イオウ化合物を含有する排ガスを処理する方法と触媒吸着材
【課題】二酸化イオウあるいは硫化水素などの汚染物を排ガスから除去する方法と、それに適用する触媒吸着材を提供する。
【解決手段】イオウ化合物を含有する排ガスの流れを貴金属成分とTi,Zr,Hf,Ce,Al,Si及びその混合物から選択した金属酸化物の吸着材成分とから形成した触媒吸着材に接触させて排ガス中のイオウ成分を除去する。
【解決手段】イオウ化合物を含有する排ガスの流れを貴金属成分とTi,Zr,Hf,Ce,Al,Si及びその混合物から選択した金属酸化物の吸着材成分とから形成した触媒吸着材に接触させて排ガス中のイオウ成分を除去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はガスの流れからガス状のイオウ化合物を除去する方法、より詳細には、再生することのできる触媒吸着材を使用して燃焼排ガス及び産業排ガスからSO2とH2Sとを除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大気の汚染の脅威から、環境問題の専門家たちは、イオウ酸化物類と硫化水素との許容排出量を厳しく制限し、現在もさらに一段と厳しい規制を続けている。その結果、排煙の脱硫(FGD)に用いられる各種の技術が開発され、さらに又その開発が続いている。
排煙脱硫技術を分類すると、湿式清浄化法と乾式清浄化法とになる。乾式清浄化法は排ガスをイオウの成分と化学反応させることによって全く異なる化合物にする固体物質に接触させるものである。この方法は、例えばH2Sと反応させて硫化亜鉛を生成するのに使用される酸化亜鉛のペレットのように固定したベッドとすることができる。硫化亜鉛のペレットが飽和状態に達したならば、これを取り除いて、他のペレットと交換しなければならない。乾式清浄化剤は粉末又は粒状のものにして、排ガス中に噴出させ、袋収容器又は静電式濾過装置を使用して、その反応生成物を除去する。粉末の一例を挙げると、石灰石の粉末がある。この石灰石の粉末を排ガスの流れの中に噴射すると、硫酸カルシウム及び/又は亜硫酸ヘミ水和物のスラッジを形成する。この物質は、通常、湿潤したスラリーとして送り込まれて、排ガス中で乾燥しイオウ酸化物と反応する。前記物質は、それから後に除去され、ゴミ処理場に放棄される。又乾式清浄化剤としては、例えば酸化アルミニウムの粒または球状体に付着された酸化銅も再生することができる。この再生することのできる銅による場合には、高温度に加熱するか、あるいは高温度において還元しなければならない。そのためには、吸着温度を再生温度よりも低温にする。
【0003】
湿式清浄化法においては、湿潤したスラリーまたはアミン溶液を使用し、排気温度をこれら溶液の沸点以下に下げる必要がある。こうした方法には、汚染されて役に立たなくなった生成物を蒸発させ伴出し生成し、再利用する以前に排気するか、あるいは精製する必要があるという不利益がある。
この発明はH2S、SO2の除去と、COの酸化とに関する新技術を提供するものである。この発明による新技術は、イオウ分を除去する接触酸化吸着法を利用するもので、最初にイオウ分を酸化し、前もって濃縮させ、次いで極めて小容量の濃縮した流れにして、イオウ、二酸化イオウ又は硫酸などの回収行程に送る。この新技術は従来の洗浄技術よりも遙かに利益がある。すなわち、この方法によれば、排気流の中で、酸化物を捕獲するモードと還元物の再生とを同じ温度で行えるという利点がある。さらにこの方法は乾式方法であって、イオウ分について選択的に作用し、酸化イオウを含まない高濃度で高純度のガスを生成するという利益がある。この発明の特徴の一つは、イオウ含有ガスの容量を減少させて、それ以外の処理にかかる経費を軽減するということにある。又、この発明の特徴は、93℃(200°F)乃至427℃(800°F)の広温度範囲で作動することができると云うことにある。この発明は、吸着効率が99.75%以上の高率で、しかも圧力降下が頗る少ないと云う利点を特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−275695号公報
【特許文献2】特開昭61−64317号公報
【特許文献3】特表平7−505856号公報
【特許文献4】特表平6−505430号公報
【特許文献5】特開平6−327967号公報
【特許文献6】特開平4−250851号公報
【特許文献7】特開平5−138026号公報
【特許文献8】特開昭58−36906号公報
【発明の概要】
【0005】
この発明の第一の実施態様は、排出燃焼ガスの流れ及び産業処理ガスの流れなどのガス流からガス状のイオウ化合物類、特にSO2及び/又はH2Sを除去する方法であって、その方法はガス状のイオウ化合物を、イオウを吸着する状態の触媒吸着材と接触させることにある。前記の触媒吸着材は貴金属触媒と、金属酸化物吸着材成分と、Ag,Cu,Bi,Sb,Sn,As,In,Pb,Au又はその混合物の酸化物から選択した物質とから成り、前記ガス状のイオウ化合物を前記の排ガス及び産業排ガスから前記の触媒吸着材に移行させることにある。この方法の好ましい実施態様においては、イオウ含有ガス流を堰き止めて、触媒吸着材に吸着されているイオウ成分が触媒吸着材から離脱する条件下で、前記触媒吸着材に再生ガスを接触させて、吸着されていたイオウをこの触媒吸着材から除去する。最も好ましい実施態様は、前記の吸着処理と再生処理とを交互に行うことにある。
【0006】
再生されたガスは、損なわれた環境を好転させるものである。還元剤には水素と炭化水素あるいはその混合物等がある。炭化水素はC1−C12の炭化水素類から成るものとすることが望ましく、これら炭化水素類はそれ自体の化合物または数種類の化合物の混合物として使用することができる。通常、還元剤はメタン及び/又は炭化水素類の混合物から成っている。主なメタン源は天然ガスである。主なガス流の成分は窒素ガス、ヘリウム、アルゴン又は蒸気などの不活性キャリヤーガスである。前記の「主な成分」とは50%以上存在することを意味する。再生をするには、不活性キャリヤーガスだけか、あるいは酸素の存在中で行う。空気も再生に使用することができる。
【0007】
この発明の第二の実施態様は触媒吸着材を提供することにある。貴金属成分としてはPt,Pd,Rh,Ru又はその混合物類で、好ましくはPtである。金属酸化物吸着材成分はTi,Zr,Hf,Ce,Al,Siまたはその混合物類の酸化物である。これらの成分に加えて、触媒吸着材には、随意、Ag,Cu,Bi,Sb,Sn,As,In,Pb,Au又はその混合物類から成る調節物質、望ましくはCu,Ag,Bi及びその混合物を含ませる。この調節物質を含ませる理由は、再生時にH2Sが生成するのを阻止するためである。
触媒吸着材はペレット状、球状、粉末状又は押し出し成形したものを用いる。好ましくは、触媒吸着材はキャリヤーに被覆して、それが触媒吸着材の総量の1乃至50重量%になるようにする。貴金属成分は触媒吸着材中に0.005乃至20.0重量%程度含まれるようにすることが望ましく、吸着材の成分は触媒吸着材の70乃至99重量%存在するようにすることが望ましく、調節剤は触媒吸着材の1乃至10重量%とすることが好ましい。
【0008】
この発明では、イオウ酸化物類はガス流から除かれて、触媒/吸着の表面へと移行されるわけであるが、イオウがどのような形で、またいかなるメカニズムで触媒吸着材に結合するのか判然としていない。この発明においては、ガス流中のイオウ化合物類は酸化雰囲気中の触媒吸着材と何らかの状態で離脱することができるように結合するのである。イオウは元素の形ではなくて、化合物の形で触媒吸着材に結合するものと思われる。元素イオウは観察されなかった。このイオウはイオウ化合物のより濃縮された流れとなって、触媒吸着材から除去されることが好ましい。なお、化合物類のパーセンテージや割合等について重量か容量であるか等を記載しないときには、すべて重量によるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】30ppmSO2及び異なる触媒吸着材組成について表2に示す条件で行った149℃(300°F)−30分の吸着行程における出口SO2の値を示す。
【図2】260℃(500°F)における500ppmSO2吸着行程を60ppmSO2吸着行程における出口SO2の値を示す。
【図3】部分飽和したTiO2/Pt触媒吸着材の再生時に放出されたイオウ成分を示す。
【図4】260℃(500°F)における20分の行程と、それに続くTiO2/Pt/Cu触媒吸着材の還元再生中に捕獲され放出されたSO2の量を示す。
【図5】260℃(500°F)における20分の行程とそれに続くTiO2/Pt/Cuの再生中に捕獲され放出されたSO2の量を示す。
【図6】TiO2/Pt/Cu系を用いて260℃(500°F)の再生(表4)中に放出されたH2SとSO2の比率に関し、先駆Cu(NO3)2として示されたCu装加の効果を示す。
【図7】Bi,AgまたはCuを用いて変えたTiO2/Pt触媒吸着材を用いて行った149℃(300°F)、60ppmSO2吸着行程を示す。
【図8】Bi,AgまたはCuを用いて変えたTiO2/Pt触媒吸着材の再生中に放出するSO2を示す。
【図9】260℃(500°F)で貴金属触媒成分を具備しないTiO2/Cu吸着材/調節剤を用いて行った連続60ppmSO2サイクルを示す。
【図10】260℃(500°F)で60ppmSO2行程のサイクル時にSO2の最高効果時の吸着材/キャリヤーの重量%として報じられたPt装架の効果を示す。
【図11】TiO2/Pt触媒吸着材系に関するSO2の吸着についての酸素の効果を示す。
【図12】271,327及び432℃(520,620及び810°F)におけるTiO2/Pt系と327℃(620°F)におけるTiO2/Pt/Cu系とによる75分間の60ppm吸着サイクルにおいて得た捕獲効率を比較して示す。
【図13】260℃(500°F)の温度の30ppm入口H2SについてTiO2/PtとTiO2/Pt/Cu触媒吸着材によるH2S吸着を示す。
【図14】図13に示すTiO2/Pt系を用いた吸着行程後に捕獲されたH2Sの脱着を示す。
【図15】260℃(500°F)で100ppmSO2を吸着させる以前に不活性ガスを用いて482℃(900°F)で吸着中に放出されたSO2を示す。
【図16】標準再生及び熱再生を空気を用いて次々と行う250ppmSO2吸着行程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
吸着段階は37.8乃至538℃(100乃至1000°F)、好ましくは149乃至316℃(300乃至600°F)の温度で、200乃至200,000hr-1のGHSV(時間当たりガスの空間速度)、好ましくは1,000乃至120,000hr-1において行う。圧力は大気圧以下から500psigの範囲とする。
脱着段階は、37.8乃至538℃(100乃至1000°F)好ましくは、149乃至482℃(300乃至900°F)の温度で、20乃至20,000hr-1のGHSV、好ましくは50乃至10,000hr-1で行う。圧力範囲は大気圧以下から500psigとする。
【0011】
この吸着/脱着を行うことについて、送り込まれたイオウ化合物は、5乃至100倍も濃縮する。
キャリヤーを使用する場合には、そのキャリヤーはハニカム構造をしたセラミック又は金属製の一体構造とし、キャリヤーは触媒吸着材と何らかの調節剤とを分布させるのに用いる。諸成分はキャリヤーの所望の部位に付着される。セラミックのキャリヤーの組成は任意の酸化物又は酸化物類の組み合わせとする。適当な酸化物のキャリヤーにはAl,Zr,Ca,Mg,Hf,Ti及び酸化物類の各種混合物、例えばコージライト及びムライトがある。
【0012】
キャリヤーの構造と組成は頗る重要である。キャリヤーの構造は触媒吸着材を流れる流れのパターン、つまり触媒の表面に流れていって離れ去る状態に影響を及ぼす。触媒の表面に接触作用をする化合物類を効果的に送るような構造にすることは、触媒吸着材の効率に影響を与える。キャリヤーには6.45平方cm(1平方インチ)当たり64乃至600の小室を備え、直径2.5cm(1インチ)当たり約25乃至80個の小孔を有する多孔質の物とすることが望ましいが、2.5cmあたり5乃至90個の子孔を備えるものがより望ましい。
触媒吸着材は吸着/脱着のサイクルを繰り返すことによって、調整される。この調整時に離脱されるイオウ成分類の量は、再生毎に増加して、吸着された量と等しくなる。希釈したH2SO4で触媒吸着材を前処理すると、コンディショニングする調整時間が著しく短縮することがわかった。例えば12時間かかるものがH2SO4で前処理したところ、149℃(300°F)の温度で僅か数時間で調整された。また調整時間は吸着と再生とを遂行する温度によって変わることも判明した。温度を増加すると、離脱する量が増すので、調整時間が短縮する。なお、吸着/再生のサイクルを数回繰り返して、そのまま放置すると、触媒吸着材は調整されてしまうから、特別にコンディショニングを行う必要はない。
【0013】
触媒吸着材によって消費されるSO2の量を触媒吸着材の容量と呼ぶことにする。この容量についての研究によって、次のような結論を得た。
1.吸着/脱着の温度が増加すると、容量が増加する。
2.触媒吸着材の量が増すと、容量が増加する。
3.触媒吸着材中の貴金属の含有量が増加すれば、容量が増加する。
この研究時に使用した触媒吸着材はセラミック・ハニカム・キャリヤーに被覆したものであった。この触媒吸着材/キャリヤーは白金の含量が0.5%のTiO2/Ptを3.48g/in3含有した物であった。この試料を20ccSO2/in3とした。この数値はSO2を10%より遙かに少量のものとしたので、20ccという値は最小値である。
【0014】
実験データによると、触媒吸着材の飽和時のSO2/Ptモル比は10であった。このように吸着されたSO2の量が多量であるということは、白金の作用は吸着材に対するものではないということになる。この理論によると、白金はSO2の接触酸化時にSO2の吸着を促進し、それから後、イオウを調整されたTiO2/Ptの表面に吸着する。
TiO2/Pt/Cu系の容量をTiO2/Pt系について行ったのと類似の方法で調べた。その結果は殆ど同一であった。その結論を述べると、次の通りである。
1.吸着/脱着の温度を増加すると、容量は増加する。
2.TiO2/Ptの装填を増すと、容量が増す。
【0015】
3.TiO2/Ptの白金の含量を増加すると容量が増す。
銅条件材は吸着材の容量に殆ど影響を及ぼさなかった。
この発明によれば、イオウは、例えばTiO2/Pt系の触媒吸着材によって、149℃(300°F)の低温度において捕獲され、放出される。しかし、再生時に放出された脱着成分は、主にH2SとSO2の混合物から成っている。H2S/SO2の比は滞留時間及び/又は条件剤の有無に依存する。適用によってはH2Sは望ましくないので、イオウ成分をSO2として放出することが好ましいと思われる。
脱着したイオウ成分の性質は触媒吸着材に調節剤を添加することによって変えることができる。調節剤は、各種のものを用いることができるが、現在のところでは、銅、銀、及びビスマスがもっとも効果的である。触媒吸着材に調節剤を添加すると、イオウがSO2として除かれる量が増加し、H2Sの生成を減少させるか或いは抑止する。調節剤は触媒吸着材に直につけるか、その内部に配する。調節剤の種類は処理に応じて決めるが、最も効果的なものは銅・ビスマス及び銀である。
【0016】
調節剤として貴金属、例えば白金が無いものとして即ちウォシュコート中に吸着材だけ、例えばTiO2/Cuだけで調べてみた。いろいろと調べてイオウを捕獲することを見つけたけれども、再生時におけるSO2あるいはH2Sの離脱は達成されず、吸着材はすぐに飽和してしまった。これを図9に示す。この図の場合は、連続的に60ppmSO2吸着サイクルをTiO2/Cu試料について行ったものである。各吸着サイクルの間に再生を行った。その結果としては各行程についての除去効率が低下している。
調節剤として、例えばCuを触媒吸着材に添加すると、吸着サイクル時に捕獲したSO2が標準とする再生サイクル中に放出されることがわかった。この状態を図5に示す。この場合においては、吸着サイクルと脱着サイクルとで7.7ccSO2となっている。再生時に離脱したイオウはSO2であった。この再生時にはH2Sは検出されなかった。
【0017】
図5において、使用した触媒吸着材に添加したCu(NO3)2先駆物質は、0.3g/in3であった。図6はSO2及びH2Sとして離脱されたイオウに添加したCu(NO3)2の効果を示すものである。この図6で、0.3g/in3の付近が最も多量に離脱していることがわかり、再生時に離脱したイオウ化合物類は、すべてSO2としてであるが、0.3g/in3以下でもH2Sが離脱しており、離脱するH2Sの量はCu(NO3)2の添加量を減らすと増加している。この効果は別のTiO2/Pt/X(この式でXはビスマス及び銀などの金属調節剤である)でも見受けられた。調節剤を添加すると、H2S/SO2の割合が変わるという効果は、この発明のすばらしい特徴である。希釈流からイオウを吸着し、次でこれをクラウス法で水とイオウとを分離するのに適切なH2S/SO2比で濃縮した流れに送ることは従来、開示されていない。図6はCu(NO3)2添加物をこうした目的に使用することができることを明瞭に示すものである。
【0018】
図12は、各種の温度におけるTiO2/Ptの除去の効率と、329℃(620°F)におけるTiO2/Pt/Cu系の除去の効率とを示す。同図によってTiO2/Pt系の効力は温度が高くなると上昇することが明らかである。銅その他の調節剤の役割は、H2Sの形成を減ずるために触媒の再生を変更する場合にのみ存在することがわかる。
SO2の入口濃度を増加するか、或いは吸着時間を長くすると、TiO2/Pt触媒吸着材を最後に飽和してしまって、SO2の生成が高まる。図2はこのことを示すもので、500ppmの吸着行程と、60ppmの吸着行程とを共に10分間行ったものである。
図2では60ppmの吸着行程ではSO2の放出量が上昇する様子を全く見せていない。500ppmの吸着行程においては、SO2の最初の3分間の放出量は比較的少ない(<40ppm)が、3分後のSO2の放出量は急激に上昇している。この放出量の上昇は吸着側の大部分が消費された時に招かれる。
【実施例】
【0019】
以下に記載する実験例に使用した触媒吸着材は6.45平方cm当たり200個(200セル/平方インチ)の四角形の孔を有するコージライト(菫青石)のハニカムに形成させた。TiO2/Ptウォシュコートを触媒吸着材に被覆した。Ptの含量は0.1乃至2.2%の範囲とした。500℃の温度で乾燥してカ焼してから、これに7%酢酸中に分散し、一晩中ボールミルにかけて粉砕した。セラミック・ハニカムをウォシュコート/Ptのスラリー中に浸漬して後、風を当てて、さらに150℃の温度で乾かした。
TiO2/Pt/Xの試料はTiO2/Ptハニカムの試料を調節剤溶液に浸漬して製した。次で、試料を取り出し、風を当て、最後に150℃の温度で乾かした。触媒吸着材の一応の組成は表1に示すとおりである。
【0020】
【表1】
【0021】
実験するために試料304ステンレス鋼の管状反応器に入れて、これを区室が3個ある炉の中に配した。この反応器にガス・タービンの排気に模した混気を出すガス排出装置に接続した。この排ガスを測定し、マセソン(Matheson)マスフロー測定器で測定し、制御した。予熱炉にコール・パルマー計器番号74900号の精密ポンプを用いて水を噴射した。他に記載するところを除けば、このテスト・ガスの組成を表2に示すとおりである。なお、吸着行程はすべて30,000hr-1の空間速度で行った。
【0022】
【表2】
【0023】
分析装置に加工処理したガスを通す以前に冷却機を用いて水を除いた。乾燥排ガスを表3に示す装置で分析した。H2S測定するために排ガスを最初にH2S−SO2変換器に通した。この変換器は482℃(900°F)に加熱したステンレス鋼製の管体からなるものである。再生時に、変換器に排ガスを入れる前の排ガスに酸素を加えた。このガスを測定したところ、100%H2SがSO2に変換していることを示した。幾つかの実験中にH2SをBOVARモデル922分析器を用いて測定した。
【0024】
【表3】
【0025】
標準再生サイクルを表4に示すガスの組成で、2,000hr-1の空間速度で行った。
【0026】
【表4】
【0027】
触媒の調整
次に示す例に用いる触媒を次のようにして調整した。
・セラミック・ハニカム・キャリヤー
・2.2g/in3の吸着材
・吸着材の成分の0.25乃至1.1重量%の白金
・金属硝酸塩先駆物質(0.00乃至0.30g/in3)を用いて製した金属調節剤
例1
例1は、149℃(300°F)の温度においてTiO2,TiO2/Pt,ZrO2/Pt及びCeO2/Pt系による30分30ppmSO2吸着試験を示す。TiO2の試料ではSO2の捕獲はわずかであったが、TiO2/Pt,ZrO2/Pt及びCeO2/Ptの触媒吸着材では、SO2の捕獲は図1に示すように多量であった。図1はTi、Zr、及びCeの効果と貴金属成分の重要性とを示している。TiO2の付着は2.18g/in3;XO2/Ptの付着は2.18g/in3(Ptは1.1%で、X=Ti,ZrまたはCeである。)
例2
例2はTiO2/Pt触媒吸着材(2.18g/in3;0.5%Pt)を用いて10分間260℃(500°F)で吸着を行った入口SO2濃度(60ppm対500ppm)の効果を示す。図2は高濃度の入口SO2に関する効果を示す。この好結果は触媒吸着材が飽和すると得られる。飽和後又は飽和中に触媒吸着材は還元ガス又は熱脱着によって再び活性化する。
【0028】
例3
例3は部分的に飽和したTiO2/Pt触媒吸着材を260℃(500°F)の温度で再生した場合を示す。触媒吸着材の再生で吸着材は再活性化し、最初の化合物がH2Sであったイオウ成分の濃縮した流れを生成した。再生サイクルは図3に示すように約10分であった。
例4
例4は、260℃(500°F)の温度で、30ppmSO2吸着サイクルと260℃(500°F)の温度での標準脱着サイクルとにおいて、30分間にTiO2/Pt触媒吸着材で捕獲され、そして放出されたイオウの量を示す。図4に示す結果は、脱着したイオウ化合物の量がその直前に行われた吸着サイクル時に吸着されたSO2の量と等しく、脱着されたガスは、H2SとSO2との混合物からなるものであることを示す。
【0029】
例5
例5は26℃(500°F)の温度で60ppmSO2吸着サイクルと、260℃(500°F)の温度で標準脱着サイクルとにおいて、20分間にTiO2/Pt/Cu試料によって吸着及び脱着されたイオウの量を示す。図5に示す結果は、脱着したイオウ成分の量がその直前の吸着サイクル時に吸着されたSO2の量に等しいことと、脱着された成分が最初はSO2であったことを示している。
例6
例6は一部に飽和したTiO2/Pt触媒吸着材の再生サイクル中にSO2又はH2Sとして放出されたイオウに付加される銅(金属調節剤)の効果を示す。この例を図6に示すと、Cu(NO3)2が0.3g/in3のところが最高で、すべてのイオウがSO2として放出されている。Cu(NO3)2がゼロであると、イオウの90%は、H2Sとして放出され、残る10%がSO2として放出されている。この効果はまた他の調節剤でも見受けられた。
【0030】
例7
例7はCu、Ag及びBi調節剤と共にTiO2/Pt(TiO2/Pt/Cu2.18g/in3;1.1%Pt;0.3g/in3 X(NO3)y;ここでX=Cu,Ag,Bi)を用いる20分、60ppm吸着サイクル中のSO2捕獲量を示す。SO2の妨害を突破する点に達するまでの初めのうちは、100%捕獲効率で、すべて類似の特徴を示している。効果を発揮する量は図7に示すように、時間と共に着実に増加している。
例8
例8はBi,Ag及びCu、金属調節剤と共にTiO2/Pt触媒吸着材の再生中に放出されたSO2を示す。これらの再生は20分間の30ppmSO2の吸着サイルクルの後に行われ、図8に示すように、SO2の遊離は殆ど同一である。
【0031】
例9
例9は貴金属成分を全く用いないTiO2/Cu調節剤/吸着材(2.18g/in3TiO2;0.3g/in3 Cu(NO3)2)による260℃(500°F)の温度での連続60ppmSO2吸着を示す。この結果は図9に示すようにTiO2/金属調節剤はイオウを捕獲するが、触媒吸着材は再生サイクルにおいて再生されない。
例10
例10は260℃(500°F)の温度において、TiO2/Pt/Cu触媒吸着材(2.18g/in3TiO2/Pt;0.3g/in3Cu(NO3)2)による60ppmSO2吸着サイクル時において、最も効果的にSO2を取り上げるPtの効果を示す。図10はTiO2/Pt/CuがPtの作用に直接関連していて、その取り上げ効果が高ければ高いほどイオウを捕獲する作用が優れていることを示す。
【0032】
例11
例11は、260℃(500°F)の温度において、TiO2/Pt/Cu触媒吸着材を用いて、250ppmSO2の吸着サイクルの25分間に煙道ガスについての酸素の効果を示す。図11は酸素がないとイオウ成分の吸着が顕著に低下することを示す。
例12
例12は各種の温度におけるTiO2/Pt触媒吸着材と327℃(620°F)の温度におけるTiO2/Pt/Cuの触媒吸着材とによる75分間、60ppmSO2の吸着行程において得たイオウ除去効果を示す。図12はその除去効果は温度の上昇に伴って上昇し、金属調節剤を添加すると幾分か下降することを示す。
【0033】
例13
例13は260℃(500°F)の温度において、TiO2/PtとTiO2/Pt/Cuの両触媒吸着材とを用いて行った吸着サイクル中に除かれたH2Sを示す。図13はその結果とH2Sが両触媒吸着材によって捕獲されることを示す。
例14
例14は260℃(500°F)の温度において部分的に飽和されているTiO2/Pt触媒吸着材の脱着行程時に最初にH2Sとして離脱したイオウを示す。その前の吸着行程は260℃(500°F)の温度で20分、20ppmH2Sサイクルを行った。図14はこの結果で、触媒吸着材はH2Sを捕獲した後にに再生することができることを示す。
【0034】
例15
この温度プログラム化脱着(TPD)試験においては、100ppmのSO2を用いて4分間の吸着サイクルを149℃(300°F)の温度で行った。(13cc TiO2/Pt 3.0g/in3 TiO2:1.1%Pt 空間速度=30,000hr-1)。温度を482℃(900°F)高めた後に、空間速度30,000hr-1をもって触媒上に窒素を通した。このTPDの試験によって4分間の作業工程において、捕獲されたイオウのすべてが高温度の再生時に放出されたものと見なされた。しかし、H2Sは全く検出されなかった。それ故、放出されたイオウは、すべてSO2の形のものだったのである。これは、H2Sは専らH2がある時に生成するものであることを示す。図15はイオウが2つのパルスで放出されることを示す。
【0035】
例16
この温度プログラム化脱着(TPD)試験において、250ppmのSO2を用いる10分間の吸着サイクルを260℃(500°F)の温度で行った。(13cc TiO2/Pt 3.0g/in3 TiO2:1.1%Pt 空間速度=20,000hr-1)。温度を高めた後に空気(約20.9%O2)を空間速度10,000hr-1で10分間触媒上を通過させた。脱着時にはSO2またはH2Sは全くなかったが、しかし、このサイクルを続けると、TiO2/Pt触媒吸着材が各482℃(900°F)の温度による空気再生時に再活性化した。これを図16に示す。再生ガスをイソプロパノールに通して、泡立ててイオウを分析した。相当量の溶解したイオウからSO2が再生時に放出されたことが判った。
【技術分野】
【0001】
この発明はガスの流れからガス状のイオウ化合物を除去する方法、より詳細には、再生することのできる触媒吸着材を使用して燃焼排ガス及び産業排ガスからSO2とH2Sとを除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大気の汚染の脅威から、環境問題の専門家たちは、イオウ酸化物類と硫化水素との許容排出量を厳しく制限し、現在もさらに一段と厳しい規制を続けている。その結果、排煙の脱硫(FGD)に用いられる各種の技術が開発され、さらに又その開発が続いている。
排煙脱硫技術を分類すると、湿式清浄化法と乾式清浄化法とになる。乾式清浄化法は排ガスをイオウの成分と化学反応させることによって全く異なる化合物にする固体物質に接触させるものである。この方法は、例えばH2Sと反応させて硫化亜鉛を生成するのに使用される酸化亜鉛のペレットのように固定したベッドとすることができる。硫化亜鉛のペレットが飽和状態に達したならば、これを取り除いて、他のペレットと交換しなければならない。乾式清浄化剤は粉末又は粒状のものにして、排ガス中に噴出させ、袋収容器又は静電式濾過装置を使用して、その反応生成物を除去する。粉末の一例を挙げると、石灰石の粉末がある。この石灰石の粉末を排ガスの流れの中に噴射すると、硫酸カルシウム及び/又は亜硫酸ヘミ水和物のスラッジを形成する。この物質は、通常、湿潤したスラリーとして送り込まれて、排ガス中で乾燥しイオウ酸化物と反応する。前記物質は、それから後に除去され、ゴミ処理場に放棄される。又乾式清浄化剤としては、例えば酸化アルミニウムの粒または球状体に付着された酸化銅も再生することができる。この再生することのできる銅による場合には、高温度に加熱するか、あるいは高温度において還元しなければならない。そのためには、吸着温度を再生温度よりも低温にする。
【0003】
湿式清浄化法においては、湿潤したスラリーまたはアミン溶液を使用し、排気温度をこれら溶液の沸点以下に下げる必要がある。こうした方法には、汚染されて役に立たなくなった生成物を蒸発させ伴出し生成し、再利用する以前に排気するか、あるいは精製する必要があるという不利益がある。
この発明はH2S、SO2の除去と、COの酸化とに関する新技術を提供するものである。この発明による新技術は、イオウ分を除去する接触酸化吸着法を利用するもので、最初にイオウ分を酸化し、前もって濃縮させ、次いで極めて小容量の濃縮した流れにして、イオウ、二酸化イオウ又は硫酸などの回収行程に送る。この新技術は従来の洗浄技術よりも遙かに利益がある。すなわち、この方法によれば、排気流の中で、酸化物を捕獲するモードと還元物の再生とを同じ温度で行えるという利点がある。さらにこの方法は乾式方法であって、イオウ分について選択的に作用し、酸化イオウを含まない高濃度で高純度のガスを生成するという利益がある。この発明の特徴の一つは、イオウ含有ガスの容量を減少させて、それ以外の処理にかかる経費を軽減するということにある。又、この発明の特徴は、93℃(200°F)乃至427℃(800°F)の広温度範囲で作動することができると云うことにある。この発明は、吸着効率が99.75%以上の高率で、しかも圧力降下が頗る少ないと云う利点を特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−275695号公報
【特許文献2】特開昭61−64317号公報
【特許文献3】特表平7−505856号公報
【特許文献4】特表平6−505430号公報
【特許文献5】特開平6−327967号公報
【特許文献6】特開平4−250851号公報
【特許文献7】特開平5−138026号公報
【特許文献8】特開昭58−36906号公報
【発明の概要】
【0005】
この発明の第一の実施態様は、排出燃焼ガスの流れ及び産業処理ガスの流れなどのガス流からガス状のイオウ化合物類、特にSO2及び/又はH2Sを除去する方法であって、その方法はガス状のイオウ化合物を、イオウを吸着する状態の触媒吸着材と接触させることにある。前記の触媒吸着材は貴金属触媒と、金属酸化物吸着材成分と、Ag,Cu,Bi,Sb,Sn,As,In,Pb,Au又はその混合物の酸化物から選択した物質とから成り、前記ガス状のイオウ化合物を前記の排ガス及び産業排ガスから前記の触媒吸着材に移行させることにある。この方法の好ましい実施態様においては、イオウ含有ガス流を堰き止めて、触媒吸着材に吸着されているイオウ成分が触媒吸着材から離脱する条件下で、前記触媒吸着材に再生ガスを接触させて、吸着されていたイオウをこの触媒吸着材から除去する。最も好ましい実施態様は、前記の吸着処理と再生処理とを交互に行うことにある。
【0006】
再生されたガスは、損なわれた環境を好転させるものである。還元剤には水素と炭化水素あるいはその混合物等がある。炭化水素はC1−C12の炭化水素類から成るものとすることが望ましく、これら炭化水素類はそれ自体の化合物または数種類の化合物の混合物として使用することができる。通常、還元剤はメタン及び/又は炭化水素類の混合物から成っている。主なメタン源は天然ガスである。主なガス流の成分は窒素ガス、ヘリウム、アルゴン又は蒸気などの不活性キャリヤーガスである。前記の「主な成分」とは50%以上存在することを意味する。再生をするには、不活性キャリヤーガスだけか、あるいは酸素の存在中で行う。空気も再生に使用することができる。
【0007】
この発明の第二の実施態様は触媒吸着材を提供することにある。貴金属成分としてはPt,Pd,Rh,Ru又はその混合物類で、好ましくはPtである。金属酸化物吸着材成分はTi,Zr,Hf,Ce,Al,Siまたはその混合物類の酸化物である。これらの成分に加えて、触媒吸着材には、随意、Ag,Cu,Bi,Sb,Sn,As,In,Pb,Au又はその混合物類から成る調節物質、望ましくはCu,Ag,Bi及びその混合物を含ませる。この調節物質を含ませる理由は、再生時にH2Sが生成するのを阻止するためである。
触媒吸着材はペレット状、球状、粉末状又は押し出し成形したものを用いる。好ましくは、触媒吸着材はキャリヤーに被覆して、それが触媒吸着材の総量の1乃至50重量%になるようにする。貴金属成分は触媒吸着材中に0.005乃至20.0重量%程度含まれるようにすることが望ましく、吸着材の成分は触媒吸着材の70乃至99重量%存在するようにすることが望ましく、調節剤は触媒吸着材の1乃至10重量%とすることが好ましい。
【0008】
この発明では、イオウ酸化物類はガス流から除かれて、触媒/吸着の表面へと移行されるわけであるが、イオウがどのような形で、またいかなるメカニズムで触媒吸着材に結合するのか判然としていない。この発明においては、ガス流中のイオウ化合物類は酸化雰囲気中の触媒吸着材と何らかの状態で離脱することができるように結合するのである。イオウは元素の形ではなくて、化合物の形で触媒吸着材に結合するものと思われる。元素イオウは観察されなかった。このイオウはイオウ化合物のより濃縮された流れとなって、触媒吸着材から除去されることが好ましい。なお、化合物類のパーセンテージや割合等について重量か容量であるか等を記載しないときには、すべて重量によるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】30ppmSO2及び異なる触媒吸着材組成について表2に示す条件で行った149℃(300°F)−30分の吸着行程における出口SO2の値を示す。
【図2】260℃(500°F)における500ppmSO2吸着行程を60ppmSO2吸着行程における出口SO2の値を示す。
【図3】部分飽和したTiO2/Pt触媒吸着材の再生時に放出されたイオウ成分を示す。
【図4】260℃(500°F)における20分の行程と、それに続くTiO2/Pt/Cu触媒吸着材の還元再生中に捕獲され放出されたSO2の量を示す。
【図5】260℃(500°F)における20分の行程とそれに続くTiO2/Pt/Cuの再生中に捕獲され放出されたSO2の量を示す。
【図6】TiO2/Pt/Cu系を用いて260℃(500°F)の再生(表4)中に放出されたH2SとSO2の比率に関し、先駆Cu(NO3)2として示されたCu装加の効果を示す。
【図7】Bi,AgまたはCuを用いて変えたTiO2/Pt触媒吸着材を用いて行った149℃(300°F)、60ppmSO2吸着行程を示す。
【図8】Bi,AgまたはCuを用いて変えたTiO2/Pt触媒吸着材の再生中に放出するSO2を示す。
【図9】260℃(500°F)で貴金属触媒成分を具備しないTiO2/Cu吸着材/調節剤を用いて行った連続60ppmSO2サイクルを示す。
【図10】260℃(500°F)で60ppmSO2行程のサイクル時にSO2の最高効果時の吸着材/キャリヤーの重量%として報じられたPt装架の効果を示す。
【図11】TiO2/Pt触媒吸着材系に関するSO2の吸着についての酸素の効果を示す。
【図12】271,327及び432℃(520,620及び810°F)におけるTiO2/Pt系と327℃(620°F)におけるTiO2/Pt/Cu系とによる75分間の60ppm吸着サイクルにおいて得た捕獲効率を比較して示す。
【図13】260℃(500°F)の温度の30ppm入口H2SについてTiO2/PtとTiO2/Pt/Cu触媒吸着材によるH2S吸着を示す。
【図14】図13に示すTiO2/Pt系を用いた吸着行程後に捕獲されたH2Sの脱着を示す。
【図15】260℃(500°F)で100ppmSO2を吸着させる以前に不活性ガスを用いて482℃(900°F)で吸着中に放出されたSO2を示す。
【図16】標準再生及び熱再生を空気を用いて次々と行う250ppmSO2吸着行程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
吸着段階は37.8乃至538℃(100乃至1000°F)、好ましくは149乃至316℃(300乃至600°F)の温度で、200乃至200,000hr-1のGHSV(時間当たりガスの空間速度)、好ましくは1,000乃至120,000hr-1において行う。圧力は大気圧以下から500psigの範囲とする。
脱着段階は、37.8乃至538℃(100乃至1000°F)好ましくは、149乃至482℃(300乃至900°F)の温度で、20乃至20,000hr-1のGHSV、好ましくは50乃至10,000hr-1で行う。圧力範囲は大気圧以下から500psigとする。
【0011】
この吸着/脱着を行うことについて、送り込まれたイオウ化合物は、5乃至100倍も濃縮する。
キャリヤーを使用する場合には、そのキャリヤーはハニカム構造をしたセラミック又は金属製の一体構造とし、キャリヤーは触媒吸着材と何らかの調節剤とを分布させるのに用いる。諸成分はキャリヤーの所望の部位に付着される。セラミックのキャリヤーの組成は任意の酸化物又は酸化物類の組み合わせとする。適当な酸化物のキャリヤーにはAl,Zr,Ca,Mg,Hf,Ti及び酸化物類の各種混合物、例えばコージライト及びムライトがある。
【0012】
キャリヤーの構造と組成は頗る重要である。キャリヤーの構造は触媒吸着材を流れる流れのパターン、つまり触媒の表面に流れていって離れ去る状態に影響を及ぼす。触媒の表面に接触作用をする化合物類を効果的に送るような構造にすることは、触媒吸着材の効率に影響を与える。キャリヤーには6.45平方cm(1平方インチ)当たり64乃至600の小室を備え、直径2.5cm(1インチ)当たり約25乃至80個の小孔を有する多孔質の物とすることが望ましいが、2.5cmあたり5乃至90個の子孔を備えるものがより望ましい。
触媒吸着材は吸着/脱着のサイクルを繰り返すことによって、調整される。この調整時に離脱されるイオウ成分類の量は、再生毎に増加して、吸着された量と等しくなる。希釈したH2SO4で触媒吸着材を前処理すると、コンディショニングする調整時間が著しく短縮することがわかった。例えば12時間かかるものがH2SO4で前処理したところ、149℃(300°F)の温度で僅か数時間で調整された。また調整時間は吸着と再生とを遂行する温度によって変わることも判明した。温度を増加すると、離脱する量が増すので、調整時間が短縮する。なお、吸着/再生のサイクルを数回繰り返して、そのまま放置すると、触媒吸着材は調整されてしまうから、特別にコンディショニングを行う必要はない。
【0013】
触媒吸着材によって消費されるSO2の量を触媒吸着材の容量と呼ぶことにする。この容量についての研究によって、次のような結論を得た。
1.吸着/脱着の温度が増加すると、容量が増加する。
2.触媒吸着材の量が増すと、容量が増加する。
3.触媒吸着材中の貴金属の含有量が増加すれば、容量が増加する。
この研究時に使用した触媒吸着材はセラミック・ハニカム・キャリヤーに被覆したものであった。この触媒吸着材/キャリヤーは白金の含量が0.5%のTiO2/Ptを3.48g/in3含有した物であった。この試料を20ccSO2/in3とした。この数値はSO2を10%より遙かに少量のものとしたので、20ccという値は最小値である。
【0014】
実験データによると、触媒吸着材の飽和時のSO2/Ptモル比は10であった。このように吸着されたSO2の量が多量であるということは、白金の作用は吸着材に対するものではないということになる。この理論によると、白金はSO2の接触酸化時にSO2の吸着を促進し、それから後、イオウを調整されたTiO2/Ptの表面に吸着する。
TiO2/Pt/Cu系の容量をTiO2/Pt系について行ったのと類似の方法で調べた。その結果は殆ど同一であった。その結論を述べると、次の通りである。
1.吸着/脱着の温度を増加すると、容量は増加する。
2.TiO2/Ptの装填を増すと、容量が増す。
【0015】
3.TiO2/Ptの白金の含量を増加すると容量が増す。
銅条件材は吸着材の容量に殆ど影響を及ぼさなかった。
この発明によれば、イオウは、例えばTiO2/Pt系の触媒吸着材によって、149℃(300°F)の低温度において捕獲され、放出される。しかし、再生時に放出された脱着成分は、主にH2SとSO2の混合物から成っている。H2S/SO2の比は滞留時間及び/又は条件剤の有無に依存する。適用によってはH2Sは望ましくないので、イオウ成分をSO2として放出することが好ましいと思われる。
脱着したイオウ成分の性質は触媒吸着材に調節剤を添加することによって変えることができる。調節剤は、各種のものを用いることができるが、現在のところでは、銅、銀、及びビスマスがもっとも効果的である。触媒吸着材に調節剤を添加すると、イオウがSO2として除かれる量が増加し、H2Sの生成を減少させるか或いは抑止する。調節剤は触媒吸着材に直につけるか、その内部に配する。調節剤の種類は処理に応じて決めるが、最も効果的なものは銅・ビスマス及び銀である。
【0016】
調節剤として貴金属、例えば白金が無いものとして即ちウォシュコート中に吸着材だけ、例えばTiO2/Cuだけで調べてみた。いろいろと調べてイオウを捕獲することを見つけたけれども、再生時におけるSO2あるいはH2Sの離脱は達成されず、吸着材はすぐに飽和してしまった。これを図9に示す。この図の場合は、連続的に60ppmSO2吸着サイクルをTiO2/Cu試料について行ったものである。各吸着サイクルの間に再生を行った。その結果としては各行程についての除去効率が低下している。
調節剤として、例えばCuを触媒吸着材に添加すると、吸着サイクル時に捕獲したSO2が標準とする再生サイクル中に放出されることがわかった。この状態を図5に示す。この場合においては、吸着サイクルと脱着サイクルとで7.7ccSO2となっている。再生時に離脱したイオウはSO2であった。この再生時にはH2Sは検出されなかった。
【0017】
図5において、使用した触媒吸着材に添加したCu(NO3)2先駆物質は、0.3g/in3であった。図6はSO2及びH2Sとして離脱されたイオウに添加したCu(NO3)2の効果を示すものである。この図6で、0.3g/in3の付近が最も多量に離脱していることがわかり、再生時に離脱したイオウ化合物類は、すべてSO2としてであるが、0.3g/in3以下でもH2Sが離脱しており、離脱するH2Sの量はCu(NO3)2の添加量を減らすと増加している。この効果は別のTiO2/Pt/X(この式でXはビスマス及び銀などの金属調節剤である)でも見受けられた。調節剤を添加すると、H2S/SO2の割合が変わるという効果は、この発明のすばらしい特徴である。希釈流からイオウを吸着し、次でこれをクラウス法で水とイオウとを分離するのに適切なH2S/SO2比で濃縮した流れに送ることは従来、開示されていない。図6はCu(NO3)2添加物をこうした目的に使用することができることを明瞭に示すものである。
【0018】
図12は、各種の温度におけるTiO2/Ptの除去の効率と、329℃(620°F)におけるTiO2/Pt/Cu系の除去の効率とを示す。同図によってTiO2/Pt系の効力は温度が高くなると上昇することが明らかである。銅その他の調節剤の役割は、H2Sの形成を減ずるために触媒の再生を変更する場合にのみ存在することがわかる。
SO2の入口濃度を増加するか、或いは吸着時間を長くすると、TiO2/Pt触媒吸着材を最後に飽和してしまって、SO2の生成が高まる。図2はこのことを示すもので、500ppmの吸着行程と、60ppmの吸着行程とを共に10分間行ったものである。
図2では60ppmの吸着行程ではSO2の放出量が上昇する様子を全く見せていない。500ppmの吸着行程においては、SO2の最初の3分間の放出量は比較的少ない(<40ppm)が、3分後のSO2の放出量は急激に上昇している。この放出量の上昇は吸着側の大部分が消費された時に招かれる。
【実施例】
【0019】
以下に記載する実験例に使用した触媒吸着材は6.45平方cm当たり200個(200セル/平方インチ)の四角形の孔を有するコージライト(菫青石)のハニカムに形成させた。TiO2/Ptウォシュコートを触媒吸着材に被覆した。Ptの含量は0.1乃至2.2%の範囲とした。500℃の温度で乾燥してカ焼してから、これに7%酢酸中に分散し、一晩中ボールミルにかけて粉砕した。セラミック・ハニカムをウォシュコート/Ptのスラリー中に浸漬して後、風を当てて、さらに150℃の温度で乾かした。
TiO2/Pt/Xの試料はTiO2/Ptハニカムの試料を調節剤溶液に浸漬して製した。次で、試料を取り出し、風を当て、最後に150℃の温度で乾かした。触媒吸着材の一応の組成は表1に示すとおりである。
【0020】
【表1】
【0021】
実験するために試料304ステンレス鋼の管状反応器に入れて、これを区室が3個ある炉の中に配した。この反応器にガス・タービンの排気に模した混気を出すガス排出装置に接続した。この排ガスを測定し、マセソン(Matheson)マスフロー測定器で測定し、制御した。予熱炉にコール・パルマー計器番号74900号の精密ポンプを用いて水を噴射した。他に記載するところを除けば、このテスト・ガスの組成を表2に示すとおりである。なお、吸着行程はすべて30,000hr-1の空間速度で行った。
【0022】
【表2】
【0023】
分析装置に加工処理したガスを通す以前に冷却機を用いて水を除いた。乾燥排ガスを表3に示す装置で分析した。H2S測定するために排ガスを最初にH2S−SO2変換器に通した。この変換器は482℃(900°F)に加熱したステンレス鋼製の管体からなるものである。再生時に、変換器に排ガスを入れる前の排ガスに酸素を加えた。このガスを測定したところ、100%H2SがSO2に変換していることを示した。幾つかの実験中にH2SをBOVARモデル922分析器を用いて測定した。
【0024】
【表3】
【0025】
標準再生サイクルを表4に示すガスの組成で、2,000hr-1の空間速度で行った。
【0026】
【表4】
【0027】
触媒の調整
次に示す例に用いる触媒を次のようにして調整した。
・セラミック・ハニカム・キャリヤー
・2.2g/in3の吸着材
・吸着材の成分の0.25乃至1.1重量%の白金
・金属硝酸塩先駆物質(0.00乃至0.30g/in3)を用いて製した金属調節剤
例1
例1は、149℃(300°F)の温度においてTiO2,TiO2/Pt,ZrO2/Pt及びCeO2/Pt系による30分30ppmSO2吸着試験を示す。TiO2の試料ではSO2の捕獲はわずかであったが、TiO2/Pt,ZrO2/Pt及びCeO2/Ptの触媒吸着材では、SO2の捕獲は図1に示すように多量であった。図1はTi、Zr、及びCeの効果と貴金属成分の重要性とを示している。TiO2の付着は2.18g/in3;XO2/Ptの付着は2.18g/in3(Ptは1.1%で、X=Ti,ZrまたはCeである。)
例2
例2はTiO2/Pt触媒吸着材(2.18g/in3;0.5%Pt)を用いて10分間260℃(500°F)で吸着を行った入口SO2濃度(60ppm対500ppm)の効果を示す。図2は高濃度の入口SO2に関する効果を示す。この好結果は触媒吸着材が飽和すると得られる。飽和後又は飽和中に触媒吸着材は還元ガス又は熱脱着によって再び活性化する。
【0028】
例3
例3は部分的に飽和したTiO2/Pt触媒吸着材を260℃(500°F)の温度で再生した場合を示す。触媒吸着材の再生で吸着材は再活性化し、最初の化合物がH2Sであったイオウ成分の濃縮した流れを生成した。再生サイクルは図3に示すように約10分であった。
例4
例4は、260℃(500°F)の温度で、30ppmSO2吸着サイクルと260℃(500°F)の温度での標準脱着サイクルとにおいて、30分間にTiO2/Pt触媒吸着材で捕獲され、そして放出されたイオウの量を示す。図4に示す結果は、脱着したイオウ化合物の量がその直前に行われた吸着サイクル時に吸着されたSO2の量と等しく、脱着されたガスは、H2SとSO2との混合物からなるものであることを示す。
【0029】
例5
例5は26℃(500°F)の温度で60ppmSO2吸着サイクルと、260℃(500°F)の温度で標準脱着サイクルとにおいて、20分間にTiO2/Pt/Cu試料によって吸着及び脱着されたイオウの量を示す。図5に示す結果は、脱着したイオウ成分の量がその直前の吸着サイクル時に吸着されたSO2の量に等しいことと、脱着された成分が最初はSO2であったことを示している。
例6
例6は一部に飽和したTiO2/Pt触媒吸着材の再生サイクル中にSO2又はH2Sとして放出されたイオウに付加される銅(金属調節剤)の効果を示す。この例を図6に示すと、Cu(NO3)2が0.3g/in3のところが最高で、すべてのイオウがSO2として放出されている。Cu(NO3)2がゼロであると、イオウの90%は、H2Sとして放出され、残る10%がSO2として放出されている。この効果はまた他の調節剤でも見受けられた。
【0030】
例7
例7はCu、Ag及びBi調節剤と共にTiO2/Pt(TiO2/Pt/Cu2.18g/in3;1.1%Pt;0.3g/in3 X(NO3)y;ここでX=Cu,Ag,Bi)を用いる20分、60ppm吸着サイクル中のSO2捕獲量を示す。SO2の妨害を突破する点に達するまでの初めのうちは、100%捕獲効率で、すべて類似の特徴を示している。効果を発揮する量は図7に示すように、時間と共に着実に増加している。
例8
例8はBi,Ag及びCu、金属調節剤と共にTiO2/Pt触媒吸着材の再生中に放出されたSO2を示す。これらの再生は20分間の30ppmSO2の吸着サイルクルの後に行われ、図8に示すように、SO2の遊離は殆ど同一である。
【0031】
例9
例9は貴金属成分を全く用いないTiO2/Cu調節剤/吸着材(2.18g/in3TiO2;0.3g/in3 Cu(NO3)2)による260℃(500°F)の温度での連続60ppmSO2吸着を示す。この結果は図9に示すようにTiO2/金属調節剤はイオウを捕獲するが、触媒吸着材は再生サイクルにおいて再生されない。
例10
例10は260℃(500°F)の温度において、TiO2/Pt/Cu触媒吸着材(2.18g/in3TiO2/Pt;0.3g/in3Cu(NO3)2)による60ppmSO2吸着サイクル時において、最も効果的にSO2を取り上げるPtの効果を示す。図10はTiO2/Pt/CuがPtの作用に直接関連していて、その取り上げ効果が高ければ高いほどイオウを捕獲する作用が優れていることを示す。
【0032】
例11
例11は、260℃(500°F)の温度において、TiO2/Pt/Cu触媒吸着材を用いて、250ppmSO2の吸着サイクルの25分間に煙道ガスについての酸素の効果を示す。図11は酸素がないとイオウ成分の吸着が顕著に低下することを示す。
例12
例12は各種の温度におけるTiO2/Pt触媒吸着材と327℃(620°F)の温度におけるTiO2/Pt/Cuの触媒吸着材とによる75分間、60ppmSO2の吸着行程において得たイオウ除去効果を示す。図12はその除去効果は温度の上昇に伴って上昇し、金属調節剤を添加すると幾分か下降することを示す。
【0033】
例13
例13は260℃(500°F)の温度において、TiO2/PtとTiO2/Pt/Cuの両触媒吸着材とを用いて行った吸着サイクル中に除かれたH2Sを示す。図13はその結果とH2Sが両触媒吸着材によって捕獲されることを示す。
例14
例14は260℃(500°F)の温度において部分的に飽和されているTiO2/Pt触媒吸着材の脱着行程時に最初にH2Sとして離脱したイオウを示す。その前の吸着行程は260℃(500°F)の温度で20分、20ppmH2Sサイクルを行った。図14はこの結果で、触媒吸着材はH2Sを捕獲した後にに再生することができることを示す。
【0034】
例15
この温度プログラム化脱着(TPD)試験においては、100ppmのSO2を用いて4分間の吸着サイクルを149℃(300°F)の温度で行った。(13cc TiO2/Pt 3.0g/in3 TiO2:1.1%Pt 空間速度=30,000hr-1)。温度を482℃(900°F)高めた後に、空間速度30,000hr-1をもって触媒上に窒素を通した。このTPDの試験によって4分間の作業工程において、捕獲されたイオウのすべてが高温度の再生時に放出されたものと見なされた。しかし、H2Sは全く検出されなかった。それ故、放出されたイオウは、すべてSO2の形のものだったのである。これは、H2Sは専らH2がある時に生成するものであることを示す。図15はイオウが2つのパルスで放出されることを示す。
【0035】
例16
この温度プログラム化脱着(TPD)試験において、250ppmのSO2を用いる10分間の吸着サイクルを260℃(500°F)の温度で行った。(13cc TiO2/Pt 3.0g/in3 TiO2:1.1%Pt 空間速度=20,000hr-1)。温度を高めた後に空気(約20.9%O2)を空間速度10,000hr-1で10分間触媒上を通過させた。脱着時にはSO2またはH2Sは全くなかったが、しかし、このサイクルを続けると、TiO2/Pt触媒吸着材が各482℃(900°F)の温度による空気再生時に再活性化した。これを図16に示す。再生ガスをイソプロパノールに通して、泡立ててイオウを分析した。相当量の溶解したイオウからSO2が再生時に放出されたことが判った。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状のイオウ化合物類を含有するガス流をイオウを吸着する状態にある触媒吸着材と接触させることと、前記触媒吸着材を、Pt,Pd,Rh,Ru又はその混合物から成る貴金属成分と、Ti,Zr,Hf,Ce,Al,Si及びその混合物からなる部類から選択した金属酸化物吸着材成分と、Ag,Cu,Bi,Sb,Sn,As,In,Pb,Au又はその混合物の酸化物から成る調節剤とから成るものとしたことと、前記ガス流から前記ガス状のイオウ化合物類の一部を除去することとから成るガス流からガス状のイオウ化合物類を除去する方法。
【請求項2】
前記調節剤は前記触媒吸着剤1cm3当たり0.018g以上であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記貴金属成分をPtとする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
金属酸化物吸着材成分をTi,Zr,Hf,Ce又はその混合物類の酸化物とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記調節剤をCu,Ag,Bi又はその混合物の酸化物とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記調節剤をCu酸化物とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記調節剤をAg酸化物とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記調節剤をBi酸化物とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ガス状のイオウ化合物を含有する流れを遮断し、触媒吸着材にイオウ化合物を脱着する条件の下で再生ガス流と触媒吸着材とを接触させて前記触媒吸着材から吸着されたイオウ成分を脱着するようにした請求項1に記載の方法。
【請求項10】
再生ガスを不活性キャリヤーガスと還元成分から成るものとする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記不活性キャリヤーガスを窒素、ヘリウム、アルゴン又は蒸気とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記還元成分を水素、メタン、C1乃至C12の炭化水素類又はその混合物とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記再生ガスを窒素、ヘリウム、アルゴン又は蒸気とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記再生ガスが酸素を含むものとする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記再生ガスを窒素、ヘリウム、アルゴン又は酸素を伴う蒸気とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記再生時に脱着温度を上昇させて熱脱着を促進するため可燃性ガスを添加するようにした請求項9に記載の方法。
【請求項17】
Pt,Pd,Rh,Ru又はその混合物から成る貴金属触媒成分と、Ti,Zr,Hf,Ce,Al,Si又はその混合物類から選択した金属酸化物吸着材成分と、Ag,Cu,Bi,Sb,Sn,As,In,Pb,Au又はその混合物の酸化物から成る調節剤とから成る触媒吸着材。
【請求項18】
前記調節剤は前記触媒吸着剤1cm3当たり0.018g以上であることを特徴とする請求項17に記載の触媒吸着材。
【請求項19】
前記貴金属成分をPtとする請求項17に記載の触媒吸着材。
【請求項20】
金属酸化物吸着材成分をTi,Zr,Hf,Ce又はその混合物とする請求項17に記載の触媒吸着材。
【請求項21】
前記調節剤をCu,Ag,Bi又はその混合物の酸化物とする請求項17に記載の触媒吸着材。
【請求項22】
前記調節剤をCu酸化物とする請求項17に記載の触媒吸着材。
【請求項23】
前記調節剤をAg酸化物とする請求項17に記載の触媒吸着材。
【請求項24】
前記調節剤をBi酸化物とする請求項17に記載の触媒吸着材。
【請求項25】
モノリス・キャリヤーとPt,Pd,Rh,Ru又はその混合物から成る貴金属触媒成分から成る触媒吸着材と、Ti,Zr,Hf,Ce,Al,Si又はその混合物から選択した金属酸化物吸着材成分と、前記キャリヤーに沈着させたAg,Cu,Bi,Sb,Sn,As,In,Pb,Au又はその混合物の酸化物から成る調節剤とから成る触媒構造体。
【請求項26】
前記触媒吸着材をキャリヤーと触媒吸着材との総重量の1乃至50重量%とする請求項25に記載の触媒構造体。
【請求項27】
前記貴金属成分を触媒吸着材の0.005乃至20.0重量%とする請求項26に記載の触媒構造体。
【請求項28】
前記吸着材成分を触媒吸着材の70乃至99重量%とする請求項27に記載の触媒構造体。
【請求項29】
前記調節剤を前記触媒吸着材の1乃至10重量%とする請求項28に記載の触媒構造体。
【請求項30】
第一の濃度のイオウ化合物の第一のガス状のイオウ化合物を含有する流れに0.005乃至20重量%のPt,Pd,Rh,Ru又はその混合物から成る貴金属触媒成分と、Ti,Zr,Hf,Ce,Al,Si又はその混合物から選択した70乃至99重量%の金属酸化物吸着材と、1乃至10重量%のAg,Cu,Bi,Sb,Sn,As,In,Pb,Au又はその混合物の酸化物とからなる触媒吸着材とを、前期触媒吸着材上に通す前記ガス状の流れから前記イオウ化合物の一部を除去する条件において接触させることと、
前記ガス状のイオウを含有する流れから前記イオウ化合物の一部を除去することと、
前記ガス状のイオウ化合物を含有する流れを中断させることと、
前記触媒吸着材を再生ガスと接触させて前記触媒吸着材からイオウ化合物を前記再生ガス中へ第二の濃度において移動させて、SO2またはSO2とH2Sの混合物からなる前記再生ガスとガス状のイオウ化合物成分とから成る第二のガス状のイオウ化合物を形成させることとからなり、イオウ化合物の組成を前記触媒吸着材中に存在する調節剤の量によって調節できるようにしたこととからなる再生流中のH2SとSO2の量を調節する方法。
【請求項1】
ガス状のイオウ化合物類を含有するガス流をイオウを吸着する状態にある触媒吸着材と接触させることと、前記触媒吸着材を、Pt,Pd,Rh,Ru又はその混合物から成る貴金属成分と、Ti,Zr,Hf,Ce,Al,Si及びその混合物からなる部類から選択した金属酸化物吸着材成分と、Ag,Cu,Bi,Sb,Sn,As,In,Pb,Au又はその混合物の酸化物から成る調節剤とから成るものとしたことと、前記ガス流から前記ガス状のイオウ化合物類の一部を除去することとから成るガス流からガス状のイオウ化合物類を除去する方法。
【請求項2】
前記調節剤は前記触媒吸着剤1cm3当たり0.018g以上であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記貴金属成分をPtとする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
金属酸化物吸着材成分をTi,Zr,Hf,Ce又はその混合物類の酸化物とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記調節剤をCu,Ag,Bi又はその混合物の酸化物とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記調節剤をCu酸化物とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記調節剤をAg酸化物とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記調節剤をBi酸化物とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ガス状のイオウ化合物を含有する流れを遮断し、触媒吸着材にイオウ化合物を脱着する条件の下で再生ガス流と触媒吸着材とを接触させて前記触媒吸着材から吸着されたイオウ成分を脱着するようにした請求項1に記載の方法。
【請求項10】
再生ガスを不活性キャリヤーガスと還元成分から成るものとする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記不活性キャリヤーガスを窒素、ヘリウム、アルゴン又は蒸気とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記還元成分を水素、メタン、C1乃至C12の炭化水素類又はその混合物とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記再生ガスを窒素、ヘリウム、アルゴン又は蒸気とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記再生ガスが酸素を含むものとする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記再生ガスを窒素、ヘリウム、アルゴン又は酸素を伴う蒸気とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記再生時に脱着温度を上昇させて熱脱着を促進するため可燃性ガスを添加するようにした請求項9に記載の方法。
【請求項17】
Pt,Pd,Rh,Ru又はその混合物から成る貴金属触媒成分と、Ti,Zr,Hf,Ce,Al,Si又はその混合物類から選択した金属酸化物吸着材成分と、Ag,Cu,Bi,Sb,Sn,As,In,Pb,Au又はその混合物の酸化物から成る調節剤とから成る触媒吸着材。
【請求項18】
前記調節剤は前記触媒吸着剤1cm3当たり0.018g以上であることを特徴とする請求項17に記載の触媒吸着材。
【請求項19】
前記貴金属成分をPtとする請求項17に記載の触媒吸着材。
【請求項20】
金属酸化物吸着材成分をTi,Zr,Hf,Ce又はその混合物とする請求項17に記載の触媒吸着材。
【請求項21】
前記調節剤をCu,Ag,Bi又はその混合物の酸化物とする請求項17に記載の触媒吸着材。
【請求項22】
前記調節剤をCu酸化物とする請求項17に記載の触媒吸着材。
【請求項23】
前記調節剤をAg酸化物とする請求項17に記載の触媒吸着材。
【請求項24】
前記調節剤をBi酸化物とする請求項17に記載の触媒吸着材。
【請求項25】
モノリス・キャリヤーとPt,Pd,Rh,Ru又はその混合物から成る貴金属触媒成分から成る触媒吸着材と、Ti,Zr,Hf,Ce,Al,Si又はその混合物から選択した金属酸化物吸着材成分と、前記キャリヤーに沈着させたAg,Cu,Bi,Sb,Sn,As,In,Pb,Au又はその混合物の酸化物から成る調節剤とから成る触媒構造体。
【請求項26】
前記触媒吸着材をキャリヤーと触媒吸着材との総重量の1乃至50重量%とする請求項25に記載の触媒構造体。
【請求項27】
前記貴金属成分を触媒吸着材の0.005乃至20.0重量%とする請求項26に記載の触媒構造体。
【請求項28】
前記吸着材成分を触媒吸着材の70乃至99重量%とする請求項27に記載の触媒構造体。
【請求項29】
前記調節剤を前記触媒吸着材の1乃至10重量%とする請求項28に記載の触媒構造体。
【請求項30】
第一の濃度のイオウ化合物の第一のガス状のイオウ化合物を含有する流れに0.005乃至20重量%のPt,Pd,Rh,Ru又はその混合物から成る貴金属触媒成分と、Ti,Zr,Hf,Ce,Al,Si又はその混合物から選択した70乃至99重量%の金属酸化物吸着材と、1乃至10重量%のAg,Cu,Bi,Sb,Sn,As,In,Pb,Au又はその混合物の酸化物とからなる触媒吸着材とを、前期触媒吸着材上に通す前記ガス状の流れから前記イオウ化合物の一部を除去する条件において接触させることと、
前記ガス状のイオウを含有する流れから前記イオウ化合物の一部を除去することと、
前記ガス状のイオウ化合物を含有する流れを中断させることと、
前記触媒吸着材を再生ガスと接触させて前記触媒吸着材からイオウ化合物を前記再生ガス中へ第二の濃度において移動させて、SO2またはSO2とH2Sの混合物からなる前記再生ガスとガス状のイオウ化合物成分とから成る第二のガス状のイオウ化合物を形成させることとからなり、イオウ化合物の組成を前記触媒吸着材中に存在する調節剤の量によって調節できるようにしたこととからなる再生流中のH2SとSO2の量を調節する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−131213(P2011−131213A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23666(P2011−23666)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【分割の表示】特願2000−558901(P2000−558901)の分割
【原出願日】平成11年6月16日(1999.6.16)
【出願人】(500415900)エメラケム エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【分割の表示】特願2000−558901(P2000−558901)の分割
【原出願日】平成11年6月16日(1999.6.16)
【出願人】(500415900)エメラケム エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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