説明

イソフラボン類を含有する治療方法及び組成物

【課題】イソフラボン類を含有する治療方法及び組成物の提供。
【解決手段】化合物(8)及び(10)の化合物を体熱感、不安、鬱病、気分動揺、寝汗、頭痛及び尿失禁を含む閉経期症候群、骨粗鬆症、体液貯留、周期的乳房痛、月経困難を含む閉経前症候群、レイノー症候群、レイノー現象、ブエルガー病、冠動脈痙縮、片頭痛、高血圧、良性前立腺肥大、乳癌、子宮癌、卵巣癌、精巣癌、大腸癌、子宮内膜癌、前立腺癌、子宮癌、動脈硬化、アルツハイマー病、炎症性腸病、潰瘍性大腸炎、クローン病を含む炎症性疾患、関節リウマチを含むリウマチ病、アクネ、男性型禿頭症(遺伝性脱毛症)を含む禿頭、乾せん、癌、心筋梗塞、発作、関節炎、日光誘導皮膚傷害、若しくは白内障を含む酸化ストレスと関連する病気の治療、予防、改善、防御若しくは防止のための抗酸化組成物に使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
イソフラボン類を含有する治療方法及び組成物 本発明はイソフラボン化合物を含、含有する、からなる及び/または包含する治療用途、方法、化合物、製剤、飲料及び食品類に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明のイソフラボン化合物は一般式Iで表される。



ZはH,R1はH,若しくはRACO、ここでRAはC1-10のアルキル若しくはアミノ酸、R2はH、OH若しくはORBここでRBはアミノ酸若しくはCORA、ここでRAは前記定義と同じ、
WはH,AはH若しくはOH、Bは以下から選択される、

【0003】
WはH及びAとBが一緒になり以下から選択される6員環を形成する

WとAとBがそれらが結合している官能基と一緒に以下を構成する、

WとAがそれらが結合している官能基と一緒になり以下を構成し、

Bは


ここでR3はH、CORA、ここでRAは前記定義と同じ、CO2CここでRCはC1-10アルキル基、若しくはCORBここでRBは前記定義と同じ、
4はH,CORDここでRDはH,OH、C1-10アルキル基若しくはアミノ酸、CO2CここでRCは前記定義と同じ、
COREここでREはH,C1-10アルキル基若しくはアミノ酸、COOH,CORCここでRCは上記定義と同じ、又はCONHREここでREは前記定義と同じ、
5はH,CO2CここでRCは前記定義と同じ、若しくはCORCOREここでRCとRは前記定義と同じ、そして2個のR5はそれらが同じ若しくは異なる同じ官能基に結合している、R6はH若しくはヒドロキシC1-10アルキル基、Xは好ましくはO、しかしながらN若しくはSでもよい、そしてYは



ここでR7はH若しくはC1-10アルキル基式Iの化合物は好ましくは以下から選択される:




ここでR8はCORここでRDは前記定義と同じR9はCO2C若しくはCOREここでRCとREは前記定義と同じR10はCORC若しくはCORCOREここでRCとREは前記定義と同じR11はH若しくはOHR12はH,COOH,CO2CここでRCは前記定義と同じ、若しくはCONHREここでREは前記定義と同じR13はOH,ORBここでRBは前記定義と同じ、若しくはCORAここでRAは前記定義と同じR14はH、若しくはCORAここでRAは前記定義と同じR15はCORAここでRAは前記定義と同じR16はH,CORB若しくはCO2CここでRBとRCは前記定義と同じR17はH若しくはヒドロキシC1-10アルキル基R18はH若しくはC1-10アルキル基
そして、"---" は単結合、若しくは二重結合を示す。
【0004】
アルキル基は直鎖、若しくは分岐のいずれでもよい。C1-10アルキル基は好ましくは1から5個の炭素を含み、より好ましくはメチル、エチル若しくはプロピル基である。
上記化合物のあるものは、ジヒドロダイゼイン(化合物1でR8がH),ジヒドロゲニステイン(化合物2及び5)、デヒドロ−O−デスメチルアンゴレンシン(化合物11)、テトラヒドロダイゼイン(化合物8)、エクオル及びデヒドロエクオル(化合物10)、O−デスメチル−アンゴレンシン(ODMA−化合物13)、及び6−ヒドロキシ−O−デスメチルアンゴレンシン(6−ヒドロキシ−ODMA−化合物14)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
驚くべきことに、式Iの化合物、さらに詳細には化合物1〜19の化合物は体熱感、不安、鬱病、気分動揺、寝汗、頭痛及び尿失禁を含む閉経期症候群、骨粗鬆症、体液貯留、周期的乳房痛、月経困難を含む閉経前症候群、レイノー症候群、レイノー現象、ブエルガー病、冠動脈痙縮、片頭痛、高血圧、良性前立腺肥大、乳癌、子宮癌、卵巣癌、精巣癌、大腸癌、子宮内膜癌、前立腺癌、子宮癌、動脈硬化、アルツハイマー病、炎症性腸病、潰瘍性大腸炎、クローン病を含む炎症性疾患、関節リウマチを含むリウマチ病、アクネ、男性型禿頭症(遺伝性脱毛症)を含む禿頭、乾せん、癌、心筋梗塞、発作、関節炎、日光誘導皮膚傷害、若しくは白内障を含む酸化ストレスと関連する病気の治療、予防、改善、防御若しくは防止に特に有用で、有効であることが本発明者等により見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の最初の見地によると、式Iの一つ以上の化合物の有効量を患者に投与することからなる、体熱感、不安、鬱病、気分動揺、寝汗、頭痛及び尿失禁を含む閉経期症候群、骨粗鬆症、体液貯留、周期的乳房痛、月経困難を含む閉経前症候群、レイノー症候群、レイノー現象、ブエルガー病、冠動脈痙縮、片頭痛、高血圧、良性前立腺肥大、乳癌、子宮癌、卵巣癌、精巣癌、大腸癌、子宮内膜癌、前立腺癌、子宮癌、動脈硬化、アルツハイマー病、炎症性腸病、潰瘍性大腸炎、クローン病を含む炎症性疾患、関節リウマチを含むリウマチ病、アクネ、男性型禿頭症(遺伝性脱毛症)を含む禿頭、乾せん、癌、心筋梗塞、発作、関節炎、日光誘導皮膚傷害、若しくは白内障を含む酸化ストレスと関連する病気の治療、予防、改善、防御若しくは防止する方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
驚くべきことに、イソフラボノイドの存在が、体液分泌、より特定すると患者尿中のイソフラボノイド代謝に、特定の治療反応、医療状態、若しくは特定の医療状態の不存在と関連することが本発明者等により観察された。患者により分泌された異なるイソフラボノイドの特定の生物学的指紋を測定することにより実行されるべき処置の治療方法を可能ならしめる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】



ここで、R1,R2,Z,W,A及びBは前記定義と同じで、単独若しくは薬理学的に許容しうる担体、及び・若しくは賦形剤とともに投与される。
【0009】
好ましくは、式1〜19の一つ以上の化合物を体熱感、不安、鬱病、気分動揺、寝汗、頭痛及び尿失禁を含む閉経期症候群、骨粗鬆症、体液貯留、周期的乳房痛、月経困難を含む閉経前症候群、レイノー症候群、レイノー現象、ブエルガー病、冠動脈痙縮、片頭痛、高血圧、良性前立腺肥大、乳癌、子宮癌、卵巣癌、精巣癌、大腸癌、子宮内膜癌、前立腺癌、子宮癌、動脈硬化、アルツハイマー病、炎症性腸病、潰瘍性大腸炎、クローン病を含む炎症性疾患、関節リウマチを含むリウマチ病、アクネ、男性型禿頭症(遺伝性脱毛症)を含む禿頭、乾せん、癌、心筋梗塞、発作、関節炎、日光誘導皮膚病、若しくは白内障を含む酸化ストレスと関連する病気(便宜のために以降”治療適応症”という)の治療、予防、改善に用いることができる。癌、心筋梗塞、発作、関節炎、日光誘導皮膚傷害及び白内障は通常酸化ストレスと関連すると考えられている。本発明は酸化ストレスと関連する病気の治療を包含する。
【0010】
本発明の第2の見地は式Iの化合物を一つ以上の治療適応症の治療、改善、防御、予防及び若しくは防止の薬剤の製造に用いることである。当該適応症の治療、予防、改善、防御及び若しくは防止に式1〜19の化合物を用いることが特に好ましい。
本発明の第3の見地は、一つ以上の治療適応症の治療、改善、防御、予防及び若しくは防止に式Iの化合物の一つ以上を使用することである。式1〜19の化合物が特に好ましい。
【0011】
本発明の第4の見地は、一つ以上の式Iの化合物を単独、又は担体、若しくは賦形剤と一緒に含有する治療適応症の治療、予防、改善、防御及び若しくは防止のための薬剤からなる。式1〜19の化合物が特に好ましい。
【0012】
本発明の第5の見地は、一つ以上の式Iの化合物と一つ以上の製剤学的担体及び若しくは賦形剤からなる治療組成物である。式1〜19の一以上の化合物を含む組成物が好ましい。
【0013】
本発明の第6の見地は、一つ以上の式Iの化合物を含有する飲料、又は食品である。食品は式1〜19の化合物を一つ以上含有するのが好ましい。
【0014】
本発明の第7の見地は、式Iの化合物を一つ以上産生する微生物を一つ以上含む微生物培養物若しくは食品である。当該微生物は式1〜19の化合物を一つ以上産生するのが好ましい。
【0015】
本発明の第8の見地は、式Iの化合物を一つ以上産生する一つ以上の微生物に関する。微生物は好ましくは精製された培養物で式Iの化合物を産生する一つ以上の他の培養物と混合、若しくは投与することができる。式Iの化合物は好ましくは式1〜19の化合物の一つ以上のから選択される。
【0016】
本発明の更なる見地は式Iの化合物に向けられる。好ましくは当該化合物は式1〜19の化合物を含む。
【0017】
本発明の化合物は、特にエストロゲン効果、アンドロゲン効果、血管拡張効果、痙性効果、炎症効果及び酸化効果と関連する、又はそれらから生じる病気の治療に適用できる。
【0018】
本発明による治療に要求される式Iの化合物の量は多くの因子に依存し、それらは、特定の適用、用いる化合物の性質、治療する条件、投与の方法及び患者の状態などである。一般的には、一日、一人の患者には0.1mgから0.2g、代表的には0.5mgから1g、好ましくは50mgから200mgである。
【0019】
式Iの化合物は、従来用いられる方法及び量で用いられる。例えば、グッドマンとギルマン「The PharmarcologicalBasis of Therapeutics、1299(第7版、1985)を参照。用いられる特定の用量は治療条件、患者の状態、投与経路及び上述の他の良く知られた因子に依存する。
【0020】
本明細書で開示された治療適応症の治療のための製剤学的組成物(便宜のため、これ以降は”活性化合物”という)の生産は、代表的には薬理学的に若しくは獣医学的に許容される当業者には周知の一以上の担体及び若しくは賦形剤と混合される。
【0021】
担体は、もちろん、製剤の他の成分と適合しうる意味で許容できるものでなくてはならないし、患者に有害であってはならない。担体または賦形剤は固体または液体或いはその両者であってもよい。単位量の化合物と例えば活性化合物を重量で0.5から59%含有する、若しくは活性化合物を重量で100%まで含有するように錠剤に製剤化される。一つ以上の活性化合物が本発明の製剤に取り込まれる、すなわち、本質的には成分を混合し、任意に一以上の補助成分を含有させる良く知られた製薬技術により調製される。
【0022】
本発明の製剤の最も適した投与経路は、どのような場合も、治療される条件の性質や重篤さ、及び用いる特定の活性化合物の性質に依存するが、経口、経腸、経眼、バッカル(例えば、舌下)、全身(例えば経皮、筋肉内、皮内若しくは静脈内)及び経皮投与を含む。
【0023】
経口投与に適した製剤はカプセル剤、カシェ剤、甘味入り錠剤、若しくは錠剤のような個別の単位で提供され、それぞれが、予め決められた量の活性化合物を粉剤若しくは顆粒剤として、水溶性、若しくは非水溶液の溶液剤、若しくは懸濁剤として、水中油、若しくは油中水の乳化剤として含有する。そのような製剤は活性化合物と適当な担体(一以上の上述の補助成分を含有してもよい)を一緒にするステップを含むいずれかの適当な製剤方法により調製することができる。一般に、本発明の製剤は活性化合物を液体、若しくは微粉化された固体担体、若しくは両者と均一に、直接混合し、その後必要であればその混合物を単位用量に作り調製する。例えば、錠剤は活性化合物、及び任意に一つ以上の補助成分を含有する粉剤、顆粒剤を圧縮し、型取ることにより調製することができる。圧縮された錠剤は適当な機械で、粉末または顆粒のような自由流動性の活性化合物を結合剤、滑剤、不活性希釈剤、及びまたは表面活性・分散剤と任意に混合し圧縮することにより調製することができる。形づくられた錠剤は、適当な機械で不活性液状結合剤で湿らされた粉体化合物を鋳型に入れることにより作ることができる。
【0024】
バッカル(舌下)投与に適した製剤には、通常、蔗糖とアカシア、若しくはトラガカント等の香料基剤に活性化合物を含ませた甘味入り製剤、及びゼラチンとグリセリン若しくは蔗糖及びアカシア等の不活性基剤に活性化合物を含ませた香錠が含まれる。
【0025】
全身投与に適した本発明の組成物は、活性化合物の滅菌した水溶液剤からなり便利である。この製剤は対象とされる受容者の血液と等張であることが好ましい。これらの製剤は、皮下、筋肉内、皮内注射による投与でも有効であるけれども、静脈内に投与されるのが好ましい。そのような製剤は、水、またはグリシン緩衝液と活性化合物を混合し、できた溶液を滅菌し血液と等張にして調製するのが便利である。本発明の注射用製剤は一般に0.1%から60%(重量/容量)の活性化合物を含有し、0.1ml/分/kgの速度で投与される。
【0026】
直腸投与に適した製剤は、単位容量の座薬として提供されるのが好ましい。これらは、活性化合物と一つ以上の、例えば、ココアバターのような従来の固体担体と混合してできた混合物を成形することにより調製することができる。
【0027】
皮膚への局所投与に適した製剤若しくは組成物は軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾール若しくはオイルの製剤が好ましい。用いられる担体は、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール及びそれらの2つ以上の混合物が含まれる。活性化合物は一般的には0.1%から0.5%(重量/重量)、例えば0.5%から2%(重量/重量)の濃度で存在させる。そのような組成物の例として化粧用皮膚クリームが挙げられる。
【0028】
経皮投与に適した製剤は長時間受容者の内皮に直接接触しているように作られた個別のパッチ(貼り薬)として提供することができる。そのようなパッチは活性化合物を任意の緩衝水溶液に例えば0.1Mから0.2Mの濃度として含有しているのが適切である。
【0029】
経皮投与に適した製剤はイオン電気導入法で作られ(例えば、Pharmaceutical Reseach3(6),318(1986)参照)、代表的には活性化合物の任意の緩衝水溶液の形にしてある。適当な製剤はクエン酸塩、若しくはビス/トリス緩衝液(pH6)、若しくはエタノール/水からなり、0.1Mから0.2Mの活性化合物を含む。
【0030】
活性化合物は食品に添加、混合、コート、結合あるいはその他の方法で食品に添加して食品の形で提供される。食品という言葉は可能な意味で最広義で用いられ、酪農製品等を含む飲料品のような液状製剤や健康棒状食品やデザートのような他の食品も含む。本発明の化合物を含む食品剤形は標準的な方法で調製することができる。
【0031】
本発明の化合物は強力な抗酸化活性を有し、薬理学的に、獣医学的に、皮膚老化の防止、日除けの皮膚用クリーム等の化粧品、食品、健康飲料、シャンプー等に広く用いることができる。
【0032】
式Iの化合物が驚くべきことに、ビタミンEと相乗的に相互作用して脂質、蛋白質や他の生物学的分子を酸化から保護する作用を有することが判明した。従って、本発明の更なる見地は、一以上の式Iの化合物、ビタミンE及び任意の薬理学的に、獣医学的に、若しくは化粧品学的に許容できる担体、及び/または賦形剤からなる組成物を提供するものである。
【0033】
治療方法、用途及び組成物はヒトや家庭内動物(イヌやネコなど)、トリ(鶏、七面鳥、アヒル)、家畜動物(ウシ、羊、ブタ、ヤギなど)等のヒトや動物に投与することができる。
【0034】
式Iの化合物は以下のように合成できる:A:ダイゼイン、ゲニステイン、またはその誘導体をパラジウム/炭酸カルシウムを使用して以下のように水素化する;


ここで、A’はHまたはR1,ここでR1は前記定義と同じ、R8とR11とXは前記定義と同じ。化合物2、3、4、5、6、及び7はこの方法で調製される。化合物5から7は化合物2から4のエノール型である。
B:水素化ホウ素ナトリウムによるダイゼインとダイゼイン誘導体の還元は以下の通
り:




ここで、R9とXは前記定義と同じ。化合物8はこの方法で調製される。
C.パラジウム/活性炭を用いたダイゼイン及びダイゼイン誘導体の水素化

ここでR11及びR12は前記定義と同じ。化合物10はこの方法で調製される。
D.レゾルシノールまたはその誘導体のアシル化、引き続き臭素化リチウムで脱水素化



化合物11と14はこの方法で調製される。化合物12は類似の方法で調製される。
【0035】
E.4−ヒドロキシフェニル イソプロピル酸またはその誘導体による1、3、5−トリ置換ベンゼンのアシル化




ここでR13とR15は前記定義と同じ。化合物15及び16はこの方法で調製される。
【0036】
F.式17、18と19の化合物は以下の反応スキームにより調製することができる:(i)




ここで、R11,R17とR18は前記定義と同じ
【0037】
G.式1〜19の精製された化合物を得るためのヒト尿のHPLC分画/HPLCの尿分画/細菌培養上清のGLC分画
生成物の同定は質量分析で確認できる。式1〜19の化合物はJoannou等の方法(1995)により精製することができる。J.Steroid.Biochem.Molec.Biol.54,167-184は参照するこにより本明細書に援用する。
【0038】
本発明を限定するものではない実施例を参考にして説明する。
実施例1
【0039】
ダイゼイン及びゲニステイン
ダイゼインは、Wahalaの方法(Finnish Chem.Lett.1989,16,79)に従って、レゾルシノールを4−ヒドロキシ−フェニル酢酸とを三フッカホウ素エーテル錯化合物を触媒として用いて、フリーデルクラフトアシル化反応を行い、その後DMFとメタンスルフォニルクロリドとで処理して、72%の収率で得ることができる。ゲニステインは市販されているが非常に高価である。しかしながら、レゾルシノールの代わりに1、3、5−トリヒドロキシベンゼンを用いてダイゼインと同じ方法で合成できる。


ここでRは、生成物がダイゼインのときはH、ゲニステインのときはOHである。
【0040】
ジヒドロダイゼイン及びジヒドロゲニステイン(それぞれ、化合物2及び3)
パラジウム/炭酸カルシウムを触媒として用いて、ダイゼイン及びゲニステインを水素化すると良い収率でジヒドロダイゼインとジヒドロゲニステインが得られる。


ここで、Rは、ジヒドロダイゼインのときはH、ジヒドロゲニステインのときはOHである。
【0041】
テトラヒドロダイゼイン(化合物8)
ダイゼインを水素化ほう素ナトリウムで還元すると標題化合物が得られる。


【0042】
エクオル誘導体(化合物10)
エクオル誘導体はダイゼイン誘導体をパラジウム/活性炭を触媒として用いて水素化することにより得られる(Finnish Chem.Lett.1989,16,79)。


【0043】
6−ヒドロキシ−O−デメチルアングロレンシン(化合物14)
4−ヒドロキシフェニルイソプロピル酸を1、3、5−トリヒドロキシベンゼンでアシル化することにより標題化合物が得る。


【0044】
2−デヒドロ−O−デメチルアンゴレンシン(化合物11)
標題化合物は、下記のようにレゾルシノールのアシル化、引き続く脱水素化により得られる。

【0045】
式17、18、及び19の化合物は以下のように合成される。
化合物17



【0046】
式17の化合物は以下の反応スキームにより合成される。



ここで、R11,R17、及びR18は前記定義と同じ。
【0047】
インドールI−2は本明細書で参考文献として援用するBlack等(Aust.J.Chem.33(1980)p343-350)の方法で上記の如く合成される。
【0048】
インドールI−4はVilsmeier反応で得られる。3−C位に電子吸引性基がある場合は2−C位への攻撃より7−C位への求電子的攻撃が優先される。Grignard試薬I−3とアルデヒドの求核付加反応によって、二酸化マンガンで酸化するとケトンI−5になり、弱い塩基で式17の化合物になる第2級アルコールが得られる。
【0049】



化合物18
【0050】
式18の化合物は以下の反応スキームで合成される。


ここで、R24,R25及びR26は前記定義と同じ。
【0051】
7−アルデヒドインドールI−4のGrignard試薬I−5による求核付加反応で、二酸化マンガンで酸化すると式18の化合物を生じるアルコールI−6が得られる。
【0052】


化合物19
【0053】
19の化合物は以下の反応スキームに従って合成される。


ここで、R11,R17及びR18は前記定義と同じ。
実施例2
【0054】
窒素及び硫黄含有ヘテロ環化合物は以下の反応スキームに従って合成される。
【0055】

ここで、R’はH、若しくは−OC1-10アルキル基、R”はOH、若しくはOC1-10アルキル基、R”'はH、若しくはOC1-10アルキル基である。ここで、R’、R”及びR”’は前記定義と同じ。


実施例3
【0056】
ODMA(O−デスメチルアンゴレンシン 2、4、4’−トリヒドロキシフェニル−α−メチルデスオキシベンゾイン)化合物13の合成
1.1:2−(p−メトキシフェニル)プロピオン酸
p−メトキシプロピオフェノン(2.39g、14.5mmol)、90%酢酸鉛(IV)(6.45g,14.5mmol)、トリエチルオルト蟻酸(15ml)及び過塩素酸(1.2ml,29mmol)の混合物を18時間、55℃まで加熱した。混合物を冷却し、減圧下でトリエチルオルト蟻酸を除去した。残査をクロロホルムに溶解し、残った沈殿物を濾過し除いた。クロロホルム溶液を水で洗浄し、蒸発させて粗エステルを得た。この粗エステル生成物を10%KOH 1:1 水:メタノール溶液に溶解し、それを3時間還流した。冷却後、メタノールを減圧下に蒸発させ、水溶液をジエチルエーテル(3 x 25ml)で洗浄した。水溶液を2N硫酸で酸性にし、再び、ジエチルエーテルで洗浄した(3 x 25ml)。2回目のエーテル洗浄からのも併せた分画を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させると上記プロピオン酸が得られた(1.66g,63%)。
【0057】

【0058】
1.2:2、4、4’ートリメトキシーαーメチルデスオキシベンゾイン
2−(p−メトキシフェニル)プロピオン酸(0.39g,4mmo1)と1,3−ジメトキシベンゼン(0.5g,0.5ml,4mmol)をポリリン酸(PPA)(10g)中で混合し、反応混合物を機械的に75℃で5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、さらに12時間機械的に撹拌した。反応を氷水で止め、生成物をクロロホルムで抽出した(3 x 25ml)。クロロホルム層をNa2SO4で乾燥し溶媒を減圧下で除去した。残査粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液 7:2 CH2Cl2:EtOAc)で精製して純粋な2,4,4’−トリメトキシ−α−メチルデスオキシベンゾイン(0.68g,58%)を得た。
【0059】

【0060】
1.3 2,4,4’−トリヒドロキシフェニル−α−メチルデスオキシベンゾイン(O−デスメチルアンゴレシン 若しくは 0−DMA)
2,4,4’−トリメトキシ−α−メチルデスオキシベンゾィン(0.312g,1.04mmol)をドライCH2Cl2(10ml)に溶解した。この溶液に、ヘキサン(1.3g、5.2ml,5.2mmol)中の5当量の1.0M BBr3をゆっくり添加し、反応混合物を室温で6日間窒素雰囲気下で撹拌した。反応を氷水で停止し、1時間撹拌後ジエチルエーテルで抽出した(3 x 25ml)。エーテル層をNa2SO4で乾燥し、溶媒を減圧下に除去した。残査の粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液 7:1 CH2Cl2:EtOAc)で精製し、純粋な2,4,4’−トリヒドロキシフェニル−α−メチルデスオキシベンゾイン(0.68g、58%)を得た。
【0061】

【0062】
2:4’メトキシ6−OH−ODMA(4’メトキシ−6−OH−O−デスメチルアンゴレンシン 2,4,6,4’−テトラヒドロキシフェニル−α−メチルデスオキシベンゾイン)の合成
2.1:フロログリシノールとp−メトキシフェニルプロピオン酸との反応でPOCl3の使用
2−(p−メトキシフェニル)プロピオン酸(0.1g,0.55mmol)
と1.1当量の1,3,5−トリヒドロキシベンゼン(フロログリシノール)(0.077g,0.61mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(THF)(2ml)に溶解した。蒸留したばかりのPOCl3をその溶液に添加し反応混合物を室温で4日間撹拌した。反応をその後氷水で停止させジエチルエーテル(3 x 10ml)で生成物を抽出した。エーテル層をNa2SO4で乾燥し溶媒を減圧下で除去した。残査の粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液 7:2 CH2Cl2:EtOAc)で精製し二つの生成物、即ちエステル(1)、及び目的の4’メトキシ−6−OH−ODMA(2)を得た。
【0063】

【0064】
3:ジヒドロダイゼイン(化合物1)の合成3.1 ダイゼインの合成

【0065】
レゾルシノール(29mmol)と4−ヒドロキシフェニル酢酸(29mmol)を蒸留したばかりの三フッ化ホウ素エーテル錯化合物(20mol当量)に窒素雰囲気下で溶解した。生成した混合物を撹拌し、一晩、70℃で加熱した。反応をTLC(80%ジエチルエーテル/ヘキサン)で追跡した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、その後、N,N−ジメチルホルムアミド(46.2ml)を滴下した。混合物を再び50℃で30分間加熱し、それから、メタンスルフォニルクロリド(7ml/10ml DMF)を滴下し、できた混合物をLC(80%ジエチルエーテル・ヘキサン)が反応がほぼ終了したことを示すまで、約10時間、60−70℃に加熱した。室温に冷却した後、混合物を400mlの氷水中に注入した。沈殿物を濾過し、濾液を集め乾燥した。粗生成物を94%エタノール(aq)中で再結晶し44%の収率で全く純粋なダイゼイン(3g)
が得られた。
【0066】
3−2.ジヒドロダイゼインの合成

【0067】
メタノール(60ml)中に溶解したダイゼイン(0.657g,2.58mmol)溶液に10%Pd/C(0.657g)を注意深く、次に蟻酸アンモニウム(0.652g,10.3mmol)を添加した。混合物を50−60℃まで加熱し、1時間撹拌した。反応をTLC(CH2Cl2/EtOAc=7:2または70%Et2O/ヘキサン)とGCで追跡した。反応完結後、Pd/Cを濾過し濾液を濃縮し主生成物としてジヒドロダイゼイン粗生成物(0.558g)を、少量生成物としてトランス/シス異性体のテトラヒドロダイゼインを得た。ジヒドロダイゼインを標準的な方法で精製した。
【0068】
ジヒドロダイゼインを得る他の方法としては、例えばJain A.C.と.Mehta,A.,J.Chem.Soc.Perkin Trans.1986,215 no方法を用いることができる。
4:テトラヒドロダイゼイン トランス/シス異性体の合成(化合物8)
4−1.テトラヒドロダイゼイン トランス/シスの合成

【0069】
4−2.テトラヒドロダイゼイン トランス/シスの合成

【0070】
ジヒドロダイゼイン(0.001g,0.004mmol)を200Lのジオキサンと40Lの水に溶解した。水素化ホウ素ナトリウム(0.002g,0.053mmol)を添加し、できた混合物を室温で2時間撹拌した。過剰の水素化ホウ素ナトリウムを酢酸を滴下して分解し混合物を窒素で蒸発乾固した。残査を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で洗浄し、蒸発乾固した。ガスクロマトグラフィーでジヒドロダイゼインの殆どがテトラヒドロダイゼインに変換されていることをGC−MS〔M+384(G.E.Joannou,G.E.Kelly,A.Y.Reeder,M.Waring及びC.Nelson,J.Steroid.Bioche,.Molec.Biol.Vol.54,No.3/4,pp167-184,1995)]で確認した。テトラヒドロダイゼインは水素化ホウ素ナトリウム ジオキサン/水(5:1)を用いてジヒドロダイゼインの還元によっっても合成した(G.E.Joannou,G.E.Kelly,A.Y.Reeder,M.Waring及びC.Nelson,J.Steroid.Bioche,.Molec.Biol.Vol.54,No.3/4,pp167-184,1995)。
【0071】
5:デヒドロエクオル(化合物10)の合成

【0072】
テトラヒドロダイゼイン混合物(0.02336g)を乾燥ベンゼン(5ml)に懸濁し、p−トルエンスルホン酸(0.0487g)を添加し反応させた。
得られた混合物を35分間95℃まで加熱し、ベンゼンを蒸発させ、粗生成物をHPLC(メタノール/水=60:40)で精製し、デヒドロエクオルとエクオルを得た。デヒドロエクオルはHーNMR,GC−MSと高分解能MSで確認した。
【0073】
6:ジヒドロゲニステイン(化合物2及び5)の合成

【0074】
ゲニステイン(SIGMA、0.0023g,0.0085mmol)をエタノール(2ml)に溶解し10%Pd/C(0.0023g)と蟻酸アンモニウム(0.0027g,0.043mmol)を撹拌しながら添加した。得られた混合物を一晩撹拌した。GC,GC−MS及びNMRで確認されるように、全ての出発物質がジヒドロゲニステインに変換されていることがGCで証明された。
還元生成物をHPLCで精製した。
実施例4
【0075】
ボランティアの尿を、引用することで本明細書に援用するKelly等の方法、Climica ChemicaAct(1993)9-22に従って、ガスクロマトグラフィーマススペクトロメトリー(GC−MS)によりスクリーニングする。尿が通常2.5〜50μMまたはそれ以上であるが、0.5μM以上含んでいる人たちがさらに研究のために選択された。これらの人たちから便のサンプルを採取し、標準的な便の培養条件で微生物培養する。問題の化合物を分泌する微生物培養物をGC−MSで検出した。化合物1〜19のそれぞれを少なくとも50μg分泌する微生物を単離した。これらの微生物を式1〜19の化合物を産生するため微生物発酵に用いた。微生物は乳酸菌、ウエルシュ菌(Clostridium Perfringens)、バクテロイド(BBactroids)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)及び他の酵母、嫌気性球菌(Anaerobic cocci)、Ruminococcus、オイバクテリウム(Eubacterium)、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)、クロストリディウム(Clostridium)、ビフィズス菌、ペプトコッカス(Peptococcus)、連鎖球菌(Streptococcus)及び/または嫌気性連鎖球菌、グラム陰性通性細菌、フゾバクテリウム(Fusobacterium)のクラスの一つから選択される。それらは式1〜19の化合物を提供できるようにするため酪農製品のような食品組成物に直接使用することができる。
実施例5
【0076】
治療製剤を式1〜19の化合物と大豆粉基材(Edible Enhanced Protein St Marys,豪州、から入手可能な脱脂大豆粉)と混合することにより調製した。
一連の製剤は活性化合物を40−200mgの間の投与形態からなるように調製する。
この実施例のために、活性化合物1〜19のそれぞれ200mg含有するゼラチンカプセルと錠剤を上記の大豆粉基材で、若しくはコレステロールを含まないヨーグルト基材で調製する。
実施例6
【0077】
A.血管状態−閉経期症候群、体熱感、高血圧、動脈硬化及び男性性的不能の治療
ラット大動脈輪を用いた血管反応性の研究は一般的には上記状態の治療での候補化合物の生物学的効果を直接予測しうるものとみなされている(Karapapanis,S等,(1994)HePtology、20,6,1516-1521)。大動脈輪における収縮反応に対する抑制効果を血管収縮物質であるノルアドレナリンの存在下に上述のKarapapanisの操作法に従って測定する。ジヒドロダイゼイン(化合物1)、ジヒドロゲニステイン(化合物2及び5)、テトラヒドロダイゼイン(化合物8)、ODMA(化合物13)、及びエクオル(化合物10)全てがノルアドレナリンに対する反応に抑制効果を示す、即ち、それらは血管収縮反応を抑制した。引き続く臨床研究では、上記の状態の治療にこれらの化合物を用いた治療効果が得られる。
【0078】
B.ホルモン反応性癌治療−乳、卵巣、精巣、子宮、子宮内膜及び前立腺癌を含むホルモン関連癌の治療
ホルモン反応性癌細胞の増殖を阻害する本発明の化合物の活性を、良く特性のわかっているヒト反応性癌細胞株K562及びHL60を用いて試験した。抗癌スクリーニングアッセイによって最終的な分化細胞死に至る細胞増殖の阻害を測定した。細胞死はODMA(化合物13)とエクオル(化合物10)、若しくは細胞株K563とHL60の増殖阻害剤によるアポトーシス若しくは壊死による。従って、この結果から、これらの化合物が上述のようなホルモン関連癌の増殖を阻害するということを直接予想できるものである。テトラヒドロダイゼイン(化合物8)は細胞株HL60に強い阻害を示した。
【0079】
引き続く臨床研究では、これらの化合物を用いた上記状態の治療に治療効果を示す。
【0080】
C.抗酸化剤研究−癌治療と関連;動脈硬化血管病のようなコレステロールの酸化と関連する状態;心筋梗塞、発作、心臓病;関節炎と白内障
多くの研究が抗酸化剤活性を有する化合物が上記の状態の治療に有用な治療剤であることを示している(例えば、Mc Laughlan等(1995)Biochem.Soc.Trans.23(2)2575;van't Veer等(1996)Cancer Epidemiol Biomarkers Prev.5(6)441-7)。本発明の化合物は抗酸化剤活性を有する。
【0081】
テトラヒドロダイゼイン(化合物8)とデヒドロエクオル(化合物10)は非常に効果的な抗酸化剤である。これらの化合物と関連する以下の試験が行う:1.LDL抗酸化試験−この試験では、フリーラジカルを直接スカベンジする、若しくは遷移金属をキレートする化合物の能力を測定する。ラグタイムが長いほど、アスコルビン酸を陽性対照として比較するこれらの条件で、これら化合物は抗酸化剤としての活性が強い。これらの試験はEsterbauer等、Free.Rad.Res.Coms(1989)6,67-75の方法に従って行われた。簡単には、LDL(0.25mg/ml)を4μMCu++の存在下で10μM活性化合物とインキュベートし、LDLをHPLC分析で酸化のアッセイをした。結果は以下の通り:
試料 ラグタイム−分 対照に対する増加%
対照 20
アスコルビン酸 50 150
テトラヒドロダイゼイン >140 >600
デヒドロエクオル >140 >600
【0082】
この重要な発見はテトラヒドロダイゼインとデヒドロエクオルが非常に強力な抗酸化剤で、従って、癌、心筋梗塞、発作、関節炎、日光誘導皮膚障害、白内障や酸化障害から生じる他の病気の治療に有効な治療剤としてみなすことができる。
【0083】
2.レドックス試験
この試験ではビタミンEの存在下でLDL脂質の酸化を抑制する化合物の能力を測定する。この試験は生理的試験であり、ビタミンE(α−トコフェロール)は血流中にLDLとともに存在し、LDL酸化は動脈硬化の進展の主要な因子の一つと考えられている。この値が低ければ低いほど、レドックス活性が高い。高いレドックス活性は、その化合物が恐らくα−トコフェロキシラジカルを還元することによりLDLのα−トコフェロールと相互作用することができるということを示している。この試験は間接的に緩和な、化学的に調節された酸化を受けながらヒトLDL中のα−トコフェロールと相乗作用する化合物の能力を測定する。酸化を内因性のα−トコフェロールが20%消費された時点でのコレステロールエステルヒドロパーオキシドの蓄積で測定する。ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT10μM)を陽性対照として用いる。レドックス指標は、試料の存在下にLDLの酸化の相対的な程度を試験化合物が存在しないときの相対的な酸化の程度で除したものにより測定する。活性化合物は低いレドックス指標を与える。試験はBowry,V.W.等(1995) J.Bio.Chem.270(11)5756-5763に従って行った。そのような試験は化合物1〜19が同調的にビタミンEと相互作用して脂質、蛋白質及び他の生物学的物質の酸化を抑制することを示している。
【0084】
このアッセイでデヒドロエクオル(化合物10)の例で陽性対照の抗酸化剤(BHT)と比較して特に優れた抗酸化作用を示し、デヒドロエクオルに対するレドックス指標は4.5±1.2でBHTのそれは6.3である。
【0085】
上記の試験は化合物1〜19が、特にデヒドロエクオルがビタミンEと相乗して酸化を抑制することを示している。ビタミンEが以前には酸化され易さについて反対の活性を有し、脂質や蛋白質の酸化を減少させていると考えられていたのでこれは重要な発見である。化合物1〜19の一つ以上とビタミンEを含有する組成物は癌、心筋梗塞、発作、関節炎、日光誘導皮膚傷害、白内障や抗酸化剤の治療に反応する他の病気の治療に有効な治療剤である。
【0086】
3.α−トコフェロールとの相乗作用(TRAA)
この試験はセチルトリメチル塩化アンモニウム(HTAC)若しくはSDSミセル中でα−トコフェロールを減衰させる試験試料の能力を測定するものである。アスコルビン酸を陽性対照に用いる。結果は、試験試料存在下のα−トコフェロールラジカルの相対的分解速度常数を試験試料の存在しない場合のα−トコフェロールラジカルの相対的分解速度常数で除したものとして表される。TRAA測定単位は相乗活性が低いと考えられており、一方、活性化合物が混合すると直ぐにα−トコフェロキシラジカルを除去するので大きな値を示す。
【0087】
実験がWitting等(1996)J.Lipid Res.,37,853-867に従って行われた。これらの研究は、化合物1〜19、特にデヒドロエクオル(化合物10)、ジヒドロダイゼイン及びジヒドロゲニステインはα−トコフェロールと相乗作用することを示している。
【0088】
4.LDLレセプター研究ー動脈硬化、心筋梗塞、発作及び高血圧の治療
この研究によって、LDLレセプターを上流制御する化合物は循環LDLを減少させ、従って、動脈硬化、心筋梗塞、発作及び高血圧の可能性を減少させることを確立されるであろう。Stephan Z.F.とYurachek,E.C.(1993)J.Lipid Res.
34,325-330に従ったアッセイを利用して、式1〜19の化合物がLDLの肝細胞への取り込みを増加させ、これが、ヒト血流中の循環LDLの現象を直接予測させるものであることを示している。ODMAとエクオルは特にこの点に関して活性である。
実施例7
【0089】
アクネの治療
思春期以来アクネで、避妊ピル若しくはどの局所クリームにも反応しない18歳の少女が、安全の見地からややもするとロアクタンを使っていたが、尿分析で証明されているように代謝物、即ち化合物1、2、5、8、10、11、13と14に変換されるゲニステイン、ダイゼイン、ホルムオノネチンやビオカイン−Aを含有する大豆イソフラボンが投与された。一日40mg2回投与された結果アクネの状態、色及び全身状態が2週間で著しく改善された。
【0090】
思春期以来アクネで局所クリームには反応せず、安全性の理由からややもすするとロアクタンを使っていた40歳男性に、上述の大豆イソフラボン抽出物を投与した。尿分析で証明されているように、これらのイソフラボンは代謝物、即ち化合物1、2、5、8、10、11、13及び14に変換された。予期に反して、2週間で劇的な改善をし、このような変化は20年以上もなかったということであった。
【0091】
以下の臨床研究で上述の病気の治療に治療の有効性が示される。
実施例8
【0092】
前立腺癌を患っている67歳の男性がゲニステイン、ダイゼイン、ホルムオノネチンやビオカイン−Aを含有するクローバーからのイソフラボン抽出物16mgを毎日服用した。彼の前立腺癌手術をした後、採取された前立腺組織の病理所見ではアポトーシスの発生の増加が観察された(Stephens,F.O.(1997)J.Aus.Med.Assoc.167、3、138−140)。この患者の尿を分析すると前述の代謝物の存在か示され、このことはこれらの化合物が、前立腺組織切片の退化的変化、特にアポトーシスはアンドロゲン欠乏状態を、そしてエストロゲン治療に反応する典型であることを示し、彼の病気の改善に貢献したことを示している。
実施例9
【0093】
過去に乳ガンの経験(手術、若しくは放射線、若しくは両者の治療を受けた)をした婦人、乳ガンの家族性関連の強い婦人、即ち、彼らの母、若しくは姉妹が乳ガンを患った婦人からなる患者群について研究した。この研究では、化合物1〜19がスキンパッチを通して毎日経皮投与すると乳ガンや癌治療の後に続く転移癌の抑制に用いることができるかどうかについて検討した。
【0094】
パッチは皮膚を通じて容易に吸収される親油性の担体クリームを含有するように調製した。クリームはグリセリンと落花生油を含有するグリセリンコールドクリームからなる。式1〜19の化合物のから選択されたいずれかの活性化合物を親油性クリームと混合し、各パッチが10−100mgの活性化合物を含有するようにする。パッチを毎日皮膚に適用すると早く吸収される。2時間後パッチを剥がす。または、一日の殆ど貼ったままでもよい。
【0095】
一年以上の研究期間を過ぎて、この危険度の高い群に乳ガン、若しくは転移癌の少しも証は見られなかった。この治療の有効性が高危険度の類似の患者群の研究でも示される。化合物11、13及び14が経皮的に上記と同じように同じ量を投与する。6カ月の試験期間を過ぎて同じような有益な結果が観察される。
実施例10
【0096】
良性前立腺肥大(BPH)及び各段階の前立腺癌を患っている患者の群についての研究が式1〜19までの化合物の投与の効果を測定するために行われる。投与プロトコルは200mgの活性化合物を含有するゼラチンカプセルの毎日の投与する実施例3と同じであった。関連癌マーカー(PSA,前立腺特異抗原)の産生速度の著しい減少が観察された。腫瘍が再び退行し更なる増殖は見られない。他の研究では、良性前立腺肥大の45歳の男性が尿傷害や頻尿をもっていた。クローバーイソフラボン抽出物を毎日40mg服用することで症状がなくなった。尿分析では上述の尿代謝物の存在を示した。
【0097】
進行性大腸癌を患っている患者に滅菌食塩水に溶解した式14の化合物を一日2g、3週間静脈注射で治療した。患者の痛み、不快感が著しく減少し、癌マーカーの減少も観察された。腫瘍の進展も治療中は休止していた。
【0098】
同じ病気の2番目の患者は2gの活性化合物をボーラス注射で投与した以外は上記の患者と同じ方法で治療した。得られた結果は、上記と同じであった。
【0099】
更なる一連の実験で、末期大腸癌の患者が式1〜19の化合物から選択されたいずれの化合物を、毎日2gボーラス注射(静脈内、若しくは筋肉内)で治療した。試験期間を過ぎて、痛みと不快感の著しく減少がみられた。腫瘍マーカー(癌胎児性抗原(CEA))は血中分析の結果減少し、腫瘍の進展は減少した。
実施例11
【0100】
男性型禿頭の患者の研究を行った。各患者は毎日50mgの活性化合物を含有する不活性ゲル製剤を頭皮に適用した。1カ月の研究期間を過ぎて、治療した領域に僅かながら髪の毛が発生した。この研究はこの化合物群が脱毛の治療に効果的で長期適用することにより髪の再生が期待できる。
【0101】
この明細書の中で特に断らない限り、”(comprise)からなる”という言葉、若しくは”comprises”や”comprising”などの変形、又は”(includes)包含する”若しくはその変形は述べられた要素、若しくは数、又は要素若しくは数の群を包含する意味で、その他の要素、若しくは数、又は要素、若しくは数の群を排除するものではない。これに関し、クレームの範囲を解釈するに、一以上の特徴がいずれのクレームに付加される態様は、クレームされる本発明の本質的な特徴がそのような態様に含まれるものは本発明の範囲内であるとみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
当業者であれは特定されて記載されている発明以外の変化及び修飾されたもの模本明細書で記載されている発明に受け入れられることは理解できるであろう。
本発明はその精神及び範囲内であるそのような変化及び修飾を全て含むものであることは理解されるべきことである。本発明は本明細書に言及され、示された全てのステップ、特徴、組成物、化合物を個々に、若しくは集合的に、そして当該ステップ、若しくは特徴のいずれの2以上のどのような、及び全ての組み合わせをも含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(8)又は(10)の化合物を有効成分として含有させて、癌、心筋梗塞、発作、関節炎、太陽光による皮膚障害、白内障からなる酸化による損傷によって生じる疾患の群から選択される1又は複数の疾患の治療、予防、改善、防御及び/若しくは防止する薬剤を製造する方法。









ここで、
11はH又はOH、
12はH、COOH、COであって、RはC1−10アルキル、及びRはHであり、
そして、 "---" は単結合又は二重結合を示す。
【請求項2】
下記式(8)の化合物、及び薬学的に許容できる担体又は賦形剤を含んでなる薬学的組成物:


【請求項3】
癌、心筋梗塞、発作、関節炎、太陽光による皮膚障害、白内障からなる酸化による損傷によって生じる疾患の群から選択される1又は複数の疾患の治療、予防、改善、防御及び/若しくは防止する薬剤である、請求項2に記載の抗酸化組成物を含んでなる薬剤。
【請求項4】
下記式の化合物、及び薬学的に許容できる担体又は賦形剤を含んでなる薬学的組成物であって、



ここで、
11はH又はOH、
12はH,COOH、CORCであって、RはC1−10アルキル基、及びRはHであり、
そして、 "---" は単結合又は二重結合を示す。
【請求項5】
下記式の化合物、及び薬学的に許容できる担体又は賦形剤を含んでなる抗酸化組成物。




【請求項6】
癌、心筋梗塞、発作、関節炎、太陽光による皮膚障害、白内障からなる酸化による損傷によって生じる疾患の群から選択される1又は複数の疾患の治療、予防、改善、防御及び/若しくは防止する薬剤である、請求項4に記載の抗酸化組成物を含んでなる薬剤。
【請求項7】
単位投与、注射、又は不溶解性の剤型である、請求項2または4に記載の抗酸化組成物。
【請求項8】
化合物が50mgから200mgの範囲の量である、請求項7に記載の単位投与剤型の組成物。
【請求項9】
化合物が50mgから200mgの範囲の量である、請求項7に記載の単位投与剤型の組成物。
【請求項10】
化合物が0.1〜60%w/vの範囲にある、請求項7に注射又は不溶解性の剤型の組成物。

【公開番号】特開2009−102342(P2009−102342A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309525(P2008−309525)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【分割の表示】特願平10−511105の分割
【原出願日】平成9年8月29日(1997.8.29)
【出願人】(508328512)ノボケン リサーチ ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】