説明

アルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金粉末、その製造方法及びアルカリ蓄電池

【課題】アルカリ蓄電池に適用したときに、長期放置後、特に充放電サイクルを経てからの長期放置後においても作動電圧の低下が抑制されて高い作動電圧を得られる、アルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金粉末を提供する。
【解決手段】アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末(36)は、一般式:Ln1−wMgNiAlTにて示される組成を有する核(40)を備える。式中、Ln及びTは、La,Ce等よりなる群、及び、V,Nb等よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素をそれぞれ表し、添字w,x,y,zはそれぞれ0.08≦w≦0.13,0.05<y<0.20,0≦z≦0.5,3.15≦x+y+z≦3.50で示される範囲にある。また、アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末(36)は、核(40)の表面に一体に形成され、前記組成に比べてアルミニウムの濃度が低減された表面層(42)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金粉末、その製造方法及び当該粉末を負極に使用したアルカリ蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
水素吸蔵合金を負極に使用したアルカリ蓄電池、特にニッケル水素二次電池については、高容量であることやクリーンであるなどの特徴を有することから、民生用電池として大きな需要がある。
ニッケル水素二次電池の負極用の水素吸蔵合金としては、希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金が開発されている(例えば特許文献1参照)。希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金は、従来使われてきた希土類-Ni系水素吸蔵合金に比べて水素吸蔵量が多く、ニッケル水素二次電池の高容量化に適している。
【0003】
ただし、希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金は、従来のAB型系水素吸蔵合金に比べて耐食性が低く、これを用いたニッケル水素二次電池には、サイクル寿命が短いという問題があった。
このような問題を解決すべく種々の技術が開発されている。例えば、特許文献2が開示するアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金では、希土類元素とマグネシウムとニッケルとアルミニウムとを含む水素吸蔵合金粒子の表面に、酸素濃度が10重量%以上の表面層が形成されている。この表面層におけるマグネシウムの濃度は、酸素濃度が10重量%未満になった中心部におけるマグネシウムの濃度の3.0〜7.5倍にされている。具体的には、特許文献2によれば、組成がLa0.17Pr0.34Nd0.34Mg0.17Ni3.1Al0.2の水素吸蔵合金の粉末が水酸化カリウム水溶液に浸漬される。
【0004】
特許文献2のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金では、アルカリ電解液に対する溶解度の低いマグネシウムの酸化物や水酸化物が、水素吸蔵合金粒子の表面に多く存在している。これらのマグネシウムの酸化物や水酸化物によって、水素吸蔵合金粒子が内部まで酸化されるのが抑制されるようになり、水素吸蔵合金粒子が劣化するのが防止されるものと考えられている。
【0005】
一方、ニッケル水素二次電池の特性改良の方向性の一つに、自己放電を抑制することがある。従来のニッケル水素二次電池にあっては自己放電が大きく、放置している間に容量が減少するため、使用の直前に充電する必要があった。
これに対し、自己放電が抑制されたニッケル水素二次電池は、ユーザーが空いている時間に一度充電をしておけば、放置しても容量が減少しないため、いつでも使用することができるというメリットがある。この様なメリットを十分に活かすことにより、あたかも乾電池の様な使い勝手でニッケル水素二次電池を使えるようになるものと考えられる。
【特許文献1】特開平11-323469号公報
【特許文献2】特開2005-108816号公報(段落番号0010,0012,0017等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自己放電抑制のメリットを十分に活かすには、更に、ニッケル水素二次電池を放置している間における作動電圧の低下を抑制する必要がある。これは、長期放置後の電池を、高い作動電圧を要求される機器(デジタルカメラ、電動シェーバー等)で用いた場合に、容量が残っているにもかかわらず、作動電圧が低下していることによって、機器を駆動できないという現象が起こるからである。
【0007】
発明者等は、このような問題の解決に取り組む過程で、特許文献2のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金を用いたとしても、放置による作動電圧低下を十分に抑制することはできないことを確認した。
一方、発明者等は、負極に用いられる水素吸蔵合金のB/A比を3.35以下に規制することで、放置後の作動電圧低下が抑制されることを見出した。しかしながら、それでも放置による作動電圧低下を完全には抑制できていない。特に、充放電サイクルが進行した後は、放置による作動電圧低下を完全には抑制できていない。
【0008】
本発明は上述の事情に基づいてなされたものであって、その目的とするところは、アルカリ蓄電池に適用したときに、長期放置後、特に充放電サイクルを経てからの長期放置後においても作動電圧の低下が抑制されて高い作動電圧を得られる、アルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金粉末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成すべく、本発明者等は、作動電圧の低下を抑制すべく種々の検討を行った。この原因について詳細に調査した結果、負極に含まれるAlが強アルカリの電解液に溶出し、正極に移行することで、作動電圧低下が発生することが判明した。
また、特許文献2の水素吸蔵合金を用いたときに作動電圧が低下するのは、充放電サイクルが進行するにつれ、水素吸蔵合金が微粉化することに起因していることが判明した。すなわち、微粉化により表面処理されていない通常の組成の合金が表面に出現し、ここからAlが溶け出して正極に移行することが判明した。
【0010】
本発明者等は、これらの知見に基づいて、Mg含有量が少なく微粉化が進行しにくい希土類-Mg-Ni型水素吸蔵合金の粉末を用い、且つ、当該粉末にアルカリ溶液で表面処理を施すことで、充放電サイクル経過後でも、放置による作動電圧低下の少ないニッケル水素二次電池を得られることを見出し、本発明に想到した。
本発明の一態様によれば、一般式:Ln1−wMgNiAlT
(ただし、式中、Lnは、La,Ce,Pr, Nd, Pm,Sm, Eu,Gd, Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr及びHfよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Tは、V,Nb,Ta,Cr, Mo,Mn,Fe,Co,Ga, Zn,Sn, In,Cu,Si,P及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字w,x,y,zはそれぞれ0.08≦w≦0.13,0.05<y<0.20,0≦z≦0.5,3.15≦x+y+z≦3.50で示される範囲にある。)
にて表される組成を有する水素吸蔵合金の核と、前記核の表面に一体に形成され、前記組成に比べてアルミニウムの濃度が低減された表面層とを備えることを特徴とするアルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金粉末が提供される(請求項1)。
【0011】
好ましくは、前記粉末の表面から酸素濃度が10質量%以上である深さまでの範囲におけるアルミニウムの平均質量濃度をA1、酸素濃度が10質量%未満である前記粉末の内部におけるアルミニウムの平均質量濃度をA2としたときに、A1/A2≦0.18である(請求項2)。
また、本発明の一態様によれば、一般式:Ln1−wMgNiAlT
(ただし、式中、Lnは、La,Ce,Pr, Nd, Pm,Sm, Eu,Gd, Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr及びHfよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Tは、V,Nb,Ta,Cr, Mo,Mn,Fe,Co,Ga, Zn,Sn, In,Cu,Si,P及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字w,x,y,zはそれぞれ0.08≦w≦0.13,0.05<y<0.20,0≦z≦0.5,3.15≦x+y+z≦3.50で示される範囲にある。)
にて表される組成を有する水素吸蔵合金の粉末をアルカリ水溶液に浸漬して前記粉末の表面からアルミニウムの少なくとも一部を除去する工程を備えることを特徴とするアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末の製造方法が提供される(請求項3)。
【0012】
また、本発明の一態様によれば、正極と、水素吸蔵合金を用いた負極と、アルカリ電解液とを備えたアルカリ蓄電池において、前記負極の水素吸蔵合金に請求項1又は2に記載のアルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金粉末を用いたことを特徴とするアルカリ蓄電池が提供される(請求項4)。
好ましくは、アルカリ蓄電池は前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータを備え、前記正極は水酸化ニッケルを活物質として含み、前記セパレータはスルホン基を有する繊維を含む(請求項5)。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末では、表面層のアルミニウム濃度が、核のアルミニウム濃度よりも低い。このため、アルカリ電解液との接触により表面層から溶け出すアルミニウムの量が低減され、正極に移行するアルミニウムの量も抑制される。
一方、核を構成している水素吸蔵合金の組成についてみると、添字wの上限が0.13であり、Mg含有量が少ない。この組成によれば、充放電サイクルが進行しても、核が微粉化し難く、アルミニウム濃度の高い部分が表面に現れることが防止される。
【0014】
これらの結果、このアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末を用いたアルカリ蓄電池では、放置による作動電圧低下、特に充放電サイクル進行後の放置による作動電圧低下が抑制される。
請求項2のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末では、A1/A2が0.18以下であることにより、アルカリ電解液との接触により表面層から溶け出すアルミニウム量が確実に低減される。
【0015】
請求項3のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末の製造方法では、水素吸蔵合金の粉末をアルカリ水溶液に浸漬することにより、アルミニウム濃度が低減された表面層が確実に形成される。
請求項4のアルカリ蓄電池では、負極が上記アルカリ蓄電池用吸蔵合金粉末を含むので、放置による作動電圧低下、特に充放電サイクル進行後の放置による作動電圧低下が抑制される。
【0016】
請求項5のアルカリ蓄電池では、負極からアルミニウムが溶け出したとしても、セパレータのスルホン基がアルミニウムを吸着する。このため、正極へのアルミニウムの移行がより一層抑制される。
かくして、本発明によれば、放置による作動電圧の低下、特に、充放電サイクル進行後の放置による作動電圧低下が抑制されたアルカリ蓄電池が提供され、その工業的価値は極めて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態のアルカリ蓄電池として、ニッケル水素二次電池を詳細に説明する。
この電池は例えばAAサイズの円筒形電池であり、図1に示したように、上端が開口した有底円筒形状をなす外装缶10を備えている。外装缶10の底壁は導電性を有し、負極端子として機能する。外装缶10の開口内には、リング状の絶縁パッキン12を介して導電性を有する円板形状の蓋板14が配置され、これら蓋板14及び絶縁パッキン12は外装缶10の開口縁をかしめ加工することにより外装缶10の開口縁に固定されている。
【0018】
蓋板14は中央にガス抜き孔16を有し、蓋板14の外面上にはガス抜き孔16を塞いでゴム製の弁体18が配置されている。更に、蓋板14の外面上には、弁体18を覆うフランジ付き円筒形状の正極端子20が固定され、正極端子20は弁体18を蓋板14に押圧している。従って、通常時、外装缶10は絶縁パッキン12及び弁体18を介して蓋板14により気密に閉塞されている。このため、この電池は密閉型ニッケル水素二次電池とも称される。
【0019】
なお、外装缶10内でガスが発生し、その内圧が高まった場合には弁体18が圧縮され、ガス抜き孔16を通して外装缶10からガスが放出される。つまり、蓋板14、弁体18及び正極端子20は、安全弁を形成している。
外装缶10には、電極群22が収容されている。電極群22は、横断面でみてそれぞれ渦巻き形状の正極24、負極26及びセパレータ28からなり、正極24と負極26の間にセパレータ28が挟まれている。即ち、セパレータ28を介して正極24及び負極26が互い重ね合わされている。電極群22の最外周は負極26の一部(最外周部)により形成され、負極26の最外周部が外装缶10の内周壁と接触することで、負極26と外装缶10とは互いに電気的に接続されている。なお、正極24、負極26及びセパレータ28については後述する。
【0020】
そして、外装缶10内には、電極群22の一端と蓋板14との間に、正極リード30が配置され、正極リード30の両端は正極24及び蓋板14にそれぞれ接続されている。従って、正極端子20と正極24との間は、正極リード30及び蓋板14を介して電気的に接続されている。なお、蓋板14と電極群22との間には円形の絶縁部材32が配置され、正極リード30は絶縁部材32に設けられたスリットを通して延びている。また、電極群22と外装缶10の底部との間にも円形の絶縁部材34が配置されている。
【0021】
更に、外装缶10内には、所定量のアルカリ電解液(図示せず)が注液され、セパレータ28に含まれたアルカリ電解液を介して正極24と負極26との間で充放電反応が進行する。なお、アルカリ電解液の種類は、特に限定されないけれども、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、及びこれらのうち2つ以上を混合した水溶液を用いることができる。好ましくは、水酸化ナトリウムを溶質の主体として含む水溶液がアルカリ電解液として用いられる。また、アルカリ電解液の濃度についても特には限定されず、例えば8Nのものを用いることができる。
【0022】
セパレータ28の材料としては、例えば、ポリアミド繊維製不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維製不織布に親水性官能基、好ましくはスルホン基(SO3H)を付与したものを用いることができる。
正極24は、多孔質構造を有する導電性の正極基板と、正極基板の空孔内に保持された正極合剤とからなる。
【0023】
正極基板としては、例えばニッケル製の金属多孔体を用いることができる。正極合剤は、正極活物質粒子と、必要に応じて正極24の特性を改善するための種々の添加剤粒子と、必要に応じて、正極活物質粒子及び添加剤粒子の混合粒子を正極基板に結着するための結着剤とからなる。
なお、正極活物質粒子は、この電池がニッケル水素二次電池なので水酸化ニッケル粒子であるけれども、水酸化ニッケル粒子は、コバルト、亜鉛、カドミウム等を固溶していてもよい。好ましくは、水酸化ニッケル粒子の表面は、アルカリ熱処理されたコバルト化合物で被覆されている。
【0024】
また、添加剤としては、酸化イットリウムの他に、酸化コバルト、金属コバルト、水酸化コバルト等のコバルト化合物、金属亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛等の亜鉛化合物、酸化エルビウム等の希土類化合物等を用いることができる。
結着剤としては親水性若しくは疎水性のポリマー等を用いることができる。
負極26は、帯状をなす導電性の負極基板(芯体)を有し、この負極基板に負極合剤が保持されている。負極基板は、貫通孔が分布されたシート状の金属材からなり、例えば、パンチングメタルを用いることができる。従って、負極合剤は、負極基板の貫通孔内に充填されるとともに、負極基板の両面上に層状にして保持される。
【0025】
負極合剤は、図1中円内に概略的に示したけれども、負極活物質としての水素を吸蔵及び放出可能な水素吸蔵合金粉末36と、必要に応じて例えばカーボン等の導電助剤(図示せず)と、これら水素吸蔵合金及び導電助剤を負極基板に結着する結着剤38とからなる。結着剤38としては親水性若しくは疎水性のポリマー等を用いることができ、導電助剤としては、カーボンブラックや黒鉛を用いることができる。なお、活物質が水素の場合、負極容量は水素吸蔵合金量により規定されるので、本発明では、水素吸蔵合金のことを負極活物質ともいう。また、負極24のことを水素吸蔵合金電極ともいう。
【0026】
この電池の水素吸蔵合金粉末36は、核40と、核40の表面に一体に形成された表面層42とから構成されている。
核40を構成する水素吸蔵合金は、希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金であって、主たる結晶構造がCaCu型ではなく、AB型構造とAB型構造とを合わせた超格子構造であり、その組成が一般式:
Ln1−wMgNiAlT …(1)
で示される。
【0027】
ただし、式(1)中、Lnは、La,Ce,Pr, Nd, Pm,Sm, Eu,Gd, Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr及びHfよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Tは、V,Nb,Ta,Cr, Mo,Mn,Fe,Co,Ga, Zn,Sn, In,Cu,Si,P及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字w,x,y,zはそれぞれ0.08≦w≦0.13,0.05<y<0.20,0≦z≦0.5,3.15≦x+y+z≦3.50で示される範囲にある。
【0028】
表面層42を構成する化合物のアルミニウム濃度は、核40のアルミニウム濃度に比べて低減されている。
なお、図1では、説明の都合上から核40と表面層42との境界を明確に示したが、核40と表面層42とは原料粉末を表面処理することにより一体に形成されているため、これらの間の境界は明確ではない。そこで、本明細書における表面層42とは、水素吸蔵合金粉末36において、その表面から、酸素濃度が10質量%以上である深さまでの領域であると定義しておく。
【0029】
水素吸蔵合金粉末36の平均粒径は、例えば20μm以上100μm以下、好ましくは30μm以上65μm以下の範囲にあるが、上記定義に基づいたときに、表面層42の厚さは30nm以上であるのが好ましい。同様に、表面層42でのアルミニウムの平均濃度をA1とし、核40でのアルミニウム濃度をA2とすると、A2に対するA1の比A1/A2は0.18以下(A1/A2≦0.18)であるのが好ましい。
【0030】
なお、A1及びA2はいずれも質量濃度である。
なお、表面層42の厚さ(深さ)は、オージェ電子分光分析とArスパッタとを組み合わせた深さ方向組成分析により測定することができる。ただし、測定される深さは、実際のスパッタ時間(min)にSi基板上に形成されたSiO膜でのスパッタレート(Å/min)を乗じて得られる換算値(SiO換算値)である。従って、本明細書における表面層42の具体的な厚さは、全てSiO換算値である。
【0031】
水素吸蔵合金粉末36は、例えば以下のようにして得ることできる。
まず、一般式(1)の組成となるよう金属原料を秤量して混合し、この混合物を例えば高周波溶解炉で溶解してインゴットにする。得られたインゴットに、900〜1200℃の温度の不活性ガス雰囲気下にて5〜24時間加熱する熱処理を施し、インゴットの金属組織をAB型構造とAB型構造とを合わせた超格子構造にする。この後、インゴットを粉砕し、篩分けにより所望粒径に分級して、所望粒径の水素吸蔵合金粉末の原料を得る。
【0032】
得られた水素吸蔵合金粉末の原料を、水素吸蔵合金中のアルミニウムを溶け出させる溶液(以下、単に処理液ともいう)に浸漬する(脱アルミニウム処理)。浸漬された粉末を水洗及び乾燥させて、水素吸蔵合金粉末36が得られる。
ここで、処理液としては、酸性水溶液及びアルカリ水溶液を用いることができるが、アルカリ水溶液を用いるのが好ましい。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、及び、水酸化リチウム水溶液等を用いることができる。アルカリ水溶液の濃度は、好ましくは、5規定以上9規定以下の範囲に設定される。浸漬する処理液の温度は、好ましくは、35℃以上60℃以下の範囲に設定される。また、処理液への浸漬時間は、好ましくは、30分以上90分以下の範囲に設定される。
【0033】
上述したニッケル水素二次電池においては、水素吸蔵合金粉末36が希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金を主成分とするため、高容量である。
また水素吸蔵合金粉末36では、表面層42のアルミニウム濃度が、核40のアルミニウム濃度よりも低い。このため、アルカリ電解液との接触により表面層42から溶け出すアルミニウムの量が低減され、正極24に移行するアルミニウムの量も抑制される。
【0034】
一方、核40を構成している水素吸蔵合金の組成についてみると、添字wの上限が0.13であり、Mg含有量が少ない。この組成によれば、充放電サイクルが進行しても、核40が微粉化し難く、アルミニウム濃度の高い部分が表面に現れることが防止される。
これらの結果、この水素吸蔵合金粉末36を用いたニッケル水素二次電池では、放置による作動電圧低下、特に充放電サイクル進行後の放置による作動電圧低下が抑制される。
【0035】
また、好ましい態様として、A1/A2が0.18以下であれば、アルカリ電解液との接触により表面層42から溶け出すアルミニウム量が確実に低減される。
更に、好ましい態様として、水素吸蔵合金粉末36の製造方法では、処理液としてアルカリ水溶液を用いることで、アルミニウム濃度が低減された表面層42が確実に形成される。
また更に、好ましい態様として、セパレータ28の繊維がスルホン基を有していれば、負極からアルミニウムが溶け出したとしても、セパレータ28のスルホン基がアルミニウムを吸着する。このため、正極24へのアルミニウムの移行がより一層抑制される。
【0036】
かくして、本発明によれば、放置による作動電圧の低下、特に、充放電サイクル進行後の放置による作動電圧低下が抑制されたアルカリ蓄電池を提供することができ、その工業的価値は極めて高い。
【実施例】
【0037】
1.電池の組立て
実施例1
(1)負極の作製
希土類系成分の内訳が、原子数比で、22%のLa、30%のNd、20%のSm、20%のGd及び8%のYになるように希土類系成分の原材料を用意し、そして、希土類系成分の原材料、Mg、Ni及びAlを原子数比で0.90:0.10:3.18:0.12の割合で含有する水素吸蔵合金の塊を誘導溶解炉を用いて調製した。この合金をアルゴン雰囲気中で1000℃、10時間の熱処理を行い、組成が(La0.22Nd0.30Sm0.20Gd0.20Y0.08)0.90Mg0.10Ni3.18Al0.12で表わされる超格子構造の希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金のインゴットを得た。
【0038】
この希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金のインゴットを不活性ガス雰囲気中で機械的に粉砕し、篩分けにより400メッシュ〜200メッシュの間に残る合金粉末を選別した。この合金粉末に対してレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置を使用して粒度分布を測定したところ、質量積分50%に相当する平均粒径は30μmであり、最大粒径は45μmであった。
この合金粉末に対して、温度が25℃で濃度が8規定の水酸化カリウム水溶液に1時間浸漬させる浸漬処理を施した。この後、浸漬処理した水素吸蔵合金粉末を水洗し、乾燥させて、アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末を得た。
【0039】
得られたアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末100質量部に対してポリアクリル酸ナトリウム0.4質量部、カルボキシメチルセルロース0.1質量部、および、ポリテトラフルオロエチレン分散液(分散媒:水、固形分60質量部)2.5質量部を加えた後、混練して負極合剤のスラリーを得た。
このスラリーを、Niめっきを施した厚さ60μmのFe製パンチングメタルの両面の全面に均等に、かつ厚さが一定になるように塗着した。スラリーの乾燥を経て、このパンチングメタルをプレスして裁断し、1枚あたりの水素吸蔵合金粉末量が9.0gであるAAサイズのニッケル水素二次電池用の負極を作製した。
(2)正極の作製
金属Niに対して、Znが3質量%、Coが1質量%の比率となるように、硫酸ニッケル、硫酸亜鉛および硫酸コバルトの混合水溶液を調製し、この混合水溶液に攪拌しながら水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加した。この際、反応中のpHを13〜14に保持して水酸化ニッケル粒子を析出させ、この水酸化ニッケル粒子を10倍量の純水にて3回洗浄したのち、脱水、乾燥した。
【0040】
得られた水酸化ニッケル粒子に、濃度が40質量%のHPCディスパージョン液を混合して、正極合剤のスラリーを調製した。このスラリーを多孔質構造のニッケル基板に充填して乾燥させてから、この基板を圧延、裁断してAAサイズのニッケル水素二次電池用の正極を作製した。
(3)ニッケル水素二次電池の組立て
上記のようにして得られた負極及び正極を、ポリプロピレンまたはナイロン製の不織布よりなるセパレータを介して渦巻状に巻回して電極群を形成した。この電極群を外装缶に収容したのち、この外装缶内に、アルカリ電解液として、リチウム、カリウムを含有した濃度30質量%の水酸化ナトリウム水溶液を注入した。この後、外装缶の開口端を蓋板等で塞ぎ、図1に示した構成の電池を組み立てた。組み立てられたニッケル水素電池は、AAサイズであり、その公称容量は2500mAhである。
【0041】
なお、組立て条件を表1に示す。
実施例2
処理液の温度を45℃にした以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池を組立てた。
実施例3
処理液の温度を60℃にした以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池を組立てた。
【0042】
実施例4
処理液の温度を80℃にした以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池を組立てた。
実施例5
希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金の組成を(La0.22Nd0.30Sm0.20Gd0.20Y0.08)0.87Mg0.13Ni3.18Al0.12にしたこと以外は実施例2の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池を組立てた。
【0043】
実施例6
水素吸蔵合金の組成を(La0.22Nd0.30Sm0.20Gd0.20Y0.08)0.90Mg0.10Ni3.38Al0.12にしたこと以外は実施例2の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池を組立てた。
実施例7
処理液として、水酸化カリウム水溶液に代えて、濃度が0.01規定の塩酸を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池を組立てた。
【0044】
比較例1
浸漬処理を行わなかった以外は実施例1の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池を組立てた。
比較例2
処理液の温度を10℃にした以外は実施例2の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池を組立てた。
【0045】
比較例3
浸漬処理の時間を10分にした以外は実施例2の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池を組立てた。
比較例4
希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金の組成を(La0.22Nd0.30Sm0.20Gd0.20Y0.08)0.85Mg0.15Ni3.18Al0.12にしたこと以外は実施例2の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池を組立てた。
【0046】
比較例5
水素吸蔵合金の組成を(La0.22Nd0.30Sm0.20Gd0.20Y0.08)0.90Mg0.10Ni3.43Al0.12にしたこと以外は実施例2の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池を組立てた。
比較例6
水素吸蔵合金の組成を(La0.22Nd0.30Sm0.20Gd0.20Y0.08)0.90Mg0.10Ni3.10Al0.12にしたこと以外は実施例2の場合と同様にして、ニッケル水素二次電池を組立てた。
【0047】
2.電池評価方法
(1)活性化処理
実施例1〜7及び比較例1〜6の各電池について、活性化処理として、0.1Cの電流で16時間充電してから、0.2Cの電流で終止電圧0.5Vまで放電させる充放電処理を2回繰り返した。
(2)初期の放置前後での作動電圧変化量の評価
活性化処理を施した実施例1〜7及び比較例1〜6の各電池について、1.0Cの電流で1時間充電してから1.0Cの電流で終止電圧0.8Vまで放電させる電池容量測定を行った。この測定結果において、放電時間の中間点での電圧を初期放置前作動電圧とする。
【0048】
初期作動電圧の評価にて放電させた各電池を、1.0Cの電流で1時間充電してから、60℃の雰囲気で1ヶ月保存した。この保存後、各電池について、1.0Cの電流で1時間充電してから1.0Cの電流で終止電圧0.8Vまで放電させる電池容量測定を行った。この測定結果において、放電時間の中間点での電圧を初期放置後作動電圧として求めた。各電池について、初期放置前作動電圧から初期放置後作動電圧への変化量(単位:mV)を表2に示す。
(3)充放電サイクル100回後の放置前後での作動電圧変化量の評価
活性化処理を施した実施例1〜7及び比較例1〜6の各電池について、1.0Cの電流で1時間充電してから1.0Cの電流で終止電圧0.8Vまで放電させる充放電サイクルを100回繰り返した。
【0049】
充放電サイクルを100回繰り返した実施例1〜7及び比較例1〜6の各電池について、1.0Cの電流で1時間充電してから1.0Cの電流で終止電圧0.8Vまで放電させる電池容量測定を行った。この測定結果において、放電時間の中間点での電圧を100サイクル放置前作動電圧とする。
100サイクル後作動電圧の評価にて放電させた各電池を、1.0Cの電流で1時間充電してから、60℃の雰囲気で1ヶ月保存した。この保存後、各電池について、1.0Cの電流で1時間充電してから1.0Cの電流で終止電圧0.8Vまで放電させる電池容量測定を行った。この測定結果において、放電時間の中間点での電圧を100サイクル放置後作動電圧として求めた。各電池について100サイクル放置前作動電圧から100サイクル放置後作動電圧への変化量(単位:mV)を表2に示す。
【0050】
(4)アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末の評価
100サイクル放置後作動電圧を測定した各電池から、アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末を取り出し、その表面層の厚さ、A1/A2比、及び、平均粒径を測定した。測定結果を表2に示す。
【0051】
なお、各粉末の表面層の厚さは、アルゴンイオン銃付きの走査型オージェ電子分光装置(PHI製670Xi型)を用いて深さ方向組成分析を行うことにより測定された。SiO膜でのスパッタレートは80Å/minであった。
酸素濃度が10質量%以上である表面層におけるアルミニウムの平均濃度A1及び、酸素濃度が10質量%未満である核におけるアルミニウムの平均濃度A2も、上記深さ方向組成分析結果から求め、A1/A2比を演算した。
【0052】
平均粒径はレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置を使用して測定した。この平均粒径も質量積分50%に相当する平均粒径である。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
3.電池評価結果
表2からは以下のことが明らかである。
(1)合金に浸漬処理を施さなかった比較例1に対し、水酸化カリウムで浸漬処理した実施例1では、初期の放置前後作動電圧の変化量、100サイクル後の放置前後作動電圧変化量共に減少している。これは、アルカリ水溶液で原料粉末の表面を処理したことにより、アルカリ水溶液中に水素吸蔵合金粉末表面のアルミニウムが溶け出すことが抑制されたためと考えられる。そしてこれにより、放置による正極へのアルミニウムの移行が抑制され、作動電圧低下が抑制されたものと考えられる。
(2)水酸化カリウム溶液の温度をそれぞれ45℃、60℃及び80℃とした実施例2、3及び4では、放置後の作動電圧低下は更に抑制されている。ただし、25℃から45℃に変更したときの抑制幅に比べ、45℃から60℃又は80℃に変更したときの抑制幅は小さい。このことと、アルカリ水溶液をあまり高温にすると取扱に危険が伴うことから、処理温度は45℃程度(43℃〜47℃)が望ましいと考えられる。
【0056】
(3)比較例2、3の結果から、アルカリ水溶液で表面処理を行っても、処理の条件が適切でないと放置後の作動電圧低下抑制効果は十分に得られないことが分かる。処理が適切であるかどうかの尺度として、核におけるアルミニウムの平均濃度A2に対する表面層におけるアルミニウムの平均濃度A1の濃度比(A1/A2)を調査すると、放置後の作動電圧低下が抑制されている実施例1〜7ではA1/A2が0.18以下であるのに対し、放置後の作動電圧低下が十分に抑制されていない比較例2、3ではA1/A2が0.18よりも大きいことが分かる。
(4)原料の組成を変更した比較例4、5及び6では、原料粉末に対してアルカリ水溶液で処理を実施しているにもかかわらず、作動電圧低下が十分に抑制されていない。特に、100サイクル後の放置後作動電圧の低下が大きい。
【0057】
100サイクル後の合金粒径を測定してみると、比較例4、5では合金の粒径が小さくなっていることがわかる。これより、比較例4、5の原料組成では、充放電サイクルに伴う合金の微粉化が進行し易いことがわかる。そしてこれにより、比較例4、5では、原料粉末をアルカリ水溶液で処理しても、微粉化により新たな新鮮面が生成し、この新鮮面からアルミニウムが溶出するため、100サイクル後の放置後作動電圧の低下が大きくなったと考えられる。
【0058】
一方、比較例6では、原料のアルミニウムの含有量が多いため、作動電圧低下が十分に抑制されなかったと考えられる。すなわち、アルミニウム含有量が多い場合、表面処理によりアルミニウムをある程度取り除いても、表面にアルミニウムがまだ残ってしまい、アルミニウムが溶け出してしまうものと考えられる。
(5)実施例5と比較例4の比較から、Mg量を表す添字wの上限は0.13以下、実施例6と比較例5の比較から、希土類系元素とMgを除く成分の量(BA比)を表す添字xとyとzの和(x+y+z)の上限は3.50以下、比較例6の結果から、アルミニウムの量を表す添字yは0.20未満がそれぞれ望ましいと考えられる。ただし、Mg量をあまりに下げると、水素吸蔵量が低下し、電池特性が低下するため、添字wの下限は0.08以上であることが望ましい。同様にx+y+zの下限は3.15以上、添字yの下限は0.05より大きいことが望ましい。
【0059】
(6)実施例7の結果から、表面処理に用いる溶液は酸性溶液であっても良いことが分かる。ただし、酸性溶液ではアルカリ水溶液と違い、アルミニウム以外の成分も溶解させるため、アルカリ水溶液の方がより望ましいと考えられる。
本発明は上記した一実施形態及び実施例に限定されることはなく、種々変形が可能であり、例えばニッケル水素二次電池は、角形電池であってもよく、機械的な構造は格別限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係るニッケル水素二次電池を示す部分切欠斜視図であり、円内は負極の一部を拡大して概略的に示す。
【符号の説明】
【0061】
26 負極
36 水素吸蔵合金粉末
40 核
42 表面層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
Ln1−wMgNiAlT
(ただし、式中、Lnは、La,Ce,Pr, Nd, Pm,Sm, Eu,Gd, Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr及びHfよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Tは、V,Nb,Ta,Cr, Mo,Mn,Fe,Co,Ga, Zn,Sn, In,Cu,Si,P及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字w,x,y,zはそれぞれ0.08≦w≦0.13,0.05<y<0.20,0≦z≦0.5,3.15≦x+y+z≦3.50で示される範囲にある。)
にて表される組成を有する水素吸蔵合金の核と、
前記核の表面に一体に形成され、前記組成に比べてアルミニウムの濃度が低減された表面層と
を備えることを特徴とするアルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金粉末。
【請求項2】
前記粉末の表面から酸素濃度が10質量%以上である深さまでの範囲におけるアルミニウムの平均質量濃度をA1、酸素濃度が10質量%未満である前記粉末の内部におけるアルミニウムの平均質量濃度をA2としたときに、A1/A2≦0.18である
ことを特徴とする請求項1に記載のアルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金粉末。
【請求項3】
一般式:
Ln1−wMgNiAlT
(ただし、式中、Lnは、La,Ce,Pr, Nd, Pm,Sm, Eu,Gd, Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr及びHfよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Tは、V,Nb,Ta,Cr, Mo,Mn,Fe,Co,Ga, Zn,Sn, In,Cu,Si,P及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字w,x,y,zはそれぞれ0.08≦w≦0.13,0.05<y<0.20,0≦z≦0.5,3.15≦x+y+z≦3.50で示される範囲にある。)
にて表される組成を有する水素吸蔵合金の粉末をアルカリ水溶液に浸漬して前記粉末の表面からアルミニウムの少なくとも一部を除去する工程を備えることを特徴とするアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末の製造方法。
【請求項4】
正極と、水素吸蔵合金を用いた負極と、アルカリ電解液とを備えたアルカリ蓄電池において、前記負極の水素吸蔵合金に請求項1又は2に記載のアルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金粉末を用いたことを特徴とするアルカリ蓄電池。
【請求項5】
前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータを備え、
前記正極は水酸化ニッケルを活物質として含み、
前記セパレータはスルホン基を有する繊維を含む
ことを特徴とする請求項4に記載のアルカリ蓄電池。

【図1】
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【公開番号】特開2010−80291(P2010−80291A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247946(P2008−247946)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】