説明

アンドロゲンモジュレーター

本発明は、式Iの一クラスの4−シアノ−フェノキシ誘導体、およびそのアンドロゲン受容体モジュレーターとしての使用を対象とする。本発明の他の態様は、過剰な皮脂分泌を減少させ、毛髪の成長を刺激するためのこれら化合物の使用を対象とする。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のクラスの4−シアノ−フェノキシ誘導体、およびアンドロゲン受容体モジュレーターとしてのその使用を対象とする。本発明の他の態様は、皮脂の分泌を減少させ、毛髪の成長を刺激するためのこれら化合物の使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
脱毛症または薄毛は、医学がやがて解決しなければならない一般的な問題である。アンドロゲンが脱毛と関連付けられているが、この毛髪損失が起こる生理的機序は不明である。しかし、脱毛のある個体では毛髪の成長が変更されていることがわかっている。
【0003】
毛髪は、継続して成長するのでなく、成長、休止、および脱落の各期間を含む活動周期に従う。ヒトの頭皮は通常、10万〜35万本の毛髪線維または毛軸を含み、次の異なる3段階で変化を遂げる。
(a)成長期(アナゲン)の間、毛包(すなわち、毛根)は真皮に深く貫通し、毛包細胞は、毛髪の主たる構成成分であるケラチンの合成過程で急速に分裂し分化する。薄毛でないヒトでは、この成長期が1〜5年続く。
(b)退行期(カタゲン)は、有糸分裂の休止を特色とし、2〜3週間続く。
(c)休止期(テロゲン)では、毛髪が、頭皮下からの新しい毛包成長物に取って代わられるまで最高で12週間頭皮内に保持される。
【0004】
ヒトでは、この成長周期は同時に発生しない。個体は、これら3期のそれぞれの状態にある何千もの毛包を有することになる。しかし、毛包の大部分はアナゲン期の状態となる。健康な若い成人では、アナゲン対テロゲン比は、9対1まで高くなり得る。脱毛症の個体では、この比は、2:1まで低くなる。
【0005】
アンドロゲン性脱毛症は、循環するアンドロゲンホルモンに対する遺伝的感受性が活性化されるために起こる。これは、最も一般的なタイプの脱毛症である。この脱毛症は、主として白人系の男性(50%)および女性(30%)の両方が罹患する。時間の経過および加齢と共に、一部では時期尚早に、毛軸の幅および長さが徐々に変化する。毛髪の終端は、短く、細く、無色の産毛に徐々に変換される。その結果として、20代の男性および30代40代の女性は、自身の毛髪がより細く、より短くなってきていることに気付き始める。男性では、毛髪損失の大部分は頭頂部で起こる。女性は、頭皮全体にかけて薄くなる。上で論述したように、アナゲン対テロゲン比は有意に低下し、そのために毛髪の成長が乏しくなる。
【0006】
カリウムチャネル開口薬であるミノキシジルは、毛髪の成長を促進する。ミノキシジルは、米国でRogaine(登録商標)の商標で市販されている。ミノキシジルの正確な作用機序は不明であるが、毛髪の成長周期に対するその影響は十分に証明されている。ミノキシジルは、毛包の成長を促進し、毛包がアナゲン期にある期間を延長する(すなわち、アナゲン対テロゲン比を増大させる)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ミノキシジルは、毛髪の成長を促進するが、その成長の美容有効性は、広い範囲でまちまちになる場合がある。たとえば、Roenigkは、3%ミノキシジルの局所溶液を19ヶ月間使用した83人の男性を含む臨床試験の結果を報告している。対象の55%で毛髪の成長が起こった。しかし、その成長を美容的に意味があるとみなしたのは対象の20%にすぎなかった。(Clin.Res.、第33巻第4号、914Aページ、1985年)。Tostiは、その対象の18.1%で、美容的に許容できる再成長を報告している。(Dermatologica、第173巻第3号、136〜138ページ、1986年)。したがって、当業界では、脱毛症患者において美容的に許容できる毛髪の成長をより高い比率で引き起こすことのできる化合物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、新規のクラスの4−シアノ−フェノキシ誘導体が発見された。これらの化合物、その塩、溶媒和化合物、およびこれらのプロドラッグは、以下の式Iによって表すことができる。
【0009】
【化1】

[式中、
a)Xは、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルコキシ、ハロアルコキシ、またはハロアルキルであり、
b)Aは、2〜10個の炭素原子を含む直鎖アルキレン基であり、最高で6個の水素原子が、
i)ハロゲン、
ii)シアノ、
iii)ヒドロキシ、
iv)置換されていてもよい(C〜C12)アルキル、
v)置換されていてもよい(C〜C12)アルケニル、
vi)置換されていてもよい(C〜C12)アルキニル、
vii)置換されていてもよい(C〜C10)シクロアルキル、
viii)アルキルおよびシクロアルキル部分がそれぞれ置換されていてもよい(C〜C10)シクロアルキル(C〜C)アルキル、
ix)(CH−SR
x)(CH−O−R
xi)(CH−NR
xii)(CH−COOR、および
xiii)(CH−CONR
からなる群からそれぞれ独立に選択された置換基によって置換されていてもよく、
c)Xは、置換されていてもよい(C〜C10)アリールであり、
d)nは、出現するごとに、それぞれ独立に0〜6の整数であり、
e)RおよびRは、それぞれ独立に、水素および置換されていてもよい(C〜C)アルキルからなる群から選択される置換基であり、
f)Rは、水素および置換されていてもよい(C〜C)アルキルからなる群から選択される置換基であり、
g)Rは、水素および置換されていてもよい(C〜C)アルキルからなる群から選択される置換基である。]
【0010】
式Iの化合物は、アンドロゲン受容体のモジュレーターである。これらの化合物は、アンドロゲン受容体に対して親和性を有し、この受容体に結合して生物学的効果を生じる。通常、これらの化合物は拮抗薬として働く。選択された実施形態では、これらの化合物は、部分作動薬、完全作動薬、または組織選択的作動薬として働く。これらの化合物をアンドロゲン受容体モジュレーターとして使用すると、アンドロゲン受容体の不適切な活性化に関連する状態を治療または改善することができる。拮抗薬に関するそのような状態の例としては、その限りでないが、にきび、過剰な皮脂分泌、アンドロゲン性脱毛症、前立腺癌などのホルモン依存性癌、および男性型多毛症が挙げられる。部分作動薬または完全作動薬である化合物を使用すると、骨粗鬆症、性機能不全、貧血を治療し、または特に消耗性疾患で筋肉量の増加を刺激することができる。
【0011】
本発明はまた、本化合物の少なくとも1種をアンドロゲン受容体の活性化をモジュレートするのに十分な量で含有する医薬組成物を対象とする。別の実施形態では、本発明は、これら化合物の少なくとも1種を小売販売向けに包装したものと合わせて、アンドロゲン受容体の不適切な活性化に関連する状態を改善するための本化合物の使用法について消費者に助言する説明書を含む製造品を対象とする。追加の実施形態は、アンドロゲン受容体の不適切な活性化を検出するための、診断薬としての化合物の使用を対象とする。
【0012】
別の実施形態では、本化合物を局所的に使用して、毛髪の成長を誘発および/または刺激し、かつ/または毛髪損失を緩慢にする。過剰な皮脂および/またはにきびの治療において化合物を局所的に使用してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この文書内の各項は、読者による概観を円滑にするのに利用されるにすぎない。これらは、いかようにも本発明または特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0014】
定義および例示
特許請求の範囲を含む本明細書中では、以下の用語は、別段の特別な指摘がない限り、以下で規定する意味を有する。複数形および単数形は、数の指示以外に交換可能なものとして扱うべきである。
a.「ハロゲン」とは、塩素、フッ素、または臭素原子を指す。
b.「C〜Cアルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ペンチルなどの、1〜6個の炭素原子を含む分枝鎖状または直鎖状のアルキル基を指す。
c.「置換されていてもよいC〜Cアルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ペンチルなどの、1〜6個の炭素原子を含む分枝鎖状または直鎖状のアルキル基を指す。このようなアルキル基は、置換されていてもよく、その場合、最高で6個の水素原子が、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、チオール、シアノ、およびNR(ここで、RおよびRは先に規定したとおりである)からなる群から選択される置換基で置換される。
d.「置換されていてもよいC〜C12アルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、デシルなどの、1〜12個の炭素原子を含む分枝鎖状または直鎖状のアルキル基を指す。このようなアルキル基は、置換されていてもよく、その場合、最高で8個の水素原子が、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、チオール、シアノ、および−NR(ここで、RおよびRは先に規定したとおりである)からなる群から選択される置換基で置換される。
e.「置換されていてもよいC〜C12アルケニル」とは、2〜12個の炭素原子、および1個または複数の炭素−炭素二重結合を含む直鎖状または分枝鎖状の炭化水素基を指す。アルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、1,4−ブタジエニル、1−ヘキセニル、1,3−オクタジエニルなどが含まれる。このようなアルケニル基は、置換されていてもよく、その場合、最高で8個の水素原子が、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、チオール、シアノ、および−NR(ここで、RおよびRは先に規定したとおりである)からなる群から選択される置換基で置換される。
f.「置換されていてもよいC〜C12アルキニル」とは、2〜12個の炭素原子を含み、1個または複数の炭素−炭素三重結合を有する直鎖状または分枝鎖状の炭化水素基を指す。アルキニル基の例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、オクチニルなどが含まれる。このようなアルキニル基は、置換されていてもよく、その場合、最高で8個の水素原子が、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロアルキル、チオール、シアノ、および−NR(ここで、RおよびRは、先に規定したとおりである)からなる群から選択される置換基で置換される。
g.「ハロアルキル」とは、1〜6個の炭素原子を含み、少なくとも1個の水素原子がハロゲンで置換されている分枝鎖状または直鎖状のアルキル基(すなわち、C〜Cハロアルキル)を指す。適切なハロアルキルの例には、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1−フルオロ−2−クロロ−エチル、5−フルオロ−ヘキシル、3−ジフルオロ−イソプロピル、3−クロロ−イソブチルなどが含まれる。
h.「2〜10個の炭素原子を含む直鎖アルキレン基」とは、分子内で連結基として働く2〜10個の炭素原子を含む(すなわち、末端の−CH官能基がない)アルキル基を指す。このようなアルキル基の例には、−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−(CH−CH、−CH−(CH−CH、−CH−(CH−CH−などが含まれる。
i.「1個または複数のハロゲン原子で置換されている(C〜C)アルキル」とは、少なくとも1個の水素原子がハロゲンで置換されている、1または2個の炭素原子を含む直鎖状のアルキル基、すなわちメチルまたはエチル(すなわち、たとえばトリフルオロメチル、ジクロロメチルなど)を指す。
j.「1個または複数のハロゲン原子で置換されている(C〜C)アルコキシ」とは、少なくとも1個の水素原子がハロゲンで置換されている、1または2個の炭素原子を含む直鎖状のアルコキシ基、すなわちメトキシまたはエトキシ(すなわち、たとえばトリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシなど)を指す。
k.「C〜Cアルコキシ」とは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシなどの、1〜6個の炭素原子を含む直鎖状または分枝鎖状のアルコキシ基を指す。
l.「ハロアルコキシ」とは、少なくとも1個の水素原子がハロゲンで置換されている、1〜6個の炭素原子を含む分枝鎖状または直鎖状のアルコキシ基(すなわち、C〜Cハロアルコキシ)を指す。適切なハロアルコキシの例には、クロロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1−フルオロ−2−クロロ−エトキシ、5−フルオロ−ヘキソキシ、3−ジフルオロ−イソプロポキシ、3−クロロ−イソブトキシなどが含まれる。
m.置換されていてもよい「(C〜C10)アリール」とは、6〜10個の炭素原子を含む環状の芳香族炭化水素を意味する。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、およびビフェニルが含まれる。このようなアリール部分は、最高で4個の非水素置換基で置換されていてもよく、それぞれの置換基は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルキル、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルコキシ、SR、およびNRからなる群からそれぞれ独立に選択される。RおよびRは、それぞれ独立に、C〜Cアルキルまたは水素である。これらの置換基は、同じものでも異なるものでもよく、化学的に差し支えない環のどの位置にあってもよい。
n.置換されていてもよい「(C〜C10)シクロアルキル」とは、飽和または部分的に不飽和の単環式、二環式、または三環式アルキル基を指し、各環状部分は、3〜10個の炭素原子を有する。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどが含まれる。このようなシクロアルキル基は、置換されていてもよく、その場合、最高で4個の水素原子が、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルキル、1個または複数のハロゲンで置換されている(C〜C)アルコキシ、SR、およびNR(ここで、RおよびRは、先に規定したとおりである)からなる群から選択される置換基で置換される。
o.「アンドロゲン」とは、テストステロン、その前駆体および代謝産物、ならびにジヒドロテストステロンを含むがこの限りでない、5−α還元されたアンドロゲンを指す。アンドロゲンとは、精巣、副腎、および卵巣由来のアンドロゲンのみならず、天然、合成、ならびに置換型もしくは変更型のアンドロゲンの全形態を指す。
p.「薬学的に許容できる」とは、哺乳動物で使用するのに適するという意味である。
q.「塩」とは、薬学的に許容できる塩、および化合物の調製などの工業的方法で使用するのに適する塩を指すものである。
r.「薬学的に許容できる塩」とは、化合物の実際の構造に応じて、「薬学的に許容できる酸付加塩」または「薬学的に許容できる塩基付加塩」を指すものである。
s.「薬学的に許容できる酸付加塩」は、式Iによって表される塩基化合物の非毒性の任意の有機酸もしくは無機酸付加塩、またはそのいずれかの中間体に当てはまるものである。適切な塩を形成する具体例となる有機酸には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸、ならびにオルトリン酸一水素ナトリウムや硫酸水素カリウムなどの酸の金属塩が含まれる。適切な塩を形成する具体例となる有機酸には、モノ、ジ、およびトリカルボン酸が含まれる。そのような酸の具体例は、たとえば、酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、サリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、およびメタンスルホン酸や2−ヒドロキシエタンスルホン酸などのスルホン酸である。このような塩は、水和した形で、または実質的に無水の形で存在する。一般に、これらの化合物の酸付加塩は、水および様々な親水性有機溶媒に溶解性であり、その遊離塩基形態と比べて、一般により高い融点を示す。
t.「薬学的に許容できる塩基付加塩」とは、式Iによって表される化合物の非毒性の任意の有機塩基もしくは無機塩基付加塩、またはそのいずれかの中間体に当てはまるものである。適切な塩を形成する具体例となる塩基には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、またはバリウムの水酸化物などの、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物;アンモニア;ならびにメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、およびピコリンなどの脂肪族、脂環式、または芳香族のアミンが含まれる。
u.「プロドラッグ」とは、たとえば血中での加水分解によって、in vivoで速やかに上記式の親化合物を生じる化合物を指す。詳細な論述は、T.HiguchiおよびV.Stella、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、A.C.S.Symposium Series第14巻;ならびに「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Edward B.Roche編、American Pharmaceutical AssociationおよびPergamon Press、1987年でなされており、この両方の文献を参照により本明細書に援用する。
v.「式1の化合物」、「本発明の化合物」、および「化合物」は、本明細書中で区別なく使用し、同義語として扱うべきである。
w.「患者」とは、たとえば、モルモット、マウス、ラット、アレチネズミ、ネコ、ウサギ、イヌ、サル、チンパンジー、ベニガオザル、およびヒトなどの温血動物を指す。
x.「治療する」とは、患者の疾患(もしくは状態)または疾患に随伴する任意の組織損傷を緩和し、改善し、またはその進行を緩慢にすることのできる化合物の能力を指す。
【0015】
式Iの化合物の一部は、光学異性体として存在する。本出願では、式Iによって表される化合物の1つに対する言及はどれも、(それが特に除外されていない限り)特定の光学異性体または光学異性体の混合物を含む意味である。特定の光学異性体は、キラル固定相でのクロマトグラフィーや、キラル塩生成による分割とその後の選択的結晶化による分離などの、当業者に知られている技術によって分離し、回収することができる。あるいは、特定の光学異性体を出発材料として利用すると、対応する異性体が最終生成物として得られる。
【0016】
また、本発明の化合物は、溶媒和していない形態のみならず、水やエタノールなどの薬学的に許容できる溶媒と溶媒和した形態で存在し得る。一般に、溶媒和した形態は、本発明の目的では、溶媒和していない形態と同等であるとみなす。化合物は、1種または複数の結晶状態で、すなわち多形として存在することもあり、または非晶質固体として存在することもある。すべてのこのような形態が特許請求の範囲に含まれる。
【0017】
式1の化合物はすべて、フェニル環を含んでいる。本発明をより具体的に示すために、フェニル環の番号系およびその置換パターンを以下に示す。
【0018】
【化2】

【0019】
このフェニル環の4位は、上に示すようにシアノ部分で置換されている。1位は、酸素原子で置換されて、エーテル部分を形成している。フェニル環はさらに、Xによって示されるように、2位または3位が、ハロゲン原子、シアノ基、(C〜C)アルコキシ基、ハロアルコキシ部分、またはハロアルキル部分で置換される。これは通常、3位に配置されるハロゲンまたはハロアルキル部分となる。より一般的には、フェニル環の3位に配置されるトリフルオロメチルとなる。
【0020】
化合物はすべて、Aによって描かれる直鎖アルキレン連結基を含んでいる。この連結基は、2〜10個の炭素原子を含む。通常、この連結基は2〜5個の炭素原子を含み、すなわちエチレン、プロピレン、ブチレン、またはペンチレンである。より一般的には、Aはエチレンまたはプロピレンである。このアルキレン基の最高で6個までの水素原子は、(化学的に差し支えなければ)上で指定した置換基のうちの1つによって置換されていてもよい。それらの置換基は同じものでもよいし、または異なっていてもよい。この直鎖アルキレン基の任意の単一の炭素原子は、二置換されていても、一置換されていても、または無置換でもよい。
【0021】
は、上述のように置換されていてもよいC〜C10アリール部分である。通常、このアリール部分は、(置換されていてもよい)フェニル環となる。本発明の別の実施形態では、Xは、4位がシアノ部分で置換され、3位がハロゲンまたはハロアルキル部分、通常はトリフルオロメチルで置換されているフェニル環である。
【0022】
本発明のより詳細な実施形態には、次のような式Iの化合物が含まれる。すなわち、
がCFであり、Aが、エチレン、プロピレン、ブチレン、またはペンチレンであり、Xが、置換されていてもよいフェニルであるもの、
がクロロであり、Aが、エチレン、プロピレン、ブチレン、またはペンチレンであり、Xが、置換されていてもよいフェニルであるもの、
がCFであり、Aが、(−CHまたは(CH−O−Rで一置換または二置換されている)エチレンまたはプロピレンであり、Xが4−シアノ−3−ハロ−フェニルであるもの、
がクロロであり、Aが、(−CHまたは(CH−O−Rで一置換または二置換されている)エチレンまたはプロピレンであり、Xが4−シアノ−3−ハロ−フェニルであるもの、
がCFであり、Aが、(−CHまたは(CH−O−Rで一置換または二置換されている)エチレンまたはプロピレンであり、Xが4−シアノ−3−ハロアルキル−フェニルであるもの、および
がクロロであり、Aが、(−CHまたは(CH−O−Rで一置換または二置換されている)エチレンまたはプロピレンであり、Xが4−シアノ−3−ハロアルキル−フェニルであるもの。
【0023】
本発明の別の実施形態は、以下の式Iによって表される化合物、詳細には、Aが、置換されていてもよいC〜Cアルキルまたは−(CH)n−O−Rである1個または2個の置換基で置換されているエチレンまたはプロピレンであり、Xが、示されるとおりである化合物である。
【0024】
【化3】

【0025】
式Iによって表される化合物のより詳細な例としては、
a)(4,4’−[(2S,3S)−ブタン−2,3−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]と呼ぶこともできる)(1R,2R)−4−[2−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−1−メチル−プロポキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル、
b)4,4’−[(2R,3R)−ブタン−2,3−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]と呼ぶこともできる、(1S,2S)−4−[2−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−1−メチル−プロポキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル、
c)4,4’−[ブタ−1−エン−3,4−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]と呼ぶこともできる、4−[2−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−ブタ−3−エニルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル、
d)4,4’−[ペンタン−1,2−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
e)4,4’−[(3−メトキシプロパン−1,2−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
f)4,4’−[(3−エトキシプロパン−1,2−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
g)4,4’−[[3−(イソプロピルアミノ)プロパン−1,2−ジイル]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
h)4,4’−[(6−メチルヘキサン−1,2−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
i)4,4’−[オクタン−1,2−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
j)4−[1−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−2,2−ジメチル−シクロプロポキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
k)4,4’−[プロパン−1,3−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
l)4,4’−[(2−メチルプロパン−1,3−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
m)4,4’−[ブタン−1,3−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
n)4−({(3R)−3−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ブチル}オキシ)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
o)4−({(3S)−3−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ブチル}オキシ)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
p)4−{3−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−1,2−ジメチルプロポキシ}−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
q)4,4’−[ヘキス−1−エン−4,6−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
r)4,4’−[(3−メチルブタン−1,3−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
s)4−{[3−(4−シアノフェノキシ)−2−エチルヘキシル]オキシ}ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
t)4,4’−[(2S,4S)−ペンタン−2,4−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
u)4,4’−[ヘプタン−1,4−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
v)4,4’−[ヘキサン−2,5−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
w)4,4’−[(2S,5S)−ヘキサン−2,5−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
x)4−({5−[4−シアノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ペンチル}オキシ)−2(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
y)4,4’−[ヘキサン−1,5−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
z)4,4’−[(3−メチルペンタン−1,5−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
aa)4−(1−メトキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
bb)4−(1−ヒドロキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
cc)(1R)−4−(1−ヒドロキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
dd)(1R)−4−(1−メトキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
ee)(1S)−4−(1−メトキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
ff)2−クロロ−4−(2−メトキシ−1−フェノキシメチル−エトキシ)−ベンゾニトリル;
gg)2−クロロ−4−(1−フェノキシメチル−ブトキシ)−ベンゾニトリル;
hh)2−クロロ−4−(1−フェノキシメチル−プロポキシ)−ベンゾニトリル;
ii)2−クロロ−4−(1−フェノキシメチル−ブトキシ)−ベンゾニトリル;
jj)2−クロロ−4−[1−(4−メトキシ−フェノキシメチル−プロポキシ)−ベンゾニトリル;
kk)2−クロロ−4−[1−(2−メトキシ−フェノキシメチル−プロポキシ)−ベンゾニトリル;
ll)2−クロロ−4−[1−メチル−フェノキシ−エトキシ)−ベンゾニトリル;
mm)4−[4−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−ブチルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
nn)4−[3−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−シクロヘキシル−プロピルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
oo)4−[3−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−シクロヘキシル−プロピルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
pp)4−[3−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−クロロ−プロピルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
qq)4−[8−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−クロロ−4−ヒドロキシ−オクチルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
rr)4−[10−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−メチルシクロペンチル−オクチルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
ss)4−[10−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−デシルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
tt)4−[7−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−ヘプチルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
uu)4−(3−(3−ヒドロキシ−4−フルオロ−フェノキシ)−プロポキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
vv)4−(2−シアノ−4−ジメチルアミノ−8−フェノキシ−オクチルオキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
ww)4−(2−ジメチルアミノ−2−(4−シアノ−フェノキシ)−エチルオキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
xx)4−(1−シクロペンチルオキシメチル−3−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−プロポキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;および
yy)4−(2−メチル−4−ジメチルアミノ−8−フェノキシ−オクチルオキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
が挙げられる。
【0026】
合成
式Iの化合物は、当業界で知られている方法によって調製することができる。それらの化合物の一調製法について以下の反応スキームIで述べる。
【0027】
【化4】

【0028】
上で示すように、出発材料の一方は、構造1によって示される保護されたジオールであり、Aは、最終生成物で必要となるものと同じ置換基であるべきであり、Prは、適切な保護基である。適切な保護基の例としては、メトキシメチルエーテル(MOM)、メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、エトキシエチルエーテル、トリエチルエーテル、シリルエーテル、メチルチオメチルエーテル、ベンジル、t−ブトキシカルボニルなどが挙げられる。これらのジオールは、当業界で知られており、既知の市販品供給元から購入することができる。あるいは、J.Am.Chem.Soc.1993年、第115巻、4602ページに記載のとおりに調製してもよい。
【0029】
他方の出発材料は、構造2によって示される4−フルオロ−ベンゾニトリルである。Xは、最終生成物で必要となるものと同じ部分であるべきである。これらのベンゾニトリルは、当業界で知られており、特開2001−097937に記載されているとおりに合成することができる。
【0030】
上で示した求核置換は、当業界で知られているとおりに実施することができる。構造1のジオールを、水素化ナトリウムなどのわずかに過剰の塩基と接触させて、アルコキシドイオンを生成する。この反応は、温度約0℃の不活性雰囲気(通常は窒素)の中、テトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒中で実施する。アルコールを、塩基と共に5〜60分の範囲の時間をかけて攪拌する。
【0031】
次いで、反応媒質に構造2の4−フルオロ−ベンゾニトリル1当量を加え、反応物を十分な時間をかけて攪拌して、アルコキシドイオンがベンゾニトリルのフッ素に取って代わるようにする。これには通常、30分〜24時間かかる。反応液は通常、室温に温まるようにする。
【0032】
構造3によって示される、得られるベンゾニトリルは、抽出、蒸発、または当業界で知られている他の技術によって回収することができる。次いでそれを精製し、またはステップBで示す脱保護反応でそのまま使用する。
【0033】
脱保護反応は、使用する特定の保護基に応じて、当業界で知られているとおりに実施することができる。通常、保護基は、選択した特定の保護基に応じて、弱酸、弱塩基、またはルイス酸を用いて除去する。よく使用される保護基の除去方法を記載している、T.W.Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley&Sons、米ニューヨーク、1991年に注目されたい。Prによって表される保護基が除去されたなら、抽出、蒸発、または当業界で知られている他の技術によって、反応物から構造4のアルコールを回収することができる。次いで、それを精製し、またはステップCでそのまま使用して、式Iの所望の生成物を生成する。
【0034】
ステップCで示すエーテル生成も、求核置換反応である。これは、上記ステップAで述べたのと同じようにして実施することができる。反応物の一方は、ステップBの脱保護反応によって生成された構造4のアルコールである。他方の反応物は、構造5によって記述されるフッ素付加されたアリール部分である。Xは、式Iの最終生成物で必要となるものと同じ芳香族部分であるべきである。
【0035】
構造4のアルコールを、水素化ナトリウムなどのわずかに過剰の塩基と接触させて、アルコキシドイオンを生成する。この反応は、温度約0℃の不活性雰囲気(通常は窒素)の中、テトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒中で実施する。アルコールを、塩基と共に5〜60分の範囲の時間をかけて攪拌する。
【0036】
次いで、反応媒質に構造5のフッ素付加されたアリール1当量を加え、反応物を十分な時間をかけて攪拌して、アルコキシドイオンが芳香環のフッ素原子に取って代わるようにする。これには通常、30分〜24時間かかる。反応液は通常、室温に温まるようにする。
【0037】
式Iの所望の生成物は、抽出、蒸発、または当業界で知られている他の方法によって回収することができる。次いで、クロマトグラフィー、再結晶、蒸留、または当業界で知られている他の技術によってこれを精製してもよい。
【0038】
当業者には言うまでもないことであるが、式Iの化合物の調製には、2個のエーテル結合の生成が必要となる。これらのエーテル結合が形成される特定の順序は重大でない。該当するヒドロキシル官能基を保護し、上述の求核置換反応によって、ジオールにX(構造5)またはベンゾニトリル(構造2)を結合させて、所望の生成物を得る。すなわち、ステップAおよびステップCを実施する順序は変わり得る。
【0039】
これも当業者には言うまでもないことであるが、式Iの化合物の一部は、1ステップ合成で調製することができる。詳細には、Xがベンゾニトリル(構造5)であり、置換パターンが、その分子の反対側に結合しているベンゾニトリル(構造2)と同一である式Iの化合物。これらの化合物は、以下に示すように単一ステップで調製することができる。
【0040】
【化5】

【0041】
この求核置換反応は、構造2のベンゾニトリルを通常は2当量使用することを除き、上述のものと全く同じようにして実施する。次いで、所望の生成物を回収し、上述のように精製する。
【0042】
当業者には理解されるはずであるが、上で論じた、こうした化合物の調製に有用な方法の一部には、特定の官能基を保護して、分子内の他の部位での反応の際にその官能基による妨害を防ぎ、またはその官能基の完全性を保つことが必要な場合もある。このような保護の必要、またはその種類は、当業者によって容易に決定され、たとえば、官能基の性質および選択した調製方法の条件に応じて様々となる。たとえば、T.W.Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley&Sons、米ニューヨーク、1991年を参照されたい。
【0043】
本発明の化合物の一部は酸性であり、薬学的に許容できるカチオンを相手に塩を形成する。本発明の化合物の一部は塩基性であり、薬学的に許容できるアニオンを相手に塩を形成する。このようなすべての塩は、本発明の範囲内であり、水性、非水性、または部分的に水性の媒質中で酸性存在物と塩基性存在物とを通常は化学量論比で合体させるなどの従来の方法によって、適宜調製することができる。塩は、濾過、非溶媒で沈殿させた後の濾過、溶媒の除去、または水溶液の場合では凍結乾燥によって、適宜回収する。化合物は、エタノール、ヘキサン、水/エタノール混合物などの適切な溶媒に溶解させるなどの当業界で知られている手順に従って結晶の形で得る。
【0044】
医学および美容での用途
式Iの化合物は、アンドロゲン受容体モジュレーターである。これらの化合物を使用して、アンドロゲン受容体の不適切な活性化に関連する状態を改善することができる。アンドロゲン拮抗薬として働く化合物を使用すると、前立腺癌などのホルモン依存性癌、良性前立腺肥大症、にきび、男性型多毛症、過剰な皮脂、脱毛症、多毛症、思春期早発症、前立腺肥大(prostamegaly)、男性化、および多嚢胞卵巣症候群を治療し、または改善することができる。部分作動薬または完全作動薬として働く化合物を使用すると、男性の性腺機能低下症、男性の性機能不全(インポテンス、男性の精液形成欠如性不妊)、異常な性分化(男性の半陰陽)、男性の思春期の遅れ、男性の不妊、再生不良性貧血、溶血性貧血、鎌状細胞貧血、特発性血小板減少性紫斑病、骨髄線維症、腎性貧血、消耗性疾患(術後のもの、悪性腫瘍、外傷、慢性腎疾患、熱傷、またはAIDSによって引き起こされるもの)、女性器末期癌の痛みの寛解、手術不能の乳癌、乳腺症、子宮内膜症、女性の性機能障害、骨粗鬆症、創傷治癒、および筋組織の修復を治療し、または改善することができる。
【0045】
上述の治療特性を示すために、化合物は、アンドロゲン受容体の活性化をモジュレートするのに十分な量で投与する必要がある。その量は、治療する特定の疾患/状態、患者の疾患/状態の重傷度、患者、投与する特定の化合物、投与経路、および患者の根底にある他の疾患状態の存在などに応じて様々となり得る。全身に投与するとき、化合物は通常、先に挙げた疾患または状態のいずれかについて約0.1mg/kg/日〜約100mg/kg/日の投与量範囲で効果を示す。毎日の投与を繰り返すことが望ましい場合もあり、上で概略を述べた状態に応じて様々となる。
【0046】
本発明の化合物は、様々な経路によって投与することができる。これらの化合物は、経口投与することができる。非経口投与(すなわち、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、またはくも膜下投与)、直腸投与、または局所投与を行ってもよい。
【0047】
典型的な実施形態では、化合物は局所的に投与する。局所投与は、男性型多毛症、脱毛症、にきび、および過剰な皮脂に特に適切である。用量は様々となるが、大まかな指針として、化合物は、皮膚科学的に許容できる担体中に約0.01〜50w/w%、より一般的には約0.1〜10w/w%の量で存在することになる。皮膚科用製剤は、1日1〜4回患部に塗布される。「皮膚科学的に許容できる」とは、皮膚または毛髪に適用することができ、薬物を作用部位に放散させる担体を指す。より詳細には、その部位とは、アンドロゲン受容体の活性化の阻害が望まれる部位を指す。
【0048】
別の実施形態では、化合物を局所的に使用して、脱毛症、特にアンドロゲン性脱毛症を緩和する。アンドロゲンは、毛髪の成長および損失の両方に甚大な影響を及ぼす。有毛皮膚や陰部皮膚などの大抵の身体部位では、アンドロゲンが、毛周期の成長期(アナゲン期)を延長し、毛包サイズを増大させることによって毛髪の成長を刺激する。頭皮での毛髪の成長にはアンドロゲンが必要とならないが、逆説的なことに、遺伝的素因のある個体での頭皮の脱毛(アンドロゲン性脱毛症)にとってはアンドロゲンが必要であり、この脱毛では、アナゲン期の持続期間および毛包サイズが前進的に縮小する。アンドロゲン性脱毛症は、女性でもよくあり、その場合、男性で見られるパターン形成を示すというよりも、通常は散在性の毛髪損失として現れる。
【0049】
本化合物は、アンドロゲン性脱毛症の改善に最も一般的に使用されることになるが、本発明は、この特定の状態に限定されるものではない。本化合物を使用して、どんな種類の脱毛症をも改善することができる。アンドロゲン性でない脱毛症の例としては、円形脱毛症、放射線療法または化学療法を原因とする脱毛症、瘢痕性脱毛症、ストレス性脱毛症などが挙げられる。本明細書では、「脱毛症」とは、頭皮の部分的または完全な毛髪損失を指す。
【0050】
すなわち、本化合物を頭皮および毛髪に局所的に適用して、脱毛を予防または改善することができる。また、頭皮の毛髪の成長を誘発または促進するためにも、本化合物を局所的に適用することができる。
【0051】
本発明の別の実施形態では、毛髪の成長が望ましくない領域でそのような毛髪の成長を妨げるために、式Iの化合物を局所的に適用する。そのような1つの使用例は、男性型多毛症を改善する。男性型多毛症とは、通常は毛髪をもたない領域(すなわち、女性の顔面)での過剰な毛髪成長である。このような不適切な毛髪の成長は、女性で最もよく起こり、閉経期に頻繁に見られる。本化合物の局所投与はこの状態を改善し、この不適切または望ましくない毛髪成長を衰退させ、または停止させる。
【0052】
本化合物を局所的に使用して、皮脂の産生を減少させ、より具体的には脂性肌を改善することもできる。同様に、本化合物を局所的に使用して、ニキビを改善することもできる。
【0053】
別の実施形態では、部分作動薬または完全作動薬として働く化合物を使用して、骨粗鬆症を治療または改善することができる。骨粗鬆症は、骨の損失を特徴とし、40代から始まり、毎年約1〜4%の速度で生涯にわたって続く、骨吸収(破壊)と骨形成の不均衡の結果として生じる(Eastell、「Treatment of postmenopausal osteoporosis」、New Eng.J.Med.第338巻:736ページ、1998年)。米国では現在、約2億人が骨粗鬆症を原因とする検出可能な椎骨骨折を抱えている。さらに、骨粗鬆症を原因とする股関節部骨折は、毎年約250000件にのぼり、これに伴う最初の2年間の死亡率は12%〜20%である一方、患者の30%は、骨折後に介護施設での看護を必要とし、多くが二度と歩行可能にならない。閉経後の女性では、エストロゲンの不足が骨吸収を増大させ、その結果、閉経後直ちに椎骨で毎年5%内外の骨が損失する。したがって、この状態の最も重要な治療/予防は、ビスホスホナート、エストロゲン、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、およびカルシトニンによる骨吸収の抑制である。しかし、骨吸収の抑制は、すでにかなりの量の骨を失ってしまった患者では骨量を戻すのに不十分である。ビスホスホナート治療によって獲得される脊髄BMDの増加は、アレンドロネートによる7年間の治療の後11%に到達し得る。さらに、骨の代謝回転速度は部位によって異なり、椎骨の骨梁骨では長骨の皮質よりも速いので、骨吸収抑制剤は、股関節部BMDを増加させ、股関節部骨折を予防する際にはそれほど有効でない。したがって、皮質/骨膜骨の形成を増進し、長骨の骨量を増加させる、骨同化作用のある薬剤は、特に股関節部骨折の危険の高い患者のための骨粗鬆症治療において、満たされていないニーズに対処するはずである。
【0054】
いくつかの研究は、アンドロゲンが女性および男性において骨同化作用を有することを示している。デカン酸ナンドロロンやスタノゾロールなどのタンパク同化ステロイドは、閉経後の女性の骨量を増加させることが示されている。閉経後骨粗鬆症におけるアンドロゲンの骨に対する有益な効果は、テストステロンとエストロゲンの混合投与を使用している最近の研究で十分に記録が残されている(Hofbauerら、「Androgen effects on bone metabolism:recent progress and controversies」、Eur.J.Endocrinol.第140巻、271〜286ページ、1999年)。したがって、作動薬活性または部分作動薬活性を示す式Iの化合物を使用して、老人性、閉経後、および若年性の骨粗鬆症などの原発性骨粗鬆症、ならびに甲状腺機能亢進症もしくは(副腎皮質ホルモン治療による)クッシング症候群、先端巨大症、性腺機能低下症、骨形成不全症、低ホスファターゼ血症を原因とする骨粗鬆症などの続発性骨粗鬆症を含む骨粗鬆症を治療または改善することができる。取扱いを追加修正できる、骨に関連したアンドロゲン作動薬の他の適応症には、骨粗鬆症による骨折、幼児期の特発性骨損失、歯槽骨損失、下顎骨損失、骨破損、骨切断術、歯周炎、または補綴内殖術が含まれる。
【0055】
作動薬または部分作動約として働く化合物を使用して、AIDS、癌悪液質、熱傷、腎疾患などの消耗性疾患に罹患している患者において筋肉量を刺激することもできる。外傷、褥瘡、老化などに見舞われている患者も、アンドロゲンの同化作用の恩恵を受けることができる。
【0056】
共投与
本発明の別の実施形態では、式Iの化合物を他の化合物と共投与して、その活性をそれ以上に高め、または起こり得る副作用を最小限に抑えることができる。たとえば、ミノキシジルなどのカリウムチャネル開口剤は、毛髪の成長を刺激し、アナゲンを誘発することが知られている。他のカリウムチャネル開口剤の例には、(3S,4R)−3,4−ジヒドロ−4−(2,3−ジヒドロ−2−メチル−3−オキソピリダジン−6−イル)オキシ−3−ヒドロキシ−6−(3−ヒドロキシフェニル)スルホニル−2,2,3−トリメチル−2H−ベンゾ[b]ピラン、ジアキソジド(diaxozide)、およびLeo Pharmaceuticalsが開発中のPO1075が含まれる。このような化合物は、脱毛症の改善のために式Iの化合物と共投与することができる。
【0057】
甲状腺ホルモンも、毛髪の成長を刺激することが知られている。合成の甲状腺ホルモン代用物(すなわち甲状腺模倣物)も、毛髪成長を刺激することがわかっている。このような甲状腺模倣物は、これまでに文献に記載されている。そのような化合物および脱毛症改善のためのその使用についての論述に関しては、その内容が参照により本明細書に援用される欧州特許出願第1262177号に注目されたい。問題となる特定の一化合物は、2−{4−[3−(4−フルオロ−ベンジル)−4−ヒドロキシ−フェノキシ]−3,5−ジメチル−フェニル}−2H−[1,2,4]トリアジン−3,5−ジオンである。このような化合物は、脱毛症の改善のために式Iの化合物と共投与することができる。
【0058】
抗アンドロゲン薬は、幾通りかの異なる機序によって作用し得る。たとえば、ある種の化合物は、テストステロンが、多くの組織で生物学的作用を預かる5−α−ジヒドロテストステロンに変換されるのをブロックする。フィナステリドなどの5−α−レダクターゼ阻害剤は、毛髪成長を刺激することがわかっている。フィナステリドは、MerckからPropecia(登録商標)の商品名で市販されている。他の5−α−レダクターゼ阻害剤の例としては、デュタステライド(Glaxo Smithkline)が挙げられる。このような化合物は、脱毛症の改善のために式Iの化合物と共投与することができる。
【0059】
プロテインキナーゼC阻害剤も、毛髪成長を刺激し、アナゲンを誘発することがわかっている。プロテインキナーゼCの選択的阻害剤であるカルホスチンCは、アナゲンを誘発することがわかっている。ヘキサデシルホスホコリン、パルミトイル−DL−カルニチン塩化物、硫酸ポリミキシンBなどの他の選択的プロテインキナーゼC阻害剤も、アナゲンを誘発することがわかっている。Skin Pharmacol Appl Skin Physiol、2000年5〜8月、第13巻(3〜4):133〜42ページ。このようなどのプロテインキナーゼC阻害剤も、脱毛症の改善のために式Iの化合物と共投与することができる。
【0060】
イムノフィリンは、細胞質タンパク質の一ファミリーである。イムノフィリンのリガンドには、シクロスポリン、FK506、およびラパマイシンが含まれる。これらは真菌由来であり、本来はその強力な免疫抑制特性を求めて開発された。シクロスポリンは、タンパク質のシクロフィリンに結合し、FK506およびラパマイシンは、FK結合タンパク質(FKBP)に結合する。これらの化合物はすべて、毛髪成長を刺激し、アナゲンを誘発することがわかっている。このようなどのイムノフィリンリガンドも、脱毛症の改善のために式Iの化合物と共投与することができる。
【0061】
本明細書では、共投与とは、その患者において毛髪成長を促進する投薬計画を使用して、式Iの化合物を、通常は作用機序の異なる第二の脱毛抑制薬と一緒に投与することを指す。これは、同時に投薬する、1日の間の異なる時点で投薬する、または異なる日に規則的に投薬することを指し得る。本化合物は、別々に投与してもよいし、または組み合わせて単一の製剤にしてもよい。以下ではこのような製剤を調製するための技術を述べる。
【0062】
製剤
所望であれば、本化合物は、担体なしでそのまま投与することができる。しかし、投与を容易にするために、化合物は通常、医薬担体中に製剤される。同様に、化合物を皮膚科用または化粧用の担体中に製剤することが最も一般的である。本明細書では、用語「皮膚科用担体」および「化粧用」担体は、区別なく使用されるものである。これらの用語は、皮膚または毛髪に直接投与すべく設計された製剤を指す。
【0063】
医薬組成物および化粧用組成物は、当業界で知られている技術を利用して製造することができる。通常、有効量の化合物が、薬学的に/化粧品として許容できる担体と混和される。
【0064】
経口投与については、本化合物は、カプセル剤、丸剤、錠剤、トローチ剤、融解物(melt)、粉末、懸濁液、乳濁液などの固体製剤または液体製剤に製剤することができる。固体の単位剤形は、たとえば、界面活性剤、滑沢剤、およびラクトース、スクロース、コーンスターチなどの不活性充填剤を含む普通のゼラチン型のカプセル剤でよく、持続放出製剤にしてもよい。
【0065】
別の実施形態では、式Iの化合物は、ラクトース、スクロース、およびコーンスターチなどの従来の錠剤基剤を、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤、ジャガイモデンプンやアルギン酸などの崩壊剤、およびステアリン酸やステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤と組み合わせたものと共に打錠することができる。液体製剤は、活性成分を薬学的に許容できる水性または非水性の溶媒に溶解させて調製し、当業界で知られているように、懸濁化剤、甘味剤、着香剤、および保存剤を含有していてもよい。
【0066】
非経口投与については、本化合物は、生理的に許容できる医薬担体に溶解させ、溶液または懸濁液として投与することができる。適切な医薬担体の具体例は、水、生理食塩水、デキストロース溶液、フルクトース溶液、エタノール、または動物性、植物性、もしくは合成の油である。医薬担体は、当業界で知られているように、保存剤、緩衝剤などを含有していてもよい。本化合物をくも膜下に投与するとき、当業界で知られているように脳脊髄液に溶解させることもできる。
【0067】
本発明の化合物は、通常は局所的に投与される。本明細書では、局所的とは、化合物(および任意選択の担体)の皮膚および/または毛髪への直接の適用を指す。本発明による局所用組成物は、溶液、ローション、膏薬、クリーム、軟膏、リポソーム、スプレー、ゲル、フォーム、ローラースティック、または皮膚科学でごく普通に使用される他の任意の製剤の形にすることができる。
【0068】
したがって、別の実施形態は、上記式Iに対応する化合物のうちの少なくとも1種を含む化粧用組成物または医薬組成物、特に皮膚科用組成物に関する。このような皮膚科用組成物は、0.001%〜10%w/wの化合物、より一般的には0.1〜5w/w%の化合物を皮膚科学的に許容できる担体と混和された形で含有する。このような組成物は通常、毎日1〜4回適用される。このような製剤の調製方法についての論述に関しては、「Remington’s Pharmaceutical Science」、第17版、Mack Publishing Co.、米ペンシルヴェニア州イーストンに注目されたい。
【0069】
本発明による組成物は、化粧石鹸になっている固体製剤からなるものでもよい。本組成物は、通常の方法に従って調製する。
【0070】
本化合物は、水溶液、アルコール溶液、または水−アルコール溶液の形で、クリーム、ゲル、乳濁液、またはムースの形で、あるいは加圧された噴射剤も含むエアロゾル組成物の形で毛髪に使用することもできる。本発明による組成物は、ヘアケア組成物、詳細にはシャンプー、整髪ローション、トリートメントローション、スタイリング用のクリームまたはゲル、染料組成物、毛髪損失を予防するローションまたはゲルなどでもよい。本発明による皮膚科用組成物の様々な構成成分の量は、対象となる分野で以前から使用されている量である。
【0071】
本発明の化合物を含有する医薬および化粧品は、通常は小売販売向けに包装される(すなわち製造品)。そのような製造品は、患者に製品の使用法が説明されるような方法でラベルが貼られ、包装される。そのような説明書は、治療対象となる状態、治療期間、投薬スケジュールなどを含む。
【0072】
式Iの化合物は、当業界で知られているように、患者の血清中、尿中などの化合物の濃度を測定するために、任意の不活性担体と混和し、分析検査で利用してもよい。本化合物は、研究ツールとして使用することもできる。
【0073】
本発明をその特定の実施形態と共に述べてきたが、さらに変更を重ねてよいこと、ならびに本出願は、一般に本発明の原理に従い、本発明が属する分野内の慣行の範囲内に収まるようなこの開示からの逸脱を含む、本発明のいかなる変形形態、使用法、または改造物をも含むものであることを理解されたい。以下の実施例および生物学的データは、本発明をさらに明らかにするために示すものである。この開示は、いかようにも本発明を限定するものと解釈すべきでない。
【実施例】
【0074】
(実施例1)
4,4’−[(2S,3S)−ブタン−2,3−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0075】
【化6】

ガス中で15mlの無水THFに0℃でNaHを懸濁させ、次いで(2R,3R)−2,3−ブタンジオール(0.23g、2.46ミリモル)を加え、この混合物を0℃のN中で10分間攪拌した後、4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)−ベンゾニトリル(1.0g、5.18ミリモル)を加えた。反応混合物を0℃で2時間、次いでRT(室温)で1時間攪拌した。これを50mlの蒸留水で失活させ、酢酸エチル(3×30ml)で抽出し、有機層を飽和NaHCOで洗浄し(3回)、溶媒を除去して粗生成物を得、これを、ヘキサン:酢酸エチル=5:1を溶離液として用いるシリカゲルカラム精製にかけた。
MS:429.0(C2014のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:1.36分 純度:100%。
【0076】
(実施例2)
4,4’−[(2R,3R)−ブタン−2,3−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0077】
【化7】

実施例2は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:429.0(C2014のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:1.38分 純度:100%。
【0078】
(実施例3)
4,4’−[ブタ−1−エン−3,4−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0079】
【化8】

実施例3は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりにブタ−3−エン−1,2−ジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:329.2(C1619のM+1)LCMS:C−18カラム(50%HO/50%CHCN)、保持時間:2.65分 純度:100%。
【0080】
(実施例4)
4,4’−[ペンタン−1,2−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0081】
【化9】

実施例4は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに1,2−ペンタンジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:443.1(C2116のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:2.25分 純度:100%。
【0082】
(実施例5)
4,4’−[(3−メトキシプロパン−1,2−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0083】
【化10】

実施例5は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに3−メトキシ−1,2−プロパンジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:315.1(C1517のM+1)LCMS:C−18カラム(50%HO/50%CHCN)、保持時間:2.31分 純度:100%。
【0084】
(実施例6)
4,4’−[(3−エトキシプロパン−1,2−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0085】
【化11】

実施例6は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに3−エトキシ−1,2−プロパンジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:459.0(C2116のM+1)LCMS:C−18カラム(50%HO/50%CHCN)、保持時間:3.62分 純度:99%。
【0086】
(実施例7)
4,4’−[[3−(イソプロピルアミノ)プロパン−1,2−ジイル]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0087】
【化12】

実施例7は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに3−イソプロピルアミノ−1,2−プロパンジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:472.1(C2219のM+1)LCMS:C−18カラム(50%HO/50%CHCN)、保持時間:1.01分 純度:100%。
【0088】
(実施例8)
4,4’−[(6−メチルヘキサン−1,2−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0089】
【化13】

実施例8は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに6−メチル−1,2−ヘプタンジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:485.2(C2422のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:3.11分 純度:100%。
【0090】
(実施例9)
4,4’−[オクタン−1,2−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0091】
【化14】

実施例9は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに1,2−オクタンジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:485.1(C2422のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:3.28分 純度:100%。
【0092】
(実施例10)
4−[1−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−2,2−ジメチル−シクロプロポキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0093】
【化15】

2−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−4−メチル−ペンタン酸をDMF(ジメチルホルムアミド(0.1ミリモル)に溶かした0.1M(モル濃度)溶液1mLに、HOBT、すなわち1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.2ミリモル)をDMFに溶かした0.376M溶液0.5mL、C−フラン−2−イル−メチルアミン(0.1ミリモル)をDMFに溶かした0.1M溶液0.1mL、および約183mgのシリカ結合カルボジイミド(担持量:1.09g/ミリモル、0.2ミリモル)を加えた。得られる混合物を振盪し、70℃で約18時間加熱した。反応液を濾過し、樹脂をDMFで十分にすすいだ。真空中で溶媒を除去して油状物を得、それをHPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって精製した。
HPLC条件:
カラム:BHK30×100mm ODS−A5μm C−18。
流速:30mL/分
溶媒:A=アセトニトリルと3%の1−プロパノール、B=水と3%の1−プロパノール
方法:0〜6.5分:15%A、85%B;6.5〜10.5分:100%A
MS:381.2(C1919に対するM+1)。LCMS:AtlantisC18 5cm×4.6mm、3mmカラム(溶媒:A=水と0.1Mのギ酸、B=アセトニトリルと0.1Mのギ酸、方法:0〜3分:90%A、10%B;3〜5.1分:2%A、98%B;5.1〜7分:90%A、10%B)、保持時間:3.64分間。純度:85.56%。
【0094】
(実施例11)
4,4’−[プロパン−1,3−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0095】
【化16】

実施例11は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに1,3−プロパンジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:415.0(C1912のM+1)LCMS:C−18カラム(50%HO/50%CHCN)、保持時間:3.57分 純度:100%。
【0096】
(実施例12)
4,4’−[(2−メチルプロパン−1,3−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0097】
【化17】

実施例12は、該当する出発材料を取り換えて、実施例1と同様にして合成した。
HPLC条件:
カラム:BHK30×100mm ODS−A5μm C−18。
流速:30mL/分
溶媒:A=アセトニトリルと3%の1−プロパノール、B=水と3%の1−プロパノール
方法:0〜6.5分:15%A、85%B;6.5〜10.5分:100%A
MS:411.23(C2021Oに対するM+1)。LCMS:AtlantisC18 5cm×4.6mm、3mmカラム(Solvent:A=水と0.1Mのギ酸、B=アセトニトリルと0.1Mのギ酸、方法:0〜3分:90%A、10%B;3〜5.1分:2%A、98%B;5.1〜7分:90%A、10%B)、保持時間:3.82分間。純度:98.38%。
【0098】
(実施例13)
4,4’−[ブタン−1,3−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0099】
【化18】

実施例13は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに1,3−ブタンジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:429.1(C2014のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:2.09分 純度:100%。
【0100】
(実施例14)
4−({(3R)−3−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ブチル}オキシ)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0101】
【化19】

実施例14は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに(3R)−1,3−ブタンジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:429.1(C2014のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:2.01分 純度:100%。
【0102】
(実施例15)
4−({(3S)−3−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ブチル}オキシ)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0103】
【化20】

実施例15は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに(3S)−1,3−ブタンジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:429.1(C2014のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:1.81分 純度:100%。
【0104】
(実施例16)
4−{3−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−1,2−ジメチルプロポキシ}−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0105】
【化21】

実施例16は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに2−メチル−1,3−ブタンジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:443.1(C2116のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:1.91分 純度:100%。
【0106】
(実施例17)
4,4’−[ヘキス−1−エン−4,6−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0107】
【化22】

実施例17は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりにヘキス−5−エン−1,3−ジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:455.0(C2216のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:1.61分 純度:100%。
【0108】
(実施例18)
4,4’−[(3−メチルブタン−1,3−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0109】
【化23】

実施例18は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに3−メチル−1,3−ブタンジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:443.0(C2116のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:3.66分 純度:100%。
【0110】
(実施例19)
4−{[3−(4−シアノフェノキシ)−2−エチルヘキシル]オキシ}ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0111】
【化24】

実施例19は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:485.2(C2422のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:1.41分 純度:100%。
【0112】
(実施例20)
4,4’−[(2S,4S)−ペンタン−2,4−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0113】
【化25】

実施例20は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに(2R,4S)−ペンタン−2,4−ジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:443.1(C2116のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:1.78分 純度:98%。
【0114】
(実施例21)
4,4’−[ヘプタン−1,4−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0115】
【化26】

実施例21は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりにヘプタン−1,4−ジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:471.1(C2320のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:1.48分 純度:99%。
【0116】
(実施例22)
4,4’−[ヘキサン−2,5−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0117】
【化27】

実施例22は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりにヘキサン−2,5−ジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:457.1(C2218のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:2.14分 純度:97%。
【0118】
(実施例23)
4,4’−[(2S,5S)−ヘキサン−2,5−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0119】
【化28】

実施例23は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに(2S,5S)−ヘキサン−2,5−ジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:457.1(C2218のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:2.28分 純度:100%。
【0120】
(実施例24)
4−({5−[4−シアノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ペンチル}オキシ)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0121】
【化29】

実施例24は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりにペンタン−1,5−ジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:443.1(C2116のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:2.02分 純度:100%。
【0122】
(実施例25)
4,4’−[ヘキサン−1,5−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0123】
【化30】

実施例25は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりにヘキサン−1,5−ジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:457.1(C2218のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:2.48分 純度:100%。
【0124】
(実施例26)
4,4’−[(3−メチルペンタン−1,5−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル]
【0125】
【化31】

実施例26は、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに3−メチル−ペンタン−1,5−ジオールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:457.1(C2218のM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:2.52分 純度:100%。
【0126】
(実施例27)
4−(1−メトキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0127】
【化32】

ステップ1:1−メトキシ−3−フェノキシ−プロパン−2−オールの調製
2−フェノキシメチル−オキシラン(0.15g、1.00ミリモル)およびナトリウムメトキシド(0.054g、1.00ミリモル)を10mlのMeOHに溶解させ、次いで反応混合物を3時間還流させた。溶媒のMeOHを除去し、残渣を酢酸エチル(3×20ml)で抽出し、それをブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。粗生成物をカラム(25%のEtOAc/ヘキサン)で精製して、以下に示す構造の1−メトキシ−3−フェノキシ−プロパン−2−オールを得た。
【0128】
【化33】

【0129】
ステップ2:4−(1−メトキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリルの調製
4−(1−メトキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリルは、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに、上で生成した1−メトキシ−3−フェノキシ−プロパン−2−オールを使用したことを除き、実施例1の方法に従って合成した。所望の生成物は、実施例1と同じ条件を使用してカラム精製にかけた。
MS:352.1(C1816NFのM+1)LCMS:C−18カラム(50%HO/50%CHCN)、保持時間:3.37分 純度:100%。
【0130】
(実施例28)
4−(1−ヒドロキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0131】
【化34】

実施例27の生成物である、出発材料の4−(1−メトキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル(0.5g、1.4ミリモル)を10mlの無水CHClに溶解させ、これを−78℃に冷却した後、BBr(1.0MCHCl溶液を4.3ml)を加えた。2時間後、反応混合物を徐々に室温に温め、45mlの飽和NaHCOで反応を失活させ、CHCl(3×20ml)で抽出した。精製:シリカゲル
カラム:ヘキサン:酢酸エチル=1:1。
カラム:ヘキサン:酢酸エチル=5:1。
MS:338.0(C1714NFのM+1)LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:1.12分 純度:99.5%。
【0132】
(実施例29)
(1R)−4−(1−ヒドロキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0133】
【化35】

実施例29の生成物は、実施例28の生成物のキラルHPLC分離によって調製した。所望の生成物は、以下で述べるLCMSによって精製した。
キラル分離カラム:chiralpakAD、20×250mm。
溶媒:ヘキサン+0.1%TFA。
実施時間:30分間。
MS:338.0(C1714NFに対するM+1) LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:1.06分間 純度:99.0%。
旋光:[a]=+30.4(EtOH)
【0134】
(実施例30)
(1R)−4−(1−メトキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0135】
【化36】

実施例30の生成物は、実施例27の生成物のキラルHPLC分離によって調製した。所望の生成物は、以下で述べるLCMSによって精製した。
キラル分離カラム:chiralpakAD、20×250mm。
溶媒:ヘキサン+0.1%TFA。
実施時間:50分間。
MS:352.1(C1816NFに対するM+1) LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、保持時間:1.55分間 純度:100%。
旋光:[a]=+37.5(CHCl
【0136】
(実施例31)
(1S)−4−(1−メトキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0137】
【化37】

実施例31の生成物は、実施例27の生成物のキラルHPLC分離によって調製した。所望の生成物は、以下で述べるLCMSによって精製した。
キラル分離カラム:chiralpakAD、20×250mm。
溶媒:ヘキサン+0.1%TFA。
実施時間:50分間。
MS:352.1(C1816NFに対するM+1) LCMS:C−18カラム(25%HO/75%CHCN)、
保持時間:1.53分間 純度:100%。
旋光:[a]=−35.1(CHCl
【0138】
(実施例32)
式Iの化合物は、アンドロゲン受容体に対して親和性を有する。この親和性が、ヒト受容体を使用して選択した化合物で実証された。以下の記述は、どのように検定を実施したかを述べるものである。
【0139】
競合結合分析は、異なる濃度の試験薬剤およびトレーサーとしての一定濃度のH−ジヒドロテストステロン(H−DHT)の存在下または不在下、バキュロウイルス/Sf9によって産生されたhAR抽出物で実施した。この結合アッセイ法は、これまでに記載されているプロトコル(Liao S.ら、J.Steroid Biochem.第20巻:11〜17ページ、1984年)の変法である。簡潔に述べると、累進的に減少する各濃度の化合物を、hAR抽出物(Changら、P.N.A.S.第89巻、5546〜5950ページ、1992年)、ヒドロキシルアパタイト、および1nMのH−DHTの存在下、4℃で1時間インキュベートする。その後、結合反応物を3回洗浄して、過剰な未結合H−DHTを完全に除去する。hARによって結合されたH−DHTのレベルを化合物の存在下で測定し(すなわち競合的結合)、競合相手が存在しないときに結合されたレベル(すなわち最大結合)と比較する。hARに対する化合物の結合親和性は、最大結合の2分の1が阻害される化合物の濃度として示す。以下の表IIは、選択した化合物で得られた結果を示すものである(報告するデータは、以下で示すように複数の試験の平均である)。
【0140】
【表1−1】

【0141】
【表1−2】

【0142】
【表1−3】

【0143】
【表1−4】

【0144】
(実施例33)
本化合物が、アンドロゲンのアンドロゲン受容体に対する作用に拮抗作用を示し得るかどうかを以下で直ちに述べる全細胞アッセイで判定した。
【0145】
AR拮抗薬細胞アッセイの実験手順
細胞系:MDA−MB453−MMTVクローン54−19。この細胞系は、MDA−MB453細胞バックグラウンド(アンドロゲン受容体を発現させるヒト乳癌細胞系)を有する、安定に形質移入された細胞系である。まず、AREを含むMMTV最小プロモーターをホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子の前にクローン化した。次いで、このカスケードを形質移入ベクターpUV120puroに形質移入した。電子穿孔法を使用して、MDA−MB−453細胞の形質移入を行った。ピューロマイシン耐性の安定な細胞系を選択した。
【0146】
細胞培地および試薬:
培養培地:DMEM(高グルコース、Gibcoカタログ番号:11960−044)、10%のFBS、および1%のL−グルタミン
プレーティング培地:DMEM(フェノールレッドなし)、10%の木炭処理HyClone血清、1%のL−グルタミン
検定培地:DMEM(フェノールレッドなし)、1%の木炭処理HyClone血清、1%のL−グルタミン、および1%のペニシリン/ストレプトマイシン
3×ルシフェラーゼ緩衝液:2%のβメルカプトエタノール、0.6%のATP、0.0135%のルシフェリンの入った細胞溶解緩衝液
【0147】
検定手順:
1.細胞を培養培地中で維持し、80〜90%の集密度に到達したとき細胞を分配する。
2.化合物を試験するために、不透明な96細胞培養プレートの100μl/ウェルのプレーティング培地に10000細胞/ウェルを播き、37℃の細胞培養インキュベーターで終夜培養する。
3.プレーティング培地を慎重に除去し、次いで予め温めた80μl/ウェルのアッセイ培地を加え、10μl/ウェルの試験化合物(1000nM、200nM、40nM、8nM、1.6nM、および0.32nMの最終濃度)を加え、37℃で30分間インキュベートする。
4.各ウェルに調製したばかりの10μl/ウェルのDHT(100pMの最終濃度)を加え、37℃で17時間(終夜)インキュベートする。
5.50μl/ウェルの3×ルシフェラーゼ緩衝液を加え、室温で5分間インキュベートし、次いでLuminometerでカウントする。
試験化合物なしでの100pMのDHTによる、バックブラウンドに対する誘発率を100%として標準化し、実験結果は、試験化合物による阻害のパーセンテージとして示す。
【0148】
結果は以下の表IIIで述べる。これらの結果は、以下に記載するように複数の試験の平均として報告する(試験回数は、脚注に示す)。N.D.は、その化合物が試験されなかったことを示す。
【0149】
【表2−1】

【0150】
【表2−2】

【0151】
【表2−3】

【0152】
【表2−4】

【0153】
(実施例34)
皮脂産生の抑制についての動物モデル
Luderschmidtらは、化合物が皮脂分泌を調節し得るかどうかを試験するための動物モデルを記載している。Arch.Derm.Res.第258巻、185〜191ページ(1977年)。このモデルでは、雄性シリアンハムスターを使用しており、この動物の耳が皮脂腺を含んでいる。実施例24、27、および28の生成物をこのモデルでスクリーニングした。
【0154】
皮脂抑制についての試験は、次のようにして実施した。9〜10週齢の雄性シリアンハムスターを実験環境に導入し、試験で使用する前に2週間かけて順化させた。各群は5匹の動物からなり、賦形剤対照および陽性対照と並行して実施した。投与に先立って、トランスクタノール(transcutanol)、エタノール、およびプロピレングリコール(20/60/20%v/v)からなる1mLの溶媒に、0.5w/v%または3.0w/v%の最終濃度を実現するのに十分な量の各化合物を溶解させた。
【0155】
動物に、週に5日、1日2回の局所投与を4週間行った。各用量は、25マイクロリットルの賦形剤対照または薬物からなる。その用量を左右両耳の内側(ventral)表面に塗布した。最後に投与してから約18〜24時間後にすべての動物を屠殺した。各動物から右耳を収集し、皮脂分析に使用した。
【0156】
HPLC分析に向けて耳の準備処置を次のようにして行った。解剖学上の耳の「V」印のすぐ上に1本の8mm径端部生検パンチを当てて、サンプル区域を標準化した。パンチを引き離した。内側の生検表面(局所投与を直接皮脂腺に行った区域)を試験用に残し、生検パンチの外側表面は廃棄した。
【0157】
組織サンプルにNガスを吹き付け、HPLC分析まで−80℃の窒素中で保管した。耳のサンプルに加え、HPLC分析に含めるために一定分量の各薬物および賦形剤(少なくとも250μl)も−80℃で保管した。
【0158】
HPLC分析は、組織サンプルの抽出物で実施した。組織サンプルを3mlの溶媒(2,2,4−トリメチルペンタンとイソプロピルアルコールの4:1混合物)に接触させた。混合物を15分間振盪し、光から保護して室温で終夜保管した。翌朝、サンプルに1ミリリットルの水を加え、15分間振盪した。次いで、サンプルを約1500rpmで15分間遠心分離した。2mlの有機相(上層)をガラス製バイアルに移し、37℃の窒素中で約1時間乾燥させ、次いで48時間かけて凍結乾燥した。次いで、サンプルを凍結乾燥器から取り出し、各バイアルを600μlの溶媒A(トリメチルペンタン/テトラヒドロフラン(99:1)で復元した。次いでサンプルを再生させ、5分間ボルテックスした。
【0159】
次いで、200μlの各サンプルを、予めラベルが貼られた、200μL容ガラスインサート付きの200μl容HPLCバイアルに移した。HPLCバイアルを、Agilent1100シリーズHPLCユニット用のオートサンプラートレーに入れた。Agilent1100 HPLCシステムは、サーモスタット付きオートサンプラー、直交ポンプ、カラムヒーター、およびA/Dインターフェースモジュールからなるものであった。すべての構成部分がAgilent ChemStationソフトウェアによって制御された。Waters Spherisorb S3W 4.6×100mm分析カラムは、Agilentカラムヒーターユニットによって30℃に保った。HPLCオートサンプラーは、運転の間サンプル温度を20℃に保つように設定した。
【0160】
10μLの各サンプルを3通りにカラムに注入した。溶媒に勾配をかけるために2種の溶媒を使用した。溶媒Aは、トリメチルペンタンとテトラヒドロフラン(99:1)の混合物とした。溶媒Bは、酢酸エチルとした。使用した勾配を以下の表に記載する。
【0161】
【表3】

【0162】
Sedex75 Evaporative Light Scattering Detector(ELSD)は、利得を5として45℃で操作し、N圧力を3.1バールに保った。この機器によって得られたアナログ信号は、Agilent A/Dインターフェースモジュールに送信され、そこでデジタル出力に変換された。この変換は、10000mAU/ボルトの設定値に準拠し、データ速度は10Hz(0.03分)に設定した。次いで、得られるデジタル出力をAgilent ChemStationソフトウェアに送ってピーク面積を積分した。
【0163】
HPLC分析の結果は、以下の表IVで報告する。結果は、賦形剤対照と比較した場合のコレステロールエステル(CE)およびロウエステル(WE)産生の減少として報告した。負の値は、皮脂の増加を反映し、正の値は減少を反映している。
【0164】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式Iの化合物
【化1】

[式中、
a)Xは、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルコキシ、ハロアルコキシ、またはハロアルキルであり、
b)Aは、2〜10個の炭素原子を含む直鎖アルキレン基であり、最高で6個の水素原子が、
i.ハロゲン、
ii.シアノ、
iii.ヒドロキシ、
iv.置換されていてもよい(C〜C12)アルキル、
v.置換されていてもよい(C〜C12)アルケニル、
vi.置換されていてもよい(C〜C12)アルキニル、
vii.置換されていてもよい(C〜C10)シクロアルキル、
viii.アルキルおよびシクロアルキル部分がそれぞれ置換されていてもよい(C〜C10)シクロアルキル(C〜C)アルキル、
ix.(CH−SR
x.(CH−O−R
xi.(CH−NR
xii.(CH−COOR、および
xiii.(CH−CONR
からなる群からそれぞれ独立に選択された置換基によって置換されていてもよく、
c)Xは、置換されていてもよい(C〜C10)アリールであり、
d)nは、出現するごとに、それぞれ独立に0〜6の整数であり、
e)RおよびRは、それぞれ独立に、水素および置換されていてもよい(C〜C)アルキルからなる群から選択される置換基であり、
f)Rは、水素および置換されていてもよい(C〜C)アルキルからなる群から選択される置換基であり、
g)Rは、水素および置換されていてもよい(C〜C)アルキルからなる群から選択される置換基である]、その塩、溶媒和化合物、およびプロドラッグ。
【請求項2】
Aが、エチレン、プロピレン、ブチレン、またはペンチレンであり、これらのいずれもが置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がトリフルオロメチルまたはクロロであり、フェニル環の3位に位置している、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
が次式
【化2】

によって表される、請求項1、2、または3に記載の化合物。
【請求項5】
Aがエチレンまたはプロピレンであり、(CH−O−Rまたは(C〜C)アルキルによって表される少なくとも1個の置換基で置換されている、請求項1、2、3、または4に記載の化合物。
【請求項6】
a.4,4’−[(2S,3S)−ブタン−2,3−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル])
b.4,4’−[(2R,3R)−ブタン−2,3−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
c.4,4’−[ブト−1−エン−3,4−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
d.4,4’−[ペンタン−1,2−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
e.4,4’−[(3−メトキシプロパン−1,2−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
f.4,4’−[(3−エトキシプロパン−1,2−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
g.4,4’−[[3−(イソプロピルアミノ)プロパン−1,2−ジイル]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
h.4,4’−[(6−メチルヘキサン−1,2−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
i.4,4’−[オクタン−1,2−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
j.4−[1−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−2,2−ジメチル−シクロプロポキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
k.4,4’−[プロパン−1,3−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
l.4,4’−[(2−メチルプロパン−1,3−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
m.4,4’−[ブタン−1,3−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
n.4−({(3R)−3−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ブチル}オキシ)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
o.4−({(3S)−3−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ブチル}オキシ)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
p.4−{3−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−1,2−ジメチルプロポキシ}−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
q.4,4’−[ヘキス−1−エン−4,6−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
r.4,4’−[(3−メチルブタン−1,3−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
s.4−{[3−(4−シアノフェノキシ)−2−エチルヘキシル]オキシ}ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
t.4,4’−[(2S,4S)−ペンタン−2,4−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
u.4,4’−[ヘプタン−1,4−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
v.4,4’−[ヘキサン−2,5−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
w.4,4’−[(2S,5S)−ヘキサン−2,5−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
x.4−({5−[4−シアノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ペンチル}オキシ)−2(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
y.4,4’−[ヘキサン−1,5−ジイルビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
z.4,4’−[(3−メチルペンタン−1,5−ジイル)ビス(オキシ)]ビス[2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル];
aa.4−(1−メトキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
bb.4−(1−ヒドロキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
cc.(1R)−4−(1−ヒドロキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
dd.(1R)−4−(1−メトキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
ee.(1S)−4−(1−メトキシメチル−2−フェノキシ−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
ff.2−クロロ−4−(2−メトキシ−1−フェノキシメチル−エトキシ)−ベンゾニトリル;
gg.2−クロロ−4−(1−フェノキシメチル−ブトキシ)−ベンゾニトリル;
hh.2−クロロ−4−(1−フェノキシメチル−プロポキシ)−ベンゾニトリル;
ii.2−クロロ−4−(1−フェノキシメチル−ブトキシ)−ベンゾニトリル;
jj.2−クロロ−4−[1−(4−メトキシ−フェノキシメチル−プロポキシ)−ベンゾニトリル;
kk.2−クロロ−4−[1−(2−メトキシ−フェノキシメチル−プロポキシ)−ベンゾニトリル;
ll.2−クロロ−4−[1−メチル−フェノキシ−エトキシ)−ベンゾニトリル;
mm.4−[4−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−ブチルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
nn.4−[3−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−シクロヘキシル−プロピルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
oo.4−[3−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−シクロヘキシル−プロピルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
pp.4−[3−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−クロロ−プロピルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
qq.4−[8−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−クロロ−4−ヒドロキシ−オクチルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
rr.4−[10−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−メチルシクロペンチル−オクチルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
ss.4−[10−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−デシルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
tt.4−[7−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−ヘプチルオキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
uu.4−(3−(3−ヒドロキシ−4−フルオロ−フェノキシ)−プロポキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
vv.4−(2−シアノ−4−ジメチルアミノ−8−フェノキシ−オクチルオキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
ww.4−(2−ジメチルアミノ−2−(4−シアノ−フェノキシ)−エチルオキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
xx.4−(1−シクロペンチルオキシメチル−3−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−プロポキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;および
yy.4−(2−メチル−4−ジメチルアミノ−8−フェノキシ−オクチルオキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物の医薬品としての使用。
【請求項8】
アンドロゲン受容体の活性化を阻害するための医薬の製造における、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項9】
ホルモン依存性癌、良性前立腺肥大症、にきび、男性型多毛症、過剰な皮脂、脱毛症、月経前症候群、肺癌、思春期早発症、骨粗鬆症、性腺機能低下症、年齢に関連した筋肉量の減少、および貧血からなる群から選択される状態を改善するための医薬の製造における、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項10】
1種または複数の薬学的に許容できる医薬添加剤と混和した、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項11】
皮膚への適用に適する1種または複数の薬学的に許容できる医薬添加剤と混和した、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物を含む局所用医薬製剤。
【請求項12】
にきび、脱毛症、および脂性肌からなる群から選択される状態を改善するための化合物の使用法について消費者に助言する、小売販売向けに包装された請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物を含む製造品。


【公表番号】特表2007−533726(P2007−533726A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508998(P2007−508998)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001044
【国際公開番号】WO2005/102990
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】