説明

アンテナ装置

【課題】放射器と反射器との距離を1/4波長以下にした場合でも反射器自体を大きくすることなく、装置全体の小型化を図ることができるアンテナ装置を提供すること。
【解決手段】アンテナ装置1は、放射器7と、放射器7に対して平行に設けられると共に当該放射器7の共振周波数の波長の1/4波長より短い距離を設けて配置された導電性材料からなる反射板3とを備え、反射板3には、電界方向と直交する方向に延びる絶縁部10が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射器を備えたアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のアンテナ装置として、平面視矩形状の反射器と、この反射器に対向配置されたダイポール素子とを備えたアンテナが知られている(特許文献1参照)。このアンテナでは、反射器とダイポール素子との間は1/4波長以下(0.1/波長)離され、ダイポール素子の物理長は0.6波長以上1波長未満で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−203530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のアンテナ(装置)において、反射器とダイポール素子(放射器)との間隔を1/4/波長以下にした場合には、電気長を確保すべく反射器の面積を大きくするだけではなく、ダイポール素子の物理長も0.6波長以上にする必要があるため、アンテナ装置が大型化して小型の電子機器等に搭載することができない問題があった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、放射器と反射器との距離を1/4波長以下にした場合でも反射器自体を大きくすることなく、装置全体の薄型化・小型化を図ることができるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアンテナ装置は、放射器と、前記放射器に対して平行に設けられると共に当該放射器の共振周波数の波長の1/4波長より短い距離を設けて配置された導電性材料からなる反射器とを備え、前記反射器には、電界方向と直交する方向に延びる絶縁部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、反射器には電界方向と直交する方向に絶縁部が形成されているので、反射器で励振された表面電流は絶縁部の形成領域を避けるように迂回し、反射器の電気長を当該反射器の物理長よりも長くすることができる。従って、放射器と反射器との距離を1/4波長以下にした場合でも、当該距離に応じて反射器の電気長を確保することができるので、反射器自体を大きくすることなく、アンテナ装置全体の薄型化・小型化を図ることができる。
【0008】
本発明は、上記アンテナ装置において、前記絶縁部は、電界方向と直交する方向に延びる単一の第1のスロットで形成されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、簡易な構成により絶縁部を形成することができ、アンテナ装置全体の薄型化・小型化を図ることができる。
【0010】
本発明は、上記アンテナ装置において、前記反射器には、前記第1のスロットに平行であって、前記電界方向に直交する方向に延びる第2のスロットを形成してもよい。
【0011】
この構成によれば、反射器の電気長を当該反射器の物理長よりもさらに長くすることができるので、反射器自体を大きくすることなく、さらにアンテナ装置全体の薄型化・小型化を図ることができる。
【0012】
本発明は、上記アンテナ装置において、前記反射器は板状に形成されており、前記反射器には、当該反射器の一部を当該反射器の平面部に対して垂直に切り起こした切り起こし部が形成され、この切り起こしによって前記スロットに平行な開口部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、スロットに平行な開口部が形成されているので、反射器の電気長を当該反射器の物理長よりもさらに長くすることができるので、反射器自体を大きくすることなく、さらにアンテナ装置全体の薄型化・小型化を図ることができる。また、切り起こし部を、例えば、放射器が設けられる基板を支持する支持部として機能させることもできる。
【0014】
本発明は、上記アンテナ装置において、前記放射器は誘電体基板上に設けられ、前記誘電体基板は、前記反射器に形成された複数の切り起こし部により支持されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、複数の切り起こし部により誘電体基板を支持するので、支持部材を追加することなく簡易な構成で、誘電体基板の安定性を保つことができる。
【0016】
本発明は、上記アンテナ装置において、前記複数の切り起こし部には、開口部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、複数の切り起こし部に開口部が形成されているので、反射器の電気長を当該反射器の物理長よりもさらに長くすることができるので、反射器自体を大きくすることなく、さらにアンテナ装置全体の薄型化・小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、放射器と反射器との距離を1/4波長以下にした場合でも反射器自体を大きくすることなく、装置全体の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係るアンテナ装置の構成を示した斜視図である。
【図2】本実施の形態に係るアンテナ装置の放射器の構成を示した平面図である。
【図3】本実施の形態に係るアンテナ装置の反射板の構成を示した平面図である。
【図4】本実施の形態に係るアンテナ装置の反射板に形成された絶縁部の一例を示した平面模式図である。
【図5】本実施の形態に係るアンテナ装置の指向特性を示した図である。
【図6】比較例に係るアンテナ装置の指向特性を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るアンテナ装置をグランド形成面から見た斜視図である。図2は、本実施の形態に係る誘電体基板をグランド形成面側から見た平面図である。図3は、本実施の形態に係る反射板の平面図である。
【0021】
図1に示すように、アンテナ装置1は、誘電体基板(回路基板)2と、誘電体基板2に対向して設けられた反射板3とを備えている。誘電体基板2は、平面視矩形状に形成され、外周縁部を除く主面には銅泊からなるグランドパターン4が形成されている。本実施の形態では誘電体基板2の全体形状は長方形状で構成されているが、正方形状又は実機器に組み込むために周辺機器の形状に合わせたその他の形状でも良い。以下では、誘電体基板2の下側の長辺を第1の辺部L1、第1の辺部L1に対向する上側の長辺を第2の辺部L2、第1の辺部L1に隣接する2つの短辺を第3,第4の辺部L3,L4として説明する。
【0022】
誘電体基板2の第1の辺部L1の近傍には、グランドパターン4の下側外縁部を一部残すようにして、当該第1の辺部L1に沿って平行にスロット5が形成されている。スロット5は、所定幅で帯状に延びる平面視長方形状に形成されると共に、誘電体基板2の第1の辺部L1の中心から左右方向に同じ長さに形成されている。スロット5には、給電部となる給電ライン6が設けられている。給電ライン6は、2本のライン給電部6a,6bに分岐されており、2本のライン給電部6a,6bがスロット5の長手方向の中心を挟んで対称位置にてスロット5の長手方向と直交する方向に架け渡されている。スロット5及び給電ライン6は、スロットアンテナからなる給電アンテナ素子(放射器)7を構成している。
【0023】
誘電体基板2の主面において、第3,第4の辺部L3,L4の側方外縁部が、第3,第4の辺部L3,L4に沿って所定幅の銅箔が除去され、銅箔が除去された領域には、平面視L字状の無給電アンテナ素子(放射器)8,9がそれぞれ形成されている。以下、第3の辺部L3に沿って銅箔が除去された領域を銅箔除去領域A1と呼び、第4の辺部L4に沿って銅箔が除去された領域を銅箔除去領域A2と呼ぶ。銅箔除去領域A1側の無給電アンテナ素子8は、隣接するグランドパターン4の第2の辺部L2側の角部から第2の辺部L2に沿って第3の辺部L3側に向かって直線状に形成されると共に、第3の辺部L3に沿って第1の辺部L1の近傍までミアンダ形状に形成されている。一方、銅箔除去領域A2に設けられた無給電アンテナ素子9は、隣接するグランドパターン4の第2の辺部L2側の角部から第2の辺部L2に沿って第4の辺部L4側に向かって直線状に形成され、第4の辺部L4に沿って第1の辺部L1の近傍までミアンダ形状に形成されている。無給電アンテナ素子8,9は、スロット5の長手方向の中心位置からアンテナ共振周波数の波長λの略1/4の位置にそれぞれ形成されている。
【0024】
このようにスロットアンテナからなる給電アンテナ素子7及びモノポールアンテナからなる無給電アンテナ素子8,9が、方形状をなす誘電体基板2の外周縁部に沿って形成されており、それら3本のアンテナ素子で囲まれた基板中央部に電子回路を構成する電気部品が実装される。また、必要に応じて誘電体基板2の裏面側に電子回路を構成する電気部品が実装される。
【0025】
図3に示すように、反射板3は、平面視矩形状に形成され、銅やアルミニウム等の導電性材料で形成されている。この反射板3は、誘電体基板2(給電アンテナ素子7及び無給電アンテナ素子8,9)に対して平行に設けられ、当該給電アンテナ素子7の共振周波数の波長の1/4より短い距離(例えば、1/10)を設けて配設されている。なお、反射板3の全体形状は、図3に示す長方形状ではなく正方形状又は実機器に組み込むために周辺機器の形状に合わせたその他の形状でも良い。以下では、反射板3の下側の長辺を第1の辺部L11、第1の辺部L11に対向する上側の長辺を第2の辺部L12,第1の辺部L11に隣接する2つの短辺を第3,第4の辺部L13,L14として説明する。
【0026】
反射板3の第1の辺部L11の近傍には、電界方向(X方向)に直交する方向に延びる絶縁部10が形成されている。さらに、反射板3の第2の辺部L12の近傍には、絶縁部10に平行であって、電界方向に直交する方向に延びる絶縁部11が形成されている。図3に示す反射板3において、絶縁部10,11は、所定幅で帯状に延びる平面視長方形状のスロットで形成されており、反射板3の第1,第2の辺部L11,L12の中心から左右方向に同じ長さに形成されている。なお、絶縁部10,11の形状は、図3に示す長方形状に限定されるものではなく、電界方向に直交する方向に延在するものであれば、任意の形状で形成可能である。例えば、図4に示すように、絶縁部10,11を、平面視帯状(a)、両端部を外方に拡開させた形状(杵状)(b)、平面視H字状(c)、両端部を略円形状にした形状(d)又は平面視凹状(e)等に形成してもよい。
【0027】
反射板3の絶縁部10,11間には、反射板3の一部を切り起こした左右一対の切り起こし部12、13が、スロット10の長辺部に対して平行に形成され、この切り起こしによってスロット10に平行な左右一対の開口部12a,13aが形成されている(図1)。一対の切り起こし部12,13は、反射板3の中央側の一部が当該反射板3の平面部に対して垂直方向に切り起こされ、その自由端側が誘電体基板2の下面を支持するように構成されている。各切り起こし部12,13には、開口部12c,13cが形成されている。本実施の形態では、反射板3には、一対の切り起こし部が反射板3の短辺方向に所定の間隔で二列に形成され、これら4つの切り起こし部12,13,14,15の自由端側により誘電体基板2の角部近傍が均一に支持される。これにより、支持部材を追加することなく簡易な構成で、誘電体基板2の安定的に支持することができる。また、これら4つの切り起こし部12,13,14,15の切り起こしによって、一対の開口部12a,13a,14a,15aが、反射板3の短辺方向に二列に形成される。
【0028】
以上のように、給電アンテナ素子7を構成するスロット5と、無給電アンテナ素子8,9を構成する導体部とは直交している。給電アンテナ素子7は、給電によって生じる表面電流の向きがスロット5の長手方向(Y方向)となり、放射電界方向はスロット5の長手方向と直交する方向(X方向)となる。一方、無給電アンテナ素子8,9は、第3,第4の辺部L3,L4と平行なX方向に延びるモノポールアンテナを構成しており、励振時に生じる電流の向きがX方向となり、電界方向もX方向となる。このため、給電アンテナ素子7と、無給電アンテナ素子8,9とは、励振時の電界方向が略同一方向となるので、給電アンテナ素子7と無給電アンテナ素子8,9とが励振時の放射電界位相関係で互いの電界をZ方向では合成して放射され、Y方向では打ち消す関係で放射を抑えられ、直交配置された給電スロットアンテナと無給電モノポールアンテナ素子でアレイアンテナを構成することができる。
【0029】
一対の無給電アンテナ素子8,9は、スロット5の中心位置からそれぞれ略λ/8〜λ/4だけ離れている。無給電アンテナ素子8,9では、λ/4〜λ/2離れていて、アレイアンテナとして機能する。上記した通り、給電アンテナ素子7と無給電アンテナ素子8,9の電界方向は同一方向であるので、モノポールアンテナからなる一対の無給電アンテナ素子8,9と、スロットアンテナからなる給電アンテナ素子7とでアレイアンテナを構成することができる。なお、本実施の形態では、放射器を種類の異なるアンテナ素子の組み合わせた構成(無給電モノポールアンテナ及び給電スロットアンテナ)としたが、この構成に限定されるものではなく、例えば、給電スロットアンテナのみや、給電ダイポールアンテナ及び無給電スロットアンテナ、無給電ダイポールアンテナで構成してもよい。
【0030】
また、反射板3には、電界方向に直交する方向に延在する2つの平行なスロット(絶縁部)10,11が対向して形成され、2つのスロット(絶縁部)10,11間には、反射板3の切り起こしによってスロット10(11)に平行な4つの開口部12a,13a,14a,15aが形成されている。2つのスロット10,11及び4つの開口部12a,13a,14a,15aは、反射板3の電界方向と直交する方向に延在するため、反射板3で励振された表面電流を、これら絶縁部(2つのスロット10,11及び4つの開口部12a,13a,14a,15a)の形成領域を避けるように迂回させ、反射板3の電気長を当該反射板3の物理長よりも長くすることができる。そのため、放射器と反射板3との距離を1/4波長以下にした場合でも、当該距離に応じて反射板3の電気長を確保することができ、反射板3の面積を大きくすることなく、アンテナ装置1全体の薄型化・小型化を図ることができる。また各切り起こし部12〜15には、開口部12c〜15cが形成されているので、さらに反射板3の電気長を確保することもできる。なお、反射板3に形成されるスロット10(11)及び開口部12a,13a,14a,15aの長さ及び数は、誘電体基板2(放射器)と反射板3との距離(つまり放射器の電気長)に応じて、調整される。
【0031】
次に、以上のように構成されたアンテナ装置1の指向特性について説明する。
スロットアンテナで構成される給電アンテナ素子7は、スロット中心を挟んで左右の対称位置に架け渡された2本のライン給電部6a,6bによって給電される構成としている。これにより、相対的に電界の強いスロット中央部から外れた位置に給電ラインを配置するので、電界の強いスロット中央部に給電ラインを配置する構成に比べて、スロット長を確保して指向特性を強くすることができる。ただし、スロットアンテナとして機能させるのであれば、給電箇所は1か所でもよい。
【0032】
スロットアンテナは、原則としてスロット中心位置で電界が最大で磁界が最小となり、スロット端部位置で電界が最小で磁界が最大となる。スロットアンテナにおいてスロット中央部は電界が集中している。スロットアンテナを共振回路とみなせば、電界が集中している場所に給電ラインを配置することで共振周波数が低下することを意味する。共振回路(スロットアンテナ)の共振周波数を維持するのであれば、スロット長を短くしなければならない。ところが、スロットアンテナのスロット長を短縮すると、スロット両端での位相差が小さくなり指向特性が劣化する。そこで、図1及び図2に示すように、電界が集中しているスロット中央部を避けて、スロット中央部に比べて電界集中が少ないスロット中央部から離間した位置にライン給電部6a,6bを配置することとした。これにより、アンテナに要求される共振周波数を達成しつつ、充分なスロット長を維持することができ、指向特性の強いアンテナを実現できる。また、一対のライン給電部6a,6bは、スロット中央部から離間した対称位置に配置されているので、指向特性も対称にすることができる。
【0033】
一方、無給電アンテナ素子8,9は、電気長Mがλ/2を基準としたその近傍(±α)に設定されている。無給電アンテナ素子8,9は電気長Mが略λ/2の時に共振周波数f0に対して最も効率よく励振されるが、無給電アンテナ素子8,9が共振周波数f0に対してアンテナとして機能する程度に励振する範囲を、λ/2を基準としたその近傍(±α)としている。なお、無給電アンテナ素子8,9の電気長Mは、導体部の物理長だけでなく、周辺環境にも影響される。
【0034】
無給電アンテナ素子8,9の製造段階では、電気長Mがλ/2+αとなるように設定し、用途に応じて求められる指向特性に応じて、所望の指向特性を実現する電気長となるように調整してもよい。無給電アンテナ素子8,9の電気長は、無給電アンテナ素子8,9を構成する導体部の自由端部側をトリミングすることにより調整できる。
【0035】
無給電アンテナ素子8,9は、無給電アンテナ素子8,9の電気長Mがλ/2よりも長ければ(λ/2+α)、反射器として機能する。図2において、基板右端に位置する無給電アンテナ素子8が反射器として機能する場合、給電アンテナ素子7から放射され基板中央側から入射する電波を基板中央側へ反射させる。また、基板左端に位置する無給電アンテナ素子9が反射器として機能する場合、給電アンテナ素子7から放射される基板中央側から入射する電波を基板中央側へ反射させる。また、図1及び図3において、反射板3は、給電アンテナ素子7から放射された基板中央側から入射する電波を基板中央側へ反射させる。その結果、基板左右方向から基板中央方向に向けて反射された電波と、無給電アンテナ素子8,9から放射される電波と、給電スロットアンテナからの放射電波と、反射板3から放射される電波とが合成され、基板面に対して垂直となる前方方向(図1に示すZ方向)に合成された電波が放射される前方指向特性となる。
【0036】
図5は、本実施の形態に係るアンテナ装置1の指向特性を示している。図6は、比較例に係る反射板を有しないアンテナ装置の指向特性を示している。図5及び図6において、(a)はアンテナ指向特性の3次元空間における指向特性、(b)はY−Z平面における指向特性、(c)はX−Z平面における指向特性、(d)はX−Y平面における指向特性、(e)は共振特性を示している。図6(b)(c)に示すように、反射板を設けないアンテナ装置では、基板面に垂直なZ方向(フロントローブF及びバックローブB)の指向特性が強く出ており、全方向指向特性となっていることがわかる。
【0037】
一方、図5(b)(c)に示すように、反射板を設けたアンテナ装置では、基板面に垂直なZ方向のうちバックローブB側の指向特性が抑えられ、フロントローブF側にのみ指向特性が強く出ており、前方指向特性となっていることがわかる。また、サイドローブS側についても、比較例と比べると指向特性が抑えられていることがわかる。また、図5(e)に示すように、アンテナ装置1の共振周波数である共振ポイントP1は2.4GHzであるが、2.4GHzよりも低周波側及び高周波側に反射板3の共振ポイント及び無給電アンテナ素子の共振ポイントP2,P3が現れている。
【0038】
このように、本実施の形態によれば、反射板3には電界方向と直交する方向に絶縁部10(11)が形成されているので、反射板3で励振される表面電流が絶縁部10(11)の形成領域を避けるように迂回し、反射板3の電気長を当該反射板3の物理長よりも長くすることができる。従って、放射器と反射板3との距離を1/4波長以下にした場合でも、当該距離に応じて反射板3の電気長を確保することができるので、反射板3自体を大きくすることなく、アンテナ装置1全体の薄型化・小型化を図ることができる。
【0039】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、反射器を備えたアンテナ装置であり、センサ装置、通信モジュール等の電子機器に用いられる高指向性・高性能アンテナ装置として有用である。
【符号の説明】
【0041】
1 アンテナ装置
2 誘電体基板(回路基板)
3 反射板(反射器)
4 グランドパターン
5 スロット
6 給電ライン
6a,6b ライン給電部
7 給電アンテナ素子(放射器)
8,9 無給電アンテナ素子(放射器)
10,11 絶縁部(スロット)
12,13,14,15 切り起こし部
12a,13a,14a,15a 開口部
12c,13c,14c,15c 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射器と、前記放射器に対して平行に設けられると共に当該放射器の共振周波数の波長の1/4波長より短い距離を設けて配置された導電性材料からなる反射器とを備え、
前記反射器には、電界方向と直交する方向に延びる絶縁部が形成されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記絶縁部は、電界方向と直交する方向に延びる単一の第1のスロットからなることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記反射器には、前記第1のスロットに平行であって、前記電界方向に直交する方向に延びる第2のスロットが形成されていることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記反射器は板状に形成されており、
前記反射器には、当該反射器の一部を当該反射器の平面部に対して垂直に切り起こした切り起こし部が形成され、この切り起こしによって前記スロットに平行な開口部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記放射器は誘電体基板上に設けられ、
前記誘電体基板は、前記反射器に形成された複数の切り起こし部により支持されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記複数の切り起こし部には、開口部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−229072(P2011−229072A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98907(P2010−98907)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】