説明

アルミ箔袋等の合成樹脂支持体袋による商品又は製品の包装システム

【課題】本発明の目的は、ヒーターやカッターに溶融樹脂やアルミくずが付着しないように離型性をもたすとともに、清掃回数を少なくして長時間に亘る自動操業が可能となるアルミ箔袋による商品又は製品の包装システムを提供することにある。
【解決手段】本発明に係るアルミ箔袋による商品又は製品の包装システムは、プラスチックフィルムとアルミ箔を固着形成してなる連綴状アルミ箔袋等の合成樹脂支持体袋の各袋に個別に商品又は製品が封入された状態において、該連綴状アルミ箔袋を順次送りながらヒーターにて熱シールされたアルミ箔袋の封口部を保持しながら上下動するカッターにて切断する工程であって、該カッターは鋼製刃物の表面にPVD又はCVDによって作られた被膜をコーティングしたカッターを使用して切断することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はお菓子等の食品をアルミ箔袋に収納した状態で熱シールした封口部を切断する袋とじの工程で使用したり、医薬品その他の薬品あるいは工業製品、石鹸等の化粧品、使い捨てカメラ等各種商品、製品の包装システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばお菓子などの包装用にプラスチックフィルムとアルミ箔を積層してなるアルミ箔袋が使用されている。アルミ箔袋はお菓子を入れる前は開口しており、お菓子を収納後に該アルミ箔袋の開口部を熱圧着により袋閉じする工程では、約100℃〜150℃のヒーターにて挟み溶着し、同時に該ヒーターの近傍位置に設置したカッターにて封口部を切断している。
【0003】
また、関連する技術分野として、熱可塑性樹脂製の帯び状の筒状体を長手方向に搬送して所定位置で位置決めした後に、該筒状体をその先端開口部から所定長さをおいて溶断すると共に該溶断端部より該筒状体の搬送方向の僅か後方において該筒状体を切断し、溶断端部及び切断端部を両端部とする分離部分を筒状体から分離して、一端部に上記溶断により熱封された熱封部を有し他端部に開口部を有する袋を逐次製造する袋の製造方法がある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−39916号公報(請求項1、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前者の従来技術の場合、ヒーターやカッターに溶融樹脂やアルミくずが、わずかながら付着し続け切断性能を劣化させたり、溶融樹脂やアルミくずがヒーター表面に付着することとなりヒーターの溶着すなわち熱シール機能が低下することとなる。また、自動ライン上での袋とじであり、カットした袋がヒーターにくっついて次の袋を巻き込んでしまうというトラブルが生じる。
その解決策として、(1)約7万回切断毎に定期的にヒーターとカッターの清掃を行っている。(2)清掃中やトラブル発生時にラインを停止していた。
【0006】
また後者の従来技術の場合、アルミを使用していないが、切断刃に溶融樹脂の付着という現象は生じる。
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、ヒーターやカッターに溶融樹脂やアルミくずが付着しないように離型性をもたすとともに、清掃回数を少なくして長時間に亘る自動操業が可能となるアルミ箔袋による商品又は製品の包装システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るアルミ箔袋等の合成樹脂支持体袋による商品又は製品の包装システムは、プラスチックフィルムとアルミ箔を固着形成してなる連綴状アルミ箔袋等の合成樹脂支持体袋の各袋に個別に商品又は製品が封入された状態において、該連綴状アルミ箔袋を順次送りながらヒーターにて熱シールされた前記アルミ箔袋の封口部を保持しながら上下動するカッターにて切断する工程であって、該カッターは鋼製刃物の表面にPVD又はCVDによって作られた被膜をコーティングしたカッターを使用して切断することを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係るアルミ箔袋等の合成樹脂支持体袋による商品又は製品の包装システムにおいては、上記カッターの被膜が、DLC、Me−DLC、TiAlN、CrN、TiCNの一種又は二種以上の被膜であることを特徴とするものである。また、本発明に係るアルミ箔袋等の合成樹脂支持体袋による商品又は製品の包装システムにおいては、 上記ヒーターは、表面にDLC、Me−DLC、TiAlN、CrN、TiCNの一種又は二種以上の被膜をコーティングしたものを使用することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基いて説明する。
図1は本発明の一実施例を示すアルミ箔袋等の合成樹脂支持体袋による商品又は製品の包装システムの熱シール及び切断工程図である。図2は本発明の一実施例を示すアルミ箔袋等の合成樹脂支持体袋による商品又は製品の包装システムの工程図である。
1は合成樹脂支持体袋で、例えばプラスチックフィルム単体袋又はプラスチックフィルムとアルミ箔を積層してなるアルミ箔袋が使用される。合成樹脂支持体袋1は上下2枚の帯状シート又は筒状シートあるいは帯状片の中央部を折り返して二つ折りにした片側が開口している帯状シート等のいずれの状態であろうと商品又は製品が個別に収納できる形状であればよい。アルミ箔袋の場合、プラスチックフィルムはアルミ箔を挟んだサンドイッチ構造あるいはアルミ箔のいずれか一方の片側に積層固着する構造であればよい。
合成樹脂支持体袋1は帯状に連綴している構造である。プラスチックフィルムはお菓子等の食品、医薬品その他の薬品あるいは工業製品、石鹸等の化粧品、使い捨てカメラ等各種商品、製品の用途に適したフィルムが使用され、PE、PP、PO、EVOH、PSPVC、PVDC、PVA、PU、セルロース、PMMA等の汎用プラスチック、エンプラ、スーパーエンプラ、機能性フィルム、シート等が使用される。
【0011】
2は順次送り込まれる連綴した合成樹脂支持体袋1を挟んで上下対向する位置に設置したヒーターである。ヒーター2は合成樹脂支持体袋1の幅方向の開口部を熱シールし得る温度に予め熱せられており、通常プラスチックフィルムの溶融温度例えば100℃から200℃の範囲であるが、フィルムによってはこの温度範囲に限定されるものではなく、要は熱シールできればよい。ヒーター2の表面には表面にDLC、Me−DLC、TiAlN、CrN、TiCNの一種又は二種以上の被膜をコーティングする。膜厚は数ミクロン程度でよい。
【0012】
3はヒーター2の近傍に設置したカッターである。本例ではカッター3の形状が山形形状のギザギザ状となっている場合を示したが、必ずしもこの形状に限定されるものではなく、幅方向に直線的な刃形を有しているもの等であってもよい。カッター3として使用する鋼製刃物材としては、SK、SKS、ハイス、ステンレス鋼、炭素鋼、超鋼材等の鋼材が使用される。鋼製刃物の表面には、PVD又はCVDによって作られた被膜をコーティングしたカッターが使用される。
より、具体的には、カッターの被膜は、DLC、Me−DLC、TiAlN、CrN、TiCNの一種又は二種以上の被膜したものが使用される。TiCは高温酸化特性が劣り、TiNは離型性に難があり、WCはカッターとしての硬度に難があり、Alは脆弱な点で難があり、CBNは膜との密着性に難があるが、これらはいずれもDLC、Me−DLC、TiAlN、CrN、TiCNと組合せ使用により使用可能となる。
膜厚は数ミクロン程度とするが、用途によってはこの厚さに限定されない。合成樹脂支持体袋1の幅方向の封口部の切断は、図に示すように上下のヒーター2で合成樹脂支持体袋1を挟みながら押えた状態で熱圧着した状態でカッター3が上方から下降して切断され、切断後はカッター3が上昇して旧位置に復帰し、上下のヒーター2も合成樹脂支持体袋1から離反し、この動作を繰り返す。
なお、切断は熱シールと同時に切断する場合を示したが、用途によっては同時に行なわなくてもよい。
本例では合成樹脂支持体袋1を横方向に送る場合について説明したが、合成樹脂支持体袋1を縦方向その他の方向に送る場合についても適用できることは勿論である。
【0013】
【実施例及び比較例】
カッターにDLC膜を2μの厚さにコーティングしたものを使用して合成樹脂支持体袋1の幅方向の封口部の切断を試みたところ、カット回数が20万回を超え(6ヵ月以上経過し)ても使用可能であり、メンテナンスが不要であり、カッターの交換作業がない状態である。
これに対して、カッターにコーティングをしない従来の刃物を使用して合成樹脂支持体袋1の幅方向の封口部の切断を試みたところ、カット回数が7万回(約2ヶ月間)で、メンタナンスをする必要が生じた。そして、刃に付着した樹脂とアルミくずの除去は酸洗いで行った。カッターの交換作業を必要とした。
【0014】
カッター及びヒーターにDLC膜を2μの厚さにコーティングしたところ、ヒーターにも樹脂とアルミくずの付着が見られなかった。
また、カッター及びヒーターにメタルDLC膜又はTiAl−Nをコーティングした場合も良好な結果が得られた。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、上記の説明から判るように、カッター又はカッターとヒーターの両方にDLC、Me−DLC、TiAlN、CrN、TiCNをコーティングする事により、溶融樹脂及びアルミの切断時のくずの付着又は溶融樹脂の切断時のくずの付着がしにくくなり、合成樹脂支持体袋による商品又は製品の包装システム作業が能率よく効果的になされる。
上記の膜は摩擦抵抗が少なく、また離型性が良いことを示すものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すアルミ箔袋等の合成樹脂支持体袋による商品又は製品の包装システムの熱シール及び切断工程図である。
【図2】本発明の一実施例を示すアルミ箔袋等の合成樹脂支持体袋による商品又は製品の包装システムの工程図である。
【符号の説明】
1  合成樹脂支持体袋
2  ヒーター
3  カッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムとアルミ箔を固着形成してなる連綴状アルミ箔袋等の合成樹脂支持体袋の各袋に個別に商品又は製品が封入された状態において、該連綴状アルミ箔袋を順次送りながらヒーターにて熱シールされた前記アルミ箔袋の封口部を保持しながら上下動するカッターにて切断する工程であって、該カッターは鋼製刃物の表面にPVD又はCVDによって作られた被膜をコーティングしたカッターを使用して切断することを特徴とするアルミ箔袋による商品又は製品の包装システム。
【請求項2】
上記カッターの被膜は、DLC、Me−DLC、TiAlN、CrN、TiCNの一種又は二種以上の被膜であることを特徴とする請求項1記載のアルミ箔袋等の合成樹脂支持体袋による商品又は製品の包装システム。
【請求項3】
上記ヒーターは、表面にDLC、Me−DLC、TiAlN、CrN、TiCNの一種又は二種以上の被膜をコーティングしたものを使用することを特徴とする請求項1又は2記載のアルミ箔袋等の合成樹脂支持体袋による商品又は製品の包装システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2004−130490(P2004−130490A)
【公開日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−300162(P2002−300162)
【出願日】平成14年10月15日(2002.10.15)
【出願人】(592221539)株式会社アイ・シイ・エス (2)
【Fターム(参考)】