説明

アルキルグリシジルエーテルの製造方法

【課題】副生する金属塩の除去操作を必要とせず、水資源を有効に利用することで廃水の発生を著しく低減でき、さらにアルキルグリシジルエーテルを高い収量にて得ることのできる、アルキルグリシジルエーテルの製造方法の提供。
【解決手段】不均一相系(油相/水相)から成る、クロロヒドリンエーテルの濃度が5質量%以上、水及び電解質を含む組成物(A)をバイポーラ膜24,25を有する電気透析装置に導入し電流を印加して、バイポーラ膜24,25によって発生するOH−の作用によりクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)中のクロロヒドリンエーテルをアルキルグリシジルエーテルへと変換すると同時に、副生するCl−をHCl(塩酸)として分離・回収する、アルキルグリシジルエーテルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキルグリシジルエーテルの製造方法に関し、より詳細にはバイポーラ膜を有する電気透析装置を用いたアルキルグリシジルエーテルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルキルグリシジルエーテルは、酸触媒の存在下、アルコールとエピクロロヒドリンとを反応させてクロロヒドリンエーテル化合物を得た後に、クロロヒドリンエーテルと当量以上のアルカリ剤(水酸化カルシウム等)を用いて下記反応式に示すように閉環反応させることにより製造されている。
【0003】
【化1】

(式中、Rは、原料アルコールからヒドロキシ基を1つ除いた残基を示す。)
【0004】
しかし、アルカリ剤を用いて閉環反応を行う際には、アルカリ剤由来の金属塩が多量に副生する。そのため、これら金属塩の除去等を目的として、水洗等の処理工程が必要となり、大量の水資源を必要とするばかりか、金属塩と有機物を含む廃水が発生するという課題があり、その解決が求められている。
【0005】
一方、特許文献1には、クロロヒドリンエーテル化合物を親水性有機溶媒に溶解した状態でアルカリ剤と反応させ、反応生成物から固相のアルカリ金属塩を分離した後、液相から有機溶媒及びグリシジルエーテルを回収する方法が記載されている。
また、特許文献2には、バイポーラ膜を有する電気透析装置にα−ハロヒドリン水溶液を導入し、電気透析反応によりα−ハロヒドリンの閉環反応を行うエポキシ化合物の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−240594号公報
【特許文献2】米国特許第5980724号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載される方法では、副生する金属塩の除去や水資源の削減という観点からは改善がみられるものの、添加した有機溶媒の分離・回収などの工程が新たに必要となり、まだ十分に満足できる方法ではない。
また、特許文献2に記載される方法では、アルカリ剤を用いずに反応することから、廃水に多量の金属塩が含まれることはないという観点からは改善がみられるものの、α−ハロヒドリンを水に均一に溶解した状態で電気透析装置に導入する必要があり(即ち、α−ハロヒドリン濃度の低い水溶液を導入する必要があり)、適用する電気量に対して、得られるエポキシ化合物の収量は低い。また、均一相系(水相系)での反応であるため、得られる反応生成物を分層して水を再利用することは容易ではなく、水資源の有効利用という観点からは、まだ十分に満足できる方法ではない。
【0008】
従って、本発明の課題は、水資源を有効に利用することができ、アルキルグリシジルエーテルを高い収量にて得ることのできる、アルキルグリシジルエーテルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、バイポーラ膜を有する電気透析装置に対して特定の組成物を導入し、不均一系相で反応させることによって、アルカリ剤を使用せずにアルキルグリシジルエーテルを高収率で得ることができ、更に水資源の有効利用、即ち排水量の低減ができるようになるというプロセス上の利点を見出し、本発明を完成したものである。
本発明は、下記工程1及び工程2を含むアルキルグリシジルエーテルの製造方法を提供する。
工程1:下記区画1及び2を含む電気透析装置の区画1に、クロロヒドリンエーテルの濃度が5質量%以上、電解質及び水を含む組成物(A)(以下、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)と云うこともある)を導入し直流電流を通電することにより、区画1においてクロロヒドリンエーテルをアルキルグリシジルエーテルへと変換して組成物(B)を得ると同時に、区画1にて副生する塩化物イオン(Cl-)をアニオン交換膜を通過させて区画2に移動させて塩酸として分離・回収する工程
区画1:アニオン交換膜と第1のバイポーラ膜のアニオン交換膜側との間に画定される区画
区画2:区画1を画定する前記アニオン交換膜を隔てて区画1と隣接する区画であって、前記アニオン交換膜と第2のバイポーラ膜のカチオン交換膜側との間に画定される区画
工程2:工程1で得られた組成物(B)を分層し、アルキルグリシジルエーテルを含有する油相層と水相層に分離する工程
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法に従ってアルキルグリシジルエーテルを製造することにより、アルカリ剤を用いることなくクロロヒドリンエーテルの閉環反応を行うことが可能となり、アルカリ剤の使用に伴う多量の金属塩の副生がない(それ故、金属塩の除去操作をほとんど必要としない)。
また、クロロヒドリンエーテル濃度の高い組成物について電気透析法による閉環反応を行うため、適用する電気量当たり十分な量のアルキルグリシジルエーテルを得ることができる。
さらに、電気透析法による閉環反応を均一相系ではなく不均一相系(クロロヒドリンエーテルを含む油相/水及び電解質から成る水相)にて行うため、反応生成物を分層して容易に水を分離・再利用することが可能となり、水資源を有効に利用することで廃水の発生を著しく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に用いる電気透析装置の一実施態様
【図2】本発明に用いる電気透析装置の他の実施態様
【発明を実施するための形態】
【0012】
<工程1>
本発明の工程1において使用するクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)の入手については、特に限定されるものではない。
公知の方法によって合成、精製されたクロロヒドリンエーテル、又は、その過程で得られる反応組成物や精製途中の組成物に水及び電解質を添加して、クロロヒドリンエーテルの濃度を電気透析反応時のアルキルグリシジルエーテルの収量並びに電流効率の観点から好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜65質量%、更に好ましくは25〜65質量%、より更に好ましくは35〜65質量%、特に好ましくは40〜55質量%に調製し、組成物(A)を得ることができる。ここで電流効率とは、下記数式で算出する値をいう。
【数1】

具体的な例として、アルコールとエピクロロヒドリンの既知の方法によって反応した反応物組成物、それらからの精製物等が挙げられる。
【0013】
本発明の製造方法は、アルキルグリシジルエーテルの生産のみを考慮するとクロロヒドリンエーテル単品を原料として得られたクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を用いるのが最も好ましいが、クロロヒドリンエーテル単品を得るためには精製が必要であり、一般的には、中間体としてクロロヒドリンエーテルを含む組成物を原料として供するのが、操作性及び生産性の観点から好ましい。
【0014】
又、アルキルグリシジルエーテルの生産性、原料の入手容易性の観点から、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)の調製に用いるクロロヒドリンエーテルはクロロヒドリンエーテルの含有量が、好ましくは5〜100質量%、更に好ましくは25〜100質量%、特に好ましくは50〜100質量%(100質量%はクロロヒドリンエーテル単品を意味する)であるクロロヒドリンエーテル組成物を用いるのが好適である。
【0015】
クロロヒドリンエーテルは、一般的には、酸触媒の存在下、アルコールとエピクロロヒドリンとを反応させて得ることができる。
【0016】
アルコールとしては、下記一般式(I)で表されるアルコールを好適に用いることができる。
R−OH (I)
(式中、Rは炭素数3〜22の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
【0017】
一般式(I)で表されるアルコールであれば何れも好適に用いることができるが、工程1における反応を不均一系にて行い、工程2における分層をより容易に行う観点から、一般式(I)中のRは、より好ましくは炭素数3〜18、更に好ましくは炭素数5〜12、特に好ましくは8〜12の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基又はアルケニル基であることが好適である。好適なアルコールの具体例としては、ブタノール、ペンタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、より好ましくはペンタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、更に好ましくはオクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノールを挙げることができる。
【0018】
アルコールとエピクロロヒドリンの使用量は、クロロヒドリンエーテル収率の観点から、アルコール1モルに対して、エピクロロヒドリン0.1〜10モル、好ましくは0.5〜2モルが使用される。
【0019】
触媒としては、例えば、硫酸などに代表される均一系ブレンステッド酸や、四塩化スズや三フッ化ホウ素、アルミニウムアルコキシドとフェノール類又はスルホン酸類からなる触媒(特開平10−36307号公報)などに代表される均一系ルイス酸などが挙げられる。
その使用量は、反応性及び生産性の観点から、エピクロロヒドリン1モルに対して、好ましくは0.001〜10モル、より好ましくは0.002〜5モル、更に好ましくは0.003〜1モルとすることができる。
【0020】
なお、かかる触媒は、工程1の電気透析法を行う前に除去することが好ましい。例えば、上述のようなアルミニウムアルコキシドとフェノール類又はスルホン酸類からなる触媒を用いる場合は、水酸化ナトリウム等のアルカリ成分を添加することで析出固化させることができ、容易に除去することができる。
アルカリ成分の添加量としては、工程1で塩の生成をより少なくするために、使用した触媒の酸成分1モルに対して、好ましくは0.8〜1.2モル、より好ましくは0.9〜1.1モルである。
【0021】
工程1に用いるクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)の原料となるクロロヒドリンエーテルの入手については、特に限定されるものではないが、例えば、上述のようなアルコールとエピクロロヒドリンを反応させて得た場合には、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)は、クロロヒドリンエーテルの他、主に、未反応のアルコールを含有する組成物である。
【0022】
クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)の原料が、このようなクロロヒドリンエーテルと未反応のアルコールを含有する反応組成物であるような場合、そのまま電気透析装置に導入しても、ほとんど通電性を示さず、電気透析反応は起こらない。従って、このような反応組成物に水及び電解質を添加して、電気透析反応に利用し得るクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)とする。
【0023】
水としては、イオン交換水を用いることが好適である。また、電解質としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができ、塩化ナトリウムが好ましい。
【0024】
水及び電解質を添加してクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を得るにあたり、電気透析反応後の反応生成物を分層して水(及び電解質)を容易に回収する観点から、クロロヒドリンエーテルの濃度を5質量%以上とし、不均一相(即ち、クロロヒドリンエーテル(及び、場合によっては、未反応のアルコール等を含有する)から成る油相/水及び電解質から成る水相)を含む組成物(A)を得ることが重要である。
不均一相を含む組成物(A)を使用することによって、アルカリ剤を使用せずにアルキルグリシジルエーテルを高収率で得ることができ、更に水資源の有効利用、即ち排水量の低減ができるようになるというプロセス上の利点がある。
【0025】
本願発明のクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)におけるクロロヒドリンエーテルの濃度は、電気透析反応時のアルキルグリシジルエーテルの収量並びに電流効率の観点から、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜65質量%、更に好ましくは25〜65質量%、より更に好ましくは35〜65質量%、特に好ましくは40〜55質量%であることが好適である。
又、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)の原料として、上記に具体例として挙げたようなクロロヒドリンエーテルと未反応のアルコールを含有する反応組成物を使用するような場合には、電気透析反応時のアルキルグリシジルエーテルの収量並びに電流効率の観点から、油相層を形成する油相成分の濃度は、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)全体に対して、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは35〜75質量%、であることが好適である。
【0026】
クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)における電解質の濃度は、電気透析反応が進行する限り特に制限されないが、電流効率の観点から、0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。
【0027】
なお、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)の調製において添加する水及び電解質の一部又は全部として、下記工程2において分層により回収された水相を再利用することができる。これにより、水資源の有効利用が図られ、廃水の発生を著しく低減させることができる。
【0028】
更に、工程1は、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)をバイポーラ膜を有する電気透析装置に導入して、クロロヒドリンエーテルをアルキルグリシジルエーテルへと電気透析反応により変換する工程である。
【0029】
ここで、バイポーラ膜は、アニオン交換膜とカチオン交換膜とが貼り合わされた構造を有する。バイポーラ膜のアニオン交換膜側を陽極側に、カチオン交換膜側を陰極側にして電気透析装置に組み込むことにより、電流印加時、そのアニオン交換膜−カチオン交換膜界面において、水が分解してH+とOH-を発生することが知られている。
本発明では、このとき発生するOH-を用いることにより、従来のアルカリ剤を用いることなくクロロヒドリンエーテルの閉環反応を行うものである。
【0030】
工程1に用いられる電気透析装置の一実施態様を図1に例示する。図1に例示する態様では、電気透析装置は、陰極板(21)を備える陰極室(10)と、陽極板(22)を備える陽極室(11)との間に、区画1(12)と区画2(13)を備える。
区画1(12)は、陰極室(10)の一端を画定する第1のバイポーラ膜(24)のアニオン交換膜側(24a)とアニオン交換膜(23)とによって画定され、また、区画2(13)は、陽極室(11)の一端を画定する第2のバイポーラ膜(25)のカチオン交換膜側(25b)とアニオン交換膜(23)とによって画定されており、区画1(12)と区画2(13)は、アニオン交換膜(23)を隔てて隣接して設けられている。
【0031】
陰極室(10)はまた、電解質水溶液を導入するための入口(30)と、電解質水溶液を排出するための出口(40)を備える。陽極室(11)及び区画2(13)もまた、電解質水溶液を導入するための入口(31、33)と、排出するための出口(41、43)をそれぞれ備える。
【0032】
区画1(12)は、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を導入するための入口(32)と、排出するための出口(42)を備える。
【0033】
区画1(12)にクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を導入し電流を印加すると、第1のバイポーラ膜(24)のアニオン交換膜(24a)−カチオン交換膜(24b)界面で発生したOH-が第1のバイポーラ膜(24)のアニオン交換膜(24a)を通過して区画1(12)に供給される。このOH-は、区画1(12)において、クロロヒドリンエーテルと下記反応式に従って反応し、アルキルグリシジルエーテルをもたらす。
こうして区画1(12)において、アルキルグリシジルエーテルを含む組成物(B)が得られる。
【0034】
【化2】

(式中、Rは一般式(I)中のRと同じ意味を示す)
【0035】
上記反応により区画1(12)にて副生する塩化物イオン(Cl-)は、アニオン交換膜(23)を通過して区画2(13)へと移動する。一方、区画2(13)では、電流印加時、第2のバイポーラ膜(25)のアニオン交換膜(25a)−カチオン交換膜(25b)界面で発生したH+が第2のバイポーラ膜(25)のカチオン交換膜(25b)を通過して供給されており、区画1(12)から移動したCl-は区画2(13)においてH+と反応してHCl(塩酸)をもたらす。
【0036】
区画2(13)において発生する塩酸は、例えば、エピクロロヒドリンを製造するための原料として再利用することができる。
【0037】
なお、区画2(13)に導入される電解質水溶液に用いる電解質としては、上記クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を調製する際に用いたものと同じものを用いることができるほか、塩酸も用いることができる。
また、区画2(13)に供給する電解質水溶液の電解質濃度は、電気透析反応が進行する限り特に制限されないが、電流効率の観点から、好ましくは0〜35質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、更に好ましくは0.2〜10質量%であることが好適である。
【0038】
陰極室(10)及び陽極室(11)に導入する電解質水溶液は、電解質として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を含有するものが好ましく、電解質の濃度は電流効率の観点から、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.5〜10質量%であることが好適である。
【0039】
区画1(12)へのクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)の導入、並びに陰極室(10)、陽極室(11)及び区画2(13)への電解質水溶液の導入の何れに関しても、電気透析反応が進行する限り、ポンプを用いて循環通液させてもよいし、各区画/電極室を1回のみ通過するようにしてもよい。
【0040】
工程1において電気透析装置に印加する電流は、上記の電気透析反応が進行する限り特に制限されないが、生産性及び電流効率の観点から、好ましくは50〜1500A/m2、より好ましくは100〜1200A/m2の電流密度にて通電することが好適である。
【0041】
また、区画1に導入されたクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)は、電気透析反応の間、その温度を効率の観点から、好ましくは5〜90℃、より好ましくは10〜60℃、更に好ましくは10〜50℃の範囲に維持することが好適である。
【0042】
バイポーラ膜を有する電気透析装置を用いてクロロヒドリンエーテルをアルキルグリシジルエーテルへと変換する本発明の製造方法では、アルカリ剤の使用に伴う多量の金属塩の副生が起こらないばかりか、上記のように、副生する塩化物イオン(Cl-)を、例えば、エピクロロヒドリン原料となる塩酸として分離・回収することができる。
【0043】
工程1において、電気透析反応の後、区画2において分離・回収される塩酸濃度は再利用の観点から、好ましくは0.1〜35質量%、より好ましくは0.5〜20質量%とすることができ、これは、エピクロロヒドリンの製造原料としても好適である。
【0044】
図1には区画1及び2をそれぞれ1つ備える電気透析装置を例示したが、図2に示すように、区画1と区画2を交互に複数設けて成る電気透析装置を用い得ることは当業者には容易に理解されよう。
また、区画1に導入する組成物/区画2に導入する電解質、から求められる質量比は、効率の観点から、0.1〜10が好ましく、0.5〜2がより好ましく、1.0〜1.5が更に好ましい。
【0045】
<工程2>
工程2は、工程1で得られた組成物(B)を分層し、アルキルグリシジルエーテルを含有する油相と水相に分離する工程である。
【0046】
工程1の電気透析反応を経て電気透析装置の区画1において得られる組成物(B)は、例えば、アルコールとエピクロロヒドリンを反応させて得たクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を原料とした場合、アルキルグリシジルエーテルの他、未反応のクロロヒドリンエーテルやアルコール、並びに水及び電解質を含む不均一相系(即ち、アルキルグリシジルエーテル、クロロヒドリンエーテル及びアルコールから成る油相/水及び電解質から成る水相)から成る組成物である。
【0047】
本発明の組成物(B)の分層は、特に制限されるものではなく、一般的な工業プロセスで用いられる方法で行うことができる。具体的には、静置分層法、遠心分層法等の方法を用いることができる。
【0048】
本発明の組成物(B)は、静置させることによって容易に油相層と水相層とに分層させることができる。
【0049】
組成物(B)を静置させて油相層と水相層とに分層させるにあたり、組成物(B)の温度を好ましくは5〜90℃、より好ましくは10〜85℃の範囲に維持することが好適である。
【0050】
分層により得られる水相は、電解質濃度が好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは0.1〜1質量%の範囲にあり、上記クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)の調製時に添加する水及び電解質の一部又は全部として再利用するのに好適である。
【0051】
このように、工程1の電気透析反応を経て電気透析装置の区画1にて得られる不均一相系から成る組成物(B)は、分層させることにより、油相からアルキルグリシジルエーテルを高収量にて得ることができると共に、水相層はクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)の調製に再利用することができ、廃水の量を著しく低減させることができる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例により本発明を説明するが、かかる実施例により本発明が制限されるものでないことに留意されたい。また、特に断らない限り、「%」は「質量%」を表す。なお、以下の実施例及び比較例において、各組成物の分析は下記のガスクロマトグラフィ分析法に従って行った。
【0053】
<ガスクロマトグラフィ分析>
・装置:HEWLETT PACKARD社製、HP6850Series GC System
・カラム:Agilent Technologies社製、HP-50+、30m長×0.32mm径×0.25μm膜厚
・検出器:FID
・昇温条件:50℃(2min保持)→10℃/min→280℃(5min保持)
・Injection温度:280℃
・Detector温度:280℃
【0054】
また、以下の実施例及び比較例においては、下記の原料を用いた。
・2−エチルヘキサノール:関東化学製 2−エチルヘキサノール 鹿1級
・アルミニウムイソプロポキシド:川研ファインケミカル製 アルミニウムイソプロピレート
・98%硫酸:シグマアルドリッチジャパン製 硫酸 JIS special grade
・エピクロロヒドリン:DOW CHEMICAL製 エピクロルヒドリン
・48%水酸化ナトリウム:トクヤマ製 苛性ソーダ(48%)
・塩化ナトリウム:キシダ化学製 塩化ナトリウム 特級
【0055】
クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)の原料となるクロロヒドリンエーテル(A1)(反応組成物)の製造例
ガラス製容器に2−エチルヘキサノール5060.0g、アルミニウムイソプロポキシド27.1g、98%硫酸20.7gを入れ、攪拌下、80〜100℃に調整した後、エピクロロヒドリン2400.0gを240分かけて滴下して反応を行い、50℃に調整した後に、48%水酸化ナトリウム34.5gを添加し、0.2μm PTFEフィルター(アドバンテック東洋製 PTFEメンブランフィルター)を用いて濾過して、クロロヒドリンエーテル5300gを含む組成物(A1)7400g(未反応の2−エチルヘキサノールを含む)を得た。この組成物(A1)を以下、実施例1〜7、比較例1に用いた。
【0056】
実施例1
組成物(A1)60.0gに塩化ナトリウム12.0g及びイオン交換水528.0gを添加してクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)(クロロヒドリンエーテル42.6g含有)を得た。
工程1:アニオン交換膜(株式会社アストム製AHA、有効面積55cm2)10枚、バイポーラ膜(株式会社アストム製BP-1E、有効面積55cm2)11枚を、図2に示すように交互に配列させた電気透析装置(株式会社アストム製マイクロアシアイザーEX3B型)の区画1にクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を、また区画2に塩化ナトリウム10.0g及びイオン交換水490.0gから成る電解質水溶液を、それぞれ、撹拌下、ポンプにて循環通液させ、陰極−陽極間電圧を30V一定に保ちながら、直流電流を通電させて、2時間、電気透析反応を行った。流れた積算電流量は11.9Ah、平均電流密度は1000A/m2、区画1の液温は15〜40℃の範囲であった。
反応後、区画1において組成物(B)354.9gを得た。組成物(B)をガスクロマトグラフィーにより成分分析したところ、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)のクロロヒドリンエーテルのうち31.8gが2−エチルヘキシルグリシジルエーテルへと変換されており、アルカリ剤を用いることなく変換反応を行うことができた。また、区画2では1.8%塩酸644gを得た。
工程2:組成物(B)を15℃にて静置させたところ、油相46.6gと水相308.3gに容易に分離させることができた。分離した水相の塩化ナトリウム濃度は0.2%であり、水相を再利用しても塩化ナトリウムは濃くならないため、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を得るときに再利用可能であった。
【0057】
実施例2
組成物(A1)150.0gに塩化ナトリウム12.0g及びイオン交換水438.0gを添加してクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)(クロロヒドリンエーテル106.5g含有)を得、かかるクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を工程1において電気透析装置の区画1に攪拌下ポンプにて循環通液させた以外は実施例1と同様にして、2時間、電気透析反応を行った。流れた積算電流量は12.0Ah、平均電流密度は1000A/m2、区画1の液温は15〜40℃の範囲であった。
反応後、区画1において組成物(B)332.8gを得た。組成物(B)をガスクロマトグラフィーにより成分分析したところ、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)のクロロヒドリンエーテルのうち49.7gが2−エチルヘキシルグリシジルエーテルへと変換されており、アルカリ剤を用いることなく変換反応を行うことができた。また、区画2では1.8%塩酸645gを得た。
組成物(B)を15℃にて静置させたところ、油相116.5gと水相216.3gに容易に分離させることができた。分離した水相の塩化ナトリウム濃度は0.2%であり、水相を再利用しても塩化ナトリウムは濃くならないため、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を得るときに再利用可能であった。
【0058】
実施例3
組成物(A1)210.0gに塩化ナトリウム12.0g及びイオン交換水378.0gを添加してクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)(クロロヒドリンエーテル149.1g含有)を得、かかるクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を工程1において電気透析装置の区画1に攪拌下ポンプにて循環通液させた以外は実施例1と同様にして、2時間、電気透析反応を行った。流れた積算電流量は12.0Ah、平均電流密度は1000A/m2、区画1の液温は15〜40℃の範囲であった。
反応後、区画1において組成物(B)319.8gを得た。組成物(B)をガスクロマトグラフィーにより成分分析したところ、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)のクロロヒドリンエーテルのうち54.8gが2−エチルヘキシルグリシジルエーテルへと変換されており、アルカリ剤を用いることなく変換反応を行うことができた。また、区画2では1.8%塩酸635gを得た。
組成物(B)を15℃にて静置させたところ、油相163.1gと水相156.7gに容易に分離させることができた。分離した水相の塩化ナトリウム濃度は0.2%であり、水相を再利用しても塩化ナトリウムは濃くならないため、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を得るときに再利用可能であった。
【0059】
実施例4
組成物(A1)300.0gに塩化ナトリウム12.0g及びイオン交換水288.0gを添加してクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)(クロロヒドリンエーテル213.0g含有)を得、かかるクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を工程1において電気透析装置の区画1に攪拌下ポンプにて循環通液させた以外は実施例1と同様にして、2時間、電気透析反応を行った。流れた積算電流量は11.4Ah、平均電流密度は1000A/m2、区画1の液温は15〜40℃の範囲であった。
反応後、区画1において組成物(B)311.0gを得た。組成物(B)をガスクロマトグラフィーにより成分分析したところ、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)のクロロヒドリンエーテルのうち61.1gが2−エチルヘキシルグリシジルエーテルへと変換されており、アルカリ剤を用いることなく変換反応を行うことができた。また、区画2では1.7%塩酸638gを得た。
組成物(B)を15℃にて静置させたところ、油相233.0gと水相78.0gに容易に分離させることができた。分離した水相の塩化ナトリウム濃度は0.2%であり、水相を再利用しても塩化ナトリウムは濃くならないため、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を得るときに再利用可能であった。
【0060】
実施例5
組成物(A1)360.0gに塩化ナトリウム12.0g及びイオン交換水228.0gを添加してクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)(クロロヒドリンエーテル255.6g含有)を得、かかるクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を工程1において電気透析装置の区画1に攪拌下ポンプにて循環通液させた以外は実施例1と同様にして、2時間、電気透析反応を行った。流れた積算電流量は9.8Ah、平均電流密度は450〜1000A/m2、区画1の液温は15〜40℃の範囲であった。
反応後、区画1において組成物(C)369.3gを得た。組成物(B)をガスクロマトグラフィーにより成分分析したところ、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)のクロルヒドリンエーテルのうち60.0gが2−エチルヘキシルグリシジルエーテルへと変換されており、アルカリ剤を用いることなく変換反応を行うことができた。また、区画2では1.5%塩酸596gを得た。
組成物(B)を15℃にて静置させたところ、油相305.0gと水相60.0gに容易に分離することができた。分離した水相の塩化ナトリウム濃度は0.7%であり、水相を再利用しても塩化ナトリウムは濃くならないため、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を得るときに再利用可能であった。
【0061】
実施例6
組成物(A1)450.0gに塩化ナトリウム12.0g及びイオン交換水138.0gを添加してクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)(クロロヒドリンエーテル319.5g含有)を得、かかるクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を工程1において電気透析装置の区画1に攪拌下ポンプにて循環通液させた以外は実施例1と同様にして、2時間、電気透析反応を行った。流れた積算電流量は5.5Ah、平均電流密度は290〜910A/m2、区画1の液温は15〜40℃の範囲であった。
反応後、区画1において組成物(B)392.4gを得た。組成物(B)をガスクロマトグラフィーにより成分分析したところ、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)のクロルヒドリンエーテルのうち46.9gが2−エチルヘキシルグリシジルエーテルへと変換されており、アルカリ剤を用いることなく変換反応を行うことができた。また、区画2では1.0%塩酸567gを得た。
組成物(B)を15℃にて静置させたところ、油相349.5gと水相42.9gに容易に分離することができた。分離した水相の塩化ナトリウム濃度は0.7%であり、水相を再利用しても塩化ナトリウムは濃くならないため、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を得るときに再利用可能であった。
【0062】
実施例7
組成物(A1)300.0gに塩化ナトリウム12.0gとイオン交換水210.0g及び実施例4において組成物(B)を分層・分離して得られた水相部78.0gを添加してクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)(クロロヒドリンエーテル213.0g含有)を得、かかるクロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を工程1において電気透析装置の区画1に攪拌下ポンプにて循環通液させた以外は実施例1と同様にして、2時間、電気透析反応を行った。流れた積算電流量は11.6Ah、平均電流密度は1000A/m2、区画1の液温は15〜40℃の範囲であった。
反応後、区画1において組成物(B)307.1gを得た。組成物(B)をガスクロマトグラフィーにより成分分析したところ、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)のクロロヒドリンエーテルのうち62.6gが2−エチルヘキシルグリシジルエーテルへと変換されており、アルカリ剤を用いることなく変換反応を行うことができた。また、区画2では1.8%塩酸640gを得た。
組成物(B)を15℃にて静置させたところ、油相233.0gと水相74.1gに容易に分離させることができた。分離した水相の塩化ナトリウム濃度は0.2%であり、水相を再利用しても塩化ナトリウムは濃くならないため、更に、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を得るときに再利用可能であった。
【0063】
実施例1〜7における電気透析反応の条件及び結果を表1にまとめて示す。
【0064】
【表1】

【0065】
比較例1
組成物(A1)250.0gを40℃に調整し、撹拌下、48%水酸化ナトリウム93.5g及びイオン交換水156.5gを添加して、3時間反応を行った後、組成物(B)500gを得た。
組成物(B)を15℃にて静置させたところ、油相197.9gと水相226.0gに容易に分離することができたが、水相の塩化ナトリウム濃度は12.3%と高く、水相を再利用する場合、なんらかの方法で塩化ナトリウムを除去しなければ、濃度が濃くなるのはあきらかであるから、水相を再利用できず、廃水とした。
【符号の説明】
【0066】
10 陰極室
11 陽極室
12 区画1
13 区画2
21 陰極板
22 陽極板
23 アニオン交換膜
24 第1のバイポーラ膜
24a 第1のバイポーラ膜のアニオン交換膜側
24b 第1のバイポーラ膜のカチオン交換膜側
25 第2のバイポーラ膜
25a 第2のバイポーラ膜のアニオン交換膜側
25b 第2のバイポーラ膜のカチオン交換膜側
30、31、32、33 入口
40、41、42、43 出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程1及び工程2を含むアルキルグリシジルエーテルの製造方法。
工程1:下記区画1及び2を含む電気透析装置の区画1に、クロロヒドリンエーテルの濃度が5質量%以上、電解質及び水を含む組成物(A)(以下、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)と云うこともある)を導入し直流電流を通電することにより、区画1においてクロロヒドリンエーテルをアルキルグリシジルエーテルへと変換して組成物(B)を得ると同時に、区画1にて副生する塩化物イオン(Cl−)をアニオン交換膜を通過させて区画2に移動させて塩酸として分離・回収する工程
区画1:アニオン交換膜と第1のバイポーラ膜のアニオン交換膜側との間に画定される区画
区画2:区画1を画定する前記アニオン交換膜を隔てて区画1と隣接する区画であって、前記アニオン交換膜と第2のバイポーラ膜のカチオン交換膜側との間に画定される区画
工程2:工程1で得られた組成物(B)を分層し、アルキルグリシジルエーテルを含有する油相層と水相層に分離する工程
【請求項2】
上記クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)が、触媒の存在下、アルコールとエピクロロヒドリンとを反応させて得られるクロロヒドリンエーテルを含む組成物である、請求項1記載の製造法。
【請求項3】
請求項2記載のアルコールが、下記一般式(I)で表されるアルコールである、請求項2記載の製造方法。
R−OH (I)
(式中、Rは炭素数3〜22の、直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
【請求項4】
クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)のクロロヒドリンエーテル濃度が5〜70質量%である、請求項1〜3の何れか1項記載の製造方法。
【請求項5】
クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)に対して油相層を形成する油相成分の濃度が10〜90質量%である、請求項1〜4の何れか1項記載の製造方法。
【請求項6】
工程2において得られた水相層を、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を構成する水及び電解質の一部又は全部として用いる、請求項1〜5の何れか1項記載の製造方
法。
【請求項7】
クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)の電解質の濃度が0.01〜30質量%である、請求項1〜6の何れか1項記載の製造方法。
【請求項8】
工程1の、区画2において分離・回収される塩酸濃度が0.1〜35質量%である、請求項1〜7の何れか1項記載の製造方法。
【請求項9】
工程1において、通電する直流電流の電流密度が50〜1500A/m2である、請求項1〜8の何れか1項記載の製造方法。
【請求項10】
工程1の、区画2において分離・回収される塩酸を、クロロヒドリンエーテルを含む組成物(A)を得るときに使用するエピクロロヒドリンの製造に再利用する、請求項2記載の製造方法。
【請求項11】
組成物(B)の分層により得られる水層の電解質濃度が0.1〜20質量%である、請求項1〜10の何れか1項記載の製造方法。
【請求項12】
区画1に導入する組成物/区画2に導入する電解質の質量比が0.1〜10である、請求項1〜11の何れか1項記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−21228(P2012−21228A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132810(P2011−132810)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】