説明

アルキルエーテル硫酸塩

本発明は、一般式(I)[式中、Rは線状又は分枝鎖状のC〜C18−アルキル基又は異なる線状又は分枝鎖状のC〜C18−アルキル基の混合物であり、Rはメチル及びエチルからなる群から選択される脂肪族基であり、Mはアルカリ金属、NH及びHNRからなる群から選択されるカチオンであり、その際にRは線状又は分枝鎖状のアルキル基、CHCHOH及びCHCH(OH)CHからなる群から選択されており、xは0〜3の平均値を有し、yは1〜10の平均値を有し、zは0〜30の平均値を有する]で示され、かつ商(II)であるアルキルエーテル硫酸塩、並びに洗剤及び清浄剤、化学工業的な用途又は化粧品におけるアニオン界面活性剤成分としてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホン化されているアルコキシル化アルコールからなるアルキルエーテル硫酸塩に関するものであり、その際にこれらのアルキルエーテル硫酸塩はアルコールとスルフェート基との間にプロピレンオキシド単位及び/又はブチレンオキシド単位及び場合によりエチレンオキシド単位を有しており、並びに洗剤及び清浄剤(Wasch- und Reinigungsmitteln)におけるこれらのアルキルエーテル硫酸塩の使用に関する。
【0002】
技術水準からは、例えば界面活性剤としての、アルキルエーテル硫酸塩の使用は既に公知である。
【0003】
欧州特許出願公開(EP-A)第1354872号明細書は、アミンと硫酸エステルとからなる塩の製造方法に関する。前記硫酸エステルは側鎖中に炭素原子2〜4個を有するアルキレンオキシ単位を平均して0.1〜10個有していてよい。
【0004】
国際公開(WO)第00/58428号パンフレットには、アニオン界面活性剤、例えばアルキルベンゼン硫酸塩、エトキシル化アルキルエーテル硫酸塩及びプロポキシル化アルキルエーテル硫酸塩を含有し、自己増粘性で熱により活性化可能な清浄組成物が開示されている。
【0005】
国際公開(WO)第99/65972号パンフレットは、シリコーン含有構成要素を含んでおり、かつアンモニア又は多官能性の芳香族又は脂肪族のアミン、カルボン酸又は無水カルボン酸及び非イオン性、アニオン性又は両性の界面活性剤からの反応生成物である少なくとも1つの樹脂を含む水性乳濁液に関する。その場合にアニオン界面活性剤は平均して0.5〜10個のエチレンオキシド単位及び/又はプロピレンオキシド単位を有するアルキル硫酸塩のエトキシル化及びプロポキシル化された誘導体であってよい。
【0006】
国際公開(WO)第95/15408号パンフレットには、硫酸塩−又はスルホン酸塩−タイプのアニオン界面活性剤を含んでいるカセイ浴中でのアルミニウム又はアルミニウム合金のエッチング方法が開示されている。
【0007】
特開平(JP)06-017089号公報及び特開平(JP)06-017088号公報は、アルキルグリコシド、アニオン界面活性剤及び400〜4000の平均分子量を有するアルコール−プロピレンオキシド付加物の硫酸エステルの塩を含んでおり、良好な長時間安定性及び卓越した清浄作用を有する真珠層様の外観を有する乳状清浄組成物に関する。
【0008】
本発明の課題は、有利に洗剤及び清浄剤におけるアニオン界面活性剤として使用されることができるアルキルエーテル硫酸塩を提供することである。
【0009】
この課題は、本発明によれば、一般式I
RO−(CHCHO)−(CH−CHRO)−(CHCHO)SO (I)、
[式中、
Rは、線状又は分枝鎖状のC〜C18−アルキル基又は異なる線状又は分枝鎖状のC〜C18−アルキル基の混合物であり、
は、メチル、エチル又はそれらの混合物であり、
は、アルカリ金属、NH及びHNRからなる群から選択されるカチオンであり、その際にRは線状又は分枝鎖状のアルキル基、CHCHOH及びCHCH(OH)CHからなる群から選択されており、
xは、0〜3、特に0の平均値を有し、
yは、1〜10の平均値を有し、
zは、0〜30の平均値を有する]で示され、
臨界ミセル濃度cmcの商Aが
【0010】
【数1】

であるアルキルエーテル硫酸塩によって解決される。
【0011】
好ましくは、本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩中でR、R、x、y、z及びMは次の意味を有する:
Rは、線状又は分枝鎖状のC10〜C18−アルキル基又は異なる線状又は分枝鎖状のC10〜C18−アルキル基の混合物であり、
は、メチルであり、
は、アルカリ金属、NH及びHNRからなる群から選択されるカチオンであり、その際にRは線状又は分枝鎖状のアルキル基、CHCHOH及びCHCH(OH)CHからなる群から選択されており、
xは、0〜2、特に0の平均値を有し、
yは、1〜3の平均値を有し、
zは、0〜10の平均値を有し、かつ商Aは1より大きい。
【0012】
特に好ましくは、本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩中でR、R、x、y及びzは次の意味を有する:
Rは、線状又は分枝鎖状のC10〜C15−アルキル基又は異なる線状又は分枝鎖状のC10〜C15−アルキル基の混合物であり、
は、メチルであり、
xは、0であり、
yは、1〜2の平均値を有し、
zは、0〜4の平均値を有し、かつ商Aは1より大きい。
【0013】
極めて特に好ましくは、本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩中でR、R、x、y及びzは次の意味を有する:
Rは、2−プロピルヘプタノール、イソ−C13−アルコール又は2−プロピルアルコールとイソ−C13−アルコールとの混合物から誘導される基であり、
は、メチルであり、
xは、0であり、
yは、2の平均値を有し、
zは、0、1又は3の平均値を有し、かつ商Aは1より大きい。
【0014】
本発明は、一般式Iに相当し、かつAについて1より大きい値となる公知のアルキルエーテル硫酸塩からの特定の選択に関する。
【0015】

【0016】
【数2】

は、長鎖アルコール(RO−)とスルフェート基との間に場合によりエチレンオキシド及びエチレンオキシドとは異なる別のアルキレンオキシド単位(CH−CHRO)を有するアルキルエーテル硫酸塩のcmc、すなわち臨界ミセル濃度に対する、長鎖アルコール(RO−)に続いて専らエチレンオキシド単位が結合されて有するか又はアルコキシド単位を有しないアルキルエーテル硫酸塩のcmcの比を記載する。
【0017】
1より大きい商Aを形成する一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩が、洗剤及び清浄剤におけるアニオン界面活性剤成分としてのそれらの使用の際に、化学工業的な用途において又は化粧品において特に好都合な性質を示すことが見出された。
【0018】
本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩が、場合により専らエチレンオキシド単位を有するか又はアルコキシド単位を有しない相応するアルキルエーテル硫酸塩と比較して、臨界ミセル濃度(cmc)についてより小さい値を有することが結論され、このことから1より大きいAの値となる。アルキルエーテル硫酸塩のこの部分は、本発明によるアルキルエーテル硫酸塩の合成及び相応する場合により専らエチレンオキシド単位を含むか又はアルコキシド単位を含まないアルキルエーテル硫酸塩の合成及び臨界ミセル濃度(cmc)の比較により算出されることができる。
【0019】
臨界ミセル濃度(cmc)の値[単位:mmol/l]は、濃度系列を通して表面張力測定のDeNuoy法を用いて決定される。
【0020】
場合により専らエチレンオキシド単位を含むアルキルエーテル硫酸塩のミセル濃度と本発明によるアルキルエーテル硫酸塩のミセル濃度との間の比を記載する商Aは、本発明によれば1を上回り100までの値を有し、好ましくはAは1を上回り50までの値を有し、極めて特に好ましくはAは1を上回り20までの値を有する。
【0021】
商Aは前記の限度内で、好ましくは1.1より大きく、特に好ましくは1.2より大きく及び極めて特に好ましくは1.5より大きい。
【0022】
本発明によるアルキルエーテル硫酸塩は、これらがより長鎖のアルコールのcmcに匹敵されうる臨界ミセル濃度を有する点で優れている。
【0023】
ミセルは、溶解された分子の会合により形成された集合体であると理解される。より狭い意味で、特定の温度及び特性濃度を上回る水溶液中で界面活性剤分子から形成されるそのような集合体をミセルと呼ぶ。この濃度は臨界ミセル濃度(critical micell concentration、cmc)と呼ばれる。臨界ミセル濃度の達成は物理的性質の急激な変化により識別されうる。臨界ミセル濃度を超える際に、溶液中の分子濃度は事実上一定のままであり、かつ過剰の分子はミセルを形成する。
【0024】
本発明によるアルキルエーテル硫酸塩が、それらのより低い臨界ミセル濃度によって、水溶液中のより少ない濃度で、良好な界面活性剤作用に必要であるミセルを形成することが明らかになった。それによって、本発明によるアルキルエーテル硫酸塩により、洗剤及び清浄剤中での界面活性剤の使用量は低下されることができる。
【0025】
本発明による例1〜6及び対応する参考例1〜6を考慮する際に、本発明によるアルキルエーテル硫酸塩1〜6のcmc値が、その都度エチレンオキシドのみを対応するアルコールへ直接に結合されて有し、かつプロピレンオキシドもしくはブチレンオキシドを有しない相応する参考例1〜6の場合よりも一貫してより低い結果となることが明らかになる。
【0026】
本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩は、次の方法の1つにより製造されることができる:
対応するアルコールアルコキシド成分は、これらを硫酸又は硫酸誘導体を用いてそれ自体として公知の方法で酸性アルキルエーテル硫酸塩に硫酸化することによって本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩へ変換されることができる。
【0027】
アルコールの硫酸化反応は既に、例えば米国特許(US-A)第3,462,525号明細書、米国特許(US-A)第3,420,875号明細書又は米国特許(US-A)第3,524,864号明細書に記載されている。この反応の実施についての詳細は、"Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry"、第5版 A25巻 (1994)、p. 779 - 783及びそこに示された文献参照指示にも見出される。
【0028】
硫酸自体がエステル化に使用される場合には、好都合には75〜100質量%の、好ましくは85〜98質量%の酸が使用される(いわゆる"濃硫酸"又は"一水和物")。エステル化は、反応の制御のため、例えば熱の発生のために望まれる場合には、溶剤又は希釈剤中で実施されることができる。通例、アルコール反応物が装入され、かつ硫酸化剤は連続的に混合しながら徐々に添加される。アルコールアルコキシド成分の完全なエステル化が望まれる場合には、硫酸化剤及びアルコールアルコキシド成分は1:1〜1:1.5、好ましくは1:1〜1:1.2のモル比で使用される。より少ない量の硫酸化剤は、アルコールアルコキシラートの混合物が使用される場合に有利でありうる。エステル化は、通常25〜85℃の温度で、好ましくは45〜75℃の範囲内で実施される。
【0029】
場合により、エステル化を、低沸点で水と非混和性の溶剤及び希釈剤中でその沸点で実施することは好都合であり、その場合にエステル化の際に生じた水は共沸蒸留される。
【0030】
前記の濃度の硫酸の代わりに、本発明によるアルカノール混合物の硫酸化のために、例えば三酸化硫黄、三酸化硫黄−錯体、硫酸中の三酸化硫黄の溶液("発煙硫酸")、クロロスルホン酸、塩化スルフリル又はまたアミドスルホ酸も使用されることができる。反応条件はついで相応して適合されることできる。
【0031】
三酸化硫黄が硫酸化剤として使用される場合には、反応は有利には、向流又は並流での流下薄膜型反応器中で、場合により連続的にも、実施されることもできる。
【0032】
反応バッチは、エステル化後にアルカリ添加により中和され、場合により過剰のアルカリ金属硫酸塩及び任意の存在している溶剤の除去後に、後処理される。
【0033】
クロロスルホン酸が硫酸化試薬として使用される場合には、対応するアルコールアルコキシド成分が撹拌装置中に不活性条件下に装入される。激しく撹拌しながら対応する量のクロロスルホン酸が滴加される。アルコール成分とクロロスルホン酸との間のモル比は0.5:1〜1:0.5であり、好ましくはこの比は0.75:1〜1:0.75である。極めて特に好ましくは、アルコールアルコキシド成分対クロロスルホン酸のモル比は1:1である。HClガスの除去後に、反応バッチはカセイソーダ液を用いて僅かにアルカリ性のpH値に調節される。
【0034】
さらに本発明は、洗剤及び清浄剤におけるアニオン界面活性剤成分としての本発明によるアルキルエーテル硫酸塩の使用にも関する。
【0035】
本発明によるアルキルエーテル硫酸塩は洗剤及び清浄剤において、唯一のアニオン界面活性剤成分として、しかしまた他のアニオン界面活性剤との組合せで、常用の成分と共に使用されることができる。
【0036】
洗剤及び清浄剤の好ましい実施態様は、粉末洗剤、コンパクト洗剤、超コンパクト洗剤、洗剤押出物、洗剤ゲル、液体洗剤、液体洗剤カプセル("パウチ")、液体洗剤濃縮物、食器用洗剤(Handgeschirrspuellmittel)、自動食器洗い機用の食器用洗剤、磨き用クリーナー又は磨き用ミルク、手洗い用ペースト又は手洗い用ゲル、汎用クリーナー、ガラス用クリーナー、窓用クリーナー、床用クリーナー、バス用クリーナー、トイレ用クリーナー、台所用クリーナー、屠殺場用クリーナー、カーシャンプー又は金属用クリーナーである。
【0037】
特に、本発明によるアルキルエーテル硫酸塩は洗剤又は食器用洗剤におけるアニオン界面活性剤成分として使用されることができる。
【0038】
この種類の洗剤及び清浄剤は技術水準にしばしば記載されている。清浄剤及び洗剤の作用形式及び組成についての極めて良い概要は例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、A7巻、(1986)、p. 137以降に見出される。洗剤及び清浄剤は、1つの界面活性剤又は同じもしくは異なる界面活性剤群からなる複数の界面活性剤及び通例、完成品(Konfektionierung)のために必要である及び/又は予定された特別な使用目的又は用途の種類(手又は機械による清浄化)への清浄剤及び洗剤の適合に利用される別の助剤及び添加剤を含有する。多様な界面活性剤に加えて変化する組合せ及び含分で多くの清浄剤及び洗剤中で使用されることができる成分は、例えばビルダー(金属イオン封鎖剤)及びコビルダー、pH調節剤、例えば無機又は有機の酸、無機又は有機の塩基及び緩衝系、分散剤、増粘剤、酵素、漂白系、溶解促進剤もしくは可溶化剤としてのヒドロトロープ化合物、例えば尿素又はアルコール、有機溶剤、微粒状の研磨成分、例えば石英粉又は大理石粉、白亜、ケイソウ土、軽石、磨きべんがら(Polierrot)又は金剛砂、泡の安定化又は抑制のための発泡調節剤、皮膚保護剤及び防食剤、殺菌性化合物又は系、例えばヨウ素を含有するか又は塩素又は次亜塩素酸を遊離するそのようなもの、例えばジクロロイソシアヌレート、香料、染料、及び殺生物剤である。技術水準に記載された洗剤及び清浄剤の清浄作用の本質的な割合はその中に含まれる界面活性剤に帰する。イオン界面活性剤、しかもアニオン界面活性剤、例えばアルコール硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩並びにカチオン界面活性剤、例えばC〜C16−ジアルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、ジアルコキシジメチルアンモニウムハロゲン化物又は長鎖アルキル基を有するイミダゾリニウム塩が使用される。
【0039】
両性界面活性剤、例えば第二級又は第三級のアミンの誘導体、例えばC〜C18−アルキルベタイン又はC〜C15−アルキルスルホベタイン又はアミンオキシド、例えばアルキルジメチルアミンオキシドの使用も既に記載されている。
【0040】
非イオン界面活性剤、特に、特に炭素原子8〜20個を有する、より長鎖の及び長鎖のアルカノールのアルコキシラート及びポリグリコシド並びにアルキルアミン及びアルキルアミドのアルコキシラートも洗剤及び清浄剤中で使用される。特に、炭素原子10〜13個を有するオキソアルコールをそれらのリン酸エステル又は硫酸エステルの形で並びにこれらのオキソアルコールのアルコキシラートを直接に又はそれらのリン酸エステル又は硫酸エステルの形で、洗剤及び清浄剤における界面活性剤として使用することも公知である。
【0041】
できるだけ節約した物質使用、高い経済性及び僅かな環境負荷のために、清浄剤及び洗剤製造者はそれらの製品及び特にその中に含まれている界面活性剤の有効性の恒常的な改善を得ようと努めている。
【0042】
清浄剤及び洗剤におけるアニオン界面活性剤成分として本発明による前記のアルキルエーテル硫酸塩が公知の薬剤と比較してかなり優れた有効性を発揮することが目下見出された。
【0043】
それゆえ、本発明のさらなる対象は、洗剤及び清浄剤におけるアニオン界面活性剤成分としての一般式Iの前記のアルキルエーテル硫酸塩の使用である。さらに前記の洗剤及び清浄剤は、常用の公知の助剤及び添加剤及び場合により付加的な界面活性剤を含む。
【0044】
本発明による洗剤及び清浄剤の全質量についての一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩の最小含分は、この添加剤の著しい作用が示されるように算定される。
【0045】
好都合には、本発明により使用すべきアルキルエーテル硫酸塩の含分は、洗剤及び清浄剤のその他の成分との相互作用で最適な清浄作用をもたらすように調節される。通例、洗剤及び清浄剤中の本発明による式Iのアルキルエーテル硫酸塩の含分が前記薬剤の全質量に対して、0.01〜40質量%、好ましくは0.1〜35質量%、特に0.1〜30質量%である場合に、良好な清浄作用が達成される。
【0046】
一般式Iの化合物は単一の物質であってよいが、しかしまたこれらは一般式Iに含まれる異なる物質が互いに混合されている混合物であってもよい。これらの混合物の成分は、R、R及びMの意味に関して及びx、y及びzの値に関して異なっていてよい。これは、本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩の元素分析の際に得られた分析値、例えばオキソアルコール構造基について得られたC−及びH−値、及び特にアルコキシ基測定の値が構造式への逆算の際にx、y及びzについての分数値をもたらすことになる。x、y及びzについての平均値は、混合物中に存在している化合物のアルコキシル化度の平均値である。これらの値は1つの化合物のみを含有する試料の場合には整数値である。もちろん、そのような物質混合物も、技術水準に比較して記載された利点を有する一般式Iに含まれる本発明による化合物である。
【0047】
もちろん、クリーナーの組成は、当業者に技術水準からよく知られているように、異なる目的に適合される。このためには、本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩を含有している洗剤及び清浄剤に全ての目的に相応する前記の技術水準から公知の助剤及び添加剤が添加されることができる。
【0048】
多くの場合に、本発明により使用される一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩を、他の非イオン界面活性剤、例えばアルコールアルコキシラート、アルキルアミンアルコキシラート、アルキルアミドアルコキシラート、アルキルポリグルコシドと、又はイオン界面活性剤、好ましくはアニオン界面活性剤、例えば本発明によるアルキルエーテル硫酸塩とは異なるより長鎖の又は長鎖のアルコール硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩と、又は両性界面活性剤、例えばアルキルアミンオキシド、又はベタインと組み合わせることは好都合である。
【0049】
以下に、組合せに適している異なる性質の界面活性剤の例が挙げられる:
非イオン界面活性剤として、例えばアルコキシル化された線状又は分枝鎖状のC−〜C22−アルコール、例えば脂肪アルコールアルコキシラート又はオキソアルコールアルコキシラートが適している。アルコキシル化は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドを用いて実施されることができる。界面活性剤としてこの際に全てのアルコキシル化アルコールが使用可能であり、これらは好ましくは前記のアルキレンオキシドの少なくとも2つの分子を付加して含有する。またこの際に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドのブロックポリマー又は挙げられたアルキレンオキシドをランダム分布で含有する付加生成物が考慮に値する。アルコール1mol当たり少なくとも1つのアルキレンオキシド2〜50mol、好ましくは3〜20molが使用される。好ましくはアルキレンオキシドとしてエチレンオキシドが使用される。アルコールは好ましくは炭素原子10〜18個を有する。アルコキシル化触媒の種類に応じて、幅広い又は狭いアルキレンオキシド−同族体分布を有するアルコキシラートを得ることができる。
【0050】
別のクラスの適している非イオン界面活性剤は、アルキルフェノールアルコキシラート、例えばC〜C14−アルキル鎖及びアルキレンオキシド単位5〜30molを有するアルキルフェノールエトキシラートである。
【0051】
他のクラスの非イオン界面活性剤は、アルキル鎖中に6〜22個、好ましくは8〜18個の炭素原子を有するアルキルポリグルコシドである。これらの化合物は、たいてい1〜20個、好ましくは1〜5個のグルコシド単位を有する。
【0052】
他のクラスの非イオン界面活性剤は、一般構造
【0053】
【化1】

で示されるN−アルキルグルカミドであり、ここでBはC−〜C22−アルキルであり、Bは水素又はC−〜C−アルキルであり、かつDは5〜12個の炭素原子及び少なくとも3個のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシアルキル基である。好ましくはBはC10−〜C18−アルキルを表し、BはCHを表し、かつDはC−又はC−基を表す。例えばそのような化合物は還元的アミノ化された糖をC10−〜C18−カルボン酸の酸塩化物でアシル化することにより得られる。
【0054】
考慮に値する別の非イオン界面活性剤は、国際公開(WO-A)第95/11225号パンフレットから公知の、一般式
−CO−NH−(CH−O−(AO)−R
[式中、
はC−〜C21−アルキル基又はアルケニル基を表し、
はC−〜C−アルキル基を表し、
はC−〜C−アルキレンを表し、
nは2又は3の数を表し、かつ
mは1〜6の値を有する]で示される末端基キャップされた脂肪酸アミドアルコキシラートである。
【0055】
そのような化合物の例は、式HN−(CH−CH−O)−Cのn−ブチルトリグリコールアミンとドデカン酸メチルエステルとの反応生成物又は式HN−(CH−CH−O)−Cのエチルテトラグリコールアミンと飽和C−〜C18−脂肪酸メチルエステルの市販混合物との反応生成物である。
【0056】
さらに、非イオン界面活性剤としてなおエチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドからなるブロックコポリマー(BASFのPluronic(登録商標)−及びTetronic(登録商標)−ブランド)、ポリヒドロキシ脂肪酸誘導体又はポリアルコキシ脂肪酸誘導体、例えばポリヒドロキシ脂肪酸アミド、N−アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミド又はN−アリールオキシポリヒドロキシ脂肪酸アミド、脂肪酸アミドエトキシラート、特に末端基キャップされたもの、並びに脂肪酸アルカノールアミドアルコキシラートが適している。
【0057】
付加的な非イオン界面活性剤は本発明による洗剤及び清浄剤中に好ましくは0.01〜40質量%、特に0.1〜35質量%、とりわけ0.5〜30質量%の量で存在する。
【0058】
個々の非イオン界面活性剤又は異なる非イオン界面活性剤の組合せが使用されることができる。1つのみのクラスからなる非イオン界面活性剤、特にアルコキシル化C−〜C22−アルコールのみ使用されることができるが、しかしまた異なるクラスからなる界面活性剤混合物も使用されることができる。
【0059】
本発明によるアルキルエーテル硫酸塩は、別のアニオン界面活性剤との混合物でも使用されることができる。別のアニオン界面活性剤として、アルケン−及びヒドロキシアルカンスルホン酸塩もしくは−ジスルホン酸塩からなる混合物であってもよいC−〜C24−オレフィンスルホン酸塩及び−ジスルホン酸塩、アルキルエステルスルホン酸塩、スルホン化ポリカルボン酸、アルキルグリセリンスルホン酸塩、脂肪酸グリセリンエステルスルホン酸塩、アルキルフェノールポリグリコールエーテル硫酸塩、炭素原子約20〜約50個を有するパラフィンスルホン酸塩(天然起源から取得されるパラフィン又はパラフィン混合物をベースとする)、アルキルリン酸塩、アシルイセチオン酸塩、アシルタウレート、アシルメチルタウレート、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸又はそれらの半エステル又は半アミド、アルキルスルホコハク酸又はそれらのアミド、スルホコハク酸のモノエステル及びジエステル、アシルサルコシネート、硫酸化アルキルポリグルコシド、アルキルポリグリコールカルボキシレート並びにヒドロキシアルキルサルコシネートが適している。
【0060】
アニオン界面活性剤は洗剤及び清浄剤に好ましくは塩の形で添加される。これらの塩中の適しているカチオンは、アルカリ金属イオン、例えばナトリウム、カリウム及びリチウム及びアンモニウム塩、例えばヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩及びトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩である。
【0061】
アニオン界面活性剤は、本発明による清浄剤中に40質量%まで、とりわけ35質量%まで、特に30質量%までの量で存在する。C−〜C20−直鎖型−アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)が併用される場合には、これらは通常25質量%まで、特に20質量%までの量で使用される。
【0062】
個々のアニオン界面活性剤又は異なるアニオン界面活性剤の組合せが使用されることができる。
【0063】
さらに、本発明により使用すべき一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩は、通常25質量%まで、好ましくは0.1〜15質量%の量のカチオン界面活性剤、例えばC−〜C16−ジアルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、ジアルコキシジメチルアンモニウムハロゲン化物又は長鎖アルキル基を有するイミダゾリニウム塩と;及び/又は通常15質量%まで、好ましくは0.1〜10質量%の量の両性界面活性剤、例えば第二級又は第三級のアミンの誘導体、例えばC〜C18−アルキルベタイン又はC〜C15−アルキルスルホベタイン又はアミンオキシド、例えばアルキルジメチルアミンオキシドと組み合わされることができる。
【0064】
通例、本発明により使用すべき一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩は、ビルダー(金属イオン封鎖剤)、例えばポリリン酸塩、ポリカルボキシレート、ホスホネート、錯化剤、例えばメチルグリシン二酢酸及びそれらの塩、ニトリロ三酢酸及びそれらの塩、エチレンジアミン四酢酸及びそれらの塩と、並びに場合によりコビルダーと組み合わされる。
【0065】
本発明により使用すべき一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩との組合せに好適な個々のビルダー物質は、以下に列挙することができる:
適している無機ビルダーはとりわけ、イオン交換特性を有する結晶質又は無定形のアルミノケイ酸塩、例えば特にゼオライトである。多様なタイプのゼオライト、特にNa形又はNaが部分的に他のカチオン、例えばLi、K、Ca、Mg又はアンモニウムにより交換されている形のゼオライトA、X、B、P、MAP及びHSが適している。適しているゼオライトは例えば米国特許(US-A)第4,604,224号明細書に記載されている。
【0066】
ビルダーとして適している結晶質ケイ酸塩は、例えば二ケイ酸塩又は層状ケイ酸塩、例えばδ−NaSi又はβ−NaSi(SKS 6もしくはSKS 7)である。前記ケイ酸塩は、それらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩の形で、好ましくはケイ酸Na、ケイ酸Li及びケイ酸Mgとして使用されることができる。無定形ケイ酸塩、例えば高分子構造を有するメタケイ酸ナトリウム、又は無定形二ケイ酸塩(Britesil(登録商標) H 20 製造者:Akzo)が同様に使用可能である。
【0067】
炭酸塩ベースの適している無機ビルダー物質は炭酸塩及び炭酸水素塩である。これらは、それらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩の形で使用されることができる。好ましくは炭酸Na、炭酸Li及び炭酸Mgもしくは炭酸水素Na、炭酸水素Li及び炭酸水素Mg、特に炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムが使用される。
【0068】
無機ビルダーとして使用される常用のリン酸塩は、アルカリ金属オルトリン酸塩及び/又はアルカリ金属ポリリン酸塩、例えば三リン酸五ナトリウムである。
【0069】
挙げたビルダー成分は、個々にか又は互いに混合物で使用されることができる。
【0070】
好ましい一実施態様において、本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩を含有している洗剤及び清浄剤は無機ビルダーに加えて、低分子量の、オリゴマー又はポリマーのカルボン酸、特にポリカルボン酸、又はホスホン酸又はそれらの塩、特にNa塩又はK塩の形の有機コビルダー0.05〜20質量%、特に0.1〜10質量%を含有する。
【0071】
有機コビルダーとして適している低分子量のカルボン酸又はホスホン酸は例えば次のものである:
ホスホン酸、例えば1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノ−トリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミン−テトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミン−テトラ(メチレンホスホン酸)及びジエチレントリアミン−ペンタ(メチレンホスホン酸);
−〜C20−ジカルボン酸、−トリカルボン酸及び−テトラカルボン酸、例えばコハク酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸及びC−〜C16−アルキル基もしくは−アルケニル基を有するアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸;C−〜C20−ヒドロキシカルボン酸、例えばリンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グルタル酸、クエン酸、ラクトビオン酸(Lactobionsaeure)及びサッカロースモノジ−及びトリカルボン酸;アミノポリカルボン酸、例えばニトリロ三酢酸、β−アラニン二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、セリン二酢酸、イソセリン二酢酸、アルキルエチレンジアミントリアセテート、N,N−ビス(カルボキシメチル)グルタミン酸、エチレンジアミンジコハク酸及びN−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸、メチルグリシン二酢酸及びエチルグリシン二酢酸。
【0072】
有機コビルダーとして適しているオリゴマー又はポリマーのカルボン酸は例えば次のものである:
例えば欧州特許出願公開(EP-A)第451508号明細書及び欧州特許出願公開(EP-A)第396303号明細書に記載されているオリゴマレイン酸;不飽和C−〜C−ジカルボン酸のコポリマー及びターポリマー、その際にコモノマーとしてモノエチレン系不飽和モノマーが以下に示される群(i)から95質量%までの量で、群(ii)から60質量%までの量で及び群(iii)から20質量%までの量で重合されていてよい。
【0073】
この際に不飽和C−〜C−ジカルボン酸として、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸が適している。マレイン酸が好ましい。
【0074】
群(i)は、モノエチレン系不飽和C〜C−モノカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びビニル酢酸を含む。好ましくは群(i)からはアクリル酸及びメタクリル酸が使用される。
【0075】
群(ii)はモノエチレン系不飽和C−〜C22−オレフィン、C−〜C−アルキル基を有するビニルアルキルエーテル、スチレン、C−〜C−カルボン酸のビニルエステル、(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンを含む。好ましくは群(ii)からはC−〜C−オレフィン、C−〜C−アルキル基を有するビニルアルキルエーテル、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルが使用される。
【0076】
群(ii)のポリマーがビニルエステルを重合して含有する場合には、これらはビニルアルコール構造単位へ部分的に又は完全に加水分解されて存在していてもよい。適しているコポリマー及びターポリマーは例えば米国特許(US-A)第3887806号明細書並びに独国特許出願公開(DE-A)第4313909号明細書から公知である。
【0077】
群(iii)はC−〜C−アルコールの(メタ)アクリルエステル、(メタ)アクリロニトリル、C−〜C−アミンの(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド及びN−ビニルイミダゾールを含む。
【0078】
有機コビルダーとして次のものも適している:モノエチレン系不飽和C〜C−モノカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びビニル酢酸、特にアクリル酸及びメタクリル酸のホモポリマー、ジカルボン酸のコポリマー、例えば質量比10:90〜95:5のマレイン酸及びアクリル酸のコポリマー、特に好ましくは1000〜150000のモル質量を有し、質量比30:70〜90:10のそのようなコポリマー;質量比10(マレイン酸):90(アクリル酸+ビニルエステル)〜95(マレイン酸):10(アクリル酸+ビニルエステル)のマレイン酸、アクリル酸及びC〜C−カルボン酸のビニルエステルからなるターポリマー、その際にアクリル酸対ビニルエステルの質量比は30:70〜70:30の範囲内で変動しうる;モル比40:60〜80:20のマレイン酸とC〜C−オレフィンとのコポリマー、その際にモル比50:50のマレイン酸とエチレン、プロピレン、イソブテン又はジイソブテンとのコポリマーが特に好ましい。
【0079】
低分子量炭水化物又は水素化炭水化物上への不飽和カルボン酸のグラフトポリマーも、同様に有機コビルダーとして適している、米国特許(US-A)第5227446号明細書、独国特許出願公開(DE-A)第4415623号明細書及び独国特許出願公開(DE-A)第4313909号明細書参照。
【0080】
この場合に適している不飽和カルボン酸は、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びビニル酢酸並びにアクリル酸及びマレイン酸からなる混合物であり、これらはグラフトされうる成分に対して40〜95質量%の量でグラフトされる。
【0081】
変性のためには、付加的に、グラフトされうる成分に対して30質量%までの別のモノエチレン系不飽和モノマーが重合されて存在していてよい。適している変性モノマーは、群(ii)及び(iii)の前記のモノマーである。
【0082】
グラフトベースとして、分解された多糖類、例えば酸又は酵素により分解されたデンプン、イヌリン又はセルロース、タンパク質水解物及び還元された(水素化された又は水素化によりアミノ化された)分解された多糖類、例えばマンニトール、ソルビトール、アミノソルビトール及びN−アルキルグルカミン並びにまたM=5000までのモル質量を有するポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシド−もしくはエチレンオキシド/ブチレンオキシドもしくはエチレンオキシド/プロピレンオキシド/ブチレンオキシド−ブロックコポリマー及びアルコキシル化された一価又は多価のC−〜C22−アルコールが適している(米国特許(US-A)第5,756,456号明細書参照)。
【0083】
有機コビルダーとして適しているポリグリオキシル酸は、例えば欧州特許(EP-B)第001004号明細書、米国特許(US-A)第5,399,286号明細書、独国特許出願公開(DE-A)第4106355号明細書及び欧州特許出願公開(EP-A)第656914号明細書に記載されている。ポリグリオキシル酸の末端基は異なる構造を有していてよい。
【0084】
有機コビルダーとして適しているポリアミドカルボン酸及び変性ポリアミドカルボン酸は、例えば欧州特許出願公開(EP-A)第454126号明細書、欧州特許(EP-B)第511037号明細書、国際公開(WO-A)第94/01486号パンフレット及び欧州特許出願公開(EP-A)第581452号明細書から公知である。
【0085】
有機コビルダーとして特にポリアスパラギン酸又はアスパラギン酸と別のアミノ酸、C−〜C25−モノカルボン酸又は−ジカルボン酸及び/又はC−〜C25−モノアミン又は−ジアミンとの共縮合物も使用される。特に好ましくは、リン含有の酸中で製造され、C−〜C22−モノカルボン酸又は−ジもしくはC−〜C22−モノアミン又は−ジアミンで変性されたポリアスパラギン酸が使用される。
【0086】
有機コビルダーとして、さらにイミノジコハク酸、オキシジコハク酸、アミノポリカルボキシレート、アルキルポリアミノカルボキシレート、アミノポリアルキレンホスホネート、ポリグルタメート、疎水性に変性されたクエン酸、例えばアガリシン酸、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸、N−アシルエチレンジアミントリアセテート、例えばラウロイルエチレンジアミントリアセテート及びエチレンジアミン四酢酸のアルキルアミド、例えばEDTA−獣脂アミドが適している。
【0087】
さらに酸化デンプンも有機コビルダーとして使用されることができる。
【0088】
好ましい別の実施態様において、本発明によるアルキルエーテル硫酸塩を含有している洗剤及び清浄剤は付加的に、特に無機ビルダー、アニオン界面活性剤及び/又は非イオン界面活性剤に付加的に、国際公開(WO)第97/19159号パンフレットに記載されているような、グリシン−N,N−二酢酸−誘導体0.5〜20質量%、特に1〜10質量%を含有する。
【0089】
しばしば、本発明によるアルキルエーテル硫酸塩を含有している洗剤及び清浄剤に、漂白剤、例えば過ホウ酸塩、過炭酸塩と、場合により漂白活性剤、例えばテトラアセチルエチレンジアミン、+漂白安定剤とからなる漂白系を添加することも好都合である。
【0090】
これらの場合に、本発明によるアルキルエーテル硫酸塩を含有している洗剤及び清浄剤は付加的に、過カルボン酸、例えばジペルオキソドデカンジカルボン酸、フタルイミド過カプロン酸又はモノペルオキソフタル酸又はモノペルオキソテレフタル酸、無機塩への過酸化水素の付加物、例えば過ホウ酸ナトリウム一水和物、過ホウ酸ナトリウム四水和物、炭酸ナトリウム−過水和物(Perhydrat)又はリン酸ナトリウム過水和物、有機化合物への過酸化水素の付加物、例えば尿素過水和物、又は無機ペルオキソ塩、例えばアルカリ金属過硫酸塩、又はアルカリ金属ペルオキソ二硫酸塩の形の漂白剤0.5〜30質量%、特に5〜27質量%、とりわけ10〜23質量%を、場合により漂白活性剤0〜15質量%、好ましくは0.1〜15質量%、特に0.5〜8質量%との組合せで、含有する。
【0091】
漂白活性剤として次のものが適している:
・ ポリアシル化糖、例えばペンタアセチルグルコース;
・ アシルオキシベンゼンスルホン酸及びそれらのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えばp−ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム又はp−ベンゾイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム;
・ N,N−ジアシル化アミン及びN,N,N′,N′−テトラアシル化アミン、例えばN,N,N′,N′−テトラアセチルメチレンジアミン及びN,N,N′,N′−テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、N,N−ジアセチルアニリン、N,N−ジアセチル−p−トルイジン又は1,3−ジアシル化ヒダントイン、例えば1,3−ジアセチル−5,5−ジメチルヒダントイン;
・ N−アルキル−N−スルホニルカルボンアミド、例えばN−メチル−N−メシルアセトアミド又はN−メチル−N−メシルベンズアミド;
・ N−アシル化環状ヒドラジド、アシル化されたトリアゾール又はウラゾール(Urazole)、例えばモノアセチルマレイン酸ヒドラジド;
・ O,N,N−三置換ヒドロキシルアミン、例えばO−ベンゾイル−N,N−スクシニルヒドロキシルアミン、O−アセチル−N,N−スクシニルヒドロキシルアミン又はO,N,N−トリアセチルヒドロキシルアミン;
・ N,N′−ジアシルスルフリルアミド、例えばN,N′−ジメチル−N,N′−ジアセチルスルフリルアミド又はN,N′−ジエチル−N,N′−ジプロピオニルスルフリルアミド;
・ アシル化ラクタム、例えばアセチルカプロラクタム、オクタノイルカプロラクタム、ベンゾイルカプロラクタム又はカルボニルビスカプロラクタム;
・ アントラニル誘導体、例えば2−メチルアントラニル又は2−フェニルアントラニル;
・ トリアシルシアヌレート、例えばトリアセチルシアヌレート又はトリベンゾイルシアヌレート;
・ オキシムエステル及びビスオキシムエステル、例えばO−アセチルアセトンオキシム又はビスイソプロピルイミノカーボネート;
・ 無水カルボン酸、例えば無水酢酸、安息香酸無水物、m−クロロ安息香酸無水物又は無水フタル酸;
・ エノールエステル、例えばイソプロペニルアセテート;
・ 1,3−ジアシル−4,5−ジアシルオキシ−イミダゾリン、例えば1,3−ジアセチル−4,5−ジアセトキシイミダゾリン;
・ テトラアセチルグリコールウリル及びテトラプロピオニルグリコールウリル;
ジアシル化2,5−ジケトピペラジン、例えば1,4−ジアセチル−2,5−ジケトピペラジン;
・ アンモニウム置換ニトリル、例えばN−メチルモルホリニウム−アセトニトリルメチル硫酸塩;
・ プロピレンジ尿素及び2,2−ジメチルプロピレンジ尿素のアシル化生成物、例えばテトラアセチルプロピレンジ尿素;
・ α−アシルオキシポリアシルマロンアミド、例えばα−アセトキシ−N,N′−ジアセチルマロンアミド;
・ ジアシル−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、例えば1,5−ジアセチル−2,4−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン;
・ アルキル基、例えばメチル、又は芳香族基、例えばフェニルを2位に有するベンズ−(4H)1,3−オキサジン−4−オン。
【0092】
漂白剤及び漂白活性剤からなる記載された漂白系は、場合によりなお漂白触媒を含有していてよい。適している漂白触媒は、例えば米国特許(US-A)第5,360,569号明細書及び欧州特許出願公開(EP-A)第453 003号明細書に記載されている、例えば四級化イミン及びスルホンイミンである。特に有効な漂白触媒は、例えば国際公開(WO-A)第94/21777号パンフレットに記載されているマンガン錯体である。そのような化合物は、清浄剤におけるそれらの使用の場合に多くとも1.5質量%まで、特に0.5%質量%までの量で、極めて活性なマンガン錯体の場合に0.1質量%までの量で配合される。
【0093】
漂白剤、漂白活性剤及び場合により漂白触媒からなる記載された漂白系に加えて、本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩を含有している洗剤及び清浄剤のためには、酵素による過酸化物放出を伴う系又は光活性化される漂白系の使用も可能である。
【0094】
多数の用途の場合に、本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩を含有している洗剤及び清浄剤が酵素を含有することは好都合である。好ましくは洗剤及び清浄剤において使用される酵素はプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ及びセルラーゼである。酵素の中では、既製の酵素が好ましくは0.1〜2.5質量%、特に好ましくは0.2〜1.5質量%の量で添加される。適しているプロテアーゼは例えばSavinase及びEsperase(製造者:Novo Nordisk)である。適しているリパーゼは例えばLipolase(製造者:Novo Nordisk)である。適しているセルラーゼは例えばCelluzym(製造者:Novo Nordisk)である。漂白系の活性化のためのペルオキシダーゼの使用も可能である。個々の酵素又は異なる酵素の組合せが使用されることができる。場合により、本発明によるアルキルエーテル硫酸塩を含有している洗剤及び清浄剤はなお酵素安定剤、例えばプロピオン酸カルシウム、ギ酸ナトリウム又はホウ酸又はそれらの塩、及び/又は酸化防止剤を含有していてよい。
【0095】
洗剤及び清浄剤の成分は当業者に原則的に公知である。適している成分の前記の及びさらに以下に続くリストは、公知の適している成分の例示的な一部のみを表す。
【0096】
本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩を含有している洗剤及び清浄剤は、これまでに挙げた主成分に加えて、なお次の別の常用の添加剤をそのために常用の量で含有していてよい:
公知の分散剤、例えばナフタレンスルホン酸縮合物又はポリカルボキシレート、pHを調節する化合物、例えばアルカリ(NaOH、KOH、メタケイ酸五ナトリウム)又は酸(塩酸、リン酸、アミド硫酸、クエン酸)、緩衝系、例えば酢酸緩衝液又はリン酸緩衝液、香料、染料、殺生物剤、例えばイソチアゾリノン又は2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、可溶化剤/ヒドロトロープ、例えばクメンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、短鎖脂肪酸、尿素、アルコール又はリン酸アルキル/−アリールエステル、アルキル/アリール−ポリグリコールリン酸エステル、溶剤、例えば短鎖アルキルオリゴグリコール、例えばブチルグリコール、ブチルジグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、芳香族溶剤、例えばトルエン、キシレン、N−アルキルピロリドン又はアルキレンカーボネート、増粘剤、例えば多糖類、及び/又は弱く架橋されたポリカルボキシレート(例えばGoodrich社のCarbopol(登録商標))、微粒状の研磨成分、例えば石英粉又は大理石粉、白亜、ケイソウ土、軽石又はまた磨きべんがら又は金剛砂、泡の安定化又は抑制のための発泡調節剤、皮膚保護剤及び防食剤、殺菌性化合物又は系、例えば塩素又は次亜塩素酸を遊離するそのようなもの、例えばジクロロイソシアヌレート又はヨウ素を含有するそのようなもの。
【0097】
洗剤及び清浄剤は通常、しかし専らではないが、水性であり、かつマイクロエマルション、乳濁液又は溶液の形で存在する。
【0098】
これらが固体の粉末状形で存在すべきである場合には、付加的に、それらに良好な流動性、配量性及び溶解度を付与する及び/又は固化及びダスチングを防止する常用の増量剤(Stellmittel)、例えば硫酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムが使用されることができる。
【0099】
タブレット形の洗剤及び清浄剤の場合に、付加的にタブレット化助剤、例えば>1000g/molのモル質量を有するポリエチレングリコール、ポリマー分散液、及びタブレット崩壊剤、例えばセルロース誘導体、架橋ポリビニルピロリドン、架橋ポリアクリレート又は酸及び塩基、例えばクエン酸及び重炭酸ナトリウムからなる組合せが必要とされるが、幾つかのみを挙げる。
【0100】
本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩を含有している洗剤及び清浄剤は、それらの清浄作用の点で匹敵しうる洗剤及び清浄剤よりも意外なことにかなり優れている。
【0101】
さらにまた本発明は化学工業的な用途における本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩の使用に関する。
【0102】
特に、本発明は、繊維助剤、製紙助剤及び皮革助剤、消火フォーム、農薬製剤における、乳化重合における、金属前処理のため、セラミック工業用の助剤として、冷潤滑剤として又は乳化プロセスにおける、本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩の使用に関する。
【0103】
さらに本発明は化粧品用途における一般式Iの本発明によるアルキルエーテル硫酸塩の使用に関する。
【0104】
特に、本発明は、シャワーゲル、ヘアシャンプー、浴用添加剤、合成洗剤、ローション、油/香油、液体ハンドソープ及びクリーム用乳化剤における本発明による一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩の使用に関する。
【0105】
さらに本発明は、一般式Iのアルキルエーテル硫酸塩を含有している洗剤及び清浄剤又は化粧品に関するものであり、その際に商Aは、上記で定義されたように1より大きい。
【0106】
実施例
アルコール/アルコールアルコキシラートの硫酸化のための一般規定
組成が表1に記載されているアルコール成分を撹拌装置中に装入し、窒素で不活性化する。激しく撹拌しながら等モル量のクロロスルホン酸を4時間かけて滴加する。その際に温度は30℃未満に保持する。この粘稠な溶液に、残っているHClを追い出すために一晩に亘り室温で窒素を流す。引き続いて反応バッチを等モル量の50%NaOH中へ滴加するので、温度は45℃を上回り上昇しない。pH値を、場合により50%NaOHもしくは50%HSOを用いて8〜9に調節する。
【0107】
【表1】

PO=プロピレンオキシド、EO=エチレンオキシド、WAS=洗浄活性物質、cmc=臨界ミセル濃度;A=cmc(参考例x)/cmc(例x)。
【0108】
臨界ミセル濃度(cmc)の値[単位:mmol/l]は、濃度系列を通して表面張力測定のDeNuoy法を用いて決定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
RO−(CHCHO)−(CH−CHRO)−(CHCHO)SO (I)
[式中、
Rは、線状又は分枝鎖状のC〜C18−アルキル基又は異なる線状又は分枝鎖状のC〜C18−アルキル基の混合物であり、
は、メチル、エチル又はそれらの混合物であり、
は、アルカリ金属、NH及びHNRからなる群から選択されるカチオンであり、その際にRは、線状又は分枝鎖状のアルキル基、CHCHOH及びCHCH(OH)CHからなる群から選択されており、
xは、0〜3の平均値を有し、
yは、1〜10の平均値を有し、
zは、0〜30の平均値を有する]で示され、
臨界ミセル濃度cmcの商Aが
【数1】

である、アルキルエーテル硫酸塩。
【請求項2】
前記基が次の意味を有する:
Rは、線状又は分枝鎖状のC10〜C18−アルキル基又は異なる線状又は分枝鎖状のC10〜C18−アルキル基の混合物であり、
は、メチルであり、
xは、0〜2の平均値を有し、
yは、1〜3の平均値を有し、
zは、0〜10の平均値を有する、請求項1記載のアルキルエーテル硫酸塩。
【請求項3】
前記基が次の意味を有する:
Rは、線状又は分枝鎖状のC10〜C15−アルキル基又は異なる線状又は分枝鎖状のC10〜C15−アルキル基の混合物であり、
は、メチルであり、
xは、0であり、
yは、1〜2の平均値を有し、
zは、0〜4の平均値を有する、請求項1又は2記載のアルキルエーテル硫酸塩。
【請求項4】
洗剤及び清浄剤におけるアニオン界面活性剤成分としての、請求項1から3までのいずれか1項記載のアルキルエーテル硫酸塩の使用。
【請求項5】
洗剤及び清浄剤が、粉末洗剤、コンパクト洗剤、超コンパクト洗剤、洗剤押出物、洗剤ゲル、液体洗剤、液体洗剤カプセル("パウチ")、液体洗剤濃縮物、食器用洗剤、自動食器洗い機用食器用洗剤、磨き用クリーナー又は磨き用ミルク、手洗い用ペースト又は手洗い用ゲル、汎用クリーナー、ガラス用クリーナー、窓用クリーナー、床用クリーナー、バス用クリーナー、トイレ用クリーナー、台所用クリーナー、屠殺場用クリーナー、カーシャンプー及び金属用クリーナーからなる群から選択されている、請求項4記載の使用。
【請求項6】
化学工業的な用途におけるアニオン界面活性剤成分としての、請求項1から3までのいずれか1項記載のアルキルエーテル硫酸塩の使用。
【請求項7】
化学工業的な用途が、繊維助剤、製紙助剤及び皮革助剤、消火フォーム、農薬製剤、乳化重合における使用、金属前処理のため、セラミック工業用の助剤として、冷潤滑剤として及び乳化プロセスにおける用途からなる群から選択されている、請求項6記載の使用。
【請求項8】
化粧品用途における、請求項1から3までのいずれか1項記載のアルキルエーテル硫酸塩の使用。
【請求項9】
化粧品用途が、シャワーゲル、ヘアシャンプー、浴用添加剤、合成洗剤、ローション、油/香油、液体ハンドソープ及びクリーム用乳化剤からなる群から選択されている、請求項8記載の使用。
【請求項10】
請求項1から3までのいずれか1項記載のアルキルエーテル硫酸塩を含有している、洗剤又は清浄剤又は化粧品。

【公表番号】特表2007−534669(P2007−534669A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552540(P2006−552540)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001319
【国際公開番号】WO2005/077893
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】