イオン注入における設備の動作可能時間を延長するための方法および装置
【課題】耐用年数を増加し、機器の停止時間を減少させるイオンビームを生成する方法および装置を提供すること。
【解決手段】イオン源(400)の耐用年数は、反応性ハロゲンガス(FまたはCl)を使用して、イオン源(400)および引出し電極(405)のインサイチュでのエッチング洗浄の備えを有する供給源によって、ならびに洗浄間のサービス期間を延長する特徴を有することによって強化または延長される。後者は、正確な蒸気流制御、イオンビーム光学素子の正確な集束、および沈着物の形成を防止するか、または電極の破壊を防止する引出し電極の熱制御を含む。半導体ウェハ処理用のドーパントイオンを生成するためのイオン源から成る装置は、遠隔プラズマ源に結合され、このプラズマ源は、第1イオン源および引出し電極内の沈着物を洗浄することを目的として、第1イオン源にFイオンまたはClイオンを供給する。
【解決手段】イオン源(400)の耐用年数は、反応性ハロゲンガス(FまたはCl)を使用して、イオン源(400)および引出し電極(405)のインサイチュでのエッチング洗浄の備えを有する供給源によって、ならびに洗浄間のサービス期間を延長する特徴を有することによって強化または延長される。後者は、正確な蒸気流制御、イオンビーム光学素子の正確な集束、および沈着物の形成を防止するか、または電極の破壊を防止する引出し電極の熱制御を含む。半導体ウェハ処理用のドーパントイオンを生成するためのイオン源から成る装置は、遠隔プラズマ源に結合され、このプラズマ源は、第1イオン源および引出し電極内の沈着物を洗浄することを目的として、第1イオン源にFイオンまたはClイオンを供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、1つまたは複数の気体または蒸発供給材料がイオン源内でイオン化されるイオンビームの製造に関する。本発明は、半導体基板およびフラットパネルディスプレイ用の基板のイオン注入用のイオンビームを生成するためにイオン源を作動させる方法および装置にさらに関する。特に、本発明は、イオンビームを生成するシステムの生産的な時間(つまり、「動作可能時間」)の延長に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
イオンビームは、イオン源から抽出されるイオンから生成される。イオン源は、一般に、高電圧電源に接続される電離箱を使用する。電離箱は、例えばアーク放電、電子放出陰極からの強力な電子、または無線周波数もしくはマイクロ波アンテナなどのイオン化エネルギー源に結合される。所望のイオン種の供給源は、気体または蒸発形態の供給材料として電離箱内に導入され、このチャンバ内で、この供給材料は、イオン化エネルギーに暴露される。抽出開口部を通したチャンバからの結果として得られるイオンの抽出は、イオンの電荷に基づく。引出し電極は、電離箱の外部に位置して抽出開口部と整列し、電離箱の電圧未満の電圧である。電極はイオンを引き出して、このイオンは、一般にイオンビームを形成する。所望の用途に応じて、イオンビームは質量分析されて質量およびエネルギーの純度が確立され得、加速および集束され得、走査力の対象となり得る。次に、ビームは、使用位置、例えば処理チャンバ内に搬送される。イオンビームの正確なエネルギーの質の結果として、そのイオンは、所望の深さで半導体基板内に高度に正確に注入され得る。
【0003】
イオンビームの正確な質は、イオンビーム生成システムの表面、特にイオン化、イオン抽出および加速に影響を与える表面における供給材料またはその分解生成物の凝縮および沈着によって著しく影響を受ける可能性がある。
【0004】
(イオン注入プロセス)
ドーパント元素を半導体ウェハ内に導入するための従来の方法は、イオン注入のためにエネルギーが制御されたイオンビームの導入による。これは、望ましい不純種を半導体基板材料中に導入して、望ましい深さのドープ(つまり「不純」)領域を形成する。不純元素は、半導体材料と接着して電気キャリアを生成し、半導体材料の導電性を変更するように選択される。電気キャリアは、電子(N型のドーパントによって生成される)、またはP型のドーパントによって生成される「ホール」(つまり、電子が存在しない)のいずれかであり得る。このように導入されるドーパント不純物の濃度は、ドープ領域の導電性を決定する。多くのこのようなN型およびP型の不純領域は、トランジスタ構造、絶縁構造およびその他のこのような電子構造を構成するために形成されなければならず、これらの構造は、集合的に半導体デバイスとして機能する。
【0005】
イオン注入用のイオンビームを生成するには、ガスまたは蒸気供給材料は、望ましいドーパント元素を含むように選択する。ガスまたは蒸気は、排気された高電圧電離箱内に導入され、同時にエネルギーが、このガスまたは蒸気をイオン化するために導入される。その結果、ドーパント元素を含むイオンが生成される(例えば、シリコン中では、As元素、P元素およびSb元素はドナーまたはN型ドーパントであり、BおよびInはアクセプタまたはP型ドーパントである)。加速電界は、引出し電極によって提供され、一般に正に荷電したイオンを電離箱から抽出して加速し、所望のイオンビームを形成する。高純度が必要な場合、ビームは質量分析を経由して搬送され、当該分野で公知のとおり、注入されるべき種が選択される。イオンビームは、最終的に処理チャンバに搬送されて、半導体ウェハ内に注入される。
【0006】
類似の技術は、ディスプレイに位置する薄膜トランジスタを作動させる基板上ドライバ回路構成を含むフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造に使用される。この場合の基板は、半導体層が取り付けられたガラスなどの透明パネルである。FPDの製造に使用されるイオン源は、一般に、ホウ素を含む材料、リンを含む材料およびヒ素を含む材料の広い面積のイオンビームを形成するように物理的に大きく、イオンビームは、例えば、注入されるべき基板を含むチャンバ内に方向付けられる。ほとんどのFPD注入器は、イオンビームが基板に達する以前に、イオンビームの質量分析を行わない。
【0007】
(イオン汚染)
一般に、PまたはAsなどのN型ドーパントのイオンビームは、かなりの割合のP型ドーパントイオンを含むべきではなく、BまたはInなどのP型ドーパントのイオンビームは、かなりの割合のN型ドーパントイオンを含むべきではない。このような状態は「交差汚染」と呼ばれ、望ましくない。交差汚染は、供給源の供給材料がイオン源内に蓄積し、次に、供給源の供給材料が、例えば、リン元素供給材料を最初に作動させてN型P+ビームを生成し、次にBF3ガスに切り換えてP型BF2+ビームを生成する場合に、変化し得る。
【0008】
重大な汚染の影響は、供給材料がイオン源内に蓄積し、その結果、供給材料が供給源の正常な動作を妨げる場合に発生する。このような状態は、イオン源および引出し電極を取り外して清掃または交換することを必要とし、その結果、イオン注入システム全体の「停止」時間が長くなり、生産性の損失の原因になる。
【0009】
デバイスウェハ製造用のイオン注入器に使用される多くのイオン源は、「高温」供給源であり、つまり、このイオン源は、アーク放電を維持して高密度プラズマを生成することによって作動し、このような「高温」供給源の電離箱は、800℃以上の動作温度に達する可能性があり、多くの場合、固体沈着物の蓄積をかなり減少させる。さらに、このような供給源にBF3を使用して、ホウ素含有イオンビームを生成すると、BF3プラズマの生成時に、多量のフッ素イオンが生成され、フッ素はイオン源の壁部をエッチングし得、特に、気体状BF3の化学的生成を通して沈着ホウ素を回収し得るので、沈着物はさらに減少する。しかし、その他の供給材料の場合、有害な沈着物は高温イオン源中で形成された。例としては、アンチモン(Sb)金属および固体インジウム(In)が挙げられ、これらのイオンは、シリコン基板をドープするために使用される。
【0010】
低温イオン源、例えば、埋没RFアンテナを使用して供給源プラズマを励起するRFバケットタイプイオン源(例えば、特許文献1(Leungら、本明細書中に参考として援用される)参照)は、イオン源の設計が、キュリー温度未満に維持しなければならない永久磁石を備えるか、もしくはイオン源が、高温の表面に暴露された場合に破壊する感熱供給材料を使用するように設計されているかのいずれかの用途、またはこれらの両方の条件が存在する用途に使用される。低温イオン源は、高温供給源と比べて供給材料の沈着が難点である。ハロゲン化供給材料を使用してドーパントを生成すると、ある程度沈着物を減少させるのに役立ち得るが、特定の場合では、水素化物などの非ハロゲン供給材料はハロゲン化化合物よりも好ましい。非ハロゲン用途の場合、気体のB2H6、AsH3およびPH3などのイオン源供給材料を使用する。場合によっては、As元素およびP元素が蒸発形態で使用される。低温イオン源中のこのようなガスおよび蒸気の使用によって著しい材料が沈着し、場合によっては頻繁に、イオン源を取り外して洗浄する必要が生じた。B2H6およびPH3を使用する低温イオン源は、現在ではFPD注入ツールにおいて一般的に使用される。これらのイオン源は、交差汚染(N型ドーパントとP型ドーパントとの間)、ならびに沈着物の存在によって粒子が形成されるという欠点がある。基板に搬送する場合、粒子は歩留まりに負の影響を与える。従来、交差汚染作用によって、FPDメーカーは、N型に1つ、P型に1つというように専用のイオン注入器を使用せざるを得ず、所有コストに著しい影響を与えていた。
【0011】
(水素化ホウ素)
B10H14(デカボラン)およびB18H22(オクタデカボラン)などの水素化ホウ素材料は、イオン注入供給源材料として感心を集めてきた。正しい条件下では、これらの材料はイオンB10HX+、B10HX−、B18HX+、およびBl8Hx−を形成する。注入されると、これらのイオンは、CMOS製造時の浅い接合部を形成するための非常に浅い高容量P型の注入物を可能にする。これらの材料は室温で固体であるため、蒸発するはずであり、蒸気はイオン源中に導入されてイオン化される。これらは、低温材料であり(例えば、デカボランは100℃で融解し、室温で約0.2Torrの蒸気圧を有し、デカボランは約350℃より高温で解離する)、したがって、低温イオン源に使用しなければならない。これらは、例えば高温プラズマ源中で容易に解離する脆弱な分子である。
【0012】
(水素化ホウ素の汚染問題)
デカボランおよびオクタデカボランなどの水素化ホウ素は、イオンビームを生成するために使用される場合、イオン源内で容易に解離するという性質によって、深刻な沈着問題を呈する。これらの材料をBernas式アーク放電イオン源、および同様に電子衝撃(「ソフト」)イオン化供給源に使用すると、ホウ素含有沈着物が、相当の速度でイオン源内に蓄積することが確認された。実際に、供給源内に導入された水素化ホウ素蒸気の半分までが、解離した凝縮材料としてイオン源内に留まり得る。結局、イオン源の設計に応じて、凝縮材料の蓄積は供給源の動作を妨げるので、イオン源を取り外して洗浄する必要がある。
引出し電極の汚染も、これらの材料を使用する場合の問題であった。直接的なイオンビームの衝撃および凝縮蒸気は共に層を形成し得、これらのホウ素含有層は電気的に絶縁されていると思われるので、イオンビーム形成光学系の動作を悪化させる。一旦、電気絶縁層が沈着すると、電荷を蓄積して、真空放電を生成するか、または故障時にいわゆる「グリッチ」を生じる。このような不安定性は、イオンビームの精密な質に影響を与え、汚染粒子形成の一因になり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6094012号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
(発明の開示)
本発明の目的は、耐用年数を増加し、機器の停止時間を減少させるイオンビームを生成する方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、イオン源ならびに関連する引出し電極、およびイオンビーム生成システムの類似の構成要素のインサイチュでの洗浄手順および装置を特徴とし、これらの洗浄手順および装置は、沈着物を定期的かつ化学的に除去し、耐用年数および性能を増加させ、しかもシステムを分解する必要がない。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
引出し電極(405または220)および反応性ガス洗浄システム(455、430)に関連するイオン源(400または10)を含む、イオンビーム(475または240)を生成するシステムであって、
該イオン源が、高電圧電源に接続された電離箱(500)であって、ガス状または蒸発供給材料用の入口(441、440または435)を有する電離箱(500)と、該電離箱内で該供給材料をイオン化するためのエネルギー付与可能なイオン化システムと、真空ハウジング(410または209)と連絡する抽出開口部(304)とを備え、該真空ハウジングが、真空ポンプシステム(420)によって排気され、
該引出し電極(405または220)が、該電離箱の外側で、該真空ハウジング内に配置され、該電離箱の該抽出開口部(504)と整列され、該電離箱の電圧未満の電圧に維持されて、該開口部を通して該電離箱内からイオンを抽出するように構成され、
該反応性ガス洗浄システム(455、430)が、該電離箱およびイオン化システムの電源が切られると動作可能であり、該電離箱(500)および該イオン抽出開口部(504)を通して反応性ガス流を供給し、該イオン生成システムの表面の少なくとも一部上の沈着物と反応させて、該沈着物を除去する、イオンビーム生成システム。
(項目2)
イオンを半導体ウェハ内に注入する際に使用するように構成され、前記電離箱(500)が、約100ml未満の容積および約200cm2未満の内部表面積を有する、項目1に記載のイオンビーム生成システム。
(項目3)
毎分約2標準リットル未満の流速で、前記電離箱内に前記反応性ガス流を生成するように構成された、項目1または2に記載のイオンビーム生成システム。
(項目4)
前記引出し電極(405または220)が、ある使用位置に搬送するのに適しする加速イオンビームを生成するように構成される、項目1〜3のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目5)
前記引出し電極(405または220)が、前記抽出開口部(504)から前記真空ポンプシステムに移動する反応性ガスの経路内に位置し、その結果、該引出し電極が該反応性ガスによって洗浄される、項目1〜4のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目6)
前記引出し電極(405または220)が加熱器(720、730、820)に結合され、前記電離箱内に生成されるイオンを該引出し電極が抽出する間に、例えば固体に由来する感熱蒸気の凝縮温度を超えると共に解離温度未満の高温に維持される、項目1〜5のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目7)
前記引出し電極(405;220)が、例えば該電極が感温材料から形成され、高温イオン源と共に使用される場合に、冷却デバイス(512、522)に結合される、項目1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
(項目8)
前記引出し電極が平坦な特徴のない面を有する、項目1〜7のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目9)
前記反応性ガス洗浄システム(455、430)がプラズマチャンバを備え、該プラズマチャンバが、プラズマによって解離可能な供給ガスを収容して、チャンバ出口(456)および導管(430)を通る反応性ガスの流れを生成し、該反応性ガスを電離箱(500)に搬送する、項目1〜8のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目10)
前記プラズマチャンバ(500)が、フッ素原子に解離可能な化合物、例えばNF3、C3F8またはCF4を収容して解離させるように構成および配列される、項目9に記載のイオンビーム生成システム。
(項目11)
前記反応性ガス洗浄システムが、前記イオン源(400または10)に結合するサービス設備(S)を共用するように構成および配列される、項目9または10に記載のイオンビーム生成システム。
(項目12)
質量分析器(230)を通るようにイオンビームを方向付け、前記反応性ガス洗浄システムが、サービス設備(S)を該質量分析器と共用するように構成および配列される、項目9または10に記載のイオンビーム生成システム。
(項目13)
前記反応性ガス洗浄システムが、加圧反応性ガス、例えばClF3の容器からの導管(430A)を備える、項目1〜8のいずれかに記載のイオンビーム生成システム。
(項目14)
イオンビームを生成するためのシステム表面上の汚染と反応性ガスとの反応の実質的な完了の検出を少なくとも支援するように構成された終点検出システム(470、RGA、FTIR、TD)と組み合わされる、項目1〜13のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目15)
終点検出システムが、反応性ガス洗浄システムの作動の間に前記表面に暴露されたガスの化学構成に関する分析システム(例えば、RGAまたはFTIR)を備える、項目14に記載のイオンビーム生成システム。
(項目16)
反応性ガスとシステムの表面上の汚染との発熱反応の実質的な終了を検出するように配列された温度検出器(TD)を備える、項目14または15に記載のイオンビーム生成システム。
(項目17)
前記エネルギー付与可能なイオン化システムが、反応性ガスによって被害を受けやすい前記電離箱(500)内の構成要素、または該電離箱(500)と組み合わされる構成要素を備え、該システムを貫流する反応性ガスから該構成要素をシールドするように手段が設けられる、項目1〜16のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目18)
前記手段が、前記構成要素を通過するアルゴンなどの不活性ガスの流れを生成する構成を備える、項目17に記載のイオンビーム生成システム。
(項目19)
前記手段が、前記反応性ガスに対して不浸透性のシールド部材を含む、項目17または18に記載のイオンビーム生成システム。
(項目20)
反応性ガスとして反応性ハロゲンガスを用いて動作するように構成され、前記引出し電極(405または220)および関連する部品が、アルミニウム(Al)またはアルミナ(Al2O3)を含む、項目1〜19のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目21)
前記イオン源(400または10)が、アーク放電、RF磁界、マイクロ波場または電子ビームを介して前記電離箱(500)内にイオンを生成する、項目1〜20のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目22)
前記電離箱に対する供給蒸気を生成するための凝縮可能な供給材料の噴霧器(22、445)に結合される、項目1〜21のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目23)
前記イオン源が、クラスタまたは分子イオンを生成することが可能な供給材料を蒸発させるように構成され、前記イオン化システムが、注入用のクラスタまたは分子イオンを生成するために該材料をイオン化するように構成される、項目1〜22のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目24)
前記真空ハウジング(410または209)が、高真空を生成することが可能な高真空ポンプ(421)と、低真空を生成することが可能なバッキングポンプ(422)とを備えるポンプシステム(420)と結合し、該高真空ポンプ(421)が、前記イオン源(400または10)の作動の間に動作可能であり、前記反応性洗浄システムの作動の間に該真空ハウジングから隔離されることが可能であり、該バッキングポンプ(422)が、該反応性ガス洗浄システムの作動の間に動作可能である、項目1〜23のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目25)
イオン注入装置に結合され、該装置が、引出し電極(405または220)の後にイオンを真空チャンバ(330)内の注入ステーション(312、314、図16)に搬送する、項目1〜24のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目26)
前記反応性ガス洗浄システムの作動の間に、前記注入ステーション(312)を前記電離箱(500)および前記引出し電極(405または220)から隔離するための隔離バルブ(425または200)を備える、項目25に記載のイオンビーム生成システム。
(項目27)
前記イオン源が、半導体プロセス用のドーパントイオンを生成するように構成および適合され、前記反応性ガス洗浄システム(455、430)が、表面から沈着物を洗浄するために、フッ素Fイオンまたは塩素Clイオンを前記電離箱(500)または前記引出し電極(405または220)に供給するように適合される、項目1〜26のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目28)
前記イオン源(400または10)が、特定温度に温度制御されるように適合される、項目1〜27のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目29)
前記イオン源(400または10)が、ホウ素含有イオンビームを生成するように適合される、項目1〜28のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目30)
蒸発した水素化ホウ素材料を前記イオン源(400または10)内に供給することによって、前記ホウ素含有イオンビームを生成するように適合される、項目29に記載のイオンビーム生成システム。
(項目31)
前記水素化ホウ素材料がデカボランB10H14である、項目30に記載のイオンビーム生成システム。
(項目32)
前記水素化ホウ素材料がオクタデカボランB18H22である、項目30に記載のイオンビーム生成システム。
(項目33)
前記イオン源(400または10)が、ヒ素含有イオンビームを生成するように適合される、項目1〜28のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目34)
前記イオン源(400または10)がリン含有イオンビームを生成するように適合される、項目1〜28のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目35)
前記イオン源の電離箱(500)がアルミニウムを含む、項目1〜34のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目36)
前記イオン源の電離箱(500)または前記引出し電極が、フッ素Fなどのハロゲンガスによる攻撃に耐える材料を含む、項目1〜35のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目37)
項目1〜36のいずれか1項のシステム、またはイオン注入器に結合されるイオン源のシステムを使ってインサイチュで洗浄する方法であって、反応性ハロゲンガスが、イオン源の電源が切れて真空状態にある時に、イオン源(400または10)内に流入する方法。
(項目38)
前記反応性ハロゲンガスがフッ素Fである、項目37の方法。
(項目39)
前記反応性ハロゲンガスが塩素Clである、項目37に記載の方法。
(項目40)
フッ素ガスが、遠隔プラズマ源から前記イオン源内に導入される、項目37に記載の方法。
(項目41)
前記フッ素ガスが、NF3プラズマによって前記遠隔プラズマ源内に生成される、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記フッ素ガスが、C3F8プラズマまたはCF4プラズマによって前記遠隔プラズマ源内で生成される、項目40に記載の方法。
(項目43)
前記反応性ハロゲンガスがClF3である、項目37に記載の方法。
(項目44)
前記洗浄手順が、前記イオン源がデカボランB10H14をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目37〜43のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
前記洗浄手順が、前記イオン源がオクタデカボランB18H22をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目37〜43のいずれか1項に記載の方法。
(項目46)
前記洗浄手順が、前記イオン源が、アルシンAsH3またはヒ素元素Asなどのヒ素含有化合物をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目37〜43のいずれか1項に記載の方法。
(項目47)
前記洗浄手順が、前記イオン源がリン元素P、ホスフィンPH3などのリン含有化合物をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目37〜43のいずれか1項に記載の方法。
(項目48)
前記洗浄手順が、前記イオン源がアンチモン含有化合物、例えばトリメチルアンチモンSb(CH4)3、または五フッ化アンチモンSbF5をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目37〜43のいずれか1項に記載の方法。
(項目49)
イオン注入のために行われ、異なるイオン種を注入するためにイオン源供給材料を変更する間に、イオン注入器内においてインサイチュでイオン源に対して、前記洗浄手順が行われる、項目37〜43のいずれか1項に記載の方法。
(項目50)
イオン源(400または10)と、イオンを該イオン源から抽出するための引出し電極(405または220)とを有するイオン注入システムであって、該電極が、イオン化されるガスまたは蒸気、およびその結果生成される生成物の該電極上における凝縮を実質的に減少させるのに十分な高温に電極を維持するように構成された加熱器を備えるイオン注入システム。
(項目51)
前記電極がアルミニウムを含む、項目50に記載のシステム。
(項目52)
前記電極がモリブデンを含む、項目50に記載のシステム。
(項目53)
前記電極が、放射加熱器(720、730)によって加熱される、項目50、51または52に記載のシステム。
(項目54)
前記電極が、抵抗加熱器(820)によって加熱される、項目50、51または52に記載のシステム。
(項目55)
前記電極の温度が所望の温度に制御される、項目53または54に記載のシステム。
(項目56)
前記温度が150℃〜250℃である、項目55に記載のシステム。
(項目57)
前記電極が、反応性ハロゲン含有ガスに暴露されることによって定期的に洗浄される、項目50〜56のいずれか1項に記載のシステム。
(項目58)
項目1〜36のいずれか1項に記載のシステムのイオン引出し電極(405もしくは220)、またはイオン注入器に結合されるイオン引出し電極(405もしくは220)をインサイチュで洗浄するための方法であって、イオン引出し電極がインサイチュで真空状態である時に、反応性ハロゲンガスが該電極上を流動する方法。
(項目59)
前記反応性ハロゲンガスがフッ素Fである、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記反応性ハロゲンガスが塩素Clである、項目58に記載の方法。
(項目61)
前記フッ素ガスが、遠隔プラズマ源(455)から、前記引出し電極が存在する真空ハウジングに導入される、項目59に記載の方法。
(項目62)
前記フッ素ガスが、NF3プラズマによって前記遠隔プラズマ源内で生成される、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記フッ素ガスが、C3F8またはCF4プラズマによって遠隔プラズマ源内で生成される、項目61に記載の方法。
(項目64)
前記反応性ガスがClF3である、項目58に記載の方法。
(項目65)
前記洗浄手順が、前記イオン源がデカボランB10H14をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目58〜64のいずれか1項に記載の方法。
(項目66)
前記洗浄手順が、前記イオン源がオクタデカボランB18H22をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目58〜64のいずれか1項に記載の方法。
(項目67)
前記イオン源が、アルシンAsH3またはヒ素元素Asなどのヒ素含有化合物をイオン化した後に、沈着物を除去するために前記洗浄手順が行われる、項目58〜64のいずれか1項に記載の方法。
(項目68)
前記洗浄手順が、前記イオン源が、リン元素P、ホスフィンPH3などのリン含有化合物をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目58〜64のいずれか1項に記載の方法。
(項目69)
イオン注入に関連して実施され、前記洗浄手順が、異なるイオン種を注入するためにイオン源供給材料を変更する間に行われる、項目58〜64のいずれか1項に記載の方法。
【0016】
本発明は、能動的に加熱されるイオン引出し電極を特徴とし、この引出し電極は、放電の頻度および発生を減少させる材料から成り、この材料は、好ましくは金属である。
【0017】
もう1つの特徴は、全体として、引出し電極を、イオン源に対する供給材料の凝縮温度より高温に加熱させることであり、好ましい場合、電極は金属、好ましくはアルミニウムまたはモリブデンから成る。
【0018】
本発明は、イオンの生成および利用を改善するステップおよび構造の特徴も特徴とする。これは、イオン源において必要とされる供給材料の濃度を減少させ、相関する方法で、イオンビーム生成システムの表面における有害沈着物の蓄積速度を減少させる。
【0019】
本発明の上記およびその他の革新としては、以下の特徴の1つまたは複数が挙げられ得る:
ある供給量の反応性ガスはイオン源中に供給および導入され、イオン源は、このような供給の反応生成物、例えばフッ素原子Fまたはフッ素分子F2に暴露することによってインサイチュで洗浄される;フッ素原子またはフッ素分子は、遠隔プラズマ源からイオン源中に射出される;イオン源は、遠隔供給源から流れる気体状ClF3に暴露することによって洗浄される;イオン化装置の反応性構成要素は、作業の洗浄段階では反応性ガスからシールドされる;イオン源は、アルミニウムから製造される;引出し電極は、アルミニウムから製造される;引出し電極の前面には、鋭利または粗い特徴がない;引出し電極のプレートは、能動的に温度制御される;引出し電極のプレートは、能動的に加熱される;引出し電極の加熱は、放射性または抵抗性である;その他の状況における引出し電極のプレートは、能動的に冷却される。
【0020】
もう1つの特徴は、特に熱的破壊および沈着の影響を受ける供給材料の「クラスタ」イオンビームまたは「分子」イオンビームを形成するのに適する装置に関して説明した特徴を使用することである。
【0021】
イオン注入のほとんどの専門家は、水素化ホウ素を使用して「クラスタ」イオンビーム、例えばB10Hx+およびB18Hx+を形成することは、浅い接合部の形成には非常に魅力的であることに同意するが、このような大きい分子のイオン化および搬送手段は、問題を示している。例えば、米国特許第6,288,403号および同第6,452,338号は、デカボランイオンビームを正常に生成したイオン源について記載している。しかし、このようなデカボランイオン源は、イオン注入に使用される他の市販イオン源に比べて、耐用年数が特に短いことが分かっている。この短い耐用年数は、主に、イオン源内のホウ素含有沈着物の蓄積、およびイオン引出し電極上の絶縁コーティングの沈着によるものであり、これはビームの不安定性の原因になり、注入器を停止して保守する必要がある。
【0022】
もう1つの特徴により、水素化ホウ素イオン源内、およびイオン引出し電極上におけるこのような沈着物の沈着をかなり減少させる手段を提供し、これらの構成要素をイオン注入器から取り外さずに、つまりインサイチュでこれらの構成要素上の沈着物を洗浄する手段を提供する。本発明は、水素化ホウ素クラスタビームを半導体製造に長期にわたる耐用年数で商業的に使用することを可能にする。
【0023】
本発明の特定の態様は、引出し電極および反応性ガス洗浄システムと結合するイオン源を備えるイオンビーム生成システムであって、前記イオン源が、高電圧電源に接続され、気体または蒸発供給材料用の入口を有する電離箱と、前記電離箱内で供給材料をイオン化するためのエネルギー付与可能なイオン化システムと、真空ハウジングと連絡する抽出開口部であって、前記真空ハウジングが、真空ポンプシステムによって排気され、引出し電極が、電離箱外部の真空ハウジング内に配置され、電離箱の抽出開口部と整列し、電離箱の電圧未満の電圧に維持されるように構成されて、電離箱内から開口部を経てイオンを抽出し、反応性ガス洗浄システムが、電離箱およびイオン化システムの電源が切れた時に、電離箱およびイオン抽出開口部を通して反応性ガス流を提供し、イオン生成システムの表面の少なくともいくつかの上の沈着物と反応させ、このような沈着物を除去するように動作可能な反応性ガス洗浄システムとを備えるイオンビーム生成システムである。
【0024】
この態様の好ましい実施態様は、1つまたは複数の以下の特徴を有する。
【0025】
このシステムは、半導体ウェハ内にイオンを注入する時に使用するように構成され、電離箱は、約100ml未満の容積、および約200cm2未満の内部表面積を有する。
【0026】
このシステムは、毎分約2標準リットル未満の流速で、電離箱内への反応性ガスの流れを生成するように構成される。
【0027】
引出し電極は、使用位置まで搬送するのに適する加速イオンのビームを生成するように構成される。
【0028】
引出し電極は、抽出開口部から真空ポンプシステムに移動する反応性ガスの経路内に位置し、その結果、引出し電極は反応性ガスによって洗浄される。
【0029】
引出し電極は、加熱器に結合され、電離箱内に生成されるイオンを引出し電極が抽出する間に、例えば固体に由来する感熱蒸気の凝縮温度を超えると共に解離温度未満の高温にこの引出し電極を維持する。
【0030】
引出し電極は例えば電極が感熱材料から形成され、高温イオン源に使用される場合、冷却デバイスに結合される。
【0031】
引出し電極は、平坦な特徴のない態様を有する。
【0032】
反応性ガス洗浄システムは、プラズマチャンバであって、プラズマによって解離されて、チャンバ出口を通る反応性ガスの流れを生成することが可能な供給ガスを収容するように配置されたプラズマチャンバと、反応性ガスを電離箱に搬送する導管とを備える。
【0033】
プラズマチャンバは、フッ素原子に解離することが可能な化合物(例えば、NF3、C3F8またはCF4)を収容して解離させるように構成および配列される。
【0034】
反応性ガス洗浄システムは、イオン源に結合されたサービス設備を共用するように構成および配列される。
【0035】
このシステムは、質量分析器を通るようにイオンビームを方向付けるように構成され、質量分析器内では、反応性ガス洗浄システムが、サービス設備を質量分析器と共用するように構成および配列される。
【0036】
反応性ガス洗浄システムは、加圧反応性ガス(例えばClF3)の容器からの導管を備える。
【0037】
このシステムは、反応性ガスとイオンビーム生成システムの表面上の汚染物質との反応の実質的な完了の検出を少なくとも促進するように構成された終点検出システムと組み合わされる。
【0038】
終点検出システムは、反応性ガス洗浄システムの作動の間に、表面に暴露されたガスの化学的構成のための分析システムを備える。
【0039】
温度検出器は、反応性ガスとシステムの表面上の汚染物質との発熱反応の実質的な終わりを検出するように配列される。
【0040】
エネルギー付与可能なイオン化システムは、反応性ガスによって害を受けやすい電離箱内にあるか、または電離箱と連絡する構成要素を備え、システムを貫流する反応性ガスから構成要素をシールドする手段が設けられる。
【0041】
構成要素をシールドする手段は、構成要素を通り過ぎるアルゴンなどの不活性ガスの流れを生成するための配列を備える。
【0042】
構成要素をシールドする手段は、反応性ガスに対して不浸透性のシールド部材を備える。
【0043】
システムは、反応性ガスとして反応性ハロゲンガスで作動するように構成され、そして引出し電極および付随する部品は、アルミニウム(Al)またはアルミナ(Al2O3)を含む。
【0044】
イオン源は、アーク放電、RF磁界、マイクロ波磁界または電子ビームを介して、電離箱内にイオンを生成するように構成される。
【0045】
このシステムは、凝縮可能な供給材料の噴霧器と結合し、電離箱に対する供給蒸気を生成する。
【0046】
イオン源は、クラスタイオンまたは分子イオンを生成することが可能な供給材料を蒸発させるように構成され、イオン化システムは、材料をイオン化して、注入用のクラスタイオンまたは分子イオンを形成するように構成される。
【0047】
このシステムの真空ハウジングは、高真空を生成することが可能な高真空ポンプと、真空を生成することが可能なバッキングポンプとを備えるポンピングシステムに結合され、高真空ポンプは、イオン源の作動の間に動作可能であり、反応性洗浄システムの作動の間に真空ハウジングから隔離することができ、バッキングポンプは、反応性ガス洗浄システムの作動の間に動作可能である。
【0048】
このシステムはイオン注入装置に結合され、この装置は、真空チャンバ内の引出し電極注入ステーションの後にイオンを搬送するように構成される。好ましい実施態様では、隔離バルブは、反応性ガス洗浄システムの作動の間に、注入ステーションを電離箱および引出し電極から隔離するために備えられる。
【0049】
イオン源は、半導体処理用のドーパントイオンを生成するように構成および適合され、反応性ガス洗浄システムは、フッ素Fイオンまたは塩素Clイオンを電離箱または引出し電極に供給して、沈着物を表面から洗浄するように適合される。
【0050】
イオン源は、特定温度に温度制御されるように適合される。
【0051】
イオン源は、ホウ素含有イオンビームを生成するように適合され、好ましい実施態様では、ホウ素含有イオンビームは、蒸発水素化ホウ素材料、特にデカボランB10H14またはオクタデカボランB18H22をイオン源内に供給することによって生成される。
【0052】
イオン源は、ヒ素含有イオンビームを生成するように適合される。
【0053】
イオン源は、リン含有イオンビームを生成するように適合される。
【0054】
イオン源の電離箱は、アルミニウムを含む。
【0055】
イオン源または引出し電極の電離箱は、フッ素Fなどのハロゲンガスによる攻撃に耐える材料を含む。
【0056】
本発明のもう1つの特定の態様は、上記のいずれかのシステム、またはイオン注入器に結合するイオン源を使用してインサイチュで洗浄する方法であり、この場合、反応性ハロゲンガスは、イオン源の電源が切られて真空状態にある間に、イオン源内に流入する。
【0057】
この態様の実施態様は、以下の特徴の1つまたは複数を有する。
【0058】
反応性ハロゲンガスは、フッ素Fである。
【0059】
反応性ハロゲンガスは、塩素Clである。
【0060】
フッ素ガスは、遠隔プラズマ源からイオン源内に導入される。
【0061】
フッ素ガスは、NF3プラズマによって遠隔プラズマ源内に生成される。
【0062】
フッ素ガスは、C3F8またはCF4プラズマによって遠隔プラズマ源内に生成される。
【0063】
反応性ハロゲンガスはClF3である。
【0064】
洗浄手順は、イオン源がデカボランB10H14をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0065】
洗浄手順は、イオン源がオクタデカボランB18H22をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0066】
洗浄手順は、イオン源が、ヒ素含有化合物、例えばアルシン、AsH3またはヒ素元素Asをイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0067】
洗浄手順は、イオン源が、リン含有化合物、例えばリン元素PまたはホスフィンPH3をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0068】
洗浄手順は、イオン源が、アンチモン含有化合物、例えばトリメチルアンチモンSb(CH4)3または五フッ化アンチモンSbF5をイオン化した後に、沈着物を除去するように行われる。
【0069】
洗浄手順は、異なるイオン種を注入するためのイオン源供給材料の変更の間に、イオン注入器内でインサイチュでイオン源に対して行われる。
【0070】
本発明のもう1つの特定の態様は、イオン源と、イオンをイオン源から抽出するための引出し電極とを有するイオン注入システムであり、引出し電極は、イオン化されるガスまたは蒸気、およびその結果生成される生成物の電極上における凝縮をかなり減少させるのに十分な高温に電極を維持するように構成された加熱器を備える。
【0071】
この態様の実施態様は、以下の特徴の1つまたは複数を有する。
【0072】
電極は、アルミニウムを含む。
【0073】
電極は、モリブデンを含む。
【0074】
電極は、放射性加熱器によって加熱される。
【0075】
電極は、抵抗性加熱器によって加熱される。
【0076】
電極の温度は所望の温度に制御され、これらの実施態様では、温度は150℃〜250℃である。
【0077】
電極は、反応性ハロゲン含有ガスに暴露することによって、インサイチュで定期的に洗浄される。
【0078】
本発明のもう1つの態様は、上記システムのいずれかのイオン引出し電極、またはイオン注入器と結合するイオン引出し電極をインサイチュで洗浄する方法であり、この場合、反応性ハロゲンガスは、電極がインサイチュで真空状態にある間に、イオン引出し電極上を流れる。
【0079】
この態様の実施態様は、以下の特徴の1つまたは複数を有する。
【0080】
反応性ハロゲンガスは、フッ素Fまたは塩素Clである。
【0081】
フッ素ガスは、引出し電極が存在する真空ハウジング内に遠隔プラズマ源から導入される。
【0082】
フッ素ガスは、NF3プラズマによって遠隔プラズマ源内に生成される。
【0083】
フッ素ガスは、C3F8プラズマまたはCF4プラズマによって遠隔プラズマ源内に生成される。
【0084】
反応性ガスはClF3である。
【0085】
洗浄手順は、イオン源がデカボランB10H14をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0086】
洗浄手順は、イオン源がオクタデカボランB18H22をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0087】
洗浄手順は、イオン源が、アルシン、AsH3またはヒ素元素Asなどのヒ素含有化合物をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0088】
洗浄手順は、イオン源が、リン元素P、ホスフィンPH3などのリン含有化合物をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0089】
洗浄手順は、異なるイオン種を注入するためのイオン源供給材料の変更の間に行われる。
【0090】
(インサイチュでエッチング洗浄を施されるイオン源)
好ましい実施態様によると、インサイチュでの化学洗浄プロセスは、イオン源および引出し電極がイオンビーム生成システム内に実装されたままの状態で、F原子ガスを使用してイオン源およびイオン引出し電極から沈着物を効果的に洗浄する。好ましい実施態様では、冷却されたチャンバ壁部を備えた電子衝撃イオン源が使用される。好ましくは、電離箱および供給源ブロックは、アルミニウムまたはアルミニウム含有錯体から製造され、フッ化アルミニウムがアルミニウム表面上に生成されて不動態化層として作用することを可能にし、これは、Fによってさらに化学的に攻撃されるのを防止する。
【0091】
この特徴の1つの実施態様は、イオン源の入口に直接結合される遠隔反応性ガス供給源の出口を使用する。
【0092】
好ましい実施態様では、反応性ガス供給源は、NF3またはC3F8などのエッチング供給ガスを補足電離箱内に導入するプラズマ源である。プラズマを補足チャンバ内に維持することによって、FおよびF2などの反応性ガスが生成され、主イオン源に導入されるこれらの反応性ガスは、沈着物質を化学的に攻撃する。ガス相中に放出される副生成物は、電離箱の抽出開口部から取り出され、設備の真空システムによってポンプで取り除かれ、チャンバが洗浄される。
【0093】
(沈着モデル)
2つの物体が相互作用する場合に、複数の結果があり得るということは、一般に観察される原理である。さらに、各々の結果には確率または可能性を割り当て得、可能性のあるすべての結果を考慮すると、個々の確率の和は100%である。原子および分子物理学では、このような可能性のある結果は、時には「チャネル」と呼ばれ、各々の相互作用チャネルに関連する確率は「断面積」と呼ばれる。詳細には、2つの粒子(つまり、電子およびガス分子)が互いに相互作用する可能性は、全体として、「全断面積」であり、特定タイプの相互作用(例えば、それ自体がガス分子に結合し、負イオンを生成する電子によって、またはガス分子から電子を除去し、正イオンを生成することによって、または分子を小部分状に解離させることによって、または分子の化学変化を伴わない分子から弾性的に散乱することによって代表される相互作用)の可能性は、「部分的断面積」である。
【0094】
この状況は、全断面積σΤをそのi個の部分断面積の和として表現する数学的な関係によって表現することができる:
(1)σΤ=σ1+σ2+σ3+・・・σi、または
(2)σΤ=Σσi。
【0095】
イオン注入器内に使用されるイオン源は、一般に、適度なイオン化割合を示す。つまり、イオン源内に供給されるガスまたは蒸気の小さい割合(数パーセント〜数十パーセント)のみがイオン化される。そのガスまたは蒸気の残りは、一般に、元の状態または他の何らかの中性状態の気相で供給源を出て行く。つまり、イオン化断面積は、全断面積よりもはるかに小さい。当然、ある程度のガス成分はイオン源中に沈着物質として留まり得るが、これは、一般に使用される注入供給材料についての全体の、わずかな割合である傾向がある。このようなAs元素またはP元素などを加熱して蒸発する供給材料は、通常はガス状である供給材料が沈着物を生成する場合に比べてより容易に沈着物を生成するが、加熱蒸気は、イオン源の壁部が噴霧器より高温である場合、ガス相に留まる傾向があり、深刻な沈着の危険性を示さない。しかし、ホウ素ビームを例えばガス状BF3供給ガスから生成する場合、ならびにビームをInおよびSbから生成する場合、著しく有害な沈着物が依然として生成され得る。
【0096】
また、一般に、時間が経過するにつれて、凝縮性材料の沈着物が、イオン生成システムのその他の一定の構成要素上に発生し、分解および洗浄前の運用年数に影響を与える。
【0097】
さらに、水素化ホウ素の場合、イオン化媒体(つまり、イオン源中の電子)とのすべての相互作用を表す全断面積は大きく見え、イオン化断面積は小さく、最大断面積は明らかに、水素化ホウ素分子が不揮発性小部分状に解離するチャネルを表し、次に、不揮発性小部分はイオン源内の表面上に留まる。これらの小部分が沈着する問題は、供給材料の熱分解を減少させようとして、電離箱壁部を冷却することによって悪影響を受ける。要するに、この供給源における、ホウ素含有小部分の水素化ホウ素からの沈着は、この材料に作用するあらゆるタイプのイオン源に見られると思われる基本的な現象であるようであり、この問題の解決方法は、半導体製造業界にとって広範かつ重要な関心事である。
【0098】
(水素化ホウ素に適する電子衝撃イオン源)
水素化ホウ素に特に適するイオン源は、完全に温度制御されている電子衝撃イオン源であり(米国特許第6,452,338号および第6,686,595号、国際出願PCT/US03/20197号参照。これらは、本明細書中に参考として援用される)、図7も参照。イオン源は、アーク放電プラズマを衝突させてイオンを生成するのではなく、1つまたは複数の集束電子ビームの形態で射出される高エネルギー電子によって、プロセスガスの「ソフト」電子衝撃イオン化を使用する。この「ソフト」イオン化プロセスは、イオン化クラスタが形成されるように、これらの大きい分子を保存する。図7に示すとおり、固体水素化ホウ素材料は噴霧器内で加熱され、蒸気は蒸気導管を通って金属チャンバ、つまり電離箱に流れる。電離箱の外側に位置する電子銃は、大電流の高エネルギー電子を電離箱内に供給し、この電子流はほぼ平行に、チャンバ前面の細長スロットに隣接して方向付けられる。イオンは、このスロットからイオン引出し電極によって抽出され、高エネルギーイオンビームを生成する。昇華水素化ホウ素蒸気を電離箱に搬送する時、すべての表面は、噴霧器の温度より高温(ただし、十分に解離温度未満)に維持され、蒸気の凝縮を防止する。長時間のテストによって、蒸気供給表面およびバルブ表面は、このような温度制御を実施した場合、実際に清潔に保たれていることを確認した。
【0099】
(デカボランを用いるイオン源寿命の洗浄間の延長)
供給源の寿命(保守間隔)に対する蒸気流速の影響は、定量的に調査した。電子衝撃イオン源は、材料の蓄積によって、デカボランビーム電流の著しい減少が生じたと決定されるまで、一定蒸気流の制御条件下でデカボラン供給材料を使って連続的に作動させた。0.40sccm〜1.2sccmまでの、5つの異なる流速をテストした。その結果、質量分析されたデカボランビーム電流(B10Hx+)は、約150μA〜700μAだった。イオン注入に使用されるイオン源中の代表的な供給ガスの流れは、1〜約3sccmの範囲であることが注目され、したがって、このテストの範囲は、「低」流動様式であると考えられる。
【0100】
これらの寿命テストの結果を図5にまとめる。これは、単純なモデルの双曲線関数を示唆している。これは予想できないことではなく、蒸気流がゼロの場合、供給源の寿命は原理上分化し、蒸気流が非常に高速である場合、供給源の寿命は減少してゼロに漸近する。したがって、このモデルは、以下のように表すことができる。
【0101】
(3)(流速)×(流れの持続時間)=定数
方程式(3)は、寿命(つまり、流れの持続時間)は流速に逆比例することを単に示しており、上記定数は沈着物質の量である。方程式(3)が正確である場合、沈着物質の割合は材料の流速に依存せず、これは本発明者らのモデルと一致し、解離およびその後の沈着の断面積は一定であることを示している。これらのデータは、約0.5sccmデカボラン蒸気流を有する電子衝撃イオン源を使用すると、専用デカボランの作用は100時間を超えて持続し得ることを示している。これは、多くの場合は許容されるが、商業的な半導体製造設備では、200時間を大幅に上回る供給源の寿命が望ましい。イオン源を本発明の新規なインサイチュでの洗浄手順に関連して使用する場合、著しく延長した供給源寿命が達成される。
【0102】
(インサイチュでのイオン源化学洗浄の特定の特徴の利点)
補足的なイオン源を使用して反応性ガスを生成し、イオン源をインサイチュで洗浄することには、非常に重要な利点がいくつかある。このようなプラズマ源は、プロセス排出システム(例えば、Advanced Energy,Inc.が販売するLitmus1501)から流出物を除去する用途、および大型CVDプロセスチャンバ(例えば、MKS Astron反応性ガス生成器)を洗浄する用途のために開発されたが、本発明者らが知る限り、遠隔反応性ガス生成器は、イオンビームを生成するために使用されたイオン源の電離箱および引出し電極の洗浄に有効に適用し得たことは以前に認められていない。MKS Astronなどの遠隔反応性ガス生成器は、プロセスチャンバ(つまり、半導体ウェハが内部で処理される比較的大型の真空チャンバ)を洗浄するために使用され、これは高流量の供給ガス(毎分数標準リットル(SLM))、およびプラズマ源に印加される高RF電力(約6kW)を使用する用途である。本発明のシステムは、洗浄されるイオン源の電離箱の容積が非常に小さい場合、非常に控えめな供給ガス量、例えば約0.5SLM未満のNF3、および非常に少ないRF電力(約2.5kW未満)を使用し得る(例えば表面積が約200cm2未満(例えば、約100cm2)の場合は、半導体ウェハの注入器用の電離箱の容積は、一般に約100ml未満(例えば、約75ml)に過ぎない)。電離箱内に流入する反応性ガスは、毎分約2標準リットル未満である。
【0103】
人によっては、外部イオン源を使用して、プラズマ副生成物を生成してシステムの主イオン源内に導入することは奇妙であり、(例えば、NF3)ガスを直接主イオン源中に導入して、この供給源内にプラズマ副生成物を直接生成しないのはなぜかと考えるかも知れない。その理由は、明らかではないと思われる。イオン注入システムの動作可能時間(生産可能期間)の一部分において、供給ガスからの沈着速度をはるかに超えるエッチング速度を達成するには、反応性ガスは、イオン注入用の主イオン源について、代表的な1〜3sccmの供給流速と比べた場合、非常に高流量で、例えばおよそ102〜103sccmの流量で生成し、小型電離箱内に導入しなければならないことが分かっており、このような高流量の場合、主イオン源の電離箱内の圧力は、イオン注入のために動作するように設計された圧力をはるかに超えて上昇する。さらに、高密度NF3プラズマを主イオン源内に維持すると、高温タングステンフィラメントなどの敏感な構成要素はエッチングされて除去される。これは、ハロゲンガスは、温度に応じて指数関数的に増加する高速度で耐火金属をエッチングするからである。(例えば、Rosnerらは、タングステン基板のFエッチングのためのモデルを提唱している。
【0104】
(4)速度(μm/分)=2.92×10−14Τ1/2NFe−390/Τ、
ここで、NFは、1cm3あたりの原子数におけるフッ素濃度であり、Τはケルビン温度における基板温度である。)
実際上、イオン注入用のすべてのイオン源は高温フィラメントを含み、多くの場合、イオン源チャンバも、MoおよびWなどの耐火金属、またはグラファイト(Fによって強度に攻撃される)から製造されるため、これらのイオン源は高温動作条件で急速に故障し、エッチング洗浄プロセスは使用できなくなる。
【0105】
現在好ましい実施態様では、フッ素原子は、電源が切れた主イオン源の低温電離箱に、100sccm以上の流速で入り、電離箱に流入する全体のガス流は、500sccm以上である。これらの条件下では、電離箱内のガス圧力は約0.5Torrであり、注入器の真空源ハウジング内の圧力は数十mTorr以上である。好ましい動作モードでは、洗浄段階の前に、隔離バルブは、イオン源の真空ハウジングと注入器真空システムとの間で閉鎖され、イオン源のターボ分子ポンプは隔離される。次に、イオン源のハウジングは、真空システムの高容量の粗引きポンプ(つまり、通常ターボ分子ポンプを支持し、真空システムを「低」真空まで排気するポンプ)でポンプされる。
【0106】
図5に示されている関連エッチング洗浄プロセスの異なる実施態様は、ClF3などの「乾燥エッチング」ガスを使用する。上記で観察したとおり、ClF3分子は、洗浄される沈着表面に接触すると破壊し、その結果、フッ素原子および塩素原子が放出され、プラズマを生成する必要はない。ClF3ガスを取り扱うには、その高度の反応性によって特殊な機器を必要とするが、原則として、化学洗浄プロセスを、補助的な反応性ガスプラズマ源を必要としない程度まで単純化し得る。有毒ガスが慣用的に、イオン注入器用のイオン源内に供給されるので、機器の多くは、「有毒ガスに適する」ように既に構成されており、ClF3を組み込む別個のガス分配システムは、容易に追加することができる。
【0107】
イオン注入器用イオン源のインサイチュでの化学洗浄の利点としては、以下が挙げられる:a)保守が必要になるまでの供給源の寿命を何百時間、おそらく何千時間まで延長させる;b)例えば、オクタデカボランイオン注入からヒ素イオン注入またはリンイオン注入に、およびヒ素イオン注入またはリンイオン注入からオクタデカボランイオン注入に切り替える時に、種の変更によって生じる交差汚染を減少させるか、またはなくす;c)イオン源の耐用年数の間に、ピークイオン源性能を持続させる。
【0108】
例えば、8時間ごとに10分間(つまり、操作者のシフトが変わるごとに1回)、および各々の種を変更するごとに化学洗浄プロトコルを実行することは、注入器の動作可能時間に与える影響は最小限であり、現在の半導体製造設備には許容可能である。
【0109】
(終点検出)
洗浄プロセスの際に終点検出を行い、洗浄プロセスの効果、および必要な持続時間に関する定量的情報を生成し得、化学洗浄プロセスの再現性を確保し得ると有利であることが分かる。図3は、洗浄プロセスをサンプリングする差動ポンプ四極子質量分析器を示す。例えばF、Cl、BF3、PF3、AlF3、AsF3、WF6などの洗浄ガス生成物の濃度を監視することによって、洗浄プロセスは調整および検証され得る。あるいは、プロセスを監視する光学手段を使用し得る。FTIR光学分光計は、表示域を通して、注入器のイオン源の真空ハウジング内に残留するガスを監視し得る。化学種を識別するこの非侵襲的(エキソサイチュ)手段は、場合によってはインサイチュでの監視デバイスより好ましくあり得る。図4の別法によると、抽出可能なFTIR分光計は、終点監視のために供給源の真空ハウジングに結合され得る。終点検出を行う新規な手段は、洗浄の間に、電離箱の温度を監視するステップを含む。化学反応は発熱であるから、この反応の間にエネルギーが放出され、チャンバ温度が上昇する。この作用は、原理的に、反応速度が低下した時に確立するように使用し得る。
【0110】
(新規なイオン引出し電極)
デカボランおよびオクタデカボランなどの水素化ホウ素は、感熱物質である。これらは、20℃と100℃との間の温度で蒸発および凝縮する。したがって、これらの物質が接触するすべての表面を、噴霧器の温度より高温(ただし、これらの物質が解離する温度未満)に維持し、凝縮を防止することが重要である。本発明者らは、引出し電極の汚染は、このような水素化ホウ素を使用する場合に問題になることに気が付いた。直接的なイオンビームの衝突、および凝縮した供給蒸気またはその分子の解離による生成物は共に、イオンビーム生成光学系の動作を悪化させ得る。なぜなら、これらのホウ素含有層は電気的に絶縁されていると思われるからである。電気絶縁層は、沈着すると電荷を取得し(「充電」)、電気的に故障した後に真空放電、または「グリッチ」を生じる。このような放電は、イオンビーム電流に不安定さを生じ、粒子が形成される原因になり得、これらの粒子は、イオンビームが方向付けられるプロセスチャンバに到達し得る。1時間当たり多くのグリッチに遭遇するイオンビーム生成システムを有するイオン注入器は、現代の半導体製造設備では製造する価値があるとは考えられない。さらに、このような放電がない場合でも、絶縁コーティングが厚くなると、電極表面上の電荷は望ましくない漂遊電界を形成し、その結果、ビームステアリング効果が生じ得、ビーム損失が生じて、イオンビームの質に悪影響を及ぼし得る。
【0111】
新しい情報の発見は、この問題の強固な解決方法につながった。ほとんどの注入器のイオン引出し電極は、グラファイトから製造される。グラファイトは、この用途では多くの利点を有することが分かり、例えば材料コストが安いこと、機械加工が容易であること、高い導電性、低い熱膨張係数、および高温における良好な機械的安定性が挙げられる。しかし、グラファイトの引出し電極を使用すると、水素化ホウ素のイオンビーム生成後に不安定性が観察された。電極の表面が絶縁されていたかどうかは疑わしかった。電極沈着物のサンプルを収集し、x線蛍光分光法で化学分析を行った。この調査によって、B2Cの形態のホウ素−炭素化合物と一致する化学量論組成が明らかになり、絶縁されていることが分かった。さらに、イオン源の前部プレート(つまり、抽出開口プレート)を含むイオン源付近の金属表面にはまた、長時間の使用後に絶縁コーティングが沈着したことが分かった。アルミニウムの電極を製造して、電極プレート、つまり抑制電極および接地電極を、デカボランおよびオクタデカボランの凝縮を防止するのに十分な完全に制御された高温(図9、図11参照)に維持するための放射化熱器を提供することが考えられた。さらに、イオン源に対向する抑制電極は、平坦で特徴のない面を有する単一のアルミニウム機械加工片から製造され、すべての締結具は、これらのプレートの裏側に配置された。この構成は、絶縁コーティングが形成された場合、放電点の数および重大性を著しく減少させ、つまり、ある「点」、つまり鋭利な特徴における電界応力は、平坦な表面の応力より何倍も大きいという原理を使用している。
【0112】
このようにして製造された引出し電極は、優れた性能が実証され、非常に低いグリッチ頻度で100時間を超えて(グラファイト電極と同程度に長く、少なくとも10倍)作動した。この大幅な改善は、i)Alでの構成(つまり、金属対グラファイト)、ii)電極プレートの能動的な加熱および温度制御,iii)平坦な電極表面によるものである。電極プレートを200℃で作動させると、デカボランを作動させた場合に良好な結果が得られ、沈着物質の量が著しく減少することが分かった。一般に、引出し電極の温度は、供給材料の解離温度未満に維持されるべきである。デカボランの場合、この温度は、350℃未満、このましは150℃〜250℃の範囲に維持するべきである。オクタデカボランを使用する場合、温度は160℃を超えるべきではない。なぜなら、この温度を超えると、オクタデカボラン中で化学変化が起こるからである。オクタデカボランを使用する場合、120℃と150℃との間の引出し電極の温度は良好な結果を生じる。
【0113】
図11に示す放射構造は、非常に良好な温度の均一性を示した。抵抗加熱器を組み込むと、特に、図12に示すようにアルミニウム電極を使用すると、やはり均一性が良好になり得、保守の必要性が少ない比較的小型な構造が得られる。
【0114】
加熱引出し電極を構成するためには、例えばモリブデンなど、その他の金属も有効である。モリブデンは耐火性であるという利点を有するため、非常に高い温度に耐える。モリブデンは、良好な熱伝導性も有する。一方、アルミニウムは、InおよびBと同様に周期表のIII族元素であるため、シリコン中への汚染がごくわずかであるという利点を有し(これは、シリコン中のP型ドーパントである)、モリブデンなどの遷移金属は、集積回路内のキャリアの寿命に非常に不利である。アルミニウムはまた、ハロゲンによって容易には攻撃されないが、モリブデンなどの遷移金属は、特に高温の場合に攻撃されやすい。しかし、アルミニウムの主な欠点は、高温の材料ではなく、約400℃未満で使用するべきであるという点である。
以上の理由から、特定の用途に応じて、加熱電極は、選択した耐熱材料から構成され、インサイチュでのエッチング洗浄に関連して使用する場合には、アルミニウムまたはアルミニウム含有錯体がしばしば好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】反応性ガス洗浄を組み込むイオンビーム生成システム。
【図2】反応性ガス洗浄を組み込むイオンビーム生成システムの第2実施態様。
【図3】図1に類似しているが、噴霧器および特定のガス分配要素を組み込むイオンビーム生成システム。
【図4】図2に類似しているが、噴霧器および特定のガス分配要素を組み込むイオンビーム生成システム。
【図5】ClF3の導入による反応性ガス洗浄を組み込むイオン生成システム。
【図6】反応性ガスプラズマ源、供給蒸気供給源、イオン源電子回路、およびプラズマ源用設備を含むイオン注入器用ガスボックス。
【図6A】蒸気流制御システムを示す図6に類似する図。
【図6B】イオンビーム生成システム用のバルブ概略図。
【図7】電子衝撃イオン源。
【図7A】図7の一部分の拡大図であって、要素のシールドを示す図。
【図7B】一実施態様の制御線図。
【図8】イオン引出し電極。
【図9】イオン引出し電極光学系。
【図9a】B18Hx+ビームのプロファイル。
【図10】引出し電極およびマニピュレータ。
【図11】電極ヘッドの分解図。
【図12】電極ヘッドの第2実施態様。
【図13】B10Hx+ビーム電流対デカボランの流速。
【図14】寿命対デカボラン蒸気の流速。
【図15】Si試験片のエッチング速度。
【図16】イオン注入器。
【発明を実施するための形態】
【0116】
(詳細な説明)
(新規なイオンビーム生成システム)
図1は、イオンビーム生成システムを示す。この実施例に示すように、このイオンビーム生成システムは、イオンビームを生成して、イオン注入チャンバに搬送し、半導体ウェハまたはフラットパネルディスプレイに注入するように適合される。図面には、イオン源400、引出し電極405、真空ハウジング410、電気絶縁材料の電圧隔離ブシュ415、真空ポンプシステム420、真空ハウジング隔離バルブ425、反応性ガス入口430、供給ガスおよび蒸気入口441、蒸気供給源445、供給ガス供給源450、反応性ガス供給源455、イオン源高電圧電源460、および結果として得られるイオンビーム475が示されている。イオンビーム搬送ハウジングは、411で示される。イオン源400は、クラスタイオンおよび分子イオン、例えば水素化ホウ素イオンB10Hx+、B10Hx−、B18Hx+、およびB18Hx−、またはさらに比較的従来のイオンビーム、例えばP+、As+、B+、In+、Sb+、Si+、およびGe+を提供するように構成される。イオン源400は、例えば、イオン注入に最も一般的に使用されるBernas式アーク放電イオン源、もしくは埋没RF(無線周波)アンテナを使用し、RF磁界を形成してイオンを生成する「バケット」式水冷イオン源、マイクロ波イオン源、または電子衝撃イオン化供給源などであり得る。イオン化されるガス状供給材料用のガスおよび蒸気入口441は、適切な蒸気供給源445に接続され、蒸気供給源445は、ガスおよび蒸気入口441に近接して配置され得るか、または比較的離れた位置、例えば端子エンクロージャ内のどこかに配置されたガス分配ボックス内などに配置され得る。端子エンクロージャは、イオンビーム生成システムを囲む金属ボックス(図示しない)である。端子エンクロージャは、イオン源に必要な設備、例えばポンピングシステム、配電、ガス分配および制御装置を含む。ビーム内のイオン種の選択に質量分析を使用する場合、その質量分析システムも端子エンクロージャ内に配置され得る。
【0117】
十分に画定されたエネルギーのイオンを抽出するため、イオン源400は、引出し電極405および真空ハウジング410に対して、高電圧電源460によって高い正電圧に維持され(正電荷イオンビームが生成される比較的一般的な場合)。引出し電極405は、電離箱の抽出開口部504に近接して配置され、整列される。引出し電極405は、開口部を含む少なくとも2つの電極プレート、いわゆる、電離箱500に最も近い抑制電極406、および「接地」電極407から成る。抑制電極406は、接地電極407に対して負にバイアスされ、正電荷イオンビームを生成する際に、正にバイアスされたイオン源400に引き付けられる望ましくない電子を拒絶または抑制するようになっている。接地電極407、真空ハウジング410および端子エンクロージャ(図示しない)はすべて、いわゆる端子電位にあり、例えば中電流イオン注入器などの一定の注入システムの場合のように、全体の端子をアース上に浮流させることが望ましい場合を除いて、接地される。引出し電極405は、以下に説明するとおり、新規な温度制御金属設計であり得る。
【0118】
(負電荷イオンビームが生成される場合、イオン源は、他の適切な変更を施した状態で高い負電圧に保持され、端子エンクロージャは一般に、接地されたままである。)
図1は、端子電位における反応性ガス供給源455を示し、反応性ガス入口430には高電圧ブレーク431が組み込まれ、これは、例えばAl2O3などの絶縁セラミックから製造され得る。イオン注入用のイオン源は、一般に、約90kVの最大電圧までバイアスされ得るので、この高電圧ブレーク431は、この用途の場合は90kVに耐えなければならない。以下で説明するとおり、洗浄システムは、イオン化供給源および高電圧を必ずオフにして(電源を切って)使用し、その結果、真空ハウジング410が高真空下にある場合にのみ、ブレーク431を横断して高電圧が存在し、高電圧スタンドオフクリアランス要件を比較的容易に満たす。真空ハウジング410と連絡する専用終点検出器470は、化学洗浄の間に反応性ガス生成物を監視するために使用される。
【0119】
イオン注入システムに使用するのに適する、例えば半導体ウェハをドープするためのイオン源の場合、電離箱は小さく、約100ml未満の容積を有し、約200cm2未満の内部表面積を有し、反応性ガス、例えばフッ素原子または反応性フッ素含有化合物の流れを毎分約200標準リットル未満の流速で収容するように構成される。
【0120】
図1のシステムは、インサイチュでの洗浄を可能にすること、つまり、真空ハウジングの動作位置からイオン源を取り外す必要がなく、サービスはほとんど中断されないことがわかる。
【0121】
図2は、もう1つの実施態様を示す。図1と比べた図2の主な相違は、反応性ガス供給源455および反応性ガス入口430がイオン源電位にある点である。この方法の利益は2倍あり、比較的コンパクトな構成であり、反応性ガス供給源455およびこれに関連するガス供給源をガスボックス内に収容することができ、このガスボックスは、一般的な商用イオン注入システムにおいてと同様に、イオン源電位においてガスおよび電力をイオン源400に供給する。
【0122】
(化学洗浄システム)
図1に類似する多くの特徴を有する図3の実施態様は、クラスタイオンおよびモノマーイオンの両方を選択的に生成するように構成される。この実施態様は、通常はガス状態の供給材料用の専用ガス入口435を有し、バルブ443を介して、水素化ホウ素およびその他の蒸発供給材料を生成するための蒸気供給源445と連絡する。イオン源および電極のインサイチュでの化学洗浄を行うため、遠隔プラズマ源455は、洗浄ガス供給材料465によって供給されるガス、例えばNF3を、F、F2およびN含有化合物などの分解生成物状に解離する。洗浄が望ましい場合、イオン源の電源を切った後、分解生成物は、遠隔プラズマ源455の出口456から、専用反応性ガス入口430によって電離箱内に供給される。遠隔プラズマ源455は、電圧隔離ブシュ415の端子電位側に実装される。イオン源400は高電圧で作動するため、真空の高電圧ブレーク431が電圧の絶縁を提供する。
【0123】
洗浄サイクルを開始するには、イオン源を停止し、真空ハウジング隔離バルブ425を閉鎖し、真空ポンプシステム420の高真空ポンプ421は隔離され、真空ハウジング410は、乾燥N2ガスの導入によって1Torr未満の低真空状態になり、ハウジングは、バッキングポンプ422によって能動的にポンプされる。低真空状態になると、アルゴンガス(Arガス供給源466から)がプラズマ源455内に導入され、このプラズマ源は、無線周波(RF)電源をプラズマ源455に結合するオンボード回路構成によってバイアスされる。プラズマ放電が開始すると、Ar流は減少し、F含有洗浄ガス供給材料465、例えばNF3がプラズマ源455内に導入される。中性形態の反応性Fガス、および解離した洗浄ガス供給材料465のその他の副生成物は、反応性ガス入口430を通り、イオン源400の電源を切った電離箱500内に導入される。ArおよびNF3(例えば)の流速は速く、0.1SLM(毎分標準リットル)と数SLMとの間である。したがって、約1SLMまでの反応性Fは、解離生成物として、このようにしてイオン源400内に導入され得る。電離箱500は容積および表面積が小さいため、沈着物質のエッチング速度は非常に速くなる。電離箱500は、引出し電極に対向する前部プレートを有し、このプレートは、断面積が約0.2cm2と2cm2との間の抽出開口部504を含み、通電した動作の間、イオンは、この抽出開口部504を通して引出し電極405によって抽出される。洗浄の間、反応性ガス負荷は、電離箱500から開口部504を通して、ハウジング410の真空によって抽出され、ガス負荷は、ハウジング410から低真空ポンプ422によってポンプされる。引出し電極405は、電離箱500の開口部504付近にあって、開口部504と対向するため、電極表面は、相当量の反応性ガス流を妨げる。その結果、電極洗浄作用が生じ、沈着物が電極表面から、特に、最大沈着物を収容する位置にある抑制電極406の前面から除去される。したがって、引出し電極およびその固定具、AlおよびAl2O3などのF抵抗材料から製造すると有利である。
【0124】
図3の実施態様もまた、差動ポンプ残留ガス分析器(RGA)から成る終点検出器を有し、これは、腐食性サービス用に構成される。分析器RGAは真空ハウジング410と連絡する。分析器RGAは、F含有反応生成物(例えば、BがFと結合することにより生じるBF3ガス)の分圧を監視することによって、洗浄動作の終点の検出器として使用される。その他のタイプの終点検出器を使用することもでき、RGAは、特定の一実施態様を示すために示あれる。ホウ素含有物質の分圧がRGAで低下する場合、洗浄プロセスはほぼ完了する。洗浄プロセスが終了すると、プラズマ源455の電源がオフにされて、Arガスで簡単にパージされる(その結果、電離箱500、ハウジング410、およびハウジング410内の要素もパージされる)。次いで、低真空ポンプ422は、真空ハウジング410との直接的な連絡から隔離され、高真空ポンプ421の隔離バルブが開放され、真空ハウジング410は、高真空状態(約1×10−5Torr以下)に復帰する。次に、真空ハウジング隔離バルブ425が開放される。ここで、このシステムは、イオンビームの生成を再開する準備ができている。イオン源の電源460は電源を入れられ得、イオン源400は正常に作動し得る。
【0125】
図3の実施態様の利点は、遠隔プラズマ源455を支持するのに必要なサービス施設、例えば冷却水循環および電源が、イオン注入器の端子電位であり得ることである(図16の208参照)。その結果、冷却水および電源など、Sで指示される設備を注入器の質量分析器磁石230と共用することができる。洗浄モードでは、プラズマ源455に電源が入ると、分析器230の電源が切れ、したがって、イオンビーム製造モード時に水も電力も必要としないか、またはこの逆である。この「共用」は、S’で大まかに表される適切な制御構成によって行われ、この制御構成は、使用する動作モードに応じて、冷却水循環および電源接続などのサービス施設を代わりに点線の矢印Sで指示される分析器磁石230、または実線の矢印Sで指示される遠隔プラズマ源455に方向付ける。
【0126】
図4は、供給源400および引出し電極405のインサイチュでの化学洗浄のための図2に類似する実施例を示す。3つの入口通路は、それぞれプラズマ源455からの反応性ガス430、多数の格納容積450のうちの選択された1つからの供給ガス435、および噴霧器445からの供給蒸気440のために、イオン源400内に組み込まれる。図3と異なり、図4の実施態様は、高電圧のイオン源400にプラズマベースの反応性ガス供給源455を有する。その結果、遠隔プラズマ源455は、イオン源400の制御点を共用することができ、格納室466からの洗浄供給ガス465およびアルゴンパージガスを、供給源電位のイオン源ガス分配ボックスから供給することができる(図6および図6Aも参照)。異なるタイプの終点検出器、つまりFourier変換赤外(FTIR)光学分光計も図示する。この検出器は、クォーツウィンドウを通してエキソサイチュで(真空ハウジングの外側で)機能することができる。実際に、図4に示すとおり、抽出タイプのFTIR分光計を使用することができ、この分光計は、洗浄時に真空ハウジング410内のガスを直接サンプルする。温度センサTDも、チャンバ表面の熱的に隔離された代表的な領域を感知することによって、電源を切った電離箱の温度を感知する。センサTDは、汚染沈着物質とFとの発熱反応によって生成される熱を監視して、終点検出として使用することができる。
【0127】
図5は、図4のシステムに類似するが、基本的に異なるタイプの反応性ガス供給源455が組み込まれている、イオンビーム生成システムを示す。この場合、ガスシリンダ内に含まれる反応性ClF3ガスは、遠隔プラズマ源を使用せずに、直接イオン源400内に供給される。その結果、遠隔プラズマ源の電源および制御が不要であるため、機器のコストおよび設置面積が潜在的に減少する。しかし、ClF3は自燃性であるため、危険であり、特別なガス取り扱いを要し、NF3(例えば)は主に窒息性であり、BF3、PH3またはAsH3などの多くの半導体ガスと比べて毒性が低く、したがって比較的安全である。
【0128】
図6は、既存のイオン注入器設備内に組み込むことを意図されたガスボックスB内に収容されたプラズマ源455、蒸気供給源445、供給源電子回路、およびプラズマ源用のサービス施設Sを示す。
【0129】
図6aの実施態様は、以下の好ましい噴霧器および流量制御システムを組み込むという点で、上記の図6の実施態様とは異なる。図6Bは、図4のイオン源および自己洗浄システムのバルブ概略図である。
【0130】
(好ましいイオン源および噴霧器)
図7は、好ましいイオン源10およびその様々な構成要素の図であり、図7Aを参照する。その構成の詳細、および好ましい動作モードは、2003年6月26日に出願されたHorskyらの国際出願PCT/US03/20197号「An ion implantation device and a method of semiconductor manufacturing by the implantation of boron hydride cluster ions」、および2002年6月26日に出願されたHorskyの米国特許出願第10/183,768号「Electron impact ion source」の開示事項に類似している(これらの両方が、本明細書中に参考として援用される)。イオン源10は、新規な電子衝撃イオン化システムの一実施態様である。図7は、イオン源10を構成する構成要素の機能を明確にするのに役立つ、供給源構造の概略断面図である。イオン源10は、実装フランジ36によってイオン注入器の排気された真空チャンバにインターフェースするように構成される。したがって、図7に示すフランジ36の右側にあるイオン源10部分は、高真空状態である(圧力<1×10−4Torr)。ガス状材料は電離箱44内に導入され、電離箱44内では、ガス分子は、電子ビーム70からの電子衝撃によってイオン化され、電子ビーム70は、電子入口開口部71を通って電離箱44内に入り、その結果、電子ビーム70は、イオン抽出開口部81と整列する(つまり、抽出開口部81に隣接して平行に延在する)。したがって、イオンは、イオン抽出開口プレート80内のスロットとして描かれるイオン抽出開口部81に隣接して生成される。次に、イオンは、イオン抽出開口プレート80の前部に位置する引出し電極220(図8および図9)によって抽出され、高エネルギーのイオンビーム475として生成される。図7を参照すると、例えばアルゴン、ホスフィンまたはアルシンなどのガスは、ガス導管33を介して電離箱44内に供給され得る。デカボランまたはオクタデカボランなどの固体供給材料29は、噴霧器28内で蒸発し得、蒸気は、供給源ブロック35内の蒸気導管32を通って、電離箱44内に供給される。一般に、電離箱44、イオン抽出開口プレート80、供給源ブロック35(蒸気導管32を含む)、および噴霧器ハウジング30は、すべて、アルミニウムから製造される。固体供給材料29は、噴霧器ハウジング30の閉ループ温度制御装置によって均一な温度に維持される。バラスト容積31内に蓄積する昇華蒸気50は、導管39を通り、スロットルバルブ100および遮断バルブ110を通って供給される。スロットルバルブ100と遮断バルブ110との間の蒸気50の公称圧力は、加熱圧力計60、好ましくはキャパシタンス圧力計で監視される。蒸気50は、供給源ブロック35内に位置する蒸気導管32を通って電離箱44内に供給され、ガスはガス導管33を通って供給されるため、ガス状および蒸発材料は、このイオン源によってイオン化され得、このイオン源は、必要に応じて分子イオン(B18Hx+など)またはモノマーイオン(As+など)のいずれかから成るイオンビーム475を生成することができる。
【0131】
(イオン生成システム内への蒸気流制御)
図7の電離箱に至る蒸気の流れは(図7B参照)、蒸気供給通路32の直前、つまり図7の遮断バルブ110内の領域の蒸気圧によって決まる。この蒸気圧は、スロットルバルブ100と遮断バルブ110との間に位置する圧力計60、例えばキャパシタンス圧力計によって測定される。一般に、流速は蒸気圧に比例する。その結果、圧力信号は流量を表し、流量を選択するための設定点として使用することができる。所望の蒸気流をイオン源内に生成するには、噴霧器ハウジング30は、スロットルバルブ100を完全に開放位置にした時に所望の流速を超えるような温度にされる。次に、スロットルバルブ100は、所望の圧力出力に達するように調節する。
【0132】
長時間にわたって安定した流れを確立するには、Omron E5CK制御ループデジタル制御装置などの二重PID制御装置を使用して、噴霧器温度および蒸気圧の別個の閉ループ制御を実施する。制御(フィードバック)変数は、温度については熱電対の出力、および圧力についてはゲージ出力である。図7Bの図表は、これらの閉ループ制御機能を実行するためのデジタル蒸気供給制御装置220を示す。
【0133】
図7Bでは、圧力計60からのゲージ出力250は、スロットルバルブ位置制御手段245に印加され、制御手段245は、スロットルバルブ位置制御信号247をスロットルバルブ100に送信する。噴霧器28からの熱電対の出力225は、噴霧器28に印加される加熱器の電力248を制御する噴霧器加熱器制御手段215に印加される。
【0134】
第2の低速レベル制御は、デジタル供給制御装置220によって実施され、この制御装置220は、固体供給材料が蒸発する速度をその開放表面積、特に固体−真空界面において使用可能な表面積の関数であるように適応させる。供給材料は、噴霧器内で長時間にわたって消費されるため、この使用可能な表面積は確実に減少し、その結果、蒸気の進化速度が所望の蒸気流速を支持できなくなり、スロットルバルブ100の上流の蒸気圧が低下する。これは、「進化速度制限」動作として公知である。したがって、供給材料を噴霧器内に新たに充填すると、噴霧器の温度、例えば25℃は、スロットルバルブのダイナミックレンジの下端で、所要の蒸気流を公称スロットルバルブ位置に支持する(つまり、スロットルバルブは部分的にのみ開放)。時間が経過すると(例えば、供給材料の20%が消費された後)、このバルブ位置は次第に開き、所望の流量を維持する。スロットルバルブが、そのダイナミックレンジの高コンダクタンス限界付近にある場合(つまり、ほとんど開放している)、このバルブ位置は、制御装置220によって感知され、制御装置220は、新たなより高い加熱器設定点温度を噴霧器の加熱器制御手段215に送信する。増分は、噴霧器温度が新しい値に安定すると、スロットルバルブのダイナミックレンジの下端付近の公称スロットルバルブ動作点を回復するように選択される。したがって、デジタル制御装置220が、設定点蒸気圧の短期間の変化、および噴霧器温度の長期間の変化の両方に適応する能力によって、供給材料充填の寿命全体における蒸気流の制御は非常に強固になる。このような制御は、電離箱に対する蒸気の過供給を防止する。これは、イオン生成システムの表面上における望ましくない沈着物の量を制限し、その結果、洗浄間のイオン源の寿命を延長する効果がある。
【0135】
図8は、新規なイオン源10に対向するイオン引出し電極220の上面図(見下ろす)を示す。イオン源10は、イオン引出し電極220に対して正電位VAに維持され、これは、局所的な接地電位、つまり真空ハウジングの電位である。イオン引出し電極220は単純なダイオードであり、電極のプレート302は「接地」電極であり、プレート300は「抑制」電極であり、これは、抑制電源VSによって接地電位より数千ボルト低く維持される。イオン源10の電離箱44およびイオン抽出開口プレート80は、引出し電極220に対向するように示されている。3つのプレート80、300、302は、イオン90が抽出される矩形のスロットまたは開口部を含む。図8は、「短い」かまたは分散的な方向におけるスロットのプロファイルを示す。
【0136】
(新規な加熱電極)
図14に示すデカボラン寿命テストを行う時に、新規な加熱アルミニウム電極を使用した。図9は、1次元「スロット」開口レンズの分散面における抽出システムの基本的な光学構造の上面図を示す。使用する注入器では、イオン源の電離箱490は、図8に示す正の高電圧電源VAによって、所望のイオンビームエネルギーに維持された。例えば、20keVのイオンビームが望ましい場合、VA=20kVである。イオン抽出開口プレート500は、電離箱490から電気的に隔離されるため、双極電源VBによって−750V〜750Vにバイアスすることができる。この隔離は、熱伝導性の電気絶縁ポリマーガスケットによって行われ、このガスケットは、イオン抽出開口プレート500と電離箱490との間に挟持される。蒸気に暴露されるイオン源本体の部品(図7の供給源ブロック35、電離箱44および抽出開口プレート80)は、互いに良好に熱接触状態を維持し、供給源の動作時に制御された温度の表面を維持する。電離箱490内に生成されるイオンは、イオン抽出開口プレート500内の開口部を通して、抑制電極510および接地電極520から成る引出し電極540によって抽出される。イオンは、ビーム軸530に沿って集束イオンビームとして伝播する。抑制電極510は、電源VSによって数千ボルト負にバイアスされ、ビーム攻撃によって抑制電極の上流に生成される二次電子を抑制するのに役立ち、これらの高エネルギー電子が正バイアスイオン源内に逆流するのを防止する。電離箱490、イオン抽出開口プレート500、抑制電極510、および接地電極520はすべて、アルミニウムから製造され、局所的な電界を最低限にするために念入りに研磨された平坦な表面を有する。
【0137】
イオン抽出開口プレート500をバイアスする重要な効果は、図9のイオン光学系の焦点距離を変更することである。負バイアスは焦点距離を増加させ、正バイアスは焦点距離を減少させる。バイアスが大きい場合、相当の効果があり得る。診断上の目的のため、走査線表面形状測定装置を取り付け、供給源ハウジング隔離バルブ(図16の210)のすぐ下流にある分析器磁石の入口に配置した。このスキャナは、分散面におけるビーム電流の分布を記録し、イオンビームがいかに良好に分散面内で集束するかを決定するのに役立つ。20keVのオクタデカボランビームのプロファイルが、3つの異なるバイアス状態、つまり−483V、0、および+300Vに関して、図9aに示す。0Vの状態は、実質的に過集束であり、正電圧状態はさらに過集束であり、負電圧状態は適切に集束している。電極位置は、3回の測定時に一定に維持した。予想通り、適切な集束状態は、最高のイオンビーム電流を生じた。
【0138】
光学焦点距離を変化させ、ひいては光学系を調整して、最高イオンビーム電流を得る能力は、最小量の供給材料を噴霧器に導入することを可能にする。これも同様に、イオン生成システムの表面上における望ましくない沈着物の量を制限して、洗浄間のイオン源の寿命を延長するという有利な効果を有する。
【0139】
上記システムを集束させるための抽出開口プレートをバイアスするほか、本発明は、引出し電極の光学素子をシステムの他の構成要素に対して移動させるための手段を提供する。図10は、(イオン源に対して)座標系620が定義するX方向、Z方向およびΘ方向に移動することを可能にする3軸マニピュレータ610上に実装された、新規な電極600を示す。アクチュエータ613はX運動を制御し、アクチュエータ612はZ運動を制御し、アクチュエータ611はΘ運動を制御する。マニピュレータ610は、取付けフランジ615を介して、注入器の真空ハウジングの側部に取り付けられる。
【0140】
図11は、放射加熱バージョンの新規な電極ヘッドの部分分解図を示す。この図には、抑制電極700、接地電極710、加熱器プレート720、および放射加熱器ワイヤ730が示されている。抑制電極および接地電極は、アルミニウムから製造され、加熱器プレートはステンレス鋼から製造され、そして加熱器ワイヤ730はニクロムから製造される。電極が200℃で作動する場合、電力消費量は、この温度を維持するために約60Wであった。加熱器の電力は、熱電対のリードバックに基づく閉ループPID制御装置、Omron E5CKで制御される。
【0141】
図12は、抵抗加熱バージョンの新規な電極ヘッドの部分分解図を示す。この図には、抑制電極800、接地電極810、および抵抗加熱器820が示されている。4つの抵抗加熱器820はスリーブ830に適合し、2つの抵抗加熱器は各々の電極プレートに適合する。スリーブ830は、加熱器がスリーブ内にプレスばめされ、密着するような分割構造である。加熱器と電極との間の密着は、電極の適切な加熱を確保し、加熱器の早期の焼損を防止する上で重要である。ここでまた、Omron E5CKまたはその均等物が、熱電対のリードバックに基づいて電極温度を制御することができる。
【0142】
上記のとおり、これらの加熱装置を引出し電極に使用すると、図7および図7Aの比較的低温で作動するイオン源によって生成されるようなデカボランおよびオクタデカボランの凝縮を防止するのに十分な高温を完全に制御された状態で維持することができる。フッ素抵抗性材料、例えばアルミニウムから製造される引出し電極は、電極を定期的にインサイチュで洗浄して、抽出開口部から引き出されるフッ素蒸気によってあらゆる沈着物を除去することを可能にする。
【0143】
プラズマイオン源の場合、本質的に高温で作動され、引出し電極組立体が低温材料から製造されている場合、熱が引出し電極組立体を損傷し得るという、異なる状況が生じる。図9を参照すると、円形冷却コイル512および522が点線で示され、これらのコイルは、それぞれアルミニウム電極部材510および522の裏側に、熱伝達関係で固定されている。これらの冷却コイルを通る冷却流体の循環は、アルミニウム電極を冷却して、高温イオン源からの熱によって変形するのを防止することができる。その結果、引出し電極にフッ素抵抗材料、例えばアルミニウムまたはアルミニウム含有錯体を使用することを可能にし、これらの材料は、供給材料または抵抗性洗浄ガスから存在する何らかのフッ素による攻撃に対する抵抗性を与える。
【0144】
(デカボランを作動させた場合の供給源の寿命の測定)
図14は、広範なデカボランの流量にわたってテストする供給源の寿命の結果を示す。これらのデータへのあてはめは、方程式(3)に由来する。これらのテスト時、イオン源の不具合は記録されなかった。むしろ、個々のテストは、デカボランイオン電流が最初のレベルの約半分に低下した時点で終了した。イオン源を検査した後、かなりの量のホウ素含有材料が、電離箱内に沈着し、ほとんどチャンバの内壁に付着することが分かった。場合によっては、イオン抽出開口部も部分的に占有された。方程式(3)のモデルは、これらのデータに良くあてはまるようであり、インサイチュでの化学洗浄手順間または分解間でのイオン源の寿命を延長するためには、「希薄」な運用が重要であることを示唆している。
【0145】
(F洗浄時の電離箱内のエッチング速度の測定)
図7のイオン源10を有するシステムを使用して、電離箱44の内側に段状になっている1mm厚のシリコン試験片に関してF洗浄プロセスを、以下を変更してテストした:専用の反応性供給導管を組み込むのではなく、蒸気供給導管32を使用して反応性ガスを導入した。Siは、FによるSiのエッチングは十分に理解されており、純粋Si材料はSiウェハの形態で入手可能なために使用した。このテストでは、洗浄サイクル間で噴霧器を取り外す必要があった。2つの試験片位置をテストした:一方は、反応性ガス入口(つまり、蒸気供給32)に対して視点の関係を有し、一方は視点を有さない。エッチング速度は、図15にNF3流速の関数として示されている。このプロセスの際に、700sccmのアルゴン流を遠隔プラズマ源内に維持し、NF3流速は50sccmから500sccmに変動した。視点の幾何学的形状は、エッチング速度が約5倍増加することを示し、したがって、均一に増加し得る場合には、好ましい幾何学的形状である。この目的で、図3に示す幾何学的形状は、図4に示す幾何学的形状と比べて、イオン源の電離箱44の比較的良好なエッチング均一性を提供するべきである。このテストは、ガス流からシールドされたエッチング反応構成要素の位置が、これらの構成要素に対してある程度の保護を提供する上で効果的であることを示した。
【0146】
自己洗浄型のイオン生成システムの構成要素の寿命を延長するには、反応性ガスに対して抵抗性の構造材料が選択され、反応構成要素をシールドすると仮定し得る。
【0147】
電離箱の内部には、上記のとおりアルミニウムが使用され、アルミニウムの構成要素は反応性ガスのフッ素に耐え得るので、イオン化作用温度が可能である。比較的高温のイオン化作業が望ましい場合、炭化ケイ素アルミニウム(AlSiC)合金は、電離箱の表面または引出し電極に適した選択肢である。電離箱表面のためのその他の材料は、ホウ化チタン(TiB2)、炭化ホウ素(B4C)および炭化ケイ素(SiC)である。
【0148】
フッ素に暴露されるが、イオン化作用には暴露されない構成要素、例えば電極などの電子供給源構成要素の場合、これらの構成要素は、ハステロイ、耐フッ素性ステンレス鋼、およびニッケルめっき金属、例えばニッケルめっきモリブデンから製造され得る。
【0149】
不活性ガスのシールドおよび可動式の物理的障壁は共に、洗浄時にシステムの構成要素を反応性ガスから保護することができる。例えば、図7Aを参照すると、アルゴンなどの不活性ガス用の導管113は、ガス供給源(図示しない)から延在する。導管の出口は、イオン源内の重要な位置であり、その結果、不活性ガスの流れは、洗浄サイクルを開始した時点で、保護されるべき構成要素から溢れる。図7Aでは、不活性ガス導管113の出口113aは、電子放出陰極を含む電子銃112の能動的な構成要素上を溢れるアルゴンの流れを目的としている。図7Aでは、可動シールド部材73も示されており、これは、洗浄サイクルの位置まで移動可能である。図示の実施例では、可動シールド部材73は、ビームダンプ72、または電離箱44の側に設ける場合、別の電子銃に通じる開口部71A上を移動可能である。
【0150】
上記の洗浄プロセスを、電離箱内および図7の新規なイオン源10のイオン抽出開口部の内部におけるホウ素沈着物に対する効果を観察するために行った。観察されたエッチング速度は、図15のプロットに類似する特徴を有するが、3分の1だった。したがって、NF3流速が500sccmの場合、デカボラン沈着物のエッチング速度は7μm/分(非視野方向)、および36μm/分(視野方向)であった。0.8sccmの蒸気流でデカボランを4時間作動させた後、イオン抽出開口部の内部には、洗浄前には約133μm厚のホウ素含有沈着物があった。観察を、5分間のF洗浄後、および15分間のF洗浄後に、これらの流速を使用して行った。開口プレートの一方の側は、蒸気供給に対して視野方向であった。驚くべきことに、洗浄パターンから、上記供給開口部は垂直方向の中心に存在することが観察された。洗浄15分後、プレートから沈着物がほぼ完全に消滅した。また、図10の新規な加熱アルミニウムイオン引出し電極は、長時間の作動後に取り外して検査した。この引出し電極は非常に清潔であり、デカボラン沈着物は観察されなかった。これは、電極を反応性Fに暴露したためであることは明らかである(Fは、蒸気導管の前部に位置するイオン源イオン抽出開口部を通って、この開口部のすぐ前面の引出し電極に流れることが可能である)。また、Al電極組立体が高温である場合、その沈着物の効果的なエッチング速度が増加した。
【0151】
電離箱に関して、ここでまた、15分間のエッチング洗浄後、チャンバには沈着物がほぼ存在しなかった。システムを以下の方法で繰り返し循環させて、テストを実施した:2時間のデカボランによる作動(500μAを超える分析ビーム電流)、供給源の電源を切り、フィラメントを冷却させ、次に、500sccmのNF3供給ガス、および700sccmのArで15分間の化学洗浄を行い、化学洗浄ステップを繰り返し行ったために、何らかの方法でイオン源または引出し電極を損傷したか否かを観察した。21サイクル後、イオン源にも電極の動作特性にも、測定可能な変化はなかった。この結果は、このF洗浄プロセスが凝縮可能な種のイオン源動作における、非常に長い寿命を可能にすることを実証する。
【0152】
(例示的なイオン注入器内に組み込まれるイオン生成システム)
図16は、図7のイオン源が組み込まれた新規なイオンビーム生成システムの一実施態様が取り付けられた商用イオン注入器の基本的な要素を示す。イオン源10は、イオン注入器の供給源真空ハウジング209内に挿入される。イオン源10は、絶縁体211によってハウジング209から電気的に絶縁される。イオン引出し電極220は、イオン源10からイオンを抽出して加速し、イオンビーム200を形成する。イオンビーム200は、真空内で完全に伝播する;イオンビーム200は、電極220から分析器ハウジング290、300に入って屈曲し、双極子分析器磁石230によって、電荷対質量比が異なる別個のビームレット状に分散する。問題のこのイオンビームレットは、質量分解開口部270を通過して最終加速(または減速)ステージ310に入る。このように生成され、選択され、加速されたイオンビーム240は、イオンビーム生成システム208を離れて、プロセスチャンバ330に導入されて、回転ディスク314上の1つまたは複数のデバイスウェハ312を捕らえる。イオン源真空ハウジング209は、隔離バルブ210を閉鎖することによって、注入器の真空システムの他の部分から隔離することができる。例えば、隔離バルブ210は、イオン源のインサイチュでの洗浄前に閉鎖される。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、1つまたは複数の気体または蒸発供給材料がイオン源内でイオン化されるイオンビームの製造に関する。本発明は、半導体基板およびフラットパネルディスプレイ用の基板のイオン注入用のイオンビームを生成するためにイオン源を作動させる方法および装置にさらに関する。特に、本発明は、イオンビームを生成するシステムの生産的な時間(つまり、「動作可能時間」)の延長に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
イオンビームは、イオン源から抽出されるイオンから生成される。イオン源は、一般に、高電圧電源に接続される電離箱を使用する。電離箱は、例えばアーク放電、電子放出陰極からの強力な電子、または無線周波数もしくはマイクロ波アンテナなどのイオン化エネルギー源に結合される。所望のイオン種の供給源は、気体または蒸発形態の供給材料として電離箱内に導入され、このチャンバ内で、この供給材料は、イオン化エネルギーに暴露される。抽出開口部を通したチャンバからの結果として得られるイオンの抽出は、イオンの電荷に基づく。引出し電極は、電離箱の外部に位置して抽出開口部と整列し、電離箱の電圧未満の電圧である。電極はイオンを引き出して、このイオンは、一般にイオンビームを形成する。所望の用途に応じて、イオンビームは質量分析されて質量およびエネルギーの純度が確立され得、加速および集束され得、走査力の対象となり得る。次に、ビームは、使用位置、例えば処理チャンバ内に搬送される。イオンビームの正確なエネルギーの質の結果として、そのイオンは、所望の深さで半導体基板内に高度に正確に注入され得る。
【0003】
イオンビームの正確な質は、イオンビーム生成システムの表面、特にイオン化、イオン抽出および加速に影響を与える表面における供給材料またはその分解生成物の凝縮および沈着によって著しく影響を受ける可能性がある。
【0004】
(イオン注入プロセス)
ドーパント元素を半導体ウェハ内に導入するための従来の方法は、イオン注入のためにエネルギーが制御されたイオンビームの導入による。これは、望ましい不純種を半導体基板材料中に導入して、望ましい深さのドープ(つまり「不純」)領域を形成する。不純元素は、半導体材料と接着して電気キャリアを生成し、半導体材料の導電性を変更するように選択される。電気キャリアは、電子(N型のドーパントによって生成される)、またはP型のドーパントによって生成される「ホール」(つまり、電子が存在しない)のいずれかであり得る。このように導入されるドーパント不純物の濃度は、ドープ領域の導電性を決定する。多くのこのようなN型およびP型の不純領域は、トランジスタ構造、絶縁構造およびその他のこのような電子構造を構成するために形成されなければならず、これらの構造は、集合的に半導体デバイスとして機能する。
【0005】
イオン注入用のイオンビームを生成するには、ガスまたは蒸気供給材料は、望ましいドーパント元素を含むように選択する。ガスまたは蒸気は、排気された高電圧電離箱内に導入され、同時にエネルギーが、このガスまたは蒸気をイオン化するために導入される。その結果、ドーパント元素を含むイオンが生成される(例えば、シリコン中では、As元素、P元素およびSb元素はドナーまたはN型ドーパントであり、BおよびInはアクセプタまたはP型ドーパントである)。加速電界は、引出し電極によって提供され、一般に正に荷電したイオンを電離箱から抽出して加速し、所望のイオンビームを形成する。高純度が必要な場合、ビームは質量分析を経由して搬送され、当該分野で公知のとおり、注入されるべき種が選択される。イオンビームは、最終的に処理チャンバに搬送されて、半導体ウェハ内に注入される。
【0006】
類似の技術は、ディスプレイに位置する薄膜トランジスタを作動させる基板上ドライバ回路構成を含むフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造に使用される。この場合の基板は、半導体層が取り付けられたガラスなどの透明パネルである。FPDの製造に使用されるイオン源は、一般に、ホウ素を含む材料、リンを含む材料およびヒ素を含む材料の広い面積のイオンビームを形成するように物理的に大きく、イオンビームは、例えば、注入されるべき基板を含むチャンバ内に方向付けられる。ほとんどのFPD注入器は、イオンビームが基板に達する以前に、イオンビームの質量分析を行わない。
【0007】
(イオン汚染)
一般に、PまたはAsなどのN型ドーパントのイオンビームは、かなりの割合のP型ドーパントイオンを含むべきではなく、BまたはInなどのP型ドーパントのイオンビームは、かなりの割合のN型ドーパントイオンを含むべきではない。このような状態は「交差汚染」と呼ばれ、望ましくない。交差汚染は、供給源の供給材料がイオン源内に蓄積し、次に、供給源の供給材料が、例えば、リン元素供給材料を最初に作動させてN型P+ビームを生成し、次にBF3ガスに切り換えてP型BF2+ビームを生成する場合に、変化し得る。
【0008】
重大な汚染の影響は、供給材料がイオン源内に蓄積し、その結果、供給材料が供給源の正常な動作を妨げる場合に発生する。このような状態は、イオン源および引出し電極を取り外して清掃または交換することを必要とし、その結果、イオン注入システム全体の「停止」時間が長くなり、生産性の損失の原因になる。
【0009】
デバイスウェハ製造用のイオン注入器に使用される多くのイオン源は、「高温」供給源であり、つまり、このイオン源は、アーク放電を維持して高密度プラズマを生成することによって作動し、このような「高温」供給源の電離箱は、800℃以上の動作温度に達する可能性があり、多くの場合、固体沈着物の蓄積をかなり減少させる。さらに、このような供給源にBF3を使用して、ホウ素含有イオンビームを生成すると、BF3プラズマの生成時に、多量のフッ素イオンが生成され、フッ素はイオン源の壁部をエッチングし得、特に、気体状BF3の化学的生成を通して沈着ホウ素を回収し得るので、沈着物はさらに減少する。しかし、その他の供給材料の場合、有害な沈着物は高温イオン源中で形成された。例としては、アンチモン(Sb)金属および固体インジウム(In)が挙げられ、これらのイオンは、シリコン基板をドープするために使用される。
【0010】
低温イオン源、例えば、埋没RFアンテナを使用して供給源プラズマを励起するRFバケットタイプイオン源(例えば、特許文献1(Leungら、本明細書中に参考として援用される)参照)は、イオン源の設計が、キュリー温度未満に維持しなければならない永久磁石を備えるか、もしくはイオン源が、高温の表面に暴露された場合に破壊する感熱供給材料を使用するように設計されているかのいずれかの用途、またはこれらの両方の条件が存在する用途に使用される。低温イオン源は、高温供給源と比べて供給材料の沈着が難点である。ハロゲン化供給材料を使用してドーパントを生成すると、ある程度沈着物を減少させるのに役立ち得るが、特定の場合では、水素化物などの非ハロゲン供給材料はハロゲン化化合物よりも好ましい。非ハロゲン用途の場合、気体のB2H6、AsH3およびPH3などのイオン源供給材料を使用する。場合によっては、As元素およびP元素が蒸発形態で使用される。低温イオン源中のこのようなガスおよび蒸気の使用によって著しい材料が沈着し、場合によっては頻繁に、イオン源を取り外して洗浄する必要が生じた。B2H6およびPH3を使用する低温イオン源は、現在ではFPD注入ツールにおいて一般的に使用される。これらのイオン源は、交差汚染(N型ドーパントとP型ドーパントとの間)、ならびに沈着物の存在によって粒子が形成されるという欠点がある。基板に搬送する場合、粒子は歩留まりに負の影響を与える。従来、交差汚染作用によって、FPDメーカーは、N型に1つ、P型に1つというように専用のイオン注入器を使用せざるを得ず、所有コストに著しい影響を与えていた。
【0011】
(水素化ホウ素)
B10H14(デカボラン)およびB18H22(オクタデカボラン)などの水素化ホウ素材料は、イオン注入供給源材料として感心を集めてきた。正しい条件下では、これらの材料はイオンB10HX+、B10HX−、B18HX+、およびBl8Hx−を形成する。注入されると、これらのイオンは、CMOS製造時の浅い接合部を形成するための非常に浅い高容量P型の注入物を可能にする。これらの材料は室温で固体であるため、蒸発するはずであり、蒸気はイオン源中に導入されてイオン化される。これらは、低温材料であり(例えば、デカボランは100℃で融解し、室温で約0.2Torrの蒸気圧を有し、デカボランは約350℃より高温で解離する)、したがって、低温イオン源に使用しなければならない。これらは、例えば高温プラズマ源中で容易に解離する脆弱な分子である。
【0012】
(水素化ホウ素の汚染問題)
デカボランおよびオクタデカボランなどの水素化ホウ素は、イオンビームを生成するために使用される場合、イオン源内で容易に解離するという性質によって、深刻な沈着問題を呈する。これらの材料をBernas式アーク放電イオン源、および同様に電子衝撃(「ソフト」)イオン化供給源に使用すると、ホウ素含有沈着物が、相当の速度でイオン源内に蓄積することが確認された。実際に、供給源内に導入された水素化ホウ素蒸気の半分までが、解離した凝縮材料としてイオン源内に留まり得る。結局、イオン源の設計に応じて、凝縮材料の蓄積は供給源の動作を妨げるので、イオン源を取り外して洗浄する必要がある。
引出し電極の汚染も、これらの材料を使用する場合の問題であった。直接的なイオンビームの衝撃および凝縮蒸気は共に層を形成し得、これらのホウ素含有層は電気的に絶縁されていると思われるので、イオンビーム形成光学系の動作を悪化させる。一旦、電気絶縁層が沈着すると、電荷を蓄積して、真空放電を生成するか、または故障時にいわゆる「グリッチ」を生じる。このような不安定性は、イオンビームの精密な質に影響を与え、汚染粒子形成の一因になり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6094012号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
(発明の開示)
本発明の目的は、耐用年数を増加し、機器の停止時間を減少させるイオンビームを生成する方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、イオン源ならびに関連する引出し電極、およびイオンビーム生成システムの類似の構成要素のインサイチュでの洗浄手順および装置を特徴とし、これらの洗浄手順および装置は、沈着物を定期的かつ化学的に除去し、耐用年数および性能を増加させ、しかもシステムを分解する必要がない。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
引出し電極(405または220)および反応性ガス洗浄システム(455、430)に関連するイオン源(400または10)を含む、イオンビーム(475または240)を生成するシステムであって、
該イオン源が、高電圧電源に接続された電離箱(500)であって、ガス状または蒸発供給材料用の入口(441、440または435)を有する電離箱(500)と、該電離箱内で該供給材料をイオン化するためのエネルギー付与可能なイオン化システムと、真空ハウジング(410または209)と連絡する抽出開口部(304)とを備え、該真空ハウジングが、真空ポンプシステム(420)によって排気され、
該引出し電極(405または220)が、該電離箱の外側で、該真空ハウジング内に配置され、該電離箱の該抽出開口部(504)と整列され、該電離箱の電圧未満の電圧に維持されて、該開口部を通して該電離箱内からイオンを抽出するように構成され、
該反応性ガス洗浄システム(455、430)が、該電離箱およびイオン化システムの電源が切られると動作可能であり、該電離箱(500)および該イオン抽出開口部(504)を通して反応性ガス流を供給し、該イオン生成システムの表面の少なくとも一部上の沈着物と反応させて、該沈着物を除去する、イオンビーム生成システム。
(項目2)
イオンを半導体ウェハ内に注入する際に使用するように構成され、前記電離箱(500)が、約100ml未満の容積および約200cm2未満の内部表面積を有する、項目1に記載のイオンビーム生成システム。
(項目3)
毎分約2標準リットル未満の流速で、前記電離箱内に前記反応性ガス流を生成するように構成された、項目1または2に記載のイオンビーム生成システム。
(項目4)
前記引出し電極(405または220)が、ある使用位置に搬送するのに適しする加速イオンビームを生成するように構成される、項目1〜3のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目5)
前記引出し電極(405または220)が、前記抽出開口部(504)から前記真空ポンプシステムに移動する反応性ガスの経路内に位置し、その結果、該引出し電極が該反応性ガスによって洗浄される、項目1〜4のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目6)
前記引出し電極(405または220)が加熱器(720、730、820)に結合され、前記電離箱内に生成されるイオンを該引出し電極が抽出する間に、例えば固体に由来する感熱蒸気の凝縮温度を超えると共に解離温度未満の高温に維持される、項目1〜5のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目7)
前記引出し電極(405;220)が、例えば該電極が感温材料から形成され、高温イオン源と共に使用される場合に、冷却デバイス(512、522)に結合される、項目1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
(項目8)
前記引出し電極が平坦な特徴のない面を有する、項目1〜7のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目9)
前記反応性ガス洗浄システム(455、430)がプラズマチャンバを備え、該プラズマチャンバが、プラズマによって解離可能な供給ガスを収容して、チャンバ出口(456)および導管(430)を通る反応性ガスの流れを生成し、該反応性ガスを電離箱(500)に搬送する、項目1〜8のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目10)
前記プラズマチャンバ(500)が、フッ素原子に解離可能な化合物、例えばNF3、C3F8またはCF4を収容して解離させるように構成および配列される、項目9に記載のイオンビーム生成システム。
(項目11)
前記反応性ガス洗浄システムが、前記イオン源(400または10)に結合するサービス設備(S)を共用するように構成および配列される、項目9または10に記載のイオンビーム生成システム。
(項目12)
質量分析器(230)を通るようにイオンビームを方向付け、前記反応性ガス洗浄システムが、サービス設備(S)を該質量分析器と共用するように構成および配列される、項目9または10に記載のイオンビーム生成システム。
(項目13)
前記反応性ガス洗浄システムが、加圧反応性ガス、例えばClF3の容器からの導管(430A)を備える、項目1〜8のいずれかに記載のイオンビーム生成システム。
(項目14)
イオンビームを生成するためのシステム表面上の汚染と反応性ガスとの反応の実質的な完了の検出を少なくとも支援するように構成された終点検出システム(470、RGA、FTIR、TD)と組み合わされる、項目1〜13のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目15)
終点検出システムが、反応性ガス洗浄システムの作動の間に前記表面に暴露されたガスの化学構成に関する分析システム(例えば、RGAまたはFTIR)を備える、項目14に記載のイオンビーム生成システム。
(項目16)
反応性ガスとシステムの表面上の汚染との発熱反応の実質的な終了を検出するように配列された温度検出器(TD)を備える、項目14または15に記載のイオンビーム生成システム。
(項目17)
前記エネルギー付与可能なイオン化システムが、反応性ガスによって被害を受けやすい前記電離箱(500)内の構成要素、または該電離箱(500)と組み合わされる構成要素を備え、該システムを貫流する反応性ガスから該構成要素をシールドするように手段が設けられる、項目1〜16のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目18)
前記手段が、前記構成要素を通過するアルゴンなどの不活性ガスの流れを生成する構成を備える、項目17に記載のイオンビーム生成システム。
(項目19)
前記手段が、前記反応性ガスに対して不浸透性のシールド部材を含む、項目17または18に記載のイオンビーム生成システム。
(項目20)
反応性ガスとして反応性ハロゲンガスを用いて動作するように構成され、前記引出し電極(405または220)および関連する部品が、アルミニウム(Al)またはアルミナ(Al2O3)を含む、項目1〜19のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目21)
前記イオン源(400または10)が、アーク放電、RF磁界、マイクロ波場または電子ビームを介して前記電離箱(500)内にイオンを生成する、項目1〜20のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目22)
前記電離箱に対する供給蒸気を生成するための凝縮可能な供給材料の噴霧器(22、445)に結合される、項目1〜21のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目23)
前記イオン源が、クラスタまたは分子イオンを生成することが可能な供給材料を蒸発させるように構成され、前記イオン化システムが、注入用のクラスタまたは分子イオンを生成するために該材料をイオン化するように構成される、項目1〜22のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目24)
前記真空ハウジング(410または209)が、高真空を生成することが可能な高真空ポンプ(421)と、低真空を生成することが可能なバッキングポンプ(422)とを備えるポンプシステム(420)と結合し、該高真空ポンプ(421)が、前記イオン源(400または10)の作動の間に動作可能であり、前記反応性洗浄システムの作動の間に該真空ハウジングから隔離されることが可能であり、該バッキングポンプ(422)が、該反応性ガス洗浄システムの作動の間に動作可能である、項目1〜23のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目25)
イオン注入装置に結合され、該装置が、引出し電極(405または220)の後にイオンを真空チャンバ(330)内の注入ステーション(312、314、図16)に搬送する、項目1〜24のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目26)
前記反応性ガス洗浄システムの作動の間に、前記注入ステーション(312)を前記電離箱(500)および前記引出し電極(405または220)から隔離するための隔離バルブ(425または200)を備える、項目25に記載のイオンビーム生成システム。
(項目27)
前記イオン源が、半導体プロセス用のドーパントイオンを生成するように構成および適合され、前記反応性ガス洗浄システム(455、430)が、表面から沈着物を洗浄するために、フッ素Fイオンまたは塩素Clイオンを前記電離箱(500)または前記引出し電極(405または220)に供給するように適合される、項目1〜26のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目28)
前記イオン源(400または10)が、特定温度に温度制御されるように適合される、項目1〜27のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目29)
前記イオン源(400または10)が、ホウ素含有イオンビームを生成するように適合される、項目1〜28のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目30)
蒸発した水素化ホウ素材料を前記イオン源(400または10)内に供給することによって、前記ホウ素含有イオンビームを生成するように適合される、項目29に記載のイオンビーム生成システム。
(項目31)
前記水素化ホウ素材料がデカボランB10H14である、項目30に記載のイオンビーム生成システム。
(項目32)
前記水素化ホウ素材料がオクタデカボランB18H22である、項目30に記載のイオンビーム生成システム。
(項目33)
前記イオン源(400または10)が、ヒ素含有イオンビームを生成するように適合される、項目1〜28のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目34)
前記イオン源(400または10)がリン含有イオンビームを生成するように適合される、項目1〜28のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目35)
前記イオン源の電離箱(500)がアルミニウムを含む、項目1〜34のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目36)
前記イオン源の電離箱(500)または前記引出し電極が、フッ素Fなどのハロゲンガスによる攻撃に耐える材料を含む、項目1〜35のいずれか1項に記載のイオンビーム生成システム。
(項目37)
項目1〜36のいずれか1項のシステム、またはイオン注入器に結合されるイオン源のシステムを使ってインサイチュで洗浄する方法であって、反応性ハロゲンガスが、イオン源の電源が切れて真空状態にある時に、イオン源(400または10)内に流入する方法。
(項目38)
前記反応性ハロゲンガスがフッ素Fである、項目37の方法。
(項目39)
前記反応性ハロゲンガスが塩素Clである、項目37に記載の方法。
(項目40)
フッ素ガスが、遠隔プラズマ源から前記イオン源内に導入される、項目37に記載の方法。
(項目41)
前記フッ素ガスが、NF3プラズマによって前記遠隔プラズマ源内に生成される、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記フッ素ガスが、C3F8プラズマまたはCF4プラズマによって前記遠隔プラズマ源内で生成される、項目40に記載の方法。
(項目43)
前記反応性ハロゲンガスがClF3である、項目37に記載の方法。
(項目44)
前記洗浄手順が、前記イオン源がデカボランB10H14をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目37〜43のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
前記洗浄手順が、前記イオン源がオクタデカボランB18H22をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目37〜43のいずれか1項に記載の方法。
(項目46)
前記洗浄手順が、前記イオン源が、アルシンAsH3またはヒ素元素Asなどのヒ素含有化合物をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目37〜43のいずれか1項に記載の方法。
(項目47)
前記洗浄手順が、前記イオン源がリン元素P、ホスフィンPH3などのリン含有化合物をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目37〜43のいずれか1項に記載の方法。
(項目48)
前記洗浄手順が、前記イオン源がアンチモン含有化合物、例えばトリメチルアンチモンSb(CH4)3、または五フッ化アンチモンSbF5をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目37〜43のいずれか1項に記載の方法。
(項目49)
イオン注入のために行われ、異なるイオン種を注入するためにイオン源供給材料を変更する間に、イオン注入器内においてインサイチュでイオン源に対して、前記洗浄手順が行われる、項目37〜43のいずれか1項に記載の方法。
(項目50)
イオン源(400または10)と、イオンを該イオン源から抽出するための引出し電極(405または220)とを有するイオン注入システムであって、該電極が、イオン化されるガスまたは蒸気、およびその結果生成される生成物の該電極上における凝縮を実質的に減少させるのに十分な高温に電極を維持するように構成された加熱器を備えるイオン注入システム。
(項目51)
前記電極がアルミニウムを含む、項目50に記載のシステム。
(項目52)
前記電極がモリブデンを含む、項目50に記載のシステム。
(項目53)
前記電極が、放射加熱器(720、730)によって加熱される、項目50、51または52に記載のシステム。
(項目54)
前記電極が、抵抗加熱器(820)によって加熱される、項目50、51または52に記載のシステム。
(項目55)
前記電極の温度が所望の温度に制御される、項目53または54に記載のシステム。
(項目56)
前記温度が150℃〜250℃である、項目55に記載のシステム。
(項目57)
前記電極が、反応性ハロゲン含有ガスに暴露されることによって定期的に洗浄される、項目50〜56のいずれか1項に記載のシステム。
(項目58)
項目1〜36のいずれか1項に記載のシステムのイオン引出し電極(405もしくは220)、またはイオン注入器に結合されるイオン引出し電極(405もしくは220)をインサイチュで洗浄するための方法であって、イオン引出し電極がインサイチュで真空状態である時に、反応性ハロゲンガスが該電極上を流動する方法。
(項目59)
前記反応性ハロゲンガスがフッ素Fである、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記反応性ハロゲンガスが塩素Clである、項目58に記載の方法。
(項目61)
前記フッ素ガスが、遠隔プラズマ源(455)から、前記引出し電極が存在する真空ハウジングに導入される、項目59に記載の方法。
(項目62)
前記フッ素ガスが、NF3プラズマによって前記遠隔プラズマ源内で生成される、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記フッ素ガスが、C3F8またはCF4プラズマによって遠隔プラズマ源内で生成される、項目61に記載の方法。
(項目64)
前記反応性ガスがClF3である、項目58に記載の方法。
(項目65)
前記洗浄手順が、前記イオン源がデカボランB10H14をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目58〜64のいずれか1項に記載の方法。
(項目66)
前記洗浄手順が、前記イオン源がオクタデカボランB18H22をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目58〜64のいずれか1項に記載の方法。
(項目67)
前記イオン源が、アルシンAsH3またはヒ素元素Asなどのヒ素含有化合物をイオン化した後に、沈着物を除去するために前記洗浄手順が行われる、項目58〜64のいずれか1項に記載の方法。
(項目68)
前記洗浄手順が、前記イオン源が、リン元素P、ホスフィンPH3などのリン含有化合物をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる、項目58〜64のいずれか1項に記載の方法。
(項目69)
イオン注入に関連して実施され、前記洗浄手順が、異なるイオン種を注入するためにイオン源供給材料を変更する間に行われる、項目58〜64のいずれか1項に記載の方法。
【0016】
本発明は、能動的に加熱されるイオン引出し電極を特徴とし、この引出し電極は、放電の頻度および発生を減少させる材料から成り、この材料は、好ましくは金属である。
【0017】
もう1つの特徴は、全体として、引出し電極を、イオン源に対する供給材料の凝縮温度より高温に加熱させることであり、好ましい場合、電極は金属、好ましくはアルミニウムまたはモリブデンから成る。
【0018】
本発明は、イオンの生成および利用を改善するステップおよび構造の特徴も特徴とする。これは、イオン源において必要とされる供給材料の濃度を減少させ、相関する方法で、イオンビーム生成システムの表面における有害沈着物の蓄積速度を減少させる。
【0019】
本発明の上記およびその他の革新としては、以下の特徴の1つまたは複数が挙げられ得る:
ある供給量の反応性ガスはイオン源中に供給および導入され、イオン源は、このような供給の反応生成物、例えばフッ素原子Fまたはフッ素分子F2に暴露することによってインサイチュで洗浄される;フッ素原子またはフッ素分子は、遠隔プラズマ源からイオン源中に射出される;イオン源は、遠隔供給源から流れる気体状ClF3に暴露することによって洗浄される;イオン化装置の反応性構成要素は、作業の洗浄段階では反応性ガスからシールドされる;イオン源は、アルミニウムから製造される;引出し電極は、アルミニウムから製造される;引出し電極の前面には、鋭利または粗い特徴がない;引出し電極のプレートは、能動的に温度制御される;引出し電極のプレートは、能動的に加熱される;引出し電極の加熱は、放射性または抵抗性である;その他の状況における引出し電極のプレートは、能動的に冷却される。
【0020】
もう1つの特徴は、特に熱的破壊および沈着の影響を受ける供給材料の「クラスタ」イオンビームまたは「分子」イオンビームを形成するのに適する装置に関して説明した特徴を使用することである。
【0021】
イオン注入のほとんどの専門家は、水素化ホウ素を使用して「クラスタ」イオンビーム、例えばB10Hx+およびB18Hx+を形成することは、浅い接合部の形成には非常に魅力的であることに同意するが、このような大きい分子のイオン化および搬送手段は、問題を示している。例えば、米国特許第6,288,403号および同第6,452,338号は、デカボランイオンビームを正常に生成したイオン源について記載している。しかし、このようなデカボランイオン源は、イオン注入に使用される他の市販イオン源に比べて、耐用年数が特に短いことが分かっている。この短い耐用年数は、主に、イオン源内のホウ素含有沈着物の蓄積、およびイオン引出し電極上の絶縁コーティングの沈着によるものであり、これはビームの不安定性の原因になり、注入器を停止して保守する必要がある。
【0022】
もう1つの特徴により、水素化ホウ素イオン源内、およびイオン引出し電極上におけるこのような沈着物の沈着をかなり減少させる手段を提供し、これらの構成要素をイオン注入器から取り外さずに、つまりインサイチュでこれらの構成要素上の沈着物を洗浄する手段を提供する。本発明は、水素化ホウ素クラスタビームを半導体製造に長期にわたる耐用年数で商業的に使用することを可能にする。
【0023】
本発明の特定の態様は、引出し電極および反応性ガス洗浄システムと結合するイオン源を備えるイオンビーム生成システムであって、前記イオン源が、高電圧電源に接続され、気体または蒸発供給材料用の入口を有する電離箱と、前記電離箱内で供給材料をイオン化するためのエネルギー付与可能なイオン化システムと、真空ハウジングと連絡する抽出開口部であって、前記真空ハウジングが、真空ポンプシステムによって排気され、引出し電極が、電離箱外部の真空ハウジング内に配置され、電離箱の抽出開口部と整列し、電離箱の電圧未満の電圧に維持されるように構成されて、電離箱内から開口部を経てイオンを抽出し、反応性ガス洗浄システムが、電離箱およびイオン化システムの電源が切れた時に、電離箱およびイオン抽出開口部を通して反応性ガス流を提供し、イオン生成システムの表面の少なくともいくつかの上の沈着物と反応させ、このような沈着物を除去するように動作可能な反応性ガス洗浄システムとを備えるイオンビーム生成システムである。
【0024】
この態様の好ましい実施態様は、1つまたは複数の以下の特徴を有する。
【0025】
このシステムは、半導体ウェハ内にイオンを注入する時に使用するように構成され、電離箱は、約100ml未満の容積、および約200cm2未満の内部表面積を有する。
【0026】
このシステムは、毎分約2標準リットル未満の流速で、電離箱内への反応性ガスの流れを生成するように構成される。
【0027】
引出し電極は、使用位置まで搬送するのに適する加速イオンのビームを生成するように構成される。
【0028】
引出し電極は、抽出開口部から真空ポンプシステムに移動する反応性ガスの経路内に位置し、その結果、引出し電極は反応性ガスによって洗浄される。
【0029】
引出し電極は、加熱器に結合され、電離箱内に生成されるイオンを引出し電極が抽出する間に、例えば固体に由来する感熱蒸気の凝縮温度を超えると共に解離温度未満の高温にこの引出し電極を維持する。
【0030】
引出し電極は例えば電極が感熱材料から形成され、高温イオン源に使用される場合、冷却デバイスに結合される。
【0031】
引出し電極は、平坦な特徴のない態様を有する。
【0032】
反応性ガス洗浄システムは、プラズマチャンバであって、プラズマによって解離されて、チャンバ出口を通る反応性ガスの流れを生成することが可能な供給ガスを収容するように配置されたプラズマチャンバと、反応性ガスを電離箱に搬送する導管とを備える。
【0033】
プラズマチャンバは、フッ素原子に解離することが可能な化合物(例えば、NF3、C3F8またはCF4)を収容して解離させるように構成および配列される。
【0034】
反応性ガス洗浄システムは、イオン源に結合されたサービス設備を共用するように構成および配列される。
【0035】
このシステムは、質量分析器を通るようにイオンビームを方向付けるように構成され、質量分析器内では、反応性ガス洗浄システムが、サービス設備を質量分析器と共用するように構成および配列される。
【0036】
反応性ガス洗浄システムは、加圧反応性ガス(例えばClF3)の容器からの導管を備える。
【0037】
このシステムは、反応性ガスとイオンビーム生成システムの表面上の汚染物質との反応の実質的な完了の検出を少なくとも促進するように構成された終点検出システムと組み合わされる。
【0038】
終点検出システムは、反応性ガス洗浄システムの作動の間に、表面に暴露されたガスの化学的構成のための分析システムを備える。
【0039】
温度検出器は、反応性ガスとシステムの表面上の汚染物質との発熱反応の実質的な終わりを検出するように配列される。
【0040】
エネルギー付与可能なイオン化システムは、反応性ガスによって害を受けやすい電離箱内にあるか、または電離箱と連絡する構成要素を備え、システムを貫流する反応性ガスから構成要素をシールドする手段が設けられる。
【0041】
構成要素をシールドする手段は、構成要素を通り過ぎるアルゴンなどの不活性ガスの流れを生成するための配列を備える。
【0042】
構成要素をシールドする手段は、反応性ガスに対して不浸透性のシールド部材を備える。
【0043】
システムは、反応性ガスとして反応性ハロゲンガスで作動するように構成され、そして引出し電極および付随する部品は、アルミニウム(Al)またはアルミナ(Al2O3)を含む。
【0044】
イオン源は、アーク放電、RF磁界、マイクロ波磁界または電子ビームを介して、電離箱内にイオンを生成するように構成される。
【0045】
このシステムは、凝縮可能な供給材料の噴霧器と結合し、電離箱に対する供給蒸気を生成する。
【0046】
イオン源は、クラスタイオンまたは分子イオンを生成することが可能な供給材料を蒸発させるように構成され、イオン化システムは、材料をイオン化して、注入用のクラスタイオンまたは分子イオンを形成するように構成される。
【0047】
このシステムの真空ハウジングは、高真空を生成することが可能な高真空ポンプと、真空を生成することが可能なバッキングポンプとを備えるポンピングシステムに結合され、高真空ポンプは、イオン源の作動の間に動作可能であり、反応性洗浄システムの作動の間に真空ハウジングから隔離することができ、バッキングポンプは、反応性ガス洗浄システムの作動の間に動作可能である。
【0048】
このシステムはイオン注入装置に結合され、この装置は、真空チャンバ内の引出し電極注入ステーションの後にイオンを搬送するように構成される。好ましい実施態様では、隔離バルブは、反応性ガス洗浄システムの作動の間に、注入ステーションを電離箱および引出し電極から隔離するために備えられる。
【0049】
イオン源は、半導体処理用のドーパントイオンを生成するように構成および適合され、反応性ガス洗浄システムは、フッ素Fイオンまたは塩素Clイオンを電離箱または引出し電極に供給して、沈着物を表面から洗浄するように適合される。
【0050】
イオン源は、特定温度に温度制御されるように適合される。
【0051】
イオン源は、ホウ素含有イオンビームを生成するように適合され、好ましい実施態様では、ホウ素含有イオンビームは、蒸発水素化ホウ素材料、特にデカボランB10H14またはオクタデカボランB18H22をイオン源内に供給することによって生成される。
【0052】
イオン源は、ヒ素含有イオンビームを生成するように適合される。
【0053】
イオン源は、リン含有イオンビームを生成するように適合される。
【0054】
イオン源の電離箱は、アルミニウムを含む。
【0055】
イオン源または引出し電極の電離箱は、フッ素Fなどのハロゲンガスによる攻撃に耐える材料を含む。
【0056】
本発明のもう1つの特定の態様は、上記のいずれかのシステム、またはイオン注入器に結合するイオン源を使用してインサイチュで洗浄する方法であり、この場合、反応性ハロゲンガスは、イオン源の電源が切られて真空状態にある間に、イオン源内に流入する。
【0057】
この態様の実施態様は、以下の特徴の1つまたは複数を有する。
【0058】
反応性ハロゲンガスは、フッ素Fである。
【0059】
反応性ハロゲンガスは、塩素Clである。
【0060】
フッ素ガスは、遠隔プラズマ源からイオン源内に導入される。
【0061】
フッ素ガスは、NF3プラズマによって遠隔プラズマ源内に生成される。
【0062】
フッ素ガスは、C3F8またはCF4プラズマによって遠隔プラズマ源内に生成される。
【0063】
反応性ハロゲンガスはClF3である。
【0064】
洗浄手順は、イオン源がデカボランB10H14をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0065】
洗浄手順は、イオン源がオクタデカボランB18H22をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0066】
洗浄手順は、イオン源が、ヒ素含有化合物、例えばアルシン、AsH3またはヒ素元素Asをイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0067】
洗浄手順は、イオン源が、リン含有化合物、例えばリン元素PまたはホスフィンPH3をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0068】
洗浄手順は、イオン源が、アンチモン含有化合物、例えばトリメチルアンチモンSb(CH4)3または五フッ化アンチモンSbF5をイオン化した後に、沈着物を除去するように行われる。
【0069】
洗浄手順は、異なるイオン種を注入するためのイオン源供給材料の変更の間に、イオン注入器内でインサイチュでイオン源に対して行われる。
【0070】
本発明のもう1つの特定の態様は、イオン源と、イオンをイオン源から抽出するための引出し電極とを有するイオン注入システムであり、引出し電極は、イオン化されるガスまたは蒸気、およびその結果生成される生成物の電極上における凝縮をかなり減少させるのに十分な高温に電極を維持するように構成された加熱器を備える。
【0071】
この態様の実施態様は、以下の特徴の1つまたは複数を有する。
【0072】
電極は、アルミニウムを含む。
【0073】
電極は、モリブデンを含む。
【0074】
電極は、放射性加熱器によって加熱される。
【0075】
電極は、抵抗性加熱器によって加熱される。
【0076】
電極の温度は所望の温度に制御され、これらの実施態様では、温度は150℃〜250℃である。
【0077】
電極は、反応性ハロゲン含有ガスに暴露することによって、インサイチュで定期的に洗浄される。
【0078】
本発明のもう1つの態様は、上記システムのいずれかのイオン引出し電極、またはイオン注入器と結合するイオン引出し電極をインサイチュで洗浄する方法であり、この場合、反応性ハロゲンガスは、電極がインサイチュで真空状態にある間に、イオン引出し電極上を流れる。
【0079】
この態様の実施態様は、以下の特徴の1つまたは複数を有する。
【0080】
反応性ハロゲンガスは、フッ素Fまたは塩素Clである。
【0081】
フッ素ガスは、引出し電極が存在する真空ハウジング内に遠隔プラズマ源から導入される。
【0082】
フッ素ガスは、NF3プラズマによって遠隔プラズマ源内に生成される。
【0083】
フッ素ガスは、C3F8プラズマまたはCF4プラズマによって遠隔プラズマ源内に生成される。
【0084】
反応性ガスはClF3である。
【0085】
洗浄手順は、イオン源がデカボランB10H14をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0086】
洗浄手順は、イオン源がオクタデカボランB18H22をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0087】
洗浄手順は、イオン源が、アルシン、AsH3またはヒ素元素Asなどのヒ素含有化合物をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0088】
洗浄手順は、イオン源が、リン元素P、ホスフィンPH3などのリン含有化合物をイオン化した後に、沈着物を除去するために行われる。
【0089】
洗浄手順は、異なるイオン種を注入するためのイオン源供給材料の変更の間に行われる。
【0090】
(インサイチュでエッチング洗浄を施されるイオン源)
好ましい実施態様によると、インサイチュでの化学洗浄プロセスは、イオン源および引出し電極がイオンビーム生成システム内に実装されたままの状態で、F原子ガスを使用してイオン源およびイオン引出し電極から沈着物を効果的に洗浄する。好ましい実施態様では、冷却されたチャンバ壁部を備えた電子衝撃イオン源が使用される。好ましくは、電離箱および供給源ブロックは、アルミニウムまたはアルミニウム含有錯体から製造され、フッ化アルミニウムがアルミニウム表面上に生成されて不動態化層として作用することを可能にし、これは、Fによってさらに化学的に攻撃されるのを防止する。
【0091】
この特徴の1つの実施態様は、イオン源の入口に直接結合される遠隔反応性ガス供給源の出口を使用する。
【0092】
好ましい実施態様では、反応性ガス供給源は、NF3またはC3F8などのエッチング供給ガスを補足電離箱内に導入するプラズマ源である。プラズマを補足チャンバ内に維持することによって、FおよびF2などの反応性ガスが生成され、主イオン源に導入されるこれらの反応性ガスは、沈着物質を化学的に攻撃する。ガス相中に放出される副生成物は、電離箱の抽出開口部から取り出され、設備の真空システムによってポンプで取り除かれ、チャンバが洗浄される。
【0093】
(沈着モデル)
2つの物体が相互作用する場合に、複数の結果があり得るということは、一般に観察される原理である。さらに、各々の結果には確率または可能性を割り当て得、可能性のあるすべての結果を考慮すると、個々の確率の和は100%である。原子および分子物理学では、このような可能性のある結果は、時には「チャネル」と呼ばれ、各々の相互作用チャネルに関連する確率は「断面積」と呼ばれる。詳細には、2つの粒子(つまり、電子およびガス分子)が互いに相互作用する可能性は、全体として、「全断面積」であり、特定タイプの相互作用(例えば、それ自体がガス分子に結合し、負イオンを生成する電子によって、またはガス分子から電子を除去し、正イオンを生成することによって、または分子を小部分状に解離させることによって、または分子の化学変化を伴わない分子から弾性的に散乱することによって代表される相互作用)の可能性は、「部分的断面積」である。
【0094】
この状況は、全断面積σΤをそのi個の部分断面積の和として表現する数学的な関係によって表現することができる:
(1)σΤ=σ1+σ2+σ3+・・・σi、または
(2)σΤ=Σσi。
【0095】
イオン注入器内に使用されるイオン源は、一般に、適度なイオン化割合を示す。つまり、イオン源内に供給されるガスまたは蒸気の小さい割合(数パーセント〜数十パーセント)のみがイオン化される。そのガスまたは蒸気の残りは、一般に、元の状態または他の何らかの中性状態の気相で供給源を出て行く。つまり、イオン化断面積は、全断面積よりもはるかに小さい。当然、ある程度のガス成分はイオン源中に沈着物質として留まり得るが、これは、一般に使用される注入供給材料についての全体の、わずかな割合である傾向がある。このようなAs元素またはP元素などを加熱して蒸発する供給材料は、通常はガス状である供給材料が沈着物を生成する場合に比べてより容易に沈着物を生成するが、加熱蒸気は、イオン源の壁部が噴霧器より高温である場合、ガス相に留まる傾向があり、深刻な沈着の危険性を示さない。しかし、ホウ素ビームを例えばガス状BF3供給ガスから生成する場合、ならびにビームをInおよびSbから生成する場合、著しく有害な沈着物が依然として生成され得る。
【0096】
また、一般に、時間が経過するにつれて、凝縮性材料の沈着物が、イオン生成システムのその他の一定の構成要素上に発生し、分解および洗浄前の運用年数に影響を与える。
【0097】
さらに、水素化ホウ素の場合、イオン化媒体(つまり、イオン源中の電子)とのすべての相互作用を表す全断面積は大きく見え、イオン化断面積は小さく、最大断面積は明らかに、水素化ホウ素分子が不揮発性小部分状に解離するチャネルを表し、次に、不揮発性小部分はイオン源内の表面上に留まる。これらの小部分が沈着する問題は、供給材料の熱分解を減少させようとして、電離箱壁部を冷却することによって悪影響を受ける。要するに、この供給源における、ホウ素含有小部分の水素化ホウ素からの沈着は、この材料に作用するあらゆるタイプのイオン源に見られると思われる基本的な現象であるようであり、この問題の解決方法は、半導体製造業界にとって広範かつ重要な関心事である。
【0098】
(水素化ホウ素に適する電子衝撃イオン源)
水素化ホウ素に特に適するイオン源は、完全に温度制御されている電子衝撃イオン源であり(米国特許第6,452,338号および第6,686,595号、国際出願PCT/US03/20197号参照。これらは、本明細書中に参考として援用される)、図7も参照。イオン源は、アーク放電プラズマを衝突させてイオンを生成するのではなく、1つまたは複数の集束電子ビームの形態で射出される高エネルギー電子によって、プロセスガスの「ソフト」電子衝撃イオン化を使用する。この「ソフト」イオン化プロセスは、イオン化クラスタが形成されるように、これらの大きい分子を保存する。図7に示すとおり、固体水素化ホウ素材料は噴霧器内で加熱され、蒸気は蒸気導管を通って金属チャンバ、つまり電離箱に流れる。電離箱の外側に位置する電子銃は、大電流の高エネルギー電子を電離箱内に供給し、この電子流はほぼ平行に、チャンバ前面の細長スロットに隣接して方向付けられる。イオンは、このスロットからイオン引出し電極によって抽出され、高エネルギーイオンビームを生成する。昇華水素化ホウ素蒸気を電離箱に搬送する時、すべての表面は、噴霧器の温度より高温(ただし、十分に解離温度未満)に維持され、蒸気の凝縮を防止する。長時間のテストによって、蒸気供給表面およびバルブ表面は、このような温度制御を実施した場合、実際に清潔に保たれていることを確認した。
【0099】
(デカボランを用いるイオン源寿命の洗浄間の延長)
供給源の寿命(保守間隔)に対する蒸気流速の影響は、定量的に調査した。電子衝撃イオン源は、材料の蓄積によって、デカボランビーム電流の著しい減少が生じたと決定されるまで、一定蒸気流の制御条件下でデカボラン供給材料を使って連続的に作動させた。0.40sccm〜1.2sccmまでの、5つの異なる流速をテストした。その結果、質量分析されたデカボランビーム電流(B10Hx+)は、約150μA〜700μAだった。イオン注入に使用されるイオン源中の代表的な供給ガスの流れは、1〜約3sccmの範囲であることが注目され、したがって、このテストの範囲は、「低」流動様式であると考えられる。
【0100】
これらの寿命テストの結果を図5にまとめる。これは、単純なモデルの双曲線関数を示唆している。これは予想できないことではなく、蒸気流がゼロの場合、供給源の寿命は原理上分化し、蒸気流が非常に高速である場合、供給源の寿命は減少してゼロに漸近する。したがって、このモデルは、以下のように表すことができる。
【0101】
(3)(流速)×(流れの持続時間)=定数
方程式(3)は、寿命(つまり、流れの持続時間)は流速に逆比例することを単に示しており、上記定数は沈着物質の量である。方程式(3)が正確である場合、沈着物質の割合は材料の流速に依存せず、これは本発明者らのモデルと一致し、解離およびその後の沈着の断面積は一定であることを示している。これらのデータは、約0.5sccmデカボラン蒸気流を有する電子衝撃イオン源を使用すると、専用デカボランの作用は100時間を超えて持続し得ることを示している。これは、多くの場合は許容されるが、商業的な半導体製造設備では、200時間を大幅に上回る供給源の寿命が望ましい。イオン源を本発明の新規なインサイチュでの洗浄手順に関連して使用する場合、著しく延長した供給源寿命が達成される。
【0102】
(インサイチュでのイオン源化学洗浄の特定の特徴の利点)
補足的なイオン源を使用して反応性ガスを生成し、イオン源をインサイチュで洗浄することには、非常に重要な利点がいくつかある。このようなプラズマ源は、プロセス排出システム(例えば、Advanced Energy,Inc.が販売するLitmus1501)から流出物を除去する用途、および大型CVDプロセスチャンバ(例えば、MKS Astron反応性ガス生成器)を洗浄する用途のために開発されたが、本発明者らが知る限り、遠隔反応性ガス生成器は、イオンビームを生成するために使用されたイオン源の電離箱および引出し電極の洗浄に有効に適用し得たことは以前に認められていない。MKS Astronなどの遠隔反応性ガス生成器は、プロセスチャンバ(つまり、半導体ウェハが内部で処理される比較的大型の真空チャンバ)を洗浄するために使用され、これは高流量の供給ガス(毎分数標準リットル(SLM))、およびプラズマ源に印加される高RF電力(約6kW)を使用する用途である。本発明のシステムは、洗浄されるイオン源の電離箱の容積が非常に小さい場合、非常に控えめな供給ガス量、例えば約0.5SLM未満のNF3、および非常に少ないRF電力(約2.5kW未満)を使用し得る(例えば表面積が約200cm2未満(例えば、約100cm2)の場合は、半導体ウェハの注入器用の電離箱の容積は、一般に約100ml未満(例えば、約75ml)に過ぎない)。電離箱内に流入する反応性ガスは、毎分約2標準リットル未満である。
【0103】
人によっては、外部イオン源を使用して、プラズマ副生成物を生成してシステムの主イオン源内に導入することは奇妙であり、(例えば、NF3)ガスを直接主イオン源中に導入して、この供給源内にプラズマ副生成物を直接生成しないのはなぜかと考えるかも知れない。その理由は、明らかではないと思われる。イオン注入システムの動作可能時間(生産可能期間)の一部分において、供給ガスからの沈着速度をはるかに超えるエッチング速度を達成するには、反応性ガスは、イオン注入用の主イオン源について、代表的な1〜3sccmの供給流速と比べた場合、非常に高流量で、例えばおよそ102〜103sccmの流量で生成し、小型電離箱内に導入しなければならないことが分かっており、このような高流量の場合、主イオン源の電離箱内の圧力は、イオン注入のために動作するように設計された圧力をはるかに超えて上昇する。さらに、高密度NF3プラズマを主イオン源内に維持すると、高温タングステンフィラメントなどの敏感な構成要素はエッチングされて除去される。これは、ハロゲンガスは、温度に応じて指数関数的に増加する高速度で耐火金属をエッチングするからである。(例えば、Rosnerらは、タングステン基板のFエッチングのためのモデルを提唱している。
【0104】
(4)速度(μm/分)=2.92×10−14Τ1/2NFe−390/Τ、
ここで、NFは、1cm3あたりの原子数におけるフッ素濃度であり、Τはケルビン温度における基板温度である。)
実際上、イオン注入用のすべてのイオン源は高温フィラメントを含み、多くの場合、イオン源チャンバも、MoおよびWなどの耐火金属、またはグラファイト(Fによって強度に攻撃される)から製造されるため、これらのイオン源は高温動作条件で急速に故障し、エッチング洗浄プロセスは使用できなくなる。
【0105】
現在好ましい実施態様では、フッ素原子は、電源が切れた主イオン源の低温電離箱に、100sccm以上の流速で入り、電離箱に流入する全体のガス流は、500sccm以上である。これらの条件下では、電離箱内のガス圧力は約0.5Torrであり、注入器の真空源ハウジング内の圧力は数十mTorr以上である。好ましい動作モードでは、洗浄段階の前に、隔離バルブは、イオン源の真空ハウジングと注入器真空システムとの間で閉鎖され、イオン源のターボ分子ポンプは隔離される。次に、イオン源のハウジングは、真空システムの高容量の粗引きポンプ(つまり、通常ターボ分子ポンプを支持し、真空システムを「低」真空まで排気するポンプ)でポンプされる。
【0106】
図5に示されている関連エッチング洗浄プロセスの異なる実施態様は、ClF3などの「乾燥エッチング」ガスを使用する。上記で観察したとおり、ClF3分子は、洗浄される沈着表面に接触すると破壊し、その結果、フッ素原子および塩素原子が放出され、プラズマを生成する必要はない。ClF3ガスを取り扱うには、その高度の反応性によって特殊な機器を必要とするが、原則として、化学洗浄プロセスを、補助的な反応性ガスプラズマ源を必要としない程度まで単純化し得る。有毒ガスが慣用的に、イオン注入器用のイオン源内に供給されるので、機器の多くは、「有毒ガスに適する」ように既に構成されており、ClF3を組み込む別個のガス分配システムは、容易に追加することができる。
【0107】
イオン注入器用イオン源のインサイチュでの化学洗浄の利点としては、以下が挙げられる:a)保守が必要になるまでの供給源の寿命を何百時間、おそらく何千時間まで延長させる;b)例えば、オクタデカボランイオン注入からヒ素イオン注入またはリンイオン注入に、およびヒ素イオン注入またはリンイオン注入からオクタデカボランイオン注入に切り替える時に、種の変更によって生じる交差汚染を減少させるか、またはなくす;c)イオン源の耐用年数の間に、ピークイオン源性能を持続させる。
【0108】
例えば、8時間ごとに10分間(つまり、操作者のシフトが変わるごとに1回)、および各々の種を変更するごとに化学洗浄プロトコルを実行することは、注入器の動作可能時間に与える影響は最小限であり、現在の半導体製造設備には許容可能である。
【0109】
(終点検出)
洗浄プロセスの際に終点検出を行い、洗浄プロセスの効果、および必要な持続時間に関する定量的情報を生成し得、化学洗浄プロセスの再現性を確保し得ると有利であることが分かる。図3は、洗浄プロセスをサンプリングする差動ポンプ四極子質量分析器を示す。例えばF、Cl、BF3、PF3、AlF3、AsF3、WF6などの洗浄ガス生成物の濃度を監視することによって、洗浄プロセスは調整および検証され得る。あるいは、プロセスを監視する光学手段を使用し得る。FTIR光学分光計は、表示域を通して、注入器のイオン源の真空ハウジング内に残留するガスを監視し得る。化学種を識別するこの非侵襲的(エキソサイチュ)手段は、場合によってはインサイチュでの監視デバイスより好ましくあり得る。図4の別法によると、抽出可能なFTIR分光計は、終点監視のために供給源の真空ハウジングに結合され得る。終点検出を行う新規な手段は、洗浄の間に、電離箱の温度を監視するステップを含む。化学反応は発熱であるから、この反応の間にエネルギーが放出され、チャンバ温度が上昇する。この作用は、原理的に、反応速度が低下した時に確立するように使用し得る。
【0110】
(新規なイオン引出し電極)
デカボランおよびオクタデカボランなどの水素化ホウ素は、感熱物質である。これらは、20℃と100℃との間の温度で蒸発および凝縮する。したがって、これらの物質が接触するすべての表面を、噴霧器の温度より高温(ただし、これらの物質が解離する温度未満)に維持し、凝縮を防止することが重要である。本発明者らは、引出し電極の汚染は、このような水素化ホウ素を使用する場合に問題になることに気が付いた。直接的なイオンビームの衝突、および凝縮した供給蒸気またはその分子の解離による生成物は共に、イオンビーム生成光学系の動作を悪化させ得る。なぜなら、これらのホウ素含有層は電気的に絶縁されていると思われるからである。電気絶縁層は、沈着すると電荷を取得し(「充電」)、電気的に故障した後に真空放電、または「グリッチ」を生じる。このような放電は、イオンビーム電流に不安定さを生じ、粒子が形成される原因になり得、これらの粒子は、イオンビームが方向付けられるプロセスチャンバに到達し得る。1時間当たり多くのグリッチに遭遇するイオンビーム生成システムを有するイオン注入器は、現代の半導体製造設備では製造する価値があるとは考えられない。さらに、このような放電がない場合でも、絶縁コーティングが厚くなると、電極表面上の電荷は望ましくない漂遊電界を形成し、その結果、ビームステアリング効果が生じ得、ビーム損失が生じて、イオンビームの質に悪影響を及ぼし得る。
【0111】
新しい情報の発見は、この問題の強固な解決方法につながった。ほとんどの注入器のイオン引出し電極は、グラファイトから製造される。グラファイトは、この用途では多くの利点を有することが分かり、例えば材料コストが安いこと、機械加工が容易であること、高い導電性、低い熱膨張係数、および高温における良好な機械的安定性が挙げられる。しかし、グラファイトの引出し電極を使用すると、水素化ホウ素のイオンビーム生成後に不安定性が観察された。電極の表面が絶縁されていたかどうかは疑わしかった。電極沈着物のサンプルを収集し、x線蛍光分光法で化学分析を行った。この調査によって、B2Cの形態のホウ素−炭素化合物と一致する化学量論組成が明らかになり、絶縁されていることが分かった。さらに、イオン源の前部プレート(つまり、抽出開口プレート)を含むイオン源付近の金属表面にはまた、長時間の使用後に絶縁コーティングが沈着したことが分かった。アルミニウムの電極を製造して、電極プレート、つまり抑制電極および接地電極を、デカボランおよびオクタデカボランの凝縮を防止するのに十分な完全に制御された高温(図9、図11参照)に維持するための放射化熱器を提供することが考えられた。さらに、イオン源に対向する抑制電極は、平坦で特徴のない面を有する単一のアルミニウム機械加工片から製造され、すべての締結具は、これらのプレートの裏側に配置された。この構成は、絶縁コーティングが形成された場合、放電点の数および重大性を著しく減少させ、つまり、ある「点」、つまり鋭利な特徴における電界応力は、平坦な表面の応力より何倍も大きいという原理を使用している。
【0112】
このようにして製造された引出し電極は、優れた性能が実証され、非常に低いグリッチ頻度で100時間を超えて(グラファイト電極と同程度に長く、少なくとも10倍)作動した。この大幅な改善は、i)Alでの構成(つまり、金属対グラファイト)、ii)電極プレートの能動的な加熱および温度制御,iii)平坦な電極表面によるものである。電極プレートを200℃で作動させると、デカボランを作動させた場合に良好な結果が得られ、沈着物質の量が著しく減少することが分かった。一般に、引出し電極の温度は、供給材料の解離温度未満に維持されるべきである。デカボランの場合、この温度は、350℃未満、このましは150℃〜250℃の範囲に維持するべきである。オクタデカボランを使用する場合、温度は160℃を超えるべきではない。なぜなら、この温度を超えると、オクタデカボラン中で化学変化が起こるからである。オクタデカボランを使用する場合、120℃と150℃との間の引出し電極の温度は良好な結果を生じる。
【0113】
図11に示す放射構造は、非常に良好な温度の均一性を示した。抵抗加熱器を組み込むと、特に、図12に示すようにアルミニウム電極を使用すると、やはり均一性が良好になり得、保守の必要性が少ない比較的小型な構造が得られる。
【0114】
加熱引出し電極を構成するためには、例えばモリブデンなど、その他の金属も有効である。モリブデンは耐火性であるという利点を有するため、非常に高い温度に耐える。モリブデンは、良好な熱伝導性も有する。一方、アルミニウムは、InおよびBと同様に周期表のIII族元素であるため、シリコン中への汚染がごくわずかであるという利点を有し(これは、シリコン中のP型ドーパントである)、モリブデンなどの遷移金属は、集積回路内のキャリアの寿命に非常に不利である。アルミニウムはまた、ハロゲンによって容易には攻撃されないが、モリブデンなどの遷移金属は、特に高温の場合に攻撃されやすい。しかし、アルミニウムの主な欠点は、高温の材料ではなく、約400℃未満で使用するべきであるという点である。
以上の理由から、特定の用途に応じて、加熱電極は、選択した耐熱材料から構成され、インサイチュでのエッチング洗浄に関連して使用する場合には、アルミニウムまたはアルミニウム含有錯体がしばしば好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】反応性ガス洗浄を組み込むイオンビーム生成システム。
【図2】反応性ガス洗浄を組み込むイオンビーム生成システムの第2実施態様。
【図3】図1に類似しているが、噴霧器および特定のガス分配要素を組み込むイオンビーム生成システム。
【図4】図2に類似しているが、噴霧器および特定のガス分配要素を組み込むイオンビーム生成システム。
【図5】ClF3の導入による反応性ガス洗浄を組み込むイオン生成システム。
【図6】反応性ガスプラズマ源、供給蒸気供給源、イオン源電子回路、およびプラズマ源用設備を含むイオン注入器用ガスボックス。
【図6A】蒸気流制御システムを示す図6に類似する図。
【図6B】イオンビーム生成システム用のバルブ概略図。
【図7】電子衝撃イオン源。
【図7A】図7の一部分の拡大図であって、要素のシールドを示す図。
【図7B】一実施態様の制御線図。
【図8】イオン引出し電極。
【図9】イオン引出し電極光学系。
【図9a】B18Hx+ビームのプロファイル。
【図10】引出し電極およびマニピュレータ。
【図11】電極ヘッドの分解図。
【図12】電極ヘッドの第2実施態様。
【図13】B10Hx+ビーム電流対デカボランの流速。
【図14】寿命対デカボラン蒸気の流速。
【図15】Si試験片のエッチング速度。
【図16】イオン注入器。
【発明を実施するための形態】
【0116】
(詳細な説明)
(新規なイオンビーム生成システム)
図1は、イオンビーム生成システムを示す。この実施例に示すように、このイオンビーム生成システムは、イオンビームを生成して、イオン注入チャンバに搬送し、半導体ウェハまたはフラットパネルディスプレイに注入するように適合される。図面には、イオン源400、引出し電極405、真空ハウジング410、電気絶縁材料の電圧隔離ブシュ415、真空ポンプシステム420、真空ハウジング隔離バルブ425、反応性ガス入口430、供給ガスおよび蒸気入口441、蒸気供給源445、供給ガス供給源450、反応性ガス供給源455、イオン源高電圧電源460、および結果として得られるイオンビーム475が示されている。イオンビーム搬送ハウジングは、411で示される。イオン源400は、クラスタイオンおよび分子イオン、例えば水素化ホウ素イオンB10Hx+、B10Hx−、B18Hx+、およびB18Hx−、またはさらに比較的従来のイオンビーム、例えばP+、As+、B+、In+、Sb+、Si+、およびGe+を提供するように構成される。イオン源400は、例えば、イオン注入に最も一般的に使用されるBernas式アーク放電イオン源、もしくは埋没RF(無線周波)アンテナを使用し、RF磁界を形成してイオンを生成する「バケット」式水冷イオン源、マイクロ波イオン源、または電子衝撃イオン化供給源などであり得る。イオン化されるガス状供給材料用のガスおよび蒸気入口441は、適切な蒸気供給源445に接続され、蒸気供給源445は、ガスおよび蒸気入口441に近接して配置され得るか、または比較的離れた位置、例えば端子エンクロージャ内のどこかに配置されたガス分配ボックス内などに配置され得る。端子エンクロージャは、イオンビーム生成システムを囲む金属ボックス(図示しない)である。端子エンクロージャは、イオン源に必要な設備、例えばポンピングシステム、配電、ガス分配および制御装置を含む。ビーム内のイオン種の選択に質量分析を使用する場合、その質量分析システムも端子エンクロージャ内に配置され得る。
【0117】
十分に画定されたエネルギーのイオンを抽出するため、イオン源400は、引出し電極405および真空ハウジング410に対して、高電圧電源460によって高い正電圧に維持され(正電荷イオンビームが生成される比較的一般的な場合)。引出し電極405は、電離箱の抽出開口部504に近接して配置され、整列される。引出し電極405は、開口部を含む少なくとも2つの電極プレート、いわゆる、電離箱500に最も近い抑制電極406、および「接地」電極407から成る。抑制電極406は、接地電極407に対して負にバイアスされ、正電荷イオンビームを生成する際に、正にバイアスされたイオン源400に引き付けられる望ましくない電子を拒絶または抑制するようになっている。接地電極407、真空ハウジング410および端子エンクロージャ(図示しない)はすべて、いわゆる端子電位にあり、例えば中電流イオン注入器などの一定の注入システムの場合のように、全体の端子をアース上に浮流させることが望ましい場合を除いて、接地される。引出し電極405は、以下に説明するとおり、新規な温度制御金属設計であり得る。
【0118】
(負電荷イオンビームが生成される場合、イオン源は、他の適切な変更を施した状態で高い負電圧に保持され、端子エンクロージャは一般に、接地されたままである。)
図1は、端子電位における反応性ガス供給源455を示し、反応性ガス入口430には高電圧ブレーク431が組み込まれ、これは、例えばAl2O3などの絶縁セラミックから製造され得る。イオン注入用のイオン源は、一般に、約90kVの最大電圧までバイアスされ得るので、この高電圧ブレーク431は、この用途の場合は90kVに耐えなければならない。以下で説明するとおり、洗浄システムは、イオン化供給源および高電圧を必ずオフにして(電源を切って)使用し、その結果、真空ハウジング410が高真空下にある場合にのみ、ブレーク431を横断して高電圧が存在し、高電圧スタンドオフクリアランス要件を比較的容易に満たす。真空ハウジング410と連絡する専用終点検出器470は、化学洗浄の間に反応性ガス生成物を監視するために使用される。
【0119】
イオン注入システムに使用するのに適する、例えば半導体ウェハをドープするためのイオン源の場合、電離箱は小さく、約100ml未満の容積を有し、約200cm2未満の内部表面積を有し、反応性ガス、例えばフッ素原子または反応性フッ素含有化合物の流れを毎分約200標準リットル未満の流速で収容するように構成される。
【0120】
図1のシステムは、インサイチュでの洗浄を可能にすること、つまり、真空ハウジングの動作位置からイオン源を取り外す必要がなく、サービスはほとんど中断されないことがわかる。
【0121】
図2は、もう1つの実施態様を示す。図1と比べた図2の主な相違は、反応性ガス供給源455および反応性ガス入口430がイオン源電位にある点である。この方法の利益は2倍あり、比較的コンパクトな構成であり、反応性ガス供給源455およびこれに関連するガス供給源をガスボックス内に収容することができ、このガスボックスは、一般的な商用イオン注入システムにおいてと同様に、イオン源電位においてガスおよび電力をイオン源400に供給する。
【0122】
(化学洗浄システム)
図1に類似する多くの特徴を有する図3の実施態様は、クラスタイオンおよびモノマーイオンの両方を選択的に生成するように構成される。この実施態様は、通常はガス状態の供給材料用の専用ガス入口435を有し、バルブ443を介して、水素化ホウ素およびその他の蒸発供給材料を生成するための蒸気供給源445と連絡する。イオン源および電極のインサイチュでの化学洗浄を行うため、遠隔プラズマ源455は、洗浄ガス供給材料465によって供給されるガス、例えばNF3を、F、F2およびN含有化合物などの分解生成物状に解離する。洗浄が望ましい場合、イオン源の電源を切った後、分解生成物は、遠隔プラズマ源455の出口456から、専用反応性ガス入口430によって電離箱内に供給される。遠隔プラズマ源455は、電圧隔離ブシュ415の端子電位側に実装される。イオン源400は高電圧で作動するため、真空の高電圧ブレーク431が電圧の絶縁を提供する。
【0123】
洗浄サイクルを開始するには、イオン源を停止し、真空ハウジング隔離バルブ425を閉鎖し、真空ポンプシステム420の高真空ポンプ421は隔離され、真空ハウジング410は、乾燥N2ガスの導入によって1Torr未満の低真空状態になり、ハウジングは、バッキングポンプ422によって能動的にポンプされる。低真空状態になると、アルゴンガス(Arガス供給源466から)がプラズマ源455内に導入され、このプラズマ源は、無線周波(RF)電源をプラズマ源455に結合するオンボード回路構成によってバイアスされる。プラズマ放電が開始すると、Ar流は減少し、F含有洗浄ガス供給材料465、例えばNF3がプラズマ源455内に導入される。中性形態の反応性Fガス、および解離した洗浄ガス供給材料465のその他の副生成物は、反応性ガス入口430を通り、イオン源400の電源を切った電離箱500内に導入される。ArおよびNF3(例えば)の流速は速く、0.1SLM(毎分標準リットル)と数SLMとの間である。したがって、約1SLMまでの反応性Fは、解離生成物として、このようにしてイオン源400内に導入され得る。電離箱500は容積および表面積が小さいため、沈着物質のエッチング速度は非常に速くなる。電離箱500は、引出し電極に対向する前部プレートを有し、このプレートは、断面積が約0.2cm2と2cm2との間の抽出開口部504を含み、通電した動作の間、イオンは、この抽出開口部504を通して引出し電極405によって抽出される。洗浄の間、反応性ガス負荷は、電離箱500から開口部504を通して、ハウジング410の真空によって抽出され、ガス負荷は、ハウジング410から低真空ポンプ422によってポンプされる。引出し電極405は、電離箱500の開口部504付近にあって、開口部504と対向するため、電極表面は、相当量の反応性ガス流を妨げる。その結果、電極洗浄作用が生じ、沈着物が電極表面から、特に、最大沈着物を収容する位置にある抑制電極406の前面から除去される。したがって、引出し電極およびその固定具、AlおよびAl2O3などのF抵抗材料から製造すると有利である。
【0124】
図3の実施態様もまた、差動ポンプ残留ガス分析器(RGA)から成る終点検出器を有し、これは、腐食性サービス用に構成される。分析器RGAは真空ハウジング410と連絡する。分析器RGAは、F含有反応生成物(例えば、BがFと結合することにより生じるBF3ガス)の分圧を監視することによって、洗浄動作の終点の検出器として使用される。その他のタイプの終点検出器を使用することもでき、RGAは、特定の一実施態様を示すために示あれる。ホウ素含有物質の分圧がRGAで低下する場合、洗浄プロセスはほぼ完了する。洗浄プロセスが終了すると、プラズマ源455の電源がオフにされて、Arガスで簡単にパージされる(その結果、電離箱500、ハウジング410、およびハウジング410内の要素もパージされる)。次いで、低真空ポンプ422は、真空ハウジング410との直接的な連絡から隔離され、高真空ポンプ421の隔離バルブが開放され、真空ハウジング410は、高真空状態(約1×10−5Torr以下)に復帰する。次に、真空ハウジング隔離バルブ425が開放される。ここで、このシステムは、イオンビームの生成を再開する準備ができている。イオン源の電源460は電源を入れられ得、イオン源400は正常に作動し得る。
【0125】
図3の実施態様の利点は、遠隔プラズマ源455を支持するのに必要なサービス施設、例えば冷却水循環および電源が、イオン注入器の端子電位であり得ることである(図16の208参照)。その結果、冷却水および電源など、Sで指示される設備を注入器の質量分析器磁石230と共用することができる。洗浄モードでは、プラズマ源455に電源が入ると、分析器230の電源が切れ、したがって、イオンビーム製造モード時に水も電力も必要としないか、またはこの逆である。この「共用」は、S’で大まかに表される適切な制御構成によって行われ、この制御構成は、使用する動作モードに応じて、冷却水循環および電源接続などのサービス施設を代わりに点線の矢印Sで指示される分析器磁石230、または実線の矢印Sで指示される遠隔プラズマ源455に方向付ける。
【0126】
図4は、供給源400および引出し電極405のインサイチュでの化学洗浄のための図2に類似する実施例を示す。3つの入口通路は、それぞれプラズマ源455からの反応性ガス430、多数の格納容積450のうちの選択された1つからの供給ガス435、および噴霧器445からの供給蒸気440のために、イオン源400内に組み込まれる。図3と異なり、図4の実施態様は、高電圧のイオン源400にプラズマベースの反応性ガス供給源455を有する。その結果、遠隔プラズマ源455は、イオン源400の制御点を共用することができ、格納室466からの洗浄供給ガス465およびアルゴンパージガスを、供給源電位のイオン源ガス分配ボックスから供給することができる(図6および図6Aも参照)。異なるタイプの終点検出器、つまりFourier変換赤外(FTIR)光学分光計も図示する。この検出器は、クォーツウィンドウを通してエキソサイチュで(真空ハウジングの外側で)機能することができる。実際に、図4に示すとおり、抽出タイプのFTIR分光計を使用することができ、この分光計は、洗浄時に真空ハウジング410内のガスを直接サンプルする。温度センサTDも、チャンバ表面の熱的に隔離された代表的な領域を感知することによって、電源を切った電離箱の温度を感知する。センサTDは、汚染沈着物質とFとの発熱反応によって生成される熱を監視して、終点検出として使用することができる。
【0127】
図5は、図4のシステムに類似するが、基本的に異なるタイプの反応性ガス供給源455が組み込まれている、イオンビーム生成システムを示す。この場合、ガスシリンダ内に含まれる反応性ClF3ガスは、遠隔プラズマ源を使用せずに、直接イオン源400内に供給される。その結果、遠隔プラズマ源の電源および制御が不要であるため、機器のコストおよび設置面積が潜在的に減少する。しかし、ClF3は自燃性であるため、危険であり、特別なガス取り扱いを要し、NF3(例えば)は主に窒息性であり、BF3、PH3またはAsH3などの多くの半導体ガスと比べて毒性が低く、したがって比較的安全である。
【0128】
図6は、既存のイオン注入器設備内に組み込むことを意図されたガスボックスB内に収容されたプラズマ源455、蒸気供給源445、供給源電子回路、およびプラズマ源用のサービス施設Sを示す。
【0129】
図6aの実施態様は、以下の好ましい噴霧器および流量制御システムを組み込むという点で、上記の図6の実施態様とは異なる。図6Bは、図4のイオン源および自己洗浄システムのバルブ概略図である。
【0130】
(好ましいイオン源および噴霧器)
図7は、好ましいイオン源10およびその様々な構成要素の図であり、図7Aを参照する。その構成の詳細、および好ましい動作モードは、2003年6月26日に出願されたHorskyらの国際出願PCT/US03/20197号「An ion implantation device and a method of semiconductor manufacturing by the implantation of boron hydride cluster ions」、および2002年6月26日に出願されたHorskyの米国特許出願第10/183,768号「Electron impact ion source」の開示事項に類似している(これらの両方が、本明細書中に参考として援用される)。イオン源10は、新規な電子衝撃イオン化システムの一実施態様である。図7は、イオン源10を構成する構成要素の機能を明確にするのに役立つ、供給源構造の概略断面図である。イオン源10は、実装フランジ36によってイオン注入器の排気された真空チャンバにインターフェースするように構成される。したがって、図7に示すフランジ36の右側にあるイオン源10部分は、高真空状態である(圧力<1×10−4Torr)。ガス状材料は電離箱44内に導入され、電離箱44内では、ガス分子は、電子ビーム70からの電子衝撃によってイオン化され、電子ビーム70は、電子入口開口部71を通って電離箱44内に入り、その結果、電子ビーム70は、イオン抽出開口部81と整列する(つまり、抽出開口部81に隣接して平行に延在する)。したがって、イオンは、イオン抽出開口プレート80内のスロットとして描かれるイオン抽出開口部81に隣接して生成される。次に、イオンは、イオン抽出開口プレート80の前部に位置する引出し電極220(図8および図9)によって抽出され、高エネルギーのイオンビーム475として生成される。図7を参照すると、例えばアルゴン、ホスフィンまたはアルシンなどのガスは、ガス導管33を介して電離箱44内に供給され得る。デカボランまたはオクタデカボランなどの固体供給材料29は、噴霧器28内で蒸発し得、蒸気は、供給源ブロック35内の蒸気導管32を通って、電離箱44内に供給される。一般に、電離箱44、イオン抽出開口プレート80、供給源ブロック35(蒸気導管32を含む)、および噴霧器ハウジング30は、すべて、アルミニウムから製造される。固体供給材料29は、噴霧器ハウジング30の閉ループ温度制御装置によって均一な温度に維持される。バラスト容積31内に蓄積する昇華蒸気50は、導管39を通り、スロットルバルブ100および遮断バルブ110を通って供給される。スロットルバルブ100と遮断バルブ110との間の蒸気50の公称圧力は、加熱圧力計60、好ましくはキャパシタンス圧力計で監視される。蒸気50は、供給源ブロック35内に位置する蒸気導管32を通って電離箱44内に供給され、ガスはガス導管33を通って供給されるため、ガス状および蒸発材料は、このイオン源によってイオン化され得、このイオン源は、必要に応じて分子イオン(B18Hx+など)またはモノマーイオン(As+など)のいずれかから成るイオンビーム475を生成することができる。
【0131】
(イオン生成システム内への蒸気流制御)
図7の電離箱に至る蒸気の流れは(図7B参照)、蒸気供給通路32の直前、つまり図7の遮断バルブ110内の領域の蒸気圧によって決まる。この蒸気圧は、スロットルバルブ100と遮断バルブ110との間に位置する圧力計60、例えばキャパシタンス圧力計によって測定される。一般に、流速は蒸気圧に比例する。その結果、圧力信号は流量を表し、流量を選択するための設定点として使用することができる。所望の蒸気流をイオン源内に生成するには、噴霧器ハウジング30は、スロットルバルブ100を完全に開放位置にした時に所望の流速を超えるような温度にされる。次に、スロットルバルブ100は、所望の圧力出力に達するように調節する。
【0132】
長時間にわたって安定した流れを確立するには、Omron E5CK制御ループデジタル制御装置などの二重PID制御装置を使用して、噴霧器温度および蒸気圧の別個の閉ループ制御を実施する。制御(フィードバック)変数は、温度については熱電対の出力、および圧力についてはゲージ出力である。図7Bの図表は、これらの閉ループ制御機能を実行するためのデジタル蒸気供給制御装置220を示す。
【0133】
図7Bでは、圧力計60からのゲージ出力250は、スロットルバルブ位置制御手段245に印加され、制御手段245は、スロットルバルブ位置制御信号247をスロットルバルブ100に送信する。噴霧器28からの熱電対の出力225は、噴霧器28に印加される加熱器の電力248を制御する噴霧器加熱器制御手段215に印加される。
【0134】
第2の低速レベル制御は、デジタル供給制御装置220によって実施され、この制御装置220は、固体供給材料が蒸発する速度をその開放表面積、特に固体−真空界面において使用可能な表面積の関数であるように適応させる。供給材料は、噴霧器内で長時間にわたって消費されるため、この使用可能な表面積は確実に減少し、その結果、蒸気の進化速度が所望の蒸気流速を支持できなくなり、スロットルバルブ100の上流の蒸気圧が低下する。これは、「進化速度制限」動作として公知である。したがって、供給材料を噴霧器内に新たに充填すると、噴霧器の温度、例えば25℃は、スロットルバルブのダイナミックレンジの下端で、所要の蒸気流を公称スロットルバルブ位置に支持する(つまり、スロットルバルブは部分的にのみ開放)。時間が経過すると(例えば、供給材料の20%が消費された後)、このバルブ位置は次第に開き、所望の流量を維持する。スロットルバルブが、そのダイナミックレンジの高コンダクタンス限界付近にある場合(つまり、ほとんど開放している)、このバルブ位置は、制御装置220によって感知され、制御装置220は、新たなより高い加熱器設定点温度を噴霧器の加熱器制御手段215に送信する。増分は、噴霧器温度が新しい値に安定すると、スロットルバルブのダイナミックレンジの下端付近の公称スロットルバルブ動作点を回復するように選択される。したがって、デジタル制御装置220が、設定点蒸気圧の短期間の変化、および噴霧器温度の長期間の変化の両方に適応する能力によって、供給材料充填の寿命全体における蒸気流の制御は非常に強固になる。このような制御は、電離箱に対する蒸気の過供給を防止する。これは、イオン生成システムの表面上における望ましくない沈着物の量を制限し、その結果、洗浄間のイオン源の寿命を延長する効果がある。
【0135】
図8は、新規なイオン源10に対向するイオン引出し電極220の上面図(見下ろす)を示す。イオン源10は、イオン引出し電極220に対して正電位VAに維持され、これは、局所的な接地電位、つまり真空ハウジングの電位である。イオン引出し電極220は単純なダイオードであり、電極のプレート302は「接地」電極であり、プレート300は「抑制」電極であり、これは、抑制電源VSによって接地電位より数千ボルト低く維持される。イオン源10の電離箱44およびイオン抽出開口プレート80は、引出し電極220に対向するように示されている。3つのプレート80、300、302は、イオン90が抽出される矩形のスロットまたは開口部を含む。図8は、「短い」かまたは分散的な方向におけるスロットのプロファイルを示す。
【0136】
(新規な加熱電極)
図14に示すデカボラン寿命テストを行う時に、新規な加熱アルミニウム電極を使用した。図9は、1次元「スロット」開口レンズの分散面における抽出システムの基本的な光学構造の上面図を示す。使用する注入器では、イオン源の電離箱490は、図8に示す正の高電圧電源VAによって、所望のイオンビームエネルギーに維持された。例えば、20keVのイオンビームが望ましい場合、VA=20kVである。イオン抽出開口プレート500は、電離箱490から電気的に隔離されるため、双極電源VBによって−750V〜750Vにバイアスすることができる。この隔離は、熱伝導性の電気絶縁ポリマーガスケットによって行われ、このガスケットは、イオン抽出開口プレート500と電離箱490との間に挟持される。蒸気に暴露されるイオン源本体の部品(図7の供給源ブロック35、電離箱44および抽出開口プレート80)は、互いに良好に熱接触状態を維持し、供給源の動作時に制御された温度の表面を維持する。電離箱490内に生成されるイオンは、イオン抽出開口プレート500内の開口部を通して、抑制電極510および接地電極520から成る引出し電極540によって抽出される。イオンは、ビーム軸530に沿って集束イオンビームとして伝播する。抑制電極510は、電源VSによって数千ボルト負にバイアスされ、ビーム攻撃によって抑制電極の上流に生成される二次電子を抑制するのに役立ち、これらの高エネルギー電子が正バイアスイオン源内に逆流するのを防止する。電離箱490、イオン抽出開口プレート500、抑制電極510、および接地電極520はすべて、アルミニウムから製造され、局所的な電界を最低限にするために念入りに研磨された平坦な表面を有する。
【0137】
イオン抽出開口プレート500をバイアスする重要な効果は、図9のイオン光学系の焦点距離を変更することである。負バイアスは焦点距離を増加させ、正バイアスは焦点距離を減少させる。バイアスが大きい場合、相当の効果があり得る。診断上の目的のため、走査線表面形状測定装置を取り付け、供給源ハウジング隔離バルブ(図16の210)のすぐ下流にある分析器磁石の入口に配置した。このスキャナは、分散面におけるビーム電流の分布を記録し、イオンビームがいかに良好に分散面内で集束するかを決定するのに役立つ。20keVのオクタデカボランビームのプロファイルが、3つの異なるバイアス状態、つまり−483V、0、および+300Vに関して、図9aに示す。0Vの状態は、実質的に過集束であり、正電圧状態はさらに過集束であり、負電圧状態は適切に集束している。電極位置は、3回の測定時に一定に維持した。予想通り、適切な集束状態は、最高のイオンビーム電流を生じた。
【0138】
光学焦点距離を変化させ、ひいては光学系を調整して、最高イオンビーム電流を得る能力は、最小量の供給材料を噴霧器に導入することを可能にする。これも同様に、イオン生成システムの表面上における望ましくない沈着物の量を制限して、洗浄間のイオン源の寿命を延長するという有利な効果を有する。
【0139】
上記システムを集束させるための抽出開口プレートをバイアスするほか、本発明は、引出し電極の光学素子をシステムの他の構成要素に対して移動させるための手段を提供する。図10は、(イオン源に対して)座標系620が定義するX方向、Z方向およびΘ方向に移動することを可能にする3軸マニピュレータ610上に実装された、新規な電極600を示す。アクチュエータ613はX運動を制御し、アクチュエータ612はZ運動を制御し、アクチュエータ611はΘ運動を制御する。マニピュレータ610は、取付けフランジ615を介して、注入器の真空ハウジングの側部に取り付けられる。
【0140】
図11は、放射加熱バージョンの新規な電極ヘッドの部分分解図を示す。この図には、抑制電極700、接地電極710、加熱器プレート720、および放射加熱器ワイヤ730が示されている。抑制電極および接地電極は、アルミニウムから製造され、加熱器プレートはステンレス鋼から製造され、そして加熱器ワイヤ730はニクロムから製造される。電極が200℃で作動する場合、電力消費量は、この温度を維持するために約60Wであった。加熱器の電力は、熱電対のリードバックに基づく閉ループPID制御装置、Omron E5CKで制御される。
【0141】
図12は、抵抗加熱バージョンの新規な電極ヘッドの部分分解図を示す。この図には、抑制電極800、接地電極810、および抵抗加熱器820が示されている。4つの抵抗加熱器820はスリーブ830に適合し、2つの抵抗加熱器は各々の電極プレートに適合する。スリーブ830は、加熱器がスリーブ内にプレスばめされ、密着するような分割構造である。加熱器と電極との間の密着は、電極の適切な加熱を確保し、加熱器の早期の焼損を防止する上で重要である。ここでまた、Omron E5CKまたはその均等物が、熱電対のリードバックに基づいて電極温度を制御することができる。
【0142】
上記のとおり、これらの加熱装置を引出し電極に使用すると、図7および図7Aの比較的低温で作動するイオン源によって生成されるようなデカボランおよびオクタデカボランの凝縮を防止するのに十分な高温を完全に制御された状態で維持することができる。フッ素抵抗性材料、例えばアルミニウムから製造される引出し電極は、電極を定期的にインサイチュで洗浄して、抽出開口部から引き出されるフッ素蒸気によってあらゆる沈着物を除去することを可能にする。
【0143】
プラズマイオン源の場合、本質的に高温で作動され、引出し電極組立体が低温材料から製造されている場合、熱が引出し電極組立体を損傷し得るという、異なる状況が生じる。図9を参照すると、円形冷却コイル512および522が点線で示され、これらのコイルは、それぞれアルミニウム電極部材510および522の裏側に、熱伝達関係で固定されている。これらの冷却コイルを通る冷却流体の循環は、アルミニウム電極を冷却して、高温イオン源からの熱によって変形するのを防止することができる。その結果、引出し電極にフッ素抵抗材料、例えばアルミニウムまたはアルミニウム含有錯体を使用することを可能にし、これらの材料は、供給材料または抵抗性洗浄ガスから存在する何らかのフッ素による攻撃に対する抵抗性を与える。
【0144】
(デカボランを作動させた場合の供給源の寿命の測定)
図14は、広範なデカボランの流量にわたってテストする供給源の寿命の結果を示す。これらのデータへのあてはめは、方程式(3)に由来する。これらのテスト時、イオン源の不具合は記録されなかった。むしろ、個々のテストは、デカボランイオン電流が最初のレベルの約半分に低下した時点で終了した。イオン源を検査した後、かなりの量のホウ素含有材料が、電離箱内に沈着し、ほとんどチャンバの内壁に付着することが分かった。場合によっては、イオン抽出開口部も部分的に占有された。方程式(3)のモデルは、これらのデータに良くあてはまるようであり、インサイチュでの化学洗浄手順間または分解間でのイオン源の寿命を延長するためには、「希薄」な運用が重要であることを示唆している。
【0145】
(F洗浄時の電離箱内のエッチング速度の測定)
図7のイオン源10を有するシステムを使用して、電離箱44の内側に段状になっている1mm厚のシリコン試験片に関してF洗浄プロセスを、以下を変更してテストした:専用の反応性供給導管を組み込むのではなく、蒸気供給導管32を使用して反応性ガスを導入した。Siは、FによるSiのエッチングは十分に理解されており、純粋Si材料はSiウェハの形態で入手可能なために使用した。このテストでは、洗浄サイクル間で噴霧器を取り外す必要があった。2つの試験片位置をテストした:一方は、反応性ガス入口(つまり、蒸気供給32)に対して視点の関係を有し、一方は視点を有さない。エッチング速度は、図15にNF3流速の関数として示されている。このプロセスの際に、700sccmのアルゴン流を遠隔プラズマ源内に維持し、NF3流速は50sccmから500sccmに変動した。視点の幾何学的形状は、エッチング速度が約5倍増加することを示し、したがって、均一に増加し得る場合には、好ましい幾何学的形状である。この目的で、図3に示す幾何学的形状は、図4に示す幾何学的形状と比べて、イオン源の電離箱44の比較的良好なエッチング均一性を提供するべきである。このテストは、ガス流からシールドされたエッチング反応構成要素の位置が、これらの構成要素に対してある程度の保護を提供する上で効果的であることを示した。
【0146】
自己洗浄型のイオン生成システムの構成要素の寿命を延長するには、反応性ガスに対して抵抗性の構造材料が選択され、反応構成要素をシールドすると仮定し得る。
【0147】
電離箱の内部には、上記のとおりアルミニウムが使用され、アルミニウムの構成要素は反応性ガスのフッ素に耐え得るので、イオン化作用温度が可能である。比較的高温のイオン化作業が望ましい場合、炭化ケイ素アルミニウム(AlSiC)合金は、電離箱の表面または引出し電極に適した選択肢である。電離箱表面のためのその他の材料は、ホウ化チタン(TiB2)、炭化ホウ素(B4C)および炭化ケイ素(SiC)である。
【0148】
フッ素に暴露されるが、イオン化作用には暴露されない構成要素、例えば電極などの電子供給源構成要素の場合、これらの構成要素は、ハステロイ、耐フッ素性ステンレス鋼、およびニッケルめっき金属、例えばニッケルめっきモリブデンから製造され得る。
【0149】
不活性ガスのシールドおよび可動式の物理的障壁は共に、洗浄時にシステムの構成要素を反応性ガスから保護することができる。例えば、図7Aを参照すると、アルゴンなどの不活性ガス用の導管113は、ガス供給源(図示しない)から延在する。導管の出口は、イオン源内の重要な位置であり、その結果、不活性ガスの流れは、洗浄サイクルを開始した時点で、保護されるべき構成要素から溢れる。図7Aでは、不活性ガス導管113の出口113aは、電子放出陰極を含む電子銃112の能動的な構成要素上を溢れるアルゴンの流れを目的としている。図7Aでは、可動シールド部材73も示されており、これは、洗浄サイクルの位置まで移動可能である。図示の実施例では、可動シールド部材73は、ビームダンプ72、または電離箱44の側に設ける場合、別の電子銃に通じる開口部71A上を移動可能である。
【0150】
上記の洗浄プロセスを、電離箱内および図7の新規なイオン源10のイオン抽出開口部の内部におけるホウ素沈着物に対する効果を観察するために行った。観察されたエッチング速度は、図15のプロットに類似する特徴を有するが、3分の1だった。したがって、NF3流速が500sccmの場合、デカボラン沈着物のエッチング速度は7μm/分(非視野方向)、および36μm/分(視野方向)であった。0.8sccmの蒸気流でデカボランを4時間作動させた後、イオン抽出開口部の内部には、洗浄前には約133μm厚のホウ素含有沈着物があった。観察を、5分間のF洗浄後、および15分間のF洗浄後に、これらの流速を使用して行った。開口プレートの一方の側は、蒸気供給に対して視野方向であった。驚くべきことに、洗浄パターンから、上記供給開口部は垂直方向の中心に存在することが観察された。洗浄15分後、プレートから沈着物がほぼ完全に消滅した。また、図10の新規な加熱アルミニウムイオン引出し電極は、長時間の作動後に取り外して検査した。この引出し電極は非常に清潔であり、デカボラン沈着物は観察されなかった。これは、電極を反応性Fに暴露したためであることは明らかである(Fは、蒸気導管の前部に位置するイオン源イオン抽出開口部を通って、この開口部のすぐ前面の引出し電極に流れることが可能である)。また、Al電極組立体が高温である場合、その沈着物の効果的なエッチング速度が増加した。
【0151】
電離箱に関して、ここでまた、15分間のエッチング洗浄後、チャンバには沈着物がほぼ存在しなかった。システムを以下の方法で繰り返し循環させて、テストを実施した:2時間のデカボランによる作動(500μAを超える分析ビーム電流)、供給源の電源を切り、フィラメントを冷却させ、次に、500sccmのNF3供給ガス、および700sccmのArで15分間の化学洗浄を行い、化学洗浄ステップを繰り返し行ったために、何らかの方法でイオン源または引出し電極を損傷したか否かを観察した。21サイクル後、イオン源にも電極の動作特性にも、測定可能な変化はなかった。この結果は、このF洗浄プロセスが凝縮可能な種のイオン源動作における、非常に長い寿命を可能にすることを実証する。
【0152】
(例示的なイオン注入器内に組み込まれるイオン生成システム)
図16は、図7のイオン源が組み込まれた新規なイオンビーム生成システムの一実施態様が取り付けられた商用イオン注入器の基本的な要素を示す。イオン源10は、イオン注入器の供給源真空ハウジング209内に挿入される。イオン源10は、絶縁体211によってハウジング209から電気的に絶縁される。イオン引出し電極220は、イオン源10からイオンを抽出して加速し、イオンビーム200を形成する。イオンビーム200は、真空内で完全に伝播する;イオンビーム200は、電極220から分析器ハウジング290、300に入って屈曲し、双極子分析器磁石230によって、電荷対質量比が異なる別個のビームレット状に分散する。問題のこのイオンビームレットは、質量分解開口部270を通過して最終加速(または減速)ステージ310に入る。このように生成され、選択され、加速されたイオンビーム240は、イオンビーム生成システム208を離れて、プロセスチャンバ330に導入されて、回転ディスク314上の1つまたは複数のデバイスウェハ312を捕らえる。イオン源真空ハウジング209は、隔離バルブ210を閉鎖することによって、注入器の真空システムの他の部分から隔離することができる。例えば、隔離バルブ210は、イオン源のインサイチュでの洗浄前に閉鎖される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の方法。
【請求項1】
明細書に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図9a】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図9a】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−157518(P2010−157518A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30728(P2010−30728)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【分割の表示】特願2006−544049(P2006−544049)の分割
【原出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(502213379)セメクイップ, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【分割の表示】特願2006−544049(P2006−544049)の分割
【原出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(502213379)セメクイップ, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
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