説明

アルコール回収および蒸留廃液副生成物の濃縮システムおよび方法

発酵供給物からアルコール、特にブタノールを分離し低濃度蒸留廃液をシロップに濃縮するシステムおよび方法は、複数列の多重効用蒸発システムにおいて低濃度蒸留廃液の濃縮から発生したスチームによって供給される熱を用いる、1つまたは複数のアルコール回収蒸留塔の操作を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年12月21日に出願された米国仮特許出願第61/288,439号明細書の優先権の利益を主張し、その開示内容はすべて参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、発酵プロセスにおいて生成されたアルコールを回収し、蒸留廃液副生成物を濃縮するプロセスに関し、特に、蒸留廃液副生成物から水を蒸発させることから発生する廃熱を利用してアルコールを回収することに関する。
【背景技術】
【0003】
たとえばエタノールの製造のための燃料グレードアルコール製造プロセスは、通常、アルコールをもたらす水および粉砕穀粒の混合物の発酵と、塔頂生成物としてのアルコール、ならびに水に穀粒固形分および溶解固形分の低濃度蒸留廃液を含む蒸留塔底副生成物を回収する発酵混合物の蒸留とを含む。この蒸留塔副生成物は、通常、そこからの水の蒸発によって濃縮され、ジスチラーズドライドグレインソリュブル(Distiller’s Dried Grains with Solubles)(DDGS)、すなわち家畜用の貴重な飼料をもたらす。
【0004】
燃料グレードアルコール製造をより経済的にするために、アルコール製造プロセスにおけるさまざまなステップを操作するために必要な外部エネルギーおよび水を低減することが望ましい。これを、たとえば、1つの単位操作の廃熱を、プロセスの別の単位操作で使用する熱源として統合し(プロセス間熱交換)、廃水流をプロセスに戻すように再循環させることによって達成することができる。たとえば、Vander Griendの特許文献1は、低濃度蒸留廃液を濃縮することから発生する蒸気が発酵混合物の蒸留を操作するための熱を提供することができる、エタノール製造プロセスを記載している。
【0005】
特許文献1に記載されているエタノール製造プロセスでは、4つの第1効用蒸発装置および4つの第2効用蒸発装置の直列配置が低濃度蒸留廃液を濃縮し、第2効用蒸発装置からの第2効用スチームが、プロセスの蒸留部分を操作するために使用される。特許文献1に記載されているもののような、4つの第1効用蒸発装置および4つの第2効用蒸発装置を組み込んでいる例示的な従来の乾式粉砕エタノールプラント100の概要を、図1を参照して説明する。図1に示すように、エタノールプラント100は、発酵部110を含み、そこでは、高温水104および粉砕穀粒102(たとえばトウモロコシ)が、混合されてマッシュを形成し、調理(cook)され、発酵槽においてイーストによって発酵させられ、発酵供給物106をもたらす。発酵供給物を、任意の不凝縮ガスに対する脱ガス装置(図示せず)に送り、その後、ビール塔120において、塔頂のエタノールに富む(ethanol−rich)蒸気108(たとえば120プルーフ)とビール塔底生成物116とに分離することができる。脱ガス装置からの不凝縮ガスをさらに処理して、任意のエタノールを、ビール塔120に戻すことができる凝縮液(図示せず)として回収し、ガスをスクラバ(図示せず)に送ることができる。スクラバ水(図示せず)を、プロセスの発酵部110に再循環させることができる。
【0006】
ビール塔120からのエタノールに富む蒸気108は精留塔130に入り、そこで、塔頂蒸気110として、エタノールがより高濃度(たとえば190プルーフ)であるエタノール蒸気が生成される。蒸留部110において粉砕穀粒および水の加熱からのスチーム129もまた、精留塔のストリッピング部に供給して、塔底において液体のエタノールをストリッピングするのに役立たせることができる。190プルーフエタノール蒸気110は、部分140において凝縮してモレキュラシーブにおいて加熱器によって脱水され、高グレードエタノール蒸気生成物112(たとえば199.5プルーフ)をもたらす。そして、エタノール蒸気生成物112を、冷却器/凝縮器145によって冷却し凝縮させて、液体エタノール生成物112’’をもたらすことができる。モレキュラスリーブを、幾分かのエタノールを含む可能性がある吸収水を取り出すことによって再生することができる。取り出された水を、再生冷却器/凝縮器(図示せず)によって冷却/凝縮させ、再生流114を介して精留器130に戻すことができる。精留塔に不凝縮ガスが存在する場合、これらのガスを回収して、スクラバ(図示せず)に送ることも可能である。
【0007】
大部分、水、溶解物質および粉砕穀粒からの未発酵固形分を含むビール塔120からのビール塔底生成物116を、遠心分離機160に送り、ジスチラーズグレイン(distiller’s grain)172として知られる大部分固体成分と、低濃度蒸留廃液118として知られる大部分液体成分とに分離することができる。低濃度蒸留廃液の一部118’を、発酵部110において発酵混合物に再度導入することができ、残りを、プラントの蒸発部150に送ることができる。蒸発部150では、低濃度蒸留廃液118から水が蒸発してシロップ158を生成する。蒸発部は、(それぞれのライン157を介して)直列に接続された4つの第1効用蒸発装置151、152、153および154と、(それぞれのライン157を介して)直列に接続された4つの第2効用蒸発装置161、162、163および164とを含む。第1効用蒸発装置のうちの最初の3つの蒸発装置151、152および153は、低濃度蒸留廃液から水を蒸発させる熱源としてプラントスチーム190を使用して操作され、第4の第1効用蒸発装置154は、エタノール蒸気生成物流112から取り出されたエタノール蒸気112’を用いて操作される。第1効用蒸発装置は、低濃度蒸留廃液から水を徐々に蒸発させて、中濃度蒸留廃液156を生成する。中濃度蒸留廃液156は、第1の第2効用蒸発装置161に送られ、その後、連続して、中濃度蒸留廃液から水を徐々に蒸発させる後続の第2効用蒸発装置162、163および164に送られシロップ158を生成する。混合機170においてシロップ158をジスチラーズグレイン172に添加することにより、ジスチラーズグレイン乾燥機180において乾燥される混合供給物174を生成し、DDGSをもたらすことができる。
【0008】
第2効用蒸発装置は、第1効用蒸発装置において発生した第1効用スチーム192を用いて操作される。第2効用蒸発装置において発生した第2効用スチーム194は、ビール塔120の操作のための熱を提供するように送り出される。蒸発装置からのスチーム凝縮液は、凝縮液ライン(図示せず)を介して排出され、それを、加熱してプロセスの発酵部110に再循環させることができる。特許文献1は、蒸発装置に至るさまざまなラインに弁を設け、それにより、4つの第1効用蒸発装置151、152、153および154のうちのいずれか1つならびに4つの第2効用蒸発装置161、162、163および164のうちのいずれか1つを保守のためにオフラインにしてバイパスすることができることを記載している。
【0009】
他のアルコールの回収プロセスでは、特許文献1に記載されているような第2効用スチームの使用は、廃熱の効率的な統合ではない場合がある。さらに、他のアルコールの製造は、エタノールプラント200および特許文献1に記載されているエタノールプロセスにおけるように、蒸発装置用の熱源として組み込むことができる、過熱アルコール蒸発生成物をもたらさない可能性がある。たとえば、ブタノールは、燃料添加剤として、ディーゼル燃料に対する混合成分として、プラスチック業界における化学原料として、かつ食品および香料業界における食品等級抽出剤としての使用等、種々の用途があるアルコールである。ブタノールは、エタノールよりエネルギー密度が高く、標準内燃機関において燃焼する際にCOのみ発生しSOまたはNOはほとんどあるいはまったく発生しないため、燃料または燃料添加剤として好まれる。さらに、ブタノールは、エタノールより腐食し難く、これまで最も好ましい燃料添加剤である。毎年、石油化学手段によって100億〜120億ポンドのブタノールが製造されている。ブタノールに対する予測需要量が増大するに従い、発酵によりトウモロコシ、サトウキビまたはセルロース系飼料等の再生可能資源からブタノールを製造することに対する関心が広がっている。
【0010】
所与の粉砕穀粒荷重に対して、ブタノール製造はエタノール製造よりエネルギー効率が低い可能性がある。ブタノール製造プロセスにおける発酵混合物は、通常、発酵槽におけるブタノール製造微生物に対するブタノールの毒性のために、ブタノールの濃度が低い。ブタノールを製造する発酵プロセスでは、インサイチュでの生成物取出しによって、有利に、微生物のブタノール阻害が軽減し、発酵混合物におけるブタノール濃度を制御することにより発酵速度が向上する。インサイチュでの生成物取出しの技術には、ストリッピング、吸収、パーベーパレーション、膜溶媒抽出および液−液抽出が挙げられる。液−液抽出では、抽出剤が発酵混合物と接触してブタノールを発酵ブロスと抽出剤相とに分割する。ブタノールおよび抽出剤は、分離プロセスにより、たとえば蒸留によって回収される。回収プロセスでは、ブタノールを、任意の水、不凝縮ガス、および/または抽出剤を使用して発酵ブロスから取り出されている可能性がある発酵副生成物から分離することも可能である。したがって、ブタノール製造には、ブタノール含有抽出剤相からブタノールを回収する、エタノール製造にはない単位操作が含まれる可能性がある。さらに、ブタノールの製造では、ブタノール回収プロセスの蒸留部が、高温ブタノール蒸気生成物をもたらさない可能性がある。また、第2効用スチームは、ブタノール回収のために蒸留塔を操作するのに必要であるより高温である可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7,297,236号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
必要なのは、依然として操作に柔軟性がありながらエネルギー効率がよい、アルコール、特にブタノールを回収するシステムおよび方法である。本出願は、以下の実施形態の説明によって明らかとなるように、これらの必要および他の必要を満足させ、さらなる関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、蒸留を用いて発酵供給物からアルコールを回収し、同様のサイズの既存のエタノールプラントで見られるものとは別の構成で追加の蒸発装置を用いることにより、低濃度蒸留廃液副生成物をシロップに濃縮するシステムおよびプロセスを提供する。一実施形態では、本発明は、蒸留廃液副生成物の濃縮から発生する廃熱を効率的に利用する、抽出剤からブタノールを回収するシステムおよびプロセスを提供する。一実施形態では、本発明は、発酵供給物からアルコールを分離し、低濃度蒸留廃液をシロップに濃縮する方法を提供する。本方法は、大気圧より低い圧力で維持されるビール塔において、発酵供給物の少なくとも一部を分離して、(i)アルコールに富んだ蒸気と(ii)低濃度蒸留廃液を含むアルコールが少ないビール塔底生成物とを生成することを含む。
【0014】
したがって、本明細書では、発酵供給物からアルコールを分離し低濃度蒸留廃液をシロップに濃縮する方法であって、大気圧より低い圧力で維持されているビール塔において発酵供給物の少なくとも一部を分離して、(i)アルコールに富む蒸気と、(ii)低濃度蒸留廃液を含むアルコールが少ないビール塔底生成物とを生成するステップと、直列に配置された少なくとも2つの第1効用蒸発装置を用いて、低濃度凝縮廃液から水を蒸発させて、第1中濃度蒸留廃液および第1効用スチームを生成するステップと、直列に配置された少なくとも2つの第2効用蒸発装置を用いて、第1効用スチームからの熱によって生成された第1中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて、第2中濃度蒸留廃液および第2効用スチームを生成するステップと、少なくとも1つの第3効用蒸発装置を用いて、第2効用スチームからの熱によって生成された第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させてシロップを生成するステップと、最後の効用蒸発装置によって生成される最後の効用スチームの少なくとも一部を用いて、ビール塔において発酵供給物を蒸留するための熱を供給するステップとを含む方法が提供される。実施形態では、本方法は、直列に配置された3つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された3つの第2効用蒸発装置と、直列に配置された3つの第3効用蒸発装置とを備える3つの効用を含む。実施形態では、本方法は、直列に配置された2つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された2つの第2効用蒸発装置と、直列に配置された2つの第3効用蒸発装置とを備え、直列に配置された2つの第4効用蒸発装置をさらに備える4つの効用を含む。実施形態では、本方法は、直列に配置された4つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された4つの第2効用蒸発装置と、少なくとも1つの第3効用蒸発装置とを備える3つの効用を含む。実施形態では、本方法は、直列に配置された2つ〜4つの第3効用蒸発装置を含む。実施形態では、ビール塔において発酵供給物から蒸留されたアルコールに富む蒸気は、ブタノールに富む蒸気である。実施形態では、ビール塔において発酵供給物から蒸留されたアルコールに富む蒸気は、ブタノールに富む蒸気であり、発酵供給物は溶媒を含む。実施形態では、低濃度蒸留廃液は主に水を含む。実施形態では、低濃度蒸留廃液は溶媒を含み、溶媒は、C12〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪族アルデヒド、C12〜C22脂肪酸アミドのうちの少なくとも1つを含む。実施形態では、本方法は、発酵供給物を溶媒に富む部分と溶媒が少ない部分とに分離するステップであって、溶媒が少ない部分がビール塔において蒸留された発酵供給物の部分である、ステップと、溶媒塔において溶媒に富む部分を分離して溶媒が少なくアルコールに富む蒸気と溶媒に富みアルコールが少ない液体とを生成するステップであって、溶媒塔が、ビール塔と並列に操作され、大気圧より低い圧力で維持される、ステップと、最後の効用スチームの一部を使用して、溶媒塔において発酵供給物の溶媒に富む部分を蒸留するために十分な熱を供給するステップとをさらに含む。実施形態では、本方法は、ビール塔で生成されたブタノールに富む蒸気を凝縮して第1のブタノールに富む液体を生成するステップと、溶媒塔で生成された溶媒が少ない蒸気を凝縮して溶媒が少ない液体を生成するステップと、第1のブタノールに富む液体と溶媒が少ない液体とを結合してブタノールを含む液体を生成するステップと、ブタノールを含む液体を分離して第2のブタノールに富む液体およびブタノールが少ない液体を生成するステップと、蒸留塔において第2のブタノールに富む液体を蒸留して、実質的に100wt%のブタノールの液体塔底生成物を生成するステップとをさらに含む。実施形態では、第1効用蒸発装置は、蒸発装置のうちの1つを、残りの第1効用蒸発装置が動作し続けている間にバイパスすることができるように配置される。実施形態では、第2効用蒸発装置は、蒸発装置のうちの1つを、残りの第2効用蒸発装置が動作し続けている間にバイパスすることができるように配置される。実施形態では、第2効用蒸発装置は、蒸発装置のうちの1つを、残りの第2効用蒸発装置が動作し続けている間にバイパスすることができるように配置される。実施形態では、第3効用蒸発装置は、蒸発装置のうちの1つを、残りの第3効用蒸発装置が動作し続けている間にバイパスすることができるように配置される。実施形態では、第3効用蒸発装置は、蒸発装置のうちの1つを、残りの第3効用蒸発装置が動作し続けている間にバイパスすることができるように配置される。実施形態では、第4効用蒸発装置は、蒸発装置のうちの1つを、残りの第3効用蒸発装置が動作し続けている間にバイパスすることができるように配置される。実施形態では、本方法は、ビール塔で生成された低濃度蒸留廃液を第1効用蒸発装置に並列に供給するステップをさらに含む。実施形態では、本方法は、プラントスチームを使用して、第1効用蒸発装置において低濃度蒸留廃液から水を蒸発させるために十分な熱を供給するステップをさらに含む。
【0015】
本明細書ではまた、発酵供給物からアルコールを分離して低濃度蒸留廃液をシロップに濃縮するシステムであって、発酵供給物を受け取る入口を有するビール塔であって、アルコールに富む蒸気を排出する頂部出口と、ジスチラーズグレインおよび低濃度蒸留廃液を含むアルコールの少ないビール塔底生成物を排出するビール塔底出口とを有し、低濃度蒸留廃液が主に水を含み任意に溶媒を含む、ビール塔と、低濃度蒸留廃液を濃縮する多重効用蒸発システムであって、低濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第1効用スチームおよび第1中濃度蒸留廃液を生成する一組の第1効用蒸発装置であって、直列に接続された少なくとも第1の第1効用蒸発装置および第2の第1効用蒸発装置を含み、第1の第1効用蒸発装置が、ビール塔のビール塔底出口と連通して、ビール塔底生成物の低濃度蒸留廃を受け取る蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第1効用蒸発装置が、先の第1効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第1効用蒸発装置の各々が、蒸気源から加熱蒸気を受け取る蒸気入口を有し、各第1効用蒸発装置が、加熱蒸気が低濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、低濃度蒸留廃液から水が徐々に蒸発して第1中濃度蒸留廃液および第1効用スチームを生成し、各第1効用蒸発装置が、第1効用スチームを放出する第1効用スチーム出口を有する、一組の第1効用蒸発装置と、第1中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第2効用スチームおよび第2中濃度蒸留廃液を生成する一組の第2効用蒸発装置であって、直列に接続された少なくとも第1の第2効用蒸発装置および第2の第2効用蒸発装置を含み、第1の第2効用蒸発装置が、最後の第1効用蒸発装置の蒸留廃液出口と接続された蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第2効用蒸発装置が、先の第2効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第2効用蒸発装置の各々が、第1効用スチーム出口に接続された蒸気入口を有し、各第2効用蒸発装置が、第1効用スチームが第1中濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、第1中濃度蒸留廃液から水が徐々に蒸発して第2中濃度蒸留廃液および第2効用スチームを生成し、各第2効用蒸発装置が、第2効用スチームを放出する第2効用スチーム出口を有する、一組の第2効用蒸発装置と、第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第3効用スチームおよびシロップを生成する一組の第3効用蒸発装置であって、直列に接続された少なくとも第1の第3効用蒸発装置および第2の第3効用蒸発装置を含み、第1の第3効用蒸発装置が、最後の第2効用蒸発装置の蒸留廃液出口と接続された蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第3効用蒸発装置が、先の第3効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第3効用蒸発装置の各々が、第2効用スチーム出口に接続された蒸気入口を有し、各第3効用蒸発装置が、第2効用スチームが第2中濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、第2中濃度蒸留廃液から水が徐々に蒸発してシロップおよび第3効用スチームを生成し、各第3効用蒸発装置が、第3効用スチームを放出する第3効用スチーム出口を有する、一組の第3効用蒸発装置と、を備える多重効用蒸発システムと、最後の効用蒸発装置の最後の効用スチーム出口をビール塔の蒸気入口に接続し、それにより最後の効用スチームの少なくとも一部がビール塔の操作のための熱を提供するようにするスチームラインとを備えるシステムが提供される。実施形態では、本システムは、直列に配置された3つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された3つの第2効用蒸発装置と、直列に配置された3つの第3効用蒸発装置とを備える3つの効用を備える。実施形態では、本システムは、直列に配置された2つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された2つの第2効用蒸発装置と、直列に配置された2つの第3効用蒸発装置とを備え、直列に配置された2つの第4効用蒸発装置をさらに備える4つの効用を備える。実施形態では、本システムは、直列に配置された4つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された4つの第2効用蒸発装置と、少なくとも1つの第3効用蒸発装置とを備える3つの効用を備える。実施形態では、本システムは、直列に配置された2つ〜4つの第3効用蒸発装置を備える。実施形態では、本システムは、ビール塔底生成物のジスチラーズグレインから低濃度蒸留廃液を分離するように構成された分離器と、分離器とビール塔底出口とを接続するビール塔底ラインと、分離器と第1の第1効用蒸発装置の蒸留廃液入口とを接続する低濃度蒸留廃液ラインとをさらに備える。実施形態では、分離器は、遠心分離器またはフィルタプレスである。実施形態では、本システムは、第1低濃度蒸留廃液ラインに接続された第2低濃度蒸留廃液ラインおよび第3低濃度蒸留廃液ラインをさらに備え、第2の第1効用蒸発装置および第3の第1効用蒸発装置の各々の蒸留廃液入口は、それぞれの第2低濃度蒸留廃液ラインおよび第3低濃度蒸留廃液ラインと連通しており、それにより、第1の第1効用蒸発装置、第2の第1効用蒸発装置および第3の第1効用蒸発装置は、分離器から並列に低濃度蒸留廃液を受け取ることができる。実施形態では、ビール塔の蒸気入口における圧力は大気圧より低い。実施形態では、本システムは、溶媒を含む発酵供給物の部分を受け取る入口を有し、溶媒が少なくアルコールに富む蒸気を排出する頂部出口と、溶媒に富みアルコールが少ない液体用の底部出口とを有し、ビール塔と並列に操作される溶媒塔と、最後の効用蒸発装置の最後の効用スチーム出口を溶媒塔の蒸気入口に接続し、それにより、最後の効用スチームの一部が溶媒塔の操作用の熱を提供するようにし、溶媒塔の蒸気入口における圧力が大気圧より低い、第2スチームラインとをさらに備える。実施形態では、第1効用蒸発装置は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。実施形態では、第2効用蒸発装置は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。実施形態では、第3効用蒸発装置は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。実施形態では、第4効用蒸発装置は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ前記蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。実施形態では、第1効用蒸発装置、第2効用蒸発装置および第3効用蒸発装置の各々は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。実施形態では、ビール塔の頂部出口は、ブタノールに富む蒸気を排出する。実施形態では、低濃度蒸留廃液は溶媒を含み、溶媒は、C12〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪族アルデヒドまたはC12〜C22脂肪酸アミドのうちの少なくとも1つを含む。実施形態では、低濃度蒸留廃液は、発酵供給原料からの油を含む。
【0016】
本明細書では、発酵供給物からアルコールを分離し低濃度蒸留廃液をシロップに濃縮する方法であって、大気圧より低い圧力で維持されているビール塔において発酵供給物の少なくとも一部を分離して、(i)アルコールに富む蒸気と、(ii)低濃度蒸留廃液を含むアルコールが少ないビール塔底生成物とを生成するステップと、直列に配置された少なくとも2つの第1効用蒸発装置を用いて、低濃度凝縮廃液から水を蒸発させて、第1中濃度蒸留廃液および第1効用スチームを生成するステップと、直列に配置された少なくとも2つの第2効用蒸発装置を用いて、第1効用スチームからの熱によって生成された第1中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて、第2中濃度蒸留廃液および第2効用スチームを生成するステップと、少なくとも1つの第3効用蒸発装置を用いて、第2効用スチームからの熱によって生成された第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させてシロップを生成するステップと、最後の効用スチームの少なくとも一部を用いて、ビール塔において発酵供給物を蒸留するための熱を供給するステップとを含む方法が提供される。実施形態では、本方法は、直列に配置された3つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された3つの第2効用蒸発装置と、直列に配置された3つの第3効用蒸発装置とを含む。実施形態では、本方法は、直列に配置された2つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された2つの第2効用蒸発装置と、直列に配置された2つの第3効用蒸発装置とを含み、直列に配置された2つの第4効用蒸発装置をさらに含む。実施形態では、本方法は、直列に配置された4つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された4つの第2効用蒸発装置と、少なくとも1つの第3効用蒸発装置とをを含む。実施形態では、本方法は、直列に配置された2つ〜4つの第3効用蒸発装置を含む。実施形態では、ビール塔において発酵供給物から蒸留されたアルコールに富む蒸気は、ブタノールに富む蒸気である。実施形態では、ビール塔において発酵供給物から蒸留されたアルコールに富む蒸気は、ブタノールに富む蒸気であり、発酵供給物は溶媒を含む。実施形態では、本方法は、発酵供給物を溶媒に富む部分と溶媒が少ない部分とに分離するステップであって、溶媒が少ない部分がビール塔において蒸留された発酵供給物の部分である、ステップと、溶媒塔において溶媒に富む部分を分離して溶媒が少なくアルコールに富む蒸気と溶媒に富みアルコールが少ない液体とを生成するステップであって、溶媒塔が、ビール塔と並列に操作され、大気圧より低い圧力で維持される、ステップと、最後の効用スチームの一部を使用して、溶媒塔において発酵供給物の溶媒に富む部分を蒸留するために十分な熱を供給するステップとをさらに含む。実施形態では、低濃度蒸留廃液は主に水を含む。実施形態では、低濃度蒸留廃液は溶媒を含む。実施形態では、低濃度蒸留廃液は溶媒を含み、溶媒は、C12〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪族アルデヒド、C12〜C22脂肪酸アミドのうちの少なくとも1つを含む。実施形態では、低濃度蒸留廃液は、発酵供給原料からの油を含む。
【0017】
本明細書では、発酵供給物からアルコールを分離し低濃度蒸留廃液をシロップに濃縮する方法であって、大気圧より低い圧力で維持されているビール塔において発酵供給物の少なくとも一部を分離して、(i)アルコールに富む蒸気と、(ii)低濃度蒸留廃液を含むアルコールが少ないビール塔底生成物とを生成するステップと、直列に配置された3つの第1効用蒸発装置を用いて、低濃度凝縮廃液から水を蒸発させて、第1中濃度蒸留廃液および第1効用スチームを生成するステップと、直列に配置された3つの第2効用蒸発装置を用いて、第1効用スチームからの熱によって生成された第1中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて、第2中濃度蒸留廃液および第2効用スチームを生成するステップと、直列に配置された3つの第3効用蒸発装置を用いて、第2効用スチームからの熱によって生成された第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させてシロップを生成するステップと、第3効用スチームの少なくとも一部を用いて、ビール塔において発酵供給物を蒸留するための熱を供給するステップとを含む方法もまた提供される。実施形態では、低濃度蒸留廃液は主に水を含む。実施形態では、低濃度蒸留廃液は溶媒を含む。実施形態では、低濃度蒸留廃液は、発酵供給原料からの油を含む。実施形態では、発酵供給物は溶媒を含み、本方法は、発酵供給物を溶媒に富む部分と溶媒が少ない部分とに分離するステップであって、溶媒が少ない部分がビール塔において蒸留された発酵供給物の部分である、ステップと、溶媒塔において溶媒に富む部分を分離して溶媒が少なくアルコールに富む蒸気と溶媒に富みアルコールが少ない液体とを生成するステップであって、溶媒塔が、ビール塔と並列に操作され、大気圧より低い圧力で維持される、ステップと、第3効用スチームの一部を使用して、溶媒塔において発酵供給物の溶媒に富む部分を蒸留するために十分な熱を供給するステップとをさらに含む。実施形態では、ビール塔において発酵供給物から蒸留されたアルコールに富む蒸気は、ブタノールに富む蒸気である。実施形態では、本方法は、ビール塔において生成されたブタノールに富む蒸気を凝縮して第1のブタノールに富む液体を生成するステップと、溶媒塔において生成された溶媒の少ない蒸気を凝縮して溶媒の少ない液体を生成するステップと、第1のブタノールに富む液体と溶媒の少ない液体とを結合してブタノールを含む液体を生成するステップと、ブタノールを含む液体を分離して、第2のブタノールに富む液体およびブタノールの少ない液体を生成するステップと、蒸留塔において第2のブタノールに富む液体を蒸留して実質的に100wt%ブタノールの液体塔底生成物を生成するステップとをさらに含む。
【0018】
発酵供給物からブタノールを分離して低濃度蒸留廃液をシロップに濃縮する方法であって、水および粉砕穀粒を含む混合物を発酵させてブタノールを含む発酵供給物を生成するステップと、発酵供給物に溶媒を添加して溶媒に富む相および溶媒の少ない相を含む二相混合物を生成するステップと、溶媒が少ない相から溶媒に富む相を分離するステップと、大気圧より低い圧力で維持されているビール塔において溶媒の少ない相を蒸留して、(i)ブタノールに富む蒸気および(ii)低濃度蒸留廃液を含むブタノールの少ないビール塔底生成物を生成するステップであって、低濃度蒸留廃液が主に水を含む、ステップと、溶媒塔において溶媒に富む相を蒸留して溶媒が少なくブタノールに富む蒸気と溶媒に富むブタノールが少ない液体とを生成するステップであって、溶媒塔がビール塔と並列に操作されかつ大気圧より低い圧力で維持される、ステップと、直列に配置された3つの第1効用蒸発装置を使用して、低濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第1中濃度蒸留廃液および第1効用スチームを生成するステップと、直列に配置された3つの第2効用蒸発装置を使用して、第1効用スチームからの熱によって生成された第1中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて、第2中濃度蒸留廃液および第2効用スチームを生成するステップと、直列に配置された3つの第3効用蒸発装置を使用して、第2効用スチームからの熱によって生成された第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させてシロップを生成するステップと、第3効用スチームの一部を使用して、溶媒塔において溶媒に富む相を蒸留するための熱を供給するステップと、ビール塔において生成されたブタノールに富む蒸気を凝縮させて第1のブタノールに富む液体を生成するステップと、溶媒塔において生成された溶媒が少ない蒸気を凝縮させて溶媒が少ない液体を生成するステップと、第1のブタノールに富む液体と溶媒の少ない液体とを結合して、ブタノールを含む液体を生成するステップと、ブタノールを含む液体を分離して、第2のブタノールに富む液体とブタノールの少ない液体とを生成するステップと、蒸留塔において第2のブタノールに富む液体を蒸留して、実質的に100wt%ブタノールの液体塔底生成物を生成するステップとを含む方法もまた提供される。実施形態では、本方法は、第3効用スチームの第2部分を使用して、ビール塔において溶媒の少ない相を蒸留するための熱を供給するステップをさらに含む。
【0019】
実施形態では、提供される方法は、ビール塔底生成物から固体を機械的に分離するステップをさらに含む。実施形態では、本方法は、分離された固体および生成されたシロップを、低濃度蒸留廃液から水を蒸発させることによって乾燥させて、家畜用の飼料を生成するステップをさらに含む。実施形態では、3つの第1効用蒸発装置は、蒸発装置のうちの1つを、残りの第1効用蒸発装置が動作し続けている間にバイパスすることができるように配置される。実施形態では、3つの第2効用蒸発装置は、蒸発装置のうちの1つを、残りの第2効用蒸発装置が動作し続けている間にバイパスすることができるように配置される。実施形態では、3つの第2効用蒸発装置は、蒸発装置のうちの1つを、残りの第2効用蒸発装置が動作し続けている間にバイパスすることができるように配置される。実施形態では、3つの第3効用蒸発装置は、蒸発装置のうちの1つを、残りの第3効用蒸発装置が動作し続けている間にバイパスすることができるように配置される。実施形態では、3つの第3効用蒸発装置は、蒸発装置のうちの1つを、残りの第3効用蒸発装置が動作し続けている間にバイパスすることができるように配置される。実施形態では、本方法は、ビール塔で生成された低濃度蒸留廃液を3つの第1効用蒸発装置に並列に供給するステップをさらに含む。実施形態では、本方法は、プラントスチームを使用して、第1効用蒸発装置において低濃度蒸留廃液から水を蒸発させるために十分な熱を供給するステップをさらに含む。
【0020】
実施形態では、第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させることにより、低濃度蒸留廃液における重量による水の濃度の約半分である重量による水の濃度を有するシロップが生成される。実施形態では、第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させることにより、約40%〜約65%の重量による水の濃度を有するシロップが生成される。実施形態では、第3効用スチームを使用して、ビール塔において発酵供給物を蒸留するために十分な熱が供給される。実施形態では、第3効用スチームを使用して、溶媒塔において発酵供給物の溶媒に富む部分を蒸留するために十分な熱が供給される。
【0021】
実施形態では、本方法は、プラントスチームを使用して、ビール塔において発酵供給物を蒸留するための熱を供給するステップをさらに含み、プラントスチームと最後の効用スチームの少なくとも一部は、ビール塔において発酵供給物を蒸留するのに十分な熱を供給する。実施形態では、本方法は、プラントスチームを使用して、溶媒塔において発酵供給物の溶媒に富む部分を蒸留するための熱を供給するステップをさらに含み、プラントスチームと最後の効用スチームの少なくとも一部は、溶媒塔において溶媒に富む部分を蒸留するのに十分な熱を供給する。
【0022】
実施形態では、第1効用蒸発装置において低濃度蒸留廃液から水を蒸発させることによって発生する第1効用スチームは、約20psiaの圧力で維持され、第3効用蒸発装置において第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させることによって発生する第3効用スチームは、約9.3psiaの圧力で維持される。実施形態では、ビール塔の塔頂圧力は約7psiaで維持される。実施形態では、ビール塔の圧力降下は、約1.5psi〜約2.0psiで維持される。実施形態では、溶媒蒸留塔の塔頂圧力は約7psiaで維持される。実施形態では、溶媒蒸留塔における圧力降下は、約1.5psi〜約2.0psiで維持される。実施形態では、第3効用蒸発装置において第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させることによって発生する第3効用スチームは、約80℃〜約95℃の温度で維持される。
【0023】
実施形態では、最後の効用蒸発装置において水を蒸発させることによって発生する最後の効用スチームは、約80℃〜約95℃の温度で維持される。実施形態では、第1効用蒸発装置において低濃度蒸留廃液から水を蒸発させることによって発生する第1効用スチームは、約105℃〜約115℃の温度で維持される。
【0024】
本明細書ではまた、発酵供給物からアルコールを分離して低濃度蒸留廃液をシロップに濃縮するシステムであって、発酵供給物を受け取る入口を有するビール塔であって、アルコールに富む蒸気を排出する頂部出口と、ジスチラーズグレインおよび低濃度蒸留廃液を含むアルコールの少ないビール塔底生成物を排出するビール塔底出口とを有し、低濃度蒸留廃液が主に水を含み任意に溶媒を含む、ビール塔と、低濃度蒸留廃液を濃縮する多重効用蒸発システムであって、低濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第1効用スチームおよび第1中濃度蒸留廃液を生成する一組の第1効用蒸発装置であって、直列に接続された少なくとも第1の第1効用蒸発装置、第2の第1効用蒸発装置および第3効用蒸発装置を含み、第1の第1効用蒸発装置が、ビール塔のビール塔底出口と連通して、ビール塔底生成物の低濃度蒸留廃を受け取る蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第1効用蒸発装置が、先の第1効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第1効用蒸発装置の各々が、蒸気源から加熱蒸気を受け取る蒸気入口を有し、各第1効用蒸発装置が、加熱蒸気が低濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、低濃度蒸留廃液から水が徐々に蒸発して第1中濃度蒸留廃液および第1効用スチームを生成し、各第1効用蒸発装置が、第1効用スチームを放出する第1効用スチーム出口を有する、一組の第1効用蒸発装置と、第1中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第2効用スチームおよび第2中濃度蒸留廃液を生成する一組の第2効用蒸発装置であって、直列に接続された少なくとも第1の第2効用蒸発装置、第2の第2効用蒸発装置および第3の第2効用蒸発装置を含み、第1の第2効用蒸発装置が、最後の第1効用蒸発装置の蒸留廃液出口と接続された蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第2効用蒸発装置が、先の第2効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第2効用蒸発装置の各々が、第1効用スチーム出口に接続された蒸気入口を有し、各第2効用蒸発装置が、第1効用スチームが第1中濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、第1中濃度蒸留廃液から水が徐々に蒸発して第2中濃度蒸留廃液および第2効用スチームを生成し、各第2効用蒸発装置が、第2効用スチームを放出する第2効用スチーム出口を有する、一組の第2効用蒸発装置と、第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第3効用スチームおよびシロップを生成する一組の第3効用蒸発装置であって、直列に接続された少なくとも第1の第3効用蒸発装置、第2の第3効用蒸発装置および第3の第3効用蒸発装置を含み、第1の第3効用蒸発装置が、最後の第2効用蒸発装置の蒸留廃液出口と接続された蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第3効用蒸発装置が、先の第3効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第3効用蒸発装置の各々が、第1効用スチーム出口に接続された蒸気入口を有し、各第3効用蒸発装置が、第2効用スチームが第2中濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、第2中濃度蒸留廃液から水が徐々に蒸発してシロップおよび第3効用スチームを生成し、各第3効用蒸発装置が、第3効用スチームを放出する第3効用スチーム出口を有する、一組の第3効用蒸発装置と、を備える多重効用蒸発システムと、第3の効用蒸発装置の第3の効用スチーム出口をビール塔の蒸気入口に接続し、それにより第3の効用スチームの少なくとも一部がビール塔の操作のための熱を提供するようにするスチームラインとを備えるシステムが提供される。実施形態では、本システムは、ビール塔底生成物のジスチラーズグレインから低濃度蒸留廃液を分離するように構成された分離器と、分離器とビール塔底出口とを接続するビール塔底ラインと、分離器と第1の第1効用蒸発装置の蒸留廃液入口とを接続する低濃度蒸留廃液ラインとをさらに備える。実施形態では、分離器は、遠心分離器またはフィルタプレスである。実施形態では、本システムは、第1低濃度蒸留廃液ラインに接続された第2低濃度蒸留廃液ラインおよび第3低濃度蒸留廃液ラインをさらに備え、第2の第1効用蒸発装置および第3の第1効用蒸発装置の各々の蒸留廃液入口は、それぞれの第2低濃度蒸留廃液ラインおよび第3低濃度蒸留廃液ラインと連通しており、それにより、第1の第1効用蒸発装置、第2の第1効用蒸発装置および第3の第1効用蒸発装置は、分離器から並列に低濃度蒸留廃液を受け取ることができる。実施形態では、ビール塔の蒸気入口における圧力は大気圧より低い。実施形態では、本システムは、溶媒を含む発酵供給物の部分を受け取る入口を有する溶媒塔であって、溶媒が少なくアルコールに富む蒸気を排出する頂部出口と、溶媒に富みアルコールが少ない液体用の底部出口とを有し、ビール塔と並列に操作される溶媒塔と、第3の効用蒸発装置の第3の効用スチーム出口を溶媒塔の蒸気入口に接続し、それにより、第3の効用スチームの一部が溶媒塔の操作用の熱を提供するようにし、溶媒塔の蒸気入口における圧力が大気圧より低い、第2スチームラインとをさらに備える。実施形態では、第1効用蒸発装置は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。実施形態では、第2効用蒸発装置は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。実施形態では、第3効用蒸発装置は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。実施形態では、第1効用蒸発装置、第2効用蒸発装置および第3効用蒸発装置の各々は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。実施形態では、ビール塔の頂部出口は、ブタノールに富む蒸気を排出する。
【0025】
発酵供給物からブタノールを分離して蒸留廃液をシロップに濃縮するシステムであって、ブタノールおよび溶媒を含む発酵供給物を分離して溶媒に富む部分および溶媒の少ない部分にするように構成された分離器と、分離器に流体接続され、発酵供給物の溶媒の少ない部分を受け取る入口を有し、ブタノールに富む蒸気を排出する頂部出口とジスチラーズグレインおよび低濃度蒸留廃液を含むブタノールの少ないビール塔底生成物を排出するビール塔底出口とを有し、低濃度蒸留廃液が主に水を含み任意に溶媒を含む、ビール塔と、分離器に流体接続され、発酵供給物の溶媒に富む部分を受け取る入口を有し、溶媒の少ないブタノールに富む蒸気を排出する頂部出口と、溶媒に富みブタノールの少ない液体を排出する底部出口とを有する溶媒塔と、ビール塔のビール塔底出口に流体接続され、ビール塔底生成物のジスチラーズグレインから低濃度蒸留廃液を分離するように構成された第2分離器と、第2分離器に流体接続され、低濃度蒸留廃液をシロップに濃縮するように構成された多重効用蒸発システムであって、低濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第1効用スチームおよび第1中濃度蒸留廃液を生成する一組の第1効用蒸発装置であって、直列に接続された少なくとも第1の第1効用蒸発装置、第2の第1効用蒸発装置および第3効用蒸発装置を含み、第1の第1効用蒸発装置が、ビール塔のビール塔底出口と連通して、ビール塔底生成物の低濃度蒸留廃を受け取る蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第1効用蒸発装置が、先の第1効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第1効用蒸発装置の各々が、蒸気源から加熱蒸気を受け取る蒸気入口を有し、各第1効用蒸発装置が、加熱蒸気が低濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、低濃度蒸留廃液から水が徐々に蒸発して第1中濃度蒸留廃液および第1効用スチームを生成し、各第1効用蒸発装置が、第1効用スチームを放出する第1効用スチーム出口を有する、一組の第1効用蒸発装置と、第1中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第2効用スチームおよび第2中濃度蒸留廃液を生成する一組の第2効用蒸発装置であって、直列に接続された少なくとも第1の第2効用蒸発装置、第2の第2効用蒸発装置および第3の第2効用蒸発装置を含み、第1の第2効用蒸発装置が、最後の第1効用蒸発装置の蒸留廃液出口と接続された蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第2効用蒸発装置が、先の第2効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第2効用蒸発装置の各々が、第1効用スチーム出口に接続された蒸気入口を有し、各第2効用蒸発装置が、第1効用スチームが第1中濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、第1中濃度蒸留廃液から水が徐々に蒸発して第2中濃度蒸留廃液および第2効用スチームを生成し、各第2効用蒸発装置が、第2効用スチームを放出する第2効用スチーム出口を有する、一組の第2効用蒸発装置と、第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第3効用スチームおよびシロップを生成する一組の第3効用蒸発装置であって、直列に接続された少なくとも第1の第3効用蒸発装置、第2の第3効用蒸発装置および第3の第3効用蒸発装置を含み、第1の第3効用蒸発装置が、最後の第2効用蒸発装置の蒸留廃液出口と接続された蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第3効用蒸発装置が、先の第3効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第3効用蒸発装置の各々が、第1効用スチーム出口に接続された蒸気入口を有し、各第3効用蒸発装置が、第2効用スチームが第2中濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、第2中濃度蒸留廃液から水が徐々に蒸発してシロップおよび第3効用スチームを生成し、各第3効用蒸発装置が、第3効用スチームを放出する第3効用スチーム出口を有する、一組の第3効用蒸発装置と、を備える多重効用蒸発システムと、第3の効用蒸発装置の第3の効用スチーム出口をビール塔の蒸気入口に接続し、それにより第3の効用スチームの一部が溶媒塔の操作のための熱を提供するようにし、溶媒塔の蒸気入口における圧力が大気圧より低い、スチームラインと、ビール塔の頂部出口と溶媒塔の頂部出口とに流体接続され、ブタノールに富み溶媒の少ない蒸気を濃縮してブタノールを含む液体を生成する凝縮器と、凝縮器に流体接続され、ブタノールを含む液体を分離してブタノールに富む液体およびブタノールの少ない液体を生成するデカンタと、デカンタに流体接続され、ブタノールに富む液体を蒸留して実質的に100wt%ブタノールを生成するように構成され、実質的に100wt%ブタノールを排出する底部出口を有する蒸留塔と、を備えるシステムが提供される。実施形態では、本システムは、第3効用蒸発装置の第3効用スチーム出口をビール塔の蒸気入口に接続し、それにより、第3効用スチームの少なくとも一部がビール塔の操作用の熱を提供するようにする第2スチームラインをさらに備える。実施形態では、本システムは、分離器と第1の第1効用蒸発装置の蒸留廃液入口とを接続する低濃度蒸留廃液ラインと、第1低濃度蒸留廃液ラインに接続された第2蒸留廃液ラインと、第1低濃度蒸留廃液ラインに接続された第3低濃度蒸留廃液ラインとをさらに備え、第2の第1効用蒸発装置および第3の第1効用蒸発装置の各々の蒸留廃液入口は、それぞれの第2低濃度蒸留廃液ラインおよび第3低濃度蒸留廃液ラインに連通しており、それにより、第1の第1効用蒸発装置、第2の第1効用蒸発装置および第3の第2効用蒸発装置は、第2分離器から並列に低濃度蒸留廃液を受け取る。実施形態では、本システムは、第2分離器および多重効用蒸発システムに流体接続され乾燥機をさらに備え、乾燥機は、ビール塔底生成物のジスチラーズグレインと多重効用蒸発システムによって生成されたシロップとを乾燥させて、家畜用の飼料を生成するように構成される。実施形態では、ビール塔の蒸気入口における圧力は大気圧より低い。実施形態では、ビール塔および溶媒塔の各々は、大気圧より低い圧力で動作するように適合され、それによりそれぞれのビール塔および溶媒塔を大気圧より低い圧力で維持するように適合された凝縮器を有している。実施形態では、第1効用蒸発装置は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。実施形態では、第2効用蒸発装置は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。実施形態では、第3効用蒸発装置は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。
【0026】
提供されるシステムの実施形態では、第1効用蒸発装置、第2効用蒸発装置および第3効用蒸発装置の各々は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。
【0027】
本明細書では、低濃度蒸留廃液をシロップに濃縮する多重効用蒸発システムであって、低濃度蒸留廃液が、ビール塔において発酵供給物からアルコールを分離した副生成物として得られ、低濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第1効用スチームおよび第1中濃度蒸留廃液を生成する一組の第1効用蒸発装置であって、直列に接続された第1の第1効用蒸発装置、第2の第1効用蒸発装置および第3の第1効用蒸発装置を有し、第1の第1効用蒸発装置が、ビール塔のビール塔底出口と連通して、ビール塔底生成物の低濃度蒸留廃を受け取る蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第1効用蒸発装置が、先の第1効用蒸発装置の前記蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第1効用蒸発装置の各々が、蒸気源から加熱蒸気を受け取る蒸気入口を有し、各第1効用蒸発装置が、加熱蒸気が低濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、低濃度蒸留廃液から水が徐々に蒸発して第1中濃度蒸留廃液および第1効用スチームを生成し、各第1効用蒸発装置が、第1効用スチームを放出する第1効用スチーム出口を有する、一組の第1効用蒸発装置と、第1中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第2効用スチームおよび第2中濃度蒸留廃液を生成する一組の第2効用蒸発装置であって、直列に接続された第1の第2効用蒸発装置、第2の第2効用蒸発装置および第3の第2効用蒸発装置を有し、第1の第2効用蒸発装置が、第3の第1効用蒸発装置の蒸留廃液出口に接続された蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第2効用蒸発装置が、先の第2効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第2効用蒸発装置の各々が、第1効用スチーム出口に接続された蒸気入口を有し、各第2効用蒸発装置が、1効用スチームが第1中濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、第1中濃度蒸留廃液から水が徐々に蒸発して第2中濃度蒸留廃液および第2効用スチームを生成し、各第2効用蒸発装置が、第2効用スチームを放出する第2効用スチーム出口を有する、一組の第2効用蒸発装置と、第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第3効用スチームおよびシロップを生成する一組の第3効用蒸発装置であって、直列に接続された第1の第3効用蒸発装置、第2の第3効用蒸発装置および第3の第3効用蒸発装置を有し、第1の第3効用蒸発装置が、第3の第2効用蒸発装置の蒸留廃液出口に接続された蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第3効用蒸発装置が、先の第3効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第2効用蒸発装置の各々が、第2効用スチーム出口に接続された蒸気入口を有し、各第3効用蒸発装置が、第2効用スチームが第2中濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、第2中濃度蒸留廃液から水が徐々に蒸発してシロップおよび第3効用スチームを生成し、各第3効用蒸発装置が、第3効用スチームを放出する第3効用スチーム出口を有する、一組の第3効用蒸発装置とを備えるシステムが提供される。実施形態では、第1効用蒸発装置は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。実施形態では、第2効用蒸発装置は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。実施形態では、第3効用蒸発装置は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。実施形態では、第1効用蒸発装置、第2効用蒸発装置および第3効用蒸発装置の各々は、蒸発装置を隔離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスしかつ蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する。
【0028】
また、発酵供給物からブタノールを分離して蒸留廃液をシロップに濃縮するシステムであって、水および粉砕穀粒を含む混合物を発酵させてブタノールを含む発酵供給物を生成する手段と、ブタノール含有発酵供給物の少なくとも一部を水非混和性有機溶媒と接触させて、水相およびブタノール含有有機相を含む二相混合物を形成する手段と、水相からブタノール含有有機相を分離する手段と、大気圧より低い圧力で水相を分離して、(i)ブタノールに富む蒸気と(ii)主に水を含む低濃度蒸留廃液を含むブタノールの少ないビール塔底生成物とを生成する水相分離手段と、大気圧より低い圧力でブタノール含有有機相を分離して、溶媒が少なくブタノールに富む蒸気と溶媒に富みブタノールの少ない液体とを生成し、水相分離手段と並列に操作される、ブタノール含有有機相分離手段と、低濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第1中濃度蒸留廃液および第1効用スチームを生成する手段であって、直列に配置された3つの第1効用蒸発装置を含む、低濃度蒸留廃液から水を蒸発させる手段と、第1効用スチームからの熱によって生成される第1中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて、第2中濃度蒸留廃液および第2効用スチームを生成し、直列に配置された3つの第2効用蒸発装置を含む、第1中濃度蒸留廃液から水を蒸発させる手段と、第2効用スチームからの熱によって生成される第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させてシロップを生成し、直列に配置された3つの第3効用蒸発装置を含む、第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させる手段と、第3効用スチームの第1部分を使用して、水相分離手段において水相を分離するために十分な熱を供給する手段と、第3効用スチームの第2部分を使用して、ブタノール含有有機相分離手段においてブタノール含有有機相を分離するために十分な熱を供給する手段とを備えるシステムも提供される。実施形態では、本システムは、水相分離手段において生成されたブタノールに富む蒸気を凝縮させて第1のブタノールに富む液体を生成する手段と、溶媒の少ない蒸気ブタノール含有有機相分離手段を凝縮して溶媒の少ない液体を生成する手段と、第1のブタノールに富む液体および溶媒の少ない液体を結合してブタノールを含む液体を生成する手段と、ブタノールを含む液体を分離して、第2のブタノールに富む液体およびブタノールの少ない液体を生成する手段と、第2のブタノールに富む液体を分離して、実質的に100wt%ブタノールの液体塔底生成物を生成する手段とをさらに備える。実施形態では、本システムは、第1効用蒸発装置、第2効用蒸発装置および第3効用蒸発装置の各々を隔離しバイパスして、蒸留廃液を、その蒸発装置をバイパスして次の蒸発装置の蒸留廃液入口に経路に切り替えるラインに向け直す手段をさらに備える。
【0029】
本発明のさらなる実施形態、特徴および利点とともに、本発明のさまざまな実施形態の構造および動作について、添付図面を参照して以下詳細に説明する。
【0030】
本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明を例示し、説明とともに、さらに、本発明の原理を説明しかつ関連する技術分野における当業者が本発明を作成し使用するのを可能にする役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来の燃料グレードエタノールの製造システムを示す。
【図2】本発明の実施形態によるプロセスを実施するのに有用なシステムを示す。
【図3】本発明の実施形態によるプロセスを実施するのに有用な多重効用蒸発装置システムを示す。
【図4】比較実施例4のプロセスモデリングで採用される多重効用蒸発装置システムを示す。
【図5】本発明の実施形態によるプロセスを実施するのに有用な多重効用蒸発装置システムを示す。
【図6】本発明の実施形態によるプロセスを実施するのに有用な多重効用蒸発装置システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
特に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有している。矛盾する場合、定義を含む本明細書を優先する。また、文脈が特に必要としない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。本明細書で言及するすべての刊行物、特許および他の参照文献は、すべての目的に対して全体として本明細書に組み込まれる。
【0033】
電子的に提出する表は、特に、参照により全体として(表2、表3、表4、表6、表7、表8、表9、表11、表12、表13および表14を含む)本明細書に組み込まれる。
【0034】
本発明をさらに定義するために、ここで、以下の用語および定義を提供する。
【0035】
本明細書で用いる用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「包含する(contains)」あるいは「包含している(containing)」またはそれらの他の任意の変形は、述べられている完全体または完全体群を含むことを意味するが、他のいかなる完全体または完全体群をも排除することを意味してはいないことが理解されよう。たとえば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品または装置は、必ずしもそれらの要素のみには限定されず、明示的に列挙されていないかまたはこうした組成物、混合物、プロセス、方法、物品または装置に固有の他の要素を含むことができる。さらに、反対の意味で明示的に述べられていない限り、「または」は、排他的なまたはではなく包含的なまたはを指す。たとえば、条件Aまたは条件Bは、以下のうちの任意の1つによって満足する。すなわち、Aは真であり(または存在し)かつBは偽であり(または存在せず)、Aは偽であり(または存在せず)かつBは真であり(または存在し)、AおよびBはともに真である(または存在する)。
【0036】
本明細書で用いる、明細書および特許請求の範囲を通して使用する用語「(単数が)〜からなる(から構成される)(consists of)」、または「(複数が)〜からなる(から構成される(consist of)」あるいは「〜からなっている(から構成されている(consisting of)」等の変形は、いかなる列挙された完全体または完全体群をも含むことを示すが、指定された方法、構造または組成物に対して、いかなる追加の完全体または完全体群も追加することはできない。
【0037】
本明細書で用いる、明細書および特許請求の範囲で使用する用語「(単数が)本質的に〜からなる(から構成される)(consists essentially of)」、または「(複数が)本質的に〜からなる(consist essentially of)」または「本質的に〜からなっている(consisting essentially of)」等の変形は、あらゆる列挙された完全体または完全体群を含むことと、任意に、指定された方法、構造または組成物の基本的な特性または新規の特性を本質的に変化させない、任意の列挙された完全体または完全体群を含むこととを示す。
【0038】
また、本発明の要素または構成要素に先行する不定冠詞「a」および「an」は、要素または構成要素の事例、すなわち発生の数に関して非制限的であるように意図されている。したがって、「a」または「an」は、1つまたは少なくとも1つを含むように読み取られるべきであり、要素または構成要素の単数形の単語の形態は、数が明らかに単数形であるように意図されていない限り、複数形も含む。
【0039】
本明細書で用いる用語「発明」または「本発明」は、非限定的用語であり、特定の発明のいかなる単一実施形態をも指すようには意図されておらず、本明細書に記載するすべてのあり得る実施形態を包含する。
【0040】
本明細書で用いる、採用される本発明の成分または反応物の量を修飾する用語「約」は、たとえば実世界で濃縮物または溶液を作成するために用いられる通常の測定手順および液体処理手順により、これらの手順の不注意の誤りにより、組成物を作成するためまたは方法を実行するために採用される成分の製造、供給元または純度の相違により等、発生する可能性がある数値量の変動を指す。用語「約」はまた、特定の初期混合物からもたらされる組成物に対して平衡状態が異なるために異なる量も包含する。用語「約」によって修飾されているか否かに関らず、特許請求の範囲は、量に対する均等物を含む。一実施形態では、用語「約」は、報告されている数値の10%以内、好ましくは報告されている数値の5%以内を意味する。
【0041】
本明細書で用いる「ブタノール」は、明確に、個々にまたはその混合物として、ブタノール異性体1−ブタノール(1−BuOH)および/またはイソブタノール(iBuOHまたはI−BUOH)を指す。2−ブタノールおよびtert−ブタノール(1,1−ジメチルエタノール)は、特に、本発明の実施から排除される。
【0042】
本明細書で用いる「生成物取出し」は、生物学的プロセスにおいて生成物濃度を制御するために発酵等の生物学的プロセスから特定の発酵生成物を選択的に取り出すことを意味する。
【0043】
本明細書で用いる「発酵ブロス」は、水、糖、溶解固形物、懸濁固形物、微生物生成アルコール、生成物アルコール、および発酵槽内に保持されている材料の他のすべての成分の混合物を意味し、発酵槽では、生成物アルコールが、存在している微生物によりアルコール、水および二酸化炭素(CO)に対する糖の反応によって作成されている。時に、本明細書で用いる用語「発酵培地」および「発酵混合物」を、「発酵ブロス」と同義に用いる場合がある。
【0044】
本明細書で用いる「発酵槽」は、生成物ブタノールが糖から作成される際の発酵反応が行われる槽を意味する。本明細書では、用語「発酵槽(fermentor)」を、「発酵容器(fermentation vessel)」と同義に用いる場合がある。
【0045】
本明細書で用いる用語「有効力価」は、発酵培地のリットル辺りの発酵によって製造される特定のアルコール(たとえばブタノール)の総量を指す。ブタノールの総量は、(i)発酵培地におけるブタノールの量、(ii)有機抽出剤から回収されたブタノールの量および(iii)ガスストリッピングが用いられる場合、気相から回収されたブタノールの量を含む。
【0046】
本明細書で用いる用語「水相力価」は、発酵ブロスにおける特定のアルコール(たとえばブタノール)の濃度を指す。
【0047】
本明細書で用いる「ストリッピング」は、液体流からの揮発性成分のすべてまたは一部を気体流に変化させる作用を意味する。
【0048】
本明細書で用いる「ストリッピング部」は、ストリッピング作用が発生する接触装置の部分を意味する。
【0049】
本明細書で用いる「精留」は、高沸点成分から低沸点成分を分離し精製するために、気体流からの凝縮性成分のすべてまたは一部を液体流に変化させる作用を意味する。
【0050】
本明細書で用いる「精留部」は、蒸留塔の供給箇所より上方の部分、すなわち、精留操作が発生する、供給物流が入る塔の箇所より上方に位置するトレーまたはパッキング材料を意味する。
【0051】
本明細書で用いる用語「分離」は、「回収」と同義であり、初期混合物から化学化合物を取り出して、初期混合物における化合物の純度または濃度より高い純度または高い濃度の化合物を得ることを指す。
【0052】
用語「水非混和性」は、1つの液相を形成するような方法で、発酵ブロス等、水溶液と混合することができない、抽出剤または溶媒等の化学成分を指す。
【0053】
本明細書で用いる用語「抽出剤」は、発酵ブロスからブタノールを抽出するために用いられる1つまたは複数の有機溶媒を指す。時に、本明細書で用いる用語「溶媒」を、「抽出剤」と同義で用いる場合がある。
【0054】
本明細書で用いる「発酵供給物」は、概して発酵ブロスを意味し、発酵抽出を含む本明細書に記載するプロセスの実施形態では、「発酵供給物」は、発酵ブロスを水非混和性有機抽出剤と接触させることによって得られる二相混合物を指す。
【0055】
本明細書で用いる用語「水相」は、発酵ブロスを水非混和性有機抽出剤と接触させることによって得られる二相混合物の水相を指す。発酵性抽出剤を含む本明細書に記載するプロセスの実施形態では、そのため、用語「発酵ブロス」は、特に、二相発酵抽出における水相を指し、用語「発酵供給物の溶媒が少ない(solvent−poor)部分」および「溶剤が少ない相」を、「水相」および「発酵ブロス」と同義に用いる場合がある。
【0056】
本明細書で用いる用語「有機相」は、発酵ブロスを水非混和性有機抽出剤と接触させることによって得られる二相混合物の非水相を指す。時に、本明細書で用いる用語「発酵供給物の溶剤に富む(solvent−rich)部分」および「溶剤に富む相」を、「有機相」と同義に用いる場合がある。
【0057】
本明細書で用いる用語「脂肪酸」は、飽和しているかまたは飽和していない、C〜C22炭素原子の長い脂肪鎖を有するカルボン酸を指す。
【0058】
本明細書で用いる用語「脂肪族アルコール」は、飽和しているかまたは飽和していない、C〜C22炭素原子の長い脂肪鎖を有するアルコールを指す。
【0059】
本明細書で用いる用語「脂肪族アルデヒド」は、飽和しているかまたは飽和していない、C〜C22炭素原子の長い脂肪鎖を有するアルデヒドを指す。
【0060】
本明細書で用いる用語「脂肪酸アミド」は、飽和しているかまたは飽和していない、C12〜C22炭素原子の長い脂肪鎖を有するアミドを指す。
【0061】
「不凝縮ガス」は、本明細書に記載するプロセスの動作温度で凝縮しないガスを意味する。こうしたガスを、たとえば二酸化炭素、窒素、水素、アルゴン等の希ガスまたはこれらのうちの任意のものの混合物からなる群のガスから選択することができる。
【0062】
本発明は、蒸留を用いて発酵供給物からアルコールを回収し、三重効用蒸発システムまたは実施形態では四重効用蒸発システムを使用して低濃度蒸留廃液副生成物をシロップに濃縮するシステムおよび方法を提供する。本発明のシステムおよびプロセスについて、図2および図3ならびに図5および図6を参照して説明する。図3は、本発明の実施形態による3列三重効用蒸発システム280を示す。図2は、アルコールを回収し低濃度蒸留廃液を濃縮する例としてのシステム200を示し、そこでは、図3の例としての多重効用蒸発システム280から発生する廃熱が、アルコールを回収するために蒸留操作に組み込まれる。特に、図2は、本発明の一実施形態による、抽出発酵および抽出剤回収を組み込み、実質的に100wt%ブタノールの生成物をもたらす例示的なプロセスによりブタノールを回収するシステムを示す。図2を、例としてのブタノール回収プロセスを参照して説明するが、回収されている特定のアルコールに応じて、単位操作およびそのプロセス設定を、図2の例示的なブタノールプロセスから変更してもよいが、こうした他のアルコール回収システムは、図3、図5または図6の多重効用蒸発システムと、本明細書に記載するそれに関連する熱統合を依然として組み込むことができることが理解されるべきである。
【0063】
図2を参照すると、少なくとも1つの発酵性炭素源(たとえば粉砕トウモロコシ)および水を含むマッシュされ調理された混合供給物202が、発酵槽210に導入され、発酵槽210は、少なくとも1つの発酵性炭素源からブタノールへの生合成経路を介してブタノールを製造するように遺伝子組換えされた(すなわち、遺伝子操作された)少なくとも1種の微生物(図示せず)を含む。特に、微生物を、好適な炭素基質を含む発酵培地において成長させることができる。追加の炭素基質は、限定されないが、果糖等の単糖類、乳糖(ラクトース)、麦芽糖(マルソース)、脳糖(ガラクトース)あるいはショ糖(スクロース)等のオリゴ糖、デンプンあるいはセルロース等の多糖類、またはそれらの混合物と、チーズホエー濾過液、コーンスティープリカー、テンサイ糖蜜および大麦麦芽等の再生可能供給原料からの未精製混合物とを含むことができる。他の炭素基質は、エタノール、乳酸塩、琥珀酸塩またはグリセロールを含むことができる。
【0064】
さらに、炭素基質は、二酸化炭素、または重要な生化学中間体への代謝変換が論証されたメタノール等、一炭素基質であってもよい。1つおよび2つの炭素基質に加えて、メチルアミン、グルコサミンおよび代謝活性のための種々のアミノ酸等の化合物を含む複数の他の炭素を利用するメチロトローフ有機体も知られている。たとえば、メチルアミンからの炭素を利用してトレハロースまたはグリセロールを形成するメチロトローフ酵母が知られている(Bellion他著、Microb.Growth C1 Compd.、[Int.Symp.]、7th(1993)、415〜32、編集者:Murrell,J.Collin、Kelly,Don P.、出版社:Intercept、Andover、UK)。同様に、カンジダの種々の種が、アラニンまたはオレイン酸を代謝させる(Sulter他著、Arch.Microbiol.153:485〜489(1990))。このように、本発明で利用される炭素源は、基質を含む多種多様の炭素を包含することができ、有機体の選択によってのみ限定されることが考えられる。
【0065】
上述した炭素基質およびその混合物のすべてが本発明において好適であると考えられるが、いくつかの実施形態では、炭素基質は、ブドウ糖、果糖およびショ糖、またはC5糖を使用するために遺伝子組換えされた酵母細胞の場合、木糖(キシロース)および/またはアラビノース等のC5糖との上記糖の混合物である。ショ糖は、サトウキビ、テンサイ、キャッサバ、サトウモロコシ(スイートソルガム)およびそれらの混合物等の再生可能糖源に由来することができる。ブドウ糖および右旋糖(デキストロース)は、再生可能穀類源に、トウモロコシ、小麦、ライ麦、大麦、オート麦およびそれらの混合物等の穀類を含むデンプン系供給原料の糖化によって由来することができる。さらに、発酵性糖を、たとえば参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第20070031918A1号明細書において記載されているように、前処理および糖化のプロセスによって、再生可能セルロース系バイオマスまたはリグノセルロース系バイオマスに由来することができる。バイオマスは、あらゆるセルロース系材料またはリグノセルロース系材料をも指し、セルロースを含みかつ任意にヘミセルロース、リグニン、デンプン、オリゴ糖類および/または単糖類をさらに含む材料を含む。バイオマスは、タンパク質および/または脂質等、さらなる成分を含むことも可能である。バイオマスは、単一源に由来してもよく、またはバイオマスは、2つ以上の供給源からの混合物を含むことができ、たとえば、バイオマスは、トウモロコシの穂軸およびトウモロコシの茎葉の混合物あるいは草および葉の混合物を含んでいてもよい。バイオマスは、限定されないが、バイオエネルギー作物、農業残渣、都市廃棄物、産業廃棄物、製紙からのスラッジ、庭ゴミ、木材廃棄物および林業廃棄物を含む。バイオマスの例としては、限定されないが、トウモロコシ子実、トウモロコシの穂軸、トウモロコシの外皮等の作物残渣、トウモロコシの茎葉、草、小麦、小麦わら、大麦、大麦わら、干し草、稲わら、スイッチグラス、古紙、サトウキビバガス、モロコシ属、大豆、穀類の製粉から得られる成分、木、枝、根、葉、木片、おがくず、低木および灌木、野菜、果実、花、家畜糞尿およびそれらの混合物が挙げられる。
【0066】
適切な炭素源に加えて、発酵培地は、適切なミネラル、塩、補助因子、緩衝剤、および培養物の成長および酵素経路の促進に好適な、当業者に既知である他の成分を含まなければならない。
【0067】
生合成経路を介してブタノールを製造する遺伝子組換え微生物は、多数の属、クロストリジウム属、ザイモモナス属、エシェリキア属、サルモネラ属、セラチア属、エルウィニア属、クレブシエラ属、赤痢菌属、ロドコッカス属、シュードモナス属、バチルス属、ラクトバシラス属、エンテロコッカス属、アルカリゲネス属、クレブシエラ属、パエニバチルス属、アルスロバクター属、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、シゾサッカロミセス属、クリベロミセス属、ヤロウィア属、ピキア属、カンジダ属、ハンセヌラ属、イサタケンキア属、サッカロミセス属を含むことができる。一実施形態では、遺伝子組換え微生物を、大腸菌、乳酸菌および出芽酵母からなる群から選択することができる。一実施形態では、遺伝子組換え微生物は、サッカロミセス属、ジゴサッカロミセス属、シゾサッカロミセス属、デッケラ属、トルロプシス属、ブレッタノミセス属およびカンジダのいくつかの種から選択されたクラブトリー(crabtree)陽性酵母である。クラブトリー陽性酵母の種には、限定されないが、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセスクルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、シゾサッカロミセスポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロミセスバイアヌス(Saccharomyces bayanus)、サッカロミセスミカタエ(Saccharomyces mikitae)、サッカロミセスパラドクサス(Saccharomyces paradoxus)、ジゴサッカロミセスルーキシ(Zygosaccharomyces rouxii)およびカンジダグラブラータ(Candida glabrata)が含まれる。
【0068】
図2のシステム200では、二相抽出発酵方法を用いて発酵培地からブタノールが取り出される。抽出発酵を用いて発酵ブロスからブタノールを製造し回収する方法は、2009年6月4日に出願された米国特許出願第12/478,389号明細書、2010年4月13日に出願された米国特許出願第12/758870号明細書および2009年8月6日に出願された米国仮特許出願第61/231,699号明細書に詳細に記載されており、その方法は、C12〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪族アルデヒド、C12〜C22脂肪酸アミドおよびそれらの混合物からなる群から選択された水非混和性有機抽出剤と、発酵ブロスを接触させることにより、水相およびブタノール含有有機相を含む二相混合物を形成するステップを含む。「接触させる」とは、発酵培地および有機抽出剤が、発酵プロセスのいかなる時点でも物理的に接触することを意味する。好適な抽出剤の例には、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸メチル、オレイン酸メチル、ラウリン酸アルデヒド、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ノナナールおよびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の溶媒を含む抽出剤を含む。一実施形態では、抽出剤はオレイルアルコールを含む。これらの有機抽出剤は、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO)等のさまざまは供給元からさまざまな等級で市販されており、それらの多くが、ブタノールを製造または回収するために抽出発酵で使用するのに適している。技術的な等級は、所望の成分ならびに高級脂肪族成分および低級脂肪族成分を含む、化合物の混合物を含む。たとえば、1つの市販されている技術的等級のオレイルアルコールは、約65%のオレイルアルコールと、高級脂肪族アルコールおよび低級脂肪族アルコールの混合物とを含む。本明細書に記載しているシステムおよび方法で使用するのに適しているさらなる方法は、米国仮特許出願第61/368,429号明細書および同第61/379,546号明細書に開示されている。
【0069】
図2を参照すると、発酵培地204が、連続的にまたは周期的に発酵槽210から取り出され、発酵培地204に抽出剤255が添加されることにより、発酵培地を抽出剤255に接触させることによって得られる二相混合物205が得られる。二相混合物は、槽215に導入され、そこで、水相および有機相の分離が行われることにより、ブタノール含有有機相208および水相206が生成される。抽出剤255は、通常、それが発酵ブロスからのブタノールの抽出に有用となる特徴を有する、水非混和性有機溶媒または溶媒混合物である。一実施形態では、抽出剤255は、C〜C22脂肪族アルコール、C〜C22脂肪酸、C〜C22脂肪酸のエステル、C〜C22脂肪族アルデヒドおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒を含む。
【0070】
抽出剤は、水相からブタノールを、たとえば少なくとも1.1:1濃度比で優先的に分割し、それにより、抽出剤相のブタノールの濃度は、ブタノールの水溶液の室温抽出で評価される場合の水相の少なくとも1.1倍となる。別の実施形態では、抽出剤は、水相からブタノールを少なくとも2:1濃度比で優先的に分割し、それにより、抽出剤相のブタノールの濃度は、ブタノールの水溶液の室温抽出で評価される場合の水相の少なくとも2倍となる。有機抽出剤によるブタノール生成物の抽出を、発酵培地からの細胞の取出しがあってもなくても行うことができる。細胞を、限定されないが濾過または遠心分離を含む、本技術分野において既知である手段によって発酵培地から取り出すことができる。抽出剤255を、槽215に導入する前に別個の槽(図示せず)において発酵培地204に添加することができ、または別法として、抽出剤255を、二相混合物205を得るように槽215に導入した後に発酵培地204と接触させることができ、二相混合物205は、その後、有機相および水相に分離される。ブタノール含有有機相208は、限定されないが吸上げ、デカンテーション、遠心分離、重力沈降槽の使用、膜を用いる分相等を含む、本技術分野において既知である方法を用いて、二相発酵培地の水相206から分離される。
【0071】
図2のシステム200において、ブタノールは、発酵槽210の下流において発酵培地から抽出される。別法として、二相抽出発酵方法を、インサイチュで、発酵槽においてバッチモードでまたは連続モードで行うことができる。インサイチュでの抽出発酵の場合、有機抽出剤は、二相発酵培地を形成する発酵の開始時に発酵培地と接触することができる。別法として、有機抽出剤は、微生物が、培養物の光学密度を測定することによって確定することができる所望の量の成長に達した後に、発酵培地と接触することができる。さらに、有機抽出剤は、発酵培地におけるブタノールレベルが事前に選択されたレベルに達した時点に、たとえばブタノール濃度が毒性レベルに達する前に発酵培地と接触することができる。発酵培地を有機抽出剤と接触させた後に、ブタノール生成物は有機抽出剤に分割され、微生物を含む水相の濃度を低減し、それにより生成微生物の阻害性ブタノール生成物への露出を制限する。使用されるべき有機抽出剤の容量は、後述するように、発酵培地の容量、発酵槽のサイズ、ブタノール生成物のための抽出剤の分配係数および選択される発酵モードを含む、複数の要素によって決まる。有機抽出剤の容量は、発酵槽有効容積の約3%〜約60%であり得る。
【0072】
インサイチュでの抽出発酵の連続モードにおいて、一実施形態では、抽出剤255を発酵槽210内に導入してその中で二相混合物205を得ることができ、ブタノール含有有機相流208および水相流206は、発酵槽210から直接出る。別の実施形態では、発酵培地およびブタノール含有有機抽出剤の混合物が発酵槽から取り出され、その後、ブタノール含有有機相が水相から分離される。発酵培地を、発酵槽に再循環させることができ、または新しい培地と交換することができる。そして、抽出剤を処理してブタノール生成物を回収し、その後、抽出剤を、生成物のさらなる抽出のために発酵槽内に戻すように再循環させることができる。別法として、新たな抽出剤を発酵槽に連続的に添加して、取り出された抽出剤を交換することができる。有機抽出剤の容量は、一実施形態では発酵槽有効容積の約3%〜約50%、別の実施形態では約3%〜約30%、別の実施形態では3%〜約20%、別の実施形態では3%〜約10%であり得る。生成物が反応器から連続的に取り出されるため、必要な有機抽出剤の容量が低減し、より大量の発酵培地を使用することが可能になる。
【0073】
インサイチュでの抽出発酵のバッチモードでは、発酵槽にある容量の有機抽出剤が添加されて二相混合物が形成され、抽出剤はプロセス中取り出されない。このモードでは、発酵培地における阻害性ブタノール生成物の濃度を最小限にするためにより大量の有機抽出剤が必要である。したがって、発酵培地の容量はより小さく、製造される生成物の量は、連続モードを用いて得られるものより少なくなる。たとえば、バッチモードでの有機溶媒の容量は、一実施形態では発酵槽有効容積の20%〜約60%、別の実施形態では約30%〜約60%である可能性がある。
【0074】
ガスストリッピング(図示せず)を有機抽出剤と同時に用いることにより、発酵培地からブタノール生成物を取り出すことができる。ガスストリッピングを、空気、窒素または二酸化炭素等の気体を発酵培地に通すことによって行うことができ、それによりブタノール含有気相を形成することができる。ブタノール生成物を、冷水トラップを用いてブタノールを濃縮するかまたは気相を溶媒でこすり落す等、本技術分野において既知である方法を用いて、ブタノール含有気相から回収することができる。ガスストリッピングを用いる発酵においてブタノール濃度を制御する方法については、2008年12月12日に出願された同時係属中の本願と同一の所有者が所有している国際公開第2009/079362号パンフレットに詳細に記載されている。
【0075】
抽出の効率に応じて、発酵培地におけるブタノールの水相力価は、たとえば、約5g/L〜約85g/L、約10g/L〜約40g/L、約10g/L〜約20g/L、約15g/L〜約50g/Lまたは約20g/L〜約60g/Lであり得る。理論に拘束されることなく、部分的には、発酵培地からの毒性ブタノール生成物の取出しから、抽出発酵方法によりより高いブタノール力価を得ることができ、それにより、レベルを微生物に対して毒性のレベルより低く維持することができると考えられる。
【0076】
遺伝子組換え大腸菌またはサッカロミセスセレビシエ株を、たとえば有機抽出剤としてのオレイルアルコールと組み合わせて、抽出発酵によってイソブタノールを製造し、それにより、一実施形態では発酵培地の22g/Lを超える有効力価、別の実施形態では発酵培地の少なくとも25g/Lの有効力価、別の実施形態では発酵培地の少なくとも30g/Lの有効力価、別の実施形態では発酵培地の少なくとも32g/Lの有効力価、別の実施形態では発酵培地の少なくとも35g/Lの有効力価、別の実施形態では発酵培地の少なくとも37g/Lの有効力価、および別の実施形態では発酵培地の少なくとも40g/Lの有効力価を達成することができる。ガスストリッピングと組み合わせて抽出剤としてオレイルアルコールを使用することにより、ブタノールを毒性レベルを下回って維持するのにガスストリッピングのみが有効である場合であっても、ガスストリッピングのみの場合より大幅に高い力価を提供することができる。オレイルアルコールを含むかまたは本質的にオレイルアルコールからなる有機抽出剤もまた、力価を改善することができる。
【0077】
上述した手段によって抽出剤から発酵培地を分離した後、発酵培地を、発酵槽に再循環させ、破棄し、またはいずれかの残っているブタノール生成物の取出しのために処理することができる。図2の実施形態では、抽出剤から発酵培地を分離した後、水相206が供給物流212および再循環流214に分割される。再循環流214は、発酵培地の一部を発酵槽210に戻す。同様に、有機抽出剤と接触する前に発酵培地から細胞が取り出された場合、隔離された細胞(図示せず)もまた発酵槽に再循環させることができる。発酵培地の供給物流212を脱ガスして、そこから不凝縮ガス266の少なくとも一部を取り出すことができ、脱ガス供給物流212’は、さらに後により詳細に説明するように、任意の残りのブタノール生成物の回収のためにビール蒸留塔220に導入される。取り出された不凝縮ガス266を、スクラバ(図示せず)に送ることができる。
【0078】
発酵培地からブタノールを抽出した後、ブタノールは、ブタノール含有有機相208から回収される。ブタノール含有有機相208は、通常、水非混和性有機抽出剤、水、ブタノールおよび任意に不凝縮ガスを含む。ブタノール含有有機相208は、任意に、抽出剤相に分割されるのに十分な溶解度を有する発酵副生成物をさらに含むことができる。一実施形態では、ブタノール含有有機相208は、相208の重量に基づいて、供給物におけるブタノール濃度が、約0.1重量パーセント〜約50重量パーセント、たとえば約0.1重量パーセント〜約40重量パーセント、たとえば約1重量パーセント〜約40重量パーセント、たとえば約2重量パーセント〜約40重量パーセント、たとえば約5重量パーセント〜約35重量パーセント、たとえば約10重量パーセント〜約35重量パーセントである。
【0079】
ブタノール含有有機相からのブタノールの回収を、限定されないが蒸留、樹脂による吸収、モレキュラシーブによる分離、パーベーパレーション等を含む、本技術分野において既知である方法を用いて行うことができる。図2の例示的なシステムは、ブタノール含有有機相208からブタノールを回収するために蒸留およびデカンテーションの組合せを組み込んでいる。蒸留およびデカンテーションの組合せを用いて、水非混和性有機抽出剤、水、ブタノールおよび任意に不凝縮ガスを含む供給物からブタノールを分離または回収する方法は、2009年7月15日に出願された同時係属中の本願と同一の所有者が所有する米国仮特許出願第61/225,662号明細書に詳細に記載されており、それを、本発明のシステムおよび方法で使用することができる。蒸留によって抽出剤からブタノールを回収するために、抽出剤は、気圧で沸点を有することが好ましく、それは、回収されるブタノールより少なくとも約30℃高く、たとえば少なくとも約35℃高く、たとえば少なくも約40℃高く、たとえば少なくとも約45℃高く、たとえば少なくとも約50℃高く、たとえば少なくとも約55℃高く、またはたとえば少なくとも約60℃高い。
【0080】
図2に示す実施形態では、ブタノール含有有機相208からブタノールを回収する蒸留には、少なくとも2つの蒸留塔、すなわち溶媒塔230およびブタノール塔260を使用することが含まれる。溶媒塔230は、デカンテーションと組み合わせて、二酸化炭素等の何らかの不凝縮ガスと、抽出剤からのブタノール、たとえばオレイルアルコールと、水との分離を行う。
【0081】
特に、ブタノール含有有機相208は、溶媒塔230において蒸留され、水、ブタノールおよび供給物に存在する場合は不凝縮ガスを含むブタノールに富む蒸気塔頂流216と、抽出剤および水を含み実質的にブタノールがない溶媒に富む液体塔底流218とを提供する。「実質的にブタノールがない」とは、ブタノールが塔底生成物218の約0.01wt%以下を構成することを意味する。図示しないが、回収された抽出剤流218を、抽出発酵プロセスに再循環させることができる。たとえば、回収された抽出剤流218を、発酵培地204と接触する抽出剤255として使用することができる。
【0082】
蒸気塔頂流216は、最大約65wt%のブタノールと最低約30wt%の水とを含むことができる。一実施形態では、蒸気塔頂流は、約65wt%からのブタノールおよび最低約32wt%の水、別の実施形態では約60wt%からのブタノールおよび約最低約35wt%の水、別の実施形態では約55wt%からのブタノールおよび最低約40wt%の水、他の実施形態では約50wt%から約55wt%のブタノールおよび約45wt%から約50wt%の水を含む。一実施形態では、蒸気塔頂流126における抽出剤の量は2wt%未満である。蒸気塔頂流216を、凝縮器(図示せず)において冷却し凝縮させ、混合器240において、ビール塔220およびブタノール塔260それぞれからの凝縮した蒸気塔頂流222および238と結合することができる。結合流226は、デカンタ250においてブタノールに富む液相およびブタノールが少ない液体水相にデカンテーションされる。たとえば、(より軽量な液相である)液体ブタノール相は、約30wt%未満の水か、または約20wt%〜約30wt%の水、または約16wt%〜約30wt%の水、または約10wt%〜約20wt%の水を含むことができ、溶媒塔230の塔頂に来る残留抽出剤の約0.001重量パーセント未満をさらに含むことができる。ブタノールに富む液相における残留抽出剤を、塔230において精留部を用いることにより最小限にすることができる。溶体水相は、約10wt%未満のブタノール、または一実施形態では約3wt%〜約10wt%のブタノールを含むことができる。溶媒塔230からの流れ216に不凝縮ガスが存在する場合、不凝縮ガスの少なくとも一部をプロセスからパージすることができ、それは、デカンタ250から出る流れ268として示されている。パージガスをスクラバ(図示せず)に送ることができ、スクラバ水(図示せず)を、デカンタ250に、その中の任意のブタノールの回収のために戻すことができる。これは、発酵培地におけるブタノール生成微生物に対するブタノールの毒性のために、プロセスの発酵部にスクラバ水を再循環させるより好ましい。デカンタは、いかなる従来の設計であってもよい。
【0083】
デカンタ250からの液体水相のすべてまたは一部を、環流228として溶媒塔230に戻すことができる。デカンタ250からのブタノールに富む液相の流れ232を分割することができ、一部は還流234として溶媒塔230に戻され、残りの部分236は、ブタノール塔260に供給される。ブタノール塔260は、ブタノールおよび水の分離を行い、実質的に100wt%のブタノールであり実質的に水がないブタノール塔底流242を提供する。「実質的に100wt%のブタノール」および「実質的に水がない」とは、塔底流242に存在する水および/または他の非ブタノール成分(たとえば抽出剤)が、約0.01wt%未満であることを意味する。蒸気塔頂流238は、たとえば約67wt%のブタノールおよび約33wt%の水、たとえば60wt%のブタノールおよび約40wt%の水、またはたとえば55wt%のブタノールおよび約45wt%の水を含む。蒸気塔頂流238を、凝縮器(図示せず)で凝縮することができ、蒸気塔頂流238は、混合器240を介してデカンタ226に戻ることができる。
【0084】
溶媒塔230は、少なくとも供給物入口、塔頂蒸気出口、塔底流出口、加熱手段、および抽出剤からのブタノールの分離を行うために十分な数の段を有する、いかなる従来の蒸留塔であってもよい。たとえば、抽出剤がオレイルアルコールを含む一実施形態では、溶媒塔230は少なくとも5段を有することができ、リボイラを含むことができる。一実施形態では、溶媒塔230は15段を有している。流れ236における最小抽出剤損失が望ましい場合、精留部が必要な場合があり、それを、環流234の使用と組み合わせても組み合わせなくてもよい。加熱手段は、蒸気入口において塔に供給されるスチーム等の加熱蒸気であり得る。一実施形態では、蒸気入口は塔230の底部にあり、塔頂蒸気出口は塔230の頂部にある。一実施形態では、溶媒塔230は、大気圧より低い圧力で維持される(たとえば、塔頂蒸気116を凝縮する凝縮器(図示せず)の大気圧より低い操作によって達成される)。この場合、蒸気入口における溶媒塔230の圧力は、大気圧より低い。そこに供給される加熱蒸気は、蒸気入口における塔圧力に対応する圧力を有しているべきである。一実施形態では、蒸気入口における圧力は約8.4psia(約0.57atm)であり、一実施形態では、蒸気出口における圧力は約7psia(約0.47atm)である。一実施形態では、蒸気入口における圧力は約14.0psiaであり、一実施形態では、蒸気出口における圧力は約12.5psiaである。一実施形態では、蒸気入口における圧力は約11.0psiaであり、一実施形態では、蒸気出口における圧力は約9psiaである。一実施形態では、蒸気入口における圧力は9.0psiaであり、一実施形態では、蒸気出口における圧力は約7psiaである。一実施形態では、蒸気入口における圧力は約8psiaであり、一実施形態では、蒸気出口における圧力は約6.5psiaである。一実施形態では、溶媒塔230における圧力降下は約1.5psia〜約2.0psia、別の実施形態では約2.0psia〜約2.5psia、および別の実施形態では約1.0psia〜約2.5psiaに維持される。
【0085】
ブタノール塔260は、少なくとも供給物入口、塔頂蒸気出口、塔底流出口、加熱手段(たとえば加熱蒸気)、および実質的に水のない塔底流242を提供するように所望の分離を行うために十分な数の段を有するいかなる従来の蒸留塔であってもよい。たとえば、一実施形態では、ブタノール塔260は少なくとも6段を有することができ、リボイラを含むことができる。一実施形態では、ブタノール塔260は10段を有し、一実施形態では、ブタノール塔260は、大気圧より低い圧力で維持される。一実施形態では、ブタノール塔260は、気圧を超える圧力で維持され、260の塔頂蒸気を、加熱媒体として単一の第1効用本体503に送ることができ、凝縮液はデカンタ250に戻る。
【0086】
抽出剤から発酵培地を分離した後、脱ガス水相供給物流212’がビール塔220に導入され、水、ブタノールおよび供給物に存在する場合は不凝縮ガスを含む、ブタノールに富む蒸気塔頂流222、およびブタノールが少ないビール塔底液体流224を提供する。ビール塔底流224は、ジスチラーズグレインおよび低濃度蒸留廃液等の副生成物を含む。蒸気塔頂流222を、上述したように、凝縮器(図示せず)で凝縮し、ブタノール塔260を用いるブタノールの回収のためにデカンタ250に導入することができる。したがって、ビール塔220は、溶媒塔230と並列に操作され、ビール塔220からの凝縮された蒸気塔頂流222を、混合器240において、溶媒塔230からの凝縮された蒸気塔頂流216と混合することができ、デカンタ250において結合流226をデカンテーションすることができる。
【0087】
図示しない実施形態では、ブタノールを回収する蒸留の前に、発酵培地は抽出剤から分離されない。こうした実施形態では、抽出剤および水からのブタノールの分離を行うように操作されるビール塔において、二相混合物が蒸留される。
【0088】
ビール塔220は、少なくとも供給物入口、塔頂蒸気出口、塔底流出口、加熱手段(たとえば加熱蒸気)、およびビール塔底生成物からのブタノールの分離を行うために十分な数の段を有する、いかなる従来の蒸留塔であってもよい。たとえば、一実施形態では、ビール塔220は、少なくとも10段を有することができ、リボイラを含むことができる。一実施形態では、ビール塔220は、大気圧より低い圧力で維持される。一実施形態では、ビール塔220における圧力降下は、約1.5psia〜約2.0psia、別の実施形態では約2.0psia〜約2.5psia、別の実施形態では約1.0psia〜約2.5psiaに維持される。一実施形態では、ビール塔220の蒸気入口における圧力は大気圧より低い。一実施形態では、図示するように、蒸気入口は塔220の底部にあり、塔頂蒸気出口は塔220の頂部にある。一実施形態では、蒸気入口における圧力は約8.4psia(約0.57atm)であり、約8.4psia(約0.57atm)の圧力の加熱蒸気が、塔の蒸気入口に供給される。一実施形態では、上記出口における圧力は約7psia(約0.47atm)である。一実施形態では、蒸気入口の圧力は約14.0psiaであり、一実施形態では、蒸気出口における圧力は約12.5psiaである。一実施形態では、蒸気入口における圧力は約11.0psiaであり、一実施形態では、蒸気出口における圧力は約9psiaである。一実施形態では、蒸気入口における圧力は約9.0psiaであり、一実施形態では、蒸気出口における圧力は約7psiaである。一実施形態では、蒸気入口における圧力は約8psiaであり、一実施形態では、蒸気出口における圧力は約6.5psiaである。
【0089】
ビール塔底副生成物が供給原料としての値を有するため、通常、ビール塔底生成物を廃棄物として破棄するのではなく、これらの副生成物のすべてまた一部をさらに処理して、ジスチラーズドライドグレイン、ジスチラーズウェットグレイン(Distillers Wet Grains)、ジスチラーズドライドソリュブル、凝縮したジスチラーズソリュブル(Condesed Distillers Solubles)および/またはジスチラーズドレイドグレインソリュブル(DDGS)のうちの1つまたは複数にすることが望ましい。図2の実施形態では、ビール塔底流224はさらに処理されてDDGS282を生成する。そのために、ビール塔底流224は分離器270に導入され、分離器270は、主に水を含む低濃度凝縮廃液からビール塔底の穀粒固形分272を分離する、遠心分離機またはフィルタプレス等の機械的分離器であり得る。低濃度凝縮廃液の一部274’を、発酵槽210に導入される混合供給物202に再循環させることができる。残りの低濃度蒸留廃液274は、多重効用蒸発システム280において実質的な量の水をそこから蒸発させることにより、シロップ276に濃縮される。一実施形態では、多重効用蒸発システム280は、低濃度蒸留廃液274からの水の蒸発を達成し、それにより、シロップ276における水の重量濃度が、低濃度蒸留廃液274における水の重量濃度の約半分となるようにする。一実施形態では、多重効用蒸発システム280は、低濃度蒸留廃液274からの水を達成し、それにより、シロップ276における水の重量濃度が約40%〜約65%になり、別の実施形態では、シロップ276における重量濃度水が約45%〜約60%になるようにする。一実施形態では、低濃度蒸留廃液における水の重量濃度は約85%〜約95%であり、別の実施形態では、低濃度蒸留廃液274における水の重量濃度は約90%である。そして、混合器290において、シロップ276を穀粒固形分272と結合することができ、その後、穀粒およびシロップの結合流278を乾燥機295で乾燥させてDDGS282を生成することができる。
【0090】
図2に示す実施形態では、二相混合物は、抽出剤および水からのブタノールの分離を行うように操作されるビール塔において蒸留される。ビール塔底副生成物は、上述したように、ジスチラーズドライドグレイン、ジスチラーズウェットグレイン、ジスチラーズドライドソリュブル、凝縮されたジスチラーズソリュブルおよび/またはジスチラーズドライドグレインソリュブル(DDGS)のうちの1つまたは複数になるように処理され、低濃度蒸留廃液は抽出剤を含む。抽出剤を含む低濃度蒸留廃液の一部を、上述したように発酵槽に再循環させてもよく、残りは、上述したように、上述した多重効用蒸発システムにおいてそこから実質的な量の水を蒸発させることによってシロップに濃縮される。
【0091】
多重効用蒸発システム280において、清浄プラント流288および/またはプラント再利用流288’(図3を参照)が、熱源として使用されて、中濃度蒸留廃液を生成するように低濃度蒸留廃液からの水の蒸発が行われる。そして、後続する効用の蒸発装置において、低濃度蒸留廃液からの蒸発水から構成される結果としてのスチームを使用して、中濃度蒸留廃液から徐々に水を蒸発させてシロップ276が生成される。中濃度蒸留廃液からの蒸発水によって構成されるスチームは、収集されてスチームライン292を介して排出され、たとえばビール塔220および/または溶媒塔230用の加熱手段として、またはブタノール塔260用等、他の単位操作の加熱手段として、システム200内に組み込まれる。たとえば、一実施形態では、第3効用スチームを、ブタノール塔260用のリボイラの代りに用いることができる。こうした場合、注入されるスチームを凝縮させ、デカンタ250においてデカンテーションすることができるが、これによって、蒸留操作における液圧負荷が増大する可能性がある。図2の実施形態では、スチームライン292はライン294および296に分割され、それらは、ビール塔220および溶媒塔230にスチームを供給し、これらの塔の分離操作用の熱を提供する。蒸発装置からのスチーム凝縮液は、凝縮液ライン275から排出され、必要に応じてシステム200における他の単位操作に再循環されるかまたはプラントスチームボイラ(図示せず)に戻るように供給され得る。一実施形態では、凝縮液流275は、加熱され、プロセスの発酵部において使用されるように再循環され(図示せず)、たとえば、発酵槽210に導入される混合供給物202を形成するように粉砕穀粒と混合される。
【0092】
ここで、図3を参照して多重効用蒸発システム280について説明する。多重効用蒸発システム280は、3列三重効用蒸発装置(合計9個の蒸発装置)から形成され、上述したように、分離器270からの低濃度蒸留廃液274を濃縮してシロップ276にし、シロップ276は乾燥機295に供給され得る。第1効用蒸発装置は蒸発装置501、502および503である。第2効用蒸発装置は蒸発装置511、512および513である。第3すなわち最後の効用蒸発装置は蒸発装置521、522および523である。各効用の蒸発装置を、任意の従来の設計とすることができる。たとえば、第1効用蒸発装置501に対して示すように、各蒸発装置は、本技術分野において既知であるようにシェルチューブ型熱交換器を有する上方部分540と、下方ポット部分545とを含むことができる。上方部分540では、チューブが、蒸留廃液を、熱交換器の上方に位置する入口(たとえば近接弁324)から、熱交換器部分を介して下方のポット部分545まで搬送する。蒸留廃液は、後続する蒸発装置(たとえば蒸発装置502)の蒸留廃液入口と連通している出口(たとえば近接弁326)を介して排出される。蒸気源からの加熱蒸気は、蒸気入口(たとえば近接弁320)において受け取られ、本技術分野において既知であるように熱交換器のシェル側において隔離される。加熱蒸気と蒸留廃液との間の熱交換により、蒸留廃液からの水が蒸発し、スチームが凝縮して、凝縮液ライン275から出る。各蒸発装置からの凝縮液を結合して、システム200で再循環させることができる(図2のライン275を参照)。蒸留廃液からの蒸発水を、蒸発システム280の下流効用の蒸気入口に接続することができるスチーム出口(たとえば近接弁328)から放出することができる。蒸発装置に至るさまざまなラインには弁が設けられており、それにより、蒸発装置のうちの任意の1つを保守のためにオフラインにしてバイパスすることができる。
【0093】
図示する実施形態では、第1効用蒸発装置501、502および503の蒸気入口は、熱源として清浄プラント流288および/または再利用プラント流288’を受け取る。低濃度蒸留廃液は、ライン274aを介して蒸発装置501の上方部分540に入り、わずかに濃縮されて蒸発装置501の底部ポット部分545から出る。任意に、蒸発システム280に入る低濃度蒸留廃液274を、並列の3つの第1効用蒸発装置501、502および503の間で、これらの蒸発装置の蒸留廃液入口に接続されたそれぞれのライン274a、274bおよび274cを介して、等しくまたは他の方法で分割することができる。蒸発装置501を出る濃縮された蒸留廃液は、次の蒸発装置502の頂部に入ることができ、その後、最終的に、最後の第1効用蒸発装置503の底部から、第1中濃度蒸留廃液ライン374において第1中濃度蒸留廃液として出る。蒸発装置501、502および503において低濃度蒸留廃液から熱によって気化するスチームは、第1効用スチームとしてそれぞれのスチーム出口から放出され、第1効用スチームライン388に入る。実施形態では、プラント再利用スチーム288’は、凝縮される必要がある他のプラント操作からのプロセス蒸気を含む。こうした実施形態では、蒸気を受け取る第1効用蒸発装置本体は、それらのプロセス蒸気の凝縮器としての役割を果たすことができ、蒸発装置本体のシェル側が隔離され、それにより、凝縮したプロセス液が、再循環水タンクに行く可能性がある清浄スチーム凝縮液を汚染することなく、他のプロセスに戻ることができる。一例では、プラント再利用スチーム288’は、ブタノール塔260からの蒸気塔頂生成物を含み、それを、第1効用蒸発装置本体において凝縮することができ、デカンタ250でデカンテーションすることができる。
【0094】
一実施形態では、第1効用蒸発装置501、502および503は、各々、約20psiaの圧力で、かつ約105℃〜約115℃、別の実施形態では約105℃〜約110℃、別の実施形態では約109℃の温度で操作される。プラントスチームは、温度アプローチが蒸留廃液と加熱スチームとの間で維持されるように、第1効用蒸発装置の動作温度および圧力より高い温度および圧力であり得る。一実施形態では、温度アプローチは、約10℃〜約20℃実施形態であり、別の実施形態では、温度アプローチは約10℃である。第1効用蒸発装置の温度および圧力は、上述した温度および圧力範囲よりわずかに高いかまたはわずかに低い可能性がある。たとえば、一実施形態では、第1効用温度は約99℃〜約130℃であり得る。第1効用温度を低下させることにより、第3効用温度が低下する。したがって、概して、第1効用蒸発装置温度は、特定のアルコール回収プロセスの蒸留塔(たとえばビール塔220および溶媒塔230)のうちの1つまたは複数を加熱するために、第3効用スチームの温度および圧力を保証する実現可能な範囲内にあるべきである。これにより、第3効用スチームを用いる蒸留塔(複数可)の操作に必要な真空が増大する。蒸留用の深い真空圧により、流れに不凝縮ガスが存在する場合に塔(再加圧なし)の塔頂蒸気流を凝縮することがより困難になる可能性がある。最適な温度は、蒸発装置の蒸留廃液側のファウリングを低減するかまたは防止するようにそれほど高く、かつ依然として有用な第3効用スチームが生成されることを保証する温度である。
【0095】
一実施形態では、第1効用蒸発装置によって発生する第1効用スチームは、約14psia〜約38psiaの圧力(約99℃〜約130℃の温度に対応する)であり、約16psia〜約30psiaの圧力である。別の実施形態では、第1効用スチームは、約20psiaの圧力でありかつ約109℃の温度である。第1効用蒸発装置501、502および503によって発生する第1効用スチームは、(ライン388において)結合され、その後、等しくまたは他の方法で第2効用蒸発装置511、512および513に分配される。第1効用スチームライン388は、第2効用蒸発装置511、512および513の蒸気入口に第1効用スチームを供給する。別法として、各第1効用蒸発装置からの第1効用スチームは、それぞれの第2効用蒸発装置に供給することができる。たとえば、第1効用蒸発装置501において発生するスチームは、第2効用蒸発装置511に供給される。
【0096】
第2効用蒸発装置511、512および513ならびに第3効用蒸発装置521、522および523の配置および操作は、第1効用蒸発装置501、502および503に非常に類似しているが、第2効用蒸発装置および第3効用蒸発装置の方が低い圧力および温度で動作し、第2効用蒸発装置は、第1効用蒸発装置501、502および503から収集される第1効用スチームによって加熱され、第3効用蒸発装置は、第2効用蒸発装置511、512および513から収集される第2効用スチームによって加熱される。一実施形態では、各効用の蒸発装置に対する圧力降下は、約4.0psi〜約7.0psiである。一実施形態では、圧力降下は、先行する効用より後続する効用の方が低い。たとえば、20psiaの第1効用圧力が使用される特定の実施形態では、第1効用蒸発装置の圧力降下は約6.1psiaであり、第2効用蒸発装置の場合は約4.6psiaである。概して、蒸発装置の前後の全圧力降下は、蒸発装置効用の間の温度アプローチによって決まる。たとえば、蒸発装置の前後の圧力降下は、20psiaの第1効用圧力が使用され発生する第3効用スチームが約9.3psiの圧力である特定の実施形態では、隣接する効用間の10℃の接近に基づく。
【0097】
第1中濃度蒸留廃液は、第2効用蒸発装置511の頂部に入り、より濃縮されて蒸発装置511の底部から出る。蒸発装置511を出る濃縮された蒸留廃液は、次の第2効用蒸発装置512の頂部から入ることができ、その後、最終的に最後の第2効用蒸発装置513の底部から、第2中濃度蒸留廃液ライン384において第2中濃度蒸留廃液として出る。蒸発装置511、512および513の第1中濃度蒸留廃液から熱によって気化するスチームは、第2効用スチームとしてそれぞれのスチーム出口から放出され、第2効用スチームライン398に入る。第2効用蒸発装置によって発生する第2効用スチームを(ライン398において)結合し、その後、等しくまたは他の方法で第3効用蒸発装置に分配することができる。第2効用スチームライン398は、第3効用蒸発装置521、522および523の蒸気入口に第2効用スチームを供給する。別法として、各第2効用蒸発装置は、蒸発列におけるそれぞれの第3効用蒸発装置のみに第2効用スチームを供給することができる。一実施形態では、第2効用蒸発装置によって発生する第2効用スチームは、約10psia〜約16psiaの圧力であり、約90℃〜約106℃の温度である。別の実施形態では、第2効用スチームは、約13.85psiaの圧力であり約99℃の温度である。
【0098】
第2中濃度蒸留廃液は、第3効用蒸発装置521の頂部に入り、より濃縮されて蒸発装置521の底部から出る。蒸発装置521から出る濃縮された蒸留廃液は、次の第3効用蒸発装置522の頂部に入ることができ、その後最終的に、シロップ276として最後の第3効用蒸発装置523の底部から出て、シロップ276は、混合器290に搬送されて、乾燥されてDDGS282を生成する結合された穀粒およびシロップ流278を形成することができる。蒸発装置521、522および523において第2中濃度蒸留廃液から熱によって気化されるスチームは、第3効用スチームとしてそれぞれのスチーム出口から放出され、スチームライン292に入り、スチームライン292は、第3効用スチームをそれぞれビール塔220および溶媒塔230に搬送するスチームライン294および296に分割する。一実施形態では、第3効用蒸発装置によって発生する第3効用スチームは、約7psia〜約12psiaの圧力であり、約80℃〜約95℃の温度であり、別の実施形態では、第3効用スチームは約85℃〜約90℃の温度である。別の実施形態では、第3効用スチームは、約9.3psiaの圧力であり約88℃の温度である。
【0099】
一実施形態では、第3効用スチームは、ビール塔220において発酵供給物212’を蒸留するために十分な熱を供給する。一実施形態では、第3効用スチームは、溶媒塔230においてブタノール含有有機相208を蒸留するために十分な熱を供給する。一実施形態では、プラントスチームは第3効用スチームとともに使用されて、ビール塔220において発酵供給物212’を蒸留するのに十分な熱を供給する。一実施形態では、プラントスチームは、第3効用スチームともに使用されて、溶媒塔230においてブタノール含有有機相208を蒸留するのに十分な熱を供給する。別の実施形態では、ビール塔220のみに第3効用スチームが供給される。別の実施形態では、溶媒塔230のみに第3効用スチームが供給される。液−液抽出(たとえば、ストリッピング、吸収、パーベーパレーション、膜溶媒抽出)ではなくまたはそれに加えてインサイチュの生成物取出しの技術とともに、他のアルコールに関連する回収プロセスの技術を利用する回収プロセス等、ブタノール回収プロセスの他の実施形態では、本明細書に記載する多重効用蒸発システムからの第3効用スチームを使用して、プロセスの1つまたは複数の蒸留単位操作に対して熱を供給することができる。第3効用スチームから熱を受け取る1つまたは複数の蒸留単位操作を、大気圧より低い圧力で維持するべきであり、それにより、第3効用スチームを特定の蒸留塔に注入する前に加圧する必要がなくなる。
【0100】
本発明の3列三重効用蒸発装置は、第2効用スチームを効率的に使用してより高濃度のシロップを得るか、または別法として二重効用蒸発システムと同じ濃度のシロップを得るが蒸留廃液のより高いスループットを可能にすることにより、二重効用蒸発システムに比較して利点を提供することができる。希釈シロップが機器ファウリングの可能性を低減することができ、搬送するために必要な力がより小さくてよいため、より希釈したシロップが処理には望ましい可能性がある。濃縮されたシロップもまた利点を提供し、濃縮シロップの水が少ないことにより下流のDDGS乾燥機(たとえば乾燥機295)の熱負荷が低下するため、希釈シロップよりエネルギー効率の高いプロセスを提供することができる。本発明の3列三重効用蒸発装置はまた、最後の効用から、追加の予熱あるいは冷却ステップおよび/または与圧ステップなしにビール塔220および溶媒塔230への直接供給のために最適な温度および圧力を有するスチームを得ることにより、蒸発システムのスチームを効率的に使用する利点を提供することができる。さらに、特にブタノール製造の場合、ビール塔、溶媒塔およびブタノール蒸留塔は、依然として第1効用蒸発装置温度を比較的低く維持しながら第3効用スチームを使用することができるように配置され、それにより、製造操作中に必要であるべき毎年の蒸発装置清掃の回数がわずかになる。特に、ビール塔220および溶媒塔230は、並列に配置され、最小圧力降下(たとえば約1.5psi〜約2.0psi)で操作され得るため、本発明は、ブタノール回収蒸留塔に直接供給するために有用な温度および圧力の第3効用スチームを依然として達成しながら、第2効用蒸発装置および第3効用蒸発装置において必要な圧力降下が可能になる、適度な温度および圧力(たとえば約20psiaおよび約109℃)で、第1効用蒸発装置を操作することができるように、利点を提供する。
【0101】
さらに、蒸発装置の各々に至りかつそこから通じるさまざまなラインに弁を設けることができ、それにより、3つの第1効用蒸発装置501、502および503のうちのいずれか1つ、3つの第2効用蒸発装置511、512および513のうちのいずれか1つ、および3つの第3効用蒸発装置521、522および523のうちのいずれか1つを、保守のためにオフラインにしてバイパスすることができる。蒸発装置を隔離しバイパスする弁を、蒸発装置501に関連して説明する。スチームライン弁320が開放している時、低濃度蒸留廃液取入弁324が開放している時、低濃度出口弁326が開放している時、第1効用スチーム出口弁328が開放している時、かつ低濃度蒸留廃液バイパス弁322が閉鎖している時、蒸発装置501はオンラインである。弁320、322、324、326および328がこの構成である時、蒸発装置501は、加熱するためにプラントスチームを受け取り、蒸発のために低濃度蒸留廃液を受け取り、第2効用蒸発装置(蒸発装置511、512および513)によって使用される第1効用スチームを生成し、蒸発装置502がオンラインである場合に蒸発装置502によるさらなる蒸発のためのわずかに濃縮された蒸留廃液を生成する。スチームライン弁320が閉鎖している時、低濃度蒸留廃液取入弁324が閉鎖している時、第1効用スチーム出口弁328が閉鎖している時、低濃度蒸留廃液バイパス弁322が開放している時、蒸発装置501はオフラインである。弁320、322、324、326および328がこの構成である時、蒸発装置501は、プラントスチーム、低濃度蒸留廃液またはさらには第1効用スチームの逆流を受け取らない。この構成にある時、低濃度蒸留廃液は、蒸発装置501をバイパスし、蒸発装置502に流れ込む。3つの効用の他の蒸発装置に、蒸発装置501と同様に弁を設けることができ、それらの蒸発装置を、同様にオンラインにするかまたはオフラインにすることができることが理解されるべきであり、したがって、これらの蒸発装置の弁に対する詳細な説明は省略する。さらに、第2効用蒸発装置および第3効用蒸発装置の各々は、第1効用蒸発装置のスチームライン弁320と同様のプラントスチームライン弁を有することができる。したがって、プラントスチームを使用して、後続する蒸発装置効用を操作するために使用される蒸発装置スチームを補足するかまたは交換することができる。たとえば、蒸発列(たとえば、蒸発装置501、511および521)における蒸発装置のうちの1つ(たとえば第1効用蒸発装置501)がオフラインとなると、列における後続する効用の蒸発装置(たとえば第2効用蒸発装置511)は、プラントスチームで動作し続けることができる。
【0102】
システム200における他の単位操作で使用するためにより多くのスチームを発生するより多くの蒸発装置(たとえば、上述したようにビール塔220および溶媒塔230)をオンラインにして、プラント容量および効率を向上させることができるが、1つまたは複数の蒸発装置を隔離しバイパスするための弁により、プラントのダウンタイムを最小限にして必要な蒸発装置の定期保守、清掃または修理を行う柔軟性が可能になる。したがって、オフラインにされる必要がある可能性がある蒸発装置に応じて、蒸発列およびプロセス設定を再構成することも可能である。たとえば、最適ではないが、システムが3列二重効用蒸発システムとして動作し、第2効用蒸気がシステムに組み込まれるように、効用全体(たとえば第1効用蒸発装置)をオフラインにすることができる。しかしながら、蒸発濃縮プロセスに2つの効用しかない場合、エネルギー利用効率は比較的低い可能性があり、蒸発装置に対する低濃度蒸留廃液の流量を、高濃縮シロップを達成するために低減する必要がある場合がある。あらゆる時点において、各効用における1つの蒸発装置のみがオフラインとなることが好ましく、それにより、システムは、2列三重効用蒸発システムとして動作することができる。したがって、すべての蒸発装置がオンラインである場合のように、最適な温度のおよび圧力の第3効用スチームが依然として生成され、ビール塔および溶媒塔の操作のための加熱蒸気が供給される。オンラインおよびオフライン蒸発装置構成に対するさらに他のオプションもあり得る。たとえば、別のオプションは、システムの1つの蒸発装置(たとえば最初の第1効用蒸発装置501)のみをオフラインとし、第1効用の残りの蒸発装置502および503を、第2効用および第3効用のすべの蒸発装置とともに操作することである。この場合、第2効用の3つのすべての蒸発装置を操作するために適切なスチームを提供するように、第1効用スチームライン388に接続されている補給(make−up)スチームライン(図示せず)を介して、補給プラントスチームを追加する必要がある可能性がある。
【0103】
さらに、各蒸発装置は、底部ポット部分545に濃縮された蒸留廃液を検出するためのレベルセンサを有することができ、蒸発装置に接続されたラインは、流量センサを有することができる。センサのフィードバックに基づいて流量を制御するように、さまざまな弁を操作することができる。したがって、たとえば各蒸発装置への蒸留廃液流を、蒸発装置のポット部分545の検知されたレベルに基づいて、特定の蒸発装置により多いかまたは少ない蒸留廃液を提供するように制御することができる。さらに、各蒸発装置に供給されるスチームを、それぞれのスチーム入口弁を制御することによって変更することができ、それにより、蒸発装置毎に熱負荷が最適化されるのを確実にすることができる。
【0104】
さらに、いずれかまたは各蒸発装置は、相分離を検出するために底部ポット部分545に相間検出器を有することができる。相間検出は、本技術分野において既知であり、IR測定、近IR測定、濃度測定等の技術を利用することができる。実施形態では、蒸発装置槽を、視覚的相間検出を可能にするように構成することができる。低濃度蒸留廃液が油(供給原料からの油等)または溶媒を含み、それにより、二相混合物である実施形態では、相分離を、最終的なシロップが形成される前に蒸留廃液からの有機相の取出しを可能にするいかなる蒸発装置においても検出することができる。蒸発装置における有機相の取出しは、容量および圧送力に関して後続する蒸発装置および効用に対してそれほどの負荷をもたらさない。有機相が溶媒を含む実施形態では、取出される溶媒を、プロセスの後続する使用のために再循環させることができる。
【0105】
図3を参照して説明したプロセスに加えて、この開示を授かる当業者は、本発明の趣旨から逸脱することなく追加の構成もまた利点を提供することを理解することができる。たとえば、図5を参照して、多重効用蒸発システム600について説明する。多重効用蒸発システム600は、分離器270からの低濃度蒸留廃液274を、乾燥機295に供給することができるシロップ276に濃縮するように、2列四重効用蒸発装置(合計8個の蒸発装置)から形成される。第1効用蒸発装置は、蒸発装置601および602である。第2効用蒸発装置は、蒸発装置611および612である。第3効用蒸発装置は621および622である。第4効用蒸発装置は631および632である。蒸発装置を、上述した任意の従来の設計、たとえば多重効用蒸発システム280とすることができる。この構成では、第4効用は最後の効用であり、最後の効用スチームは、ビール塔および/または溶媒塔の操作のために加熱蒸気を供給することができる。
【0106】
別の例として、図6を参照して、多重効用蒸発システム700について説明する。多重効用蒸発システム700は、分離器270からの低濃度蒸留廃液274を、乾燥機295に供給することができるシロップ276に濃縮するように、1つ〜4つの蒸発装置(9〜12の蒸発装置)の第3効用を加えることにより、従来のエタノールプラント設計の4列二重効用蒸発装置を維持する。第1効用蒸発装置は、蒸発装置701、702、703および704である。第2効用蒸発装置は、蒸発装置711、712、713および714である。第3効用蒸発装置は、721、722および723である。しかしながら、図6には最後の効用に対して3つの蒸発装置を示しているが、この構成において、最後の効用を1つ、2つ、3つまたは4つの蒸発装置から構成してもよい。蒸発装置は、上述した任意の従来の設計、たとえば多重効用蒸発システム280であってもよい。この構成では、第3効用が最後の効用であり、最後の効用スチームが、ビール塔および/または溶媒塔の操作のために加熱蒸気を供給することができる。蒸気スチーム792を他の第2効用蒸気と結合するか、またはプロセスの他の部分に直接送ることができる。同様に、他の実施形態では、最後の効用の隣からの蒸気スチームを、塔またはプロセスの他の部分に直接送ることができる。
【0107】
本発明のプロセスを、プロセスの計算モデルを使用して論証することができる。プロセスモデリングは、技術者が複雑な化学プロセスをシミュレートするために使用する確立された方法である。プロセスモデリングソフトウェアは、多くの基本的な技術的計算、たとえば質量収支およびエネルギー収支計算、蒸気/液体平衡計算および反応速度計算を行う。分留装置のモデリングが特に確立されている。実験的に確定された二成分気/液平衡および液/液平衡データに基づく計算は、多成分混合物の挙動を確実に予測することができる。この能力は、Burlington、MassのAspentech,Inc.のJoseph Bostonによって開発された「inside−out」アルゴリズムのような厳密なアルゴリズムを用いて、複雑な多段、多成分蒸留塔および蒸発装置のモデル化を可能にするように拡張された。Aspentech製のAspen Plus(登録商標)等の市販のモデリングソフトウェアを、New York、NYのAmerican Institute of Chemical Engineers,Inc.から入手可能なDIPPR等の物理特性データベースとともに使用することにより、プロセスの正確なモデルおよび評価を開発することができる。以下の限定しない実施例は、本発明をさらに例示する。
【実施例】
【0108】
以下の比較実施例は、プロセスモデリングによって得られ、25.5%の同じ乾燥トウモロコシ荷重に対して、従来のエタノール製造プロセスのものと比較した、本発明によるアルコール製造プロセスのエネルギー利用効率を示す。乾燥トウモロコシ荷重は、発酵バッチ毎に発酵槽内に装填される総乾燥トウモロコシを、水を含む発酵槽における材料の総重量で割った値として定義される。各実施例において、マッシュし、加熱し、発酵させる5000万ガロン/年のトウモロコシ供給原料が、15wt%の水と平衡乾燥凹モロコシと組成を有している。乾燥トウモロコシは、70wt%のデンプンと、9.8wt%のタンパク質と、8wt%の非発酵性溶解固形分(non−fermentable dissolved solids)(NFDS)とを有している。
【0109】
実施例1:4列二重効用蒸留廃液蒸発を用いるエタノール製造プロセス
実施例1は、図1を参照して図示し上述したような乾式粉砕エタノールプラント100のプロセス概要に従う「乾式粉砕」エタノール発酵製造プロセスのプロセスモデルシミュレーションを提供する。図1に示すように、このモデルシミュレーションでは、流れ194が流れ126および128に分割され、それぞれビール塔120および精留器130の操作のための熱を提供する。実施例1のシミュレーションに対して入力されたパラメータを表1に列挙する。プロセスモデルから計算されたいくつかの寸法および熱負荷の結果も表1に列挙する。これらのパラメータは、物理特性パラメータ、マッシュトウモロコシ供給物に対する種々雑多な供給物(たとえば酵素、アンモニア)に関するパラメータ、マッシュ調理パラメータおよび糖化パラメータ、ならびに集束および他の計算オプションまたは診断に関するパラメータは含んでいない。以下の表において、「EtOH」という略語はエタノールを指す。
【0110】
【表1】

【0111】
【表2】

【0112】
実施例1に対する流れの結果を表2に列挙する。ビール塔内の流れ(traffic)および液体質量組成のプロファイルを表3に列挙する。精留塔内の流れおよび液体質量組成のプロファイルを表4に列挙する。
【0113】
実施例2:3列三重効用蒸留廃液蒸発を用いるブタノール製造プロセス
実施例2は、図2および図3を参照して図示し上述したようなシステム200のプロセス概要に従う「乾式粉砕」ブタノール発酵製造プロセスのプロセスモデルシミュレーションを提供する。実施例2は、ブタノール異性体としてイソブタノールおよび抽出剤としてオレイルアルコールを使用するプロセスモデリングによって得られた。イソブタノールおよび1−ブタノールの物理特性データが類似していることと、水とこれらのブタノール異性体との間の共沸混合物が異質であることとにより、ブタノール異性体として1−ブタノールまたは1−ブタノールおよびイソブタノールの混合物が選択された類似する場合に対して、同様の結果が予測される。
【0114】
実施例2のシミュレーションに対して入力されたパラメータを表5に列挙する。表5には、プロセスモデルから計算されたいくつかの寸法および熱負荷の結果も列挙する。これらのパラメータは、物理特性パラメータ、マッシュトウモロコシ供給物に対する種々雑多な供給物(たとえば酵素、アンモニア)に関するパラメータ、マッシュ調理パラメータおよび糖化パラメータ、ならびに集束および他の計算オプションまたは診断に関するパラメータは含んでいない。以下の表において、「OLEYLOH」という略語はオレイルアルコールを指し、「I−BUOH」または「BUOH」はイソブタノールを指す。
【0115】
【表3】

【0116】
【表4】

【0117】
【表5】

【0118】
実施例2に対する流れの結果を表6に列挙する。ビール塔内の流れおよび液体質量組成のプロファイルを表7に列挙する。溶媒塔内の流れおよび液体質量組成のプロファイルを表8に列挙する。ブタノール塔内の流れのプロファイルおよび液体質量組成のプロファイルを表9に列挙する。
【0119】
実施例3:4列二重効用蒸留廃液蒸発を用いるブタノール製造プロセス
実施例3は、図2を参照して図示し上述したようなシステム200のプロセス概要に実質的に従うが、蒸発システム280の代りに図4に示す4列二重効用蒸発システム280’が用いられている、「乾式粉砕」ブタノール発酵製造プロセスの比較プロセスモデルシミュレーションを提供する。図4の蒸発システム280’では、低濃度蒸留廃液274はシロップ276’に濃縮され(その後、混合器290に搬送され、図2を参照)、第1効用蒸発装置151〜154は、清浄プラントスチーム288によって加熱される。第2効用蒸発装置161〜164によって発生する第2効用スチーム292’は、蒸発システム280’を出る(その後、ビール塔220および溶媒塔230にスチームを供給するライン294および296に分割される、図2を参照)。4列二重効用蒸発システム280’は、図1のエタノール製造プロセスおよび比較実施例1に関して上述した蒸発システム150と同様に構成され、同様の参照数字は同一かまたは機能的に類似する要素を示す。したがって、図4の詳細な説明は省略する。
【0120】
実施例3のシミュレーションに対して入力されるパラメータを表10に列挙する。表10には、プロセスモデルから計算されたいくつかの寸法および熱負荷の結果もまた列挙する。これらのパラメータは、物理特性パラメータ、マッシュトウモロコシ供給物に対する種々雑多な供給物(たとえば酵素、アンモニア)に関するパラメータ、マッシュ調理パラメータおよび糖化パラメータ、ならびに集束および他の計算オプションまたは診断に関するパラメータは含んでいない。
【0121】
【表6】

【0122】
【表7】

【0123】
実施例に対する流れの結果を表11に列挙する。ビール塔内の流れおよび液体質量組成のプロファイルを表12に列挙する。溶媒塔内の流れおよび液体質量組成のプロファイルを表13に列挙する。ブタノール塔内の流れおよび液体質量組成のプロファイルを表14に列挙する。
【0124】
表15は、プロセスモデルから計算された、加熱負荷、冷却負荷およびプロセス間熱交換によって供給される負荷に基づいて、実施例1、実施例2および実施例3のプロセスの総熱消費量を比較する。表15は、本発明のプロセスによるブタノール製造が、意外なことに、製造される生成物に対し、従来のエタノール製造プロセスよりエネルギー効率の高いプロセスであり得ることを示す。特に、実施例1および実施例2のそれぞれのシミュレーションに対して、ブタノールは、重量ベースで、エネルギー密度がエタノールよりおよそ25%高く、このエネルギー密度の相違を考慮すると、キログラムエタノール当りの熱消費量は、キログラムブタノール当りの熱消費量より高い。さらに、実施例1の第1効用蒸発装置の熱負荷(すなわち、84284MJ/時)と実施例2の第1効用蒸発装置の熱負荷(すなわち、85492MJ/時)との間の同等の熱負荷により、61.5wt%の水のシロップを生成する実施例1のシステムより、蒸発列が1つ少ないにも関らず、実施例2の三重効用の3列蒸発システムにより、45wt%の水のより濃縮されたシロップを生成することができる。
【0125】
同様に、61.5wt%水のシロップを生成する実施例3のシステムより、蒸発列が1つ少ないにも関らず図2のシステムにより、45wt%水のより濃縮されたシロップを生成することができる。さらに、9wt%水を有するDDGS生成物を得るために、実施例2に対する計算されたDDGS乾燥機負荷はわずかに68971MJ/時であり、一方で、実施例3に対する計算されたDDGS乾燥機負荷は82458MJ/時である。さらに、表15に示すように、実施例3に対するキログラムブタノール当りの熱消費量は、実施例2に対するものより大きい。これは、実施例3においてシミュレートされた4列二重効用蒸発システムを使用するブタノール製造プロセスが、意外なことに、本発明による3列三重効用蒸発システムを用いるブタノール製造プロセスより全体的なエネルギー効率が低いことを示す。
【0126】
【表8】

【0127】
実施例4;3列二重効用蒸留廃液蒸発を用いるエタノール製造プロセス
実施例4は、実施例1で使用したのと同じプロセス概要および実質的に同じモデリングパラメータ(図1および表1を参照)を使用するが、代りに蒸発システム150の1つの蒸発列がプロセスモデルから排除されている、「乾式粉砕」エタノール発酵製造プロセスのプロセスモデルシミュレーションを提供する。実施例4では、実施例1で使用されるプロセスモデリングパラメータからのわずかな変形には、39℃での再生冷却器/凝縮器の操作、115.5℃での蒸発装置加熱器入口温度および111.6℃の出口温度が含まれる。さらに、実施例4は、60wt%水であり9wt%水濃度まで(DDGS乾燥機180において)乾燥されるシロップ(158)の製造をシミュレートする。実施例4は、清掃または保守のためにオフラインにされる1つの蒸発列をバイパスする結果としての3列二重効用蒸発システムを用いる、図1のエタノールプラント100を操作するシナリオをシミュレートする。特に、実施例4のプロセスモデルシミュレーションは実施例1に類似しているが、第1効用蒸発装置153および第2効用蒸発装置163によって構成される蒸発列は、プロセス概略図から排除されている。したがって、第1効用蒸発装置152から出る蒸留廃液は、最後の第1効用蒸発装置154に供給され、第2効用蒸発装置162から出る蒸留廃液は、最後の第2効用蒸発装置164に供給される。実施例4の表16は、プロセスモデルから計算された、加熱負荷、冷却負荷およびプロセス間熱交換によって供給される負荷に基づく実施例4のプロセスの総熱消費量を提供する。
【0128】
実施例5:2列三重効用蒸留廃液蒸発を用いるブタノール製造プロセス
実施例5は、実施例2で使用したのと同じプロセス概要および実質的に同じモデリングパラメータ(図2および図3ならびに表5を参照)を使用するが、代りに蒸発システム280の1つの蒸発列がプロセスモデルから排除されている、「乾式粉砕」ブタノール発酵製造プロセスのプロセスモデルシミュレーションを提供する。実施例5は、清掃または保守のためにオフラインにされる1つの蒸発列をバイパスする結果としての2列三重効用蒸発システムを用いる、ブタノール回収のために図2および図3のシステム200を操作するシナリオをシミュレートする。特に、実施例5のプロセスモデルシミュレーションは実施例2に類似しているが、第1効用蒸発装置502、第2効用蒸発装置512および第3効用蒸発装置522によって構成される蒸発列は、プロセス概略図から排除されている。したがって、第1効用蒸発装置501から出る蒸留廃液は、最後の第1効用蒸発装置503に供給され、第2効用蒸発装置511から出る蒸留廃液は、最後の第2効用蒸発装置513に供給され、第3効用蒸発装置521から出る蒸留廃液は、最後の第3効用蒸発装置523に供給される。実施例5は、45wt%水であり9wt%水濃度まで(DDGS乾燥機295において)乾燥するシロップ(276)の製造をシミュレートする。表16は、プロセスモデルから計算された、加熱負荷、冷却負荷およびプロセス間熱交換によって供給される負荷に基づく実施例5のプロセスの総熱消費量を提供する。
【0129】
実施例6:3列二重効用蒸留廃液蒸発を用いるブタノール製造プロセス
実施例6は、実施例3で使用したのと同じプロセス概要および実質的に同じモデリングパラメータ(図2および図4ならびに表10を参照)を使用するが、代りに蒸発システム280’の1つの蒸発列がプロセスモデルから排除されている、「乾式粉砕」ブタノール発酵製造プロセスのプロセスモデルシミュレーションを提供する。さらに、実施例6では、ビール塔および溶媒塔は、塔頂圧力が8.8psiaであり塔底圧力が10.3psiaであり、ブタノール塔は、塔頂圧力が8.8psiaであり塔底圧力が9.6psiaである。実施例6は、清掃または保守のためにオフラインにされる1つの蒸発列をバイパスする結果としての3列二重効用蒸発システムを用いる、ブタノール回収のためにシステム200を操作するシナリオをシミュレートする。特に、実施例6のプロセスモデルシミュレーションは実施例3に類似しているが、第1効用蒸発装置153および第2効用蒸発装置163によって構成される蒸発列は、プロセス概略図から排除されている。したがって、第1効用蒸発装置152から出る蒸留廃液は、最後の第1効用蒸発装置154に供給され、第2効用蒸発装置162から出る蒸留廃液は、最後の第2効用蒸発装置164に供給される。実施例6は、61.5wt%水であり9wt%水濃度まで(DDGS乾燥機295において)乾燥されるシロップ(276’)の製造をシミュレートする。表16は、プロセスモデルから計算された、加熱負荷、冷却負荷およびプロセス間熱交換によって供給される負荷に基づく実施例6のプロセスの総熱消費量を提供する。
【0130】
【表9】

【0131】
表16は、本発明のプロセスによるブタノール製造が、蒸発列が蒸留廃液副生成物の濃縮中にオフラインにされる場合であっても、製造される生成物に対して、従来のエタノール製造プロセスよりエネルギー効率の高いプロセスであり得ることを示す。表16はまた、本発明のプロセスによる蒸留廃液濃度に対する2列三重効用蒸発システムを採用するブタノール製造が、3列二重効用蒸発システムで動作するブタノール製造プロセスよりエネルギー効率の高いプロセスであり得ることも示す。本発明のシステムおよびプロセスの例示的なこの改善されたエネルギー効率および柔軟性は、蒸留廃液副生成物からの家畜飼料の製造とともに再生可能資源からのアルコール燃料の商用製造を、経済的な、環境に配慮した柔軟な製造プロセスにするという利点を提供する。
【0132】
本発明のさまざまな実施形態について上述したが、それらは限定ではなく単に例として提示されていることが理解されるべきである。当業者には、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくそこで形態および細部のさまざまな変更を行うことができることが明らかとなろう。したがって、本発明の広さおよび範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【0133】
本明細書で言及したすべての刊行物、特許および特許出願は、本発明が関連する技術分野における当業者の水準を示し、各個々の刊行物、特許または特許出願が具体的にかつ個々に参照により本明細書に援用されているものと示されているかのような同様の程度まで参照により本明細書に援用される。
【0134】
【表10】

【0135】
【表11】

【0136】
【表12】

【0137】
【表13】

【0138】
【表14】

【0139】
【表15】

【0140】
【表16】

【0141】
【表17】

【0142】
【表18】

【0143】
【表19】

【0144】
【表20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵供給物からアルコールを分離し低濃度蒸留廃液をシロップに濃縮する方法であって、
大気圧より低い圧力で維持されているビール塔において発酵供給物の少なくとも一部を分離して、(i)アルコールに富む蒸気と、(ii)低濃度蒸留廃液を含むアルコールが少ないビール塔底生成物とを生成させるステップと、
直列に配置された少なくとも2つの第1効用蒸発装置を用いて、該低濃度蒸留廃液から水を蒸発させて、第1中濃度蒸留廃液および第1効用スチームを生成させるステップと、
直列に配置された少なくとも2つの第2効用蒸発装置を用いて、該第1効用スチームからの熱で、生成した第1の中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて、第2中濃度蒸留廃液および第2効用スチームを生成させるステップと、
少なくとも1つの第3効用蒸発装置を用いて、該第2効用スチームからの熱で、生成した第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させてシロップを生成させるステップと、
最後の効用蒸発装置によって生成した最後の効用スチームの少なくとも一部を用いて、ビール塔において発酵供給物を蒸留するための熱を供給するステップと、
を含む、上記方法。
【請求項2】
直列に配置された3つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された3つの第2効用蒸発装置と、直列に配置された3つの第3の効用蒸発装置とを含む、3つの効用を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
直列に配置された2つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された2つの第2効用蒸発装置と、直列に配置された2つの第3効用蒸発装置とを含み、さらに直列に配置された2つの第4効用蒸発装置を含む、4つの効用を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
直列に配置された4つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された4つの第2効用蒸発装置と、少なくとも1つの第3効用蒸発装置とを含む、3つの効用を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
直列に配置された2つ〜4つの第3効用蒸発装置を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ビール塔において発酵供給物から蒸留されたアルコールに富む蒸気が、ブタノールに富む蒸気である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ビール塔において発酵供給物から蒸留されたアルコールに富む蒸気がブタノールに富む蒸気であり、発酵供給物が溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
低濃度蒸留廃液が主に水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
低濃度蒸留廃液が溶媒を含み、溶媒が、C12〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪族アルデヒド、C12〜C22脂肪酸アミドのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
発酵供給物を溶媒に富む部分と溶媒が少ない部分とに分離するステップであって、溶媒が少ない部分がビール塔において蒸留された発酵供給物の部分である、ステップと、
溶媒塔において溶媒に富む部分を分離して溶媒が少なくアルコールに富む蒸気と溶媒に富みアルコールが少ない液体とを生成させるステップであって、溶媒塔が、前記ビール塔と並列に操作され、大気圧より低い圧力で維持される、ステップと、
最後の効用スチームの一部を使用して、溶媒塔において発酵供給物の溶媒に富む部分を蒸留するのに十分な熱を供給するステップと、
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
ビール塔で生成されたブタノールに富む蒸気を凝縮して第1のブタノールに富む液体を生成させるステップと、
溶媒塔で生成された溶媒が少ない蒸気を凝縮して溶媒が少ない液体を生成させるステップと、
第1のブタノールに富む液体と溶媒が少ない液体とを組み合わせてブタノールを含む液体を生成させるステップと、
ブタノールを含む液体を分離して第2のブタノールに富む液体およびブタノールが少ない液体を生成させるステップと、
蒸留塔において第2のブタノールに富む液体を蒸留して、実質的に100wt%のブタノールの液体塔底生成物を生成させるステップと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1効用蒸発装置が、その蒸発装置のうちの1つを、残りの第1効用蒸発装置が動作し続けている間バイパスすることができるように配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第2効用蒸発装置が、その蒸発装置のうちの1つを、残りの第2効用蒸発装置が動作し続けている間バイパスすることができるように配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第2効用蒸発装置が、その蒸発装置のうちの1つを、残りの第2効用蒸発装置が動作し続けている間バイパスすることができるように配置される、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
第3効用蒸発装置が、その蒸発装置のうちの1つを、残りの第3効用蒸発装置が動作し続けている間バイパスすることができるように配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
第3効用蒸発装置が、その蒸発装置のうちの1つを、残りの第3効用蒸発装置が動作し続けている間バイパスすることができるように配置される、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
第4効用蒸発装置が、その蒸発装置のうちの1つを、残りの第3効用蒸発装置が動作し続けている間バイパスすることができるように配置される、請求項3に記載の方法。
【請求項18】
ビール塔で生成した低濃度蒸留廃液を第1効用蒸発装置に並列に供給するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
プラントスチームを使用して、第1効用蒸発装置において低濃度蒸留廃液から水を蒸発させるのに十分な熱を供給するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
発酵供給物からアルコールを分離して低濃度蒸留廃液をシロップに濃縮するシステムであって、
ビール塔が、発酵供給物を受け入れる入口、アルコールに富む蒸気を排出する頂部出口と、ジスチラーズグレインおよび低濃度蒸留廃液を含むアルコールの少ないビール塔底生成物を排出するビール塔底出口とを有し、低濃度蒸留廃液が主に水を含み任意に溶媒を含む、該ビール塔と、
低濃度蒸留廃液を濃縮する多重効用蒸発システムが、
低濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第1効用スチームおよび第1中濃度蒸留廃液を生成させる一組の第1効用蒸発装置が、直列に連結された少なくとも第1の第1効用蒸発装置および第2の第1効用蒸発装置を含み、第1の第1効用蒸発装置が、ビール塔のビール塔底出口と連通し、ビール塔底生成物の低濃度蒸留廃を受け入れる蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第1効用蒸発装置が、先の第1効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第1効用蒸発装置の各々が、蒸気源から加熱蒸気を受け入れる蒸気入口を有し、各第1効用蒸発装置が、加熱蒸気が低濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、低濃度蒸留廃液から水を徐々に蒸発させて第1中濃度蒸留廃液および第1効用スチームを生成させ、各第1効用蒸発装置が、第1効用スチームを放出する第1効用スチーム出口を有する、該一組の第1効用蒸発装置と、
第1中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第2効用スチームおよび第2中濃度蒸留廃液を生成させる一組の第2効用蒸発装置が、直列に連結された少なくとも第1の第2効用蒸発装置および第2の第2効用蒸発装置を含み、第1の第2効用蒸発装置が、最後の第1効用蒸発装置の蒸留廃液出口に連結された蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第2効用蒸発装置が、先の第2効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第2効用蒸発装置の各々が、第1効用スチーム出口に連結された蒸気入口を有し、各第2効用蒸発装置が、第1効用スチームが第1中濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、第1中濃度蒸留廃液から水を徐々に蒸発させて第2中濃度蒸留廃液および第2効用スチームを生成させ、各第2効用蒸発装置が、第2効用スチームを放出する第2効用スチーム出口を有する、該一組の第2効用蒸発装置と、
第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第3効用スチームおよびシロップを生成させる一組の第3効用蒸発装置が、直列に連結された少なくとも第1の第3効用蒸発装置および第2の第3効用蒸発装置を含み、第1の第3効用蒸発装置が、最後の第2効用蒸発装置の蒸留廃液出口に連結された蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第3効用蒸発装置が、先の第3効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第3効用蒸発装置の各々が、第2効用スチーム出口に連結された蒸気入口を有し、各第3効用蒸発装置が、第2効用スチームが第2中濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、第2中濃度蒸留廃液から水を徐々に蒸発させてシロップおよび第3効用スチームを生成させ、各第3効用蒸発装置が、第3効用スチームを放出する第3効用スチーム出口を有する、該一組の第3効用蒸発装置と、
を含む、該多重効用蒸発システムと、
最後の効用蒸発装置の最後の効用スチーム出口をビール塔の蒸気入口に連結し、それにより最後の効用スチームの少なくとも一部がビール塔の操作のための熱を提供するようにするスチームラインと、
を含む、上記システム。
【請求項21】
直列に配置された3つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された3つの第2効用蒸発装置と、直列に配置された3つの第3効用蒸発装置とを含む3つの効用を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
直列に配置された2つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された2つの第2効用蒸発装置と、直列に配置された2つの第3効用蒸発装置とを含み、直列に配置された2つの第4効用蒸発装置をさらに含む4つの効用を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
直列に配置された4つの第1効用蒸発装置と、直列に配置された4つの第2効用蒸発装置と、少なくとも1つの第3効用蒸発装置とを含む3つの効用を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
直列に配置された2つ〜4つの第3効用蒸発装置を含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
ビール塔底生成物のジスチラーズグレインから低濃度蒸留廃液を分離するように構成された分離器と、
分離器とビール塔底出口とを連結するビール塔底ラインと、
分離器と第1の第1効用蒸発装置の蒸留廃液入口とを連結する低濃度蒸留廃液ラインと、
をさらに含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項26】
分離器が遠心分離器またはフィルタプレスである、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
第1低濃度蒸留廃液ラインに連結された第2低濃度蒸留廃液ラインおよび第3低濃度蒸留廃液ラインをさらに含み、第2の第1効用蒸発装置および第3の第1効用蒸発装置の各々の蒸留廃液入口が、それぞれの第2低濃度蒸留廃液ラインおよび第3低濃度蒸留廃液ラインと連通しており、第1の第1効用蒸発装置、第2の第1効用蒸発装置および第3の第1効用蒸発装置が、分離器から並列に低濃度蒸留廃液を受け入れることができる、請求項21に記載のシステム。
【請求項28】
ビール塔の蒸気入口における圧力が大気圧より低い、請求項20に記載のシステム。
【請求項29】
溶媒を含む発酵供給物の部分を受け取る入口を有し、溶媒が少なくアルコールに富む蒸気を排出する頂部出口と、溶媒に富みアルコールが少ない液体用の底部出口とを有し、ビール塔と並列に操作される溶媒塔と、
最後の効用蒸発装置の最後の効用スチーム出口を溶媒塔の蒸気入口に連結し、それにより、最後の効用スチームの一部が溶媒塔の操作用の熱を提供するようにし、溶媒塔の蒸気入口における圧力が大気圧より低い、第2スチームラインと、
をさらに含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項30】
第1効用蒸発装置が、蒸発装置を分離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスし、蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する、請求項20に記載のシステム。
【請求項31】
第2効用蒸発装置が、蒸発装置を分離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスし、蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する、請求項20に記載のシステム。
【請求項32】
第3効用蒸発装置が、蒸発装置を分離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスし、蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する、請求項20に記載のシステム。
【請求項33】
第4効用蒸発装置が、蒸発装置を分離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスし、蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する、請求項22に記載のシステム。
【請求項34】
第1効用蒸発装置、第2効用蒸発装置および第3効用蒸発装置の各々が、蒸発装置を分離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスし、蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する、請求項20に記載のシステム。
【請求項35】
ビール塔の頂部出口がブタノールに富む蒸気を排出する、請求項20に記載のシステム。
【請求項36】
低濃度蒸留廃液が溶媒を含み、溶媒が、C12〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪族アルデヒドまたは
12〜C22脂肪酸アミドのうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項37】
前記低濃度蒸留廃液が、発酵フィードストックからの油を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項38】
ビール塔において発酵供給物からアルコールを分離した副生成物として得られる、低濃度蒸留廃液をシロップに濃縮する多重効用蒸発システムであって、
低濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第1効用スチームおよび第1中濃度蒸留廃液を生成させる一組の第1効用蒸発装置が、直列に連結された第1の第1効用蒸発装置、第2の第1効用蒸発装置および第3の第1効用蒸発装置を含み、第1の第1効用蒸発装置が、ビール塔のビール塔底出口と連通して、ビール塔底生成物の低濃度蒸留廃を受け入れる蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第1効用蒸発装置が、先の第1効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第1効用蒸発装置の各々が、蒸気源から加熱蒸気を受け入れる蒸気入口を有し、各第1効用蒸発装置が、加熱蒸気が低濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、低濃度蒸留廃液から水を徐々に蒸発させて第1中濃度蒸留廃液および第1効用スチームを生成させ、各第1効用蒸発装置が、第1効用スチームを放出する第1効用スチーム出口を有する、該一組の第1効用蒸発装置と、
第1中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第2効用スチームおよび第2中濃度蒸留廃液を生成させる一組の第2効用蒸発装置が、直列に連結された第1の第2効用蒸発装置、第2の第2効用蒸発装置および第3の第2効用蒸発装置を有し、第1の第2効用蒸発装置が、第3の第1効用蒸発装置の蒸留廃液出口に連結された蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第2効用蒸発装置が、先の第2効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第2効用蒸発装置の各々が、第1効用スチーム出口に連結された蒸気入口を有し、各第2効用蒸発装置が、第1効用スチームが第1中濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、第1中濃度蒸留廃液から水を徐々に蒸発させて第2中濃度蒸留廃液および第2効用スチームを生成させ、各第2効用蒸発装置が、第2効用スチームを放出する第2効用スチーム出口を有する、該一組の第2効用蒸発装置と、
第2中濃度蒸留廃液から水を蒸発させて第3効用スチームおよびシロップを生成させる一組の第3効用蒸発装置が、直列に連結された第1の第3効用蒸発装置、第2の第3効用蒸発装置および第3の第3効用蒸発装置を有し、第1の第3効用蒸発装置が、第3の第2効用蒸発装置の蒸留廃液出口に連結された蒸留廃液入口と、蒸留廃液を排出する蒸留廃液出口とを有し、各後続する第3効用蒸発装置が、先の第3効用蒸発装置の蒸留廃液出口と連通する蒸留廃液入口を有し、第3効用蒸発装置の各々が、第2効用スチーム出口に連結された蒸気入口を有し、各第3効用蒸発装置が、第2効用スチームが第2中濃度蒸留廃液と熱交換するように構成され、それにより、第2中濃度蒸留廃液から水を徐々に蒸発させてシロップおよび第3効用スチームを生成させ、各第3効用蒸発装置が、第3効用スチームを放出する第3効用スチーム出口を有する、該一組の第3効用蒸発装置と、
を含む、上記システム。
【請求項39】
第1効用蒸発装置、第2効用蒸発装置および第3効用蒸発装置の各々が、蒸発装置を分離する弁と、それに関連する、蒸留廃液を、蒸発装置をバイパスし、蒸留廃液を次の蒸発装置の蒸留廃液入口への経路に切り替えるラインに向け直すバイパス弁とを有する、請求項38に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−514815(P2013−514815A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546143(P2012−546143)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/061512
【国際公開番号】WO2011/084784
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(310011310)ビュータマックス・アドバンスド・バイオフューエルズ・エルエルシー (24)
【Fターム(参考)】