説明

アルミノケイ酸塩と酸化アルミニウムを含有する成形体ならびにメチルアミンの連続的製法

本発明は、アルミノケイ酸塩と酸化アルミニウムを含有する成形体に関し、その際、該成形体は、10〜30の範囲内のAl/Si−モル比、かつ1nmを上回る直径を有する細孔に関しては、少なくとも二峰性の細孔分布を有し、その際、10nmを上回る直径を有する成形体の細孔容積は、成形体の全細孔容積の少なくとも40%に相応することを特徴とする;また前記成形体の製法、ならびに触媒として上記成形体を用いることに特徴付けられる、不均一触媒の存在でメタノール及び/又はジメチルエーテルとアンモニアの反応によりメチルアミンを連続的に製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミノケイ酸塩と酸化アルミニウムを含有する成形体、それらの製法ならびにメタノール及び/又はジメチルエーテルとアンモニアを反応させることによるメチルアミンの連続的製法に関する。
【0002】
モノメチルアミン(MMA)は、医薬品(例えば、テオフィリン)、殺虫剤(カルバリル、メタンナトリウム、カルボフラン)、界面活性剤、現像液、爆薬及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)のような溶剤を合成する際に使用される中間生成物である。
【0003】
ジメチルアミン(DMA)は、同様に合成による中間生成物である。ジメチルアミンをベースとする生成物の例は、殺真菌剤及び加硫促進剤(亜鉛−ビス−ジメチルジチオカルバメート)(Ziram)、テトラメチル−チオペルオキシジカルボニルジアミド(TMTD)、テトラメチルチオカルボン酸ジアミド(MTMT)、発泡剤1,1−ジメチルヒドラジン、種々の医薬品、モノマー、例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、溶剤(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド)、触媒[例えば、2,4,6−ビス[(ジメチルアミノ)メチル]フェノール(DMP30)]、殺虫剤dimefax、界面活性剤及びイオン交換樹脂である。
【0004】
トリメチルアミン(TMA)は、コリン塩、カチオンデンプン、消毒薬、浮遊剤、甘味剤及びイオン交換樹脂を製造する際に使用される。
【0005】
モノメチルアミン(MMA)、ジメチルアミン(DMA)及びトリメチルアミン(TMA)の合成は、気相中、例えば、アモルファスアルミナ又はシリカ−アルミナ(酸化アルミニウムと酸化ケイ素の混合物の形)上で10〜50バールの圧力で、アンモニアとメタノールから行われる。比較的に高い温度(350〜475℃)が使用される場合には、反応器中の滞留時間が所定の圧力と所定の供給温度で十分である場合には、これらの不均一触媒上で熱力学的平衡に調節されるか、又は似たように達成される(参照:Catalysis Today, 1997, 37, 71〜102頁)。
【0006】
メタノールでのアンモニア、モノメチルアミン(MMA)及び/又はジメチルアミン(DMA)のアルキル化(=アミノ化)は、NH3<MMA<DMAの順番で反応速度が増すことが当てはまる。よって、1回の試行で、アモルファスな"平衡触媒"上では、MMA、DMAとTMAの合計に対して、TMAの割合は35〜75質量%の間である。生成物の分布は、温度とN/C−比による(参照:Ind. Eng. Chem. Res. 2004, 43, 5123-5132頁)。
【0007】
トリメチルアミンの世界中での消費は、メチルアミンの全量に対して、20質量%未満である(参照:Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第5版、A16, 535-541頁)。従って、反応混合物中のDMAとMMAの割合を高めることが重要である。
【0008】
これは、触媒にTMAとアンモニアを戻すことにより成功し、合成の際にTMAはMMA、DMA及びTMAの混合物に変換される(=トランスアルキル化反応)。アミノ化とトランスアルキル化反応が組み合わされたメタノールとアンモニアからのメチルアミンの製法は、レオナード法(Leonard Process)と称される(参照:US3387032、"Alkylamines" PEP Report No. 138, 1981(SRI International, Menlo Park, California)及びHydrocarbon Process 1979, 58, 194頁以降)。戻すことにより、生成物混合物を必要に応じて調節することができる;一般例は、MMA34質量%、DMA46質量%及びTMA20質量%から成る混合物である("Alkylamines" PEP Report No. 138, 1981)。
【0009】
US1875747(Martin et al.)には、300〜500℃の温度で、アルミノケイ酸塩触媒上でのNH3とMeOHからのメチルアミンの製造が記載されている。アルミノケイ酸塩は、合成固体として、又はアルミナの形で使用できる。
【0010】
EP-A-64380(DuPont)には、アルミノケイ酸塩を、ナトリウム、カリウム、リチウム、バリウム又はストロンチウムの水酸化物塩で処理することにより得られる触媒が記載されていて、その際、Na、K、Li、Ba又はSrの割合は、0.1〜6質量%の間である。メタノールとアンモニアからメチルアミンを製造するための触媒の使用も同様に述べられている。ここで、モノメチルアミン(MMA)の割合は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の割合を増やすことにより調節してもよい。
【0011】
DD-A-266096(VEB Leuna)には、SiO2−Al2O3−脱水素触媒上でのメチルアミンの製法が記載されている。その際、Al2O3−担体又はSiO2/Al2O3−担体は、流動床にて水中の微粉砕したベーマイトとカオリンの硝酸含有懸濁液で噴霧され、かつ400〜600℃での熱による活性化の後に球体の触媒は、0.5〜0.6kg/lの嵩密度、70〜80%のAl2O3含有量ならびに0.75〜0.85ml/gの細孔容積を有し、細孔容積は、15nm未満の直径を有する細孔の範囲内では、少なくとも0.3ml/gであり、15nmを上回る直径を有する細孔の範囲内では、少なくとも0.4ml/gであり、かつそれらのうち、100nmを上回る直径を有する細孔の範囲内では、少なくとも0.2ml/gの細孔容積を有さなくてはならない。本発明による触媒は、20%長い有効寿命を有し、かつ取り出した後に、僅かな炭素含有沈着物と分解した成形体を有するとされている。70〜80%の間のAl2O3の割合は、2.7〜4.7のAl/Si−モル比に相当する。
【0012】
DD-A-149213(VEB Leuna)には、活性酸化アルミニウムを含有する脱水素作用触媒上でのメチルアミンの製法が開示されていて、その際、酸化アルミニウムの他に、二酸化ケイ素12〜18質量%を含有するカオリンと擬似ベーマイトをベースとして製造された触媒が使用されており、それらの全細孔容積は0.5ml/gより多く、その際、4nm未満の直径を有する細孔の割合は少なくとも30質量%であり、かつ15nmを上回る直径のものは、最大で10質量%であり、かつそれらの粒径もしくは壁厚は4mm未満であった。触媒は、著しい失活[C(MeOH)>99%]無しに13カ月運転でき、かつ取り出した触媒上の沈着物は、炭素約1.2質量%を含有していたとされる。12〜18%の間のSiO2の割合は、5.4〜8.6のAl/Si−モル比に相当する。
【0013】
EP-A-62428(=US 4370503)には、メタノール又はジメチルエーテルとアンモニアからメチルアミンを製造するための、アルミナ88〜99質量%と、シリカ1〜13質量%から成る触媒の使用が記載されている。シリカとアルミナの質量分布は、7.9〜116.7のAl/Si−モル比に相当する。触媒は、通常3〜13mmの直径及び/又は長さを有するペレットとして存在する。このペレットの細孔容積は、0.2〜0.8ml/gの間であり、BET表面積は100〜250m2/gの間である。
【0014】
DD-A-108275(Becker et al.)には、酸化アルミニウム及び/又はアルミノケイ酸塩から成る固定床触媒上でのメチルアミンの製法が記載されている。その際、触媒は中空ストランドの形で使用されており、それらの全直径は3〜10mmであり、かつそれらの内径は1〜5mmであり、細孔の少なくとも30%は100Å以上の直径、少なくとも130m2/gの表面積ならびに最大で2.0×10-5molNH3/gの酸性度を有する。完全なストランドと比較して、中空ストランドを使用する場合には、41%だけ低い圧力損失が測定され、僅かな副成分が形成されたとされ、水素に乏しい化合物の析出を減少させ、かつ触媒の有効寿命を30%だけ高くすることができたとされる。
【0015】
SU-A1-1766499(Chem. Abstr. 120: 57149)には、シリカ−アルミナ−触媒の製造が記載されている。この記述によれば、従来技術に対する改善は、擬似ベーマイトの代わりに、Al(OH)3を使用し、カオリン:水酸化アルミニウムのモル比を50から10に下げ、触媒製造の際に粉砕再生材料を添加し、かつアンモニア性溶液での処理に続き、押出成形する前に混合物をHNO3でペプチゼーションすることにある。この処理により、活性が高められ、かつ成形体の機械的特性を改善できたという。
【0016】
SU-A1-1766500(Chem. Abstr. 120: 157148)には、SU-A1-1766499に基づき、押出組成物をペプチゼーションするために、硝酸の代わりにギ酸の有利な使用が記載されている。
【0017】
DE-A-1543731(Leonard)には、気相で、かつ触媒の存在でアンモニアとアルコール、エーテル及びそれらの混合物の反応によるアミンの製法が記載されている。その際、触媒はシリカゲルベースであり、その上に、活性酸化アルミニウムと微量の金属塩の媒介物が塗布されている。触媒は利用前に、1〜50気圧でスチームで処理され、部分的に失活している。この触媒は、通常12〜13質量%の間のAl2O3を含有する。スチーム処理により、触媒の全表面積を90±20m2/gに減少させ、かつ細孔容積を0.34±0.10ml/g及び細孔直径を74±10Åに調節する。アルミノケイ酸塩を失活させ、かつ銀−、レニウム−、モリブデン−及びコバルト塩を塗布することにより、反応混合物中のDMAの割合を32〜35質量%から>50質量%までに上げることができたと言う。
【0018】
上記の1981年のPEPの報告によれば、アルキルアミン、特にメチルアミンの製造により、アルミノケイ酸塩触媒の有効寿命は約1.5年であると伝えられている("Alkylamines", M. Arne, Process Economics Program Report No. 138, 1981, California , USA, 19-41頁)。
【0019】
記載された従来技術のアルミノケイ酸塩−触媒の有効寿命は、最大でも2年である。
【0020】
2004年12月21日のドイツ国特許出願第102004062718.5号明細書(BASF社)は、酸性の形状選択性の分子篩いの存在と水素の存在での、メタノールからのメチルアミンの製法に関する。
【0021】
メチルアミンを製造するための触媒の開発において、アミノ化及びトランスアルキル化用の触媒が両方とも、所定の条件下で活性であることが望ましい。アミノ化反応とは、水の排除しながら、アンモニア、MMA及び/又はDMAとメタノール及び/又はジメチルエーテルを反応させることを意味する。トランスアルキル化とは、MMA、DMA及び/又はTMAとそれ自体又はアンモニアの反応を意味する(参照:Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第5版、1996, Vol.16A、535-541頁およびCatalysis Today 1997, 37, 71-102頁)。
【0022】
両方の反応は、酸触媒作用であるので、ブレンステッド及び/又はルイス酸の密度と強さにより決定される触媒の酸性度は、決定的重要性がある(参照:Ind. Eng. Chem. Res. 2004, 43, 5123-5132頁)。本発明により、触媒の酸性度は出発物質の活性化が活性中心を有する錯体形成により可能になるように最適化されるべきであるが、しかし錯体は、コークス及び/又はコークス前駆体を形成するか、もしくは活性中心を不活化するほど安定では無い。触媒の酸性度を影響させる1つの可能性は、Al/Si−モル比の調節である。
【0023】
本発明により触媒の酸性度を調節する場合には、触媒成形体中での出発材料と生成物の滞留時間は、所定の反応条件下に、出発材料と生成物の十分な拡散が活性中心から、又は活性中心へ、ならびに反応媒体の拡散が触媒の細孔中へ又は、細孔から可能になるように最適化されるべきである。シリカ−アルミナ触媒は、一般に微孔質ではないので、触媒の多孔度の最適化は、マクロポア(細孔直径>25nm)及び/又はメソポア(細孔直径1〜25nm)の最適化を意味する。
【0024】
生産スケールで触媒を使用するために、成形体の形態は、反応器中の圧力損失が出来るだけ少なくなるように選択するべきである。更に成形体は、所定の反応条件下に例えば、40mまでの充填高さが可能であり、かつ反応の際のダストの形成が最小であるように出来るだけ機械的に安定であるべきである。
【0025】
本発明は、改善された触媒と改善された経済的なメチルアミンの製法を見出す課題に基づく。特に、この方法は高いメタノール転化率(例えば、>95%)で、2年以上の触媒の有効寿命が保証されるべきである。
【0026】
従って、アルミノケイ酸塩と酸化アルミニウムを含有する成形体が見出され、前記成形体は、10〜30の範囲内のAl/Si−モル比を有し、かつ1nmを上回る直径を有する細孔に関しては、少なくとも二峰性の細孔分布を有し、その際、10nmを上回る直径を有する成形体の細孔容積は、成形体の全細孔容積の少なくとも40%に相応することに特徴付けられる。
【0027】
細孔容積は、DIN66134によりHg−ポロシメトリーにより測定される。
【0028】
更に、次の工程:
(I)アルミノケイ酸塩、特に、クレー、結合剤としての酸化アルミニウム、ペースト剤及び溶剤を含有する混合物を製造し、
(II)前記混合物を混合かつ圧密化し、
(III)圧密化した混合物の成形し、成形体を得る、
(IV)成形体を乾燥させ、かつ
(V)乾燥させた成形体をか焼する
を含むことに特徴付けられる上記の成形体の製法ならびに触媒として上記成形体を用いることに特徴付けられる、不均一触媒の存在で、メタノール及び/又はジメチルエーテルとアンモニアの反応によりメチルアミンを連続的に製造する方法が見出された。
【0029】
本発明による方法では、本発明の触媒の有効寿命は、3年以上、特に4年以上であり、かつ例えば3.5〜6年の期間である。
【0030】
本発明の方法で触媒として使用される本発明の成形体の製造と特徴に関して:
アルミノケイ酸塩(工程I)
アルミノケイ酸塩として、有利にはクレー、特に有利にはカオリンのグループからの層状ケイ酸塩が使用される(参照:Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry 第6版、2000年電子版、第2章ならびにLehrbuch der Anorganischen Chemie, A.F. Holleman, E, Wiberg, de Gruyter-Verlag, Berlin, 91〜100版、1985、771〜776頁)。とりわけ有利には、カオリナイト{式:Al2(OH)4[Si2O5]}を使用する。
【0031】
カオリナイトは、カオリンの主要成分であり、これは、特にジョージア、イギリス、アメリカ合衆国、ブラジル、ドイツ、チェコ共和国、スペイン、ロシア及びオーストラリアの堆積物中で得られる(参照:Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry 第6版、2000年電子版、第3.1章)。天然のカオリンは、カオリナイトの他に少量の長石、マイカ及び石英を含有し、かつ当業者に公知の方法により精製できる;この場合には、特にUllman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry 第6版、2000年電子版、第4.1章に記載されている"乾燥法"及び"湿式法"である。カオリナイトは、pH<7で熱水合成により、ポリケイ酸と水酸化アルミニウムから合成により得ることができる。
【0032】
クレー、有利にはカオリン及び特に有利にはカオリナイトは、微量のチタン、鉄、ナトリウム及びカリウムを含有するのが有利である。これらの元素の割合は、有利にはチタン0.1〜1.0質量%、鉄0.1〜1.0質量%、カリウム0.1〜5.0質量%及びナトリウム0.1〜5.0質量%である。
【0033】
ケイ酸アルミニウム、特にクレー、有利にはカオリン、特に有利にはカオリナイトの割合は、完成した触媒ストランド中では、1〜30質量%、有利には2〜20質量%、特に有利には5〜15質量%である。
【0034】
酸化アルミニウム結合剤(工程I)
結合剤として、アルミニウムの酸化物、特に有利にはγ−Al2O3が使用される。
【0035】
酸化アルミニウムの前駆体として、工程Iでは水酸化アルミニウム及び/又は酸化/水酸化アルミニウムが混合物に添加される。水酸化アルミニウムとして、合成のAl(OH)3又は天然の水ばん土石[γ−Al(OH)3]を使用できる。酸化/水酸化アルミニウム[γ−Al(O)OH]として、有利にはベーマイト及び/又は擬似ベーマイトが使用される。
【0036】
特殊な実施態様では、水酸化アルミニウム及び/又は酸化/水酸化アルミニウムとγ−Al2O3から成る混合物が前駆体として使用される。
【0037】
か焼工程Vでは、使用される水酸化アルミニウム及び/又は酸化/水酸化アルミニウムの少なくとも80%が特にγ−Al2O3に転化される。
【0038】
完成した成形体、例えば、ストランド中の結合剤の割合は、特に少なくとも50質量%であり、かつ有利には50〜99質量%の間、特に有利には75〜95質量%の間である。
【0039】
溶剤(工程I)
希釈剤であっても良い溶剤として、特に水が使用される。
【0040】
水には、ブレンステッド酸もブレンステッド塩基も添加できる。
【0041】
適切なブレンステッド酸は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、カルボン酸、ジカルボン酸又はオリゴカルボン酸又はポリカルボン酸、例えば、ニトリロ三酢酸、スルホサリチル酸又はエチレンジアミノ四酢酸である。
【0042】
ブレンステッド酸として、ギ酸又は硝酸を使用するのが有利である。
【0043】
適切なブレンステッド塩基は、第一、第二及び第三アルキルアミン、アンモニアならびに希土類金属水酸化物、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物である。
【0044】
有利にはブレンステッド塩基としてアンモニアが使用される。
【0045】
溶剤(例えば、水)中でのブレンステッド酸及び/又はブレンステッド塩基の割合は、特に0.5〜99質量%、有利には1〜50質量%、とりわけ有利には5〜25質量%である。
【0046】
溶剤の添加は、混合物が成形工程での後処理に対して正しい粘稠度を有するように作用する。溶剤の割合は、工程Iによる混合物の全体量に対して、それぞれ0.5〜80質量%の範囲内、有利には0.8〜50質量%の範囲内、更に有利には1〜40質量%の範囲内、とりわけ有利には1.5〜30質量%の範囲内である。
【0047】
特殊な実施態様では、混合物はまずブレンステッド酸(例えば、ギ酸)の溶液で処理され、その後にブレンステッド塩基(例えば、NH3)の溶液で処理される。
【0048】
ペースト剤(工程I)
(I)による混合物の製造の際に、少なくとも1つのペースト剤(=有機添加剤)が添加される。
【0049】
ペースト剤として、このために適切な全ての化合物を使用できる。これらは有機の、特に親水性ポリマー、例えば、セルロース、セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、デンプン、例えば、ジャガイモデンプン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリイソブテン(PIB)又はポリテトラヒドロフラン(PTHF)が有利である。
【0050】
特に、細孔形成剤としても作用する化合物をペースト剤として使用してもよい。
【0051】
本発明による特に有利な実施態様では、以下に記載するように、ペースト剤は工程Vで、か焼により少なくとも90質量%まで除去される。
【0052】
ペースト剤の添加は、混合物が成形工程での後処理に対して正しい粘稠度を有するように作用する。ペースト剤の割合は、それぞれ工程Iによる混合物の全体量に対して、0.5〜80質量%の範囲内、有利には1〜50質量%の範囲内、更に有利には2〜40質量%の範囲内、とりわけ有利には3〜30質量%の範囲内である。
【0053】
細孔形成剤(任意、工程I)
例Iによる結合剤、アルミノケイ酸塩、ペースト剤及び溶剤から成る混合物を、更に加工し、かつ塑性物質を形成するために、実質的な材料の少なくとも1つの更なる化合物を添加してもよい。特に、ここでは細孔形成剤を挙げるのが有利である。
【0054】
細孔形成剤として、本発明による方法では、完成した成形体に関して特定の細孔径、特定の細孔径分布及び/又は特定の細孔容積を提供する全ての化合物を使用することができる。
【0055】
本発明による方法では、細孔形成剤として水中、又は水性溶剤混合物中で、分散可能、懸濁可能及び/または乳化可能であるポリマーを使用するのが有利である。この場合に有利なポリマーは、ビニルポリマー化合物、例えば、ポリエチレンオキシドのようなポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド及びポリエステル、セルロース又はセルロース誘導体のような炭水化物、例えば、メチルセルロース、又は糖もしくは天然繊維である。更に適切な細孔形成剤は、パルプ又はグラファイトである。
【0056】
下記のように、工程Vでか焼により取り除くことができる酸性有機化合物も有利に挙げられる。ここでは、カルボン酸、特にギ酸、シュウ酸及び/又はクエン酸のようなC1〜C8−カルボン酸の使用も挙げられる。同様に、これらの酸性化合物の2個以上を使用することもできる。
【0057】
工程Iによる混合物を製造する際に細孔形成剤を使用する場合には、(I)による混合物の細孔形成剤の含有量は、それぞれ工程Iによる混合物の全体量に対して、有利には0.5〜80質量%、更に有利には1〜50質量%の範囲内、とりわけ有利には2〜30質量%の範囲内である。
【0058】
達成すべき細孔径分布にとって望ましくする場合には、2つ以上の細孔形成剤から成る混合物を使用することもできる。
【0059】
本発明の特に有利な実施態様では、下記のように工程Vでのか焼により細孔形成剤は少なくとも90質量%まで除去されて、多孔質の成形体が得られる。
【0060】
混合と圧密化(工程II)
(I)により混合物を製造した後に、混合物を例えば、10〜180分間の範囲内で均質化する。均質化には、特にニーダー、パンミル、押出機がとりわけ有利である。より小さな規模では、混合物は有利には混練される。工業的に大きな規模では、均質化のために有利にはミリングされる。
【0061】
均質化の際には、約10℃から溶剤の沸点までの範囲内の温度で、かつ常圧又は僅かに過圧で運転される。この後に、場合によりペースト剤又は細孔形成剤として記載した化合物のうち少なくとも1つを添加してもよい。このように得られた混合物は、押出可能な可塑性材料が生じるまで均質化され、有利に混練される。
【0062】
均質化した混合物は引き続く工程で成形される。
【0063】
成形体を得る圧密化した混合物の成形(工程III)
この工程を実施するために、通常の押出機中での押出により、例えば有利には1〜20mm、特に有利には2〜15mm、例えば、1〜10又は2〜5mmの直径を有するストランドを生じる成形が行われるような方法が有利である。このような押出装置は、例えば、Ullmann’s Enzyklopaedie der Technischen Chemie,第4版、第2巻、295頁以降、1972に記載されている。押出機を使用する他に、同様にラム押出成形機が成形に使用される。
【0064】
しかし、原則的に成形には全ての公知及び/又は適切なニーダー装置及び成形装置もしくは方法が使用できる。ここでは、特に以下のものが挙げられる:
(i)ブリケッティング、すなわち、付加的な結合剤を添加又は添加せずに、機械的に加圧する;
(ii)ペレット化、すなわち、循環及び/又は回転の動きにより圧縮する;
(iii)か焼、すなわち、成形すべき材料に熱処理を施す。
【0065】
例えば、成形は以下のグループから選択することができる。その際、これらの方法の2つ以上の組合せが明白に含まれる:パンチプレス、ローラープレス、アニュアル型ローラープレスによるブリケッティング、バインダー無しのブリケッティング;ペレト化、融解、スピンニング法、析出、発泡成形、噴霧乾燥;シャフトファーネス、コンベクションファーネス、移動火格子、ロータリーチューブファーネス中での焼成、パンミリング。
【0066】
圧縮は、周囲圧力で、又は周囲圧力に対して高い圧力、例えば、1バールから数百バールまでの圧力範囲で行うことができる。更に、圧縮は、周囲温度又は周囲温度に対して高い温度、例えば、20〜300℃の温度範囲で行うことができる。乾燥及び/又は焼成が成形工程の構成要素である場合には、1500℃までの温度が使用可能である。最後に、周囲雰囲気又は制御された雰囲気で圧縮を行うことができる。制御された雰囲気は、例えば保護ガス雰囲気、還元雰囲気又は酸化雰囲気である。
【0067】
本発明により製造された成形体の形は、任意に選択できる。特に、球体、卵形、円柱、円柱状のストランド又はペレットが可能である。
【0068】
押出物の長さ:直径の比は、特に少なくとも1、有利には1〜20よりも大きな範囲内、特に有利には2〜10の範囲内である。
【0069】
成形体の乾燥(工程IV)
本発明の範囲内では、工程(III)は少なくとも1つの乾燥工程に引き続き行われる。この場合に、少なくとも1つの乾燥工程は、有利には80〜160℃の範囲内、特に90〜145℃の範囲内、とりわけ有利には100〜130℃の範囲内の温度で行われる。その際、乾燥期間は、有利には6時間以上、例えば、6〜24時間の範囲内である。しかし、乾燥すべき材料の水分含有量に応じて、約1、2、3、4又は5時間のようなより短い乾燥時間も可能である。
【0070】
乾燥工程の前及び/又は後に得られた押出物を例えば粉砕してもよい。この場合に、0.1〜5mm、特に0.5〜2mmの範囲内の粒径を有する顆粒又は粉砕材料を得るのが有利である。
【0071】
成形体のか焼(工程V)
工程(IV)の後に少なくとも1つのか焼工程が続く。か焼は、有利には350〜750℃の範囲内、特に450〜700℃の範囲内の温度で実施される。
【0072】
か焼は、適切などの気体雰囲気下でも行うことができ、その際、空気及び/又は希薄空気が有利である。(V)によるか焼は、水素、窒素、ヘリウム、アルゴン及び/又はスチーム又はこれらの混合物の存在でも行うことができる。
【0073】
さらに、か焼は、マッフル炉、回転管炉又はベルト型か焼炉中で実施され、その際、か焼継続時間は1時間以上、例えば、1〜24時間の範囲内又は3〜12時間の範囲内である。従って、本発明の方法の範囲内では、例えば成形体に1回、2回又はより頻繁には少なくとも1時間、例えば3〜12時間の範囲内のか焼を行うことができ、その際、か焼工程の間の温度は、一定のままであるか又は連続的又は不連続的に変えることができる。か焼を2回又はより頻繁に行う場合には、か焼温度は各工程で異なるか又は同じであってよい。
【0074】
か焼工程の後に、か焼した材料を例えば粉砕してもよい。この場合に、有利には0.1〜5mm、特に0.5〜2mmの範囲内の粒径を有する顆粒又は粉砕材料が得られる。
【0075】
得られた成形体は、有利には、2〜200N(ニュートン)の範囲内、特に有利には5〜150Nの範囲内、とりわけ有利には少なくとも10N、例えば≧10〜100Nである硬度を有する。
【0076】
本発明の範囲内では上記の硬度は、Zwick社のBZ2.5/TS1Sタイプの装置を用いて初期力0.5N、予備先行速度10mm/分及び以後の試験速度1.6mm/分で決定したものである。この装置は、固定回転プレートと、厚さ0.3mmのビルトインカッターを備えた自由に取り外し可能なパンチを有していた。カッターを備えた取り外し可能なパンチは、力を測定するためにロードセルに連結し、かつ測定の間に試験すべき触媒成形体が載せられている固定回転プレートに対して動いた。この装置は、測定結果を記録かつ評価するコンピューターにより制御されていた。得られた値は、それぞれ少なくとも10個の触媒成形体に対して測定したものからの平均であった。
【0077】
得られた成形体は、有利には10〜35の範囲内、特に11〜26の範囲内のAl/Si−モル比を有する。例えば12〜25の範囲内、特に14〜23の範囲内ののAl/Si−モル比である。成形体中のAl/Si−モル比に対する数値は、AlとSiの全含有量に関して示してある。
【0078】
成形体の酸性度は、成形体中のAl/Si−モル比により与えられている。10〜30のAl/Si−モル比の範囲内では、Al/Si−モル比の減少に伴って酸性度は上がる。
【0079】
酸性度は、Journal of Catalysis 1963, 2,371-379頁に記載されている方法に倣って、FT-IR分光分析法を用いて、80℃及び1.0mbarにてピリジンでガス処理したプローブ(圧縮物)のv=1490±2cm-1及び/又は1440±2cm-1で吸収バンドの強さを測定することにより決定した。バンドの強さは、層厚1μm当たりの積分吸光単位(IEU)として測定された圧縮物の層厚に対する吸光度として示される。
【0080】
v=1490±2cm-1での吸収バンドに関して、1.0mbarのピリジン分圧でのIEU/μmの値は有利には0.001〜0.015の範囲内であり、かつ特に有利には0.003〜0.010の範囲内である。v=1440±2cm-1での吸収バンドに関して、1.0mbarのピリジン分圧でのIEU/μmの値は、有利には0.020〜0.100の範囲内であり、かつ特に有利には0.025〜0.060の範囲内である。
【0081】
FT-IRスペクトルでの吸収バンドは、ピリジンでガス処理したプローブのv=1490±2cm-1と1440±2cm-1では、ルイス酸中心を有するピリジンの配位に相応する(Journal of Catalysis 1963, 2、371-379頁、Catalysis and Zeolites(Eds.: J. Weitkamp, L. Puppe), 1999、Spring Verlag, Berlin、第4.1.5.1.3章、224-226頁及びCatalysis Today 2001, 68、263-381頁参照)。IRスペクトルにおけるブレンステッド酸中心に関して、ピリジンでガス処理したプローブのv=1540±2cm-1での典型的な吸収バンドは、本発明のアルミノケイ酸塩−成形体ならびに本発明により使用されたアルミノケイ酸塩−成形体では観察されていない。
【0082】
DIN 66131(BET)により決定して得られた成形体の比表面積は、有利には少なくとも50m2/gであり、かつ特に有利には、少なくとも100m2/gである。例えば、比表面積は50〜250m2/gの範囲内、特に100から200m2/gの範囲内である。
【0083】
得られた成形体の細孔容積は、DIN66134(Hg−ポリシメトリー)により決定して、有利には少なくとも0.4ml/g、特に有利には少なくとも0.6ml/gである。例えば、細孔容積は0.4〜1.5ml/gの範囲内、かつ特に0.6〜1.0ml/gの範囲内である。
【0084】
1nmを上回る直径を有する得られた成形体の細孔は、DIN66134(Hg−ポリシメトリー)により決定して、多峰分布、少なくとも二峰性分布を有し、有利には二峰性分布を有し、その際、10nmを上回る直径を有する細孔の割合は、全細孔容積の少なくとも40%、有利には少なくとも50%であり、かつ例えば40〜60%の範囲内である。
【0085】
成形体は、有利には微量のチタン、鉄、ナトリウム及びカリウムを含有する。元素の割合は、それぞれ成形体の質量に対して、チタンは0.01〜0.35質量%の間、鉄は0.01〜0.35質量%の間、カリウムは、0.01〜1.75質量%の間であり、かつナトリウムは、0.01〜1.75質量%の間である。
【0086】
本発明による触媒上でのメチルアミンの製造:
本発明による触媒上でのメチルアミンの製造は、高圧と高温にて気相中でアンモニアとメタノール及び/又はジメチルエーテルを反応させて行われる。場合により、反応の供給物に、水及び/又はモノメチルアミン及び/又はジメチルアミン及び/又はトリメチルアミンを添加もしくは含有させてもよい。
【0087】
触媒の空時速度は、触媒体積(L=リットル)と時間に対するメタノールとして計算して、供給物中の炭素含有化合物の量として表現される。触媒の空時速度は、有利には0.1〜2.0kg(メタノール)/L(触媒)/時の範囲内、特に0.2〜1,5kg/L/時の範囲内、とりわけ有利には0.4〜1.0のkg/L/時の範囲内である。
【0088】
使用材料の合計に対するN/Cモル比は、有利には0.6〜4.0の範囲内、特に0.8〜2.5の範囲内、とりわけ有利には1.0〜2.0の範囲内である。
【0089】
反応は、有利には250〜500℃の範囲内、特に300〜475℃の範囲内、とりわけ有利には350〜450℃の範囲内の温度で実施する。
【0090】
反応の絶対圧は、有利には5〜50バールの範囲内、特に10〜30バールの範囲内、特に15〜25バールの範囲内である。
【0091】
メタノールの転化率(=U)は、有利には>85%、特に有利には90%〜99%の間、特に95%〜99%の間である。
【0092】
モノメチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミンに対する反応の選択率(=S)は、>90%、特に有利には>95%である。
【0093】
本発明による方法で使用される成形体は、例えば、注ぎ込みにより製造される触媒床を形成する。反応は、有利には断熱的に運転するシャフト反応器中で実施される。
【0094】
メチルアミンを製造するための本発明による方法の特殊な実施態様では、触媒として本発明による成形体が使用され、その際、その酸性度に関して異なっている2種、3種、4種以上の、有利には2種の異なる成形体のタイプを含有する固定床が形成される。
【0095】
少なくとも2種の異なる成形体(成形体タイプA、成形体タイプB、…)の配列は、それぞれ種々の成形体のタイプから構成される均一な混合物又は層の形で行うことができる。2つの層が組み込まれる場合には、小さなAl/Si比を有する成形体(A)が有利には大きなAl/Si比を有する成形体(B)の後ろに組み込まれる。
【0096】
2種の異なる成形体のタイプが触媒固定床にある場合には、固定床中の成形体タイプAとBの比(A:B)は、10:90質量%〜90:10質量%の間であり、有利には20:80質量%〜80:20質量%の間、特に有利には30:70質量%〜70:30質量%の間である。
【0097】
成形体AとBのAl/Si−モル比の違いは、最大で20であり、有利には≧2〜≦20の範囲内、特に有利には≧3〜≦10の範囲内である。
【0098】
反応器の取り出し物の後処理は、当業者に公知の方法、例えば、DD-125533(VEB Leuna-Werke)に倣って行うことができる。
【0099】
場合により、本発明による触媒を用いるメチルアミンの製法は、US 4485261及び/又はPEP-Review, No. 89-3-4(SRI International, Menlo Park, California)による形を選択できる触媒を含有する反応器を有する装置と組み合わせて実施できる。
【0100】
本発明の特殊な実施態様で各々場合により使用されるジメチルエーテル(DME)、トリメチルアミン(TMA)及び/又はモノメチルアミン(MMA)は、方法の処理反応生成物からの回収流である。
【0101】
メチルアミンの連続合成で使用した後の触媒成形体の再生:
本発明による方法の更なる実施態様では、使用後の触媒は、それらの形状に関係なく、例えば活性及び/又は選択率が下がった後に1つの方法により再生され、この方法では、不活性化の原因である付着物を目的を定めて燃焼(例えば、350〜650℃の範囲内の温度)することにより再生が行われる。この場合に、有利には詳細に定義された量の酸素及び/又は酸素供給物質を含有する不活性ガス雰囲気で行われる。このような再生法は、特にWO-A-98/55228とDE-A1-19723949に記載され、かつ特にメチルアミンを製造するための触媒に関しては、JP-08157428とEP-A-0118193に記載されている。それらの詳細な開示を参照して本明細書の対象に完全に引用することにする。
【0102】
再生の後に、触媒の活性及び/又は選択率は、再生の直前の状態と比べて高い。
【0103】
再生すべき本発明による触媒は、有利には0.1〜約20体積部の酸素を供給する物質、特に有利には0.1〜20体積部の酸素を含有する雰囲気中、350℃〜800℃の範囲内の温度、有利には400〜650℃の範囲内の温度、特に425℃〜500℃の範囲内の温度で、反応装置中(反応器)又は外部炉で加熱される。この場合に、加熱は有利には0.1℃/分〜20℃/分、有利には0.3℃/分〜15℃/分、特に0.5℃/分〜10℃/分の加熱速度で実施される。加熱は、有利には不活性雰囲気中で実施される。
【0104】
再生の際に、そこに存在する大抵は有機物である付着物の分解が開始する温度まで触媒は加熱され、同時にその温度は酸素含有率により調節されるので、触媒構造又は反応器に損傷を生じるような温度までは上昇しないようになっている。相応の酸素含有量ならびに相応の火力を調節することにより、温度を緩慢に上昇させるか又は低温で滞留させることは、再生すべき触媒の有機物負荷が高い場合には、触媒の局所的な加熱を回避するために重要な工程である。酸素含有の再生ガスのガス空時速度(GHSV=gas hourly space velocity)は、触媒1リットル及び1時間当たり50標準リットル以上(=NL/L(触媒)/時)、有利には100NL/L/時以上、特に有利には150〜1000NL/L/時の範囲内である。(NL=標準リットル=標準状態で測定した体積)。
【0105】
ガス流中で酸素又は酸素供給物質の量が増すにもかかわらず、反応器出口での排ガス流の温度が反応器入口での温度まで低下し、かつ/又は反応器出口での酸素濃度が入口での値まで増大する場合には、有機付着物の燃焼が終了している。処理の継続時間は、有利にはそれぞれ1〜72時間、有利には約2〜約48時間、特に約3〜約24時間である。
【0106】
このように再生した触媒の引き続く冷却は、冷却が速すぎないように行われる。それというのも、そうでないと触媒の機械的特性が不利に作用し得るからである。冷却は、有利には不活性雰囲気中で行われる。
【0107】
上記のようなか焼により再生が行われた後に、触媒を水及び/又は塩酸のような希釈酸での洗浄を行い、場合により残っている出発物質の汚れから生じる触媒の無機不純物(微量のアルカリなど)を除去する必要があるかもしれない。引き続き、触媒の再度の乾燥及び/又は再度のか焼を実施することができる。
【0108】
本発明による方法のもう1つの実施態様では、少なくとも部分的に失活した触媒を加熱前に、再生法より溶剤を用いて、反応器内又は外部反応器内で洗浄を実施してまだ付着している目的生成物を取り除くことができる。この場合に、触媒に付着した目的生成物を触媒から取り除けるように洗浄は実施されるが、しかし、大抵が有機物の付着物までも同様に取り除かれてしまうほど高い温度と圧力は選択されない。この場合に、触媒を適切な溶剤で簡単に洗浄するのが有利である。従って、これらの洗浄工程には個々の反応生成物が良く溶ける全ての溶剤が適切である。溶剤の使用量ならびに洗浄工程の期間は重要ではない。洗浄工程は数回繰り返してもよく、かつ高い温度で実施してもよい。CO2を溶剤として使用する場合には、超臨界圧で実施するのが有利であり、そうでない場合には、洗浄工程を大気圧もしくはより高い圧力又は超臨界圧下に行ってもよい。洗浄工程が終了した後に、一般に触媒を乾燥させる。一般に乾燥工程は重要ではないにもかかわらず、細孔中の溶剤の急激な蒸発を回避するために、乾燥温度は洗浄に使用すべき溶剤の沸点を著しく上回ってはならない。それというのも、触媒の損傷を生じかねないからである。
【0109】
製法の有利な実施態様では、本発明による触媒を再生する際に方法の流量を上げるために、メチルアミンを合成するための連続的方法を中断させてはならないことにある。これは、交互に運転できる少なくとも2種の平行に連結した反応器を使用することにより達成できる。
【0110】
触媒の再生は、平行に連結した反応器のうち少なくとも1つを個々の反応工程から切り離し、かつこの反応器中に含有される触媒を再生して実施してもよい。その際、各工程の連続的方法の過程で、少なくとも1つの反応器は出発物質の反応を提供できるようになっている。
【0111】
実施例
BET表面積(m2/g)と細孔容積(ml/g)は、DIN 66131もしくはDIN 66134の基準に従い決定した。
【0112】
GC分析:
反応取り出し物は、オンラインのガスクロマトグラフィー分析を用いて分析した。この場合に、メチルアミンの分離は単鎖アミン用に最適化したGCカラム(Varian CP-volamine)上で行い、検出のために熱伝導度検出器(TCD)を使用した。反応していないメタノールの含有量を測定し、そこから触媒の活性を推測した。
【0113】
切削硬さの決定/測定は、WO-A-04/108280(BASF社)に記載されているように行った(上記の説明も参照のこと)。
【0114】
例:触媒Aの製造(本発明による)
γ−Al2O3177gをベーマイト222g及びカオリン44gと一緒に機械的に混合し、かつ引き続き4.2%濃度のギ酸200gと混ぜた。この後に、該材料を機械的に混合し、デンプン水溶液90gと25%濃度のNH3水溶液9gと混ぜた。このように得られた材料を押出機中で成形して4mmのストランドにした。このストランドをバンド乾燥器中、120℃で2時間乾燥させ、かつ引き続きマッフル炉中、610℃で2時間か焼した。
【0115】
得られた触媒は、17.3のAl/Si−モル比を有した。鉄、カリウム、ナトリウム及びチタンの割合は、それぞれ0.03、0.21、0.01もしくは0.06質量%であった。成形体は、二峰性の細孔分布を有し、細孔直径は7.3nmと11.0nmであった。1nmより大きな直径を有する細孔の全細孔容積は、0.49ml/gであった。10nmより大きな直径を有する細孔の容積割合は、56%であった。
【0116】
切削硬さは68.5Nであり、かつBET表面積は206m2/gであった。
【0117】
例:本発明による触媒の存在でのメタノールとアンモニアを反応させることによるメチルアミンの連続的製造
A)メチルアミンを製造する工業プラントでは、本発明による触媒がメタノール、アンモニアならびにジメチルエーテル、モノメチルアミン及びトリメチルアミンからメチルアミンを合成するために使用された。5年間の運転時間後に、触媒の交換を実施した。取り出した触媒の炭素含有量は1.7質量%であった。このプラントは、4年間触媒を交換することなく運転できた。4年後に取り出した触媒は、1.3質量%の炭素含有量を有した。触媒は、取り外しの時点でそれぞれ良好な活性(メタノール転化率>95%)を有し、工業的な運転で中断が必要であったので触媒の交換を行った。
【0118】
B)本発明による触媒は、2mmのストランドと4mmのストランドとして使用された。メチルアミンの合成は、反応成分を戻すことなく、1回の試行で行った。試験は、350〜430℃の反応温度で、かつ0.4〜1.2kg(MeOH)/リットル触媒/時の空時速度で実施した。N/C−モル比は1.2:1〜1.8:1の範囲内で変化した。試験は30mmの直径を有する1リットル管状反応器中で実施した。反応器は等温式に運転した(3つの加熱回線を用いて電気的に加熱)。
【0119】
GC−分析
分離カラム:Varian CP-Volamine(WCOT融解石英)、長さ:60m、内径:0.32mm、キャリヤガス:ヘリウム、温度プログラム:40℃で10分恒温、その後に、20℃/分で250℃まで、引き続き250℃で5分間等温。
【0120】
触媒を評価するために、種々の温度と負荷で多くの試験を実施した。触媒の4mmのストランドを使用した場合には、1300時間の運転時間の際に、反応器内で圧力の差が生じることなかった。触媒の活性は、更に極めて良好であった。取り出した触媒の炭素含有量は0.4〜0.6質量%の間であった。
【0121】
【表1】

【0122】
【表2】

【0123】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミノケイ酸塩と酸化アルミニウムを含有する成形体において、前記成形体は、10〜35の範囲内のAl/Si−モル比を有し、かつ1nmを上回る直径を有する細孔に関しては、少なくとも二峰性の細孔分布を有し、その際、10nmを上回る直径を有する成形体の細孔の容積は、成形体の全細孔容積の少なくとも40%に相応することを特徴とする、アルミノケイ酸塩と酸化アルミニウムを含有する成形体。
【請求項2】
11〜26の範囲内のAl/Si−モル比を有する、請求項1に記載の成形体。
【請求項3】
1nmを上回る直径を有する細孔に関しては、二峰性の細孔分布を有する、請求項1又は2に記載の成形体。
【請求項4】
10nmを上回る直径を有する成形体の細孔の容積は、成形体の全細孔容積の少なくとも50%に相応する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項5】
50m2/g以上のBET表面積を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項6】
100〜250m2/gの範囲内のBET表面積を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項7】
成形体は、それぞれ全質量に対して、ナトリウム0.01〜1.75質量%の範囲内、カリウム0.01〜1.75質量%の範囲内、チタン0.01〜0.35質量%の範囲内、及び鉄0.01〜0.35質量%の範囲内を含有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項8】
1以上の長さ:直径の比を有する押出物である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項9】
10ニュートン(N)以上の切削硬さを有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項10】
アルミノケイ酸塩がクレーである、請求項1から9までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項11】
アルミノケイ酸塩がカオリンである、請求項1から10までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項12】
アルミノケイ酸塩がカオリナイトである、請求項1から11までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項13】
酸化アルミニウムはγ−Al2O3である、請求項1から12までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項14】
γ−酸化アルミニウム用の前駆体として、水酸化アルミニウム及び/又は酸化/水酸化アルミニウム(ベーマイト)が使用される、請求項13に記載の成形体。
【請求項15】
成形体中の酸化アルミニウムの割合は、≧50質量%である、請求項1から14までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の成形体を製造する方法において、該方法は次の工程:
(I)アルミノケイ酸塩、結合剤としての酸化アルミニウム、ペースト剤及び溶剤を含有する混合物を製造し、
(II)前記混合物を混合及び圧密化し、
(III)圧密化した混合物の成形をし、成形体を得て、
(IV)成形体を乾燥させ、かつ
(V)乾燥させた成形体をか焼する
を含むことを特徴する、請求項1から15までのいずれか1項に記載の成形体を製造する方法。
【請求項17】
(III)による成形は押出により行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(V)によるか焼は、350〜750℃の範囲内の温度及び1〜24時間の範囲内の期間で行われる、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
請求項16から18までのいずれか1項に記載の方法により製造可能な成形体。
【請求項20】
不均一触媒の存在で、メタノール及び/又はジメチルエーテルとアンモニアを反応させることによりメチルアミンを連続的に製造する方法において、触媒として請求項1から15までのいずれか1項又は請求項19に記載の成形体を使用することを特徴とする、メチルアミンを連続的に製造する方法。
【請求項21】
供給流は、メタノール及び/又はジメチルエーテル及びアンモニアの他に、モノメチルアミン及び/又はジメチルアミン及び/又はトリメチルアミンを含有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
供給混合物中のN/C−モル比は、0.6〜4.0の範囲内である、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
反応温度は、250〜500℃の範囲内である、請求項20から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
絶対圧は5〜50バールの間である、請求項20から23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
供給物中の炭素含有化合物の量として表現される触媒の空時速度は、触媒体積と時間に対するメタノールとして計算して、0.1〜2.0kg/L/時の範囲内である、請求項20から24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
触媒として使用される成形体は、その酸性度に関して異なっている2種、3種、4種以上の種々の成形体のタイプを含有する固定床を形成する、請求項20から25までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
触媒として使用される成形体は、2種の異なるタイプの成形体を含有する固定床を形成し、その際、異なる成形体のタイプの配列は、それぞれ1層の形で行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
2つの成形体のタイプのAl/Si−モル比の差は、2〜20の範囲内である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
使用した触媒の再生は、不活性化の原因である付着物の目的を定めた燃焼により行われる、請求項20から28までのいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−509903(P2009−509903A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532736(P2008−532736)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066575
【国際公開番号】WO2007/036478
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】