流入させ、陽イオン交換樹脂61に吸着されたアミンを脱離液64に溶出させる。陽イオン交換樹脂61を通過した脱離液65は、アミン濃度が濃縮された濃縮脱離液となる。
【0088】
そして、本システムでは、濃縮脱離液65を、吸収液緩衝タンク15内に貯蔵されている吸収液内に混入させる。これにより、本実施形態では、アミン濃度が濃縮された濃縮脱離液65を、吸収液として再利用することが可能となる。濃縮脱離液65は、好ましくは、吸収液中のアミン濃度まで濃縮させる。
【0089】
なお、アミン脱離用の脱離液としては、硫酸や硝酸等の強酸を用いるのが一般的であるが、本実施形態では、脱離液64として、弱塩基性水溶液を使用する。理由は、本実施形態では脱離液64をアミン吸収用の吸収液として再利用するため、強酸の使用は望ましくないためである。
【0090】
本実施形態では、脱離液64として例えば、イオン選択性がアミンよりも強い弱塩基水溶液を使用する。これにより、アミンの劣化を抑制しつつ、アミンを脱離させることが可能となる。このような脱離液64の例としては、アンモニア水等が挙げられる。
【0091】
実験によると、5%アンモニア水を脱離液64として用いることで、陽イオン交換樹脂61に吸着されたアミンの90%以上が脱離されることが確認された。また、陽イオン交換樹脂61として、球状スチレンジビニルベンゼンポリマ(Bond Elut Plexa PCX、Varian社製)を用いることで、洗浄液9中のアミンのほぼ100%が、陽イオン交換樹脂61に吸着されることを確認した。
【0092】
以上のように、本実施形態によれば、アミン濃度が濃縮された濃縮脱離液を、吸収液として再利用することが可能となる。
【0093】
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態のアミン回収システムの構成を示すシステム構成図である。
【0094】
図5のアミン回収システムは、第2の洗浄装置で使用される洗浄液のpHが、第1の洗浄装置で使用される洗浄液のpHよりも小さくなるよう、制御部108(図1)により制御される。
【0095】
上述のように、処理済みガスに同伴するアミンには、高揮発性アミンと低揮発性アミンが混在している。しかしながら、高揮発性アミンは洗浄液に捕捉されにくいため、洗浄装置が後段になればなるほど、上記アミンに占める高揮発性アミンの割合が増加する。そのため、洗浄装置が後段になるほど、アミン捕捉力の大きい洗浄液が必要とされる。
【0096】
そこで、本実施形態では、第2の洗浄装置内の洗浄液のアミン捕捉力を、第1の洗浄装置内の洗浄液のアミン捕捉力よりも大きくするために、第2の水洗装置内の洗浄液のpHを、第1の水洗装置内の洗浄液のpHよりも小さくして、本システムを運用する。
【0097】
本実施形態では、第1の水洗装置内の洗浄液として、水(例えば純水)を使用する。一方、第2の水洗装置内の洗浄液としては、酸性水溶液を使用する。酸性水溶液に投入する酸類の例としては、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸等が挙げられる。
【0098】
なお、これらの酸類を投入した洗浄液は、吸収液として再利用しないため、第1の水洗装置内の洗浄液と接触しないように使用する。
【0099】
以上のように、本実施形態によれば、第2の洗浄装置で使用される洗浄液のアミン捕捉力を、第1の洗浄装置で使用される洗浄液のアミン捕捉力よりも大きくすることが可能となる。
【0100】
(第5実施形態)
第5実施形態については、図2を参照して説明する。
【0101】
第5実施形態のアミン回収システムは、第2の洗浄装置で使用される洗浄液の温度が、第1の洗浄装置で使用される洗浄液の温度よりも低くなるよう、制御部108(図1)により制御される。これにより、第4実施形態と同様、第2の洗浄装置内の洗浄液のアミン捕捉力を、第1の洗浄装置内の洗浄液のアミン捕捉力よりも大きくすることができる。
【0102】
本実施形態では、第1の洗浄装置内の洗浄液の温度を約40℃、第2の洗浄装置内の洗浄液の温度を約20℃として、アミン回収システムを運用する。なお、燃焼排ガス1の温度が、通常40℃程度であるため、第1の洗浄装置内の洗浄液の温度は、加熱することなく40℃とすることが可能である。一方、第2の洗浄装置内の洗浄液は、冷却器23により冷却することで、20℃にすることができる。
【0103】
なお、冷却器23の冷却能力は、チラーを用いることで増強可能である。この場合、チラーは、冷却器21〜23のうちの冷却器23のみに設けることで、アミン回収システムのコストの抑制を図る。
【0104】
また、第5実施形態のアミン回収システムは、第2の洗浄装置で使用される洗浄液の循環流量が、第1の洗浄装置で使用される洗浄液の循環流量よりも大きくなるよう、制御部108(図1)により制御してもよい。これにより、第4実施形態と同様、第2の洗浄装置内の洗浄液のアミン捕捉力を、第1の洗浄装置内の洗浄液のアミン捕捉力よりも大きくすることができる。理由は、洗浄液の循環流量を大きくすると、1m当たりの処理済みガスに接触する洗浄液の量が多くなるため、処理済みガスに同伴するアミンが捕捉されやすくなるからである。
【0105】
以上のように、本実施形態によれば、第4実施形態と同様、第2の洗浄装置で使用される洗浄液のアミン捕捉力を、第1の洗浄装置で使用される洗浄液のアミン捕捉力よりも大きくすることが可能となる。
【0106】
(第6実施形態)
図6は、第6実施形態のアミン回収システムの構成を示すシステム構成図である。
【0107】
本システムでは、処理済みガスと洗浄水が気液接触する充填部(アミン回収部)の上下方向の幅が、第1、第2の洗浄装置で異なる長さに設定されている。具体的には、第2の洗浄装置の充填部33の上下方向の幅H2が、第1の洗浄装置の充填部32の上下方向の幅H1をよりも長く設定されている。
【0108】
これにより、第2の洗浄装置内の洗浄液のアミン捕捉力を、第1の洗浄装置内の洗浄液のアミン捕捉力よりも大きくすることができる。理由は、充填部の上下方向の幅を長くすると、洗浄液の循環流量を大きくした場合と同様に、1m当たりの処理済みガスに接触する洗浄液の量が多くなるからである。
【0109】
以上のように、本実施形態によれば、第4、第5実施形態と同様、第2の洗浄装置で使用される洗浄液のアミン捕捉力を、第1の洗浄装置で使用される洗浄液のアミン捕捉力よりも大きくすることが可能となる。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
1:燃焼排ガス、2:(蒸気を含有する)処理済みガス、
3:吸収塔入口リーン液、4:吸収塔出口リッチ液、5:緩衝タンク入口リーン液、
6:(蒸気を含有する)二酸化炭素ガス、7:二酸化炭素ガス、
8:処理済みガス、9:アミン含有洗浄液、
10:(蒸気を含有する)処理済みガス、11:(蒸気を含有する)処理済みガス、
12:第1の洗浄液ポンプ、13:第2の洗浄液ポンプ、14:吸収液ポンプ、
15:吸収液緩衝タンク、16:吸収液分散器、17:吸収液デミスター、
18:第1の洗浄液分散器、19:洗浄液デミスター、20:第2の洗浄液分散器、
21:吸収液冷却器、22:第1の洗浄液冷却器、23:第2の洗浄液冷却器、
24:第1のバルブ、25:第2のバルブ、
26:第1の洗浄液循環ライン、27:第2の洗浄液循環ライン、
28:洗浄液バイパスライン、31:二酸化炭素回収部、
32:第1の洗浄装置のアミン回収部、33:第2の洗浄装置のアミン回収部、
34:第1の洗浄装置の液溜め部、35:第2の洗浄装置の液溜め部、
41:第1の計測器、42:第1の演算器、
43:第2の計測器、44:第2の演算器、
51:逆浸透膜モジュール、52:濃縮洗浄液、53:透過洗浄液、
61:陽イオン交換樹脂、
62:第1の切り替えバルブ、63:第2の切り替えバルブ、
64:脱離液、65:濃縮脱離液、66:通過洗浄液、
101:吸収塔、102:リッチ液ポンプ、103:再生熱交換器、
104:再生塔、105:リボイラー、106:リーン液ポンプ、
107:冷却器、108:制御部、
111:再生塔還流冷却器、112:二酸化炭素分離器、113:還流液ポンプ、
121:吸収塔還流冷却器、122:気液分離器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を含有するガスと、アミンを含有する吸収液とを接触させて、前記二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる二酸化炭素回収部と、
前記二酸化炭素回収部から排出された前記ガスを洗浄液で洗浄することで、前記ガスに同伴する前記アミンを回収する第1の洗浄装置と、
前記第1の洗浄装置から排出された前記ガスを洗浄液で洗浄することで、前記ガスに同伴する前記アミンを回収する第2の洗浄装置と、
前記第2の洗浄装置で使用された前記洗浄液中のアミン濃度を計測する第2の計測器と、
前記第2の計測器にて規定値を上回るアミン濃度が検知された場合に、前記第2の洗浄装置で使用された前記洗浄液を抜き出し、前記洗浄液を前記第1の洗浄装置に送液する送液機構と、
前記二酸化炭素回収部から排出された前記ガスに同伴する吸収液ミストを捕捉する吸収液デミスターと、
前記第1の洗浄装置から排出された前記ガスに同伴する洗浄液ミストを捕捉する洗浄液デミスターと、
を備えるアミン回収システム。
【請求項2】
前記第1の洗浄装置で使用された前記洗浄液中のアミン濃度を計測する第1の計測器と、
前記第1の計測器にて規定値を上回るアミン濃度が検知された場合に、前記第1の洗浄装置で使用された前記洗浄液を抜き出し、前記洗浄液又は前記洗浄液中の前記アミンを前記吸収液に混入させる混入機構と、
を備える請求項1に記載のアミン回収システム。
【請求項3】
前記混入機構は、前記第1の洗浄装置で使用された前記洗浄液を流入させ、前記洗浄液中のアミン濃度を濃縮させるための逆浸透膜を備え、
前記混入機構は、前記逆浸透膜で濃縮された前記洗浄液を前記吸収液に混入させる、請求項2に記載のアミン回収システム。
【請求項4】
前記混入機構は、前記第1の洗浄装置で使用された前記洗浄液を流入させ、前記洗浄液中の前記アミンを吸着させるためのイオン交換樹脂を備え、
前記混入機構は、前記イオン交換樹脂に吸着された前記アミンを脱離液に溶出させ、前記脱離液を前記洗浄液に混入させる、請求項2に記載のアミン回収システム。
【請求項5】
前記第2の洗浄装置で使用される前記洗浄液のpHを、前記第1の洗浄装置で使用される前記洗浄液のpHよりも小さくなるよう制御する制御部を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のアミン回収システム。
【請求項6】
前記第2の洗浄装置で使用される前記洗浄液の温度を、前記第1の洗浄装置で使用される前記洗浄液の温度よりも低くなるよう制御する制御部を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のアミン回収システム。
【請求項7】
前記第2の洗浄装置で使用される前記洗浄液の循環流量を、前記第1の洗浄装置で使用される前記洗浄液の循環流量よりも多くなるよう制御する制御部を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のアミン回収システム。
【請求項8】
前記第2の洗浄装置の充填部の上下方向の幅は、前記第1の洗浄装置の充填部の上下方向の幅をよりも長い、請求項1から7のいずれか1項に記載のアミン回収システム。
【請求項9】
さらに、前記第1の洗浄装置から前記第2の洗浄装置に到る間の前記ガスを洗浄液で洗浄することで、前記ガスに同伴する前記アミンを回収する1台以上の洗浄装置を備える、請求項1から8のいずれか1項に記載のアミン回収システム。
【請求項10】
二酸化炭素を含有するガスと、アミンを含有する吸収液とを接触させて、前記二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収塔と、
前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液が前記吸収塔から供給され、前記吸収液から前記二酸化炭素を放出させる再生塔とを備え、
前記吸収塔は、
前記ガスと前記吸収液とを接触させて、前記二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる二酸化炭素回収部と、
前記二酸化炭素回収部から排出された前記ガスを洗浄液で洗浄することで、前記ガスに同伴する前記アミンを回収する第1の洗浄装置と、
前記第1の洗浄装置から排出された前記ガスを洗浄液で洗浄することで、前記ガスに同伴する前記アミンを回収する第2の洗浄装置と、
前記第2の洗浄装置で使用された前記洗浄液中のアミン濃度を計測する第2の計測器と、
前記第2の計測器にて規定値を上回るアミン濃度が検知された場合に、前記第2の洗浄装置で使用された前記洗浄液を抜き出し、前記洗浄液を前記第1の洗浄装置に送液する送液機構と、
前記二酸化炭素回収部から排出された前記ガスに同伴する吸収液ミストを捕捉する吸収液デミスターと、
前記第1の洗浄装置から排出された前記ガスに同伴する洗浄液ミストを捕捉する洗浄液デミスターと、
を備える二酸化炭素回収システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−223681(P2012−223681A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91768(P2011−91768)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】