説明

アライメントマークを設けたプローブ、およびアライメントマークが設けられた複数のプローブが実装されたプローブカード

【課題】正確にかつ容易にアライメントが可能なプローブ、およびプローブカードを提供する。
【解決手段】前側端部7と後側端部8を有する実装部2、前記実装部の後側から前側へと延在するアーム部3、および前記アーム部の先端から垂直方向に設けられた先端部4から構成され、中間層の両側に外層を配置した3層構造のプローブ1であって、前記先端部4は、垂直方向に突出した接触部11、前記接触部よりも後側に設けられたアライメントマークベース部14、およびアライメントマーク13を有している。前記アライメントマーク13は、前記アライメントマークベース部14の傾斜面から前記接触部と同じ方向に突出した第1突出部と第2突出部を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメントマークを設けたプローブ、およびアライメントマークが設けられた複数のプローブが実装されたプローブカードに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の検査には、基板に複数のプローブが実装されたプローブカードを用いている。基板上には複数のプローブが狭ピッチで配置されており、プローブは基板に設けられた電極に接触させてはんだ等を用いて接合されている。
【0003】
プローブカードを用いて半導体装置を検査するためには、プローブ先端を半導体装置の電極に接触させて検査を行う。検査を行うにはプローブを正確に検査対象となる半導体装置の電極に接触させる必要があるので、基板にプローブを実装する際にはプローブ先端のアライメント(位置決め)が行われている。アライメントが正確に行われなければ、正確な検査を行うことはできない。
【0004】
アライメントの方法としては、プローブ先端をCCDカメラによって直接認識する方法(特許文献1参照)が用いられている。プローブ先端をCCDカメラで直接認識する場合、プローブ先端の状態が変化すると正確にアライメントできなくなるという問題があり、このような問題を解消するために、別途にアライメントマークを設けて、アライメントマークをCCDカメラで認識しプローブ先端の位置を調べる方法(特許文献2参照)も用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−182061号公報
【特許文献2】特開2005−533263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、プローブ先端をCCDカメラで直接認識する場合には、プローブ先端が制作ロットの違いによって大きさが変化することや、使用状況によってはプローブ先端に付着物が存在することなどから、絶えず正確なアライメントを行うには困難が伴った。
【0007】
上記課題を解決する1つの手法としてアライメントマークを用いることが考えられるが、アライメントマークの形状によっては、プローブの向きを認識するのに画像処理が必要であったり、アライメントマークの形成方法によっては、プローブ先端とアライメントマークとの位置関係にバラツキが生じるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明はこのような従来のプローブのアライメントの問題を解消し、プローブ先端のアライメントが簡単にそして正確に行うことが可能なアライメントマークを設けたプローブ、およびアライメントマークが設けられた複数のプローブを実装したプローブカード、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプローブは、前側端部と後側端部を有する実装部、前記実装部の後側から前側へと延在するアーム部、および前記アーム部の先端から垂直方向に設けられた先端部から構成され、中間層の両側に外層を配置した3層構造のプローブであって、前記先端部は、垂直方向に突出した接触部、前記接触部よりも後側に設けられたアライメントマークベース部、および前記アライメントマークベース部に設けられたアライメントマークを有し、前記アライメントマークベース部は、水平方向に対し斜めに設けられた傾斜面を有し、前記アライメントマークは、前記アライメントマークベース部の傾斜面から前記接触部と同じ方向に突出した第1突出部と第2突出部を有し、前記第1突出部は、水平面と前記水平面の両端に設けられた第1傾斜面および第2傾斜面を有し、前記第1傾斜面側の側面はアライメントマークベース部へと繋がる垂直面が形成され、前記第2突出部側の側面には前記第2傾斜面に繋がった第3傾斜面と第6傾斜面から構成されるが窪みが形成され、前記第2突出部は水平面と、前記水平面の両端に設けられた第4傾斜面および第5傾斜面を有し、前記第5傾斜面は前記アライメントマークベース部へと繋がり、前記第1突出部側の側面は前記第6傾斜面と繋がる垂直面が形成され、前記接触部と前記アライメントマークは同一層で形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のプローブカードは、前側端部と後側端部を有する実装部、前記実装部の後側から前側へと延在するアーム部、および前記アーム部の先端から垂直方向に設けられた先端部から構成され、中間層の両側に外層を配置した3層構造のプローブを基板上に複数実装したプローブカードであって、前記プローブの前記先端部は、垂直方向に突出した接触部、前記接触部よりも後側に設けられたアライメントマークベース部、および前記アライメントマークベース部に設けられたアライメントマークを有し、前記アライメントマークベース部は、水平方向に対し斜めに設けられた傾斜面を有し、前記アライメントマークは、前記アライメントマークベース部の傾斜面から前記接触部と同じ方向に突出した第1突出部と第2突出部を有し、前記第1突出部は、水平面と前記水平面の両端に設けられた第1傾斜面および第2傾斜面を有し、前記第1傾斜面側の側面はアライメントマークベース部へと繋がる垂直面が形成され、前記第2突出部側の側面には前記第2傾斜面に繋がった第3傾斜面と第6傾斜面から構成されるが窪みが形成され、前記第2突出部は水平面と、前記水平面の両端に設けられた第4傾斜面および第5傾斜面を有し、前記第5傾斜面は前記アライメントマークベース部へと繋がり、前記第1突出部側の側面は前記第6傾斜面と繋がる垂直面が形成され、前記接触部と前記アライメントマークは同一層で形成されていることを特徴とする。
【0011】
プローブの向きを簡単に確認できるように、前記第1突出部の水平面と、前記第2突出部の水平面は長さが異なるようにすることが好ましい。
【0012】
前記接触部および前記アライメントマークを、前記中間層を前記外層から突出させて形成する、あるいは、前記中間層に埋め込まれた第4の層から形成することが可能であり、さらに、前記接触部および前記アライメントマークを、第4の層として同一層で、かつ分離して形成することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のプローブは、前側端部と後側端部を有する実装部、前記実装部の後側から前側へと延在するアーム部、および前記アーム部の先端から垂直方向に設けられた先端部から構成され、中間層の両側に外層を配置した3層構造のプローブであって、前記先端部は、垂直方向に突出した接触部、前記接触部よりも後側に設けられたアライメントマークベース部、および前記アライメントマークベース部に設けられたアライメントマークを有し、前記アライメントマークベース部は、水平方向に対し斜めに設けられた傾斜面を有し、前記アライメントマークは、前記アライメントマークベース部の傾斜面から前記接触部と同じ方向に突出した第1突出部と第2突出部を有し、前記第1突出部は、水平面と前記水平面の両端に設けられた第1傾斜面および第2傾斜面を有し、前記第1傾斜面側の側面はアライメントマークベース部へと繋がる垂直面が形成され、前記第2突出部側の側面には前記第2傾斜面に繋がった第3傾斜面と第6傾斜面から構成されるが窪みが形成され、前記第2突出部は水平面と、前記水平面の両端に設けられた第4傾斜面および第5傾斜面を有し、前記第5傾斜面は前記アライメントマークベース部へと繋がり、前記第1突出部側の側面は前記第6傾斜面と繋がる垂直面が形成され、前記接触部と前記アライメントマークは同一層で形成されていることにより、プローブカードに実装する際に正確な位置決めを行うことができ、さらに、半導体装置の検査の際に、前記アライメントマークが容易にかつ正確に認識できるので、プローブのアライメント精度が向上する。
【0014】
また、本発明のプローブカードは、上述のプローブを複数基板上に実装したプローブカードであるので、繰り返し検査を行っても正確なアライメントが可能であり、さらに、アライメント時間も従来よりも短縮することが可能である。
【0015】
さらに、前記第1突出部の水平面と、前記第2突出部の水平面は長さが異なるようにすることにより、プローブの向きを簡単に確認できるようになり、アライメントの時間を短縮することができる。
【0016】
前記接触部および前記アライメントマークを、前記中間層を前記外層から突出させて形成する、あるいは、前記中間層に埋め込まれた第4の層から形成することが可能であり、さらに、前記接触部および前記アライメントマークを、第4の層として同一層で、かつ分離して形成することにより、プローブの接触部と第1,2突出部の位置関係が常に一定となり、より正確にプローブ先端の位置決めを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のプローブの側面図である。
【図2】本発明のプローブの正面図である。
【図3】プローブの先端部の拡大側面図である。
【図4】アライメントマークの側面図である。
【図5】プローブの形成方法を示す概略断面図である。
【図6】プローブの形成方法を示す概略断面図であり、図5の続きである。
【図7】図5(g)の平面図である。
【図8】本発明のプローブカードの概略断面図である。
【図9】カメラで撮影したプローブの先端部の平面の映像を示す図である。
【図10】1段構造のプローブの形成方法を示す概略断面図である。
【図11】2段構造のプローブの形成方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図を用いて本発明を以下に詳細に説明する。図1が本発明の第1の実施形態のプローブ1の側面図、図2がプローブ1の正面図である。
【0019】
第1の実施形態のプローブ1は、図1に示すように、プローブカードの基板上に設けられた電極に接合される、前側端部7と後側端部8を有する実装部2、前記実装部2の後側から前側へと延在しバネ性を有するアーム部3、および前記アーム部3の先端から垂直方向に設けられ被検査対象物に接触する先端部4から構成されている。
【0020】
前記プローブ1は、図2の正面図に示すように、中間層5を2つの外層6で挟み込んだ3層の導電体からなる3層構造となっている。プローブ1をプローブカードに実装する際に、前記電極と接触する前記実装部2の底面から2箇所が突出した突出部9が設けられ、前記突出部9が直接電極と接触する。
【0021】
前記中間層5および前記外層6は、導電材料からなり、全て同じ導電材料で形成されていてもよいし、各々異なる導電材料で形成されていてもよい。ここでは、前記中間層5および前記外層6は同一の導電材料で形成されている。好適な導電材料としては、ニッケルコバルト(Ni−Co)、パラジウムコバルト(Pd−Co)、パラジウムニッケル(Pd−Ni)、タングステン(W)、ニッケルタングステン(Ni−W)などがあげられる。
【0022】
図3に示すように、前記先端部4は垂直方向に突出するように前記先端部4の中間層5に埋め込まれて形成された接触部11と、前記接触部11の下方で水平方向に突出して形成されたアライメントマークベース部14と、前記アライメントマークベース部14の中間層5に埋め込まれて設けられたアライメントマーク13を有する。前記接触部11は先端が平坦でその両側に傾斜面が設けられている。前記アライメントマークベース部14は、水平な底面48とプローブ1の前側から後側に向かって下がっていく傾斜面47を有し、前記アライメントマーク13は傾斜面47から前記接触部11と同じ方向に突出した第1突出部15と第2突出部16を有する。図1では、アライメントマークベース部14の底面48とアーム部3との間には空隙が設けられているが、このような空隙を設けない形態も考えられる。
【0023】
図4に示すように、前記第1突出部15は水平面17と前記水平面17の両端に設けられた第1傾斜面18および第2傾斜面19を有し、前記第1傾斜面18側の側面はベース部へと繋がる垂直面20が形成され、前記第2突出部16側の側面には前記第2傾斜面19に繋がった第3傾斜面21と第6傾斜面27から構成される窪みが形成されている。
【0024】
図4に示すように、前記第2突出部16は上部に前記水平面17と同じ高さでかつ前記水平面17よりも長さが短い水平面22を有しており、さらに、前記水平面22の両端に設けられた第4傾斜面23および第5傾斜面24を有し、前記第5傾斜面24は前記アライメントマークベース部14へと繋がり、前記第1突出部15側の側面は前記第6傾斜面27と繋がる垂直面25が形成されている。
【0025】
前記第2突出部16の前記第5傾斜面24の端には、前記アライメントマークベース部14に埋め込まれている垂直面26が形成されている。前記アライメントマーク13の底面28は、前記アライメントマークベース部14の底面48とツライチで形成されており、前記垂直面26と前記垂直面20を繋いでいる。
【0026】
前記第6傾斜面27は前記第4傾斜面23の端に形成された垂直面25の端から、前記アライメントマークベース部14の傾斜面47と同様に、下向きに傾斜しており、前記第6傾斜面27と前記第3傾斜面21との接続部は曲線で構成されている。
【0027】
前記第6傾斜面27と前記第3傾斜面21との接続部が曲線となるのは、前記アライメントマーク13をフォトリソグラフィーを用いて形成するために避けられないことであるが、前記アライメントマーク13に曲線部分が存在すると、プローブ1のアライメントの際に曲線部分が光を反射して認識精度を低下させる。そこで、本発明では、前記第1突出部15を図4における上方から見た時に、前記第6傾斜面21は前記第2傾斜面19に隠れて見えない位置となるように窪みを設けている。これによって、前記曲線部分も上方からは見えなくなり、アライメント時のアライメントマーク13の認識精度を向上させる。
【0028】
前記接触部11と前記アライメントマーク13は互いに分離しているが、中間層5および2つの外層6とは異なる第4の層として形成され、共に中間層5に埋め込まれており、ニッケル合金を用いてめっきによって形成されている。このような構造を用いることにより、プローブ1の接触部11とアライメントマーク13の位置関係は熱膨張の影響を受けることが無く、絶えず正確な位置関係を保つことで、従来よりも正確なアライメントを行うことが可能となる。ただし、前記接触部11と前記アライメントマーク13を分離することなく、第4の層として一体形成して中間層5に埋め込むことも可能である。
【0029】
次に、本発明のプローブ1の形成方法について説明する。まず初めに、プローブ形成用の基板30上に、銅(Cu)または黄銅からなる犠牲層31を形成し、その後、図5(a)に示すように、犠牲層31上に感光性有機物質からなるフォトレジストを塗布してレジスト層32を形成し、プローブ1の外層6の形状に合わせて所定の箇所に開口33を設けておく。そして、図5(b)に示すように、電気めっきによりニッケル合金を前記開口33に充填し、研磨調整が必要であればレジスト層32と外層6を研磨して1層目となる外層6を形成する。
【0030】
その後、図5(c)に示すように、前記レジスト層32を除去した後、図5(d)に示すように、前記レジスト層32を除去して露出した前記犠牲層31と前記外層6を覆うように銅からなる犠牲層34を形成する。その後、図5(e)に示すように、前記外層6が露出するまで前記犠牲層34の表面を研磨する。
【0031】
研磨が終わり前記外層6が露出した状態となったら、次に、接触部11およびアライメントマーク13を形成する。図5(f)に示すように、前記外層6と前記犠牲層34の上にフォトレジストを塗布してレジスト層35を形成し、前記接触部11および前記アライメントマーク13の形状に合わせて所定の箇所に開口36を設ける。そして、図5(g)および図7の平面図に示すように、電気めっきによりニッケル合金を前記開口36に充填し、研磨調整が必要であればレジスト層35と接触部11およびアライメントマーク13を研磨して、接触部11およびアライメントマーク13が同じ層でかつ分離して形成される。接触部11およびアライメントマーク13を分離させない場合には、前記開口36の形状を接触部11とアライメントマーク13が一体となった形状に変更することで対応できる。
【0032】
その後、図5(h)に示すように、前記レジスト層35を除去し、次に、図6(a)に示すように、前記外層6、犠牲層34および接触部11とアライメントマーク13の上にフォトレジストを塗布してレジスト層37を形成し、プローブ1の中間層5の形状に合わせて所定の箇所に開口38を設ける。そして、図6(b)に示すように、電気めっきによりニッケル合金を前記開口38に充填し、研磨調整が必要であればレジスト層37と中間層5を研磨して、2層目となる中間層5を形成する。
【0033】
その後、図6(c)に示すように、前記レジスト層37を除去し、続いて、図6(d)に示すように、中間層5及び犠牲層34の上に再びフォトレジストを塗布してレジスト層39を形成し、プローブ1の3層目となる外層6の形状に合わせて所定の箇所に開口40を設ける。
【0034】
そして、図6(e)に示すように、電気めっきによりニッケル合金を前記開口40に充填し、研磨調整が必要であればレジスト層39と外層6を研磨して、3層目となる外層6を形成する。その後、レジスト層39および犠牲層31,34を除去すると、図6(f)に示すように、プローブ1の形成が完了する。
【0035】
このようにして、前記接触部11と前記アライメントマーク13を同一層としてかつ分離して形成することで、厚みがほぼ同じで、前記接触部11と前記アライメントマーク13の位置関係が正確で一定なプローブ1を実現することが可能となり、また、熱膨張の影響を受けることなく絶えず一定の位置関係を保つことができるので、アライメント精度を従来よりも高めることが可能となる。
【0036】
次に、第2の実施形態のプローブ1’について説明する。第2の実施形態のプローブ1’は、第1の実施形態のプローブ1の接触部11およびアライメントマーク13を、第4の層ではなく、中間層5を外層6から突出させて形成したものである。
【0037】
前記プローブ1’は、図1に示すように、前側端部7と後側端部8を有する実装部2、前記実装部2の後側から前側へと延在しバネ性を有するアーム部3、および前記アーム部3の先端から垂直方向に設けられ被検査対象物に接触する先端部4から構成され、中間層5を2つの外層6で挟み込んだ3層の導電体からなる3層構造となっている。プローブ1’をプローブカードに実装する際に、前記電極と接触する前記実装部2の底面から2箇所が突出した突出部9が設けられ、前記突出部9が直接電極と接触する。前記中間層5および前記外層6の材質等については、第1の実施形態と同様である。
【0038】
前記先端部4は、中間層5を外層6から垂直方向に突出させて形成された接触部11と、前記接触部11の下方で水平方向に突出させて形成したアライメントマークベース部14と、前記アライメントマークベース部14の中間層5を外層6から突出させて形成したアライメントマーク13を有する。前記接触部11は先端が平坦でその両側に傾斜面が設けられている。前記アライメントマークベース部14は、水平な底面48と傾斜面47を有し、前記アライメントマーク13は傾斜面47から突出した第1突出部15と第2突出部16を有する。
【0039】
前記接触部11と前記第1突出部15および前記第2突出部16の形状は第1の実施形態とほぼ同じであるので、詳細な説明を省略するが、本実施形態のプローブ1’における特徴は、上述のように、接触部11およびアライメントマーク13を、中間層5を外層6から突出させて形成したことであり、これにより、第4の層を形成する場合よりもプローブ形成工程が1工程少なくなり、従来と同様の工程でレジスト層に設ける開口の形状を変更するだけで簡単に実現できる。
【0040】
ここで、3層の形成方法は他にも様々な態様が考えられ、図10の例では、1段目から3段目まで電気めっきが同時に行われているので1層構造のように見える。図11の例では、2段目と3段目の電気めっきが同時に行われるので2層構造のように見える。どちらの場合にも、外層と内層の区別はつきにくく、3段構造というべきものであるが、このような態様も3層構造に含まれる。
【0041】
次に、本発明のプローブカード41について説明する。ここでは、第1の実施形態の前記プローブ1をプローブ基板44上に複数実装したプローブカード41について説明する。本発明のプローブカード41は、図8に示すように、テスタのポゴピンと接触して接続される外部端子42と内部配線43を有するメイン基板44と、前記メイン基板44に固定され、前記プローブ1が実装される電極45が設けられたプローブ基板46とを備える。
【0042】
前記プローブカード41を作成するために、プローブ1をプローブ基板46に実装する際に実施するアライメント方法は、以下の通りである。プローブ1の接触部11の、アライメントマーク13の第1突出部15の水平面17および第2突出部16の水平面22に対するオフセット量は、設計事項であり、既知とする。
【0043】
まずハンドラーを使って、プローブ1をプローブ基板上の所定の位置におおよそ正しく配置する。そして、プローブ1の先端部4を上方からCCDカメラで撮影し、アライメントマーク13を認識する。この時撮影された映像は、図9に示すような映像となる。前記アライメントマーク13の上面は前記水平面17,22以外は、全て傾斜面で構成されているので、CCDカメラと同じ方向から光を前記アライメントマーク13に当てると、前記水平面17,22だけが光を反射し、その他の面はCCDカメラの方向に光を反射しないので、図9に示すように、前記水平面17,22だけが明るくなりはっきりとアライメントマーク13を認識できる。
【0044】
また、前記水平面17と前記水平面22は長さが異なるので、プローブ1の接触部11がどちらの方向にあるのかを容易に識別できる。図9に示す場合では、長さの短い水平面22側に接触部11が位置しているので、前記水平面22の左側に接触部11があることが簡単に識別することが可能となる。従来のアライメントマークではアライメントマークを認識した後に接触部の位置を判別する作業が必要であったが、本発明ではこのような作業が不要となるので、アライメントに要する時間も短縮することが可能となる。
【0045】
このようにして、アライメントマーク13の位置を確認したら予め求めておいたオフセット量を元にプローブ1の接触部11の位置を算出し、その位置が正しい位置であるかどうかを確認する。プローブ1の接触部11が所定の位置からずれていることが確認できたら、そのずれている量を計算し、プローブカード41を移動させ、再度、CCDカメラを用いて前記アライメントマーク13の水平面17,22を識別し、正確な位置に配置されているかを確認する。このようなアライメント作業を繰り返し、所定の位置にプローブ1の接触部11が配置されたら、レーザを照射してプローブ1をプローブ基板46の電極45に固定する。
【0046】
このように、本発明ではプローブ1の接触部11を直接認識するのではなくアライメントマーク13を識別してアライメントを行う。アライメントマーク13は接触部11と同じ層に形成されているため、接触部11とアライメントマーク13の相対位置は非常に安定しているので、絶えず正確なアライメントを行うことが可能である。また、上述のように、プローブ1の向きも同時に確認することができるので、アライメント作業の時間を短縮することもできる。
【0047】
また、これまではプローブをプローブ基板に実装する際のアライメントについて記述してきたが、半導体装置の電極にプローブの接触部を接触させて検査を行う場合にもアライメントマークを用いることで、従来よりも簡単にそして正確にプローブのアライメントを行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1、1’プローブ
2 実装部
3 アーム部
4 先端部
5 中間層
6 外層
7 前側端部
8 後側端部
9 突出部
11 接触部
13 アライメントマーク
14 アライメントマークベース部
15 第1突出部
16 第2突出部
17,22 水平面
18 第1傾斜面
19 第2傾斜面
20,25,26 垂直面
21 第3傾斜面
23 第4傾斜面
24 第5傾斜面
27 第6傾斜面
28 底面
30 基板
31,34 犠牲層
32,35,37,39 レジスト層
33,36,38,40 開口
41 プローブカード
42 外部端子
43 内部配線
44 メイン基板
45 電極
46 プローブ基板
47 傾斜面
48 底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側端部と後側端部を有する実装部、前記実装部の後側から前側へと延在するアーム部、および前記アーム部の先端から垂直方向に設けられた先端部から構成され、中間層の両側に外層を配置した3層構造のプローブであって、
前記先端部は、垂直方向に突出した接触部、前記接触部よりも後側に設けられたアライメントマークベース部、および前記アライメントマークベース部に設けられたアライメントマークを有し、
前記アライメントマークベース部は、水平方向に対し斜めに設けられた傾斜面を有し、
前記アライメントマークは、前記アライメントマークベース部の傾斜面から前記接触部と同じ方向に突出した第1突出部と第2突出部を有し、
前記第1突出部は、水平面と前記水平面の両端に設けられた第1傾斜面および第2傾斜面を有し、前記第1傾斜面側の側面はアライメントマークベース部へと繋がる垂直面が形成され、前記第2突出部側の側面には前記第2傾斜面に繋がった第3傾斜面と第6傾斜面から構成されるが窪みが形成され、
前記第2突出部は水平面と、前記水平面の両端に設けられた第4傾斜面および第5傾斜面を有し、前記第5傾斜面は前記アライメントマークベース部へと繋がり、前記第1突出部側の側面は前記第6傾斜面と繋がる垂直面が形成され、
前記接触部と前記アライメントマークは同一層で形成されていることを特徴とするプローブ。
【請求項2】
前記第1突出部の水平面と、前記第2突出部の水平面は長さが異なることを特徴とする請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記接触部および前記アライメントマークは、前記中間層に埋め込まれた第4の層から形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記接触部および前記アライメントマークは、第4の層として同一層で、かつ分離して形成されていることを特徴とする請求項3に記載のプローブ。
【請求項5】
前記接触部および前記アライメントマークは、前記中間層を前記外層から突出させて形成していることを特徴とする請求項1または2に記載のプローブ。
【請求項6】
前側端部と後側端部を有する実装部、前記実装部の後側から前側へと延在するアーム部、および前記アーム部の先端から垂直方向に設けられた先端部から構成され、中間層の両側に外層を配置した3層構造のプローブを基板上に複数実装したプローブカードであって、
前記プローブの前記先端部は、垂直方向に突出した接触部、前記接触部よりも後側に設けられたアライメントマークベース部、および前記アライメントマークベース部に設けられたアライメントマークを有し、
前記アライメントマークベース部は、水平方向に対し斜めに設けられた傾斜面を有し、
前記アライメントマークは、前記アライメントマークベース部の傾斜面から前記接触部と同じ方向に突出した第1突出部と第2突出部を有し、
前記第1突出部は、水平面と前記水平面の両端に設けられた第1傾斜面および第2傾斜面を有し、前記第1傾斜面側の側面はアライメントマークベース部へと繋がる垂直面が形成され、前記第2突出部側の側面には前記第2傾斜面に繋がった第3傾斜面と第6傾斜面から構成されるが窪みが形成され、
前記第2突出部は水平面と、前記水平面の両端に設けられた第4傾斜面および第5傾斜面を有し、前記第5傾斜面は前記アライメントマークベース部へと繋がり、前記第1突出部側の側面は前記第6傾斜面と繋がる垂直面が形成され、
前記接触部と前記アライメントマークは同一層で形成されていることを特徴とするプローブカード。
【請求項7】
前記第1突出部の水平面と、前記第2突出部の水平面は長さが異なることを特徴とする請求項6に記載のプローブカード。
【請求項8】
前記接触部および前記アライメントマークは、前記中間層に埋め込まれた第4の層から形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載のプローブカード。
【請求項9】
前記接触部および前記アライメントマークは、第4の層として同一層で、かつ分離して形成されていることを特徴とする請求項8に記載のプローブカード。
【請求項10】
前記接触部および前記アライメントマークは、前記中間層を前記外層から突出させて形成していることを特徴とする請求項6または7に記載のプローブカード。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−27538(P2011−27538A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173312(P2009−173312)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000232405)日本電子材料株式会社 (272)
【Fターム(参考)】