アンテナ一体型無線中継装置
【課題】設置作業の容易化を実現し得る、無線中継装置を得る。
【解決手段】アンテナ一体型無線中継装置(中継局2)は、基地局1との間で電波の送受信を行う第1のアンテナ6と、端末局(移動局3)との間で電波の送受信を行う第2のアンテナ7と、第1のアンテナ6及び第2のアンテナ7に接続され、無線信号を中継する回路(回路基板8)が内部に格納された筐体5とを備え、第1のアンテナ6及び第2のアンテナ7が筐体5に取り付けられることにより、一体型ユニットとして構成されている。
【解決手段】アンテナ一体型無線中継装置(中継局2)は、基地局1との間で電波の送受信を行う第1のアンテナ6と、端末局(移動局3)との間で電波の送受信を行う第2のアンテナ7と、第1のアンテナ6及び第2のアンテナ7に接続され、無線信号を中継する回路(回路基板8)が内部に格納された筐体5とを備え、第1のアンテナ6及び第2のアンテナ7が筐体5に取り付けられることにより、一体型ユニットとして構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局と端末局との無線通信を中継する無線中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の無線通信システムにおいては、基地局からの電波が到達し難いエリア(地下や室内等)に移動局(端末局)が存在する場合にも、基地局と移動局との間の通信状態を確保すべく、中継局(無線中継装置)が設けられている。
【0003】
中継局は、基地局との間で電波の送受信を行うための対基地局アンテナと、移動局との間で電波の送受信を行うための対移動局アンテナとを有している。中継局は、基地局から送信された電波を、対基地局アンテナによって受信し、中継局内部で増幅処理等を施した後、対移動局アンテナから移動局に向けて送信する。また、中継局は、移動局から送信された電波を、対移動局アンテナによって受信し、中継局内部で増幅処理等を施した後、対基地局アンテナから基地局に向けて送信する。このように、中継局を経由することによって、基地局と移動局との間の相互通信が確保される。
【0004】
なお、下記特許文献1には、装置筐体をパンザマストの下部に設置し、そのパンザマストの上部に、対親局アンテナと対子局アンテナとを並べて設置した構成の無線中継装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−16970号公報(図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
中継局においては、対基地局アンテナと対移動局アンテナとの間での電波の回り込みが問題となる。電波の回り込みとは、対基地局アンテナから送信された電波が対移動局アンテナによって受信されてしまう現象、あるいはその逆に、対移動局アンテナから送信された電波が対基地局アンテナによって受信されてしまう現象である。電波の回り込みが生じると、所望波(基地局又は移動局との間で本来送受信したい電波)のレベルが抑圧されたり、信号にノイズが発生するため、電波の回り込みに対して何らかの対策を施す必要がある。すなわち、対基地局アンテナと対移動局アンテナとの結合量を低減して、アンテナ間アイソレーションを高める必要がある。
【0007】
アンテナ間アイソレーションを高める手法の一つとして、対基地局アンテナと対移動局アンテナとの物理的な距離を大きくする手法がある。両アンテナ間の距離が大きくなるほど、電波の回り込みの影響は小さくなる。例えば、一方のアンテナにスリーブアンテナを使用し、他方のアンテナに平面アンテナを使用し、平面アンテナの背面をスリーブアンテナに向けて両アンテナを配置する。両アンテナ間の距離を50cmに設定することにより、回り込む電波のレベルを48dB減衰させることができる。
【0008】
しかしながら、両アンテナ間の距離を大きくするためには、両アンテナと装置筐体とを配線ケーブルによって接続する必要がある。ここで、アンテナが配線ケーブルに接続されている場合には、装置筐体が所定の箇所に設置されても、配線ケーブルの届く範囲内で、アンテナは任意の場所に任意の角度で設置可能である。換言すれば、アンテナの設置の自由度が大きすぎる。従って、アンテナを設置するにあたり、工事会社のスタッフ(又はユーザ自身)は、アンテナの設置場所を調整したり、設置角度を調整する必要がある。また、設置後にアンテナ間アイソレーションを測定し、その測定結果に基づいて、設置場所や設置角度を再調整する必要がある。すなわち、アンテナが配線ケーブルに接続されており、設置の自由度が大きすぎることに起因して、中継装置(特にアンテナ)の設置作業が煩雑である。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、設置作業の容易化を実現し得る、無線中継装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、基地局との間で電波の送受信を行う第1のアンテナと、端末局との間で電波の送受信を行う第2のアンテナと、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナに接続され、無線信号を中継する回路が内部に格納された筐体とを備え、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナが前記筐体に取り付けられることにより、一体型ユニットとして構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
第1の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナが筐体に取り付けられることにより、無線中継装置が一体型ユニットとして構成されている。従って、第1のアンテナ及び第2のアンテナの取り付け位置は筐体のいずれかの表面に限られるため、アンテナの設置箇所や設置角度の自由度が制限される。その結果、設置作業の容易化を図ることができる。
【0012】
本発明の第2の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第1の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナは、前記筐体の第1の面に取り付けられており、前記第2のアンテナは、前記第1の面の対向面である第2の面に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0013】
第2の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナは、筐体の対向面に取り付けられる。第1のアンテナと第2のアンテナとの間に筐体が挟まれることにより、両アンテナ間での電波の回り込みを抑制することができる。
【0014】
本発明の第3の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第2の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1の面と前記第2の面との間に位置する複数の側面のうちの少なくとも一つに取り付けられた、シールド板をさらに備えることを特徴とするものである。
【0015】
第3の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナと第2のアンテナとの間にシールド板を備えることにより、両アンテナ間で筐体の表面を伝搬する電波の回り込みを、効果的に抑制することができる。
【0016】
本発明の第4の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第2の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1の面又は前記第2の面を構成する複数の辺のうちの少なくとも一つに取り付けられた、シールド板をさらに備えることを特徴とするものである。
【0017】
第4の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナと第2のアンテナとの間にシールド板を備えることにより、両アンテナ間で筐体の表面を伝搬する電波の回り込みを、効果的に抑制することができる。
【0018】
本発明の第5の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第2の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1の面と前記第2の面との間で前記筐体の内部に取り付けられた、シールド板をさらに備えることを特徴とするものである。
【0019】
第5の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナと第2のアンテナとの間にシールド板を備えることにより、両アンテナ間で筐体の内部を伝搬する電波の回り込みを、効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明の第6の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、偏波面の方向が互いにずれて配置されていることを特徴とするものである。
【0021】
第6の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、偏波面の方向を互いにずらして第1のアンテナ及び第2のアンテナを配置することにより、両アンテナの結合度が小さくなる。その結果、両アンテナ間での電波の回り込みによる影響を抑制することができる。
【0022】
本発明の第7の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第6の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、偏波面の方向のずれ角度は90度であることを特徴とするものである。
【0023】
第7の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、偏波面の方向のずれ角度を90度に設定することにより、両アンテナの結合度が最も小さくなる。その結果、両アンテナ間での電波の回り込みによる影響を効果的に抑制することができる。
【0024】
本発明の第8の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第7の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナの偏波面は、垂直偏波の方向に対して45度ずれており、前記第2のアンテナの偏波面は、垂直偏波の方向に対して−45度ずれていることを特徴とするものである。
【0025】
第8の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナは、垂直偏波の方向に対して逆方向に同一角度ずれて配置されている。従って、第1のアンテナ及び第2のアンテナの一方の偏波面のみが垂直偏波の方向に対して極端にずれることはない。その結果、偏波面の方向の極端なずれに起因して第1のアンテナ又は第2のアンテナの受信効率が極端に低下する事態を、回避することができる。
【0026】
本発明の第9の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第6〜第8のいずれか一つの態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナはそれぞれ複数であり、複数の前記第1のアンテナは、偏波面の方向が互いに等しくなるように配置されており、複数の前記第2のアンテナは、偏波面の方向が互いに等しくなるように配置されていることを特徴とするものである。
【0027】
第9の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、複数の第1のアンテナの全ての偏波面の方向は、複数の第2のアンテナの全ての偏波面の方向に対してずれることとなる。従って、複数の第1のアンテナと複数の第2のアンテナとの結合度が小さくなるため、電波の回り込みによる影響を効果的に抑制することができる。
【0028】
本発明の第10の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第6又は第7の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナはそれぞれ複数であり、複数の前記第1のアンテナは、偏波面の方向が互いにずれて配置されており、複数の前記第2のアンテナは、偏波面の方向が互いにずれて配置されていることを特徴とするものである。
【0029】
第10の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、複数の第1のアンテナを、偏波面の方向を互いにずらして配置することにより、ダイバーシティの効果を向上することができる。同様に、複数の第2のアンテナを、偏波面の方向を互いにずらして配置することにより、ダイバーシティの効果を向上することができる。
【0030】
本発明の第11の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第1〜第10のいずれか一つの態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナの少なくとも一方は、減衰器を内蔵していることを特徴とするものである。
【0031】
第11の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、減衰器を内蔵することによって、アンテナ利得を、所望の規格に準拠した値以下に制限することができる。例えばWiMAX規格に準拠させる場合には、対基地局用の第1のアンテナに減衰器を内蔵することにより、アンテナ利得を2dBi以下に制限することができる。
【0032】
本発明の第12の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第1〜第11のいずれか一つの態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、一段パッチアンテナであることを特徴とするものである。
【0033】
第12の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナに一段パッチアンテナを採用することにより、筐体の表面からのアンテナの高さを低く抑えることができる。その結果、両アンテナ間で筐体の表面を伝搬する電波の回り込みを抑制することができる。
【0034】
本発明の第13の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第1〜第11のいずれか一つの態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、複数段パッチアンテナであることを特徴とするものである。
【0035】
第13の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナに複数段パッチアンテナを採用することにより、一段パッチアンテナを採用する場合と比較すると、アンテナの広帯域化を図ることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、設置作業の容易化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0038】
図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。無線通信システムは、基地局1、中継局2、及び携帯電話等の移動局(端末局)3を備えている。基地局1はアンテナ4を有しており、移動局3はアンテナ9を有している。中継局2は、基地局1のアンテナ4との間で電波の送受信を行うためのアンテナ6と、端末局3のアンテナ9との間で電波の送受信を行うためのアンテナ7とを有している。また、中継局2は、アルミニウム、真鍮、又は銅等の金属製の筐体5を有している。筐体5の内部には、電源回路(図示しない)や、アンテナ6,7に接続された回路基板8等が格納されている。アンテナ6,7は筐体5の表面に取り付けられており、これにより、アンテナ6,7と筐体5とが一体型ユニットとして構成されている。
【0039】
図2は、中継局2の外観構造を示す斜視図である。筐体5は、上面5A、底面5B、及び側面5C〜5Fを有する直方体の形状を有している。アンテナ6は上面5Aに取り付けられており、アンテナ7は底面5Bに取り付けられている。アンテナ6は複数段(以下の例では二段)のパッチアンテナ10,11を有しており、アンテナ7は複数段(以下の例では二段)のパッチアンテナ12,13を有している。上面5Aにはアンテナ6を保護するためのカバー14が取り付けられており、底面5Bにはアンテナ7を保護するためのカバー15が取り付けられている。但し、以降ではカバー14,15を取り外した状態の装置について説明を行う。
【0040】
なお、筐体5の形状は直方体に限らず、立方体や、その他の立体であっても良い。また、アンテナ6,7の取り付け位置は筐体5の上面5A及び底面5Bに限らず、側面5C〜5Fであっても良い。
【0041】
図3は、アンテナ6,7の構造を概略的に示す側面図である。アンテナ6に関し、パッチアンテナ10の底面には、コネクタ14が接続されている。コネクタ14は、上面5Aに形成された開口を介して、筐体5の内部に挿入されている。また、コネクタ14は、図1に示した回路基板8に電気的に接続されている。パッチアンテナ11は、パッチアンテナ10の上方に配置されている。パッチアンテナ10,11は、樹脂製のスペーサ15によって支持されている。アンテナ7に関し、パッチアンテナ12の上面には、コネクタ16が接続されている。コネクタ16は、底面5Bに形成された開口を介して、筐体5の内部に挿入されている。また、コネクタ16は、図1に示した回路基板8に電気的に接続されている。パッチアンテナ13は、パッチアンテナ12の下方に配置されている。パッチアンテナ12,13は、樹脂製のスペーサ17によって支持されている。
【0042】
図4は、回路基板8の第1の構成例を示すブロック図である。回路基板8には、再生型レピータ方式の回路が実装されている。対移動局用の受信回路は、この順に接続された、バンドパスフィルタ(BPF)20、低ノイズ増幅器(LNA)21、高周波増幅器(RF)22、周波数混合器23、中間周波増幅器(IF)24、IQ復調器25、ADコンバータ26、及び受信信号処理回路27を備えている。対基地局用の送信回路は、この順に接続された、送信信号処理回路28、DAコンバータ29、IQ変調器30、中間周波増幅器(IF)31、周波数混合器32、高周波増幅器(RF)33、電力増幅器(HPA)34、及びバンドパスフィルタ(BPF)35を備えている。なお、図4では図示を省略したが、回路基板8には、対移動局用の送信回路、及び対基地局用の受信回路も実装されており、スイッチング操作によって、対移動局用の送信回路及び受信回路の一方が選択され、同様に、スイッチング操作によって、対基地局用の送信回路及び受信回路の一方が選択される。
【0043】
図5は、回路基板8の第2の構成例を示すブロック図である。回路基板8には、RFレピータ方式の回路が実装されている。スイッチ38,39によるスイッチング操作によって、増幅器36及び増幅器37の一方が選択される。なお、図5では図示を省略したが、受信信号の周波数を変換して送信するための周波数変換回路をさらに備えても良い。
【0044】
なお、回路基板8に実装されている回路の構成は、図4,5に示した例に限らず、基地局1及び移動局3の一方から受信した電波を増幅して他方に向けて送信可能な構成であれば、どのようなものであっても良い。また、受信信号と送信信号とで周波数を異ならせる構成であっても良い。
【0045】
このように本実施の形態に係るアンテナ一体型無線中継装置(中継局2)によれば、アンテナ6,7が筐体5に取り付けられることにより、無線中継装置が一体型ユニットとして構成されている。従って、アンテナ6,7の取り付け位置は、筐体5の上面5A、底面5B、及び側面5C〜5Fのいずれかに限られるため、アンテナ6,7の設置箇所や設置角度の自由度を意図的に制限することができる。その結果、無線中継装置を設置するにあたっての工事会社のスタッフ(又はユーザ自身)の労力、つまり、アンテナの設置場所の調整、アンテナの設置角度の調整、及び、アンテナ間アイソレーションの測定結果に基づく設置場所又は設置角度の再調整といった作業に費やす労力を、低減することが可能となる。すなわち、設置作業の容易化を図ることができる。
【0046】
また、別体の筐体5とアンテナ6,7とを配線ケーブルを用いて接続する場合と比較すると、全体として装置の小型化を図ることができる。さらに、筐体5とアンテナ6,7とを接続するための配線ケーブルが不要となるため、部品点数が削減されてコストの低減が図られる。
【0047】
また、本実施の形態に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、図2に示したように、アンテナ6,7は、筐体5の対向面に取り付けられる。その結果、金属製で電磁シールド効果を有する筐体5がアンテナ6とアンテナ7との間に挟まれることにより、両アンテナ6,7間での電波の回り込みを抑制することができる。
【0048】
<第1の変形例>
図6は、中継局2の外観構造を示す斜視図である。アンテナ6が取り付けられた上面5Aとアンテナ7が取り付けられた底面5Bとの間に位置する、筐体5の側面5C〜5Fに、金属製のシールド板40が取り付けられている。シールド板40は、筐体5の外周を取り囲むように連続して形成されている。各側面5C〜5Fにおいて、シールド板40の起立方向は、各側面5C〜5Fの法線方向に等しい。
【0049】
図7は、中継局2の外観構造を示す斜視図である。上面5Aと底面5Bとの間に位置する側面5C〜5Fのうちの一つ以上の側面(図7の例では側面5Cのみ)に、金属製のシールド板41が取り付けられている。図7の例では、シールド板41の起立方向は、側面5Cの法線方向に等しい。シールド板41を取り付ける側面は、両アンテナ6,7間での電波の回り込みが大きい側面、例えば、中継局2を室内に設置した際に壁面や天井面に対向する側面である。
【0050】
第1の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、アンテナ6とアンテナ7との間にシールド板40,41を備えることにより、両アンテナ6,7間で筐体5の表面を伝搬する電波の回り込みを、シールド板40,41によって効果的に抑制することができる。
【0051】
<第2の変形例>
図8は、中継局2の外観構造を示す斜視図である。筐体5の上面5Aを構成する4つの辺42C〜42F上に、金属製のシールド板43が取り付けられている。シールド板43は、上面5Aの外周を取り囲むように連続して形成されている。シールド板43の起立方向は、上面5Aの法線方向に等しい。なお、シールド板43と同様のシールド板を、底面5Bを構成する4つの辺44C〜44F上に取り付けても良い。
【0052】
図9は、中継局2の外観構造を示す斜視図である。辺42C〜42F,44C〜44Fのうちの一つ以上の辺(図9の例では辺42Cのみ)に、金属製のシールド板45が取り付けられている。図9の例では、シールド板45の起立方向は、上面5Aの法線方向に等しい。シールド板45を取り付ける辺は、アンテナ6,7から側面5C〜5Fに回り込む電波が大きい側面に対応する辺である。例えば、アンテナ6から側面5Cに回り込む電波が大きい場合には、図9に示すように、アンテナ6と側面5Cとの間の辺42Cにシールド板45が取り付けられる。
【0053】
第2の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、アンテナ6とアンテナ7との間にシールド板43,45を備えることにより、両アンテナ6,7間で筐体5の表面を伝搬する電波の回り込みを、シールド板43,45によって効果的に抑制することができる。
【0054】
<第3の変形例>
図10は、中継局2の外観構造を示す斜視図である。図6に示したシールド板40に、取付部材46が固定されている。取付部材46は、中継局2である一体型ユニットを、壁面や天井面等の所望の箇所に取り付けるための部材である。
【0055】
第3の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、筐体5の表面から突出するシールド板40が、取付部材46を有している。そのため、シールド板40の取付部材46を壁面や天井面等の所望箇所に取り付けることによって、一体型ユニットを所望箇所へ取り付けることができる。側面5C〜5Fに取付部材46を固定した場合には、突出するシールド板40が邪魔となって、所望箇所への取り付けが困難又は不可能となる場合がある。これに対し第3の変形例によれば、取付部材46は側面5C〜5Fではなくシールド板40に固定されているため、シールド板40が所望箇所への取り付けの妨げになることはない。
【0056】
なお、取付部材46は、図7に示したシールド板41、図8に示したシールド板43、又は図9に示したシールド板45にも固定することが可能であり、上記と同様の効果を得ることができる。
【0057】
<第4の変形例>
図11は、中継局2の外観構造を示す斜視図である。筐体5の内部に、金属製のシールド板47が取り付けられている。シールド板47は、上面5A及び底面5Bに平行である。シールド板47の外周は、側面5C〜5Fの内面に接触している。
【0058】
第4の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、筐体5の内部においてアンテナ6とアンテナ7との間にシールド板47を備えることにより、両アンテナ6,7間でコネクタ14,16(図3参照)の隙間を通って筐体5の内部を伝搬する電波の回り込みを、シールド板47によって効果的に抑制することができる。
【0059】
<第5の変形例>
図12は、アンテナ6,7のレイアウトを示す上面図である。図12の(A)は、アンテナ6を上方から眺めた図に相当し、図12の(B)は、底面5Bを透視してアンテナ7を上面5A側から眺めた図に相当する。
【0060】
図12に示すように、アンテナ6,7は、アンテナ6の偏波面の方向M1とアンテナ7の偏波面の方向N2とが互いにずれるように、配置されている。図12の例では、方向M1は垂直偏波の方向に等しく、方向N2は水平偏波の方向に等しい。従って、方向M1,N2のずれの角度は90度である。
【0061】
第5の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、偏波面の方向M1,N2を互いにずらしてアンテナ6,7を配置することにより、偏波面の方向が一致している場合と比較すると、両アンテナ6,7の結合度が小さくなる。その結果、両アンテナ6,7間での電波の回り込みによる影響を抑制することができる。なお、この効果を得るためには、方向M1,N2のずれ角度は必ずしも90度である必要はなく、0度よりも大きく360度未満の任意の角度であれば良い。
【0062】
また、第5の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、偏波面の方向M1,N2のずれ角度を90度(ほぼ90度を含む)に設定することにより、両アンテナ6,7の結合度が最も小さくなる。その結果、両アンテナ6,7間での電波の回り込みによる影響を効果的に抑制することができる。
【0063】
<第6の変形例>
図13は、図12と同様に、アンテナ6,7のレイアウトを示す上面図である。アンテナ6の偏波面の方向M2は、垂直偏波の方向M1に対して右回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向であり、アンテナ7の偏波面の方向N3は、垂直偏波の方向N1に対して左回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向である。従って、方向M2,N3のずれの角度は90度である。
【0064】
第6の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、上記第5の変形例による効果に加えて、以下の効果を得ることができる。つまり、アンテナ6,7は、垂直偏波の方向M1,N1に対して逆方向に同一角度(45度)ずれて配置されている。従って、アンテナ6,7の一方の偏波面のみが垂直偏波の方向M1,N1に対して極端にずれることはない。その結果、偏波面の方向の極端なずれに起因してアンテナ6又はアンテナ7の受信効率が極端に低下する事態を、回避することができる。
【0065】
<第7の変形例>
第7の変形例として、上記実施の形態及び他の全ての変形例に、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術を適用することもできる。
【0066】
図14は、図12と同様に、アンテナ6,7のレイアウトを示す上面図である。これは、上記第5の変形例(図12)にMIMO技術を適用した例である。アンテナ6は複数個(図14の例では2個)のアンテナ6A,6Bを有しており、アンテナ7は複数個(図14の例では2個)のアンテナ7A,7Bを有している。
【0067】
図14に示すように、アンテナ6A,7A,7Bは、アンテナ6Aの偏波面の方向M1Aとアンテナ7A,7Bの偏波面の方向N2A,N2Bとが互いにずれるように、配置されている。図14の例では、方向M1Aは垂直偏波の方向に等しく、方向N2A,N2Bは水平偏波の方向に等しい。従って、方向M1Aと方向N2A,N2Bとのずれの角度は90度である。同様に、アンテナ6B,7A,7Bは、アンテナ6Bの偏波面の方向M1Bとアンテナ7A,7Bの偏波面の方向N2A,N2Bとが互いにずれるように、配置されている。図14の例では、方向M1Bは垂直偏波の方向に等しく、方向N2A,N2Bは水平偏波の方向に等しい。従って、方向M1Bと方向N2A,N2Bとのずれの角度は90度である。また、図14の例では、方向M1Aと方向M1Bとは互いに等しく、方向N2Aと方向N2Bとは互いに等しい。
【0068】
図15は、図12と同様に、アンテナ6,7のレイアウトを示す上面図である。これは、上記第6の変形例(図13)にMIMO技術を適用した例である。
【0069】
図15に示すように、アンテナ6A,7A,7Bは、アンテナ6Aの偏波面の方向M2Aとアンテナ7A,7Bの偏波面の方向N3A,N3Bとが互いにずれるように、配置されている。方向M2Aは、垂直偏波の方向M1Aに対して右回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向であり、方向N3A,N3Bは、垂直偏波の方向N1A,N1Bに対して左回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向である。従って、方向M2Aと方向N3A,N3Bとのずれの角度は90度である。同様に、アンテナ6B,7A,7Bは、アンテナ6Bの偏波面の方向M2Bとアンテナ7A,7Bの偏波面の方向N3A,N3Bとが互いにずれるように、配置されている。方向M2Bは、垂直偏波の方向M1Bに対して右回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向である。従って、方向M2Bと方向N3A,N3Bとのずれの角度は90度である。また、図15の例では、方向M2Aと方向M2Bとは互いに等しく、方向N3Aと方向N3Bとは互いに等しい。
【0070】
図14,15に示した例によれば、アンテナ6A,6Bの各偏波面の方向は、アンテナ7A,7Bの各偏波面の方向に対してずれている。従って、アンテナ6A,6Bとアンテナ7A,7Bとの結合度が小さくなるため、電波の回り込みによる影響を効果的に抑制することができる。つまり、アンテナ6Aからアンテナ7A,7Bに回り込む電波の影響、アンテナ6Bからアンテナ7A,7Bに回り込む電波の影響、アンテナ7Aからアンテナ6A,6Bに回り込む電波の影響、及び、アンテナ7Bからアンテナ6A,6Bに回り込む電波の影響を、いずれも抑制することができる。
【0071】
図16は、図12と同様に、アンテナ6,7のレイアウトを示す上面図である。図16に示すように、アンテナ6A,7Aは、アンテナ6Aの偏波面の方向M1Aとアンテナ7Aの偏波面の方向N2Aとが互いにずれるように、配置されている。方向M1Aは垂直偏波の方向に等しく、方向N2Aは水平偏波の方向に等しいため、方向M1Aと方向N2Aとのずれの角度は90度である。同様に、アンテナ6B,7Bは、アンテナ6Bの偏波面の方向M3Bとアンテナ7Bの偏波面の方向N1Bとが互いにずれるように、配置されている。方向M3Bは水平偏波の方向に等しく、方向N1Bは垂直偏波の方向に等しいため、方向M3Bと方向N1Bとのずれの角度は90度である。
【0072】
また、図16の例では、アンテナ6A,6Bは、アンテナ6Aの偏波面の方向M1Aとアンテナ6Bの偏波面の方向M3Bとが互いにずれるように、配置されている。方向M1Aは垂直偏波の方向に等しく、方向M3Bは水平偏波の方向に等しいため、方向M1Aと方向M3Bとのずれの角度は90度である。同様に、アンテナ7A,7Bは、アンテナ7Aの偏波面の方向N2Aとアンテナ7Bの偏波面の方向N1Bとが互いにずれるように、配置されている。方向N2Aは水平偏波の方向に等しく、方向N1Bは垂直偏波の方向に等しいため、方向N2Aと方向N1Bとのずれの角度は90度である。
【0073】
図17は、図12と同様に、アンテナ6,7のレイアウトを示す上面図である。図17に示すように、アンテナ6A,7Aは、アンテナ6Aの偏波面の方向M2Aとアンテナ7Aの偏波面の方向N3Aとが互いにずれるように、配置されている。方向M2Aは、垂直偏波の方向M1Aに対して右回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向であり、方向N3Aは、垂直偏波の方向N1Aに対して左回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向である。従って、方向M2Aと方向N3Aとのずれの角度は90度である。同様に、アンテナ6B,7Bは、アンテナ6Bの偏波面の方向M4Bとアンテナ7Bの偏波面の方向N4Bとが互いにずれるように、配置されている。方向M4Bは、垂直偏波の方向M1Bに対して左回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向であり、方向N4Bは、垂直偏波の方向N1Bに対して右回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向である。従って、方向M4Bと方向N4Bとのずれの角度は90度である。
【0074】
また、図17の例では、アンテナ6A,6Bは、アンテナ6Aの偏波面の方向M2Aとアンテナ6Bの偏波面の方向M4Bとが互いにずれるように、配置されている。図17の例では、方向M2Aと方向M4Bとのずれの角度は90度(ほぼ90度を含む)である。同様に、アンテナ7A,7Bは、アンテナ7Aの偏波面の方向N3Aとアンテナ7Bの偏波面の方向N4Bとが互いにずれるように、配置されている。図17の例では、方向N3Aと方向N4Bとのずれの角度は90度(ほぼ90度を含む)である。
【0075】
図16,17に示した例によれば、アンテナ6A,6Bを、偏波面の方向を互いにずらして配置することにより、ダイバーシティの効果を向上することができる。同様に、アンテナ7A,7Bを、偏波面の方向を互いにずらして配置することにより、ダイバーシティの効果を向上することができる。
【0076】
<第8の変形例>
図18は、コネクタ14を拡大して示す断面図である。給電用の導体ピン50が、パッチアンテナ10を貫通している。導体ピン50は、接続導体51に接続されている。シェル53には、アッテネータ(減衰器)52が連結されている。アッテネータ52は、コネクタ14のカバー54内に配置されている。接続導体51に接続されたアッテネータ52によって、パッチアンテナ10のアンテナ利得、ひいてはアンテナ6のアンテナ利得が減衰される。
【0077】
図19は、コネクタ14を拡大して示す断面図である。給電用の導体ピン50が、パッチアンテナ10を貫通している。導体ピン50は、接続導体51に接続されている。コネクタ14のカバー54内には、アッテネータ52が配置されている。接続導体51に接続されたアッテネータ52によって、パッチアンテナ10のアンテナ利得、ひいてはアンテナ6のアンテナ利得が減衰される。
【0078】
第8の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、コネクタ14がアッテネータ52を内蔵することによって、アンテナ利得を、所望の規格に準拠した値以下に制限することができる。例えばWiMAX規格に準拠させる場合には、対基地局用のアンテナ6のコネクタ14にアッテネータ52を内蔵することにより、アンテナ6のアンテナ利得を2dBi以下に制限することができる。
【0079】
なお、図18,19では対基地局用のアンテナ6のコネクタ14にアッテネータ52を内蔵する例を示したが、対移動局用のアンテナ7のコネクタ16(図3参照)にアッテネータを内蔵することもできる。
【0080】
<第9の変形例>
図20は、アンテナ6,7の構造を概略的に示す側面図である。以上の説明では、アンテナ6,7が二段パッチアンテナである例について述べたが、一段パッチアンテナであっても良い。
【0081】
アンテナ6に関し、パッチアンテナ60の底面には、コネクタ14が接続されている。コネクタ14は、上面5Aに形成された開口を介して、筐体5の内部に挿入されている。また、コネクタ14は、図1に示した回路基板8に電気的に接続されている。パッチアンテナ60は、樹脂製のスペーサ15によって支持されている。アンテナ7に関し、パッチアンテナ61の上面には、コネクタ16が接続されている。コネクタ16は、底面5Bに形成された開口を介して、筐体5の内部に挿入されている。また、コネクタ16は、図1に示した回路基板8に電気的に接続されている。パッチアンテナ61は、樹脂製のスペーサ17によって支持されている。
【0082】
第9の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、アンテナ6,7に一段パッチアンテナ60,61をそれぞれ採用することにより、二段パッチアンテナを採用する場合(図3)と比較すると、筐体5の上面5A及び底面5Bからのアンテナ6,7の高さをそれぞれ低く抑えることができる。その結果、両アンテナ6,7間で筐体5の表面を伝搬する電波の回り込みを抑制することができる。
【0083】
一方、複数段のパッチアンテナを採用することにより、一段パッチアンテナを採用する場合と比較すると、アンテナ6,7の広帯域化を図ることができる。
【0084】
なお、パッチアンテナの代わりに、反射板付きダイポールアンテナ等の他の平面アンテナを採用することもできる。
【0085】
<実施例>
図21〜23は、アンテナ6,7間での電波の回り込みの抑制効果について検証したシミュレーション結果を示す図である。図21に示すように、シミュレーションに用いる筐体5のサイズは、幅100mm、長さ200mm、高さ300mmとした。
【0086】
図22は、図15に示したアンテナレイアウトに対応するシミュレーション結果を示している。
【0087】
図22の(A)は、アンテナ6A(Port1)及びアンテナ6B(Port2)を筐体5の上面5Aに配置し、アンテナ7A(Port3)及びアンテナ7B(Port4)を筐体5の底面5Bに配置した条件における結果を示している。例えば、アンテナ6Aからアンテナ7Aへ回り込む電波は、52.4dB減衰されていることが分かる。
【0088】
図22の(B)は、図22の(A)の条件に加えて、図6に示したシールド板40を追加した条件における結果を示している。
【0089】
図22の(C)は、アンテナ6A(Port1)及びアンテナ6B(Port2)を筐体5の側面5Dに配置し、アンテナ7A(Port3)及びアンテナ7B(Port4)を筐体5の側面5Fに配置した条件における結果を示している。
【0090】
図23は、図17に示したアンテナレイアウトに対応するシミュレーション結果を示している。
【0091】
図23の(A)は、図22の(A)と同様に、アンテナ6A(Port1)及びアンテナ6B(Port2)を筐体5の上面5Aに配置し、アンテナ7A(Port3)及びアンテナ7B(Port4)を筐体5の底面5Bに配置した条件における結果を示している。
【0092】
図23の(B)は、図23の(A)の条件に加えて、図6に示したシールド板40を追加した条件における結果を示している。
【0093】
図23の(C)は、図22の(C)と同様に、アンテナ6A(Port1)及びアンテナ6B(Port2)を筐体5の側面5Dに配置し、アンテナ7A(Port3)及びアンテナ7B(Port4)を筐体5の側面5Fに配置した条件における結果を示している。
【0094】
図22,23を参照すると、図23の(B)の条件の場合に、電波の回り込みの抑制効果が高いことが分かる。
【0095】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。
【図2】中継局の外観構造を示す斜視図である。
【図3】アンテナの構造を概略的に示す側面図である。
【図4】回路基板の第1の構成例を示すブロック図である。
【図5】回路基板の第2の構成例を示すブロック図である。
【図6】中継局の外観構造を示す斜視図である。
【図7】中継局の外観構造を示す斜視図である。
【図8】中継局の外観構造を示す斜視図である。
【図9】中継局の外観構造を示す斜視図である。
【図10】中継局の外観構造を示す斜視図である。
【図11】中継局の外観構造を示す斜視図である。
【図12】アンテナのレイアウトを示す上面図である。
【図13】アンテナのレイアウトを示す上面図である。
【図14】アンテナのレイアウトを示す上面図である。
【図15】アンテナのレイアウトを示す上面図である。
【図16】アンテナのレイアウトを示す上面図である。
【図17】アンテナのレイアウトを示す上面図である。
【図18】コネクタを拡大して示す断面図である。
【図19】コネクタを拡大して示す断面図である。
【図20】アンテナの構造を概略的に示す側面図である。
【図21】アンテナ間での電波の回り込みの抑制効果について検証したシミュレーション結果を示す図である。
【図22】アンテナ間での電波の回り込みの抑制効果について検証したシミュレーション結果を示す図である。
【図23】アンテナ間での電波の回り込みの抑制効果について検証したシミュレーション結果を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1 基地局
2 中継局
3 移動局
4,6,7,9 アンテナ
5 筐体
5A 上面
5B 底面
5C〜5F 側面
8 回路基板
10〜13,60,61 パッチアンテナ
14,16 コネクタ
40,41,43,45,47 シールド板
42C〜42F,44C〜44F 辺
46 取付部材
52 アッテネータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局と端末局との無線通信を中継する無線中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の無線通信システムにおいては、基地局からの電波が到達し難いエリア(地下や室内等)に移動局(端末局)が存在する場合にも、基地局と移動局との間の通信状態を確保すべく、中継局(無線中継装置)が設けられている。
【0003】
中継局は、基地局との間で電波の送受信を行うための対基地局アンテナと、移動局との間で電波の送受信を行うための対移動局アンテナとを有している。中継局は、基地局から送信された電波を、対基地局アンテナによって受信し、中継局内部で増幅処理等を施した後、対移動局アンテナから移動局に向けて送信する。また、中継局は、移動局から送信された電波を、対移動局アンテナによって受信し、中継局内部で増幅処理等を施した後、対基地局アンテナから基地局に向けて送信する。このように、中継局を経由することによって、基地局と移動局との間の相互通信が確保される。
【0004】
なお、下記特許文献1には、装置筐体をパンザマストの下部に設置し、そのパンザマストの上部に、対親局アンテナと対子局アンテナとを並べて設置した構成の無線中継装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−16970号公報(図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
中継局においては、対基地局アンテナと対移動局アンテナとの間での電波の回り込みが問題となる。電波の回り込みとは、対基地局アンテナから送信された電波が対移動局アンテナによって受信されてしまう現象、あるいはその逆に、対移動局アンテナから送信された電波が対基地局アンテナによって受信されてしまう現象である。電波の回り込みが生じると、所望波(基地局又は移動局との間で本来送受信したい電波)のレベルが抑圧されたり、信号にノイズが発生するため、電波の回り込みに対して何らかの対策を施す必要がある。すなわち、対基地局アンテナと対移動局アンテナとの結合量を低減して、アンテナ間アイソレーションを高める必要がある。
【0007】
アンテナ間アイソレーションを高める手法の一つとして、対基地局アンテナと対移動局アンテナとの物理的な距離を大きくする手法がある。両アンテナ間の距離が大きくなるほど、電波の回り込みの影響は小さくなる。例えば、一方のアンテナにスリーブアンテナを使用し、他方のアンテナに平面アンテナを使用し、平面アンテナの背面をスリーブアンテナに向けて両アンテナを配置する。両アンテナ間の距離を50cmに設定することにより、回り込む電波のレベルを48dB減衰させることができる。
【0008】
しかしながら、両アンテナ間の距離を大きくするためには、両アンテナと装置筐体とを配線ケーブルによって接続する必要がある。ここで、アンテナが配線ケーブルに接続されている場合には、装置筐体が所定の箇所に設置されても、配線ケーブルの届く範囲内で、アンテナは任意の場所に任意の角度で設置可能である。換言すれば、アンテナの設置の自由度が大きすぎる。従って、アンテナを設置するにあたり、工事会社のスタッフ(又はユーザ自身)は、アンテナの設置場所を調整したり、設置角度を調整する必要がある。また、設置後にアンテナ間アイソレーションを測定し、その測定結果に基づいて、設置場所や設置角度を再調整する必要がある。すなわち、アンテナが配線ケーブルに接続されており、設置の自由度が大きすぎることに起因して、中継装置(特にアンテナ)の設置作業が煩雑である。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、設置作業の容易化を実現し得る、無線中継装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、基地局との間で電波の送受信を行う第1のアンテナと、端末局との間で電波の送受信を行う第2のアンテナと、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナに接続され、無線信号を中継する回路が内部に格納された筐体とを備え、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナが前記筐体に取り付けられることにより、一体型ユニットとして構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
第1の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナが筐体に取り付けられることにより、無線中継装置が一体型ユニットとして構成されている。従って、第1のアンテナ及び第2のアンテナの取り付け位置は筐体のいずれかの表面に限られるため、アンテナの設置箇所や設置角度の自由度が制限される。その結果、設置作業の容易化を図ることができる。
【0012】
本発明の第2の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第1の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナは、前記筐体の第1の面に取り付けられており、前記第2のアンテナは、前記第1の面の対向面である第2の面に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0013】
第2の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナは、筐体の対向面に取り付けられる。第1のアンテナと第2のアンテナとの間に筐体が挟まれることにより、両アンテナ間での電波の回り込みを抑制することができる。
【0014】
本発明の第3の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第2の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1の面と前記第2の面との間に位置する複数の側面のうちの少なくとも一つに取り付けられた、シールド板をさらに備えることを特徴とするものである。
【0015】
第3の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナと第2のアンテナとの間にシールド板を備えることにより、両アンテナ間で筐体の表面を伝搬する電波の回り込みを、効果的に抑制することができる。
【0016】
本発明の第4の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第2の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1の面又は前記第2の面を構成する複数の辺のうちの少なくとも一つに取り付けられた、シールド板をさらに備えることを特徴とするものである。
【0017】
第4の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナと第2のアンテナとの間にシールド板を備えることにより、両アンテナ間で筐体の表面を伝搬する電波の回り込みを、効果的に抑制することができる。
【0018】
本発明の第5の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第2の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1の面と前記第2の面との間で前記筐体の内部に取り付けられた、シールド板をさらに備えることを特徴とするものである。
【0019】
第5の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナと第2のアンテナとの間にシールド板を備えることにより、両アンテナ間で筐体の内部を伝搬する電波の回り込みを、効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明の第6の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、偏波面の方向が互いにずれて配置されていることを特徴とするものである。
【0021】
第6の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、偏波面の方向を互いにずらして第1のアンテナ及び第2のアンテナを配置することにより、両アンテナの結合度が小さくなる。その結果、両アンテナ間での電波の回り込みによる影響を抑制することができる。
【0022】
本発明の第7の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第6の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、偏波面の方向のずれ角度は90度であることを特徴とするものである。
【0023】
第7の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、偏波面の方向のずれ角度を90度に設定することにより、両アンテナの結合度が最も小さくなる。その結果、両アンテナ間での電波の回り込みによる影響を効果的に抑制することができる。
【0024】
本発明の第8の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第7の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナの偏波面は、垂直偏波の方向に対して45度ずれており、前記第2のアンテナの偏波面は、垂直偏波の方向に対して−45度ずれていることを特徴とするものである。
【0025】
第8の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナは、垂直偏波の方向に対して逆方向に同一角度ずれて配置されている。従って、第1のアンテナ及び第2のアンテナの一方の偏波面のみが垂直偏波の方向に対して極端にずれることはない。その結果、偏波面の方向の極端なずれに起因して第1のアンテナ又は第2のアンテナの受信効率が極端に低下する事態を、回避することができる。
【0026】
本発明の第9の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第6〜第8のいずれか一つの態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナはそれぞれ複数であり、複数の前記第1のアンテナは、偏波面の方向が互いに等しくなるように配置されており、複数の前記第2のアンテナは、偏波面の方向が互いに等しくなるように配置されていることを特徴とするものである。
【0027】
第9の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、複数の第1のアンテナの全ての偏波面の方向は、複数の第2のアンテナの全ての偏波面の方向に対してずれることとなる。従って、複数の第1のアンテナと複数の第2のアンテナとの結合度が小さくなるため、電波の回り込みによる影響を効果的に抑制することができる。
【0028】
本発明の第10の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第6又は第7の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナはそれぞれ複数であり、複数の前記第1のアンテナは、偏波面の方向が互いにずれて配置されており、複数の前記第2のアンテナは、偏波面の方向が互いにずれて配置されていることを特徴とするものである。
【0029】
第10の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、複数の第1のアンテナを、偏波面の方向を互いにずらして配置することにより、ダイバーシティの効果を向上することができる。同様に、複数の第2のアンテナを、偏波面の方向を互いにずらして配置することにより、ダイバーシティの効果を向上することができる。
【0030】
本発明の第11の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第1〜第10のいずれか一つの態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナの少なくとも一方は、減衰器を内蔵していることを特徴とするものである。
【0031】
第11の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、減衰器を内蔵することによって、アンテナ利得を、所望の規格に準拠した値以下に制限することができる。例えばWiMAX規格に準拠させる場合には、対基地局用の第1のアンテナに減衰器を内蔵することにより、アンテナ利得を2dBi以下に制限することができる。
【0032】
本発明の第12の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第1〜第11のいずれか一つの態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、一段パッチアンテナであることを特徴とするものである。
【0033】
第12の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナに一段パッチアンテナを採用することにより、筐体の表面からのアンテナの高さを低く抑えることができる。その結果、両アンテナ間で筐体の表面を伝搬する電波の回り込みを抑制することができる。
【0034】
本発明の第13の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置は、第1〜第11のいずれか一つの態様に係るアンテナ一体型無線中継装置において特に、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、複数段パッチアンテナであることを特徴とするものである。
【0035】
第13の態様に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナに複数段パッチアンテナを採用することにより、一段パッチアンテナを採用する場合と比較すると、アンテナの広帯域化を図ることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、設置作業の容易化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0038】
図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。無線通信システムは、基地局1、中継局2、及び携帯電話等の移動局(端末局)3を備えている。基地局1はアンテナ4を有しており、移動局3はアンテナ9を有している。中継局2は、基地局1のアンテナ4との間で電波の送受信を行うためのアンテナ6と、端末局3のアンテナ9との間で電波の送受信を行うためのアンテナ7とを有している。また、中継局2は、アルミニウム、真鍮、又は銅等の金属製の筐体5を有している。筐体5の内部には、電源回路(図示しない)や、アンテナ6,7に接続された回路基板8等が格納されている。アンテナ6,7は筐体5の表面に取り付けられており、これにより、アンテナ6,7と筐体5とが一体型ユニットとして構成されている。
【0039】
図2は、中継局2の外観構造を示す斜視図である。筐体5は、上面5A、底面5B、及び側面5C〜5Fを有する直方体の形状を有している。アンテナ6は上面5Aに取り付けられており、アンテナ7は底面5Bに取り付けられている。アンテナ6は複数段(以下の例では二段)のパッチアンテナ10,11を有しており、アンテナ7は複数段(以下の例では二段)のパッチアンテナ12,13を有している。上面5Aにはアンテナ6を保護するためのカバー14が取り付けられており、底面5Bにはアンテナ7を保護するためのカバー15が取り付けられている。但し、以降ではカバー14,15を取り外した状態の装置について説明を行う。
【0040】
なお、筐体5の形状は直方体に限らず、立方体や、その他の立体であっても良い。また、アンテナ6,7の取り付け位置は筐体5の上面5A及び底面5Bに限らず、側面5C〜5Fであっても良い。
【0041】
図3は、アンテナ6,7の構造を概略的に示す側面図である。アンテナ6に関し、パッチアンテナ10の底面には、コネクタ14が接続されている。コネクタ14は、上面5Aに形成された開口を介して、筐体5の内部に挿入されている。また、コネクタ14は、図1に示した回路基板8に電気的に接続されている。パッチアンテナ11は、パッチアンテナ10の上方に配置されている。パッチアンテナ10,11は、樹脂製のスペーサ15によって支持されている。アンテナ7に関し、パッチアンテナ12の上面には、コネクタ16が接続されている。コネクタ16は、底面5Bに形成された開口を介して、筐体5の内部に挿入されている。また、コネクタ16は、図1に示した回路基板8に電気的に接続されている。パッチアンテナ13は、パッチアンテナ12の下方に配置されている。パッチアンテナ12,13は、樹脂製のスペーサ17によって支持されている。
【0042】
図4は、回路基板8の第1の構成例を示すブロック図である。回路基板8には、再生型レピータ方式の回路が実装されている。対移動局用の受信回路は、この順に接続された、バンドパスフィルタ(BPF)20、低ノイズ増幅器(LNA)21、高周波増幅器(RF)22、周波数混合器23、中間周波増幅器(IF)24、IQ復調器25、ADコンバータ26、及び受信信号処理回路27を備えている。対基地局用の送信回路は、この順に接続された、送信信号処理回路28、DAコンバータ29、IQ変調器30、中間周波増幅器(IF)31、周波数混合器32、高周波増幅器(RF)33、電力増幅器(HPA)34、及びバンドパスフィルタ(BPF)35を備えている。なお、図4では図示を省略したが、回路基板8には、対移動局用の送信回路、及び対基地局用の受信回路も実装されており、スイッチング操作によって、対移動局用の送信回路及び受信回路の一方が選択され、同様に、スイッチング操作によって、対基地局用の送信回路及び受信回路の一方が選択される。
【0043】
図5は、回路基板8の第2の構成例を示すブロック図である。回路基板8には、RFレピータ方式の回路が実装されている。スイッチ38,39によるスイッチング操作によって、増幅器36及び増幅器37の一方が選択される。なお、図5では図示を省略したが、受信信号の周波数を変換して送信するための周波数変換回路をさらに備えても良い。
【0044】
なお、回路基板8に実装されている回路の構成は、図4,5に示した例に限らず、基地局1及び移動局3の一方から受信した電波を増幅して他方に向けて送信可能な構成であれば、どのようなものであっても良い。また、受信信号と送信信号とで周波数を異ならせる構成であっても良い。
【0045】
このように本実施の形態に係るアンテナ一体型無線中継装置(中継局2)によれば、アンテナ6,7が筐体5に取り付けられることにより、無線中継装置が一体型ユニットとして構成されている。従って、アンテナ6,7の取り付け位置は、筐体5の上面5A、底面5B、及び側面5C〜5Fのいずれかに限られるため、アンテナ6,7の設置箇所や設置角度の自由度を意図的に制限することができる。その結果、無線中継装置を設置するにあたっての工事会社のスタッフ(又はユーザ自身)の労力、つまり、アンテナの設置場所の調整、アンテナの設置角度の調整、及び、アンテナ間アイソレーションの測定結果に基づく設置場所又は設置角度の再調整といった作業に費やす労力を、低減することが可能となる。すなわち、設置作業の容易化を図ることができる。
【0046】
また、別体の筐体5とアンテナ6,7とを配線ケーブルを用いて接続する場合と比較すると、全体として装置の小型化を図ることができる。さらに、筐体5とアンテナ6,7とを接続するための配線ケーブルが不要となるため、部品点数が削減されてコストの低減が図られる。
【0047】
また、本実施の形態に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、図2に示したように、アンテナ6,7は、筐体5の対向面に取り付けられる。その結果、金属製で電磁シールド効果を有する筐体5がアンテナ6とアンテナ7との間に挟まれることにより、両アンテナ6,7間での電波の回り込みを抑制することができる。
【0048】
<第1の変形例>
図6は、中継局2の外観構造を示す斜視図である。アンテナ6が取り付けられた上面5Aとアンテナ7が取り付けられた底面5Bとの間に位置する、筐体5の側面5C〜5Fに、金属製のシールド板40が取り付けられている。シールド板40は、筐体5の外周を取り囲むように連続して形成されている。各側面5C〜5Fにおいて、シールド板40の起立方向は、各側面5C〜5Fの法線方向に等しい。
【0049】
図7は、中継局2の外観構造を示す斜視図である。上面5Aと底面5Bとの間に位置する側面5C〜5Fのうちの一つ以上の側面(図7の例では側面5Cのみ)に、金属製のシールド板41が取り付けられている。図7の例では、シールド板41の起立方向は、側面5Cの法線方向に等しい。シールド板41を取り付ける側面は、両アンテナ6,7間での電波の回り込みが大きい側面、例えば、中継局2を室内に設置した際に壁面や天井面に対向する側面である。
【0050】
第1の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、アンテナ6とアンテナ7との間にシールド板40,41を備えることにより、両アンテナ6,7間で筐体5の表面を伝搬する電波の回り込みを、シールド板40,41によって効果的に抑制することができる。
【0051】
<第2の変形例>
図8は、中継局2の外観構造を示す斜視図である。筐体5の上面5Aを構成する4つの辺42C〜42F上に、金属製のシールド板43が取り付けられている。シールド板43は、上面5Aの外周を取り囲むように連続して形成されている。シールド板43の起立方向は、上面5Aの法線方向に等しい。なお、シールド板43と同様のシールド板を、底面5Bを構成する4つの辺44C〜44F上に取り付けても良い。
【0052】
図9は、中継局2の外観構造を示す斜視図である。辺42C〜42F,44C〜44Fのうちの一つ以上の辺(図9の例では辺42Cのみ)に、金属製のシールド板45が取り付けられている。図9の例では、シールド板45の起立方向は、上面5Aの法線方向に等しい。シールド板45を取り付ける辺は、アンテナ6,7から側面5C〜5Fに回り込む電波が大きい側面に対応する辺である。例えば、アンテナ6から側面5Cに回り込む電波が大きい場合には、図9に示すように、アンテナ6と側面5Cとの間の辺42Cにシールド板45が取り付けられる。
【0053】
第2の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、アンテナ6とアンテナ7との間にシールド板43,45を備えることにより、両アンテナ6,7間で筐体5の表面を伝搬する電波の回り込みを、シールド板43,45によって効果的に抑制することができる。
【0054】
<第3の変形例>
図10は、中継局2の外観構造を示す斜視図である。図6に示したシールド板40に、取付部材46が固定されている。取付部材46は、中継局2である一体型ユニットを、壁面や天井面等の所望の箇所に取り付けるための部材である。
【0055】
第3の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、筐体5の表面から突出するシールド板40が、取付部材46を有している。そのため、シールド板40の取付部材46を壁面や天井面等の所望箇所に取り付けることによって、一体型ユニットを所望箇所へ取り付けることができる。側面5C〜5Fに取付部材46を固定した場合には、突出するシールド板40が邪魔となって、所望箇所への取り付けが困難又は不可能となる場合がある。これに対し第3の変形例によれば、取付部材46は側面5C〜5Fではなくシールド板40に固定されているため、シールド板40が所望箇所への取り付けの妨げになることはない。
【0056】
なお、取付部材46は、図7に示したシールド板41、図8に示したシールド板43、又は図9に示したシールド板45にも固定することが可能であり、上記と同様の効果を得ることができる。
【0057】
<第4の変形例>
図11は、中継局2の外観構造を示す斜視図である。筐体5の内部に、金属製のシールド板47が取り付けられている。シールド板47は、上面5A及び底面5Bに平行である。シールド板47の外周は、側面5C〜5Fの内面に接触している。
【0058】
第4の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、筐体5の内部においてアンテナ6とアンテナ7との間にシールド板47を備えることにより、両アンテナ6,7間でコネクタ14,16(図3参照)の隙間を通って筐体5の内部を伝搬する電波の回り込みを、シールド板47によって効果的に抑制することができる。
【0059】
<第5の変形例>
図12は、アンテナ6,7のレイアウトを示す上面図である。図12の(A)は、アンテナ6を上方から眺めた図に相当し、図12の(B)は、底面5Bを透視してアンテナ7を上面5A側から眺めた図に相当する。
【0060】
図12に示すように、アンテナ6,7は、アンテナ6の偏波面の方向M1とアンテナ7の偏波面の方向N2とが互いにずれるように、配置されている。図12の例では、方向M1は垂直偏波の方向に等しく、方向N2は水平偏波の方向に等しい。従って、方向M1,N2のずれの角度は90度である。
【0061】
第5の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、偏波面の方向M1,N2を互いにずらしてアンテナ6,7を配置することにより、偏波面の方向が一致している場合と比較すると、両アンテナ6,7の結合度が小さくなる。その結果、両アンテナ6,7間での電波の回り込みによる影響を抑制することができる。なお、この効果を得るためには、方向M1,N2のずれ角度は必ずしも90度である必要はなく、0度よりも大きく360度未満の任意の角度であれば良い。
【0062】
また、第5の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、偏波面の方向M1,N2のずれ角度を90度(ほぼ90度を含む)に設定することにより、両アンテナ6,7の結合度が最も小さくなる。その結果、両アンテナ6,7間での電波の回り込みによる影響を効果的に抑制することができる。
【0063】
<第6の変形例>
図13は、図12と同様に、アンテナ6,7のレイアウトを示す上面図である。アンテナ6の偏波面の方向M2は、垂直偏波の方向M1に対して右回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向であり、アンテナ7の偏波面の方向N3は、垂直偏波の方向N1に対して左回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向である。従って、方向M2,N3のずれの角度は90度である。
【0064】
第6の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、上記第5の変形例による効果に加えて、以下の効果を得ることができる。つまり、アンテナ6,7は、垂直偏波の方向M1,N1に対して逆方向に同一角度(45度)ずれて配置されている。従って、アンテナ6,7の一方の偏波面のみが垂直偏波の方向M1,N1に対して極端にずれることはない。その結果、偏波面の方向の極端なずれに起因してアンテナ6又はアンテナ7の受信効率が極端に低下する事態を、回避することができる。
【0065】
<第7の変形例>
第7の変形例として、上記実施の形態及び他の全ての変形例に、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術を適用することもできる。
【0066】
図14は、図12と同様に、アンテナ6,7のレイアウトを示す上面図である。これは、上記第5の変形例(図12)にMIMO技術を適用した例である。アンテナ6は複数個(図14の例では2個)のアンテナ6A,6Bを有しており、アンテナ7は複数個(図14の例では2個)のアンテナ7A,7Bを有している。
【0067】
図14に示すように、アンテナ6A,7A,7Bは、アンテナ6Aの偏波面の方向M1Aとアンテナ7A,7Bの偏波面の方向N2A,N2Bとが互いにずれるように、配置されている。図14の例では、方向M1Aは垂直偏波の方向に等しく、方向N2A,N2Bは水平偏波の方向に等しい。従って、方向M1Aと方向N2A,N2Bとのずれの角度は90度である。同様に、アンテナ6B,7A,7Bは、アンテナ6Bの偏波面の方向M1Bとアンテナ7A,7Bの偏波面の方向N2A,N2Bとが互いにずれるように、配置されている。図14の例では、方向M1Bは垂直偏波の方向に等しく、方向N2A,N2Bは水平偏波の方向に等しい。従って、方向M1Bと方向N2A,N2Bとのずれの角度は90度である。また、図14の例では、方向M1Aと方向M1Bとは互いに等しく、方向N2Aと方向N2Bとは互いに等しい。
【0068】
図15は、図12と同様に、アンテナ6,7のレイアウトを示す上面図である。これは、上記第6の変形例(図13)にMIMO技術を適用した例である。
【0069】
図15に示すように、アンテナ6A,7A,7Bは、アンテナ6Aの偏波面の方向M2Aとアンテナ7A,7Bの偏波面の方向N3A,N3Bとが互いにずれるように、配置されている。方向M2Aは、垂直偏波の方向M1Aに対して右回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向であり、方向N3A,N3Bは、垂直偏波の方向N1A,N1Bに対して左回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向である。従って、方向M2Aと方向N3A,N3Bとのずれの角度は90度である。同様に、アンテナ6B,7A,7Bは、アンテナ6Bの偏波面の方向M2Bとアンテナ7A,7Bの偏波面の方向N3A,N3Bとが互いにずれるように、配置されている。方向M2Bは、垂直偏波の方向M1Bに対して右回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向である。従って、方向M2Bと方向N3A,N3Bとのずれの角度は90度である。また、図15の例では、方向M2Aと方向M2Bとは互いに等しく、方向N3Aと方向N3Bとは互いに等しい。
【0070】
図14,15に示した例によれば、アンテナ6A,6Bの各偏波面の方向は、アンテナ7A,7Bの各偏波面の方向に対してずれている。従って、アンテナ6A,6Bとアンテナ7A,7Bとの結合度が小さくなるため、電波の回り込みによる影響を効果的に抑制することができる。つまり、アンテナ6Aからアンテナ7A,7Bに回り込む電波の影響、アンテナ6Bからアンテナ7A,7Bに回り込む電波の影響、アンテナ7Aからアンテナ6A,6Bに回り込む電波の影響、及び、アンテナ7Bからアンテナ6A,6Bに回り込む電波の影響を、いずれも抑制することができる。
【0071】
図16は、図12と同様に、アンテナ6,7のレイアウトを示す上面図である。図16に示すように、アンテナ6A,7Aは、アンテナ6Aの偏波面の方向M1Aとアンテナ7Aの偏波面の方向N2Aとが互いにずれるように、配置されている。方向M1Aは垂直偏波の方向に等しく、方向N2Aは水平偏波の方向に等しいため、方向M1Aと方向N2Aとのずれの角度は90度である。同様に、アンテナ6B,7Bは、アンテナ6Bの偏波面の方向M3Bとアンテナ7Bの偏波面の方向N1Bとが互いにずれるように、配置されている。方向M3Bは水平偏波の方向に等しく、方向N1Bは垂直偏波の方向に等しいため、方向M3Bと方向N1Bとのずれの角度は90度である。
【0072】
また、図16の例では、アンテナ6A,6Bは、アンテナ6Aの偏波面の方向M1Aとアンテナ6Bの偏波面の方向M3Bとが互いにずれるように、配置されている。方向M1Aは垂直偏波の方向に等しく、方向M3Bは水平偏波の方向に等しいため、方向M1Aと方向M3Bとのずれの角度は90度である。同様に、アンテナ7A,7Bは、アンテナ7Aの偏波面の方向N2Aとアンテナ7Bの偏波面の方向N1Bとが互いにずれるように、配置されている。方向N2Aは水平偏波の方向に等しく、方向N1Bは垂直偏波の方向に等しいため、方向N2Aと方向N1Bとのずれの角度は90度である。
【0073】
図17は、図12と同様に、アンテナ6,7のレイアウトを示す上面図である。図17に示すように、アンテナ6A,7Aは、アンテナ6Aの偏波面の方向M2Aとアンテナ7Aの偏波面の方向N3Aとが互いにずれるように、配置されている。方向M2Aは、垂直偏波の方向M1Aに対して右回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向であり、方向N3Aは、垂直偏波の方向N1Aに対して左回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向である。従って、方向M2Aと方向N3Aとのずれの角度は90度である。同様に、アンテナ6B,7Bは、アンテナ6Bの偏波面の方向M4Bとアンテナ7Bの偏波面の方向N4Bとが互いにずれるように、配置されている。方向M4Bは、垂直偏波の方向M1Bに対して左回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向であり、方向N4Bは、垂直偏波の方向N1Bに対して右回りに45度(ほぼ45度を含む)だけ回転した方向である。従って、方向M4Bと方向N4Bとのずれの角度は90度である。
【0074】
また、図17の例では、アンテナ6A,6Bは、アンテナ6Aの偏波面の方向M2Aとアンテナ6Bの偏波面の方向M4Bとが互いにずれるように、配置されている。図17の例では、方向M2Aと方向M4Bとのずれの角度は90度(ほぼ90度を含む)である。同様に、アンテナ7A,7Bは、アンテナ7Aの偏波面の方向N3Aとアンテナ7Bの偏波面の方向N4Bとが互いにずれるように、配置されている。図17の例では、方向N3Aと方向N4Bとのずれの角度は90度(ほぼ90度を含む)である。
【0075】
図16,17に示した例によれば、アンテナ6A,6Bを、偏波面の方向を互いにずらして配置することにより、ダイバーシティの効果を向上することができる。同様に、アンテナ7A,7Bを、偏波面の方向を互いにずらして配置することにより、ダイバーシティの効果を向上することができる。
【0076】
<第8の変形例>
図18は、コネクタ14を拡大して示す断面図である。給電用の導体ピン50が、パッチアンテナ10を貫通している。導体ピン50は、接続導体51に接続されている。シェル53には、アッテネータ(減衰器)52が連結されている。アッテネータ52は、コネクタ14のカバー54内に配置されている。接続導体51に接続されたアッテネータ52によって、パッチアンテナ10のアンテナ利得、ひいてはアンテナ6のアンテナ利得が減衰される。
【0077】
図19は、コネクタ14を拡大して示す断面図である。給電用の導体ピン50が、パッチアンテナ10を貫通している。導体ピン50は、接続導体51に接続されている。コネクタ14のカバー54内には、アッテネータ52が配置されている。接続導体51に接続されたアッテネータ52によって、パッチアンテナ10のアンテナ利得、ひいてはアンテナ6のアンテナ利得が減衰される。
【0078】
第8の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、コネクタ14がアッテネータ52を内蔵することによって、アンテナ利得を、所望の規格に準拠した値以下に制限することができる。例えばWiMAX規格に準拠させる場合には、対基地局用のアンテナ6のコネクタ14にアッテネータ52を内蔵することにより、アンテナ6のアンテナ利得を2dBi以下に制限することができる。
【0079】
なお、図18,19では対基地局用のアンテナ6のコネクタ14にアッテネータ52を内蔵する例を示したが、対移動局用のアンテナ7のコネクタ16(図3参照)にアッテネータを内蔵することもできる。
【0080】
<第9の変形例>
図20は、アンテナ6,7の構造を概略的に示す側面図である。以上の説明では、アンテナ6,7が二段パッチアンテナである例について述べたが、一段パッチアンテナであっても良い。
【0081】
アンテナ6に関し、パッチアンテナ60の底面には、コネクタ14が接続されている。コネクタ14は、上面5Aに形成された開口を介して、筐体5の内部に挿入されている。また、コネクタ14は、図1に示した回路基板8に電気的に接続されている。パッチアンテナ60は、樹脂製のスペーサ15によって支持されている。アンテナ7に関し、パッチアンテナ61の上面には、コネクタ16が接続されている。コネクタ16は、底面5Bに形成された開口を介して、筐体5の内部に挿入されている。また、コネクタ16は、図1に示した回路基板8に電気的に接続されている。パッチアンテナ61は、樹脂製のスペーサ17によって支持されている。
【0082】
第9の変形例に係るアンテナ一体型無線中継装置によれば、アンテナ6,7に一段パッチアンテナ60,61をそれぞれ採用することにより、二段パッチアンテナを採用する場合(図3)と比較すると、筐体5の上面5A及び底面5Bからのアンテナ6,7の高さをそれぞれ低く抑えることができる。その結果、両アンテナ6,7間で筐体5の表面を伝搬する電波の回り込みを抑制することができる。
【0083】
一方、複数段のパッチアンテナを採用することにより、一段パッチアンテナを採用する場合と比較すると、アンテナ6,7の広帯域化を図ることができる。
【0084】
なお、パッチアンテナの代わりに、反射板付きダイポールアンテナ等の他の平面アンテナを採用することもできる。
【0085】
<実施例>
図21〜23は、アンテナ6,7間での電波の回り込みの抑制効果について検証したシミュレーション結果を示す図である。図21に示すように、シミュレーションに用いる筐体5のサイズは、幅100mm、長さ200mm、高さ300mmとした。
【0086】
図22は、図15に示したアンテナレイアウトに対応するシミュレーション結果を示している。
【0087】
図22の(A)は、アンテナ6A(Port1)及びアンテナ6B(Port2)を筐体5の上面5Aに配置し、アンテナ7A(Port3)及びアンテナ7B(Port4)を筐体5の底面5Bに配置した条件における結果を示している。例えば、アンテナ6Aからアンテナ7Aへ回り込む電波は、52.4dB減衰されていることが分かる。
【0088】
図22の(B)は、図22の(A)の条件に加えて、図6に示したシールド板40を追加した条件における結果を示している。
【0089】
図22の(C)は、アンテナ6A(Port1)及びアンテナ6B(Port2)を筐体5の側面5Dに配置し、アンテナ7A(Port3)及びアンテナ7B(Port4)を筐体5の側面5Fに配置した条件における結果を示している。
【0090】
図23は、図17に示したアンテナレイアウトに対応するシミュレーション結果を示している。
【0091】
図23の(A)は、図22の(A)と同様に、アンテナ6A(Port1)及びアンテナ6B(Port2)を筐体5の上面5Aに配置し、アンテナ7A(Port3)及びアンテナ7B(Port4)を筐体5の底面5Bに配置した条件における結果を示している。
【0092】
図23の(B)は、図23の(A)の条件に加えて、図6に示したシールド板40を追加した条件における結果を示している。
【0093】
図23の(C)は、図22の(C)と同様に、アンテナ6A(Port1)及びアンテナ6B(Port2)を筐体5の側面5Dに配置し、アンテナ7A(Port3)及びアンテナ7B(Port4)を筐体5の側面5Fに配置した条件における結果を示している。
【0094】
図22,23を参照すると、図23の(B)の条件の場合に、電波の回り込みの抑制効果が高いことが分かる。
【0095】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線通信システムを概略的に示す図である。
【図2】中継局の外観構造を示す斜視図である。
【図3】アンテナの構造を概略的に示す側面図である。
【図4】回路基板の第1の構成例を示すブロック図である。
【図5】回路基板の第2の構成例を示すブロック図である。
【図6】中継局の外観構造を示す斜視図である。
【図7】中継局の外観構造を示す斜視図である。
【図8】中継局の外観構造を示す斜視図である。
【図9】中継局の外観構造を示す斜視図である。
【図10】中継局の外観構造を示す斜視図である。
【図11】中継局の外観構造を示す斜視図である。
【図12】アンテナのレイアウトを示す上面図である。
【図13】アンテナのレイアウトを示す上面図である。
【図14】アンテナのレイアウトを示す上面図である。
【図15】アンテナのレイアウトを示す上面図である。
【図16】アンテナのレイアウトを示す上面図である。
【図17】アンテナのレイアウトを示す上面図である。
【図18】コネクタを拡大して示す断面図である。
【図19】コネクタを拡大して示す断面図である。
【図20】アンテナの構造を概略的に示す側面図である。
【図21】アンテナ間での電波の回り込みの抑制効果について検証したシミュレーション結果を示す図である。
【図22】アンテナ間での電波の回り込みの抑制効果について検証したシミュレーション結果を示す図である。
【図23】アンテナ間での電波の回り込みの抑制効果について検証したシミュレーション結果を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1 基地局
2 中継局
3 移動局
4,6,7,9 アンテナ
5 筐体
5A 上面
5B 底面
5C〜5F 側面
8 回路基板
10〜13,60,61 パッチアンテナ
14,16 コネクタ
40,41,43,45,47 シールド板
42C〜42F,44C〜44F 辺
46 取付部材
52 アッテネータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局との間で電波の送受信を行う第1のアンテナと、
端末局との間で電波の送受信を行う第2のアンテナと、
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナに接続され、無線信号を中継する回路が内部に格納された筐体と
を備え、
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナが前記筐体に取り付けられることにより、一体型ユニットとして構成されていることを特徴とする、アンテナ一体型無線中継装置。
【請求項2】
前記第1のアンテナは、前記筐体の第1の面に取り付けられており、
前記第2のアンテナは、前記第1の面の対向面である第2の面に取り付けられている、請求項1に記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項3】
前記第1の面と前記第2の面との間に位置する複数の側面のうちの少なくとも一つに取り付けられた、シールド板をさらに備える、請求項2に記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項4】
前記第1の面又は前記第2の面を構成する複数の辺のうちの少なくとも一つに取り付けられた、シールド板をさらに備える、請求項2に記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項5】
前記第1の面と前記第2の面との間で前記筐体の内部に取り付けられた、シールド板をさらに備える、請求項2に記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項6】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、偏波面の方向が互いにずれて配置されている、請求項1〜5のいずれか一つに記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項7】
偏波面の方向のずれ角度は90度である、請求項6に記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項8】
前記第1のアンテナの偏波面は、垂直偏波の方向に対して45度ずれており、前記第2のアンテナの偏波面は、垂直偏波の方向に対して−45度ずれている、請求項7に記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項9】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナはそれぞれ複数であり、
複数の前記第1のアンテナは、偏波面の方向が互いに等しくなるように配置されており、
複数の前記第2のアンテナは、偏波面の方向が互いに等しくなるように配置されている、請求項6〜8のいずれか一つに記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項10】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナはそれぞれ複数であり、
複数の前記第1のアンテナは、偏波面の方向が互いにずれて配置されており、
複数の前記第2のアンテナは、偏波面の方向が互いにずれて配置されている、請求項6又は7に記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項11】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナの少なくとも一方は、減衰器を内蔵している、請求項1〜10のいずれか一つに記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項12】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、一段パッチアンテナである、請求項1〜11のいずれか一つに記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項13】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、複数段パッチアンテナである、請求項1〜11のいずれか一つに記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項1】
基地局との間で電波の送受信を行う第1のアンテナと、
端末局との間で電波の送受信を行う第2のアンテナと、
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナに接続され、無線信号を中継する回路が内部に格納された筐体と
を備え、
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナが前記筐体に取り付けられることにより、一体型ユニットとして構成されていることを特徴とする、アンテナ一体型無線中継装置。
【請求項2】
前記第1のアンテナは、前記筐体の第1の面に取り付けられており、
前記第2のアンテナは、前記第1の面の対向面である第2の面に取り付けられている、請求項1に記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項3】
前記第1の面と前記第2の面との間に位置する複数の側面のうちの少なくとも一つに取り付けられた、シールド板をさらに備える、請求項2に記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項4】
前記第1の面又は前記第2の面を構成する複数の辺のうちの少なくとも一つに取り付けられた、シールド板をさらに備える、請求項2に記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項5】
前記第1の面と前記第2の面との間で前記筐体の内部に取り付けられた、シールド板をさらに備える、請求項2に記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項6】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、偏波面の方向が互いにずれて配置されている、請求項1〜5のいずれか一つに記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項7】
偏波面の方向のずれ角度は90度である、請求項6に記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項8】
前記第1のアンテナの偏波面は、垂直偏波の方向に対して45度ずれており、前記第2のアンテナの偏波面は、垂直偏波の方向に対して−45度ずれている、請求項7に記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項9】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナはそれぞれ複数であり、
複数の前記第1のアンテナは、偏波面の方向が互いに等しくなるように配置されており、
複数の前記第2のアンテナは、偏波面の方向が互いに等しくなるように配置されている、請求項6〜8のいずれか一つに記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項10】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナはそれぞれ複数であり、
複数の前記第1のアンテナは、偏波面の方向が互いにずれて配置されており、
複数の前記第2のアンテナは、偏波面の方向が互いにずれて配置されている、請求項6又は7に記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項11】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナの少なくとも一方は、減衰器を内蔵している、請求項1〜10のいずれか一つに記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項12】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、一段パッチアンテナである、請求項1〜11のいずれか一つに記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【請求項13】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、複数段パッチアンテナである、請求項1〜11のいずれか一つに記載のアンテナ一体型無線中継装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2010−4457(P2010−4457A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163297(P2008−163297)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】
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