説明

アルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成された部材同士の接合方法及び同接合構造及び端子台の製造方法

【課題】AlとAl又はAlと異種金属で形成された部材同士を簡単、確実に接合する接合方法及び接合構造を提供する。
【解決手段】Al製の第1部材6と、Al又はAlより硬い異種金属製の第2部材5と、第1部材6と第2部材5の一方に形成された雄部10と、他方に形成された雌部8とを有し、雌部8に雄部10を嵌めてAl用はんだではんだ付けしてなる接合方法であって、雄部10は外面に突状部11が形成されており、一方、雌部8は、前記突状部11と穴の内面とが軸方向に投影した投影図上で重なり合うような大きさに形成されており、雄部10にAl用はんだを付着させた後、雄部10を雌部8に対しAl用はんだの融点以上の温度にして圧入し、その際、雄部10と雌部8の重合部分について部材を構成するAlが物理的に削られ、現れたAlの新生面ともう一方の部材の対向面とがAl用はんだにより接合されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成された部材同士の接合方法、及び、アルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成された部材同士の接合構造、及び、端子台の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムは、多くの有用な特徴を持ち、既に様々な分野で広く用いられている。
しかし、アルミニウムは、表面に強い酸化膜が生成されるため、アルミニウム同士や異種金属との接合が容易でない。
かかる問題が解消されればアルミニウムの用途はさらに広がることから、例えば特許文献1に記載されているようにアルミニウムと異種金属とを接合する技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−185217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明は、図6に示したように、アルミニウムで丸軸状に形成された下側の第1部材100と、アルミニウムと銅を除く異種金属で丸軸状に形成された上側の第2部材101と、前記第2部材101の軸端に形成された軸状の雄部102と、第1部材100に形成された凹穴状の雌部103と、を有し、異種金属である第2部材101の雄部102の表面に予め銅、アルミニウム、亜鉛、鉛、ケイ素、カドミウム、スズ、及びこれらの1種以上を主成分とする合金の内から任意に選択した金属からなるメッキを施しておき、このメッキを施した第2部材101の雄部102と、前記第1部材100の雌部103とを溶融させたアルミニウム用はんだ(例えばZn−5%Al)の中に超音波振動を加えつつ浸漬し、そうして形成したはんだ層104同士を溶融させて接合し、もって第1部材100と第2部材101をはんだで接合する、というものである。
【0005】
しかしながら上記従来の接合方法では、超音波振動を加えつつ第1部材100の雄部102と第2部材101の雌部103を溶融はんだに浸漬して各表面にはんだ層104を形成する、というものであり、したがって超音波振動を加える設備の負担が必要になる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、その目的は、アルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成された部材同士を簡単、確実に接合する接合方法及び接合構造を提供することにある。また、その接合方法を利用してアルミニウムの端子板に異種金属の接続端子を確実に接合してしかも接合部の電気抵抗を小さくすることが可能な端子台の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため本発明は、
アルミニウムで形成される第1部材と、
アルミニウム又はアルミニウムより硬い異種金属で形成される第2部材と、
前記第1部材と第2部材の何れか一方に形成された軸状の雄部と、
前記第1部材と第2部材のもう一方に形成された穴状の雌部と、を有し、
前記雌部に前記雄部を嵌めて両者をアルミニウム用はんだではんだ付けしてなるアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成される部材同士の接合方法であって、
接合前の前記雄部は、軸方向と直交する方向の外面に外向きの突状部が形成されており、
一方、接合前の前記雌部は、前記雄部の前記突状部の全部又は先端側の一部と穴の内面とが軸方向に投影した投影図上で重なり合うような大きさに形成されており、
前記雄部の外面にアルミニウム用はんだを付着させた後、その雄部を前記雌部に対しアルミニウム用はんだの融点以上の温度にして圧入し、その際、前記雄部と雌部の前記重合部分について部材を構成するアルミニウムが物理的に削られ、そうして現れたアルミニウムの新生面ともう一方の部材の対向面とが前記アルミニウム用はんだにより接合されるものであるアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成された部材同士の接合方法を提供する。
【0008】
また、請求項2に記載したように、
アルミニウムで形成される第1部材と、
アルミニウム又はアルミニウムより硬い異種金属で形成される第2部材と、
前記第1部材と第2部材の何れか一方に形成された軸状の雄部と、
前記第1部材と第2部材のもう一方に形成された穴状の雌部と、を有し、
前記雌部に前記雄部を嵌めて両者をアルミニウム用はんだではんだ付けしてなるアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成された部材同士の接合構造であって、
接合前の前記雄部は、軸方向と直交する方向の外面に外向きの突状部が形成されていてその外面にアルミニウム用はんだが付着しており、
一方、接合前の前記雌部は、前記雄部の前記突状部の全部又は先端側の一部と穴の内面とが軸方向に投影した投影図上で重なり合うような大きさに形成されており、
前記雄部と雌部は、前記重合部分について部材を構成するアルミニウムが圧入時に物理的に削られて嵌合しており、また、削られて現れたアルミニウムの新生面ともう一方の部材の対向面とが前記アルミニウム用はんだにより接合されているアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成された部材同士の接合構造を提供する。
【0009】
また、請求項3に記載したように、
アルミニウムで形成される第1部材と、
アルミニウム又はアルミニウムより硬い異種金属で形成される第2部材と、
前記第1部材と第2部材の何れか一方に形成された軸状の雄部と、
前記第1部材と第2部材のもう一方に形成された穴状の雌部と、を有し、
前記雌部に前記雄部を嵌めて両者をアルミニウム用はんだではんだ付けしてなるアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成される部材同士の接合方法であって、
接合前の前記雌部は、軸方向と直交する方向の内面に内向きの突状部が形成されており、
一方、接合前の前記雄部は、前記雌部の前記突状部の全部又は先端側の一部と外面とが軸方向に投影した投影図上で重なり合うような大きさに形成されており、
前記雌部の内面にアルミニウム用はんだを付着させた後、前記アルミニウム用はんだの融点以上の温度にして前記雄部を当該雌部に圧入し、その際、前記雄部と雌部の前記重合部分について部材を構成するアルミニウムが物理的に削られ、そうして現れたアルミニウムの新生面ともう一方の部材の対向面とが前記アルミニウム用はんだにより接合されるものであるアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成された部材同士の接合方法を提供する。
【0010】
また、請求項4に記載したように、
アルミニウムで形成される第1部材と、
アルミニウム又はアルミニウムより硬い異種金属で形成される第2部材と、
前記第1部材と第2部材の何れか一方に形成された軸状の雄部と、
前記第1部材と第2部材のもう一方に形成された穴状の雌部と、を有し、
前記雌部に前記雄部を嵌めて両者をアルミニウム用はんだではんだ付けしてなるアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成される部材同士の接合方法であって、
接合前の前記雄部は、軸方向と直交する方向の外面に外向きの突状部が形成されており、
一方、接合前の前記雌部は、軸方向と直交する方向の内面に内向きの突状部が形成され且つ該突状部の全部又は先端側の一部と前記雄部の前記突状部の全部又は先端側の一部とが軸方向に投影した投影図上で重なり合うような大きさに形成されており、
前記雄部の外面又は前記雌部の内面にアルミニウム用はんだを付着させた後、前記雄部を前記雌部に対しアルミニウム用はんだの融点以上の温度にして圧入し、その際、前記雄部と雌部の前記重合部分について部材を構成するアルミニウムが物理的に削られ、そうして現れたアルミニウムの新生面ともう一方の部材の対向面とが前記アルミニウム用はんだにより接合されるものであるアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成された部材同士の接合方法を提供する。
【0011】
また、請求項5に記載したように、
請求項1又は3又は4のいずれか1項に記載のアルミニウムと異種金属で形成される部材同士の接合方法を使用するものであって、
前記第1部材は、アルミニウムで形成された端子板であり、
前記第2部材は、アルミニウムより硬い異種金属で形成された接続端子である端子台の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1,2に記載の接合方法及び接合構造によれば、雄部を雌部に圧入すると、第1に雄部がアルミニウムより硬い異種金属で、雌部がアルミニウムである場合は、雌部の内面を覆う酸化膜が雄部の突状部で物理的に削られてアルミニウムの新生面が現れる。
第2に雄部がアルミニウムで、雌部がアルミニウムより硬い異種金属である場合は、雌部の内面で雄部の突状部が削られてアルミニウムの新生面が現れる。
第3に雄部と雌部がアルミニウムである場合は、雄部の突状部と雌部の内面の構造的に弱い部分が削れてアルミニウムの新生面が現れる。
一方、雄部を雌部に圧入するときの温度がアルミニウム用はんだの融点以上になっているため、雄部の外面に付着させたアルミニウム用はんだが溶融状態になっていて、酸化膜が削られた直後の前記新生面に付着する。これによりアルミニウムとアルミニウム用はんだが相互拡散することで、雄部と雌部、すなわち第1部材と第2部材の界面に拡散層が形成され接合する。
【0013】
また、請求項3に記載の部材同士の接合方法は、請求項1の雄部に設けた突状部を雌部に形成したものであり、さらにまた、請求項4に記載の部材同士の接合方法は、雄部と雌部の双方に前記突状部を形成したものであり、そうした場合でも請求項1と同様の効果が得られる。
【0014】
また、請求項1又は3又は4の接合方法によれば第1部材と第2部材が、絶縁体である酸化膜を介在させずに接合できるため、この方法で製造された請求項5の端子台は、接合部の電気抵抗が小さく、また、接続端子がアルミニウムより硬い異種金属で形成されるため、リード線等との接続部分を高トルクで締め付けて接触箇所の電気抵抗を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】雌部を有する第1部材と雄部を有する第2部材を接合した状態を示す端子台の一部断面正面図である。
【図2】雌部を有する第1部材と雄部を有する第2部材の接合前の状態を示す端子台の一部断面正面図である。
【図3】雄部を有する第1部材と雌部を有する第2部材の接合前の状態を示す端子台の一部断面正面図である。
【図4】他の形態を示すもので、雌部を有する第1部材と雄部を有する第2部材の接合前の状態を示す端子台の一部断面正面図である。
【図5】他の形態を示すもので、雄部を有する第1部材と雌部を有する第2部材の接合前の状態を示す端子台の一部断面正面図である。
【図6】従来の接合構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態1]
以下に本発明の実施形態1を端子台を例に図1〜図3を参照しつつ説明する。
図1は、例えば電池や配電盤の端子台1を示したものであり、この端子台1の雌ネジ部2にリード線接続用の端子ネジ3が締め込まれていて、その端子ネジ3と端子台1との間にリード線の端末丸形端子4が装着されている。
【0017】
前記端子台1は、第1部材たる端子板6に第2部材たる接続端子5を接合して形成されている。
【0018】
前記端子板6は、アルミニウム製の正極端子であり、この端子板6の台軸部7に上向きに開口する穴状の雌部8が形成されている。
【0019】
一方、前記接続端子5は、アルミニウムより硬い異種金属である鉄鋼製であり、前記端子板6の台軸部7の頂部に載る丸いベース板9と、そのベース板9の下側に突設した軸状の雄部10とからなり、その雄部10の中心に前記雌ネジ部2が形成されている。この接続端子5は、前記のように鉄鋼製であるが、アルミニウム用はんだを付着可能とするため、表面にメッキ(例えばニッケルメッキ)が施されている。なお、接続端子5を例えば銅のようにアルミニウム用はんだが付着可能な金属で形成した場合には、もちろんはんだ用のメッキを施す必要はない。
【0020】
図2に示したように、接合前の接続端子5の雄部10には、軸方向と直交する方向の外面(外周面)に外向きの突状部11,11…が形成されている。実施形態の突状部11,11…は、周知のローレット加工で全周に形成されており、根元が太く先端に向かって細くなる断面三角形状をしている。したがって雄部10の外面は、突状部11,11…により全体がほぼヤスリ状になっている。また、接合前の接続端子5の雄部10には、後述するように外面全体にアルミニウム用はんだ12が付着している。
【0021】
また、接合前の端子板6の雌部8の大きさは、前記雄部10の突状部11,11…の先端側の一部、具体的には突状部11,11…の先端側のほぼ半分程度と穴の内面とが軸方向に投影した投影図上で重なり合う(※図2において「重合部」参照)、つまり雌部8に雄部10を嵌め入れたとき突状部11,11…の先端側のほぼ半分程度が雌部8の内面に食い込むように設定されている。
【0022】
次に実施形態1の端子台1の製造方法について説明する。
先ず、接合前の第2部材たる接続端子5の雄部10を溶融状態のアルミニウム用はんだ12に浸漬し、そうして雄部10の外面全体にアルミニウム用はんだ12を付着させる。
【0023】
その後、接続端子5と第1部材たる端子板6をアルミニウム用はんだ12の融点以上(例えば融点が300℃であれば300℃以上)に加熱し、その温度を保ちつつ端子板6の雌部8に接続端子5の雄部10を圧入させる。実施形態1では雄部10の方が鉄鋼製であってアルミニウム製の雌部8より硬いため、雌部8の内面を覆う酸化膜が雄部10の突状部11,11…で物理的に削られ破壊されてアルミニウムの新生面が現れる。
【0024】
一方、雄部10を雌部8に圧入するときの温度は、前記のようにアルミニウム用はんだ12の融点以上になっているため、雄部10の外面全体に付着させたアルミニウム用はんだ12が溶融して突状部11,11…の根元部分にプールされた状態になっていて、雌部8の現れた直後の前記新生面に直ぐさま付着する。これによりアルミニウムとアルミニウム用はんだ12が相互拡散することで拡散層が形成され、雄部10と雌部8、すなわち第1部材たる端子板6と第2部材たる接続端子5が確実に接合される。
【0025】
こうして接合された端子板6と接続端子5は、絶縁体である酸化膜が物理的に破壊され共晶結合を生成するので、接合部の電気抵抗が極小になる。また、接続端子5が強度に優れた鉄鋼で形成されているため端子ネジ3を強く締め付けることが可能であり、よってリード線の端末丸形端子4を接続端子5に密着させて接続部の電気抵抗も小さくすることができる。
【0026】
以上、実施形態1について、第1部材たる端子板6に雌部8を形成し、第2部材たる接続端子5に雄部10を形成した例を示したが、図3に示したように、第1部材たる端子板6に雄部10を形成し、第2部材たる接続端子5に雌部8を形成するようにしてもよい。この場合、雄部10がアルミニウム製で、雌部8が鉄鋼製であるから、雌部8に雄部10を圧入したとき、雄部10の突状部11,11…の先端側が雌部8の内面で削られて新生面が現れ、その直後に雄部10の外面に付着していたアルミニウム用はんだ12が前記新生面に付着する。
【0027】
[実施形態2]
次に本発明の実施形態2を図4,図5に基づき説明する。
実施形態2は、実施形態1で雄部10に形成した突状部11,11…を雌部8に形成したものであり、その他の点については実施形態1と同じである。よって、図4,図5において実施形態1と同一又は同機能の部分には実施形態1と同じ符合を付して説明を省略する。なお、実施形態2の突状部11,11…は、雌部8の内面に設けられているため、ローレット加工によるよりもタッピング加工でネジ構造にする方が加工が容易で作りやすい。
【0028】
次に実施形態2の端子台1の製造方法について説明する。
先ず、接合前の第1部材たる端子板6の雌部8を溶融状態のアルミニウム用はんだ12に浸漬し、そうして雌部8の内面にアルミニウム用はんだ12を付着させる。
【0029】
その後、接続端子5と端子板6をアルミニウム用はんだ12の融点以上に加熱し、その温度を保ちつつ端子板6の雌部8に接続端子5の雄部10を圧入させる。実施形態2では雄部10の方が鉄鋼であってアルミニウムの雌部8より硬いため、雌部8の突状部11,11…が雄部10の外面で削られ、突状部11,11…を覆う酸化膜が物理的に破壊されてアルミニウムの新生面が現れる。
【0030】
一方、雄部10を雌部8に圧入するときの温度は、前記のようにアルミニウム用はんだ12の融点以上になっているため、雌部8の内面に付着させたアルミニウム用はんだ12が溶融して突状部11,11…の根元部分にプールされた状態になっていて、突状部11,11…の削られた直後の前記新生面に付着する。これによりアルミニウムとアルミニウム用はんだ12が相互拡散することで拡散層が形成され、雄部10と雌部8、すなわち第1部材たる端子板6と第2部材たる接続端子5が確実に接合される。
【0031】
以上、実施形態2について、第1部材たる端子板6に雌部8を形成し、第2部材たる接続端子5に雄部10を形成した例を示したが、図5に示したように、第1部材たる端子板6に雄部10を形成し、第2部材たる接続端子5に雌部8を形成するようにしてもよい。この場合、雄部10がアルミニウム製で、突状部11,11…を有する雌部8が鉄鋼製であるから、雌部8に雄部10を圧入したとき、雌部8の突状部11,11…で雄部10の外面が削られて新生面が現れ、その直後に雌部8の内面に付着していたアルミニウム用はんだ12が前記新生面に付着する。
【0032】
以上、本発明を実施形態1,2について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態1,2の突状部11,11…を、雄部10と雌部8の双方に形成するようにしてもよい。また、実施形態では雄部10が丸い軸状であり、雌部8が丸い穴状になっているが、雄部10と雌部8の形状は、丸以外に楕円形や多角形等でもよい。
また、実施形態では、突状部11,11…を雄部10の外面や雌部8の内面の全体にびっしり並べたが、適度に分散させるようにしてもよい。
また、実施形態では第2部材(接続端子5)を鉄鋼で形成したが、第1部材と同じくアルミニウムで形成してもよい。
また、実施形態の接続端子5は、雌ネジ部2に端子ネジ3を螺合させるようにしたものであるが、例えば図1,図2において、ベース板9の反・雄部10側の面に雄ネジ軸を突設し、その雄ネジ軸にリード線の端末丸形端子4を嵌めてナットで締め付けるようにしてもよい。
また、実施形態では突状部11,11…の一部が雌部8の内面や雄部10の外面に食い込む大きさになっているが、突状部11,11…の全部が雌部8の内面や雄部10の外面に食い込むようにしてもよい。
また、実施形態では本発明の接合方法の適用例として端子台1を例示したが、例えば自動車の車体部材をアルミニウム化する場合の締結手段に応用するなど、幅広い用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 …端子台
5 …接続端子(第2部材)
6 …端子板(第1部材)
8 …雌部
10 …雄部
11 …突状部
12 …アルミニウム用はんだ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムで形成される第1部材と、
アルミニウム又はアルミニウムより硬い異種金属で形成される第2部材と、
前記第1部材と第2部材の何れか一方に形成された軸状の雄部と、
前記第1部材と第2部材のもう一方に形成された穴状の雌部と、を有し、
前記雌部に前記雄部を嵌めて両者をアルミニウム用はんだではんだ付けしてなるアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成される部材同士の接合方法であって、
接合前の前記雄部は、軸方向と直交する方向の外面に外向きの突状部が形成されており、
一方、接合前の前記雌部は、前記雄部の前記突状部の全部又は先端側の一部と穴の内面とが軸方向に投影した投影図上で重なり合うような大きさに形成されており、
前記雄部の外面にアルミニウム用はんだを付着させた後、その雄部を前記雌部に対しアルミニウム用はんだの融点以上の温度にして圧入し、その際、前記雄部と雌部の前記重合部分について部材を構成するアルミニウムが物理的に削られ、そうして現れたアルミニウムの新生面ともう一方の部材の対向面とが前記アルミニウム用はんだにより接合されるものであることを特徴とするアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成された部材同士の接合方法。
【請求項2】
アルミニウムで形成される第1部材と、
アルミニウム又はアルミニウムより硬い異種金属で形成される第2部材と、
前記第1部材と第2部材の何れか一方に形成された軸状の雄部と、
前記第1部材と第2部材のもう一方に形成された穴状の雌部と、を有し、
前記雌部に前記雄部を嵌めて両者をアルミニウム用はんだではんだ付けしてなるアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成された部材同士の接合構造であって、
接合前の前記雄部は、軸方向と直交する方向の外面に外向きの突状部が形成されていてその外面にアルミニウム用はんだが付着しており、
一方、接合前の前記雌部は、前記雄部の前記突状部の全部又は先端側の一部と穴の内面とが軸方向に投影した投影図上で重なり合うような大きさに形成されており、
前記雄部と雌部は、前記重合部分について部材を構成するアルミニウムが圧入時に物理的に削られて嵌合しており、また、削られて現れたアルミニウムの新生面ともう一方の部材の対向面とが前記アルミニウム用はんだにより接合されていることを特徴とするアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成された部材同士の接合構造。
【請求項3】
アルミニウムで形成される第1部材と、
アルミニウム又はアルミニウムより硬い異種金属で形成される第2部材と、
前記第1部材と第2部材の何れか一方に形成された軸状の雄部と、
前記第1部材と第2部材のもう一方に形成された穴状の雌部と、を有し、
前記雌部に前記雄部を嵌めて両者をアルミニウム用はんだではんだ付けしてなるアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成される部材同士の接合方法であって、
接合前の前記雌部は、軸方向と直交する方向の内面に内向きの突状部が形成されており、
一方、接合前の前記雄部は、前記雌部の前記突状部の全部又は先端側の一部と外面とが軸方向に投影した投影図上で重なり合うような大きさに形成されており、
前記雌部の内面にアルミニウム用はんだを付着させた後、前記アルミニウム用はんだの融点以上の温度にして前記雄部を当該雌部に圧入し、その際、前記雄部と雌部の前記重合部分について部材を構成するアルミニウムが物理的に削られ、そうして現れたアルミニウムの新生面ともう一方の部材の対向面とが前記アルミニウム用はんだにより接合されるものであることを特徴とするアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成された部材同士の接合方法。
【請求項4】
アルミニウムで形成される第1部材と、
アルミニウム又はアルミニウムより硬い異種金属で形成される第2部材と、
前記第1部材と第2部材の何れか一方に形成された軸状の雄部と、
前記第1部材と第2部材のもう一方に形成された穴状の雌部と、を有し、
前記雌部に前記雄部を嵌めて両者をアルミニウム用はんだではんだ付けしてなるアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成される部材同士の接合方法であって、
接合前の前記雄部は、軸方向と直交する方向の外面に外向きの突状部が形成されており、
一方、接合前の前記雌部は、軸方向と直交する方向の内面に内向きの突状部が形成され且つ該突状部の全部又は先端側の一部と前記雄部の前記突状部の全部又は先端側の一部とが軸方向に投影した投影図上で重なり合うような大きさに形成されており、
前記雄部の外面又は前記雌部の内面にアルミニウム用はんだを付着させた後、前記雄部を前記雌部に対しアルミニウム用はんだの融点以上の温度にして圧入し、その際、前記雄部と雌部の前記重合部分について部材を構成するアルミニウムが物理的に削られ、そうして現れたアルミニウムの新生面ともう一方の部材の対向面とが前記アルミニウム用はんだにより接合されるものであることを特徴とするアルミニウムとアルミニウム又はアルミニウムと異種金属で形成された部材同士の接合方法。
【請求項5】
請求項1又は3又は4のいずれか1項に記載のアルミニウムと異種金属で形成される部材同士の接合方法を使用するものであって、
前記第1部材は、アルミニウムで形成された端子板であり、
前記第2部材は、アルミニウムより硬い異種金属で形成された接続端子であることを特徴とする端子台の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−166217(P2012−166217A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28013(P2011−28013)
【出願日】平成23年2月12日(2011.2.12)
【出願人】(511038673)株式会社アイテック (1)
【出願人】(511038514)中部アルミット工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】