説明

アムロジピンベンゼンスルホン酸塩の製造方法

【課題】 フタロイル基保護アムロジピンから、高純度のアムロジピンベンゼンスルホン酸塩を、高収率で製造する方法を提供することを課題とする。
【構成】 1)溶媒中、フタロイル基保護アムロジピンとヒドラジン水和物又はメチルアミンを反応して、アムロジピン塩基を含む反応液を得る第1工程、2)該反応液を水洗する第2工程、3)水洗した反応液を乾燥する第3工程、4)乾燥した反応液に、ベンゼンスルホン酸一水和物を加え、アムロジピン塩基と反応して、アムロジピンベンゼンスルホン酸塩を含む反応液を得る第4工程、及び5)つづいて、該反応液を冷却してアムロジピンベンゼンスルホン酸塩を析出させ、ろ取、乾燥する第5工程からなる、アムロジピンベンゼンスルホン酸塩の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(3)(化4):
【化4】

で表される2−[2−(アミノエトキシ)−メチル]−4−(2−クロルフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジンベンゼンスルホン酸塩(以下、アムロジピンベンゼンスルホン酸塩という)の製造方法に関する。
【0002】
さらに詳しくは、式(1)(化5):
【化5】

で表される2−[2−(2−フタルイミドエトキシ)−メチル]−4−(2−クロルフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジン(以下、フタロイル基保護アムロジピンという)をヒドラジン水和物又はメチルアミンで脱保護基して、式(2)(化6):
【0003】
【化6】

2−[2−(アミノエトキシ)−メチル]−4−(2−クロルフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジン(以下、アムロジピン塩基という)を得、次いで、ベンゼンスルホン酸一水和物と反応して前記式(3)で表される、高純度のアムロジピンベンゼンスルホン酸塩を、高収率で製造する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
アムロジピンベンゼンスルホン酸塩やアムロジピンのマレイン酸塩が、作用持続性のカルシウムチャンネル遮断剤であり、虚血性心疾患及び高血圧の治療に非常に有効な物質であることは、よく知られている。
【0005】
そして、それらの製造方法として、特公昭62−6703号公報には、フタロイル基保護アムロジピンに、アミン類、ヒドラジン水和物又はアルカリ金属水酸化物を反応させて、脱保護基(フタロイル基の除去)して、アムロジピン塩基を得、次いで該アムロジピン塩基にマレイン酸を反応して、アムロジピンマレイン酸塩を製造する方法が記載されている(特許文献1)。
【0006】
この方法は、エタノール中、フタロイル基保護アムロジピンに、ヒドラジン水和物を加え反応し、脱離して析出したフタル酸ヒドラジドをろ過により除去し、ろ液を蒸発し、アムロジピン塩基を含む残渣をメチレンクロライドに溶解し水洗後、有機溶媒を蒸発して残留油状物としてアムロジピン塩基を単離し、次いでこの油状物をアルコールに溶解し、マレイン酸を加え、生成する沈殿物を集め、アルコールで洗浄してアムロジピンマレイン酸塩を得る方法で、収率81%である。
【0007】
ここで単離されているアムロジピン塩基は、不安定で、内的反応を受けて不純物を生じることが知られており(特許文献2等)、上述の製造方法では、アムロジピン塩基を単離するために、2度の加熱による溶媒除去が必要であり、アムロジピン塩基は、その加熱履歴により分解し不純物を生じ、収率の低下とともに、最終生成物の品質にも大きな影響を与える。
【0008】
【特許文献1】特公昭62−6703号公報
【特許文献2】特開2003−128653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、フタロイル基保護アムロジピンに、ヒドラジン水和物又はメチルアミンを反応させて、脱保護基(フタロイル基の除去)して、アムロジピン塩基を得、次いで該アムロジピン塩基にベンゼンスルホン酸一水和物を反応して、アムロジピンベンゼンスルホン酸塩を製造する方法において、比較的不安定なアムロジピン塩基を単離することなく、すなわちアムロジピン塩基に不要な熱履歴を与えて単離することなく、フタロイル基保護アムロジピンから、高純度のアムロジピンベンゼンスルホン酸塩を、高収率で製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、フタロイル基保護アムロジピンに、ヒドラジン水和物又はメチルアミンを反応させて、脱保護基(フタロイル基の除去)して、アムロジピン塩基を得、次いで該アムロジピン塩基にベンゼンスルホン酸一水和物を反応して、アムロジピンベンゼンスルホン酸塩を製造する方法について、鋭意検討を進めた結果、各段階の反応に、溶媒として酢酸エチル等を用いることにより、不安定なアムロジピン塩基を単離することなく、安定な最終生成物であるアムロジピンベンゼンスルホン酸塩を高純度で製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、式(1)(化7):
【化7】

で表される4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−2−(2−フタルイミドエトキシ)メチル−1,4−ジヒドロピリジン(以下、フタロイル基保護アムロジピンという)とヒドラジン水和物又はメチルアミンを反応して、式(2)(化8):
【0012】
【化8】

で表される2−(2−アミノエトキシメチル)−4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジン(以下、アムロジピン塩基という)を得、次いで、式(2)で表される化合物とベンゼンスルホン酸一水和物を反応して、式(3)(化9):
【0013】
【化9】

で表される2−(2−アミノエトキシメチル)−4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジンベンゼンスルホン酸塩(以下、アムロジピンベンゼンスルホン酸塩という)の製造方法であって、
【0014】
1)溶媒中、式(1)の化合物とヒドラジン水和物又はメチルアミンを反応して、式(2)の化合物を含む反応液を得る第1工程、
2)該反応液を水洗する第2工程
3)水洗した反応液を乾燥する第3工程、
4)乾燥した反応液に、ベンゼンスルホン酸一水和物を加え、式(2)の化合物と反応して、式(3)の化合物を含む反応液を得る第4工程、及び
5)つづいて、該反応液を冷却して式(3)の化合物を析出させ、ろ取、乾燥する第5工程、
からなる、式(3)の2−(2−アミノエトキシメチル)−4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジンベンゼンスルホン酸塩の製造方法、である。
【0015】
本発明の製造方法においては、中間体であるアムロジピン塩基を単離することなく行うこと、及びそのために、第2工程の、第1工程の反応液を水洗して未反応ヒドラジン水和物又はメチルアミンや水溶性不純物を除去する工程、及び第3工程の、水洗後の反応液を乾燥する工程を含むことを特徴とする。
特に、第3工程の、水洗後の反応液を乾燥する工程は重要であり、ろ液中の水分量を、1%以下にすることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の方法によれば、反応の途中で、不安定なアムロジピン塩基を単離する必要がないので、工程が短くなり、しかも高純度のアムロジピンベンゼンスルホン酸塩を、高収率で得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のアムロジピンベンゼンスルホン酸塩の製造方法は、
1)溶媒中、式(1)のフタロイル基保護アムロジピンとヒドラジン水和物又はメチルアミンを反応して、式(2)のアムロジピン塩基を含む反応液を得る第1工程、
2)該反応液を水洗する第2工程
3)水洗した反応液を乾燥する第3工程、
4)乾燥した反応液に、ベンゼンスルホン酸一水和物を加え、式(2)の化合物と反応して、式(3)の化合物を含む反応液を得る第4工程、及び
5)つづいて、該反応液を冷却して式(3)の化合物を析出させ、ろ取、乾燥する第5工程、からなる。
【0018】
本発明において用いられる溶媒は、第2工程で反応液を水で洗浄する必要があるので、室温で液体であり、水と分液可能な溶媒を用いる。好ましい溶媒は、酢酸エチルや酢酸ブチルのような酢酸の脂肪族アルコールエステル類、トルエンやキシレンのような芳香族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ジクロルメタンのようなハロゲン化炭化水素類であり、環境への安全性を考慮し、さらに原料等のフタロイル基保護アムロジピンやアムロジピン塩基を溶解しやすい酢酸エチルが、より好ましく用いられる。用いられる溶媒の量は、好ましくは、原料フタロイル基保護アムロジピンに対して、重量で、2〜20倍である。
【0019】
第1工程において、用いられるヒドラジン水和物又はメチルアミンの量は、原料フタロイル基保護アムロジピンに対して、モル比で、1〜10であり、好ましくは、3〜6である。反応は、フタロイル基保護アムロジピン溶液にヒドラジン水和物又はメチルアミンをそのまま加えてもよいし、メタノールやエタノール等のヒドラジン水和物又はメチルアミンを溶解しやすい有機溶媒に溶解して加えてもよい。第1工程の反応は、室温から100℃までの温度で行なうことができる。特に、溶媒が酢酸エチルの場合は、酢酸エチルの還流温度で行うことが好ましい。反応時間は、30分から3時間である。
【0020】
第2工程は、第1工程で過剰に用いたヒドラジン水和物又はメチルアミンや第1工程で生じた水溶性物(保護基から派生した物質を含む)を水洗により除去する工程である。水洗は、洗浄液が中性になるまで行なえばよい。
第1工程でヒドラジン水和物を用いた場合、第2工程の水洗工程の前に、第1工程で得られた反応液を冷却して、脱離したフタル酸ヒドラジドを析出させ、ろ過によりそれを除去する工程を行なうことが好ましい。分離したフタル酸ヒドラジドは、反応に用いた溶媒で洗浄して、洗浄液をろ液と合わせて、以下の工程に用いることが好ましい。
【0021】
第3工程の反応液を乾燥する工程は重要である。水洗後の反応液が水を含む場合、後の工程での、アムロジピンベンゼンスルホン酸塩の収率が低下する。溶媒が酢酸エチルのような水を溶解し易い溶媒を用いる場合、この工程は特に重要であり、溶液中の水分量が1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることが更に好ましい。反応液の乾燥は、無水硫酸ナトリウムや硫酸マグネシウム、モレキュラーシーブ等の乾燥剤と接触させて行うことができるが、工業的には、用いられた溶媒と共沸することにより脱水することができる。
【0022】
第4工程は、アムロジピン塩基とベンゼンスルホン酸一水和物を反応する工程である。用いられるベンゼンスルホン酸一水和物の量は、アムロジピン塩基に対して、少なくとも化学量論的量であり、好ましくは1〜1.5モル比である。反応温度は、0℃から50℃、好ましくは、0℃から30℃であり、反応時間は、1〜10時間、好ましくは、1〜3時間である。
【0023】
第5工程は、第4工程により得られた反応液を冷却して、析出したアムロジピンベンゼンスルホン酸塩をろ取し、それを乾燥する工程である。冷却温度は、5〜10℃である。乾燥温度は40〜60℃である。
得られたアムロジピンベンゼンスルホン酸塩は、不純物量が0.05%以下であり、そのまま医薬品用途に使用できるが、常法により、エタノール等のアルコール類から再結晶してもよい。
【0024】
本発明の方法により製造したアムロジピンベンゼンスルホン酸塩は、公知公用の方法で製剤して、種々の剤型で、単剤又は混合剤として、医薬品として使用できる。
【実施例】
【0025】
以下に本発明の構成及び効果を実施例により具体的に説明する。
アムロジピンベンゼンスルホン酸塩の純度は、以下の条件でHPLC分析し、面積百分率により、算出した。
カラム:CAPCELL PAK C18 SG120(資生堂社製)
移動相:30mmol/L−リン酸二水素カリウム水溶液/メタノール溶液(7:13)混合溶液
流量:0.4ml/min.
温度:30℃
測定波長:237nm
【0026】
実施例1
酢酸エチル280gに、4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−2−(2−フタルイミドエトキシ)メチル−1,4−ジヒドロピリジン(フタロイル基保護アムロジピン)36.9gを加え、55〜60℃に加熱して溶解した。この溶液に、エタノール17gにヒドラジン水和物17.1gを溶解した溶液を、60〜70℃で加え、還流下に、1.5時間、攪拌しながら反応した。反応液を室温まで冷却し、析出物をろ過して除去した。ろ液(酢酸エチル溶液)を水200mlで4回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥した酢酸エチル溶液を30℃に保ちながら、12.4gのベンゼンスルホン酸一水和物を酢酸エチル28gに溶解した溶液を滴下して加え、同温度で、1時間攪拌しながら反応した後、5℃まで冷却し、さらに1時間攪拌した。析出物をろ過し、酢酸エチルで洗浄後、減圧下に、60℃で、5時間乾燥して、197℃で分解する白色の固体の2−(2−アミノエトキシメチル)−4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジンベンゼンスルホン酸塩(アムロジピンベンゼンスルホン酸塩)35.4gを得た。収率は、91.2%であった。
得られた化合物のHPLC分析を行った結果、アムロジピンベンゼンスルホン酸塩の純度は99.5%以上であった。
【0027】
比較例1
実施例1で、フタロイル基保護アムロジピンとヒドラジン水和物との反応後、水洗したろ液(水3.1%を含む)を、無水硫酸ナトリウムで乾燥しなかったことを除いて、全て実施例と同様にして反応を行った。白色の固体の2−(2−アミノエトキシメチル)−4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジンベンゼンスルホン酸塩(アムロジピンベンゼンスルホン酸塩)22.9gを得た。収率は、59%であった。このアムロジピンベンゼンスルホン酸塩は、4.1%の水分を含有していた。
【0028】
比較例2
特公昭62−6703号公報の実施例22の方法B(一旦、アムロジピン塩基を結晶として取り出す方法)に従い、マレイン酸をベンゼンスルホン酸一水和物に代えて、反応を行った。2−(2−アミノエトキシメチル)−4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジンベンゼンスルホン酸塩(アムロジピンベンゼンスルホン酸塩)の収率は、73%であり、その純度は94%であった。
【0029】
実施例2
酢酸エチル280gに、4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−2−(2−フタルイミドエトキシ)メチル−1,4−ジヒドロピリジン(フタロイル基保護アムロジピン)36.9gを加え、55〜60℃に加熱して溶解した。この溶液に、エタノール27.4gに40%メチルアミン水溶液27.4gを溶解した溶液を、約60℃で加え、還流下に、2時間、攪拌しながら反応した。反応液を室温まで冷却し、水200mlで4回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥した酢酸エチル溶液を30℃に保ちながら、12.4gのベンゼンスルホン酸一水和物を酢酸エチル28gに溶解した溶液を滴下して加え、同温度で、1時間攪拌しながら反応した後、5℃まで冷却し、さらに1時間攪拌した。析出物をろ過し、酢酸エチルで洗浄後、減圧下に、60℃で、5時間乾燥して、197℃で分解する白色の固体の2−(2−アミノエトキシメチル)−4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジンベンゼンスルホン酸塩(アムロジピンベンゼンスルホン酸塩)30.8gを得た。収率は、79.2%であった。
得られた化合物のHPLC分析を行った結果、アムロジピンベンゼンスルホン酸塩の純度は99.5%以上であった。
【0030】
実施例3
トルエン172.5gに、4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−2−(2−フタルイミドエトキシ)メチル−1,4−ジヒドロピリジン(フタロイル基保護アムロジピン)21.56gを加え、55〜60℃に加熱して溶解した。この溶液に、エタノール10.01gにヒドラジン水和物10.01gを溶解した溶液を、55〜60℃で加え、その後70〜75℃で、1.5時間、攪拌しながら反応した。反応液を室温まで冷却し、析出物をろ過して除去した。ろ液(トルエン溶液)を水86.2gで5回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥したトルエン溶液を30℃に保ちながら、7.05gのベンゼンスルホン酸一水和物をエタノール14.1gに溶解した溶液を滴下して加え、同温度で、1時間攪拌しながら反応した後、3〜5℃でさらに1時間攪拌した。析出物をろ過し、トルエンで洗浄後、減圧下に、60℃で、5時間乾燥して、白色の固体の2−(2−アミノエトキシメチル)−4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジンベンゼンスルホン酸塩(アムロジピンベンゼンスルホン酸塩)15.29gを得た。収率は、67.4%であった。
得られた化合物のHPLC分析を行った結果、アムロジピンベンゼンスルホン酸塩の純度は99.5%以上であった。
【0031】
実施例4
トルエン172.5gに、4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−2−(2−フタルイミドエトキシ)メチル−1,4−ジヒドロピリジン(フタロイル基保護アムロジピン)21.56gを加え、55〜60℃に加熱して溶解した。この溶液に、エタノール18.64gに40%メチルアミン水溶液18.64gを溶解した溶液を、55〜60℃で加え、その後70〜75℃で、1.5時間、攪拌しながら反応した。反応液を室温まで冷却し、水86.2gで5回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥したトルエン溶液を約30℃に保ちながら、7.05gのベンゼンスルホン酸一水和物をエタノール14.1gに溶解した溶液を滴下して加え、同温度で、1時間攪拌しながら反応した後、3〜5℃でさらに1時間攪拌した。析出物をろ過し、トルエンで洗浄後、減圧下に、60℃で、5時間乾燥して、白色の固体の2−(2−アミノエトキシメチル)−4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジンベンゼンスルホン酸塩(アムロジピンベンゼンスルホン酸塩)16.0gを得た。収率は、70.5%であった。
得られた化合物のHPLC分析を行った結果、アムロジピンベンゼンスルホン酸塩の純度は99.5%以上であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)(化1):
【化1】

で表される4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−2−(2−フタルイミドエトキシ)メチル−1,4−ジヒドロピリジンとヒドラジン水和物又はメチルアミンを反応して、式(2)(化2):
【化2】

で表される2−(2−アミノエトキシメチル)−4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジンを得、次いで、式(2)で表される化合物とベンゼンスルホン酸一水和物を反応して、式(3)(化3):
【化3】

で表される2−(2−アミノエトキシメチル)−4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジンベンゼンスルホン酸塩の製造方法であって、
1)溶媒中、式(1)の化合物とヒドラジン水和物又はメチルアミンを反応して、式(2)の化合物を含む反応液を得る第1工程、
2)該反応液を水洗する第2工程
3)水洗した反応液を乾燥する第3工程、
4)乾燥した反応液に、ベンゼンスルホン酸一水和物を加え、式(2)の化合物と反応して、式(3)の化合物を含む反応液を得る第4工程、及び
5)つづいて、該反応液を冷却して式(3)の化合物を析出させ、ろ取、乾燥する第5工程、
からなる、式(3)の2−(2−アミノエトキシメチル)−4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジンベンゼンスルホン酸塩の製造方法。
【請求項2】
溶媒が酢酸エチルである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第3工程において、反応液中の水分を1%以下にする、請求項1又は2記載の方法。

【公開番号】特開2007−15978(P2007−15978A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198896(P2005−198896)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(591095096)相模化成工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】