説明

イソプロピルメチルフェノール含有液体口腔用組成物

【課題】歯周病原性バイオフィルムに対する高い浸透殺菌効果を発揮する上、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味がなく使用感に優れ、外観安定性が良好な、エタノール無配合のイソプロピルメチルフェノール含有液体口腔用組成物を提供する。
【解決手段】イソプロピルメチルフェノールを含有する液体口腔用組成物に、
(A)ノニオン性界面活性剤、
(B)グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトールから選ばれる湿潤剤、
(C)l−メントール、
(D)パラオキシ安息香酸エステル、
(E)3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコンから選ばれる香料成分
を配合してなり、成分(B)の合計含有量が組成物全体の5〜20質量%であり、実質的にエタノールを含有しない液体口腔用組成物。更に、上記組成物に(F)アニスアルデヒドを配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯周病原性バイオフィルムに対する高い浸透殺菌効果が発揮される上、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味がなく、清涼感も良好で、低刺激であり、口腔内のべたつき感がなく、良好な使用感を有し、かつ低温保存時における経時での濁りや結晶析出がなく経時安定性に優れた、イソプロピルメチルフェノール含有液体口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
イソプロピルメチルフェノールは、歯周病原性バイオフィルムへの浸透殺菌効果が高い殺菌製剤として注目されている非イオン性殺菌剤である。これまで、イソプロピルメチルフェノールを使用した口腔用組成物として種々のものが提案されている(特許文献1:特開昭62−24010号公報、特許文献2:特開平1−305021号公報、特許文献3:特開平7−48237号公報、特許文献4:特開平10−330230号公報参照)。
しかしながら、イソプロピルメチルフェノールを含有する組成物は、特有な嫌味を有するために使用感を著しく損なうという欠点が生じ、この点の改善が求められていた。
【0003】
この課題に対して、例えば特定のアシルサルコシン塩をフェノキシエタノールに対し特定の配合割合で組み合わせて配合することで抗菌成分の異味を低減させる技術(特許文献5:特開2007−161613号公報)、l−メントール及び塩化ナトリウムをイソプロピルメチルフェノールに対して特定の質量比で配合することにより異臭・異味を低減する技術(特許文献6:特開2008−143825号公報)が提案されている。しかし、アシルサルコシン塩を多く配合した場合にはアシルサルコシン塩由来と考えられる口腔粘膜刺激が生じたり、塩化ナトリウムを配合した場合には塩味により香味のタイプが限定される場合があるなどの新たな課題が生じて、満足な使用感とは言い難かった。
【0004】
また、サッカリンなどの甘味剤により嫌味をマスキングして低減する方法もあるが、この場合は、甘味剤の味が強調され過ぎたりして必ずしも嫌味を抑えることができるとは言えなかった。よって、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味を低減する新たな技術が求められていた。
【0005】
一般に液体口腔用組成物には、清涼感を付与させる目的でl−メントールを香料の主成分として含有するが、かかる組成ではイソプロピルメチルフェノール由来の嫌味を解消するには充分ではない。
また、イソプロピルメチルフェノールの殺菌力を確保するために、界面活性剤の含有量を減らし、エタノールの刺激を低減するためにエタノール含有量を少なくすると、低温保存においてl−メントールの結晶が析出し、組成物の外観安定性が著しく損なわれるという問題があった。なお、カチオン性殺菌剤とl−メントールを含有し、エタノール含有量が少ない組成においては、パラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸エチルとを併用して配合するとl−メントールの結晶析出を防止できることは特許文献7(特開2007−31394号公報)に提案されている。
【0006】
一方、イソプロピルメチルフェノールは油溶性の化合物であり、そのままでは水にほとんど溶けないため、各種界面活性剤及びエタノールなどの溶剤を配合して可溶化させている。中でも界面活性剤は、殺菌剤の活性化部位を不活性化するため、配合量が増加すると十分な殺菌力を発現させることができず、また殺菌力向上のため界面活性剤の配合量を減じると低温及び高温にて経時で液が白濁し、組成物の外観安定性が損なわれるという課題がある。
【0007】
また、油溶性の化合物の可溶化溶剤として使用されるエタノールの配合は、口腔用組成物使用時のピリピリとした刺激感を引き起こすため、近年、エタノールを配合しないノンアルコールタイプの洗口剤の普及が進んできた。しかし、エタノール無配合で非イオン性殺菌剤を配合した液体口腔用組成物は、エタノール配合時よりも可溶化力が低くなり、このため低温保存時における経時での外観安定性を確保することが難しくなる。
【0008】
低濃度の界面活性剤やエタノール非配合による可溶化力の低下を補い、イソプロピルメチルフェノールを可溶化させるために、湿潤剤の配合も油溶性の化合物の可溶化には有効である。しかしながら、湿潤剤を高濃度で配合すると、湿潤剤自身の持つ苦味や使用後のべたつき感により使用感が悪くなるという問題がある。
なお、製剤中の含水率を40%以下にすることがフェノール系殺菌剤の安定性に有効であること(特許文献8:特開平11−322554号公報参照)、水分量をポリオール類配合量の半分以下に調整して配合することが非水溶性有効成分の経時での残存率低下の防止に有効であること(特許文献9:特開2001−199854号公報参照)が提案されているが、これら技術も未だ十分とは言えなかった。
【0009】
この課題を解決し、かつイソプロピルメチルフェノールを可溶化させるために、湿潤剤と低濃度の非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤を組み合わせることによって、エタノールを含まない系においても、べたつきの原因となる湿潤剤の配合量を減らしつつ、イソプロピルメチルフェノールの安定性、殺菌力を確保する技術が提案されている(特許文献10:国際公開第2007/148551号パンフレット参照)。しかし、上記技術では、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味という課題は解消されていない。
【0010】
このように、イソプロピルメチルフェノールを含有する液体口腔用組成物では、イソプロピルメチルフェノールによる歯周病原性バイオフィルムに対する高い浸透殺菌効果を発揮しつつ、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味を抑制し、かつ経時での外観安定性も良好な液体製剤が求められるが、従来の技術ではこれら特性の全てを満たしていない。
従って、イソプロピルメチルフェノール含有液体口腔用組成物において、上記の種々の課題を解決して、イソプロピルメチルフェノールによる歯周病原性バイオフィルムに対する高い浸透殺菌効果を発揮すると共に、嫌味のない良好な使用感と高い経時保存安定性とを兼ね備えた液体口腔用組成物の開発が望まれる。
【0011】
なお、特許文献11(特開2007−106728号公報)の実施例17には、エタノール非配合でイソプロピルメチルフェノール、ノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン、プロピレングリコール、メントール、メチルパラベンの組み合わせが、特許文献10の実施例22には、エタノール非配合でイソプロピルメチルフェノール、ノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、メントール、メチルパラベンの組み合わせが記載されている。しかしながら、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味の問題はこれら技術でも解決されていないままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭62−24010号公報
【特許文献2】特開平1−305021号公報
【特許文献3】特開平7−48237号公報
【特許文献4】特開平10−330230号公報
【特許文献5】特開2007−161613号公報
【特許文献6】特開2008−143825号公報
【特許文献7】特開2007−31394号公報
【特許文献8】特開平11−322554号公報
【特許文献9】特開2001−199854号公報
【特許文献10】国際公開第2007/148551号パンフレット
【特許文献11】特開2007−106728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、歯周病原性バイオフィルムに対する高い浸透殺菌効果を発揮する上、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味がなく、使用感に優れ、かつ低温での外観安定性が良好である、エタノール無配合のイソプロピルメチルフェノール含有液体口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、殺菌成分としてイソプロピルメチルフェノールが配合された液体口腔用組成物に、ノニオン性界面活性剤と、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトールから選ばれる1種又は2種以上の湿潤剤を合計で組成物全体の5〜20質量%と、l−メントールと、パラオキシ安息香酸エステルとを配合し、更に3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコンから選ばれる1種又は2種以上の香料成分を配合することにより、エタノールを実質含まない組成で、歯周病原性バイオフィルムに対する高い浸透殺菌効果が発揮されると共に、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味が低減され、優れた使用感を有し、かつ低温保存時の外観安定性にも優れることを見出した。
【0015】
本発明によれば、上記特定成分を組み合わせて配合することにより、イソプロピルメチルフェノールを含有する液体口腔用組成物において、上記した様々な課題が解決され、エタノール無配合の組成で、歯周病原性バイオフィルム中の歯周病菌をはじめとする口腔内細菌への優れた殺菌力が発揮される上、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味が抑制され、しかも、使用時の清涼感が良好で、エタノール等による刺激や、口腔内のべたつき感もなく、優れた使用感であり、かつ低温保存時におけるイソプロピルメチルフェノールの不溶化による経時での濁りや、l−メントールの結晶析出を防止でき、経時でオリや白濁、結晶析出がない優れた外観安定性が得られ、これら全ての特性を兼ね備えることができる。
【0016】
なお、上記成分(E)の香料成分は、いずれも特徴的な香気を有しており、チーズなどの調合フレーバーに微量用いられることはあるが、それ自体不快な香気であるため、液体口腔用組成物の香料としての使用は限定的であった。本発明者らは、このような上記成分(E)の特定香料をイソプロピルメチルフェノールと併用して液体口腔用組成物に配合すると、意外にもイソプロピルメチルフェノール由来の嫌味を十分に抑制できることを見出した。
【0017】
更に、本発明では、上記成分(A)〜(E)を配合した液体口腔用組成物に(F)アニスアルデヒドを配合することで、イソプロピルメチルフェノール由来の特有な嫌味をより低減でき、使用感を更に善できる。
【0018】
従って、本発明は、下記の液体口腔用組成物を提供する。
請求項1:
イソプロピルメチルフェノールを含有する液体口腔用組成物に、
(A)ノニオン性界面活性剤、
(B)グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトールから選ばれる1種以上の湿潤剤、
(C)l−メントール、
(D)パラオキシ安息香酸エステル、
(E)3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコンから選ばれる1種以上の香料成分
を配合してなり、成分(B)の合計含有量が組成物全体の5〜20質量%であり、実質的にエタノールを含有しないことを特徴とするイソプロピルメチルフェノール含有液体口腔用組成物。
請求項2:
(A)ノニオン性界面活性剤が、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びアルキル基の炭素数が16〜18でエチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜40モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上である請求項1記載の液体口腔用組成物。
請求項3:
成分(B)として、グリセリンとプロピレングリコール、グリセリンとポリエチレングリコール、又はグリセリンとプロピレングリコールとポリエチレングリコールとを組み合わせて配合した請求項1又は2記載の液体口腔用組成物。
請求項4:
更に、(F)アニスアルデヒドを含有する請求項1、2又は3記載の液体口腔用組成物。
【発明の効果】
【0019】
本発明の液体口腔用組成物は、歯周病原性バイオフィルムに対する高い浸透殺菌効果が発揮されると共に、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味が低減され、使用時の清涼感も良好で、口腔内のべたつき感や刺激性もなく使用感に優れ、かつ低温保存時の外観安定性にも優れるもので、歯周病等の口腔疾患の予防又は抑制に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の液体口腔用組成物は、殺菌成分としてイソプロピルメチルフェノールを含有し、(A)ノニオン性界面活性剤、(B)グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトールから選ばれる湿潤剤を合計で組成物全体の5〜20質量%、(C)l−メントール、(D)パラオキシ安息香酸エステル、及び(E)3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコンから選ばれる香料成分を含有し、実質的にエタノールを含有しないことを特徴とする。
【0021】
本発明で用いるイソプロピルメチルフェノールは、4−イソプロピル−3−メチルフェノールであり、大阪化成(株)から販売されているものなどの市販品を使用できる。
【0022】
イソプロピルメチルフェノールの配合量は、歯周病原性バイオフィルムの浸透殺菌効果を発揮させる点、及び、イソプロピルメチルフェノール自身が強い嫌味を有することから、組成物全体の0.01〜0.2質量%、特に0.02〜0.1質量%とすることが好ましく、配合量が0.01質量%未満であるとバイオフィルムに対して殺菌力を発揮できない場合があり、0.2質量%を超えると白濁、外観安定性を損ねたり、嫌味が解決できない場合がある。
【0023】
本発明で使用される成分(A)ノニオン性界面活性剤としては、イソプロピルメチルフェノール可溶化力、歯周病原性バイオフィルムに対する浸透殺菌力及び味の点から、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モル、特に60〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びアルキル基の炭素数が16〜18でエチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜40モル、特に20〜40モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。これらの中では、歯周病原性バイオフィルムに対する浸透殺菌力及びイソプロピルメチルフェノール可溶化の点で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が60〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキル基の炭素数が16〜18でエチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜40モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく使用される。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のエチレンオキサイドの平均付加モル数が40モル未満では、低温保存時に析出が生じる場合があり、100モルを超えるものは一般に市販されていない。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルのエチレンオキサイドの平均付加モル数が10モル未満では、上記と同様に低温保存時に析出が生じる場合があり、40モルを超えるものは一般には市販されていない。また、上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルにおいて、アルキル基の炭素数が16未満では、苦味や刺激が強く、18を超えるものは低温又は高温での外観安定性に劣る場合がある。
【0024】
成分(A)の総配合量は、歯周病原性バイオフィルムに対する浸透殺菌力及びイソプロピルメチルフェノールの可溶化の点で、好ましくは組成物全体の0.1〜1.0質量%、より好ましくは0.3〜0.7質量%である。配合量が0.1質量%未満では低温で濁りを生じ外観安定性を維持するのが難しい場合があり、1.0質量%を超えると、殺菌力に劣る場合がある。
【0025】
成分(B)の湿潤剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びソルビトールから選ばれる1種以上である。
【0026】
ここで、ポリエチレングリコールは平均分子量190〜630のものが好ましい。なお、上記平均分子量とは、化粧品原料基準(第2版注解)記載の平均分子量を示す。
平均分子量190〜630のポリエチレングリコールとしては、ポリエチレングリコール200(平均分子量190〜210)、ポリエチレングリコール300(平均分子量280〜320)、ポリエチレングリコール400(平均分子量380〜420)、ポリエチレングリコール600(平均分子量570〜630)が該当し、これらを好適に使用できる。商品によっては、例えばポリエチレングリコール#200のように、ポリエチレングリコールと数値の間に#がつく場合がある。
【0027】
更に、成分(B)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できるが、使用時の味の点から2種以上用いることが好ましく、低温での濁りなどの外観安定性の点から3種以上用いることがより好ましい。2種での組み合わせとしては、グリセリンとプロピレングリコール、グリセリンとポリエチレングリコール#400の組み合わせが、3種の組み合わせとしては、グリセリンとプロピレングリコールとポリエチレングリコール#400の組み合わせが好ましい。
【0028】
成分(B)の総配合量は、組成物全体の5〜20質量%であり、低温及び高温での外観安定性や組成物の使用性の点で、8〜15質量%が好ましい。配合量が5質量%未満では低温での外観安定性を維持するのが難しく、白濁が生じ、20質量%を超えると、使用後のべたつき感が著しく生じたり、メントールや香料成分による清涼感が損なわれ、使用性や使用感が損なわれる。
【0029】
成分(C)のl−メントールとしては、l−メントールをそのまま使用してもよいが、l−メントールを含有するペパーミント油や和種ハッカ油等の精油や植物抽出物を用いてもよく、これらを併用してもよい。
l−メントールの配合量は、清涼感確保の点で、0.01〜0.3質量%、特に0.05〜0.2質量%が好ましい。配合量が0.01質量%未満の場合、清涼感を満足に確保することが難しくなったり、嫌味が満足に改善されない場合があり、0.3質量%を超えると、低温でのl−メントールの析出を防止できなかったり、低温で白濁し外観安定性が損なわれる場合がある。
【0030】
成分(D)パラオキシ安息香酸エステルとしては、一般に口腔用組成物に配合されるものを使用できる。具体的にはパラオキシ安息香酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等のアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルエステルを用いることができる。
パラオキシ安息香酸エステルの配合量は、低温保存でのl−メントールの析出防止の点で、組成物全体の0.01〜0.3質量%、特に0.05〜0.2質量%が好ましい。配合量が0.01質量%未満では、低温保存でのl−メントールの析出を防止できなかったり、白濁する場合があり、0.3質量%を超えると、苦味を抑制できなかったり、パラオキシ安息香酸エステル由来の苦味が強くなって、使用感に劣る場合がある。
【0031】
成分(E)は、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味をマスキングするのに有効な香料成分であり、3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコンから選ばれる1種又は2種以上の香料成分である。
上記香料成分の2種以上を組み合わせる場合は、3−オクタノールと3−オクチルアセテート及び/又はフェンコンとの組み合わせが好適である。
なお、オクタノールであっても、液体口腔用組成物の香料として一般的な1−オクタノールは、目的とするイソプロピルメチルフェノール由来の嫌みのマスキングが満足にできないため、本発明にかかわる香料成分として相応しくない。
【0032】
上記成分(E)は市販品を用いることができ、例えば3−オクタノールは塩野香料(株)の製品、3−オクチルアセテート及び3−オクタノンはそれぞれ(株)井上香料製造所の製品、フェンコンは香栄興業(株)の製品などを用いることができる。
【0033】
成分(E)の総配合量は特に制限されないが、組成物全量に対して、0.0001〜0.1質量%、特に0.0005〜0.05質量%、とりわけ0.001〜0.02質量%が望ましい。配合量が0.0001質量%未満では、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味をマスキングできず、使用感に劣る場合があり、0.1質量%を超えると、香料成分自体の香味が強すぎて嫌味を生じる場合がある。
【0034】
更に、本発明では、成分(F)としてアニスアルデヒドを配合することが好ましく、成分(E)の香料成分に加えてアニスアルデヒドを添加することで、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味に対するマスキング効果をより高めることができ、より良好な香味とすることができる。
【0035】
アニスアルデヒドとしては、大洋香料(株)の製品などの市販品を用いることができる。その配合量は、組成物全量に対して、0.0001〜0.1質量%、特に0.001〜0.02質量%が望ましい。配合量が0.0001質量%未満では、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味のマスキング効果を十分に高めることができない場合があり、0.1質量%を超えると、成分(B)と同様にアニスアルデヒド自体の香味が強すぎて嫌味を生じる場合がある。
【0036】
(F)アニスアルデヒドを配合する場合、イソプロピルメチルフェノール由来の嫌味のマスキング効果をより高め香味をより改善する点から、成分(E)と成分(F)の合計配合量が0.0002〜0.15質量%、特に0.002〜0.03質量%であることが望ましい。合計配合量が0.0002質量%未満では、嫌味のマスキング効果を十分高めることができない場合があり、0.15質量%を超えると、成分(E)及び(F)自体の香味が強すぎて嫌味を生じる場合がある。
なお、成分(E)と成分(F)との組み合わせとしては、特に3−オクタノール及びアニスアルデヒドとの組み合わせが好ましく、これによりイソプロピルメチルフェノール由来の嫌味に対して、とりわけ優れたマスキング効果が発揮される。
【0037】
本発明組成物では、液体口腔用組成物としての使用性と味の点から、水分量は、組成物全量の70質量%以上であり、更に使用感の点から75質量%以上とすることが好ましい。なお、水分量の上限値は、上記成分(A)〜(F)及びイソプロピルメチルフェノールの下限配合量との合計が100質量%となる量、即ち94.8698質量%とすることができる。
【0038】
本発明の液体口腔用組成物は、実質的にエタノールを含まないものであり、エタノールが配合されると、刺激が生じたり、嫌味を満足に抑えることができず、使用感を改善できない。ここで、「実質的にエタノールを含まない」とは、組成物中のエタノール量が組成物全体に対して好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは10ppm以下のものであり、下限値は0ppmである。なお、本発明の液体口腔用組成物は、エタノール無配合であるが、組成物中に配合される香料中に原料由来のエタノールが微量含有される場合があるため、これらの理由を考慮したうえで、香料中などに微量含有されるエタノール以外にエタノールを含まないものである。
【0039】
本発明の液体口腔用組成物は、洗口剤、液体歯磨などとして調製、適用することができ、適用方法として、洗口後は必要に応じて歯ブラシ等でブラッシングする方法を採用してもよい。
本発明の液体口腔用組成物には、上記成分に加えて、その剤型に応じて適宜な任意成分を本発明の効果を妨げない範囲で配合することができ、例えば、上記成分以外の湿潤剤、増粘剤、pH調整剤、防腐剤、甘味剤、香料、界面活性剤、有効成分、着色料等を含有できる。
【0040】
湿潤剤としては、上記した成分(B)に加えて、ブチレングリコール、エチレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット等の糖アルコール、成分(B)以外の多価アルコールを本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。
【0041】
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース系粘結剤、キサンタンガム、カラギーナン、グアガム、アルギン酸ナトリウム、カチオン化セルロース、モンモリロナイト、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を配合できる。増粘剤の配合量は通常、組成物全量に対して0.001〜0.5質量%である。
【0042】
pH調整剤としては、フタル酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸及び炭酸並びにそれらのカリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩、リボ核酸及びその塩類、更に水酸化ナトリウムなどの1種又は2種以上を用いることができ、特にリン酸、クエン酸とそれらのナトリウム塩を組み合わせたものが好ましい。
特に、本発明の液体口腔用組成物は、25℃におけるpHを5.5〜7.5に調整することが好ましく、この付近のpH調整剤として、リン酸二水素ナトリウムとリン酸一水素ナトリウムあるいはクエン酸とクエン酸ナトリウムを組み合わせたものを用いることが好ましい。
【0043】
防腐剤としては、安息香酸ナトリウム等の安息香酸塩、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ソルビン酸カリウム等を含有することができる。
【0044】
また、甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパラテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ぺリラルチン等が挙げられる。
【0045】
成分(E)、更には成分(F)に加えて、その他の香料として、例えば、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、バジル油、カルダモン油、コリアンダー油、スペアミント油、オレンジ油、レモン油、マンダリン油、ライム油、グレープフルーツ油、柚子油、スウィーティー油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、セロリ油、ベイ油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、レモングラス油、ローズ油、ジャスミン油、パチュリ油、イリスコンクリート、ローズアブソリュート、オレンジフラワーアブソリュート、バニラアブソリュート、マンゴーアブソリュート、パチュリアブソリュート、ジンジャーオレオレジン、ペッパーオレオレジン、カプシカムオレオレジン、トウガラシ抽出物等の天然香料、及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、リモネン、ピネン、ブタノール、イソアミルアルコール、n−ヘキセノール、cis−3−ヘキセノール、cis−6−ノネノール、リナロール、α−テルピネオール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、アネトール、チモール、メチルチャビコール、オイゲノール、カルボン、メントン、プレゴン、1,8−シネオール、ヨノン、キャロン、n−ヘキサナール、trans−2−ヘキセナール、シトラール、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、エチル2−メチルブチレート、アリルヘキサノエート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、リナリルアセテート、メンチルアセテート、メンチルラクテート、カルビールアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、メチルジャスモネート、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、メチルシンナメート、メチルアンスラニレート、フェニルエチルグリシデート、エチルラクテート、バニリン、マルトール、炭素数4〜12のガンマ及びデルタラクトン、アンブレットリド、ジメチルサルファイド、トリメチルピラジン、エチルβ−メチルチオプロピオネート、フラネオール、エチルシクロペンテノロン、シクロテン、2−メチルブチリックアシッド、プロピオニックアシッド、p−メトキシシンナミックアルデヒド、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、メントングリセリンアセタール、スピラントール、モノメンチルサクシネート、リナロールオキサイド、バニリルブチルエーテル、イソプレゴール等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、メロンフレーバー、バナナフレーバー、ピーチフレーバー、ラズベリーフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー、マンゴーフレーバー、ウメフレーバー、オレンジフレーバー、レモンフレーバー、グレープフルーツフレーバー、ティーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー等の調合香料、及び、エチルアルコール、プロピレングリコール、トリアセチン、グリセリン脂肪酸エステル等の香料溶剤等、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができる。これらの香料素材の配合量は特に限定されないが、組成物中に0.000001〜1質量%使用するのが好ましい。また、上記香料素材を使用した賦香用香料としては、組成物中に0.1〜2.0質量%使用するのが好ましい。
【0046】
界面活性剤としては、成分(A)のノニオン性界面活性剤に加えて、その他の通常口腔用組成物に使用される界面活性剤を配合してもよい。例えば、アニオン性界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム等のアシルサルコシン塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウムなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインや、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が用いられるが、上記に限られるものではない。
上記成分(A)以外の界面活性剤の配合量は組成物全体の0.01〜5質量%が好ましく、本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。
【0047】
各種有効成分としては、イソプロピルメチルフェノールに加えて、その他の有効成分、例えばフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズなどのフッ素化合物、デキストラナーゼ、ムタナーゼなどの酵素、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、トラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、ラウロイルサルコシンナトリウム、アスコルビン酸、酢酸dl−トコフェロール、ジヒドロコレステロール、α−ビサボロール、クロルヘキシジン塩類、アズレン、グリチルレチン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル、グリセロホスフェートなどのキレート性リン酸化合物、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、ジヒドロコレステロール、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、カミツレ、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物などが挙げられる。なお、他の有効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
【0048】
着色料としては、青色1号、緑色3号、黄色4号、赤色105号など安全性の高い水溶性色素を添加することができる。
【0049】
本発明の液体口腔用組成物を収容する容器としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレンが使用できるが、非イオン性殺菌剤及び香料の吸着抑制の点からPETとガラスの使用が好ましい。
【実施例】
【0050】
以下、実験例、実施例及び比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。なお、下記において%は特に断らない限り質量%である。
【0051】
これらの液体口腔用組成物の調製には、イソプロピルメチルフェノール(大阪化成社製)、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエチレン(30)セチルエーテル(日本エマルジョン社製)、グリセリン(85質量%、阪本薬品工業社製)、プロピレングリコール(旭硝子社製)、ポリエチレングリコール#400(ライオン化学社製)、ソルビトール(東和化成工業社製)、l−メントール(高砂香料工業社製)、メチルパラベン(上野製薬社製)、3−オクタノール(塩野香料製)、3−オクチルアセテート及び3−オクタノン(井上香料製造所製)、フェンコン(香栄興業社製)、アニスアルデヒド(大洋香料社製)、1−オクタノール(高砂香料工業製)、クエン酸(扶桑化学社製)、クエン酸ナトリウム(扶桑化学社製)、サッカリンナトリウム(愛三化学工業社製)を用いた。また、エタノール(日本アルコール販売社製)を比較例に使用した。なお、表中のPOEはポリオキシエチレンを、PEGはポリエチレングリコールを示し、下記に示す%は特に断らない限りいずれも質量%を意味する。形態が水溶液の成分については、表中も含めいずれも純分換算の配合量を示した。
香料として、表8,9に示す組成の香料組成物A〜Iを調製し、配合した。
【0052】
〔実験例1〕
表1〜7に示す組成の液体口腔用組成物を常法により調製し、下記方法でモデルバイオフィルムに対する浸透殺菌効果を評価した。結果を表1〜7に示す。
なお、表1〜3の実施例1〜41、及び表5〜7の実施例42〜84において、香料組成物Aを香料組成物B〜Iのいずれかに置き換えても同様の結果が得られた。
【0053】
モデルバイオフィルム殺菌効果の評価法:
直径7mmのハイドロキシアパタイト(HA)板を0.45μmのフィルターで濾過した人無刺激唾液で4時間処理し、ヘミン及びメナジオンを添加したトリプチケースソイブロス中、ストレプトコッカス ミュータンス(Streptococcus mutans)、アクチノマイセス ナエスランディ(Actinomyces naeslundii)、ベイヨネラ パルビュラ(Veillonella parvula)、フゾバクテリウム ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)及びポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の5菌種混合系で2週間連続培養することにより、HA板上にモデルバイオフィルムを形成させた。2週間培養後より1日1回、下記表に示した液体口腔用組成物に人口唾液(50mmol/L KCl+1mmol/L KH2PO4+1mmol/L CaCl2+0.1mmol/L MgCl2(pH7.0))を2倍質量添加し、分散させた後の遠心上清を試験薬剤液として、これにモデルバイオフィルムを3分間浸漬処理し、更に3日間培養した。培養終了時にモデルバイオフィルムを取り出し、分散後、寒天平板上で培養することによりモデルバイオフィルム中の各菌種の生菌数を求めた。生菌数は、培養条件により多少振れるが、試験薬剤の代わりに人口唾液を作用させた場合では、約8.5log cfu(colony forming units/HA板)であり、6.0log cfu/HA板未満の場合において、バイオフィルム殺菌力が高いと判断した。
【0054】
モデルバイオフィルム殺菌効果評価基準
◎:5.0log cfu/HA板未満
○:5.0log cfu/HA板以上〜6.0log cfu/HA板未満
△:6.0log cfu/HA板以上〜7.0log cfu/HA板未満
×:7.0log cfu/HA板以上
【0055】
〔実験例2〕
表1〜7に示す組成の液体口腔用組成物について、下記方法で外観安定性、結晶の析出を評価した。結果を表1〜7に示す。
外観安定性、結晶析出:
表1〜7に示したサンプルを満注量450mLのPET容器に450mL充填し、−5℃恒温槽に3ヶ月保存後の外観安定性、及び結晶の析出を下記基準に則り、目視判定した。
【0056】
外観安定性評価基準
◎:初期品と比較し、変化が認められない。
○:ごくわずかなオリが認められるが問題ない。
△:微濁が認められる。
×:かなりの白濁又は沈澱物が認められる。
【0057】
結晶析出評価基準
◎:初期品と差がなく、結晶の析出が認められない。
○:ごく微量の析出物が認められる。
△:微量の針状結晶が認められる。
×:針状結晶の析出が認められる。
【0058】
〔実験例3〕
表1〜7に示す組成の液体口腔用組成物について、下記方法で下記に示す使用感、嫌味のなさを評価した。結果を表1〜7に示す。
【0059】
(1)使用感
表1〜7に示したサンプル20mLを口に含み、30秒間すすいだ後、洗口直後の清涼感のよさ、刺激のなさ、べたつき感のなさについて下記の4段階で評価し、10名の平均点を次の基準に従い、◎、○、△、×で表に示した。
【0060】
洗口後の清涼感
4:清涼感が認められた。
3:やや清涼感が認められた。
2:かすかに清涼感が認められた。
1:清涼感が認められなかった。
【0061】
洗口後の刺激のなさ
4:刺激が認められなかった。
3:ほとんど刺激が認められなかった。
2:やや刺激が認められた。
1:刺激が認められた。
【0062】
洗口後のべたつき感のなさ
4:べたつき感が認められなかった。
3:ほとんどべたつき感が認められなかった。
2:ややべたつき感が認められた。
1:べたつき感が認められた。
【0063】
使用感評価基準
◎:平均点4.0点
○:平均点3.0点以上4.0点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0064】
(2)嫌味のなさ
専門家パネラー10人を用いた官能試験を実施した。表1〜7に示したサンプル20mLを口に含み、30秒間すすぎ、使用中に感じた嫌味のなさを、以下の評点に従って評価した。10名の評価結果の平均値を求め、以下の基準で◎及び○の評価が確保されるものを、嫌味のない液体口腔用組成物であると判断した。
(評点)
4点:嫌味が全くない
3点:嫌味がほとんどない
2点:嫌味がややある
1点:嫌味がある
(評価基準)
◎ :3.7点以上〜4.0点以下
◎〜○:3.3点以上〜3.7点未満
○ :3.0点以上〜3.3点未満
△ :2.0点以上〜3.0点未満
× :2.0点未満
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
【表6】

【0071】
【表7】

【0072】
香料組成は表8,9に示す通りである。なお、下記香料組成中に3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコン、アニスアルデヒド、l−メントールは含まない。更に、パラオキシ安息香酸エステルも含まれない。
【0073】
【表8】

【0074】
【表9−1】

【0075】
【表9−2】

【0076】
【表9−3】

【0077】
【表9−4】

【0078】
【表9−5】

【0079】
【表9−6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソプロピルメチルフェノールを含有する液体口腔用組成物に、
(A)ノニオン性界面活性剤、
(B)グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトールから選ばれる1種以上の湿潤剤、
(C)l−メントール、
(D)パラオキシ安息香酸エステル、
(E)3−オクタノール、3−オクチルアセテート、3−オクタノン、フェンコンから選ばれる1種以上の香料成分
を配合してなり、成分(B)の合計含有量が組成物全体の5〜20質量%であり、実質的にエタノールを含有しないことを特徴とするイソプロピルメチルフェノール含有液体口腔用組成物。
【請求項2】
(A)ノニオン性界面活性剤が、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びアルキル基の炭素数が16〜18でエチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜40モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上である請求項1記載の液体口腔用組成物。
【請求項3】
成分(B)として、グリセリンとプロピレングリコール、グリセリンとポリエチレングリコール、又はグリセリンとプロピレングリコールとポリエチレングリコールとを組み合わせて配合した請求項1又は2記載の液体口腔用組成物。
【請求項4】
更に、(F)アニスアルデヒドを含有する請求項1、2又は3記載の液体口腔用組成物。

【公開番号】特開2011−98919(P2011−98919A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255191(P2009−255191)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】