説明

イオン透過性ウエブ強化セパレータの製造装置及びプロセス並びにそれを用いて得られるセパレータ

事前に計量された量のドープを細長い多孔性ウエブの両方の面に同時に提供するための略垂直方向を持つ上部スロット面および下部スロット面をそれぞれが有する2つのスロットを含む両面型含浸装置[10](ただし、両方の面上の前記量は略同一である)と、前記両面含浸装置を通る前記細長い多孔性ウエブの下向きの輸送を提供する輸送手段、ならびにその後の相反転ステーション[11](ただし、前記下向きの輸送は、略垂直方向を持つ)と、凝析ステーション[12]と、洗浄ステーションとを含む、イオン透過性ウエブ強化セパレータを製造するための装置であって、前記相反転ステーション[11]により、前記ドープの相反転が提供され、前記凝析ステーション[12]により、得られた相反転ドープからの凝析および溶媒の洗浄が提供され、前記両面含浸装置[10]と前記相反転ステーション[11]との間にエアーギャップがあり、各含浸装置の下部面間の距離が各含浸装置の上部面間の距離より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学用途に使用されるイオン透過性のウエブ強化セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
クリソタイル石綿が、アルカリ水の電気分解のためのセパレータ材として長く使用されている。しかし、石綿原料の知られている健康におよぼす危険性の理由と品質低下のために、石綿セパレータは見捨てられようとしている。にも拘わらず、好適な代替物は非常に不足しており、さらにそれらは、80℃を超える高い温度での強アルカリ性媒体におけるそれらの化学的安定性に主に関連づけられるいくつかの欠点と、それらの限定された濡れ性に主に関連づけられるいくつかの欠点を示している。
【0003】
2つの取り組みが、イオン透過性隔膜を実現するためにこれまで取られている。これらはともに必要な多孔性を提供するために、バインダー含有ドープの相反転に依拠している。
【0004】
英国特許出願公開GB第1270133A号は、長さが不定である走行ウエブの両側の表面に対して同時に液体の塗布組成物を適用する方法を開示しており、この方法では、ウエブが、少なくとも1つのドクター表面をそれぞれが有する2つの向き合った押出し/ドクター塗布デバイスの間を連続して通過させられ、かつ少なくとも1つの塗布組成物が少なくとも1つの被覆を、ウエブの表面またはウエブ表面の被覆と、それぞれのドクター表面との間に通過によって形成するために、それぞれのドクター表面に対する一定の圧力で連続して供給され、ただし前記塗布組成物の液体供給圧力は、ウエブが向き合ったドクター表面の中間の安定した位置で維持されるように釣り合わされる。
【0005】
米国特許第5650011号は、たとえば、細長い織物、プラスチックシートおよび金属シートなどのウエブに塗布液体を適用するための両面型塗布装置を開示しており、この装置は、前記ウエブが指定の速度で移動する間、ウエブが走行する経路の両側の面に配列される1対のダイと、前記1対のダイのそれぞれのダイの内部に規定される1対の塗布液体リザーバーと、前記1対のダイはそれぞれが、ウエブがその幅に沿って走行する経路の両側の面に設置され、かつ前記1対の液体リザーバーから前記ウエブに前記塗布液体を放出するための1対の放出口の一方を有することと、前記塗布液体を、前もって設定された塗膜厚さおよび前もって設定された塗膜幅が乗じられたウエブの走行速度に基づく単位時間あたりの特定の供給量で前記1対の液体リザーバーに供給して、前記塗布液体の実質的に同じ量を前記1対の放出口によりウエブの前記両側の面に同時に適用し、それにより塗布液体を前記前もって設定された塗膜厚さおよび前記前もって設定された塗膜幅で前記ウエブに堆積させるようにするための塗布液体供給手段とを含む。
【0006】
米国特許第5776251号は、塗布液体をウエブ(たとえば、布地、プラスチックフィルム、金属シート、網目物形態の金属シート、および多孔性金属シートから作製される長いウエブなど)に適用するための両面型塗布装置を開示しており、この装置は、前記ウエブの搬送路の両側の面に配置される1対のダイと、前記ダイのそれぞれが、前記塗布液体を保持するための液体リザーバーを有することと、前記ダイのそれぞれが、前記塗布液体を前記ウエブの両側の面に放出するためのウエブの幅方向に広がる放出口を有する先端部分を有することと、前記ダイのそれぞれが、液体リザーバーから放出口にまで延びる塗布液体放出通路を有することと、塗布液体を液体リザーバーに供給し、その結果両面型塗布装置が前記塗布液体の同じ量を前記放出口のそれぞれからウエブに放出することによって、前記塗布液体を前記ウエブの両側の面に適用するようにするための塗布液体供給手段と、前記放出口が互いに向き合って配置され、それぞれがウエブ入口側端部部分およびウエブ出口側端部部分を有することと、前記ウエブ入口側端部部分が前記ウエブ出口側端部部分よりもさらに前記ウエブに向かって突出し、その結果ウエブ出口側端部部分がそれらの間の出口隙間を規定し、ウエブ入口側端部部分がそれらの間の入口隙間を規定し、かつ前記出口隙間が前記入口隙間よりも広くなるようにされ、その結果塗布液体が前記放出口の間から漏れることが防止されることと、ウエブ出口側端部部分はそれぞれが、塗布液体放出通路からダイのそれぞれの先端部分にまで延びる湾曲した表面を有し、その結果放出通路から放出される塗布液体の塗布圧力が前記ウエブ入口側端部部分の近くでのより低いレベルから前記ウエブ出口側端部部分の近くでのより高いレベルにまで増大することを含む。
【0007】
米国特許第6174372号は、移行経路に沿った走行方向で走行するウエブ(たとえば、布地、プラスチックフィルム、金属シート、ガラスプレート、網様形状での金属シート、および多孔性金属シートの細長いウエブなど)の両側の面を塗布溶液により塗布するための塗布装置を開示しており、この装置は、前記移行通路の両側の面に装着されるダイ;前記ダイはそれぞれが、塗布溶液を前記ダイのそれぞれのダイの内部に貯蔵するためのリザーバーを含むことと、前記ダイはそれぞれが、塗布溶液を噴出するためのウエブの幅方向に沿った細長い幅を有する噴出口を有することと、噴出口の細長い幅を前記リザーバーのそれぞれと実質的に連絡させる塗布溶液のための噴出経路と、塗布溶液の制御された量を前記リザーバーに供給して、ウエブの両側の面への塗布溶液の噴出を、塗布溶液を前記噴出口からウエブにそれぞれ噴出することによって達成するための塗布溶液供給手段と、前記噴出経路のそれぞれが、第1の角度範囲の中に置かれるときには前記噴出経路を開き、第2の角度範囲の中に置かれるときには前記噴出経路を閉じる噴出口の細長い幅と平行に、かつその幅の所定の幅に沿って延びる実質的に円柱形状の回転可能なバルブエレメントを有する回転バルブを有することと、回転バルブの前記回転可能なバルブエレメントを、前記第1の角度範囲と前記第2の角度範囲との間で回転させて、断続した塗布を前記ウエブに施すための前記塗布溶液の断続した流れを提供するための駆動手段とを含む。
【0008】
欧州特許出願公開EP1191622A1は、10μm〜35μmの平均フィルム厚さ、6g/m〜20g/mの坪量、最長でも100秒のガス透過性(JIS P8117)、25℃における10以下のMacMullin数、および、最大でも200μmのMacMullin数×平均フィルム厚さの値を有するシート(A)を含むリチウムイオン二次電池セパレータを開示する。欧州特許出願公開EP1191622A1はさらに、このシートが繊維から構成され、このシートを構成する繊維の平均直径がシート(A)の平均フィルム厚さの1/2〜1/10であり、この場合、シート(A)が好ましくは、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンスルフィドまたはポリオレフィン、あるいはそれらの2つ以上のからなる組合せから構成されることを開示する。欧州特許出願公開EP1191622A1はまた、シート(A)が好ましくは不織布であること、また、多孔性フィルムがまた、必要ならば、シート(A)および多孔性有機ポリマーフィルム(B)に加えて、多孔性の無機フィラーを含有し得ることを開示する。
【0009】
欧州特許出願公開EP1191622A1はまた、セパレータが好ましくは、シート(A)を取り囲む多孔性有機ポリマーフィルム(B)を含有し、電解質溶液により膨潤させられ、かつその電解質溶液を保持する10μm〜35μmの平均フィルム厚さおよび10g/m〜25g/mの坪量を有する多孔性フィルムを含むことを開示する。欧州特許出願公開EP1191622A1は、この多孔性フィルムが、シート(A)に、多孔性有機ポリマーフィルム(B)を形成するために使用されるポリマーの溶液を含浸し、シート(A)をそのようなポリマーの溶液により塗布すること、その後溶媒を除くことによって得られ得ることを開示する。下記の方法が、そのような多孔性フィルムを製造するための具体的な方法として言及され得る:1)多孔性有機ポリマーフィルム(B)を形成するために使用されるポリマー、このポリマーを溶解し、かつ水との相容性を有する溶媒、および相分離剤(ゲル化剤または細孔形成剤)が一緒に混合および溶解され、シート(A)がドープ溶液により含浸および塗布され、得られたフィルムが、その後多孔性有機ポリマーフィルム(B)を形成するために使用されるポリマーを凝析させるための水性の凝析浴に浸され、最後に、多孔性フィルムを得るために洗浄および乾燥される方法;2)多孔性有機ポリマーフィルム(B)を形成するために使用されるポリマー、このポリマーを溶解する揮発性溶媒、および可塑剤が一緒に混合および溶解され、シート(A)がドープ溶液により含浸および塗布され、その後、揮発性溶媒を除くために乾燥され、追って可塑剤が溶解され、それから多孔性有機ポリマーフィルム(B)を形成するために使用されるポリマーを溶解しない揮発性溶媒により抽出され、多孔性フィルムを得るために乾燥される方法;および、3)多孔性有機ポリマーフィルム(B)を形成するために使用されるポリマーが可塑剤と混合され、混合物が多孔性有機ポリマーフィルム(B)を形成するために使用されるポリマーを可塑化および融解するために加熱され、シート(A)がこのドープにより含浸および塗布され、その後フィルムが硬くなるまで冷却され、可塑剤が溶解され、多孔性有機ポリマーフィルム(B)を形成するために使用されるポリマーを溶解しない揮発性溶媒により抽出され、多孔性フィルムを得るために乾燥される方法。
【0010】
欧州特許出願公開EP1298740Aは、多孔性担体を取り囲む有機ポリマー化合物から構成される複合多孔性フィルムを製造するためのプロセスを開示しており、このプロセスは、多孔性担体の両側の面を、塗布装置を使用して、有機ポリマー化合物および水溶性有機溶媒の溶液(ドープ)により塗布すること、続いて多孔性担体をエアーギャップ工程に供すること、および塗布された多孔性担体を、水、または水と前記有機溶媒と同じ溶媒との混合物からなる凝析溶液を含有する凝析浴の中に運び、前記多孔性担体を前記凝析浴に浸し、その結果前記塗布された多孔性担体の両側の面における塗布されたフィルムを凝析のために凝析浴と直接に接触させること、およびその後前記塗布された多孔性担体を洗浄および乾燥することを含む。欧州特許出願公開EP1298740Aはさらに、ドープを担体の両側の面に塗布することを開示しており、この場合、ドープが、たとえば、ドープが事実上、内部に十分に含浸されないことが考えられる担体(たとえば、ポリオレフィンの微細多孔性フィルムなど)に対して適用されるか、または、ドープが内部に十分に含浸される、繊維から形成された二次元シート担体(たとえば、不織布など)のために適用される。欧州特許出願公開EP1298740Aはまた、ドープを2つの向き合ったダイに通すことを伴う方法で、所定の隙間間隔が、担体と、ダイ放出区画からの担体運搬出口リップ部の出口末端を有するダイリップ部との間の狭い隙間間隔を有する担体の運搬路の全域に存在し、かつ幅方向において定量的様式で供給されるドープが、担体を反対側に置くことによって形成される液体プール空間に蓄積し、これにより、担体へのドープの連続的な含浸および分配を可能にする方法を開示する。このシステムでは、塗布されたフィルムの厚さが、担体と、出口末端をリップ部の先端に有するダイリップ部との間の隙間間隔を担体出口末端において変化させることによって制御され得る。これは明らかに、湿潤層厚さが、担体と、ダイリップ部との間の隙間間隔によって決定されるプロセスである。欧州特許出願公開EP1298740Aに開示される「エアーギャップ工程」は、塗布装置(たとえば、分配/平滑化ジグまたはダイリップ部)および凝析浴が直接に接触していない工程であり、その目的の1つが、平準化効果を提供すること、したがって、ドープの均一な塗布を多孔性担体の両側の面において実現することである。欧州特許出願公開EP1298740Aにおいて例示されるドープ組成物(そのいずれもが顔料を含有しない)および凝析溶液が下記の表にまとめられる:

【0011】
特開平10−64503は、不織布および接着剤層の一体化された複合材であるセパレータ、ならびにその製造プロセスを開示し、不織布により複合体化されるPVdFに基づく多孔性フィルムをPVdFの溶液(ドープ)をキャリアフィルム上に注ぎ、その後不織布をその上に押し付けて、キャリアフィルムに凝析浴により含浸することによって製造することを開示する。
【0012】
この取り組みの欠点は、得られるセパレータのイオン伝導率が不良であることである。代替となる取り組みが、イオン伝導率を増大させるために、ポリマーバインダーの溶液における金属酸化物/金属水酸化物の分散物であるドープを使用することである。
【0013】
欧州特許出願公開EP0232923Aは、粒状の無機の親水性材料と有機ポリマーバインダーとのフィルム形成混合物に埋め込まれる有機織物を含むイオン透過性隔膜を開示する。欧州特許出願公開EP0232923Aはさらに、下記の工程を含むと定義されるこのイオン透過性隔膜を調製するプロセスを開示する:i)粒状の無機親水性材料を、スラリーを形成するための適切な溶媒におけるポリマーバインダーの溶液と混合する工程;ii)前記スラリーを、湿潤シートを形成するための不活性な平坦な表面に均一に広げる工程;iii)伸展された有機織物を湿潤シートの中に浸す工程;iv)溶媒をエバポレーションおよび/または浸出によって除く工程;および、v)シートを前記表面から除く工程。
【0014】
国際公開WO93/15529Aは、電解質により飽和させられたときには気密性である、対称的な構造を有する多孔性膜を作製するための方法で、この方法によれば、溶液が溶媒において有機結合剤から作製され、溶媒が有機非溶媒における浸漬による抽出によって除かれる方法を開示しており、この方法は、ある量の金属酸化物および/または金属水酸化物が溶液に加えられることにおいて特徴づけられる。国際公開WO93/15529Aはさらに、この方法に従って作製される膜、および前記膜を2つの電極の間に含有する電気化学電池を開示しており、この電気化学電池は好ましくは、アルカリ電池であること、および膜が電解質により飽和させられ、したがって2つの電極の間におけるセパレータを形成することにおいて特徴づけられる。国際公開WO93/15529Aは、強化用の多孔性ポリマー担体を使用することなく、バインダーとしてのポリスルホンと、金属酸化物または金属水酸化物としての酸化ジルコニウム、または酸化ジルコニウムおよび酸化亜鉛とに基づくセパレータを例示する。そのような非強化型セパレータがZIRFON(登録商標)セパレータとして商品化されており、これらは良好な湿潤性、低いイオン抵抗および高い泡立ち点を示すが、指様の空隙を有する典型的な非対称的細孔構造を有しており、また製造するために30分を要した。これらのすべてが不都合である。
【0015】
国際公開WO2006/015462Aは、以下の工程を含むイオン透過性のウエブ強化セパレータ膜を調製するためのプロセスを開示する。該工程はウエブおよび好適なペーストを提供する工程と、前記ウエブを垂直位置で導く工程と、前記ウエブの両側の面に前記ペーストを等しく塗布して、ペースト塗布ウエブを製造する工程と、対称的表面細孔形成工程および対称的凝析工程を前記ペースト塗布ウエブに適用して、ウエブ強化セパレータ膜を製造する工程とを含む。国際公開WO2006/015462Aはさらに、ウエブが膜の中央に置かれ、かつ膜の両側の面が同じ細孔サイズ特性を有することにおいて特徴づけられるウエブ強化セパレータ膜を開示し、また、ウエブ張力制御のためのウエブ巻戻しステーションと、スプレッダーローラーと、垂直の(導かれた)ウエブ輸送とともに、自動的ペースト供給を有する両面塗布システムによる両面塗布を伴うコーターと、加熱された凝析浴におけるガイドローラーとを含む、ウエブ強化セパレータ膜を提供するための装置を開示する。
【0016】
W.Doyen他によって世界水素技術会議(Montecatini Terme(イタリア)で2007年11月4日〜7日に開催)で発表されたポスターにおいて、高温でのアルカリ水の電気分解に使用される、3つの厚さ(250μm、550μmおよび950μm)および2つの温度形式(80℃および120℃)での改良型セパレータ(これは「New ZIRFON(登録商標)」セパレータと呼ばれる)の開発が開示される。「New ZIRFON(登録商標)」セパレータは、ポリプロピレン、EFTEまたはPEEKの織物で強化され、永続的な親水性、強アルカリ性溶液における良好な濡れ性、低いイオン抵抗(550μmの厚さ形式について、6MのKOHにおける70℃での0.13Ω.cm)、10kA/mまでの電流密度での作動が可能であること、寸法変化がないこと、少なくとも25MPaの引張り強さ、対称的な細孔構造、50%〜55%の間での全体的多孔性、7barを越える泡立ち点、および、両側の面での同一の細孔(平均値、0.08μm)を有し、それにより、ガスが混合することを防止するための二重の安全性を提供する二重のスキン層を示す。W.Doyen他はまた、国際公開WO2006/015462A1に開示される連続垂直両面塗布プロセスは、50cm幅のセパレータを製造することが可能であることを開示する。しかし、国際公開WO2006/015462A1に開示される製造技術はイオン透過性ウエブ強化セパレータ膜の大規模製造には役立たない。
【0017】
セパレータの平滑性が、最適な性能を保証するために極めて必要である。さらに、イオン透過性ウエブ強化セパレータの大規模製造が可能である製造技術を開発することが望ましい。
【発明の概要】
【0018】
完全に対称的な構造および実質的に平坦な表面を有する自立型のイオン透過性ウエブ強化セパレータの大規模製造に対する自動化が可能である製造技術を提供することが本発明の1態様である。
【0019】
完全に対称的な構造および実質的に平坦な表面を有する自立型のイオン透過性ウエブ強化セパレータの製造コストを軽減することが可能である製造技術を提供することもまた、本発明の1態様である。
【0020】
目視検査時の環状物の非存在によって示されるような非常に平滑なセパレータを提供することが可能である製造技術を提供することが本発明のさらなる1態様である。
【0021】
本発明のさらなる態様および利点が本明細書の以下の記載から明らかになろう。
【0022】
完全に対称的な構造および実質的に平坦な表面を有する自立型のイオン透過性ウエブ強化セパレータが、平準化を含浸工程の後で、かつ相反転工程の前に必要とすることなく、実現され得ることが見出されているのは驚くべきことである。膜表面の平坦性を、巨視的な上反りまたはカールの存在の有無に基づいて評価することができる。
【0023】
本発明の様々な態様が、事前に計量された実質的同一量のドープを細長い多孔性ウエブの両方の面に同時に提供するための実質的に垂直な上部スロット面および下部スロット面をそれぞれが有する2つのスロットを含む両面型含浸装置[10]と、前記両面含浸装置を通る前記細長い多孔性ウエブの実質的に垂直な下向きの輸送を提供する輸送手段、ならびにその後の相反転ステーション[11]と、凝析ステーション[12]と、洗浄ステーションとを含む、イオン透過性ウエブ強化セパレータを製造するための装置によって実現され、前記相反転ステーション[11]により、前記ドープの相反転が提供され、前記凝析ステーション[12]により、得られた相反転ドープからの凝析および溶媒の洗浄が提供され、ただし、前記両面型含浸装置[10]と前記相反転ステーション[11]との間にエアーギャップが存在し、各含浸装置の下部面間の距離は各含浸装置の上部面間の距離より大きい。洗浄ステーション[示されず]では、凝析ステーションにおいて完全に洗浄されない溶媒の残渣がさらに、必要な場合にはドープ層からの他の抽出可能な成分と一緒に洗浄ステーションにおいて除かれる。
【0024】
本発明の様々な態様がまた、下記の工程を含むプロセスによって実現される:(i)2つの最も外側の表面を含む細長い多孔性ウエブを提供する工程;(ii)前記細長い多孔性ウエブを、前記細長い多孔性ウエブに対して実質的に平行である、実質的に垂直な上部スロット面および下部スロット面をそれぞれが有する2つのスロットを含む2つの含浸ヘッド[6]および[6’]の間において下側に輸送し、これにより、少なくとも1つの膜ポリマーと、そのための少なくとも1つの溶媒とを含むドープの計量された実質的同一量を前記細長い多孔性ウエブの両側の表面に同時に提供する工程;(iii)それにより、前記細長い多孔性ウエブに前記ドープを完全に含浸し、実質的に等しい厚さのドープ層を、前記下部スロット面の1つと、それに最も近い前記細長い多孔性ウエブの表面との間の隙間に依存しない厚さにより、前記細長い多孔性ウエブの前記最も外側の表面のそれぞれの表面に提供する工程;(iv)前記細長い多孔性ウエブに関連する前記ドープを、少なくとも1つの非溶媒とともに対称的相反転に供し、それにより膜を形成する工程;および、(v)前記少なくとも1つの膜ポリマーのための前記少なくとも1つの溶媒の残渣を前記膜から除き、それによりイオン透過性ウエブ強化セパレータを製造する工程、ただし、このプロセスにおいて、前記ドープはずり減粘性(shear−thinning)であり、工程(iv)および工程(v)が必要な場合には同時に行われる。用語「対称的相反転」は、本発明において使用される場合、前記ドープ層の前記相反転が前記ウエブのそれぞれの表面において対称的であることを意味する。
【0025】
本発明の様々な態様がまた、上記プロセスによって得ることができるイオン透過性ウエブ強化セパレータによって実現される。
【0026】
本発明の様々な態様がまた、上記で記載されるような少なくとも1つのイオン透過性ウエブ強化セパレータを含む電解セルによって実現される。
【0027】
本発明の様々な態様がまた、上記で記載されるような少なくとも1つのイオン透過性ウエブ強化セパレータの、電解セルにおける使用によって実現される。
【0028】
本発明のさらなる態様が従属請求項において開示される。
【0029】
定義
用語「ドープ」は、本発明を開示することにおいて使用される場合、少なくとも1つのその後のプロセス工程において膜に変換され得る組成物を意味する。
【0030】
用語「実質的に平坦な」は、本発明を開示することにおいて使用される場合、巨視的な湾曲を全く有しないことを意味する。
【0031】
用語「実質的に含まない(有しない)」は、本発明を開示することにおいて使用される場合、10%未満を意味する。
【0032】
スロットおよびダイの用語は本明細書中では交換可能に使用され、含浸プロセスの期間中にスロットから流出するドープの粘弾性特性に依存するが、スロット塗布技術または押出し塗布技術を使用して、細長い多孔性ウエブに置かれる開口部を意味する。スロット塗布技術および押出し塗布技術は、塗布された液体層の厚さが原理的には、ダイに供給される流速、細長い多孔性ウエブの幅、および、通り過ぎる基体の速度によって設定され、他のプロセス変数には依存しない事前に計量された(premetered)被覆として知られている一群の塗布方法に属する。
【0033】
用語「スロットのリップ部」は、織物の輸送方向に対して直角に配置されるスロットについて、スロットの一方の側または反対側にある、輸送方向に平行な含浸ヘッドのそのような部分を意味する。
【0034】
用語「スロットのリップ部の長さ」は、本発明を開示することにおいて使用される場合、輸送方向に対して直角であるスロットの端部と、輸送方向に平行な含浸ヘッドの隣接部分の端部との間の距離、すなわち、図1における「L」または「L」を意味する。
【0035】
用語「スロット面」は、本発明を開示することにおいて使用される場合、スロット開口部の4つの面を形成する表面を意味する。
【0036】
用語「スロット開口部高さ」は、本発明を開示することにおいて使用される場合、織物の輸送方向に対して直角であるスロット面の面間の平均距離、すなわち、図1における「h」を意味する。
【0037】
用語「スロット高さ」は、本発明を開示することにおいて使用される場合、スロット開口部と、スロットにつながれるマニホールドとの間の距離、すなわち、図1におけるkを意味する。
【0038】
用語「実質的同一量」は、本発明を開示することにおいて使用される場合、ずれが最大でも5%であることを意味する。
【0039】
用語「実質的に垂直な」は、本発明を開示することにおいて使用される場合、垂直からのずれが最大でも10°であることを意味する。
【0040】
略号ECFTEは、エチレンおよびクロロトリフルオロエチレンの共重合体を表し、HALAR(登録商標)の商品名によって知られている。
【0041】
略号EFTEは、エチレンおよびテトラフルオロエチレンのコポリマーを表す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実質的同一量のドープを細長い多孔性ウエブに提供する含浸ヘッド[6]および[6’]を概略的に示す。
【0043】
【図2】本発明によるイオン透過性ウエブ強化セパレータのための製造ラインの概略図を示す。[8]は供給ローラーであり、[9]は補正ローラーであり、[10]はドープ含浸システムであり、[11]は(相反転のための)気相(冷たい流れ)であり、[12]は(凝析および必要な場合には洗浄のための)浸漬浴であり、[13]は輸送ローラーであり、[14]は巻取りローラーである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の様々な態様が、事前に計量された実質的同一量のドープを細長い多孔性ウエブの両方の面に同時に提供するための実質的に垂直な上部スロット面および下部スロット面をそれぞれが有する2つのスロットを含む両面型含浸装置[10]と、前記両面含浸装置を通る前記細長い多孔性ウエブの実質的に垂直な下向きの輸送を提供する輸送手段、ならびにその後の相反転ステーション[11]と、凝析ステーション[12]と、洗浄ステーションとを含む、イオン透過性ウエブ強化セパレータを製造するための装置によって実現され、前記相反転ステーション[11]により、前記ドープの相反転が提供され、前記凝析ステーション[12]により、得られた相反転ドープからの凝析および溶媒の洗浄が提供され、ただし、前記両面型含浸装置[10]と前記相反転ステーション[11]との間にエアーギャップが存在し、各含浸装置の下部スロット面間の距離は各含浸装置の上部スロット面間の距離より大きく、上部スロット面に対する下部スロット面の片寄りは2つのスロットに対して実質的に同一である。洗浄ステーション[示されず]では、凝析ステーションにおいて完全に洗浄されない溶媒の残渣がさらに、必要な場合にはドープ層からの他の抽出可能な成分と一緒に洗浄ステーションにおいて除かれる。
【0045】
上部スロット面の面間の隙間が、細長い多孔性ウエブの極端な動きおよび隙間を制限するために役立つ。
【0046】
本発明による装置の第1の実施形態によれば、上部スロット面に対する下部スロット面の片寄りが100μm〜300μmの範囲にある。
【0047】
本発明による装置の第2の実施形態によれば、細長い多孔性ウエブは細長い多孔性織物である。
【0048】
本発明による装置の第3の実施形態によれば、細長い多孔性ウエブは網目物(メッシュ)である。
【0049】
本発明による装置の第4の実施形態によれば、相反転ステーションは相反転媒体(たとえば、水)の事前に定められた蒸気圧を含有する。
【0050】
細長い多孔性ウエブ
本発明による細長いイオン透過性ウエブ強化セパレータに使用される細長い多孔性ウエブは、細長い多孔性織物、多孔性金属プレートおよび多孔性セラミックプレートを含む。
【0051】
細長い多孔性ウエブは好ましくは、巻取りローラーに巻き取られることが可能である。
【0052】
細長い多孔性ウエブは好ましくは、厚さが少なくとも100μmである。
【0053】
細長い多孔性ウエブは好ましくは、厚さが最大でも1000μmである。
【0054】
上記織物のための好適な材料には、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド/ナイロン(PA)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンおよびポリエチレンテレフタラート(PET)、ならびに、低温(80℃以下)用途のための玄武岩、および、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、モノクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、エチレンおよびクロロトリフルオロエチレンの共重合体(ETFE)、エチレンおよびテトラフルオロエチレンの共重合体(ETFE)、および、高温(120℃以下)用途のためのm−アラミドが含まれる。そのような織物は織布または不織布であり得るが、好ましくは織布である。好適な織物の例が下記に挙げられる:

【0055】
150℃の温度において、45分後でのETFE網目物の平均けん縮が10%〜15%であり、ポリプロピレン網目物の平均けん縮が30%超であった。230℃の温度において、EFTE網目物の平均けん縮が30%を越えていた。
【0056】
細長い多孔性ウエブの孔面積が好ましくは30%〜70%の間であり、40%〜60%の範囲での孔面積が特に好ましい。
【0057】
細孔または網目孔径は好ましくは、平均直径が100μm〜1000μmの間であり、300μm〜700μmの平均直径が特に好ましい。
【0058】
細長い多孔性ウエブは好ましくは対称性があり、実質的に同一の細孔サイズ/網目サイズをウエブの両面に有する。
【0059】
細長い多孔性ウエブは好ましくは織布である。
【0060】
細長い多孔性ウエブは好ましくは、MacMullin数が2〜20の範囲にあり、特に好ましくは2〜15の範囲にある。MacMullin数はイオン透過性の指数であり、電解質溶液が担体に含浸された場合の伝導率によって除される電解質だけの伝導率の値である。すなわち、この数字が増大するにつれてイオン透過性が大きくなる。
【0061】
セパレータの製造プロセス
本発明の様々な態様がまた、下記の工程を含むプロセスによって実現される:(i)2つの最も外側の表面を含む細長い多孔性ウエブを提供する工程;(ii)前記細長い多孔性ウエブを、前記細長い多孔性ウエブに対して実質的に平行である、実質的に垂直な上部スロット面および下部スロット面をそれぞれが有する2つのスロットを含む2つの含浸ヘッド[6]および[6’]の間において下側に輸送し、これにより、少なくとも1つの膜ポリマーと、そのための少なくとも1つの溶媒とを含むドープの計量された実質的同一量を前記細長い多孔性ウエブの両側の表面に同時に提供する工程;(iii)それにより、前記細長い多孔性ウエブに前記ドープを完全に含浸し、実質的に等しい厚さのドープ層を、前記下部スロット面の1つと、それに最も近い前記細長い多孔性ウエブの表面との間の隙間に依存しない厚さにより、前記細長い多孔性ウエブの前記最も外側の表面のそれぞれの表面に提供する工程;(iv)前記細長い多孔性ウエブに関連する前記ドープを、少なくとも1つの非溶媒とともに対称的相反転に供し、それにより膜を形成する工程;および、(v)前記少なくとも1つの膜ポリマーのための前記少なくとも1つの溶媒の残渣を前記膜から除き、それによりイオン透過性ウエブ強化セパレータを製造する工程、ただし、このプロセスにおいて、前記ドープはずり減粘性(shear−thinning)であり、工程(iv)および工程(v)が必要な場合には同時に行われる。用語「対称的相反転」は、本発明において使用される場合、前記ドープ層の前記相反転が前記ウエブのそれぞれの表面において対称的であることを意味する。
【0062】
このプロセスは、湿潤層厚さがダイリップ部とウエブとの間の隙間間隔によって決定されるプロセスとは明確に区別される。
【0063】
本発明によるプロセスにおいて、輸送方向におけるリップ部がドープによって完全に湿らされ、メニスカスが下部リップ部の末端と細長い多孔性膜との間で形成され、自己調節性のメニスカスが上部リップ部と細長い多孔性膜との間で形成される。
【0064】
このようにして得られる細長いセパレータは所望のサイズに切断することができ、または、断続的に含浸されるならば、細長い多孔性ウエブはドープの含浸が全く行われていないところで切断される。
【0065】
2つの含浸ヘッドの位置は可変であり、スロットの両側におけるスロット面の位置もまた互いに対して可変である。たとえば、上部面の面間の距離を下部面の面間の距離よりも小さくすることができる。セパレータにおける起伏およびカールが、たとえば厚さが100μmまたは150μmのより薄い細長い多孔性ウエブの場合には特に、2つの含浸ヘッドの下部面の面間の距離を2つの含浸ヘッドの上部面の面間の距離よりも大きく設定することによって軽減され得ることが見出されている。
【0066】
セパレータ形成が、ドープ含浸された細長い多孔性ウエブの両側から誘導される。押し出される空気は、輸送方向に対して反対方向で網目から逃げる。セパレータ形成は、スキン細孔形成(外側細孔)およびバルク細孔形成(内部細孔)の2つの段階に分けることができる。スキン細孔が、ポリマーバインダー溶媒(溶媒1)の抽出、その後、バインダーポリマーの凝析をもたらす溶媒2(ポリマーバインダーの非溶媒)または溶媒3(別の溶媒)(可能なキャリア蒸気)の溶媒蒸気との接触によって形成される。バルク細孔が、スキン形成工程から形成される細孔を介した溶媒1(ポリマーバインダー溶媒)からの溶媒2内への拡散によって形成される。ドープにおける溶媒の抽出が、蒸気との接触[蒸気誘導による相分離(VIPS)]および/または液体との接触[液体誘導による相分離(LIPS)]によって実現され得る。このことは、所望される複合細孔構造または複雑な細孔構造を開発するための広範囲の様々なパラメーターツールをもたらす。相反転プロセス期間中の蒸気または液体の使用により、達成され得る細孔サイズが決定され、10μm以下の細孔サイズがVIPSにより得られ、50nm以下の細孔サイズがLIPSにより得られる。膜ポリマーおよび顔料の選択もまた、細孔サイズに対する影響を有する。
【0067】
そのような膜の構造は、溶媒が除去される速度に依存することが知られている。この速度は、非溶媒の選択に依存して明確に異なる。限外ろ過膜に関しての構造に対する非溶媒の影響が、とりわけ、“Desalination”(80(1991)、167〜180、Elsevier Science Publishers)に載せられるような“Pore Size Control Technique in the Spinning of Polysulfone Hollow Fiber Ultrafiltration Membranes”に記載される。N−メチルピロリドンにおけるポリスルホンの溶液が、凝析剤とも呼ばれる様々な非溶媒に浸された。これにより、水が非溶媒として使用された場合、指様の細孔が得られ、これに対して、特にイソプロピルアルコールを除いて、たとえばエタノールなどの他の非溶媒が浸漬のために使用されたときには、微細な対称的細孔構造が得られたことが明らかであった。指様の細孔を有する膜に関しては、気密性が必ずしも常に保証され得ない。たとえば、電気化学電池におけるそのような膜の通常の厚さに関しては、1つまたは複数の細孔が膜を貫通して横方向に広がり得る。そのような膜を、たとえば電気化学電池構造において融着するとき、または表面が損傷を受けるときには同様に、ガスの漏れが水を非溶媒として作製される膜では生じることがある。有機非溶媒における浸漬は、電解質により飽和させられるときには気密性である対称的な膜を得ることを可能にするが、これらの膜のイオン伝導率は膜が電解質で満たされるときには低く、その結果、そのような膜は電気化学電池において適用することができない。これらの膜の構造およびイオン伝導率が、国際公開WO93/015529Aに開示されるように、金属酸化物または金属水酸化物をドープに取り込むことによって改善され得る。そのような金属酸化物または金属水酸化物は好ましくは、2:1から19:1までの範囲での少なくとも1つの膜ポリマーに対する重量比で存在する。
【0068】
相反転剤は、少なくとも1つの膜ポリマーについては貧溶媒である薬剤であり、これには、水蒸気相(水蒸気または冷スチームで、好ましくは0.02bar〜5barの蒸気圧にあるもの、特に好ましくは0.05bar〜0.2barの蒸気圧にあるもの)、水およびアルコール(たとえば、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリンなどの多価アルコールなど)が含まれる。水浴が相反転のための水蒸気の供給源として使用されるならば、蒸気が水浴の表面の全域での強制された対流によって実現され得るか、または、加熱された水浴の上方での密閉領域における雰囲気を、たとえば、一晩下方の加熱された水浴との平衡状態にすることを可能にすることによって実現され得る。相反転が水浴において生じるとき、ドープから除かれる溶媒の、水における濃度が20重量%に達するときには、好ましくは水を取り換えるべきである。
【0069】
代替では、膜形成が溶媒の蒸発によって行われる(乾式相反転)。ドープは2つの溶媒を含むことができ、そのような場合、より低い沸点を有する溶媒が最初に蒸発させられ、膜組成物が形成される。より高い沸点を有する溶媒は膜組成物の細孔に捕捉され、その後蒸発させられる。
【0070】
本発明によるプロセスの第1の実施形態によれば、ドープはさらに無機物を含有する。該無機物には、膜の伝導率を増大させる効果がある。
【0071】
本発明によるプロセスの第2の実施形態によれば、ドープはさらに、金属水酸化物または金属酸化物を含有し、たとえば、ジルコニウム酸化物(たとえば、ZrO)またはチタン酸化物(たとえば、TiO)を含有する。
【0072】
本発明によるプロセスの第3の実施形態によれば、ドープはさらに、細孔形成促進物質を、好ましくは0.2重量%〜5重量%の範囲での濃度で含み、0.5重量%〜2重量%の濃度が特に好ましい。細孔形成促進物質の一例がポリビニルピロリドンである。
【0073】
本発明によるプロセスの第4の実施形態によれば、少なくとも1つの非溶媒が有機溶媒である。
【0074】
本発明によるプロセスの第5の実施形態によれば、含浸が押出し塗布技術を使用して行われる。押出し塗布技術を使用するとき、含浸温度でのドープは好ましくは、1s−1の剪断速度における粘度が10mPa.sを越える。
【0075】
本発明によるプロセスの第6の実施形態によれば、含浸がスロット塗布技術を使用して行われる。スロット塗布技術を使用するとき、含浸温度でのドープは好ましくは、1s−1の剪断速度における粘度が1mPa.s〜500mPa.sの範囲である。
【0076】
本発明によるプロセスの第7の実施形態によれば、含浸が断続的に行われる。
【0077】
本発明によるプロセスの第8の実施形態によれば、ドープが、異なる組成を有する2つ以上の層において細長い多孔性ウエブに提供され、それにより、最も外側の層に異なる組成を有する膜が得られる。
【0078】
図1は、一体化された透過性流路もまたドープで満たされる、事前に定められた連続領域の外側における含浸のためのドープ含浸システムをより詳しく概略的に示す。vは3Dスペーサー織物の輸送速度であり、[1]および[1’]は3Dスペーサー織物の第1および第2の部分であり、[2]は、モノフィラメントのスペーサー糸[3]とともに維持される3Dスペーサー織物の第1の部分と、第2の部分との間の空間である。[6]および[6’]は含浸ヘッドであり、[7]はドープであり、kは、スロット開口部と、スロットにつながれるマニホールドとの間の距離であり、hは織物の輸送方向に対して直角なスロット面の面間の平均距離である。「g」は下部スロット面間の隙間である。
【0079】
ドープの全要求量が、損失を伴うことなく置かれるならば、供給物によって供給される量Q(m/s)が、下記の式(1)によって与えられるように、織物によって完全に吸収される:
Q=v×d×w (1)
式中、dは湿潤層厚さ(m)であり、mは含浸(注ぎ)幅(m)であり、vは輸送速度(m/s)である。言い換えれば、それは体積/mにのみ依存する。言い換えれば、湿潤層厚さdが流速Q(体積/s)に直接に依存し、閉じたメニスカスが形成される塗布隙間(=(g−d)/2)、すなわち、液体架橋には依存しない。
【0080】
スロットのリップ部と、細長い多孔性ウエブとの間の距離が好ましくは、0〜1mmの範囲にある。スロットのリップ部の長さLおよびLが好ましくは、0.25mm〜25mmの範囲にある。スロット開口部高さが好ましくは、0.2mm〜2mmの範囲にある。スロット高さが好ましくは、10mm〜100mmの範囲にある。
【0081】
本発明によるプロセスの第9の実施形態によれば、本プロセスは、手動介入を全く必要としないプロセスであり、すなわち完全に自動化された連続プロセスである。
【0082】
本発明によるプロセスの第10の実施形態によれば、本プロセスの輸送速度/プロセス速度は少なくとも0.5m/分であり、0.5m/分〜5m/分の範囲における輸送速度が好ましい。
【0083】
本発明によるプロセスの第11の実施形態によれば、液体ドープは、スロット面を細長い多孔性ウエブに対して置くことから生じる液体プール空間に蓄積しない。
【0084】
ドープ
本発明によるプロセスの第12の実施形態によれば、ドープは、少なくとも1つの膜ポリマーと、そのための少なくとも1つの有機溶媒とを含み、必要な場合には、少なくとも1つの細孔形成促進物質をさらに含有する。
【0085】
本発明によるプロセスの第13の実施形態によれば、ドープは、少なくとも1つの膜ポリマーと、少なくとも1つの細孔形成促進物質と、少なくとも1つの極性有機溶媒とを含み、必要な場合には、少なくとも1つの細孔形成促進物質をさらに含有する。
【0086】
本発明によるプロセスの第14の実施形態によれば、ドープは、少なくとも1つの膜ポリマーと、少なくとも1つの極性溶媒と、少なくとも1つのグリセロールなどの安定化剤とを含み、必要な場合には、少なくとも1つの細孔形成促進物質をさらに含有する。
【0087】
親水化および安定化のための薬剤、たとえば、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、トリプロピレングリコール、PEG8000およびPEG20000などのポリエチレングリコール、グリセロール、グリセリンなどの多価アルコール、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)、イソノナン酸およびネオデカン酸などもまた、相反転プロセスが完了後だが、乾燥の前に取り込むことができる。
【0088】
多くの場合、溶媒混合物における変化は異なるフィルム形態を生じさせ、したがって膜性能における変化を生じさせる。
【0089】
好適な膜ポリマーには、ポリスルホン(PSU)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ(アクリロニトリル)(PAN)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリメチルメタクリラートまたはその共重合体が含まれる。PVDF、VDF共重合体、および、主にPVDFから構成される有機ポリマー化合物が、耐酸化性/耐還元性およびフィルム形成特性の観点から特に好ましい。これらの中で、フッ化ビニリデン(VDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)およびクロロトリフルオロエチレン(CTFE)のターポリマーが、それらの優れた膨潤特性、耐熱性および電極への接着のために好ましい。
【0090】
好適な細孔形成促進物質には、ポリマーが含まれる。好適な親水性ポリマーには、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、架橋ポリビニルピロリドン(PVPP)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、メチルセルロースおよびポリエチレンオキシドが含まれる。
【0091】
好適な無機物には、TiO、HfO、Al、ZrO、Zr(PO、Y、SiO、ペロブスカイト型酸化物物質、SiCおよびC(Pt/Rh/Ru)が含まれ、ジルコニウム酸化物またはチタン酸化物などの金属酸化物および金属水酸化物が好ましい。無機の酸化物および水酸化物は、イオン透過性ウエブ強化セパレータのイオン伝導率を増大させるさらなる利点を有する。
【0092】
好適な極性有機溶媒には、N−メチルピロリドン(NMP)、N−エチルピロリドン(NEP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、アセトニトリル、および、それらの混合物が含まれる。水におけるポリスルホン−NMP溶液への浸漬によって形成されるフィルムは多孔性である。しかし、異なる膜構造を、水におけるポリスルホン−NMP−THF溶液への浸漬のときに得ることができる。
【0093】
イオン透過性ウエブ強化セパレータの上反り(起伏)およびカールは主に、イオン透過性ウエブ強化セパレータが完全に対称的でないこと、および、特に細長い多孔性ウエブがイオン透過性ウエブ強化セパレータの中心に置かれていないためであることが見出されている。含浸ヘッドの下部リップ部の面間の距離を上部リップ部の面間の距離よりも大きく設定することはまた、より薄い細長い多孔性ウエブの場合には特に、細長い多孔性ウエブを中心に置くことを助けることができる。下部リップ部の面と、上部リップ部の面との間における片寄りを100μm以上にすることができる。ドープの粘度を増大させることは、また細長い多孔性ウエブをイオン透過性ウエブ強化セパレータにおいて中心に置くことを改善するが、ある臨界粘度を越えた場合には、このことはドープによる細長い多孔性ウエブへの浸透に対する悪影響を及ぼす。しかし、ずり減粘性ドープの使用は、イオン透過性ウエブ強化セパレータの上反り(起伏)が、細長い多孔性ウエブへのドープ浸透に悪影響を及ぼす粘度を使用しなければならないことを伴うことなく、軽減されることを可能にすることもまた見出されている。
【0094】
本発明によるプロセスの第15の実施形態によれば、ドープは好ましくは、1s−1の剪断での粘度の、100s−1の剪断での粘度に対する含浸温度における比率が少なくとも2.0であり、より好ましくは少なくとも2.5であり、最も好ましくは少なくとも5である。そのうえ、この粘度比が大きいほど、使用できないほどの起伏を伴うことなく許容され得る多孔性ウエブの厚さに対する全体的セパレータ厚さの比率が大きくなる。低下した上反りは、よりコンパクトな電解セルが実現されることを可能にする。この粘度比は、無機顔料またはポリマーを増粘剤として使用することによって増大させることができる。
【0095】
イオン透過性ウエブ強化セパレータの平滑度がドープの粘度によって決定されず、原理的には、含浸ヘッドの下部リップ部の平滑度によって決定されることもまた見出されている。平滑度は、セパレータ特性における均一性、およびセパレータを介するガス漏れの回避をもたらす。
【0096】
イオン透過性ウエブ強化セパレータ
本発明の様々な態様も、本発明のプロセスによって得ることができるイオン透過性ウエブ強化セパレータによって実現される。
【0097】
本発明によるイオン透過性ウエブ強化セパレータの第1の実施形態によれば、イオン透過性ウエブ強化セパレータは100N/m未満の引張り力において巨視的に平坦である。このことは、電解セルにおける密な積重ねを可能にする。
【0098】
本発明によるイオン透過性ウエブ強化セパレータの第2の実施形態によれば、イオン透過性ウエブ強化セパレータにおいては、100℃、120分後のけん縮が10%未満であり、好ましくは5%未満である。
【0099】
本発明によるイオン透過性ウエブ強化セパレータの第3の実施形態によれば、イオン透過性ウエブ強化セパレータは、細長い多孔性ウエブの厚さに対する全体的厚さの比率が2.1未満である。
【0100】
イオン透過性ウエブ強化セパレータの上反りの振幅は好ましくは、最大でも細長い多孔性ウエブの厚さの10倍である。
【0101】
産業上の応用
本発明によるイオン透過性ウエブ強化セパレータは電池において、たとえば正極としてのリチウム含有遷移金属酸化物、負極としてのリチウムドープ可能/脱ドープ可能な炭素系材料、および電解質溶液としての非水性電解質溶液を用いる、非水性二次電池(リチウムイオン二次電池)において、さらに燃料電池において、電解セルまたは電気化学セルにおいて、たとえば水素が水の電気分解によって製造される現地での水素発生器において使用することができる。
【0102】
本発明を、比較実施例および発明の実施例によって、それらに限定されることはないが、以降例示する。これらの実施例において示される百分率および比率は、別途示されない限り重量比である。
成分:

【0103】
ドープ
ドープ1〜ドープ7を下記の表1に示される組成により調製した:

【0104】
ポリスルホン(P−1800NT11)を最初に、30分間にわたる撹拌とともに、グリセロールおよびN−エチルピロリドンの混合物に溶解し、その後無機酸化物を加え、撹拌をさらに120分間行った。ドープ2の場合には、密度が1.8g/mLである分散物が得られた。
【0105】
1s−1および100s−1の剪断速度におけるドープ1〜ドープ6の粘度が、25℃で振動回転粘度計(Anton Paar Physica MCR501)を250Paの剪断応力においてTEZ150P−C温度制御システムとともにCC27同心円筒形態により使用して、求められた。結果が下記の表2にまとめられる:

【0106】
実施例1:モデル実験:
ドープ2およびドープ7のそれぞれの層を、図2に概略的に示される装置を使用して、100μm、500μm〜600μm、および700μm〜800μmの湿潤層厚さにより非多孔性担体に別々に塗布した。塗布速度、すなわち担体の輸送速度が1m/分であり、それぞれの含浸ヘッドにより、400mL/m.minのドープが80℃の温度で担体のそれぞれの面に施された。相反転が、溶媒(N−エチルピロリドンおよびグリセロール)を除くための60℃の温度での水浴[5]における浸漬による反転、凝析および洗浄によって実現され、その後すすぎ洗浄が行われた。50nm〜100nmの範囲における細孔サイズがそれによって実現された。
【0107】
最後に、得られた多孔層を40℃で60分間乾燥し、得られた補強されていない多孔層のけん縮を、10分後の熱水中でのけん縮が最大けん縮を表したかどうかを調べるための110℃を越えるコントロール実験とともに、1分〜10分の期間にわたって水中において60℃および100℃の温度で評価した。結果が下記の表2にまとめられる。

【0108】
3つの網目物を含浸実験において使用した:PP0445/51PW、FC0645/58PWおよびFC0360/50。これらの網目物のけん縮を100℃における時間の関数として熱水中で評価した。最大けん縮が約60分後にそれぞれの場合において達成され、下記の表3に示されるように、EFTE網目物については2%であり、ポリプロピレン網目物については1%であった。

【0109】
図2に概略的に示される装置を使用して、ドープ4を含浸システム[10]によりPP0445/51PW網目物の両面に同時に適用した。含浸速度、すなわち、3Dスペーサー織物の輸送速度が1m/分であり、それぞれの含浸ヘッドにより、400mL/m.分のドープが80℃の温度でFC0360/50PW網目物のそれぞれの面に施された。相反転が、溶媒(N−エチルピロリドンおよびグリセロール)を除くための60℃の温度での水浴[5]における浸漬による反転、凝析および洗浄によって実現され、その後すすぎ洗浄および40℃での60分間の乾燥が行われた。50nm〜100nmの範囲における細孔サイズがそれによって実現された。
【0110】
乾燥された膜のけん縮挙動を0分〜120分の範囲での期間にわたって100℃の熱水中で評価した。結果が下記の表4にまとめられた。

【0111】
実施例2
厚さが異なる種々の多孔性ウエブタイプを、粘度比が異なる種々のドープを使用して含浸した。
【0112】
イオン透過性ウエブ強化セパレータの上反り(起伏)を、10cmあたりの波の数と、波の振幅(mm)との積で評価し、下記のような0〜5の数値スケールで評価した:

【0113】
セパレータ1〜セパレータ38についての上反り評価数字が下記の表5に示される。

【0114】
これらの結果が示しているのは、約2の粘度比については、多孔性ウエブの厚さに対する全体的厚さのすべての比率で、含浸を使用できないほどのカールを伴うことなく行うことができず、これに対して、約8の粘度比については、カールが多孔性ウエブの厚さに対する全体的厚さの比率が2である場合については全く得られないが、極端なカールが2.25の比率については認められることである。より大きい粘度比については、カールが全く認められなかったが、多孔性ウエブの厚さに対する全体的厚さの調べられた最大比率が2であった。このことは、少なくとも5.0の粘度比において、カールが多孔性ウエブの厚さに対する全体的厚さの比率が2以下である場合については全く認められなかったことを示している。
【0115】
実施例3〜実施例10
実施例3〜実施例10のセパレータを、表6に示されるような種々の細長い多孔性ウエブにより、図2に示される装置を使用して製造した。この場合、相反転ステーションとして、水の表面が両面含浸装置のすぐ近くにない水浴が用いられた。輸送速度、ドープタイプ、ドープ温度、ドープ速度比、ドープ流量および水浴温度が下記の表6に示される。

【0116】
実施例3〜実施例10のセパレータの特徴が下記の表7にまとめられる。

【0117】
セパレータの密度を求め、セパレータを一連の試験に供した。6MのKOH溶液の存在下での抵抗を求めた。多孔性を、セパレータの完全乾燥試験片の重量を水で一晩飽和させた同じセパレータ試験片の重量と比較することによって求めた。多孔性は、100×(湿重量−乾燥重量)/(湿重量)として定義される。最後に、泡立ち点を、円形のセパレータ試験片を飽和させること;このセパレータ試験片を、支持目的だけのための多孔性構造を有する焼結金属プレートがセパレータ試験片のすぐ上にあり、かつ、0.5cmの穴を有する金属プレートが焼結金属プレートの上にある金属製の目視泡立ち点試験セルに取り付けること(ただし、水が、0.5cmの穴を有する金属プレートの上にある);および、窒素または空気の圧力を、圧力を0.5barずつ上げながらセパレータ試験片に加えることによって求めた[S.Emory、“Principles of Integrity Testing Hydrophilic Microporous Membrane Filters,Part 1”、Pharm Technol、13(9)、68〜77(1989);および、S.Emory、“Principles of Integrity Testing Hydrophilic Microporous Membrane Filters,Part II”、Pharm Technol、13(10)、36〜46(1989)を参照のこと]。泡立ち点は、窒素または空気の泡が最初に認められる圧力であり、高い圧力は、細孔サイズが非常に小さいことを示す。これらの結果が下記の表8にまとめられる。

【0118】
これらの結果は、セパレータ用途のための許容され得る抵抗、多孔性および泡立ち点の値が実施例3〜実施例10のセパレータにより実現されることを示す。
【0119】
本発明を詳細に開示してきたが、これで当業者には数多くの変更が、添付の請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明において行われ得ることが明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前に計量された量のドープを細長い多孔性ウエブの両方の面に同時に提供するための垂直方向または垂直からのずれが10°以下である方向を持つ上部スロット面および下部スロット面をそれぞれが有する2つのスロットを含む両面型含浸装置[10](ただし、両方の面上の前記量は同一であるか、または同一からのずれが5%以下である)と、前記両面含浸装置を通る前記細長い多孔性ウエブの下向きの輸送を提供する輸送手段、ならびにその後の相反転ステーション[11](ただし、前記下向きの輸送は、垂直方向または垂直からのずれが10°以下である方向を持つ)と、凝析ステーション[12]と、洗浄ステーションとを含む、イオン透過性ウエブ強化セパレータを製造するための装置であって、前記相反転ステーション[11]により、前記ドープの相反転が提供され、前記凝析ステーション[12]により、得られた相反転ドープからの凝析および溶媒の洗浄が提供され、前記両面含浸装置[10]と前記相反転ステーション[11]との間にエアーギャップがあり、各含浸装置の下部面間の距離が各含浸装置の上部面間の距離より大きい、装置。
【請求項2】
前記細長い多孔性ウエブは細長い多孔性織物である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
下部面と上部面の間の片寄りは100μm以上である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
(i)2つの最も外側の表面を含む細長い多孔性ウエブを提供する工程;
(ii)前記細長い多孔性ウエブを、前記細長い多孔性ウエブに対して平行である、上部スロット面および下部スロット面(ただし、前記面は垂直方向または垂直からのずれが10°以下である方向を持つ)をそれぞれが有する2つのスロットを含む2つの含浸ヘッド[6]および[6’]の間において下側に輸送し、これにより、少なくとも1つの膜ポリマーと、そのための少なくとも1つの溶媒とを含むドープの計量された量を前記細長い多孔性ウエブの両側の表面に同時に提供する工程(ただし、両側の表面上の前記量は同一であるかまたは同一からのずれが5%以下である);
(iii)それにより、前記細長い多孔性ウエブに前記ドープを完全に含浸し、等しい厚さまたは等しい厚さからのずれが5%以下である厚さで、かつ前記下部スロット面の1つと、それに最も近い前記細長い多孔性ウエブの表面との間の隙間に依存しない厚さのドープ層を、前記細長い多孔性ウエブの前記最も外側の表面のそれぞれの表面に提供する工程;
(iv)前記細長い多孔性ウエブに関連する前記ドープを、少なくとも1つの非溶媒とともに相反転(ただし、前記ドープ層の前記相反転は前記ウエブのそれぞれの表面において対称的である)に供し、それにより膜を形成する工程;および、
(v)前記少なくとも1つの膜ポリマーのための前記少なくとも1つの溶媒の残渣を前記膜から除き、それによりイオン透過性ウエブ強化セパレータを製造する工程
を含むプロセスにおいて、前記ドープはずり減粘性であることを特徴とするプロセス。
【請求項5】
前記工程(iv)および工程(v)が同時に行われる、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
上部面間の距離は下部面間の距離より小さい、請求項4または5に記載のプロセス。
【請求項7】
下部面と上部面の間の片寄りは100μm以上である、請求項4〜6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
前記ドープは、少なくとも2.5の含浸温度での100s−1の剪断での粘度に対する1s−1の剪断での粘度の比率を有する、請求項4〜7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
細長い多孔性ウエブの厚さに対する全体的厚さの比率は2.1未満である、請求項4〜8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
前記ドープは無機物をさらに含有する、請求項4〜9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
前記無機物は金属水酸化物または金属酸化物である、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの非溶媒は有機溶媒である、請求項4〜11のいずれかに記載のプロセス。
【請求項13】
前記含浸は押出し塗布技術を使用して行われる、請求項4〜12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項14】
前記含浸はスロット塗布技術を使用して行われる、請求項4〜12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項15】
前記含浸は断続的に行われる、請求項4〜14のいずれかに記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−525417(P2011−525417A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511023(P2011−511023)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056604
【国際公開番号】WO2009/147086
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510312813)
【出願人】(510312938)
【Fターム(参考)】