説明

イオン注入装置

【課題】大面積イオンビームにより大型の基板にイオン注入を行うことができ、イオンビームの均一性を制御可能であり、かつイオンビームによるスパッタの発生がなく、スパッタによる悪影響を防止することができるイオン注入装置を提供する。
【解決手段】内部にイオン源となるプラズマ1を発生させるプラズマ室10と、プラズマ室に近接しプラズマからイオンビーム2を引き出す引出電極20と、プラズマ室内に引出電極に対向して位置し引出電極によって引き出されたイオンビームのビーム軸と直交する断面形状を可変制御する可変スリット装置30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板にイオンビームを照射してイオン注入を行うイオン注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン注入装置は、例えば半導体基板にイオンビームを照射してイオン注入を行う装置である。かかるイオン注入装置は、図8に模式的に示す質量分離型イオン注入装置と、図9に模式的に示す非質量分離型イオン注入装置に大別できる。以下、主として非質量分離型イオン注入装置について説明する。
【0003】
半導体基板が、例えばフラットパネルディスプレイ用基板のように、大型(大面積)である場合に、大面積イオンビームのビーム電流の均一性が、重要な性能指標として判断される。これは、イオン注入処理を行うにあたって、処理対象物へのイオン注入量の面内均一性を制御するために重要な要素となるためである。
【0004】
イオンビームは、プラズマ源から引出電極等を用い、引出電界の印加によって、引き出される。そのため、大面積イオンビームの面内均一性を確保するために、プラズマ源でのプラズマ密度が可能な限り均一になるよう従来から様々な手段がとられていた。
【0005】
例えば、熱陰極式DCアークプラズマの場合は、熱陰極の配置場所を特定したり、アーク放電を行うためのアノード電極の配置場所を特定したりしている(以下、「従来例1」という)。
また、複数の熱陰極を用いる場合、個々の熱陰極の加熱用電力を制御し、おのおのの熱陰極に対応する場所のプラズマ密度の制御を行い、所望のプラズマ密度分布が得られるようにしたものもある(従来例2)。
あるいは、発生したプラズマを磁場で閉じ込める形式の場合、閉じ込め磁場を形成する永久磁石の位置を調整したり、電磁石の励磁を調整することにより、プラズマ分布を制御したりするものがある(従来例3)。
また、別な試みとして、イオン源から引き出されたイオンビームを可変式のスリットを用いて調整する試みがある(従来例4)。
【0006】
また、同様の目的で、様々な提案が既にされている(例えば特許文献1〜3)。
【0007】
特許文献1は、1枚の基板の面内に異なるイオン注入量の領域を形成するに適したイオン注入装置を目的とする。
そのため、この発明は、図10に示すように、真空中に設けた基板53にイオン源51からのイオンビーム54を一方向へスキャンして基板にイオン注入する装置において、基板53の前方に、イオンビーム54が基板の面内へ入射する領域を可変制御する入射領域制御スリット58を設けたものである。入射領域制御スリット58は一定開口面積のスリットと該スリットの開口面積を減縮制御するシャッターとで構成される。
【0008】
特許文献2は、イオンビームの幅方向におけるビーム電流密度分布の均一性の低下、平行度の悪化および基板処理速度の低下を抑制しつつ、基板の大型化に対応可能なイオン注入装置を目的とする。
そのため、この発明のイオン注入装置は、図11に示すように、所望のイオン種を含み基板61の短辺幅よりも幅の広いシート状のイオンビーム62を発生するイオン源と、イオンビーム62をそのシート面に直交する方向に曲げて所望のイオン種を選別して導出する質量分離マグネット63と、質量分離マグネット63と協働して所望のイオン種を選別して通過させる分離スリット64と、分離スリット64を通過したイオンビーム62の照射領域内で、基板61をイオンビーム62のシート面に実質的に直交する方向に往復駆動する基板駆動装置65とを備えたものである。
【0009】
特許文献3は、低コストのイオンビーム分布測定装置を備えると共に、イオン注入のスループットを向上したイオン注入装置を目的とする。
そのため、この発明は、図12に示すように、イオンを生成するイオン源から所望のイオン種を引き出し、所望のエネルギーに加速又は減速し、イオンを走査器により基板の注入面にイオンを走査して注入するイオン注入装置において、基板の下流側に配置され、イオンビームの電流値を計測するファラデーカップ70と、基板とファラデーカップ70との間に配置され、イオンビームBの走査方向と同一方向に移動可能で、かつ、単一のスリット71を有する遮蔽板72とを具備したイオンビーム分布測定装置73を備えたものである。
【0010】
【特許文献1】特開平11−339711号公報、「イオン注入装置」
【特許文献2】特開2005−327713号公報、「イオン注入装置」
【特許文献3】特開2006−114289号公報、「イオン注入装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来例1の方式では、イオン源の熱陰極位置やアノード電極位置は、構造上固定されている。つまりイオン源製作時あるいは組立時に固定されており、イオン源動作中に発生する均一性の歪みを調整することができない。そのため例えば、イオン源内部で堆積生成物が発生し、アノード電極が汚れてしまい、アーク放電に偏りが出てしまうことなどがあり、この場合に対応できない。
【0012】
従来例2の方式では、イオン源動作中においても、ファラデーカップなどのイオンビーム測定機器を用いて引き出されたイオンビームを計測しながら、熱陰極の加熱用電力を制御できるため、従来例1の方式で見られるような、稼働中のイオン源に対する均一性制御が行えない欠点が解決されている。しかし、個々の熱陰極で制御されるプラズマ範囲は比較的広く、狭い空間領域の制御が困難であるため、比較的大きな歪を制御することしかできない。
【0013】
従来例3の方式も、稼働中のイオン源の均一性を制御可能であるが、磁場の影響範囲が比較的広く、局所的な歪みを制御することが困難である。
【0014】
従来例4の方式では、引き出されたイオンビームをスリットで調整するため、稼動中のイオン源においてもイオンビームの形状を制御可能であり、スリット形状を複数のスリットから構成するようにすれば、相応の局所制御性を得ることが可能である。 しかしながら、イオンビームを直接受け止めるため、イオンビームエネルギーが高い場合や、イオンビーム電流が多い場合には、相当な熱負荷が発生し、冷却など構造の問題や、イオンビームによるスパッタにより、スパッタされた構造材料が堆積生成物となり汚れの原因や、スパッタ原子が直接処理基板に作用し、汚染の原因となる場合がある。
【0015】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、大面積イオンビームにより大型の基板にイオン注入を行うことができ、イオンビームの均一性を制御可能であり、かつイオンビームによるスパッタの発生がなく、スパッタによる悪影響を防止することができるイオン注入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、内部にイオン源となるプラズマを発生させるプラズマ室と、
該プラズマ室に近接し、前記プラズマからイオンビームを引き出す引出電極と、
前記プラズマ室内に前記引出電極に対向して位置し、引出電極によって引き出されたイオンビームのビーム軸と直交する断面形状を可変制御する可変スリット装置とを備えた、ことを特徴とするイオン注入装置が提供される。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記プラズマ室は、熱電子を放出するフィラメントを有するカソード電極と、該カソード電極との間の放電によりプラズマを発生させるアノード電極、プラズマからイオンを引き出すときの境界を定めるプラズマ電極とを有し、
該プラズマ電極は、前記引出電極と平行に位置しており、
前記可変スリット装置は、プラズマ電極のプラズマ室側ないし引出電極側に位置し、プラズマ電極を通過するイオンビームの断面形状を制御する。
【0018】
また、前記プラズマ室は、高周波を用いてプラズマを発生させる高周波装置と、プラズマからイオンを引き出すときの境界を定めるプラズマ電極とを有し、
該プラズマ電極は、前記引出電極と平行に位置しており、
前記可変スリット装置は、プラズマ電極のプラズマ室側ないし引出電極側に位置し、プラズマ電極を通過するイオンビームの断面形状を制御する、構成であってもよい。
【0019】
また、前記引出電極で引き出されたイオンビームを処理基板に向けて加速する加速電極と、
前記処理基板をイオンビームに直交する走査方向に移動する基板走査装置とを備え、
前記可変スリット装置は、前記開口形状の走査方向の間隔を可変制御するようになっている。
【0020】
前記可変スリット装置は、前記開口形状の走査方向の両端部に位置する複数の遮蔽板と、該各遮蔽板を走査方向に独立に移動する複数の直動アクチュエータとからなり、
前記遮蔽板は、走査方向に直交する方向で互いに部分的に重なるように配列されている。
【0021】
また、加速されたイオンビーム中の所望のイオンのみ注入基板に照射されるように1つないし複数の電磁石をふくむ磁石を用いてイオンビーム軌道を偏向させ、所望のイオンからなるイオンビームを基板に照射可能とし、基板に照射するイオンビームに直交する走査装置を設ける。
【発明の効果】
【0022】
上記本発明の構成によれば、プラズマ室内に引出電極に平行な開口形状を可変制御する可変スリット装置を備えるので、この開口形状(スリット)でプラズマ中のイオンを機械的に直接、遮断することが可能であり、プラズマから引き出されるイオンビーム形状を自在に変更することができる。
【0023】
またスリットを構成するスリット材料(例えば遮蔽板)に衝突するイオンは、加速されていないため、非常に低エネルギーの状態にあり、スリット材料がスパッタ等によりダメージを受けることがない。従って、スパッタ等により、処理基板が汚染されるおそれも生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0025】
図1は、本発明のイオン注入装置の全体構成図である。この図において、本発明のイオン注入装置は、プラズマ室10、平面状の引出電極20、可変スリット装置30を備える。
【0026】
プラズマ室10は、熱電子を放出するフィラメント11を有するカソード電極12と、カソード電極12との間の放電によりプラズマ1を発生させ、そのプラズマ領域を定めるプラズマ電極14とを有する。
プラズマ電極14は、多数の開口を有する平面状の電極板を有している。プラズマ1の原料ガスとして、例えばPH,B,Hなどを用いる。
この構成により、プラズマ室10は、イオン源となるプラズマ1を内部に発生させることができる。
【0027】
平面状の引出電極20は、プラズマ室10に近接し、プラズマ1からイオンビーム2を引き出す機能を有する。引出電極20は、プラズマ電極14と平行に位置し多数の開口を有する平面状の電極板を有する。
この構成により、プラズマ室10で発生したプラズマ1からプラズマ電極14と引出電極20の開口を通してイオンビーム2を処理基板3に向けて引き出すことができる。
【0028】
可変スリット装置30は、プラズマ室10内に引出電極14に対向して位置し、引出電極14に平行な開口形状を可変制御するように構成されている。
この例において、可変スリット装置30は、プラズマ電極14のプラズマ室側に位置し、プラズマ電極14を通過するイオンビーム2の断面形状を制御するようになっている。また、プラズマ電極14と引出電極20の間に配置しても同じ制御効果が得られる。
【0029】
図1において、本発明のイオン注入装置は、さらに加速電極22、減速電極24、基板走査装置26、イオンビーム測定装置28を備える。
【0030】
加速電極22は、引出電極20と処理基板3との間に位置し、引出電極20で引き出されたイオンビーム2を処理基板3に向けて加速する。加速電極22はこの例では接地されており、接地電極とも呼ばれる。
減速電極24は、加速電極22に近接して引出電極側に位置する。減速電極24の機能は後述する。
【0031】
基板走査装置26は、処理基板3をイオンビーム2と直交する走査方向(この例では紙面に直交する方向、例えば水平方向)に移動する。
イオンビーム測定装置28は、イオンビーム2のビーム強度を計測し、ビーム計測信号4として出力する。
【0032】
図2は、図1の可変スリット装置の全体構成図である。この図は、プラズマ室側から可変スリット装置30を見た模式図である。
この図において、可変スリット装置30は、複数の遮蔽板32、複数の直動アクチュエータ34及びコントローラ36を備える。
【0033】
複数(この例では20枚)の遮蔽板32は、プラズマ室10からイオンビーム2が引き出される開口10aの走査方向両端部(図で左右)に位置し、走査方向に直交する方向(図で上下)に互いに部分的に重なるように配列されている。
遮蔽板32は、プラズマ室10内の温度(例えば約500℃)に耐えるように、耐熱金属(例えばモリブデン)、グラファイト、セラミックス等で構成するのがよい。
【0034】
複数(この例では20台)の直動アクチュエータ34は、コントローラ36からの制御信号により、各遮蔽板32を走査方向に独立に移動する。
この構成により、可変スリット装置30により、プラズマ室10の開口形状の走査方向間隔を可変制御することができる。
【0035】
図3は、上述した可変スリット装置の作動説明図である。この図において、(A)は可変スリット装置30の未作動状態、(B)は作動状態である。また、各図において、aは図2と同様の模式図、bはイオンビーム2の断面形状、cはイオンビーム2の電流分布を示している。
この図に示すように、各々の遮蔽板32に取り付けられたアクチュエータを動作させ、遮蔽板32で構成されるスリット間隔を調整することができる。
例えば、イオンビーム2を引き出し、ファラデーカップなどのイオンビーム測定装置28によって、各位置におけるイオンビーム電流Iを測定し、イオンビーム電流の多いところに対応したスリット間隔を狭くするように調整すれば、均一なビーム電流となるイオンビームが得られる。
【0036】
図4は、本発明のイオン注入装置における電極と電位の位置関係の一例を示す図である。この図において、横軸は、プラズマ電極14からの距離、縦軸は加速電極22を基準とする電位である。
この例は、プラズマ電極14と加速電極22の電位差が100kVの場合を示している。
【0037】
引出電極14の電位は、例えば、プラズマ電極14より0.2〜3kV低い電位に設定される。従って、プラズマ室10内のプラズマ1から引出電極14により引き出されるイオンビーム2は、ほとんど加速されていないため、非常に低いエネルギー状態にある。
これに対し、加速電極22の電位は、この例ではプラズマ電極14より100kVも低く、この大きな電位差により、引出電極20で引き出されたイオンビーム2は処理基板3に向けて加速され、高速(高エネルギー状態)で、処理基板3に衝突し、P,B.Hなどのイオンを処理基板3にイオン注入する。
減速電極24の電位は、加速電極22よりも低く設定され、イオン注入の際に発生した電子が上流側に逆流するのを防止している。
【0038】
上述したように本発明では、可変スリット装置30がプラズマ室10内に設置されるので、可変スリット装置30を構成するスリット材料(遮蔽板32)に衝突するイオンは、ほとんど加速されていないため、非常に低エネルギーの状態にあり、スリット材料がスパッタ等によりダメージを受けることがなく、かつスパッタ等により、処理基板3が汚染されるおそれも生じない。
【0039】
図5は、本発明における可変スリット装置30の具体例を示す斜視図である。
この例において、遮蔽板32は、隣接して配置された矩形平板32aと、隣接する矩形平板32aに両端部が回転可能のピン結合された短冊平板32bとからなる。
この構成により、開口10aの開口形状の走査方向の両端部に短冊平板32bが互いに部分的に重なるように位置し、その間に隙間ができないようになっている。
直動アクチュエータ34は、例えば直動シリンダであり、この例では矩形平板32aを走査方向(図で左右)に独立に移動するようになっている。
【0040】
図6は、本発明における可変スリット装置30の別の具体例を示す図である。
この例において、遮蔽板32は、隣接して配置され互いに部分的に重なる矩形平板33aと、隣接する矩形平板33aを連結し可撓性のある平板33bとからなる。可撓性平板33bは、薄い耐熱金属平板の積層体であるのがよい。
なお、直動アクチュエータ34は、図5と同様であり、この図では省略している。
この構成により、開口10aの走査方向両端部に矩形平板33aが互いに部分的に重なるように位置し、その間に隙間ができないようになっている。
【0041】
上述した本発明の構成によれば、プラズマ室10内に引出電極20に平行な開口形状を可変制御する可変スリット装置30を備えるので、この開口形状(スリット)でプラズマ1中のイオンを機械的に直接、遮断することが可能であり、プラズマ1から引き出されるイオンビーム2の形状を自在に変更することができる。
【0042】
またスリットを構成するスリット材料(例えば遮蔽板32)に衝突するイオンは、加速されていないため、非常に低エネルギーの状態にあり、スリット材料がスパッタ等によりダメージを受けることがない。従って、スパッタ等により、処理基板が汚染されるおそれも生じない。
【0043】
図7は、本発明における可変スリット装置の別の具体例を示す図である。
この例において、本発明における可変スリット装置は、回転式スリット装置である。すなわちスリット板37の形状をイオンビーム2の歪みに応じて設計し、スリット板37を保持しているシャフト38の回転角を自在に変化させることにより、開口部面積の補正を行うことが可能である。
この図において、(A)は開度ゼロ、(B)は開度40%、(C)は開度80%を示している。
【0044】
また、図8における質量分離型イオン注入装置のイオン源部に適用することも可能である。
質量分離型イオン注入装置では、所望のイオンビームを得るために偏向電磁石などを用いてイオンビームを偏向させているが、このときにビーム形状の歪みが発生して、基板に照射されるイオンビームの均一性が損なわれる場合がある。
これを防止するために、イオンビームの軌道を修正あるいは補正するために、修正用電磁石や、静電界あるいは交番電界をかける電極などを用いている。 本発明は、基板に照射されるイオンビームの歪みに応じて、イオン源部でスリット形状を調整することにより、容易に歪みを補正することが可能である。
【0045】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のイオン注入装置の全体構成図である。
【図2】図1の可変スリット装置の全体構成図である。
【図3】可変スリット装置の作動説明図である。
【図4】本発明のイオン注入装置における電極と電位の位置関係の一例を示す図である。
【図5】本発明における可変スリット装置の具体例を示す斜視図である。
【図6】本発明における可変スリット装置の別の具体例を示す図である。
【図7】本発明における可変スリット装置の別の具体例を示す図である。
【図8】質量分離型イオン注入装置の模式図である。
【図9】非質量分離型イオン注入装置の模式図である。
【図10】特許文献1のイオン注入装置の模式図である。
【図11】特許文献2のイオン注入装置の模式図である。
【図12】特許文献3のイオン注入装置の模式図である。
【符号の説明】
【0047】
1 プラズマ、2 イオンビーム、
3 処理基板、4 ビーム計測信号、
10 プラズマ室、10a 開口、
11 フィラメント、12 カソード電極、
14 プラズマ電極、20 引出電極、
22 加速電極(接地電極)、24 減速電極、
26 基板走査装置、28 イオンビーム測定装置、
30 可変スリット装置、32 遮蔽板、
32a 矩形平板、32b 短冊平板、
33a 矩形平板、33b 可撓性平板、
34 直動アクチュエータ、36 コントローラ、
37 スリット板、38 シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にイオン源となるプラズマを発生させるプラズマ室と、
該プラズマ室に近接し、前記プラズマからイオンビームを引き出す引出電極と、
前記プラズマ室内に前記引出電極に対向して位置し、引出電極によって引き出されたイオンビームのビーム軸と直交する断面形状を可変制御する可変スリット装置とを備えた、ことを特徴とするイオン注入装置。
【請求項2】
前記プラズマ室は、熱電子を放出するフィラメントを有するカソード電極と、該カソード電極との間の放電によりプラズマを発生させるアノード電極、プラズマからイオンを引き出すときの境界を定めるプラズマ電極とを有し、
該プラズマ電極は、前記引出電極と平行に位置しており、
前記可変スリット装置は、プラズマ電極のプラズマ室側ないし引出電極側に位置し、プラズマ電極を通過するイオンビームの断面形状を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項3】
前記プラズマ室は、高周波を用いてプラズマを発生させる高周波装置と、プラズマからイオンを引き出すときの境界を定めるプラズマ電極とを有し、
該プラズマ電極は、前記引出電極と平行に位置しており、
前記可変スリット装置は、プラズマ電極のプラズマ室側ないし引出電極側に位置し、プラズマ電極を通過するイオンビームの断面形状を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項4】
前記引出電極で引き出されたイオンビームを処理基板に向けて加速する加速電極と、
前記処理基板をイオンビームに直交する走査方向に移動する基板走査装置とを備え、
前記可変スリット装置は、前記開口形状の走査方向の間隔を可変制御するようになっている、ことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項5】
前記可変スリット装置は、前記開口形状の走査方向の両端部に位置する複数の遮蔽板と、該各遮蔽板を走査方向に独立に移動する複数の直動アクチュエータとからなり、
前記遮蔽板は、走査方向に直交する方向で互いに部分的に重なるように配列されている、ことを特徴とする請求項4に記載のイオン注入装置。
【請求項6】
加速されたイオンビーム中の所望のイオンのみ注入基板に照射されるように1つないし複数の電磁石をふくむ磁石を用いてイオンビーム軌道を偏向させ、所望のイオンからなるイオンビームを基板に照射可能とし、基板に照射するイオンビームに直交する走査装置を設ける、ことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−300263(P2008−300263A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146509(P2007−146509)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】