説明

アリール置換スルホンアミド

本発明は、5−HT受容体親和性を有するアリール置換スルホンアミド、該化合物を含有する薬剤、及び薬剤の製造のための該化合物の一つの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5−HT受容体親和性を有するアリール置換スルホンアミド、該化合物を含有する薬剤、及び薬剤の製造のための該化合物の一つの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
セロトニン受容体(5−HT)のスーパーファミリーは、14個のヒトサブクラスを包含する7個のクラス(5−HT〜5−HT)を含む(非特許文献1)。5−HT受容体は、ラット(非特許文献2,3)及びヒト(非特許文献4)の両方において分子クローニングにより同定されたセロトニン受容体である。5−HT受容体親和性を有する化合物は、中枢神経系及び胃腸管の様々な疾患、例えば過敏性腸症候群の治療に有用である。5−HT受容体親和性を有する化合物は、不安症、うつ病及び認知記憶障害の治療にも有用である(非特許文献5−11)。統合失調症を治療するための定型及び非定型抗精神病薬が、5−HT受容体に対して高い親和性を有することが示されている(非特許文献12−15)。5−HT受容体親和性を有する化合物は、小児多動(ADHD、注意欠陥/多動性障害)の治療に有用である(非特許文献16−18)。また、5−HT受容体は、摂食にも関与することが示されている(非特許文献19)。
【0003】
摂食障害、特に肥満は、他の重篤な、生命さえも脅かす疾病、例えば糖尿病又は冠動脈疾患を発症する危険を増大させるため、全年齢群のヒトの健康にとって深刻で急速な脅威である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】D. Hoyerら, Neuropharmacology, 1997, 36, 419
【非特許文献2】F.J. Monsmaら, Mol. Pharmacol., 1993, 43, 320;
【非特許文献3】M. Ruatら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 1993, 193, 268
【非特許文献4】R. Kohenら, J. Neurochem., 1996, 66, 47
【非特許文献5】M. Yoshiokaら, Ann. NY Acad. Sci., 1998, 861, 244
【非特許文献6】A. Boursonら, Br. J. Pharmacol. , 1998, 125, 1562
【非特許文献7】D.C. Rogersら., Br. J. Pharmacol. Suppl., 1999, 127, 22P
【非特許文献8】A. Boursonら, J. Pharmacol. Exp. Ther. , 1995, 274, 173
【非特許文献9】A.J. Sleightら, Behav. Brain Res. , 1996, 73, 245
【非特許文献10】T.A. Branchekら, nnu. Rev. Pharmacol. Toxicol. , 2000, 40, 319
【非特許文献11】C. Routledgeら, Br. J. Pharmacol. , 2000, 130, 1606
【非特許文献12】B.L. Rothら, J. Pharmacol. Exp. Ther. , 1994, 268, 1403
【非特許文献13】C.E. Glattら, Mol. Med. , 1995, 1, 398
【非特許文献14】F.J. Mosmaら, Mol. Pharmacol. , 1993, 43, 320
【非特許文献15】T. Shinkaiら, Am. J. Med. Genet. , 1999, 88, 120
【非特許文献16】W.D. Hirstら, Br. J. Pharmacol. , 2000, 130, 1597
【非特許文献17】C. Ge-rardら, Brain Research , 1997, 746, 207
【非特許文献18】M.R. Pranzatelli, Drugs of Today , 1997, 33, 379
【非特許文献19】Neuropharmacology, 41, 2001, 210-219
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、5−HT受容体親和性を有する化合物を含有し、かつ摂食に関連した疾患の予防及び/又は治療に適切な薬剤を提供することであった。
【0006】
より詳細には、本発明の目的は、肥満/摂食障害の予防及び/又は治療に適切であり、好ましくは従来の薬剤の望ましくない副作用を示さず、又は少なくともその頻度が比較的低く、及び/若しくは比較的目立たない薬剤を提供することであった。
【0007】
以下に示す一般式(I)の化合物は、5−HT−受容体に対して親和性を示すことが見出されている。従って、これらの化合物も、摂食(食物摂取)障害の予防及び/若しくは治療のための、特に食欲の調整のための、体重の維持、増加若しくは減少のための、肥満、過食症、食欲不振、悪液質若しくはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、好ましくは肥満を原因とするII型糖尿病、の予防及び/若しくは治療ための薬剤の製造、又は認知障害の予防及び/若しくは治療のための薬剤の製造に適切である。
【0008】
本発明の化合物に類似を示す化合物が、EP 1445252A1にて見出され、ここでは5HT−受容体に結合する化合物も記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的は、活性物質として一般式(I)
【0010】
【化1】

(I)

〔式中、 Aは、場合により少なくとも一置換されたアリール基であって、場合により少なくとも一置換された若しくは非置換のアルキレン基を介して結合していてもよいアリール基;場合により少なくとも一置換されたアルキル−ジアリール基、又は場合により少なくとも一置換された基
【0011】
【化2】


(ここでWは、二つの環間の結合、CH、O、S及びNHを表す)
を表し;
は、水素、又はC−Cアルキル若しくはベンジル基を表し;
は、水素、又はC−Cアルキルを表し;
は、水素、又はC−Cアルキルを表し;
nは、0、1、2、3又は4を表す〕
で示されるアリール置換スルホンアミド化合物であって、
該化合物は、場合により、
その立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の一つの形態、そのラセミ体、又はその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又は、それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物であってもよい、アリール置換スルホンアミド化合物を提供することにより達成されている。
【0012】
本発明の別の一つの定義及び実施態様において、この目的は、活性物質として一般式(I)
【0013】
【化3】

(I)

〔式中、 Aは、場合により少なくとも一置換されたアリール基であって、場合により少なくとも一置換された若しくは非置換のアルキレン基を介して結合していてもよいアリール基;場合により少なくとも一置換されたアルキル−ジアリール基、又は場合により少なくとも一置換された基
【0014】
【化4】


(ここでWは、二つの環間の結合、CH、O、S及びNHを表す)
を表し;
は、水素、又は置換された若しくは非置換のC−Cアルキル若しくはベンジル基を表し;
は、水素、又は置換された若しくは非置換のC−Cアルキルを表し;
は、水素、又は置換された若しくは非置換のC−Cアルキルを表し;
nは、0、1、2、3又は4を表す〕
で示されるアリール置換スルホンアミド化合物であって、
該化合物は、場合により、
その立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の一つの形態、そのラセミ体、又はその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又は、それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物であってもよい、アリール置換スルホンアミド化合物を提供することにより達成された。
【0015】
本発明の別の一つの定義及び実施態様において、活性物質として一般式(I)
【0016】
【化5】

(I)

〔式中、
Aは、場合により少なくとも一置換されたアリール基であって、場合により少なくとも一置換された若しくは非置換のアルキレン基を介して結合していてもよいアリール基;場合により少なくとも一置換されたアルキル−ジアリール基、又は場合により少なくとも一置換された基
【0017】
【化6】


(ここでWは、二つの環間の結合、CH、O、S及びNHを表す)
を表し;
は、水素、又は非置換のC−Cアルキル若しくはベンジル基を表し;
は、水素、又は非置換のC−Cアルキルを表し;
は、水素、又は非置換のC−Cアルキルを表し;
nは、0、1、2、3又は4を表す〕
で示されるアリール置換スルホンアミド化合物であって、
該化合物は、場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の一つの形態、そのラセミ体、又はその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又は、それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物であってもよい、アリール置換スルホンアミド化合物を提供することにより達成された。
【0018】
以下の条件が適用される場合が、特に好ましい:
、R及びRが全部Hである場合には、Aは、アルキル若しくはハロゲンで置換されたナフチル又は非置換のβ−ナフチル、場合により少なくとも一置換されたアルキル−ジアリール基、又は場合により少なくとも一置換された基
【0019】
【化7】


にしかなり得ないものである。
【0020】
「アリール」、「アリール基(radical)」又は基(group)は、少なくとも一つの芳香環を有するが、ヘテロ原子は唯一つの環内にも存在しない環系を意味するものと理解される。例は、フェニル、ナフチル、フルオランテニル、フルオレニル、テトラリニル又はインダニル、特に9H−フルオレニル又はアントラセニル基であり、これらは不飽和、又は一置換若しくは多置換されていてもよい。
【0021】
「アルキル−ジアリール基」は、二つのアリール基がアルキル鎖又はアルキレンの一つのC原子に結合し、このアルキル鎖又はアルキレンを介してコア構造に結合している構造を意味するものと理解される。可能な例としては:
【0022】
【化8】


が挙げられる。
【0023】
アリール、アリール基(group)又はアリール基(radical)に関連して、「置換された」は、−別に定義しない限り−アリール基上の少なくとも一つの水素基が、OH、SH、=O、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、CN、NO、COOH;NR(ここでR及びRは、独立してH、又は飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分岐状の、置換された若しくは非置換のC1−6−アルキルのいずれかを表す);飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分岐状の、置換された若しくは非置換のC1−6−アルキル;飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分岐状の、置換された若しくは非置換の−O−C1−6−アルキル(アルコキシ);飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分岐状の、置換された若しくは非置換の−S−C1−6−アルキル;飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分岐状の、置換された若しくは非置換の−C(O)−C1−6−アルキル;飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分岐状の、置換された若しくは非置換の−C(O)−O−C1−6−アルキル;置換された若しくは非置換のフェニルで置き換えられていることを意味するものと理解される。この定義において「一置換された」は、正確に一つの水素基が置換されていることを意味するのに対して、「多置換された」は一つを超える水素基の置換を意味し、「多置換された」基は、置き換えが異なる原子上及び同一の原子上の両方で、同一の又は異なる置換基で数回行われていることを意味するものと理解される。従って、「場合により少なくとも一置換された」は、選択肢が満たされていない場合の「置換されていない」、「一置換された」、又は「多置換された」のいずれかを意味する。
【0024】
本発明の文脈において、「アルキル」、「アルキル基(radical)」又は基(group)は、直鎖状又は分岐状の炭化水素を意味するものと理解される。別に明白に定義されない場合、それらは非置換である。従って、「置換された又は非置換の」と定義される場合、アルキルは非置換であるか又は置換(一置換若しくは多置換)されていてもよい。別に明白に定義されない場合、それらは飽和である。一方、不飽和アルキルは、アルケニル及びアルキニル基、例えば−CH=CH−CH又は−CC−CHのようなものを包含すると理解され、一方、飽和アルキルは、例えば−CH及び−CH−CHを包含する。これらの基において、C1−2−アルキルは、C−又はC−アルキルを表し、C1−3−アルキルは、C−、C−又はC−アルキルを表し、C1−4−アルキル(C−C−アルキル)は、C−、C−、C−又はC−アルキルを表し、C1−5−アルキルは、C−、C−、C−、C−又はC−アルキルを表し、C1−6−アルキルは、C−、C−、C−、C−、C−又はC−アルキルを表し、C1−7−アルキルは、C−、C−、C−、C−、C−、C−又はC−アルキルを表し、C1−8−アルキルは、C−、C−、C−、C−、C−、C−、C−又はC−アルキルを表し、C1−10−アルキルは、C−、C−、C−、C−、C−、C−、C−、C−、C−又はC10−アルキルを表し、そしてC1−18−アルキルは、C−、C−、C−、C−、C−、C−、C−、C−、C−、C10−、C11−、C12−、C13−、C14−、C15−、C16−、C17−又はC18−アルキルを表す。アルキル基は、メチル、エチル、ビニル(エテニル)、プロピル、アリル(2−プロペニル)、1−プロピニル、メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、1−メチルペンチルが好ましく、置換されている場合、CHF、CF又はCHOHなども好ましい。
【0025】
用語「アルキレン」は、−CH−又は−CH−CH−のような二価アルキル基を意味するものと理解され、また(CH3−6は、−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−CH−及び−CH−CH−CH−CH−CH−CH−を意味するものと理解され、(CH1−4は、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−及び−CH−CH−CH−CH−を意味するものと理解するべきであり、(CH4−5は、−CH−CH−CH−CH−及び−CH−CH−CH−CH−CH−を意味するものと理解するべき、などである。「アルキレン」は、不飽和の二価アルキル鎖も含んでもよい。
【0026】
「アルキレン」、「アルキル」、「アルキル基(radical)」又は基(group)に関連して、−別に定義しない限り−用語「置換された」は、本発明の文脈において、少なくとも一つの水素基がF、Cl、Br、I、NH、SH又はOHで置き換えられていることを意味するものと理解される。「置換された」は、その定義において「一置換された」又は「多置換された」を含み;ここで「一置換された」は、正確に一つの水素基が置換されていることを意味するのに対して、「多置換された」は一つを超える水素基の置換を意味し、「多置換された」基は、置換が異なる原子上及び同一の原子上の両方で、同一の又は異なる置換基で数回、例えばCFの場合のように同一のC原子上で3回、又は例えば−CH(OH)−CH=CH−CHClの場合のように異なる位置で3回、行われていることを意味すると理解される。従って、「場合により少なくとも一置換された」は、選択肢が満たされていない場合の「置換されていない」、「一置換された」、又は「多置換された」のいずれかを意味する。「非置換の」は、アルキル又はアルキル基上の水素がいずれも置換されていないことを意味する。
【0027】
用語「塩」は、本発明により使用される活性化合物がイオン形態をとるか又は帯電され、そして対イオン(陽イオン若しくは陰イオン)と結合し、又は溶液中に存在する形態をとる、該化合物の任意の形態を意味するものと理解するべきである。この用語により、活性化合物と他の分子及びイオンとの複合体、特にイオン相互作用を介して複合した複合体も理解されるべきである。
【0028】
用語「生理学的に許容し得る塩」は、本発明の文脈において、治療のために適切に使用される場合、特にヒト及び/又は哺乳動物に使用又は適用される場合に、生理学的に耐用性のある(殆どの場合、毒性を有さない、特に対イオンを原因とする毒性を有さないことを意味する)任意の塩を意味する。
【0029】
これら生理学的に許容し得る塩は、陽イオン又は塩基と共に形成することができ、本発明の文脈において、生理学的に許容し得る塩は、陰イオンとしての本発明で使用される化合物−通常、(脱プロトン化)酸−の、少なくとも一つと、好ましくは無機の陽イオンとの塩であって、特にヒト及び/又は哺乳動物に使用される場合に、生理学的に耐用性のある塩を意味するものと理解される。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩が特に好ましく、NHとの塩も好ましいが、特に(一)若しくは(二)ナトリウム、(一)若しくは(二)カリウム、マグネシウム又はカルシウム塩が好ましい。
【0030】
これらの生理学的に許容し得る塩は、陰イオン又は酸と共に形成することもでき、本発明の文脈において、生理学的に許容し得る塩は、陽イオンとしての本発明で使用される化合物−通常、例えば窒素上でプロトン化したもの−の少なくとも一つと、少なくとも一つの陰イオンとの塩であって、特にヒト及び/又は哺乳動物に使用される場合に、生理学的に耐用性のある塩を意味するものと理解される。それにより特に、本発明の文脈において、生理学的に耐用性のある酸と共に形成される塩、即ち、特定の活性化合物と、特にヒト及び/又は哺乳動物に使用される場合に生理学的に耐用性のある無機酸又は有機酸との塩と理解される。特定の酸の生理学的に耐用性のある塩の例は:塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸又はクエン酸の塩である。
【0031】
本発明の化合物は、結晶形態をとるか、又は遊離化合物若しくは溶媒和物のいずれかとして存在することができ、これらの形態は本発明の範囲内に含まれるものとする。溶媒和の方法は、一般に当技術分野で公知である。適切な溶媒和物は、薬学的に許容し得る溶媒和物である。本発明による用語「溶媒和物」は、本発明の活性化合物が非共有結合を介して他の一分子(殆どの場合、極性溶媒)に結合している、該化合物の任意の形態を意味するものと理解するべきであり、特に水和物及びアルコラート、例えばメタノラート、を含む。
【0032】
別に述べない限り、本発明の化合物は、一つ又はそれ以上の同位体に富む原子の存在のみで異なる化合物を含むことも意味する。例えば、水素が重水素又は三重水素で置き換えられている、又は炭素が13C若しくは14Cに富む炭素で置き換えられている、又は15Nに富む窒素で置き換えられていることを除いて本構造を有する化合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0033】
式(I)の化合物のプロドラッグである任意の化合物は、本発明の範囲内である。用語「プロドラッグ」は、その最も広い意味にて使用され、インビボで本発明の化合物に変換されるそれらの誘導体を包含する。そのような誘導体は、当業者に容易に想起され、分子内に存在する官能基に応じて以下の本発明の化合物の誘導体を含むが、これらに限定されるわけではない:エステル、アミノ酸エステル、リン酸エステル、金属塩スルホン酸エステル、カルバメート及びアミド。所定の作用化合物のプロドラッグの周知の製造方法の例は、当業者に知られており、例えばKrogsgaard-Larsenら”Textbook of Drug design and Discovery” Taylor & Francis (April 2002)に見出すことができる。
【0034】
式(I)の化合物、又はそれらの塩若しくは溶媒和物は、薬学的に許容し得る形態又は実質的に純粋な形態であることが好ましい。薬学的に許容し得る形態とは、とりわけ、通常の医薬添加剤、例えば希釈剤及び担体、を除いて薬学的に許容し得る純度レベルを有し、かつ通常の用量レベルにて有毒と思われる材料を全く含有しないことを意味する。薬物に関する純度レベルは、好ましくは50%超、より好ましくは70%超、最も好ましくは90%超である。好ましい実施態様において、純度レベルは、95%超の式(I)の化合物、又はその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグである。
【0035】
特に好ましくは、式(I)の本発明のアリール置換スルホンアシド化合物であって、
Aが、場合により少なくとも一置換されたナフチル、又は
【0036】
【化9】


の中から選択される基を表し、
ここで
X、Y及びZは、独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C−Cアルキル、C−C、アルコキシ、C−Cアルキルチオ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、OH、SH及びNHを表し;
Wは、二つの環間の結合、CH、O、S及びNHを表し;
mは、0、1、2、3又は4を表す、
アリール置換スルホンアミド化合物である。
【0037】
更に非常に好ましくは、式I
【0038】
【化10】


(式中、
Aは、場合により少なくとも一置換されたナフチルを表し;
は、水素又はC−Cアルキルを表し;
は、水素又はC−Cアルキルを表し;
は、水素又はC−Cアルキルを表し;
nは、0、1、2、3又は4を表す)
で示されるアリール置換スルホンアミド化合物であって、
該化合物は、場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の一つの形態、そのラセミ体、又はその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又は、それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物であってもよく、
但し
、R及びRが全部Hである場合には、Aは、アルキル若しくはハロゲンで置換されたナフチル又は非置換のβ−ナフチルにしかなり得ないものである、本発明によるアリール置換スルホンアミド化合物である。
【0039】
非常に好ましい別の一実施態様は、式I
【0040】
【化11】


(式中、
Aは、場合により少なくとも一置換されたナフチルを表し;
は、水素、又は置換された若しくは非置換のC−Cアルキルを表し;
は、水素、又は置換された若しくは非置換のC−Cアルキルを表し;
は、水素、又は置換された若しくは非置換のC−Cアルキルを表し;
nは、0、1、2、3又は4を表す)
で示されるアリール置換スルホンアミド化合物であって、
該化合物は、場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の一つの形態、そのラセミ体、又はその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又は、それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物であってもよく;
但し
、R及びRが全部Hである場合には、Aは、アルキル若しくはハロゲンで置換されたナフチル又は非置換のβ−ナフチルにしかなり得ないものである、本発明によるアリール置換スルホンアミド化合物である。
非常に好ましい別の一実施態様及び定義は、式I
【0041】
【化12】


(式中、
Aは、場合により少なくとも一置換されたナフチルを表し;
は、水素、又は非置換のC−Cアルキルを表し;
は、水素、又は非置換のC−Cアルキルを表し;
は、水素、又は非置換のC−Cアルキルを表し;
nは、0、1、2、3又は4を表す)
で示されるアリール置換スルホンアミド化合物であって、
該化合物は、場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の一つの形態、そのラセミ体、又はその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又は、それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物であってもよく;
但し
、R及びRが全部Hである場合には、Aは、アルキル若しくはハロゲンで置換されたナフチル又は非置換のβ−ナフチルにしかなり得ないものである、本発明によるアリール置換スルホンアミド化合物である。
【0042】
これに関連して、この式Iで示される本発明によるアリール置換スルホンアミド化合物で、
Aが、
非置換のナフチル、又はハロゲン、C−Cアルキル、O−C−Cアルキル、OCF、CF、CHF、CN、NO、OH、SH、NH、場合によりハロゲン、C−Cアルキル、O−C−Cアルキル、OH、SH、NHで少なくとも一置換されたフェニル、又は環員として1個若しくは2個の酸素、窒素若しくは硫黄の原子を含む5個若しくは6個の環員を有し、かつハロゲン、C−Cアルキル、O−C−Cアルキル、OH、SH、NHで少なくとも一置換された単環ヘテロ環系から選択される1個若しくは2個の基で置換されたナフチル;
好ましくは
非置換の、又はハロゲン、C−Cアルキル、CF、CHF、O−C−Cアルキル、OCF、OH、SH若しくはNHから選択される1つ若しくは2つの基で置換されたナフチルを表す、化合物も非常に好ましい。
【0043】
更に非常に好ましいのは、
が、水素、CH、C、C又はC;好ましくは水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル及びt−ブチル;より好ましくは水素、メチル又はエチル;最も好ましくは水素又はメチルを表す、式Iで示される本発明によるアリール置換スルホンアミド化合物である。
【0044】
更に非常に好ましいのは、
が、水素、CH、C、C又はC;好ましくは水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル及びt−ブチル;より好ましくは水素、メチル又はエチルを表す、式Iで示される本発明によるアリール置換スルホンアミド化合物である。
【0045】
更に非常に好ましいのは、
が、水素、CH、C、C又はC;好ましくは水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル及びt−ブチル;より好ましくは水素、メチル又はエチル;最も好ましくは水素を表す、式Iで示される本発明によるアリール置換スルホンアミド化合物である。
【0046】
更に非常に好ましいのは、
nが0、1又は2、好ましくは2を表す、式Iで示される本発明によるアリール置換スルホンアミド化合物である。
【0047】
更に特に好ましい本発明の実施態様は、一般式II
【0048】
【化13】


(式中、
Aは、
非置換の、又はハロゲン、C−Cアルキル、CF、CHF、O−C−Cアルキル、OCF、OH、SH若しくはNHから選択される1つ若しくは2つの基で置換されたナフチルを表し;
は、水素又はCHを表し;
は、水素、CH、C、C又はCを表す)
で示されるアリール置換スルホンアミド化合物であり、
該化合物は、場合により、それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物の形態であってもよい、アリール置換スルホンアミド化合物である。
【0049】
一般式IIで示されるアリール置換スルホンアミド化合物に関して、以下の条件が適用されれば極めて好ましい:
、R及びRが全部Hである場合には、Aは、アルキル若しくはハロゲンで置換されたナフチル又は非置換のβ−ナフチルにしかなり得ないものである。
【0050】
更に非常に好ましいのは、式IIで示される本発明によるアリール置換スルホンアミド化合物であって、
が、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル及びt−ブチル;好ましくはメチル若しくはエチルを表すか、
又は
が水素を表す化合物である。
【0051】
更に非常に好ましいのは、式IIで示される本発明によるアリール置換スルホンアミド化合物であって、該化合物が
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−エチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−エチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[1−メチル−3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
から、又は
ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1−メチル−1H−インドール−5−イル]−アミド;
から選択され、
該化合物は、場合により、それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物の形態であってもよい、アリール置換スルホンアミド化合物である。
【0052】
本発明の更なる局面では、実施例(以下参照)の実験部分に例示される本発明による化合物の製造方法を提供する。
【0053】
方法Aにおいて、本発明による一般式(I)(式中、R、R、R、n及びAは、上記に示した通りである)の化合物は、一般式(V)
【0054】
【化14】

(V)

(式中、Aは、一般式(I)に関して上記に示した通りであり、Xは、ハロゲン原子、特に塩素を含めた、許容し得る主要な基である)
で示される化合物、又はその適切に保護された誘導体の一つを、
一般式(VI)
【0055】
【化15】

(VI)

(式中、n、R、R及びRは、一般式(I)に関して上記に示した通りである)
で示される5−アミノインドール、又はその適切に保護された誘導体の一つと反応させて、対応するスルホンアミドを獲得し、そして場合により、そこから保護基を除去し、及び/又は薬理学的に許容し得る塩を形成することにより調製され得る。
【0056】
式(V)又は式(VI)の化合物が、以下の反応中に保護を必要とする化学置換基を有する場合、該置換基は、保護基、特に専門家に現技術水準で周知の保護基で保護されていることが好ましい。特に、式(VI)の化合物においてRが結合するNH基上の水素を、保護基、例えばBoc基で保護することが好ましい。
【0057】
一般式(V)と一般式(VI)の化合物間の反応は、有機溶媒、例えばアルキルエーテル、特にジエチルエーテル、又はシクロアルキル、特にテトラヒドロフラン若しくはジオキサン、ハロゲン化有機炭化水素、特に塩化メチレン若しくはクロロホルム、アルコール、特にメタノール若しくはエタノール、非プロトン性双極性溶媒、特にアセトニトリル、ピリジン若しくはジメチルホルムアミド、又は任意の他の適切な溶媒の存在下で行われる。
【0058】
反応は、適切な無機塩基、例えばアルカリ金属の水酸化物及び炭酸塩、の存在下、又は有機塩基、特にトリエチルアミン若しくはピリジン、の存在下で行われることが好ましい。
【0059】
最も適切な反応温度の範囲は、0℃〜室温であり、反応時間は、5分間〜24時間である。
【0060】
得られたスルホンアミドは、溶媒を蒸発させ、水を添加し、最終的にpHを調整して単離することができ、それにより該化合物は濾過により単離できる固体として得られ;又は該化合物を例えばクロロホルムのような水と混和しない溶媒により抽出し、クロマトグラフィーにより若しくは適切な溶媒から再結晶することにより精製することができる。
【0061】
一般式(V)の化合物は、商業的に入手可能であり、又は標準的な方法に従って、若しくは文献[E.E. Gilbert, Synthesis, 1969, 1, 3]に記載されている方法と類似の方法により調製することができ、一般式(VI)の化合物は、標準的な方法に従って、又は文献[J.E. Macor, R. Post及びK. Ryan, Synt Comm., 1993, 23, 1, 65-72.; J. Guillaume, C. Dumont, J. Laurent及びN. Nedelec, Eur. J. Med. Chem., 1987, 22, 33-43; M.L. Saccarello, R. Stradi, Synthesis, 1979, 727]に記載されている方法と類似の方法により調製することができる。
【0062】
一般式(I)の化合物は、以下の代替的な方法の一つによっても調製することができる:
方法B:
スキームに従って、一般式VIIの化合物を一般式(V)の化合物と反応させて、一般式(VIII)の化合物を得る。
【0063】
一般式(VII)と一般式(V)の化合物間の反応は、有機溶媒、例えばアルキルエーテル、特にジエチルエーテル、又はシクロアルキル、特にテトラヒドロフラン若しくはジオキサン、ハロゲン化有機炭化水素、特に塩化メチレン若しくはクロロホルム、アルコール、特にメタノール若しくはエタノール、非プロトン性双極性溶媒、特にアセトニトリル、ピリジン若しくはジメチルホルムアミド、又は任意の他の適切な溶媒の存在下で行われる。
【0064】
反応は、適切な無機塩基、例えばアルカリ金属の水酸化物及び炭酸塩の存在下、又は有機塩基、特にトリエチルアミン若しくはピリジン、の存在下で行われることが好ましい。
【0065】
最も適切な反応温度の範囲は、0℃〜室温であり、反応時間は、5分間〜24時間である。
【0066】
【化16】

【0067】
一般式(VIII)の化合物を、以下を含む三段階工程により一般式(I)の化合物に変換する:式(VIII)の化合物を、適切な有機溶媒、好ましくはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジクロロメタン中で、塩化オキサリルと反応させる。次に、酸塩化物中間体を適切なアミンと反応させ、最終的なグリオキサミドを、好ましくは当技術分野で周知のように、THF中のボラン、又はLiAlHで還元する(例、Macorら, Synthetic Communication 1993, 23(1), 65-72)。
【0068】
=メチルである一般式(I)の化合物は、以下の二つの方法C及びDの一つにより得ることができる:
方法C:
=メチルである一般式(I)の化合物は、以下のスキームに従って、一般式(IX)の化合物の水素化リチウムアルミニウム還元により得ることができる。
【0069】
【化17】

【0070】
一般式(IX)の化合物は、一般式(VI)(R=Hであり、Boc基で保護されている)の化合物と一般式(V)の化合物との反応により得ることができる。
方法D:
またR=メチルである一般式(I)の化合物は、一般式(X)の化合物を、標準的な方法に従って、又は文献[J. D. Hobson, J. G. McCluskey, J. Chem. Soc. C, 1967, 2015; T. A. Montzka, J. D. Matiskella, R. A. Partyka, Tetrahedron Lett., 1974, 1325; R. A. Olofson, R. C. Schnur, L. Bunes, J. P. Pepe, Tetrahedron Lett., 1977, 1567; R. A. Olofson, J. T. Martz, J. P. Senet, M. Piteau, T. Malfroot, J. Org. Chem., 1984, 49, 2081; D. S. Millan, R. F. Prager, Tetrahedron Lett., 1998, 39, 4387; P. R. Dave, J. Org. Chem., 1996, 61, 5453]に記載されている方法と類似の方法により、クロロホルメートで処理して直接脱メチル化することにより得ることができる。
【0071】
【化18】

【0072】
これらの方法に加え、本発明は更に、一般式(I)の化合物の塩の調製方法の更なる局面を提供し、ここで一般式(I)の化合物の少なくとも一つを無機酸及び/又は有機酸と、好ましくは適切な反応媒体の存在下で反応させる。適切な反応媒体は、上記に示したものである。適切な無機酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸である。適切な有機酸は、例えばクエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸又はそれらの誘導体、例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又はカンファースルホン酸である。
【0073】
また本発明の更なる局面では、一般式(I)の化合物の塩の調製方法も提供し、ここで少なくとも一つの酸性基を有する一般式(I)の化合物の少なくとも一つを、一つ又はそれ以上の適切な塩基と、好ましくは適切な反応媒体の存在下で反応させる。適切な塩基は、例えば水酸化物、炭酸塩、又はアルコキシドであり、これらは、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属又は有機陽イオン、例えば[NH4−n(式中、nは0、1、2、3又は4であり、Rは、分岐状又は直鎖状C1−4アルキル基を表す)、を由来とする適切な陽イオンを含む。
【0074】
一般式(I)の化合物、又は対応する立体異性体の溶媒和物、好ましくは水和物、又は対応する塩も、当業者に公知の標準的な手順により得ることができる。
【0075】
一般式(I)の化合物が立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、の混合物の形態で得られる場合、該混合物は、当業者に公知の標準的な手順、例えばクロマトグラフ法又はキラル試薬を用いた結晶化により分離することができる。
【0076】
一般式(I)の化合物若しくは対応する立体異性体、又は、それぞれの対応する塩、又は対応する溶媒和物の精製及び単離は、必要であれば、当業者に公知の従来の方法、例えばクロマトグラフ法又は再結晶、により行うことができる。
【0077】
一般式(I)の化合物、それらの立体異性体、又は対応する塩若しくは溶媒和物は、毒性学的に許容し得るため、薬剤の調製のための薬学的に活性な物質として適切である。
【0078】
従って、本発明は、一般式(I)又は一般式(II)の化合物の少なくとも一つであって、場合によりその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の一つの形態、そのラセミ体、又はその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又は、それぞれ、その生理学的に許容し得る塩、又は溶媒和物であってもよい化合物と、場合により一種又はそれ以上の薬学的に許容し得る補助剤とを含有する薬剤も提供する。
【0079】
更に、本発明は、一般式(I)の化合物の少なくとも一つであって、場合によりその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の一つの形態、そのラセミ体、又はその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又は、それぞれ、その生理学的に許容し得る塩、又は溶媒和物であってもよい化合物と、場合により一種又はそれ以上の薬学的に許容し得る補助剤とを含有する、未だ薬剤に調合されていない医薬組成物も提供する。
【0080】
好ましくは、上記薬剤は、食欲の調整、体重の維持、増加若しくは減少、摂食に関連した疾患の予防及び/若しくは治療、好ましくは肥満、食欲不振、悪液質、過食症、糖尿病、好ましくはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、の予防及び/若しくは治療、又は胃腸管疾患、好ましくは過敏性腸症候群、の予防及び/若しくは治療、メタボリック症候群、末梢神経系疾患、中枢神経系疾患、関節炎、癲癇、不安症、パニック、うつ病、認知障害、記憶障害、循環器疾患、老年認知症プロセス、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病及び/若しくはハンチントン病、統合失調症、精神病、小児多動(ADHD、注意欠陥/多動性障害)、疼痛、高血圧症候群、炎症性疾患、免疫疾患の予防及び/若しくは治療、又は認知の改善に適切である。
【0081】
好ましくは、上記薬剤は、摂食に関連した疾患の予防及び/若しくは治療、好ましくは肥満、食欲不振、悪液質、過食症、糖尿病、好ましくはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、の予防及び/若しくは治療、又は胃腸管疾患、好ましくは過敏性腸症候群、の予防及び/若しくは治療、メタボリック症候群、末梢神経系疾患、中枢神経系疾患、関節炎、癲癇、不安症、パニック、うつ病、認知障害、記憶障害、循環器疾患、老年認知症プロセス、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病及び/若しくはハンチントン病、統合失調症、精神病、小児多動(ADHD、注意欠陥/多動性障害)、疼痛、高血圧症候群、炎症性疾患、免疫疾患の予防及び/若しくは治療、又は認知の改善;特に
摂食に関連した疾患の予防及び/若しくは治療、好ましくは肥満、食欲不振、悪液質、過食症、糖尿病、好ましくはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、の予防及び/若しくは治療、又は胃腸管疾患、好ましくは過敏性腸症候群、の予防及び/若しくは治療、メタボリック症候群の予防及び/若しくは治療にも適切である。
【0082】
本発明は、一般式(I)の化合物の少なくとも一つであって、場合によりその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の一つの形態、そのラセミ体、又はその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又は、それぞれ、その生理学的に許容し得る塩、又は溶媒和物であってもよい化合物の、摂食に関連した疾患の予防及び/若しくは治療、好ましくは肥満、食欲不振、悪液質、過食症、糖尿病、好ましくはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、の予防及び/若しくは治療、又は胃腸管疾患、好ましくは過敏性腸症候群、の予防及び/若しくは治療、メタボリック症候群、末梢神経系疾患、中枢神経系疾患、関節炎、癲癇、不安症、パニック、うつ病、認知障害、記憶障害、循環器疾患、老年認知症プロセス、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病及び/若しくはハンチントン病、統合失調症、精神病、小児多動(ADHD、注意欠陥/多動性障害)、疼痛、高血圧症候群、炎症性疾患、免疫疾患の予防及び/若しくは治療、又は認知の改善のための薬剤の製造のための使用も提供する。
【0083】
極めて好ましい実施態様はまた、一般式II
【0084】
【化19】


(式中、
Aは、
非置換の、又はハロゲン、C−Cアルキル、CF、CHF、O−C−Cアルキル、OCF、OH、SH若しくはNHから選択される1つ若しくは2つの基で置換されたナフチルを表し;
は、水素又はCHを表し;
は、水素、CH、C、C又はCを表す)
で示される本発明によるアリール置換スルホンアミド化合物であって、
該化合物は、場合により、それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物の形態であってもよいアリール置換スルホンアミド化合物の、摂食に関連した疾患の予防及び/若しくは治療、好ましくは肥満、食欲不振、悪液質、過食症、糖尿病、好ましくはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、の予防及び/若しくは治療、又は胃腸管疾患、好ましくは過敏性腸症候群、の予防及び/若しくは治療、メタボリック症候群、末梢神経系疾患、中枢神経系疾患、関節炎、癲癇、不安症、パニック、うつ病、認知障害、記憶障害、循環器疾患、老年認知症プロセス、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病及び/若しくはハンチントン病、統合失調症、精神病、小児多動(ADHD、注意欠陥/多動性障害)、疼痛、高血圧症候群、炎症性疾患、免疫疾患の予防及び/若しくは治療、又は認知の改善;
特に、
摂食に関連した疾患の予防及び/若しくは治療、好ましくは肥満、食欲不振、悪液質、過食症、糖尿病、好ましくはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、の予防及び/若しくは治療、又は胃腸管疾患、好ましくは過敏性腸症候群、の予防及び/若しくは治療、メタボリック症候群の予防及び/若しくは治療のための薬剤の製造のための使用である。
【0085】
使用される式IIの化合物が
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−エチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−エチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[1−メチル−3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
から、又は
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1−メチル−1H−インドール−5−イル]−アミド
から選択される化合物である場合も好ましく、該化合物は、場合により、それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物の形態であってもよい。
【0086】
上記薬剤は、ヒト及び/又は動物、好ましくは哺乳動物に適用するに適切な任意の形態であってもよく、当業者に公知の標準的な手順により製造することができる。該薬剤の組成は、投与経路に応じて異なり得る。
【0087】
本発明の薬剤は、例えば、従来の注射用液体担体、例えば水又は適切なアルコール、と共に非経口的に投与されてもよい。注射剤用の従来の薬学的補助剤、例えば安定剤、可溶化剤及び緩衝剤、をそのような注射用組成物中に含有させてもよい。これらの薬剤は、好ましくは筋肉内、腹腔内、又は静脈内に注射され得る。
23/2
本発明による薬剤は、固体又は液体形態の経口的に投与可能な組成物に調合することもでき、それらは一種又はそれ以上の生理学的に適合する担体又は補形剤を含有する。これらの組成物は、従来の成分、例えば結合剤、充填剤、滑沢剤、及び許容し得る湿潤剤を含有してもよい。これらの組成物は、即放若しくは徐放のため、任意の都合のよい形態、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤、水性若しくは油性液剤、懸濁剤、乳剤、又は、使用前に水若しくは他の適切な液体媒体と共に再構成されるに適した乾燥粉末形態をとり得る。
【0088】
液体の経口剤形は、ある種の添加剤、例えば甘味剤、香味剤、保存剤及び乳化剤、を含有することもできる。例えば食用油を含有する経口投与用の非水性液体組成物も調合することができる。それらの液体組成物は、従来、単位用量にて例えばゲラチンカプセル中に封入され得る。
【0089】
本発明の組成物は、局所投与又は坐剤を介して投与することもできる。
【0090】
上述した組成物は、好ましくは1〜60重量%の一つ又はそれ以上の一般式(I)の化合物であって、場合によりその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の一つの形態、そのラセミ体、又はその立体異性体の少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又は、それぞれ、その生理学的に許容し得る塩、又は溶媒和物であってもよい化合物と、40〜99重量%の適切な薬学的賦形剤(一種又は複数種)とを含有する。
【0091】
ヒト及び動物のための一日用量は、それぞれの種が基礎的に有する因子、又は他の因子、例えば年齢、体重、若しくは病気の程度などに応じて異なり得る。ヒトを含む哺乳動物のための一日用量は通常、1回又は数回の摂取において、投与するべき物質を1ミリグラム〜2000ミリグラム、好ましくは1〜1500mg、より好ましくは1〜1000mgの範囲である。
【0092】
以下の実施例は、特許請求する本発明を説明するために提供するものであり、本発明を如何様にも限定するものではない。
【実施例】
【0093】
実施例は、以下の一般的方法Aにより調製した:
一般式(V)
【0094】
【化20】

(V)

(式中、Aは、一般式(I)に関して上記に示した通りであり、Xは、ハロゲン原子、特に塩素を含めた、許容し得る主要な基である)の化合物、又はその適切に保護された誘導体の一つを、一般式(VI)
【0095】
【化21】

(VI)

(式中、n、R、R及びRは、一般式(I)に関して上記に示した通りである)で示される5−アミノインドール、又はその適切に保護された誘導体の一つと反応させて、対応するスルホンアミドを獲得し、そして場合によりそこから保護基を除去し、及び/又は薬学的に許容し得る塩を形成する。
括弧
実施例4:5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミドの調製。
【0096】
【化22】

【0097】

5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド

合成は、以下の反応スキームに従って行った:
【0098】
【化23】

【0099】
2−(5−アミノ−1H−インドール−3−イル)エチル(メチル)カルバミン酸tert−ブチル2.89g(10mMol)のピリジン100ml中の溶液に、室温で10mMolの5−クロロ−ナフタレン−2−スルホニルクロリドのピリジン20ml中の溶液を滴加する。反応混合物を室温で20時間攪拌する。次に、これを乾燥するまで蒸発させ、希釈アンモニアを用いて僅かにアルカリ化し、酢酸エチルに溶解する。有機相を水及び重炭酸ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、これを分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。有機溶液を乾燥するまで蒸発させ、得られたBoc保護スルホンアミドをトリフルオロ酢酸のジクロロメタン中の5%溶液で処理して、5−クロロ-ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミドを得る。
【0100】
実施例1〜3及び実施例5〜9は、類似の方法により調製する。
実施例1:
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−エチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0101】
【化24】

【0102】
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−エチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0103】
実施例2:
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0104】
【化25】

【0105】
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0106】
実施例3:
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−エチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0107】
【化26】

【0108】
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−エチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0109】
実施例5:
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0110】
【化27】

【0111】
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0112】
実施例6:
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[1−メチル−3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0113】
【化28】

【0114】
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[1−メチル−3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0115】
実施例7:
ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0116】
【化29】

【0117】
ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0118】
実施例8:
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0119】
【化30】

【0120】
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0121】
実施例9:
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1−メチル−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0122】
【化31】

【0123】
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1−メチル−1H−インドール−5−イル]−アミド
【0124】
方法B(上記参照)に従った、実施例4の代替的合成:
5−アミノインドール塩酸塩(59.9mmol)10gの無水ピリジン(220ml)溶液を0℃に冷却し、5−クロロナフタレン−2−スルホニルクロリド(65.5mmol、1.1当量)17.1gを窒素雰囲気下で一部ずつ加えた。添加が完了した時、反応物を室温で攪拌した。3時間後、混合物を冷却し、NaHCOの飽和溶液で処理した。次に、溶媒を減圧蒸留し、得られた赤色残留物を酢酸エチルで溶解した。有機層を、NaHCOの飽和溶液及び水で洗浄した。この有機層を硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、濃縮して赤色固体(96%)を得た。これは更なる精製を必要としない。
【0125】
スルホンアミド(27.4mmol)10.16gの無水ジエチルエーテル(350ml)中の懸濁液を0℃に冷却し、塩化オキサリル(7.13ml、3.1当量、84.9mmol)を窒素雰囲気下で滴加した。添加が完了した時、氷浴を除去し、反応混合物を室温で48時間攪拌した。懸濁液を濾過し、得られた黄色固体を無水ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥した。
【0126】
メチルアミン(112ml、30当量、0.8mol)の無水ジエチルエーテル(350ml)溶液を0℃に冷却し、前のステップで得られた酸塩化物固体を窒素雰囲気下で一部ずつ加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。次に、これを濾過し、固体をジエチルエーテルで洗浄した。この固体を水400ml中に注ぎ、60℃で20分間攪拌した。懸濁液を濾過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、乾燥した。黄色固体10.3gを得た(85%)。
【0127】
グリオキサミド(13.2g、29.9mmol)の無水THF(170ml)溶液を0℃に冷却し、THF(93ml、3.1eq)中のボラン・テトラヒドロフラン錯体1Mを窒素雰囲気下で滴加した。添加が完了した時、氷浴を除去し、反応混合物を室温で20時間攪拌した。次に、反応物を0℃に冷却し、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液を注意深く加えて処理した。この混合物を水で希釈し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して暗色油状物を得、これをエタノール(350ml)中に溶解した。この溶液にフッ化セシウム(13.5mg)及び炭酸ナトリウム(13.5g)を加え、混合物を78℃で16時間攪拌した。室温に冷却した後、懸濁液をジカライト(dicalite)で濾過した。有機層を濃縮して茶色油状物を得、これをジクロロメタン/メタノールを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。クリーム色固体5.2gが得られた(40%)。
【0128】
実施例は、以下の表にも列挙される:
【0129】
【化32】

【0130】
【表1】

【0131】
【表2】

【0132】
【表3】

【0133】
生物学的アッセイ
セロトニン受容体5HTとの結合
5HTヒト組換え受容体を発現しているHEK−293細胞の細胞膜を、Receptor Biologyより供給された。前記の膜において、受容体濃度は2.18pmol/mgタンパク質であり、タンパク質濃度は9.17mg/mlである。実験プロトコールは、B. L. Rothら [B. L. Roth, S. C. Craigo, M. S. Choudhary, A. Uluer, F. J. Monsma, Y. Shen, H. Y. Meltzer, D. R. Sibley: Binding of Typical and Atypical Antipsychotic Agents to 5-Hydroxytryptamine-6 and Hydroxytriptamine-7 Receptors. The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 1994, 268, 1403]の方法を少々変更して従う。市販の膜を結合緩衝液:50mM Tris−HCl、10mM MgCl2、0.5mM EDTA(pH7.4)で希釈する(1:40希釈)。使用する放射性リガンドは、濃度2.7nMの[H]−LSDであり、最終容量は200μlである。膜懸濁液100μl(約22.9μgの膜タンパク質)を加えてインキュベーションを開始し、温度37℃で60分間延長する。Brandel Cell Harvester内で0.5%のポリエチレンイミン溶液で前処理したSchleicher & Schuell GF 3362製のファイバーガラスフィルターを介して高速濾過することにより、インキュベーションを終了する。該フィルターをTris−HCl緩衝液50mM pH7.4 3ミリリットルで3回洗浄する。このフィルターをフラスコに移し、各フラスコにEcoscint H液体シンチレーションカクテル5mlを加える。該フラスコを数時間かけて平衡に到達させた後、Wallac Winspectral 1414シンチレーションカウンターで計数する。非特異的結合は100μMのセロトニン存在下で測定する。試験は3回実施した。阻害定数(K、nM)を、プログラムEBDA/LIGAND[Munson及びRodbard, Analytical Biochemistry, 1980, 107, 220]を用いた非線形回帰分析により計算した。以下の表に、本発明の数個の化合物対象に関する結合を表す結果を示す。
【0134】
【表4】

【0135】
ヒト医薬における一日用量は、生成物1ミリグラム〜500ミリグラムであり、これを1回又はそれ以上の投与により付与し得る。組成物は、使用される投与手段に適合した形態、例えば糖衣錠、錠剤、カプセル剤、坐剤、液剤又は懸濁剤に調製される。これらの組成物は、公知の方法により調製され、1〜60重量%の活性主成分(一般式Iの化合物)と、使用される該活性主成分及び組成物の物理的形態に適合する40〜99重量%の適切な薬学的賦形剤とを含有する。例として、本発明の生成物を含有する錠剤の配合を示す。
【0136】
錠剤当たりの配合の例:
実施例4 5mg
ラクトース 60mg
結晶セルロース 25mg
K90ポビドン 5mg
アルファ化デンプン 3mg
コロイド状二酸化ケイ素 1mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
錠剤当たりの総重量 100mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(I)
〔式中、
Aは、場合により少なくとも一置換されたアリール基であって、場合により少なくとも一置換された若しくは非置換のアルキレン基を介して結合していてもよいアリール基;場合により少なくとも一置換されたアルキル−ジアリール基、又は場合により少なくとも一置換された基
【化2】


(ここでWは、二つの環間の結合、CH、O、S及びNHを表す)
を表し;
は、水素、又はC−Cアルキル若しくはベンジル基を表し;
は、水素、又はC−Cアルキルを表し;
は、水素、又はC−Cアルキルを表し;
nは、0、1、2、3又は4を表す〕
で示されるアリール置換スルホンアミド化合物であり、
該化合物は、場合により、
その立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の一つの形態、そのラセミ体、又はその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又は、それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物であってもよく;
但しR、R及びRが全部Hである場合には、Aは、アルキル若しくはハロゲンで置換されたナフチル又は非置換のβ−ナフチル、場合により少なくとも一置換されたアルキル−ジアリール基、又は場合により少なくとも一置換された基
【化3】


にしかなり得ないものである、アリール置換スルホンアミド化合物。
【請求項2】
請求項1に記載のアリール置換スルホンアミド化合物であって、
Aが、場合により少なくとも一置換されたナフチル、又は
【化4】


の中から選択される基を表し、
ここで
X、Y及びZは、独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、OH、SH及びNHを表し;
Wは、二つの環間の結合、CH、O、S及びNHを表し;
mは、0、1、2、3又は4を表す、アリール置換スルホンアミド化合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアリール置換スルホンアミド化合物であって、該化合物は、
式I
【化5】


(式中、
Aは、場合により少なくとも一置換されたナフチルを表し;
は、水素、又はC−Cアルキルを表し;
は、水素、又はC−Cアルキルを表し;
は、水素、又はC−Cアルキルを表し;
nは、0、1、2、3又は4を表す)
で示される化合物であり、
該化合物は、場合により、
その立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の一つの形態、そのラセミ体、又はその立体異性体、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、の少なくとも二つの任意の混合比における混合物の形態、又は、それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物であってもよく;
但しR、R及びRが全部Hである場合には、Aは、アルキル若しくはハロゲンで置換されたナフチル又は非置換のβ−ナフチルにしかなり得ないものである、アリール置換スルホンアミド化合物。
【請求項4】
請求項3に記載のアリール置換スルホンアミド化合物であって、
Aが、
非置換のナフチル、又はハロゲン、C−Cアルキル、O−C−Cアルキル、OCF、CF、CHF、CN、NO、OH、SH、NH、場合によりハロゲン、C−Cアルキル、O−C−Cアルキル、OH、SH、NHで少なくとも一置換されたフェニル、又は環員として1個若しくは2個の酸素、窒素若しくは硫黄の原子を含む5個若しくは6個の環員を有し、かつハロゲン、C−Cアルキル、O−C−Cアルキル、OH、SH、NHで少なくとも一置換された単環ヘテロ環系から選択される1個若しくは2個の基で置換されたナフチル;
好ましくは
非置換の、又はハロゲン、C−Cアルキル、CF、CHF、O−C−Cアルキル、OCF、OH、SH若しくはNHから選択される1個若しくは2個の基で置換されたナフチルを表す、アリール置換スルホンアミド化合物。
【請求項5】
請求項1又は2又は3又は4のいずれか一項に記載のアリール置換スルホンアミド化合物であって、
が、水素、CH、C、C又はC;好ましくは水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル及びt−ブチル;より好ましくは水素、メチル又はエチル;最も好ましくは水素又はメチルを表す、アリール置換スルホンアミド化合物。
【請求項6】
請求項1又は2又は3〜5のいずれか一項に記載のアリール置換スルホンアミド化合物であって、
が、水素、CH、C、C又はC;好ましくは水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル及びt−ブチル;より好ましくは水素、メチル又はエチルを表す、アリール置換スルホンアミド化合物。
【請求項7】
請求項1又は2又は3〜6のいずれか一項に記載のアリール置換スルホンアミド化合物であって、
が、水素、CH、C、C又はC;好ましくは水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル及びt−ブチル;より好ましくは水素、メチル又はエチル;最も好ましくは水素を表す、アリール置換スルホンアミド化合物。
【請求項8】
請求項1又は2又は3〜7のいずれか一項に記載のアリール置換スルホンアミド化合物であって、
nが0、1又は2、好ましくは2を表す、アリール置換スルホンアミド化合物。
【請求項9】
請求項1又は3に記載のアリール置換スルホンアミド化合物であって、
一般式II
【化6】


(式中、
Aは、
非置換の、又はハロゲン、C−Cアルキル、CF、CHF、O−C−Cアルキル、OCF、OH、SH若しくはNHから選択される1個若しくは2個の基で置換されたナフチルを表し;
は、水素又はCHを表し;
は、水素、CH、C、C又はCを表す)
で示され、
該化合物は、場合により、
それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物の形態であってもよく;
但しR、R及びRが全部Hである場合には、Aは、アルキル若しくはハロゲンで置換されたナフチル又は非置換のβ−ナフチルにしかなり得ないものである、アリール置換スルホンアミド化合物。
【請求項10】
請求項9に記載のアリール置換スルホンアミド化合物であって、
が、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル及びt−ブチル;好ましくはメチル若しくはエチルを表し、
又は
が水素を表す、アリール置換スルホンアミド化合物。
【請求項11】
請求項10に記載のアリール置換スルホンアミド化合物であって、
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−エチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−エチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[1−メチル−3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
から、又は
ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1−メチル−1H−インドール−5−イル]−アミド
から選択され、
該化合物は、場合により、
それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物の形態であってもよい、アリール置換スルホンアミド化合物。
【請求項12】
請求項1〜11の一つ又はそれ以上に記載の活性物質と、場合により、一種又はそれ以上の生理学的に許容し得る補助剤とを含有する薬剤。
【請求項13】
請求項12に記載の薬剤であって、食欲の調整のための、体重の維持、増加若しくは減少のための、摂食に関連した疾患の予防及び/若しくは治療のための、好ましくは肥満、食欲不振、悪液質、過食症、糖尿病、好ましくはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、の予防及び/若しくは治療のための、又は胃腸管疾患、好ましくは過敏性腸症候群、の予防及び/若しくは治療のための、メタボリック症候群、末梢神経系疾患、中枢神経系疾患、関節炎、癲癇、不安症、パニック、うつ病、認知障害、記憶障害、循環器疾患、老年認知症プロセス、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病及び/若しくはハンチントン病、統合失調症、精神病、小児多動(ADHD、注意欠陥/多動性障害)、疼痛、高血圧症候群、炎症性疾患、免疫疾患の予防及び/若しくは治療のための、又は認知の改善のための薬剤。
【請求項14】
請求項1〜11の一つ又はそれ以上に記載の化合物の使用であって、
摂食に関連した疾患の予防及び/若しくは治療のための、好ましくは肥満、食欲不振、悪液質、過食症、糖尿病、好ましくはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、の予防及び/若しくは治療のための、又は胃腸管疾患、好ましくは過敏性腸症候群、の予防及び/若しくは治療のための、メタボリック症候群、末梢神経系疾患、中枢神経系疾患、関節炎、癲癇、不安症、パニック、うつ病、認知障害、記憶障害、循環器疾患、老年認知症プロセス、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病及び/若しくはハンチントン病、統合失調症、精神病、小児多動(ADHD、注意欠陥/多動性障害)、疼痛、高血圧症候群、炎症性疾患、免疫疾患の予防及び/若しくは治療のための、又は認知の改善のための薬剤の製造のための使用。
【請求項15】
一般式II
【化7】


(式中、
Aは、
非置換の、又はハロゲン、C−Cアルキル、CF、CHF、O−C−Cアルキル、OCF、OH、SH若しくはNHから選択される1個若しくは2個の基で置換されたナフチルを表し;
は、水素又はCHを表し;
は、水素、CH、C、C又はCを表す)
で示されるアリール置換スルホンアミド化合物であり、
該化合物は、場合により、
それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物の形態であってもよいアリール置換スルホンアミド化合物の、
摂食に関連した疾患の予防及び/若しくは治療、好ましくは肥満、食欲不振、悪液質、過食症、糖尿病、好ましくはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、の予防及び/若しくは治療、又は胃腸管疾患、好ましくは過敏性腸症候群、の予防及び/若しくは治療、メタボリック症候群、末梢神経系疾患、中枢神経系疾患、関節炎、癲癇、不安症、パニック、うつ病、認知障害、記憶障害、循環器疾患、老年認知症プロセス、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病及び/若しくはハンチントン病、統合失調症、精神病、小児多動(ADHD、注意欠陥/多動性障害)、疼痛、高血圧症候群、炎症性疾患、免疫疾患の予防及び/若しくは治療、又は認知の改善;特に
摂食に関連した疾患の予防及び/若しくは治療、好ましくは肥満、食欲不振、悪液質、過食症、糖尿病、好ましくはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、の予防及び/若しくは治療、又は胃腸管疾患、好ましくは過敏性腸症候群、の予防及び/若しくは治療、メタボリック症候群の予防及び/若しくは治療のための薬剤の製造のための使用。
【請求項16】
請求項15に記載の使用であって、上記アリール置換スルホンアミドが
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−エチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−エチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[1−メチル−3−(2−メチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
から、又は
ナフタレン−1−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アミド
5−クロロ−ナフタレン−2−スルホン酸[3−(2−アミノ−エチル)−1−メチル−1H−インドール−5−イル]−アミド
から選択されることを特徴とし、
該化合物は、場合により、それぞれ、その塩、好ましくは生理学的に許容し得る塩、又は対応する溶媒和物の形態であってもよい、使用。

【公表番号】特表2010−516795(P2010−516795A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547598(P2009−547598)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000727
【国際公開番号】WO2008/092666
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(504379198)ラボラトリオス・デル・デエレ・エステベ・エセ・ア (19)
【Fターム(参考)】