説明

アンテナを切替える機能を備えたSIMホルダー

【課題】 SIMホルダー自体を改造することなく、SIMホルダーに装着されるSIMに応じて、SIMと接続する非接触通信用のアンテナを切替えることのできるSIMホルダーを提供する。
【解決手段】 SIMホルダー1には、SIM2と接続するアンテナであるホルダーアンテナとして、Aアンテナ10aとBアンテナ10bとを備える。SIMホルダー1にSIM2が装着されると、接続通信回路14はSIM2からアンテナ情報14を読出し、アンテナ切替スイッチ11は、アンテナ情報14で示されるアンテナコイルを選択し、選択したアンテナコイルとSIM2とを電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UIMカードとも称されるSIMを着脱可能に装着し、SIMと接続するアンテナを備えた携帯可能な情報端末であるSIMホルダーに関し、更に詳しくは、装着されるSIMに応じて接続するアンテナを切替える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカード、SIM(Subscriber Identity Module)またはUIM(User Identity Module)などのカード型情報媒体は、ネットワークのアクセス管理やドアゲートシステムなどにおいて使用されつつある。本出願人は、カード型情報媒体、取り分けSIMの利便性を高めるべく、接触通信および近接型(通信距離が10cm程度)の非接触通信の機能を備えたSIMを装着し利用するSIMホルダーを特許文献1、2および3で開示している。
【0003】
特許文献1で開示しているSIMホルダーは、SIM自体は非接触通信で使用するアンテナを有さず、SIMが非接触通信するときに使用するアンテナをSIMホルダーは備え、SIMホルダーに備えられたアンテナとSIMホルダーに装着されたSIMとが電気的に接触することで、SIMが非接触通信可能となるSIMホルダーである。
【0004】
更に、特許文献2で開示しているSIMホルダーは、特許文献1で開示しているSIMホルダーに、パーソナルコンピュータとデータ通信するためのUSBインターフェースを備えたSIMホルダーである。また、特許文献3で開示しているSIMホルダーは、特許文献1または特許文献2にで開示しているSIMホルダーに、指紋認証で使用される指紋センサを備えたSIMホルダーである。
【0005】
しかしながら、SIMに実装されるICチップが異なると、ICチップの非接触通信に係る電気特性(例えば、ICチップの非接触端子間のキャパシタ容量)が異なるため、特許文献1から特許文献3などで開示しているSIMホルダーを製造する時は、実際に使用するSIMに実装されるICチップの電気特性を考慮しながら、SIMに内蔵されるアンテナを設計する必要がある。
【0006】
よって、SIMに実装されるICチップが異なるごとに、SIMホルダーに内蔵するアンテナの仕様も異なるため、SIMホルダー製造時には、予めSIMの仕様が確定していなければならず、SIMホルダー製造時のネックとなっていた。また、ユーザがSIMホルダーに内蔵されたSIMを変更すると、ICチップの電気特性とSIMホルダーに備えらたアンテナとのマッチングがくずれ、満足のいく非接触通信性能が得られなくなる問題もあった。
【特許文献1】特開2004−86402号公報
【特許文献2】特開2004−118771号公報
【特許文献3】特開2004−264915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、上述した問題を鑑みて、本発明は、特許文献1、2および3で開示したような、少なくとも近接型の非接触通信の機能を備えたSIMを内部に装着し、SIMと電気的に接続するアンテナを備えたSIMホルダーにおいて、SIMホルダー自体を改造することなく、SIMホルダーに装着されるSIMに応じてアンテナを切替えることのできるSIMホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決する第1の発明は、接触通信と非接触通信の機能を有するICチップを実装し、非接触通信用のアンテナコイルと電気的に接続するためのカード端子を表面に備えたSIMを、着脱可能な状態で装着し使用するSIMホルダーにおいて、
前記SIMホルダーは、前記SIMが非接触通信を行うときに使用し、それぞれ異なる電気特性を有する複数のホルダーアンテナと、
前記SIMの前記カード端子と接続する前記ホルダーアンテナを示す情報であるアンテナ情報に従い、複数の前記ホルダーアンテナの中から一つの前記ホルダーアンテナを選択し、選択した前記ホルダーアンテナと前記SIMの前記カード端子とを接続するアンテナ切替え手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
第1の発明によれば、前記SIMホルダーが複数の前記ホルダーアンテナを備え、前記アンテナ情報に従い、複数の前記ホルダーアンテナの中から一つの前記ホルダーアンテナを選択し、選択した前記ホルダーアンテナと前記SIMの前記カード端子とを接続することで、前記SIMホルダー自体を改造することなく、前記SIMホルダーに装着される前記SIMに応じて前記ホルダーアンテナを切替えることができる。
【0010】
更に、第2の発明は、第1の発明に記載のSIMホルダーにおいて、前記アンテナ情報は、前記SIMホルダーに装着される前記SIMに記憶され、前記SIMホルダーは、装着された前記SIMから前記アンテナ情報を接触通信で読み出す手段を備え、前記アンテナ切替え手段は、前記SIMホルダーに装着された前記SIMから読み出した前記アンテナ情報に従い、前記ホルダーアンテナを選択し、選択した前記ホルダーアンテナと前記SIMの前記カード端子とを接続する手段であることを特徴とする。
【0011】
第2の発明によれば、前記SIMの前記カード端子と接続する前記ホルダーアンテナを示す前記アンテナ情報を前記SIMが格納し、前記SIMから読み出した前記アンテナ情報に従い、前記ホルダーアンテナを選択し、選択した前記ホルダーアンテナと前記SIMの前記カード端子とを接続することで、前記SIMホルダーは、間違いなく前記SIMに対応した前記ホルダーアンテナを選択し、前記SIMホルダーに装着される前記SIMに応じて前記ホルダーアンテナを切替えることができる。
【0012】
更に、第3の発明は、第1の発明に記載のSIMホルダーにおいて、前記SIMホルダーは、複数の前記アンテナ情報を記憶し、記憶した複数の前記アンテナ情報の中から使用する前記アンテナ情報を設定する手段を備え、前記SIMホルダーの前記アンテナ切替え手段は、前記SIMホルダーで設定された前記アンテナ情報に従い、前記ホルダーアンテナを選択し、選択した前記ホルダーアンテナと前記SIMの前記カード端子とを接続する手段であることを特徴とする。
【0013】
第3の発明によれば、前記SIMの前記カード端子と接続する前記ホルダーアンテナを示す複数の前記アンテナ情報を前記SIMホルダーが格納し、ユーザが設定した前記アンテナ情報に従い、前記ホルダーアンテナを選択し、選択した前記ホルダーアンテナと前記SIMの前記カード端子とを接続することで、ユーザは、適した前記ホルダーアンテナを選択して、前記SIMホルダーを利用することができる。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明によれば、少なくとも近接型の非接触通信の機能を備えたSIMを内部に装着し、SIMと接続するアンテナを備えたSIMホルダーにおいて、SIMホルダー自体を改造することなく、SIMホルダーに装着されるSIMに応じてアンテナを切替えることのできるSIMホルダーを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
ここから、本発明に係るSIMホルダーの第1の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。図1は、SIMホルダーの外観図である。図1のSIMホルダー1は、挿入口1aから挿入されたSIM2をSIMホルダー1の内部に装着し、情報を光学的に表示するディスプレイである液晶ディスプレイ1bや、電源ON/OFFやメニューの選択・決定などの操作を行うための操作ボタン1cなどを備え、電子マネーやドアゲートシステム等で使用される携帯端末である。
【0016】
なお、図1で示したSIMホルダー1には、特許文献2で開示しているようにパーソナルコンピュータとデータ通信するためのUSBインターフェースや、特許文献3で開示しているようにユーザの指紋情報を入力する指紋センサなどを備えることも可能である。
【0017】
本発明に係るSIMホルダー1は、特許文献1から特許文献3に記述されたSIMホルダー1(または、SIMリーダライタ)とは異なり、近接型の非接触通信(例えば、ISO/IEC14443規格)用の複数のアンテナコイルであるホルダーアンテナが備えられ、SIMホルダー1に装着されたSIM2に最適なホルダーアンテナを、SIMホルダー1が自動的に選択し使用する機能を備えている。
【0018】
図2は、図1で示したSIMホルダー1に装着されるSIM2を説明する図である。図2(a)は、SIM2の外観図で、SIM2は、ICカードのICモジュール周辺を約11.5mm×25mm状に切り取った形状をしており、SIM2の詳細な形状はGSM(Global System for Mobile communications)規格等で規格化されている。
【0019】
図2(a)に示したように、ICチップ21がモールドされたICモジュール20がSIM2には実装され、実施の形態において、ICチップ21は接触通信インターフェースと、非接触通信インターフェースの2つの通信インターフェースを備えたデュアルインターフェースICカード用のICチップである。加えて、ICモジュール20には、リーダライタなどの外部装置とICチップ21とが電気的に接続し、外部装置と接触通信するために、ISO7816規格に準拠した8個のカード端子22(C1〜C8)が設けられている。
【0020】
図2(b)は、ICモジュール20でモールドされているICチップ21を説明する図である。図2(b)に示したように、ICチップ21には、接触通信用の5個のI/O端子21aと、非接触通信用の2個のI/O端子21bが備えられている。
【0021】
接触通信用の5個のI/O端子21aは、ISO7816規格に基づき、ICモジュール20のカード端子22とワイヤーで接続され、非接触通信用の2個のI/O端子21bの一つはC4のカード端子22と、もう一つはI/O端子21bの一つはC8のカード端子22とワイヤーで接続されている。
【0022】
よって、図2(c)で示したように、アンテナコイル23の端の一つをC4のカード端子22に接続し、アンテナコイル23の端のもう一つをC8のカード端子22に接続することで、SIM2は非接触通信が可能になる。
【0023】
図3は、図1で示したSIMホルダー1のブロック図である。図3においては、本発明の説明に必要な部品のみ図示している。実際は、液晶ディスプレイ1bを制御する液晶ディスプレイコントローラなどの多くの部品が、SIMホルダー1には実装される。
【0024】
図3に示したように、SIMホルダー1に内蔵されるSIM2に最適なホルダーアンテナを選択・使用するために、SIMホルダー1には、それぞれ電気特性の異なるホルダーアンテナとしてAアンテナ10aとBアンテナ10bと、使用するホルダーアンテナを切替えるアンテナ切替スイッチと、SIMホルダー1に装着されたSIM2のカード端子22と電気的に接続する接続基板12と、SIM2と接触通信で通信する回路である接触通信回路14が備えられている。
【0025】
本実施の形態においては、SIMホルダー1が備えるホルダーアンテナを2つとしているのは、発明の内容を分かり易く説明するためである。本発明はSIMホルダー1に内蔵されるホルダーアンテナの数を制約するものではなく、SIMホルダー1に内蔵されるホルダーアンテナの数は3つ以上でも実現できる。詳しくは、SIMホルダー1に内蔵できるホルダーアンテナの数は、SIMホルダー1の寸法と、SIMホルダー10に内蔵されるホルダーアンテナの寸法とに制約される。
【0026】
図3で示したAアンテナ10aとBアンテナ10bとは、異なるICチップ21が実装される2つのSIM2のためにそれぞれ設計されたホルダーアンテナで、ホルダーアンテナ両端のキャパシタ容量などの電気特性が異なるアンテナコイルである。
【0027】
例えば、A社製のICチップ21に対するホルダーアンテナとして、Aアンテナ10aは通信距離が最大になるように設計され、B社製のICチップ21に対するホルダーアンテナとして、Bアンテナ10bは通信距離が最大になるように設計される。ホルダーアンテナの設計の一例としては、A社製のICチップ21のキャパシタ容量が12pFであるときは、Aアンテナ10aは、最大周が横54■×縦27■で、材質が厚さ0.6■のエッチン
グコイルで、ターン数が4ターン、ホルダーアンテナ両端のキャパシタ容量が39pFになるように設計される。また、B社製のICチップ21のキャパシタ容量が17pFであるときは、Bアンテナ10bは、最大周が横54■×縦27■で、材質が厚さ0.6■のエッチ
ングコイルで、ターン数が5ターン、アンテナ間のキャパシタ容量が22pFになるように設計される。
【0028】
図4は、SIMホルダー1に内蔵される2つのホルダーアンテナの配置図を説明するである。図4に示したように、SIMホルダー1には、Aアンテナ10aとBアンテナ10bとは対向するように配置され、Aアンテナ10aとBアンテナ10b間には接続基板12とSIM2が配置される。また、Aアンテナ10aとBアンテナ10bの両端はアンテナ切替スイッチ11に接続されている。
【0029】
Aアンテナ10aとBアンテナ10bとは対向するように配置するのは、SIMホルダー1のサイズ(本実施の形態では、横60mm×縦30mm×奥行き20mm)と、ホルダーアンテナのサイズ(最大周が横54mm×縦27mm)がほぼ等しいからである。SIMホルダー1のサイズよりもホルダーアンテナのサイズを小さくできれば、複数のホルダーアンテナを横方向に並べては配置することも可能である。
【0030】
また、図4において、Aアンテナ10aとBアンテナ10bを重ねて配置していないのは、Aアンテナ10aとBアンテナ10bとが相互に干渉し、それぞれのアンテナ特性が変化するのを防止するためである。例えば、何の対策も施さずに、Aアンテナ10aとBアンテナ10bを重ねて配置すると、相互インダクタンスによってアンテナ特性は変化してしまう。Aアンテナ10aとBアンテナ10bとの相互干渉を低減できれば、2つのアンテナは重ねて配置してもよい。
【0031】
Aアンテナ10aとBアンテナ10bの間に配置される接続基板12は、SIMホルダー1が、SIMホルダー1に装着されるSIM2と接触通信するために設けられた基板で、装着されたSIM2のカード端子22と電気的に接続する基板である。図3で示したように、接続基板12には8個の接点端子13(T1からT8)が設けられ、T1からT8までの接点端子13は、SIMホルダー1に挿入され装着されたSIM2のC1からC8までのカード端子22とそれぞれ電気的に接続する。
【0032】
SIM2のICモジュール20に備えられた8個のカード端子22の中で、SIM2の接触通信に使用されるカード端子22(C1、C2、C3、C5およびC7の5個)と接続する接点端子13(T1、T2、T3、T5およびT7の5個)は、接続通信回路14に接続されている。また、2つのカード端子22(C4とC8)と接続する接点端子13(T4とT8)はアンテナ切替スイッチ11に接続されている。
【0033】
図3の接触通信回路14は、接続基板12を介して、ISO/IEC7816規格に記載されいる内容に従いSIM2の活性化を行う処理や、同規格に記載されている伝送プロトコルでSIM2と接触通信する処理を行う電子回路である。
【0034】
図3のアンテナ切替スイッチ11は、SIMホルダー1に備えられた複数のホルダーアンテナ(ここでは、Aアンテナ10aとBアンテナ10bの2つ)から、SIMホルダー1に装着されるSIM2に応じて、ホルダーアンテナを自動的に切替えるスイッチである。
【0035】
本実施の形態において、SIM2に対応するホルダーアンテナを示す情報であるアンテナ情報24は、SIM2自体に記憶されている。アンテナ切替スイッチ11は、SIM2に接続するホルダーアンテナを、SIM2から読み取ったアンテナ情報24で示されるホルダーアンテナに切替える。
【0036】
図5は、アンテナ切替スイッチ11内部の配線状態を説明するである。図5に示したように、Aアンテナ10aの両端と、Bアンテナ10bの両端、および接続基板12の接点端子13(T4およびT8)はアンテナ切替スイッチ11に接続されている。アンテナ切替スイッチ11のスイッチ12aが切り替わると、接続基板12の接点端子13(T4およびT8)に接続されるホルダーアンテナの両端は、Aアンテナ10aの両端とBアンテナ10bの両端のいずれかに切り替わる。
【0037】
上述しているように、接続基板12の2つの接点端子13(T4およびT8)とは、SIM2の2つのカード端子22(C4およびC8)とそれぞれ電気的に接続しているので、アンテナ切替スイッチ11内部のスイッチ12aが切り替わることは、SIM2と接続するホルダーアンテナが切り替ることになる。
【0038】
アンテナ切替スイッチ11は、SIMホルダー1が接触通信回路14を用いてSIM2から読み取ったアンテナ情報24がAアンテナ10aを示している場合は、スイッチ12aを操作して、接続基板12の2つの接点端子13(T4およびT8)と接続するホルダーアンテナをAアンテナ10aにする。
【0039】
また、アンテナ切替スイッチ11は、SIMホルダー1が接触通信回路14を用いてSIM2から読み取ったアンテナ情報24がBアンテナ10bを示している場合は、スイッチ12aを操作して、接続基板12の2つの接点端子13(T4およびT8)と接続するホルダーアンテナをBアンテナ10bとする。
【0040】
ここから、SIMホルダー1に装着されたSIM2に応じて、SIMホルダー1がホルダーアンテナを切替える動作について説明する。図6は、この動作の手順を示したフロー図である。
【0041】
この動作の最初のステップS10は、SIMホルダー1にSIM2が装着されるステップである。このステップでは、図1に示したように、SIMホルダー1のユーザが、SIMホルダー1の挿入口1gからSIM2を挿入することで、SIMホルダー1にSIM2は装着される。
【0042】
次のステップS11は、装着されたSIM2が活性化されるステップである。このステップでにおいては、SIM2がSIMホルダー1に装着されると、接触通信回路14は、ISO7816規格で定められた手順で、装着されたSIM2を活性化する。装着されたSIM2を活性化することで、SIM2は接触通信できる状態になる。
【0043】
次のステップS12は、SIM2からアンテナ情報24を読み出すステップである。このステップでは、SIMホルダー1全体を制御するコントローラ(図示していない)またはアンテナ切替スイッチ11が接触通信回路14を利用して、SIM2からアンテナ情報24を読み出す。
【0044】
次のステップS13は、SIM2から読み出したアンテナ情報24で示されるホルダーアンテナに切替えるステップである。このステップでは、SIMホルダー1のアンテナ切替スイッチ11は、SIMホルダー1が接触通信回路14を用いてSIM2から読み取ったアンテナ情報24がAアンテナ10aを示している場合は、スイッチ12aを操作して、接続基板12の2つの接点端子13(T4およびT8)と接続するホルダーアンテナをAアンテナ10aに選択し、SIM2とAアンテナ10aを電気的に接続する。
【0045】
これまで説明したように、第1の実施の形態では、非接触通信で使用するホルダーアンテナを示すアンテナ情報24は、SIM2に格納されているため、SIMホルダー1に装着されたSIM2に応じて、間違いなくホルダーアンテナを切替えることができる。
【0046】
(第2の実施の形態)
ここから、本発明係るSIMホルダーの第2の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。第2の実施の形態は、非接触通信で使用するホルダーアンテナを示すアンテナ情報はSIMホルダー自身に記憶され、ユーザが使用するアンテナ情報を設定し、ユーザが設定したアンテナ情報に従い、SIMホルダーが非接触通信で使用するホルダーアンテナを切替える形態である。
【0047】
図7は、第2の実施の形態に係るSIMホルダーのブロック図である。図7で示した第2の実施の形態に係るSIMホルダー100の外観においては、図1で示した第1の実施の形態に係るSIMホルダー1と同様であるため、SIMホルダー100の外観の説明は省く。
【0048】
また、SIMホルダー100に装着されるSIM200についても、アンテナ情報24をメモリに格納していない点を除けば、図2で説明したSIM2と同じであるため、SIM200についての説明も省く。
【0049】
加えて、図7で示した第2の実施の形態に係るSIMホルダー100のブロック図と、図3で示した第1の実施の形態に係るSIMホルダー1のブロック図の相違点は、SIMホルダー100に装着されるSIM200にはアンテナ情報が格納されていない点と、SIMホルダー100にはユーザがアンテナ情報121を設定するアンテナ情報設定手段120が備えられ、アンテナ切替スイッチ111は、アンテナ情報設定手段120によって設定されたアンテナ情報121に基づいてアンテナを選択する点である。よって、これから、図7で示したアンテナ情報設定手段120についてのみ説明する。
【0050】
第2の実施の形態のSIMホルダー100において特徴となるアンテナ情報設定手段120は、図1で示した液晶パネル1b、操作ボタン1cに加え、SIMホルダー100に内蔵される電子回路などによって実現される。アンテナ情報設定手段120は、アンテナ情報121として、Aアンテナ110aを示すAアンテナ情報121aと、Bアンテナ110bを示すBアンテナ情報121bとを格納している。
【0051】
アンテナ情報設定手段120は、アンテナ情報121の名称、もしくは、アンテナ情報121と結び付けられた情報(例えば、SIMの型番など)を液晶ディスプレイに表示し、ユーザは操作ボタンを操作して使用するアンテナ情報121を選択する。
【0052】
アンテナ情報設定手段120で選択されたアンテナ情報121は、アンテナ切替スイッチ111に伝送され、アンテナ切替スイッチ111はアンテナ情報設定手段120から伝送されたアンテナ情報121に基づき、第1の実施の形態で、既に述べている内容でホルダーアンテナを切替える。
【0053】
第2の実施の形態に係るSIMホルダー100においては、SIMホルダー100に装着するSIM200に応じてホルダーアンテナを切替えることができるばかりか、ユーザは、適したホルダーアンテナを選択してSIMホルダー100を利用することができる。
【0054】
例えば、SIMホルダー100に装着する予定の無かったSIM200をSIMホルダー100に装着した場合は、ユーザは、Aアンテナ110aとBアンテナ110bを切替えて使用し、非接触通信に適したいずれかのホルダーアンテナを選択してSIMホルダー100を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1の実施の形態に係るSIMホルダーの外観図。
【図2】SIMを説明する図。
【図3】第1の実施の形態に係るSIMホルダーのブロック図。
【図4】SIMホルダーに内蔵される2つのホルダーアンテナの配置図。
【図5】アンテナ切替スイッチ内部の配線状態を説明する図。
【図6】SIMホルダーがアンテナを切替える動作の手順を示したフロー図。
【図7】第2の実施の形態に係るSIMホルダーのブロック図。
【符号の説明】
【0056】
1、100 SIMホルダー
10a、110a Aアンテナ
10b、110b Bアンテナ
11、110 アンテナ切替スイッチ
12 接続基板
13 接点端子
14 接触通信回路
2、200 SIM
20 ICモジュール
21 ICチップ
22 カード端子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触通信と非接触通信の機能を有するICチップを実装し、非接触通信用のアンテナコイルと電気的に接続するためのカード端子を表面に備えたSIMを、着脱可能な状態で装着し使用するSIMホルダーにおいて、
前記SIMホルダーは、前記SIMが非接触通信を行うときに使用し、それぞれ異なる電気特性を有する複数のホルダーアンテナと、
前記SIMの前記カード端子と接続する前記ホルダーアンテナを示す情報であるアンテナ情報に従い、複数の前記ホルダーアンテナの中から一つの前記ホルダーアンテナを選択し、選択した前記ホルダーアンテナと前記SIMの前記カード端子とを接続するアンテナ切替え手段を備えていることを特徴とするSIMホルダー。
【請求項2】
請求項1に記載のSIMホルダーにおいて、前記アンテナ情報は、前記SIMホルダーに装着される前記SIMに記憶され、前記SIMホルダーは、装着された前記SIMから前記アンテナ情報を接触通信で読み出す手段を備え、前記アンテナ切替え手段は、前記SIMホルダーに装着された前記SIMから読み出した前記アンテナ情報に従い、前記ホルダーアンテナを選択し、選択した前記ホルダーアンテナと前記SIMの前記カード端子とを接続する手段であることを特徴とするSIMホルダー。
【請求項3】
請求項1に記載のSIMホルダーにおいて、前記SIMホルダーは、複数の前記アンテナ情報を記憶し、記憶した複数の前記アンテナ情報の中から使用する前記アンテナ情報を設定する手段を備え、
前記SIMホルダーの前記アンテナ切替え手段は、前記SIMホルダーで設定された前記アンテナ情報に従い、前記ホルダーアンテナを選択し、選択した前記ホルダーアンテナと前記SIMの前記カード端子とを接続する手段であることを特徴とするSIMホルダー。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−18289(P2007−18289A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199429(P2005−199429)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】